特表2017-517507(P2017-517507A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-517507急性骨髄性白血病を特徴付け、治療する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-517507(P2017-517507A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】急性骨髄性白血病を特徴付け、治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5517 20060101AFI20170602BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20170602BHJP
   A61K 47/50 20170101ALI20170602BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20170602BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20170602BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20170602BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20170602BHJP
【FI】
   A61K31/5517
   A61K39/395 L
   A61K39/395 N
   A61K47/48
   A61P35/02
   A61K47/20
   C07K16/28ZNA
   C12N15/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】106
(21)【出願番号】特願2016-568657(P2016-568657)
(86)(22)【出願日】2015年5月19日
(85)【翻訳文提出日】2016年12月26日
(86)【国際出願番号】US2015031580
(87)【国際公開番号】WO2015179400
(87)【国際公開日】20151126
(31)【優先権主張番号】62/001,015
(32)【優先日】2014年5月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/011,456
(32)【優先日】2014年6月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/075,715
(32)【優先日】2014年11月5日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504039155
【氏名又は名称】イミュノジェン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100128750
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 しのぶ
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトマン,キャスリーン・アール
(72)【発明者】
【氏名】ノールドフイス,ポール
(72)【発明者】
【氏名】コヴトゥン,エレーナ
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ,ロバート・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】シューアフイス,ゲリット・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー,ラッセル・マーリン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076DD55
4C076EE59
4C085AA14
4C085AA15
4C085AA16
4C085AA23
4C085CC23
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB11
4C086MA03
4C086MA05
4C086NA13
4C086ZB27
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、本発明の免疫結合体を用いて、対象にて急性骨髄性白血病(AML)(たとえば、新規に診断された、再発したまたは難治性のAML)を特徴付け、治療する方法を特徴とする。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における急性骨髄性白血病の治療方法であって、前記方法が予め選択された対象に有効量の免疫結合体を投与することを含み、前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化1】
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または
【化2】
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によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化抗体またはキメラ抗体またはその断片(前記抗体は、配列番号1〜3から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域を含む)と、
以下の構造式:
【化3】
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【化4】
[この文献は図面を表示できません]

【化5】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化6】
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の1つによって表される前記細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含み、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、予め選択することは対象の生体試料にてCD33を検出することを含む、前記治療方法。
【請求項2】
対象における急性骨髄性白血病の治療方法であって、前記方法が生体試料にて細胞当たり約1,000のCD33抗原を有すると判定された対象に有効量の免疫結合体を投与することを含み、前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化7】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化8】
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によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化抗体またはキメラ抗体またはその断片(前記抗体は、配列番号1〜3から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域を含む)と、
以下の構造式:
【化9】
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【化10】
[この文献は図面を表示できません]

【化11】
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または
【化12】
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の1つによって表される前記細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含み、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、予め選択することは対象の生体試料にてCD33を検出することを含む、前記治療方法。
【請求項3】
重鎖可変領域が、配列番号7または9のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
軽鎖可変領域が、配列番号8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
抗体が、ヒト化されたMy9−6抗体またはキメラMy9−6抗体である請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
ヒト化された抗体がCDR移植抗体または再表面化抗体である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
免疫結合体が、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)−2−スルホブタノエートを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化My9−6抗体を含み、前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化13】
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【化14】
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【化15】
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【化16】
[この文献は図面を表示できません]

【化17】
[この文献は図面を表示できません]

【化18】
[この文献は図面を表示できません]

【化19】
[この文献は図面を表示できません]

【化20】
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または
【化21】
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の1つまたは薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数であり、Yは−SOMであり、Mは、各存在について独立して−Hまたは薬学上許容可能なカチオンである請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
検出する工程が、対象の末梢血または骨髄の試料に存在するCD33のレベルを測定することを含み、細胞当たり約1,000〜25,000の間の抗原を検出することが免疫結合体に応答しそうである対象を予め選択する請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
細胞当たり約3,000〜25,000の間の抗原を検出することが免疫結合体に応答しそうである対象を予め選択する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
細胞当たり約5,000〜25,000の間の抗原を検出することが免疫結合体に応答しそうである対象を予め選択する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
検出する工程が、対象の末梢血または骨髄の試料に存在するCD33のレベルを測定することを含み、細胞当たり少なくとも約1,000、3,000または5,000の抗原を検出することが免疫結合体に応答しそうである対象を予め選択する請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
対象が急性骨髄性白血病であると新規に診断される請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
対象が、急性骨髄性白血病の再発または難治性の急性骨髄性白血病であると診断される請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
急性骨髄性白血病の再発または難治性の急性骨髄性白血病であると診断された対象に由来する試料が細胞当たり少なくとも約3,000の抗原を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有する対象の治療方法であって、前記方法が予め選択された対象に有効量の免疫結合体を投与することを含み、前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化22】
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または
【化23】
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によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化抗体またはキメラ抗体またはその断片(前記抗体は、配列番号1〜3から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域を含む)と、
以下の構造式:
【化24】
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【化25】
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【化26】
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または
【化27】
[この文献は図面を表示できません]

の1つによって表される前記細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含み、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、予め選択することは対象の生体試料にてFLT3−ITDを検出することを含む、前記治療方法。
【請求項16】
急性骨髄性白血病を有する対象の治療方法であって、前記方法がFLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有すると判定された予め選択された対象に有効量の免疫結合体を投与することを含み、前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化28】
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または
【化29】
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によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化抗体またはキメラ抗体またはその断片(前記抗体は、配列番号1〜3から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域を含む)と、
以下の構造式:
【化30】
[この文献は図面を表示できません]

【化31】
[この文献は図面を表示できません]

【化32】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化33】
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の1つによって表される前記細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含み、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、予め選択することは対象の生体試料にてFLT3−ITDの状況を判定することを含む、前記治療方法。
【請求項17】
前記生体試料が前記対象に由来する末梢血または骨髄の試料である請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記判定することが核酸のハイブリッド形成法または核酸の配列決定法を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記判定することが、PCR、逆転写酵素PCR、またはリアルタイムPCR、またはそれらの組み合わせを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有する前記対象についてCD33のレベルが判定される請求項15または16に記載の方法。
【請求項21】
前記CD33のレベルが細胞当たり1,000〜25,000の間のCD33抗原であると判定される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記CD33のレベルが細胞当たり3,000〜25,000の間のCD33抗原であると判定される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記CD33のレベルが細胞当たり5,000〜15,000の間のCD33抗原であると判定される請求項22に記載の方法。
【請求項24】
重鎖可変領域が、配列番号7または9のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む請求項15または16に記載の方法。
【請求項25】
軽鎖可変領域が、配列番号8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む請求項15または16に記載の方法。
【請求項26】
抗体が、ヒト化されたMy9−6抗体またはキメラMy9−6抗体である請求項15または16に記載の方法。
【請求項27】
ヒト化された抗体がCDR移植抗体または再表面化抗体である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
免疫結合体が、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)−2−スルホブタノエートを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化My9−6抗体を含み、前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化34】
[この文献は図面を表示できません]

【化35】
[この文献は図面を表示できません]

【化36】
[この文献は図面を表示できません]

【化37】
[この文献は図面を表示できません]

【化38】
[この文献は図面を表示できません]

【化39】
[この文献は図面を表示できません]

【化40】
[この文献は図面を表示できません]

【化41】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化42】
[この文献は図面を表示できません]

の1つまたは薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数であり、Yは−SOMであり、Mは、各存在について独立して−Hまたは薬学上許容可能なカチオンである請求項15または16に記載の方法。
【請求項29】
対象を免疫結合体による治療に応答性であると特定する方法であって、前記方法が
(a)前記対象に由来する生体試料にてFLT3−ITDを検出することと
(b)FLT3−ITDの検出を治療に対する対象の応答性に相関させることとを含み、前記生体試料におけるFLT3−ITDの存在が対象を前記免疫結合体による治療に応答性であると特定し、
前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化43】
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または
【化44】
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によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化抗体またはキメラ抗体またはその断片(前記抗体は、配列番号1〜3から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域を含む)と、
以下の構造式:
【化45】
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【化46】
[この文献は図面を表示できません]

【化47】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化48】
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の1つによって表される前記細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含み、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンである、前記方法。
【請求項30】
前記方法がさらに、前記対象の細胞にてCD33のレベルを検出することを含む請求項29に記載の方法。
【請求項31】
細胞当たり少なくとも約1,000のCD33抗原を検出することが、対象を免疫結合体による治療に応答性であると特定する請求項30に記載の方法。
【請求項32】
細胞当たり少なくとも約3,000のCD33抗原を検出することが、対象を免疫結合体による治療に応答性であると特定する請求項31に記載の方法。
【請求項33】
細胞当たり少なくとも約5,000のCD33抗原を検出することが、対象を免疫結合体による治療に応答性であると特定する請求項32に記載の方法。
【請求項34】
対象が、急性骨髄性白血病であると新規に診断され、急性骨髄性白血病の再発を有すると特定され、または難治性の急性骨髄性白血病を有すると特定される請求項15〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有する対象が、急性骨髄性白血病の再発であると診断され、チロシンキナーゼ阻害剤による以前の治療を受けていない請求項15〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
チロシンキナーゼ阻害剤がFLT3チロシンキナーゼ阻害剤である請求項35に記載の方法。
【請求項37】
FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有する対象が、チロシンキナーゼ阻害剤による以前の治療を受けた後に急性骨髄性白血病の再発であると診断される請求項15〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
チロシンキナーゼ阻害剤がFLT3チロシンキナーゼ阻害剤である請求項37に記載の方法。
【請求項39】
FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有する対象が、難治性の急性骨髄性白血病であると診断され、チロシンキナーゼ阻害剤による以前の治療を受けていない請求項15〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
チロシンキナーゼ阻害剤がFLT3チロシンキナーゼ阻害剤である請求項39に記載の方法。
【請求項41】
FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有する対象が、チロシンキナーゼ阻害剤による以前の治療を受けた後に難治性の急性骨髄性白血病であると診断される請求項15〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
チロシンキナーゼ阻害剤がFLT3チロシンキナーゼ阻害剤である請求項41に記載の方法。
【請求項43】
対象における急性骨髄性白血病の再発の治療方法または予防方法であって、前記方法が、FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有すると判定され、且つチロシンキナーゼ阻害剤による以前の治療を受けていない予め選択された対象に有効量の免疫結合体を投与すること含み、前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化49】
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または
【化50】
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によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化抗体またはキメラ抗体またはその断片(前記抗体は、配列番号1〜3から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域を含む)と、
以下の構造式:
【化51】
[この文献は図面を表示できません]

【化52】
[この文献は図面を表示できません]

【化53】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化54】
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の1つによって表される前記細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含み、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンである、前記治療方法または予防方法。
【請求項44】
チロシンキナーゼ阻害剤がFLT3チロシンキナーゼ阻害剤である請求項43に記載の方法。
【請求項45】
対象における急性骨髄性白血病の再発の治療方法または予防方法であって、前記方法が、FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有すると判定され、且つチロシンキナーゼ阻害剤による以前の治療を受けている予め選択された対象に有効量の免疫結合体を投与すること含み、前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化55】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化56】
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によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化抗体またはキメラ抗体またはその断片(前記抗体は、配列番号1〜3から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域を含む)と、
以下の構造式:
【化57】
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【化58】
[この文献は図面を表示できません]

【化59】
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または
【化60】
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の1つによって表される前記細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含み、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンである、前記治療方法または予防方法。
【請求項46】
チロシンキナーゼ阻害剤がFLT3チロシンキナーゼ阻害剤である請求項45に記載の方法。
【請求項47】
多剤耐性の急性骨髄性白血病を有する対象の治療方法であって、前記方法が対象に有効量の免疫結合体を投与することを含み、前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化61】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化62】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化抗体またはキメラ抗体またはその断片(前記抗体は、配列番号1〜3から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域を含む)と、
以下の構造式:
【化63】
[この文献は図面を表示できません]

【化64】
[この文献は図面を表示できません]

【化65】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化66】
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の1つによって表される前記細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含み、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、それによって多剤耐性の急性骨髄性白血病を治療する、前記治療方法。
【請求項48】
対象が多剤耐性の白血病を有すると特定される請求項43〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
重鎖可変領域が、配列番号7または9のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む請求項43〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
軽鎖可変領域が、配列番号8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む請求項43〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
抗体が、ヒト化されたMy9−6抗体である請求項43〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
ヒト化された抗体がキメラ抗体または再表面化抗体である請求項51に記載の方法。
【請求項53】
免疫結合体が、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)−2−スルホブタノエートを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化My9−6抗体を含み、前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化67】
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【化68】
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【化69】
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【化70】
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【化71】
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【化72】
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【化73】
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【化74】
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または
【化75】
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の1つまたは薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数であり、Yは−SOMであり、Mは、各存在について独立して−Hまたは薬学上許容可能なカチオンである請求項43〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
対象の末梢血または骨髄の試料におけるP−糖タンパク質発現の存在を検出することによって前記対象が多剤耐性の白血病を有すると特定される請求項43〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
さらに、対象の末梢血または骨髄の試料においてCD33発現の存在を検出することを含む請求項54に記載の方法。
【請求項56】
細胞当たり約1,000、3,000または5,000を超えるCD33抗原のレベルが免疫結合体による治療に応答性としてAMLを特定する請求項55に記載の方法。
【請求項57】
対象に有効量の免疫結合体を投与することを含む前記対象において急性骨髄性白血病の再発の治療するまたは予防する方法であって、前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化76】
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または
【化77】
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によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化抗体またはキメラ抗体またはその断片(前記抗体は、配列番号1〜3から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域を含む)と、
以下の構造式:
【化78】
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【化79】
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【化80】
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または
【化81】
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の1つによって表される前記細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含み、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、それによって前記急性骨髄性白血病の再発を治療する、前記方法。
【請求項58】
重鎖可変領域が、配列番号7または9のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む請求項57に記載の方法。
【請求項59】
軽鎖可変領域が、配列番号8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む請求項57に記載の方法。
【請求項60】
抗体が、ヒト化されたMy9−6抗体である請求項57に記載の方法。
【請求項61】
ヒト化された抗体が再表面化抗体またはCDR移植抗体である請求項57に記載の方法。
【請求項62】
免疫結合体が、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)−2−スルホブタノエートを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化My9−6抗体を含み、前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化82】
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【化83】
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【化84】
[この文献は図面を表示できません]

【化85】
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【化86】
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【化87】
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【化88】
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【化89】
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または
【化90】
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の1つまたは薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数であり、Yは−SOMであり、Mは、各存在について独立して−Hまたは薬学上許容可能なカチオンである請求項57に記載の方法。
【請求項63】
方法が、最少残余疾患を防ぐ、軽減するまたは排除する請求項54に記載の方法。
【請求項64】
抗体が、CD33を発現している白血病性前駆細胞及び/または白血病性幹細胞を特異的に結合する請求項54に記載の方法。
【請求項65】
方法が正常な造血幹細胞を見逃す請求項54に記載の方法。
【請求項66】
白血病性幹細胞にて細胞死を誘導する方法であって、前記方法が、以下の構造式:
【化91】
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または
【化92】
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によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化抗体またはキメラ抗体またはその断片(前記抗体は、配列番号1〜3から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域を含む)と、
以下の構造式:
【化93】
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【化94】
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【化95】
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または
【化96】
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の1つによって表される前記細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含む、有効量の免疫結合体に前記白血病性幹細胞を接触させることを含み、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、それによって前記白血病性幹細胞にて細胞死を誘導する、前記方法。
【請求項67】
FLT3−ITD陽性の白血病性細胞にて細胞死を誘導する方法であって、前記方法が、以下の構造式:
【化97】
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または
【化98】
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によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化抗体またはキメラ抗体またはその断片(前記抗体は、配列番号1〜3から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6から成る群から選択される1以上の相補性決定領域を含む軽鎖可変領域を含む)と、
以下の構造式:
【化99】
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【化100】
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【化101】
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または
【化102】
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の1つによって表される前記細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含む、有効量の免疫結合体に前記白血病性幹細胞を接触させることを含み、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、それによって前記FLT3−ITD陽性の白血病性細胞にて細胞死を誘導する、前記方法。
【請求項68】
重鎖可変領域が、配列番号7または9のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む請求項66または67に記載の方法。
【請求項69】
軽鎖可変領域が、配列番号8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む請求項66または67に記載の方法。
【請求項70】
抗体が、ヒト化されたMy9−6抗体である請求項66または67に記載の方法。
【請求項71】
ヒト化された抗体が再表面化抗体またはCDR移植抗体である請求項70に記載の方法。
【請求項72】
免疫結合体が、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)−2−スルホブタノエートを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されたヒト化My9−6抗体を含み、前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化103】
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【化104】
[この文献は図面を表示できません]

【化105】
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【化106】
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【化107】
[この文献は図面を表示できません]

【化108】
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【化109】
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【化110】
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または
【化111】
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の1つまたは薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数であり、Yは−SOMであり、Mは、各存在について独立して−Hまたは薬学上許容可能なカチオンである請求項66または67に記載の方法。
【請求項73】
方法が正常な造血幹細胞では細胞死を誘導しない請求項66または67に記載の方法。
【請求項74】
接触させることが試験管内または生体内である請求項66または67に記載の方法。
【請求項75】
白血病性幹細胞が、急性骨髄性白血病であると新規に診断された対象に、白血病性幹細胞の成長または増殖に関連する再発を有すると特定された対象に、または難治性の急性骨髄性白血病であると特定された対象に存在する請求項66または67に記載の方法。
【請求項76】
免疫結合体が約10pM〜約2nMのIC50値を有する請求項1〜75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
免疫結合体が約11pM〜約1.6nMのIC50値を有する請求項76に記載の方法。
【請求項78】
方法が白血病性幹細胞を優先的に殺傷する請求項1〜77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
抗体が、少なくとも1つの重鎖可変領域またはその断片と少なくとも1つの軽鎖可変領域またはその断片とを含み、前記少なくとも1つの重鎖可変領域またはその断片がそれぞれ配列番号1〜3にて示されるアミノ酸配列を有する3つの連続する相補性決定領域を含み、且つ前記少なくとも1つの軽鎖可変領域またはその断片がそれぞれ配列番号4〜6にて示されるアミノ酸配列を有する3つの連続する相補性決定領域を含む請求項1〜78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
抗体またはその断片が、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;配列番号4のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR1;配列番号5のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;及び配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3を含む請求項1〜79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
抗CD33抗体と、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)−2−スルホブタノエートによって細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に連結された、有効量の免疫結合体を含むヒト化My9−6抗体を含む治療用組成物とを含むキットであって、前記免疫結合体が、以下の構造式:
【化112】
[この文献は図面を表示できません]

【化113】
[この文献は図面を表示できません]

【化114】
[この文献は図面を表示できません]

【化115】
[この文献は図面を表示できません]

【化116】
[この文献は図面を表示できません]

【化117】
[この文献は図面を表示できません]

【化118】
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【化119】
[この文献は図面を表示できません]

または
【化120】
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の1つまたは薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数であり、Yは−SOMであり、Mは、各存在について独立して−Hまたは薬学上許容可能なカチオンである、前記キット。
【請求項82】
キットがさらに、抗CD33抗体を用いて対象に由来する試料にてCD33の発現のレベルを検出するための指示書を含む請求項81に記載のキット。
【請求項83】
さらに、細胞当たり少なくとも約1,000の抗原を有すると特定された対象に免疫結合体を投与するための指示書を含む請求項81に記載のキット。
【請求項84】
対象が細胞当たり少なくとも約3,000または5,000の抗原を有すると特定される請求項83に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それぞれ2014年5月20日に出願された米国特許出願番号第62/001,015号、2014年6月12に出願された同第62/011,456号及び2014年11月5に出願された同第62/075,715号に対する優先権及びその利益を主張する。これらの出願それぞれの内容全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
急性骨髄性白血病(AML)は骨髄における異常な芽細胞の蓄積に関連する。急性骨髄性白血病(AML)は成人の間での最も一般的な型の白血病の1つである。米国だけでも毎年18,000を超えるAMLの新しい症例が特定され、10,000を超える死亡がAMLに関連している。化学療法に対する当初の高い応答率にもかかわらず、多くの急性骨髄性白血病(AML)患者は完全寛解を達成することができない。実際、AML患者の大半は診断から3〜5年以内に再発する。AMLの再発は持続性の白血病性幹細胞(LSC)の増殖によると考えられる。従って、対象にてAMLを特徴付け、有効な治療法を特定する改善された方法と同様にAMLの再発を治療する改善された方法が緊急に求められている。
【発明の概要】
【0003】
以下に記載されるように、本発明は、本発明の免疫結合体を用いて対象にて急性骨髄性白血病(AML)(たとえば、新しく診断された、再発した及び難治性のAML)を特徴付け、治療する方法を特徴とする。
【0004】
態様の1つでは、本発明は一般に対象(たとえば、ヒト)にて急性骨髄性白血病を治療する方法を特徴とし、該方法には、予め選択された対象に有効量の免疫結合体を投与することが関与し、その際、該免疫結合体は、以下の構造式:
【0005】
【化1】
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または
【0006】
【化2】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性のベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されるヒト化抗体またはキメラ抗体または断片(該抗体は、配列番号1〜3のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する軽鎖可変領域を含有する)と、
以下の構造式:
【0007】
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
【0008】
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
【0009】
【化5】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0010】
【化6】
[この文献は図面を表示できません]

の1つによって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含有し、
式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、予め選択することには対象の生体試料にてCD33を検出することが関与する。
【0011】
別の態様では、本発明は、対象にて急性骨髄性白血病を治療する方法を特徴とし、該方法には、生体試料における細胞当たり約1,000のCD33抗原を有すると判定された対象に有効量の免疫結合体を投与することが関与し、その際、該免疫結合体は、以下の構造式:
【0012】
【化7】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0013】
【化8】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性のベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されるヒト化抗体またはキメラ抗体または断片(該抗体は、配列番号1〜3のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する軽鎖可変領域を含有する)と、
以下の構造式:
【0014】
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
【0015】
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
【0016】
【化11】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0017】
【化12】
[この文献は図面を表示できません]

の1つによって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含有し、
式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、予め選択することには対象の生体試料にてCD33を検出することが関与する。
【0018】
別の態様では、本発明は、FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有する対象を治療する方法を特徴とし、該方法には、予め選択された対象に有効量の免疫結合体を投与することが関与し、その際、該免疫結合体は、以下の構造式:
【0019】
【化13】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0020】
【化14】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性のベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されるヒト化抗体またはキメラ抗体または断片(該抗体は、配列番号1〜3のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する軽鎖可変領域を含有する)と、
以下の構造式:
【0021】
【化15-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化15-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0022】
【化16】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0023】
【化17】
[この文献は図面を表示できません]

の1つによって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含有し、
式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、予め選択することには対象の生体試料にてFLT3−ITDを検出することを含む。
【0024】
別の態様では、本発明は急性骨髄性白血病を有する対象を治療する方法を特徴とし、該方法はFLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有すると判定された予め選択された対象に有効量の免疫結合体を投与することを含み、その際、該免疫結合体は、以下の構造式:
【0025】
【化18】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0026】
【化19】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性のベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されるヒト化抗体またはキメラ抗体または断片(該抗体は、配列番号1〜3のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する軽鎖可変領域を含有する)と、
以下の構造式:
【0027】
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
【0028】
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
【0029】
【化22】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0030】
【化23】
[この文献は図面を表示できません]

の1つによって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含有し、
式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、予め選択することは対象の生体試料にてFLT3−ITDの状況を判定することを含む。
【0031】
別の態様では、本発明は免疫結合体による治療に応答性である対象を特定する方法を特徴とし、該方法には、対象からの生体試料にてFLT3−ITDを検出することと、治療に対する対象の応答性とFLT3−ITDの検出を相関させることとが関与し、生体試料におけるFLT3−ITDの存在が免疫結合体による治療に対して応答性として患者を特定し、その際、該免疫結合体は、以下の構造式:
【0032】
【化24】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0033】
【化25】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性のベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されるヒト化抗体またはキメラ抗体または断片(該抗体は、配列番号1〜3のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する軽鎖可変領域を含有する)と、
以下の構造式:
【0034】
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
【0035】
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
【0036】
【化28】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0037】
【化29】
[この文献は図面を表示できません]

の1つによって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含有し、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンである。
【0038】
別の態様では、本発明は対象にて急性骨髄性白血病の再発を治療するまたは予防する方法を特徴とし、該方法には、FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有すると判定され、チロシンキナーゼ阻害剤による以前の治療を受けていない予め選択された対象に有効量の免疫結合体を投与することが関与し、その際、該免疫結合体は、以下の構造式:
【0039】
【化30】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0040】
【化31】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性のベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されるヒト化抗体またはキメラ抗体または断片(該抗体は、配列番号1〜3のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する軽鎖可変領域を含有する)と、
以下の構造式:
【0041】
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
【0042】
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
【0043】
【化34】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0044】
【化35】
[この文献は図面を表示できません]

の1つによって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含有し、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンである。
【0045】
別の態様では、本発明は対象にて急性骨髄性白血病の再発を治療するまたは予防する方法を特徴とし、該方法には、FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有すると判定され、チロシンキナーゼ阻害剤による以前の治療を受けている予め選択された対象に有効量の免疫結合体を投与することが関与し、その際、該免疫結合体は、以下の構造式:
【0046】
【化36】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0047】
【化37】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性のベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されるヒト化抗体またはキメラ抗体または断片(該抗体は、配列番号1〜3のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する軽鎖可変領域を含有する)と、
以下の構造式:
【0048】
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
【0049】
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
【0050】
【化40】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0051】
【化41】
[この文献は図面を表示できません]

の1つによって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含有し、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンである。
【0052】
別の態様では、本発明は多剤耐性の急性骨髄性白血病を有する対象を治療する方法を特徴とし、該方法には、対象に有効量の免疫結合体を投与することが関与し、その際、該免疫結合体は、以下の構造式:
【0053】
【化42】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0054】
【化43】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性のベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されるヒト化抗体またはキメラ抗体または断片(該抗体は、配列番号1〜3のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する軽鎖可変領域を含有する)と、
以下の構造式:
【0055】
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
【0056】
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
【0057】
【化46】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0058】
【化47】
[この文献は図面を表示できません]

の1つによって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含有し、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、それによって多剤耐性の急性骨髄性白血病を治療する。一実施形態では、対象は多剤耐性の白血病を有すると特定される。別の実施形態では、対象は対象の末梢血または骨髄の試料にてP−糖タンパク質発現の存在を検出することによって多剤耐性の白血病を有すると特定される。さらに別の実施形態では、方法にはさらに、対象の末梢血または骨髄の試料にてCD33発現の存在を検出することが関与する。さらに別の実施形態では、細胞当たり約1,000、3,000または5,000を超えるレベルのCD33抗原は免疫結合体による治療に対して応答性であるとAMLを特定する。
【0059】
さらに別の態様では、本発明は、対象に有効量の免疫結合体を投与することが関与する、対象にて急性骨髄性白血病の再発を治療するまたは予防する方法を特徴とし、その際、該免疫結合体は、以下の構造式:
【0060】
【化48】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0061】
【化49】
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によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性のベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されるヒト化抗体またはキメラ抗体または断片(該抗体は、配列番号1〜3のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する軽鎖可変領域を含有する)と、
以下の構造式:
【0062】
【化50】
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【0063】
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
【0064】
【化52】
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または
【0065】
【化53】
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の1つによって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含有し、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、それによって急性骨髄性白血病の再発を治療する。一実施形態では、該方法は最少残存疾患を予防し、軽減し、または排除する。別の実施形態では、抗体はCD33を発現している白血病性前駆細胞及び/または白血病性幹細胞を特異的に結合する。別の実施形態では、方法は正常な造血幹細胞を見逃す。
【0066】
別の態様では、本発明は白血病性幹細胞にて細胞死を誘導する方法を特徴とし、該方法には、以下の構造式:
【0067】
【化54】
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または
【0068】
【化55】
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によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性のベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されるヒト化抗体またはキメラ抗体または断片(該抗体は、配列番号1〜3のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する軽鎖可変領域を含有する)と、
以下の構造式:
【0069】
【化56】
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【0070】
【化57】
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【0071】
【化58】
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または
【0072】
【化59】
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の1つによって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含有する、有効量の免疫結合体に白血病性幹細胞を接触させることが関与し、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、それによって白血病性幹細胞にて細胞死を誘導する。一実施形態では、方法は正常な造血幹細胞にて細胞死を誘導しない。別の実施形態では、接触させることは試験管内または生体内である。別の実施形態では、白血病性幹細胞は急性骨髄性白血病と新規に診断された対象に、白血病性幹細胞の成長または増殖に関連する再発を有すると特定された対象に、または難治性急性骨髄性白血病を有すると特定された対象に存在する。
【0073】
別の態様では、本発明はFLT3−ITD陽性の白血病性細胞にて細胞死を誘導する方法を特徴とし、該方法には、以下の構造式:
【0074】
【化60】
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または
【0075】
【化61】
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によって表される切断可能なジスルフィドリンカーを介して細胞傷害性のベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されるヒト化抗体またはキメラ抗体または断片(該抗体は、配列番号1〜3のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する重鎖可変領域及び/または配列番号4〜6のいずれか1以上である1以上の相補性決定領域を含有する軽鎖可変領域を含有する)と、
以下の構造式:
【0076】
【化62】
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【0077】
【化63】
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【0078】
【化64】
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または
【0079】
【化65】
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の1つによって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩とを含有する、有効量の免疫結合体に白血病性幹細胞を接触させることが関与し、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンであり、それによってFLT3−ITD陽性の白血病性細胞にて細胞死を誘導する。一実施形態では、方法は正常な造血幹細胞にて細胞死を誘導しない。別の実施形態では、接触させることは試験管内または生体内である。別の実施形態では、白血病性幹細胞は急性骨髄性白血病であると新規に診断された対象に、白血病性幹細胞の成長または増殖に関連する再発を有すると特定された対象に、または難治性急性骨髄性白血病を有すると特定された対象に存在する。
【0080】
別の態様では、本発明は、抗CD33抗体と、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)−2−スルホブタノエートによって細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に連結されたヒト化My9−6抗体を含有する有効量の免疫結合体を含有する治療用組成物とを含有するキットを特徴とし、その際、該免疫結合体は、以下の構造式:
【0081】
【化66】
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【0082】
【化67】
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【0083】
【化68】
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【0084】
【化69】
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【0085】
【化70】
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【0086】
【化71】
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【0087】
【化72】
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【0088】
【化73】
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または
【0089】
【化74】
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【0090】
【化75】
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の1つまたは薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数であり、Yは−SOMであり、Mは各存在について独立して−Hまたは薬学上許容可能なカチオンである。一実施形態では、キットはさらに対象に由来する試料にて抗CD33抗体を用いてCD33発現のレベルを検出するための指示書を含有する。別の実施形態では、細胞当たり少なくとも約1,000の抗原を有すると特定された対象に免疫結合体を投与するための指示書をさらに含有すること。別の実施形態では、対象は細胞当たり少なくとも約3,000または5,000の抗原を有すると特定される。
【0091】
上記態様の、または本明細書で詳述される本発明の他の態様の種々の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7または9のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、軽鎖可変領域は、配列番号8または10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含有する。上記態様の種々の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号1〜3で示されるアミノ酸配列を有する3つの連続する相補性決定領域を含有する少なくとも1つの重鎖可変領域またはその断片、及びそれぞれ配列番号4〜6で示されるアミノ酸配列を有する3つの連続する相補性決定領域を含有する少なくとも1つの軽鎖可変領域またはその断片を有する。上記態様の種々の実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR1;配列番号2のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR2;配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域CDR3;配列番号4のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR1;配列番号5のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR2;及び配列番号6のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域CDR3を有する。上記態様の種々の実施形態では、抗体はヒト化My9−6抗体またはキメラMy9−6抗体である。上記態様の種々の実施形態では、ヒト化抗体はCDR−移植または再表面化抗体である。上記態様の種々の実施形態では、免疫結合体は、N−(スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)−2−スルホブタノエートを介して細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物に結合されるヒト化My9−6抗体を含有し、その際、該免疫結合体は以下の構造式:
【0092】
【化76】
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【0093】
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
【0094】
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
【0095】
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
【0096】
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
【0097】
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
【0098】
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
【0099】
【化83】
[この文献は図面を表示できません]

または
【0100】
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
【0101】
【化85】
[この文献は図面を表示できません]

の1つまたは薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数であり、Yは−SOMであり、Mは各存在について独立して−Hまたは薬学上許容可能なカチオンである。
【0102】
上記態様の種々の実施形態では、検出する工程には、対象の末梢血または骨髄の試料に存在するCD33のレベルを測定することが関与し、その際、細胞当たり約1,000〜25,000(たとえば、2,000〜20,000;3,000〜25,000;3,000〜20,000;3,000〜18,000;5,000〜18,000;5,000〜20,000;5,000〜25,000)の間の抗原を検出することによって免疫結合体に応答する見込みがあるとして対象が予め選択される。上記態様の種々の実施形態では、細胞当たり約3,000〜25,000の間の抗原を検出することによって免疫結合体に応答する見込みがあるとして対象が予め選択され、または細胞当たり約5,000〜25,000の間の抗原を検出することによって免疫結合体に応答する見込みがあるとして対象が予め選択される。上記態様の種々の実施形態では、検出する工程には対象の末梢血または骨髄の試料に存在するCD33のレベルを測定することが関与し、その際、細胞当たり少なくとも約1,000、3,000または5,000の抗原を検出することによって免疫結合体に応答する見込みがあるとして対象が予め選択される。上記態様の種々の実施形態では、対象は急性骨髄性白血病であると新規に診断される。上記態様の種々の実施形態では、対象は急性骨髄性白血病の再発または難治性の急性骨髄性白血病であると診断される。上記態様の種々の実施形態では、急性骨髄性白血病の再発または難治性の急性骨髄性白血病であると診断された対象に由来する試料は細胞当たり少なくとも約3,000の抗原を含有する。上記態様の種々の実施形態では、免疫結合体は約10pM〜約2nMのIC50値を有する。上記態様の種々の実施形態では、免疫結合体は約11pM〜約1.6nMのIC50値を有する。上記態様の種々の実施形態では、方法は白血病性幹細胞を優先的に殺傷する。
【0103】
上記態様の、または本明細書で詳述される本発明の他の態様の種々の実施形態では、検出する工程には対象の生体(たとえば、末梢血または骨髄)試料にてFLT3−ITDの変異の存在を検出することが関与する。上記態様の種々の実施形態では、検出する工程には核酸のハイブリッド形成法または核酸の配列決定法が関与する。上記態様の種々の実施形態では、検出する工程にはPCR、逆転写酵素PCRまたはリアルタイムPCRの1以上が関与する。上記態様の種々の実施形態では、チロシンキナーゼ阻害剤はFLT3チロシンキナーゼ阻害剤である。上記態様の種々の実施形態では、FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有する対象は急性骨髄性白血病の再発であると診断され、チロシンキナーゼ阻害剤(たとえば、FLT3チロシンキナーゼ阻害剤)による以前の治療を受けていない。上記態様の種々の実施形態では、FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有する対象はチロシンキナーゼ阻害剤(たとえば、FLT3チロシンキナーゼ阻害剤)による以前の治療を受けた後、急性骨髄性白血病の再発であると診断される。上記態様の種々の実施形態では、FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有する対象は難治性の急性骨髄性白血病であると診断され、チロシンキナーゼ阻害剤(たとえば、FLT3チロシンキナーゼ阻害剤)による以前の治療を受けていない。上記態様の種々の実施形態では、FLT3−ITD陽性の急性骨髄性白血病を有する対象はチロシンキナーゼ阻害剤(たとえば、FLT3チロシンキナーゼ阻害剤)による以前の治療を受けた後、難治性の急性骨髄性白血病であると診断される。
【0104】
上記態様のいずれかの特定の実施形態では、本明細書で記載される結合体を含む組成物は抗体分子当たり平均1〜10の細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体分子を含んでもよい。抗体分子当たりの細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体分子の平均比率は本明細書では薬剤抗体比(DAR)と呼ばれる。一実施形態では、DARは2〜8、3〜7、3〜5または2.5〜3.5である。
【0105】
本発明の他の特徴及び利点は詳細な説明から、及びクレームから明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0106】
定義
特に定義されない限り、本明細書で使用される専門用語及び科学用語はすべて本発明が属する技術の当業者によって共通して理解される意味を有する。以下の参考文献は本発明で使用される用語の多くの一般的な定義を当業者に提供する:Singletonら,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(第2版.1994);The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker編,1988);The Glossary of Genetics,第5版,R.Riegerら.(編),Springer Verlag(1991);ならびにHale及びMarham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)。本明細書で使用されるとき、以下の用語は特定されない限り、以下でそれらに帰する意味を有する。
【0107】
「P−糖タンパク質」によって、NCBI受入番号NP_001035830で提供されるヒトの配列に対して少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有し、それが発現される細胞にて多剤耐性を付与するポリペプチドまたはその断片を意味する。例となるヒトP−糖タンパク質の配列は以下に提供される:
1 maaaeaggdd arcvrlsaer aqalladvdt llfdcdgvlw rgetavpgap ealralrarg
61 krlgfitnns sktraayaek lrrlgfggpa gpgaslevfg tayctalylr qrlagapapk
121 ayvlgspala aeleavgvas vgvgpeplqg egpgdwlhap lepdvravvv gfdphfsymk
181 ltkalrylqq pgcllvgtnm dnrlplengr fiagtgclvr avemaaqrqa diigkpsrfi
241 fdcvsqeygi npertvmvgd rldtdillga tcglktiltl tgvstlgdvk nnqesdcvsk
301 kkmvpdfyvd siadllpalq g
【0108】
「P−糖タンパク質ポリヌクレオチド」によってP−糖タンパク質をコードする核酸分子を意味する。
【0109】
「CD33タンパク質」によってNCBI受入番号CAD36509で提供されるヒトの配列に対して少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有し、抗CD33抗体の結合活性を有するポリペプチドまたはその断片を意味する。例となるヒトCD33のアミノ酸配列が以下で提供される:
1 mplllllpll wagalamdpn fwlqvqesvt vqeglcvlvp ctffhpipyy dknspvhgyw
61 fregaiisrd spvatnkldq evqeetqgrf rllgdpsrnn cslsivdarr rdngsyffrm
121 ergstkysyk spqlsvhvtd lthrpkilip gtlepghskn ltcsvswace qgtppifswl
181 saaptslgpr tthssvliit prpqdhgtnl tcqvkfagag vttertiqln vtyvpqnptt
241 gifpgdgsgk qetragvvhg aiggagvtal lalclcliff ivkthrrkaa rtavgrndth
301 pttgsaspkh qkksklhgpt etsscsgaap tvemdeelhy aslnfhgmnp skdtsteyse
361 vrtq
【0110】
「CD33ポリヌクレオチド」によってCD33タンパク質をコードする核酸分子を意味する。
【0111】
「FLT3タンパク質」、「FLT3ポリペプチド」、「FLT3」、「FLT−3受容体」または「FLT−3R」によって、NCBI受入番号NP_004110で提供されるFLK−2及びSTK−1とも呼ばれるFLT3チロシンキナーゼ受容体のヒト配列に対して少なくとも約85%、90%、95%、99%または100%のアミノ酸配列同一性を有し、且つ受容体チロシンキナーゼ活性を含むチロシンキナーゼ活性を有するポリペプチドまたはその断片を意味する。一実施形態では、FLT3のアミノ酸配列は以下で提供されるヒトFLT3のアミノ酸配列である:
1 mpalardggq lpllvvfsam ifgtitnqdl pvikcvlinh knndssvgks ssypmvsesp
61 edlgcalrpq ssgtvyeaaa vevdvsasit lqvlvdapgn isclwvfkhs slncqphfdl
121 qnrgvvsmvi lkmtetqage yllfiqseat nytilftvsi rntllytlrr pyfrkmenqd
181 alvcisesvp epivewvlcd sqgesckees pavvkkeekv lhelfgtdir ccarnelgre
241 ctrlftidln qtpqttlpql flkvgeplwi rckavhvnhg fgltwelenk aleegnyfem
301 stystnrtmi rilfafvssv arndtgyytc ssskhpsqsa lvtivekgfi natnssedye
361 idqyeefcfs vrfkaypqir ctwtfsrksf pceqkgldng ysiskfcnhk hqpgeyifha
421 enddaqftkm ftlnirrkpq vlaeasasqa scfsdgyplp swtwkkcsdk spncteeite
481 gvwnrkanrk vfgqwvssst lnmseaikgf lvkccaynsl gtscetilln spgpfpfiqd
541 nisfyatigv cllfivvltl lichkykkqf ryesqlqmvq vtgssdneyf yvdfreyeyd
601 lkwefprenl efgkvlgsga fgkvmnatay gisktgvsiq vavkmlkeka dsserealms
661 elkmmtqlgs henivnllga ctlsgpiyli feyccygdll nylrskrekf hrtwteifke
721 hnfsfyptfq shpnssmpgs revqihpdsd qisglhgnsf hsedeieyen qkrleeeedl
781 nvltfedllc fayqvakgme flefkscvhr dlaarnvlvt hgkvvkicdf glardimsds
841 nyvvrgnarl pvkwmapesl fegiytiksd vwsygillwe ifslgvnpyp gipvdanfyk
901 liqngfkmdq pfyateeiyi imqscwafds rkrpsfpnlt sflgcqlada eeamyqnvdg
961 rvsecphtyq nrrpfsremd lgllspqaqv eds
【0112】
「FLT3−ITD」によって単純な縦列重複及び/または挿入を伴った縦列重複を含むが、これらに限定されない内部縦列重複を有するFLT3ポリペプチドを意味する。種々の実施形態では、内部縦列重複を有するFLT3ポリペプチドは活性化されたFLT3変異体(たとえば、構成的に自己リン酸化された)である。一部の実施形態では、FLT3−ITDには、たとえば、エクソン11、エクソン11〜イントロン11、及びエクソン12、エクソン14、エクソン14〜イントロン14、及びエクソン15を含むエクソンまたはイントロンにて縦列重複及び/または挿入を伴った縦列重複が含まれる。内部縦列重複の変異(FLT3−ITD)はAML症例の約20〜25%に存在する最も一般的なFLT3の変異である。FLT3−ITDのAML患者は野生型(WT)FLT3の患者よりも不良の予後を有し、高い再発率及び持続時間の短い化学療法への応答を伴う。
【0113】
「FLT3ポリヌクレオチド」によってFLT3タンパク質をコードする核酸分子を意味する。
【0114】
「白血病性幹細胞」によって、対象にて自己再生をすることができる、白血病を発症することができる、及び/または急性骨髄性白血病の再発を引き起こすことができる白血病細胞を意味する。
【0115】
「多剤耐性細胞」によって、細胞が対照細胞の応答に比べて1以上の作用剤に対して低下した応答を有することを意味する。特に、P−糖タンパク質を発現している細胞は対照細胞よりも化学療法による治療に対して応答性が低いと予測される。
【0116】
「改善する」によって、疾患の発症または進行を少なくする、抑える、減衰する、縮小する、停止するまたは安定化することを意味する。
【0117】
「類似体」によって、同一ではないが、類似する機能的なまたは構造的な特徴を有する分子を意味する。たとえば、ポリペプチド類似体は対応する天然に存在するポリペプチドの生物活性を保持する一方で、天然に存在するポリペプチドに比べて類似体の機能を向上させる特定の生化学的な修飾を有する。そのような生化学的な修飾は、たとえば、リガンドの結合を変化させることなく、類似体のプロテアーゼ耐性、膜透過性、または半減期を高め得る。類似体は非天然のアミノ酸を含んでもよい。
【0118】
本開示では、「comprises」、「comprising」、「containing」及び「having」等は米国特許法におけるそれらに帰する意味を有することができ、「includes」、「including」等を意味することができ;「consisting essentially of」または「consists essentially」は同様に米国特許法におけるそれらに帰する意味を有し、該用語は、制約がなく、引用されるものの基本的なまたは新規の特徴が引用されるものの他の存在によって変化しない限り引用されるものの他の存在を可能にするが、従来技術の実施形態を排除する。
【0119】
「検出する」は検出される検体の存在、非存在または量を特定することを指す。
【0120】
「疾患」によって、細胞、組織または臓器の正常な機能を損傷するまたは妨害する状態または障害を意味する。疾患の例は急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性骨髄性白血病(CML)である。
【0121】
「有効量」によって、未治療の患者に比べて疾患の症状を改善するのに必要とされる化合物または作用剤の量を意味する。疾患の治療上の処置について本発明を実践するのに使用される活性化合物の有効量は、投与の方法、対象の年齢、体重及び全身状態に応じて変化する。最終的には、主治医が適切な量及び投薬計画を決定するであろう。そのような量が「有効」量と呼ばれる。
【0122】
用語「単離される」、「精製される」または「生物学的に純粋な」は、ネイティブな状態で見いだされるような普通それに伴う成分を様々な程度に含まない物質を指す。「単離する」は元々の供給源または周囲からの分離の程度を示す。「精製する」は単離よりも高い分離の程度を示す。「精製された」または「生物学的に純粋な」タンパク質は、どんな不純物もタンパク質の生物特性に対して物質的に影響を与えず、他の有害な結末を引き起こさないように他の物質を十分含まない。すなわち、本発明の核酸またはペプチドは、組換えDNA法で作出する場合は細胞性の物質、ウイルス性の物質もしくは培養培地を、または化学的に合成する場合は化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まなければ、精製されている。純度及び均質性は通常、分析化学の技法、たとえば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィを用いて測定される。用語「精製された」は核酸またはタンパク質が電気泳動ゲル上で本質的に1本のバンドを生じることを示すことができる。修飾に供することができるタンパク質については、たとえば、リン酸化またはグリコシル化、異なる修飾は、別々に精製することができる異なる単離されたタンパク質を生じてもよい。
【0123】
「単離されたポリヌクレオチド」によって、本発明の核酸分子が由来する生物の天然に存在するゲノムにて遺伝子に隣接する遺伝子を含まない核酸分子(たとえば、DNA)を意味する。従って、該用語には、たとえば、ベクター、自律的に複製するプラスミドもしくはウイルスまたは原核細胞もしくは真核細胞のゲノムDNAに組み込まれる組換えDNA、または他の配列とは無関係な別の分子(たとえば、PCRまたは制限エンドヌクレアーゼ消化によって作出されたcDNAまたはゲノムDNAまたはcDNAの断片)として存在する組換えDNAが含まれる。加えて、該用語には、DNA分子から転写されるRNA分子と同様に追加のポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAが含まれる。
【0124】
「単離されたポリペプチド」によって、天然にそれを伴う成分から分離されている本発明のポリペプチドを意味する。通常、ポリペプチドは、それが天然に関連するタンパク質及び天然に存在する有機分子を少なくとも60重量%含まない場合、単離されている。好ましくは、調製物は少なくとも75重量%、さらに好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは99重量%、本発明のポリペプチドである。本発明の単離されたポリペプチドは、たとえば、天然の供給源からの抽出によって、そのようなポリペプチドをコードする組換え核酸の発現によって、またはタンパク質を化学的に合成することによって得られてもよい。純度は、適当な方法、たとえば、カラムクロマトグラフィ、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析によって測定することができる。
【0125】
「参照」によって標準のまたは対照の条件または試料を意味する。
【0126】
「参照配列」は配列比較のための基礎として使用される定義された配列である。参照配列は、特定された配列のサブセットまたは全体であってもよく、たとえば、完全長のcDNAもしくは遺伝子の配列の断片または完全なcDNAもしくは遺伝子の配列であってもよい。ポリペプチドについては、参照ポリペプチド配列の長さは一般に少なくとも約16アミノ酸、好ましくは少なくとも約20アミノ酸、さらに好ましくは少なくとも約25アミノ酸、一層さらに好ましくは約35アミノ酸、約50アミノ酸、または約100アミノ酸であろう。核酸については、参照核酸配列の長さは一般に少なくとも約50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約60ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも約75ヌクレオチド、一層さらに好ましくは約100ヌクレオチドまたは約300ヌクレオチド、またはその辺りのもしくはその間の整数であろう。
【0127】
「特異的に結合する」によって、天然に本発明のポリペプチドを含む試料、たとえば、生体試料にて対象とするポリペプチドを認識し、結合するが、他の分子を実質的に認識せず、結合しない抗体またはその断片を意味する。
【0128】
本発明の方法で有用な核酸分子には、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子またはその断片が挙げられる。そのような核酸分子は内在性の核酸配列と100%同一である必要はないが、通常、実質的な同一性を示すであろう。内在性の配列に対して「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは通常、二本鎖核酸分子の少なくとも一方の鎖とハイブリッド形成することができる。本発明の方法で有用な核酸分子には、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子またはその断片が挙げられる。そのような核酸分子は内在性の核酸配列と100%同一である必要はないが、通常、実質的な同一性を示すであろう。内在性の配列に対して「実質的な同一性」を有するポリヌクレオチドは通常、二本鎖核酸分子の少なくとも一方の鎖とハイブリッド形成することができる。「ハイブリッド形成する」によって、厳密性の種々の条件下で相補性のポリヌクレオチド配列(たとえば、本明細書で記載される遺伝子)間、またはその一部の間で二本鎖分子を形成する対を意味する。(たとえば、Wahl,G.M.及びS.L.Berger(1987) Methods Enzymol.152:399;Kimmel,A.R.(1987),Methods Enzymol.152:507を参照のこと)
【0129】
たとえば、厳密な塩濃度は普通、約750mM未満のNaCl及び75mMのクエン酸三ナトリウム、好ましくは約500mM未満のNaCl及び50mMのクエン酸三ナトリウム、さらに好ましくは約250mM未満のNaCl及び25mMのクエン酸三ナトリウムであろう。低い厳密性のハイブリッド形成は有機溶媒、たとえば、ホルムアミドの非存在下で得ることができる一方で、高い厳密性のハイブリッド形成は少なくとも約35%のホルムアミド、さらに好ましくは少なくとも約50%のホルムアミドの存在下で得ることができる。厳密な温度条件には普通、少なくとも約30℃、さらに好ましくは少なくとも約37℃、最も好ましくは少なくとも約42℃の温度が挙げられる。たとえば、ハイブリッド形成の時間、界面活性剤、たとえば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の濃度、及びキャリアDNAの包含または排除のような様々な追加のパラメータは当業者に周知である。これらの種々の条件を必要に応じて組み合わせることによって種々のレベルの厳密性が達成される。好まれる実施形態では、ハイブリッド形成は750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム及び1%のSDSにて30℃で生じるであろう。さらに好まれる実施形態では、ハイブリッド形成は500mMのNaCl、50mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、35%ホルムアミド、及び100μg/mlの変性サケ精子DNA(ssDNA)にて37℃で生じるであろう。最も好まれる実施形態では、ハイブリッド形成は250mMのNaCl、25mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、50%ホルムアミド、及び200μg/mlのssDNAにて42℃で生じるであろう。これらの条件における有用な変動は当業者に容易に明らかであろう。
【0130】
ほとんどの適用について、ハイブリッド形成に続く洗浄工程も厳密性で変化するであろう。洗浄の厳密性条件は塩濃度及び温度によって定義することができる。上記のように、洗浄の厳密性は塩濃度を下げることによって、または温度を上げることによって高めることができる。たとえば、洗浄工程について厳密な塩濃度は好ましくは約30mM未満のNaCl及び3mMのクエン酸三ナトリウムであり、最も好ましくは約15mM未満のNaCl及び1.5mMのクエン酸三ナトリウムであろう。洗浄工程について厳密な温度条件には普通、少なくとも約25℃、さらに好ましくは少なくとも約42℃、一層さらに好ましくは少なくとも約68℃の温度が挙げられるであろう。好まれる実施形態では、洗浄工程は30mMのNaCl、3mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDSにて25℃で発生するであろう。さらに好まれる実施形態では、洗浄工程は15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDSにて42℃で発生するであろう。さらに好まれる実施形態では、洗浄工程は15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%のSDSにて68℃で発生するであろう。これらの条件における追加の変動は当業者に容易に明らかであろう。ハイブリッド形成の技法は当業者に周知であり、たとえば、Benton及びDavis(Science,196:180,1977);Grunstein及びHogness(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,72:3961,1975);Ausubelら(Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,New York,2001);Berger及びKimmel(Guide to Molecular Cloning Techniques,1987,Academic Press,New York);ならびにSambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New Yorkにて記載されている。
【0131】
「実質的に同一の」によって、参照のアミノ酸配列(たとえば、本明細書で記載されるアミノ酸配列のいずれか1つ)または核酸配列(たとえば、本明細書で記載される核酸配列のいずれか1つ)に対して少なくとも50%の同一性を示すポリペプチドまたは核酸分子を意味する。好ましくは、そのような配列は、比較のために使用される配列に対してアミノ酸レベルでまたは核酸で少なくとも60%、さらに好ましくは80%または85%、さらに好ましくは90%、95%またはさらに99%同一である。
【0132】
配列の同一性は通常、配列解析ソフトウエア(たとえば、ウィスコンシン大学バイオテクノロジーセンター(1710 University Avenue,Madison,Wis.53705)の遺伝学コンピュータグループの配列解析ソフトウエアパッケージ,BLAST,BESTFIT,GAP,またはPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を用いて測定される。そのようなソフトウエアは、種々の置換、欠失及び/または他の修飾に対する相同性の程度を割り当てることによって同一のまたは類似する配列を一致させる。保存的な置換には通常、以下の群:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;及びフェニルアラニン、チロシンの範囲内での置換が挙げられる。同一性の程度を判定する例となるアプローチでは、密接に関連する配列を示すe−3とe−100の間の可能性スコアを伴ったBLASTプログラムが使用されてもよい。
【0133】
「対象」によって、ヒト、または、たとえば、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジもしくはネコのような非ヒト哺乳類を含むが、これらに限定されない哺乳類を意味する。
【0134】
本明細書で提供される範囲は、その範囲内での値のすべてについてのショートハンドであると理解される。たとえば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50から成る群に由来する任意の数、数の組み合わせ、または部分的範囲を包含するように理解される。
【0135】
本明細書で使用されるとき、用語「治療する」、「治療すること」、「治療」等は疾病及び/またはそれに関連する症状を軽減することまたは改善することを指す。除外されないけれども、疾病または状態を治療することはその疾病、それに関連する状態または症状が完全に撲滅されることを必要としないことが十分に理解されるであろう。
【0136】
本明細書で使用されるとき、用語「予防する」、「予防すること」、「予防」、「予防的治療」等は、疾病または状態を有してはいないが、それを発症するリスクがあるまたはそれを発症し易い対象にて疾病または状態を発症する確率を低下させることを指す。
【0137】
具体的に述べられない限り、または文脈から明白ではない限り、本明細書で使用されるとき、用語「または」は包含的であると理解される。具体的に述べられない限り、または文脈から明白ではない限り、本明細書で使用されるとき、用語「a」、「an」及び「the」は単数または複数であると理解される。
【0138】
具体的に述べられない限り、または文脈から明白ではない限り、本明細書で使用されるとき、用語「約」は、当該技術における正常な許容値の範囲内、たとえば、平均値の2標準偏差の範囲内として理解される。約は、述べられた値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%の範囲内として理解することができる。文脈から明瞭ではない限り、本明細書で提供される数値はすべて用語、約によって修飾される。
【0139】
本明細書の変数の定義における化学基のリストの引用には、単一の基またはリストにした基の組み合わせとしてのその変数の定義が含まれる。本明細書の変数または態様についての実施形態の引用には、単一の実施形態としての、または他の実施形態もしくはその一部との組み合わせでのその実施形態が含まれる。
【0140】
本明細書で提供される任意の組成物または方法は、本明細書で提供される他の組成物または方法のいずれかの1以上と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
図1図1は急性骨髄性白血病(AML)患者の試料(n=56)におけるCD33のレベルを示すグラフである。
図2図2は急性骨髄性白血病(AML)患者の細胞に対するCD33を標的とするメイタンシノイド抗体薬剤結合体と比べたIMGN779についての試験管内のIC50値及びCD33の発現レベルの依存性の比較を示す散布図を示す。
図3図3は細胞当たりのCD33抗原が5000より多い(上)のに対して5000より少ない(下)場合のLogIC50の統計的に有意な(p<0.0001)分布を示す2つのグラフを提供する。
図4A図4Aは白血病性幹細胞及び正常な造血幹細胞に対するIMGN779の効果を示すグラフである。
図4B図4BはIMGN779が正常な造血幹細胞を見逃すことを示すグラフである。
図5A図5Aは、AML患者の初代細胞におけるCD33発現の関数としてのP−糖タンパク質(PGP)の活性を示すドットプロットである。
図5B図5Bは、AML患者の初代細胞におけるPGP活性の関数としてのIMGN779の細胞傷害性を示すドットプロットである。
図6図6はAML細胞株がIMGN779及びDGN462に対して高度に感受性であることを示す表である。
図7A図7AはIMGN779の単回静脈内注射の後のSCIDマウスにおける皮下異種移植片での急性骨髄性白血病(AML)EOL−1に対するIMGN779の抗腫瘍活性を示すグラフである。
図7B図7BはIMGN779の単回静脈内注射の後のSCIDマウスにおける皮下異種移植片での前骨髄急性白血病(PML)HL60/QCに対するIMGN779の抗腫瘍活性を示すグラフである。
図7C図7Cは、EOL−1細胞及びHL60/QC細胞のヒトAML異種移植片に対するIMGN779または非標的化抗体薬剤結合体の効果を示す表である。「治療(T)/対照(C)(%)」は腫瘍増殖の阻害比率を指す。「CR」は完全応答を指す。
図8図8は14mg/kg及び40mg/kgのIMGN779で処理したマウスにおける長期にわたる平均体重変化の比率を示すグラフである。
図9A図9Aは総抗体と抗体結合体の経時的な血漿濃度を示すグラフである。
図9B図9BはELISAによって測定したインタクトなIMGN779の血漿濃度及び細胞傷害性アッセイによって測定したIMGN779の生物活性がある濃度を示すグラフである。
図9C図9CはIMGN779の生体内での安定性及び薬物動態を示す表である。
図10A-1】図10Aはヒト化My9−6軽鎖のアミノ酸配列を提供する。
図10A-2】図10Aはヒト化My9−6軽鎖のアミノ酸配列を提供する。
図10A-3】図10Aはヒト化My9−6軽鎖のアミノ酸配列を提供する。
図10B-1】図10Bはヒト化My9−6重鎖のアミノ酸配列を提供する。
図10B-2】図10Bはヒト化My9−6重鎖のアミノ酸配列を提供する。
図10B-3】図10Bはヒト化My9−6重鎖のアミノ酸配列を提供する。
図11図11はAML患者の試料におけるIMGN779の細胞傷害性についての試験管内のIC50値及びCD33のABC(抗体結合能)を示すグラフである。
図12図12はFLT3 WT及びFLT3−ITD(内部縦列重複)のAML患者の試料におけるIMGN779の細胞傷害性についての試験管内のIC50値を示すグラフである。
図13図13はFLT3 WT及びFLT3−ITDのAML患者の試料における試験管内のCD33のABCを示すグラフである。
図14図14はIMGN779がFLT3−ITDのAML細胞株に対して試験管内で高い細胞傷害性活性を有することを示す表である。
図15図15はFLT3−ITD変異を有するMOLM−13AML細胞株におけるIMGN779及びFLT3キナーゼ阻害剤の試験管内の細胞傷害性を示すグラフである。
図16図16は10μg/kgの最少有効用量(DGN462用量)でのMV4−11 FLT3−ITD AML異種移植片に対するIMGN779の強力な、抗原を標的とする抗腫瘍活性を示すグラフである。T/C(%)=腫瘍増殖阻害;PR=部分的な腫瘍退縮;CR=完全な腫瘍退縮
図17図17は抗体当たりおよそ3つの結合されたDGN462分子があること(薬剤対抗体比(DAR))を示す質量分光分析を提供する。
【0142】
配列の簡単な説明
マウス重鎖CDR1:SYYIH(配列番号1);
マウス重鎖CDR2:VIYPGNDDISYNQKFXG(配列番号2),その際、XはKまたはQである;
マウス重鎖CDR3:EVRLRYFDV(配列番号3);
マウス軽鎖CDR1:KSSQSVFFSSSQKNYLA(配列番号4);
マウス軽鎖CDR2:WASTRES(配列番号5);
マウス軽鎖CDR3:HQYLSSRT(配列番号6);
マウス重鎖可変領域:QVQLQQPGAEVVKPGASVKMSCKASGYTFTSYYIHWIKQTPGQGLEWVGVIYPGNDDISYNQKFKGKATLTADKSSTTAYMQLSSLTSEDSAVYYCAREVRLRYFDVWGAGTTVTVSS(配列番号7);
マウス軽鎖可変領域:NIMLTQSPSSLAVSAGEKVTMSCKSSQSVFFSSSQKNYLAWYQQIPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVQSEDLAIYYCHQYLSSRTFGGGTKLEIKR(配列番号8);
ヒト化重鎖可変領域:QVQLQQPGAEVVKPGASVKMSCKASGYTFTSYYIHWIKQTPGQGLEWVGVIYPGNDDISYNQKFQGKATLTADKSSTTAYMQLSSLTSEDSAVYYCAREVRLRYFDVWGQGTTVTVSS(配列番号9);
ヒト化軽鎖可変領域:EIVLTQSPGSLAVSPGERVTMSCKSSQSVFFSSSQKNYLAWYQQIPGQSPRLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVQPEDLAIYYCHQYLSSRTFGQGTKLEIKR(配列番号10)
【0143】
特定の実施形態では、ヒト化抗体には再表面化抗体及び/またはCDR移植抗体が含まれる。
【0144】
発明の詳細な説明
本発明は、AMLを特徴付け、有効な治療法を選択するのに有用である組成物及び方法と同様にAMLであると新規に診断された患者、AMLの再発を経験している患者及び難治性AMLを有する患者を治療する方法を特徴とする。
【0145】
本発明は、新規のDNAアルキル化剤であるDGN462を利用するCD33を標的とする抗体/薬剤結合体(ADC)が生体内でAML患者の初代細胞に対して、及び生体内でマウスにおけるAML異種移植片に対して高度に活性があるという発見に少なくともある程度基づく。
【0146】
化学療法に対する約80%の高い当初の応答率にもかかわらず、多数の急性骨髄性白血病(AML)患者は疾患の再発を経験する。理論によって束縛されることを意図しないで、これらの再発は持続する白血病性幹細胞の増殖によると考えられている。以下にて本明細書で報告されるように、本発明は、モノイミン部分を含有するインドリノ−ベンゾジアゼピン二量体を含む高度に強力なDNAアルキル化剤であるDGN462を特徴とする。
【0147】
IMGN779は、切断可能なジスルフィドリンカーを介して新規のDNAアルキル化剤であるDGN462に結合されたhuMy9−6またはZ4681Aとしても知られる抗huCD33抗体を含むCD33を標的とする抗体薬剤結合体である。その好都合な前臨床の忍容性プロファイルは、IMGN779が活性を明示するが、有意な毒性を伴わない、AMLについての既存の臨床作用剤を超える治療上の利点を付与することを示唆している。試験管内でのAML細胞株及びAML患者の初代細胞に対するIMGN779の高度に強力なCD33を標的とする活性、マウスにおけるAML異種移植片に対して見られる抗腫瘍活性、及び好都合な安全性プロファイルはAMLの治療としてのその発展を支えている。
【0148】
マウス及びヒト化されたMy9−6抗体
マウスMy9−6
本明細書では「My9−6」、「マウスMy9−6」及び「muMy9−6」と様々に呼ばれるマウス抗CD33抗体は、軽鎖及び重鎖双方の可変領域の生殖細胞系列のアミノ酸配列、軽鎖及び重鎖双方の可変領域のアミノ酸配列、CDRの特定、表面アミノ酸の特定及び組換え形態における発現のための手段に関して十分に性状分析されている。たとえば、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第7,557,189;同第7,342,110号;同第8,119,787号;同第8,337,855号及び米国特許公開番号20120244171号を参照のこと。
【0149】
My9−6抗体は機能的にも特徴付けられ、CD33陽性細胞の表面上のCD33に高い親和性で結合することが示されている。
【0150】
用語「可変領域」は、抗体間で配列が異なり、その抗原に対する各特定の抗体の結合及び特異性で協力する抗体の重鎖及び軽鎖の特定の部分を記載するのに本明細書で使用される。変異性は抗体の可変領域全体にわたって普通均一には分布しない。それは通常、軽鎖及び重鎖の可変領域双方にて相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる可変領域の3つの断片の範囲内に濃縮される。可変領域のさらに高度に保存された部分はフレームワーク領域と呼ばれる。重鎖及び軽鎖の可変領域は主としてベータシート構造を採用する4つのフレームワーク領域を含み、各フレームワーク領域は3つのCDRによって接続され、ベータシート構造を接続するループを形成し、場合によってはベータシート構造の一部を形成する。各鎖におけるCDRはフレームワーク領域によってごく近接して保持され、他の鎖に由来するCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(E.A.Kabatら Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版,1991,NIH)。
【0151】
「定常」領域は抗体の抗原への結合に直接関与することはないが、たとえば、抗体依存性の細胞傷害性における抗体の関与のような種々のエフェクター機能を示す。
【0152】
ヒト化My9−6抗体
本明細書では「huMy9−6」及び「ヒト化My9−6」と様々に呼ばれるMy9−6のヒト化型も調製されている。
【0153】
ヒト化の目標は、ヒトへの導入のためにマウス抗体のような異種抗体の免疫原性を減らす一方で、抗体の完全な抗原結合の親和性及び特異性を維持することである。
【0154】
ヒト化抗体は、たとえば、再表面化及びCDR移植のような幾つかの技法を用いて作出されてもよい。本明細書で使用されるとき、再表面化法技術は分子モデル化、統計的解析及び変異誘発の組み合わせを用いて抗体可変領域の非CDR表面を変化させ、標的宿主の既知の抗体の表面に似る。
【0155】
抗体の再表面化の戦略及び方法、ならびに異なる宿主内での抗体の免疫原性を低減する他の方法は、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第5,639,641号(Pedersenら)にて開示されている。手短には、好まれる方法では、(1)抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域のプールの位置配列比較を生成して可変領域すべてについての配列比較の位置が少なくとも約98%同一である重鎖及び軽鎖の可変領域のフレームワーク表面に露出した位置のセットを得る;(2)重鎖及び軽鎖の可変領域のフレームワーク表面に露出したアミノ酸残基のセットが齧歯類の抗体(またはその断片)について定義される;(3)齧歯類の表面に露出したアミノ酸残基のセットに対して最も同一に近い重鎖及び軽鎖の可変領域のフレームワーク表面に露出したアミノ酸残基のセットを特定する;(4)齧歯類抗体の相補性決定領域の残基の原子の5オングストローム以内にあるアミノ酸残基を除いて、工程(2)で定義された重鎖及び軽鎖の可変領域のフレームワーク表面に露出したアミノ酸残基のセットを工程(3)で特定された重鎖及び軽鎖の可変領域のフレームワーク表面に露出したアミノ酸残基のセットで置換する;及び(5)結合特異性を有するヒト化齧歯類抗体を作出する。
【0156】
抗体は、CDR−移植(EP0239400;WO91/09967;米国特許第5,530,101号;及び同第5,585,089号)、ベニヤ化または再表面化(EP0592106;EP0519596;Padlan,E.A.,1991,Molecular Immunology 28(4/5):489−498;Studnicka,G.M.ら,1994,Protein Engineering 7(6):805−814;Roguska,M.A.ら,1994,PNAS,91:969−973)、及び鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)を含む種々の他の技法を用いてヒト化することができる。ヒト抗体はファージディスプレイ法を含む当該技術で既知の種々の方法によって作製することができる。米国特許第4,444,887号、同第4,716,111号、同第5,545,806号、及び同第5,814,318号;及び国際特許出願公開番号WO98/46645、WO98/50433、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO96/33735及びWO91/10741(その全体が参照によって組み入れられる前記参考文献)も参照のこと。
【0157】
本明細書でさらに記載されるように、My9−6のCDRをモデル化によって特定し、その分子構造を予測した。次いで、たとえば、参照によって本明細書に組み入れられる米国特許公開番号20050118183号にて記載されたようにヒト化My9−6抗体を調製し、完全に性状分析した。多数のhuMy9−6抗体の軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列を図5A及び5Bに示す。たとえば、それぞれ参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第8,337,855号及び米国特許公開番号第20120244171号を参照のこと。
【0158】
My9−6抗体のエピトープ結合断片
マウスMy9−6抗体及びそのヒト化型My9−6抗体のエピトープ結合断片はマウスMy9−6抗体及びそのヒト化型から分離して本明細書で議論されるが、本発明の用語「抗体」(単数)または「抗体」(複数)は完全長のmuMy9−6及びhuMy9−6抗体双方と同様にこれら抗体のエピトープ結合断片を含んでもよいことが理解される。
【0159】
さらなる実施形態では、配列番号1〜6:SYYIH(配列番号1)、VIYPGNDDISYNQKFXG(配列番号2)、その際XはKまたはQ、EVRLRYFDV(配列番号3)、KSSQSVFFSSSQKNYLA(配列番号4)、WASTRES(配列番号5)、HQYLSSRT(配列番号6)から成る群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つの相補性決定領域を含み、且つCD33を結合する能力を有する抗体またはそのエピトープ結合断片が提供される。
【0160】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの重鎖可変領域と少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む抗体またはそのエピトープ結合断片が提供され、その際、前記重鎖可変領域はそれぞれ配列番号1〜3:SYYIH(配列番号1)、VIYPGNDDISYNQKFXG(配列番号2)、その際XはKまたはQ、EVRLRYFDV(配列番号3)によって表されるアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含み、前記軽鎖可変領域はそれぞれ配列番号4〜6:KSSQSVFFSSSQKNYLA(配列番号4)、WASTRES(配列番号5)、HQYLSSRT(配列番号6)によって表されるアミノ酸配列を有する3つの相補性決定領域を含む。
【0161】
さらなる実施形態では、配列番号7:QVQLQQPGAEVVKPGASVKMSCKASGYTFTSYYIHWIKQTPGQGLEWVGVIYPGNDDISYNQKFKGKATLTADKSSTTAYMQLSSLTSEDSAVYYCAREVRLRYFDVWGAGTTVTVSSによって表されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を共有する、さらに好ましくは配列番号7と95%の配列同一性を共有する、最も好ましくは配列番号7と100%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有する抗体が提供される。
【0162】
同様に、配列番号8:NIMLTQSPSSLAVSAGEKVTMSCKSSQSVFFSSSQKNYLAWYQQIPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVQSEDLAIYYCHQYLSSRTFGGGTKLEIKRによって表されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を共有する、さらに好ましくは配列番号8と95%の配列同一性を共有する、最も好ましくは配列番号8と100%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する抗体が提供される。
【0163】
さらなる実施形態では、配列番号9:QVQLQQPGAEVVKPGASVKMSCKASGYTFTSYYIHWIKQTPGQGLEWVGVIYPGNDDISYNQKFQGKATLTADKSSTTAYMQLSSLTSEDSAVYYCAREVRLRYFDVWGQGTTVTVSSによって表されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を共有する、さらに好ましくは配列番号9と95%の配列同一性を共有する、最も好ましくは配列番号9と100%の配列同一性を共有するヒト化(たとえば、再表面化した、CDR移植した)重鎖可変領域を有する抗体が提供される。
【0164】
同様に、配列番号10:EIVLTQSPGSLAVSPGERVTMSCKSSQSVFFSSSQKNYLAWYQQIPGQSPRLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTISSVQPEDLAIYYCHQYLSSRTFGQGTKLEIKRに相当するアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を共有する、さらに好ましくは配列番号10と95%の配列同一性を共有する、最も好ましくは配列番号10と100%の配列同一性を共有するヒト化(たとえば、再表面化した、CDR移植した)軽鎖可変領域を有する抗体が提供される。特定の実施形態では、抗体にはCDRの外側のフレームワーク領域における保存的変異が含まれる。
【0165】
本明細書で使用されるとき、「抗体断片」には、一般に「エピトープ結合断片」と呼ばれるCD33に結合する能力を保持する抗体の部分を含まれる。抗体断片の例には、好ましくは、Fab、Fab’及びF(ab’)、Fd、単鎖Fvs(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、及びVまたはVのドメインを含む断片が挙げられるが、これらに限定されない。単鎖抗体を含むエピトープ結合断片は可変領域のみ、または以下の:ヒンジ領域、CH1、CH2及びCH3のドメインの全体または一部との組み合わせを含んでもよい。
【0166】
そのような断片はFab断片またはF(ab’)断片の一方または双方を含有してもよい。好ましくは、抗体断片は、そのような領域すべてより少ない、たとえば、3、4または5のCDRを含有する断片も機能的ではあるが、全抗体の6つのCDRすべてを含有する。さらに、機能的な同等物は、以下の免疫グロブリンのクラス:IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE及びそのサブクラスのいずれか1つのメンバーであってもよいし、メンバーを組み合わせてもよい。
【0167】
Fab断片及びF(ab’)断片は、たとえば、パパイン(Fab断片)またはペプシン(F(ab’)断片)のような酵素を用いたタンパク質分解による切断によって作出されてもよい。
【0168】
単鎖FVs(scFvs)断片は、抗体の軽鎖可変領域(V)の少なくとも1つの断片に連結された抗体の重鎖可変領域(V)の少なくとも1つの断片を含有するエピトープ結合断片である。リンカーは、単鎖抗体断片が由来する抗体全体の標的分子結合特異性を維持するようにそれらがいったん連結されると(V)及び(V)の領域の適正な三次元の折り畳みが生じることを保証するように選択される短い、柔軟なペプチドであってもよい。(V)または(V)の配列のカルボキシル末端はリンカーによって相補性の(V)及び(V)の配列のアミノ酸末端に共有結合されてもよい。単鎖抗体断片は分子クローニング、抗体のファージディスプレイライブラリ、または技量のある熟練者に周知の類似の技法によって生成されてもよい。これらのタンパク質は、たとえば、真核細胞、または細菌を含む原核細胞にて作出されてもよい。
【0169】
本発明のエピトープ結合断片は当該技術で既知の種々のファージディスプレイ法を用いて生成することもできる。ファージディスプレイ法では、機能的な抗体ドメインが、それをコードするポリヌクレオチド配列を運ぶファージ粒子の表面上に表示される。特に、そのようなファージを利用してレパトアまたはコンビナトリアル抗体ライブラリ(たとえば、ヒトまたはマウス)から発現されるエピトープ結合ドメインを表示することができる。たとえば、標識されたCD33または固体表面もしくはビーズに結合させたもしくは捕捉したCD33を用いて抗原によって、対象とする抗原を結合するエピトープ結合ドメインを発現しているファージを選択し、特定することができる。これらの方法で使用されるファージは通常、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのタンパク質に組換えで融合されたFab、Fvまたはジスルフィドで安定化したFv抗体ドメインと共にファージから発現されるfd及びM13結合ドメインを含むフィラメント状のファージである。
【0170】
本発明のエピトープ結合断片を作製するのに使用することができるファージディスプレイ法の例には、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられるBrinkmanら,1995,J.Immunol.Methods 182:41−50;Amesら,1995,J.Immunol.Methods 184:177−186;Kettleboroughら,1994,Eur.J.Immunol.24:952−958;Persicら,1997,Gene 187:9−18;Burtonら,1994,Advances in Immunology 57:191−280;PCT出願番号PCT/GB91/01134;PCT公開WO90/02809;WO91/10737;WO92/01047;WO92/18619;WO93/11236;WO95/15982;WO95/20401;及び米国特許第5,698,426号;同第5,223,409号;同第5,403,484号;同第5,580,717号;同第5,427,908号;同第5,750,753号;同第5,821,047号;同第5,571,698号;同第5,427,908号;同第5,516,637号;同第5,780,225号;同第5,658,727号;同第5,733,743号及び同第5,969,108にて開示されたものが挙げられる。
【0171】
ファージ選択の後、断片をコードするファージの領域を単離し、それを用い、たとえば、以下で詳細に記載されるような組換えDNA法を用いて、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母及び細菌を含む選択された宿主にて発現を介してエピトープ結合断片を生成することができる。たとえば、Fab、Fab’及びF(ab’)の断片を組換えで作出する技法は、たとえば、PCT公開WO92/22324;Mullinaxら,1992,BioTechniques 12(6):864−869;Sawaiら,1995,AJRI34:26−34;及びBetterら,1988,Science 240:1041−1043にて開示されたもののような当該技術で既知の方法を用いて採用することができ;前記参考文献はその全体が参照によって組み入れられる。単鎖Fv及び抗体を作出するのに使用することができる技法の例には、米国特許第4,946,778号及び同第5,258,498号;Hustonら,1991,Methods in Enzymology 203:46−88;Shuら,1993,PNAS 90:7995−7999;Skerraら,1988,Science 240:1038−1040にて記載されたものが挙げられる。
【0172】
機能的な同等物
本発明の範囲内に含められるのはまた、My9−6抗体及びヒト化My9−6抗体の機能的な同等物である。用語「機能的な同等物」には、相同配列を持つ抗体、キメラ抗体、修飾された抗体及び人工の抗体が挙げられ、たとえば、その際、各機能的な同等物はCD33に結合するその能力によって定義される。技量のある熟練者は、「抗体断片」と呼ばれる分子と「機能的な同等物」と呼ばれる群において重複があることを理解するであろう。
【0173】
相同配列を持つ抗体は、本発明のマウスMy9−6抗体及びヒト化My9−6抗体のアミノ酸配列との配列の同一性または相同性を有するアミノ酸配列を持つ抗体である。好ましくは、同一性は、本発明のマウスMy9−6抗体及びヒト化My9−6抗体の可変領域のアミノ酸配列とのものである。「配列同一性」及び「配列相同性」は本明細書でアミノ酸配列に適用されるとき、たとえば、Pearson及びLipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,2444−2448(1988)に従ってFASTA検索法によって測定されるような、もう1つのアミノ酸配列に対する少なくとも約90%、91%、92%、93%または94%の配列同一性、さらに好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を持つ配列として定義される。
【0174】
本明細書で使用されるとき、キメラ抗体は抗体の異なる部分が異なる動物種に由来するものである。たとえば、ヒトの免疫グロブリン定常領域と対合したマウスのモノクローナル抗体に由来する可変領域を有する抗体。キメラ抗体を作出する方法は当該技術で既知である。たとえば、その全体が参照によって本明細書に組み入れられるMorrison,1985,Science 229:1202;Oiら,1986,BioTechniques 4:214;Gilliesら,1989,J.Immunol.Methods 125:191−202;米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;及び同第4,816,397号を参照のこと。
【0175】
改善された抗体
CDRはエピトープ認識及び抗体結合にとって最重要である。しかしながら、その同族のエピトープを認識し、結合する抗体の能力を妨害することなくCDRを構成する残基を変化させてもよい。たとえば、エピトープ認識に影響を与えないが、エピトープについての抗体の結合親和性を高める変更を行ってもよい。
【0176】
従って、本発明の範囲内に含められるのはまた、マウス抗体及びヒト化抗体双方の改善された型であり、それはまたCD33を特異的に認識し、好ましくは高い親和性でそれを結合する。
【0177】
幾つかの研究は、最初の抗体の配列の知識及び結合や発現のレベルのようなその特性に基づいて抗体の配列における種々の位置で1以上のアミノ酸の変化を導入する効果を調査している(Yang,W.P.ら,1995,J.Mol.Biol.,254,392−403;Rader,C.ら,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95,8910−8915;Vaughan,T.J.ら,1998,Nature Biotechnology,16,535−539)。
【0178】
これらの研究では、たとえば、オリゴヌクレオチドが介在する部位特異的な変異誘発、カセット変異誘発、変異性PCR、DNAシャッフリング、または大腸菌の変異誘発因子株のような方法を用いてCDR1、CDR2、CDR3またはフレームワーク領域における重鎖及び軽鎖の遺伝子の配列を変化させることによって最初の抗体の同等物を生成している(Vaughan,T.J.ら,1998,Nature Biotechnology,16,535−539;Adey,N.B.ら,1996,Chapter,16,pp.277−291,in“Phage Display of Peptides and Proteins”,Eds.Kay,B.K.ら,Academic Press)。最初の抗体の配列を変化させるこれらの方法は、派生的な抗体の親和性の改善を生じた(Gram,H.ら,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89,3576−3580;Boder,E.T.ら,2000,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97,10701−10705;Davies,J.及びRiechmann,L.,1996,Immunotechnolgy,2,169−179;Thompson,J.ら,1996,J.Mol.Biol.,256,77−88;Short,M.K.ら,2002,J.Biol.Chem.,277,16365−16370;Furukawa,K.ら,2001,J.Biol.Chem.,276,27622−27628)。
【0179】
抗体の1以上のアミノ酸残基を変化させる類似の方向性を持った戦略によって、本明細書で記載される抗体配列(図10A及び10B)を用いて、CD33についての親和性の改善を含む改善された機能を持つ抗CD33抗体を生じることができる。
【0180】
改善された抗体には、動物の免疫、ハイブリドーマの形成、特定の特徴を持つ抗体の選択という常法によって調製される改善された特徴を有する抗体も挙げられる。
【0181】
患者の階層化
huMy9−6抗体(「Z4681A」とも呼ばれる)は、たとえば、生検の間に対象に由来する細胞におけるCD33の発現を特徴付けるのに有用である。我々は、対象の細胞におけるCD33の発現のレベルがIMGN779の有効性を示すので患者の階層化に有用であることを発見した。この発見は少なくともある程度、細胞当たり1,000ほどの少ないCD33抗原を発現している患者の初代細胞がIMGN779に高度に感受性だった(60%の細胞が感受性)ことを示す患者のデータに基づく。>3,000のCD33のレベルの試料については、75%を超えるものがIMGN779に高度に感受性だった。5,000を上回るCD33レベルの試料については、90%を超える細胞がIMGN779に対して高度に感受性だった。従って、細胞当たり少なくとも約1,000〜25,000のCD33抗原(ABC、すなわち、抗体結合能)(たとえば、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、10,000、15,000、20,000、25,000のABC)以上を持つ細胞を有する患者はIMGN779による治療にさらに感受性である。
【0182】
特定の実施形態では、1,000〜18,000、1,000〜20,000もしくは1,000〜25,000の範囲;または3,000〜18,000、3,000〜20,000もしくは3,000〜25,000の範囲;または5,000〜18,000、5,000〜20,000もしくは5,000〜25,000の範囲でのABCを持つ患者を選択し、本発明の治療に従って治療する。特定の実施形態では、患者が細胞当たり少なくとも約1,000、2,000、3,000、4,000、4,500、5,000以上の抗原を有すると特定される場合、彼らをIMGN779による治療のために選択する。他の実施形態では、ABC範囲の下限が約1,000〜5,000の間、約2,000〜4,000の間または約2,500〜3,000の間であり、且つ範囲の上限が約18,000〜25,000、18,000〜20,000または20,000〜25,000の間である場合、本発明の方法に従って患者を選択し、治療する。IMGN779と、同じ抗CD33抗体を含むが、異なるリンカー及び細胞毒素を含む別のADCについてのIC50値の比較は、細胞当たりの抗原の数が5,000を超える場合でさえ、10,000倍高かった。
【0183】
さらに他の実施形態では、新しく診断された患者が細胞当たり少なくとも約5,000、6,000または7,000以上の抗原を有すると特定される場合、彼らを治療のために選択する。再発したAML患者が細胞当たり少なくとも約1,000、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000以上の抗原を有すると特定される場合、彼らはIMGN779療法のために選択される。難治性疾患を伴ったAML患者が細胞当たり少なくとも約1,000、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000以上の抗原を有すると特定される場合、彼らはIMGN779療法のために選択される。特定の実施形態では、1,000〜18,000、1,000〜20,000もしくは1,000〜25,000の範囲;または3,000〜18,000、3,000〜20,000もしくは3,000〜25,000の範囲;または5,000〜18,000、5,000〜20,000もしくは5,000〜25,000の範囲でのABCを持つ再発性または難治性のAML患者が本発明の方法に従って選択され、治療される。特定の実施形態では、再発性または難治性のAML患者が細胞当たり少なくとも約1,000、2,000、3,000、4,000、4,500、5,000以上の抗原を有すると特定される場合、彼らをIMGN779による治療のために選択する。他の実施形態では、ABC範囲の下限が約1,000〜5,000の間、約2,000〜4,000の間または約2,500〜3,000の間であり、且つ範囲の上限が約18,000〜25,000、18,000〜20,000または20,000〜25,000の間である場合、再発性または難治性のAML患者が本発明の方法に従って選択され、治療される。
【0184】
従って、IMGN779がそのように低いCD33の値及びそのように低い濃度で有効であることは全く予想外だった。AML患者の初代細胞におけるCD33の発現は較正されたフローサイトメトリー法を用いて測定した。フィコエリスリン(PE)を結合した抗CD33抗体(クローンWN53、BD Biosciences)でAMLの試料を染色し、Quantibriteビーズ(様々な標識対ビーズの比でのPEを結合したビーズ)を用いた較正曲線の蛍光シグナルと比較し、AML細胞当たりの結合したCD33抗体の総数(ABC値)が測定されるのを可能にした。CD33はAML患者の細胞では比較的低レベルで発現され、最大の発現はおよそ17,000ABCだった。
【0185】
AML及び最少残余疾患の治療のためのIMGN779の使用
多数のAML患者は化学療法に応答するが、これらの患者の多数は結局再発する。AMLの再発は幾何かの数の白血病性幹細胞の持続性に関連すると考えられている。本発明は白血病性幹細胞を特異的に標的とすることを含むAMLを治療する方法を提供する。従って、本発明はAML患者にて完全寛解を達成する方法を提供する。有利なことに、IMGN779は白血病性幹細胞を特異的に標的とする一方で、正常な造血幹細胞は見逃される。従って、IMGNは、正常な造血幹細胞を見逃さない他の化学療法に比べて改善された毒性プロファイルを有すると予測される。
【0186】
白血病性幹細胞についてのIMGN779の特異性を考えると、IMGN779は最少残余疾患の可能性を低減することによって再発を経験している患者に恩恵を与えるようである。しかしながら、IMGN779は再発の治療に限定されない。それはCD33を発現している芽球だけでなく、再発に関与している可能性がある白血病性幹細胞も標的とするので従来の化学療法剤よりも優れていると予想される。従って、本発明は、新規に診断される、再発している及び難治性である患者におけるAMLを治療する方法を提供する。
【0187】
結合体
IMGN779は、切断可能なジスルフィドリンカーを介して抗huCD33抗体であるZ4681Aに結合されたDGN462を含む抗体薬剤結合体である。DGN462はモノイミン部分を含有するインドリノ−ベンゾジアゼピン二量体を含む。
【0188】
一実施形態では、本発明の結合体は、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)−2−スルホブタノエート(スルホ−SPDB)リンカーを介して、以下の構造:
【0189】
【化86】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩にカップリングされた本明細書で記載されるモノクローナル抗体(たとえば、「Z4681A」とも呼ばれるhuMy9−6)を含み、式中、Yは−SOMであり、MはHまたは薬学上許容可能なカチオンである。一実施形態では、MはNaまたはKである。別の実施形態では、MはNaである。さらに別の実施形態では、MはHである。
【0190】
スルホ−SPDBリンカーは当該技術で既知であり、米国特許第8,236,319号に記載されている。スルホ−SPDBリンカーは以下の構造式:
【0191】
【化87】
[この文献は図面を表示できません]

によって表すことができる。
【0192】
別の実施形態では、本発明の結合体は、スルホ−SPDBリンカーを介して以下の構造式:
【0193】
【化88】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩にカップリングされた本明細書で記載されるモノクローナル抗体(たとえば、huMy9−6)を含む。
【0194】
別の実施形態では、本発明の結合体は、スルホ−SPDBリンカーを介して以下の構造式:
【0195】
【化89】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩にカップリングされた本明細書で記載されるモノクローナル抗体(たとえば、huMy9−6)を含む。
【0196】
別の実施形態では、本発明の結合体は、スルホ−SPDBリンカーを介して以下の構造式:
【0197】
【化90】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物または薬学上許容可能なその塩にカップリングされた本明細書で記載されるモノクローナル抗体(たとえば、huMy9−6)を含む。
【0198】
さらに別の実施形態では、本発明の結合体は、以下の構造式:
【0199】
【化91】
[この文献は図面を表示できません]

または薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数であり、Yは−SOMであり、Mは各存在について独立して−Hまたは薬学上許容可能なカチオンである。一実施形態では、MはNaまたはKである。別の実施形態では、MはNaである。
【0200】
別の実施形態では、本発明の結合体は、以下の構造式:
【0201】
【化92】
[この文献は図面を表示できません]

または薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数である。
【0202】
別の実施形態では、本発明の結合体は、以下の構造式:
【0203】
【化93】
[この文献は図面を表示できません]

または薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数である。
【0204】
別の実施形態では、本発明の結合体は、以下の構造式:
【0205】
【化94】
[この文献は図面を表示できません]

または薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数であり、Mは−Hまたは薬学上許容可能なカチオンである。一実施形態では、MはNaまたはKである。別の実施形態では、MはNaである。さらに別の実施形態では、MはHである。
【0206】
別の実施形態では、本発明の結合体は、以下の構造式:
【0207】
【化95】
[この文献は図面を表示できません]

または薬学上許容可能なその塩によって表される。
【0208】
別の実施形態では、本発明の結合体は、以下の構造式:
【0209】
【化96】
[この文献は図面を表示できません]

または薬学上許容可能なその塩によって表される。
【0210】
別の実施形態では、本発明の結合体は、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)リンカーを介して以下の構造式:
【0211】
【化97】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物にカップリングされた本明細書で記載されるモノクローナル抗体(たとえば、huMy9−6)を含み、式中、Yは−SOMであり、Mは各Hまたは薬学上許容可能なカチオンである。一実施形態では、MはNaまたはKである。別の実施形態では、MはNaである。
【0212】
SPDBリンカーは当該技術で既知であり、米国特許第6,913,748号に記載されている。SPDBリンカーは以下の構造式:
【0213】
【化98】
[この文献は図面を表示できません]

によって表すことができる。
【0214】
別の実施形態では、本発明の結合体は、SPDBリンカーを介して以下の構造式:
【0215】
【化99】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物にカップリングされた本明細書で記載されるモノクローナル抗体(たとえば、huMy9−6)を含む。
【0216】
別の実施形態では、本発明の結合体は、SPDBリンカーを介して以下の構造式:
【0217】
【化100】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物にカップリングされた本明細書で記載されるモノクローナル抗体(たとえば、huMy9−6)を含む。
【0218】
別の実施形態では、本発明の結合体は、SPDBリンカーを介して以下の構造式:
【0219】
【化101】
[この文献は図面を表示できません]

によって表される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物にカップリングされた本明細書で記載されるモノクローナル抗体(たとえば、huMy9−6)を含む。
【0220】
さらに別の実施形態では、本発明の結合体は、以下の構造式:
【0221】
【化102】
[この文献は図面を表示できません]

または薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数であり、Yは−SOMであり、Mは各存在について独立して−Hまたは薬学上許容可能なカチオンである。一実施形態では、MはNaまたはKである。
【0222】
別の実施形態では、本発明の結合体は、以下の構造式:
【0223】
【化103】
[この文献は図面を表示できません]

または薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数である。
【0224】
別の実施形態では、本発明の結合体は、以下の構造式:
【0225】
【化104】
[この文献は図面を表示できません]

または薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数である。
【0226】
別の実施形態では、本発明の結合体は、以下の構造式:
【0227】
【化105】
[この文献は図面を表示できません]

または薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数である。
【0228】
さらに別の実施形態では、本発明の結合体は、以下の構造式:
【0229】
【化106】
[この文献は図面を表示できません]

または薬学上許容可能なその塩によって表され、式中、rは1〜10の整数である。
【0230】
特定の実施形態では、本明細書で記載される結合体は1〜10の細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物、2〜9の細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物、3〜8の細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物、4〜7の細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物、または5〜6の細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物を含んでもよい。
【0231】
特定の実施形態では、本明細書で記載される結合体を含む組成物は抗体分子当たり平均1〜10の細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体分子を含んでもよい。抗体分子当たりの細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体分子の平均比は本明細書では薬剤抗体比(DAR)と呼ばれる。一実施形態では、DARは2〜8、3〜7、3〜5または2.5〜3.5の間である。
【0232】
本明細書で記載される細胞傷害性ベンゾジアゼピン二量体化合物及び結合体は、たとえば、US2012/0244171の段落[0395]〜[0397]及び[0598]〜[0607]、図1、15、22、23、38〜41、43、48、55及び60、及び実施例1、6、12、13、20、21、22、23、26〜30及び32、ならびにUS2012/0238731の段落[0007]〜[0105]、[0197]〜[0291]、図1〜11、16、28及び実施例1〜7、9〜13、15及び16、しかし、これらに限定されないUS2012/0244171及びUS2012/0238731にて記載された方法に従って調製することができる。
【0233】
用語「カチオン」は正の電荷を持つイオンを指す。カチオンは一価(たとえば、Na、K等)、二価(たとえば、Ca2+、Mg2+等)または多価(たとえば、Al3+等)であることができる。好ましくは、カチオンは一価である。
【0234】
語句「薬学上許容可能な」は、物質または組成物が製剤を含む他の成分及び/またはそれで治療される哺乳類と化学的に及び/または毒性学的に適合性でなければならないことを示す。
【0235】
語句「薬学上許容可能な塩」は本明細書で使用されるとき、本発明の化合物の薬学上許容可能な有機塩または無機塩を指す。塩の例には、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチアニン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、蔗糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))塩、アルカリ金属(たとえば、ナトリウム及びカリウム)塩、アルカリ土類金属(たとえば、マグネシウム)塩、及びアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。薬学上許容可能な塩には、たとえば、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対イオンのような別の分子の包含が関与してもよい。対イオンは親化合物にて電荷を安定化する有機または無機の部分であってもよい。さらに、薬学上許容可能な塩はその構造に1を超える荷電した原子を有してもよい。複数の荷電した原子が薬学上許容可能な塩の一部である例は複数の対イオンを有することができる。従って、薬学上許容可能な塩は1以上の荷電した原子及び/または1以上の対イオンを有することができる。
【0236】
本発明の化合物が塩基であるならば、所望の薬学上許容可能な塩は、当該技術で利用可能な好適な方法、たとえば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸等のような無機酸による、または、たとえば、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、たとえば、グルクロン酸またはガラクツロン酸、アルファヒドロキシ酸、たとえば、クエン酸または酒石酸、アミノ酸、たとえば、アスパラギン酸またはグルタミン酸、芳香族酸、たとえば、安息香酸または桂皮酸、スルホン酸、たとえば、p−トルエンスルホン酸またはエタンスルホン酸等のような有機酸による遊離の塩基の処理によって調製されてもよい。
【0237】
本発明の化合物が酸であるならば、所望の薬学上許容可能な塩は、好適な方法、たとえば、アミン(1級、2級または3級)、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物等のような無機または有機の塩基による遊離の酸の処理によって調製されてもよい。好適な塩の説明に役立つ例には、グリシン及びアルギニンのようなアミノ酸、アンモニア、1級、2級及び3級のアミン、及び、たとえば、ピペリジン、モルフォリン及びピペラジンのような環状アミンに由来する有機塩、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムに由来する無機塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0238】
IMGN779
一実施形態では、IMGN779は以下:
【0239】
【化107】
[この文献は図面を表示できません]

に描かれるビス−酸または薬学上許容可能なその塩として表されてもよい。
【0240】
他の実施形態では、IMGN779は有効成分:
【0241】
【化108】
[この文献は図面を表示できません]

または薬学上許容可能なその塩として表されてもよい。
【0242】
他の実施形態では、ビス−酸と同様に塩を包含する以下の式:
【0243】
【化109】
[この文献は図面を表示できません]

が使用されてもよく、式中rは1〜10の整数であり、Yは−Hまたは−SOMであり、好ましくは、Yが−SOMである場合、Mは−Hまたは薬学上許容可能なカチオンである。
【0244】
他の実施形態では、ビス−酸と同様に塩を包含する以下の式:
【0245】
【化110】
[この文献は図面を表示できません]

が使用されてもよい。
【0246】
P−糖タンパク質
【0247】
MDR1としても知られるP−糖タンパク質(PGP)は170kDのATP依存性の薬剤排出ポンプである。それはABCスーパーファミリーのメンバーであり、多剤耐性(MDR)細胞にて豊富に発現され、ABCB1遺伝子によって作られる。PGPを発現しているAML細胞は少なくともある程度、従来の化学療法による治療には耐性である。重要なことに、本発明は多剤耐性のAMLの治療を有利に提供する。特定の実施形態では、本発明はPGPを発現しているAMLを治療する方法を提供する。
【0248】
治療応用
本発明は、多剤耐性のAMLを含むAMLの治療のためにIMGN779を投与する方法を提供する。特定の実施形態では、IMGN779は薬学上許容可能な剤形で対象に投与される。IMGN779は、ボーラスとしてまたは時間をかけた連続点滴によって静脈内に、筋肉内、皮下、関節内、滑膜内、クモ膜下、経口、局所、または吸入の経路によって投与されてもよい。IMGN779を含む医薬組成物は腫瘍内、腫瘍周囲、病変内または病変周囲への経路によって投与されて全身性の治療効果と同様に局所の治療効果を発揮する。
【0249】
薬学上許容可能な剤形は一般に薬学上許容可能な、たとえば、キャリア、希釈剤及び賦形剤のような作用剤を含むであろう。これらの作用剤は周知であり、最も適した作用剤は臨床状況の保証として当業者によって決定され得る。好適なキャリア、希釈剤及び/または賦形剤の例には、(1)約1mg/ml〜25mg/mlのヒト血清アルブミンを含有するpH7.4のダルベッコのリン酸緩衝化生理食塩水、(2)0.9%生理食塩水(0.9% w/v NaCl)及び(3)5%(w/v)デキストロースが挙げられる。
【0250】
凍結乾燥されるのではなく水性の剤形に存在する場合、IMGN779は、これらの範囲の外の広い変異が許容されるけれども、約0.1mg/ml〜100mg/mlの濃度で通常製剤化されるであろう。疾患の治療については、IMGN779の適切な投与量は、抗体が予防目的で投与されようと、治療目的で投与されようと、上記で定義されたような治療される疾患の種類、疾患の重症度及び経過、以前の治療法の経過、患者の既往歴及び抗体への応答、及び主治医の裁量に左右されるであろう。抗体は、一度または数回の治療にわたって患者に好適に投与される。
【0251】
本発明の治療応用には疾患を有する対象を治療する方法が含まれる。本発明の方法によって治療される疾患はCD33の発現を特徴とするものである。そのような疾患には、骨髄異形成症候群(MDS)、及び、たとえば、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、及び急性前骨髄球性白血病(APL)のような癌が挙げられる。技量のある熟練者は、本発明の方法がまだ記載されていないが、CD33の発現を特徴とする他の疾患を治療するのにも使用されてもよいことを理解するであろう。
【0252】
本発明の治療応用は試験管内及び生体外でも実践することができる。
【0253】
抗体を作製するためのポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞及び方法
本発明はさらに、本発明の抗体またはそのエピトープ結合断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0254】
当該技術で既知の方法によってポリヌクレオチドが得られてもよいし、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が決定されてもよい。たとえば、抗体のヌクレオチド配列が既知であれば、抗体をコードするポリヌクレオチドは化学合成されたオリゴヌクレオチド(たとえば、Kutmeierら,1994,BioTechniques,17:242にて記載されたような)から組み立てられてもよく、それには手短に、抗体をコードする配列の一部を含有する重複するオリゴヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチドのアニーリング及びライゲーション、ならびにライゲーションしたオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅が関与する。
【0255】
抗体のコーディング配列と適当な転写及び翻訳の制御シグナルとを含有する組換えベクターの構築方法は当該技術で周知である。これらの方法には、たとえば、試験管内の組換えDNA法、合成法、及び生体内の遺伝子組換えが挙げられる。従って、本発明は、プロモータに操作可能に連結された本発明の抗体分子、またはその重鎖もしくは軽鎖、または重鎖もしくは軽鎖の可変領域、またはそれらのエピトープ結合断片をコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターを提供する。
【0256】
組換えベクターを従来の技法によって宿主細胞に移し、次いで形質移入された細胞を従来の技法によって培養して本発明の抗体を産生させる。従って、本発明は、異種プロモータに操作可能に連結された本発明の抗体またはそのエピトープ結合断片をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞を含む。好まれる実施形態では、重鎖及び軽鎖の双方をコードするベクターを免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞にて同時発現させてもよい。
【0257】
種々の宿主で発現するベクター系を利用して本発明の抗体分子を発現させてもよい。そのような宿主で発現する系は対象とするコーディング配列が産生され、その後精製されてもよい媒体を表すが、適当なヌクレオチドコーディング配列で形質転換された、または形質移入された場合、その場で本発明の抗体分子を発現してもよい、細胞も表す。これらには、抗体のコーディング配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換される細菌(たとえば、大腸菌、枯草菌)のような微生物;抗体のコーディング配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換される酵母(たとえば、Saccharomyces、Pichia);抗体のコーディング配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(たとえば、バキュロウイルス)で感染させる昆虫細胞系;抗体のコーディング配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(たとえば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV、タバコモザイクウイルス、TMV)で感染させる、もしくは組換えプラスミド発現ベクター(たとえば、Tiプラスミド)で形質転換される植物細胞系;または哺乳類細胞のゲノムに由来する(たとえば、メタロチオネインプロモータ)もしくは哺乳類ウイルスに由来する(たとえば、アデノウイルス後期プロモータ、ワクシニアウイルス7.5Kプロモータ)プロモータを含有する組換え発現構築物を抱く哺乳類細胞系(たとえば、COS、CHO、BHK、293、3T3細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0258】
好ましくは、特に組換え抗体分子全体の発現のためには、大腸菌のような細菌細胞、さらに好ましくは真核細胞を組換え抗体分子の発現に使用する。たとえば、ヒトのサイトメガロウイルスに由来する主要中間初期遺伝子プロモータ要素のようなベクターと併せたチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)のような哺乳類細胞は抗体にとって有効な発現系である(Foeckingら,1986,Gene 45:101;Cockettら,1990,Bio/Technology 8:2)。
【0259】
組換えタンパク質の長期の高収率の産生には、安定な発現が好まれる。たとえば、抗体分子を安定して発現する細胞株が操作されてもよい。ウイルスの複製開始点を含有する発現ベクターを使用するのではなく、適当な発現制御要素(たとえば、プロモータ、エンハンサ、配列、転写終結因子、ポリアデニル化部位等)と選択可能なマーカーによって制御されたDNAによって宿主細胞を形質転換することができる。外来性DNAの導入に続いて、操作された細胞を濃縮された培地で1〜2日間増殖させてもよく、次いで選抜培地に交換する。組換えプラスミドにおける選択可能なマーカーは、選抜に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドを染色体に安定して統合するのを可能にし、増殖して次々とクローン化し、細胞株へと増殖する細胞増殖巣を形成するのを可能にする。この方法を有利に用いて抗体分子を発現する細胞株を操作してもよい。そのような操作された細胞株は抗体分子と直接または間接的に相互作用する化合物のスクリーニング及び評価において特に有用である。
【0260】
本発明の抗体分子がいったん組換えで発現されると、それは、免疫グロブリン分子の精製について当該技術で既知の方法によって、たとえば、クロマトグラフィ(たとえば、イオン交換、アフィニティ、特にプロテインAの後の特異的抗原についてのアフィニティ、及びサイズ排除カラムクロマトグラフィ)、遠心分離、差次的溶解性によって、またはタンパク質の精製についての他の標準的な技法によって精製されてもよい。
【0261】
キット
本発明は、患者の試料にてCD33発現のレベル(たとえば、細胞当たりの抗原の数)を検出する抗CD33抗体(たとえば、クローンWM53、BD Biosciences)と有効量のIMGN779を含む治療用組成物とを含むキットを提供する。所望であれば、キットはさらに、CD33発現のレベルを検出するための及び患者に投与されればIMGN779が有効であるか有効でないかを判定する指示書を含む。任意で、キットはさらにIMGN779を服用するように選択された患者にIMGN779を投与するための指示書を含む。
【0262】
本発明の実践は、特に指示されない限り、分子生物学(組換え法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学及び免疫学の従来の技法を採用し、それらは技量のある熟練者の視野の範囲内に十分入っている。そのような技法は、たとえば、“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,第2版(Sambrook,1989);“Oligonucleotide Synthesis”(Gait,1984);“Animal Cell Culture”(Freshney,1987);“Methods in Enzymology”“Handbook of Experimental Immunology”(Weir,1996);“Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells”(Miller及びCalos,1987);“Current Protocols in Molecular Biology”(Ausubel,1987);“PCR:The Polymerase Chain Reaction”,(Mullis,1994);“Current Protocols in Immunology”(Coligan,1991)のような文献にて十分に説明されている。これらの技法は、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの作出に適用可能であり、従って本発明を為し、実践することにおいて考慮されてもよい。特定の実施形態に特に有用な技法を次に続く節で議論する。
【0263】
以下の実施例は、本発明のアッセイ、スクリーニング、治療方法をどのように行い、使用するかの完全な開示及び説明を当業者に提供するように提示されるのであって、本発明者らが彼らの発明と見なすものの範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0264】
実施例1:IMGN779はAML患者初代細胞に対してCD33特異的な試験管内の細胞傷害性を示した
CD33のレベル及びP−糖タンパク質(Pgp)の活性をフローサイトメトリーによって測定した。7日間までの連続曝露を用いてWST−8生存率染色によって、AML細胞株におけるDGN462及びIMGN779の細胞傷害性能を評価した。初代AML試料及び正常骨髄(NBM)に対するIMGN779の効力は24時間曝露の後、及び長期液体培養の後、コロニー形成アッセイを用いて評価し、それぞれ、白血病性前駆細胞及び白血病性幹細胞における効力を評価した。皮下のHL60/QC及びEOL−1異種移植片を持つSCIDマウスにてIMGN779の抗腫瘍活性を評価した。
【0265】
CD−1マウスにおける薬物動態パラメータはIMGN779結合体の血漿濃度から、及びELISAによって測定された種々の時点での全Z4681A抗体成分から判定した。これらの血漿試料のサブセットの生物活性はAML細胞に対する細胞傷害性能のアッセイによって確認した。IMGN779の忍容性は、体重測定、臨床所見及び臨床化学によってCD−1マウスで評価した。
【0266】
IMGN779は、末梢血または骨髄の試料から単離されたAML患者の初代細胞に対して高度に強力な且つCD33特異的な試験管内の細胞傷害性を実証した。IC50値は10〜1500pMの範囲であり、細胞当たり>3000または5000の抗原のレベルでのCD33の発現を伴った試料にて最高の活性が一般に観察された。長期の培養では、IMGN779は、AML患者の試料にて白血病性コロニーの形成の用量依存性の減少を示した。対照的に、コロニー形成が正常骨髄で増加したということは、正常な造血幹細胞が見逃されたことを示している。
【0267】
PGP活性はCD33発現レベル及びIMGN779の細胞傷害性と逆相関した。IMGN779はPGPを発現する細胞株を含めてAMLの細胞株に対して高い活性があり、IC50値は2〜3000pMの範囲だった。IMGN779はAMLの異種移植片に対して高い活性を持ち、最少有効用量(MED)は0.6mg/kg(結合体の用量)だった。結合体の半減期はマウスにておよそ3〜4日間であり、生物活性が少なくとも3日間維持されたということは、結合体が循環の間、インタクトなままであり、活性があることを示している。IMGN779は、マウスにて毒性の遅延または肝毒性を伴うことなく好都合な忍容性を有した(最高の忍容用量は40mg/kg)。
【0268】
実施例2:CD33はAML患者の初代細胞で発現される
較正されたフローサイトメトリー法を用いてAML患者の初代細胞におけるCD33の発現を測定した(図1)。蛍光でタグを付けた抗CD33抗体でAML試料を染色し、種々の標識対ビーズの比での蛍光でタグを付けたビーズを用いた較正曲線の蛍光シグナルと比較して、測定されるAML細胞当たりの結合したCD33抗体の総数(ABC値)を得た。CD33はAML患者の細胞では相対的に低いレベルで発現され、最高発現は細胞当たりおよそ17,000の抗原だった(ABC)。
【0269】
実施例3:IMGN779はAML患者の初代細胞に対して高度に強力で且つCD33特異的な試験管内の細胞傷害性を明示する
24時間の結合体への曝露の後のコロニー形成アッセイにてAML患者の初代細胞のパネルに対してIMGN779の細胞傷害性活性を評価した(図2)。
【0270】
これらの試料のサブセットにてCD33を標的とするメイタンシノイドADC(IMGN779における同じ抗体を用いた)の活性を評価した。IMGN779はAML患者の細胞に対して高い活性があり、IC50値はCD33の発現レベルに応じて11pM〜1.6nMの範囲だった。CD33のレベルは細胞当たり約200〜16,000の抗原の範囲だった。対照的に、CD33を標的とするメイタンシノイドADCはIMGN779よりも60〜9,000倍の間で活性が低く、CD33の発現レベルに無関係だった。図2はAML患者の細胞に対するCD33を標的とするメイタンシノイドADCと比べたIMGN779の試験管内の効力を示す。
【0271】
高いレベルの感受性を定義する0.3nMのIC50カットオフ(CD33を標的とするメイタンシノイドADCの中央値IC50よりも500倍低い)を用いて、CD33発現のカットオフに基づいたIMGN779に高度に感受性の患者細胞の比率を割り出した。1000より高いCD33レベルを持つ試料については、60%を超えるものが高度に感受性だった。>3,000のCD33レベルを持つ試料については、75%を超えるものがIMGN779に対して高度に感受性だった。5,000を超えるCD33レベルを持つ試料については、試料の数が少ない(15試料のうち14)が、90%を超える細胞がIMGN779に対して高度に感受性だった。CD33のレベルに無関係に試料をすべて含めると、試料すべての56%が高度に感受性であるにすぎなかった。高度に感受性の試料の比率はCD33のレベルと共に増加した。5,000を超えるABCのCD33レベルを発現するAML患者の細胞は細胞当たり5,000未満のCD33抗原を伴うものよりも有意に感受性だった(中央値IC50値の比較)(p<0.001)。
【0272】
非結合性キメラIgG1−DGN462結合体の細胞傷害性活性も評価して、観察されたIMGN779活性のCD33依存性を判定した。CD33非結合性の結合体がこれらの細胞に対して一般に不活性であり、ほとんどの試料でIC50値が調べられた最高用量(1nM)に達しなかったということは、高度に強力なIMGN779の活性はCD33標的化に依存性であることを実証している。細胞当たりのCD33抗原が5000未満または5000を超える場合の細胞におけるlogIC50の分布を図3にて示す。
【0273】
実施例4:IMGN779は正常な造血幹細胞を見逃す一方で白血病性幹細胞を特異的に標的とした。
IMGN779へのAML細胞の曝露の後のコロニー形成単位(CFU)アッセイで形成されたコロニーを長期の液体培養(5〜7週間)の後回収し、白血病性コロニーの分子マーカーとしてのFLT3−ITD(内部縦列重複)及び/または変異NPM1の状況について解析した。100pM及び1000pMの用量で対照(未処理)試料及びIMGN779で処理した試料について、白血病性コロニー(FLT3−ITD及び/または変異NPM1陽性)対野生型(正常、FLT3−ITD及び/または変異NPM1について陰性)の比を測定した。1000pM濃度でのIMGN779による処理はLSCを排除した一方で、正常なコロニーのみの存在によって示されるように造血幹細胞を見逃した(図4A)。
【0274】
図4Bは、5週間後にてコロニー数に用量依存性の増加があったことを示す。AMLの分子マーカー(トリソミー8、FLT3−ITD及びNPM1)の存在について7週間後、コロニーを解析した。AML分子マーカーの非存在は、野生型(WT)コロニーが正常なHSCに由来することを示した。IMGN779による処理の後の正常な骨髄の長期培養にてコロニー形成の増加も認められたということは、造血幹細胞(HSC)が見逃されることを示している。従って、IMGN779は白血病性コロニー形成の用量依存性の低下及び白血病性幹細胞の長期培養にて正常なhscコロニーの増加を生じた。
【0275】
実施例5:P−糖タンパク質(PGP)を発現している細胞はIMGN779に感受性である
PGPの役割を評価するために、2μMのPGP阻害剤であるPSC833を添加して及び添加しないでIMGN779の試験管内の活性を調べた。PGPの阻害は0.8〜29倍に及ぶIMGN779についての試験管内活性の増強作用を生じ、IMGN779に最も感受性ではない2つのAML試料で最高だった(5倍及び29倍)。残りの試料では、増強作用は倍数5未満だった。PGP活性はCD33の発現レベル(図5A)及びIMGN779の細胞傷害性(図5B)とは逆相関した。
【0276】
実施例6:IMGN779はAML患者の初代細胞に対して高度に強力で且つCD33特異的な試験管内の細胞傷害性を明示する
AML患者の初代細胞に対するIMGN779の細胞傷害性についてのアッセイを短期液体培養アッセイで実施した。最高のIMGN779活性は一般に細胞当たり>5000抗原のCD33発現レベルで認められた(図2)。IMGN779活性はCD33特異的だった(図5A)。非標的化DGN462−ADCは活性がなかった(35試料中33でIC50が調べた最高用量に達しなかった)。CD33のレベルは細胞当たり約200〜16,000抗原の範囲だった。
【0277】
実施例7:AML細胞株はIMGN779及びDGN462に高度に感受性である
21のAML細胞株のパネルを試験管内で評価した(図6)。CD33の発現は細胞当たり1,000〜55,000抗原の範囲だった。これらのレベルは患者の初代細胞で検出されたレベルよりはるかに高かった。遊離の薬剤DGN462−SMeに対する感受性の中央値は38pMだった(IC50は5〜3900pMに及ぶ)。IMGN779に対する感受性の中央値は70pMだった(IC50は2〜3000pMに及ぶ)。
【0278】
較正された定量的フローサイトメトリー法を用いてAML細胞株におけるCD33のレベルを測定した。フィコエリスリン(PE)を結合した抗CD33抗体(BD Biosciences)で細胞を染色し、BD Quantibriteビーズの較正曲線と比較した。ウェル当たり2,000〜5,000個の細胞の密度で96穴組織培養プレートに細胞を入れ、種々の濃度のDGN462−SMeまたはIMGN779と共に37℃で5日間インキュベートした。WST−8系の比色分析(Dojindo Molecular Technologies,Inc.)を用いて細胞の生存を測定した。
【0279】
実施例8:IMGN779は0.6mg/kgの最少有効用量でヒトAML異種移植片に対して高い活性があり、且つ抗原特異的である
IMGN779の抗腫瘍活性を判定するために、皮下異種移植片(約100mm)にてEOL−1急性骨髄性白血病(AML)細胞(図7A)またはHL60/QC前骨髄球性白血病(PML)細胞(図7B)を持つSCIDマウスにIMGN779を単回静脈注射した。対照腫瘍の中央値容積が約1000mmであった日の処理群(T)及び対照群(C)の腫瘍の中央値容積の比として腫瘍増殖阻害(T/C%)を算出した(Bissery,M.ら, Cancer Res.51,4845−4852,Sept.1991)。国立癌研究所の基準によれば、≦42%のT/Cは抗腫瘍活性の最低レベルである。<10%のT/Cは高い抗腫瘍活性のレベルであると見なされる。図7Cは異種移植モデルから得られたデータを要約する表である。
【0280】
実施例9:IMGN779はCD−1マウスにて上手く忍容され、肝毒性や遅延毒性はない
IMGN779の忍容性及び毒性を測定するために、メスCD−1マウス(7週齢)に記載された用量でIMGN779を静脈内注射した。毎日体重を測定した。肝臓の酵素、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)を含む血清の化学的性質を投与後5日目(体重減少の底)で測定することによる最大忍容投与量(MTD)及び約30%MTDの用量で毒性を評価した。
【0281】
IMGN779は最大忍容(MTD)の用量でマウスにて肝毒性を生じなかった。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)/アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の値はCD−1マウスについて正常の参照範囲に匹敵した。DNA架橋剤を含有する抗体薬剤結合体(ADC)では遅延毒性の証拠は認められなかった。図8を参照のこと。
【0282】
実施例10:IMGN779は切断可能なリンカーを伴う抗体薬剤結合体(ADC)に匹敵する薬物動態プロファイルと生体内の安定性を有し、結合体の生物活性は少なくとも3日間維持される
IMGN779の薬物動態と生物活性を測定するために、CD−1マウスにおけるIMGN779の単回静脈内注射(5mg/kg)の後、総抗体(Ab)(未結合のAb及びインタクトな抗体薬剤結合体の双方)(図9A)及びインタクトな結合体の血漿濃度をELISA(図9B)によって測定した。非コンパートメント解析プログラム(201)、WinNonlin,Professionalバージョン6.1(Pharsight,Mountain View,CA)を用いて薬物動態(PK)解析を行った。マウスの血漿におけるIMGN779の生物学的に活性のある濃度は細胞傷害性アッセイを用いて測定した。図9B及び9Cを参照のこと。標準のIMGN779試料の連続希釈または結合体を投与したマウスに由来する漸増する血漿試料のいずれかに細胞を曝露した。マウス血漿におけるIMGN779の生物学的に活性のある濃度は、各血漿試料のIC50希釈にIMGN779標準のIC50を乗じることによって決定した。
【0283】
実施例11:IMGN779はFLT3−ITD変異を持つAML患者の初代細胞に対して試験官内の高い細胞傷害性を示した
患者の血液及び骨髄に由来する初代AML試料に対するIMGN779の効力を評価した。24時間暴露の後のコロニー形成アッセイを用いて白血病性前駆細胞におけるIMGN779は細胞傷害性活性を評価した。較正されたフローサイトメトリー法を用いてAML患者初代細胞におけるCD33の発現を測定した。蛍光タグを付けた抗CD33抗体でAML試料を染色し、較正曲線の蛍光シグナルと比較した。種々の標識対ビーズの比で蛍光タグを付けたビーズを用いて較正曲線を生成し、測定されるAML細胞(ABC値)当たりの結合したCD33抗体の総数を得た。SSCとCD45抗体の染色でAML芽細胞にゲートをかけた。
【0284】
CD33は、患者のAML芽細胞において約200〜15,000ABCに及ぶレベルで発現された。IMGN779はAML患者の細胞に対して高い細胞傷害性活性を有し、IC50値はCD33の発現レベルと関係して11pM〜1.6nMの範囲だった(図11)。
【0285】
ゲノム試験の結果は生成されたIC50値を有する21のAML初代試料について利用可能だった。そのうちで12がFLT3内部縦列重複変異(FLT3−ITD)を持っていた。FLT3−ITD試料についての平均IC50値は調べた他の試料よりも低かった(図12)。これは、IMGN779がFLT3−ITDのAML患者の初代試料にて試験管内で高い活性があることを示していた。CD33の平均ABCはFLT3−ITD試料の方が調べた他の試料よりも高かった(図13)。理論によって束縛されることを意図しないで、これはそれらの相対的な感受性にある程度寄与してもよい。
【0286】
実施例12:IMGN779はFLT3−ITD変異を持つAML細胞株に対して試験管内で高い細胞傷害性を示した
7日までの連続曝露を用いて、WST−8生存率染色によってAML細胞株におけるIMGN779の細胞傷害性能を評価した。較正されたフローサイトメトリー法を用いてCD33のABCレベルを測定した。調べた細胞株におけるFLT3の状況は癌(COSMIC)データベースにおける体細胞変異のカタログで報告され、配列決定試験によって確認された。
【0287】
IMGN779はAML細胞株に対して高い細胞傷害性活性を有し、IC50値は2pM〜3nMの範囲だった。FLT3−ITD変異を持つ2つの細胞株であるMV4−11及びMOLM−13についてIC50値がそれぞれ2及び5pMだったということは、IMGN779がFLT3−ITDのAML細胞株に対して試験管内で高い活性があったことを示している(図14)。
【0288】
IMGN779に加えて、7日までの連続曝露を用いた、WST−8生存率染色によるFLT3−ITDのAML細胞株における細胞傷害性能についてソラフェニブ及びキザルチニブも評価した。ソラフェニブは幾つかのチロシンタンパク質キナーゼの小分子阻害剤であり、キザルチニブはFLT3を含むクラスIII受容体チロシンキナーゼを特異的に標的とする小分子キナーゼ阻害剤である。双方とも臨床試験でFLT3−ITDのAML患者を治療するのに使用されている。IMGN779についてのIC50がMOLM13細胞株におけるソラフェニブ及びキザルチニブのIC50値よりも低かった(図15)ということは、他の関連する化合物に比べてIMGN779がFLT3−ITDのAML細胞株にて活性が高いことを示している。
【0289】
実施例13:IMGN779は最少有効用量にてMV4−11 FLT3−ITDのAML異種移植片に対して強力な、抗原を標的とする抗腫瘍活性を示した
FLT3−ITDのAMLの確立した皮下異種移植モデルにてIMGN779の抗腫瘍活性を評価した。マウスの右脇腹に皮下注射したMV4−11ヒトFLT3−ITDのAML細胞(1×10個/動物)をSCIDマウス(n=24)に播種した。腫瘍が約100mmのサイズに達したら(腫瘍細胞の播種後約13日)、0日目に400mg/kgの用量で(播種の13日後)及び5日目及び10日目(播種の18日後及び23日後)に100mg/kgの用量で投与されたchKTi抗体を用いて過剰のヒトIgGによるFcRの遮断を開始した。マウスにおける約12日の血漿循環半減期に基づいて、血漿IgGの濃度はおよそ10mg/mLで維持されるはずである。この血漿濃度はヒトの循環IgGレベルに匹敵し、MV4−11細胞に存在するすべてのFcRを遮断するのに十分なはずである。播種の14日後、腫瘍の容積(およそ100mm)に基づいて6匹ずつの処理群にマウスを無作為に分け、DGN462の濃度に基づいて10μg/kgの用量でのIMGN779または非標的化対照chKTi−sulfo−SPDB−DGN462の単回静脈内注射で処理した。対照腫瘍の容積中央値が約1000mmである日での処理群(T)と対照群(C)の腫瘍の容積中央値の比として腫瘍の増殖阻害(T/C%)を算出した(Bissery,M.ら,Cancer Res.51,4845−4852,Sept.1991)。NCI標準に従って、T/C≦42%を抗腫瘍活性の最低レベルとする。TC<10%は高い抗腫瘍活性レベルと見なす。
【0290】
10μg/kgでのIMGN779による処理はMV4−11異種移植片に対して高い抗腫瘍活性を有し、(TC=1%)で6/6の動物で部分退縮(PR)があり、3/6の動物で完全退縮(CR)があった(図16)。非標的化対照結合体chKTi−sulfo−SPDB−DGN462の一致させた用量による処理は不活性(T/C=95%)であり、腫瘍は退縮しなかった。
【0291】
この試験の結果は、CD33を標的とするIMGN779はMV4−11のFLT3−ITDのAML異種移植片に対して10μg/kgの用量で高い活性があることを実証している。
【0292】
要するに、IMGN779は、新規のDNAアルキル化剤であるDGN462を利用するCD33を標的とする抗体薬剤結合体(ADC)である。質量分光分析のプロファイルは抗体当たりおよそ3つのDGN462分子があることを示している(図17)。その好都合な前臨床忍容性のプロファイルはIMGN779が、活性を実証するが、有意な毒性を有するAML用の既存の臨床作用剤を超える治療上の利点を付与する可能性があることを示している。AML細胞株及びAML患者の試験管内初代細胞に対する高度に強力な、CD33を標的とするIMGN779の活性、マウスにおけるAML異種移植片に対して見られる抗腫瘍活性、及び好都合な安全性プロファイルはそれがAMLに対する有望な治療であることを示している。
【0293】
上記の本明細書で記載された結果は以下の方法及び材料を用いて得られた。
【0294】
試験管内の方法
CD33の定量及びPgpの活性
骨髄または末梢血に由来するAML患者の初代細胞をフローサイトメトリーによって解析した。AML試料(CD34/CD38/CD33前駆細胞区分)をフィコエリスリン(PE)を結合した抗CD33抗体(BD Biosciences)で染色し、BD Quantibriteビーズの較正曲線と比較した。Pgpの機能的な活性はSyto16±PSC833Pgp阻害剤の平均蛍光強度(MFI)の比によって算出した。
【0295】
AML初代細胞における試験管内の効力
細胞(または正常なヒト骨髄試料)を種々の濃度のIMGN779または非標的化ADC対照に24時間曝露した。試料を短期液体培養(STLC)アッセイに分割してAML前駆細胞に対する細胞傷害性を測定し、また長期液体培養(LTLC)アッセイに分割してLSC及び正常なHSCに対する効果を測定した。STLCを用いて半固形のMethoCult H4230培地(Stemcell technologies)に播いた後の細胞で10〜14日間コロニー形成単位を測定した。長期培養5〜7週間のための増殖因子を加えてLTLCアッセイを同様に行った。双方のアッセイにてコロニーを数えて当初播いた細胞の数当たりのコロニー形成単位を割り出した。AMLの分子マーカーの存在についてPCRまたはFISHを用いてLTLCのコロニーをさらに解析した。
【0296】
細胞株に対する試験管内での効力
ウェル当たり2,000〜5,000個の細胞の密度で96穴組織培養プレートに細胞を播き、種々の濃度のDGN462−SMeまたはIMGN779と共に37℃で5日間インキュベートした。WST−8系の比色分析(Dojindo Molecular Technologies,Inc.)を用いて細胞の生存率を決定した。
【0297】
抗腫瘍活性
急性骨髄性白血病(AML)HL60/QC及びEOL−1の皮下異種移植片(約100mm)を持つSCIDマウスにIMGN779の単回IV注射を行った。対照腫瘍の中央値容積が約1000mmであった日の処理群(T)及び対照群(C)の腫瘍の中央値容積の比として腫瘍増殖阻害(T/C%)を算出した(Bissery,M.ら,Cancer Res.51,4845−4852,Sept.1991)。NCIの基準によれば、≦42%のT/Cは抗腫瘍活性の最低レベルである。<10%のT/Cは高い抗腫瘍活性のレベルであると見なされる。CR=完全腫瘍退縮
【0298】
忍容性/毒性
メスCD−1マウス(7週齢)に記載された用量でIMGN779を静脈内(IV)注射した。毎日体重を測定した。肝臓の酵素、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)を含む血清の化学的性質を投与後5日目(体重減少の底)で測定することによるMTD及び約30%MTDの用量で毒性を評価した。
【0299】
薬物動態及び生物活性
CD−1マウスにおけるIMGN779(5mg/kg)の単回IV注射の後、ELISAによって総Ab(未結合のAb及びインタクトなADCの双方)及びインタクトな結合体の血漿濃度を測定した。非コンパートメント解析プログラム(201)、WinNonlin,Professionalバージョン6.1(Pharsight,Mountain View,CA)を用いて薬物動態(PK)解析を行った。細胞傷害性アッセイを用いてマウスの血漿におけるIMGN779の生物学的に活性のある濃度を割り出した。標準のIMGN779試料の連続希釈または結合体を投与したマウスに由来する漸増する血漿試料のいずれかに細胞を曝露した。マウス血漿におけるIMGN779の生物学的に活性のある濃度は、各血漿試料のIC50希釈にIMGN779標準のIC50を乗じることによって決定した。
【0300】
他の実施形態
前述の記載から、本明細書で記載される本発明に対して変更及び改変を行ってそれを種々の用途及び状態に導入してもよいことが明らかであろう。そのような実施形態も以下のクレームの範囲内にある。
【0301】
本明細書の変数の定義における要素のリストの引用には、リストにされた要素の任意の単一の要素または組み合わせ(若しくは部分的組み合わせ)としてのその変数の定義が含まれる。本明細書における実施形態の引用には、単一の実施形態としてのまたは他の実施形態もしくはその一部との組み合わせでのその実施形態が含まれる。
【0302】
本発明は、そのそれぞれが参照によって本明細書に組み入れられ、抗CD33抗体(huMy9−6)の完全な配列を開示している米国特許第7,557,189号;同第7,342,110号;同第8,119,787号;同第8,337,855号;及び米国特許出願番号13/680,614号に記載された主題に関係してもよい。本明細書で言及された特許及び出版物はすべて、各無関係な特許及び出版物が具体的に且つ個々に参照によって組み入れられるように指示されるかのようにと同じ程度で参照によって本明細書に組み入れられる。
図1
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図2
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図3
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図4A
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図4B
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図5A
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図5B
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図6
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図7A
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図7B
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図7C
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図8
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図9A
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図9B
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図9C
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図10A-1】
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図10A-2】
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図10A-3】
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図10B-1】
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図10B-2】
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図10B-3】
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図11
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図12
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図13
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図14
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図15
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図16
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図17
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【国際調査報告】
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