特表2017-515955(P2017-515955A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-515955(P2017-515955A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(54)【発明の名称】熱可塑性複合材およびその製造
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/04 20060101AFI20170519BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20170519BHJP
【FI】
   C08J5/04CEZ
   C08J5/04CFF
   B64C1/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-567810(P2016-567810)
(86)(22)【出願日】2015年5月11日
(85)【翻訳文提出日】2016年12月26日
(86)【国際出願番号】EP2015060342
(87)【国際公開番号】WO2015173180
(87)【国際公開日】20151119
(31)【優先権主張番号】14168215.3
(32)【優先日】2014年5月14日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516338176
【氏名又は名称】エピュレックス・フィルムズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・カンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ステンベック,ヴォルフギャング
【テーマコード(参考)】
4F072
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA08
4F072AB10
4F072AB13
4F072AB22
4F072AB33
4F072AD05
4F072AD09
4F072AD37
4F072AD41
4F072AD43
4F072AG16
4F072AH19
4F072AH49
4F072AJ36
4F072AJ37
4F072AK05
4F072AK14
4F072AL02
(57)【要約】
本発明は、熱可塑性樹脂をフィルム物品へと押し出すことと、特別なサイジングによって繊維材料を表面処理することと、少なくとも1層の熱可塑性フィルムおよび少なくとも1層の表面処理された繊維材料を、該熱可塑性フィルムの融点または軟化点より高い温度にて、ニップロールまたはニップベルトによって適用される圧力下で複合シートへとラミネートすることとを含む、熱可塑性複合ラミネートを製造するためのロール−ツー−ロール連続製造プロセスを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂をフィルム物品へと押し出すことと、
ポリマーサイジングによって繊維材料を表面処理することと、
少なくとも1層の熱可塑性フィルムおよび少なくとも1層の表面処理された繊維材料を、該熱可塑性フィルムの融点または軟化点より高い温度にて、ニップロールまたはニップベルトによって適用される圧力下で複合シートへとラミネートすることと
を含む、熱可塑性複合ラミネートを製造するためのロール−ツー−ロール連続製造方法であって、前記繊維材料が一方向性繊維、織布、繊維フリースまたはそれらの組合せである方法。
【請求項2】
前記熱可塑性フィルムにシランカップリング剤を添加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマーサイジングにシランカップリング剤を添加することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
押出が、吹込フィルムプロセスおよびフラットダイプロセスからなる群から選択されるものによる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂が、熱可塑性ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートグリコール変性コポリエステル、ポリカーボネート、ポリカーボネートコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレンブレンドおよびポリスチレンからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂がポリウレタンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリウレタンが、その主鎖構造中にソフトセグメントを有し、50〜80 Shore Dの硬度を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリウレタンが、その主鎖構造中にソフトセグメントを有さず、80 Shore Dより高い硬度を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーサイジングが、水または有機溶媒中におけるポリウレタン、エポキシ、フェノールおよびポリアクリレートベースの分散体からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマーサイジングが、ポリウレタンの水中分散体である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
繊維が、ガラス、ロック、セラミック、炭素、グラファイト、ポリアミド、アラミド、ウールコットン、銅およびアルミニウムならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法によって作られる熱可塑性複合ラミネート。
【請求項13】
請求項12に記載の熱可塑性ラミネートから作られる物品。
【請求項14】
自動車、自転車、船舶あるいは航空機または宇宙船部門における構造強化部品として、機械用ハウジング部品としての、請求項13に記載の物品の使用であって、前記繊維材料が一方向性繊維、織布、繊維フリースまたはそれらの組合せである、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に熱可塑性ポリマーに関し、そして特に熱可塑性複合材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Edwardsは、(特許文献1)において、a)第1の熱可塑性層と;b)熱可塑性樹脂および樹脂に含浸された複数の連続強化繊維を含有する繊維強化熱可塑性複合材とを含む強化熱可塑性物品であって、第1の熱可塑性層が熱可塑性複合材へと熱形成されるか、または吹込み形成される物品を記載している。
【0003】
Vickeryらの名称での(特許文献2)は、少なくとも1種のシランカップリング剤と;1種またはそれ以上のフィルム成形剤とを含む熱硬化性樹脂を強化するために使用される強化繊維のための組成物であって、サイズ組成物に所望の特性または特徴を付与するために従来のサイジング用途において典型的に含まれるいずれの添加剤も含まない組成物を提供する。
【0004】
Larsonらは、(特許文献3)において、約20重量%〜約80重量%の繊維強化材と、約80重量%〜約20重量%の、ポリエステル、フェノール、エポキシおよびそれらの混合物から選択される熱硬化性ポリマーとを含む強化層;基体層と装飾層とを含む表面層であって、基体層が、約20重量%〜約80%重量の繊維強化材と、約80重量%〜約20重量%の、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、フェノール、エポキシおよびそれらの混合物から選択されるポリマーとを含み、かつ装飾層が、ポリ塩化ビニル、アクリルおよびポリウレタンの少なくとも1種を含む表面層;強化層と、表面層の基体層との間に配置される接着層;ならびに強化層と接着層との間に配置され、接着層とは異なる材料組成を有する接着プライマー層を含む寸法安定性連続ラミネート構造を詳述している。
【0005】
Kubotaらの名の下、(特許文献4)では、複合物品および複合物品の製造プロセスが開示されている。この複合物品は、布およびコア熱可塑性樹脂に組み込まれた高強力繊維を含む多層を含む。この布は、表面処理剤およびポリマーマトリックス樹脂でコーティングされていてもよい。単層または多層の複合物品が、高強度、剛性、迅速な成形サイクル時間および3次元のモールドにおける極めて良好ななじみ性を有すると言われる複合部品へと形成され得る。Kubotaらのプロセスによって形成された複合部品は、全方向において高い部品強度を有すると言われる。
【0006】
Schleiermacherらは、(特許文献5)において、長繊維に加えて短繊維をさらに含有することを特徴とする、三次元隆起構造、特にリブ、ストラットおよび/またはドームを有する長繊維強化ポリウレタン成形部品であって、リブ、ストラットおよび/またはドームの体積中の短繊維および/またはプレート様フィラー対繊維を含まないポリウレタンマトリックスの重量比が、隆起構造の外側の二次元領域における短繊維および/またはプレート様フィラー対繊維を含まないポリウレタンマトリックスの重量比より高い成形部品を教示する。
【0007】
Kimらの名の下、(特許文献6)では、複合成形体の製造方法、特に、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンおよびガラスまたは炭素繊維を含有する成形体を製造するステップと;反応性ポリウレタン組成物またはゴム組成物によって成形体をコーティングするステップとを含む複合成形体の製造方法が記載されている。この複合成形体をホイールハブ鋳物の代わりに使用して、ホイールの重量を最小化することができ、材料に関して低コストで製造することができ、そして大量生産することができる。この複合成形体は、コーティング組成物に対して非常に優れた接着力を有すると言われ、そしてその強度および耐久性は、鋳鉄、ステンレス鋼、アルミニウムなどの鋳物の強度および耐久性に相当する。
【0008】
Chengは、(特許文献7)において、(a)熱可塑性材料および初期炭素繊維プレプレグ材のマトリックス樹脂が、架橋反応を受け、架橋された熱可塑性材料層が初期炭素繊維プレプレグ材上に形成するように、炭素繊維基体と炭素繊維基体中に含浸されたマトリックス樹脂とを含む初期炭素繊維プレプレグ材および熱可塑性材料を高温で熱圧着するステップと、(b)架橋された熱可塑性材料層上に熱可塑性エラストマーを射出成形するステップとを含む成形炭素繊維プレプレグ材の製造方法を提供する。
【0009】
Choiらの名の下、(特許文献8)は、電気またはハイブリッド車用バッテリー・パック・ケース・アセンブリおよびその製造方法を開示する。バッテリー・パック・ケース・アセンブリは、ケースボディーおよびカバーを含む。ケースボディーはバッテリーパックを受け取り、カバーはケースボディーに連結されている。ケースボディーは、長繊維または長繊維と連続繊維とのブレンドがプラスチックマトリックス中の強化繊維として使用されるプラスチック複合材から形成される。別の強化要素が、車体への連結のために両側のブラケット部分に結合され、長繊維、連続繊維または長繊維と連続繊維とのブレンドがプラスチックマトリックス中の強化繊維として使用されるプラスチック複合材から形成される。
【0010】
Kibayashiらの名の下、(特許文献9)は、サイジングを有する炭素繊維を有する熱可塑性樹脂含浸テープを開示する。熱可塑性樹脂は、熱抵抗性熱可塑性樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂およびポリフェニレンスルフィド樹脂である。フィルム物品への熱可塑性樹脂の押出成形についての開示はない。
【0011】
(特許文献10)は、熱可塑性樹脂をフィルムへと押出成形するステップを含む熱可塑性複合ラミネートの製造プロセスを開示しており、このフィルムの少なくとも1つの表面には、熱可塑性樹指のフィラメントを含むフリースが添加され、このユニットを圧力下で圧延することができ、その結果、固有の強化が得られる。しかしながら、(特許文献10)は、特別な熱可塑性材料および繊維材料をポリマーサイジング剤で処理するステップを開示していない。さらに(特許文献10)は、熱可塑性繊維のみを開示しているが、炭素、ガラスまたは他の繊維を開示していない。
【0012】
(特許文献11)は、基体層と、接着層と、基体層上にラミネートされ、かつ接着層を通して基体層に結合される水素化コポリマー組成物層とを含む水素化コポリマー含有ラミネートを開示する。
【0013】
Demottらの名の下、(特許文献12)は、接着層によってポリマーまたはポリオレフィンフィルム層に結合される不織ニードルド層を含む層状織物複合製品を開示する。接着層は、不織ニードルド層をポリマーフィルム層に接着するために使用される。Weversらの名の下、(特許文献13)は、(A)布と、(B)重合形態でi)1種またはそれ以上のα−オレフィンモノマーおよびii)1種またはそれ以上のビニルまたはビニリデンモノマーを含み、かつiii)他の重合性エチレン系不飽和モノマーを含んでもよい実質的にランダムなインターポリマーを含むポリマー層とを含むが、層(B)が実質的な量の粘着付与剤を含まない多層構造を開示する。上記発明は、軟質弾性用途のための織布へのポリマー材料のコーティングを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0094427号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0160281号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0233364号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2012/0061013号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2012/0148803号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2012/0156376号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2012/0177927号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2013/0252059号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2013/143025号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第3822297号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第1623822号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2005/008813号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2005/106965号明細書
【発明の概要】
【0015】
当該技術においては、費用効果が高く、かつ迅速な連続製造を可能にし、かつ構造ユニット、例えば、自動車部品の強化のために適切な材料を製造する、熱可塑性複合ラミネートの新規製造プロセスが継続して必要とされている。
【0016】
したがって、本発明は、熱可塑性複合ラミネートを製造するための、そのようなロール−ツー−ロール連続製造方法を提供する。その主鎖構造中にソフトセグメントを有してもよい熱可塑性ポリウレタン樹脂は、吹込みフィルムまたはフラットダイプロセスによってフィルム物品へと押し出される。シランカップリング剤が熱可塑性フィルム中に添加されていてもよい。織布、繊維フリースまたは一方向性繊維であってよい繊維材料は、ポリマーベースのサイジングによって表面処理され、シランカップリング剤が添加されてもよい。
【0017】
サイジングは、マトリックス材料への繊維のより良好な接着を達成するために、繊維上に適用される。サイジングは、繊維とマトリックスとの間の接着促進剤としての役割を果たす。しかしながら、これを目指すためには、サイジングは対応するマトリックス系に合わされていなければならない。エポキシサイジング(シラン)を有する繊維は、熱可塑性物質での使用に限定される。熱可塑性ポリウレタンマトリックス材料に関して、ポリウレタン樹脂のコーティングを有する繊維(例えば、Toho Tenax 24k HTS−fiber F13)を使用することが賢明である。
【0018】
サイジングのための他のフィルム形成材料は、でんぷん誘導体、酢酸ビニルおよびアクリルエステルのポリマーおよびコポリマー、エポキシ樹脂エマルジョン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートおよびポリアミドであり得、これらは接着促進剤としてシランを含有してもよい。
【0019】
少なくとも1層の熱可塑性フィルムおよび少なくとも1層の表面処理された繊維材料は、熱可塑性フィルムの融点または軟化点より高い温度にて、ニップロールまたはニップベルトによって適用される圧力下で複合シートへとラミネートされる。上記したように実現される連続ロール−ツー−ロールのラミネート法は、繊維材料および熱可塑性樹脂フィルム材料のロールを使用して熱可塑性複合シートを製造することができる。
【0020】
得られる熱可塑性/繊維複合シートを使用して、短い成形サイクルでの熱成形によって部品を製造することができ、またこれはリサイクル可能である。これらの部品は、良好な耐薬品性、機械的特性を有し、かつ下塗りや他の表面調製を必要とせず塗装可能または印刷可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、プレス上のTPUおよび一方向性繊維の典型的な循環プロセスフローを示す。
図2図2は、TPUマトリックスでの炭素繊維の顕微鏡断面画像を示し、繊維は約41体積%である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のこれらのおよび他の利点および利益は、以下の本発明の詳細な説明から明白となるであろう。
【0023】
ここで、本発明を、限定の目的のためではなく、説明の目的のために記載する。操作例を除いて、あるいは他に示される場合を除いて、本明細書中の量、パーセンテージ、OH数、官能価などを表現する全ての数は、「約」という用語によって、全ての場合において修飾されているものとして理解されるべきである。ダルトン(Da)の単位で本明細書に示される当量および分子量は、他に示されない限り、それぞれ、数平均当量および数平均分子量である。
【0024】
本発明において熱可塑性複合シートのための支持体としての使用に適切な熱可塑性フィルムとしては、限定されないが、ポリエチレンテレフタレートグリコール変性(PETG)、TRITAN(商標)コポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(TPU)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリアクリロニトリル−co−ブタジエン−co−スチレン(ABS)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)ブレンドおよびポリスチレン(PS)が含まれる。難燃グレードおよび非難燃グレードの両方の熱可塑性フィルムが本発明における使用に適切である。本発明の実施形態において、ポリカーボネート(PC)またはポリカーボネートコポリマーが熱可塑性複合シート材料として使用される。本発明の別の実施形態において、ポリウレタン(TPU)が熱可塑性複合シート材料として使用される。
【0025】
熱可塑性フィルムは、好ましくは、本発明の複合ラミネート法のために、200℃より高い、十分に高い溶融流動性を有するであろう。好ましくは、ASTM D−1238に従って、210℃/300℃にて、および3.8kg/8.7kg下で試験された押出フィルムのメルト・フロー・インデックスは、2g/10分より高く、より好ましくは、5g/10分と60g/10分の間であり、最も好ましくは20g/10分から40g/10分である。
【0026】
また、フィルムは好ましくは非晶質であるか、あるいは非常に低い結晶性を有し、そして好ましくは、10K/分/20K/分の加熱速度にて、DIN EN ISO 11357−2に従い、示差走査熱量測定(DSC)によって決定されるガラス転移温度が、170℃未満であり、より好ましくは70〜160℃であり、ここで、Tg中点温度(正接法)の定義はDIN 51005に従うものであり、また、窒素が保護気体として決定される。上記プラスチックフィルムからできた連続繊維強化シート複合材が熱形成されると、ポリマー基材の非晶質な特徴は、最終部品の成形サイクル時間および反りを有意に減少させることができる。
【0027】
本発明において有用な熱可塑性フィルムの調製のために適切なポリカーボネート樹脂は、ホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートであり、両方とも線状樹脂又は枝分れ樹脂、及びその混合物である。
【0028】
ポリカーボネートは、好ましくは、10,000〜200,000、より好ましくは、20,000〜80,000の重量平均分子量(Mw、25℃で塩化メチレン中のゲル透過クロマトグラフィおよび基準としてポリカーボネート/ポリスチレンによって測定)を有し、そして、210℃/300℃でASTM D−1238によるメルトフローレートは、好ましくは、1〜65g/10分、より好ましくは、2〜35g/10分である。それらは、例えば、ホスゲンなどの炭酸誘導体およびジヒドロキシ化合物からの重縮合による既知の二相界面法によって調製され得る(独国特許出願公開第2,063,050号明細書、同第2,063,052号明細書、同第1,570,703号明細書、同第2,211,956号明細書、同第2,211,957号明細書および同第2,248,817号明細書、仏国特許第1,561,518号明細書、ならびにH.Schnellによる研究論文「Chemistry and Physics of Polycarbonates」,Interscience Publishers,New York,New York,1964年参照)。
【0029】
本明細書中、本発明のポリカーボネートの調製に適切なジヒドロキシ化合物は、以下の構造式(1)または(2)に従う。
【化1】
【0030】
式中、
Aは、1〜8個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜8個の炭素原子を有するアルキリデン基、5〜15個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、5〜15個の炭素原子を有するシクロアルキリデン基、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子、−SO−もしくは−SOまたは
【化2】
【0031】
に従う基を示し、
eおよびgは、両方とも0〜1の数を示し、
Zは、F、Cl、BrまたはC〜C−アルキルを示し、そして、いくつかのZ基が1つのアリール基中の置換基である場合、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよく、
dは、0〜4の整数を示し、そして
fは、0〜3の整数を示す。
【0032】
ジヒドロキシ化合物の中で本発明の実施に有用であるものは、ヒドロキノン、レソルシノール、ビス−(ヒドロキシフェニル)−アルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−エーテル、ビス−(ヒドロキシフェニル)−ケトン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホキシド、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルフィド、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホンおよびα,α−ビス−(ヒドロキシフェニル)−ジイソプロピルベンゼンならびにそれらの核アルキル化化合物である。これらのおよびさらなる適切な芳香族ジヒドロキシ化合物は、例えば、参照によって本明細書に内容が組み込まれる米国特許第5,401,826号明細書、同第5,105,004号明細書、同第5,126,428号明細書、同第5,109,076号明細書、同第5,104,723号明細書、同第5,086,157号明細書、同第3,028,356号明細書、同第2,999,835号明細書、同第3,148,172号明細書、同第2,991,273号明細書、同第3,271,367号明細書および同第2,999,846号明細書に記載されている。
【0033】
適切なビスフェノールのさらなる例は、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、α,α’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルフィド、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルホキシド、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルホン、ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2,4−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、α,α’−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピル−ベンゼンおよび4,4’−スルホニルジフェノールである。
【0034】
特に好ましい芳香族ビスフェノールの例は、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサンおよび1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンである。最も好ましいビスフェノールは、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)である。
【0035】
本発明のポリカーボネートは、1種またはそれ以上の適切なビスフェノールから誘導されたそれらの構造単位を含み得る。
【0036】
樹脂の中で本発明の実施に適切なものは、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第3,036,036号明細書および同第4,210,741号明細書に記載されるものなどのフェノールフタレインベースのポリカーボネート、コポリカーボネートおよびターポリカーボネートである。
【0037】
本発明のポリカーボネートは、さらに、その中に少量、例えば、(ビスフェノールに対して)0.05〜2.0モル%のポリヒドロキシル化合物を縮合することによって枝分れしてもよい。この種類のポリカーボネートは、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる独国特許出願公開第1,570,533号明細書、同第2,116,974号明細書および同第2,113,374号明細書、英国特許第885,442号明細書および同第1,079,821号明細書ならびに米国特許第3,544,514号明細書に記載されている。以下は、この目的のために使用されてよいポリヒドロキシル化合物の一部の例である:フロログルシノール;4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン;1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン;1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン;トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン;2,2−ビス−[4,4−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)]−シクロヘキシル−プロパン;2,4−ビス−(4−ヒドロキシ−1−イソプロピリジン)−フェノール;2,6−ビス−(2’−ジヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−4−メチル−フェノール;2,4−ジヒドロキシ安息香酸;2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシ−フェニル)−プロパンおよび1,4−ビス−(4,4’−ジヒドロキシトリフェニルメチル)−ベンゼン。他の多官能性化合物の一部には、2,4−ジヒドロキシ−安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌルおよび3,3−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールがある。
【0038】
上記重縮合プロセスに加えて、本発明のポリカーボネートの他の調製プロセスは、均一相における重縮合およびエステル交換である。これらの適切なプロセスは、参照によって本明細書中に組み込まれる米国特許第3,028,365号明細書、同第2,999,846号明細書、同第3,153,008号明細書および同第2,991,273号号明細書に開示されている。
【0039】
ポリカーボネートの好ましい調製プロセスは、界面重縮合法である。参照によって本明細書中に組み込まれる米国特許第3,912,688号明細書に開示されるものなどの、本発明のポリカーボネートの形成の他の合成方法が使用されてもよい。適切なポリカーボネート樹脂は、例えば、Bayer MaterialScience AG,Leverkusen,GermanyからMAKROLON(登録商標)の商標名で商業的に入手可能である。そのポリカーボネートは、熱可塑性ブレンドに存在しており、好ましくは、存在する熱可塑性芳香族ポリカーボネートと熱可塑性ポリウレタンの合わせた重量の50〜70重量%で存在する。
【0040】
脂肪族熱可塑性ポリウレタンは、本発明の方法において特に好ましく、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,518,389号明細書に従って調製されたものなどがある。
【0041】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーは当業者に周知である。それらは、高いグレードの機械的特性と、費用効果の高い熱可塑性物質の加工性という既知の利点とのそれらの組合せによって、商業的に重要である。機械的特性における広範なバリエーションが異なる化学合成成分の使用によって達成できる。熱可塑性ポリウレタン、それらの特性および応用についてのレビューが、Kunststoffe[Plastics]68(1978),819〜825ページおよびKautschuk,Gummi,Kunststoffe[Natural and Vulcanized Rubber and Plastics]35(1982),568〜584ページに示されている。
【0042】
熱可塑性ポリウレタンは、線状ポリオール、主にポリエステルジオールまたはポリエーテルジオール、有機ジイソシアネートおよび短鎖ジオール(連鎖延長剤)から合成される。成分の反応を促進するために、触媒を反応に加えてもよい。
【0043】
成分の相対量は、特性を調整するために、広範囲のモル比に亘って変えることができる。1:1〜1:12のポリオール対連鎖延長剤のモル比が報告されている。これらは、(DIN EN ISO 868およびDIN ISO 7619−1によって決定される)硬度値が80 Shore A〜85 Shore Dの範囲に及ぶ生成物をもたらす。
【0044】
熱可塑性ポリウレタンは、段階的に(プレポリマー法)または1ステップでの全成分の同時反応(1ショット)のいずれかによって製造することができる。前者の場合、ポリオールおよびジイソシアネートから形成されたプレポリマーが最初に形成され、次いで連鎖延長剤と反応する。熱可塑性ポリウレタンは連続的に、またはバッチで製造されてもよい。最もよく知られた工業生産プロセスは、いわゆるベルトプロセスおよび押出機プロセスである。
【0045】
適切なポリオールの例としては、二官能性ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールが含まれる。少量の三官能性ポリオールが使用されてもよいが、熱可塑性ポリウレタンの熱可塑性が実質的に影響を受けないままであることを確実にするように注意しなければならない。
【0046】
適切なポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、エタノールアミンなどの開始剤を使用して、ε−カプロラクトンを重合させることによって調製されるものが含まれる。さらなる適切な例は、ポリカルボン酸のエステル化によって調製されたものである。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族および/またはヘテロ環式であってよく、そして、それらは、例えば、ハロゲン原子によって置換されていてもよいし、及び/または不飽和であってもよい。以下が例として記載される:コハク酸;アジピン酸;スベリン酸;アゼライン酸;セバシン酸;フタル酸;イソフタル酸;トリメリト酸;フタル酸無水物;テトラヒドロフタル酸無水物;ヘキサヒドロフタル酸無水物;テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物;グルタル酸無水物;マレイン酸;マレイン酸無水物;フマル酸;単量体脂肪酸と混合されていてもよいオレイン酸などの二量体および三量体脂肪酸;ジメチルテレフタレートおよびビス−グリコールテレフタレート。適切な多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール;プロピレングリコール−(1,2)および(1,3);ブチレングリコール−(1,4)および(1,3);ヘキサンジオール−(1,6);オクタンジオール−(1,8);ネオペンチルグリコール;(1,4−ビス−ヒドロキシ−メチルシクロヘキサン);2−メチル−1,3−プロパンジオール;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール;トリエチレングリコール;テトラエチレングリコール;ポリエテレングリコール;ジプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコール、グリセリンおよびトリメチロールプロパンが含まれる。
【0047】
本発明において有用な熱可塑性ポリウレタンを製造するために適切なポリイソシアネートは、例えば、有機脂肪族ジイソシアネートである場合があり、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−および1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−2−イソシアナトメチルシクロペンタン、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタン、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−および1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチルシクロヘキシル)−メタン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および/または−1,4−キシリレンジイソシアネート、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネートおよびそれらの混合物が含まれる。
【0048】
62〜500の分子量を有する好ましい連鎖延長剤としては、例えば、エタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよび特には1,4−ブチレングリコールなどの2〜14個の炭素原子を含有する脂肪族ジオールが含まれる。しかしながら、テレフタル酸と、2〜4個の炭素原子を含有するグリコールとのジエステルも適切であり、例えば、テレフタル酸−ビス−エチレングリコールまたは−1,4−ブチレングリコール、あるいはヒドロキノンのヒドロキシアルキルエーテル、例えば、1,4−ジ−(β−ヒドロキシエチル)−ヒドロキノン、または(環式)脂肪族ジアミン、例えば、イソホロンジアミン、1,2−および1,3−プロピレンジアミン、Nメチル−プロピレンジアミン−1,3またはN,N’−ジメチル−エチレンジアミン、ならびに芳香族ジアミン、例えば、トルエン2,4−および2,6−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン2,4−および/または2,6−ジアミン、ならびに1級オルト−、ジ−、トリ−および/またはテトラアルキル置換4,4’−ジアミノジフェニルメタンである。上記連鎖延長剤の混合物も使用されてよい。62〜500の分子量を有するトリオール連鎖延長剤が使用されてもよい。さらに、習慣的な単官能性化合物も、例えば、連鎖停止剤または離型剤として少量で使用されてもよい。オクタノールおよびステアリルアルコールなどのアルコールまたはブチルアミンおよびステアリルアミンなどのアミンが例として述べられてよい。
【0049】
熱可塑性ポリウレタンを調製するために、合成成分は、任意には触媒、補助剤および/または添加剤の存在下、NCO基対NCOと反応する基、特に低分子量ジオール/トリオールおよびポリオールのOH基の合計の当量比が0.9:1.0〜1.2:1.0、好ましくは、0.95:1.0〜1.10:1.0であるような量で反応してもよい。
【0050】
適切な触媒としては、当該技術において既知の第3級アミン、例えば、トリエチルアミン、ジメチル−シクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N’−ジメチル−ピペラジン、2−(ジメチル−アミノエトキシ)−エタノール、ジアザビシクロ−(2,2,2)−オクタンなど、ならびに有機金属化合物、特に、例えば、チタン酸エステル、鉄化合物、スズ化合物、例えば、スズジアセテート、スズジオクトエート、スズジラウレートまたは脂肪族カルボン酸のジアルキルスズ塩、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートなどが含まれる。好ましい触媒は、有機金属化合物、特にチタン酸エステル、ならびに鉄および/またはスズ化合物である。
【0051】
二官能性連鎖延長剤に加えて、使用される二官能性連鎖延長剤のモルに基づき、約5モル%までの少量の三官能性または三官能性以上の連鎖延長剤も使用されてよい。
【0052】
問題の種類の三官能性または三官能性以上の連鎖延長剤は、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリトリトールおよびトリエタノールアミンである。
【0053】
適切な熱可塑性ポリウレタンは、Bayer MaterialScience AG,GermanyからTEXIN(登録商標)の商標名で、BASF SE,GermanyからELASTOLLAN(登録商標)の商標名で、ならびにLubrizol CorporationからESTANE(登録商標)ISOPLAST(登録商標)およびPELLETHANE(登録商標)の商標名で商業的に入手可能である。
【0054】
多くの異なる繊維またはストランドおよび組合せが本発明の実施において利用されてよく、限定されないが、3B the fiber glass company,Hoeilaart,Belgium、PPG Industries Ohio,Inc.USAおよびJohnson M Fiberglass,Inc.などの会社からのガラス、SGL Group The Carbon Company,Wiesbaden,Germany、Zoltech Corporation,St.Louis USA、Toho Tenax Europe GmbH,Wuppertal,Germanyなどからのロック、セラミック、炭素、またはcarboNXT GmbH,Wischhafen,Germanyなどの会社からの炭素フリース、グラファイト、ポリアミド、アラミド(NOMEX(登録商標)、KEVLAR(登録商標))、ウールならびに他の有機および無機材料のコットン繊維またはそれらの混合物が含まれる。銅およびアルミニウムなどの様々な金属繊維も、非金属繊維との様々な割合で利用されてよい。繊維は、複合材の体積の20%〜60%、より好ましくは35%〜60%、そして最も好ましくは45%〜55%になる。
【0055】
一方向性繊維は、本発明の意味で、例えば、12k、24k、50k(k=1000)から150〜250mmの幅、好ましくは170〜220mmの幅、最も好ましくは200mmまでの幅のサイズでそれらが延展することが可能であり、そして、ZoltechからPANEX(登録商標)35の商標名で、SGL GroupからSIGRAFIL(登録商標)Cの商標名で、またはToho TenaxからTenax(登録商標)の商標名で入手可能であるものである。
【0056】
少なくとも1層の熱可塑性フィルムおよび少なくとも1層の表面処理された繊維材料は複合シートへとラミネートされて、次いで、物品へと形成されてもよい。本発明の一実施形態において、繊維材料は、織布、一方向性繊維または繊維テープもしくは繊維フリースである。本発明の別の実施形態において、繊維材料は、一方向性繊維または繊維テープもしくは繊維フリースである。本発明の実施形態においては、いくつかの繊維材料が、例えば、互いの上に異なる層で組み合わせられてもよい。別の実施形態においては、一方向性線維が、それぞれの形成された物品の内側に組み込まれていてもよく、一方、織布が外側層に現れていてもよい。特に注目すべきは、Karl Mayer Malimo Textilmaschinenfabrik,Chemnitz,Germanyによる独国特許出願公開第102009056189A1号明細書、「Vorrichtung und Verfahren zum Erzeugen einer UD−Lage」、同第102009056197A1号明細書、「Verfahren und Vorrichtung zum Erzeugen einer UD−Lage」および同第102009043280A1号明細書、「Halbzeug and Halbzeugverbund」に記載される一方向性層を製造するプロセスおよび単繊維のわずかな延展、ならびにサイジングの選択である。
【0057】
繊維を、ポリマーマトリックスにおける単繊維の保持を強化するためのポリマーベースのサイジングによって有利に表面処理することができる。ポリマーサイジングは、繊維とマトリックス材料との間で接着促進剤として機能する。このため、ポリマーサイジングの性質は、それぞれの繊維および/またはマトリックス材料に順応しなければならない。ポリマーサイジング(シランサイジング)を含むエポキシドを有する繊維は、熱可塑性マトリックス材料のみでの限定的な用途が見出されている。接着促進ポリマーサイジングは、より良好な繊維/マトリックス接着および相互作用に大きく寄与することができる。熱可塑性ポリウレタンマトリックス原料が使用される場合、例えば、Toho Tenax 24k HTS−fiber F13などのポリウレタン樹脂から作られるポリマーサイジングを使用することが推奨される。他のフィルム形成ポリマーサイジングは、でんぷん誘導体、酢酸ビニルおよびアクリルエステルのポリマーおよびコポリマー、エポキシ樹脂のエマルジョン、飽和および不飽和ポリエステル、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、PVA、フェノール樹脂、メラミン樹脂およびそれらのそれぞれの混合物であり得、これらは追加的に接着促進剤としてシランを含んでもよい。
【0058】
本発明のラミネート法の実施形態において、ロール−ツー−ロールプロセス温度は、180〜230℃、好ましくは、185〜210℃、より好ましくは、190〜200℃である。ロールの速度は、8〜12m/分、好ましくは9〜11m/分、より好ましくは10m/分であってよい。
【0059】
ニップは、200〜400μm、好ましくは250〜350μm、より好ましくは300μmの値を有する。フィルムは、10〜100μm、好ましくは25〜75μm、より好ましくは50μmの厚さを有することができる。一方向性繊維ストリングは、200〜400μm、好ましくは250〜350μm、より好ましくは300μmの厚さを有し得、そして得られるテープ幅は150〜300mm、好ましくは200〜250mm、より好ましくは220mmの値を有する。その機械は、200〜1000mm、好ましくは500〜750mm、より好ましくは600mmの幅を有する。
【0060】
本発明の実施形態において、1つのフィルムおよび1つの一方向性繊維テープが一緒にラミネートされ、好ましい実施形態においては、2つのフィルムが、真ん中の一方向性繊維テープと一緒にラミネートされる。
【0061】
別の実施形態において、フィルム材料は、熱可塑性ポリウレタン、好ましくは、芳香族ポリウレタンである。少なくとも1つのフィルム、好ましくは2つのフィルムは50μmの厚さを有するが、一方向性繊維ストリングは、220mmの幅まで延展する300μmの厚さを有する。フィルムは、190〜200℃のロール−ツー−ロール温度において加工され、そしてロール速度は10m/分である。ニップは300μmの値を有する。
【0062】
次いで、得られた強化フィルムを、好ましくはウォータージェットによって切断し、次いでこれをさらに加工することができる。本発明の実施形態において、195〜230℃、好ましくは200〜215℃、より好ましくは210℃の温度および15〜30バール、好ましくは18〜25バール、より好ましくは20バールの圧力でプレスすることによって、有機シートが形成される。一実施形態において、210℃の温度で20バールの圧力が、一方向性繊維で強化された熱可塑性ポリウレタン、好ましくは芳香族ポリウレタンに適用される。
【0063】
驚くべきことに、強化ポリウレタンフィルムは、強化ポリアミドフィルムと比較して、同様またはより良好な機械的特性を示しながら、優れた表面特性およびかなり短い加工時間を有することが見出された。
【0064】
少なくとも1層の熱可塑性フィルムおよび少なくとも1層の表面処理された、織布、一方向性線維または繊維フリースであり得る繊維材料から作られた複合材料は、例えば、ルーフ、バンパー、ピラーなどの自動車、自転車、船舶あるいは航空機または宇宙船部門における構造強化材料として、あるいはハウジング、シートなどのそれぞれのインテリア用途でのハウジング部品として、あるいはチェーンソー、孔あけ機または穴あけ機、スクリュードライバーなどの携帯型または非携帯型機械用のハウジングとして、有利に適用可能である。
【0065】
ここで本発明を、図面および実施例に関連して、限定の目的ではなく説明の目的のために記載する。
【0066】
図1は、プレス上のTPUおよび一方向性繊維の典型的な循環プロセスフローを示す。
【0067】
図2は、TPUマトリックスでの炭素繊維の顕微鏡断面画像を示し、繊維は約41体積%である。
【0068】
フィルムによる熱可塑性複合材加工
少なくとも1層の熱可塑性フィルムおよび少なくとも1層の、織布または一方向性繊維またはフリースであり得る繊維材料は、それらの個々のロールから巻き戻され、そして加熱されたニップロールおよびニップベルトを備えたラミネーターに適合するようにガイドされる。ニップロールおよびベルトによって適用された圧力および熱の下、熱可塑性フィルム層は溶融し、そしてラミネート層がラミネーター内部を連続的に前方へ移動するにつれて繊維材料内部の全空隙を満たすように絞り出される。ラミネーターを出る時、ラミネートは冷却ロールを通すことによって熱可塑性フィルムの融点またはガラス転移温度未満まで冷却され、そして固まって剛性複合シートまたはテープとなる。さらなる形成および成形用途のために、得られた複合シートまたはテープをロールに巻き取る。
【0069】
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例において、以下の材料を使用した。
【0070】
[実施例1]
TPUフィルム、83のshore D値を有するDureflex(登録商標)X2311芳香族熱可塑性ポリウレタンフィルムおよびUD繊維を、Cetex Instituteによる特注の熱接着機においてラミネートした。ここで、繊維は、均一な厚さと150mm〜250mmの幅を有するテープに整えられた。ラミネーションは繊維を固定するために使用され、TPUフィルムマトリックスによって完全に繊維に含浸させることを意図するものではなかった。ラミネート後、さらなる加工のためにテープをロール上に巻き取った。含浸複合シート(有機シート)の製造のため、全ての側面において囲まれた、規定の高さを有するスチール製の長方形ツールを使用して、UDテープを付けた。そのツールを鋼板で閉じた。Dr.Collin社製のプレス、Type P300 P/Mにおいて、UDテープの加熱ならびに単層のプレスを行った。冷却後、完全に含浸した複合シートを取り出した。幾何学的な部品への熱成形をその後に行うことができる。プレスにおける典型的な循環プロセスフローを図1に示す。
【表1】
【0071】
次いで、シートをウォータージェット切断することができ、切断片を、引張応力、圧縮応力、衝撃抵抗または曲げ試験用の試料としても形成できる。試料は、UD繊維に対して0°、45°および90°で試験される。さらに、シートを熱形成または高圧形成することができる。
【0072】
実施例1に従って調製したUD繊維強化TPUに関して以下の特性を決定し、表2に記載した。
【表2】
【0073】
マクロ変位変換器を備えたZwick Z100材料試験機を使用して、DIN EN ISO 14125に従って、曲げ弾性率、曲げ強さおよび伸び率を決定し、そしてZwick Pendulum Z 25Jを使用して、DIN EN ISO 179に従って衝撃抵抗を決定した。
【0074】
より高い炭素繊維量を有するTPUフィルムは、より低い炭素繊維体積量を有するTPUフィルムよりも有意に高い機械的強度を示す。TPU−炭素繊維シートの強度が、同TPU−マトリックスを有するガラス繊維シートと比較して、明らかに優れていることも注目に値する。
【表3】
【0075】
驚くべきことに、強化TPUフィルム(本発明のフィルム)は、同様の強化がされた場合の強化ポリアミド(PA6)フィルムよりも良好な機械的特性を示す(表3)。本発明のフィルムは、加工および取り扱いが容易かつ迅速である。
【0076】
複合プレートの代わりに、個別のUDテープも幾何学的な三次元の構造で構造部材に形成することができる。
【0077】
熱可塑性複合材領域におけるTPUフィルムによる第1の試験後、以下の効果が観察された。
【0078】
・TPUマトリックスへのガラス繊維および炭素繊維の非常に良好な含浸挙動
・ほとんど全ての単一フィラメントがTPUマトリックスで囲まれる(複合ラミネートの顕微鏡断面像、図2も参照)
・良好な加工挙動
・複合材料の製造に非常に適切
驚くべきことに、TPUフィルムによって非常に良好な光学表面を製造することができ、そしてツールの表面が非常に良好にマップされるということが分かった。ツール上のマトリックス樹脂蓄積は、費用がかかる機械的洗浄を行わずに、非常に容易に除去される。離型剤の使用は必要とされない。
【0079】
本発明の方法によって製造された熱可塑性樹脂/繊維複合シートは、好ましくは、短い成形サイクルにおける熱成形によって部品を製造するために使用され得、そしてそれらはリサイクル可能である。これらの部品は、良好な耐薬品性、機械的特性を有し、かつ下塗または他の表面調製を必要とせず塗装可能または印刷可能である。
【0080】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下に示される番号付きの節において、そのあらゆる組み合わせで、示される。
【0081】
1.熱可塑性樹脂をフィルム物品へと押し出すことと、ポリマーサイジングによって繊維材料を表面処理することと、少なくとも1層の熱可塑性フィルムおよび少なくとも1層の表面処理された繊維材料を、該熱可塑性フィルムの融点または軟化点より高い温度にて、ニップロールまたはニップベルトによって適用される圧力下で複合シートへとラミネートすることとを含む、熱可塑性複合ラミネートを製造するためのロール−ツー−ロール連続製造方法であって、繊維材料が一方向性繊維、織布、繊維フリースまたはそれらの組合せである方法。
【0082】
2.熱可塑性フィルムにシランカップリング剤を添加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【0083】
3.ポリマーサイジングにシランカップリング剤を添加することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【0084】
4.押出が、吹込フィルムプロセスおよびフラットダイプロセスからなる群から選択されるものによる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
5.熱可塑性樹脂が、熱可塑性ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートグリコール変性コポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレンブレンドおよびポリスチレンからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
6.熱可塑性樹脂がポリウレタンである、請求項5に記載の方法。
【0087】
7.ポリウレタンが、その主鎖構造中にソフトセグメントを有し、50〜80 Shore Dの硬度を有する、請求項6に記載の方法。
【0088】
8.ポリウレタンが、その主鎖構造中にソフトセグメントを有さず、80 Shore Dより高い硬度を有する、請求項6に記載の方法。
【0089】
9.ポリマーサイジングが、ポリウレタン、エポキシ、フェノールおよびポリアクリレートベースの水または有機溶媒中分散体からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【0090】
10.ポリマーサイジングが、ポリウレタンの水中分散体である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【0091】
11.繊維が、ガラス、ロック、セラミック、炭素、グラファイト、ポリアミド、アラミド、ウールコットン、銅およびアルミニウムならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【0092】
12.請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法によって作られる熱可塑性複合ラミネート。
【0093】
13.請求項12に記載の熱可塑性ラミネートから作られる物品。
【0094】
14.自動車、自転車、船舶あるいは航空機または宇宙船部門における構造強化部品として、機械用ハウジング部品としての、請求項14に記載の物品の使用であって、繊維材料が一方向性繊維、織布、繊維フリースまたはそれらの組合せである使用。
【0095】
本発明の上記実施例は限定の目的ではなく、説明の目的で提供される。本明細書に記載される実施形態は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な様式で変更または修正され得ることは当業者に明白であろう。本発明の範囲は、添付の請求の範囲によって評価されるべきである。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2017年1月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂をフィルム物品へと押し出すことと、
ポリマーサイジングによって繊維材料を表面処理することと、
少なくとも1層の熱可塑性フィルムおよび少なくとも1層の表面処理された繊維材料を、該熱可塑性フィルムの融点または軟化点より高い温度にて、ニップロールまたはニップベルトによって適用される圧力下で複合シートへとラミネートすることと
を含む、熱可塑性複合ラミネートを製造するためのロール−ツー−ロール連続製造方法であって、前記繊維材料が一方向性繊維、織布、繊維フリースまたはそれらの組合せである方法。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂が、熱可塑性ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートグリコール変性コポリエステル、ポリカーボネート、ポリカーボネートコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレンブレンドおよびポリスチレンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂がポリウレタンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法によって作られる熱可塑性複合ラミネート。
【請求項5】
請求項4に記載の熱可塑性ラミネートから作られる物品。
【請求項6】
自動車、自転車、船舶あるいは航空機または宇宙船部門における構造強化部品として、機械用ハウジング部品としての、請求項5に記載の物品の使用であって、前記繊維材料が一方向性繊維、織布、繊維フリースまたはそれらの組合せである、使用。
【国際調査報告】