特表2017-519961(P2017-519961A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-519961(P2017-519961A)
(43)【公表日】2017年7月20日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20170623BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20170623BHJP
【FI】
   F28F9/02 301D
   F28D1/053 A
   F28F9/02 301E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-569400(P2016-569400)
(86)(22)【出願日】2015年5月28日
(85)【翻訳文提出日】2016年12月16日
(86)【国際出願番号】CN2015080047
(87)【国際公開番号】WO2015180661
(87)【国際公開日】20151203
(31)【優先権主張番号】201410230981.9
(32)【優先日】2014年5月28日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515258882
【氏名又は名称】ダンフォス・マイクロ・チャンネル・ヒート・エクスチェンジャー・(ジャシン)・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ルー,シャンシュン
(72)【発明者】
【氏名】ジアン,ジェンロン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ユーバオ
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103AA09
3L103AA37
3L103BB38
3L103BB42
3L103BB44
3L103CC18
3L103CC22
3L103CC30
3L103DD08
3L103DD15
3L103DD34
(57)【要約】
熱交換器は、熱交換器の一端に位置する混合及び再分配ヘッダ(20)と、混合及び再分配ヘッダ(20)と連通する多段熱交換管(30)とを備えている。互いに連通する上部キャビティ(21)及び下部キャビティ(22)は、混合及び再分配ヘッダ(20)内に配設される。熱交換器に入る流体は、最初に混合及び再分配ヘッダ(20)の下部キャビティ(22)の一部に流入し、次いで、混合及び再分配ヘッダ(20)の上部キャビティ(21)において収集及び混合され、下部キャビティ(22)の別の部分に分配され、下部キャビティ(22)と連通する熱交換管(30)を通って流出する。上部キャビティ(21)の断面積は、下部キャビティ(22)の断面積と等しいか、それよりも大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器であって、
前記熱交換器の一端部における混合及び再分配ヘッダと、
前記混合及び再分配ヘッダと連通する多数の熱交換管と、を備え、
互いに連通する上部キャビティ及び下部キャビティが、前記混合及び再分配ヘッダ内に配設され、前記熱交換器に入る流体は、まず前記混合及び再分配ヘッダの前記下部キャビティの一部に流入し、次いで、前記混合及び再分配ヘッダの前記上部キャビティにおいて収集及び混合され、前記下部キャビティの別の部分に分配され、前記下部キャビティと連通する熱交換管を通って流出し、前記上部キャビティの断面積は、前記下部キャビティの断面積と等しいか、それよりも大きい、
熱交換器。
【請求項2】
前記上部キャビティ及び下部キャビティは、仕切板によって分割され、前記上部キャビティは、少なくとも2つのサブキャビティに仕切られており、前記少なくとも2つのサブキャビティのうちの2つは、ジャンプ管を介して互いに連通することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記上部キャビティは、分割エレメントによって少なくとも3つのサブキャビティに仕切られており、前記少なくとも3つのサブキャビティのうちの3つは、ジャンプ管を介して互いに連通することを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記上部キャビティは、3つのサブキャビティに仕切られており、
前記3つのサブキャビティの中で、左端部サブキャビティと中間サブキャビティとの間に連絡路を確立する第1のジャンプ管は、前記左端部サブキャビティの中間位置に位置する一端部と、前記中間サブキャビティの中間位置に位置する別の端部とを有し、
前記3つのサブキャビティの中で、右端部サブキャビティと中間サブキャビティとの間に連絡路を確立する第2のジャンプ管は、前記右端部サブキャビティの中間位置に位置する一端部と、前記中間サブキャビティの中間位置に位置する別の端部とを有し、前記第1のジャンプ管及び第2のジャンプ管は、隣接位置で、又は、同じ位置で前記中間サブキャビティに接続されることを特徴とする請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記上部キャビティと下部キャビティとの間の壁面は、孔及び/又はスロットを介して連通し、前記下部キャビティは、少なくとも3つのサブキャビティに仕切られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記上部キャビティ及び下部キャビティは、両方とも、3つのサブキャビティに仕切られており、前記上部キャビティの前記サブキャビティが、前記下部キャビティの前記サブキャビティと対応して連通することを特徴とする請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記上部キャビティと下部キャビティとの間の壁面上の中間セクションは、前記熱交換器の入口キャビティと対応して連通し、その2つの端部セクションは、それぞれ、前記熱交換器の出口キャビティと対応して連通し、前記2つの端部セクションにおける前記壁面は、前記中間セクションにおける前記壁面内のものよりも小さい大きさの孔又はスロットを備えることを特徴とする請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記2つの端部セクションの左端部セクション、前記中間セクション、及び前記2つの端部セクションの右端部セクションに設けられる前記孔及び/又はスロットの断面積の合計は、それぞれ、S1、S2、及びS3であり、前記熱交換管の長手方向と垂直な方向におけるこれらの長さは、それぞれ、L1、L2、及びL3に設定され、以下の条件:
L2/((L1+L3)/2)=0.8〜1.2、
L1/L3=0.8〜1.2、
S2がS1又はS3の1〜2倍大きく、
(S1/S3)/(L1/L3)=0.9〜1.1、
のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記熱交換器は、また、熱交換管を介して前記混合及び再分配ヘッダと連通する入口ヘッダ及び出口ヘッダ、又は入口/出口ヘッダを備え、前記熱交換管が扁平管であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項10】
分配管が、前記入口ヘッダ又は入口/出口ヘッダ内の入口キャビティに配設され、収集管が、前記出口ヘッダ又は入口/出口ヘッダ内の出口キャビティに配設されることを特徴とする請求項9に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記上部キャビティ及び下部キャビティは、一体構造又は複合構造であり、前記入口キャビティ及び出口キャビティに接続される前記熱交換管の数の比率は、0.8〜1.2の範囲内であり、前記熱交換管が扁平管であることを特徴とする請求項10に記載の熱交換器。
【請求項12】
熱交換器であって、
前記熱交換器の一端部における混合及び再分配ヘッダと、
前記混合及び再分配ヘッダと連通する多数の熱交換管と、を備え、
収集/分配管が、前記混合及び再分配ヘッダに挿入され、前記挿入される収集/分配管のキャビティの一部は、前記熱交換器の入口キャビティからの流体を同一のものに進入させる一方で、前記挿入される収集/分配管の前記キャビティの残りの部分は、前記流体を収集し、混合させ、それを前記混合及び再分配ヘッダのキャビティ内に分配し、
前記挿入される収集/分配管の前記キャビティの断面積は、前記混合及び再分配ヘッダにおける前記残りのキャビティ(前記収集/分配管の前記キャビティに加えて)の断面積と等しいか、それよりも大きい、
熱交換器。
【請求項13】
前記混合及び再分配ヘッダは、少なくとも2つのキャビティに分割され、これらキャビティのうちの1つにおいて、前記挿入される収集/分配管の一部は、前記入口キャビティから前記混合及び再分配ヘッダに入る流体を収集し、前記挿入される収集/分配管の別の部分は、流体を前記少なくとも2つのキャビティのうちのもう1つに分配することを特徴とする請求項12に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記混合及び再分配ヘッダは、3つのキャビティに分割され、前記3つのキャビティの中で中間キャビティは、前記熱交換器の前記入口キャビティと連通し、前記3つのキャビティの中で2つの端部キャビティは、前記熱交換器の出口キャビティと連通することを特徴とする請求項13に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記挿入される収集/分配管は、横に並んで配置される2つの収集/分配管であり、前記2つの収集/分配管は、両方とも、前記混合及び再分配ヘッダの前記中間キャビティ内に孔又はスロットを備え、前記2つの収集/分配管のうちの1つは、前記混合及び再分配ヘッダの左端部キャビティ内に孔又はスロットを備える一方で、他方は、前記混合及び再分配ヘッダの右端部キャビティ内に孔又はスロットを備えることを特徴とする請求項14に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記挿入される収集/分配管は、前記混合及び再分配ヘッダの外側に位置し、それによって、増加した流路を有するように曲げられるか、又は中間セクションにおいて曲げられることを特徴とする請求項15に記載の熱交換器。
【請求項17】
前記挿入される収集/分配管の直径は、前記中間キャビティ内又は屈曲点において縮小されることを特徴とする請求項15又は16に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年5月28日付出願の出願番号第201410230981.9号、発明の名称「Heat exchanger」による中国特許出願明細書の優先権を主張するものであり、その内容の全てを引用して本明細書中に組み込む。
【0002】
本発明は、加熱、換気及び空気調和、自動車、冷却及び輸送の分野に関し、特に、蒸発器、凝縮器、又は水タンク等のための熱交換器に関する。
【背景技術】
【0003】
通常の家庭用又は業務用空調システム内の熱交換器において、図1に示すように、入口/出口管1及び2、冷媒を分散させ、収集する役割を担う両端のヘッダ3、その内部に小型チャネルを有し、ヘッダ3内のスロットによってヘッダ3に挿入され、冷媒が循環している場合に冷媒と空気との間で伝熱を行う役割を担う扁平管4が存在している。扁平管の間の波形フィン5は、熱交換効果を高める役割を担う。ブロワによって動かされた空気が、フィン5及び扁平管4を通り過ぎて流れる場合、空気と冷媒との間の温度差により、熱がそれら2つの媒体の間で伝達される原因となる。凝縮器用途の場合、空気が流れると、それは熱を吸収し、流れ出て、蒸発器用途の場合、空気が流れると、それは熱を放散し、流れ出る。
【0004】
蒸発器及び熱ポンプ用途の場合、これらは、霜の形成及び融解並びに凝縮された水の問題が関係するため、熱交換器は、ヘッダが水平方向に配置される一方で、扁平管が垂直方向に配置されて、排水を容易にするように位置決めされる。それぞれの扁平管内の冷媒の流量のバランスをとるため、パイプラインがヘッダに追加され、異なるスロットが、より良好な熱交換効果を得るために実際の状況に応じてパイプラインに形成される。
【0005】
より良好な熱交換面積を得るために、2つの熱交換器が(図2に示すように)用いられてもよい。蓄熱器用途等のいくつかの限られた空間用途、並びに、自動車空気調和熱交換器及び水タンクが並列にある等の用途において、2つ以上の熱交換器も用いられる。
【0006】
これらの従来の熱交換器の場合において、冷媒側温度は、冷媒が流れ方向に流れ、熱交換を受けるにつれて変化する一方で、流入空気の温度は、安定しており、これにより、熱交換効率における不均衡を招く。特に貫流式ブロワ用途の場合において、かかる温度差により、ユーザが使用中に著しく低下したレベルの快適さを経験するような、流出空気の温度における極端な不均一性を招く。
【0007】
バランスのとれた流出空気温度を得るために、設計は、多くの場合、2つの熱交換器を採用する。図3及び4を参照すると、2つの熱交換器のうちの1つは導入熱交換器である一方で、他方は排出熱交換器である。空気が2つの熱交換器を通って流れると、空気温度が混合され、そのため、より良好な流出空気温度が得られる。
【0008】
図5〜6を参照すると、特にツイン貫流式ブロワ7を用いる室内機用途の場合において、(図5に示すような)単一の熱交換器の空気調和空気出口の上部と下部との間の温度差が大きいため、快適さのレベルは低下し、従って、2つの熱交換器が、(図6に示すように)多くの場合用いられる。より均一な流出空気温度を得ることができるが、2つの熱交換器のコストは高く、加工困難性のレベルが高く、その上、ヘッダ間の接合部における接続管8同士の設備が、熱交換面積を減少させる。
【0009】
上記に鑑みて、上記の問題を少なくとも部分的に解決することのできる新規の熱交換器を提供するニーズが明らかに存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、先行技術における上記の問題及び欠陥の少なくとも1つの態様を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様において、熱交換器が提供され、
熱交換器の一端部における混合及び再分配ヘッダと、
混合及び再分配ヘッダと連通する多数の熱交換管と、を備え、
互いに連通する上部キャビティ及び下部キャビティが、混合及び再分配ヘッダ内に配設され、熱交換器に入る流体は、まず混合及び再分配ヘッダの下部キャビティの一部に流入し、次いで、混合及び再分配ヘッダの上部キャビティにおいて収集及び混合され、下部キャビティの別の部分に分配され、下部キャビティと連通する熱交換管を通って流出し、上部キャビティの断面積は、下部キャビティの断面積と等しいか、それよりも大きい。
【0012】
上部キャビティ及び下部キャビティは、仕切板によって分割され、上部キャビティは、少なくとも2つのサブキャビティに仕切られており、少なくとも2つのサブキャビティのうちの2つは、ジャンプ管を介して互いに連通することが好ましい。
【0013】
上部キャビティは、分割エレメントによって少なくとも3つのサブキャビティに仕切られており、前記少なくとも3つのサブキャビティのうちの3つは、ジャンプ管を介して互いに連通することが好ましい。
【0014】
上部キャビティは、3つのサブキャビティに仕切られており、
3つのサブキャビティの中で、左端部サブキャビティと中間サブキャビティとの間に連絡路を確立する第1のジャンプ管は、左端部サブキャビティの中間位置に位置する一端部と、中間サブキャビティの中間位置に位置する別の端部とを有し、
3つのサブキャビティの中で、右端部サブキャビティと中間サブキャビティとの間に連絡路を確立する第2のジャンプ管は、右端部サブキャビティの中間位置に位置する一端部と、中間サブキャビティの中間位置に位置する別の端部とを有し、第1のジャンプ管及び第2のジャンプ管は、隣接位置で、又は、同じ位置で前記中間サブキャビティに接続されることが好ましい。
【0015】
上部キャビティと下部キャビティとの間の壁面は、孔及び/又はスロットを介して連通し、前記下部キャビティは、少なくとも3つのサブキャビティに仕切られることが好ましい。
【0016】
上部キャビティ及び下部キャビティは、両方とも、3つのサブキャビティに仕切られており、上部キャビティのサブキャビティが、下部キャビティのサブキャビティと対応して連通することが好ましい。
【0017】
上部キャビティと下部キャビティとの間の壁面上の中間セクションは、熱交換器の入口キャビティと対応して連通し、その2つの端部セクションは、それぞれ、熱交換器の出口キャビティと対応して連通し、2つの端部セクションにおける壁面は、中間セクションにおける壁面内のものよりも小さい大きさの孔又はスロットを備えることが好ましい。
【0018】
2つの端部セクションの左端部セクション、中間セクション、及び2つの端部セクションの右端部セクションに設けられる孔及び/又はスロットの断面積の合計は、それぞれ、S1、S2、及びS3であり、扁平管の長手方向と垂直な方向におけるこれらの長さは、それぞれ、L1、L2、及びL3に設定され、以下の条件のうちの少なくとも1つを満足することが好ましい:
L2/((L1+L3)/2)=0.8〜1.2、
L1/L3=0.8〜1.2、
S2がS1又はS3の1〜2倍大きく、
(S1/S3)/(L1/L3)=0.9〜1.1。
【0019】
熱交換器は、また、熱交換管を介して混合及び再分配ヘッダと連通する入口ヘッダ及び出口ヘッダ、又は入口/出口ヘッダを備えることが好ましい。
【0020】
分配管が、入口ヘッダ又は入口/出口ヘッダ内の入口キャビティに配設され、収集管が、前記出口ヘッダ又は入口/出口ヘッダ内の出口キャビティに配設されることが好ましい。
【0021】
上部キャビティ及び下部キャビティは、一体構造又は複合構造であり、入口キャビティ及び出口キャビティに接続される熱交換管の数の比率は、0.8〜1.2の範囲内であり、熱交換管が扁平管であることが好ましい。
【0022】
本発明の別の態様において、熱交換器が提供され、
熱交換器の一端部における混合及び再分配ヘッダと、
混合及び再分配ヘッダと連通する多数の熱交換管と、を備え、
収集/分配管が、混合及び再分配ヘッダに挿入され、挿入される収集/分配管のキャビティの一部は、熱交換器の入口キャビティからの流体を同一のものに進入させる一方で、挿入される収集/分配管のキャビティの残りの部分は、流体を収集し、混合させ、それを混合及び再分配ヘッダのキャビティ内に分配し、
挿入される収集/分配管のキャビティの断面積は、混合及び再分配ヘッダにおける残りのキャビティ(収集/分配管の前記キャビティに加えて)の断面積と等しいか、それよりも大きい。
【0023】
混合及び再分配ヘッダは、少なくとも2つのキャビティに分割され、これらキャビティのうちの1つにおいて、挿入される収集/分配管の一部は、入口キャビティから混合及び再分配ヘッダに入る流体を収集し、挿入される収集/分配管の別の部分は、流体を前記少なくとも2つのキャビティのうちのもう1つに分配することが好ましい。
【0024】
混合及び再分配ヘッダは、3つのキャビティに分割され、3つのキャビティの中で中間キャビティは、熱交換器の入口キャビティと連通し、3つのキャビティの中で2つの端部キャビティは、熱交換器の出口キャビティと連通することが好ましい。
【0025】
挿入される収集/分配管は、横に並んで配置される2つの収集/分配管であり、2つの収集/分配管は、両方とも、混合及び再分配ヘッダの中間キャビティ内に孔又はスロットを備え、2つの収集/分配管のうちの1つは、混合及び再分配ヘッダの左端部キャビティ内に孔又はスロットを備える一方で、他方は、混合及び再分配ヘッダの右端部キャビティ内に孔又はスロットを備えることが好ましい。
【0026】
挿入される収集/分配管は、混合及び再分配ヘッダの外側に位置し、それによって、増加した流路を有するように曲げられるか、又は中間セクションにおいて曲げられることが好ましい。
【0027】
挿入される収集/分配管の直径は、中間キャビティ内又は屈曲点において縮小されることが好ましい。
【0028】
本発明のこれら及び/又は他の態様及び利点は、添付図面と共に好ましい実施形態の以下の説明によって、明確及び容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】先行技術による熱交換器の図、及び、扁平管とヘッダとの間の接合部の部分拡大図である。
図2】先行技術による2つの熱交換器の断面図である。
図3】先行技術による2つの熱交換器の別の実施例の図である。
図4】先行技術による2つの熱交換器の別の実施例の図である。
図5】先行技術におけるツイン貫流式ブロワを用いる単一の熱交換器の図である。
図6】先行技術におけるツイン貫流式ブロワを用いる2つの熱交換器の平面図である。
図7】本発明の実施形態による熱交換器の図である。
図8図7に示す熱交換器の混合及び再分配ヘッダが組み立てられる方法の3つの異なる実施例の部分拡大図を示す。
図9】孔及びスロットが図8に示す混合及び再分配ヘッダ内で配置される方法の3つの異なる実施例の図を示す。
図10図7に示す熱交換器の混合及び再分配ヘッダの上部キャビティ及び下部キャビティの異なる断面比率のための気液分配の図を示す。
図11図7に示す熱交換器の混合及び再分配ヘッダにおける仕切板内の孔及び/又はスロットの分布の図を示す。
図12】本発明の別の実施形態による熱交換器の図である。
図13a】ジャンプ管が中間位置に配設された、図12に示す熱交換器の図である。
図13b図13aに示す熱交換器におけるジャンプ管の配置の平面図である。
図14図12に示す熱交換器の入口/出口ヘッダに挿入される収集/分配管及び収集管の部分図である。
図15】本発明の別の実施形態による熱交換器の混合及び再分配ヘッダに挿入される収集/分配管の図である。
図16図15に示す熱交換器に挿入される2つの収集/分配管の部分図及び平面図である。
図17】縮小させた直径を持つ収集/分配管を有する、図15に示す熱交換器の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の技術的な解決法を、添付図面7〜17と共に、実施形態を用いることによって、以下で更に詳細に説明する。この説明において、同一又は類似の図面標示は、同一又は類似の構成部品を示している。添付図面に関連する本発明の実施形態の以下の説明は、本発明の発明概念全体を説明することを目的としており、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
【0031】
本発明の実施形態による熱交換器を示す図7を特に参照する。熱交換器は、熱交換器の一端における混合及び再分配ヘッダ20と、混合及び再分配ヘッダ20と連通する多段熱交換管30とを備えている。本実施形態において、図7に示す熱交換器は、また、入口/出口ヘッダ10及びフィン40も備えている。入口/出口ヘッダ10は、一体成形又は別体、すなわち、別々の入口及び出口キャビティを有する2つの独立した構成部品であるよう設計されてもよいことは言うまでもない。
【0032】
入口/出口ヘッダ10は、熱交換器の下端部に配設され、混合及び再分配ヘッダ20は、熱交換器の上端部に配設され、多段熱交換管30(扁平管等)は、入口/出口ヘッダ10と混合及び再分配ヘッダ20との間に配設されている。本実施形態において、互いに連通する上部キャビティ及び下部キャビティは、混合及び再分配ヘッダ20内に配設され、熱交換器に入る流体は、まず混合及び再分配ヘッダ20の下部キャビティの一部に流入し、次いで、混合及び再分配ヘッダ20の上部キャビティにおいて収集及び混合され、下部キャビティの別の部分に分配され、下部キャビティと連通する熱交換管を通って流出し、上部キャビティの断面積は、下部キャビティの断面積と等しいか、それよりも大きい。
【0033】
図に示すように、混合及び再分配ヘッダ20は、2つのキャビティの形態をとり、例えば、仕切板52は、仕切板52が混合及び再分配ヘッダ20のキャビティを互いに連通する上部キャビティ21及び下部キャビティ22に分割するように、混合及び再分配ヘッダ20の長手方向(すなわち、図7の紙面における左右方向)に設けられる。上部キャビティ21及び下部キャビティ22は、一体構造又は複合構造を有していてもよい。
【0034】
特に図8を参照すると、第1及び第2の図(左から右へ)は、両方、上部キャビティ21及び下部キャビティ22が一体構造を有する形態を示しており、それらの間の相違は、第1の図では、上部キャビティ21及び下部キャビティ22が、1つの孔53を介して連通していることに対して、第2の図では、上部キャビティ21及び下部キャビティ22が、2つの孔53を介して連通している。第3の図(左から右へ)は、上部キャビティ21及び下部キャビティ22が複合構造を有する形態を示しており、上部キャビティ21及び下部キャビティ22は、1つの孔53を介して連通している。
【0035】
言い換えれば、上部キャビティ21と下部キャビティ22との間の壁面は、接続を達成するよう多数の孔及び/又はスロットを備えていてもよいが、特定の方法が、図9に示す特定の形態に限定されない。図9を参照すると、接続が上部キャビティ21と下部キャビティ22との間で達成される方法は、図9に示す実施例に限定されない。当業者は、2つのキャビティ間で接続を達成するために必要とされるような異なる形態及び/又は異なる数の孔及び/又はスロットを提供できる。従って、上部キャビティ21は、下部キャビティ22から冷媒を収集し、混合する機能を実現する。図9は、仕切板52におけるスロット及び/又は孔の配置方法の3つの実施例を示している。図9内の第1の図(上部から下部へ)において、孔53の列は、仕切板52内で間隔を置いて設けられ、第2の図において、仕切板52の長さ方向と平行な方向(図9の紙面における左右方向)に延在する多数のスロット53’(図は3つのスロットを示している)の列が、仕切板52内に設けられ、第3の図において、孔53及びスロット53’の組み合わせが、仕切板52内に設けられ、すなわち、列の形態の多数の孔53が、仕切板52の左右端部に設けられ、そして、仕切板52の幅方向(図9の紙面における上下方向)に延在する多数のスロット53’(図は5つのスロットを示している)が、中間位置に設けられている。
【0036】
先行技術において、冷媒は、扁平管の出口で気液分離を受け、これは分配にとって好ましくない。かかる気液分離がもはや起こらないことを確実にするため、本発明において、上部キャビティ21の断面積は、(図10に示すように)下部キャビティ22の断面積と等しいか、それよりも大きく設計されている。これは、2つの相状態の冷媒が小さい流量範囲から大きい流量範囲へ入ると、その流速が急激に低下し、2つの相の分離(気体及び液体)の分離が容易に起こり、重力作用により、多くの液体がキャビティの下方部分に存在し、多くの気体がその上方部分に存在するためである。下部キャビティが大きすぎる場合は、たとえ冷媒が上部キャビティの分配孔/スロットから高速で排出されたとしても、下部キャビティ内の空間が大きいため、気液分離はなおも容易に起こり(たとえ均一に混合された二相冷媒が高速で排出されたとしても、気液分離は容易に起こる)、多すぎる液体が下部キャビティに集められる場合は、これも結果として、不均一な分配を生じる。
【0037】
下部キャビティが小さすぎる場合は、たとえ気液分離が上部キャビティの内側で起こったとしても、液体は、重力作用により上部キャビティの底部に位置し、噴射孔/スロットは底部に分布しており、高速噴射がその近傍で開始された場合、液体冷媒は再度散乱し、極めて良好な混合効果が生じ、かかる分散効果も極めて良好となる。
【0038】
図7に示す実施例において、入口/出口ヘッダ10は、入口/出口ヘッダ10の長手方向と垂直な方向(すなわち、図7の紙面における上下方向)に配設される分割エレメント51によって、横に並んで配置される3つのキャビティ、すなわち、出口キャビティ11及び13並びに入口キャビティ12に仕切られている。出口キャビティ11及び出口キャビティ13は、それぞれ、入口/出口ヘッダ10の2つの端部に位置しており、それぞれ、出口管11’及び13’に接続されている。入口キャビティ12は、出口キャビティ11と出口キャビティ13との間に位置し、入口管12’に接続されている。
【0039】
図7〜8を参照すると、その中で矢印によって示すように、入口管12’から入口キャビティ12に入った後、冷媒等の流体(図示せず)は、入口キャビティに接続される扁平管30を通って混合及び再分配ヘッダ20に流れ、ヘッダ内で混合された後、冷媒は、混合及び再分配ヘッダ20の2つの端部に分配され、次いで、2つの端部に接続される扁平管30を通って入口/出口ヘッダ10の出口キャビティ11及び13にそれぞれ流れ、最終的に、出口管11’及び13’を通って熱交換器から流れ出る。
【0040】
本実施形態において、入口キャビティ12に接続される扁平管の数は、A1であるように設定され、出口キャビティ11に接続される扁平管の数は、A2であるように設定され、出口キャビティ13に接続される扁平管の数は、A3であるように設定される。熱交換器において入口/出口キャビティ11〜13に接続される扁平管30の数は、概して、いずれか2つのキャビティに接続される扁平管の数の比率(すなわち、A1、A2、及びA3のうちのいずれか2つの比率)が、流出空気の均一性を確保するために、範囲0.8〜1.2内であるように設定される。従って、図6に示すブロワ形態において、熱交換器全体は、中央で分割され、ここで、それぞれ半分は、入口セクション扁平管及び出口セクション扁平管を有し、流れ方向は、1つが上方で、1つが下方であり、ブロワによって混合された後、極めて良好に均一な温度を、空気出口の高さ方向において得ることができる。
【0041】
流出空気の良好な均一性を達成するために、熱交換器全体の管内の冷媒が均一に分配され、熱交換器表面温度が規則的なパターンで分配されることが必要である。従来技術における従来の解決法は、冷媒の流速を扁平管に入るキャビティセクションで高くするが、分配に影響を及ぼす流動抵抗が、良好な分配効果を得るように比重を低下させることができるように、扁平管出口におけるキャビティセクション内の流動抵抗を人為的に増加させることである。
【0042】
しかし、それに比べて図7に示す熱交換器では、冷媒が中央で混合及び再分配ヘッダ20に入るため、それは熱交換器の2つの側面の扁平管セクション内に再度分配されなければならない。従って、本発明において、混合及び再分配ヘッダ20における冷媒の均一な分配が重要となる。
【0043】
再度、図7を振り返って見ると、下部キャビティ22において、分割エレメント51は、混合及び再分配ヘッダ20の長手方向と垂直な方向(すなわち、紙面における上下方向)に配設され、下部キャビティ22は、3つのサブキャビティ、すなわち、第1のサブキャビティ221、第2のサブキャビティ222、及び第3のサブキャビティ223に仕切られている。第2のサブキャビティ222は、上部キャビティ21の中間セクションと連通し、扁平管によって入口キャビティ12と連通している。第1のサブキャビティ221は、上部キャビティ21の左端部キャビティセクションと連通し、扁平管によって出口キャビティ11と連通している。第3のサブキャビティ223は、上部キャビティ21の右端部キャビティセクションと連通し、扁平管によって出口キャビティ13と連通している。
【0044】
従って、入口キャビティ12からの冷媒は、第2のサブキャビティ222に流れ、次いで、孔53及び/又はスロット53’(図示せず)を通って上部キャビティ21内に流れ、次いで、上部キャビティ21の2つの端部に流れ、第1のサブキャビティ221及び第3のサブキャビティ223に分配され、再度、孔53及び/又はスロット53’を通り、次いで、扁平管30を通って出口キャビティ11及び13に流れ、最終的に熱交換器から流れ出る。
【0045】
以下の説明は、混合及び再分配ヘッダ20の中間セクションにおいて、2つの端部へ分配される冷媒の均一な分配を向上させるための本発明の方法に焦点を当てるものとする。
【0046】
混合及び再分配ヘッダ20の中間セクションにおいて、2つの端部へ分配される冷媒の均一な分配を達成するために、中間セクションにおける仕切板52の壁面内のものよりも小さな孔53又はスロット53’が、(図11に示すように)上部キャビティ21の2つの端部セクションにおける仕切板52の壁面内に設けられてもよい。かかる配置は、冷媒が下部キャビティ22に流れる場合により大きな抵抗に遭遇する原因となることができ、上部キャビティにおける圧力低下を平衡させることができ、それによって、上部キャビティにおける圧力低下の不均一性によって生じる2つの側面における冷媒流れの不均一性を減少させる。
【0047】
冷媒の均一な分配及び均一な流出空気温度を確保するために、本発明は、2つの端部セクションの左端部セクション、中間セクション、及び2つの端部セクションの右端部セクションにおける孔及び/又はスロットの断面積の合計が、それぞれ、S1、S2、及びS3であり、扁平管30の長手方向と垂直な方向におけるこれら3つのキャビティセクションの長さが、それぞれ、L1、L2、及びL3であり、混合及び再分配ヘッダ内部の配置が、以下の条件のうちの少なくとも1つを満足しなくてはならない配置を採用している:
L2/((L1+L3)/2)=0.8〜1.2、L1/L3=0.8〜1.2、S2がS1又はS3の1〜2倍大きく、(S1/S3)/(L1/L3)=0.9〜1.1。
【0048】
無論、理想的には、上記の式の比率の全ては、1である。ヘッダの長さの内側に収容できる扁平管の数は、必ずしも3の倍数である必要はなく、更に、ある特定の用途において、ブロワは熱交換器の中心線上でなくてもよく、従って、比率がより小さい変動値に設定されることもまた実現可能である。
【0049】
本発明の別の実施形態による熱交換器を示す図12を参照する。この熱交換器は、図7に示す熱交換器の変形例である。従って、この熱交換器の構造及び原理は、図7に示す熱交換器の構造及び原理と実質的に同じであり、相違は、その混合及び再分配ヘッダの設計が異なっているという点である。相違を以下で詳細に説明し、同一の特徴は、ここでは繰り返さない。
【0050】
本実施形態において、上部キャビティ及び下部キャビティが混合及び再分配ヘッダにおいて採用されているだけではなく、その上部キャビティ及び下部キャビティは、分割エレメント51によって閉鎖されている。上部キャビティ21は、また、紙面における上下方向に配設される分割エレメント51によって、3つのサブキャビティ、すなわち、第1のサブキャビティ211、第2のサブキャビティ212、及び第3のサブキャビティ213に仕切られている。これら3つのキャビティは、また、孔53及び/又はスロット53’によってそれぞれ下部キャビティの3つのサブキャビティと連通しており、すなわち、上部キャビティ内の第1のサブキャビティ211は、下部キャビティ内の第1のサブキャビティ221と連通し、上部キャビティ内の第2のサブキャビティ212は、下部キャビティ内の第2のサブキャビティ222と連通し、上部キャビティ内の第3のサブキャビティ213は、下部キャビティ内の第3のサブキャビティ223と連通している。この時、第2のサブキャビティ212は、2つの端部に分配される冷媒の量が、左右端部に分配される冷媒の流路における流動抵抗を増加させることによって、より均一化できるように、ジャンプ管54’及び54’’を介して、それぞれ第1及び第3のサブキャビティ211及び213と連通する。特に、第2のサブキャビティ212は、上部キャビティの中間セクションであり、第1及び第3のサブキャビティ211及び213は、それぞれ、上部キャビティ21の左端部セクション及び右端部セクションである。
【0051】
図13aを参照すると、更なる分配効果を得るために、ジャンプ管等の各接続管の2つの端部は、それによって接続される2つのサブキャビティの中間に近接する位置に位置してもよく、左右のジャンプ管は、中間セクションキャビティにおいて互いに近接して位置決めされるか、或いは、同じ位置にある。すなわち、第1のジャンプ管54’は、上部キャビティの第1のサブキャビティ211の中間位置に位置する一端部と、第2のサブキャビティ212の中間位置に位置する別の端部とを有している。第2のジャンプ管54’’は、上部キャビティの第2のサブキャビティ212の中間位置に位置する一端部と、第3のサブキャビティ213の中間位置に位置する別の端部とを有している。第1のジャンプ管54’及び第2のジャンプ管54’’は、隣接位置で、又は、(図13bに示すように)同じ位置で第2のサブキャビティ212に接続されるのが好ましい。従って、冷媒が中間キャビティから2つの側面に分配される場合、2つのジャンプ管が同じ大きさで、略同じ位置に設置されているため、2つのジャンプ管は、同じ流量の冷媒を容易に得ることができる。これにより、2つの端部キャビティにおける冷媒が、扁平管に入る場合に、より均一に分配されることが確実となる。
【0052】
上記の実施例は、3つのサブキャビティが存在する場合にのみ関係することは理解できるであろう。より小さな、又は、より大きな数のサブキャビティが設けられた場合、当業者は、いずれか2つのサブキャビティを接続するために必要とされるように、ジャンプ管の位置を設定できるであろう。
【0053】
分配管14及び収集管15も、(図14に示すように)熱交換器の入口/出口ヘッダ10に配設されて、より良好な分配効果を得ることができるのが好ましい。ここでは、入口/出口ヘッダ10が単一のヘッダであるため、分配管14及び収集管15は、1つのパイプラインとして設計されてもよいが、無論、必要に応じて、2つの別々の構成部品として設計されることも可能である。
【0054】
本発明の別の実施形態による熱交換器を示す図15を参照する。この熱交換器は、図7に示す熱交換器の変形例である。従って、図15に示す熱交換器の構造及び原理は、図7に示す熱交換器の構造及び原理と実質的に同じであり、相違は、収集/分配管70が混合及び再分配ヘッダ20に挿入されているという点である。より良好な分配効果は、(図15に示すように)収集/分配管70を挿入することによって混合及び再分配ヘッダ20においても達成することができ、収集/分配管70が、(上述したように)上記3つのキャビティのそれぞれに多数の孔又はスロットを備えることは理解できるであろう。相違を以下で詳細に説明し、同一の特徴は、ここでは繰り返さない。
【0055】
この実施例において、挿入される収集/分配管70のキャビティの一部は、熱交換器の入口キャビティからの流体を同一のものに進入させる一方で、挿入される収集/分配管70のキャビティの残りの部分は、流体を収集し、混合させ、それを混合及び再分配ヘッダのキャビティ内に分配する。挿入される収集/分配管70のキャビティの断面積は、混合及び再分配ヘッダにおける残りのキャビティ(収集/分配管のキャビティに加えて)の断面積と等しいか、それよりも大きい。
【0056】
図15から見て取れるように、冷媒のより良好な混合及び分配を達成するために、混合及び再分配ヘッダ20は、分割エレメント51によって、3つの互いに独立したサブキャビティ、すなわち、第1のサブキャビティ221、第2のサブキャビティ222、及び第3のサブキャビティ223に仕切られている。第1のサブキャビティ221及び第3のサブキャビティ223は左右端部におけるキャビティである一方で、第2のサブキャビティ222は中間キャビティである。
【0057】
混合及び再分配ヘッダ20の中間セクションから2つの端部セクションへ流れる冷媒の量を平均するために、2つの収集/分配管を混合及び再分配ヘッダ20に挿入することも可能である。図16を参照すると、第1の収集/分配管71(収集/分配管70のうちの1つ)は、混合及び再分配ヘッダ20の第1及び第2のサブキャビティ221及び222内に孔53又はスロット53’を備えている。第2の収集/分配管72(分配管のうちの1つ)は、第2及び第3のサブキャビティ222及び223内に孔又はスロットを備えている。第1の収集/分配管71は、第3のサブキャビティ223内に孔又はスロットを備えておらず、すなわち、第3のサブキャビティ223と連通していない。第2の収集/分配管72は、第1のサブキャビティ221内に孔又はスロットを備えておらず、すなわち、第1のサブキャビティ221と連通していない。
【0058】
流体(すなわち、冷媒)が入口/出口ヘッダ10の入口キャビティ12から第2のサブキャビティ222内に流入し、混合された場合、それは、孔53又はスロット53’を介して第1及び第2の収集/分配管71及び72内に流入し、次いで、対応する収集/分配管71及び72内の孔53又はスロット53’によって、それぞれ、第1及び第3のサブキャビティ221及び223に分配され、次いで、扁平管30を通って入口/出口ヘッダ10の出口キャビティ11及び13内にそれぞれ流入し、最終的に、出口管11’及び13’を通って熱交換器から流出する。
【0059】
ヘッダへの収集/分配管の挿入は、冷媒分配を向上できるが、2つの端部への冷媒の分配が中間セクションにおいて行われる場合、不均一な分配が、それにも関わらず、多かれ少なかれ起こる。流動抵抗を増加させることによって分配を平衡させる問題を解決するために、収集/分配管70の流路は、仕切板51において人為的に増やすことができる。図17が示すように、挿入される収集/分配管70は、混合及び再分配ヘッダ20の外側に位置し、それによって、増えた流路を有するように、中間キャビティと左右端部キャビティとの間で分割エレメント51において、又は、中間セクションにおいて曲げられる。これに基づいて、左右への冷媒の流れも、収集/分配管70の直径を縮小すること、例えば、中間セクション内のある位置において収集/分配管70の直径を縮小することによって、平衡させることができる。
【0060】
2つの熱交換器が、従来技術において、より均一な流出空気温度を得るために用いられているが、2つの熱交換器はいくつかの欠点を有する。
1.単一の熱交換器と比較して、同じ厚さの多数の熱交換器は、より多くのヘッダを用いており、そのため、コストがより高い。
2.分配は、幅広いコアによって、より難しく、均一な流出空気温度は、同様に、不均一な分配によって得ることができない。
3.より多くの接続管が存在し、処理要件は、より高く、複雑である。
4.接続管は、ある特定量の空間を取り、そのため、熱交換面積が影響を受ける。
5.冷媒流路はより長く、そのため、流動抵抗がより大きい。
6.冷媒は、熱交換中に相変化を受け、循環断面配置が合理的ではない。
【0061】
本発明は、以下の特徴及び利点を有している。
1.熱ポンプ型の熱交換器の場合において、2ループ型流路配置を設けることができ、短いコア配置の場合において、より経済的な流速を得ることができる。2つ以上のキャビティが、2ループ型中間ヘッダの内部に設けられ、より良好な再分配効果が、重力及び孔又はスロットの位置により得ることができる。
2.単一の熱交換器上で、中間を入口セクション及び2つの端部を出口セクションとして設計することによって、均一な流出空気温度が、室内空調機器の空気出口において得ることができ、空気調和の快適性のレベルを向上させる。
3.2つの熱交換器と比較して、上記の機能を実現させるだけでなく:
a)コストが低く、
b)製品はより少ない数の溶接接合を有し、製品の製造性を向上させ、
c)流出空気温度がより均一である、
ことも実現する。
【0062】
上記は単に、本発明のいくつかの実施形態である。当業者は、本明細書中の全体的な発明概念の原理及び精神から逸脱することなく、これらの実施形態に対して変更を行ってもよいことを理解するであろう。本発明の適用範囲は、特許請求の範囲及びそれらの相当語句によって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】