特表2017-518197(P2017-518197A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 藍思科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特表2017-518197サファイアポリシング用銅ディスク及び二つの銅ディスクの修復方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-518197(P2017-518197A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(54)【発明の名称】サファイアポリシング用銅ディスク及び二つの銅ディスクの修復方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/16 20120101AFI20170609BHJP
   B24B 37/14 20120101ALI20170609BHJP
   B24B 53/017 20120101ALI20170609BHJP
【FI】
   B24B37/16
   B24B37/14
   B24B53/017 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-574123(P2016-574123)
(86)(22)【出願日】2015年6月18日
(85)【翻訳文提出日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】CN2015081779
(87)【国際公開番号】WO2015192784
(87)【国際公開日】20151223
(31)【優先権主張番号】201410272515.7
(32)【優先日】2014年6月18日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516377854
【氏名又は名称】藍思科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
(74)【代理人】
【識別番号】100123696
【弁理士】
【氏名又は名称】稲田 弘明
(72)【発明者】
【氏名】周 群飛
(72)【発明者】
【氏名】饒 橋兵
(72)【発明者】
【氏名】傅 亮
【テーマコード(参考)】
3C047
3C158
【Fターム(参考)】
3C047AA16
3C047AA38
3C158AA07
3C158AA09
3C158AA18
3C158AA19
3C158AB04
3C158AB08
3C158CA04
3C158CB01
3C158DA06
3C158EA01
(57)【要約】
サファイアポリシング用銅ディスクであって、銅ディスク(1)の環状面に螺旋状又は同心円状の研磨溝(11)が設けられ、銅ディスクの環状面外輪及び内輪のエッジに沿って夫々階段状溝(12)が設けられている。二つのサファイアポリシング用銅ディスクの修復方法を更に提供し、水平横方向に上銅ディスク及び下銅ディスク旋削工具移動させ、又は下銅ディスク及び上銅ディスク旋削工具を移動させることにより、旋削工具を対応する銅ディスクの研磨溝の原点位置に位置合わせる第一のステップと、上銅ディスク及び下銅ディスクを同じ速度でお互いに逆転するように制御し、旋削工具を静止するように固定し、上銅ディスク又は下銅ディスクの横送りを制御し、旋削工具により対応する研磨溝を旋削する第二のステップと、旋削工具を退けて、対応する銅ディスク表面を洗浄する第三のステップと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サファイアポリシング用銅ディスクであって、前記銅ディスクの環状面に螺旋状又は同心円状の研磨溝が設けられ、且つ前記銅ディスク表面の環状外輪と内輪のエッジに沿って夫々階段状溝が設けられたことを特徴とするサファイアポリシング用銅ディスク。
【請求項2】
銅ディスクの環状面外輪側の階段状溝の径方向幅は前記銅ディスクに置かれた遊星歯車キャビティのエッジから銅ディスクの環状外輪のエッジまでの最短距離以上であり、銅ディスクの環状面内輪側の階段状溝の径方向幅は前記銅ディスクに置かれた遊星歯車キャビティのエッジから銅ディスクの環状内輪のエッジまでの最短距離以上であることを特徴とする請求項1に記載のサファイアポリシング用銅ディスク。
【請求項3】
前記研磨溝の深さは0.25〜0.35mmであり、研磨溝の間隔は1.2〜1.4mmであることを特徴とする請求項2に記載のサファイアポリシング用銅ディスク。
【請求項4】
前記銅ディスクは樹脂合成銅ディスクを採用し、且つ前記サファイアは方形のサファイアパネルであることを特徴とする請求項3に記載のサファイアポリシング用銅ディスク。
【請求項5】
前記螺旋状の研磨溝は連続的な溝であることを特徴とする請求項1に記載のサファイアポリシング用銅ディスク。
【請求項6】
前記の階段状溝の深さは0.25〜0.4mmであり、径方向幅は8〜12mmであることを特徴とする請求項1に記載のサファイアポリシング用銅ディスク。
【請求項7】
サファイアポリシング用銅ディスクの修復方法であって、前記サファイアポリシング用銅ディスクは両面銅ディスクポリシング機に用いられ、お互いに逆転する上銅ディスク及び下銅ディスクを含み、前記上銅ディスクの水平横方向の一方側には下銅ディスク旋削工具が固設され、前記下銅ディスクの水平横方向のもう一方側には上銅ディスク旋削工具が固設され、
具体的な修復方法は、水平横方向に上銅ディスク及び下銅ディスク旋削工具を移動させ、又は下銅ディスク及び上銅ディスク旋削工具を移動させることにより、上銅ディスク旋削工具を上銅ディスクの研磨溝の原点位置に位置合わせ、且つ下銅ディスク旋削工具を下銅ディスクの研磨溝の原点位置に位置合わせる第一のステップと、上銅ディスク及び下銅ディスクを同じ速度でお互いに逆転するように制御し、旋削工具を静止するように固定し、上銅ディスク又は下銅ディスクの横送りを制御して、旋削工具により対応する研磨溝を旋削する第二のステップと、旋削工具を退けて、対応する銅ディスクの表面を洗浄する第三のステップと、を含むことを特徴とするサファイアポリシング用銅ディスクの修復方法。
【請求項8】
前記研磨溝は螺旋状の研磨溝であり、前記第二のステップにおいて、上銅ディスク又は下銅ディスクを連続的に横送りさせるように制御されることを特徴とする請求項7に記載のサファイアポリシング用銅ディスクの修復方法。
【請求項9】
前記研磨溝は同心円の研磨溝であり、前記第二のステップにおいて、上銅ディスク又は下銅ディスクが研磨溝の間隔ごとに所定量ずつ数回に分けて横送りされるように制御することを特徴とする請求項7に記載の二つのサファイアポリシング用銅ディスクの修復方法。
【請求項10】
前記下銅ディスク及び上銅ディスク旋削工具は前記両面銅ディスクポリシング機における横方向ガイドレールに設置され、モータの駆動により横方向の移動を実現することを特徴とする請求項8又は9に記載のサファイアポリシング用銅ディスクの修復方法。
【請求項11】
前記下銅ディスク旋削工具から上銅ディスクのエッジまでの水平距離は、前記上銅ディスク旋削工具から下銅ディスクのエッジまでの水平距離に等しく、前記上銅ディスク旋削工具の先端から上銅ディスクまでの垂直距離は下銅ディスク旋削工具の先端から下銅ディスクまでの垂直距離に等しいことを特徴とする請求項10に記載のサファイアポリシング用銅ディスクの修復方法。
【請求項12】
前記上銅ディスク及び前記下銅ディスクのいずれも、請求項1〜6のうちのいずれかに記載のサファイアポリシング用銅ディスクであることを特徴とする請求項7に記載のサファイアポリシング用銅ディスクの修復方法。
【請求項13】
前記階段状溝は、対応する旋削工具により、研磨溝と同じ方法で加工又は修復されることを特徴とする請求項12に記載のサファイアポリシング用銅ディスクの修復方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サファイア加工分野に属し、具体的にはサファイアポリシング用銅ディスク及び二つの銅ディスクの修復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サファイアは、良好な物理、化学性能及び光透過率を有するので、携帯電話、コンピュータ、腕時計等のディスプレイパネル又は保護パネルに広く使用されているが、このような使用には良好な平坦度を必要とされるので、サファイアパネル加工時の平坦度に対する要求が高い。一般的にこのようなプロセスには研磨ディスクを必要とし、研磨ディスクと研磨液とが協働してポリシング加工する。
【0003】
従来のポリシングディスクは金属ディスク、合金ディスク又は複合材料ディスクであり、ディスク上に粗い研磨溝が設置され、ディスク上の研磨溝と研磨液とが協働して、サファイアに対して研削、ポリシング加工を行うようになっている。その中、銅ディスクはサファイアポリシングに最適なポリシングディスクである。例えば、実用新案登録番号CN202174508Uの中国実用新案には、表面に複数の、環状の領域となる起伏した溝が設置された合成銅ディスク研磨ディスクが開示されている。然しながら、実際に両面ポリシング機を採用してサファイアパネルをポリシングする際には、以下のような問題が存在する。加工過程において、図1に示すように、サファイアパネルは、遊星歯車3のキャビティ5内に置かれる。遊星歯車3は、下銅ディスク上に置かれ、内歯車2及び太陽歯車4と夫々噛み合って遊星歯車列を構成する。一方の銅ディスクの回転によりサファイアパネルの片面に対するポリシングが実現され、又は上、下銅ディスク同士の逆転によりサファイアパネルの両面に対するポリシングが実現される。遊星歯車3は、遊星歯車列の伝動で自転及び公転を実現することにより、ポリシング効果を向上させる。現在、従来のサファイアパネルは、携帯電話、タブレットパソコンのディスプレイパネルに用いられ、大部分が図1における方形である。遊星歯車に置かれたサファイアパネルが遊星歯車につれて公転及び自転する過程において、図1における銅ディスクの研磨溝環状領域よりも外側及び内側の斜線領域は方形サファイアパネルのコーナーが入る断続ポリシング領域であり、中間位置は常時ポリシング領域である。サファイアの硬度が比較的高いため、一定時間のポリシング後、銅ディスクの断続ポリシング領域と常時ポリシング領域とには、程度が違い磨耗が発生し、磨耗した銅ディスクの平坦度が変化し、両縁が高く、中間が低くなってしまう。研磨ディスクの平坦度のばらつきにより、サファイア面と研磨ディスク面とを接触させ加工する場合、サファイアパネルの平坦度の低下に直接に結びつけ、ひいては、上ポリシング銅ディスクで加えられた圧力に起因してワークの破裂を引き起こすことがある。
【0004】
このため、本分野には、非均一の磨耗が発生しないサファイアポリシング用銅ディスクの研究、開発が必要とされる。
【0005】
また、サファイアの硬度が高い。このため、銅質の研磨ディスクはサファイア研磨の機能をよく解決できたが、そのテクスチャーが柔軟であるので、銅ディスクの表面における研磨作用を果たす溝は、サファイアにより平らに磨かれやすい。このため、銅ディスクで一定時間の加工を実施した後、溝の鋭さを向上させ加工効率を向上させるために、銅ディスクに対して研磨溝の修復を行う必要がある。従来の銅ディスクの修復には、上下逆転とされた二つの銅ディスクのうち、少なくとも一つをポリシング機から取り出し、専用の修復機で修復する必要があって、重労働となり、長い時間が掛り、メーカーの生産効率に深刻な影響が及ぼされる。
【0006】
このため、本分野には、二つのサファイアポリシング用銅ディスクの、より簡単かつ便利な修復方法を提供することも必要になった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術問題は、銅ディスクの不均一な磨耗に起因しサファイアパネルに現れた品質問題を効果的に解決できるサファイアポリシング用銅ディスク、及び銅ディスクにおける研磨溝の修復を便利且つ速やかに完成させ、生産効率を効果的に向上させることができる二つの銅ディスクの修復方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の技術的手段によって実現される。サファイアポリシング用銅ディスクであって、前記銅ディスクの環状面に螺旋状又は同心円状の研磨溝が設けられ、前記銅ディスク表面の環状外輪及び内輪のエッジに沿って夫々階段状溝が設けられた。
【0009】
本発明において、研磨溝と同様で、前記階段状溝も銅ディスクの環状面から内部へ凹んだ溝である。だが、前記階段状溝は、一方側のみが銅ディスクの環状面から内部へ凹んで、もう一方側に側壁がないか又はもう一方側壁に対応する上面が銅ディスクの環状面よりも低い。一方、前記研磨溝とは、溝の両側のいずれも銅ディスクの環状面から内部へ凹んだものである。図6〜8には本発明における階段状溝と研磨溝との違いが示される。図6は従来技術における階段の形状であり、00は階段の上端面を示し、01は第1階段であり、02は第2階段である。図7は本発明における研磨溝の模式図である。当業者は、研磨溝の側面形状が限定されないのを理解できる。研磨溝の側面形状は、例えば図7に示す三角形又は長方形であり、前記研磨溝におけるもっとも凹んだ部分の径方向両側のいずれにも環状銅ディスクの表面と接続された側壁がある。図7における最上端の太線は環状銅ディスクの表面を示す。図8は本発明における階段状溝の模式図である。なお、図a及び図bはいずれも1段の階段を含む階段状溝であり、図c及び図dはいずれも2段の階段を含む階段状溝である。前記階段状溝のもっとも凹んだ部分の径方向の一方側のみに、環状銅ディスク表面と接続された側壁を含む。本発明において、前記階段状溝の段数は限定されず、例えば1段、2段、3段又はより多い段数であってよいが、階段状溝の段数は1〜2段であることが好ましい。
【0010】
更に、銅ディスクの環状面外輪側の階段状溝の径方向幅は前記銅ディスクに置かれた遊星歯車キャビティのエッジから銅ディスクの環状外輪のエッジまでの最短距離以上であり、銅ディスクの環状面内輪側の階段状溝の径方向幅は前記銅ディスクに置かれた遊星歯車キャビティのエッジから銅ディスクの環状内輪のエッジまでの最短距離以上であるべきである。
【0011】
更に、前記研磨溝の深さは0.25〜0.35mmであり、研磨溝の間隔は1.2〜1.4mmである。本発明において、階段状溝の深さとは、銅ディスク1の厚さ方向に沿って階段状溝が銅ディスク1の環状面から内部へ凹んだ距離である。当業者は、前記研磨溝の径方向幅が例えば0.3mmであることを理解できる。
【0012】
好ましくは、前記銅ディスクは樹脂合成銅ディスクを採用し、且つ前記サファイアは方形のサファイアパネルである。
【0013】
好ましくは、前記螺旋状の研磨溝は連続的な溝である。
【0014】
好ましくは、前記の階段状溝の深さは0.25〜0.4mmであり、径方向幅は8〜12mmである。もう一つの具体的な実施形態において、前記階段状溝の径方向幅は3〜8mm、例えば5〜8mmであってもよい。
【0015】
本発明は二つの銅ディスクの修復方法を更に含み、前記銅ディスクは両面銅ディスクポリシング機に用いられ、お互いに逆転する上銅ディスク及び下銅ディスクを含み、前記上銅ディスクが設置された側に下銅ディスク旋削工具が固設され、前記下銅ディスクが設置された側に上銅ディスク旋削工具が固設され、具体的な修復ステップは、水平横方向に上銅ディスク及び下銅ディスク旋削工具を移動させ、又は下銅ディスク及び上銅ディスク旋削工具を移動させることにより、上銅ディスク旋削工具を上銅ディスクの研磨溝の原点位置に位置合わせ、且つ下銅ディスク旋削工具を下銅ディスクの研磨溝の原点位置に位置合わせる第一のステップと、上銅ディスク及び下銅ディスクを同じ速度でお互いに逆転するように制御し、旋削工具を静止するように固定して、上銅ディスク又は下銅ディスクの横送りを制御し、旋削工具により対応する研磨溝を旋削する第二のステップと、旋削工具を退けて、対応する銅ディスクの表面を洗浄する第三のステップと、を含む。
【0016】
本発明において、前記「旋削工具を静止するように固定する」とは旋削工具と旋削工具を固定する接続具(例えば、ガイドレール)との間の接続は静止するように固定され、且つ旋削工具は銅ディスクに対して周方向に移動しないが、旋削工具は銅ディスクに対して横送りされることができる。実際には、上銅ディスクの横送りを制御する際、上銅ディスクとともに同一の横方向移動可能な部材に設置された下銅ディスク旋削工具も同期的に横送りされ、それと同時に下銅ディスクと上銅ディスク旋削工具の横方向位置は変わらない。下銅ディスクの横送りを制御する際、下銅ディスクとともに同一の横方向ガイドレールに設置された上銅ディスク旋削工具も同期的に横送りされ、それと同時に上銅ディスクと下銅ディスク旋削工具の横方向位置が変わらない。
【0017】
本発明において、旋削工具は、横方向ガイドレールに伴って必要な横送りを行う以外、サーボモータの伝動により銅ディスク表面で円周方向に移動する必要がなくなる。本発明は従来技術における旋削工具の円周運動による修復方式を一変することにより、本発明における修復過程がより安定で、方法の制御がより簡単である。
【0018】
なお、前記研磨溝は螺旋状溝である場合、前記第二のステップにおいて、上銅ディスク又は下銅ディスクが連続的に横送りされるように制御される。銅ディスクの回転速度、横送り速度は、銅ディスクの大きさ及び螺旋状溝の間隔、巻回数により決定される。
【0019】
前記研磨溝は同心円溝である場合、前記第二のステップにおいて、上銅ディスク又は下銅ディスクが研磨溝の間隔ごとに所定量ずつ数回に分けて横送りされるように制御する。
【0020】
具体的には、前記下銅ディスク及び上銅ディスク旋削工具は両面銅ディスクポリシング機における横方向ガイドレールに設置され、モータの駆動により横方向の移動を実現した。
【0021】
具体的には、前記下銅ディスク旋削工具から上銅ディスクのエッジまでの水平距離は、前記上銅ディスク旋削工具から下銅ディスクのエッジまでの水平距離に等しく、前記上銅ディスク旋削工具の先端から上銅ディスクまでの垂直距離は、下銅ディスク旋削工具の先端から下銅ディスクまでの垂直距離に等しい。このようにして、上銅ディスク旋削工具と下銅ディスク旋削工具とが同時に対応する銅ディスクを修復し、研磨効率を向上させることを保証できる。
【0022】
具体的には、前記二つの銅ディスクのうちのいずれも前記のような階段状溝付きのサファイアポリシング用銅ディスクである。前記階段状溝は、対応する旋削工具を使用して研磨溝の加工と同じ方法で加工することができる。銅ディスクの中間部位のポリシングねじ部分が階段状溝と同一平面にあるまで磨耗された際、同様に旋削工具を使用して階段状溝を修復することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明は銅ディスクの環状外輪及び内輪にそれぞれ階段状溝が設置された。ポリシングする際、この位置の断続ポリシング領域を空ける。サファイアワークは内歯車及び太陽歯車の駆動により公転と自転する遊星歯車内に設置され、サファイアワークの周辺の領域は同様に銅ディスクの有効ポリシング領域まで回転しポリシングされることができるので、銅ディスク上に研磨溝が設けられた領域はすべて常時ポリシング領域となり、銅ディスクの研磨溝領域には磨耗が不均一になる部分が存在しなくなり、従来のポリシング銅ディスクに存在する、中間部分の磨耗が速く両側の磨耗が遅いことにより銅ディスク表面の磨耗が不均一になるという欠点を効果的に回避し、更にサファイアパネル加工の品質を保証できる。且つ、本発明は、銅ディスクの両面ポリシング機を使用して二つの銅ディスクを速やかに修復する方法を更に提供し、何れの銅ディスクをポリシング機から取り出す必要もなく、一回で上下の2つの銅ディスクの研磨溝の修復を完成させ、生産効率を効果的に向上させることができる。
【0024】
以下にて、図面及び具体的な実施形態を基づき本発明を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は従来の銅ディスクポリシングの原理模式図である。
図2図2は本発明におけるサファイアポリシング用銅ディスクの平面図である。
図3図3は本発明におけるサファイアポリシング用銅ディスクの主断面図である。
図4図4図3におけるA部の一部拡大模式図である。
図5図5は本発明の二つの銅ディスクの修復方法を応用した両面銅ディスクポリシング機の模式図である。
図6図6は従来技術における階段の模式図である。
図7図7は本発明における研磨溝の模式図である。
図8図8は本発明における階段状溝の模式図である。なお、図a及び図bはいずれも1段の階段を有する階段状溝であり、図c及び図dはいずれも2段の階段を有する階段状溝である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0027】
実施例1
図2図4を参照して、図面における銅ディスク1の環状面に螺旋状研磨溝11が設けられ、銅ディスク1の環状外輪及び内輪のエッジに沿っていずれも階段状溝12が設けられている。階段状溝12の溝底の表面が銅ディスク1の環状面よりも低い。図3は本発明におけるサファイアポリシング用銅ディスクの主断面図である。図4図3におけるA部の一部拡大模式図である。だが、図3図4における研磨溝の断面形状が異なっており、図3に示す研磨溝の断面形状が長方形であり、図4に示す研磨溝の断面形状が三角形である。また、図3及び図4に示す前記銅ディスクの環状面の内輪エッジの階段状溝及び外輪エッジの階段状溝がいずれも2段の階段状溝である。だが、当業者は、該階段状溝が同様に1段の階段状溝又は複数段の階段状溝であってよいことを理解できる。
【0028】
また、研磨溝11は同心円の形で設置されることもでき、いずれも旋削加工を採用することができる。なお、研磨溝11の深さは0.25〜0.35mmであり、研磨溝の間隔は1.2〜1.4mmである(図2は螺旋形状を強調的に示すための模式図であり、具体的なサイズの要求を表すものではない)。
【0029】
具体的には、図1における遊星歯車の位置関係によれば、外側階段状溝12の径方向幅は銅ディスク1に置かれた遊星歯車キャビティのエッジから環状銅ディスクの外縁までの最短距離以上であり、内側階段状溝12の径方向幅は銅ディスク1に置かれた遊星歯車キャビティのエッジから環状銅ディスクの内縁までの最短距離以上であるべきである。このようにして、銅ディスク上の研磨溝領域の全部が常時研磨領域になることを保証し、銅ディスクの均一磨耗を実現することができる。また、ポリシング過程において、サファイアパネルのコーナーは遊星歯車の自転により循環的に研磨溝が設けられた銅ディスクの領域に入って研磨される。
【0030】
銅ディスク1は樹脂合成銅ディスクを採用し、ポリシング効果は純銅の銅ディスクの研磨よりも良い。
【0031】
実施例2
実施例1における銅ディスク1は図5に示す両面銅ディスクポリシング機に用いられ、お互いに逆転する上銅ディスク1’及び下銅ディスク1を含む。上銅ディスク1’は昇降可能な吊りアーム8により下銅ディスク1の上方に設置され、上銅ディスク1’側の吊りアーム8に下に向く下銅ディスク旋削工具7が固設され、下銅ディスク1が設けられた側に上銅ディスク旋削工具9が固設される。具体的には、下銅ディスク1及び上銅ディスク旋削工具9は、一つの取付座を介して両面銅ディスクポリシング機の横方向ガイドレール6に設置され、且つモータの駆動により横方向ガイドレール6に沿う移動と送りを実現する。また、上銅ディスク旋削工具9と下銅ディスク旋削工具7は、ガイドレール方向に沿って横方向に設置される。それに、下銅ディスク旋削工具7から上銅ディスク1’のエッジまでの水平距離は、上銅ディスク旋削工具9から下銅ディスク1のエッジまでの水平距離に等しく、上銅ディスク旋削工具9の先端から上銅ディスク1’までの垂直距離は、下銅ディスク旋削工具7の先端から下銅ディスク1までの垂直距離に等しい。このようにして、上銅ディスク旋削工具と下銅ディスク旋削工具とが同時に対応する銅ディスクを研磨することを保証し、研磨効率を向上させることができる。
【0032】
上、下銅ディスクが磨耗された後、具体的な修復ステップは、上銅ディスク1’及び下銅ディスク旋削工具7を垂直に移動して、下銅ディスク1及び上銅ディスク旋削工具9の水平横方向への移動と合わせて、旋削工具を対応する銅ディスク上の研磨溝の原点位置に位置合わせる第一のステップと、上銅ディスク1’と下銅ディスク1を同じ速度でお互いに逆転させるように制御し、この際の旋削工具を静止するように固定し、下銅ディスク1及び上銅ディスク旋削工具9を横方向ガイドレール6に沿って連続的に横送りされるように制御し、旋削工具により対応する銅ディスクの研磨溝を修復する第二のステップと、旋削工具を退けて、対応する銅ディスクの表面の残渣を洗浄する第三のステップと、を含む。
【0033】
本実施例における研磨溝は、実施例1における連続的な螺旋状溝である。第二のステップにおいて、下銅ディスクが連続的に横送りされるように制御する。銅ディスクの回転速度、横送り速度は、銅ディスクの大きさ及び螺旋状溝の間隔、巻回数によって決定される。具体的には、上、下銅ディスクの環状のサイズは外径1070mm、内径495mmであり、上、下銅ディスクの回転速度はいずれも40rpmであり、下銅ディスクの送り速度は0.30mm/rであり、最終的に間隔1.3mm、溝深0.30mmの連続的な螺旋状研磨溝を加工する。
【0034】
同時に、実施例1における銅ディスク1上の階段状溝12は同様に対応する旋削工具を使用して加工することができる。銅ディスクの中間部位のポリシングねじ部分が階段状溝12と同一平面にあるまで磨耗された際、同様に旋削工具を使用し階段状溝を修復することができる。
【0035】
本方法を採用して同心円状の研磨溝を修復する際、一回で研磨溝の一輪を修復した後、旋削工具を一つの溝の間隔に横送りしてから再び研磨する方法、いわゆる数回に分けて定量的に修復する方法を採用できる。その具体的なパラメータは銅ディスク及び研磨溝のサイズによって決定され、ここで説明を省略する。
【0036】
上記修復方法を採用して自動化修復を実現することができ、螺旋状の研磨溝では一回で修復でき、同心円状の研磨溝は数回に分けて完成できる。研磨ディスクを取り出す必要がなくなり、重労働とならず、生産効率を大幅に向上させた。
【0037】
以上は本発明の好ましい実施形態であるが、当業者は、添付する特許請求の範囲に限定された本発明の思想及び範囲から逸脱しない限り、本発明に対して形式及び細部に加えられた各種の変化は、本発明の技術的範囲に属することを理解すべきである。
【符号の説明】
【0038】
1 銅ディスク
2 内歯車
3 遊星歯車
4 太陽歯車
5 キャビティ
6 横方向ガイドレール
7 下銅ディスク旋削工具
8 吊りアーム
9 上銅ディスク旋削工具
11 研磨溝
12 階段状溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図8(c)】
図8(d)】
【国際調査報告】