(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-516438(P2017-516438A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(54)【発明の名称】熱及び電気エネルギーを生成する方法及び当該方法を実施するための装置
(51)【国際特許分類】
H02N 3/00 20060101AFI20170519BHJP
F24J 3/00 20060101ALI20170519BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20170519BHJP
【FI】
H02N3/00 A
F24J3/00
H05H1/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-557126(P2016-557126)
(86)(22)【出願日】2015年3月26日
(85)【翻訳文提出日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】RU2015000177
(87)【国際公開番号】WO2015147703
(87)【国際公開日】20151001
(31)【優先権主張番号】2014111562
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】RU
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516270728
【氏名又は名称】リミテッド ライアビリティ カンパニー “ニュー インフロー”
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100103779
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 定雄
(72)【発明者】
【氏名】グリゴレンコ,アナトリー ヴラディミロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】シドレンコ,マクシム コンスタンティノヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】トルクノヴ,ボリス ニコラエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】クリモフ,アナトリー イヴァノヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】エヴスティグニーフ,ニコライ ミクハイロヴィチ
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA21
2G084BB01
2G084CC02
2G084CC03
2G084CC09
2G084CC32
2G084DD01
2G084DD23
2G084DD63
2G084FF11
(57)【要約】
本発明は、電力技術に関し、自立的な熱及び電気エネルギー源の生成に使用することがきる。熱エネルギーの発生効率を高め、同時に電気エネルギーを生成するという要求される技術的結果は、直列に設けられた陽極と陰極の間の高電圧放電の発生に基づく方法により達成され、前記放電は水素化物形成金属から形成され、前記陽極と陰極の間の軸に沿って前記陰極の方向へ向かって不活性ガスの渦巻き流を形成すると共に高温水蒸気を前記渦巻き流に噴射し、前記電極へ直流成分と無線周波数成分を有する複合電圧を供給することにより高圧電気放電が前記陽極と陰極の間に発生され、前記陰極は、高温蒸気の排出口のための開口を有するノズルの形態であり、電気エネルギーを取り出すための少なくとも1対の電極プローブが前記電極の間に設けられ、前記電極プローブの一方は前記渦巻き流の軸上に設けられ、他方は前記渦巻き流の周辺部に設けられる。
前記方法を実施するための装置は、内部の軸上に陽極と陰極が直列に設けられる水晶管を有し、前記陽極と前記陰極には電気エネルギー発生器が接続され、前記陰極は、水素化物形成金属から成り、前記水晶管の入口端部に設けられ、不活性ガスの渦巻き流を前記陽極と陰極の間の軸に沿って不活性ガスの渦巻き流を発生することのできる不活性ガスの渦巻き流発生装置を有し、電気エネルギーを取り出すことができ、一方が前記陽極と前記陰極の間の軸上に設けられ、他方が前記渦巻き流の周辺部に設けられる少なくとも1対の電極プローブを有し、前記陽極は、水蒸気噴射器の形態をなし、前記陰極は、高温蒸気の出口のための開口を有するノズルの形態をなし、前記陽極と前記陰極に接続され、直流成分と無線周波数成分を有する複合電圧を発生することのできる電気エネルギー発生器を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と水素化物形成金属で造られる陰極の間で高電圧電気放電を発生させて熱及び電気エネルギーを発生する方法であって、
不活性ガスの渦巻き流が前記陽極と前記陰極の間の軸に沿って前記陰極の方向に向かって形成されると共に前記渦巻き流内に高温水蒸気が噴射され、前記陽極と前記陰極との間で高圧電気放電が前記電極には直流成分と無線周波数成分を有する複合電圧を供給されることにより発生され、前記陰極は、高温蒸気の流出口を持つノズルの形態をなし、少なくとも1対の電気エネルギーを取り出すための電極プローブが前記電極間に設けられ、前記電極プローブの一つは前記渦巻き流の軸に沿って配置され、他の電極プローブは前記渦巻き流の周辺部に配置されている、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
内部に、電気エネルギー発生器が接続される陽極と陰極が軸上に直列に設けられる水晶管を含み、前記陰極は水素化物形成金属から形成される、請求項1記載の方法を実施するための装置であって、
前記水晶管の入口端部に設けられ、不活性ガスの渦巻き流を前記陽極と前記陰極の間の軸に沿って前記陰極の方向に向かう不活性ガスの渦巻き流を形成することができる渦巻き流形成器と;
一方は前記陰極と前記陽極の間の軸上に設けられ、他方は前記渦巻き流の周辺部に設けられる少なくとも1対の電気エネルギーを取り出すことのできる電極プローブを有し、
前記陽極は、水蒸気噴射器の形態をなし、前記陰極は、高温蒸気の流出口のための開口を有するノズルの形態をなし、
前記装置は、前記陽極と前記陰極に接続され、直流成分と無線周波数成分を持つ複合電圧を発生することのできる電気エネルギー発生器を有する、
ことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力技術に関し、熱及び電気エネルギーの自立的な源を生成するために使用することができ、この作動は、放電領域を通過する水蒸気がイオン化水素の主供給源と使用され、同じ放電における浸食性陰極がナノ−クラスター金属粒子の供給源として使用されるとき、作動ガス(不活性ガスと蒸気)の渦巻き流における、イオン化水素とナノ−クラスター金属粒子との反応に基づくものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1[RU 2448409, С2, Н03К 3/37, 20.04.2012]には、水素が、水素の流れ方向に直列に配置された陽極と陰極の少なくとも2つの電極を含む放電ユニットを通過させられ、放電流が生じるのに十分な電圧インパルスが陽極に供給され、電圧インパルスが陰極から取り出されて変換し、消費者に伝達され、前記電圧インパルスは35-45 kHzの周波数で供給され、陽極に供給される電圧インパルスは13-19 kVであり、放電流は平均電流が0.5-1.0Aでるように維持され、水素は前記放電ユニットを85-110 m/sの速度で陰極から陽極の方向に通過させられ、放電ユニットを通して流れる水素は放電ユニットの入口に戻されるようにした方法が開示されている。
【0003】
上記の方法の欠点は、得られる熱エネルギーが比較的低く、応用範囲が比較的狭く、電気エネルギーを同時に得ることが不可能となっている点である。
【0004】
技術的本質と得られる結果に関して、熱エネルギーを得る方法が、類似の方法として非特許文献1[Karabut A.b., Kucherov Y.R. Savvatimova I.B. Thermal Yield and Yield of Nuclear Reaction Products from Glow-Discharge Cathode in Deuterium, p. 124-131.−Materials of the 1st Russian Conference on Cold Fusion (Abrau-Dyurso, Novorossiysk, 28.09-02.10.1993). М.: MNTTs VENT, 1994]に記載され、この方法は、放電電流5-25 mA、放電電圧500-700 V、ガス圧5 Torrで、水素化物生成金属パラジウムで造られる陰極が一方の電極である電極間における高電圧電気放電による水素(重水素)の生成に基づくものである。
【0005】
熱の発生は、イオン化された水素と陰極材料により放射される浸食粒子(ナノ−クラスター)と反応の結果生じるもので、電極間に生じる高電圧電気放電のプラズマにおける水素(重水素)イオン化の熱エネルギーの発生と水素化パラジウムの生成を伴う。水冷却の電極ホルダーから取り出された熱量により算出された発生した熱(熱出力)は、300Wである。反応器(直径50 mm、長さ500 mmの石英管)の大きさ(体積)に関連する特定の熱出力は0.3 W/cm
3である。
【0006】
上記方法の技術的本質の欠点の1つは、熱エネルギーの生成効率が比較的に低く、応用例が狭く、電気エネルギーを同時に得ることが不可能となる条件である。
【0007】
方法に関する開示
本発明の方法の課題は、熱エネルギー生成効率の増加と、電気エネルギーの生成の可能性を与えることによる応用範囲を同時に広げることにある。
【0008】
必要とされる技術的結果は、熱エネルギー生成効率の増加と、電気エネルギーの生成の可能性を与えることによる応用範囲を同時に広げることにある。
【0009】
上記課題は解決され、要求される結果は、陽極と水化物生成金属により形成される陰極の間の高電圧電気放電に基づく方法において、本発明によれば、陽極と陰極の間で軸に沿って陰極の方向に向けて不活性ガスの渦巻き状流れを形成すると共に該流れに高温の蒸気を注入し、前記陽極と陰極の間の高電圧放電が、前記電極に複合電圧を供給することにより発生させられ、前記結合電圧は直流成分と無線周波数成分を有し、前記陰極は、高温蒸気を放出するための開口を有するノズルの形態を成し、電気エネルギーを取り出す少なくとも1対の電極プローブが前記電極管に設けられ、前記電極プローブの一方が前記渦巻き流の軸上に配置され、他方の電極プローブがその周囲に配置される、という事実により達成される。
【0010】
方法の新たに導入した事項と要求される技術的結果との間の原因−結果について、不活性ガスと高温蒸気の渦巻き流は、優れたイオン化水素の生成及び分離と、陰極が造られる材料により射出される(プロトタイプと比較して)著しく強力なクラスター金属粒子(陰極浸食の生成物)の形成するという事実によって説明される。その結果、直流成分及び交流成分を持つ電気放電により、イオン化水素の強力な流れが形成される。上記手段は、プロトタイプの方法に比較して、より高い効率の熱エネルギーの発生を生じる。上記の渦巻き流は、電気放電を安定化させ、プローブ電極対により、(蒸気から解離した)水素を軸上に集中させ、イオンを陽イオンと陰イオンに分離し 電力の抽出が行われるようにする。
【0011】
装置に関する先行技術
熱エネルギーを得る装置は既知である。
【0012】
特に、高電圧発生器は特許文献2[RU 2155443, S2, N03K 3/537, 27.08.2000]に記載されるように知られており、当該発生器は、各々がスパークギャップの形態のスイッチを含むn-カスケードを持つマルクス(Marx)発生器を含み、また、マルクス発生器の第1カスケードに接続されたチャージ源とチャージ源の作動を周期的に遅延させるための装置を持ち、同時に、第1カスケード内のスパークギャップの幅が、他のスイッチより狭くされ、スパークギャップの形態のスイッチは、加圧された水素ガスで満たされる一体化された放電管の中に配置され、チャージ源はキャパシターであり、チャージ源の動作の周期的遅延のための装置は、マルクス発生器の放電に応答する装置によって作動するようにしている。
【0013】
上記装置の欠点は、装置の作動を通じて得られる熱エネルギーの発生出力がやや低いことである。
【0014】
上記の提示されたものに対して技術的に近いものとして、非特許文献1[Karabut A.B., Kucherov Y.R. Savvatimova I.B. Thermal Yield and Yield of Nuclear Reaction Products from Glow-Discharge Cathode in Deuterium, p. 124-131.- Materials of the 1st Russian Conference on Cold Fusion (Abrau-Dyurso, Novorossiysk, 28.09-02.10.1993). М.: MNTTs VENT, 1994]に記載される装置があり、この装置は、水素ガスで満たされる水晶管とその内部に無線周波数発生器が接続される陽極と陰極と水冷却される電極ホルダーを有し、前記電極は一貫して1つの軸上に配置されると共に、陰極はパラジウムの水化物形成金属で造られるものである。
【0015】
熱の発生は、イオン化された水素と陰極材料により射出される浸食粒子(ナノ−クラスター)との反応の結果生じるものであり、水素化パラジウムの生成を伴い、電極間で生じる高電圧放電のプラズマ内における水素(重水素)イオン化の熱エネルギーの発生を伴う。生成された熱は水冷の電極ホルダーから取り出される。
【0016】
技術的本質が近い上記装置の欠点は、熱エネルギーの発生効率が比較的に低く、同時にに電気エネルギーを得ることが不可能という理由により機能的可能性が比較的狭いことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】RU 2448409, С2, Н03К 3/37, 20.04.2012
【特許文献2】RU 2155443, S2, N03K 3/537, 27.08.2000
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Karabut A.b., Kucherov Y.R. Savvatimova I.B. Thermal Yield and Yield of Nuclear Reaction Products from Glow-Discharge Cathode in Deuterium, p. 124-131.- Materials of the 1st Russian Conference on Cold Fusion (Abrau-Dyurso, Novorossiysk, 28.09-02.10.1993). М.: MNTTs VENT, 1994
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
装置の課題に関する開示
本願装置発明の課題は、熱エネルギー発生効率を増加させ、同時に発電の可能性を与えることである。
【0020】
要求される技術的結果は、熱エネルギー発生効率の増加と、同時に電気エネルギーの生成の可能性にある。
【0021】
上記課題は解決され、要求される技術的結果は、以下の装置によってよって達成される。
【0022】
当該装置は、内部に陽極と陰極が1つの軸に沿って連続して配置される水晶管を含み、発電機が前記陽極と陰極に接続して設けられ、前記陰極は、水素化物形成金属から成り、本発明によれば、不活性ガスの渦巻き流発生器が設けられ、該渦巻き流発生器は前記水晶管の入口に設けられ、陽極と陰極の間で前記軸に沿って前記陰極に向けて不活性ガスの渦巻き流を発生することを可能にするものであり、且つ、少なくとも1対の電気エネルギーを取り出すことを可能にする電極プローブを備え、一方の電極プローブは、前記陽極と前記陰極の間の前記軸上に配置され、他方の電極プローブは、前記渦巻き流の周辺部に配置され、前記陽極は、蒸気噴射器の形態をなし、前記陰極は、高温蒸気を放出するための開口を有するノズルの形態をなし、前記陽極と前記陰極に接続されている発電機が直流成分と無線周波数成分から成る複合電圧を発生することができるようにしている。
【0023】
新たに導入された装置の要素と要求される技術的結果との間の原因−効果の関係は、以下の事実、即ち、導入された手段(不活性ガスの渦巻き流発生器が設けられ、該渦巻き状流れ発生器は前記水晶管の入口に設けられ、陽極と陰極の間で前記軸に沿って前記陰極に向けて不活性ガスの渦巻き流を発生することを可能にするものであり、且つ、少なくとも1対の電気エネルギーを取り出すことを可能にする電極プローブを備え、一方の電極プローブは、前記陽極と前記陰極の間の前記軸上に配置され、他方の電極プローブは、前記渦巻き流の周辺部に配置され、前記陽極は、蒸気噴射器の形態をなし、前記陰極は、高温蒸気を放出するための開口を有するノズルの形態をなし、前記陽極と前記陰極に接続されている発電機が直流成分と無線周波数成分から成る複合電圧を発生することができるようにしているという手段)は、直流成分と交流成分を持つ電気放電の支援により、イオン化した水素の強力な流れを発生する、という事実により説明される。
【0024】
前記装置はプロトタイプの方法に比較してより高い熱エネルギーの生成効率を達成し、電気エネルギーの生成を可能にする。渦巻き流は、思いイオンと軽いイオン及び電子を分離し、且つ反応器の陽極及び陰極が設けられる渦巻き軸上に水素流を集中させる働きをする。
【0025】
これにより、最大の反応モードは、水素の軽いイオンの流れと陰極の材料から逃げる浸食性ナノ粒子によって与えられる。また、電力取り出しの可能性は、電力を取り出すための電極プローブの対によって与えられ、一方の電極プローブは陽極と陰極の間の軸上に配置され、他方の電極プローブは渦巻き流の周辺部に配置される。渦巻き流は電気放電を安定させ、(蒸気から解離した)水素を軸上に集中させ、これらの電極プローブ対により、電力をとり取り出すために、イオンを正と負に分離することを可能とする。
【0026】
方法に関する実施原理
提案された熱及び電気エネルギーを受けとる方法は、下記の通りである。
【0027】
熱及び電気エネルギーを受け取る方法は、不活性ガスと水蒸気の渦巻き流内におけるイオン化水素とナノ−クラスター金属粒子(金属浸食生成物)との反応に基づくものである。イオン化水素の主たる供給源として、反応器(例えば、水晶管)内において解離され、イオン化される渦巻き状に噴射される水蒸気が、非平衡パルスと周期的電気放電を使用することによって、使用される。同じ電気放電が、陰極の浸食によるナノサイズの金属クラスターの生成に使用される。渦巻き流は、重いイオンと軽いイオンを分離し、水素の流れを、陽極と陰極が配置される渦巻きの軸上に集中させる働きをする。これにより、軽い水素イオンの流れと陰極の材料から形成される浸食性ナノ−粒子との反応が最大の態様で与えられる。
【0028】
追加的な電力の生成は、反応器の出口ノズル(陰極が形成されている形状で高温蒸気を放出するための開口を持つノズル)からの高伝導度を伴う非均質のプラズマ流(水素イオン+高温イオン化浸食性ナノ粒子)により可能となる。渦巻き流は、電気放電を安定化させ、(水蒸気から解離した)水素を軸上に集中させ、電極プローブにより電力の取り出しを行うためにイオンを正イオンと負イオンに分離することを可能にする。重量による渦巻き流内のイオンの分離は、渦巻き流の軸上と周辺部における電位差の形態で示される電力の出現という結果をもたらす。電力の効率的な取り出しは、一方が軸上の陽極と陰極の間に配置され、他方が渦巻き流の周辺部に配置される一対の電極プローブにより達成される。
【0029】
上述の方法は、熱及び電気出力を生成するための提案された装置により実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
装置に関する実施原理
熱及び電力を生成するための実施例は図面に示されている。
【0032】
図は以下のものを示す。1−水晶管、例えば、直径が50 mm, 長さが500 mm、2−不活性ガスの渦巻き流の成形器、3−水蒸気の噴射器の形態をした陽極、4−高温水蒸気の出口の開口を備えるノズルの形状の陰極、5−発電機、6−電極プローブ対
例えば、直径50 mm、長さ500 mm で実施される水晶管1内の熱及び電気エネルギー発生器において、発電機5に接続されている陽極3と陰極4が直列に配置されている。陽極と陰極に接続される発電機5は、例えば、直流成分と高周波数成分を含む複合電圧を生成する可能な直流電流源(6 kV, 2.5A)を持つHF発電機の形態で実施される。
【0033】
更に、この熱及び電力発生の装置において、陰極4は水素化物生成金属で造られ、不活性ガスの渦巻き流生成器2が水晶管1の入口に設けられ、陽極3と陰極4の間の軸に沿って陰極の方向に不活性ガスの渦巻き流を形成可能とされ、電極プローブ6の組6が標準的な形態で設けられて電力のを取り出しを可能としている。(電極プローブ6は)最も効率的な電極の取り出しのために、一方は陽極3と陰極4の間で、渦巻き流の軸上に配置され、他方は、渦巻き流の周辺部に配置される。
【0034】
この熱及び電力の発生装置において、陽極3は水蒸気噴射装置の形態で実施され、例えば、蒸気発生器7に接続され、陰極4は、高温蒸気を放出するための開口を備えるノズル8の形態で実施され、陽極3及び陰極4に接続される高周波発電機5が、直流及び高周波成分を含む複合電圧を形成することを可能としている。(電力)発生器5のこのような作用は、ナノサイズの浸食性金属粒子(陰極4の浸食材料)の効率的な生成をもたらす、非平衡パルスと陽極3と陰極4の間で周期的な放電を生じさせる。
【0035】
装置の作動
上記の熱及び電力発生の方法を実施するための装置は、以下のように作動する。
【0036】
本装置の特定の実施例においては、水晶管1は、直径50 mm、長さ500 mmとされ、陽極は、スチールスタッドボルト上のモリブデン合金によって実施され、陰極4は、ロッキングコーンの形態−高温上記の流出口を持つノズル−で実施され、電力発生器は、6kV、2.5Aの電源で実施される。
【0037】
蒸気の分子は、電力発生器5に接続される、陽極3と陰極4の間での高圧合成電気放電により生成されるプラズマ内で解離しイオン化される。渦巻き流はイオンを重量により分離する。したがって、イオン化された水素の流れは渦巻き流の中心軸に沿って集中する。また、電気放電は、ナノサイズの浸食金属粒子(陰極4の浸食材料)の生成に使用される。反応炉(水晶管1)の作動チャンバー内においては、これらのナノクラスターとイオン化された水素の流れとの効果的な反応が生じる。その反応は金属水素化物を生成し、そこでは低エネルギーの核反応が行われることとなる。高伝導度を持つ強力に加熱された非均質のプラズマ流が出現する(Т
П~3000-4000К). このような高温の流れは、反応炉内のて高温ガスの熱と、一方が渦巻き流の周辺部に、他方が渦巻き流の軸に設けられる電極プローブの対によって電力を受け取るために使用される。
【0038】
上記の提案した方法と装置とこれに対応する既知の方法と装置を比較するために実験が行われた。
【0039】
既に述べたように、既知の方法を実施するための既知の装置においては、熱出力は300 Wに達し、これは、比熱出力(反応炉(直径50 mm、長さ500 mm)の大きさ(体積)に対する出力)は0.3 W/cm
3となる。
【0040】
これと同時に、本発明者によって提供されたユニットで行われた実験においては、初期圧力2 atm で3 kWまでの放電範囲で、熱出力が5 kWとなり、これは、比熱出力5.1 W/cm
3に相当する。
【0041】
上記の与えられたデータに見られるように、提案された熱及び電気エネルギー生成のための本方法及び本装置は、既知の方法及び装置と比較しして熱エネルギーの生成効率が増加している。それに加え、本方法の範囲と本装置の機能性は、電気エネルギーの生成が同時に可能となることにより拡大している。
【0042】
このように、熱エネルギー生成の効率は、本方法の新規な作動(即ち、電極間で陰極の方向に渦巻き蒸気流を形成;陰極は高温蒸気の流出口を備えるノズルの形態をした形状)によって実質的に増加しており、このことは、水蒸気が、電気エネルギーの同時の発生を伴う、陰極材料から形成される水素化浸食粒子(ナノ−クラスター)の強力な発生を生じさせることに基づくものである。
【0043】
更に、プロトタイプの装置において新たな技術手段(特に、水晶管の入口端部に、不活性ガスの渦巻き流を陽極と陰極の間の軸に沿って陰極の方向に向かう不活性ガスの渦巻き流を発生させることを可能とする渦巻き流の発生器が導入され;且つ、一方が陽極と陰極の間の軸上に設けられ、他方が渦巻き流の周辺部に設けられた電気エネルギーを取り出すことを可能とする少なくとも1対の電極プローブが設けられ、前記陽極は、蒸気噴射器の形態を成し、前記陰極は高温蒸気が流出するための開口を備える形態であり、前記陽極と前記陰極に接続され、DC成分と無線周波数成分を有する複合電圧を発生することができる電気エネルギー発生器を備える、という事実)を導入することにより、形成された蒸気の渦巻き流が陰極が造られる材料により生成される浸食粒子(ナノ−クラスター)の水素化物の強力な生成、及び電極プローブの手段により抽出される電力の同時生成を生じさせるため、熱エネルギー発生効率が著しく増加する。
【国際調査報告】