【課題を解決するための手段】
【0026】
したがって、本発明は、50wt%超の式(I)
【化1】
の1−デセントリマーを含み、標準ASTM D445に関連して測定して、100℃で3〜4mm
2・s
-1の範囲の動粘度を有する油を提供する。
【0027】
本発明の油は、3〜4mm
2・s
-1の範囲の特に有利な動粘度を有する。より有利には、本発明の油の動粘度は、3.2〜3.8mm
2・s
-1の範囲である。好ましくは、本発明の油の動粘度は、3.4mm
2・s
-1、3.5mm
2・s
-1又は3.6mm
2・s
-1である。
【0028】
また有利には、本発明の油は、120超又は120〜140又は125〜135の粘度指数を有する。好ましくは、本発明の油の粘度指数は130以上である。
【0029】
一般に、本発明によれば、粘度指数は標準ASTM D2270に関連して計算される。
【0030】
また有利には、本発明の油は、標準ASTM D6375に従って測定して、10.8mass%未満の揮発度を有する。好ましくは、本発明の油の揮発度は10.5mass%未満である。
【0031】
また有利には、本発明の油は、標準ASTM D5293に関連して測定して、−35℃で900mPa・s未満のコールドクランキング粘度(CCS)を有する。好ましくは、本発明の油のコールドクランキング粘度は、800mPa・s未満である。本発明によれば、本発明の油のコールドクランキング粘度は、回転動的粘度計(CCSコールドクランキングシミュレーター)において測定される。
【0032】
また有利には、本発明の油は、300〜1000g/mol、好ましくは350〜450g/molの範囲の平均分子量を有する。一般に、本発明では、平均分子量はASTM D2502に関連して計算される。
【0033】
また有利には、本発明の油は、−50℃以下、好ましくは−55℃又は−57℃以下の流動点を有する。一般に、本発明によれば、流動点は、標準EN ISO3016に従って測定される。
【0034】
有利には、本発明は、
(a)ASTM D445に従って測定して、100℃で3.2〜3.8mm
2・s
-1の範囲の動粘度と、
(b)120超の粘度指数と、
(c)標準ASTM D6375に従って測定して、10.8mass%未満の揮発度と、
(d)標準ASTM D5293に従って測定して、−35℃で900mPa・s未満のコールドクランキング粘度(CCS)と
を組み合わせた油を提供する。
【0035】
また有利には、本発明は、これらの性質、(a)と(b);(a)と(c);(a)と(d);(b)と(c);(b)と(d);(c)と(d);(a)と(b)と(c);(a)と(b)と(d);(a)と(c)と(d);(b)と(c)と(d)を組み合わせた油を提供する。
【0036】
好ましくは、本発明は、
(a)標準ASTM D445に従って測定して、100℃で3.4mm
2・s
-1、3.5mm
2・s
-1又は3.6mm
2・s
-1の動粘度と、
(b)130以上の粘度指数と、
(c)標準ASTM D6375に従って測定して、10.5mass%未満の揮発度と、
(d)標準ASTM D5293に従って測定して、−35℃で900mPa・s未満のコールドクランキング粘度(CCS)と
を組み合わせた油を提供する。
【0037】
また好ましくは、本発明は、これらの性質、(a)と(b);(a)と(c);(a)と(d);(b)と(c);(b)と(d);(c)と(d);(a)と(b)と(c);(a)と(b)と(d);(a)と(c)と(d);(b)と(c)と(d)を組み合わせた油を提供する。
【0038】
有利には、本発明の油は、65wt%以上の式(I)の1−デセントリマー、又は、70wt%以上の式(I)の1−デセントリマーを含む。より有利には、本発明の油は、80wt%以上の式(I)の1−デセントリマー、又は、90wt%以上の式(I)の1−デセントリマーを含む。
【0039】
好ましくは、本発明の油は、50〜99wt%の式(I)の1−デセントリマーを含む。より好ましくは、本発明の油は、60〜90wt%の式(I)の1−デセントリマーを含む。さらに好ましくは、本発明の油は、70〜90wt%の式(I)の1−デセントリマーを含む。
【0040】
また好ましくは、本発明の油は、60〜95wt%、60〜80wt%、70〜95wt%、70〜80wt%、75〜95wt%、又は75〜80wt%の式(I)の1−デセントリマーを含む。
【0041】
式(I)の1−デセントリマーに加えて、本発明の油は、1−デセンのオリゴマー化から誘導された他のオリゴマーを含むことができる。
【0042】
例えば、本発明の油は、少なくとも1種の他の1−デセンの飽和オリゴマーを含むことができる。好ましくは、この他の1−デセンの飽和オリゴマーは、その他の1−デセンの飽和トリマーの中から選択することができる。それはまた、1−デセンのダイマー、その他の1−デセンのトリマー、1−デセンのテトラマー、1−デセンのペンタマーのより広いグループから選択することができる。
【0043】
好ましくは、本発明の油はまた、9−メチル−ノナデカン及び9−メチル−11,13−ジオクチル−トリコサンの中から選択される、少なくとも1種の他の1−デセンの飽和オリゴマーを含むことができる。追加的に、本発明の油は、より大きいサイズの他の1−デセンのオリゴマーを含むことができる。
【0044】
特に有利には、本発明の油は、
・51〜99.9wt%、好ましくは70〜90wt%の式(I)の1−デセントリマーと、
・0.1〜49wt%、好ましくは10〜30wt%の少なくとも1種の他の1−デセンの飽和トリマーと
を含む。
【0045】
また有利には、本発明の油は、
・51〜99.6wt%の式(I)の1−デセントリマーと、
・0.1〜1wt%の少なくとも1種の1−デセンの飽和ダイマー、例えば、9−メチル−ノナデカンと、
・0.1〜25wt%の少なくとも1種の他の1−デセンの飽和トリマーと、
・0.1〜20wt%の少なくとも1種の1−デセンの飽和テトラマー、例えば、9−メチル−11,13−ジオクチル−トリコサンと、
・0.1〜1.5wt%の少なくとも1種の1−デセンの飽和ペンタマーと
を含む。
【0046】
本質的特性として、本発明の油は、50wt%超の9−メチル−11−オクチル−ヘンイコサンを含む。好ましくは、50wt%超の9−メチル−11−オクチル−ヘンイコサンを含む本発明の油は、
・水素(H
2)、メタロセン触媒、及び活性剤化合物の存在下、又は、水素(H
2)、メタロセン触媒、活性剤化合物及び共活性剤(co−activator)化合物の存在下で、1−デセンをオリゴマー化する工程と、
・水素(H
2)と、水素化触媒及びパラジウム含有水素化触媒の中から選択される触媒との存在下で、オリゴマー化生成物を接触水素化する工程と、
・50wt%超の式(I)
【化2】
の1−デセントリマーを含むトリマー留分を、減圧蒸留を通じて分離する工程と
を含む方法に続いて調製される。
【0047】
好ましくは、1−デセンのオリゴマー化は、式(II)
L(Q
1)(Q
2)MR
1R
2
(II)
のラセミ化合物であるメタロセン触媒の存在下で行われ、式中、
Mが、チタン、ジルコニウム、ハフニウム及びバナジウムの中から選択される遷移金属であるか、又はジルコニウムであり、
Q
1及びQ
2が、独立して、置換若しくは無置換の環状テトラヒドロインデニル基であるか、又は、Q
1及びQ
2が、独立して、環状テトラヒドロインデニル基であり、多環状構造を形成するように結合され、
Lが、Q
1及びQ
2を架橋するC
1〜C
20の2価アルキル基であるか、又は、Lが、メチレン(−CH
2−)、エチレン(−CH
2−CH
2−)、メチルメチレン(−CH(CH
3)−)、1−メチル−エチレン(−CH(CH
3)−CH
2−)、n−プロピレン(−CH
2−CH
2−CH
2−)、2−メチルプロピレン(−CH
2−CH(CH
3)−CH
2−)、3−メチルプロピレン(−CH
2−CH
2−CH(CH
3)−)、n−ブチレン(−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−)、2−メチルブチレン(−CH
2−CH(CH
3)−CH
2−CH
2−)、4−メチルブチレン(−CH
2−CH
2−CH
2−CH(CH
3)−)、ペンチレン及びそれらの異性体、ヘキシレン及びそれらの異性体、ヘプチレン及びそれらの異性体、オクチレン及びそれらの異性体、ノニレン及びそれらの異性体、デシレン及びそれらの異性体、ウンデシレン及びそれらの異性体、ドデシレン及びそれらの異性体の中から選択される基であり、
R
1及びR
2が、独立して、置換若しくは無置換の、水素、ハロゲン(例えば、Cl及びI)、アルキル(例えば、Me、Et、nPr、iPr)、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、シリルアルキル、シリルアルケニル、シリルアルキニル、ゲルミルアルキル、ゲルミルアルケニル、ゲルミルアルキニルの中から選択される原子若しくは基であるか、又は、Mと共にR
1及びR
2が3〜20個の炭素原子を含むメタラサイクルを形成する。
【0048】
より好ましくは、メタロセン触媒は、式(II)のラセミ化合物であり、式中、
Mがジルコニウムであり、
Q
1及びQ
2が、独立して、置換又は無置換の環状テトラヒドロインデニル基であり、
Lが、メチレン(−CH
2−)、エチレン(−CH
2−CH
2−)、メチルメチレン(−CH(CH
3)−)、1−メチル−エチレン(−CH(CH
3)−CH
2−)、n−プロピレン(−CH
2−CH
2−CH
2−)、2−メチルプロピレン(−CH
2−CH(CH
3)−CH
2−)、3−メチルプロピレン(−CH
2−CH
2−CH(CH
3)−)、n−ブチレン(−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−)、2−メチルブチレン(−CH
2−CH(CH
3)−CH
2−CH
2−)、4−メチルブチレン(−CH
2−CH
2−CH
2−CH(CH
3)−)、ペンチレン及びそれらの異性体、ヘキシレン及びそれらの異性体、ヘプチレン及びそれらの異性体、オクチレン及びそれらの異性体、ノニレン及びそれらの異性体、デシレン及びそれらの異性体、ウンデシレン及びそれらの異性体、ドデシレン及びそれらの異性体の中から選択される基であり、
R
1及びR
2が、独立して、置換若しくは無置換の、ハロゲン原子(例えば、Cl及びI)、又はアルキル基(例えば、Me、Et、nPr、iPr)である。
【0049】
さらに好ましくは、メタロセン触媒は、rac−エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル及びrac−エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドの中から選択され、特に、rac−エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチルである。
【0050】
本発明の方法については、触媒は、1−デセンのオリゴマー化に対し活性形態で使用される。したがって、本発明の方法は、1−デセンのオリゴマー化のための活性剤化合物を使用する。
【0051】
有利には、活性剤化合物は、アルモキサン、イオン性活性剤、及びそれらの混合物の中から選択される。
【0052】
好ましくは、本発明の方法について、アルモキサンは、式−Al(R)−O−(式中、Rは、独立して、環状又は直鎖状C
1〜C
20アルキル基である)の残留物を含むオリゴマー化合物である。好ましくは、アルモキサンは、メチルアルモキサン、修飾メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン及びそれらの混合物の中から選択される。
【0053】
また好ましくは、アルモキサンは、1〜10000の範囲、好ましくは10〜3000、及びより好ましくは100〜1500のアルモキサン/触媒モル比で使用される。
【0054】
好ましくは、本発明の方法については、活性剤化合物はイオン性活性剤である。イオン活性剤は、ジメチルアニリニウムテトラキス−(ペルフルオロフェニル)ボレート(DMAB)、トリフェニルカルボニウムテトラキス−(ペルフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス−(ペルフルオロフェニル)アルミネート、及びそれらの混合物の中から選択することができる。より好ましくは、イオン活性剤は、ジメチルアニリニウムテトラキス−(ペルフルオロフェニル)ボレート(DMAB)である。
【0055】
また好ましくは、イオン性活性剤は0.5〜4、好ましくは0.8〜1.2の範囲のイオン性活性剤/触媒のモル比で使用される。
【0056】
1−デセンのオリゴマー化については、本発明の方法では活性剤化合物を使用する。特に、イオン性活性剤を使用する場合、共活性剤化合物を使用することがまた有利になることがある。
【0057】
好ましくは、共活性剤化合物は、トリアルキルアルミニウム誘導体である。より好ましくは、共活性剤化合物は、トリ−エチルアルミニウム(TEAL)、トリ−イソ−ブチルアルミニウム(TIBAL)、トリ−メチルアルミニウム(TMA)、トリ−n−オクチルアルミニウム及びメチル−メチル−エチルアルミニウム(MMEAL)の中から選択される。有利には、トリ−イソ−ブチルアルミニウム(TIBAL)を、10〜60wt%の範囲で分散体の形態で使用することができる。
【0058】
また好ましくは、共活性剤化合物は、10〜1000、好ましくは20〜200の範囲の共活性剤化合物/触媒のモル比で使用される。
【0059】
有利には、メタロセン触媒及び活性剤化合物は、任意選択で共活性剤化合物の存在下で、1barの圧力かつ20℃の温度で接触する。
【0060】
有利には、1−デセンのオリゴマー化は2〜300分間の範囲の時間にわたって行われる。好ましくは、オリゴマー化の時間は5〜180分間、特に、30〜140分間の範囲である。
【0061】
また有利には、1−デセンのオリゴマー化は、0.1〜20barの範囲の分圧の水素(H
2)の存在下で行われる。好ましくは、水素(H
2)の分圧は1〜6barの範囲である。
【0062】
また有利には、オリゴマー化は100ppm超又は600ppm未満の水素/1−デセンの質量比で行われる。好ましくは、この比は100〜600ppmである。
【0063】
また好ましくは、1−デセンのオリゴマー化は、50〜200℃、好ましくは70〜160℃の範囲の温度で行われる。より好ましくは、1−デセンのオリゴマー化のための温度は80〜150℃、さらに好ましくは90〜140℃又は100〜130℃の範囲である。
【0064】
1−デセンのオリゴマー化を1−デセン中で行うことができ、次いで、それは反応のための基材として使用される。次いで、反応は、有利には、任意の溶媒なしで行われる。
【0065】
1−デセンのオリゴマー化はまた、溶媒中で行うことができる。好ましくは、溶媒は、直鎖状又は分枝状の炭化水素、環状又は非環状の炭化水素、芳香族アルキル化物及びそれらの混合物の中から選択することができる。1−デセンのオリゴマー化のための好ましい溶媒として、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、トルエン、キシレン及びそれらの混合物の中から選択される溶媒を使用することが好ましい。
【0066】
1−デセンのオリゴマー化の後、本発明の方法は、オリゴマー化生成物の接触水素化が適用される。オリゴマー化生成物の接触水素化は、水素(H
2)及び水素化触媒の存在下で行われる。
【0067】
好ましくは、水素化触媒は、パラジウムの誘導体、担持パラジウムの誘導体、アルミナ担持パラジウムの誘導体(例えば、ガンマアルミナ上)、ニッケルの誘導体、担持ニッケルの誘導体、珪藻土担持ニッケルの誘導体、白金の誘導体、担持白金の誘導体、コバルト−モリブデンの誘導体、担持コバルト−モリブデンの誘導体の中から選択される。
【0068】
より好ましくは、水素化触媒はパラジウムを含む。1つの特に好ましい水素化触媒はアルミナ担持パラジウム(例えば、ガンマアルミナ上)を含む。
【0069】
また好ましくは、オリゴマー化生成物の接触水素化のための水素(H
2)の圧力は5〜50bar、好ましくは10〜40bar、特に15〜25barの範囲である。
【0070】
1−デセンのオリゴマー化及びオリゴマー化生成物の接触水素化の後、本発明の方法は、減圧蒸留を通じて、50wt%超の式(I)の1−デセントリマーを含むトリマー留分の分離を含む。
【0071】
蒸留による分離は減圧で行われる。有利には、蒸留による分離は、標準ASTM D2892又は標準ASTM D5236に関連して行われる。
【0072】
より有利には、分離は2つの工程で、すなわち、標準ASTM D2892に従った蒸留と、その後の標準ASTM D5236に従った蒸留とを通じて行われる。
【0073】
好ましくは、標準ASTM D2892に従った蒸留を通じて分離した場合、初留点(IBP)は370℃未満、好ましくは375℃未満である。分圧は、有利には、0.67mBar(0.5mmHg)未満である。
【0074】
ASTM D2892に関する蒸留は、これらの温度より低い沸点を有する生成物の分離を可能とする。
【0075】
好ましくは、標準ASTM D5236に関連する蒸留によって分離した場合、初留点(IBP)は、360〜485℃、好ましくは370〜480℃又は370〜470℃である。より好ましくは、初留点は、標準ASTM D5236に従った蒸留を通じて分離した場合、375℃〜465℃である。分圧は、有利には、0.67mBar(0.565mmHg)未満である。
【0076】
好ましくは、標準ASTM D5236に従った蒸留による分離は、50wt%超の式(I)の1−デセントリマーを含むトリマー留分の分離を可能とする。
【0077】
したがって、減圧蒸留による分離は、1−デセンのオリゴマー化から誘導されたトリマー留分の分離、その後、オリゴマー化生成物の水素化を可能とする。このトリマー留分は50wt%超の式(I)の1−デセントリマーを含む。
【0078】
1−デセンオリゴマー化、オリゴマー化生成物の接触水素化、及び、減圧蒸留による50wt%超の式(I)の1−デセントリマーを含むトリマー留分の分離の工程に加えて、本発明の方法は、有利には、他の工程を含むことができる。例えば、本発明の方法はまた、以下の工程
・エチレンの触媒オリゴマー化を通じて1−デセンを事前調製する工程、
・1−デセンのオリゴマー化の後又はオリゴマー化生成物の接触水素化の後、触媒を不活性化する工程、
・減圧蒸留によって分離された、1−デセンのダイマー留分(例えば、9−メチル−ノナデカン)を再利用して、この1−デセンダイマーの再利用留分を、水素(H
2)、メタロセン触媒及び活性化合物の存在下で、又は、水素(H
2)、メタロセン触媒、活性剤化合物及び共活性剤化合物の存在下で、1−デセンでオリゴマー化する工程
・水素(H
2)と、水素化触媒及びパラジウム含有水素化触媒の中から選択される触媒との存在下で、50wt%超の式(I)の1−デセントリマーを含むトリマー留分を最終水素化する工程
の全部又は一部を組み合わせることができる。
【0079】
エチレンの触媒オリゴマー化による1−デセンの事前調製それ自体は知られる。それは、本発明の方法のその他の工程と組み合わせることで特に有利であることを証明することができる。このエチレンの触媒オリゴマー化による1−デセンの事前調製は、初期基材のより豊富な供給源の使用を特に可能とする。
【0080】
それに加えて、好ましくは、いったん1−デセンのオリゴマー化が完了した場合、本発明の方法は、触媒の不活性化を含むことがある。
【0081】
オリゴマー化触媒の不活性化は、1−デセンのオリゴマー化の後又はオリゴマー化生成物の接触水素化の後に行うことができる。好ましくは、オリゴマー化触媒の不活性化は、1−デセンのオリゴマー化の後、かつ、オリゴマー化生成物の接触水素化の前に行われる。
【0082】
有利には、触媒の不活性化は、空気若しくは水の作用により、又は、少なくとも1種のアルコール若しくは不活性剤の溶液を使用して得られる。好ましくは、触媒の不活性化は少なくとも1種のアルコール(例えば、イソプロパノール)を使用して得られる。
【0083】
特に有利な手段において、本発明の方法はまた、減圧蒸留を通じて分離された1−デセンのダイマー留分を再利用して、その後、この1−デセンの再利用ダイマー留分を1−デセンでオリゴマー化することを含むことができる。好ましくは、この1−デセンダイマーの再利用留分は、9−メチル−ノナデカンを含む。
【0084】
次いで、この1−デセンのダイマーの再利用留分のオリゴマー化は、水素(H
2)、メタロセン触媒及び活性剤化合物の存在下で、又は、水素(H
2)、メタロセン触媒、活性剤化合物及び共活性剤化合物の存在下で行うことができる。
【0085】
この1−デセンのダイマーの再利用留分のオリゴマー化は、1−デセンのオリゴマー化反応器中又は1つ若しくは複数の分離反応器中で行うことができる。好ましくは、それは、1−デセンのオリゴマー化反応器中で、かつ、この1−デセンのオリゴマー化と同一の条件下で行われる。
【0086】
特に有利な手段において、再利用した後に、この1−デセンダイマーの再利用留分を1−デセンでオリゴマー化することは、本発明の調製方法の全体の生産量における改善、それによって、50wt%超の9−メチル−11−オクチル−ヘンイコサンを含む本発明の油のより大量の生産を可能とする。
【0087】
また好ましくは、本発明の方法は、50wt%超の式(I)の1−デセントリマーを含むトリマー留分の最終水素化工程を含むことができる。この最終水素化は、水素(H
2)及び水素化触媒の存在下で行われる。
【0088】
好ましくは、水素化触媒は、パラジウム誘導体、担持パラジウムの誘導体、アルミナ担持パラジウムの誘導体(例えば、ガンマアルミナ上)、ニッケル誘導体、担持ニッケルの誘導体、珪藻土担持ニッケルの誘導体、白金誘導体、担持白金の誘導体、コバルト−モリブデン誘導体、担持コバルト−モリブデンの誘導体の中から選択される。より好ましくは、水素化触媒はパラジウムを含有する。1つの特に好ましい触媒は、アルミナ担持パラジウム(例えば、ガンマアルミナ上)を含む。
【0089】
水素化触媒は、有利には、1−デセンのオリゴマー化の後に続く水素化に対して使用される水素化触媒と同一である。
【0090】
有利には、最終水素化については、水素(H
2)の圧力は5〜50bar又は10〜40bar、好ましくは15〜25barの範囲である。
【0091】
また有利には、最終水素化については、水素化の時間は、2〜600分間、好ましくは30〜300分間である。
【0092】
有利には、最終水素化については、温度は50〜200℃又は60〜150℃の範囲である。好ましくは、温度は70〜140℃又は80〜120℃の範囲である。
【0093】
好ましくは、本発明の油は、
・1−デセンのオリゴマー化が、2〜300分間若しくは5〜180分間若しくは30〜140分間の範囲の時間にわたって行われるか、又は、
・1−デセンのオリゴマー化が、0.1〜20bar若しくは1〜6barの範囲の分圧の水素(H
2)の存在下で行われるか、又は、
・オリゴマー化が、100ppm超若しくは600ppm未満、若しくは、100〜600ppmの水素/1−デセンの質量比で、水素(H
2)の存在下で行われるか、又は、
・1−デセンのオリゴマー化が、50〜200℃若しくは70〜160℃若しくは80〜150℃若しくは90〜140℃若しくは100〜130℃の範囲の温度で行われるか、又は、
・メタロセン触媒が式(II)
L(Q
1)(Q
2)MR
1R
2
(II)
のラセミ化合物であり、式中、
Mが、チタン、ジルコニウム、ハフニウム及びバナジウムの中から選択される遷移金属であるか、又はそれがジルコニウムであり、
Q
1及びQ
2が、独立して、置換若しくは無置換の環状テトラヒドロインデニル基であるか、又は、Q
1及びQ
2が、独立して、環状テトラヒドロインデニル基であり、多環状構造を形成するように結合され、
Lが、Q
1及びQ
2を架橋するC
1〜C
20の2価アルキル基であるか、又は、Lが、メチレン(−CH
2−)、エチレン(−CH
2−CH
2−)、メチルメチレン(−CH(CH
3)−)、1−メチル−エチレン(−CH(CH
3)−CH
2−)、n−プロピレン(−CH
2−CH
2−CH
2−)、2−メチルプロピレン(−CH
2−CH(CH
3)−CH
2−)、3−メチルプロピレン(−CH
2−CH
2−CH(CH
3)−)、n−ブチレン(−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−)、2−メチルブチレン(−CH
2−CH(CH
3)−CH
2−CH
2−)、4−メチルブチレン(−CH
2−CH
2−CH
2−CH(CH
3)−)、ペンチレン及びそれらの異性体、ヘキシレン及びそれらの異性体、ヘプチレン及びそれらの異性体、オクチレン及びそれらの異性体、ノニレン及びそれらの異性体、デシレン及びそれらの異性体、ウンデシレン及びそれらの異性体、ドデシレン及びそれらの異性体の中から選択される基であり、
R
1及びR
2が、独立して、置換若しくは無置換の、水素、ハロゲン(例えば、Cl及びI)、アルキル(例えば、Me、Et、nPr、iPr)、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、シリルアルキル、シリルアルケニル、シリルアルキニル、ゲルミルアルキル、ゲルミルアルケニル、ゲルミルアルキニルの中から選択される原子若しくは基であるか、又は、Mと共にR
1及びR
2が3〜20個の炭素原子を有するメタラサイクルを形成するか、あるいは、
メタロセン触媒が、rac−エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル及びrac−エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドの中から選択されるか、又は、
・1−デセンのオリゴマー化が、直鎖状若しくは分枝状の炭化水素、環状若しくは非環状の炭化水素、芳香族アルキル化物及びそれらの混合物の中から選択される溶媒中、若しくは、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、トルエン、キシレン及びそれらの混合物の中から選択される溶媒中で行われるか、又は、
・活性剤化合物が、イオン性活性剤及び式−Al(R)−O−(式中、Rが、独立して、環状若しくは直鎖状C
1〜C
20アルキル基である)の残留物を含むオリゴマー化合物から選択され、若しくは、活性剤化合物が、メチルアルモキサン、修飾メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン及びそれらの混合物の中から選択され、若しくは、活性剤化合物が、ジメチルアニリニウムテトラキス−(ペルフルオロフェニル)ボレート(DMAB)、トリフェニルカルボニウムテトラキス−(ペルフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス−(ペルフルオロフェニル)アルミネート、及びそれらの混合物の中から選択されるか、又は、
・共活性剤化合物が、トリアルキルアルミニウム誘導体若しくはトリ−エチルアルミニウム(TEAL)、トリ−イソ−ブチルアルミニウム(TIBAL)、トリ−メチルアルミニウム(TMA)、トリ−n−オクチルアルミニウム及びメチル−メチル−エチルアルミニウム(MMEAL)の中から選択される化合物であるか、又は、
・触媒の不活性化が、水若しくは空気の作用により、若しくは、少なくとも1種のアルコール若しくは不活性剤の溶液を使用して得られるか、又は、
・オリゴマー化生成物の接触水素化の間の水素(H
2)の圧力が、5〜50bar若しくは10〜40bar若しくは15〜25barの範囲であるか、又は、
・水素化触媒が、パラジウム誘導体、担持パラジウムの誘導体、アルミナ担持パラジウムの誘導体(例えば、ガンマアルミナ上)、ニッケル誘導体、担持ニッケルの誘導体、珪藻土担持ニッケルの誘導体、白金誘導体、担持白金の誘導体、コバルト−モリブデン誘導体、担持コバルト−モリブデンの誘導体の中から選択されるか、又は、
・質量で過半数の割合の式(I)の1−デセントリマーの最終水素化のための水素(H
2)の圧力が、5〜50bar若しくは10〜40bar若しくは15〜25barの範囲であるか、又は、
・最終水素化のための水素化の時間が、2〜600分間、若しくは、30〜300分間であるか、又は、
・最終水素化の最後が、50〜200℃若しくは60〜150℃若しくは70〜140℃若しくは80〜120℃の範囲の温度で行われるか、又は、
・50wt%超の式(I)の1−デセントリマーを含むトリマー留分の最終水素化のための水素化触媒が、パラジウム誘導体、担持パラジウムの誘導体、アルミナ担持パラジウムの誘導体(例えば、ガンマアルミナ上)、ニッケル誘導体、担持ニッケルの誘導体、珪藻土担持ニッケルの誘導体、白金誘導体、担持白金の誘導体、コバルト−モリブデン誘導体、担持コバルト−モリブデンの誘導体の中から選択される
方法を使用して調製される。
【0094】
より好ましくは、本発明の油は、全てのこれらの特性を組み合わせた方法を使用して調製される。
【0095】
さらに好ましくは、本発明の油は、
・1−デセンのオリゴマー化が30〜140分間の範囲の時間にわたって行われ、
・1−デセンのオリゴマー化が1〜6barの範囲の分圧の水素(H
2)の存在下で行われ、
・1−デセンのオリゴマー化が100〜600ppmの水素/1−デセンの質量比で行われ、
・1−デセンのオリゴマー化が100〜130℃の範囲の温度で行われ、
・メタロセン触媒が、rac−エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル及びrac−エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライドの中から選択され、
・1−デセンのオリゴマー化が、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、トルエン、キシレン及びそれらの混合物の中から選択され、
・活性剤化合物が、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス−(ペルフルオロフェニル)アルミネート、及びそれらの混合物の中から選択されるイオン性活性剤の中から選択され、
・共活性剤化合物が、トリ−エチルアルミニウム(TEAL)、トリ−イソ−ブチルアルミニウム(TIBAL)、トリ−メチルアルミニウム(TMA)、トリ−n−オクチルアルミニウム及びメチル−メチル−エチルアルミニウム(MMEAL)の中から選択される化合物であり、
・触媒の不活性化が、少なくとも1種のアルコールを使用して得られ、
・オリゴマー化生成物の接触水素化のための水素(H
2)の圧力が15〜25barの範囲であり、
・水素化触媒が、アルミナ担持パラジウムの誘導体(例えば、ガンマアルミナの上)であり、
・質量で過半数の割合の式(I)の1−デセントリマーの最終水素化のための水素(H
2)の圧力が15〜25barであり、
・最終水素化のための水素化の時間が30〜300分間であり、
・最終水素化が80〜120℃の範囲の温度で行われ、
・50wt%超の式(I)の1−デセントリマーを含むトリマー留分の最終水素化のための水素化触媒が、アルミナ担持パラジウムの誘導体(例えば、ガンマアルミナの上)である
方法を使用して調製される。
【0096】
特に有利な手段において、本発明の油は、
・エチレンの触媒オリゴマー化を通じて1−デセンを事前調製する工程、
・1−デセンのオリゴマー化の後、かつ、オリゴマー化生成物の接触水素化の前に触媒を不活性化する工程、
・減圧蒸留によって分離された、1−デセンのダイマー留分(例えば、9−メチル−ノナデカン)を再利用して、この1−デセンダイマーの再利用留分を、水素(H
2)、メタロセン触媒、活性剤化合物及び共活性剤化合物の存在下で、1−デセンでオリゴマー化する工程、
・水素(H
2)と、水素化触媒及びアルミナ担持パラジウム(例えば、ガンマアルミナ上)を含有する水素化触媒の中から選択される触媒との存在下で、50wt%超の式(I)の1−デセントリマーを含むトリマー留分を最終水素化する工程
をまた含む方法を使用して調製される。
【0097】
本発明はまた、基油として又は潤滑基油としての本発明の油の使用に関する。したがって、この使用は、50wt%超の9−メチル−11−オクチル−ヘンイコサンを含む低粘度油に関する。
【0098】
本発明はまた、潤滑剤の燃料節約(FE)を改善するための本発明の油の使用に関する。それはまた、エンジンの燃料消費を減らすため又は車両用エンジンの燃料消費を減らすためのそれらの使用に関する。
【0099】
これらの使用はまた、例えば、その有利な、特定の又は好ましい特性によって、及び、それらの調製方法によって規定される本発明の油に関する。
【0100】
本発明はまた、本発明の油を含む潤滑組成物に関する。したがって、この潤滑組成物は、50wt%超の9−メチル−11−オクチル−ヘンイコサンを含む低粘度油を含む。
【0101】
有利には、本発明の組成物は、10wt%以上又は20wt%以上の本発明の油を含む。また有利には、本発明の組成物は、30、40、50又は60wt%以上の本発明の油を含む。
【0102】
有利には、本発明の組成物は、本発明の油と少なくとも1種の他の基油とを含む。それはまた、本発明の油と少なくとも1種の添加剤とを含むことができるか、又は、本発明の油と少なくとも1種の他の基油と少なくとも1種の添加剤とを含むことができる。
【0103】
本発明の潤滑組成物は、例えば、その有利な、特定の又は好ましい特性によって、及び、それらの調製方法によって規定される本発明の油を含むことができる。
【0104】
本発明の油と組み合わさる他の基油として、本発明の組成物は、グループIIIの油、グループIVの油の中から選択される油を含むことができる。
【0105】
本発明の潤滑組成物は、エンジン、ギア、ブレーキ、作動流体、冷却液及びグリースに関する領域での潤滑のための高性能の潤滑剤としての使用に対して特に有利である。
【0106】
本発明はまた、潤滑剤の燃料節約(FE)を改善するための本発明の潤滑組成物の使用に関する。それはまた、エンジンの燃料消費を減らすため又は車両用エンジンの燃料消費を減らすためのそれらの使用に関する。
【0107】
本発明の別の態様は、説明の目的のために与えられる以下の例の対象である。