(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-517660(P2017-517660A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】シャンクビットあるいはシャンクビット用の取り付けアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
E21C 35/197 20060101AFI20170602BHJP
【FI】
E21C35/197
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-510758(P2017-510758)
(86)(22)【出願日】2015年5月7日
(85)【翻訳文提出日】2017年1月6日
(86)【国際出願番号】EP2015060070
(87)【国際公開番号】WO2015169900
(87)【国際公開日】20151112
(31)【優先権主張番号】102014106484.4
(32)【優先日】2014年5月8日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】512103321
【氏名又は名称】ベテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Betek GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス ロート
【テーマコード(参考)】
2D065
【Fターム(参考)】
2D065DA18
(57)【要約】
本発明は、シャンクビット(10)であって、ビットヘッド(12)と、ビットシャンク(16)とを備え、ビットシャンク(16)は、リテーナ要素−収容部(181)を有し、リテーナ要素−収容部(181)内には、リテーナ要素(40)が配置されているシャンクビット(10)に関する。メンテナンスに関して最適化されたより確実な運転形式で、ビットホルダ(30)内でのシャンクビット(10)の簡単な組み付けを可能にすることができるように、本発明により、リテーナ要素(40)の外形の少なくとも一部が変化するように、締め付け要素(20)がビットシャンク(16)に対して相対的に位置調節可能とされているようにした。さらに本発明の対象は、ビットホルダ(30)内にシャンクビット(10)を取り付けるシャンクビット(10)用の相応の取り付けアッセンブリ(1)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンクビット(10)であって、
ビットヘッド(12)と、
ビットシャンク(16)と、
を備え、前記ビットシャンク(16)は、リテーナ要素−収容部(181)を有し、前記リテーナ要素−収容部(181)内には、リテーナ要素(40)が配置されている、
シャンクビット(10)において、
前記リテーナ要素(40)の外形の少なくとも一部が変化するように、締め付け要素(20)が前記ビットシャンク(16)に対して相対的に位置調節可能とされている、
ことを特徴とするシャンクビット(10)。
【請求項2】
前記ビットシャンク(16)と前記締め付け要素(20)とは、結合要素(184)及び収容部(25)を介して互いに無段調節可能に結合されている、請求項1に記載のシャンクビット(10)。
【請求項3】
前記ビットシャンク(16)に対する前記締め付け要素(20)の調節は、ストッパ(186)により制限されている、請求項2に記載のシャンクビット(10)。
【請求項4】
前記ビットヘッド(12)に、少なくとも25GPaの硬さ、特に好ましくは、40GPaより高い硬さ、を有する硬質材料からなるビットチップ(11)が取り付けられている、請求項1から3までのいずれか1項に記載のシャンクビット(10)。
【請求項5】
前記ビットヘッド(12)は、工具を周方向で形状結合式に拘束する工具収容部(13)を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載のシャンクビット(10)。
【請求項6】
前記ビットシャンク(16)の少なくとも一部は、第1の円筒状の区分(161)、移行部(162)及び第2の円筒状の区分(163)により段状に形成されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載のシャンクビット(10)。
【請求項7】
前記ビットシャンク(16)、前記締め付け要素(20)及び前記リテーナ要素(40)は、固定ユニット(18)を構成する、請求項1から6までのいずれか1項に記載のシャンクビット(10)。
【請求項8】
前記リテーナ要素(40)は、環形のリテーナ要素−外面(41)、環形のリテーナ要素−内面(42)及び半径方向に方向付けられた2つのリテーナ要素−端面(43)を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載のシャンクビット(10)。
【請求項9】
前記リテーナ要素(40)は、少なくとも部分的に弾性材料からなる、請求項1から8までのいずれか1項に記載のシャンクビット(10)。
【請求項10】
前記締め付け要素(20)は、ビットホルダ(30)に対して回り止めされる拘束用の保持面(21)を有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載のシャンクビット(10)。
【請求項11】
ビットホルダ(30)のビット収容部(301)内にシャンクビット(10)を取り付けるシャンクビット(10)用の取り付けアッセンブリ(1)であって、前記シャンクビット(10)は、ビットヘッド(12)及びビットシャンク(16)を有し、前記ビットシャンク(16)は、締め付け要素(20)とともにリテーナ要素(40)用のリテーナ要素−収容部(181)を形成する取り付けアッセンブリ(1)において、
前記締め付け要素(20)は、前記ビットシャンク(16)に対して位置調節可能であり、
前記リテーナ要素−収容部(181)の容積は、前記ビットシャンク(16)に対する前記締め付け要素(20)の調節により可変である、
ことを特徴とする、シャンクビット(10)用の取り付けアッセンブリ(1)。
【請求項12】
前記リテーナ要素(40)は、前記リテーナ要素−収容部(181)の容積の変化により調節可能、特に変形可能であり、これにより、前記リテーナ要素−収容部(181)の、周囲を取り巻く壁(182,183,262,37)に対して押圧力が生じることで、シャンクビット(10)とビットホルダ(30)との間の、軸方向での取り付けを達成する、請求項11に記載の取り付けアッセンブリ(1)。
【請求項13】
前記リテーナ要素−収容部(181)の最小の容積は、スペーサ(185)により制限されている、請求項11又は12に記載の取り付けアッセンブリ(1)。
【請求項14】
前記締め付け要素(20)は、前記ビットホルダ(30)の締め付け要素収容部(31)内に回り止めされて支持されている、かつ/又は前記締め付け要素(20)は、軸方向で移動可能に前記締め付け要素収容部(31)内で案内されている、請求項11から13までのいずれか1項に記載の取り付けアッセンブリ(1)。
【請求項15】
前記ビットホルダ(30)は、ビット収容部(301)を有し、前記ビット収容部(301)は、第1の円筒状の領域(35)、移行領域(36)及び第2の円筒状の領域(37)により段状に形成されている、請求項11から14までのいずれか1項に記載の取り付けアッセンブリ(1)。
【請求項16】
前記シャンクビット(10)の移行部(162)と、前記ビット収容部(301)の前記移行領域(36)とは、後退スペース(17)を形成するように互いに軸方向で離間している、請求項15に記載の取り付けアッセンブリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンクビットであって、ビットヘッドと、ビットシャンクとを備え、ビットシャンクは、リテーナ要素−収容部を有し、リテーナ要素−収容部内には、リテーナ要素が配置されているシャンクビットに関する。
【0002】
さらに本発明は、ビットホルダのビット収容部内にシャンクビットを取り付けるシャンクビット用の取り付けアッセンブリであって、シャンクビットは、ビットヘッド及びビットシャンクを有し、ビットシャンクは、締め付け要素とともにリテーナ要素用のリテーナ要素−収容部を形成する取り付けアッセンブリに関する。
【0003】
独国特許発明第3701905号明細書(DE 3701905 C1)において、丸シャンクビットであって、ビットヘッドとビットシャンクとからなり、ビットシャンクは、周溝を有し、周溝内には、長手方向スリットが入れられた締め付けスリーブが支持されている丸シャンクビットが公知である。ビットシャンクをホルダの孔内に装入する前、締め付けスリーブは、保持部材により締め付け位置に保持されている。ビットシャンクを孔内に装入した後、ビットシャンクは、応力が働いた状態で孔内に嵌合した締め付けスリーブにより、軸方向では拘束されているものの、自由に回転可能に組み付けられている。
【0004】
さらに独国特許発明第102005001535号明細書(DE 102005001535 B3)には、シャンクビットを備える取り付けアッセンブリが記載されている。この場合、ビットホルダ内へのシャンクビットの取り付け部は、作業運転中、軸方向及び周方向の運動を許容する。このために、ビットホルダのビット収容部内のシャンクビットは、機能面を有する固定区分を有しており、シャンクビットの機能面は、この機能面に対応するリテーナリングの対向面と作用結合している。開示された構成では、第1の作業位置において、シャンクビットとリテーナリングとの間に軸方向の遊びが生じ、第2の作業位置において、機能面とリテーナリングの対向面との間及びビット収容部の内面の間にクランプが生じる。
【0005】
自由回転可能性は、従来慣用のビットチップを有するシャンクビットの使用時、シャンクビットに設けられたビットチップが、一般にホルダに比べて強い摩耗に曝されるため、有利である。ビットが回転することにより、非回転の取り付けと比較して、ビットチップのより均等な摩滅が達成され、而してビットの寿命が延長され、これに伴うメンテナンスインターバルが延長され得る。しかし、ビットの回転運動は、非回転のビットと比較して、擦れ摩耗によるビットホルダの強い摩滅を引き起こしかねない。加えて、ビットホルダにビットを回転可能に取り付ける装置は、往々にして、例えば組み付け及び取り外しの際に手間を要する。
【0006】
従来、ビットチップのために使用されていた材料の硬度を上回る、新種の硬質材料は、今日では、略摩耗なしのビットチップを提供し得る。このようなビットチップの使用は、ビットホルダへの回転不能な取り付けも許容する。
【0007】
本発明の根底にある課題は、メンテナンスに関して最適化されたより確実な運転形式で、ビットホルダ内でのシャンクビットの簡単な組み付けを可能にするシャンクビットあるいはシャンクビット用の取り付け部を提供することである。
【0008】
シャンクビットに関する課題は、請求項1の特徴により解決される。その際、リテーナ要素の外形(輪郭)の少なくとも一部が変化、特に変形するように、締め付け要素がビットシャンクに対して相対的に位置調節可能とされているようにした。而してシャンクビットは、簡単に、例えば回動不能にも、ビットホルダ内に拘束され得る。
【0009】
取り付けアッセンブリに関する課題は、請求項11の特徴により解決される。その際、締め付け要素が、ビットシャンクに対して位置調節可能であり、リテーナ要素−収容部の容積が、ビットシャンクに対する締め付け要素の調節により可変であるようにした。その際、シャンクビットは、簡単にビットホルダのビット収容部内に装入される。而して、リテーナ要素の締め付けにより、シャンクビットの固定が行われる。この組み付けは、見通しのきかないところで、かつ粗雑な工事現場での運転中にも、簡単かつ明確に実施可能である。
【0010】
この場合、有利には、ビットシャンクと締め付け要素とが、結合要素及び収容部を介して互いに無段調節可能に結合されているようにした。而して、リテーナ要素の調節、特に変形は、規定された通りに、例えば所定のトルクを加えることで実施可能である。結合要素は、ビットシャンク又は締め付け要素に存在し、これに応じて収容部は、相補的に締め付け要素又はビットシャンクに存在し得る。簡単に実現可能な変化態様は、結合要素あるいは収容部をねじ山として形成することであり得る。
【0011】
リテーナ要素を損傷、例えば過度に強い変形による損傷から保護すべく、好ましくは、ビットシャンクに対する締め付け要素の調節が、ストッパにより制限されているように構成してもよい。
【0012】
有利には、ビットヘッドに、少なくとも25GPaの硬さを有する硬質材料からなるビットチップが取り付けられている。例えばビットチップは、立方晶窒化ホウ素からなることができる。特に強度の摩耗に曝される用途には、ビットチップに少なくとも40GPaの硬さが与えられていてもよい。このような硬さは、例えば多結晶ダイヤモンドにより達成される。ビットチップの、これにより得られる高い摩耗安定性は、ビットホルダにビットを回転不能に拘束することを可能にし、このことは、結果として、回転可能な拘束と比較してビットホルダの摩耗を減らすことができる。これにより、場合によっては、ビットとビットホルダとの間の摩耗防止ディスクを省略することもできる。
【0013】
例えばスクリューレンチ又はトルクレンチによる規定通りの簡単な組み付け及び簡単な取り外しのために、ビットヘッドが、工具を周方向で形状結合式に拘束する工具収容部を有するようにした。ビットヘッドの領域において、工具収容部は、一般に良好にアクセス可能である。
【0014】
安定したシャンク案内、傾倒し難い固定及び最小化された摩耗は、ビットシャンクの少なくとも一部が、第1の円筒状の区分、移行部及び第2の円筒状の区分により段状に形成されていることにより得られる。
【0015】
ビットシャンク、締め付け要素及びリテーナ要素が、固定ユニットを形成する形態は、固定ユニットが完全に前組み立てされてビットホルダ内に装入され得るという点で、組み付けを容易にする。
【0016】
リテーナ要素が、環形のリテーナ要素−外面、環形のリテーナ要素−内面及び半径方向に方向付けられた2つのリテーナ要素−端面を有することは、ビットホルダに対するリテーナ要素の固定特性に対して有利に働く。リテーナ要素のこのような構成は、締め付け要素の位置を僅かに調節するだけで既に、有効な締め付け圧を発生させ得る。加えて、このようなリテーナ要素は、製造も容易である。リテーナ要素の別の有利な構成変化形態は、例えばOリングである。このリテーナ要素は、標準構成部材として安価に入手可能であり、この使用のために十分な圧縮安定性を有している。
【0017】
さらに、リテーナ要素が少なくとも部分的に弾性材料からなるという可能性は、リテーナ要素の簡単な製造を実現すると同時に、良好な調節可能性、特に変形により実施可能な調節可能性を実現する。
【0018】
締め付け要素を、ビットホルダへの回り止めされた拘束用の保持面を有するように構成すれば、ビットホルダにおけるビットの無回転の支持が可能となり、このことは、結果として、回転可能な拘束と比較してビットホルダの摩耗を減らすことができる。これにより、ビットとビットホルダとの間の摩耗防止ディスクも省略できる。さらに締め付け要素は、而して締め付け時にビットホルダにより保持されており、付加的な工具を用いて保持せずに済む。これにより組み付けは、さらに簡単になる。
【0019】
ビットホルダへのビットの簡単かつ規定可能な軸方向の固定は、リテーナ要素が、リテーナ要素−収容部の容積の変化により可変、特に変形可能であり、而して、リテーナ要素−収容部の、周囲を取り巻く壁に対して力が生じることで、シャンクビットとビットホルダとの間の、軸方向での取り付けを達成することにより得られる。
【0020】
さらに、スペーサによるリテーナ要素−収容部の最小の容積の制限は、この容積内に存在するリテーナ要素を過度に強い調節、特に変形による損傷から保護する。
【0021】
加えて、有利な構成変化形態では、締め付け要素が、ビットホルダの締め付け要素収容部内に回り止めされて支持されている、かつ/又は締め付け要素が、軸方向で移動可能に締め付け要素収容部内で案内されているようにした。回り止めされた支持は、締め付け要素を保持するために別の保持要素が不要であるという点で、組み付けを簡単にする。これは、ビットホルダがこの機能を担うからである。さらに、締め付け要素のガイド内での軸方向の移動可能性は、ビットホルダの支持領域上に載置されるビットに対する締め付け要素の相対的な位置調節を可能にする。加えて、締め付け要素収容部と締め付け要素との間に、例えば支持領域の摩耗時に後退スペース(Nachsetzraum)として利用し得るスペースが形成可能である。
【0022】
安定したシャンク案内及び傾倒し難い固定に関していえば、ビットホルダが、ビット収容部を有し、ビット収容部が、第1の円筒状の領域、移行領域及び第2の円筒状の領域により段状に形成されていると、有利である。シャンクビットの移行部と、ビット収容部の移行領域とが、後退スペースを形成するように互いに軸方向で離間していると、摩耗特性に対して有利に働く。
【0023】
以下に、本発明について実施例を基に図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】シャンクビット及びビットホルダの斜視図である。
【
図2】
図1にII−IIで示した線に沿って、
図1に示したシャンクビット及びビットホルダを断面した図である。
【
図3】シャンクビットの組み付けを示す斜視図である。
【
図4】
図3に示したシャンクビットを、一部を断面した状態で示す側面図である。
【
図6】
図5にVI−VIで示した線に沿って、
図5に示した締め付け要素を断面した図である。
【
図7】
図1及び2に示したビットホルダを下から見た図である。
【
図8】
図7にVIII−VIIIで示した線に沿って、
図7に示したビットホルダを断面した図である。
【
図9】シャンクビットとビットホルダとを有するツールコンビネーションの断面図である。
【
図10】
図9に示したシャンクビットの組み付けを示す斜視図である。
【
図11】
図10に示したシャンクビットを、一部を断面した状態で示す側面図である。
【
図12】
図9に示したシャンクビットの締め付け要素の平面図である。
【
図13】
図12にXIII−XIIIで示した線に沿って、
図12に示した締め付け要素を断面した図である。
【0025】
図1は、シャンクビット10とビットホルダ30とを有するツールコンビネーションを示している。
図1に看取されるように、シャンクビット10は、ビットホルダ内に組み付けられている。
【0026】
図2には、より詳細にビットホルダ30に対するシャンクビット10の配設が看取可能である。ビットホルダ30は、
図7及び8により詳細に示してある。
図7及び8に看取されるように、ビットホルダ30は、有段の孔の形態のビット収容部を有している。この場合、ビット収容部は、第1の円筒状の領域35を有している。第1の円筒状の領域35は、進入チャンファ34を介して、孔軸線に関して半径方向に延びる環状面に移行している。この環状面は、支持領域33を形成している。進入チャンファ34とは反対側で、第1の円筒状の領域には、移行領域36が接続している。移行領域36は、円錐形の孔幾何学形状の形態で形成されている。移行領域36に続いて、ビット収容部301は、第2の円筒状の領域37を有している。この第2の円筒状の領域37は、第1の円筒状の領域35に対して同軸に配置されている。ビット収容部301は、最後に、
図8に看取可能な、締め付け要素収容部31を形成する別の領域を有している。このためにビットホルダ30は、ビットホルダの、支持領域33とは反対側の背面領域に設けられた貫通部を有している。
【0027】
図7には、締め付け要素収容部31の構成がより詳細に看取される。
図7に示すように、締め付け要素収容部は、互いに角度をなして延びる複数の成形面312により画定される。この場合、成形面312は、ビット収容部301の中心長手方向軸線の軸方向に延在している。成形面312間の移行領域には、切欠き311が設けられている。切欠き311は、成形面312間の、応力に関して最適化された移行部を提供する。本実施例では、6つの成形面312が使用されており、これにより、例えばラチェットハンドルのソケットにおいて知られているような六角収容部を形成している。成形面の数は、6以外であってもよく、例えば三角収容部又は四角収容部等を形成していてもよい。
【0028】
図2にさらに示すように、このツールコンビネーションは、既に上述したシャンクビット10を有している。このシャンクビット10は、
図3及び4に詳細に示してある。
図4に示すように、シャンクビット10は、ビットヘッド12を有している。ビットヘッド12には、ビットシャンク16が一体に形成されている。シャンクビット10のビットヘッド12は、硬質材料からなるビットチップ11を有している。ビットチップ11は、好ましくはビットヘッド12にろう接されている。見易さの理由から
図4には示していないが、
図2には看取可能なビットチップ11を起点に、ビットヘッドの横断面は、略円錐状に拡大する。最終的に略円錐状の区分は、工具収容部13に移行する。工具収容部13は、工具を周方向で形状結合式に拘束する複数の面から形成される。これらの面は、例えばトルクレンチであってもよいスクリューレンチを用いた組み付け及び取り外しを可能にする。工具収容部13には、縁部14が接続し、縁部14は、支持面15を形成している。環形の支持面の領域で、ビットシャンク16は、ビットヘッドに丸み付け移行部を介して接続している。ビットシャンク16は、段付きシャンクとして形成されている。ビットシャンク16は、第1の円筒状の区分161を有している。第1の円筒状の区分161は、ビットヘッドとは反対側で、移行部162を介して第2の円筒状の区分163に移行している。第2の円筒状の区分163には、ビットヘッド12とは反対側で、結合要素184が接続している。結合要素184は、本形態では、ねじ山付きボルトの形態で構成されており、ねじ山付きボルトは、ビットシャンク16と一体に結合されている。結合要素184と第2の円筒状の区分163との間の移行領域には、第1の機能面182が形成されている。この第1の機能面182は、シャンクビット10の中心長手方向軸線に関して半径方向に延びる環状面の形態で形成されている。結合要素184は、本形態では、ねじ山付き区分により形成される側方の機能面183を形成している。結合要素184は、自由端において終端部材を形成し、終端部材には、ストッパ186が設けられている。この場合、ストッパ186は、円錐形の先端により形成される。ストッパ186は、第2の円筒状の区分163と結合要素184との間の移行部に設けられた別の円筒状の区分により形成されてもよい。この別の円筒状の区分は、同時に側方の機能面183をなしていてもよい。
【0029】
図2及び3に示すように、ツールコンビネーションは、さらに締め付け要素20を有している。締め付け要素20は、袋ナット状に形成されている。締め付け要素20の詳しい構成は、
図5及び6に看取される。
図5及び6に示すように、締め付け要素20は、周面において複数の保持面21により画定されているキャップ区分を有している。この場合、保持面21は、ナットと同様に、互いに六角形に配置されている。締め付け要素の閉鎖端には、周囲を取り巻くように延びるチャンファ22が設けられている。チャンファ22は、端部側の境界壁に移行している。締め付け要素20は、この境界壁とは反対側に載置部26を有している。載置部26は、突出部261を介して、保持面21を形成する領域に一体に接続している。締め付け要素は、締め付け要素の下面領域において、
図6に看取されるように、第2の機能面262により画定される。この第2の機能面262は、環形に構成されており、締め付け要素20の中心長手方向軸線に関して半径方向に延びている。第2の機能面262は、チャンファ27を介して収容部25に移行し、収容部25は、本形態では、ねじ山付き収容部として形成されている。収容部25は、円錐形の孔区分で終端している。この円錐形の孔区分は、ストッパ面23を形成する。円錐形の孔区分の代わりに、任意の別の幾何学形状がここに使用され、ストッパ面23を形成してもよい。例えば収容部は、止まり穴又はこれに類するものとして形成されていてもよい。
【0030】
図5及び6に示した締め付け要素20は、六角形に配置された保持面を有している。これについては前述した通りである。別の幾何学形状がこの領域において選択されてもよいことは、自明である。例えば1つの保持面しか使用しないことも可能である。三角形又は四角形等の幾何学形状も可能である。追ってより詳細に説明する保持面21の機能性を充足するには、保持面21が周方向のロックを形成することが望ましい。
【0031】
図3に看取されるように、工具アッセンブリは、リテーナ要素40も有している。リテーナ要素40は、弾性材料、例えばゴム状の材料等から形成されている。リテーナ要素40は、環形のリテーナ要素−外面41と、環形に形成されるリテーナ要素−内面42とを有している。リテーナ要素−外面41とリテーナ要素−内面42とは、半径方向に延びる両リテーナ要素−端面により互いに結合されている。この場合、両リテーナ要素−端面43は、互いに平行に延びており、リテーナ要素40の互いに反対側に配置されている。リテーナ要素40は、中央の貫通部44により貫通されている。
【0032】
リテーナ要素40を組み付けるには、リテーナ要素40を、
図3に示すように、その中央の貫通部44でもってシャンクビットの結合要素184に被嵌する。その際、この被嵌運動は、一方のリテーナ要素−端面43により制限される。この一方のリテーナ要素−端面43は、ビットシャンク16の第1の機能面182に当接する。続いて締め付け要素20を結合要素184上に載置する。その際、この組み付け運動は、チャンファ27により容易になる。このチャンファ27をストッパ186に係合させる。続いて、締め付け要素20の、収容部25の領域に設けられた雌ねじ山を、結合要素184の雄ねじ山に螺合させ得る。この場合、ねじ山結合部は、好ましくはセルフロック式に設計されている。セルフロックは、締め付け要素20が自然に緩んでビットシャンク16から外れてしまわないようにする。ビットシャンク16に対して締め付け要素20を締め込んでいくと、第2の機能面262は、第1の機能面182とは反対側にあるリテーナ要素−端面43に当接する。その際、シャンクビット10は、
図3に示すように、リテーナ要素40が未変形であるか、又は僅かしか変形していない状態にあるように前組み立てされる。このとき、ビットシャンク16、締め付け要素20及びリテーナ要素40は、固定ユニット18を形成している。
【0033】
図2に看取されるように、前組み立てされたシャンクビット10は、ビットホルダ30のビット収容部301内に装入される。ビット収容部内へのシャンクビット10の装入は、シャンクを有段に形成したことと、ビットホルダ30を有段の孔として形成したこととにより容易になる。これによりシャンクビット10は、その自由端でもって簡単にビット収容部301内に導入され、このことは、特に見通しのきかない所与の組み付け条件において有利である。組み付けられた状態では、
図2に示すように、ビットシャンク16は、ビットシャンク16の第1及び第2の円筒状の区分161及び163が、ビット収容部の第1あるいは第2の円筒状の領域35及び37内にくるように、ビット収容部301内に位置している。その際、進入位置は、ビットシャンクの移行部162がビット収容部301の移行領域36に対して軸方向で間隔を置いて配置されるように選択されている。こうして、
図2に明りょうに看取可能な後退スペース17が生じる。ビット収容部301内に装入されたシャンクビット10は、今や簡単にビットホルダ30内に固定される。このために、好適なねじ回し工具、例えばトルクレンチが、ビットヘッド12の領域で工具収容部13に宛がわれる。締め付け要素20は、保持面21が周方向で形状結合式に締め付け要素収容部31の成形面312に当接するように、締め付け要素収容部31内に収容されている。これにより、工具を用いてシャンクビット10を回動させたときに、締め付け要素20が回動しないようになっている。いわば成形面312と保持面21とは、シャンクビット10の軸線方向でスライドガイドを形成している。シャンクビット10の締め付け時、締め付け要素20は、このスライドガイド内で滑動する。このとき、載置部26と締め付け要素収容部31の上縁部との間のスペース32は、拡大する。このスペース32も、後退スペースを形成する。
【0034】
而るに締め付け要素20が締め付けられると、リテーナ要素40が収容されているリテーナ要素−収容部181(
図2参照)の容積は、変化する。その際、リテーナ要素−収容部181は、結合要素184の側方の機能面183と、ビットシャンク16の第1の機能面182と、締め付け要素20の第2の機能面262とにより画定される。つまり、締め付け要素20の位置がビットヘッド12方向に移動されると、リテーナ要素−収容部181内の利用可能な容積は、縮小する。この利用可能な容積の縮小は、弾性的なリテーナ要素40の変形につながる。この変形の結果、他に逃げる場所もないため、リテーナ要素40の外周は、締め付け作用の下、ビット収容部301の内壁に当接するように拡張する。詳細には、これによりリテーナ要素40のリテーナ要素−外面41は、第2の円筒状の領域37の内壁に圧着される。同時にリテーナ要素−内面42は、側方の機能面183の外側輪郭に当接する。こうしてリテーナ要素40により、シャンクビット10の軸線方向でのシャンクビット10の脱落不能な固定が実施可能である。同時にシャンクビット10は、締め付け要素20により回動不能にビット収容部301内に拘束されている。
【0035】
図9乃至13は、本発明の第2の構成変化形態を示している。この第2の発明構成の構造は、主要な構成特徴の点で前述の発明変化形態と一致している。同じ構成特徴には、同じ符号を付した。それゆえ、繰り返しを避けるため、先の説明を参照されたい。以下では、第2の構成変化形態の相違点についてのみ説明する。
【0036】
図9に示すように、取り付けアッセンブリ1は、やはりシャンクビット10、ビットホルダ30、締め付け要素20及びリテーナ要素40を備えている。ビットホルダ30及びリテーナ要素40は、前述の実施変化形態によるビットホルダ30及びリテーナ要素40と同一構成とされている。
【0037】
シャンクビット10は、シャンクの自由端の領域に、ねじ山付き収容部の形態の収容部25を有している。この収容部25は、シャンクビット10の中心長手方向軸線に関して同軸に第1の機能面182に設けられている。
【0038】
而るに締め付け要素20は、雌ねじ山が設けられた収容部25に対応して、
図13に明りょうに看取されるように、雄ねじ山が設けられた付設部を有している。その際、雄ねじ山は、結合要素184を形成している。
【0039】
而るにシャンクビットを組み付けるには、
図10に看取されるように、リテーナ要素40をその貫通部44でもって結合要素184に被嵌する。続いて締め付け要素20を収容部25内に螺入させる。その際、リテーナ要素40は、その両リテーナ要素−端面43でもって第1の機能面182及び第2の機能面262と接触する。リテーナ要素−内面42は、結合要素184の円筒状の区分の領域に配置されている。この円筒状の区分は、
図13に示すように、側方の機能面183を形成している。結合要素184の円筒状の区分からねじ山付き区分への移行領域には、ストッパ186が設けられている。而るにシャンクビット10がビットホルダ内に組み付けられると、シャンクビットは、ストッパ186が第1の機能面182上に載置され、これにより螺入運動が制限されるまで、締め付け要素に対して回動され得る。このことは、一方では、締め付け要素20がそのねじ山結合部において脱落不能に締め付けられ得るという利点を有している。他方、締め付け要素20の螺入運動も制限される。その結果、リテーナ要素−収容部181の最小の容積は、変化し得ない。このことは、リテーナ要素40が、許容できないほど圧迫されず、これにより損傷を被り得ないという利点を有している。その点では、締め付け要素の、側方の機能面183を形成する円筒状の領域は、スペーサ185を形成する。
【0040】
図1乃至8に示した実施変化形態では、この機能は、結合要素184のストッパ186(
図4参照)と、締め付け要素20のストッパ面23とにより実現される。
【0041】
運転使用中、衝撃的にシャンクビットに作用する負荷に基づいて、ビットホルダの支持領域33及び/又はビットヘッドの支持面15が摩耗、例えば変形することが起こり得る。その際、それにもかかわらずシャンクビットの確実な固定を維持できるように、両ツール変化形態では、後退スペース17が存在している。これらの後退スペース内には、摩耗が生じたとき、シャンクビットが軸方向で後退することができる。締め付け要素20も、締め付け要素収容部31内に滑りばめで保持されているので、ここでも、スペース32に基づいて後退可能である。
【0042】
上述の実施例は、本発明に係るシャンクビット10の、本発明に係る取り付けアッセンブリ1に対する簡単に可能な組み付け及び取り外しを明らかにするものである。組み付け及び取り外しは、スクリューレンチ又は類似の工具により実施可能である。シャンクビット10と、締め付け要素20と、リテーナ要素40とからなる固定ユニット18が、
図3及び10に看取可能であるように、前組み立て可能であることも、簡単な組み付けに貢献する。
【0043】
ビットホルダ30内でのシャンクビット10の上述の無回転の拘束、段状のシャンク構成及び後退スペースの設置も、摩耗に関して最適化された運転に貢献し、軸方向での拘束と同様、確実な運転を促進する。
【国際調査報告】