特表2017-518732(P2017-518732A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-518732節電高周波数直列降圧AC電圧レギュレータ・システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-518732(P2017-518732A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(54)【発明の名称】節電高周波数直列降圧AC電圧レギュレータ・システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 5/293 20060101AFI20170609BHJP
   G05F 1/45 20060101ALI20170609BHJP
   H02J 3/12 20060101ALI20170609BHJP
【FI】
   H02M5/293 Z
   G05F1/45 C
   H02J3/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-516018(P2017-516018)
(86)(22)【出願日】2015年1月12日
(85)【翻訳文提出日】2017年2月1日
(86)【国際出願番号】CN2015070538
(87)【国際公開番号】WO2015184804
(87)【国際公開日】20151210
(31)【優先権主張番号】62/006,900
(32)【優先日】2014年6月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/006,901
(32)【優先日】2014年6月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/006,906
(32)【優先日】2014年6月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/511,187
(32)【優先日】2014年10月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/525,230
(32)【優先日】2014年10月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/565,444
(32)【優先日】2014年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516363400
【氏名又は名称】エッジ エレクトロンズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート、ニール ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ウィン リン
【テーマコード(参考)】
5G066
5H420
5H750
【Fターム(参考)】
5G066DA00
5H420BB12
5H420CC04
5H420DD03
5H420EA03
5H420EA04
5H420EA05
5H420EA10
5H420EA12
5H420EB04
5H420FF03
5H420FF04
5H420FF24
5H420FF25
5H750AA00
5H750BA05
5H750CC05
5H750CC08
5H750DD27
5H750FF02
5H750FF05
(57)【要約】
節電交流AC直列電圧レギュレータは、AC高周波数HF直列電圧降圧電力レギュレータと、バイパス・コンタクタK1と、バイパス・コンタクタと並列に接続された双方向AC半導体デバイスS1と、制御回路とを備えている。入力AC主電源電圧Vinが、指定及び設定された最適節電電圧、又はより低い選択された電圧ポイントを下回る状態の下で、制御回路は、低速バイパス・コンタクタと高速双方向AC半導体デバイスとの両方を遷移させ、次いで、AC高周波数HF直列電圧降圧電力レギュレータは、AC高周波数HF直列電圧降圧電力レギュレータの内部パワー・エレクトロニクス使用を節約するために切り替えて外される。この状態の下で、より低い入力AC主電源電圧が、コンタクタ・バイパス・システムによって電気的負荷に直接配電され、それゆえにより多くの節電を達成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC出力電源のAC出力電圧を調整するための節電交流(AC)直列電圧レギュレータであって、
AC入力電源のAC入力電圧を降圧するためのAC高周波数(HF)直列電圧降圧電力レギュレータ・トポロジと、
バイパス・コンタクタと、
前記バイパス・コンタクタと並列に接続された双方向AC半導体デバイスと、
前記AC入力電圧と、AC基準電圧と、前記AC出力電圧とを受け取り、前記バイパス・コンタクタ及び前記双方向AC半導体デバイスに対する駆動信号を生成するための制御回路と
を備え、
前記AC入力電圧が、選択された最適節電設定レベルを下回る状態の下で、前記制御回路は、前記状態を感知し、前記双方向AC半導体デバイスをアクティブにするため及び前記バイパス・コンタクタを遷移させるための駆動信号を生成して、前記双方向AC半導体デバイスが、最初に前記AC HF直列電圧降圧電力レギュレータ・トポロジをバイパスし、次いで前記バイパス・コンタクタ接点が閉じ、前記AC HF直列電圧降圧電力レギュレータ・トポロジと前記双方向AC半導体デバイスとを完全にバイパスするようにする、節電交流(AC)直列電圧レギュレータ。
【請求項2】
前記AC入力電圧が、選択された最適節電設定レベルを下回る前記状態の下で、前記バイパス・コンタクタ接点が閉じられた後に、前記AC入力電源が前記AC出力電源に直接接続された状態で、前記AC HF直列電圧降圧電力レギュレータ・トポロジが切り離される、請求項1に記載の節電AC直列電圧レギュレータ。
【請求項3】
高負荷サージ又は障害電流の状態下で、前記制御回路は、前記状態を感知し、前記双方向AC半導体デバイスをアクティブにするため及び前記バイパス・コンタクタを遷移させるための駆動信号を生成して、前記双方向AC半導体デバイスが、最初に、前記節電AC直列電圧レギュレータのエレクトロニクスから離れるように前記の高負荷サージ又は障害電流をバイパスし、次いで前記バイパス・コンタクタ接点が閉じ、前記節電AC直列電圧レギュレータのエレクトロニクスと前記双方向AC半導体デバイスとから離れるように前記の高負荷サージ又は障害電流を完全にバイパスするようにする、請求項1に記載の節電AC直列電圧レギュレータ。
【請求項4】
前記バイパス・コンタクタは、常時閉(NC)バイパス・コンタクタである、請求項1に記載の節電AC直列電圧レギュレータ。
【請求項5】
前記AC HF直列電圧降圧電力レギュレータ・トポロジは、
独立して制御可能な第1及び第2のAC双方向スイッチと、
第1のパワー・インダクタと
を備えている、請求項1に記載の節電AC直列電圧レギュレータ。
【請求項6】
前記AC入力電源に戻らないようにHFスイッチング・エネルギーを取り除くための入力フィルタをさらに備えている、請求項1に記載の節電AC直列電圧レギュレータ。
【請求項7】
前記入力フィルタは、2つのコンデンサと2つのインダクタとを備えている、請求項6に記載の節電AC直列電圧レギュレータ。
【請求項8】
前記AC出力電圧に対して調整された平滑な電圧レベルを生成するためにHF電圧リップルを平均化するための出力フィルタをさらに備えている、請求項1に記載の節電AC直列電圧レギュレータ。
【請求項9】
前記出力フィルタは、2つのコンデンサと2つのインダクタとを備えている、請求項8に記載の節電AC直列電圧レギュレータ。
【請求項10】
過電流保護を達成するために前記制御回路への出力電流測定信号を生成するための電流変圧器をさらに備えている、請求項1に記載の節電AC直列電圧レギュレータ。
【請求項11】
前記AC双方向スイッチに対するスイッチ駆動信号は、パルス幅変調(PWM)制御信号である、請求項5に記載のAC直列電圧レギュレータ。
【請求項12】
AC双方向スイッチのそれぞれは、1つ又は複数のパワー半導体デバイスを備えている、請求項5に記載の節電AC直列電圧レギュレータ。
【請求項13】
前記パワー半導体デバイスは、バック・ツー・バック・ユニポーラMOSFETパワー半導体デバイス、シリコン制御整流器(SCR)、逆並列ACスイッチとして接続されたゲート・ターン・オフ・サイリスタ(GTO)、TRIAC、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)、MOSFETトランジスタ、又はACスイッチとして構成されたSCRである、請求項12に記載の節電AC直列電圧レギュレータ。
【請求項14】
前記双方向AC半導体デバイスは、TRIACであるか、又は、SCR、GTO、IGBT、MOSFET、バック・ツー・バックSCR、TRIACなどユニポーラ半導体デバイス構成がブリッジに挿入された4つの整流器から成る整流器のブリッジである、請求項1に記載の節電AC直列電圧レギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、2014年6月3日に出願された米国仮特許出願第62/006,900号と、2014年6月3日に出願された米国仮特許出願第62/006,901号と、2014年6月3日に出願された米国仮特許出願第62/006,906号と、2014年10月10日に出願された米国特許出願第14/511,187号と、2014年10月28日に出願された米国特許出願第14/525,230号と、2014年12月10日に出願された米国特許出願第14/565,444号との優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般に、パワー・エレクトロニクスに関する。詳細には、本発明は、交流(AC:alternative current)電圧を調整するための方法とパワー・エレクトロニクスとに関する。より詳細には、本発明は、電力ユーザ設備又は負荷に配電される最適化されたAC電圧を調整することによる節電(エネルギー節約)に関する。
【背景技術】
【0003】
完全なAC電圧レギュレータ(AVR:AC voltage regulator)を使用して、AC電圧レギュレータの入力において変化するAC電圧であるか、高電圧、低電圧であるかにかかわらず、AC電圧レギュレータの出力に接続された負荷に配電されている出力AC電圧レベルを厳密に制御し、調整する。これは、伝統的には、様々な低周波数(LF:low frequency)、一般的には50Hz又は60Hz或いは他の周波数の電気主電源磁気構造(electrical mains magnetic structure)によって行われてきている。これらの構造は、一般的に、様々な変圧器又は変圧器構成の中の特定の個別の変圧器電圧タップにおいてタップされる。それにもかかわらず、これらの構造はすべて、リレーなどの伝統的なACスイッチング・デバイス、又は逆並列ACスイッチとして接続されるシリコン制御整流器(SCR:silicon−controlled rectifier)やゲート・ターン・オフ・サイリスタ(GTO:gate turn off thyristor)などの半導体デバイス、TRIAC、例えば、整流器の間に接続されるACスイッチとして構成される絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT:insulated−gate bipolar transistor)、MOSFETトランジスタ、SCRなどのACスイッチを利用している。これらのACスイッチは、電子制御回路によって選択され、アクティブにされて、選択された磁気変圧器構造タップを自動的に切り替え、それによって変圧器又は変圧器構成の巻数比を調整して、望まれるレベルにできるだけ近くなるように、AC出力電圧を制御する。
【0004】
出力AC電圧を調整する別の伝統的な方法は、制御される電気モーターなどの電気機械式手段によって駆動される、電気機械的に調整される自動変圧器を使用するものである。この場合における電子制御は、入力電圧を感知し、次いで電気機械式手段を駆動して、出力接点を移動させて自動変圧器の巻数を調整し、それによって正しい巻数比を設定して出力AC電圧を望まれるレベルに固定する。これらの電気機械的に調整された自動変圧器デバイスもまた、一般的には50Hz又は60Hz或いは他の周波数のLF磁気構造であり、また一般にカーボン・ブラシを使用して、自動変圧器巻き線に対する移動する電気接点を作る。しかしながら、これらのブラシは、機械的摩耗を受け、そのため、頻繁なメンテナンスと取り換えとを必要とする。
【0005】
より洗練された、完全に電子的なバージョンは、この場合にも、電圧レギュレータのAC入力と、AC出力との間に直列に接続された、一般的には50Hz又は60Hz或いは他の周波数のLF主電源変圧器(LF mains transformer)を利用する。入力AC電圧レベルが変化すると、AC電圧レギュレータ電子制御が、入力電圧レベルを感知し、次いで、変化する入力AC電圧に対して追加して、又は変化する入力AC電圧から差し引いて、出力AC電圧を望ましく設定されたレベルに維持する、同相の正の差動AC電圧又は同相の負の差動AC電圧をセットアップする。この伝統的なアプローチは、その様々な形態において、依然として、一般的には50Hz又は60Hz或いは他の周波数のLF主電源周波数変圧器又はLF磁気構造を使用している。一構成においては、パワー・エレクトロニクスは、LF主電源周波数を生成して、高周波数パルス幅変調(HF PWM:high frequency pulse width modulation)手段によって入力AC電圧を補正し、入力AC主電源電圧を調整するこの同相の補正電圧は、LF変圧器の一次側に印加され、LF変圧器の二次側は、AC電力線の入力と出力との間に直列に接続される。しかし、たとえパワー・エレクトロニクスがより高いPWM周波数で動作するとしても、依然として磁気構造がこれらの構成において使用され、最終的な差動AC波形は、依然として、一般的には50Hz又は60Hz、或いは他の周波数のLF直列変圧器に印加され、それゆえに、LF変圧器又は磁気構造は、依然としてサイズと重さとについての不利益を有している。
【0006】
最適化されたAC電圧が存在しており、この最適化されたAC電圧は、一般的に、より低いレベルの電圧であり、或いは法制化されたAC電圧許容帯域よりも低くさえもあり、また節電を目指している、保全電圧低減(CVR:Conservation Voltage Reduction)又は電圧最適化として、当業界においてよく知られている。電圧が1パーセント低減されるごとにそれに比例しておよそ1パーセントのエネルギーが節約されるという節電が存在することは、電気産業界においてよく受け入れられているが、これは、明らかに用途及び負荷特有のものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、節電を最適化し、また最適な節電電圧レベルを上回る、エネルギーを浪費する高いAC入力電圧から電気的負荷を保護するものである。十分なAVRが使用される場合、入力主電源AC電圧が、選択された最適レベルを下回る場合に、十分なAVRは、その内部パワー・エレクトロニクスを使用して、低い入力AC電圧を設定された調整された出力AC電圧に引き上げ続けるだけでなく、AVRは、設定された最適出力節電電圧レベルへと入力AC主電源電圧を増大させ、又は引き上げることになることを考慮すると、そのときには、十分なAVRが低い主電源入力AC電圧を増大させ、又は引き上げるときに、入力電流、それゆえに入力電力が増大することになるので、節電は、低い入力主電源AC電圧の下で最適化されないであろう。本発明においては、入力AC主電源電圧が、指定され設定された最適節電電圧、又はより低い選択された電圧ポイントを下回る場合、電子制御は、コンタクタ・バイパスと並列に接続された高速の双方向AC半導体デバイスと組み合わされた低速のバイパス・コンタクタの両方を遷移させ、次いで、HF AC電圧レギュレータ・パワー・エレクトロニクスは、HF AC電圧レギュレータの内部パワー・エレクトロニクスの使用を節約するように、切り替えて外される。この状態の下では、より低い主電源電圧が、コンタクタ・バイパス・システムによって電気的負荷に直接配電され、それゆえに、全電圧を増大させるAVRが使用される場合よりも多くの節電を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
バイパス・コンタクタ、すなわち、並列接続された双方向AC半導体デバイス・システムと組み合わされた、本発明の好ましい実施例に従うようなNCコンタクタ・バイパス接点を使用して、負荷電流サージ又は障害電流サージに起因した電力サージからエレクトロニクスを保護することができる。本発明の単相バージョンだけが本明細書に記載されるが、当業者は、本発明の原理を、三相など、どのような多相のAC電気システムにも適用することができる。さらに、たとえ電圧レギュレーションが、分路方法又は直列方法を用いて達成される可能性があるとしても、本発明の好ましい実施例は、直列電圧レギュレーション方法を使用する。様々な好ましい実施例に従って、米国特許出願第14/525,230号及び米国特許出願第14/565,444号に開示されるHF直列AC降圧電圧レギュレータが、本発明において使用される。
【0009】
本発明の実施例は、図面を参照して以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の様々な実施例による、バイパス・コンタクタと組み合わせて使用されているHF AC電圧レギュレータのブロック図である。
図2】本発明の様々な実施例による、HF AC電圧レギュレータとバイパス・コンタクタとの一実施例の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明においては、入力AC電圧などの変動にもかかわらず、出力AC電圧を望ましいレベルに調整するための方法、システム、及び装置が、好ましい実例として説明される。追加及び/又は置換を含む修正が、本発明の範囲及び精神を逸脱することなく行われ得ることが、当業者には明らかであろう。本発明を曖昧にしないようにするために特定の詳細が省略される場合があり、本開示は、当業者が、過度の実験を行わずに本明細書における教示を実行することを可能にするように書かれている。
【0012】
本発明の好ましい一実施例によれば、HF AC電圧レギュレータは、図1に示されるようにバイパス・コンタクタと組み合わせて使用される。どのような磁化物のサイズもその動作周波数に大きく逆比例するので、本発明は、これを中央設計パラメータとしてアプローチされた。本発明の主要な目標は、これらの磁気構造のサイズと、重さと、コストとをかなり低減させる高周波数(例えば、1kHzから1000kHz)磁気構造だけを利用するHF AC電圧レギュレータを使用し、またコンタクタ・バイパス接点と並列に接続された高速スイッチング双方向AC半導体デバイスと組み合わされたバイパス・コンタクタと組み合わせて機能する節電システムに組み込まれた節電システムを達成することである。
【0013】
節電HF AC電圧レギュレーション・システムは、設定された最適な節電によって指定される出力電圧を上回る高いAC入力電圧という状態の下で、設定された節電最適AC電圧まで、負荷に印加される出力AC電圧を低減させ、また調整するように設計される。完全なAVRが使用されるシステムにおいては、最適な節電電圧を下回る低いAC入力電圧の状態下では、入力電圧を増大させ、又は引き上げるように動作するために、エネルギーが内部で浪費されることになる。それは、低いAC入力電圧をより高い設定レベルへと増大させ、又は引き上げて戻すことになるので、それは、負荷により、エネルギーを節約しないであろう。本発明は、最適な選択された出力電圧レベルより下の低いAC入力電圧レベルの状態の下では、より低速なバイパス・コンタクタと並列に接続された高速な双方向AC半導体デバイスと組み合わされたバイパス・コンタクタを提供する。高速の双方向AC半導体デバイスと、バイパス・コンタクタとの両方が、制御エレクトロニクスによって遷移させられ、その結果、高速の双方向AC半導体デバイスは、最初にHF AC電圧レギュレータをバイパスし、次いで、より低速のバイパス・コンタクタ接点が閉じ、また完全にHF AC電圧レギュレータをバイパスし、またバイパス・コンタクタ接点と並列に接続された双方向AC半導体デバイスを含んでいる。電子制御は、HF AC電圧レギュレータの内部パワー・エレクトロニクスのエネルギー使用が節約されるように、HF AC電圧レギュレータを切り替えて外す。さらに、低いAC主電源入力電圧が、負荷に対して直接に印加され、HF AC電圧レギュレータ・パワー・エレクトロニクスのどのような電圧降下をも回避する。これは、低い入力AC主電源電圧が負荷に直接に印加されることにより、更なる節電を達成する。
【0014】
AC主電源についての電圧を調整する2つのやり方が存在する。一方は、直列電圧レギュレーション方法によるものであり、この場合には、AC入力とAC出力とが「切り離され」、単に、調整されていない入力AC電圧の間の差動電圧となる。指定され、固定された調整された出力AC電圧は、パワー・エレクトロニクスによって処理される。他方は、分路電流レギュレーション方法によるものであり、この場合には、主電源と分路して、又は並列に、指定された電流を注入することにより、AC電圧が変更され、またその電流のレベルは、高電圧電解コンデンサなどの内部ストレージ・デバイスとエネルギーを交換するパワー・エレクトロニクスによって注入され、又は吸収される。この分路電流レギュレーション方法は、それゆえに、主電源回線のインピーダンス又は抵抗へと指定された電流を駆動すること、或いは主電源回線のインピーダンス又は抵抗から指定された電流を吸収することにより、AC主電源回線電圧を制御する。
【0015】
本発明においては、図1に示されるように、HF AC電圧レギュレータは、上記で説明されるように、分路又は直列の電圧レギュレーション方法のいずれをも使用することができるが、本発明の好ましい実施例によれば、直列電圧レギュレーション方法は回線インピーダンスとは独立しているためにより予測可能であるので、HF AC直列電圧レギュレーションが好ましい方法である。
【0016】
世界的な電気システムにおいては、ユースポイント低電圧配電は、一般に、110/120 VAC(ボルト交流電圧)、又は220/230/240 VACのいずれかの下であるが、世界の大半は、低電圧配電電圧について公称120 VACシステム又は230 VACシステムに合わせて規格化している。さらに、規格化され、法制化された電気システム仕様と、とりわけ家庭内施設及び商用施設の配電盤に対して配電されるべき配電電圧レベル及び許容範囲とが、存在している。例えば、米国においては、家庭内施設及び商用施設についての規格配電電圧は、+5%の最大値と、−5%の最小値との電圧許容範囲を有する120 VAC(FERC/NERCによって指定される)である。オーストラリア(AS60038によって指定される)、英国(EN50160によって指定される)など、より高い電圧の230 VACシステムにおいては、許容された電圧許容範囲は、+10%の最大値と、−6%の最小値として指定される。過電圧レベルはより高くすることができることが、一般に、当業界において受け入れられている。極端な限界として+10%の過電圧と、−10%の不足電圧とが、依然として受け入れ可能である。しかしながら、米国における120 VACやオーストラリア及び英国における230 VACなど、公称の指定規格電圧に合わせて設計された、電子機器、及び電気器具、とりわけ電気モーターに印加されると、これらの極端な最大電圧は、追加的なより高い使用電圧のためにエネルギーを浪費するだけでなく、最適な性能を妨げることもある。モーター及び変圧器は、過熱し、使用寿命を短縮する可能性があり、また電気システムに接続された機器が恒久的に損傷を受ける可能性がある。
【0017】
それゆえに、例えば、米国においては、公称120 VACの電圧レンジで、+5%の最大電圧は126 VACになり、+10%の過電圧は132 VACになり、−5%の最小値は114 VACになり、−10%の不足電圧は108 VACになるが、米国における送電事業者及び配電事業者は、施設の配電盤に対して114 VACの最小電圧を配電することになり、また家庭内施設における電気器具などの実際の負荷に対する110 VACの最小値に関して推定される3.5%のさらなる電圧降下を可能にしていることが、当業界において一般に受け入れられている。
【0018】
ローカル電力アイランド(local power island)配電ネットワークの上のそれぞれの家庭内施設又は商用施設に対する120 VACの公称電圧からの許容された電圧許容範囲内の指定されたレンジの電圧を配電するには、電線とシステム導体の電気抵抗に起因して配電ネットワークの物理的電線に沿って直列に起こる電圧降下のために、ローカル電力アイランド配電ネットワークへの入力においてより高い電圧を必要とする。それゆえに、一般的には、配電ネットワークのローカル電力アイランドの変電所に近い施設は、より高い最大電圧レンジを観測し、またローカル電力アイランド配電ネットワークにさらに沿って、そのレンジ内のより低い電圧を観測することになる。例えば、米国においては、電圧レンジは、公称120 VACのローカル電力アイランド配電ネットワークの場合に126 VAC以上から114 VAC以下まで変化する可能性がある。同様に、オーストラリアや英国など、公称230 VACの国々では、電圧レンジは、公称230 VACのローカル電力アイランド配電ネットワークの場合に、ローカル電力アイランド変電所における253 VAC以上から配電ネットワークに沿った216 VAC以下まで変化する可能性がある。
【0019】
すべての家庭内施設及び商用施設に対する配電された主電源AC電圧の許容範囲を最小にするように、ローカル電力アイランド配電ネットワークに大きな投資が行われてきている。しかし、これは、家庭内施設及び商用施設に加えられる増大する使用、及び複雑な電子的負荷と、LV配電ネットワーク全体で変化する負荷及び力率とに起因して、さらに難しくなってきている。例えば米国においては、今や、産業使用よりも多くの家庭内電気使用及び商用電気使用が存在している。私的な家庭内施設又は商用施設の所有者が、専用の電力を購入し、設置し、生成することができる(例えば、家庭内太陽光発電(PV:photovoltaic)の設置の場合)多数の国々において、法制化された固定価格買取制度(FIT:Feed In Tariff)と結合された、私的な家庭内及び商用の配電されるエネルギー生成(DEG:distributed energy generation)の最近の分断的な出現に伴って、電力は、ローカル電力アイランド配電ネットワークの上に与えられて戻される可能性があり、電力システムの複雑さと、電圧レンジの不安定性、特に過電圧を劇的に増大させている。
【0020】
電気機器及び電子機器と、電気器具、とりわけ電気モーターは、具体的には、米国及び他の120 VACの国々における120 VAC、オーストラリア、英国及び他の230 VACの国々における230 VACなど、公称の指定された標準電圧において動作するように設計される。公称設計標準電圧を超過する電圧は、接続された電気機器及び電子機器に損傷を与えるだけでなく、必要以上のエネルギーの消費を引き起こす可能性もある。それゆえに、性能を最適化し、また最大の節電を実現する最適な電圧が、一般に存在している。
【0021】
図1を参照する。この実例においては、HF AC電圧レギュレータの出力に対する最適な節電電圧が、公称主電源電圧−5%となるように選択されて、通常の機器性能を達成し、節電を最大にする。このようにして、節電設定された電圧は、公称120 VACシステムの場合に114 VACとし、また公称230 VACシステムの場合に220 VACとすることができ、又は他のより低い節電電圧が選択される可能性があり、これは、概念を明確に示す単なる実例にすぎず、また他の節電最適化電圧が、HF AC電圧レギュレータの出力のために明らかに指定される可能性がある。例えば、本発明においては、HF AC電圧レギュレータだけが、直列のバイパス・コンタクタと組み合わせて機能することを必要とされ、またHF AC電圧レギュレータの出力電圧は、公称120 VACシステムの場合には114 VACの節電レベルに設定され、また230 VACシステムの場合には220 VACの節電レベルに設定され、そのようにして極端な電圧又は過電圧の状態の下では、HF AC AVR電圧レギュレータは、負荷への出力電圧を、選択された設定節電最適化電圧に保持する。
【0022】
入力AC主電源電圧が、節電設定電圧(例えば、公称120 VACシステムの場合の114 VAC、及び公称230 VACシステムの場合の220 VAC)を下回る状態の下では、完全なAVRが使用されると、完全なAVRは、内部電力を使用して、低い入力主電源AC電圧を増大させるか又は引き上げるだけでなく、本発明ほどはエネルギーを節約しない。本発明の様々な実施例によれば、制御エレクトロニクスが、入力AC主電源電圧が節電設定電圧を下回っていることを感知すると、制御エレクトロニクス、すなわちバイパス・コンタクタがアクティブにされ、またHF AC電圧レギュレータのパワー・エレクトロニクスがスイッチオフされ、内部パワー・エレクトロニクスのエネルギー消費を節約する。この状態の下では、低い主電源AC入力電圧が負荷に直接に印加され、電圧降下と、回路内で接続されたままであったHF AC電圧レギュレータのパワー・エレクトロニクスの使用とを最小限にしている。図1に示されるように、低い入力主電源AC電圧が、バイパス・コンタクタを通して負荷に直接に印加されることによって、更なる節電が達成される。
【0023】
引き続き図1を参照する。HF AC電圧レギュレーションは、分路方法又は直列方法のいずれかによって達成することができるが、直列方法が、本発明の好ましい実施例において使用される。本発明の様々な実施例によれば、任意のHF AC電圧レギュレータが、バイパス・コンタクタと並列に使用されて、節電高周波数AC電圧レギュレーション・システムを作り出すことができる。
【0024】
図2を参照する。HF AC電圧レギュレータの好ましい実施例のうちのいくつかは、これらに限定されないが、米国特許出願第14/525,230号及び米国特許出願第14/565,444号に開示されるようなHF AC直列降圧電圧レギュレータのトポロジを含んでいる。双方向ACスイッチQ1及びQ2を有するHF直列AC降圧電圧レギュレータは、第14/525,230号特許出願の中で説明され、また本明細書においても再び図2に示されている。さらに、HFフィルタ・コンポーネントが追加されて、入力及び出力においてHF(例えば、1kHz〜1,000kHz)スイッチング周波数を抑制し、フィルタをかける。入力にフィルタ・バイパス・コンデンサC1及びC2を有するフィルタ・インダクタL1及びL2と、出力にフィルタ・バイパス・コンデンサC3及びC4を有するフィルタ・インダクタL4及びL5とが、ある。コンデンサC2及びC3は、使用されるコンポーネントと、動作周波数とに応じて、省略されてもよい。インダクタL3は、HF(例えば、1kHzから1,000kHz)で動作するように設計されているパワー・インダクタである。
【0025】
ACスイッチング・デバイスQ1及びQ2は、アナログ回路、混合アナログ回路、又はデジタル回路、ただし一般的には、DSP若しくはマイクロプロセッサの信号処理を伴うデジタル制御回路のいずれかを通して、電子制御の下でHF(例えば、1kHzから1,000kHz)においてスイッチングする。制御エレクトロニクスからの出力は、HF(例えば、1kHzから1,000kHz)によって変調されたPWM変調を用いてAC半導体デバイスを駆動し、また一般的に50Hz又は60Hzである、LF主電源AC電圧入力に沿った各HFポイントにおいて、制御エレクトロニクスは、十分に広い幅の特定のパルスを生成してACスイッチQ1及びQ2を駆動して、パワー・インダクタL3と組み合わせて負の差動電圧を生成し、それゆえに、入力AC電圧に沿った各ポイントにおける出力電圧を、内部制御基準によって設定される望ましい値に降圧し、調整する。
【0026】
例えば、制御が25,000Hzの設計周波数でスイッチングしている場合には、40マイクロ秒ごとに、一般的には50Hz又は60Hzである入力主電源LF電圧の振幅が、設定された内部電圧基準に対して、そのポイントにおいて、降圧され、低減させられる。このようにして、40マイクロ秒ごとに、回路は、入力AC電圧を降圧して、望ましい設定出力AC電圧を調節し、また調整する。
【0027】
入力フィルタは、コンデンサC1及びC2と、フィルタ・インダクタL1及びL2とを備えている。出力フィルタは、コンデンサC3及びC4と、フィルタ・インダクタL4及びL5とを備えている。代わりに、HFフィルタ要素の様々な組合せを使用して、この実例では25,000HzなどであるHFにおいてスイッチングするAC双方向半導体スイッチのHFスイッチング周波数にフィルタをかけ、HFスイッチング周波数をバイパスすることができる。
【0028】
本明細書に開示される回路とその説明は、明確にするために簡略化され、また様々な他の回路構成及びデバイスが、本発明の原理を適用する際に使用される可能性がある。例えば、双方向ACスイッチは、半導体デバイスであり、また様々な回路構成から成る可能性があるが、これらのスイッチは、当業界において一般的に使用されるようなAC双方向半導体スイッチとしての役割を依然として果たしている。そのような双方向AC半導体スイッチは、例えば、これらに限定されないが、SCR、GTO、IGBT、MOSFETなど、ブリッジの中に挿入されるユニポーラ半導体デバイス構成、又は制御された双方向AC半導体スイッチ・デバイスを作り出すことができるPWM駆動制御と同じ効果のために使用される任意の他の半導体デバイスを有する4つの整流器から成る整流器ブリッジとすることができる。また、バック・ツー・バック(back to back)若しくは逆並列のSCR、GTO、IGBT、RB−IGBT、MOSFETなどの整流器を有する、又は整流器を有さない、当業界において使用される他の半導体ACスイッチの構成及びデバイス、任意の他のバック・ツー・バック若しくは逆並列の双方向AC半導体のデバイス又は構成、或いはこれらに限定されないが、GaN、SiCなど、将来の他の類似した新しい半導体デバイスは、本発明の代替的な実施例のうちのいくつかである。
【0029】
引き続き図2を参照する。電子制御回路によって駆動されるAC双方向半導体スイッチQ1及びQ2と組み合わせて、HF(例えば、1kHz〜1,000kHz)パワー・インダクタL3を利用するHF直列降圧AC電圧レギュレータは、入力AC電圧を低減させ、また設定された望ましい最適節電レベルに対してAC出力電圧を調整することができる新規のトポロジを作り出す。さらに、このHF直列降圧AC電圧レギュレータは、降圧・インダクタ(パワー・インダクタL3)の両端の差動電力を処理して、調整された出力AC電圧まで入力を低減させるだけでよい。この構成は、総出力電力に対してはるかに低い消費電力を有する。降圧・インダクタは、差動入力AC電圧を調節して、望ましい最適節電設定レベルまで出力AC電圧を低減させるために必要とされる電力を処理するだけでよい。
【0030】
主電源AC入力電圧が、選択された最適節電設定レベルを下回る状態の下では、制御エレクトロニクスは、入力AC主電源電圧を感知し、バイパス・コンタクタK1、並びにそのバイパス・コンタクタK1と並列に接続された双方向AC半導体デバイスS1を遷移させ、次いで、直列降圧AC電圧レギュレータ・パワー・エレクトロニクスを切り離す。高速双方向AC半導体デバイスS1は、最初に、HF直列降圧AC電圧レギュレータをバイパスし、次いで、より低速のバイパス・コンタクタK1接点が閉じ、HF AC電圧レギュレータを完全にバイパスし、またバイパス・コンタクタK1と並列に接続された双方向AC半導体デバイスS1を含んでいる。
【0031】
第1に、電子制御は、HF AC電圧レギュレータを切り替えて外し、このHF AC電圧レギュレータは、HF AC電圧レギュレータの内部パワー・エレクトロニクスのエネルギー使用を節約する。第2に、低いAC主電源入力電圧が負荷に直接に印加され、HF AC電圧レギュレータのパワー・エレクトロニクスの電圧降下をバイパスして、更なる節電を達成する。
【0032】
図2に示される双方向AC半導体デバイスS1は、TRIACである。しかしながら、双方向AC半導体デバイスはまた、SCR、GTO、IGBT、MOSFET、バック・ツー・バックSCR、TRIACなどのブリッジに挿入されるユニポーラ半導体デバイス構成、又はバイパス・コンタクタK1と並列に接続された、制御される双方向AC半導体スイッチ・デバイスを作り出すことができるドライブ制御と同じ効果のために使用される任意の他の双方向AC半導体デバイスを有する4つの整流器から成る整流器ブリッジとすることもできる。回路及び用途に応じて、当業者は、ゼロ電圧スイッチングの、又は任意の他の制御されたタイミングのいずれかと、双方向AC半導体デバイスのガルバニックの絶縁されたスイッチング又は絶縁されないスイッチングを設計することができる。バック・ツー・バックSCR、GTO、IGBT、MOSFETなど、当業界において使用される他の半導体ACスイッチの構成及びデバイス、任意の他のバック・ツー・バック双方向ACデバイス、或いは任意の他の類似した、また絶縁された手段又は絶縁されていない手段によってスイッチされるデバイスは、本発明の様々な実施例である。
【0033】
引き続き図2を参照する。直列電流制限抵抗R1が、必要に応じて双方向AC半導体デバイスS1と直列に接続されて、双方向AC半導体デバイスS1を通して流れる電流を制限する。しかしながら、直列電流制限抵抗R1は、双方向AC半導体デバイスの仕様及び寸法と、バイパス・コンタクタ接点の定格と、設計されたサージ電流とに応じて省略されることもある。バイパス・コンタクタK1接点が、制御エレクトロニクスの下で開かれるか又は閉じられるときに、高速の双方向AC半導体デバイスS1も、より低速のコンタクタ遷移と共にアクティブにされる。バイパス・コンタクタK1接点を閉じるときには、双方向AC半導体デバイスS1を含むエレクトロニクスは、完全にバイパスされる。開くときには、バイパス・コンタクタK1接点は、バイパス・コンタクタK1接点が完全に開くまで、バイパス電流を流し続ける双方向AC半導体デバイスS1によって保護され、それにより電流の中断からコンタクタ接点を保護する。
【0034】
負荷サージ又は障害負荷電流のいずれかからの高い電流サージの状態の下では、双方向AC半導体デバイスS1と組み合わされたバイパス・コンタクタK1は、制御エレクトロニクスが電流サージを検出し、高速な双方向AC半導体デバイスをアクティブにし、バイパス・コンタクタ接点を閉じることにより、これらの高い電流サージをバイパスする。また、バイパス・コンタクタK1と、双方向半導体デバイスS1との両方は、より低速なコンタクタ接点が閉じて、双方向AC半導体デバイスを含むエレクトロニクスからのサージ電流を安全にバイパスする前に、高いサージ電流を取るように規定され、またそのような大きさにされる。ひとたびサージが通過すると、又は、サージがバイパス・コンタクタK1の閉じられた接点を通じて安全に継続し、外部の標準バックアップ・ブレーカをトリガする場合に、制御エレクトロニクスは、通常の電力を検出し、起動ルーチンを開始してユニットを通常の動作に戻す。
【0035】
双方向AC半導体デバイスは、電気機械的バイパス・コンタクタなしで使用され得ることが、当業者には明らかであろう。しかしながら、どのような双方向AC半導体デバイスも、電気機械的バイパス・コンタクタの金属−金属の接点よりも、通過する電流に伴うはるかに高い消費電力を常に有する。図2に示されるS1とK1との組合せの代わりに双方向AC半導体デバイスだけを使用することは、本発明の代替的な一実施例である。
【0036】
図2に示されるバイパス・コンタクタK1は、望まれる用途に応じて、常時閉(NC:normally close)接点、又は常時開(NO:normally open)接点とすることができることに注意すべきである。本発明においては、バイパス・コンタクタK1のコンタクタ接点の好ましい実施例は、常時閉(NC)であり、また電子制御は、エネルギーを与えること(開かれた接点)、又はエネルギーを与えないこと(閉じられた接点)により、コンタクタ接点を開閉することができる。NC接点を使用する理由は、バイパス・コンタクタK1がバイパス・コンタクタであるためと、また入力電力が不足するか、又はユニット・エレクトロニクスが故障した場合には、コンタクタが非アクティブにされ、バイパス接点が閉じられることになるためである。まず第1に、入力電力の障害又は中断の場合に、ユニットとそのパワー・エレクトロニクスとは完全にバイパスされ、入力電力が再開するときには、コンタクタ・バイパスは、NCコンタクタ・バイパス接点に起因して既に実施されており、また制御エレクトロニクスは、制御エレクトロニクスによる指定された期間の後に、起動ルーチンを開始してユニットを通常の動作に戻すことができる。
【0037】
本明細書において開示される実施例は、汎用コンピューティング・デバイス若しくは専用コンピューティング・デバイス、コンピュータ・プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらに限定されないが、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)と、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuits)と、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate arrays)と、本開示の教示に従って構成され、又はプログラムされる他のプログラマブル・ロジック・デバイスとを含む電子回路を使用して、実装することができる。汎用コンピューティング・デバイス若しくは専用コンピューティング・デバイス、コンピュータ・プロセッサ、又はプログラマブル・ロジック・デバイスの中で実行されるコンピュータ命令又はソフトウェア・コードは、本開示の教示に基づいて、ソフトウェア又は電子技術に熟練した実行者によって、簡単に準備される可能性がある。
【0038】
本発明についての上記説明は、例証及び説明の目的のために提供されている。徹底的であること、又は本発明を開示された通りの形態に限定することは、意図していない。多数の修正形態及び変形形態が当業者に明らかであろう。
【0039】
実施例は、本発明の原理と、その実用的な応用例とを最もよく説明するために選択され、説明されており、それによって、他の当業者が、様々な実施例について、また企図される特定の使用に対して適合される様々な修正形態を用いて、本発明を理解することを可能にしている。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲とそれらの均等物とによって規定されることが意図される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2017年2月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
図2に示されるバイパス・コンタクタK1は、望まれる用途に応じて、常時閉(NC:normally close)接点、又は常時開(NO:normally open)接点とすることができることに注意すべきである。本発明においては、バイパス・コンタクタK1のコンタクタ接点の好ましい実施例は、常時閉(NC)であり、また電子制御は、エネルギーを与えること(開かれた接点)、又はエネルギーを与えないこと(閉じられた接点)により、コンタクタ接点を開閉することができる。NC接点を使用する理由は、バイパス・コンタクタK1がバイパス・コンタクタであるためと、また入力電力が不足するか、又はユニット・エレクトロニクスが故障した場合には、コンタクタが非アクティブにされ、バイパス接点が閉じられることになるためである。まず第1に、入力電力の障害又は中断の場合に、ユニットとそのパワー・エレクトロニクスとは完全にバイパスされ、入力電力が再開するときには、コンタクタ・バイパスは、NCコンタクタ・バイパス接点に起因して既に実施されており、また制御エレクトロニクスは、制御エレクトロニクスによる指定された期間の後に、起動ルーチンを開始してユニットを通常の動作に戻すことができる。
バイパス・システムは、明確に説明されるように、追加された並列半導体スイッチング・デバイスをそれぞれが有する1つ又は複数のコンタクタを備えることができる。本明細書において示され、説明されるバイパス・システムは、本発明の原理を例証するためのものであり、他の代替的なバイパス・システムが、コンタクタの用途及び選択に応じて使用されてもよい。代替的なコンタクタ・システムにおいては、コンタクタは、本明細書に詳細に示され、説明されるバイパス・システムと同じ動作原理を達成するように制御エレクトロニクスによってコンタクタの開路インパルスと閉路インパルスが駆動される、NC又は駆動される分路インパルス・コンタクタとすることができる。
図2を参照する。さらに、低いバイパス電流の場合には、バイパス電流が、アクティブ回線におけるL1及びL4やさらに戻り回線におけるL5及びL2などの電磁干渉(EMI:electromagnetic interference)フィルタ・インダクタを通して流れ、またEMIフィルタ・インダクタによって許容されるので、バイパス・システムは、単一のバイパス・コンタクタを使用することができる。重いバイパス電流の場合には、2つのバイパス・コンタクタを使用することができ、一方は、EMIフィルタ・インダクタL1とL4とをバイパスし、また戻りの重いバイパス電流の場合には、第2のバイパス・コンタクタを使用して、インダクタL5とL2とを同時にバイパスすることができる。図面及び説明に示されるように、電流制限抵抗を有するか又は電流制限抵抗を有さずに、半導体スイッチング・デバイスと並列のバイパス接点を有する1つ又は複数のコンタクタの原理を逸脱することなく、用途に応じて他のバイパスのシステム及び方法が可能である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【国際調査報告】