特表2017-516799(P2017-516799A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-516799(P2017-516799A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(54)【発明の名称】医薬用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20170526BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20170526BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20170526BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20170526BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20170526BHJP
【FI】
   A61K45/00
   A61K31/53
   A61P17/02
   A61P37/06
   C07D487/04 140
   C07D487/04CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2016-569770(P2016-569770)
(86)(22)【出願日】2015年5月21日
(85)【翻訳文提出日】2017年1月13日
(86)【国際出願番号】EP2015061308
(87)【国際公開番号】WO2015181053
(87)【国際公開日】20151203
(31)【優先権主張番号】14382192.4
(32)【優先日】2014年5月27日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】14382400.1
(32)【優先日】2014年10月17日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】14382401.9
(32)【優先日】2014年10月17日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】598032139
【氏名又は名称】アルミラル・ソシエダッド・アノニマ
【氏名又は名称原語表記】Almirall, S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ヌリア・ゴデッサルト・マリナ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティナ・バラゲ・ペラエス
【テーマコード(参考)】
4C050
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB04
4C050CC07
4C050EE03
4C050FF02
4C050GG03
4C050HH04
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA892
4C084ZB082
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZB08
(57)【要約】
本発明は、ホスホイノシチド3キナーゼデルタの阻害剤である、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を経口投与により治療するのに用いるための化合物、あるいはその医薬的に許容される塩および/または溶媒和物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスホイノシチド3キナーゼデルタの阻害剤である、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を経口投与により治療するのに用いるための化合物、あるいはその医薬的に許容される塩および/または溶媒和物。
【請求項2】
免疫水疱性皮膚疾患が抗Dsg自己抗体により仲介される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患が、尋常性天疱瘡、増殖性天疱瘡、落葉状天疱瘡、地方病性落葉状天疱瘡、細胞間IgA皮膚症、腫瘍随伴性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、妊娠性類天疱瘡、線状IgA病、後天性表皮水疱症、水疱性全身性エリテマトーデスおよび疱疹状皮膚炎から選ばれる、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患が尋常性天疱瘡である、前請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
LAS191954、イデラリシブ、デュベリシブ、エンザスタウリン、リゴサチブ、ブパルリシブ、タセリシブ、ダクトリシブ、コパンリシブ、ピクトレリシブ、アピトリシブ、ソノリシブ、ボクスタリシブ、ZSTK−474、GSK−2269557、UCB−5857、RV−1729、RP−6530、オミパリシブ、SB−2343、WX−037、CAL−120、PWT−33597、CUDC−907、AMG−319、プクイチニブ、ピララリシブ、RP−5264、GDC−0084(またはGDC−7666)、LY−3023414、PQR−309、DS−7423、XL−499、KAR−4141、RP−5090、PWT−143、IPI−443、RP−6503、ONO−146040、SPR−965、LOR−220、SF−2626、X−339、X−480、PQR−401、INCB−050465、LS−008、CLR−457、PCN−5603、7−ヒドロキシスタウロスポリン、PF−04691502、TG−100115、BGT−226、SF−1126、PKI−179、パヌリシブ、あるいはその医薬的に許容される塩および/または溶媒和物から選ばれる、前請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
LAS191954あるいはその医薬的に許容される塩および/または溶媒和物である、前請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
LAS191954と、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸およびパラトルエンスルホン酸から選ばれるスルホン酸誘導体との医薬的に許容される結晶性付加塩またはその医薬的に許容される溶媒和物である、前請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
LAS191954 メタンスルホネートまたはその医薬的に許容される溶媒和物である、前請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
LAS191954 ナフタレン−2−スルホネートまたはその医薬的に許容される溶媒和物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
LAS191954 パラトルエンスルホネートまたはその医薬的に許容される溶媒和物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
化合物がLAS191954あるいはその医薬的に許容される塩および/または溶媒和物であり、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患が尋常性天疱瘡である、前請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
前請求項のいずれか一項に記載の化合物であって、治療的有効量の、
a)メトトレキセートまたはCH−1504のようなジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤;
b)イムラン(アザチオプリン)、シクロホスファミド、シロリムスまたはプリントール(6−メルカプトプリンまたは6−MP)のような免疫抑制剤;
c)プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フルチカゾン、デキサメサゾン、モメタゾン、ブデソニド、シクレソニドまたはベタメサゾンのようなコルチコイドおよびグルココルチコイド;
d)インフリキシマブ、アダリムマブまたはセルトリズマブペゴールのような抗腫瘍壊死因子アルファ(抗TNF−アルファ)モノクローナル抗体;
e)エタネルセプトのような可溶性腫瘍壊死因子アルファ(TNF−アルファ)アンタゴニスト;
f)リツキシマブ、オクレリズマブ、オファツムマブまたはTRU−015のような抗CD20(リンパ球タンパク質)モノクローナル抗体
g)ベリムマブ、タバルマブまたはブリシビモドのような抗BAFF/BlyS
h)アタシセプトのような抗TACI
i)VAY736のような抗BAFF受容体
j)MEDI−551のような抗CD19
k)AMG−557のような抗ICOSL
l)抗FasLモノクローナル抗体
m)イブルチニブのようなBtk阻害剤
n)シクロスポリンA、ピメクロリムスまたはタクロリムスのようなカルシニューリン阻害剤;
o)ミコフェノール酸モフェチル、リバビリン、ミゾリビンまたはミコフェノール酸のようなイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)阻害剤;
p)メタサイクリン、ドキシサイクリンまたはミノサイクリンのようなテトラサイクリン;および
q)ダプソンのようなジヒドロプテロイン酸シンターゼ阻害剤;
から成る群から選ばれる1つ以上の他の治療剤とともに投与される化合物。
【請求項13】
請求項1〜4および11のいずれかに定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を経口投与により治療するのに用いるための医薬組成物であって、請求項1および5〜11のいずれかに定義される化合物および医薬的に許容される担体を含む組成物。
【請求項14】
請求項1〜4および11のいずれかに定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を経口投与により治療するための薬剤を製造するための、請求項1および5〜11のいずれかに定義される化合物の使用。
【請求項15】
請求項1〜4および11のいずれかに定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、請求項1および5〜11のいずれかに定義される有効量の化合物を経口投与することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホイノシチド3キナーゼデルタ(PI3Kデルタ)阻害剤の新規な医薬用途を対象にしている。具体的には、本発明は、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患、特に尋常性天疱瘡の治療において、そのような阻害剤を経口投与により使用することを対象にしている。
【背景技術】
【0002】
自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患(自己免疫性水疱症またはAIBDとしても知られている)は、表皮または真皮表皮接合部の接着タンパク質を攻撃するIgG(または頻度は低いもののIgA)自己抗体を特徴とするまれな皮膚障害の一群である。これらの障害は、水疱並びに皮膚および/または粘膜のびらんとして現れる。これらの障害は、子どもを含むあらゆる年齢の個体に影響を及ぼし得る。ドイツでは、AIBDの新たな症例は年間2000件、全体の有病率は約12,000症例と推定されている。関連疾患である後天性表皮水疱症(EBA)および類天疱瘡障害の発症率はそれぞれ、約1および25新規症例 年/住民100万人である(Schmidt E, Zillikens D. Dermatol Clin 2011; 29:663-71; Joly P. J Inv Derm 2012; 132: 1998-04; Bertram F. J. Dtsch Derm Ges 2009;7: 434-9.)。
【0003】
自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患は当該技術分野において周知であり、尋常性天疱瘡、増殖性天疱瘡、落葉状天疱瘡、地方病性落葉状天疱瘡、細胞間IgA皮膚症、腫瘍随伴性天疱瘡のような表皮内免疫水疱性疾患;並びに水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、妊娠性類天疱瘡、線状IgA病、後天性表皮水疱症、水疱性全身性エリテマトーデスおよび疱疹状皮膚炎のような表皮下免疫水疱性疾患が挙げられる。
【0004】
天疱瘡は、自己抗体により仲介される慢性の免疫水疱性皮膚疾患であり、皮膚および粘膜上に痛みを伴う水疱を引き起こす。天疱瘡には、2つの主なタイプ、すなわち尋常性天疱瘡(PV)および落葉状天疱瘡があり、いずれも潜在的に致死性である。PVはEUにおいて最も一般的な形態の天疱瘡であり、全症例の70〜80%を占める(Schmidt E, Zillikens D. Dermatol Clin 2011; 29:663-71; Joly P. J Inv Derm 2012; 132: 1998-04; Bertram F. J. Dtsch Derm Ges 2009;7: 434-9.)。患者は、ほぼすぐに破けて潰瘍性の傷を残す水疱を発症する。皮膚および粘膜の病変はいずれも治るのが遅く、深刻な全身不快感、体タンパク質の損失、感染に対する脆弱性の増大、並びに摂食および飲水の困難さをもたらす(Kneisel A, Hertl M. J. Dtsch Derm Ges. 2011;9(10):844-56)。
【0005】
ほとんどの天疱瘡の形態では、デスモソーム(ケラチン生成細胞間の接着複合体)の成分であるデスモグレイン(Dsg)を標的にする血清IgG自己抗体が見られ、細胞接着の損失を誘導し、最終的には水疱をもたらす。自己抗体により異なるDsgイソフォームの機能障害が誘導されることにより、粘膜形態のPV(抗Dsg3 IgG、口腔粘膜病変のみ)、粘膜皮膚形態のPV(抗Dsg3および抗Dsg1 IgG、口腔および皮膚病変)、または落葉状天疱瘡(抗Dsg1 IgG、皮膚病変のみ)のいずれかが引き起こされる。PVは、病原性IgG自己抗体が症状に直接原因する、B細胞により仲介される典型的な自己免疫疾患と見なすことができる(Kneisel A, Hertl M. J. Dtsch Derm Ges. 2011;9(11):927-47; Joly P. Clin Dermatol. 2011;29(4):432-6.)。
【0006】
天疱瘡は、一般集団において、1,000,000人当たり年間0.7〜5人の範囲に影響を及ぼしていると推定される(NORD Rare Diseases Data Base, accessed October 2014)。発生率および割合は地域間で異なるが(Meyer N, Misery L. Autoimmunity Reviews 2010; 9: A379-A382)、天疱瘡は地中海地域またはユダヤ人系の人々により多く見られる。男性と女性は等しく影響を受ける。発病は通常、中高年の成人に起こるものの、疾患はまた、若い成人および子どもにも見られることがある。
【0007】
現在のところ、尋常性天疱瘡に治療法はない。現在の治療の主要目的は、水疱形成を減少させ、感染を予防し、水疱およびびらんの治癒を促進することである。高用量コルチコステロイド(CS)は、PVの標準治療(SOC)処置である。CSは速やかに作用し、症状の緩和をもたらすが、再発を予防する(寛解の維持)には長期にわたって使用する必要がある。しかしながら、50%の患者は、治療の1年後もほとんどコントロールされないままである(Herbst A, Bystryn JC. J Am Acad Dermatol 2000; 42 (3), 422-427)。さらに、長期にわたって高用量CSを使用することにより、副作用のリスク(病的状態および死亡のリスク)が増大する。これを緩和するために、CSの副作用を低減させるCS保持性薬(アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、リツキシマブ、メトトレキセート、IgG、シクロホスファミド、シクロスポリン)としてアジュバント療法が用いられているが、CS単独を上回る付加的な有効性は全くもたらされていない。現在のところ、現在のSOCを上回る有効性/バランスが改善されたPVの代替療法は不足している。
【0008】
PVの死亡率は約5〜15%である(Schmidt E, Zillikens D. Dermatol Clin 2011; 29:663-71; Joly P. J Inv Derm 2012; 132: 1998-04; Bertram F. J. Dtsch Derm Ges 2009;7: 434-9.)。PVに罹患した患者における死亡率は、主に現在の標準治療(SOC)である高用量CSの副作用が原因で、一般集団より3倍高く、当該副作用としては、消化性潰瘍疾患および消化管出血、並びに敗血症を伴う感染に対する脆弱性が挙げられる。罹病率および死亡率は、疾患の程度、寛解を誘導するのに必要なCSの最大用量、および他の疾患の存在と関連している。現在のPVの病的状態は主に、長期にわたる高用量CSおよび免疫抑制アジュバントの副作用により引き起こされる医原性である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患、特に尋常性天疱瘡の治療において、新規でかつより効果的な療法が必要である。
【0010】
驚くべきことに、現在では、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患、特に尋常性天疱瘡の治療において、ホスホイノシチド3キナーゼデルタ(PI3Kデルタ)阻害剤が有効であることが見いだされた。これは、そのような疾患への新規な治療経路を開くものであり、既存のステロイドおよび免疫抑制剤/免疫調節療法と関連がある問題を回避しうる。本発明により、PI3Kデルタ阻害剤は、他の方法による投与、例えば局所投与と比べて、経口投与すると特に有効であることが見いだされた。
【0011】
ホスホイノシチド3キナーゼデルタ(PI3Kデルタ)阻害剤を用いる、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患の治療は、有利にBリンパ球の機能を標的にし、そのような疾患と関連がある自己抗原に対する病原性IgG抗体の力価を減少させる。特に、ホスホイノシチド3キナーゼデルタ(PI3Kデルタ)阻害剤を用いる治療は、免疫水疱性皮膚疾患と関連があるDsg3に対する抗体の産生を有利に減少させる。従って、そのような薬剤を用いる治療は、単に症状を軽減するか、または全体的に免疫系を抑制するというよりはむしろ、疾患の根本的な病因(望まれていない特異的な抗体の産生)を標的にする。
【0012】
ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)は、細胞が細胞外刺激により活性化されると二次メッセンジャーの制御に関与する、初期の細胞内シグナル伝達カスケードに関わる酵素の一員である。これは、最終的には刺激に対する細胞の反応をもたらす。PI3Kは、フォスファチジルイノシトール(PtdIns)、PtdIns−4−ホスフェート(PtdIns4P)、およびPtdIns−4,5−ビスホスフェート(PtdIns(4,5)P2)のイノシトール環の3−ヒドロキシル基をリン酸化する。結果として生じる3−ホスホイノシチドは、プレクストリン相同(PH)ドメインのような特異的な脂質結合配列を介して脂質に結合する多くの下流のエフェクタータンパク質の正しい局所化と、それに続く活性化を仲介する(Vanhaesebroeck B, 2010, Nat Rev Mol Cell Biol 5:11381-6)。
【0013】
PI3Kファミリーは、基質選択性および構造的特徴によって決まる3つの異なるクラス(PI3K クラスI、クラスIIおよびクラスIII)に分けられる。
【0014】
最もよく特徴付けられているものは、選択的基質がPtdIns−(4,5)P2であるPI3KクラスIである。PI3KクラスIは、もともと、p85タイプの制御サブユニットに結合するクラスIA(p110a、p110b、p110d)、並びにp101およびp87サブユニットにより制御されるクラスIB(p110g)にさらに細分されていた、4つの異なるイソフォームを包含する。p110a(PI3KaまたはPI3Kα)およびp110b(PI3KbまたはPI3Kβ)イソフォームは普遍的に発現するのに対して、p110g(PI3KgまたはPI3Kγ)および特にp110d(PI3KdまたはPI3Kδ)の発現パターンはより制限されており、白血球において重要な役割を果たしているように思われる(Kok K, Trends Biochem Science 34:115-127, 2009)。
【0015】
現在のところ、いくつかのPI3K阻害剤が、既知またはPI3K経路と関連していると疑われる疾患または障害の治療または予防に関する臨床試験に供されている。例としては、アルペリシブ(alpelisib)(以前はBYL−719として知られていた)、ブパルリシブ(buparlisib)(以前はBKM 120またはNVP−BKM120として知られていた)、デュベリシブ(duvelisib)(以前はIPI−145またはINK−1197として知られていた)、イデラリシブ(idelalisib)(以前はGS−1101またはCAL−101として知られていた)、リゴサチブ(rigosertib) ナトリウム(以前はON−1910Naとして知られていた)、および6−(2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N,N−ビス(2−メトキシエチル)ヘキサ−5−インアミド(RV−1729としても知られている)が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
従って、本発明は、ホスホイノシチド3キナーゼデルタの阻害剤である、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を経口投与により治療するのに用いるための化合物、あるいはその医薬的に許容される塩および/または溶媒和物を提供する。
【0017】
本発明はまた、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を経口投与により治療するのに用いるための医薬組成物であって、本明細書で定義される化合物および医薬的に許容される担体を含む組成物も提供する。
【0018】
本発明はまた、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を経口投与により治療するための薬剤を製造するための、本明細書で定義される化合物または組成物の使用も提供する。
【0019】
本発明はまた、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、有効量の、本明細書で定義される化合物または組成物を経口投与することを特徴とする方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、Dsg3に対する抗体の産生の動態への、本発明の代表的な化合物であるLAS191954およびプレドニゾロンの効果を示す。
【0021】
図2図2は、dsDNAに対する抗体の産生の動態への、本発明の代表的な化合物であるLAS191954およびプレドニゾロンの効果を示す。
【0022】
図3図3は、自然発症自己免疫疾患モデルにおける抗Dsg3(左)および抗dsDNA(右)抗体レベルの相対変化を示す。
【0023】
図4図4は、確立された実験的EBAにおける臨床疾患への、本発明の代表的な化合物であるLAS191954の効果を示しており、当該効果は、治療に組み入れた時のスコアに対する皮膚病変に冒された体表面積の割合により決定される。
【0024】
図5図5は、確立された実験的EBAにおける臨床疾患への、本発明の代表的な化合物であるLAS191954の効果を示しており、当該効果は、図4のグラフから導かれるAUCとして表される全体的な疾患活動性により決定される。
【0025】
図6図6は、確立された実験的EBAにおける臨床疾患への、本発明の代表的な化合物であるLAS191954の効果を示しており、当該効果は、代表的な臨床症状により決定される。
【0026】
図7図7は、確立された実験的EBAにおける体重増加への、本発明の代表的な化合物であるLAS191954の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
用語「治療的有効量」は、治療を必要としている患者に投与する場合に、治療を達成するのに十分な量を指す。
【0028】
本明細書で用いられる用語「治療」は、ヒトまたは動物患者において疾患または医学的状態を治療することを指し、以下のものを含む:
(a)疾患もしくは医学的状態が発生するのを予防すること、すなわち患者の予防的治療;
(b)疾患もしくは医学的状態を改善すること、すなわち患者において疾患もしくは医学的状態の緩解をもたらすこと;
(c)疾患もしくは医学的状態を抑制すること、すなわち、患者において疾患もしくは医学的状態の発症を減速させること;および/または
(d)患者において疾患もしくは医学的状態の症状を軽減すること。
【0029】
用語「医薬的に許容される塩」は、ヒトまたは動物(例えば哺乳類)のような患者に投与するのに許容される塩基または酸から調製される塩を指す。そのような塩は、医薬的に許容される無機または有機塩基、および医薬的に許容される無機または有機酸から誘導することができる。
【0030】
医薬的に許容される酸としては、無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、二リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸および硝酸;並びに有機酸、例えば、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、粘液酸、アスコルビン酸、シュウ酸、パントテン酸、コハク酸、酒石酸、安息香酸、酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシナホン(xinafoic)酸(1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)、ナパジシル酸(1,5−ナフタレンジスルホン酸)等の両方が挙げられる。特に好ましいものは、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸およびp−トルエンスルホン酸から誘導される塩である。
【0031】
医薬的に許容される無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。
【0032】
医薬的に許容される有機塩基から誘導される塩としては、アルキルアミン、アリールアルキルアミン、ヘテロシクリルアミン、環状アミン、天然に存在するアミン等(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)を含む第1級、第2級および第3級アミンの塩が挙げられる。
【0033】
用語「溶媒和物」は、1つ以上の溶質分子、すなわち、ホスホイノシチド3キナーゼデルタ阻害剤またはその医薬的に許容される塩と、1つ以上の溶媒分子により形成される複合体または凝集体を指す。そのような溶媒和物は、典型的には、実質的に一定のモル比の溶質および溶媒を有する結晶性固体である。代表的な溶媒の例としては、水、アセトン、ジクロロメタン、2−プロパノール、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、酢酸、エタノールアミン、またはその混合物が挙げられる。溶媒が水である場合、形成する溶媒和物は水和物である。具体的には、水和物のように、1つの溶媒分子は、1分子のホスホイノシチド3キナーゼデルタ阻害剤またはその医薬的に許容される塩と結び付き得ると考えられる。さらに、具体的には、二水和物のように、2つ以上の溶媒分子が、1分子のホスホイノシチド3キナーゼデルタ阻害剤またはその医薬的に許容される塩と結び付くことがあると考えられる。加えて、具体的には、半水化物のように、1未満の溶媒分子は、ホスホイノシチド3キナーゼデルタ阻害剤またはその医薬的に許容される塩と結び付くことがあると考えられる。さらに、溶媒和物は、非溶媒和物形態の化合物の生物学的有効性を保持している、ホスホイノシチド3キナーゼデルタ阻害剤またはその医薬的に許容される塩の溶媒和物であると考えられる。
【0034】
用語「医薬的に(または生理学的に)許容される担体(または希釈剤)」は、生体に有意な刺激を引き起こさず、投与した化合物の生物学的活性および特性を損なわせない担体または希釈剤を指す。
【0035】
本明細書で用いられる用語「ホスホイノシチド3キナーゼデルタの阻害剤」は、適切に選んだアッセイ方法、例えば、THP−1細胞における、M−CSFにより誘導されるAKTのリン酸化、すなわちPI3Kδの下流のエフェクターをベースにしたアッセイにおいて、ホスホイノシチド3キナーゼデルタの発現に対して活性を示す化合物を指す。
【0036】
典型的には、「ホスホイノシチド3キナーゼデルタの阻害剤」は、例えば上述のアッセイ方法において、PI3Kδ阻害のIC50値が10μm未満、好ましくは1μm未満、さらにより好ましくは0.2μm未満、最も好ましくは0.05μm未満である化合物を指す。
【0037】
典型的には、用語「ホスホイノシチド3キナーゼデルタの阻害剤」は、PI3Kファミリー(アルファ、ベータおよびガンマ)の他のアイソザイムよりもより効果的にPI3Kデルタアイソザイムの活性を阻害する化合物を指す。例えば、PI3−キナーゼデルタ選択的阻害剤は、デルタタイプのPI3−キナーゼに対する50パーセント阻害濃度(IC50)が、残りの他のタイプのPI3−キナーゼ(すなわち、アルファ、ベータおよびガンマ)に対する阻害剤のIC50の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍、より好ましくは少なくとも50倍、最も好ましくは少なくとも100倍、またはそれ未満を示す化合物を指すことがある。典型的には、この選択性は、上記で定義されるアッセイ方法を用いて決定される。
【0038】
典型的には、ホスホイノシチド3キナーゼデルタの阻害剤はWO−A−2012/146666に定義される化合物であり、その全体は参照により本明細書に引用される。
【0039】
従って、典型的には、ホスホイノシチド3キナーゼデルタの阻害剤は式(I)のものであり、
【化1】

式(I)
ここに、X、R、R、n、R、R、R、RおよびRは、WO−A−2012/146666に定義されている。
【0040】
好ましくは、式(I)の化合物において:
Xは、窒素原子または−CR基を表し;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し;
は、水素原子、ハロゲン原子、C−Cハロアルキル基、メチル基、C−Cシクロアルキル基、フェニル基、ピリジニル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、ピペリジニル基またはテトラヒドロピラニル基を表し、ここに、シクロアルキル、フェニル、ピリジニル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、ピペリジニルまたはテトラヒドロピラニル基は、置換されていないか、またはハロゲン原子、ヒドロキシル基、C−Cハロアルキル基、直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基、−(CH)−(フェニル)−O−(C−Cアルキル基)、−NR基または−OR基から選ばれる1つ以上の置換基で置換されており(ここに、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基を表す);
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−Cハロアルキル基、または直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基を表し;
は、水素原子、C−Cハロアルキル基、C−Cヒドロキシアルキル基、または直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基を表し;
は、水素原子、ハロゲン原子、C−Cハロアルキル基、直鎖もしくは分岐C−Cヒドロキシアルキル基、直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基、またはシクロプロピル基を表し;
は、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;シアノ基;C−Cアルコキシ基;C−Cハロアルキル基;直鎖もしくは分岐C−Cヒドロキシアルキル基;C−Cシクロアルキル基;直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基;−(CH0−3NR’R’’基;−(CH1−3O(C−Cアルキル基);−(CH0−3OC(O)−(C−Cアルキル基);−(CH0−3C(O)O−(C−Cアルキル基);−C(O)−NR’R’’基;−(CH0−3C(O)OH基;−(CH0−3−(イミダゾリル基);−(CH0−3−(オキサゾリル基);−(CH0−3−(オキサジアゾリル基);−(CH0−3−(ピラゾリル基)または−(CH0−3−(モルホリニル基)を表し、ここに、R’およびR’’は、それぞれ独立して、水素原子、ヒドロキシル基、または直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基を表し、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリルおよびモルホリニル基は、置換されていないか、またはハロゲン原子、直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基、またはC−Cハロアルキル基から選ばれる1つ以上の置換基で置換されており;
は、以下のものから選ばれる基を表し:
i)置換されていないか、または−NR’R’’基で置換されているプリニル基である式(IIa)の基であり;
ii)−NR’−ピリジニル基、−S−ピリジニル基、−NR’−ピリミジニル基、−S−ピリミジニル基または−NR’−トリアジニル基から選ばれる基である式(IIb)の基であり、ここに、ピリジニル、ピリミジニルおよびトリアジニル基は、置換されていないか、またはハロゲン原子、C−Cハロアルキル基、−(CH0−3CN基、−C(O)−(CH0−3−NR’R’’、−(CH0−3NR’R’’基から選ばれる1、2もしくは3つの置換基で置換されており;
iii)−NR’−プリニル基、−S−プリニル基、−NR’−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジニル基、−NR’−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジニル基または−NR’−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジニル基から選ばれる基である式(IIc)の基であり、ここに、プリニル、7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジニル、1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジニル ピラゾロ[1,5−a]ピリミジニル、および基は、置換されていないか、またはハロゲン原子もしくは−(CH0−3NR’R’’基で置換されており;あるいは、
およびRは、それらが結合している炭素原子と一緒にピロリジニル−プリニル基またはピロリジニル−ピリミジニルを形成し、ここに、ピロリジニル基は、置換されていないか、またはハロゲン原子もしくはヒドロキシル基から選ばれる1つ以上の置換基で置換されており、プリニル基は、置換されていないか、または−(CH0−3NR’R’’基で置換されており、ピリミジニル基は、置換されていないか、または−(CH0−3CN基もしくは−(CH0−3NR’R’’基から選ばれる1、2もしくは3つの置換基で置換されており;
R’およびR’’は、それぞれ独立して、水素原子、C−Cアルコキシ基または直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基を表す。
【0041】
代わりに、式(I)の化合物において:
Xは、窒素原子または−CR基を表し;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し;
は、メチル基、C−Cシクロアルキル基、フェニル基、ピリジニル基、ピペリジニル基またはテトラヒドロピラニル基を表し;
ここに、シクロアルキル、フェニル、ピリジニル、ピペリジニルまたはテトラヒドロピラニル基は、置換されていないか、またはハロゲン原子、直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基、−NR基または−OR基から選ばれる1つ以上の置換基で置換されており(ここに、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基を表す);
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、または直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基を表し;
は、水素原子、C−Cハロアルキル基、または直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基を表し;
は、水素原子、ハロゲン原子、C−Cハロアルキル基、直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基、またはシクロプロピル基を表し;
は、以下のものから選ばれる基を表し:
i)置換されていないか、または−NR’R’’基で置換されているプリニル基である式(IIa)の基であり;
ii)−NH−ピリジニル基、−S−ピリジニル基、−NH−ピリミジニル基または−S−ピリミジニル基から選ばれる基である式(IIb)の基であり、ここに、ピリジニルまたはピリミジニル基は、置換されていないか、または−(CH0−3CN基、−C(O)−(CH0−3−NR’R’’、−(CH0−3NR’R’’基から選ばれる1、2もしくは3つの置換基で置換されており;
iii)−NH−プリニル基または−S−プリニル基から選ばれる基である式(IIc)の基であり、ここに、プリニル基は、置換されていないか、または−(CH0−3NR’R’’基で置換されており;あるいは、
およびRは、それらが結合している炭素原子と一緒にピロリジニル−プリニル基を形成し、ここに、プリニル基は、置換されていないか、または−(CH0−3NR’R’’基で置換されており;
R’およびR’’は、それぞれ独立して、水素原子、C−Cアルコキシ基または直鎖もしくは分岐C−Cアルキル基を表す。
【0042】
より好ましくは、式(I)の化合物は、
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−5−クロロ−3−o−トリルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノピリミジン−4−イルアミノ)メチル)−5−クロロ−3−o−トリルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−5−シクロプロピル−3−o−トリルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−3−o−トリルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノピリミジン−4−イルアミノ)メチル)−3−o−トリルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
4−((4−オキソ−3−o−トリル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)メチルアミノ)ピコリンアミド;
2−((2−アミノピリジン−4−イルアミノ)メチル)−3−o−トリルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((9H−プリン−6−イルアミノ)メチル)−3−o−トリルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−3−シクロヘキシルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−5−メチル−3−o−トリルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
【0043】
2−((9H−プリン−6−イルチオ)メチル)−5−メチル−3−o−トリルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−6−メチル−3−o−トリルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((9H−プリン−6−イルチオ)メチル)−6−メチル−3−o−トリルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−(1−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)エチル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(6−アミノピリミジン−4−イルアミノ)プロピル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(2−アミノ−9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)プロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(R)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
【0044】
(S)−2−(1−(2−アミノ−9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(6−アミノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
2−(1−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)エチル)−5−メチル−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−3−o−トリル−5−(トリフルオロメチル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−5−クロロ−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−5−クロロ−3−(3−メトキシフェニル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−5−クロロ−3−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロロ−[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−3−ベンジル−5−クロロピロロ[1,2−f][1,2,4]−トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−3−フェニルイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
【0045】
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−3−o−トリルイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−5−クロロ−3−(ピリジン−4−イル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−5−クロロ−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)ピロロ−[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−5−クロロ−3−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(3−フルオロフェニル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−(3−フルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−5−クロロ−3−メチルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−3−((1r,4r)−4−アミノシクロヘキシル)−5−クロロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
【0046】
(R)−2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−5−クロロ−3−(1−フェニルエチル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−5−クロロ−3−(1−フェニルエチル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−(ピリジン−2−イル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イル)ピロリジン−2−イル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−フェニル−5−(トリフルオロメチル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−(ジフルオロメチル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−5−(ジフルオロメチル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−フェニルイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
【0047】
2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)−3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
4−アミノ−6−(3,3,3−トリフルオロ−1−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)プロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(2−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)ピロリジン−1−イル)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−3−フェニル−2−(1−(ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イルアミノ)エチル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−5−(ジフルオロメチル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(2−アミノ−9H−プリン−6−イル)ピロリジン−2−イル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)エチル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−((6−アミノ−9H−プリン−9−イル)メチル)−5−クロロ−3−(1−(5−フルオロピリジン−2−イル)エチル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(2−アミノ−9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
【0048】
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(R)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)−2−ヒドロキシエチル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(R)−4−アミノ−6−(2−ヒドロキシ−1−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(2−アミノ−9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−フェニルイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(メチル(1−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチル)アミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(メチル(9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−5−メチル−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−メチル−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−7−メチル−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
【0049】
(S)−4−アミノ−6−(1−(7−メチル−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(4,4−ジフルオロ−1−(9H−プリン−6−イル)ピロリジン−2−イル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(4,4−ジフルオロ−2−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)ピロリジン−1−イル)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−6−フルオロ−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(6−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
2−((S)−1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−((S)−1−フェニルエチル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
4−アミノ−6−((S)−1−(4−オキソ−3−((S)−1−フェニルエチル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−(2,6−ジメチルフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−((9H−プリン−6−イルアミノ)メチル)−3−(1−フェニルエチル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−((4−オキソ−3−(1−フェニルエチル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)メチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
【0050】
(S)−2−(1−(5−フルオロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(2,6−ジメチルフェニル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−フルオロ−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−5−フルオロ−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
4−アミノ−6−((1S)−1−(5−(1,2−ジヒドロキシエチル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
【0051】
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−(ヒドロキシメチル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−4−オキソ−3−(ピリジン−2−イルメチル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−5−(ジフルオロメチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)イミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−(ジフルオロメチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(2−アミノ−9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−5−(ジフルオロメチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(2−アミノ−9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)−2,2,2−トリフルオロエチル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−ベンジル−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
【0052】
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−フルオロピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−フルオロピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−5−(ジフルオロメチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)プロピル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−フルオロピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(R)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)−2−ヒドロキシエチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−カルバモイルピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボキサミド;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボキサミド;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
【0053】
2−((S)−1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−4−オキソ−3−((S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(R)−4−アミノ−6−(1−(3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)−2−ヒドロキシエチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(2−アミノ−5−フルオロピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(2−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
((S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−5−(2H−テトラゾール−5−イル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−((5−メチルイソオキサゾール−3−イル)メチル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−フェニル−7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−7−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−(1−(4−メトキシベンジル)−1H−ピラゾール−4−イル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−フェニル−5−(チアゾール−2−イル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
【0054】
(S)−2−(1−(2,6−ジアミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−(モルホリノメチル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
2−((S)−1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−4−オキソ−3−((R)−1−フェニルエチル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−(1H−ピラゾール−4−イル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−5−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
4−アミノ−6−((S)−1−(4−オキソ−3−((S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボン酸;
2−((S)−1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−4−オキソ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−(5−フルオロピリジン−3−イル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
【0055】
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−(1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−(ピリミジン−5−イル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
4−アミノ−6−((S)−1−(4−オキソ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2,4−ジアミノ−6−(1−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−(1−(3−((1H−ピラゾール−3−イル)メチル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)−6−アミノピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−シクロブチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−アミノ−4−(1−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
4−アミノ−6−(1−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
【0056】
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−シクロプロピル−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−ブロモ−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
4−アミノ−6−((S)−1−(4−オキソ−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−ブロモ−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
2−((3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)メチル)−5−メチル−3−o−トリルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−(5−フルオロピリジン−3−イル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
4−アミノ−6−((S)−1−(4−オキソ−3−((S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−フェニル−5−(1H−ピラゾール−4−イル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−(イソオキサゾール−3−イル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−N,N−ジメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボキサミド;
【0057】
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−4−オキソ−3−フェニル−N−プロピル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボキサミド;
2−((S)−1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((S)−1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−((S)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(3−ヒドロキシ−1−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)プロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)−3−ヒドロキシプロピル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(R)−4−アミノ−6−(1−(3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)−2−ヒドロキシエチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
4−アミノ−6−((4−オキソ−3−o−トリル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)メチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−(2−ヒドロキシエチル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)−3−ヒドロキシプロピル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
【0058】
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(5−フルオロピリジン−3−イル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−(2−メチルオキサゾール−5−イル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−(2−メトキシエチル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−プロピル 2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボキシレート;
(S)−4−アミノ−6−(3−ヒドロキシ−1−(4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)プロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)−3−ヒドロキシプロピル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)−3−ヒドロキシプロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−ブロモ−4−オキソ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−イル)エチルアセテート;
【0059】
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
2−((2S,4R)−1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イル)−4−ヒドロキシピロリジン−2−イル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
4−アミノ−6−((2S,4R)−2−(5−(アミノメチル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)−4−ヒドロキシピロリジン−1−イル)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−ブロモ−3−(3−メトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−4−オキソ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(5−ブロモ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−(3−メトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−4−アミノ−6−(1−(3−(3−ヒドロキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−(3−メトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
【0060】
4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)シクロプロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)シクロプロピル)−3−フェニルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)エチルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−3−(3−ヒドロキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリル;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル)−3−(ピリジン−2−イル)ピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;
(S)−2−(1−(9H−プリン−6−イルアミノ)プロピル)−3−フェニルイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;および
(S)−4−アミノ−6−(1−(4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロイミダゾ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−2−イル)プロピルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
の一つである。
【0061】
ホスホイノシチド3キナーゼデルタのさらに好ましい阻害剤は、ノルトリプチリン、イデラリシブ、デュベリシブ、エンザスタウリン、リゴサチブ、ブパルリシブ、タセリシブ(taselisib)、ダクトリシブ、コパンリシブ、ピクトレリシブ、アピトリシブ、ソノリシブ(sonolisib)、ボクスタリシブ(voxtalisib)、ZSTK−474、GSK−2269557、UCB−5857、RV−1729、RP−6530、オミパリシブ、SB−2343、WX−037、CAL−120、PWT−33597、CUDC−907、AMG−319、プクイチニブ(puquitinib)、ピララリシブ(pilaralisib)、RP−5264、GDC−0084(またはGDC−7666)、LY−3023414、PQR−309、DS−7423、XL−499、KAR−4141、RP−5090、PWT−143、IPI−443、RP−6503、ONO−146040、SPR−965、LOR−220、SF−2626、X−339、X−480、PQR−401、INCB−050465、LS−008、CLR−457、PCN−5603、7−ヒドロキシスタウロスポリン、PF−04691502、TG−100115、BGT−226、SF−1126、PKI−179およびパヌリシブ(panulisib)、例えば、イデラリシブ、デュベリシブ、エンザスタウリン、リゴサチブ、ブパルリシブ、タセリシブ、ダクトリシブ、コパンリシブ、ピクトレリシブ、アピトリシブ、ソノリシブ、ボクスタリシブ、ZSTK−474、GSK−2269557、UCB−5857、RV−1729、RP−6530、オミパリシブ、SB−2343、WX−037、CAL−120、PWT−33597、CUDC−907、AMG−319、プクイチニブ、ピララリシブ、RP−5264、GDC−0084(またはGDC−7666)、LY−3023414、PQR−309、DS−7423、XL−499、KAR−4141、RP−5090、PWT−143、IPI−443、RP−6503、ONO−146040、SPR−965、LOR−220、SF−2626、X−339、X−480、PQR−401、INCB−050465、LS−008、CLR−457、PCN−5603、7−ヒドロキシスタウロスポリン、PF−04691502、TG−100115、BGT−226、SF−1126、PKI−179およびパヌリシブから選ばれてもよい。
【0062】
典型的には、本発明に記載の使用のためのホスホイノシチド3キナーゼデルタの阻害剤は、ノルトリプチリン、イデラリシブ、デュベリシブ、エンザスタウリン、リゴサチブ、ブパルリシブ、タセリシブ、ダクトリシブ、コパンリシブ、ピクトレリシブ、アピトリシブ、ソノリシブ、ボクスタリシブ、ZSTK−474、GSK−2269557、UCB−5857、RV−1729、RP−6530、オミパリシブ、SB−2343、WX−037、CAL−120、PWT−33597、CUDC−907、AMG−319、プクイチニブ、ピララリシブ、RP−5264、GDC−0084(またはGDC−7666)、LY−3023414、PQR−309、DS−7423、LAS191954、XL−499、KAR−4141、RP−5090、PWT−143、IPI−443、RP−6503、ONO−146040、SPR−965、LOR−220、SF−2626、X−339、X−480、PQR−401、INCB−050465、LS−008、CLR−457、PCN−5603、7−ヒドロキシスタウロスポリン、PF−04691502、TG−100115、BGT−226、SF−1126、PKI−179およびパヌリシブ、例えば、イデラリシブ、デュベリシブ、エンザスタウリン、リゴサチブ、ブパルリシブ、タセリシブ、ダクトリシブ、コパンリシブ、ピクトレリシブ、アピトリシブ、ソノリシブ、ボクスタリシブ、ZSTK−474、GSK−2269557、UCB−5857、RV−1729、RP−6530、オミパリシブ、SB−2343、WX−037、CAL−120、PWT−33597、CUDC−907、AMG−319、プクイチニブ、ピララリシブ、RP−5264、GDC−0084(またはGDC−7666)、LY−3023414、PQR−309、DS−7423、LAS191954、XL−499、KAR−4141、RP−5090、PWT−143、IPI−443、RP−6503、ONO−146040、SPR−965、LOR−220、SF−2626、X−339、X−480、PQR−401、INCB−050465、LS−008、CLR−457、PCN−5603、7−ヒドロキシスタウロスポリン、PF−04691502、TG−100115、BGT−226、SF−1126、PKI−179およびパヌリシブから成る群から選ばれる。
【0063】
好ましくは、本発明に記載の使用のためのホスホイノシチド3キナーゼデルタの阻害剤は、ノルトリプチリン、イデラリシブ、デュベリシブ、エンザスタウリン、リゴサチブ、ブパルリシブ、タセリシブ、ダクトリシブ、コパンリシブ、ピクトレリシブ、アピトリシブ、ソノリシブ、ボクスタリシブ、ZSTK−474、GSK−2269557、UCB−5857、RV−1729、RP−6530、オミパリシブ、SB−2343、WX−037、CAL−120、PWT−33597、CUDC−907、AMG−319、プクイチニブ、ピララリシブ、RP−5264、GDC−0084(またはGDC−7666)、LY−3023414、PQR−309、DS−7423、LAS191954、XL−499、KAR−4141、RP−5090、PWT−143、IPI−443、RP−6503、ONO−146040、SPR−965、LOR−220、SF−2626、X−339、X−480、PQR−401、INCB−050465、LS−008およびCLR−457、例えば、イデラリシブ、デュベリシブ、エンザスタウリン、リゴサチブ、ブパルリシブ、タセリシブ、ダクトリシブ、コパンリシブ、ピクトレリシブ、アピトリシブ、ソノリシブ、ボクスタリシブ、ZSTK−474、GSK−2269557、UCB−5857、RV−1729、RP−6530、オミパリシブ、SB−2343、WX−037、CAL−120、PWT−33597、CUDC−907、AMG−319、プクイチニブ、ピララリシブ、RP−5264、GDC−0084(またはGDC−7666)、LY−3023414、PQR−309、DS−7423、LAS191954、XL−499、KAR−4141、RP−5090、PWT−143、IPI−443、RP−6503、ONO−146040、SPR−965、LOR−220、SF−2626、X−339、X−480、PQR−401、INCB−050465、LS−008およびCLR−457から成る群から選ばれる。
【0064】
より好ましくは、本発明に記載のホスホイノシチド3キナーゼデルタの阻害剤は、ノルトリプチリン、イデラリシブ、デュベリシブ、エンザスタウリン、リゴサチブ、GSK−2269557、UCB−5857、RV−1729、RP−6530、LAS191954、XL−499、KAR−4141、RP−5090、PWT−143、IPI−443およびRP−6503、例えば、イデラリシブ、デュベリシブ、エンザスタウリン、リゴサチブ、GSK−2269557、UCB−5857、RV−1729、RP−6530、LAS191954、XL−499、KAR−4141、RP−5090、PWT−143、IPI−443およびRP−6503から成る群から選ばれる。
【0065】
さらにより好ましくは、本発明に記載のホスホイノシチド3キナーゼデルタの阻害剤は、イデラリシブ、デュベリシブ、UCB−5857、RP−6530、LAS191954、XL−499、KAR−4141、RP−5090、PWT−143、IPI−443およびRP−6503から成る群から選ばれる。
【0066】
代わりに、本発明に記載のホスホイノシチド3キナーゼデルタの阻害剤は、LAS191954、アルペリシブ(alpelisib)((S)−N1−(4−メチル−5−(2−(1,1,1−トリフルオロ−2−メチルプロパン−2−イル)ピリジン−4−イル)チアゾール−2−イル)ピロリジン−1,2−ジカルボキサミド)、デュベリシブ((S)−3−(1−((9H−プリン−6−イル)アミノ)エチル)−8−クロロ−2−フェニルイソキノリン−1(2H)−オン)、リゴサチブナトリウム(ナトリウム(E)−2−((2−メトキシ−5−(((2,4,6−トリメトキシスチリル)スルホニル)メチル)フェニル)アミノ)アセテート)、および6−(2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N,N−ビス(2−メトキシエチル)ヘキサ−5−インアミドから成る群から選ばれる。
【0067】
最も好ましくは、本発明に記載のホスホイノシチド3キナーゼデルタの阻害剤はLAS191954である。
【0068】
式(A)の構造を有し、(S)−2−(1−(6−アミノ−5−シアノピリミジン−4−イルアミノ)エチル)−4−オキソ−3−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−5−カルボニトリルに相当する、LAS191954、およびその製造方法は、国際特許出願第WO2012/146666号に記載されている。
【化2】

式(A)
【0069】
好ましい態様において、化合物は、LAS191954と、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸およびパラトルエンスルホン酸から選ばれるスルホン酸誘導体との医薬的に許容される結晶性付加塩またはその医薬的に許容される溶媒和物である。
【0070】
特定の態様において、化合物は、LAS191954 メタンスルホネートまたはその医薬的に許容される溶媒和物である。
【0071】
典型的には、メタンスルホン酸(CAS登録番号 75−75−2)は、無色の液体であり、分子式はCHS(分子量は96.11g/mol)である。メタンスルホン酸の塩は、メタンスルホネート、メシラート(mesilate)(国際一般的名称またはINN)またはメシレート(mesylate)(米国一般名またはUSAN)として知られている。
【0072】
別の特定の態様において、化合物は、LAS191954 ナフタレン−2−スルホネートまたはその医薬的に許容される溶媒和物である。
【0073】
典型的には、ナフタレン−2−スルホン酸(CAS登録番号 120−18−3)は20℃で固体であり、分子式はC10S(分子量は208.24g/mol)である。ナフタレン−2−スルホン酸の塩は、ナフタレン−2−スルホネート、ナプシラート(napsilate)(INN)またはナプシレート(napsylate)(USAN)として知られている。
【0074】
別の特定の態様において、化合物は、LAS191954 パラトルエンスルホネートまたはその医薬的に許容される溶媒和物である。
【0075】
典型的には、パラトルエンスルホン酸(CAS登録番号 104−15−4)またはトシル酸は20℃で固体であり、分子式はCS(分子量は172.20g/mol)である。パラトルエンスルホン酸の塩は、パラトルエンスルホネート、トシラート(tosilate)(INN)またはトシレート(tosylate)(USAN)として知られている。
【0076】
さらに別の特定の態様において、化合物は、LAS191954,パラトルエンスルホネート一水和物である。
【0077】
本発明の方法に用いるための化合物は、典型的には市販されているか、または既知の方法に従って調製してもよい。
【0078】
本発明に従って治療される免疫水疱性皮膚疾患は、表皮内での細胞間接着、あるいは重層扁平上皮〜真皮または間葉の接着のいずれかの機能を有する抗原に対する病原性自己抗体を特徴とする。これらの標的抗原は、デスモソームの成分、または接着複合体として知られている基底膜領域の機能ユニットである(Rook's Textbook of Dermatology, Wiley-Blackwell, Chapter 40 - Immunobullous diseasesを参照のこと)。
【0079】
典型的には、免疫水疱性皮膚疾患は、抗Dsg自己抗体により仲介される。好ましくは、免疫水疱性皮膚疾患は、抗Dsg1および/または抗Dsg3自己抗体により仲介される。より好ましくは、免疫水疱性皮膚疾患は、抗Dsg3自己抗体により仲介される。
【0080】
典型的には、免疫水疱性皮膚疾患は、抗dsDNA自己抗体により仲介される。
【0081】
免疫水疱性皮膚疾患は、上記で定義される抗dsDNA自己抗体と抗Dsg自己抗体の両方により仲介されてもよい。
【0082】
本発明に従って治療されてもよい、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患としては、以下のものが挙げられる(これらに限定されないが):
尋常性天疱瘡、増殖性天疱瘡、落葉状天疱瘡、地方病性落葉状天疱瘡、細胞間IgA皮膚症、腫瘍随伴性天疱瘡のような表皮内免疫水疱性疾患;並びに
表皮下免疫水疱性疾患、そのような水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、妊娠性類天疱瘡、線状IgA病、後天性表皮水疱症、水疱性全身性エリテマトーデスおよび疱疹状皮膚炎。
【0083】
典型的には、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患は、尋常性天疱瘡、増殖性天疱瘡、落葉状天疱瘡、地方病性落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡または後天性表皮水疱症である。
【0084】
通常、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患は、尋常性天疱瘡、増殖性天疱瘡、落葉状天疱瘡、地方病性落葉状天疱瘡または腫瘍随伴性天疱瘡である。
【0085】
ある状況において、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患は、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡または後天性表皮水疱症である。
【0086】
好ましくは、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患は、尋常性天疱瘡または落葉状天疱瘡である。
【0087】
より好ましくは、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患は、尋常性天疱瘡または後天性表皮水疱症である。
【0088】
最も好ましくは、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患は尋常性天疱瘡である。
【0089】
好ましい態様において、化合物はLAS191954あるいはその医薬的に許容される塩および/または溶媒和物であり、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患は尋常性天疱瘡である。
【0090】
より好ましい態様において、化合物はLAS191954 メタンスルホネートまたはその医薬的に許容される溶媒和物であり、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患は尋常性天疱瘡である。
【0091】
別のより好ましい態様において、化合物はLAS191954 ナフタレン−2−スルホネートまたはその医薬的に許容される溶媒和物であり、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患は尋常性天疱瘡である。
【0092】
別のより好ましい態様において、化合物はLAS191954パラトルエンスルホネートまたはその医薬的に許容される溶媒和物であり、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患は尋常性天疱瘡である。
【0093】
別のより好ましい態様において、化合物はLAS191954 パラトルエンスルホネート一水和物であり、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患は尋常性天疱瘡である。
【0094】
典型的には、本明細書で定義される化合物は、ヒトまたは動物患者、好ましくはヒト、イヌ、ネコまたはウマ患者、より好ましくはヒト患者において、免疫水疱性皮膚疾患を経口投与により治療するのに用いるためのものである。
【0095】
上記で議論されたように、ホスホイノシチド3キナーゼデルタ(PI3Kデルタ)阻害剤を用いる、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患の治療は、有利にBリンパ球の機能を標的にし、そのような疾患と関連がある自己抗原に対する病原性IgG抗体の力価を減少させ、具体的には、免疫水疱性皮膚疾患と関連があるDsg3に対する抗体の産生を減少させる。
【0096】
従って、典型的には、本明細書で定義される化合物は、以下の1つ以上のものにより、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を経口投与により治療するのに用いるためのものである:
Bリンパ球の生成を妨げること;および/または
B細胞の機能を弱めること;および/または
抗体、典型的にはDsgに対する抗体、好ましくはDsg3に対する抗体の産生を減少させること;および/または
自己抗体、典型的にはDsgに対する抗体、好ましくはDsg3に対する抗体の力価を減少させること。
【0097】
本発明はまた、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患に罹患した哺乳類、典型的にはヒトにおいて、経口投与により、Bリンパ球の生成を妨げるのに用いるための、本明細書で定義される化合物も提供する。
【0098】
本発明はまた、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患に罹患した哺乳類、典型的にはヒトにおいて、経口投与により、B細胞の機能を弱めるに用いるための、本明細書で定義される化合物も提供する。
【0099】
本発明はまた、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患に罹患した哺乳類、典型的にはヒトにおいて、経口投与により、抗体、典型的にはDsgに対する抗体の産生を減少させるのに用いるための、本明細書で定義される化合物も提供する。好ましくは、本発明は、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患に罹患した哺乳類、典型的にはヒトにおいて、経口投与により、Dsg3に対する抗体の産生を減少させるのに用いるための、本明細書で定義される化合物を提供する。
【0100】
本発明はまた、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患に罹患した哺乳類、典型的にはヒトにおいて、経口投与により、自己抗体、典型的にはDsgに対する抗体の力価を減少させるのに用いるための、本明細書で定義される化合物も提供する。好ましくは、本発明は、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患に罹患した哺乳類、典型的にはヒトにおいて、経口投与により、Dsg3に対する抗体の力価を減少させるのに用いるための、本明細書で定義される化合物を提供する。
【0101】
本発明の方法に用いるための化合物は、治療的有効量の、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を治療または予防するのに有用な1つ以上の他の治療剤と同時に投与されてもよい。
【0102】
a)他の治療剤は、イムラン(アザチオプリン)、シクロホスファミド、シロリムスまたはプリントール(6−メルカプトプリンまたは6−MP)のような免疫抑制剤から成る群から選ばれてもよい;
b)プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フルチカゾン、デキサメサゾン、モメタゾン、ブデソニド、シクレソニドまたはベタメサゾン、例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フルチカゾン、デキサメサゾン、モメタゾン、ブデソニド、シクレソニドまたはベタメサゾンのようなコルチコイドおよびグルココルチコイド;
c)リツキシマブ、オクレリズマブ、オファツムマブまたはTRU−015のような抗CD20(リンパ球タンパク質)モノクローナル抗体;
d)アレムツズマブのような抗CD52(リンパ球タンパク質)モノクローナル抗体;
e)ダクリズマブのような抗CD25(リンパ球タンパク質);
f)エクリズマブまたはパキシリズマブ(pexilizumab)のような抗CD88(リンパ球タンパク質);
g)トシリズマブのような抗インターロイキン6受容体(IL−6R);
h)ウステキヌマブのような抗インターロイキン12受容体(IL−12R)/インターロイキン23受容体(IL−23R);
i)ベリムマブ、タバルマブまたはブリシビモド(blisibimod)のような抗BAFF/BlyS
j)アタシセプトのような抗TACI
【0103】
k)VAY736のような抗BAFF受容体
l)MEDI−551のような抗CD19
m)AMG−557のような抗ICOSL
n)抗FasLモノクローナル抗体
o)イブルチニブのようなBtk阻害剤
p)シクロスポリンA、ピメクロリムスまたはタクロリムスのようなカルシニューリン阻害剤;
q)メトトレキセートまたはCH−1504のようなジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤;
r)レフルノミドまたはテリフルノミドのようなジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤;
s)グラチラマー酢酸塩(コパキソン)、ラキニモドまたはイミキモドのような免疫調節因子;
t)ミトキサントロンまたはクラドリビンのようなDNA合成および修復の阻害剤;
【0104】
u)ナタリズマブ(タイサブリ)のような抗アルファ4インテグリン抗体;
v)R−1295、TBC−4746、CDP−323、ELND−002、フィラテグラストまたはTMC−2003のようなアルファ4インテグリンアンタゴニスト;
w)フマル酸ジメチルのようなフマル酸エステル;
x)インフリキシマブ、アダリムマブまたはセルトリズマブペゴールのような抗腫瘍壊死因子アルファ(抗TNF−アルファ)モノクローナル抗体;
y)エタネルセプトのような可溶性腫瘍壊死因子アルファ(TNFアルファ)アンタゴニスト;
z)ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mophetyl)、リバビリン、ミゾリビンまたはミコフェノール酸のようなイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)阻害剤;
aa)サティベックスのようなカンナビノイド受容体アゴニスト;
bb)MLN−3897またはPS−031291のようなケモカインCCR1アンタゴニスト;
cc)INCB−8696のようなケモカインCCR2アンタゴニスト;
dd)スルファサラジン、イグラチモドまたはMLN−0415のような核内因子カッパB(NF−カッパBまたはNFKB)活性化阻害剤;
【0105】
ee)ATL−313、ATL−146、CGS−21680、レガデノソンまたはUK−432,097のようなアデノシンA2Aアゴニスト;
ff)フィンゴリモド、BAF−312またはACT128800のようなスフィンゴシン−1(S1P)リン酸受容体アゴニスト;
gg)LX2931のようなスフィンゴシン−1(S1P)リアーゼ(liase)阻害剤;
hh)R−112のような脾臓チロシンキナーゼ(Syk)阻害剤;
ii)NVP−AEB071のようなプロテインキナーゼ阻害剤(PKC)阻害剤;
jj)アゼラスチンまたはエバスチンのようなヒスタミン1(H1)受容体アンタゴニスト;
kk)ネドクロミルまたはクロモグリカートのような脂肪細胞安定剤;
ll)OC−459、AZD−1981、ACT−129968、QAV−680のようなTH細胞(CRTH2)に発現する化学物質誘因受容体類似分子阻害剤;
mm)カルシポトリオール(ダイボネックス)のようなビタミンD誘導体;
nn)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)のような抗炎症剤、あるいはアセクロフェナク、ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン、アプリコキシブ、セレコキシブ、シミコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブナトリウム、ロフェコキシブ、セレノコキシブ(selenocoxib)−1またはバルデコキシブのような選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤;
【0106】
oo)アシクロビルまたはテノフォビルのような抗ウイルス剤;
pp)ホスホジエステラーゼ(PDE)III阻害剤;
qq)ロフルミラストまたはGRC−4039のようなホスホジエステラーゼ(PDE)IV阻害剤;
rr)二重ホスホジエステラーゼ(PDE)III/IV阻害剤;
ss)ARRY−797のようなp38分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(p38 MAPK)阻害剤;
tt)ARRY−142886またはARRY−438162のような分裂促進因子活性化細胞外シグナルにより制御されるキナーゼキナーゼ(MEK)阻害剤;
uu)トファシチニブ(以前はタソシチニブまたはCP−690,550として知られていた)またはINCB−18424のようなヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤;
vv)Biogen Idecのアボネックス、CinnaGenのシノベックスおよびEMD Seronoのレビフのようなインターフェロンベータ1a、並びにScheringのベタフェロンおよびBerlexのベタセロンのようなインターフェロンベータ1bを含むインターフェロン;
ww)スミフェロンMPのようなインターフェロンアルファ;
xx)エルロチニブ、トラスツズマブ、ハーセプチン、アバスチン、プラチン(シスプラチン、カルボプラチン)またはテマゾラミドのような上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)阻害剤;
【0107】
yy)ドセタキセル、エストラムスチン、アントラサイクリン、(ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン(エレンス)、およびリポソーマルドキソルビシン(ドキシル))、タキサン(ドセタキセル(タキソテール)、パクリタキセル(タキソール)、およびタンパク質に結合したパクリタキセル(アブラキサン))、シクロホスファミド(シトキサン)、カペシタビン(ゼローダ)、5−フルオロウラシル(5−FU)、ゲムシタビン(ジェムザール)またはビノレルビン(ナベルビン)のような抗悪性腫瘍剤;
zz)メタサイクリン、ドキシサイクリンまたはミノサイクリンのようなテトラサイクリン;
aaa)パラセタモールのような鎮痛剤;
bbb)モルヒネ、トラマドール、オキシコドンまたはフェンタニルのようなオピオイド;
ccc)ナルフラフィン、ナルブフィンまたはケタゾシンのようなカッパオピオイドアゴニスト;
ddd)アプレピタントまたはホスアプレピタントのようなニューロキニン受容体1アンタゴニスト;並びに
eee)ダプソンのようなジヒドロプテロイン酸シンターゼ阻害剤。
【0108】
a)他の治療剤は、好ましくは、メトトレキセートまたはCH−1504のようなジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤から選ばれる;
b)イムラン(アザチオプリン)、シクロホスファミド、シロリムスまたはプリントール(6−メルカプトプリンまたは6−MP)のような免疫抑制剤;
c)プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フルチカゾン、デキサメサゾン、モメタゾン、ブデソニド、シクレソニドまたはベタメサゾンのようなコルチコイドおよびグルココルチコイド;
d)インフリキシマブ、アダリムマブまたはセルトリズマブペゴールのような抗腫瘍壊死因子アルファ(抗TNF−アルファ)モノクローナル抗体;
e)エタネルセプトのような可溶性腫瘍壊死因子アルファ(TNF−アルファ)アンタゴニスト;
f)リツキシマブ、オクレリズマブ、オファツムマブまたはTRU−015のような抗CD20(リンパ球タンパク質)モノクローナル抗体
g)ベリムマブ、タバルマブまたはブリシビモドのような抗BAFF/BlyS
h)アタシセプトのような抗TACI
i)VAY736のような抗BAFF受容体
j)MEDI−551のような抗CD19
【0109】
k)AMG−557のような抗ICOSL
l)抗FasLモノクローナル抗体
m)イブルチニブのようなBtk阻害剤
n)シクロスポリンA、ピメクロリムスまたはタクロリムスのようなカルシニューリン阻害剤;
o)ミコフェノール酸モフェチル、リバビリン、ミゾリビンまたはミコフェノール酸のようなイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ(IMPDH)阻害剤;
p)メタサイクリン、ドキシサイクリンまたはミノサイクリンのようなテトラサイクリン;並びに
q)ダプソンのようなジヒドロプテロイン酸シンターゼ阻害剤;
【0110】
治療剤は、より好ましくは、プレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメサゾン、メチルプレドニゾロン、アザチオプリン、ミゾリビン、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、ダプソン、アシトレチン、シクロホスファミド、免疫グロブリン(Ig)、サリドマイド、テトラサイクリンおよびリツキシマブから選ばれる。
【0111】
組み合わせに最も好ましい治療剤は、プレドニゾロンおよびアザチオプリンである。
【0112】
本発明はまた、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を経口投与により治療するのに用いるための医薬組成物であって、本明細書で定義される化合物および本明細書で定義される医薬的に許容される担体を含む組成物も包含する。
【0113】
本発明のある態様において、医薬組成物はさらに、治療的有効量の、上記で定義される1つ以上の他の治療剤を含む。
【0114】
本発明はまた、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を経口投与により治療するのに用いるための組み合わせであって、本明細書で定義される化合物および治療的有効量の、上記で定義される1つ以上の他の治療剤を含む組み合わせも対象にしている。本発明はまた、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を経口投与により治療するのに用いるための医薬組成物であって、そのような組み合わせを含む組成物も対象にしている。
【0115】
本発明はまた、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を経口投与により治療するための薬剤を製造するための、本明細書で定義される化合物、組成物または組み合わせの使用も対象にしている。
【0116】
本発明はまた、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を治療する方法であって、治療を必要としている患者に、有効量の、本明細書で定義される化合物、組成物または組み合わせを経口投与することを特徴とする方法も包含する。
【0117】
本発明はまた、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を治療する方法であって、
(a)自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患に罹患したまたは罹患しやすい患者を選ぶこと、および
(b)治療を必要としている患者に、有効量の、本明細書で定義される化合物、組成物または組み合わせを経口投与することを特徴とする方法も提供する。
【0118】
本発明の方法に用いるための化合物および他の任意の治療剤は、同じまたは異なる経路により、別々に、同時に、付随してまたは連続して投与されるように意図された同じ医薬組成物または異なる組成物として一緒に投与されてもよい。
【0119】
本発明のある実施は、本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を治療するのに有用な他の治療剤と組み合わせて、同時に、並行して、別々にまたは連続して用いるための指示書と一緒に、本明細書で定義される化合物を含むパーツのキットから成る。
【0120】
本発明の別の実施は、本明細書で定義される化合物、および本明細書で定義される自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患を治療するのに有用な他の治療剤を含むパッケージから成る。
【0121】
医薬製剤は、都合のいいように単位剤形に含めてもよく、当該薬剤学技術分野において周知のいずれかの方法により調製してもよい。
【0122】
本発明の化合物を送達するのに適切な医薬組成物、およびそれらを調製する方法は、当業者に容易に明らかになるであろう。そのような組成物、およびそれらを調製する方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, Pa., 2001に見ることができる。
【0123】
活性化合物またはそのような化合物の塩と混合されて本発明の組成物を形成する医薬的に許容される賦形剤は、それ自体が周知であり、実際に用いられる賦形剤は、とりわけ組成物の意図された投与方法によって決まる。賦形剤の例としては、これらに限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0124】
本発明の化合物を製剤化するのに適切なさらなる担体は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, Pa., 2001に見ることができる。
【0125】
本発明の方法に用いるための化合物(並びに、組成物および組み合わせ)は、シロップ、錠剤、カプセル、トローチ、制御放出製剤、速溶性製剤等として経口投与される。
【0126】
経口投与に適切な本発明の製剤は、それぞれ所定量の活性成分を含むカプセル、サシェまたは錠剤のような個別単位;粉末または顆粒;溶液、または水性液体懸濁液もしくは非水性液体懸濁液;あるいは水中油型液体乳濁液または油中水型液体乳濁液として提示されてもよい。活性成分はまた、急速静注薬、舐剤またはペーストとして提示されてもよい。
【0127】
シロップ製剤は一般的に、液体担体、例えば、香味剤または着色剤を含む、エタノール、落花生油、オリーブ油、グリセリン、あるいは水に含まれる化合物の懸濁液または溶液から成る。
【0128】
組成物が錠剤の形態である場合、固形剤を調製するのに日常的に用いられる任意の医薬担体を用いてもよい。そのような担体の例としては、アカシアゴム、ラクトース、D−グルコース(デキストロース)、スクロース、フルクトース、ガラクトース、ゼラチン、デンプン、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、イソマルト、マンニトール、マルチトール、ステアリン酸、ソルビトール、タルク、キシリトール、およびその混合物が挙げられる。
【0129】
錠剤は、適宜1つ以上の副成分と共に圧縮または成形することにより製造してもよい。圧縮錠は、適切な機械で、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、滑沢剤、界面活性剤または分散剤と適宜混合した粉末または顆粒のような自由流動形態の活性成分を圧縮することにより調製してもよい。湿製錠剤は、適切な機械で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することにより製造してもよい。錠剤は適宜コーティングするかあるいは印をつけてもよく、そこで活性成分の持続または制御放出をもたらすように製剤化してもよい。
【0130】
組成物がカプセルの形態である場合、例えば硬ゼラチンカプセルに入れた前記の担体を用いる、任意の日常的なカプセル化が適切である。組成物が軟ゼラチンカプセルの形態である場合、分散液または懸濁液を調製するのに日常的に用いられる任意の医薬担体、例えば、軟ゼラチンカプセルに取り込んだ水性ガム、セルロース、ケイ酸塩または油を考慮してもよい。
【0131】
好ましくは、組成物は、患者が1回用量を服用してもよいように、単位剤形、例えば錠剤またはカプセルである。
【0132】
治療効果を達成するのに必要な各活性物の量は、当然ながら、特定の活性物、投与経路、治療中の対象、および治療されている特定の障害または疾患によって異なるであろう。
【0133】
有効量は通常、1日当たりの活性成分が0.01〜2000mgの範囲内である。1日用量は、1日当たり1回以上の処置、好ましくは1〜4回の処置で投与されてもよい。好ましくは、活性成分は、1日に1または2回、より好ましくは1日に1回投与される。
【0134】
活性物の組み合わせが用いられる場合、全ての活性薬剤は、同時にまたは非常に短い時間差で投与されるであろうと考えられる。代わりに、1または2つの活性物は朝に、他のものは当日遅くに服用され得る。あるいは、別の状況では、1または2つの活性物は1日に2回、他のものは1日に1回服用され得、1日2回投与の1回として同時に、または別々のいずれかで服用され得る。好ましくは、少なくとも2つの、より好ましくは全ての活性物は同時に一緒に服用されるであろう。好ましくは、少なくとも2つの、より好ましくは全ての活性物が混合物として投与されるであろう。
【0135】
組成物(製剤)例として引用される以下の製剤形態は、当業者に十分に明確にかつ完全に本発明を説明するために与えられているが、本明細書の先行部分に明確に記載されているようにその主題の本質的な局面を制限するものとして考慮されるべきではない。
【0136】
本発明により、本発明の化合物が、経口投与されると、自己抗体により仲介される免疫水疱性皮膚疾患に対する有効性を有意に改善することが見いだされたのは驚きである。本発明の化合物の経口有効性は、局所投与により送達する場合の化合物の有効性よりも高い。
【実施例】
【0137】
組成物実施例1
それぞれ100mgのLAS191954,メタンスルホネート(活性成分)を含む50,000個のカプセルを、以下の処方設計に従って調製した:
【表1】
【0138】
手順
上記の成分を60メッシュ篩に通して篩過し、適切な混合器に入れ、50,000個のゼラチンカプセルに充填した。
【0139】
組成物実施例2
それぞれ50mgのLAS191954,メタンスルホネート(活性成分)を含む50,000個の錠剤を、以下の処方設計から調製した:
【表2】
【0140】
手順
全ての粉末を、開口部が0.6mmのスクリーンに通し、次いで適切な混合器内で20分間混合し、9mmディスクおよび平面傾斜パンチ(flat bevelled punche)を用いて300mgの錠剤に圧縮した。錠剤の崩壊時間は約3分であった。
【0141】
記載された化合物、組み合わせまたは医薬組成物の本質的な局面に影響を及ぼさないか、改変しないか、変更しないか、または修正しない修正は、本発明の範囲内に含まれる。
【0142】
以下の実施例は本発明を説明する。
【0143】
実施例1−インビトロ薬理学研究
LAS191954の薬理学を幅広いインビトロ研究で調べた。
【0144】
PI3Kδ酵素滞留時間
LAS191954の滞留時間(50%の阻害剤の解離が起こる時間間隔)は、p110δに対して12分または17分を示したのに対し、他の3つのクラスIイソフォームに対しては<1.4分を示した。
【0145】
酵素性および細胞性力価
4つのクラスI PI3K組み換えヒトイソフォームに関する酵素性力価は、化合物のプレインキュベーション時間を30分間とし、均一時間分解蛍光により決定した(表1)。LAS191954は標的に対して2.6nMの力価を示し、選択性は、PI3K p110αと対比すると最大であり、PI3K p110γおよびp110βと対比すると同じくらいで最小であった。
【表3】
【0146】
細胞性力価は、確立された細胞アッセイで決定した(表2)。1次PI3Kδ依存性細胞アッセイは、THP−1細胞において、PI3Kδの下流のエフェクターである、M−CSFにより誘導されるAKTのリン酸化をベースにして構築した。7.8nMのIC50が得られ、化合物が高透過性であることを示した。PI3Kβの細胞阻害を評価するため、HUVEC細胞を、スフィンゴシン−1−Pを用いて刺激することをベースにしたアッセイを用いた。結果は、βイソフォームに対する細胞選択性が38倍であることを示した。
【0147】
B細胞表面上の主要な受容体は、膜免疫グロブリン(Ig)とIgα/Igβヘテロ二量体から成るBCRである。BCRは、抗原の認識および結合を担う。BCRと関連があるシグナル伝達経路は、B細胞の発生、活性化、増殖、分化(例えば記憶および血漿B細胞)およびアポトーシスに不可欠である。ナイーブB細胞では、BCRが同種抗原によりライゲーションされることにより、細胞に増殖および分化を誘導し、最終的には抗原に対して特異的な抗体の産生をもたらすであろう、一連の反応/シグナル伝達カスケードが開始される。PI3Kδキナーゼは、BCRに抗原が結合するとB細胞の活性化に関与することから、PI3Kδの阻害剤は、BCRの活性化をインビトロで阻害すると予想される。
【0148】
ヒトB細胞の機能へのLAS191954の効果は、インビトロで、B細胞受容体を、抗IgMまたは抗IgD抗体のいずれかを用いて架橋し、フローサイトメトリーによりCD19+ B細胞サブセットにおける初期活性化マーカーであるCD69を評価することにより評価した。単離されたPBMCにおいて、化合物は4.6nMのIC50を示した。ヒト全血中で実施した類似のアッセイは、IgDに対して47nMのIC50、IgMに対して34nMのIC50を示した。血漿タンパク質の結合は、単離されたPBMCと全血アッセイとの間の力価の差を説明する主な要因である。これらのデータは、LAS191954が、全血中のPBMCにおいて、B細胞の活性化および抗体産生を阻害する活性があることを示す。
【0149】
免疫複合体により誘導されるROS(活性酸素種)の放出を評価する、ヒト好中球の機能アッセイにおいて、LAS191954は11nMの力価を示し、PI3Kδがこの効果に関与する唯一のイソフォームである可能性を示唆した。
【表4】
【0150】
一般的選択性
LAS191954の活性は、以下のものについて、単一濃度10μMで評価した:
81種類のGPCR受容体、8種類のイオンチャネルおよび5種類のトランスポーター(Cerep)
273種類のタンパク質および脂質キナーゼ(Millipore,InvitrogenおよびProQinase)
【0151】
細胞毒性
化合物を24時間インキュベートした後でCHO細胞の細胞毒性を評価するアッセイにおいて、LAS191954は、試験した全ての濃度にて無視できる程度の細胞毒性を引き起こし、試験した最高濃度100μMにて最大27%の細胞死を引き起こした。この結果は、化合物が、達成される推定治療的血漿/組織濃度にて、細胞毒性があるとは予想されないことを示す。濃度間で用量反応は観察されない。
【0152】
実施例2−インビボ薬理学研究
LAS191954の薬理学は、下記の表3に記載されている様々な研究を用いて、インビボで調べた。これらの研究の結果は表4に要約されている。
【表5】

【表6】
【0153】
LAS191954は、マウスにおいてT細胞依存性抗体反応を阻害する
免疫系の機能へのLAS191954の効果をさらに検証するため、マウスにおいて、抗原としてKLHを用いる、TDAR(T細胞依存性抗体反応)アッセイを選んだ。このアッセイは、抗原提示、ヘルパーTリンパ球の機能およびBリンパ球依存的抗体産生への、薬物候補の効果を包括的に推定することを可能にする。
【0154】
特異的抗体反応の動態に従って、抗KLH特異的1次IgMへの効果を、LAS191954を用いて4日間連日治療した(0.03〜10mg/kg)後、免疫化後(PI)後+5日目に解析し、特異的1次IgGへの効果を、14日間の投与期間(0.03〜1mg/kg)の後、PI+15日目に評価した。いずれの場合も、試験化合物の投与は、感作した当日に開始した(+1日目,KLH 2mg/マウス,静脈内投与)。LAS191954は、有意に、KLHに対する1次IgM(ID50=0.12mg/kg)およびIgG(ID50=0.17mg/kg)反応の用量依存的な減少を誘導し、動物の全般的な健康状態に明らかな影響はなかった。抗KLH1次IgM反応の減少には、主に末梢血リンパ球数が減少したことにより、WBC数の減少が伴った。対照的に、特異的IgGを解析した研究では、LAS191954を用いて治療した後、リンパ球数に明らかな影響は観察されなかった。この相違の考えられる理由としては、後者の研究の同時媒体群のリンパ球数が通常よりも異常に低かったことから、このパラメーターへの試験化合物の潜在的な効果を隠した可能性がある。
【0155】
続いて、LAS191954の効果を、マウスにおける2次TDARアッセイで評価した。このアッセイには、15日間隔ててKLHで2回免疫化する(50μg KLH/動物,腹腔内投与)ことが含まれ、2回目の免疫化後+11日目に抗KLH特異的IgGレベルを測定した。試験化合物の投与(0.3および3mg/kg)は、2回目の免疫化をした当日(+1日目)に開始し、次いでそれから9日間1日に1回行った。LAS191954は、有意に、抗KLH2次特異的IgG反応の減少を誘導し、これにはリンパ球数の減少が伴い、ID50<0.3mg/kgであった。
【0156】
同じTDARアッセイプロトコルにおいて、代表的なコルチコステロイドは、有意に、抗KLH抗体反応の変化を誘導しなかった一方、末梢リンパ球数および胸腺の重量を減少させた。
【0157】
実施例3−自然発症自己免疫疾患モデルにおける特異的Dsg3自己抗体の産生の阻害
MRL/lprマウスモデルは、自己免疫関連の特徴、特に自己抗体の産生を改善することを実証する有効性のモデルとして選んだ。この研究の1次エンドポイントは、天疱瘡に特異的な抗Dsg3抗体を含む、自己抗体の産生を評価することであった。
【0158】
マウスを、媒体単独、3mg/kgのLAS191954または10mg/kgのプレドニゾロンを、1日に1回、6週間、経口投与するものに無作為に割り付けた。LAS191954の用量は、1日に1回投与すると、PI3Kδを24時間完全にカバーするように選んだ。プレドニゾロンの用量は以前の報告に基づいて選び、ヒトにおける高CS用量に相当する。
【0159】
自己抗体は進行的に生じ、動物ごとに異なる経過をたどることがあるため、抗dsDNA抗体レベルを12週目に測定し、動物を均一に投与群に分配するのに用いた。13週目に連日治療を開始し、6週間継続した。dsDNAおよびDsg3に対する抗体は、12、15、17および19週目に測定した。皮膚病変は、研究を通して目視検査した。タンパク尿のような他のパラメーターへの影響、並びに一般的な血液学的、血清学的および組織学的所見は、研究終了時に評価した。
【0160】
自己抗体の産生の動態解析は、抗dsDNA抗体レベルが抗Dsg3抗体よりも約2,000倍高く、12週目から19週目の間、着実に増大することを実証した。LAS191954を、3mg/kgの用量で、6週間、連日投与すると、抗dsDNAおよび抗Dsg3抗体の産生は有意に減少した(図1および2を参照のこと)。12〜19週目を含む曲線下面積を算出し、12週目当初の各個体の抗体力価について標準化すると、LAS191954は、抗Dsg3および抗dsDNA抗体をそれぞれ、47.5%および66%阻害し、プレドニゾロン(それぞれ49.5%および47%)と同様であった(表5)。
【表7】
【0161】
特異的IgGの絶対レベルを測定すると、LAS191954は、投与の最終週に、抗dsDNAおよび抗Dsg3特異的IgGの平均レベルを減少させ、治療開始時のものを下回った(表6)。
【表8】
【0162】
図3は、治療開始時の力価と対比した19週目の抗体力価の倍率変化を示す。媒体で処理した動物では抗Dsg3抗体力価は約4倍に増大したのに対して、LAS191954およびプレドニゾロンはそれぞれ、平均して40%および20%の抗体レベルの減少を誘導し、治療開始時のものを下回った。同様に、治療終了時に、抗dsDNA抗体力価は約8倍に増大したのに対して、LAS191954は10%の減少をもたらし、プレドニゾロンはレベルを倍増させた。各個体について、19週目の抗体力価と12週目のものとの間の比を算出した。(値は各治療群±標準誤差の比の平均を表す。*p<0.05;**p<0.01;ns 統計的に有意でない)
【0163】
このことは、能動免疫化に依存しない自己免疫疾患の自然発症モデルにおいて、LAS191954を用いた長期にわたる連日治療により、抗Dsg3自己抗体の産生を有意に減少させることができることを実証する。dsDNA、および最も重要なことには、PVにおける特異抗原であるDsg3のいずれに対する抗体も、同様の効率で減少した。
【0164】
実施例4−免疫化により誘導される後天性表皮水疱症(EBA)のマウスモデル
PI3Kδ阻害と、自己抗体により仲介される皮膚病変の改善との間の関連を実証するため、LAS191954を、B6.SJL−H2sマウスで免疫化により誘導される後天性表皮水疱症(EBA)のマウスモデルにおいて試験した。
【0165】
材料および方法
動物実験
実験的EBAの誘導は、Iwata H, Bieber K, Tiburzy B et al., J Immunol. 2013;191:2978-2988に記載されているように実施した。簡潔には、6〜10週齢のB6.SJL−H2sマウスを、アジュバント(Titermax)中にマウスタイプVIIコラーゲン(COL7)のvWFA2結合ドメインを含む組み換えタンパク質の乳濁液で免役した。免疫化した後、マウスを、毎週、皮膚病変(紅斑、水疱、びらんおよびかさぶた)に冒された体表の割合として測定される、臨床疾患の存在および程度について評価した。2%以上の体表面積が皮膚病変に冒されたら、マウスを以下の治療群の1つに無作為に割り付けた:
無治療コントロールとなる媒体(n=5)
標準治療となるメチルプレドニゾロン(MP,20mg/kg/日で経口投与)(n=6)
3mg/kg/日で経口投与するLAS191954(n=6)
【0166】
治療は6週間にわたって実施し、マウスは、毎週、臨床疾患の程度(1次エンドポイント)について評価した。臨床症状は0〜5でスコア化し、それぞれ、0%、<1%、≧1%〜<5%、≧5%〜<10%、≧10%〜<20%の体表面積が冒されていることに相当する。治療に割り付けた1、2、3、4、5および6週間後、組み入れた時のスコアから曲線下面積(AUC)を算出した。実験間の比較可能性を高めるため、1〜6週目の冒された体表面積を、組み入れた時のもの(1週目に設定)に関連付けた。
【0167】
体重は、治療中毎週モニターした。
【0168】
結果
媒体で処理したマウスでは、相対臨床スコアは、6週間の治療期間の終了時に1から1.7に増大し、治療の4週目に2.5の最大インデックスが観察された(図4および5)。
【0169】
図4は、治療に組み入れた時のスコアに対する、皮膚病変に冒された体表面積の割合を示す。媒体で処理した群では、疾患の重症度は、6週間の治療期間中に増大している。メチルプレドニゾロンは、媒体で処理した群と対比して、6週間の治療期間中に臨床的重症度を多少低減させたものの、統計的に有意ではなかった。対照的に、LAS191954は、同じ期間にわたって、進行的にかつ有意に(4、5および6週目はp<0.001)臨床的重症度を低減させ、当初のものを下回る最終スコア、すなわち当初の臨床スコア(平均値±標準誤差)を上回るものでさえ得られ、正常化への明らかな傾向を示した。
【0170】
図5は、図4のグラフから導かれるAUCとして表される全体的な疾患活動性を示す(中央値±四分位)。経時変化の結果に一致して、曲線下面積の算出は、媒体と対比して、LAS191954治療に伴って、経時的に、累積臨床スコアの有意な減少を示した。
【0171】
図6は、治療期間終了時の、3治療群の代表的な臨床症状を示す。
【0172】
体重増加は、LAS191954の投与では経時的に変化しなかった。対照的に、メチルプレドニゾロンは、特に治療開始時に、体重増加を減少させた(図7)。LAS191954で処理した群は、媒体で処理した群と同様の挙動を示し、治療期間に沿って緩やかな体重増加があった。メチルプレドニゾロンで処理した群は、特に治療の最初の2週間は、媒体群よりも少ない体重増加を示した。
【0173】
結論
LAS191954は、後天性表皮水疱症の誘導モデル、すなわち自己抗体により仲介される水疱性疾患モデルにおいて、皮膚疾患の兆候を改善する。効果は、高用量コルチコステロイドを用いる治療により誘導されるものよりも良く、時間依存的な臨床的正常化への明らかな傾向を示す。まとめると、これらの結果は、皮膚水疱性疾患におけるPI3Kδ阻害と臨床的有効性との間の直接的な関連を提供している。
【0174】
実施例5−新生児受動伝達(neonatal passive transfer)モデル
LAS191954は、抗Dsg3抗体により誘導される皮膚損傷への直接的な効果を示さなかった。
【表9】

統計的有意性は、ホルム−シダックポストテスト分析を用いて二元配置分散分析で算出した(対 NH IgG,PV IgG;ns:有意でない)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】