(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-517134(P2017-517134A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(54)【発明の名称】特に高圧大電流の遮断のための電気的遮断スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 39/00 20060101AFI20170526BHJP
【FI】
H01H39/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-516029(P2017-516029)
(86)(22)【出願日】2015年6月2日
(85)【翻訳文提出日】2017年1月13日
(86)【国際出願番号】DE2015100218
(87)【国際公開番号】WO2015185038
(87)【国際公開日】20151210
(31)【優先権主張番号】102014107853.5
(32)【優先日】2014年6月4日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516363949
【氏名又は名称】ピーター レル
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】ピーター レル
(57)【要約】
本発明は、特に高圧大電流の遮断のためのスイッチに関し、当該遮断スイッチを通る電流路を規定する接点ユニットを囲むケースと、ガス発生活性化可能材料を有する推進装薬とを有し、接点ユニットは第1接続接点及び第2接続接点と、反転領域と、分離領域と、サボットとを有し、推進装薬と接点ユニットは、遮断する電流が、第1接続接点を介して供給されると共に第2接続接点を介して放出されるように構成され、推進装薬が点火されると、ガス発生活性化可能材料によって生じたガス圧がサボットに印加されることで、当該サボットが反転領域を塑性的に変形させながら、ケース内で始動位置から終端位置の移動方向に移動し、分離領域を完全に分離し、そしてサボットの終端位置において、分離領域の分離された端部間に断路距離を形成するように構成されている。本発明によれば、サボットの移動及び/又は反転領域の反転により消火剤を収容するための容積が低減し、これにより、分離領域の端部間の電気アークを消火又はその形成を阻止するために、少なくとも一つの放出路を通して分離領域が位置するチャンバ内に消火剤が注入される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)遮断スイッチを通る電流路を規定する接点ユニットを囲むケースと、
(b)ガス発生活性化可能材料を含む推進装薬とを有し、
(c)前記接点ユニットが、第1接続接点及び第2接続接点と、反転領域と、分離領域と、及びサボットとを有し、
(d)前記推進装薬と前記接点ユニットが、
i 遮断される電流が、前記第1接続接点を通して供給されると共に前記第2接続接点を通して放出され、
ii 前記推進装薬が点火されると、前記サボットが、前記ガス発生活性化可能材料により発生したガス圧に晒され、前記ケース内の前記サボットが、始動位置から終端位置に向かう移動方向で移動し、当該動作において、前記反転領域が塑性的に変形し、前記分離領域が完全に分離され、前記サボットの終端位置において、前記分離領域の分離された端部間に絶縁距離が実現される、ように具体化され、
(e)前記サボットの移動の結果及び/又は前記反転領域の反転動作の結果として、消火剤を収容するための容積が低減され、前記分離領域の端部間の電気アークを消したりその発生を阻止するため、前記消火剤を収容するための容積を、前記分離領域が位置するチャンバに接続する少なくとも1つの放出路を通して前記消火剤が注入されるように前記消火剤が提供されることを特徴とする、特に高圧大電流を遮断するための電気的遮断スイッチ。
【請求項2】
前記消火剤を収容するための容積が前記反転領域の内側に配設されていることを特徴とする請求項1の電気的遮断スイッチ。
【請求項3】
前記反転領域の壁が前記反転動作の結果として折り畳まれるように、望ましくは蛇行状に折り畳まれるように、前記反転領域の材料及び形状が設計されていることを特徴とする請求項1又は2の電気的遮断スイッチ。
【請求項4】
前記反転領域が中空円筒状に、望ましくはその断面が環状に具体化されていることを特徴とする請求項2又は3の電気的遮断スイッチ。
【請求項5】
前記反転領域の内側の、少なくとも1つの閉鎖的で望まくは柔軟性の殻内に、前記消火剤が配設され、当該殻は前記反転領域によって破壊可能であることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項の電気的遮断スイッチ。
【請求項6】
少なくとも1つの前記放出路がノズル形状で具体化されていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項の電気的遮断スイッチ。
【請求項7】
少なくとも1つの前記放出路が、望ましくは少なくとも1つの放出開口付近で、前記遮断スイッチの遮断動作の間に破壊可能な薄膜によって閉じられていることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項の電気的遮断スイッチ。
【請求項8】
1つ又はそれ以上の前記放出路が前記サボットに配設され、当該1つ又はそれ以上の放出路の1つ又はそれ以上の前記放出開口が、前記サボットに隣接した前記分離領域の断面付近で、少なくとも分離されていない状態で具体化されていることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項の電気的遮断スイッチ。
【請求項9】
前記接点ユニットが直線的な長手方向軸を有し、当該長手方向軸に沿って前記サボットが移動可能とされ、前記分離領域が前記長手方向軸に位置すると共に前記サボットに隣接して配設され、前記長手方向軸に前記放出開口が位置していることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項の電気的遮断スイッチ。
【請求項10】
前記サボットが2つの部品で具体化され、絶縁材料で構成された第2サボット部品が、前記接点ユニットと強固に結合されるか又は一体形に具体化された第1サボット部品を囲み、前記第2サボット部品が望ましくは前記第1サボット部品と前記ケースから密封されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項の電気的遮断スイッチ。
【請求項11】
前記分離領域及び前記推進装薬が、
(a)前記推進装薬が点火すると、前記サボットの移動によって前記分離領域が破裂又は少なくとも部分的に破裂して完全に分離されるか、又は、
(b)前記推進装薬が点火すると、前記サボットの移動によって前記分離領域が、破壊されない分離可能な2つの部品が離れ離れに押圧される、
ように具体化されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項の電気的遮断スイッチ。
【請求項12】
前記接点ユニットが少なくとも2つの部分接点ユニットを有し、それぞれの前記部分接点ユニットが反転領域と、分離領域と、及びサボットを有し、
(a)前記部分接点ユニットが、
i 前記推進装薬が点火すると、各前記サボットが圧力に晒され、前記ガス発生活性化材料によって発生したガス圧に、適用できる前記サボットが前記ケース内で始動位置から終端位置に移動し、当該動作中に、関連する前記反転領域が塑性変形し、適用できる前記分離領域が完全に分離し、適用できる前記分離領域の終端位置において、前記分離領域の分離された端部間に絶縁間隔が形成され、
ii 1つ又はそれ以上又はすべての前記サボットの移動の結果として、及び/又は、1つ又はそれ以上又はすべての前記反転領域の反転作動の結果として、前記消火剤を収容するための容積が低減され、それぞれの場合に、前記消火剤を収容するための容積を、前記分離領域が位置する前記チャンバに接続する少なくとも1つの前記放出路を通して、適用できる前記分離領域の端部間の電気アークを消し、又は当該電気アークの発生を阻止するために、前記消火剤が注入されるように消火剤が配設されるように、配設されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項の電気的遮断スイッチ。
【請求項13】
2つの前記部分接点ユニットが配設され、当該接点ユニットとケースが中央平面に関して鏡面対称で具体化され、前記分離領域と前記サボットは、望ましくはそれらの間に位置する前記反転領域の外側に配設されていることを特徴とする請求項12の電気的遮断スイッチ。
【請求項14】
前記部分接点ユニットは、2つの前記反転領域が互いに向き合って当該反転領域の内側に前記消火剤を収容するための共通の容積が配設されるように具体化されていることを特徴とする請求項13の電気的遮断スイッチ。
【請求項15】
前記各部分接点ユニットは別々の推進装薬を割り当てられ、当該別々の部分推進装薬の活性化と本質的に同時の点火のための点火装置が配設されていることを特徴とする請求項12から14のいずれか1項の電気的遮断スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気的遮断スイッチに関し、特に高圧大電流を遮断するため、請求項1の序文の特徴を有する電気的遮断スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなスイッチは、例えば発電所や自動車技術において、非常時における大電流電気回路の規定された高速遮断のために使用される。20年もの長い間でも、メインテナンス無しでも、遮断作動と遮断機能の確実な信頼性が保証されるこの種のスイッチの需要がある。さらに、回路内で生じる高温のガス、粒子、放出片、プラズマ又は高電圧に由来する潜在的な危険性が、そのようなスイッチで増えてはならない。
【0003】
自動車技術における1つの可能性ある適用分野は、例えばケーブルの絶縁被覆が事故で自動車ボディの突き出た板金部品で削ぎ取られたり、又は緩くなったケーブルの端部同士が押し合ったり、又は緩くなったケーブルの端部が板金部品を押したりして、その絶縁被覆が削ぎ取られた場合に発生する電気火花やプラズマから発火源を回避するために、事故直後に自動車バッテリ又は駆動バッテリから車載配線を規定通り不可逆に遮断することである。そのような発火源は、事故においてガソリンも漏れると、例えばエンジンのフードの下側に蓄積されたガソリンと空気の引火しやすい混合物に着火する可能性がある。追加の適用分野は、車載電気システムに由来する、別個の電気ヒータ又は電気ブレーキのような部品組立品の中で短絡が起きた場合の当該部品組立品の電気的断線と、航空機と同様に今日では電気自動車及びハイブリッド自動車で使用されているようなリチウムバッテリの緊急遮断である。小さな構造的容積を有するこれらバッテリは、極端に低い内部抵抗で1200Vまでの高い端子電圧を有する。両方の要因により、電源電圧が大きく低下することなく5000Aまでの短絡を引き起こす可能性がある。個々の太陽電池モジュール又は全体の大規模太陽電池設備の緊急遮断のために必要であれば、ここで提示された遮断スイッチが、トリガー又は遠隔操作可能に具体化できるので非常に相応しい。さらに遮断スイッチは、従来型の安全ヒューズのように受動的に遮断する遮断スイッチを追加又は代替する形で具体化することができる。
【0004】
能動的にトリガー作動して遮断する火薬ヒューズは従来技術で知られている。例えばドイツ特許公開第2103565号公報(特許文献1)は、互いに離間した2つの端子領域で、安全にすべき導体の端部にいずれの場合も結合される金属ケースを含む電流遮断器を開示している。電流路はケースを介して延在する。装薬によって形成される火薬要素がケース内に配設される。当該装薬は、供給電流によって気化する点火要素を含む電気点火器によって作動可能である。ケースは絶縁流体で満たされている。軸方向に延びたケースは、装薬が点火すると、それに沿ってケースが裂けるようにした、周囲を取り囲む溝を有する。ケースはその後、電気的に互いに分離した2部品に分解し、それにより適用できる電気回路が断線される。発生したプラズマは、非常に大きな電流の強さの電気回路が遮断されると、この電流遮断器内で霧状の絶縁流体によって消滅する。当該遮断動作は、例えば衝撃センサの信号によって自動車において発生可能である。
【0005】
この公知の装置では、シース全体を遮断温度まで加熱する必要があり、その後に爆発型反応が確実に起きないので、安全にすべき導体が過負荷になると電気回路を断線するため自己遮断する構成は配設されていない。これは爆薬に点火するのが困難だからであり、換言するとシースを単に加熱することによって爆発させて反応させるのが困難だからである。しかし、例えばドイツ特許公開第2103565号公報に記載されたケース形態では、この種の点火又は爆発が必要である。
【0006】
火炎前面速度が定義上2000m/s以上に達する場合、火薬製造術においては「爆発反応」の用語が世界的に使用されていることに触れておかなければならない。
【0007】
この公知の装置のさらなる欠点は、爆発物又は起爆剤さえ充満した部品組立品を有する装置のために許可を取得する際の問題である。そのため、当該装置は今まで商業的に使用されなかった。当該装置は研究施設において特別な実験のためにごく稀に使用される。当該装置は非常に低い取扱安全性と極端に高い潜在危険性があり、大きな難点がある立ち入り規制区域内でないと保管できないのもその理由である。
【0008】
多くの場合において、例えば過負荷センサのための追加費用なしで、過負荷に対して或いは遮断センサシステム又は遮断回路の故障の場合に対して、ケーブルを保護するためそのようなスイッチの自己遮断機能又はヒューズ装置の必要性がある。そのようなスイッチは、制御可能に遮断する能力があるだけでなく、従来の安全ヒューズの場合のように、誰もが安全に取扱可能な安全ヒューズの形態の従来の大電流安全ヒューズの機能をも有するべきである。
【0009】
この種の大電流安全ヒューズは、定格アンペア数に到達した後に遮断時間が広い帯域幅内で変動するという欠点がある。そのように保護されたケーブルは、30%のように、その電流搬送能力のごく軽い割合で負荷を掛けられ、さもないと過負荷の場合に例えばケーブル火災が起こる。
【0010】
ドイツ特許公開第19749133号公報(特許文献2)から、自己遮断とトリガー可能な遮断の両方を可能にする電気回路用の緊急遮断スイッチが知られている。その目的のため、火薬コアを有する電気導体が使用される。当該コアは例えば発射薬の装薬を有する。当該火薬コアは、一方で、許容電流強度(定格電流強度)が超過すると、電気導体の加熱により点火される。他方で、始動可能な点火装置、例えば赤熱電線の形態の点火装置によって、火薬コアが点火されるように条件が設定される。しかし、ドイツ特許公開第19749133号公報は、そのような装置の原則を説明しているだけで、有利的に都合よく構成できる実施形態について何も手掛かりを与えていない。これは、この種の火薬コアを有する導体を生産するのは、かなりの努力と費用を要するからである。さらに、この種の緊急遮断スイッチでも、導体の高速遮断は、爆発性爆発物を使用した場合にのみ保証される。急速燃焼物、すなわちサーマイト又はニトロセルロース火薬のように爆発的に反応させることができない物質で起こることは、導体が完全に遮断されることなしに、導体が破裂し、残留ガスが放散することである。完全な遮断は、ヒューズを通した電流流れの結果としての導体の完全な溶融により実現される。しかし、高電圧、特に100V高いだけのスイッチング電圧では、ヒューズ内でイオン発生及びプラズマ形成をもたらし、それ故回路の遮断を非常に妨げやすい。
【0011】
本願出願人のドイツ特許公開第10028168号公報(特許文献3)から、電気的スイッチ、特に大電流を遮断するための電気的スイッチが、2つの方法、すなわちトリガー可能な点火装置によって能動的に、及び、遮断する電流のアンペア数を介して受動的に、具体化し得ることが知られている。当該スイッチは接点ユニットを含むケースを有し、当該接点ユニットは、遮断する電流を供給し及び放出するため、固定状態でケースに接続されてケースと一体化された2つの接続接点を有し、当該2つの接続接点はスイッチのスタート状態でケース内において電気的導伝的に結合されている。ケース内には活性化可能な材料が配設され、当該活性化可能材料は活性化が始まると接点ユニットを押し付けるガス圧を発生させ、接点ユニットが当該ガス圧に晒されることで電気的導伝的な結合が遮断される。接点ユニットは、発生したガス圧にさらされることで固定接続接点に対して相対的に可動な接点要素を含み、当該接点要素が、発生したガス圧にさらされた結果としてスタート位置から終了位置へ接点ユニットの軸線の方向に移動され、当該移動中に接点ユニットを介した電気的接続が遮断される。
【0012】
このスイッチは、どの部品も外側に対する動きが全くないように設計されている。さらに活性化において、危険なガス又は破片はいかなる物も外側に飛散しない。
【0013】
しかし、このスイッチユニットは比較的高電圧の遮断用に限定的に適合し、それ以後、分離領域の四分五裂した端部の外側移動の結果として、分離領域の不通により電気アークが形成される危険性がある。活性化前のスタート状態で分離領域を囲んでいる消火剤の使用についての実験は、望ましい成功がそれによっては成し遂げられなかったこと、すなわち電気アークの発生が不可避であるか、又は既に存在する電気アークが確実には消滅されないことを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この従来の技術に基づき、火薬遮断スイッチ、特に高圧の大電流を遮断するための火薬遮断スイッチであって、電気アークによって維持される電流を回避することで高圧大電流の遮断を安全確実に行う火薬遮断スイッチを形成することが本発明の目的である。さらに、安全に関して完全に申し分のないスイッチが形成され、当該スイッチは簡単かつ経済的な方法で生産可能である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は当該目的を請求項1の特徴で実現する。
【0016】
本発明の電気的遮断スイッチにおいて、本願出願人のドイツ特許公開第10028168号公報のスイッチのように、安全上の理由によりスイッチの生産及び取り扱いの両方において容認できない、爆発的反応でのような爆発衝撃波を発生する必要性のない、スイッチ動作を行うための、十分に高いガス圧のみを形成する活性化可能な材料を使用することができる。
【0017】
本発明の電気的遮断スイッチは、遮断スイッチを通る電流路を規定する、接点ユニットを囲むケースを有する。ガス発生活性化可能材料を含む推進装薬が配設される。接点ユニットは、第1接続接点及び第2接続接点と、反転領域と、分離領域と、サボット(sabot)を有する。推進装薬及び接点ユニットは、遮断される電流が、第1接続接点を経由して接点ユニットに供給され、また当該接点ユニットから第2接続接点を経由して放出され得るように具体化され、そして推進装薬が点火されると、サボットがケース内で開始位置から到達位置に向かう移動方向において移動し、そして当該移動中は反転領域が塑性的に変形し、これで分離領域が完全に分離され、サボットの到達位置において分離領域の分離された端部間に所定の断路距離が形成されるように、サボットがガス発生活性化可能材料によって発生したガス圧に晒される。当該断路距離は、遮断される各電圧に対して十分なように選定される。
【0018】
本発明によれば、サボットの移動及び/又は反転領域の反転動作の結果として、分離領域の端部間の電気アークの発生を消火又は阻止するために、消火剤の収容のための容積を、分離領域が位置するチャンバに接続する、少なくとも1つの放出路を通して消火剤が注入されるように消火剤を収容するための容積が低減するように消火剤が配設されている。
【0019】
本発明の設計において、消火剤を収容するための容積は、反転領域の内側に配設することができる。消火剤を収容するための当該容積は反転動作によって低減され、そして当該消火剤が少なくとも1つの放出路を通して接点ユニットの分離領域の分離された端部間のチャンバ内に注入される。結果として、電気アークを消火或いは最初の段階でその発生を阻止することが可能である。
【0020】
本発明の実施形態において、反転領域は、反転動作の結果として、反転領域の壁が折り曲げられるように材料及び形状に関して設計可能であり、望ましくは蛇行形状で設計可能である。
【0021】
この目的のため、反転領域は中空円筒状に、望ましくは断面形が環状に具体化することができる。消火剤はこのようにして中空円筒の内側に導入可能である。環状断面は、反転動作中の中空円筒壁の円周に渡って均一な折り曲げを促進する。消火剤は、放出路に進入する壁の破片によって妨害されることなく、収容容積から吐出可能である。
【0022】
消火剤は少なくとも1つの閉じた、望ましくは可撓性の殻の中に配設することができ、当該殻は反転領域の内側にあって反転動作により破壊される。少なくとも1つの放出路が遮断動作でのみ閉じられると共に再び開かれることは、絶対的に必要ではない。さらに、消火剤は収容容積内に非常に容易に導入可能である。極小のビーズの形状の破壊可能な多数の殻を使用することもまた可能であり、当該殻は容積の低減によって生成される(及び適用できる場合は活性化可能な材料によって生成されるガスの)圧力で消火剤が開放されるように破壊される。
【0023】
破壊できる殻として、ガラス又はプラスチック小管として具体化可能な、ガラス容器又はプラスチック容器のような硬質容器を使用することも可能であり、当該ガラス容器の或る領域は望ましくは意図的な破壊点を備え、当該破壊点を放出路の近傍に配設することができる。
【0024】
少なくとも1つの放出路を、少なくとも放出開口の上流領域においてノズル形状で具体化することができる。結果として、放出される消火剤の方向、断面及び速度に関して、消火作用のために好都合な放出が実現される。特に消火剤の流れが、分離領域の固定された分離端部を目指すように放出路を設計可能である。
【0025】
しかし、サボットの動作の結果として、その後にサボットの中の1つの又はそれ以上の放出路を通して燃焼室内に消火剤を注入するために、反転領域の外側に位置する収容容積内に消火剤を導入することが同様に可能である。1つの放出路又は複数の放出路は、それから、消火剤用の少なくとも1つの入口開口を有し、当該入口開口を通して消火剤が収容容積から1つの放出路又は複数の放出路内に進入し、そして少なくとも1つの1つの放出開口から消火剤が放出される。放出開口の上流の少なくとも十分に長い領域内で、放出速度、直径、方向等のような望ましいパラメータを有する消火剤のための放出の流れが形成されるように、少なくとも1つの放出開口を位置決め可能であると共に、適用できる放出路の進路を構成可能である。
【0026】
爆発物、特に、点火剤によって燃焼又は反応するように製造可能なニトロセルロース火薬は燃焼室内の物質として適する。しかし、可燃性ガス、特に液体ガス又は他の液体、個体又は気体酸化剤を伴う燃料も使用可能であり、これらは点火剤、電気的放電、熱線又は爆発線によって反応するように製造される。
【0027】
一般的に推進装薬の用語は、本明細書の意味において、活性化後は多少なりともサボットに望ましい圧力を作用するガスを発生又は蒸発する、全ての物質又は物質の混合物をカバーするように理解される。
【0028】
適用できる圧力で、収容容積から適当な方法で放出されるどんな媒体も消火剤として適当である。特に、気体、気体状、泡状又は多相媒体のような消火液体でも具体化可能である。
【0029】
少なくとも1つの放出路は、望ましくは少なくとも1つの放出開口の近傍において、遮断スイッチの遮断動作の間に破壊可能な薄膜によって閉じられている。当該薄膜は、スイッチの初期状態において消火剤が既にいつでも収容容積から漏出可能なような性質を有する場合は少なくとも必要である。
【0030】
本発明の1つの実施形態において、1つの又はそれ以上の放出路は、当該放出路の1つの又はそれ以上の放出開口が、分離領域の断面の近傍において、少なくとも分離されていない状態ではサボットに隣接するように具体化されるように、サボット内に配設される。結果として、遮断動作の間に移動される接点ユニットの部品から、電気アークが成長することができる断面の内側に消火剤が放出され、その結果として、当該アークは確実に消火されるか或いは最初の段階でその発生が阻止される。
【0031】
接点ユニットは、それに沿ってサボットが可動な直線的な長手方向軸線を有することができる。分離領域はその後、サボットに隣接する共に長手方向軸線内に位置して配設可能であり、そして放出開口をその後長手方向軸線内に位置決め可能である。したがって、電気アークが最も成長しやすい軸線内に、消火剤の消火流れを正確に発生させることができる。
【0032】
しかし、多かれ少なかれ曲がったケース内で接点ユニットのサボットが動くことができるスイッチも考えられるので、両方の電流接続部が1°と360°の間の所定の角度(望まくは45°、90°又は180°の角度)であるスイッチが組み立て可能である。したがって、ケースが180°で屈曲している場合は、支柱領域の遮断後及びこじ開け後、両方の電流接続部が同じ側で停止するようにサボットがケース内で半円で動こうとする。
【0033】
1つの実施形態において、サボットは2つの部品で具体化可能であり、絶縁材料で構成された第2サボット部品は、接点ユニットに強固に結合されるか又は一体に具体化された第1サボット部品を囲むと共に第1サボット部品に作用し、当該第2のサボット部品は望ましくは第1サボット部品から密封されると共にケースから密封されている。この変形例で、少なくともケースの内壁のために導電材料、特に金属の使用が可能となり、その結果として金属の強度のため構造的に小さなスイッチが実現可能になる。
【0034】
分離領域と推進装薬は、推進装薬が点火されると分離領域が破裂又は少なくとも部分的に破裂し、そして、サボットの転移動作によって完全に分離されるように具体化される。例えば推進装薬は、少なくとも分離領域の内側に部分的に位置決めすることができる。推進装薬が点火されると、分離領域は完全に破裂するか、又は周方向に沿って少なくとも部分的に破裂する。分離領域が部分的に破裂すると、サボットと分離領域の部品の両方の転移動作の結果として完全な断線が発生し、分離領域の部品は分離後もサボットに依然として連結され、その結果として反転領域が反転する。
【0035】
しかし分離領域は、推進装薬が点火すると、分離領域の2つの破壊しない分離可能部分が、サボットの変位動作によって離れ離れに押圧されるように設計することも可能である。
【0036】
連続する複数の遮断を実行する遮断スイッチを形成するため接点ユニットが少なくとも2つの部分接点ユニットを有し、それぞれの部分接点ユニットが反転領域、分離領域及びサボットを有することができる。当該部分接点ユニットは、その後、推進装薬が点火されるとガス発生活性化可能材料によって生まれたガス圧に各サボットが晒され、ケース内の適用できるサボットが始動位置から終端位置に至る移動方向で動き、そして当該動作において関連する反転領域が塑性的に変形し、適用できる分離領域の終端位置において適用できる分離領域が完全に分離され、適用できる分離領域の終端位置間に絶縁スペースが実現されるように、それぞれの部分接点ユニットを具体化することができる。1つのサボット又はそれ以上のサボット又は全てのサボットの作動及び/又は1つ又は複数又は全ての反転領域の反転作動の結果として、それぞれの場合に消火剤を収容するための容積が低減され、適用できる分離領域の端部間の電気アークを消火又はその発生を抑制するため、消火剤を収容するための容積を関連する分離領域が位置するチャンバに接続する1つの放出路を介して消火剤が注入されるように消火剤が配設される。
【0037】
この種の連続する複数の遮断は、同時発生する遮断動作の間に、各遮断動作で分離領域の隔離されるべき端部間に比例電圧だけが作用し、したがって電気アークのリスクが低減されるという利点を有する。
【0038】
望ましい実施形態においては2つの部分接点ユニットが配設され、当該接点ユニットとそのケースは中央平面に関して鏡面対称で具体化され、そして分離領域とサボットが望ましくは2つの部分接点ユニットの間に位置する反転領域の外側に配設される。この実施形態では、連続分離の利点に加えて、機械的移動が反対方向に延びるので、少なくとも互いに大きく外側に相殺する利点を有する。
【0039】
サボットの移動とそれに関連した反転領域の反転動作で、消火剤のための単一の共通の受け取り容積に影響を及ぼすことができる一方、部分接点ユニットの各々のために放出路が配設されている。
【0040】
消火剤を収容するための共通容積は、部分接点ユニットの互いに向かい合った反転領域の内側に配設することができる。
【0041】
本発明の設計において、各々の部分接点ユニットは、別々の部分推進装薬を割り当てられることが可能であり、そして別々の部分推進装薬の、能動的かつ本質的に同時の点火のための始動装置を配設することが可能である。結果として、連続的に位置決めされた分離領域の利点、すなわち遮断動作の間に分離領域の端部のそれぞれにおいて半分の電圧のみの発生を実現可能であるという利点を簡単な方法で確保可能である。
【0042】
本発明の遮断スイッチは、外部に対して悪い影響を及ぼさない。遮断スイッチは排気ガス、光、プラズマの漏れがなく、カチッという優しい反転ノイズが聞こえるだけであり、かつ、遮断スイッチの機能として当該遮断スイッチの2つの電気的接続部の一方又は他方は移動する必要がないので、両者を固定的に結び付けることが可能である。
【0043】
ケース自体は、両端にネジ込み又は圧入された蓋付きのチューブとして配設することが可能であり、望ましくは前記蓋が接点ユニット全体と共にネジ込まれた鉢状部分を有する。ケースは、容易に変形可能な材料で構成されていれば、ワンピースで、例えばクリンピング(crimping)又は曲げによって具体化することが可能である。ケースは、一体形ケースを形成するために複数部品で製作することも可能であり、例えば個々の部品を接着又は溶着することによって製作可能である。
【0044】
上乗せ式に重層したケース内又は上乗せ式に重なる実用部品組立体内に、1つ又は2以上の接点ユニットを配設した総体的配置も可能である。
【0045】
本発明のさらなる特徴は従属請求項から明らかとなる。
【0046】
以下、本発明を図面に示された実施形態に関してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の遮断スイッチの第1実施形態の初期状態を示す縦断面図である。
【0048】
【
図2】
図1の実施形態の遮断状態を示す縦断面図である。
【0049】
【
図3】本発明の遮断スイッチの第2実施形態の初期状態を示す縦断面図である。
【0050】
【
図4】
図2の実施形態の遮断状態を示す縦断面図である。
【0051】
【
図5】複数遮断スイッチの形態にした本発明の遮断スイッチの第3実施形態であって初期状態を示す縦断面図である。
【0052】
【
図6】
図5の実施形態の遮断状態を示す縦断面図である。
【0053】
【
図7】複数遮断スイッチのさらに他の実施形態の初期状態を示す縦断面図である。
【0054】
【
図8】
図7の実施形態の遮断状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1の第1実施形態の遮断スイッチは、接点ユニット5が内部に位置決めされたケース3を有する。ケース3は、遮断スイッチ1の火薬遮断でケース内に生成される圧力に、損傷又は破裂の危険性なしで耐えるように具体化されている。特に、ケースは適当な金属で構成可能である。その場合、絶縁層7をケースの内壁に配設可能であり、当該絶縁層はプラスチックのような適当な絶縁材料で構成される。結果として、より高い電圧において、銅のような導電性金属で構成されると理解される接点ユニット5と、ケース3との間の、フラッシュオーバー又は電気的接続が、特に遮断スイッチ1の遮断中又は遮断後に回避可能である。さらに高い電圧のため、例えば2000Vより高い電圧のために、ケースを全体的に絶縁材料、特に適当なプラスチックで構成することができる。その場合ケース3の壁厚は、より低電圧で典型的に金属ケースの場合よりも厚い。
【0056】
図示される典型的な実施形態では、接点ユニット5は連続的なスイッチチューブ9として具体化されている。図示される典型的な実施形態のスイッチチューブ9は、より大きな直径の第1接続接点11と、より小さい直径の第2接続接点13を有する。第1接続接点11は、半径方向外側に延びたフランジ15と隣接し、当該フランジ15は、プラスチックのような絶縁材料で構成された環状絶縁要素17を、スイッチチューブ9が軸線方向でケース3外に移動できないように支持している。当該目的のため当該絶縁要素17は環状の肩部を有し、当該肩部をスイッチチューブ9のフランジ15が支持している。さらに、絶縁要素17はスイッチチューブ9からケースを絶縁する。環状絶縁要素17は、軸線方向で外側の領域で、スイッチチューブ9の外径と本質的に等しい内径を第1接続接点11の近傍で有する。結果として密封作用が実現し、当該密封作用は追加のOリングのような環状のシール要素19によって補強される。絶縁要素17は、圧入又は射出成形によりスイッチチューブ9に接続することもできる。絶縁要素17と、そしてスイッチチューブ9又は接点ユニット5は、遮断スイッチ1を適用できるフェース端部上で、ロックナット21によってケース3内に保持、すなわちこのような方法でケース3内に固定される。ロックナット21は金属を含むことができる。結果としてスイッチチューブは、遮断スイッチ1のプラスチック部品が軟化するか燃えると、遮断スイッチ1がこの状態で依然として遮断していても、スイッチチューブはケースから離脱することができない。これが、フランジ15の外径がロックナット21の内径よりも大きくなるように選定される理由である。
【0057】
しかし、ケース3を、
図1で左側に示されたフェース端部側で、遮断スイッチ1の組み立て中に、ケースの半径方向内側に延びる部分が絶縁要素17を固定するように改造することも可能である。ケースがプラスチック製である場合、絶縁要素17は省略することも可能である。
【0058】
スイッチチューブ9が、スイッチチューブ9の軸線内において、フランジ15に隣接する反転領域23を有する。スイッチチューブ9の壁厚は、既定の軸線方向範囲を有する反転領域23の中で選定され、かつ当該壁厚は、反転領域23内でのスイッチチューブ9の塑性変形の結果として遮断スイッチ1が遮断すると、軸線方向において反転領域が所定長さだけ短縮する結果となるようにその材料に適合されている。
【0059】
反転領域23は、スイッチチューブ9の軸線方向で、サボット25と隣接し、図示される模範的な実施形態では、2つの部分で具体化されている。第1サボット部品25aは、スイッチチューブ9と一体構造で具体化されている。第2サボット部品25bは、図示される模範的な実施形態では絶縁材料を有し、適当なプラスチックのような第1サボット部品25aで、第2サボット部品25bの絶縁領域が、第1サボット部品25aとケース3の内壁との間に介在するように、スイッチチューブを囲む。さらにサボット部品25a、25bは、第2サボットが、反転領域23から離間する側に向いた側面からの圧力又は力を受けると、その適用できる力を軸線方向で第1サボット部品25aに伝達するように具体化される。この力は、遮断スイッチ1の遮断動作の間に、サボット25が始動位置(遮断スイッチ1の遮断前の状態)から抜け出すとすぐに、終端位置(スイッチ動作の終了後)に向けた反転領域の反転が生じるように選定される。
【0060】
図1から分かるように、第2サボット部品は、その外径がケース3の内径と本質的に同等となるように選定することができ、これによりスイッチ動作中の第2サボット部品25bの軸方向案内が実現され、したがって軸方向に案内された反転動作も実現される。
【0061】
第2サボット部品25bは、軸線方向に反転領域23の内側に延びた環状領域も有することもでき、当該環状領域はさらに反転領域の内側に軸線方向に延びる絶縁要素17の対応する環状領域と協働する。絶縁要素17の環状領域は、その軸線方向の外壁と、ケース3の軸線方向の内壁との間に環状隙間を規定することができ、当該隙間の中に、ケース3の内壁に置かれた第2サボット部品25bの環状領域が軸線方向に移動する。絶縁要素17の環状領域を規定する環状隙間が、第2サボット部品25bの環状領域の壁の厚さよりもわずかに小さく選定された場合、遮断状態の結果、すなわち第2サボット部品25bの終端位置での遮断状態の結果は、サボット25の堅固な固定である。
【0062】
スイッチチューブ9のサボット25又は接点ユニット5は、分離領域27でスイッチチューブ9のフランジ29に軸線方向で隣接する。フランジ29はその後、スイッチチューブ9の第2接続接点13と隣接する。フランジ29は、今度は、スイッチチューブ9ないし接点ユニット5を、ケース3内で軸線方向に確実に固定する役目を果たす。この目的は、ケース3の半径方向内方に延びた環状領域3aによって果たされ、そして、フランジ29の対応する停止面と、ケース3のフェース端部の環状領域3aの内壁と、ケース3の軸線方向内壁との間に配設された絶縁要素31が、環状になって、スイッチチューブ9の第2接続接点13を囲む。
【0063】
図示された典型的な実施形態において、第2サボット部品25bは、遮断スイッチが組み立てられると、第2接続接点13の側部からスイッチチューブ9に対して強く押され、それ故第2接続接点13の内径がフランジ29の外径よりも大きいか又は等しい寸法にする必要がある。環状の第2サボット部品25bは任意の薄さに作ることができない、そして、ケース3の壁3aの環状領域の軸線方向内壁の近傍の絶縁要素31は、所定の最低限の厚さをさらに有する必要があり、この典型的な実施形態においては金属ディスク32がスイッチチューブ9に対してフランジ29側へ強く押され、当該フランジはケース3の環状領域3aの内径よりも大きい外径を有する。当該金属ディスクは例えばチタンで構成することができ、そして火災の場合、すなわち絶縁要素31が軟化又は破壊すると、遮断スイッチ1がこの状態で遮断しても、スイッチチューブ9がケース3内から表側に出て来るのを当該金属ディスクが阻止する。
【0064】
第2サボット部品25bの反転領域23から離間する側のフェース端部と、絶縁要素31の反転領域23に向かう端壁との間のケース内に、ケース3の内径に本質的に等しい外径と、フランジ29の外径に本質的に等しい内径とを有する環状の充てん部材33が配設されている。この充てん部材33は、サボット25の反転領域23から離間する側の端壁と、ケース3の内壁と、絶縁要素31と、及び分離領域27の外壁とで囲まれた内側の容積を低減する役目を果たし、それにより当該容積内のできるだけ急速な圧力増大を図る。
【0065】
コンタクトチューブ9の軸線方向の端部の第2接続接点13の近傍に、点火装置35が配設されている。この点火装置35の外周は、スイッチチューブ9又は第2接続接点13の内壁から、Oリングのようなシール要素37によって密封されている。点火装置35の軸線方向の固定のため、スイッチチューブ9又は第2接続接点13の内壁に小さな肩部を配設することができ、点火装置35が遮断スイッチ1の組み立てにおいてスイッチチューブ9に向け内側方向で当該肩部に強く押圧される。点火装置35の軸線方向の固定のため、ロック要素39が第2接続接点13内にねじ込まれている。環状のロック要素39の開口を通して、点火装置35の電気的接続ラインを外側に通すことができる。完全な密封と固定のためロック要素39の内部に、樹脂、特に適当なエポキシ樹脂を充填することができる。当該樹脂は、その後、接続ライン41の緊張を緩和する役目を果たす。
【0066】
サボット25と、点火装置35との間の分離領域27の近傍のスイッチチューブ9の内部は、例えば粉末状の推進装薬で満たされている。推進装薬は、点火装置35によって活性化可能であり、点火すると分離領域27の内側の内部を充填するガスを発生する。
【0067】
分離領域は、発生ガス圧の結果として、分離領域が少なくとも部分的に破裂して開き、当該ガスが周囲の環状室に浸透し、そしてサボット25と充てん部材33との間の隙間にも浸透する容積で形成されている。より破裂しやすくするために、分離領域27内のスイッチチューブ9の壁が1つ又はそれ以上の開口を有するようにしてもよい。さらに推進装薬材料は、分離領域27を囲む環状室内に配設してもよい。
【0068】
この点火装置は、単純で急速に加熱可能な赤熱ワイヤを有することができる。点火装置35のすぐ近く又は点火装置35に付着する形で、点火混合物又は多少の対応する材料を配設することもできる。
【0069】
点火装置の活性化は、適当な電気的トリガーによって行うことができる。
【0070】
点火装置35は、しかし、推進装薬の活性化を引き起こす他の方法でも具体化可能であると理解される。
【0071】
これに加えて又はこれに代えて、遮断スイッチ1の受動的活性剤を配設することができる。その目的のため、分離領域27内のスイッチチューブ9の材料の温度上昇が利用される。この場合、推進装薬と、内壁及び/又は分離領域27内のスイッチチューブ9の外壁との間に、最も直接的な起こり得る接触が生じることになる。さらに、より容易に活性化可能な材料、特に点火混合剤を、分離領域の内壁及び/又は外壁に、直接隣接して又は当該壁に付する形で配設することができる。
【0072】
図1は点火混合剤43のそのような1つの層を示し、当該点火混合剤43の層は、ペースト状で分離領域の外壁に塗布されている。この場合、点火混合剤43との直接接触が何とか可能であれば、分離領域を囲む環状室内にも推進装薬を配設すべきである。
【0073】
電気抵抗及びしたがって分離領域の伝熱能力は、分離領域27の壁に開口を設けることにより変化可能である(当該開口は、分離領域からの熱流出と破裂挙動とを本質的に決定する、分離領域の壁厚及び分離領域の変化における半径の大きさに関連していると理解される)。結果として、遮断スイッチが受動的に遮断する時の定格電流を規定することができる。慣性もこの種の寸法で規定することができる。
【0074】
点火装置35又は受動的活性化の方法により、遮断スイッチが活性化すると、反転領域23から遠ざかる側のサボット25の側面にガス圧が発生し、その結果としてサボットが対応する軸線方向の力に晒される。この力は、スイッチチューブ9が反転領域23の中で塑性的に変形するように、推進装薬の量を適当に調節により選定することができ、及びそれに応じてサボットが第1接続接点11の方向で移動される。推進装薬は、サボット25の
図2に示す終端位置への動きが生じるような方法で、容量調節される。
【0075】
推進装薬が活性化された直後に、分離領域27がそれに応じて少なくとも部分的に破裂する。分離領域27の全周にわたるサボット25の軸線方向移動の開始前に、当該破裂が既に発生していない場合、その後、電気的接続をもたらしている分離領域の残りの部分がサボット25の軸線方向移動によって完全に破裂する。
【0076】
分離領域と推進装薬の大きさ又は容量の調節により、分離領域が活性化後の初期には破裂せず、しかしその代わりに、分離領域27を囲む環状領域でもガス圧を発生させることが考えられ、当該ガス圧は分離領域の壁の対応する開口を通してのみ環状領域に入る。分離領域27の破裂開口は、したがって、サボットの軸線方向の移動も生じさせる、サボット25に作用する軸線方向の力の結果としてのみ本質的に起こる。
【0077】
推進装薬を適当に選定すると共に、当該推進装薬に含まれる点火混合剤を任意的に選定することにより、破裂挙動をさらに制御することもできる。したがって、約1000℃の燃焼温度を発生するニトロセルロース火薬は分離領域のみを破裂して開き、これに対して例えばテルミット(thermite)は、3400℃までの燃焼温度でさらに分離領域を構成する材料さえも溶かしてガス化する。
【0078】
特に、焼き払いによって生じたガス圧は、容易にガス化する液体又は個体を推進装薬を収容したチャンバ内に導入するか、又は当該チャンバ内に発生高温ガスが侵入することによって良好に制御することができる。例えば水、特に例えばニトロセルロースと化合した水、又はマイクロカプセルやジェルなどの形態にした水は、ガス圧を大幅に増大させる。このようにして増大したガス圧は、燃焼室内に導入された水が過熱されると、特に分離領域が破裂して開いた時に当該高温加熱された水が爆発的な減圧を受けるという事実の結果、さらに強力にすることができる。
【0079】
図1に示すように、反転領域23の内部とスイッチチューブ9の内側の選択的に溝状にした領域は、サボット25の近傍において消火剤45を充填することができる。適用できる容積の一部にのみ消火剤45を充填することも可能であると理解される。消火剤は、液体、ジェル状、泡状又は複数の消火剤として具体化することができる。複数の消火剤は、例えばある割合のガス又は液体とある割合の砂のような個体とを有する、液体とすることができる。それぞれの場合において消火剤は、接点ユニットの内側の収容容積47が反転作動の結果として低減すると、放出開口から、分離領域27の分離された端部間の分離領域内に放出されるような性質である必要がある。
【0080】
図1に示した実施形態において、消火剤は、サボット25内の中心に軸線方向で配設された反転領域23と放出路49の内側の、対応するチャンバを取り囲む収容容積47内に直接的に導入される。
【0081】
放出路49は、反転領域23から遠ざかる側が破壊されやすい薄膜51で閉じられている。第1接続接点11に向いた軸線方向側で、収容容積47が、円筒状部品として具体化された充てん部材53により閉じられている。円筒状充てん部材53は、中空円筒状の第1接続接点11内に圧嵌合されている。当該充てん部材は、同様に銅のような金属で構成することができる。さらに別のシール要素55で、充てん部材53の軸線方向外壁と、第1接続接点11の内壁との間に、シール作用を及ぼすことができる。
【0082】
したがって、遮断スイッチ1の遮断作動で、スイッチチューブ9又は接点ユニット5の分離領域27の電気的断線が実現されるだけでなく、分離領域27内のスイッチチューブ9の反転作動の結果として、消火剤45のための収容容積47もまた低減し、サボット25内の放出路49を通して、分離領域27の固定的な分離端部の方向に消火剤が放出される。当該放出は高圧で生じ、消火剤45の強力な流れが分離領域27の固定的な分離端部の方向で吹き付けられる。
【0083】
スイッチチューブ9又は接点ユニット5の軸線方向において、消火剤の中央側放出の結果として、遮断動作を開始してすぐに(又はサボット25が軸線方向移動を開始してすぐに)、消火剤が電気アークが形成可能な特定の領域内又は容積内に正確に放出される。したがって電気アークが確実に消火されるか、或いは最初の段階で発生さえ阻止される。
【0084】
収容容積47を少なくとも部分的に消火剤45で充填する代わりに、容器(不図示)内の消火剤を収容容積47に導入することも可能である。当該容器は剛体型に具体化することができ、遮断スイッチ1を組み立てた後、充てん部材53が第1接続接点11内に導入される前に、収容容積内に前進可能にすることができる。消火剤45のための剛体容器は、例えば収容容積47に適する形状のガラス小管として具体化することができる。当該容器は、放出路49と追加的に結合することができ、またそのフェース端部を放出路49の放出開口と整合させることができる。容器の端壁は、遮断スイッチ1の遮断動作で発生したガスの圧力によって破壊されるように設計することができる。しかし当該破壊は、実際の反転作動があるまでは行われない。殻(shell)の破壊の結果として、反転作動の間に、少なくともフェース端部の領域において、消火剤45が放出路49を通して押し出される。
【0085】
消火剤を剛体の殻内に配設する代わりに、遮断スイッチ1の組立後に収容容積47内に導入される柔軟な殻内に配設することもできる。当該殻は、同様にガスの圧力によって、及び/又は消火剤が放出されることの結果としての実際の反転作動(すなわち機械的な力)によって破壊されるように具体化される。
【0086】
消火剤45は、柔軟性でも剛性でも単一殻内に置く代わりに、複数の閉塞した殻内に入れた状態で収容容積47内に導入することも可能であると理解される。極小の泡もまた可能であり、各極小の泡は剛性又はプラスチックのような柔軟性の殻を有し、その中に消火剤45の対応する量が配設される。
【0087】
消火剤45をできるだけ多く放出する目的で全体の反転領域の使用を可能にするために、収容容積47の全体(選択的に放出路49の容積に至るまで)又は対応する殻又は容器が消火剤で充填されていることが有利である。
【0088】
放出路49を通して何とか通り抜けることが最早ない十分に大きく破壊されない容器を使用する場合、放出路49又は放出路49の放出開口を密封するための薄膜51を省略することができると理解される。
【0089】
遮断スイッチ1の遮断後の接点ユニット5の最終状態を示す
図2から分かるように、接点ユニット5の反転領域23は、望ましくは接点チューブ9の壁が反転領域23内で蛇行状に折り畳まれるように具体化されている。蛇行状に折り畳まれた部分は、望ましくは折り畳まれた領域が、放出路49の入口開口の前に位置するのを阻止すると共に、消火剤45の排除を阻止するためために、放出容積の外側の大部分で起こることを目的としている。しかし収容容積の外側領域での折畳みは、意図的なよじれ部等のようなそのための追加的対策の必要性はないが、スイッチチューブ9の反転をもたらす消火剤45の内部圧のために、どのような場合でも好ましい。望ましい折畳み特性は、そのような追加の方法で作り出したり最適化したりすることができると理解される。特に意図的な曲げ点は、反転領域の外側及び/又は内側の壁の適当な構造的特徴によって形成することができる。最終状態で互いに一致する絶縁要素17と第2サボット部品25bの軸線方向の突起部も、それらの長手方向長さに関して、反転作動の間及び最終状態で、スイッチチューブ9の壁の折畳み領域の半径方向外側の部分がケース3の内壁に接触するのをそれらが阻止するように具体化されている。そのような接触は、絶縁層7がケース3の内壁に配設されている場合、当該絶縁層7に対する損傷につながる。
【0090】
この種の絶縁層7のない変形例においては、それによって金属ケース3が第1接続接点11と同電位になるのを妨げられる。
【0091】
図3に示す遮断スイッチ100のさらなる実施形態は、ワンピース・スイッチチューブ9の代わりにツーピース・スイッチチューブ109が使用される点で
図1と2の実施形態から区別される。スイッチチューブ109の第1部品109aは、第1接続接点11、フランジ15、反転領域23及びサボット25を有する、スイッチチューブ9の対応する部分と同じである。スイッチチューブ109の第2部分109bは、反転領域から離間する側の、サボット25のフェース端部内の収容凹部160内で、サボット25に向いた端部で受け止められている分離領域27を含む。スイッチチューブ109のこの第2部分109bはさらに、フランジ29と第2接続接点13を包含する。
【0092】
スイッチチューブ109のツーパート実施形態を除いて、
図3に示す実施形態は、実質的に
図1と2に示される実施形態と同一である。同一な部分、領域及び構成部分は、それ故同一の参照番号を付されている。
【0093】
原則として、スイッチチューブ109のパーツ109aと109bの間に必要な、電気的コンタクトは、分離領域27の端部領域を、サボット25の収容凹部160内に挿入又は圧入することによっても確立することが可能である。しかし、その場合、腐食、機会的振動又は他の要因のために、必須の品質を有する永久的な電気的接続を確立又は維持することができない危険性がある。
【0094】
そこで
図3は、スイッチチューブ109のパーツ109aと109bの間に、長期安定かつ確実な電気的接続を実現するための特別な手段を示している。この特別な手段は、収容凹部160の軸線方向内壁に配設された密着弾発挿入材を含む。この密着弾発挿入材は軸線方向の複数の溝を有することができ、例えば夫々の溝内に、収容凹部160の軸線方向内壁又は密着弾発挿入材162の軸線方向内壁を通って半径方向内側に隆起する密着バネが含まれる。密着バネは、分離領域27の前端領域が収容凹部160に挿入されると、半径方向外側に弾性的に圧縮される。導電性の多くの弾性要素の結果として、それを経由して大電流でも流すことができる、長期間にわたって安定で確実な電気的接点が保証される。
【0095】
図3の遮断スイッチ100の作動の基本形態は、
図1と2の実施形態の前述した機能と大部分似ている。しかし分離領域27はもはや破壊されず、分離領域27の前端部、すなわちサボット25に向かう側の分離領域27の端部が、収容凹部160から引き抜かれる点が異なる。
【0096】
遮断が生じた時の遮断スイッチ100の最終状態が
図4に示されている。
図3と4の実施形態では、推進装薬のガス発生材料の活性化後、サボット25の端面全体に圧力が直接的に作用するのを確実にするため、分離領域は、スイッチチューブ109の壁、すなわちスイッチチューブ109の第2部品109bの壁に複数の開口を有する必要がある。
【0097】
この変形実施形態において、消火剤45のための放出路49は、スイッチチューブ109の第2部品109bの静止端部を目指して消火剤45が流れることを意図して設計されている。環状壁、すなわち分離領域27の静止部の環状壁の端面と、これと反対側のスイッチチューブ109の第1部品109aの端面との間に、電気アークが形成されるので、消火剤45の流れは、分離領域27の壁の端面を目指すように設計する必要がある。
【0098】
以上説明したように、消火剤45の流れの形は、放出路49の適当な設計、望ましくは適当なノズル状デザイン(その結果として消火剤の流れの直径が放出開口からの距離に応じて変わり得る)によって実現される。
【0099】
図5は、2つの連続した遮断時点における電流路の本質的に同時の二重分離を可能にする、スイッチチューブ209すなわち接点ユニット205を有するさらに別の遮断スイッチ200の実施形態を示す。
【0100】
遮断スイッチ200は、
図1と2及び
図3と4の実施形態のケース3を2つ使用して構成可能なケース203を有する。2つのケース部品3は、
図1と2の変形において、ロックナット21がねじ込まれたフェース端部が互いに向き合うように軸線方向に互いに対向して配置されている。ロックナット21に代えて、当該ロックナット21の位置に接続要素221をねじ込むこと、すなわちケース部品3を接続要素221の上に螺合することが可能である。
【0101】
単一の分離領域を有するスイッチチューブに代えて、
図5の変形例では2つの分離領域27を有するスイッチチューブ209が配設されている。スイッチチューブ209は、
図1のスイッチチューブ9の2つを、短縮された第1接続接点11により互いに結合して一体形にしたものと本質的に等しい。
図5の実施形態で使用されたような、一体形に具体化した接点チューブ209に代えて、
図1の接点チューブ9の2つで実現されるツーパート接点チューブもまた使用可能であると理解される。その目的のため、具体化すると長過ぎるかも知れない第1接続接点11を、例えば先端を切り詰めることで短縮することが可能である。2つの接点チューブを結合するために充てん部材53を使用することが可能であり、その場合当該充てん部材53は、両方のスイッチチューブ9の両方の(短縮された)第1接続接点11内に圧嵌合又は螺合可能な十分な長さで具体化される。
【0102】
図5の遮断スイッチ200において、消火剤45のための収容容積247が、スイッチチューブ209の第1及び第2反転領域23の全体の中であって、第1及び第2反転領域23の間に位置する内部空間に配設され、換言すると接続要素221と対応する絶縁要素217で囲まれたスイッチチューブ209の一部分に、消火剤45のための収容容積247が配設されている。
【0103】
遮断スイッチ200の外側に位置する領域は、構造と構成要素及び機能性の両方に関して、
図1の右側に示されたスイッチ1の各部分領域と同じである。したがって
図1及び2と共に、対応する前述の説明が参照可能である。
【0104】
スイッチ200はその両側において個別の接続接点211と213を有し、かつ、これらの接点に点火装置35が配設されている。
【0105】
図5では分離領域27の加熱による受動的活性化が提供されているが、それでも特別の追加的設備が作られない限り、どんな場合でも推進装薬が本質的に同時に点火されるという保証はない。しかし、電流路の2つの連続した接続点において望ましい同時分離を実現するためにこの種の同時活性化は必要である。同時遮断を使用することで、遮断動作の間に、分離されるべき長さ又は既に分離された長さを通して、接続接点211、213には電圧降下のため半分の電圧しか掛からない。電気的にトリガー可能な活性化によりこの種の同時遮断がより容易になる。
【0106】
その他、
図5の遮断動作は本質的に
図1の実施形態と同じである。
図6に示すように点火装置35が活性化すると、それぞれのサボット25が圧力に晒されて中央平面E(長手方向軸に垂直に位置する、遮断スイッチ200の対称平面)の方向に移動する。この結果として、2つの反転領域23が今度はポンプのように働き、それにより消火剤45が2つの放出路49を通して出現して、分離領域27の2つの分離された端部間のチャンバを満たす。
【0107】
図7に示された遮断スイッチ300の変形例も、この機能のために最高に適する。
図7の遮断スイッチ300と
図5の遮断スイッチ200の本質的な区別は、遮断スイッチ300が一体形に具体化されたケース303を有することである。接続接点311、313を規定するスイッチ309も同様に一体形に具体化され、
図5の実施形態の接続要素221と絶縁要素217の代わりに、安定化要素317が配設されている。安定化要素317は同様に絶縁材料を有し、本質的にケース内でスイッチチューブを半径方向及び軸線方向に固定する役目を果たす。スイッチチューブ309のやや異なって設計されたフランジ29は、ここでは環状の安定化要素317によって当該フランジ29の半径方向外側領域と結合された周方向の溝を規定する。
【0108】
それぞれが反転領域23の方向において外側に延び、サボット25の突起と協働する軸線方向の突起は
図7の実施形態で省略されている。
【0109】
図7の実施形態でも、2つの放出路49の放出開口の間のスイッチチューブ309の内部全体に延びた、消火剤45のための収容容積が配設されている。ここで再び、単一の収容容積47の代わりに、第1収容容積を左側の反転領域23内に配設することが可能であり、また第2収容容積を右側の反転領域23内に配設することが可能であることが理解される。
【0110】
図1と2の実施形態に関連して上述したように、消火剤は収容容積内にそのようにすなわち封入して導入することが可能である。
【0111】
図7の実施形態の動作態様は、
図5の実施形態の動作態様と実質的に同じである。スイッチ動作の終了後の適用できる終端状態が
図8に示されている。
【0112】
図5と6及び
図7と8の二重遮断スイッチ200、300において、
図3と4の原則に基づいた複数部品のスイッチチューブもまた使用可能であると理解される。この目的のため、一方においてスイッチチューブ209、309の領域が、他方において各サボットと各分離領域が、多めに見積もって一方においては
図5と6に示され、他方においては
図7と8に示され、そして
図3と4の実施形態との関係で説明したように具体化されている。各分離領域の端部領域は、その後、サボットの各収容凹部内に係合し、スイッチチューブ209と309の部品間の電気的接続をそれぞれ確立する。機能及び遮断動作に関して、
図3と4の実施形態に関連した前記考察を参照することができる。
【0113】
本発明のすべての変形例において、スイッチ動作で動くサボットの結果として、サボットに隣接した接点ユニット5の反転領域が変形し、消火剤のためその中に位置する収容容積が寸法的に低減され、その結果消火剤が少なくとも1つの放出開口を通して分離領域の分離された部品間のチャンバ内に入り、これら2つの端部間の電気アークの発生を阻止するか、又は既に発生した電気アークを消すことが実現される。
【符号の説明】
【0114】
1 遮断スイッチ
3 ケース
5 接続要素
7 絶縁層
9 スイッチチューブ
11 第1接続接点
13 第2接続接点
15 フランジ
17 絶縁要素
19 シール要素(Oリング)
21 ロックナット
23 反転領域
25 サボット
25a 第1サボット
25b 第2サボット
27 分離領域
29 フランジ
31 絶縁要素
33 充てん部材
35 点火装置
37 シール要素
39 ロック要素
41 電気的接続ライン
43 点火混合剤
45 消火剤
47 収容容積
49 放出路
51 薄膜
53 充てん部材
55 シール要素
100 遮断スイッチ
109 スイッチチューブ
109a スイッチチューブ109の第1部品
109b スイッチチューブ109の第2部品
160 収容凹部
162 密着弾発挿入材
200 遮断スイッチ
203 ケース
205 接点ユニット
209 スイッチチューブ
211 接続接点
213 接続接点
217 絶縁層
221 接続接点
247 収容容積
300 遮断スイッチ
303 ケース
309 スイッチ
311 接続接点
313 接続接点
317 安定化要素
【先行技術文献】
【特許文献】
【0115】
【特許文献1】ドイツ特許公開第2103565号公報
【特許文献2】ドイツ特許公開第19749133号公報
【特許文献3】ドイツ特許公開第10028168号公報
【国際調査報告】