(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-518970(P2017-518970A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(54)【発明の名称】痛風を緩和または治療する医薬組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/222 20060101AFI20170616BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20170616BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20170616BHJP
A61K 31/365 20060101ALI20170616BHJP
A61K 36/9062 20060101ALI20170616BHJP
A61K 36/53 20060101ALI20170616BHJP
【FI】
A61K31/222
A61P19/06
A61P43/00 121
A61K31/365
A61K36/9062
A61K36/53
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-566951(P2016-566951)
(86)(22)【出願日】2014年7月31日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月16日
(86)【国際出願番号】CN2014083392
(87)【国際公開番号】WO2016015271
(87)【国際公開日】20160204
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】石英珠
(72)【発明者】
【氏名】許振霖
(72)【発明者】
【氏名】李承楡
(72)【発明者】
【氏名】羅吉孟
(72)【発明者】
【氏名】李怡靜
(72)【発明者】
【氏名】蔡瑩霏
(72)【発明者】
【氏名】鄭奕正
【テーマコード(参考)】
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CA01
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4C088ZC75
4C206AA01
4C206AA02
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4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
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4C206NA14
4C206ZC31
4C206ZC75
(57)【要約】
痛風を緩和または治療する医薬組成物及びその使用である。この医薬組成物は、活性成分として、少なくともp−クマリルジアセテートを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
痛風緩和・治療薬物を調製するために用いられる医薬組成物の使用であって、前記医薬組成物が活性成分としてp−クマリルジアセテートを含む、医薬組成物の使用。
【請求項2】
前記医薬組成物がオバトジオリドをさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項3】
p−クマリルジアセテートとオバトジオリドとの重量比が10:90〜85:15である、請求項2に記載の医薬組成物の使用。
【請求項4】
p−クマリルジアセテートとオバトジオリドとの重量比が50:50である、請求項3に記載の医薬組成物の使用。
【請求項5】
p−クマリルジアセテートが化学合成または植物から抽出して得られる、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項6】
p−クマリルジアセテートがナンキョウ(Alpinia galanga)植物から抽出して得られる、請求項5に記載の医薬組成物の使用。
【請求項7】
オバトジオリドが化学合成または植物から抽出して得られる、請求項2に記載の医薬組成物の使用。
【請求項8】
オバトジオリドがブソロイバナ(Anisomeles indica)植物から抽出して得られる、請求項7に記載の医薬組成物の使用。
【請求項9】
p−クマリルジアセテートとオバトジオリドとを含む医薬組成物であって、p−クマリルジアセテートとオバトジオリドとの重量比が10:90〜85:15である、痛風を緩和または治療する医薬組成物。
【請求項10】
p−クマリルジアセテートとオバトジオリドとの重量比が50:50である、請求項9に記載の痛風を緩和または治療する医薬組成物。
【請求項11】
p−クマリルジアセテートが化学合成または植物から抽出して得られる、請求項9に記載の痛風を緩和または治療する医薬組成物。
【請求項12】
p−クマリルジアセテートがナンキョウ植物から抽出して得られる、請求項11に記載の痛風を緩和または治療する医薬組成物。
【請求項13】
オバトジオリドが化学合成または植物から抽出して得られる、請求項12に記載の痛風を緩和または治療する医薬組成物。
【請求項14】
オバトジオリドがブソロイバナ植物から抽出して得られる、請求項13に記載の痛風を緩和または治療する医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物に関し、特に、痛風を治療または緩和するための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
痛風はよく見られる代謝疾患の1つであり、尿酸結晶が足指、足首、膝、腕関節、手指、肘などの関節に沈着して、この関節の炎症現象を招くことを特徴とするものである。より詳しく言えば、血液中の尿酸塩濃度が上述腎臓の代謝できる閾値を超えると、過剰の尿酸塩による結晶(あるいは、痛風結節(tophi)とも言う)が関節部に溜まって、さらに急性関節炎、及び関節とその周囲の炎症現象を引き起こしてしまう。今まで、痛風治療薬物は大体、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)、コルチコステロイド(corticosteroids)、コルヒチン(colchicine)、および尿酸低下薬物などの4つの種類に分けれており、痛風急性期が発作している時の治療法は通常にコルヒチン、非ステロイド性消炎鎮痛薬またはコルチコステロイドを採用するが、これらの薬物がかなり多くの副作用を有する。従って、副作用が低く且つ調製しやすい痛風治療薬物を切に求めている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、痛風緩和・治療薬物を調製するために用いられる医薬組成物の使用であって、前記医薬組成物が活性成分としてp−クマリルジアセテート(p−coumaryl diacetate)を含む、医薬組成物の使用を提供する。
【0004】
本発明は、p−クマリルジアセテートとオバトジオリド(ovatodiolide)とを含む医薬組成物であって、p−クマリルジアセテートとオバトジオリドとの重量比が10:90〜85:15である、痛風を緩和または治療する医薬組成物を提供する。
【0005】
本発明のp−クマリルジアセテートを含有する組成物は、痛風を緩和または治療することに確実に有用であり、そして、さらにオバトジオリドと配合して使用される時に、その効果が一層顕著になって、痛風緩和・治療薬物として開発される甲斐が実にある。
【0006】
本発明の上述特徴及び利点をよりはっきりと分かりやすくするために、下に実施例を特に挙げて、添付図面を結合させて以下の通りに詳しくて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明実施例で調製されるp−クマリルジアセテートの高速液体クロマトグラムである。
【
図2】本発明実施例で調製されるオバトジオリドの高速液体クロマトグラムである。
【
図3】本発明の一実施例において異なる試験サンプルを適用して測定されたインターロイキン−1β分泌量のヒストグラムである。
【
図4】本発明の一実施例において異なる試験サンプルを適用して測定されたインターロイキン−6分泌量のヒストグラムである。
【
図5】本発明の他の実施例において異なる試験サンプルを適用して測定されたインターロイキン−1β分泌量のヒストグラムである。
【
図6】本発明の他の実施例において異なる試験サンプルを適用して測定されたインターロイキン−6分泌量のヒストグラムである。
【
図7】本発明の別の実施例において異なる試験サンプルを適用して測定されたインターロイキン−1β分泌量のヒストグラムである。
【
図8】本発明の別の実施例において異なる試験サンプルを適用して測定されたインターロイキン−6分泌量のヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施例によれば、本発明は、活性成分として少なくともp−クマリルジアセテート(p−coumaryl diacetate,CDA)を含む、痛風を緩和または治療するために用いれる医薬組成物を提供する。
【0009】
p−クマリルジアセテート(p−coumaryl diacetate,CDA)としては、その化学式が「C
13H
14O
4」であり、フルネームが「4−(3−アセトキシ−プロペニル)−フェニルアセテート(4−(3−acetoxy− propenyl)−phenyl acetate)」であり、構造式が下式(1)、またはそのシス構造である。
【0011】
p−クマリルジアセテートは化学合成によって作成できるものであり、発表された文献「A Mild Synthesis of Coumaryl, Coniferyl, Sinapyl Aldehydes and Alcohols」、
Synthesis−stuttgart 01/1994; 1994(04):369−371. DOI:10.1055/s−1994−25477 (Nicolas Daubresse, Charlette Francesch, Farida MhamdiとChristian Rolando著)を参考できるが、ここで贅言しない。
【0012】
当然に、p−クマリルジアセテートは植物から抽出して得られることもできて、例えば、ナンキョウ(
Alpinia galanga)から抽出して得られることができる。
【0013】
本発明の一実施例はナンキョウを利用して抽出し、その抽出方式が有機溶媒でナンキョウの根部に対して抽出するものである。本発明の抽出に使用される溶媒は、炭素数4−10(C4−10)の飽和アルカン類であっても良いし、直鎖または分岐鎖の飽和アルカン類であっても、単一種類の飽和アルカン類または多種の飽和アルカン類の混合であっても良い。あるいは、本発明の抽出に使用される溶媒は、炭素数4−10(C4−10)の不飽和アルケン類または不飽和アルキン類であっても良いし、直鎖または分岐鎖の不飽和アルケン類または不飽和アルキン類であっても、単一種類の不飽和アルケン類または不飽和アルキン類であっても、さらに混合された多種の不飽和アルケン類または不飽和アルキン類であっても良い。本発明の抽出に使用される溶媒は、C4−10のアルカン、アルケン及びアルキンの混合物であっても良い。本発明の一実施例では、抽出溶媒としてヘプタンを採用し、ヘプタンの濃度が例えば、95%体積百分率濃度(v/v)または100%体積百分率濃度(v/v)であっても良い。
【0014】
抽出温度と時間は特別な制限がなく、使用される溶媒の性質などの条件によって決めばよい。本発明の一実施例において、その抽出温度が室温であっても良く、抽出時間が72時間であっても良い。
【0015】
本発明の抽出方式は、純度が比較的に高い抽出物を取得するために精製工程をさらに含んでも良い。精製工程は活性炭によって脱色精製するものであっても良い。
【0016】
本発明の抽出物はまた、抽出工程と精製工程を繰り返すことで純度が比較的に高い抽出物を取得しても良い。
【0017】
本発明の一実施例によれば、本発明は、活性成分として、少なくともp−クマリルジアセテートとオバトジオリド(ovatodiolide)とを含む医薬組成物を提供する。
【0018】
オバトジオリド(ovatodiolide)としては、その化学式がC
20H
24O
4であり、フルネームが3,7,11,15(17)−センブラテトラエン−16,2:19,6−ジオリド 3484−37−5(3E,12E)−3,12−ジメチル−8−メチレン−6,18−ジオキサ−トリシクロ[14.2.1.0.5,9]ノナデカ−3,12,16(19)−トリエン−7,17−ジオン)(3,7,11,15(17)−Cembratetraene−16,2:19,6−diolide 3484−37−5(3E,12E)−3,12−Dimethyl−8−methylene−6,18−dioxa−tricyclo[14.2.1.0.5,9]nonadeca−3,12,16(19)−triene−7,17−dione)であり、構造式が下式(2)に示すようなものである。
【0020】
オバトジオリドは、化学合成または植物から抽出して得られることができて、例えばブソロイバナ(
Anisomeles indica)から抽出して得られることができる。ブソロイバナを例として、その抽出方式は、有機溶媒でブソロイバナの根、莖、葉、花または植物全体に対して抽出するものであっても良い。本発明に使用される極性溶媒は、C1−C12アルコール類、C2−C5アセテート類、C5−C6アルカン類またはこれらの組み合わせ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ter−ブタノール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタノール、イソペンタノール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、シクロペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノル、エチルアセテート、プロピルアセテート、ペンチルアセテート、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンまたはこれらの組み合わせからなるが、これらに限らない。本発明の一実施例では、抽出溶媒としてエタノールを採用している。エタノールの濃度は50%〜95%体積百分率濃度(v/v)または75%〜95%体積百分率濃度(v/v)であっても良い。
【0021】
抽出温度と時間は特別な制限がなく、使用される溶媒の性質などの条件によって決めばよい。本発明の一実施例において、その抽出温度が50〜80℃または70〜80℃であっても良く、抽出時間が2〜4時間であっても良い。
【0022】
本発明の抽出物は、純度が比較的に高い抽出物を取得するために精製工程をさらに経ても良い。精製工程はカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー、イオン交換法などであっても良いが、シリカで充填されたカラムクロマトグラフィーが好ましい。
【0023】
本発明の抽出物は、抽出工程と精製工程を繰り返すことで純度が比較的に高い抽出物を取得しても良い。
【0024】
本発明の医薬組成物はまた、医薬的に許容され得るビヒクルをさらに含んでも良く、その医薬的に許容され得るビヒクルとは、非毒性の固体、半固体または液体のフィラー、希釈剤、封入材料、配合助剤またはいかなる周知タイプの添加剤、賦形剤、防腐剤、矯味剤などを指す。医薬的に受け容れるビヒクルは、使用される用量および濃度で、使用者に対し、基本的に非毒性であり、配合における他の成分と相溶している。具体的に、例えば澱粉、コンスターチ、ラクトース、デキストリン、シクロデキストリン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、ガム(gum)、寒天、グアーガム(guar)、ペクチン、アラビアゴム、トラガカント(tragacanth)、カラギーナン(carrageenan)または類似の添加剤である。
【0025】
本発明の医薬組成物は任意の形にしても良く、投与経路に応じて適当に剤型を設計られ、例えば、錠剤、カプセル剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤、シロップ、懸濁剤、坐剤、パップ剤などであっても良い。投与経路は、経口、肛門投与、吸入性投薬、局部投薬、経皮投薬などの方式を含んでも良い。本発明の医薬組成物は、水溶液、ヒドロゲル、水性、油性、水中油型あるいは油中水型エマルジョン/クリーム、ペースト状マトリックス、ペースト状貼布などのような外用組成物の形に調製されても良い。本発明の組成物における活性化合物は、その薬学的に受け容れる塩類の形で投薬されても良いし、またはそのほかの薬物活性がある痛風症状を緩和・治療可能な化学物質と適当な共用や組合せの方式で適用されても良い。
【0026】
本発明の医薬組成物は少なくとも有効用量の一種または多種の活性物質を含み、そしてそれぞれの活性物質の用量や各成分の比例が本発明の下記実施例に示されるものに限らなく、医薬的に受け容れるビヒクルと自由に配合できる。「有効用量」とは、被験対象の治療または緩和しようとする病症に対して理想的な効果が生じることに十分である化合物の量を広く指す。精確な用量は治療目的に従って異なるようになり、そして従業者は公知の技術によって上述用量を確定できる。例えば、医者または担当者は患者の体重、年齢、患部の症状、生理的状況、投与経路などの条件に応じて適当に調合する。
【0027】
本発明の一実施例において、その医薬組成物は活性成分として少なくともp−クマリルジアセテートとオバトジオリドとを含み、ここで、このp−クマリルジアセテートとオバトジオリドとの重量比が10:90〜85:15、15:85〜80:20、または20:80〜65:35である。別の実施例において、そのp−クマリルジアセテートとオバトジオリドとの重量比が50:50である。
【0028】
ここで引用される文献は参考として本文に取り込まれる。本発明の具体的な実施態様について以下のように詳しくて説明するが、以下の実施例は本発明の技術内容をさらに発明するだけに用いられ、それによって本発明の発明範疇を制限してはいけない。
【0029】
実施例1 p−クマリルジアセテート(実験略号:AG04−RA1)の調製
4キロのナンキョウ植物の根部を磨り砕い、30リットルのヘプタンを加えて、常温で72時間撹拌し、次に、カスと濾液を濾過・分離させて、さらに濾液に活性炭を加えることで脱色精製に寄与し、次に蒸留によって濾液中のヘプタンを除去したところ、淡黄色の液体57.56グラムを取得し得る。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析し、ここで分析カラムが逆相クロマトグラフィーC18カラムであり、49%体積百分率濃度(v/v)のアセトニトリル及び51%体積百分率濃度(v/v)の0.05%体積百分率濃度(v/v)のトリフルオロ酢酸水溶液の移動相で勾配溶離する。
図1は本発明実施例に従って調製されたp−クマリルジアセテートの高速液体クロマトグラムである。これにp−クマリルジアセテートの含有量と純度が含まれており、
図1を参照すると、その純度が約80〜95%重量百分率濃度(w/w)である。さらに再結晶したところ、白色の結晶が得られ、その純度は99%重量百分率濃度(w/w)(高純度と定義される)に達することができる。
【0030】
実施例2 オバトジオリド(実験略号:AG02−RA1)の調製
(ブソロイバナ)ミソナオシ植物の全体を採取して1キロに粉砕・混合し、80%体積百分率濃度(v/v)のエタノール水溶液で抽出する。抽出された液体を無水の状態に濃縮し、1−3倍の体積のメタノールをさらに加える。不溶的な固体を濾過・分離させて、濾液を採取して3倍の体積の水で希釈し、総体積の1/3のエチルアセテートとn−ヘプタンの溶液で少なくとも3回抽出した。有機層溶液を無水の状態に濃縮したところ、AG02含有量が40〜60%重量百分率濃度(w/w)である粗抽出物を取得し得る。さらに、この粗抽出物を6−12倍の固体重量のメタノールで溶解させて、またさらに1〜3%重量百分率濃度(w/w)の活性炭で脱色し、最後にメタノール溶液を無水の状態に濃縮すると、70〜90%重量百分率濃度(w/w)のAG02−RA1含有混合物を取得し得る。さらに再結晶したところ、白色の結晶が得られ、その純度は98.1%重量百分率濃度(w/w)(高純度と定義される)に達することができる。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析し、ここで分析カラムが逆相クロマトグラフィーC18カラムであり、49%体積百分率濃度(v/v)のアセトニトリル及び51%体積百分率濃度(v/v)の0.05%体積百分率濃度(v/v)のトリフルオロ酢酸水溶液の移動相で勾配溶離する。
図2は本発明実施例に従って調製されたオバトジオリドの高速液体クロマトグラムである。
【0031】
実施例3 p−クマリルジアセテートとオバトジオリドによる組成物(実験略号:AGT)の調製
実施例2で調製されたAG02−RA1(2.5〜5%重量百分率濃度(w/w))及び実施例1で調製されたのAG04−RA1(1%〜5%重量百分率濃度(w/w))を採取して、エタノール(エタノールの最終的な濃度は10%重量百分率濃度(w/w))に溶かし、次にこれをポリエチレングリコール混合液(poly ethylene glycol(MW 4000)とpoly ethylene glycol(MW 400)を加熱した後、40−80℃で混合したもの)と混合させて、室温まで撹拌して温度を下げたところ、この組成物が得られる。表1は、比例及び純度が異なるAG02−RA1とAG04−RA1の組成実施例を示す表である。番号7は再結晶された高純度のAG02−RA1(純度:98.1%)とAG04−RA1(純度:99%)を使用する以外、残りはいずれも実施例1と実施例2で抽出して得られたAG02−RA1とAG04−RA1を使用する。番号8はペースト状マトリックス材料のみを含有する空白対照組である。
【0033】
実施例4 動物モデルにおけるp−クマリルジアセテートとオバトジオリドによる組成物の活性の評価
偽滑膜腔のマウス動物モデル(Mouse Air pouch model):偽滑膜腔のマウス動物モデルは、発表された文献「Role of S100A8 and S100A9 in neutrophil recruitment in response to monosodium urate monohydrate crystals in the air−pouch model of acute gouty arthritis」、Arthritis Rheum. 2003 Aug;48(8):2310−20.の実験方法を参考して行われる。この文献の全文は参考として本願説明に取り込まれる。
【0034】
実験の前に、予め鼠に背中の毛を取り除いてある。Day 0に、皮下注射の方式で、鼠ごとに背中から0.22μmのマイクロフェルター(microfilter)で濾過された無菌空気を注入して(2ml/鼠)、一つの偽滑膜腔(pseudosynovial cavity)が形成される。Day 3に、鼠ごとにもう一回の空気補強(air booster)を付与して(3ml/鼠)、そのエアパウチ(air−pouch)が膨れていることを保持しつつ、各組の間に鼠の平均体重が同じように秤量・分組する。Day 6に、エアパウチに尿酸一ナトリウム(monosodium urate,MSU)結晶の懸濁液を注射する(5mg/2ml/鼠)。経皮吸収(topical use)の軟膏はMSU刺激の15時間前に塗抹して投薬される(100mg軟膏/鼠)。MSU注射後の特定時間(5時間)に、過量の二酸化炭素で鼠を安楽死させて、エアパウチに鼠ごとに2mlPBSを注入し、エアパウチを気をつけて挟み切って、エアパウチの中の滲出液(exudate)を収集する。滲出液を1,000rpm、4℃で5分間遠心して、上澄み液を取出して96穴丸底プレートに置き、−20℃で保存する。ELISAキット(R&D Systemsから購入した)を使用して、この滲出液におけるIL−1βとIL−6の含有量を分析する。沈殿物を再懸濁させた後、1ml赤血球溶解バッファー(RBC lysis buffer)を1分間作用させることで、赤血球の細胞を除去し、その後、1mlPBSを加えて反応を終止させ、1,000rpm、25℃で5分間遠心後、上澄み液を捨て、さらに1mlPBSで細胞を再懸濁させて、濾過膜(BD Falcon 100 μm Nylon filter strainer)で細胞懸濁液を濾過した後、後続の細胞数測定や分化抗原マーカー(CD markers)のマークが行われるように、細胞を多数個のチューブに積み分けり(0.25ml/チューブ)、各種の細胞数測定及び分析はフローサイトメーターで行われる。
【0035】
本実験は、AG02−RA1とAG04−RA1が単独でまたは組み合わせて使用される場合の抗痛風治療効果を検討するために、それぞれAG02−RA1単独、AG04−RA1単独及びAG02−RA1:AG04−RA1の比例が50:50である合成配合(表1の番号1、2、3で示すような配合)をテストする。配合に含まれるAG02−RA1及び/またはAG04−RA1の総重量は5mgで、試験ペースト状サンプルの総重量の約5%を占める。例えば、試験サンプル全体の重量100mgで、番号1のサンプルにはAG02−RA1を5mg、番号2のサンプルにはAG04−RA1を5mg、番号3のサンプルにはAG02−RA1を2.5mg及びAG04−RA1を2.5mg含む。
【0036】
結果は以下の通りである。実験結果から見れば、下記表2には、AG02−RA1とAG04−RA1が単独で及び一緒に使用される場合について、白血球(leukocyte)表面抗原によって測定された白血球の細胞密度(CD45
+)の結果が示されている。結果によると、白血球の細胞数の抑制について、AG02−RA1とAG04−RA1がそれぞれ2.5mgで一緒に使用される場合に白血球数の抑制に対する効果が最も良いことは明らかである。
【0038】
実験結果から見れば、下記表3には、AG02−RA1とAG04−RA1が単独で及び一緒に使用される場合について、好中球(neutrophil)表面抗原によって測定された好中球の細胞密度(CD45
+/Ly6G
+)の結果が示されている。結果によると、好中球の細胞数の抑制について、AG02−RA1が単独で5mg使用される場合に好中球数の抑制に対する効果が最も良く、次に、AG04−RA1が単独で5mg使用される場合に好中球数の抑制に対する効果も悪くないことは明らかである。
【0040】
図3と4は、抗痛風可能な治療効果を検討するように、異なる試験サンプルを適用することでそれぞれ検知されたインターロイキン−1β(mIL−1β)分泌量とインターロイキン−6(mIL−6)分泌量をヒストグラムで示されるものである。
図3−4に示されたパーセントは抑制率(%)であり、そして図面における*は当該組と空白対照組とを比較すると顕著な差異(P<0.05)があることを表す。インターロイキン−1βは痛みと明らかな相関関係にあることが知られており、痛風症状に関して主に監視される指標の一つであり、結果によると、インターロイキン−1βの抑制についてもまたはインターロイキン−6の抑制についても、AG02−RA1とAG04−RA1がそれぞれ2.5mgで一緒に使用される場合にインターロイキン−1βの抑制及びインターロイキン−6の抑制に対する効果が最も良く、抑制率がそれぞれ70%と80%であることは明らかである。次に、AG04−RA1が単独で5mg使用される場合にも良い抑制効果がある(抑制率>50%)。
【0041】
実施例5 動物モデルにおけるp−クマリルジアセテートとオバトジオリドによる組成物の比例配分の活性の評価
方法としては実施例4の動物モデルを参考し、繰り返して説明しないが、テストするものだけを実施例4の各比例の組み合わせに変わって活性の評価を行って、その結果は以下の通りである。前の実験では、AG02−RA1とAG04−RA1が一緒に使用される場合の効果が単独で使用される場合より良いことが検出された。次に、下記実験では、AG02−RA1とAG04−RA1の異なる比例の組み合わせ(表1の番号4、5、6で示すような配合)での抗痛風治療効果を検討し、最も良い比例配分と有効な比例配分の範囲を見つけるように、それぞれAG02−RA1:AG04−RA1の比例が80:20、75:25、50:50である比例配分をテストする。例えば、試験サンプル全体の重量100mgで、番号4のサンプルにはAG02−RA1を4mg、及びAG04−RA1を1mg含み、そして、含まれるAG02−RA1とAG04−RA1の総重量が5mgで、試験ペースト状サンプルの総重量の約5%を占める。そのほかの番号の重量比を類推する。
【0042】
下記表4には、AG02−RA1とAG04−RA1が異なる比例で一緒に使用される場合について、白血球(leukocyte)表面抗原によって測定された白血球の細胞密度(CD45
+)の結果が示されている。結果によると、白血球数の抑制について、一緒に使用されるAG02−RA1とAG04−RA1の比例が80:20及び75:25である比例配分も有効範囲に属しており、抑制効果が受け容れる範囲に属することは明らかである。
【0044】
実験結果から見れば、下記表5には、AG02−RA1とAG04−RA1が異なる比例で一緒に使用される場合について、好中球(neutrophil)表面抗原によって測定された好中球の細胞密度(CD45
+/Ly6G
+)の結果が示されている。結果によると、好中球の細胞数の抑制について、一緒に使用されるAG02−RA1とAG04−RA1の比例が80:20及び75:25である比例配分も有効範囲に属しており、抑制効果が受け容れる範囲に属することは明らかである。
【0046】
図5と
図6は、抗痛風可能な治療効果を検討するように、異なる試験サンプルを適用することでそれぞれ検知されたインターロイキン−1β(mIL−1β)分泌量とインターロイキン−6(mIL−6)分泌量をヒストグラムで示されるものである。
図5−6に示されたパーセントは抑制率(%)である。結果によると、インターロイキン−1βの抑制についてもまたはインターロイキン−6の抑制についても、一緒に使用されるAG02−RA1とAG04−RA1の比例が80:20及び75:25である比例配分も有効範囲に属しており、抑制効果が受け容れる範囲に属することは明らかである。つまり、AG04−RA1が占める比例は20%と低い場合には、抑制機能がある範囲にも属す。
【0047】
実施例6 動物モデルにおけるp−クマリルジアセテートとオバトジオリドによる組成物の純度の活性の評価
方法としては実施例4の動物モデルを参考し、繰り返して説明しないが、その結果は以下の通りである。前述の実験では、配合にAG02−RA1とAG04−RA1を一緒に使用すれば極めて良い抗痛風効果を有することが検出されており、さらに、使用されるAG02−RA1とAG04−RA1の純度についてその抗痛風治療効果を評価する。本実験は異なる純度のAG02−RA1:AG04−RA1の比例が50:50である合成配合(表1の番号6、7で示すような配合)についてその抗痛風治療効果を比較する。
【0048】
テストの結果は以下の通りである。下記表6には、異なる純度のAG02−RA1とAG04−RA1を一緒に使用する場合について、白血球(leukocyte)表面抗原によって測定された白血球の細胞密度(CD45
+)の結果が示されている。結果によると、白血球数の抑制について、AG02−RA1とAG04−RA1の純度が高いほど、その抑制効果が良いことは明らかである。
【0050】
実験結果から見れば、下記表7には、異なる純度のAG02−RA1とAG04−RA1を一緒に使用する場合について、好中球(neutrophil)表面抗原によって測定された好中球の細胞密度(CD45
+/Ly6G
+)の結果が示されている。結果によると、好中球の細胞数の抑制について、AG02−RA1とAG04−RA1の純度が高いほど、その抑制効果が良いことは明らかである。
【0052】
図7と
図8は、抗痛風可能な治療効果を検討するように、異なる試験サンプルを適用することでそれぞれ検知されたインターロイキン−1β(mIL−1β)分泌量とインターロイキン−6(mIL−6)分泌量をヒストグラムで示されるものである。
図7−8に示されたパーセントは抑制率(%)であり、そして図面における*は当該組と空白対照組とを比較すると顕著な差異(P<0.05)があることを表す。
図7−8の結果によると、インターロイキン−1βの抑制についてもまたはインターロイキン−6の抑制についても、AG02−RA1とAG04−RA1の純度が高いほど、その抑制効果が良いことは明らかである。
【0053】
以上によって、本発明の実験によれば、p−クマリルジアセテートを含有する組成物は、痛風を緩和または治療することに確実に有用であり、そして、さらにオバトジオリドと配合して使用される時に、その効果が一層顕著であることが確認されると分かる。本発明の組成物は痛風緩和・治療薬物として開発される甲斐が実にあることが発現される。
【0054】
本発明で提供される組成物は、その用量や各成分の比例が本発明実施例に示されるものに限らないとともに、医薬的に受け容れるビヒクルまたはそのほかの化学薬品と自由に配合できる。
【0055】
本発明は実施例によって以上のように実施されたが、これが本発明を限定するために用いられることなく、いかなる当業者が本発明の精神と範囲から逸脱することなく若干の変更及び修飾することができることが当然であるので、本発明で保護される範囲は下に添付された特許請求の範囲によって定義されたものを基準にすべきである。
【手続補正書】
【提出日】2016年11月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
痛風緩和・治療薬物を調製するために用いられる医薬組成物の使用であって、前記医薬組成物が活性成分としてp−クマリルジアセテートを含む、医薬組成物の使用。
【請求項2】
前記医薬組成物がオバトジオリドをさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項3】
p−クマリルジアセテートとオバトジオリドとの重量比が10:90〜85:15である、請求項2に記載の医薬組成物の使用。
【請求項4】
p−クマリルジアセテートとオバトジオリドとの重量比が50:50である、請求項3に記載の医薬組成物の使用。
【請求項5】
p−クマリルジアセテートが化学合成または植物から抽出して得られる、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項6】
p−クマリルジアセテートがナンキョウ(Alpinia galanga)植物から抽出して得られる、請求項5に記載の医薬組成物の使用。
【請求項7】
オバトジオリドが化学合成または植物から抽出して得られる、請求項2に記載の医薬組成物の使用。
【請求項8】
オバトジオリドがブソロイバナ(Anisomeles indica)植物から抽出して得られる、請求項7に記載の医薬組成物の使用。
【請求項9】
p−クマリルジアセテートとオバトジオリドとを含む医薬組成物であって、p−クマリルジアセテートとオバトジオリドとの重量比が10:90〜85:15である、痛風を緩和または治療する医薬組成物。
【請求項10】
p−クマリルジアセテートとオバトジオリドとの重量比が50:50である、請求項9に記載の痛風を緩和または治療する医薬組成物。
【請求項11】
p−クマリルジアセテートが化学合成または植物から抽出して得られる、請求項9に記載の痛風を緩和または治療する医薬組成物。
【請求項12】
p−クマリルジアセテートがナンキョウ植物から抽出して得られる、請求項11に記載の痛風を緩和または治療する医薬組成物。
【請求項13】
オバトジオリドが化学合成または植物から抽出して得られる、請求項9に記載の痛風を緩和または治療する医薬組成物。
【請求項14】
オバトジオリドがブソロイバナ植物から抽出して得られる、請求項13に記載の痛風を緩和または治療する医薬組成物。
【国際調査報告】