特表2017-517673(P2017-517673A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィレオルの特許一覧

<>
  • 特表2017517673-サボニウス風力タービンロータ 図000003
  • 特表2017517673-サボニウス風力タービンロータ 図000004
  • 特表2017517673-サボニウス風力タービンロータ 図000005
  • 特表2017517673-サボニウス風力タービンロータ 図000006
  • 特表2017517673-サボニウス風力タービンロータ 図000007
  • 特表2017517673-サボニウス風力タービンロータ 図000008
  • 特表2017517673-サボニウス風力タービンロータ 図000009
  • 特表2017517673-サボニウス風力タービンロータ 図000010
  • 特表2017517673-サボニウス風力タービンロータ 図000011
  • 特表2017517673-サボニウス風力タービンロータ 図000012
  • 特表2017517673-サボニウス風力タービンロータ 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-517673(P2017-517673A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】サボニウス風力タービンロータ
(51)【国際特許分類】
   F03D 3/06 20060101AFI20170602BHJP
【FI】
   F03D3/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-572532(P2016-572532)
(86)(22)【出願日】2015年6月8日
(85)【翻訳文提出日】2017年2月7日
(86)【国際出願番号】EP2015062732
(87)【国際公開番号】WO2015189155
(87)【国際公開日】20151217
(31)【優先権主張番号】2014/0438
(32)【優先日】2014年6月10日
(33)【優先権主張国】BE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516368151
【氏名又は名称】フィレオル
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイェーゲレ、フィリップ
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA14
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB31
3H178BB73
3H178BB75
3H178BB77
3H178CC03
3H178CC04
3H178CC16
3H178DD12Z
(57)【要約】
サボニウスロータは、プロペラの部品を形成する1つ以上であるn個のセグメントが取り付けられた管状のシャフトを備える。各セグメントは、軸線方向にらせん形状に延在し、シャフトに対して交互になるように配設されて、シャフトを通り抜ける凹凸の空気通路を形成する2つの半円形のブレードによって形成される。シャフトは、2つの開口によって形成される1組の1つ以上であるm個の空気通路を有する。各セグメントは、各ブレードの第2の端部に向かって縮小する幅を有する。n個のうちの最初のセグメントの第2の端部にある第1の地点と、最後のセグメントの第2の端部にある第2の地点は、角度α回転するようにずらされている。セグメントnおよびn+1の回転偏差はα/nである。m番目の空気通路は、m個のうちの最初の空気通路に対して角度αだけ回転してずらされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラ(20)の部品である1つ以上であるn個のセグメント(11)が取り付けられた管状のシャフト(10)を備えるサボニウス型の風力タービンロータ(100)であって、
各セグメント(11)は、半円の断面を有する2つのブレード(11A、11B)から形成されており、該2つのブレード(11A、11B)は、軸線方向にらせん形状に延在し、凹面ブレード(11B)および凸面ブレード(11A)を形成するように前記シャフト(10)に対して交互に配置されて、前記シャフト(10)を通り抜ける凹凸の空気通路(31)を形成しており、
各ブレードは、第1の端部(12A、12B)および第2の端部(13A、13B)を有し、前記2つのブレード(11A、11B)は、第1の端部(12A、12B)で前記シャフト(10)に固定されており、
前記シャフト(10)は、1組の2以上であるm個の空気通路(30)を有する、前記風力タービンロータ(100)において、
各セグメント(11)は、各ブレード(11A、11B)の前記第1の端部(12A、12B)から前記第2の端部(13A、13B)に向かって縮小する幅(52)を有し、
前記プロペラ(20)の部品を形成する前記n個のセグメント(11)は、前記n個のうちの最初のセグメント(11)の前記第2の端部上に位置する第1の(P)地点と、前記n個のうちの最後のセグメント(11)の前記第2の端部上に、前記第1の(P)地点と同じところに位置する第2の(P)地点とが、角度αだけ回転して前記シャフト(10)上に設置され、1≦i<nとしたときに前記プロペラ(20)の部品を形成するセグメントni+1に対するセグメントnの回転角度はα/nになり、
前記組の前記m個の空気通路(30)は、m番目の空気通路(30)が、前記m個のうちの最初の空気通路(30)に対して角度αだけ回転して変位するように、相互に回転変位していることを特徴とする、風力タービンロータ。
【請求項2】
n=mである、請求項1に記載された風力タービンロータ。
【請求項3】
前記管状のシャフト(10)が、前記ロータ(100)の回転軸線と一致する、請求項1または請求項2に記載された風力タービンロータ。
【請求項4】
前記プロペラ(20)を形成する隣接するセグメント(11)が接着剤によって接着されている、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された風力タービンロータ。
【請求項5】
前記プロペラ(20)を形成するn個のセグメント(11)が、リベット又はねじによって前記シャフト(10)に取り付けられている、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された風力タービンロータ。
【請求項6】
前記シャフト(10)が金属管で構成され、とりわけ一体品である、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された風力タービンロータ。
【請求項7】
前記シャフト(10)の一端の周りに機械的動力の受け取り部材、とりわけ交流発電機のロータ、が固定される、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載された風力タービンロータ。
【請求項8】
前記プロペラ(20)の部品を形成する前記セグメント(11)が、プラスチック材料、とりわけバイオプラスチックの射出成形によって、または軽金属、とりわけアルミニウムまたはマグネシウムにより、または回転成形によって作製される、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載された風力タービンロータ。
【請求項9】
前記2つのブレード(11A、11B)が、前記シャフト(10)の中心にある円形部分に組み込まれた少なくとも2つの歯止めによってそれぞれの第1の端部(12A、12B)において合わせて固定される、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載された風力タービンロータ。
【請求項10】
前記角度αが90°または180°である、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載された風力タービンロータ。
【請求項11】
各セグメント(11)が3つのブレード(11A、11B、11C)から形成される、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載された風力タービンロータ。
【請求項12】
前記シャフトの各空気通路(30)が、前記シャフトの周囲に均一に配置された開口(14、15、16)により形成される、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載された風力タービンロータ。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載された風力タービンロータの一部であるプロペラ(20)。
【請求項14】
請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載された風力タービンロータの一部である管状シャフト(10)。
【請求項15】
請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載された風力タービンロータを備えるサボニウス型の風力タービン発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロペラの部品である個数n(n≧1)のセグメントが取り付けられた管状シャフトを備えるサボニウス型の風力タービンロータに関するものである。各セグメントは、半円の断面を有する2つブレードから形成されており、この2つのブレードは、軸線方向にらせん形状に延び、シャフトを通り抜ける凹凸の空気通路を形成する凹面ブレードおよび凸面ブレードを形成するようにシャフトに対して交互に配置されている。各々のブレードは第1の端部および第2の端部を有し、2つのブレードは、いずれも第1の端部をシャフトに固定され、シャフトは1組の個数m(m≧1)の空気通路を有し、2つの開口がシャフト上に対角線上に対向して配置されるごとに各々の空気通路が形成される。
【背景技術】
【0002】
風力タービン発電装置は、風の有する運動エネルギーを回転エネルギーに変換する。この風力タービン発電装置に発電機が結合されると、このエネルギーを電気エネルギーに変換させることができる。発電機が、風力タービン発電装置によって提供された機械エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0003】
風力タービン発電装置に使用されるロータは、その空気力学的な作動モードにより2つの主なグループに分類される。一つはロータが揚力によって駆動され、他方はロータが空気抵抗力によって駆動される。後者、とりわけサボニウスロータは、本発明によりかなりの改善がなされた。サボニウスロータの簡易さによりは、揚力によって駆動されるロータと比べて相対的に生産性が低いことは相殺される。
【0004】
サボニウス型の風力タービン発電装置は、極めて弱い風(例えば2ms−1以上)および全方向の風を捕らえることが可能であるという利点を有するため、起伏や住居によって風が妨害される地帯に適している。さらに、騒音が小さく、サイズが小さいために、この風力タービン発電装置を、美感を損ねることなく建物に取り込むことが可能である(小型の個人の設備の場合に効果的である)。
【0005】
風力タービン発電装置は、ロータと呼ばれる可動部分を備える。ロータは、ブレードで構成されるセグメントと、それらを接合するシャフトとによって形成される1組を備える。従来のサボニウスロータは、鉛直方向の軸線を有するロータであり、ロータの中心に、円筒形であり、空気力学的な流れに対して無視できない断面を有する回転シャフトを備える。サボニウスロータの作動は、空気抵抗の差により原理に基づいている。サボニウスロータの作動は、ブレード上の流れの偏向によって誘起される空気力学的なトルクに基づいている。これが、この組の回転を駆動させるトルクをもたらし、この回転が今度は風力タービン発電装置を駆動させる。サボニウスロータのシャフトが中実の部品で構成されると、ロータの効率を下げることによって事実上空気の流れに対する障害となる。
【0006】
米国特許第7,766,600号は、図2および図3において、らせん形であり、わずかに中心がずらされ、高剛性または曲げ可能な一対の半円筒形のブレードが穿孔されたシャフトにリベットによって取り付けられたサボニウス風力タービンロータを開示している。これはロータのプロペラを形成する。この穿孔されたシャフトによって、ブレードのうちの1つから他のブレードまでの空気通路を可能にする。ブレードのらせん形状、すなわちブレードの本体の形状は、シャフトに取り付けられた半径によって形成される構造体によって与えられる。シャフトの穿孔は、鉛直方向に伸張された形状、または丸みのある形状、すなわち多角形を有する。
【0007】
米国特許第7,766,600号に開示されたブレードの作製は複雑である。ブレードにらせん形の形状を与えるために比較的剛性のある材料を折り曲げることは、困難である。さらに、作製用の金型の大きさによってブレードの大きさが制限される。半径およびシャフト上のブレードの組立体によって形成される構造体も複雑である。開示されるロータは、シャフト上のブレードの固定位置においてかなりの大きさの力がかかる。さらに、シャフトは、回転する際の付随的に振動も発生し、これがロータの出力を低下させる。ロータによって生成されるエンジントルクも、プロペラの回転にがたつきを生じさせる望ましくない変動を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,766,600号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、より単純であり、速く、大量生産が可能であり、低コストで生産できる風力タービンロータの構築および組立を提案することへの要望がある。相対的に一定であり規則的なプロペラの回転を可能にし、ロータの出力を改善するために、各回転のロータによって供給されるエンジントルクが平滑化されるロータに対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明はサボニウス型の風力タービンロータを提案する。この風力タービンロータは、プロペラの部品を形成する個数n(n≧1)のセグメントが配置された管状のシャフトを備え、各セグメントは半円の断面を有する2つのブレードによって形成され、2つのブレードは軸線方向にらせん形状に延び、凹面ブレードおよび凸面ブレードを形成するようにシャフトに対して交互になるように配置されて、シャフトを通り抜ける凹凸の空気通路を形成している。各ブレードは、第1の端部および第2の端部を有し、2つのブレードは、その第1の端部によってシャフトに固定されており、シャフトは、1組の個数m(m≧1)の空気通路を有する。
【0011】
各セグメントは、各ブレードの第1の端部から第2の端部に向かって縮小する幅を有し、プロペラの部品を形成するn個のセグメントは、n個のセグメントのうちの最初のセグメントの第2の端部に位置する第1の(P1)地点と、n個のセグメントのうちの最後のセグメントの、第1の(P1)地点と同じところにある、第2の端部に位置する第2の(P2)地点とが、角度αだけ回転してシャフト上に設置され、1≦i<nとしたときにる、プロペラの部品を形成するセグメントni+1に対するセグメントnの回転角度がα/nであり、上記の組のm個の空気通路は、m番目の空気通路がm個の空気通路のうちの最初の空気通路に対して角度αだけ回転して変位するように、相互に回転変位していることを特徴とする。
【0012】
セグメントを積み重ねることによって構成されるプロペラは、作製し易く、このセグメントは別々に作製でき、射出成形により作製できる。
【0013】
第1の端部と第2の端部との間でブレードの厚さが縮小することによって、空気タービンの作製に使用される材料の抵抗を風力タービンに課される力に適合させることが可能になるとともに、疲労による破損のリスクなども低下する。したがって、セグメントとシャフトとを固定する位置にかかる力は、セグメントの抵抗の最大の領域に集中される。本発明の実施を考えると、ブレードにかかる機械的な力は、その第2の端部よりも第1の端部のほうが大きくなる。実際には、この力は第1の端部から第2の端部に向かって減少する。この力に対する最適な抵抗を保証するために、本発明は、ブレードがその第2の端部においてよりもその第1の端部において大きくなる厚さを有するようになっている。ブレードが一定の厚さであった場合に限って、この厚さの縮小は、ブレードの質量が低下するという追加の利点を有する。
【0014】
さらに風力タービンのプロペラは、軸線を中心に回転し始めるとすぐに、ブレードを構成する各々の粒子は遠心力の作用を受け、角度速度の平方と回転軸線までの距離との積に比例する回転軸線から外向きの力を受ける。回転軸線に近いブレードの部分は、遠心力が最大となるブレードの先端よりも弱い力を受ける。回転によって誘起される力を低下させるために、本発明は回転軸線から離れるにつれてブレードの厚さを縮小することを提供する。
【0015】
例えばブレードの厚さを第1の端部と第2の端部とで、約50%縮小させることができる。
【0016】
さらに、セグメントは、シャフトによってロータに伝達されるエンジントルクの実質的な平滑化処理に好ましく、ステータの巻線のエネルギーの損失を抑える、より流れるような空気力学的な形状を有する。
【0017】
シャフトは、ほとんどふさがっていない、すなわち極めて軽量の領域であるm個の空気通路を有し、これはシャフト内を実質的に自由に通れる空気通路に大きな自由面積を有することを示している。そのように構成されたシャフトは、中実のシャフトと比較したときに、それほど重量が大きくなく、曲げ抵抗が大きい。
【0018】
ブレードまたはセグメントの鉛直方向の断面を考えると、この断面はブレードまたはセグメントの高さである高さと、ブレードまたはセグメントの幅である幅とを有する。ブレードまたはセグメントの幅は、ブレードまたはセグメントに関する厚さと呼ばれる場合もある。当然のことながら、本明細書において、用語「ブレードの幅」と「ブレードの厚さ」は等しく、用語「セグメントの幅」と「セグメントの厚さ」とも等しい。
【0019】
本明細書において、第1の要素が、複数の要素で形成されるべきであることが記載される場合、これは第1の要素が複数の要素を含むことを意味する。
【0020】
セグメントが2つのブレードのみを備える本発明の一具体例では、各空気通路は2つの開口からそれぞれ形成されることが好ましい。この2つの開口は、対角線上に対向してシャフトに配置させることができる。
【0021】
プロペラの部品を形成する最初のセグメントと最後のセグメントとの間で、回転差α/nによって得られるn個のセグメントのらせん形状により、風の方向と関係なく優れた風の表面積が可能になる。シャフト上のm個の空気通路も、n個のセグメントと同じ割合で回転変位する。これは、n個のセグメントとm個の空気通路が一致し、プロペラのより一定の回転速度を実現するために空気の最大の循環を確実に実現すること、ならびに得られたエンジントルクが実質的に平滑化されることを保証するためである。
【0022】
n個のセグメントと同じ割合でずらされたシャフトのm個の空気通路によって、堅固であり、かつ空間をほとんど必要としないロータを得ることが可能になり、この場合プロペラは常に風に対して特定の力を有する。シャフト内の空気通路の偏差によって、凹面ブレードから凸面ブレードへの空気の移動が可能になり、これは特に空気の流れがこのときとりわけ良好に誘導され、したがってより優れたエンジントルクを生じさせるためにとりわけ興味が集まっている。シャフト内の中空の各空気通路は、鉛直方向に直交する面でのシャフトの曲げ抵抗を弱めるが、それを全方向に分散し、結果として全体の脆弱化を均一にするために、このような空気通路を回転変位させることにも興味が集まっており、そのように構成された中空のおよび穿孔されたシャフトは、印加される力の方向と事実上無関係である曲げ抵抗を有する。
【0023】
本発明による風力タービンロータにおいてn=mであることが有利である。これはシャフトに接続されたセグメントの数がシャフト内に存在する空気通路の数に等しいことを意味する。n=mであるとき、m個の空気通路の回転偏差は、プロペラの部品を形成するn個のセグメントの回転偏差と一致する。したがって、各セグメントは、各空気通路に面しており、これはロータを通り抜ける空気の流れに好ましく、ロータの回転は事実上一定となり、エンジントルクはさらに平滑化される。
【0024】
本発明によるロータは、プロペラの部品を形成するn個のセグメントの各々が多数の線形のサブセグメントから構成されることを示すことは有利である。プロペラはサブセグメントの積層体として組み立てられる。サブセグメントは、セグメントに対して求められる大きさ又はサイズを与えるように積み重ねられる。サブセグメントは、同一サイズの金型を使用することによって射出成形技術によって得ることができる。
【0025】
本発明によるロータにおいて、管状のシャフトは、ロータの回転軸線と一致することが有利である。これは損失を減らすことによってロータの回転に好ましい。
【0026】
本発明によるロータにおいて、プロペラの部品を形成する隣接するセグメントが接着剤によって接着されることが有利である。こうすると、プロペラは、一体品で作製されたプロペラと同一の作用を有する。
【0027】
本発明によるロータにおいて、プロペラの部品を形成するn個のセグメントは、リベット、ねじまたは接着によってシャフトに取り付けられていることが有利である。
【0028】
本発明によるロータにおいて、シャフトは金属管で構成され、とりわけ一体品で構成されることが有利である。この金属管は、いかなる溶接部もないことが好ましい。これは、シャフトの断面の均一性およびその均衡性を保証するのに役立つ。
【0029】
本発明によるロータにおいて、シャフトの一端の周りに機械的動力の受け取り部材が固定されること、とりわけ交流発電機のロータが固定されることが有利である。この部材は、直接結合によって固定されるため出力の損失がない。風力タービン発電装置の出力はこのように最大限に活用される。
【0030】
本発明によるロータにおいて、プロペラの部品を形成するセグメントは、プラスチック材料、とりわけバイオプラスチックの射出成形によって、または軽金属、とりわけアルミニウムまたはマグネシウムにより、または回転成形によって作製されることが有利である。
【0031】
本発明によるロータの第2の具体例によれば、2つのブレードは、シャフトの中心にある円形部分に組み込まれた少なくとも2つの歯止めによってそれぞれの第1の端部において合わせて固定される。この具体例は、作製のための代替形態を提供しており、各々のセグメントは、互いに入れ子になる2つの部品で作製されるとまではいかないまでも、セグメントはもはや単一の部品として別々に作製されない。これはより大きな寸法の風力タービン発電装置に適用される。
【0032】
本発明による風力タービンロータにおいて、角度αは、90°または180°であることが有利である。90°または180°に等しいn個のセグメントの回転偏差、およびセグメントの一部を形成するブレードの交互配置が、1/4回転または1/2回転だけずらされたらせん形のプロペラを実現することを可能にする。この偏差によってn個のセグメントが常に風に対して特定の力を有するようにし、したがって結果として生じる力のベクトルの水平方向の成分が好ましいものであり、全体の振動を相当低下させる。
【0033】
本発明の一具体例によれば、各セグメントは3つのブレードから形成される。
【0034】
シャフトの各空気通路は、シャフトの周囲に均一に配置された開口により形成されることが有利である。
【0035】
本発明は、上記の風力タービンロータの一部を形成するプロペラおよび管状シャフトにも関する。
【0036】
本発明は、上記の風力タービンロータを備えるサボニウス型の風力タービン発電装置、そのプロペラおよび管状シャフトにも関する。このような風力タービン発電装置は、騒音はあまりなく、広い空間を必要としないため都市建築に対応する。それは極めて小さい風でも優れた出力を提供し、風の方向の変化による制約を受けない。
【0037】
次に本発明による風力タービンロータの好ましい一具体例を示す図面を使用して本発明をより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明によるプロペラと、管状シャフトとを備える風力タービンロータを備える風力タービン発電装置の分解組立図。
図2A】2つのブレードが円形部分によってそれぞれの第1の端部で固定されたセグメントを上方から見た図。
図2B】矢印が凹面ブレードと凸面ブレードとの間の空気の流れを表す、セグメントの高さ中央における断面図。
図3】2つのブレードが2つの円形部分によってそれぞれの第1の端部で固定されたセグメントと、凹凸の空気通路とを見ることができる図。
図4】2つのブレードが一体式の歯止めを有する2つの円形部分によってそれぞれの第1の端部で固定された本発明の第2の具体例によるセグメントと、凹凸の空気通路とを見ることができる図。
図5】プロペラのセグメント間の回転偏差と、プロペラの偏差αとを示す図。
図6】シャフトと、1/4回転だけ回転させたm個の空気通路とを示す図。
図7】本発明による風力タービンロータの一部である管状シャフト上での1つのセグメントの組み立てを示す図。
図8】プロペラの各々のセグメントが3つのブレードを備える本発明の一具体例におけるシャフトと、プロペラの分解組立図。
図9】プロペラの各々のセグメントが3つのブレードを備える本発明の一具体例におけるブレードを上方から見た図。
図10】3つのブレードを備えるセグメントを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面においては同一の符号は同一の要素または同様の要素を示している。
【0040】
本発明は、鉛直方向の軸線を有し、らせん形状のブレードを備えるサボニウス型の風力タービンロータ100に関する。このロータは、図1に示されるように、風力タービン発電装置に設けられることが意図されている。図1に示された例によると、らせん形のプロペラ20は、10個の実質的に同一のセグメント11から構成されており、各セグメントは同一の金型を使用して別々に作製される。セグメント11の数は10個に限定されるのではなく、プロペラ20は、製造者によって自由に選択された1以上の個数(n≧1)のセグメント11によって形成できる。
【0041】
プロペラ20の部品を形成するセグメント11は、プラスチック材料、とりわけバイオプラスチックの射出成形により、または軽金属、とりわけアルミニウムまたはマグネシウムにより、または回転成形によって作製される。
【0042】
2つのブレードを有する本発明の具体例を図1図7に示す。
【0043】
図1に示された風力タービン発電装置は、プロペラ20の部品を形成するn個のセグメント11を備え、これらのセグメント11は、例えばねじ、リベットまたは接着などの固定部材により管状シャフト10に固定される。プロペラ20およびシャフト10は、風力タービン発電装置の可動部品である風力タービンロータ100を形成する。ロータ100の回転軸線は、シャフト10の軸線と一致する。シャフト10は、好ましくは玉軸受け3により基軸2の周りを自由に回転する。基軸2はねじ付き端部を有することが好ましく、基板4に基軸2を固定することを可能にする。この基板4は、機械的動力の受け取り部材である交流発電機のステータ5も支持する。ステータ5は、上部がキャップ6によって閉鎖されており、このキャップは、シャフト10のねじ付き端部に収容された対向キャップ7と共に、埃または水が入り込むことを防止し内部の熱および水分を放出するためのデバイスを形成する。
【0044】
図2Aは、プロペラ20の部品を形成するセグメント11を上部から見た図を示す。各セグメント11は、半円形状の断面の2つのブレード11A、11Bによって形成される。2つのブレード11A、11Bは、軸線方向にらせん形状の延伸し、風に面する凹面ブレード11Bおよび凸面ブレード11Aを形成するようにしてシャフト10に対して交互に配置される。
【0045】
らせん形状の軸線方向の延伸は、軸線aの円筒形の一部分を形成しながら、ブレードの半円形の部分を伸張する構造体である。らせん形状の軸線方向の延伸はシャフト10を収容するように構成される。ブレード11A、11Bはシャフト10に対して交互に配置され、セグメントの異なるブレードが一定の角度だけ離れるようにシャフト10の周りに配置される。
【0046】
図2Aは、ブレード11A、11Bの凸面である前方面40と、ブレード11A、11Bの凹面である後方面41とを示す。ブレード11A、11Bの幅52は厚さとも呼ばれ、ブレードの前方面と後方面との間の最小距離である。
【0047】
各セグメント11は、各ブレード11A、11Bの第1の端部12A、12Bから始まって第2の端部13A、13Bに向かってそれぞれ縮小する幅52を有する。このように縮小するブレード11A、11Bの幅により空気力学的にプロペラ20のらせん形状における決定的役割を果たす。そして、その独自の物理的な特徴によって回転が減速することを防止することによって好ましい一定の回転が得られる。望ましくない減速は、加速度の損失を生じさせる。また、回転が一定かつ規則的であり、一定のエンジントルクが得られるようにするためにも、減速は回避する必要がある。さらに、第1の端部12A、12Bの高さでのブレード11A、11Bとシャフト10との固定部に存在する力は、この幅の縮小のおかげで得られるブレード11A、11Bの重量の減少によって、小さくなる。これは全て、ロータのより優れた出力、および実質的に平滑化されたエンジントルクを意味する。
【0048】
図3から、2つのブレード11A、11Bがそのそれぞれの第1の端部12A、12Bの間で固定され、2つの円形部分C、Cが2つのブレード11A、11Bを固定することがわかる。2つの円形部分C、Cは、例えばリベットまたは固定ねじなどの固定手段を収容するために設けられた開口部9を有することができる。2つの円形部分の一方Cはセグメント11の下部に配置され、他方の円形部分Cは、セグメント11の上部に配置される。
【0049】
2つの円形部分C、Cは、より好ましくは限定された高さを有し、例えばセグメント11の全体の高さ51の5%〜15%である。セグメント11がシャフト10に設置されると、凹面ブレード11Bと凸面ブレード11Aとの間に十分な空気通路が形成されることがわかる。したがって凹面ブレード11Bと凸面ブレード11Aは、それらの間に凹凸の空気通路31を形成する。この空気通路31は、図3に略図化されて示されており、矢印は、空気の流れまたは凹凸の空気通路31を通過する空気の流れを示している。
【0050】
図3は、鉛直方向の面50も示している。この面50に沿ったブレードの鉛直方向断面は、ブレード11Aの高さである高さ51と、ブレード11Aの幅である幅52とを有する。この幅は、時にはこのブレード11Aの厚さとも呼ばれる場合もある。このことはセグメント11にも適用できる。
【0051】
図4は、より大きなサイズのセグメント11の作製を可能にする本発明の第2の具体例を示している。この具体例によると、2つのブレード11A、11Bで構成されるセグメント11は、例えば各円形部分C、Cに組み込まれた歯止め8などの固定手段を利用して、セグメントの上部Cおよび下部Cにて第1の端部12A、12Bで固定される。このような製造技術は、セグメント11の大きさの制限を除き、経済的に射出可能な状態に維持する目的のためである。例えば半径200mmが、セグメント11を単一の金型を使用した射出成形により作製するのに適した大きさであり、これより大きな大きさは、単一の金型を利用して作製することを極めて難しい。したがって、2つの部品でセグメント11を作製することによって、作業を容易にし、かつ作製方法を実用的および/または妥当なコストに維持する。
【0052】
図5は、シャフト10上に取り付けられたプロペラ20の部品を構成するn個のセグメント11を示している。n個のセグメント11のうちの最初のセグメントnの第2の端部に位置する第1のP地点と、n個のセグメント11のうちの最後のセグメントnの第2の端部の、第1のP地点と同じところに位置する第2のP地点が、角度αで回転してずれるように配置される。より好ましくは角度αは90°または180°に等しい。プロペラ20の部品を構成するセグメントni+1(1≦i<n)に対するセグメントnの回転偏差はα/nである。10個のセグメントを有し、回転偏差は90°である一例によると、セグメント11の数は10であり、回転偏差とセグメント11の数との関係は9°に等しい。すなわち隣接するセグメント11どうしの回転偏差α/nは9°である。この偏差は当然のことながら、セグメント11の数、および角度αに依存する。角度αが90°という事実は、ブレード11A、11Bの十分な凹面部分が常に風に向かっていることを可能にする。角度αが大きくなるほど、風にあたるプロペラの面積が回転中に変化しにくくなり、エンジントルクおよび結果として生じる水平方向の力の変動が小さくなり、構造体ならびに発電機中に生じる振動も減少する。
【0053】
プロペラ20の部品を形成する各々のn個のセグメント11は、多数の線形のサブセグメントから構成できる。これはプロペラ20の部品を形成するセグメント11の数が制限されないことを意味する。多数の線形のサブセグメントによって、より大きなセグメントを組み立てることが可能になり、組立方法の柔軟性が大きくなる。したがって、空気タービンロータ100の作製の選択肢において多くの選択が提案される。
【0054】
図6は、m≧1個の空気通路30を有するシャフト10を示す。各空気通路30は、シャフト10上に対角線上に対向して配置された2つの開口14、15によって、それぞれ形成される。十分な円形断面を有するシャフト10は、管で構成され、好ましくは金属製である。この管が、セグメント11の円形部分C、Cの直径と適合可能な直径を有することで、シャフト10を、プロペラ20を形成する積み重ねられたセグメント11の中心に対して滑らせることができる。シャフト10は単一の部品で構成されることが好ましく、シャフト10の均質性を保証し、その均衡をとるのに好都合であるために溶接処理は行わないことが好ましい。
【0055】
シャフト10上のm個の空気通路30は、管によって生じる風に対する抵抗を大幅に減少させ、管を通過する空気流れを形成するのに好都合である。さらに、m個の空気通路30により、シャフト10が軽量化された構造体となる一方で、シャフト20上に設置されたセグメント11によって形成されたプロペラ20を支持するのに必要な剛性を維持する。
【0056】
このシャフト10の他のとりわけ興味深い特徴は、中実のシャフトに比べて、曲げ抵抗が大きいことである。特定の一具体例では、シャフト10を作製するのに使用される金属管は、73mmの外径および7mmの壁厚を有し、この金属管は、直径64mmで同一材料からできており、質量が半分に削減された中実のシャフトと全く同じ曲げ抵抗を有する。
【0057】
シャフト10上に存在するm個の空気通路30は、それぞれ互いにずらされている。空気通路mi+1(1≦i<m)に対する空気通路mの回転偏差はα/mになる。n=mの場合、空気通路30はブレード間の凹凸の空気通路31と完全に一致する。この場合、空気通路の表面積は最大となり、風力タービンロータ100は、最適化された物理パラメータを示す最適な条件で作動する。
【0058】
図7には、明確化のためにシャフト10上に設置された単一のセグメント11を示しており、これはシャフト10上に設置される各々のn個のセグメント11に適用される。図面は、その中心部に配置された凹凸の空気通路31を有するセグメントnを示す。このセグメント11は、リベット、ねじ、または接着剤によりシャフト10上の空気通路30に対して組み立てられる。凹凸の空気通路31は、シャフト10の空気通路30と一致していることがはっきりと分かる。図面中の矢印によってセグメント11を時計方向に回転させる空気の流れが示される。空気は通路31、30を通過する。すなわち、空気は、凹面ブレード11Bから凸面ブレード11Aに向かってセグメント11およびシャフト10によって形成された開口を通過する。このような障害がない区域によって、空気タービンロータ100の回転に好ましい最大の空気通路が可能になる。シャフト10を通り抜けるブレード11A、11Bの間の空気の流れに対する自由な通過は、プロペラ20が規則的に回転させることが可能であり、したがってエンジントルクによって生成されるエンジントルクが実質的に平滑化されるのに好都合である。
【0059】
このロータ100およびそれを含む風力タービン発電装置の作動は、空気抵抗の差の原理に基づいている。プロペラ20の部品を形成する各セグメント11は、それが横方向位置にあるとき、風に向かう凹面(凹面ブレード11B)と凸面(凸面ブレード11A)とを有する。風はこれらの面に非常に異なる力を及ぼすので、その結果として全体の回転を生じさせるトルクが生じる。風の速度が十分であると、プロペラ20の部品を形成するセグメント11の慣性によって、1/2回転を超えるまで回転し、そうするとその軸対称性のために風に対して同じ面を有することになり、それまでの1/2回転と同一の回転トルクを受けさせることが可能になる。このような2つの位置において、結果として生じるトルクは実質的に低下する。プロペラ20のセグメント11のエンジントルクは、本来のサボニウスロータと極めて似ており、よってロータ100の回転の周波数の2倍の周波数で変化する。その平均値は正のままである。各セグメント11はわずかにらせん形状を有する。すなわちプロペラ20を備えるセグメント11の積層体が、プロペラ20の底部(第1のセグメント)と頂部(最後のセグメント)との間に1/4回転のねじれ(α=90°)を有するように、セグメントnがセグメントni+1に対して数度だけずらされるのはこのような理由のためである。各セグメント11の個々のトルクを同時に加算することから生じるエンジントルクはしたがって実質的に平滑化される。その後続いて交流発電機の巻き線内に生じる機械的振動はより小さく、高調波もより小さい。したがって、ここに記載されたロータ100および風力タービンは、より再生可能なエネルギーを必要とする世界中の風力タービンの作製に対する改善をもたらす。
【0060】
図1から図7までに示された本発明の具体例は、各セグメント11が2つのブレード11A、11Bのみを備えるものである。3つのブレードを備える本発明の一具体例が、図8から図10までに示されている。本発明のこの具体例では、各セグメント11は、3つのブレード11A、11B、11Cを備える。
【0061】
図8は、シャフト10およびプロペラ20の分解組立図を示している。セグメント11は、3つのブレード11A、11B、11Cを備える。シャフト10は、1つのセグメントにつき3つの開口14、15、16を備える。3つの開口14、15、16は、シャフト10の特定の部分を均一に囲むように優先的に配置される。3つの開口14、15、16が空気通路30を形成する。
【0062】
図9は、前方面40および後方面41を備えたブレード11Aの上方からみた図を示す。
【0063】
図10は、3つのブレード11A、11B、11Cを備える1つのセグメント11を示す。ブレード11A、11B、11Cは、ともに空気通路31を形成する。
【0064】
各セグメント11が少なくとも2つのブレードを備える本発明の他の具体例も可能であり、これはなおも本発明の範囲内にある。
【0065】
要約すれば、本発明は、以下のように記載できる。サボニウスタイプの風力タービンロータ100は、プロペラ20の部品を形成する個数n≧1個のセグメント11が取り付けられた管状シャフト10を備える。各セグメント11は、半円の断面を有する2つのブレード11A、11Bから形成されており、2つのブレード11A、11Bは、軸線方向にらせん形状に延在し、凹面ブレード11Bおよび凸面ブレード11Aを形成するようにシャフト10に対して交互に配置されて、シャフト10を通り抜ける凹凸の空気通路31を形成する。各ブレードは、第1の端部12A、12B、および第2の端部13A、13Bを有し、2つのブレード11A、11Bは、その第1の端部12A、12Bでシャフト10に固定されており、シャフト10は、個数m≧1個の1組の空気通路30を有する。
ロータ100は、各セグメント11が、各ブレード11A、11Bの第1の端部12A、12Bから第2の端部13A、13Bに向かって縮小する厚さを有する。プロペラ20の部品を形成するn個のセグメント11が、n個のうちの最初のセグメント11の第2の端部に位置する第1の地点(P)と、n個のうちの最後のセグメント11の第2の端部の、第1の地点(P)と同じところに位置する第2の地点(P)とが、角度αだけ回転してシャフト10上に設置されており、1≦i<nとしたときにプロペラ20の部品を形成するセグメントnのセグメントni+1に対する回転偏差はα/nになる。m番目の空気通路30がm個のうちの最初の空気通路30に対して角度αだけ回転してずらされるようにして、1組のm個の空気通路30が相互に回転変位していることを特徴とする。
【0066】
その他の点において、本発明は、プロペラの部品を形成する数n≧1個のセグメントが設けられた管状シャフトを備えるサボニウスタイプのロータにも関する。軸線方向にらせん形状に延びる2つの半円形のブレードによって形成される各セグメントは、シャフトに対して交互に配置され、シャフトを通り抜ける凹凸の空気通路を形成する。シャフトは、2つの開口によって形成される1組のm≧1個の空気通路を有する。各セグメントは、各ブレードの第2の端部に向かって縮小する幅を有する。n個のうちの最初のセグメントの第2の端部にある第1の地点と、n個のうちの最後のセグメントの第2の端部にある第2の地点は、角度αだけ回転するようにずらされている。セグメントnおよびni+1の回転偏差は、関係α/nである。m番目の空気通路は、m個のうちの最初の空気通路に対して角度αだけ回転してずらされている。
【0067】
本発明を特有の具体例に関連して記載したが、これは純粋に情報を提供するための値を有しており、限定とみなすべきではない。本発明は、上記に示されおよび/または記載された例に限定されるものではない。動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、「収容する(contain)」、または任意の他の代替形態ならびに活用形の使用は、言及されるもの以外の要素の存在を全く除外しない。1つの要素を持ち出すための不定冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」または不定冠詞「その(the)」は、複数のこのような要素の存在を除外しない。クレームにおける参照番号はその範囲を限定するものではない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】