(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-520234(P2017-520234A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(54)【発明の名称】エアロゾル形成基体およびエアロゾル送達システム
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20060101AFI20170630BHJP
A61M 15/06 20060101ALI20170630BHJP
【FI】
A24F47/00
A61M15/06 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-556325(P2016-556325)
(86)(22)【出願日】2015年5月21日
(85)【翻訳文提出日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】EP2015061219
(87)【国際公開番号】WO2015177265
(87)【国際公開日】20151126
(31)【優先権主張番号】14169194.9
(32)【優先日】2014年5月21日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(57)【要約】
誘導加熱装置と組み合わせて使用するためのエアロゾル形成基体が説明されている。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の加熱に際してエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料と、エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも第一のサセプタ材料とを含む。第一のサセプタ材料は、固体材料と熱的に近接して配置される。エアロゾル形成基体は、第一のサセプタ材料の所定の最高加熱温度よりも低い第二のキュリー温度を有する、少なくとも第二のサセプタ材料をさらに備える。エアロゾル送達システムについての説明もある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導加熱装置と組み合わせて使用するためのエアロゾル形成基体であって、前記エアロゾル形成基体が、前記エアロゾル形成基体の加熱に際してエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料と、前記エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも第一のサセプタ材料とを含み、前記第一のサセプタ材料が前記固体材料と熱的に近接して配置され、前記エアロゾル形成基体が前記第一のサセプタ材料の所定の最高加熱温度よりも低い第二のキュリー温度を有する少なくとも第二のサセプタ材料をさらに含む、エアロゾル形成基体。
【請求項2】
キュリー温度を有する少なくとも第三のサセプタ材料であって、前記第三のサセプタ材料の前記第三のキュリー温度と前記第二のサセプタ材料の前記第二のキュリー温度とが互いに別のものであり、かつ前記第一のサセプタ材料の前記最高加熱温度より低い、第三のサセプタ材料をさらに含む、請求項1に記載のエアロゾル形成基体。
【請求項3】
前記第二のサセプタ材料の前記第二のキュリー温度が前記第三のサセプタ材料の前記第三のキュリー温度より少なくとも20℃低い、請求項2に記載のエアロゾル形成基体。
【請求項4】
前記第二のサセプタ材料の前記第二のキュリー温度が前記第一のサセプタ材料の前記最高加熱温度の15%〜40%である、請求項2または3に記載のエアロゾル形成基体。
【請求項5】
前記第一のサセプタ材料の前記最高加熱温度が、誘導加熱される際に前記エアロゾル形成基体の全体的な平均温度が240℃を超えないように選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアロゾル形成基体。
【請求項6】
前記第一のサセプタ材料の前記最高加熱温度が370℃を超えない、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアロゾル形成基体。
【請求項7】
前記第二のサセプタ材料および任意選択的に前記第三のサセプタ材料がそれぞれ、前記第一のサセプタ材料の重量基準の濃度より低い重量基準の濃度を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエアロゾル形成基体。
【請求項8】
前記第一のサセプタ材料、前記第二のサセプタ材料、および任意選択的に前記第三のサセプタ材料が、粒子状の、フィラメント状の、またはメッシュ様の構成のうちのいずれか一つである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエアロゾル形成基体。
【請求項9】
前記第二のサセプタ材料および任意選択的に前記第三のサセプタ材料が前記エアロゾル形成基体の周辺領域に配置される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のエアロゾル形成基体。
【請求項10】
前記エアロゾル形成基体がマウスピースに取り付けられ、これが任意選択的にフィルタープラグを備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載のエアロゾル形成基体。
【請求項11】
前記エアロゾル形成基体が管状ケーシング、好ましくはオーバーラップによって囲まれる、請求項1〜10のいずれか1項に記載のエアロゾル形成基体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の誘導加熱装置およびエアロゾル形成基体を備える、エアロゾル送達システム。
【請求項13】
前記誘導加熱装置が電子制御回路を備え、これが前記第二のサセプタ材料および任意選択的に前記第三のサセプタ材料がその第二のキュリー温度および第三のキュリー温度に達したことを検出するように適合される、請求項12に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項14】
前記誘導加熱装置がインジケータを備え、これが前記第二のサセプタ材料および任意選択的に前記第三のサセプタ材料がその第二のキュリー温度および第三のキュリー温度に達したことを検出すると起動可能になる、請求項13に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項15】
前記インジケータが、LEDであることが好ましい光学的インジケータであり、これが前記誘導加熱装置のハウジング上に提供される、請求項14に記載のエアロゾル送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘導加熱装置と組み合わせて使用するためのエアロゾル形成基体に関連する。本発明はまた、エアロゾル送達システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術から、エアロゾル送達システムは公知であり、エアロゾル形成基体および誘導加熱装置を備える。誘導加熱装置は誘導源を備え、これがサセプタ材料内に熱を発生させる渦電流を誘導する交流電磁場を発生する。サセプタ材料はエアロゾル形成基体と熱的に近接している。加熱されたサセプタ材料は次に、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力のある材料を含むエアロゾル形成基体を加熱する。エアロゾル形成基体の適切な加熱を確実にすると思われる、エアロゾル形成基体のための多数の実施形態が当該技術分野において説明されてきた。
【0003】
したがって、一致するエアロゾル形成基体のみを特定の誘導加熱装置と組み合わせて確実に使用し得るのが望ましいことになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの態様によれば、誘導加熱装置と組み合わせて使用するためのエアロゾル形成基体が提供されている。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の加熱に際してエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料と、エアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも第一のサセプタ材料とを含む。第一のサセプタ材料は、固体材料と熱的に近接して配置される。エアロゾル形成基体は、第一のサセプタ材料の所定の最高加熱温度よりも低い第二のキュリー温度を有する、少なくとも第二のサセプタ材料をさらに備える。
【0005】
第一のサセプタ材料の所定の最高加熱温度は、その第一のキュリー温度であってもよい。第一のサセプタ材料が加熱されてその第一のキュリー温度に達した時、その磁性は強磁性相から常磁性相に可逆的に変化する。この相変化が検出される場合があり、誘導加熱は停止される。加熱の停止に起因して、第一のサセプタ材料はその磁性が常磁性相から強磁性相へと再度変化する温度まで再度冷却される。この相変化が検出される場合があり、そして誘導加熱が再度開始される場合がある。あるいは、第一のサセプタ材料の最高加熱温度は電子的に制御される場合がある所定の温度に対応する場合がある。この場合、第一のサセプタ材料の第一のキュリー温度は、最高加熱温度よりも高い場合がある。
【0006】
第一のサセプタ材料が、固体材料にエアロゾルを形成させることができる揮発性化合物を放出するエアロゾル形成基体の適切な加熱を提供する一方で、第二のサセプタ材料は一致するエアロゾル形成基体の識別のために使用される場合がある。第二のサセプタ材料は、第一のサセプタ材料の最高加熱温度より低い第二のキュリー温度を有する。エアロゾル形成基体の加熱に際して、第一のサセプタ材料がその最高加熱温度に達する前に、第二のサセプタ材料は第二のキュリー温度に到達する。第二のサセプタ材料がその第二のキュリー温度に達した時、その磁性は強磁性相から常磁性相に可逆的に変化する。その結果、第二のサセプタ材料のヒステリシス損失が消滅する。この第二のサセプタ材料の磁性の変化は、誘導加熱装置の中へと組み込まれる場合がある電子回路によって検出される場合がある。磁性の変化の検出は、例えば、誘導加熱装置の誘導コイルに接続された振動回路の振動周波数の変化を定量的に測定することによって、または、例えば、誘導加熱装置の起動からの特定されたタイムスロットの中で振動周波数もしくは誘導電流の変化が生じたかどうかを定性的に判定することによって遂行される場合がある。観察される物理的な量の予想される定量的なまたは定性的な変化が検出される場合、エアロゾル形成基体の誘導加熱は、所望の量のエアロゾルを生成するために第一のサセプタ材料がその最高加熱温度に達するまで継続する場合がある。観察される物理的な量の予想される定量的なまたは定性的な変化が生じない場合、エアロゾル形成基体は本来のものでないと識別される場合があり、誘導加熱が停止される場合がある。
【0007】
本発明によるエアロゾル形成基体は、特定の誘導加熱装置と組み合わせて使用される時に問題を生じる場合がある、本来のものでない製品の識別を可能にする。こうして、誘導加熱装置への悪影響は防止される場合がある。また、本来のものでないエアロゾル形成基体を検出することによって、特定されていないエアロゾルの生成および顧客への送達も排除される場合がある。
【0008】
エアロゾル形成基体はエアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を持つ固体材料であることが好ましい。本明細書で使用される時、「固体」という用語は、担体材料上に提供される場合がある固体材料、半固体材料、および液体構成要素さえも含む。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱により放出される。エアロゾル形成基体はニコチンを含む場合がある。ニコチンを含有するエアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスであってもよい。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよいが、たばこ含有材料は揮発性のたばこ風味化合物を含むことが好ましく、これが加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0009】
エアロゾル形成基体は少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に、密度が高く安定したエアロゾルの形成を容易にし、そして誘導加熱装置の使用温度で実質的に熱劣化耐性のある任意の好適な公知の化合物または化合物の混合物であってもよい。好適なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。特に好ましいエアロゾル形成体は多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオールなど)であり、そしてグリセリンが最も好ましい。
【0010】
エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。エアロゾル形成基体はニコチンおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含むことが好ましい。特に好ましい実施形態で、エアロゾル形成体はグリセリンである。エアロゾル形成基体と熱的に近接しているサセプタ材料により、さらに効率的な加熱が許容され、ひいてはより高い使用温度に達する場合がある。より高い使用温度により、公知のシステムで使用されるエアロゾル形成体と比較して改良されたエアロゾルを提供するエアロゾル形成体としてグリセリンを使用できるようになる。
【0011】
本発明の別の実施形態ではエアロゾル形成基体は、少なくとも第三のキュリー温度を有する第三のサセプタ材料をさらに含む。第三のサセプタ材料の第三のキュリー温度と第二のサセプタ材料の第二のキュリー温度とは互いに別のものであり、そして第一のサセプタ材料の最高加熱温度より低い。第一のサセプタ材料の最高加熱温度より低い第一のおよび第二のキュリー温度を有する第二のおよび第三のサセプタ材料を用いてエアロゾル形成基体を供給することによって、エアロゾル形成基体のさらにより正確な識別が可能になる場合がある。誘導加熱装置は、観察される物理的な量の2つの予想される連続的な定量的または定性的な変化を検出する能力を持つ対応する電子回路を備える場合がある。電子回路が観察される物理的な量の予想される2つの連続的な定量的または定性的な変化を検出する場合、エアロゾル形成基体の誘導加熱ひいてはエアロゾル生成は継続されてもよい。観察される物理的な量の予想される2つの連続的な定量的または定性的な変化が検出されなかった場合、挿入されたエアロゾル形成基体は本来のものでないとして識別される場合があり、そしてエアロゾル形成基体の誘導加熱を停止する場合がある。
【0012】
第二のサセプタ材料および第三のサセプタ材料を含むエアロゾル形成基体の実施形態では、第二のサセプタ材料の第二のキュリー温度は、第三のサセプタ材料の第三のキュリー温度より少なくとも20℃低くてもよい。第二のサセプタ材料と第三のサセプタ材料とのキュリー温度のこの差異は、それぞれの第二のキュリー温度および第三のキュリー温度に達した時の第二のサセプタ材料および第三のサセプタ材料のそれぞれの磁性の変化の検出を容易にする場合がある。
【0013】
エアロゾル形成基体の別の実施形態では、第二のサセプタ材料の第二のキュリー温度は、第一のサセプタ材料の最高加熱温度の15%〜40%である。第二のサセプタ材料の第二のキュリー温度がやや低いため、エアロゾル形成基体の誘導加熱の早い段階で識別プロセスを実施できる。本来のものでないエアロゾル形成基体が識別される事例では、これによってエネルギーを節約できる場合がある。
【0014】
本発明によるエアロゾル形成基体のさらなる実施形態では、第一のサセプタ材料の最高加熱温度は、誘導加熱された際に、エアロゾル形成基体の全体的な平均温度が240℃を超えないように選択される場合がある。本明細書では、エアロゾル形成基体の全体的な平均温度はエアロゾル形成基体の中心領域および周辺領域での温度測定の数字の算術平均として定義される。全体的な平均温度についての最大値を予め定義することによって、エアロゾルが最適に生成されるようにエアロゾル形成基体が調整される場合がある。
【0015】
エアロゾル形成基体の別の実施形態では、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料を含むエアロゾル形成基体の局所的な過熱を回避するために、第一のサセプタ材料の最高加熱温度は370℃を超えないように選択される。注目すべきことは、第一のサセプタ材料の最高加熱温度は、必ずしもその第一のキュリー温度に対応しないことである。第一のサセプタ材料の最高加熱温度を、例えば、電子的に制御してもよく、第一のサセプタ材料の第一のキュリー温度はその最高加熱温度よりも高くてもよい。
【0016】
第二のサセプタ材料および任意選択的に第三のサセプタ材料の主要な機能は、一致するエアロゾル形成基体を識別できるようにすることである。主たる熱沈着は第一のサセプタ材料によって実行される。したがって、エアロゾル形成基体の実施形態では、第二のサセプタ材料および第三のサセプタ材料がそれぞれ、第一のサセプタ材料の重量基準の濃度より低い重量基準の濃度を有してもよい。こうして、エアロゾル形成材料の中の第一のサセプタ材料の量は、適正な加熱およびエアロゾル生成を確保するために十分高いままに保たれうる。
【0017】
第一のサセプタ材料、第二のサセプタ材料、および任意選択的に第三のサセプタ材料はそれぞれ、粒子状、フィラメント状、またはメッシュ様の構成のうちの1つとすることができる。第一の、第二の、および任意選択的に第三のサセプタ材料の異なる幾何学的構成は相互に組み合わせてもよく、これによって熱沈着および識別機能のそれぞれの最適化のためのエアロゾル形成基体内でのサセプタ材料の配置に関する柔軟性を高める。異なる幾何学的構成を持つことによって、第一のサセプタ材料、第二のサセプタ材料、および任意選択的に第三のサセプタ材料をそれらの特定のタスクに合わせてもよく、またこれらをエアロゾル生成および識別機能を最適化するために特定の様式でエアロゾル形成基体内に配置してもよい。
【0018】
エアロゾル形成基体のなおさらなる実施形態では、第二のおよび任意選択的に第三のサセプタ材料をエアロゾル形成基体の周辺領域内に配設してもよい。エアロゾル形成基体の誘導加熱の間に、第二のサセプタ材料および任意選択的に第三のサセプタ材料を周辺領域内に配置することによって、誘導電磁場が実質的に妨げられていない状態に達する場合があり、ひいては第二のサセプタ材料および任意選択的に第三のサセプタ材料の非常に速い応答がもたらされる場合がある。
【0019】
別の実施形態では、エアロゾル形成基体は任意選択的にフィルタープラグを備えるマウスピースを取り付けてもよい。エアロゾル形成基体およびマウスピースは構造実体を形成する。エアロゾル発生のために新しいエアロゾル形成基体が使用されるたびに、ユーザーに新しいマウスピースが自動的に提供される。これは衛生的な観点から高く評価されうる。任意選択的にマウスピースはフィルタープラグ付きで提供される場合があり、これはエアロゾル形成基体の特定の組成に依存して選択される場合がある。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態では、エアロゾル形成基体は概して円筒形状であってもよく、例えば、オーバーラップなどの管状ケーシングによって囲まれていてもよい。例えば、オーバーラップなどの管状ケーシングは、エアロゾル形成基体の形状の安定化、そしてエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料、ならびに第一のサセプタ材料、第二のサセプタ材料、および任意選択的に第三のサセプタ材料の偶発的な分裂の防止に役立つ場合がある。
【0021】
本発明によるエアロゾル送達システムは、記述された実施形態のいずれか一つによる誘導加熱装置およびエアロゾル形成基体を備える。かかるエアロゾル送達システムは、エアロゾル形成基体の信頼性のある識別ができるようにする。特定の誘導加熱装置と組み合わせて使用するとき、問題を生じる場合がある本来のものでない製品は誘導加熱装置によって識別され、そして拒絶される場合がある。こうして、誘導加熱装置への悪影響は防止される場合がある。また、本来のものでないエアロゾル形成基体を検出することによって、特定されていないエアロゾルの生成および顧客への送達も排除される場合がある。
【0022】
エアロゾル送達システムの実施形態では、誘導加熱装置は電子制御回路を有して提供される場合があり、これは第二のサセプタ材料および任意選択的に第三のサセプタ材料がそのそれぞれの第二のキュリー温度および第三のキュリー温度に達したことを検出するために適合される。それらの第二のキュリー温度および第三のキュリー温度に達すると、第二のサセプタ材料および任意選択的に第三のサセプタ材料の磁性は強磁性相から常磁性相へと可逆的に変化する。その結果、第二のサセプタ材料および任意選択的に第三のサセプタ材料のヒステリシス損失が消滅する。この第二のサセプタ材料および任意選択的に第三のサセプタ材料の磁性の変化は、誘導加熱装置内に統合される場合がある電子回路によって検出されうる。検出は、例えば、誘導加熱装置の誘導コイルに接続された振動回路の振動周波数の変化を定量的に測定することによって、または、例えば、誘導加熱装置の起動から特定されたタイムスロット内で振動周波数または誘導電流の変化が生じたかどうかを定性的に判定することによって遂行される場合がある。エアロゾル形成基体が第二のサセプタ材料および第三のサセプタ材料を含む場合、観察される物理的な量の予想される2つの連続的な定量的または定性的な変化が検出されるはずである。観察される物理的な量の予想される定量的または定性的な変化が検出される場合に、所望の量のエアロゾルを発生するためにエアロゾル形成基体の誘導加熱が継続される場合がある。観察される物理的な量の予想される変化が検出されない場合、エアロゾル形成基体が本来のものでないと識別される場合があり、そしてその誘導加熱は停止する場合がある。
【0023】
エアロゾル送達システムのさらなる実施形態では、誘導加熱装置はインジケータを有して提供されてもよく、これは第二のサセプタ材料および任意選択的に第三のサセプタ材料のこれらの第二のキュリー温度および第三のキュリー温度への到達が検出されると起動可能になってもよい。このインジケータは、例えば音響的または光学的インジケータであってもよい。エアロゾル送達システムの一実施形態では、光学的インジケータはLEDであってもよく、これは誘導加熱装置のハウジング上に提供されてもよい。したがって、本来のものでないエアロゾル形成基体が検出された場合には、例えば赤い光が本来の製品でないことを表示する場合がある。
【0024】
エアロゾル形成基体およびエアロゾル送達システムの上述の実施形態は、下記の詳細な説明によって一層明白となり、正確な縮尺ではないが添付の概略図が参照されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】誘導加熱装置と、装置の中へと挿入されたエアロゾル形成基体とを備える、エアロゾル送達システムを示す。
【
図2】粒子状の構成の第一のサセプタ材料と、粒子状の構成の第二のサセプタ材料とを含む、エアロゾル形成基体の第一の実施形態を示す。
【
図3】粒子状の構成の第一のサセプタ材料と、粒子状の構成の第二および第三のサセプタ材料とを含む、エアロゾル形成基体の第二の実施形態を示す。
【
図4】フィラメント状の構成の第一のサセプタ材料と、粒子状の構成の第二および第三のサセプタ材料とを含む、エアロゾル形成基体の第三の実施形態を示す。
【
図5】メッシュ様の構成の第一のサセプタ材料と、粒子状の構成の第二のサセプタ材料とを含む、エアロゾル形成基体の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
誘導加熱はファラデーの電磁誘導の法則およびオームの法則により説明される公知の現象である。さらに具体的に言えば、ファラデーの電磁誘導の法則は、導体内の磁気誘導が変化する場合に導体内に変化する電場が作り出されると述べている。この電場が導体内に作り出されるため、電流(渦電流として知られる)はオームの法則に従って導体内を流れる。渦電流は電流密度および導体抵抗率に比例した熱を発生させる。誘導加熱される能力のある導体はサセプタ材料として公知である。本発明はLC回路などのAC源から交流電磁場を発生する能力のある誘導加熱源(例えば、誘導コイルなど)を装備した誘導加熱装置を採用する。熱を発生する渦電流は、エアロゾル形成基体の加熱に伴いエアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を有し、エアロゾル形成基体内に含まれる、固体材料と熱的に近接したサセプタ材料内で生成される。本明細書で使用される時、「固体」という用語は、担体材料上に提供される場合がある固体材料、半固体材料、および液体構成要素さえも含む。サセプタ材料から固体材料への主要な熱伝達メカニズムは伝導、放射および場合によっては対流である。
【0027】
概略的な
図1では、本発明によるエアロゾル送達システムの例示的実施形態は一般的に参照番号100で示されている。エアロゾル送達システム100は、誘導加熱装置2およびそれに関連付けられたエアロゾル形成基体1を備える。誘導加熱装置2は、蓄熱器22または電池を収容するための蓄熱チャンバー21と、加熱チャンバー23とを有する、細長い管状ハウジング20を備えてもよい。加熱チャンバー23は、図示した例示的実施形態に示す通り、電子回路32と電気的に接続される誘導コイル31により構成されてもよい誘導加熱源を提供してもよい。電子回路32は、例えば、加熱チャンバー23の軸方向の延長を画定するプリント基板33上に提供されてもよい。誘導加熱に必要な電力は、蓄熱チャンバー21内に収容され、電子回路32と電気的に接続される、蓄熱器22または電池によって提供される。加熱チャンバー23は、エアロゾル形成基体1がその内部に放出できるように保持されてもよく、かつ簡単に取り外しそして望む時に別のエアロゾル形成基体1と交換できるような内側断面を有する。
【0028】
エアロゾル形成基体1は概して円筒の形状であってもよく、管状ケーシング15(例えば、オーバーラップなど)によって囲まれてもよい。管状ケーシング15(例えば、オーバーラップなど)は、エアロゾル形成基体1の形状の安定化、およびエアロゾル形成基体1の内容物の偶発的損失の回避に役立つ場合がある。
図1によるエアロゾル送達システム100の例示的な実施形態に示す通り、エアロゾル形成基体1はマウスピース16と接続されてもよく、ここで加熱チャンバー23に挿入されたエアロゾル形成基体1は、少なくとも部分的に加熱チャンバー23から突き出る。マウスピース16はフィルタープラグ17を備えてもよく、これはエアロゾル形成基体1の組成に依存して選択されてもよい。エアロゾル形成基体1およびマウスピース16は、構造実体を形成するように組み立てられてもよい。新しいエアロゾル形成基体1を誘導加熱装置2と組み合わせて使用するたびに、ユーザーには新しいマウスピース16が自動的に供給され、これは衛生の観点から高く評価される場合がある。
【0029】
図1に示す通り、誘導コイル31は加熱チャンバー23の周辺領域の誘導加熱装置2のハウジング20付近に配置されてもよい。誘導コイル31の巻線は、エアロゾル形成基体1を収容する能力を有する加熱チャンバー23の自由空間を囲む。エアロゾル形成基体1は、誘導加熱装置2の管状ハウジング20の開放端から、加熱チャンバー23の内側に提供されうる止め具に達するまで加熱チャンバー23のこの自由空間に挿入されてもよい。止め具は管状ハウジング20の内側壁から突き出ている少なくとも一つの突起で構成されてもよく、または
図1に示す通り、軸方向に加熱チャンバー23を画定するプリント基板33により構成されてもよい。挿入されたエアロゾル形成基体1は、例えば、管状ハウジング20の開放端の付近に提供されてもよい環状のシーリングガスケット26により、加熱チャンバー23の中に放出できるように保持されてもよい。誘導加熱装置2の管状ハウジング20は、LEDであるのが好ましいインジケータ(
図1には図示せず)を装備してもよく、これは電子回路32によって制御される場合があり、かつエアロゾル送達システム100の特定の状態を示す能力を有する。
【0030】
エアロゾル形成基体1、および任意選択的なフィルタープラグ17付きの任意選択的なマウスピース16は、空気に対する透過性がある。誘導加熱装置2は管状ハウジング20に沿って分布されてもよい多数の通気孔24を備えてもよい。プリント基板33内に提供されてもよい空気通路34は、通気孔24からエアロゾル形成基体1への気流を可能にする。注目すべきことは、誘導加熱装置2の代替的な実施形態で、管状ハウジング20の通気孔24からの空気が、事実上妨げられずにエアロゾル形成基体1に達することができるように、プリント基板33を省略してもよいことである。誘導加熱装置2は入ってくる空気が検出された時に電子回路32および誘導コイル31を有効化するための空気流センサー(
図1には図示せず)を備えてもよい。空気流センサーは、例えば、通気孔24のどれか一つの付近、またはプリント基板33の空気通路34のどれか一つの付近に提供されてもよい。こうして、エアロゾル形成基体1の誘導加熱を開始するために、ユーザーはマウスピース16を吸ってもよい。加熱されると、エアロゾル形成基体1内に含まれる固体材料により放出されるエアロゾルが、エアロゾル形成基体1を通過して吸い込む空気とともに吸入されてもよい。
【0031】
図2は一般的に参照番号1で示されているエアロゾル形成基体の第一の実施形態を概略的に示す。エアロゾル形成基体1は、概して管状ケーシング15(例えば、オーバーラップなど)を備えてもよい。管状ケーシング15は、エアロゾル形成基体1の内容物に達する電磁場を著しく妨害しない材料で製造されてもよい。例えば、管状ケーシング15は紙製のオーバーラップであってもよい。紙は高い透磁率を持ち、交流電磁場では渦電流によって加熱されない。エアロゾル形成基体1は、エアロゾル形成基体1の加熱に際してエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料10と、固体材料10に熱的に近接して配置される、エアロゾル形成基体1を加熱するための少なくとも第一のサセプタ材料11とを含む。本明細書で使用される時、「固体」という用語は、担体材料上に提供される場合がある固体材料、半固体材料、および液体構成要素さえも含む。エアロゾル形成基体1はさらに少なくとも、第二のキュリー温度を有する第二のサセプタ材料12を含む。第二のサセプタ材料12の第二のキュリー温度は、第一のサセプタ材料11の所定の最高加熱温度より低い。
【0032】
第一のサセプタ材料11の所定の最高加熱温度は、その第一のキュリー温度であってもよい。第一のサセプタ材料11が加熱され、そしてその第一のキュリー温度に達した時、その磁性は強磁性相から常磁性相に可逆的に変化する。この相変化が検出される場合があり、誘導加熱は停止される。加熱の中断に起因して、第一のサセプタ材料11はその磁性が常磁性相から強磁性相へと再度変化する温度まで再度冷却される。この相変化も検出される場合があり、エアロゾル形成基体1の誘導加熱が再び開始される場合がある。あるいは、第一のサセプタ材料11の所定の最高加熱温度は、電子的に制御される所定の温度に対応する場合がある。この場合、第一のサセプタ材料11の第一のキュリー温度は、所定の最高加熱温度よりも高い場合がある。
【0033】
第一のサセプタ材料11は、熱損失について、ひいては加熱の効率について、最適化される場合がある。こうして、第一のサセプタ材料11は、所定の強度の交流電磁場により発生した表面渦電流を最適化するために、低い磁気抵抗と、それに対応して高い相対浸透性とを持つべきである。第一のサセプタ材料11はまた、ジュール熱放散を、ひいては熱損失を増やすために、比較的低い電気抵抗性を持つべきである。
【0034】
固体材料にエアロゾルを形成させることができる揮発性化合物を放出させるために第一のサセプタ材料11がエアロゾル形成基体1の適切な加熱を提供する一方で、第二のサセプタ材料12は一致するエアロゾル形成基体1の識別のために使用される場合がある。本明細書で使用される時、一致するエアロゾル形成基体は、明確に定義された組成物のエアロゾル形成基体1であり、これは特定の誘導加熱装置と組み合わせて使用するために最適化されてきた。こうして、固体材料10ならびに少なくとも第一のサセプタ材料11および第二のサセプタ材料12の重量基準の濃度、これらの特定の調合および構成、エアロゾル形成基体1内のこれらの配置、ならびに第一のサセプタ材料11の誘導電磁場およびエアロゾル生成への固体材料10の加熱の結果としての応答は、特定の誘導加熱装置に関して調整されてきた。第二のサセプタ材料12は、第一のサセプタ材料11の最高加熱温度より低い第二のキュリー温度を有する。エアロゾル形成基体1の加熱に際して、第一のサセプタ材料がその最高加熱温度に達する前に、第二のサセプタ材料12はその第二のキュリー温度に到達する。第二のサセプタ材料12がその第二のキュリー温度に達した時、その磁性は強磁性相から常磁性相に可逆的に変化する。その結果、第二のサセプタ材料12のヒステリシス損失が消滅する。この第二のサセプタ材料12の磁性の変化は、誘導加熱装置の中へと組み込まれる場合がある電子回路によって検出される場合がある。磁性の変化の検出は、例えば、誘導加熱装置の誘導コイルに接続された振動回路の振動周波数の変化を定量的に測定することによって、または、例えば、誘導加熱装置の起動からの特定されたタイムスロットの中で振動周波数もしくは誘導電流の変化が生じたかどうかを定性的に判定することによって遂行される場合がある。観察される物理的な量の予想される定量的なまたは定性的な変化が検出される場合、所望の量のエアロゾルを発生するために、エアロゾル形成基体の誘導加熱を第一のサセプタ材料11がその最高加熱温度に達するまで継続する場合がある。観察される物理的な量の予想される定量的または定性的な変化が生じない場合、エアロゾル形成基体1は本来のものでないと識別される場合があり、誘導加熱が停止される場合がある。第二のサセプタ材料12は通常エアロゾル形成基体1の加熱に貢献しないため、その重量基準の濃度は第一のサセプタ材料11の重量基準の濃度より低い場合がある。
【0035】
第一のサセプタ材料11の最高加熱温度は、誘導加熱された際に、エアロゾル形成基体1の全体的な平均温度が240℃を超えないように選択される場合がある。本明細書では、エアロゾル形成基体1の全体的な平均温度はエアロゾル形成基体の中心領域および周辺領域での温度測定の数字の算術平均として定義される。エアロゾル形成基体1の別の実施形態では、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料10を含むエアロゾル形成基体1の局所的な過熱を回避するために、第一のサセプタ材料11の最高加熱温度は370℃を超えないように選択される場合がある。
【0036】
上述した
図2の例示的実施形態のエアロゾル形成基体1の基本的組成は、これ以降に説明するエアロゾル形成基体1のさらなる実施形態のすべてで共通である。
【0037】
図2から、エアロゾル形成基体1が、どちらも粒子状の構成であってもよい第一のサセプタ材料11および第二のサセプタ材料12を含むことも認識される場合がある。第一のサセプタ材料11および第二のサセプタ材料12は、10μm〜100μmの等価球体直径を有することが好ましい場合がある。等価球体直径は不規則な形状の粒子と組み合わせて用いられ、等価体積の球の直径として定義される。選択したサイズで、粒子状の第一のサセプタ材料11および第二のサセプタ材料12は、必要に応じてエアロゾル形成基体1全体に分布してもよく、またエアロゾル形成基体1内に確実に保持されてもよい。
図2に示すように、第一のサセプタ材料11は固体材料10全体を通してほぼ均一に分布してもよい。第二のサセプタ材料12は好ましくはエアロゾル形成基体1の周辺領域内に配置されていてもよい。
【0038】
第二のサセプタ材料12の第二のキュリー温度は、第一のサセプタ材料11の最高加熱温度の15%〜40%であってもよい。第二のサセプタ材料12の第二のキュリー温度はやや低いため、エアロゾル形成基体1の誘導加熱の早い段階で識別プロセスが実施されてもよい。本来のものでないエアロゾル形成基体1が識別される事例では、これによってエネルギーが節約される場合がある。
【0039】
図3は一般的に参照番号1で示されているエアロゾル形成基体の別の実施形態を示す。エアロゾル形成基体1は概して円筒の形状であってもよく、管状ケーシング15(例えば、オーバーラップなど)によって囲まれてもよい。エアロゾル形成基体1は、エアロゾル形成基体1の加熱に際してエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料10と、少なくとも第一のサセプタ材料11および第二のサセプタ材料12とを含む。ここでも、第一のサセプタ材料11および第二のサセプタ材料12は両方とも粒子状の構成であってもよい。
図3に示すエアロゾル形成基体1の実施形態は、少なくとも第三のキュリー温度を有する第三のサセプタ材料13をさらに含む。第三のサセプタ材13の第三のキュリー温度と第二のサセプタ材料12の第二のキュリー温度とは互いに別のものであり、そして第一のサセプタ材料11の最高加熱温度より低い。第一のサセプタ材料11の最高加熱温度より低い第一のキュリー温度および第二のキュリー温度を有する第二のサセプタ材料12および第三のサセプタ材料13を用いてエアロゾル形成基体を供給することによって、エアロゾル形成基体のさらにより正確な識別が可能になる場合がある。誘導加熱装置は、観察される物理的な量の2つの予想される連続的な定量的または定性的な変化を検出する能力を持つ対応する電子回路を備える場合がある。電子回路が観察される物理的な量の予想される2つの連続的な定量的または定性的な変化を検出する場合、エアロゾル形成基体1の誘導加熱、ひいてはエアロゾル生成は継続されてもよい。観察される物理的な量の予想される2つの連続的な定量的または定性的な変化が検出されなかった場合、挿入されたエアロゾル形成基体1は本来のものでないとして識別される場合があり、そしてその誘導加熱を停止する場合がある。エアロゾル形成基体1の示される実施形態の変形形態では、第二のサセプタ材料12の第二のキュリー温度は、第三のサセプタ材料13の第三のキュリー温度より少なくとも20℃低くてもよい。第二のサセプタ材料12と第三のサセプタ材料13とのキュリー温度のこの差異は、それぞれの第二のキュリー温度および第三のキュリー温度に達した時の第二のサセプタ材料12および第三のサセプタ材料13のそれぞれの磁性の変化の検出を容易にする場合がある。
図3に示すように、第一のサセプタ材料11は固体材料10全体を通してほぼ均一に分布してもよい。第二のサセプタ材料12および第三のサセプタ材料13は好ましくはエアロゾル形成基体1の周辺領域内に配置されていてもよい。
【0040】
図4では、エアロゾル形成基体のさらなる実施形態を示し、これも一般に参照番号1で示される。エアロゾル形成基体1は概して円筒の形状であってもよく、管状ケーシング15(例えば、オーバーラップなど)によって囲まれてもよい。エアロゾル形成基体1は、エアロゾル形成基体1の加熱に際してエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料10と、少なくとも第一、第二、および第三のサセプタ材料11、12、13とを含む。第一のサセプタ材料11はフィラメントの構成であってもよい。フィラメントの構成の第一のサセプタ材料は、異なる長さおよび直径を有してもよく、固体材料全体に分布されてもよい。
図4に例示的に示すように、フィラメントの構成の第一のサセプタ材料11は、ワイヤー様の形状であってもよく、またエアロゾル形成基体1の長軸方向の延長部分を通してほぼ軸方向に延長してもよい。第二および第三のサセプタ材料12、13は粒子状の構成であってもよい。これらはエアロゾル形成基体1の周辺領域内に配置されているのが好ましい。必要と見なされる場合、第二のサセプタ材料12および第三のサセプタ材料13は、固体材料全体を通して局所的なピークを有して分散される場合がある。
【0041】
図5はエアロゾル形成基体のなおも別の例示的な実施形態を示し、これも一般に参照番号1で示される。エアロゾル形成基体1はここでも概して円筒の形状であってもよく、管状ケーシング15(例えば、オーバーラップなど)によって囲まれうる。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体1の加熱に際してエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料10と、少なくとも第一および第二のサセプタ材料11、12とを含む。第一のサセプタ材料11は、エアロゾル形成基体1の内側に配置されてもよいメッシュ様の構成としてもよく、または別の方法として、少なくとも部分的に固体材料10のための枠を形成してもよい。「メッシュ様の構成」という用語には、それを通じて不連続性を有する層を含む。例えば、層はスクリーン、メッシュ、格子、または穿孔のある箔であってもよい。第二のサセプタ材料12は特定の構成からできていてもよく、好ましくはエアロゾル形成基体の周辺領域内に配置されていてもよい。
【0042】
エアロゾル形成基体1の記述されている実施形態では、第二のサセプタ材料12および任意選択的に第三のサセプタ材料13は粒子状の構成であるとして記述されている。注目すべきことは、これらがフィラメントの構成であってもよいことである。あるいは、第二のサセプタ材料12および第三のサセプタ材料13のうちの少なくとも1つは、粒子状の構成であってもよいが、もう一方はフィラメントの構成であってもよい。フィラメントの構成のサセプタ材料は、異なる長さおよび直径を有してもよい。粒子状構成のサセプタ材料は、10μm〜100μmの等価球体直径を有することが好ましい場合がある。
【0043】
以前に述べたように、誘導加熱装置2はインジケータを有して提供されてもよく、これは第二のサセプタ材料12および任意選択的に第三のサセプタ材料13のこれらの第二のキュリー温度および第三のキュリー温度への到達が検出されると起動可能になってもよい。このインジケータは、例えば音響的または光学的インジケータであってもよい。エアロゾル送達システムの一実施形態では、光学的インジケータはLEDであってもよく、これは誘導加熱装置2の管状ハウジング20上に提供されてもよい。したがって、本来のものでないエアロゾル形成基体が検出された場合には、例えば赤い光が本来の製品でないことを表示する場合がある。
【0044】
本発明の異なる実施形態について添付図面を参照しながら記述してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。種々の変更および改変が本発明の全体的教示から逸脱しない範囲で想定される。従って、保護の範囲は添付の請求の範囲によって定義される。
【国際調査報告】