特表2017-515997(P2017-515997A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-515997帯鉄筋固定具、ワンタッチ締め付け式帯鉄筋及び帯鉄筋固定具により帯鉄筋が係合された鉄筋コンクリート部材
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-515997(P2017-515997A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(54)【発明の名称】帯鉄筋固定具、ワンタッチ締め付け式帯鉄筋及び帯鉄筋固定具により帯鉄筋が係合された鉄筋コンクリート部材
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/18 20060101AFI20170519BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20170519BHJP
【FI】
   E04C5/18 103
   E04G21/12 105E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-543733(P2016-543733)
(86)(22)【出願日】2016年3月22日
(85)【翻訳文提出日】2016年6月27日
(86)【国際出願番号】KR2016002866
(87)【国際公開番号】WO2016153257
(87)【国際公開日】20160929
(31)【優先権主張番号】10-2015-0040201
(32)【優先日】2015年3月23日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】516192361
【氏名又は名称】ジーエル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ユン,イン−グ
(72)【発明者】
【氏名】シム,ジェ−イル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,グン−ヒョク
【テーマコード(参考)】
2E164
【Fターム(参考)】
2E164AA02
2E164BA34
(57)【要約】
鉄筋コンクリート構造において、通常の帯鉄筋だけではなく、V字状の帯鉄筋やU字状の帯鉄筋などの特殊な形状の帯鉄筋を簡単な方法を用いて安定的に且つ強固に主筋に固定することのできる帯鉄筋固定具、ワンタッチ締め付け式帯鉄筋及び帯鉄筋固定具により帯鉄筋が係合された鉄筋コンクリート部材を提供すること。
垂直方向に配筋される主筋に前記主筋と垂直方向に係合されるV字状またはU字状の帯鉄筋を係合するための帯鉄筋固定具において、前記主筋の外周面を取り囲んで主筋に固定されるように上下が開放された筒状であって、前方の一方の側に主筋が嵌入するための嵌入部が上下に切り欠かれて形成される主筋固定部と、前記主筋固定部の上部の両側または下部の両側に係合されるものであり、V字状またはU字状の帯鉄筋が据え置かれる帯鉄筋据置き部と、を備えるが、前記帯鉄筋据置き部の外側の上端には、V字状またはU字状の帯鉄筋の上部に引っ掛かる係止部が配備されることを特徴とする帯鉄筋固定具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に配筋される主筋に前記主筋と垂直方向に係合されるV字状またはU字状の帯鉄筋を係合するための帯鉄筋固定具において、
前記主筋の外周面を取り囲んで主筋に固定されるように上下が開放された筒状であって、前方の一方の側に主筋が嵌入するための嵌入部が上下に切り欠かれて形成される主筋固定部と、
前記主筋固定部の上部の両側または下部の両側に係合されるものであり、V字状またはU字状の帯鉄筋が据え置かれる帯鉄筋据置き部と、
を備えるが、
前記帯鉄筋据置き部の外側の上端には、V字状またはU字状の帯鉄筋の上部に引っ掛かる係止部が配備されることを特徴とする帯鉄筋固定具。
【請求項2】
前記主筋固定部の上部の後方または下部の後方には、帯鉄筋据置き部がさらに配備されることを特徴とする請求項1に記載の帯鉄筋固定具。
【請求項3】
前記後方に配備される帯鉄筋据置き部は、側断面がC字状に形成されて開放された部分にV字状またはU字状の帯鉄筋の折曲げ部が嵌入することを特徴とする請求項2に記載の帯鉄筋固定具。
【請求項4】
前記主筋固定部の内周面には、波形突部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の帯鉄筋固定具。
【請求項5】
上下が開放された筒状であって、前方の一方の側が上下に切り欠かれて嵌入部が形成される補助主筋固定部が前記主筋固定部の上部に所定間隔離れるように配備され、前記主筋固定部及び補助主筋固定部は、連結部により互いに連結されることを特徴とする請求項1に記載の帯鉄筋固定具。
【請求項6】
前記帯鉄筋据置き部は、鋼材または合成樹脂材により作製されることを特徴とする請求項1に記載の帯鉄筋固定具。
【請求項7】
前記嵌入部の両端には、主筋の嵌入をガイドするガイド部が配備されることを特徴とする請求項1に記載の帯鉄筋固定具。
【請求項8】
V字状の帯鉄筋またはU字状の帯鉄筋と、
前記V字状の帯鉄筋またはU字状の帯鉄筋の折曲げ部に係合される請求項1乃至請求項7のうちのいずれか一項に記載の帯鉄筋固定具と、
を備えることを特徴とするワンタッチ締め付け式帯鉄筋。
【請求項9】
鉄筋コンクリート部材内に垂直方向に配筋される主筋と、
前記主筋と垂直方向に係合されるV字状またはU字状の帯鉄筋と、
前記V字状またはU字状の帯鉄筋を主筋に固定する請求項1乃至請求項7のうちのいずれか一項に記載の帯鉄筋固定具と、
を備えてなることを特徴とする帯鉄筋固定具により帯鉄筋が係合された鉄筋コンクリート部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート構造において、通常の帯鉄筋だけではなく、V字状の帯鉄筋やU字状の帯鉄筋などの特殊な形状の帯鉄筋を簡単な方法を用いて安定的に且つ強固に主筋に固定することのできる帯鉄筋固定具、ワンタッチ締め付け式帯鉄筋及び帯鉄筋固定具により帯鉄筋が係合された鉄筋コンクリート部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、柱、せん断壁、橋脚、橋台など各種の鉄筋コンクリート構造物の垂直部材は、主筋の周りに横方向に帯鉄筋を設ける。
【0003】
前記帯鉄筋は、主筋を固定し、座屈を防ぐとともに、鉛直荷重による主筋の横方向の変形を抑えるなどの役割を果たす。
【0004】
図1及び図2は、従来の通常の鉄筋コンクリート柱の鉄筋の配筋の詳細を示す平面図であり、図1においては、柱1の外部を取り囲む横方向の外部帯鉄筋12aとともに、相対向する主筋11を結束するように内部帯鉄筋12bが配筋され、図2においては、V字状の帯鉄筋12cがさらに配筋されている。
【0005】
しかしながら、通常の外部帯鉄筋12aは、結束線で主筋11に固定せねばならないが、端部に鉤が形成された結束具で作業者が一々結束作業を行うことを余儀なくされるが故に、作業が煩雑であるという欠点がある。
【0006】
また、図1に示す内部帯鉄筋12bは、端部が所定の角度で折り曲げられて主筋11を拘束するが、極限荷重に達したときに内部帯鉄筋12bの折り曲げられた標準鉤部分が係脱されて反りモーメントが低下する場合がある。さらに、主筋11を外部帯鉄筋12aに結束した後、内部帯鉄筋12bを設けるが故に、内部帯鉄筋12bが施工難いという欠点がある。
【0007】
さらに、図2に示すV字状の帯鉄筋12cやU字状の帯鉄筋12dは、図3に示すように、最大のモーメント強度が上がるというメリットがあるのに対し、帯鉄筋12c、12dの一方の側にのみ主筋11が係合されるが故に、主筋11に固定し難い。このため、図2に示すように、まず、柱1の内部を横切る内部帯鉄筋12bを設け、内部帯鉄筋12bにV字状の帯鉄筋12cやU字状の帯鉄筋12dを固定するという順序に従って施工を行うため施工が煩雑であるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】大韓民国登録実用新案第20−0168575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、鉄筋コンクリート構造において、通常の帯鉄筋だけではなく、V字状の帯鉄筋やU字状の帯鉄筋などの特殊な形状の帯鉄筋を簡単な方法を用いて安定的に且つ強固に主筋に固定することのできる帯鉄筋固定具、ワンタッチ締め付け式帯鉄筋及び帯鉄筋固定具により帯鉄筋が係合された鉄筋コンクリート部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
好適な実施形態による本発明は、垂直方向に配筋される主筋に前記主筋と垂直方向に係合されるV字状またはU字状の帯鉄筋を係合するための帯鉄筋固定具において、前記主筋の外周面を取り囲んで主筋に固定されるように上下が開放された筒状であって、前方の一方の側に主筋が嵌入するための嵌入部が上下に切り欠かれて形成される主筋固定部と、前記主筋固定部の上部の両側または下部の両側に係合されるものであり、V字状またはU字状の帯鉄筋が据え置かれる帯鉄筋据置き部と、を備えるが、前記帯鉄筋据置き部の外側の上端には、V字状またはU字状の帯鉄筋の上部に引っ掛かる係止部が配備されることを特徴とする帯鉄筋固定具を提供する。
【0011】
他の好適な実施形態による本発明は、前記主筋固定部の上部の後方または下部の後方には、帯鉄筋据置き部がさらに配備されることを特徴とする帯鉄筋固定具を提供する。
【0012】
他の好適な実施形態による本発明は、前記後方に配備される帯鉄筋据置き部は、側断面がC字状に形成されて開放された部分にV字状またはU字状の帯鉄筋の折曲げ部が嵌入することを特徴とする帯鉄筋固定具を提供する。
【0013】
他の好適な実施形態による本発明は、前記主筋固定部の内周面には、波形突部が形成されることを特徴とする帯鉄筋固定具を提供する。
【0014】
他の好適な実施形態による本発明は、上下が開放された筒状であって、前方の一方の側が上下に切り欠かれて嵌入部が形成される補助主筋固定部が前記主筋固定部の上部に所定間隔離れるように配備され、前記主筋固定部及び補助主筋固定部は、連結部により互いに連結されることを特徴とする帯鉄筋固定具を提供する。
【0015】
他の好適な実施形態による本発明は、前記帯鉄筋据置き部は、鋼材または合成樹脂材により作製されることを特徴とする帯鉄筋固定具を提供する。
【0016】
他の好適な実施形態による本発明は、前記嵌入部の両端には、主筋の嵌入をガイドするガイド部が配備されることを特徴とする帯鉄筋固定具を提供する。
【0017】
また、他の好適な実施形態による本発明は、V字状の帯鉄筋またはU字状の帯鉄筋と、前記V字状の帯鉄筋またはU字状の帯鉄筋の折曲げ部に係合される前記帯鉄筋固定具と、を備えることを特徴とするワンタッチ締め付け式帯鉄筋を提供する。
【0018】
さらに、好適な実施形態による本発明は、鉄筋コンクリート部材内に垂直方向に配筋される主筋と、前記主筋と垂直方向に係合されるV字状またはU字状の帯鉄筋と、前記V字状またはU字状の帯鉄筋を主筋に固定する前記帯鉄筋固定具と、を備えてなることを特徴とする帯鉄筋固定具により帯鉄筋が係合された鉄筋コンクリート部材を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、鉄筋コンクリート構造において、通常の帯鉄筋だけではなく、V字状の帯鉄筋やU字状の帯鉄筋などの特殊な形状の帯鉄筋を簡単な方法を用いて安定的に且つ強固に主筋に固定することができる。この理由から、帯鉄筋の配筋に際して施工性が向上するという効果がある。
【0020】
本発明によれば、V字状の帯鉄筋やU字状の帯鉄筋の折曲げ部に帯鉄筋固定具を予め係合する場合、主筋の外部から帯鉄筋をワンタッチで手軽に係着することができる。
【0021】
本発明によれば、V字状の帯鉄筋やU字状の帯鉄筋を主筋の外部から手軽に締め付けることにより、相対向する外部帯鉄筋を互いに結束するように部材の内部に配筋される内部帯鉄筋の過密が防がれる。なお、帯鉄筋の配筋構造を単純化させることにより、複雑な内部帯鉄筋の施工にかかる手間が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】通常の鉄筋コンクリート柱の鉄筋の配筋の詳細を示す平面図である。
図2】V字状の帯鉄筋を用いた鉄筋コンクリート柱の鉄筋の配筋の詳細を示す平面図である。。
図3】帯鉄筋の様々な配筋の詳細によるモーメント及び曲げ率間の関係を示すグラフである。
図4】筒状の本発明の帯鉄筋固定具を示す斜視図である。
図5図4の帯鉄筋固定具により主筋及び帯鉄筋が係合された状態を示す斜視図である。
図6】帯鉄筋据置き部に係止部が形成された本発明の帯鉄筋固定具の斜視図である。
図7】補助主筋固定部が形成された本発明の帯鉄筋固定具の斜視図である。
図8】本発明のワンタッチ締め付け式帯鉄筋を示す斜視図である。
図9】本発明の帯鉄筋固定具により帯鉄筋が係合された鉄筋コンクリート部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面及び好適な実施形態により本発明について詳細に説明する。
【0024】
図4は、筒状の本発明の帯鉄筋固定具を示す斜視図であり、図5は、図4の帯鉄筋固定具により主筋及び帯鉄筋が係合された状態を示す斜視図である。
【0025】
図4及び図5などから明らかなように、本発明の帯鉄筋固定具2は、垂直方向に配筋される主筋11に前記主筋11と垂直方向に係合されるV字状またはU字状の帯鉄筋12c、12dを係合するためのものであり、前記主筋11の外周面を取り囲んで主筋11に固定されるように上下が開放された筒状であって、前方の一方の側に主筋11が嵌入するための嵌入部211が上下に切り欠かれて形成される主筋固定部21と、前記主筋固定部21の上部の両側または下部の両側に係合されるものであり、V字状またはU字状の帯鉄筋12c、12dが据え置かれる帯鉄筋据置き部22”と、を備えるが、前記帯鉄筋据置き部22”の外側の上端には、V字状またはU字状の帯鉄筋12c、12dの上部に引っ掛かる係止部221が配備されることを特徴とする。
【0026】
本発明の帯鉄筋固定具2は、鉄筋コンクリート構造などにおいて、各種の垂直または水平部材の主筋11に係合される帯鉄筋を固定するためのものである。
【0027】
本発明の帯鉄筋固定具2は、主筋11に固定される主筋固定部21及びV字状またはU字状の帯鉄筋12c、12dが据え置かれる帯鉄筋据置き部22”を備える。
【0028】
前記主筋固定部21の一方の側の開放された嵌入部211に主筋11が嵌入するように帯鉄筋固定具2を主筋11に固定した後、V字状またはU字状の帯鉄筋12c、12dを帯鉄筋据置き部22”に係合して帯鉄筋の配設を終える。
【0029】
この場合、主筋11の外部から帯鉄筋を嵌め込み易いように前記嵌入部211は主筋固定部21の前方に形成する。
【0030】
また、弾性により主筋固定部21が拡開されて主筋11が嵌入するようにするととも、主筋11が主筋固定部21に嵌入した後に強固に固定されるように、前記嵌入部211の間隔は、主筋11の直径よりもやや小さめに形成することが好ましい。
【0031】
もちろん、まず、帯鉄筋を主筋11に位置させた後、帯鉄筋固定具2を主筋11及び帯鉄筋に同時に係合してもよい。
【0032】
前記帯鉄筋の端部に標準鉤が形成された場合や、V字状の帯鉄筋12cまたはU字状の帯鉄筋12dの場合には、帯鉄筋の折曲げ部が帯鉄筋固定具2により主筋11に係合されるように構成してもよい。
【0033】
図4及び図5から明らかなように、前記主筋固定部21は、上下が開放された筒状であって、前方の一方の側が上下に切り欠かれて嵌入部211が形成されるように構成される。
【0034】
これは、筒状の帯鉄筋固定具に対する実施形態を示すものであり、筒状の主筋固定部21が主筋11を取り囲むように係合される。
【0035】
前記筒状の主筋固定部21は、所定の面積以上の主筋11との面積が確保されるので、主筋11に強固に固定される。
【0036】
前記主筋固定部21の上部の後方または下部の後方には、帯鉄筋据置き部22’がさらに配設される。
【0037】
この場合、主筋固定部21の直ぐ隣に帯鉄筋12が固定される。また、3個所の帯鉄筋据置き部22’、22”において帯鉄筋を固定するので、帯鉄筋が下部に傾くことがない。
【0038】
図5の実施形態に開示されている帯鉄筋12は、V字状の帯鉄筋12cである。
【0039】
前記帯鉄筋据置き部22’、22”は、帯鉄筋が同じ平面に位置するように同じ平面の上に位置させる。
【0040】
特に、前記後方に配備される帯鉄筋据置き部22’は、側断面がC字状に形成されて開放された部分にV字状またはU字状の帯鉄筋12c、12dの折曲げ部が嵌入するように構成される。
【0041】
前記帯鉄筋据置き部22’は、帯鉄筋の上下において帯鉄筋を拘束するため、コンクリート打設圧やコンクリート上昇圧または作業者の接触などによる外力に対してV字状またはU字状の帯鉄筋12c、12dが傾かないように強固に支持する。
【0042】
前記帯鉄筋据置き部22’は、後方が開放されるように側断面をC字状に形成する。
【0043】
前記帯鉄筋据置き部22’、22”は、所定の弾性を有する鋼材または合成樹脂材により作製される。
【0044】
この場合、製作し易さ及び耐久性などの側面からみて、主筋固定部21も帯鉄筋据置き部22’、22”と同じ材質により形成することが好ましい。
【0045】
本発明においては、図示の実施形態について柱1を中心として説明したが、本発明はこれに何ら制限されるものではなく、ビームなど他の構造部材にも本発明が適用可能である。
【0046】
また、図示の実施形態について、V字状の帯鉄筋12cまたはU字状の帯鉄筋12dを中心として説明したが、主筋11の外部を取り囲む外部帯鉄筋12aまたは相対向する外部帯鉄筋12aを結束するように設けられる内部帯鉄筋12bなど通常の帯鉄筋にも本発明が適用可能である。
【0047】
図6は、帯鉄筋据置き部に係止部が形成された本発明の帯鉄筋固定具の斜視図である。図6に示すように、前記両側に配備される帯鉄筋据置き部22”の外側の上端には、V字状またはU字状の帯鉄筋12c、12dの上端に引っ掛かる係止部221が配備される。
【0048】
前記係止部221は、帯鉄筋据置き部22”の上端から延設されるものであり、帯鉄筋の上下において帯鉄筋を拘束する。このため、コンクリート打設圧やコンクリート上昇圧または作業者の接触などによる外力に対してV字状またはU字状の帯鉄筋12c、12dが傾かないように強固に支持する。
【0049】
前記主筋固定部21の内周面には、波形突部212が形成される。
【0050】
前記波形突部212は、主筋固定部21内において主筋11の位置を固定して帯鉄筋固定具2が外力により回転されることを防ぐ。
【0051】
前記嵌入部211の両端には、主筋11の嵌入をガイドするガイド部23が配備される。
【0052】
前記ガイド部23は、嵌入部211の両端から一体に延設されるものであり、主筋11に主筋固定部21が係合され易いように主筋11の根入をガイドする。
【0053】
図7は、補助主筋固定部が形成された本発明の帯鉄筋固定具の斜視図である。図7に示すように、本発明の帯鉄筋固定具2は、上下が開放された筒状であって、前方の一方の側が上下に切り欠かれて嵌入部241が形成される補助主筋固定部24が前記主筋固定部21の上部に所定間隔離れるように配備され、前記主筋固定部21及び補助主筋固定部24は、連結部により互いに連結されるように構成される。
【0054】
前記補助主筋固定部24は、主筋固定部21に加えて、主筋固定部21の上部において主筋11に係合されるので、主筋11をより一層強固に固定する。
【0055】
前記補助主筋固定部24の嵌入部241も、主筋固定部21の嵌入部211と同様に、主筋固定部21の前方に形成される。なお、嵌入部241の間隔は、主筋11の直径よりもやや小さめに形成することが好ましい。
【0056】
前記補助主筋固定部24が係合された帯鉄筋固定具2の場合にも、主筋固定部21の上部の両側及び後方にそれぞれ帯鉄筋据置き部22’、22”が配備され、後方に配備される帯鉄筋据置き部22’の側断面の形状をC字状にするか、或いは、両側に配備される帯鉄筋据置き部22”の上端に係止部221を配設するなどして外力などにより帯鉄筋が傾かないようにする。
【0057】
図8は、本発明のワンタッチ締め付け式帯鉄筋を示す斜視図である。図8に示すように、本発明のワンタッチ締め付け式帯鉄筋は、V字状の帯鉄筋12cまたはU字状の帯鉄筋12dと、前記V字状の帯鉄筋12cまたはU字状の帯鉄筋12dの折曲げ部に係合される前記帯鉄筋固定具2と、を備えることを特徴とする。
【0058】
前記ワンタッチ締め付け式帯鉄筋は、予め帯鉄筋固定具2にV字状の帯鉄筋12cまたはU字状の帯鉄筋12dを係合して現場に搬入可能である。
【0059】
このため、現場では、帯鉄筋固定具2をワンタッチで主筋11と係合させるという簡単な工程を用いて、V字状の帯鉄筋12cまたはU字状の帯鉄筋12dの固定を終えることができる。
【0060】
前記帯鉄筋固定具2は、前記筒状の帯鉄筋固定具である。
【0061】
図9は、本発明の帯鉄筋固定具により帯鉄筋が係合された鉄筋コンクリート部材を示す平面図である。図9の(a)及び(b)に示すように、本発明の帯鉄筋固定具により帯鉄筋が係合された鉄筋コンクリート部材は、鉄筋コンクリート部材内に垂直方向に配筋される主筋11と、前記主筋11と垂直方向に係合されるV字状またはU字状の帯鉄筋12c、12dと、前記V字状またはU字状の帯鉄筋12c、12dを主筋11に固定する前記帯鉄筋固定具2と、を備えてなることを特徴とする。
【0062】
従来には、V字状の帯鉄筋12cやU字状の帯鉄筋12dの両端を内部帯鉄筋12bに結束線で結束する過程が必要であったが、本発明の場合には、V字状の帯鉄筋12cやU字状の帯鉄筋12dが複数の帯鉄筋据置き部22”に据え置かれるので、V字状の帯鉄筋12cやU字状の帯鉄筋12dを支持する別途の帯鉄筋が不要である。
【0063】
このため、帯鉄筋の配筋構造を単純化させて施工性を向上させることができる。
【0064】
図9の(a)及び(b)から明らかなように、V字状の帯鉄筋12cやU字状の帯鉄筋12dは、主筋11の外側を取り囲みながら所定の定着長さを確保するように、両端部が部材の内側に所定の長さだけ突出する。
【0065】
隣り合うV字状の帯鉄筋12cやU字状の帯鉄筋12dは、互いに干渉しないように配置する。
【0066】
前記帯鉄筋固定具2は、筒状の帯鉄筋固定具である。
【符号の説明】
【0067】
1: 柱
11: 主筋
12: 帯鉄筋
12a: 外部帯鉄筋
12b: 内部帯鉄筋
12c: V字状の帯鉄筋
12d: U字状の帯鉄筋
2: 帯鉄筋固定具
21: 主筋固定部
211: 嵌入部
212: 波形突部
22’、22”:帯鉄筋据置き部
221: 係止部
23: ガイド部
24: 補助主筋固定部
241: 嵌入部
26: 連結部
C: コンクリート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9
図10
図11(a)】
図11(b)】
図12
図13
図14
図15(a)】
図15(b)】
【国際調査報告】