(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-517939(P2017-517939A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】チャネル等化追跡装置、方法及び受信機
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20170602BHJP
H04L 27/01 20060101ALI20170602BHJP
H04B 7/005 20060101ALI20170602BHJP
【FI】
H04L27/26 410
H04L27/01
H04B7/005
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-563784(P2016-563784)
(86)(22)【出願日】2015年3月4日
(85)【翻訳文提出日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】CN2015073600
(87)【国際公開番号】WO2015161720
(87)【国際公開日】20151029
(31)【優先権主張番号】201410168369.3
(32)【優先日】2014年4月24日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100192636
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】リィウ・ボ
(72)【発明者】
【氏名】イェヌ・ウエイジェヌ
(72)【発明者】
【氏名】リ・レイ
(72)【発明者】
【氏名】チェヌ・ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ラデッキー・アンヂュジェイ
【テーマコード(参考)】
5K046
【Fターム(参考)】
5K046EE48
5K046EF52
(57)【要約】
チャネル等化追跡装置、方法及び受信機を提供する。該装置は、受信された時間領域信号を周波数領域信号に変換するフーリエ変換部と、時間遅延情報及び等化係数に基づいて、1回の乗算を用いて該フーリエ変換部により出力された信号に対して位相補償及び周波数領域等化を行う補償等化部と、等化後の信号を判定する判定部と、該フーリエ変換部により出力された信号及び該判定部により取得された誤差信号に基づいてチャネルを追跡するチャネル追跡部とを含む。本発明の実施例によれば、システム全体の複雑さ及びハードウェア要求を低減できると共に、システムの性能に影響を与えない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信された時間領域信号を周波数領域信号に変換するフーリエ変換手段と、
時間遅延情報及び等化係数に基づいて、1回の乗算を用いて前記フーリエ変換手段により出力された信号に対して位相補償及び周波数領域等化を行う補償等化手段と、
等化後の信号を判定する判定手段と、
前記フーリエ変換手段により出力された信号及び前記判定手段により取得された誤差信号に基づいてチャネルを追跡するチャネル追跡手段と、を含む、チャネル等化追跡装置。
【請求項2】
時間遅延情報及び前記フーリエ変換手段により出力された信号に基づいて1つ又は複数のサブキャリアの位相誤差を計算し、指定のサブチャネルの位相オフセットを取得し、前記位相オフセットに基づいて前記指定のサブチャネルに対して位相回転を行う位相回転手段、をさらに含み、
前記チャネル追跡手段は、前記位相回転手段により出力された信号及び前記判定手段により取得された誤差信号に基づいてチャネルを追跡する、請求項1に記載のチャネル等化追跡装置。
【請求項3】
前記位相回転手段は、下記の式に従って1つ又は複数のサブキャリアの位相誤差を計算し、
【数1】
ここで、Tは残留時間誤差であり、F
kはk番目のサブキャリアの中央周波数であり、F
sはシステムのサンプリング周波数であり、Ph
kはk番目のサブキャリアの位相誤差である、請求項2に記載のチャネル等化追跡装置。
【請求項4】
フーリエ変換を用いて受信された時間領域信号を周波数領域信号に変換するステップと、
時間遅延情報及び等化係数に基づいて、1回の乗算を用いて前記フーリエ変換後の信号に対して位相補償及び周波数領域等化を行うステップと、
等化後の信号を判定するステップと、
前記フーリエ変換後の信号及び前記判定して得られた誤差信号に基づいてチャネルを追跡するステップと、を含む、チャネル等化追跡方法。
【請求項5】
時間遅延情報及び前記フーリエ変換後の信号に基づいて1つ又は複数のサブキャリアの位相誤差を計算し、指定のサブチャネルの位相オフセットを取得し、前記位相オフセットに基づいて前記指定のサブチャネルに対して位相回転を行うステップと、
前記位相回転後の信号及び前記判定して得られた誤差信号に基づいてチャネルを追跡するステップと、を含む、請求項4に記載のチャネル等化追跡方法。
【請求項6】
下記の式に従って1つ又は複数のサブキャリアの位相誤差を計算し、
【数2】
ここで、Tは残留時間誤差であり、F
kはk番目のサブキャリアの中央周波数であり、F
sはシステムのサンプリング周波数であり、Ph
kはk番目のサブキャリアの位相誤差である、請求項5に記載のチャネル等化追跡方法。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれかに記載のチャネル等化追跡装置を含む、受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術分野に関し、特にチャネル等化追跡装置、方法及び受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のデジタル通信システムでは、送信側と受信側のクロック周波数を正確に一致させるのは困難であり、受信側においてサンプリングされた信号と送信側の信号とは一定のサンプリング周波数誤差が存在し、周波数領域では受信信号の位相オフセットとして表され、等化の前に位相回転を行う必要がある。
【0003】
なお、背景技術に関する上記の説明は、単なる本発明の技術案をより明確、完全に説明するためのものであり、当業者を理解させるために説明するものであり。これら技術案が本発明の背景技術の部分に説明されているから当業者にとって周知の技術であると解釈してはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本発明の発明者の発見によると、従来のチャネル等化追跡システムでは、周波数領域の等化及び位相回転は同様に複素乗算として表され、マルチキャリアの場合はクロック・リカバリ及びチャネル追跡機能を果たすために、各サブキャリアについて位相回転処理を行う必要があるため、余計なハードウェア複雑さ及び電力コストに繋がる。
【0005】
本発明の実施例は、システムの性能に影響を与えることなく、システム全体の複雑さ及びハードウェア要求を低減できるチャネル等化追跡装置、方法及び受信機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例の第1の態様では、受信された時間領域信号を周波数領域信号に変換するフーリエ変換手段と、時間遅延情報及び等化係数に基づいて、1回の乗算を用いて前記フーリエ変換手段により出力された信号に対して位相補償及び周波数領域等化を行う補償等化手段と、等化後の信号を判定する判定手段と、前記フーリエ変換手段により出力された信号及び前記判定手段により取得された誤差信号に基づいてチャネルを追跡するチャネル追跡手段と、を含む、チャネル等化追跡装置を提供する。
【0007】
本発明の実施例の第2の態様では、フーリエ変換を用いて受信された時間領域信号を周波数領域信号に変換するステップと、時間遅延情報及び等化係数に基づいて、1回の乗算を用いて前記フーリエ変換後の信号に対して位相補償及び周波数領域等化を行うステップと、等化後の信号を判定するステップと、前記フーリエ変換後の信号及び前記判定して得られた誤差信号に基づいてチャネルを追跡するステップと、を含む、チャネル等化追跡方法を提供する。
【0008】
本発明の実施例の第3の態様では、上記のチャネル等化追跡装置を含む、受信機を提供する。
【0009】
本発明の有益な効果としては、1回の乗算を用いてフーリエ変換後の信号に対して位相補償及び周波数領域等化を行い、判定結果から得られた誤差信号及び位相回転が行われていない信号を用いてチャネルを追跡することで、システム全体の複雑さ及びハードウェア要求を低減できると共に、システムの性能に影響を与えない。
【0010】
下記の説明及び図面に示すように、本発明の特定の実施形態が詳細に開示され、本発明の原理を採用できる方式が示される。なお、本発明の実施形態の範囲はこれらに限定されない。本発明の実施形態は、添付される特許請求の範囲の要旨及び項目の範囲内において、変更されたもの、修正されたもの及び均等的なものを含む。
【0011】
1つの実施形態に記載された特徴及び/又は示された特徴は、同一又は類似の方式で1つ又はさらに多くの他の実施形態で用いられてもよいし、他の実施形態における特徴と組み合わせてもよいし、他の実施形態における特徴に代わってもよい。
【0012】
なお、本文では、用語「包括/含む」は、特徴、部材、ステップ又はコンポーネントが存在することを指し、一つ又は複数の他の特徴、部材、ステップ又はコンポーネントの存在又は付加を排除しない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の多くの態様は、以下の図面を参照しながら理解できる。図面における素子は比例に応じて記載されたものではなく、本発明の原理を示すためのものである。本発明の一部分を示す又は記載するため、図面における対応部分は拡大或いは縮小される可能性がある。
【0014】
本発明の1つの図面及び1つの実施形態に記載された要素及び特徴は、1つ又はさらに多くの図面又は実施形態に示された要素及び特徴と組み合わせてもよい。また、図面において、類似の符号は複数の図面における対応する素子を示し、1つ以上の実施形態に用いられる対応素子を示してもよい。
【
図1】関連技術におけるチャネル等化追跡装置の1つの構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施例1のチャネル等化追跡装置の1つの構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施例1のチャネル等化追跡装置のもう1つの構成を示す図である。
【
図4】マルチキャリアシステムにおける時間遅延の場合の位相誤差とサブチャネルの中央周波数との1つの関係を示す図である。
【
図5】本発明の実施例1のチャネル追跡結果の比較を示す図である。
【
図6】本発明の実施例2のチャネル等化追跡方法の1つのフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例2のチャネル等化追跡方法のもう1つのフローチャートである。
【
図8】本発明の実施例3の受信機の1つの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の上記及びその他の特徴は、図面及び下記の説明により理解できるものである。明細書及び図面では、本発明の特定の実施形態、即ち本発明の原則に従う一部の実施形態を表すものを公開している。なお、本発明は説明される実施形態に限定されず、本発明は、特許請求の範囲内の全ての修正、変更されたもの、及び均等なものを含む。
【0016】
図1は関連技術におけるチャネル等化追跡装置の1つの構成を示す図である。
図1に示すように、フーリエ変換(例えばFFT、Fast Fourier Transformation)部101は受信された時間領域信号を周波数領域信号に変換し、位相回転部102はクロック・リカバリ(Clock Recovery)から得られた時間遅延情報(Time delay)に基づいてフーリエ変換部101で処理された残留の位相誤差を補正する。等化部103は等化係数に基づいて位相回転後の信号に対して周波数領域等化を行う。判定部104は等化後の信号に対して判定を行い、それをコンステレーション点に対応する値に変換する。チャネル追跡部105は判定部104の判定結果から得られた誤差信号及び位相回転部102で回転された信号に基づいてチャネルを追跡し、新しい等化係数を出力する。
【0017】
単一チャネルの場合は、
図1に示すチャネル等化追跡装置は、クロック・リカバリ及びチャネル追跡機能を良好に果たすことができる。しかし、マルチキャリアの場合は、位相回転部102は各サブキャリアについて位相回転処理を行う必要があり、大量の演算が必要であり、ハードウェア要求及び消費電力が大幅に増大してしまう。上記の技術的課題に関して、以下は本発明を詳細に説明する。
【0018】
<実施例1>
本発明の実施例はチャネル等化追跡装置を提供する。
図2は本発明の実施例1のチャネル等化追跡装置の1つの構成を示す図である。
図2に示すように、チャネル等化追跡装置200は、フーリエ変換部201、補償等化部202、判定部203及びチャネル追跡部204を含む。
【0019】
フーリエ変換部201は、受信された時間領域信号を周波数領域信号に変換する。補償等化部202は、時間遅延情報及び等化係数に基づいて、1回の乗算を用いて該フーリエ変換部201により出力された信号に対して位相補償及び周波数領域等化を行う。判定部203は、等化後の信号を判定する。チャネル追跡部204は、該フーリエ変換部201により出力された信号及び判定部203により取得された誤差信号に基づいてチャネルを追跡する。
【0020】
本実施例では、
図1に示す構成と異なって、
図2における補償等化部202は、位相オフセットの計算を行うことなく、時間遅延情報及び等化係数に基づいて、1回の乗算を用いてフーリエ変換部201により出力された信号に対して位相補償及び周波数領域等化を行う。また、チャネル追跡部204に入力される信号は位相回転が行われておらず、チャネル追跡部204はフーリエ変換部201により出力された信号及び判定部203により得られた誤差信号に基づいてチャネルを追跡する。
【0021】
これによって、位相回転の係数とチャネル等化係数が1つに統合され、1回の乗算を用いて実現できる。周波数領域等化及び位相回転について複素乗算をそれぞれ用いる必要がないため、システム全体の複雑さ及びハードウェア要求を効果的に低減できる。
【0022】
本実施例では、補償等化部202は、ルックアップ・テーブルの方法を用いて位相補償及び周波数領域等化を実現してもよく、例えば時間遅延情報及び追跡される等化係数に基づいて二次元テーブルを検索して、補正後の等化係数を取得してもよい。なお、本発明はこれに限定されず、実際の状況に応じて1回の乗算を用いて位相補償及び周波数領域等化を行ってもよい。
【0023】
本実施例では、高周波数のサブチャネルの追跡速度は相対的に遅い。チャネルの高周波数における減衰が酷い場合は、この効果のシステム性能への影響は明らかではない。このため、チャネル追跡部204に入力される信号は位相回転の行われていない信号であっても、システム性能への影響は大きくない。
【0024】
通信性能をさらに向上させるために、マルチキャリアシステムの1つ又は複数の指定のサブキャリアに対して位相選択を行い、指定サブチャネルに対する追跡を実現してもよい。
【0025】
図3は本発明の実施例1のチャネル等化追跡装置のもう1つの構成を示す図である。
図3に示すように、チャネル等化追跡装置300は、上述したように、フーリエ変換部201、補償等化部202、判定部203及びチャネル追跡部204を含む。
【0026】
図3に示すように、チャネル等化追跡装置300は位相回転部305をさらに含み、位相回転部305は、時間遅延情報及びフーリエ変換部201により出力された信号に基づいて1つ又は複数のサブキャリアの位相誤差を計算し、指定のサブチャネルの位相オフセットを取得し、該位相オフセットに基づいて該指定のサブチャネルに対して位相回転を行う。また、チャネル追跡部204は、位相回転部305により出力された信号及び判定部203により取得された誤差信号に基づいてチャネルを追跡する。
【0027】
本実施例では、位相回転部305は、全てのサブキャリアについて位相誤差を計算することではなく、一部(1つ又は複数)のサブキャリアの位相誤差のみを計算して、指定のサブチャネルの位相オフセットを取得する。ゆっくり変化するチャネルの場合にはマルチキャリアシステムの全てのサブチャネルについてチャネル追跡を同時に行う必要がなく、サブチャネルを1つずつ、或いはグループ毎に追跡することは、チャネルの変化速度を満たすのに十分である。
【0028】
図4はマルチキャリアシステムにおける時間遅延の場合の位相誤差とサブチャネルの中央周波数との1つの関係を示す図である。残留時間誤差がTであり、k番目のサブキャリアの中央周波数がF
kであり、システムのサンプリング周波数がF
sであると仮定すると、k番目のサブキャリアの位相誤差は以下の通りである。
【数1】
【0029】
式(1)から分かるように、サブチャネルの中央周波数が高いほど、同一の時間遅延の場合の位相誤差が大きくなる。位相追跡を行う時に、この誤差は反復のステップ長が小さくなり、収束速度が遅くなることと表される。このため、
図2の構成における高周波数のサブチャネルの追跡速度は相対的に遅い。チャネルの高周波数における減衰が比較的に酷い場合は、この効果のシステム性能への影響は明らかではない。
【0030】
本実施例では、位相回転部305は、選択的な位相回転モジュールであり、時間遅延情報及び式(1)に基づいて指定のサブチャネルの位相オフセットを計算し、該チャネルに対して個別の位相回転を行う。チャネル追跡部204は、判定部203の判定結果から得られた誤差信号及び位相回転部305により位相回転された信号に基づいてチャネルを追跡し、指定サブキャリアの新しい等化係数を出力する。指定のチャネルを変更することで、全てのサブチャネルを追跡するという目的を図る。
【0031】
図5は本発明の実施例1のチャネル追跡結果の比較を示す図であり、典型的なマルチキャリアシステムにおいて、
図1に示す通常の構成、
図2に示す構成及び
図3に示す構成を用いてチャネルを追跡する結果を示している。ここで、チャネル変化はチャネル減衰の段階的な変化である。
【0032】
図5に示すように、
図2に示す構成に対するチャネル追跡の結果と従来の
図1に示す通常構成の結果とは非常に近い。
図3に示す構成に対するチャネル追跡の結果と従来の
図1に示す通常構成の結果とは完全に一致する。
図5から分かるように、本発明の
図2に示すチャネル等化追跡装置及び
図3に示すチャネル等化追跡装置は、複雑さが低減しているが、性能が降下していない。
【0033】
上記の実施例によれば、1回の乗算を用いてフーリエ変換後の信号に対して位相補償及び周波数領域等化を行い、判定結果から得られた誤差信号及び位相回転が行われていない信号を用いてチャネルを追跡することで、システム全体の複雑さ及びハードウェア要求を低減できると共に、システムの性能に影響を与えない。
【0034】
<実施例2>
本発明の実施例は、実施例1におけるチャネル等化追跡装置に対応するチャネル等化追跡方法を提供し、同様な内容はその説明が省略される。
【0035】
図6は本発明の実施例のチャネル等化追跡方法の1つのフローチャートである。
図6に示すように、該チャネル等化追跡方法は下記のステップを含む。
【0036】
ステップ601:フーリエ変換を用いて受信された時間領域信号を周波数領域信号に変換する。
【0037】
ステップ602:時間遅延情報及び等化係数に基づいて、1回の乗算を用いてフーリエ変換後の信号に対して位相補償及び周波数領域等化を行う。
【0038】
ステップ603:等化後の信号を判定する。
【0039】
ステップ604:フーリエ変換後の信号及び判定して得られた誤差信号に基づいてチャネルを追跡する。
【0040】
図7は本発明の実施例のチャネル等化追跡方法のもう1つのフローチャートである。
図7に示すように、該チャネル等化追跡方法は下記のステップを含む。
【0041】
ステップ701:フーリエ変換を用いて受信された時間領域信号を周波数領域信号に変換する。
【0042】
ステップ702:時間遅延情報及び等化係数に基づいて、1回の乗算を用いて前記フーリエ変換後の信号に対して位相補償及び周波数領域等化を行う。
【0043】
ステップ703:時間遅延情報及びフーリエ変換後の信号に基づいて1つ又は複数のサブキャリアの位相誤差を計算し、指定のサブチャネルの位相オフセットを取得し、該位相オフセットに基づいて該指定のサブチャネルに対して位相回転を行う。
【0044】
ステップ704:等化後の信号を判定する。
【0045】
ステップ705:位相回転後の信号及び判定して得られた誤差信号に基づいてチャネルを追跡する。
【0046】
本実施例では、下記の式に従って1つ又は複数のサブキャリアの位相誤差を計算してもよい。
【数2】
【0047】
ここで、Tは残留時間誤差であり、F
kはk番目のサブキャリアの中央周波数であり、F
sはシステムのサンプリング周波数であり、Ph
kはk番目のサブキャリアの位相誤差である。
【0048】
上記実施例によれば、1回の乗算を用いてフーリエ変換後の信号に対して位相補償及び周波数領域等化を行い、判定結果から得られた誤差信号及び位相回転が行われていない信号を用いてチャネルを追跡することで、システム全体の複雑さ及びハードウェア要求を低減できると共に、システムの性能に影響を与えない。
【0049】
<実施例3>
本発明の実施例は、実施例1に記載されたチャネル等化追跡装置200又は300を含む受信機を提供する。
【0050】
図8は本発明の実施例3の受信機の1つの構成を示す図である。
図8に示すように、受信機800は、中央処理装置(CPU)400及び記憶装置410を含んでもよく、記憶装置410は中央処理装置400に接続される。該記憶装置410は各種のデータを記憶してもよく、情報処理のプログラムをさらに記憶してもよく、中央処理装置400の制御により該プログラムを実行する。
【0051】
1つの態様では、チャネル等化追跡装置の機能は中央処理装置400に統合されてもよい。ここで、中央処理装置400は実施例2に記載されたチャネル等化追跡方法を実現するように構成されてもよい。
【0052】
もう1つの態様では、チャネル等化追跡装置は中央処理装置とそれぞれ構成されてもよく、例えばチャネル等化追跡装置は中央処理装置400に接続されたチップであり、中央処理装置の制御によりチャネル等化追跡装置の機能を実現してもよい。
【0053】
また、
図8に示すように、受信機800は、送受信機420及びアンテナ430等をさらに含んでもよい。ここで、上記構成部の機能は従来技術と類似するため、ここでその説明が省略される。なお、受信機800は、必ずしも
図8に示す全ての構成部を含む必要がない。また、受信機800は、
図8に示されていない構成部をさらに含んでもよく、従来技術を参照してもよい。
【0054】
本発明の実施例は、受信機においてプログラムを実行する際に、コンピュータに、実施例2に記載のチャネル等化追跡方法を該受信機において実行させる、コンピュータ読み取り可能なプログラムをさらに提供する。
【0055】
本発明の実施例は、コンピュータに、実施例2に記載のチャネル等化追跡方法を受信機において実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶する、記憶媒体をさらに提供する。
【0056】
本発明の以上の装置及び方法は、ハードウェアにより実現されてもよく、ハードウェアとソフトウェアを結合して実現されてもよい。本発明はコンピュータが読み取り可能なプログラムに関し、該プログラムはロジック部により実行される時に、該ロジック部に上述した装置又は構成要件を実現させる、或いは該ロジック部に上述した各種の方法又はステップを実現させることができる。本発明は上記のプログラムを記憶するための記憶媒体、例えばハードディスク、磁気的ディスク、光ディスク、DVD、フラッシュメモリ等にさらに関する。
【0057】
以上、具体的な実施形態を参照しながら本発明を説明しているが、上記の説明は、例示的なものに過ぎず、本発明の保護の範囲を限定するものではない。本発明の趣旨及び原理を離脱しない限り、本発明に対して各種の変形及び修正を行ってもよく、これらの変形及び修正も本発明の範囲に属する。
【国際調査報告】