(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-516613(P2017-516613A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(54)【発明の名称】ランチボックス
(51)【国際特許分類】
A45C 11/20 20060101AFI20170526BHJP
【FI】
A45C11/20 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-513377(P2017-513377)
(86)(22)【出願日】2015年5月19日
(85)【翻訳文提出日】2016年12月16日
(86)【国際出願番号】IB2015053684
(87)【国際公開番号】WO2015177726
(87)【国際公開日】20151126
(31)【優先権主張番号】00773/14
(32)【優先日】2014年5月21日
(33)【優先権主張国】CH
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516347846
【氏名又は名称】ファイトロン・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Faitron AG
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・グラフ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・モジ
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045BA13
3B045CD01
3B045DA41
3B045EA02
3B045EB04
3B045FC04
3B045FC06
3B045LA10
3B045LB01
(57)【要約】
本発明は食品、特に、飲食用に用意された食品を保存、運搬および加熱するためのランチボックスに関する。このランチボックスは使い易くなければならない。このランチボックスは、上皿(1)および下皿(2)を含み、それらは長手側で互いに折り畳み可能に接続されており、その際、長手側に対向してロックが備えられている。下皿(2)には、周囲を取り囲み、L字形に曲がった縁を有する皿が配置されており、その皿には、熱的絶縁および加熱部材が割り当てられており、皿の周囲を取り囲む縁領域には、パッキングを収容するための溝が形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上皿(1)および下皿(2)を含み、それらが長手側で互いに折り畳み可能に接続されており、当該長手側に対向してロックが備えられている、食品、特に、飲食用に用意された食品を保存、運搬および加熱するためのランチボックスにおいて、
前記下皿(2)には、周囲を取り囲み、且つ、曲げられた縁領域を有する皿(11)を配置可能であり、当該下皿(2)には、熱的絶縁(14)および電気的加熱部材(15)が割り当てられており、前記皿(11)の周囲を取り囲む縁領域には、パッキング(12)を収容するための溝(23)が形成されており、前記上皿(1)および/または前記下皿(2)には、電源接続部(5)が備えられていることを特徴とするランチボックス。
【請求項2】
前記上皿(1)には、圧力調整部材(7)が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のランチボックス。
【請求項3】
前記熱的絶縁(14)および加熱部材(15)は、少なくとも前記皿(11)の底に拡がっており、好ましくは、当該皿(11)の側壁の少なくとも一部を取り囲んでいることを特徴とする請求項1または2に記載のランチボックス。
【請求項4】
前記上皿にも、熱的絶縁(14)および電気的加熱部材(15)備えられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のランチボックス。
【請求項5】
前記皿(11)の周囲を取り囲んでいる前記縁は、前記上皿(1)と前記下皿(2)との間の分離平面(22)の領域にあることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のランチボックス。
【請求項6】
前記上皿(1)および前記下皿(2)は、前記分離平面(22)において平坦であり、互いに重なり合っていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のランチボックス。
【請求項7】
前記上皿(1)および前記下皿(2)の周囲を取り囲んでいる縁領域(8)は、形状に対応しており、パッキング機能を実現するように形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のランチボックス。
【請求項8】
前記皿(11)は、L形に曲がっている縁領域を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のランチボックス。
【請求項9】
前記皿11および前記下皿2は、それらの形成および造形に関して、互いに調整されているか、あるいは互いに調和されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のランチボックス。
【請求項10】
前記電気的加熱部材(15)は、加熱フィルムを含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のランチボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品、特に、飲食用に用意された食品を保存、運搬および加熱するためのランチボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
外出中または職場で食べる食品を収容し、運搬するためのランチボックスが、何十年も前から使用されている。折り畳み式または取付け可能な蓋を有しており、主食用として大きな下部を有しているか、または、パン等用として、重なり合った、ほぼ同じ大きさの上部と下部とを含む、2つの部分からなる金属製または合成樹脂製の箱が知られている。
【0003】
小売業においては、通常は1または2つの部分からなり、通常は発泡材からなる使い捨て容器が、果物、野菜またはインスタント食品を、飲食用として用意された一人前用として提供するために使用されている。
【0004】
DE 202013010997 U1では、上皿を開けたときに、物が転がり落ちないように形成された、折り畳み式容器が知られている。この折り畳み式容器は、上皿と下皿とから構成され、それらは長手側で互いに折り畳み可能に結合されている。長手側に対向して、係止ロックが備えられている。上皿には上内部蓋が、下皿には、下内部蓋が取付けられているので、互いから完全に、そして互いから独立して両者の内容量に蓋をすることができる。内部蓋の折り目に対向する側には、蓋のロックが、係止端の形で、それぞれ上皿および下皿に備えられている。
【0005】
食品を収容するための、合成樹脂製の他のランチボックスが、DE 10157494 B4に開示されている。このランチボックスは、側壁、底部および成形された蓋から構成されている。容器の下面には、追加蓋で閉めることの可能な追加空間が配置されている。蓋および追加蓋は、フィルムヒンジを介して容器に結合されている。
【0006】
EP 0412159 B1によれば、食品を収容するための蓋付きの他の容器は、発熱性の加熱部材を含んでいる。この容器は、被加熱材料用としての上内部容器と、その下に存在し水および発熱材を含有する下内部容器とを含み、その際、この下内部容器には、蓋が備えられている。この容器はさらに、発熱材を水と接触させるために、外部から操作可能な装置を含んでいる。下内部容器の蓋は、蒸気を通過させるが、発熱材を通過させない。
【0007】
水および発熱材は袋に分けて入れられており、それらを別々に破って開けることができる。
【0008】
このような解決策は費用がかかり、固定した作動のみに適している。
【発明の概要】
【0009】
持ち運び可能であり、加熱可能なランチボックスが同様に知られている。このランチボックスは、上皿および下皿を含んでおり、それらは長手側で互いに折り畳み可能に結合されており、長手側に対向して、ロックが備えられている。下皿には、被せることの可能な蓋によって蓋をすることのできる内部容器を嵌め込むことができる。上皿には、食器セット用に凹みが形成されている。下皿には、加熱部材用の電源接続部が、下皿の発泡材からなる絶縁層に備えられている。内部容器に入っている食品の加熱可能性は制限されており、あるいは加熱には時間がかかる。
【0010】
従って、本発明の課題は、従来技術の欠点を克服し、使い易いランチボックスを提供することである。
【0011】
本発明によれば、上記課題は、請求項1の特徴を有するランチボックスによって解決される。
【0012】
本発明の好ましい形態は、従属請求項に開示されている。
【0013】
本発明に係るランチボックスは、食品、特に、飲食用に用意された食品を保存、運搬および加熱するために適している。このランチボックスは、融通の利く使用が可能である。
本発明を、以下の実施例において、図面に基づいて詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るランチボックス30(
図1、2)は、上皿1および下皿2を含み、それぞれ合成樹脂および/または金属、例えばポリプロピレン(PP)からなり、その際、上皿1は、蓋として機能し、上皿1は、基本的には下皿2よりも平坦である。上皿1および下皿2は、長手側において、成形されたフィルムヒンジ3によって互いに折り畳み可能に結合されており、その際、フィルムヒンジ3の代わりに、上皿および下皿に固定される回転継手ヒンジ等も可能である。
【0016】
上皿1は、回転継手ヒンジによって、フィルムヒンジに対してパタンと開くことができ、フィルムヒンジよりも簡単に交換することができる。
【0017】
フィルムヒンジ3に対向する長手側には、係止ロック4(またはスナップロック)が備えられている。
【0018】
上皿1および下皿2は、分離平面において平坦であり、上皿1の突出部21によって、重なり合っている。
【0019】
下皿2の高さは、例えば、上皿1の高さの数倍、少なくとも1.5倍である。
【0020】
下皿2の長壁には電源接続部5が備えられており、その際、それは、通常のプラグの形として形成されていてもよく、USBプラグの形として形成されていてもよい。その代わりとして、またはそれに加えて、そのような電源接続部5は、上皿1に備えられていてもよい。
【0021】
下皿2の長壁には、さらに、状況表示器(ヒーター)としてのLED6と、スタートボタンとが配置されている。上皿1には、詳細には説明しない圧力調整部材7が取付けられている。
【0022】
上皿1および下皿2の周りを取り囲んでいる縁領域8(
図3)は、形状に対応して形成されることによって、パッキングとして機能するか、あるいはパッキング部材9を収容することができる。このパッキング部材は、下皿2の縁近くの溝10に挿着されている。
【0023】
さらに、被加熱食材を収容するための皿11は、ランチボックスの一部品である。
【0024】
皿11は、例えば、厚さ0.5mmのアルミニウム材料から形成されており、下皿2に配置されている。皿11は、周囲を取り囲むように成形され、且つ、L字形に曲げられた縁領域を有している。
【0025】
皿11は、縁領域のより小さな辺24によって、下皿2の溝10に引っ掛けられている。皿11の周りを取り囲んでいる縁領域の、より長い水平の辺には、同様に溝23が形成されており、その中に、パッキング12、例えば、Oリングが挿着されている。上皿1を閉じる際には、二重ブリッジ13をパッキング12に対して軽く押し付け(
図4)、それと皿11の縁領域とを固定することによって、分離平面22におけるランチボックス30の密閉が生じる。
【0026】
さらに、下皿2における係止突出部16、18および/またはクリック接続部によって、皿11の位置を固定することができる。このために、下皿は、壁近くに、互いから離れた柱19を少なくとも2つ有しており、それらは上端に係止突出部18を備えている(
図4、5)。
【0027】
柱19の上に係止突出部を有する係止部材を被せてもよいが、その場合、本実施形態では、柱19は係止突出部18なしに形成される。
【0028】
係止部材の係止突出部18を、皿11に成形された係止突出部16に対して押し付けることで、皿11の位置は固定されている。
【0029】
掃除または他の目的のために、皿11を下皿2から容易に取り出すことができる。
【0030】
上記の固定方法に代えて、接着接続等による皿11の配置も可能である。その際、パッキング部材9はなくてもよい。
【0031】
皿11および下皿2は、それらの形成および造形に関して、例えば係止突出部16および皿11の形に対応した対応部材によって互いに調整されているか、あるいは互いに調和されている。これにより、細部まで異なるようにして形成された皿11を使用することができる、あるいは、それを下皿2に嵌め込むことができる。
【0032】
使用される皿形を予め決定するために、下皿2の底部領域において、例えば、隆起部25、係止部材、またはガイドレールを備えてもよい。隆起部25に対して正確に適合する形によって、皿11の位置は維持され、逆向きに嵌め込まれることはない(安全機構)。隆起部25は、皿11が常に正しく嵌め込まれることを保証するために、皿11の容易な交換にも同時に寄与している。
【0033】
他の安全部材として、スパン状態にある位置付係止部20、位置付ゴア、または類似のものを下皿2の縁領域に取り付けてもよく、それらは、皿11の位置を維持する。それらは、場合によっては、下皿2の側面領域にも他のガイドレールを備えることを可能とする。
【0034】
下皿の内壁と皿11との間には、例えば、PURインテグラル発泡材からなる熱的絶縁14が備えられており、その際、それと皿11との間には、さらに、加熱フィルムを有する加熱部材15が取り付けられている。しかしながら、熱的絶縁14は、Keraguss Sモールド部品、エアロゲルモールド部品、またはEPSモールド部品から形成されていてもよい。
【0035】
絶縁14および加熱フィルム15は皿11の底領域を覆っていてもよいが(
図5)、さらに皿11の側壁は、少なくとも係止突出部16までを囲むか、包囲することが好ましい(
図4)。
【0036】
さらに、上皿1の内側には、そのような絶縁14および加熱部材15が備え付けられていてもよい。
【0037】
図示しないケーブル接続によって、電源接続部5と制御電子機器17との接続、および加熱部材15への接続が生じる。
【0038】
制御電子機器17は平坦な基板上に配置されており、下皿2の内壁に場所を取らないようにして差し込まれている(
図5)。制御電子機器17は、電子制御器、安全切替部、負荷スイッチ、および電源アダプタを含んでいる。前記電子制御器は、少なくとも温度センサ、加熱スイッチ、開始停止スイッチ、およびLED6用の開口を含んでいなければならない。
【0039】
電子制御器は、様々な加熱モード、例えば、上方加熱および/または下方加熱を許容してもよい。
【0040】
加熱部材15は、それ自体が周知の方法によって金属製の加熱フィルムから成り立っており、その金属製の加熱フィルムは、電気的絶縁のために2つのシリコン層の間に埋め込まれている。しかしながら、例えば、カプトン加熱フィルム、ポリエステル加熱フィルム、または接触加熱部材を使用してもよい。電力供給は、通常の許容差を含めると、5Vから240Vまでを含んでもよい。例えば、DC5Vまたは12Vの場合には、特別な安全措置を取る必要がない。したがって、DC230Vで実施する場合には、皿11をアースするか、上述した二重電気絶縁を取り付ける必要がある。
【0041】
接続バリエーションを選定する際には、許容電流、温度、および洗剤に対する耐性に注意しなければならない。
【0043】
必要な場合には、約140°Cまで食品を加熱できるように、加熱フィルム15の加熱出力は、少なくとも20〜150Wでなければならない。食品によっては、より小さい、またはより大きな加熱出力が許容されることもあり、その際、その値は、加熱部材が下皿2の中のみに備えられているか、または、上皿1にも備えられているかによって左右される。上皿1に加熱部材を配置する場合、加熱出力は、通常は、下皿2に加熱部材を配置する場合と比べて小さい。
【0044】
食品を加熱するために、ランチボックスを電源に接続し、スタートボタン、すなわちLED6を押す。LED6は、制御電子機器17で予め設定された時間の間、光ることによって加熱過程を合図する。加熱時間が終了後、制御電子機器は加熱フィルムのスイッチを切断し、LED6の光は消える。他の運転モードをプログラム化してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 上皿
2 下皿
3 フィルムヒンジ
4 係止ロック
5 電源接続部
6 LED
7 圧力調整部材
8 縁領域
9 パッキング部材
10 溝
11 皿
12 パッキング
13 二重ブリッジ
14 絶縁
15 加熱部材
16 係止突出部
17 制御電子機器
18 係止突出部
19 柱
20 位置付係止部
21 突出部
22 分離平面
23 溝
24 辺
25 隆起部
30 ランチボックス
【国際調査報告】