特表2017-520543(P2017-520543A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-520543(P2017-520543A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(54)【発明の名称】改善された芳香付与組成物
(51)【国際特許分類】
   A61Q 13/00 20060101AFI20170630BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20170630BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20170630BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20170630BHJP
【FI】
   A61Q13/00 102
   A61K8/34
   A61K8/81
   C11B9/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-572325(P2016-572325)
(86)(22)【出願日】2015年6月29日
(85)【翻訳文提出日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】FR2015051770
(87)【国際公開番号】WO2016001560
(87)【国際公開日】20160107
(31)【優先権主張番号】1456116
(32)【優先日】2014年6月30日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】502189579
【氏名又は名称】エルブイエムエイチ レシェルシェ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】シュヴェー, カリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】アラード, バレリー
(72)【発明者】
【氏名】スーヴィー, マリー‐ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ノエ, ブリジット
【テーマコード(参考)】
4C083
4H059
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB052
4C083AB431
4C083AB432
4C083AC101
4C083AC102
4C083AD091
4C083AD092
4C083DD08
4C083DD47
4C083KK03
4H059BA12
4H059BB52
4H059BC23
4H059DA09
4H059EA35
(57)【要約】
本発明は、噴霧により皮膚又は毛髪に直接付着させるための、高比率のアルコールを含む、芳香付与オードトワレ又はオードパルファン組成物に関する。より詳細には、本発明は、一旦皮膚に付着された際の嗅覚ノートの持続性などの優れた性質を有する、噴霧可能な芳香組成物に関する。上記芳香付与組成物は透明であり、エタノール、0〜30重量%の水、3〜40重量%の芳香濃縮物、並びにビニルピロリドン及びビニルアセテートのコポリマーを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
40〜90重量%のエタノールと、
0〜30重量%の水と、
3〜40重量%の芳香濃縮物と、
1〜10重量%のビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーと、
を含む芳香付与組成物であって、
これらの百分率が前記芳香付与組成物の重量に対して表される、
芳香付与組成物。
【請求項2】
前記芳香濃縮物が前記芳香付与組成物の重量の10〜35重量%を占め、前記コポリマーが前記芳香付与組成物の重量の2〜5重量%を占めることを特徴とする、請求項1に記載の芳香付与組成物。
【請求項3】
使用者が前記芳香付与組成物を自身の皮膚又は自身の衣服に噴霧した場合に、前記コポリマーが芳香、特に香水のトップノート及びハートノートの知覚をある期間にわたって延長し、この増加が前記コポリマーを含まない同じ組成物に対して評価されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の芳香付与組成物。
【請求項4】
前記コポリマーが25℃において固体であること、前記コポリマーにおけるビニルピロリドンとビニルアセテートとの重量比が50:50〜70:30の範囲であること、及び前記コポリマーの重量平均分子量が15000と600000との間であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の芳香付与組成物。
【請求項5】
前記エタノールと前記水との重量比が65/35と98/2との間であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の芳香付与組成物。
【請求項6】
前記芳香付与組成物の重量に対して、15〜25重量%の前記芳香濃縮物、55〜65重量%の前記エタノール及び15〜25重量%の前記水を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の芳香付与組成物。
【請求項7】
前記芳香付与組成物の重量に対して、25〜35重量%の前記芳香濃縮物、70〜80重量%の前記エタノール及び0重量%の前記水を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の芳香付与組成物。
【請求項8】
前記芳香付与組成物の重量に対して、15〜25重量%の前記芳香濃縮物、75〜85重量%の前記エタノール及び0〜5重量%の前記水を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の芳香付与組成物。
【請求項9】
噴霧手段及び包装手段を備え、請求項1〜8のいずれか一項に記載の芳香付与組成物を含む、瓶。
【請求項10】
前記芳香付与組成物が透明であることを特徴とする、請求項9に記載の瓶。
【請求項11】
前記芳香付与組成物が、オードトワレ、オーデコロン、芳香エキス、エスプリドパルファン又はオードパルファンの形態の溶液であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の瓶。
【請求項12】
前記噴霧手段が手動ポンプであることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一項に記載の瓶。
【請求項13】
芳香付与組成物の嗅覚ノートがそれを支持体に付着させた使用者の嗅覚により知覚される時間を延長するための、前記芳香付与組成物におけるビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーの使用であって、この増加が前記コポリマーを含まない同じ組成物に対して評価される、使用。
【請求項14】
前記芳香付与組成物が、皮膚、毛髪又は衣服に付着される、オードトワレ、オーデコロン、芳香エキス、エスプリドパルファン又はオードパルファンの形態の芳香付与溶液であることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記コポリマーが、嗅覚ノートのトップノート及びハートノートの知覚を延長することを特徴とする、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の芳香付与組成物を含浸した支持体を備える、ディフューザー。
【請求項17】
前記支持体が多孔質の支持体、例えば布地又はセラミックスであることを特徴とする、請求項16に記載のディフューザー。
【請求項18】
i)前記芳香付与組成物を支持体上に滴下した後若しくは噴霧した後の毛管作用によって又はii)前記芳香付与組成物を含む容器に支持体を浸漬することによって、前記芳香付与組成物を含浸することにより得られることを特徴とする、請求項16又は17に記載のディフューザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高比率のアルコールを含み、直接に皮膚及び毛髪、又は衣服に噴霧して用いられる、芳香付与組成物に関する。
【0002】
この組成物は、オードトワレ、オーデコロン、芳香エキス、エスプリドパルファン又はオードパルファンであってよい。付着後にそれが洗い落とされることはない。
【0003】
より詳細には、本発明は、透明性、噴霧性、含まれる芳香濃縮物の嗅覚忠実度、及び付着後ある期間にわたる芳香ノートの持続性など、優れた性質を有する芳香付与組成物に関する。
【先行技術】
【0004】
香水は通常、芳香濃縮物、エタノール、必要に応じて水、並びに、可溶化剤、染料、酸化防止剤及び界面活性剤などの添加剤を含む。
【0005】
芳香濃縮物は香水の不可欠な構成要素である。それは、香水に独自の嗅覚ノートを与えるように、複合的で、香りのある揮発性物質を基本的に含む。
【0006】
芳香付与溶液の開発は、最適な感覚刺激性特性及び良好な安定性を有する液体を、規制に従って得るために、これらの様々な成分の性質及び量を選択することを含む。
【0007】
香水は、製品が販売されるまでの保管中、及びその後の消費者による使用期間中を通して、嗅覚ノートが包装容器中に保持されることを保証するのに十分な光安定性及び熱安定性を特に示さなければならない。この安定性には、当初の嗅覚ノートのある期間にわたる維持、及び瓶中での曇り又は沈着物の出現が無いことが主に含まれる。
【0008】
本出願において「嗅覚ノート」とも称される香水の香りは、香水が含む揮発性物質の発散が嗅覚により知覚された結果である。香りのある物質の揮発度、及び嗅覚による知覚閾値を調節することにより、香水は構成され、香水の嗅覚ノートは皮膚又は毛髪への付着後に時間とともに変化する。
【0009】
従って各香水は、i)香水の付着中又は香水を含む容器の開放中に、最初に拡散する香りであるトップノート、ii)(トップノートが徐々に消滅した後、数時間放出する)完全な香水に対応する、ハートノート又はボディノート、及びiii)(ハートノートの後、数時間放出する)最も持続的な香りであるベースノートと称されるものを示す。ベースノートの持続性は、香料製造者が香水の持続性と呼ぶものに対応する。
【0010】
いくつかの芳香濃縮物に対して、一旦芳香付与組成物が付着されると、ある期間にわたって消費者の香りの知覚を延ばすために、芳香付与溶液の嗅覚ノートの持続性を増大させることが求められる。トップノート及びハートノートなどの、より揮発性が高いノートの強さを維持するようにも求められる。
【0011】
いずれにせよ、特に、トップ、ハート及びベースノートにおいて、質的(知覚された香り)かつ量的(知覚された強さ)に芳香濃縮物の嗅覚忠実度を保証するために、全体として香気を変更しない化合物を芳香付与溶液に組み入れることが不可欠である。
【0012】
従って、満足できる製品を得るために、複数のパラメータを調節する必要がある。しかし、所与の添加剤はその主要な機能とともに望ましくない性質を導入するおそれがあり、その結果、香料製造者を妥協に導く可能性がある。
【0013】
例えば、嗅覚ノートの強さ及び持続性は、芳香濃縮物の性質、溶液中における濃縮物の百分率、アルコールのレベル及び解離時間に依存する可能性がある。色は、液体ろ過パラメータ及び染料の添加にも依存する。光及び熱を受けて液体が劣化することを制限するために、芳香付与溶液を紫外放射線の作用から保護する酸化防止剤及びサンスクリーンを含む、芳香濃縮物を保護及び安定化するための系が必要になる可能性がある。さらに、配合の毒物学上の無害性及び容器との良好な適合性を検証しなければならない。
【0014】
オードトワレなどの芳香付与製品に関する消費者からの主な否定的な反応は、多くの場合、皮膚上でのその持続性の不足である。即ち、一旦付着した製品の香りの知覚があまりに短いと判断され、その結果、ある期間にわたって香りの知覚を維持するために、消費者はその日中に製品を1回又は複数回付着し直さざるを得ないおそれがある。従って、芳香組成物の調製中に、定着剤又は蒸発曲線を変更する助剤などの、その蒸発を遅らせる化合物をその中に組み入れようとするかもしれない。
【0015】
しかし、いくつかの定着剤及びいくつかの蒸発特性緩和剤は、芳香濃縮物のアルコール溶液の感覚刺激的性質を変更する欠点を有する。従って、芳香付与製品の皮膚又は衣服への付着後に知覚されるその芳香付与製品の芳香ノートが、それらによって変わるおそれがある。それらによってまた、触ってみると油脂状若しくは粘着性の感覚が皮膚に残る、又は、実質的にその透明性を減少させたりその粘度を増加させたりすることにより、溶液の外観が変更されるおそれがある。最終的に、それらによって溶液の熱安定性及び光安定性が減少するおそれがある。
【0016】
よって、そのノートを維持することが望まれる芳香濃縮物の色及び嗅覚の個性を変更することなく、芳香ノートの知覚持続時間を増す化合物を提供する必要性が残っている。これらの化合物はまた、芳香付与溶液の透明性を維持することができ、瓶のノズルなどの適当な器具を介して噴霧することができ、かつ皮膚に粘着性の残渣を残さないことも必要である。
【0017】
本発明者らは、これらの複雑な仕様に対応するポリマータイプの化合物を見出した。多くの他のポリマーではこれらの仕様を満たすことができないので、なおさらこのことが驚きである。これは特に、全体として許容できない香りを有するメタクリレート誘導体、延長効果と噴霧可能な性質との間の妥協を見出すことができなかったセルロース誘導体、及び、噴霧するにはあまりに粘性な溶液、又は噴霧可能であるが延長効果が不十分な溶液をもたらすポリビニルピロリドンの場合である。最終的に、他のポリマーは、皮膚に粘着性の感覚を残す芳香付与溶液をもたらす。
【0018】
本発明者らは、意外にもビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーが、その噴霧可能な性質を維持しながら、同時に香水の当初の嗅覚ノートを維持及び延長することを可能にすることを見出した。従ってこの化合物は、アルコール中で希釈された芳香濃縮物に存在する材料の香りの知覚を延長することができる。
【0019】
ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーは、化粧品分野で既に使用されている。それらのフィルム形成の性質は、毛髪形態の保持及び毛髪の形作りを促進するために、シャンプー及びゲルなどの毛髪製品に役立つように使用されてきた。
【0020】
本発明は、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーを芳香延長剤として使用することを提案する。
【発明の概要】
【0021】
従って、本発明の主題は、
40〜90重量%のエタノールと、
0〜30重量%の水と、
3〜40重量%の芳香濃縮物と、
1〜10重量%の、25℃で固体であることが好ましいビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーと、
を含む芳香付与組成物であって、
これらの百分率が芳香付与組成物の重量に対して表される、芳香付与組成物である。
【0022】
上記芳香付与組成物は、
40〜90重量%のエタノールと、
0〜30重量%の水と、
3〜40重量%の芳香濃縮物と、
1〜10重量%の、25℃で固体であることが好ましいビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーと、
からなっていてもよく、
これらの百分率が芳香付与組成物の重量に対して表される。
【0023】
「芳香付与組成物」又は「香水」という用語は、個人の皮膚、毛髪又は衣服に噴霧又は付着後に、個人に心地よい匂いを与えることを意図した液体形態の製品を意味する。こうした製品は付着後に洗い落とされることはない。香水は通常、皮膚に付着される。
【0024】
「含む(comprising)」という用語は、組成物が他の成分を含む可能性があることを意味する。エタノール、水、芳香濃縮物及びコポリマーの百分率の合計は、芳香付与組成物の重量の95重量%以上が好ましく、98重量%超であることがより好ましい。
【0025】
「からなる(consist of)」という用語は、エタノール、水、芳香濃縮物及びコポリマーの百分率の合計が100%に等しいことを意味する。
【0026】
上記コポリマーは、使用時に知覚される当初の嗅覚ノートを変えることなく、芳香付与組成物の嗅覚ノートの持続性を増加することを可能にする。このコポリマーを芳香付与溶液に組み入れても、満足できるように噴霧する溶液の能力を著しく変更することはない。
【0027】
芳香付与組成物はある期間にわたって安定かつ熱安定で、噴霧可能で、透明で、非粘着性の芳香配合であることが好ましい。包装時における芳香付与組成物の嗅覚ノートは、上記芳香付与組成物を熱に数週間曝露した後、著しくは変化しない。
【0028】
「噴霧可能な」という用語は、消費者が満足する方法で組成物を噴霧する能力があることを意味し、所与の距離で噴霧された組成物の雲によって形成された表面において、又は皮膚への付着後に得られる結果として、噴霧の際に形成される液滴の大きさの均一性という点で満足できる結果を生じさせながら、消費者は組成物を均一にかつ繰返し噴霧することができることを期待している。
【0029】
上記コポリマーは、芳香濃縮物のアルコール溶液の嗅覚ノートを著しくは変更しない。上記コポリマーはまた、特に熱曝露によって老化が加速される標準的な条件下で、当初の嗅覚ノートを維持することも可能にする。
【0030】
従って、上記コポリマーは芳香付与組成物の性質、特に皮膚又は毛髪でのその持続性を向上させ、一方で同時に、噴霧可能な透明な組成物が得られ、かつ感じなどのその官能的性質は満足できる。
【0031】
特に芳香のトップノート及びハートノートにおいて、使用者が芳香付与組成物を自身の皮膚又は自身の衣服の上に噴霧した場合に、上記コポリマーは芳香の知覚をある期間にわたって有利に延長し、この増加は、上記コポリマーを含まない同じ組成物に対して評価される。
【0032】
上記コポリマーにおいて、コポリマーにおけるビニルピロリドンとビニルアセテートとの重量比は、50:50〜70:30の範囲であることが好ましい。それは、例えば60:40である。
【0033】
小角レーザー回折法により測定した上記コポリマーの重量平均分子量は、15000と600000との間が好ましく、30000と100000との間がより好ましい。上記コポリマーの重量平均分子量は、例えば約40000〜50000である。
【0034】
上記コポリマーは25℃で固体であることが好ましく、粉末の形態であることができる。上記コポリマーのINCI名はVP/VAコポリマーであってもよい。上記コポリマーは、70℃と115℃との間のガラス転移温度を有することが好ましく、100℃と110℃との間のガラス転移温度を有することがより好ましい。
【0035】
芳香付与組成物は25℃で液体であり、芳香付与組成物を構成する成分の溶液の形態であることが好ましい。芳香付与組成物は、水溶性−アルコール性、又はアルコール性であってもよい。「水溶性−アルコール性組成物」という用語は、エタノール又は水を含む組成物を意味し、「アルコール性組成物」という用語は、エタノールを含み、水を含まない組成物を意味する。芳香付与組成物に配合されるエタノールは、通常、96体積%のエタノール(即ち4%の水を含む)である。本発明において、芳香付与組成物中の水の百分率を表現する場合、水の百分率とは、i)96体積%のエタノールを使用することによって、又はii)無水エタノールに水を添加することによって、芳香付与組成物に含まれる水の百分率を意味する。
【0036】
本発明において、値の範囲の境界を含まない「〜と〜との間の(between〜and)」という表現と違って、「〜の(from〜to)」という表現は、値の範囲の境界を含む。
【0037】
芳香付与組成物は、成分が混和性の溶液の形態であることが好ましい。この場合、芳香付与組成物は、油中水型又は水中油型のエマルションの形態ではない。
【0038】
芳香付与組成物は、0〜0.01重量%の界面活性剤を含むことが好ましい。芳香付与組成物は、界面活性剤を含まないことが好ましい。実際に、上記コポリマーは、エタノール、芳香濃縮物、及びこれら2つの混合物に同時に可溶であり、そのため、芳香付与組成物を均一かつ透明にするために界面活性剤を添加する必要がない。
【0039】
芳香付与組成物は特に、ポリオキシエチレン化化合物及びポリオキシプロピレン化化合物など、−CHCH(OH)CH−及び−OCHCH−から選択される少なくとも5つの単位を含む、ポリオキシアルキレン化界面活性剤を含んでいなくてもよい。これら界面活性剤としては、例えばPOE(10)セチルエーテルなどのポリオキシアルキレン化エーテル、例えばPEG−40水素化ひまし油又はPOE(20)ソルビタンモノラウレートなどのポリオキシアルキレン化エステル、ポリオキシエチレン化アルキルフェノール縮合物、プロピレンオキシド及びエチレンジアミンの反応生成物とエチレンオキシドとの縮合生成物、ポリエトキシル化アルコール、ポリソルベート、並びにジメチコーンコポリオールを挙げることができる。
【0040】
上記コポリマーは、芳香付与組成物が一旦皮膚又は毛髪に付着されたら、芳香付与組成物の透明性及び噴霧性を減少することなく、ある期間にわたって芳香濃縮物の持続性を増加させるのに十分な量であることが好ましい。
【0041】
一実施形態では、上記コポリマーは、芳香付与組成物の1〜10重量%を占める。10重量%を超えると、上記コポリマーはマイナス効果を有する。即ち、上記コポリマーは、皮膚に粘着性の感覚を生み、芳香付与組成物の良好な噴霧を妨げる。一実施形態では、上記コポリマーは、芳香付与組成物の重量の2〜8重量%、好ましくは2〜5重量%を占める。
【0042】
上記コポリマーの最小濃度は、芳香付与組成物の重量の1重量%、2重量%及び3重量%からなる群から選択される値である。上記コポリマーの最大濃度は、芳香付与組成物の重量の4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%及び10重量%からなる群から選択される値である。
【0043】
芳香付与組成物は芳香濃縮物を含む。芳香濃縮物は、例えば、販売のために提示される芳香付与組成物の成分リストに記載されているINCI名が「香水」である化合物から選択できる。芳香濃縮物は、常温で少なくとも部分的に揮発性で、その香りが検出される、化合物又は化合物の混合物である。芳香濃縮物は、トップノート、ハートノート、ベースノート、及びこれらの混合からなる群から選択されるノートを含む。芳香濃縮物は、トップノート及びハートノートを主として含むことが好ましく、低持続性又は中持続性の芳香に対応する。
【0044】
「低持続性」又は「中持続性」という用語は、経験を積んだパネルが観測して、香りの知覚が皮膚への付着の8時間後に半分超だけ減少する芳香を意味する。
【0045】
芳香濃縮物は、天然又は合成の芳香付与材料から調製される。
【0046】
天然の芳香付与材料としては、例えば、花抽出物(ラベンダー、バラ、ジャスミン、イランイラン)、幹抽出物及び葉抽出物(パチョリ、ゼラニウム、プチグレン)、果実抽出物(コリアンダー、アニス、クミン、ビャクシン)、果皮抽出物(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根抽出物(アンゼリカ、セロリ、カルダモン、アイリス、ショウブ)、木抽出物(ビャクダン、ユソウボク、スペイン杉)、草及びイネ科の抽出物(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、樹脂抽出物及びバルサム抽出物(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポパナックス)を挙げることができる。
【0047】
合成の芳香付与材料としては、例えば、ベンジルアセテート、ベンジルベンゾエート、フェノキシエチルイソブチレート、p−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、シトロネリルアセテート、シトロネリルホルメート、ゲラニルアセテート、リナリルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ベンジルホルメート、エチルメチルフェニルグリシネート、アルキルシクロヘキシルプロピオネート、スチラリルプロピオネート及びベンジルサルチレート、ベンジルエチルエーテル、8〜18個の炭素原子を含む直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアール及びボージュナール、α−イソメチルイオノンなどのイオノン、及びメチルセドリルケトン、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、テルピネオール、並びにテルペンが挙げられる。これらの化合物は、これらの香りのある物質の2以上の混合物の形態でしばしば存在する。
【0048】
さらに、エッセンシャルオイル、例えばセージ、カモミール、クローブ、メリッサバルム、ミント、シナモン木葉、ビャクシン、ベチベルソウ、オリバン、ガルバヌム、ラブダナム及びラバンディンのエッセンシャルオイルを使用してもよい。
【0049】
ベルガモットのエッセンシャルオイル、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール(lyral)、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、25リナロール、アンブロキサン、インドール、ヘディオン、サンデリス、レモンのエッセンシャルオイル、マンダリンのエッセンシャルオイル、オレンジのエッセンシャルオイル、アリルアミングリコレート、シクロバータル、ラバンディンのエッセンシャルオイル、セージのエッセンシャルオイル、β−ダマスコン、ゼラニウムのエッセンシャルオイル、シクロヘキシルサリチレート、フェニル酢酸、ゲラニルアセテート、ベンジルアセテート、及びローズオキシドを、香水として、単独又は混合物として使用することが好ましい。
【0050】
周知の嗅覚ノートとしては、例えば、ヘスペリデス芳香、芳香植物、フローラル芳香、じゃこう、フルーティ芳香、スパイシー芳香、オリエンタル芳香、マリン芳香、アクアティックノート、シプレー芳香、ウッディ芳香、シダ及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0051】
芳香付与組成物中のエタノールの含有量は、芳香付与組成物の重量に対して、40〜90重量%、好ましくは50〜85重量%の範囲であることができる。
【0052】
第1の実施形態では、芳香付与組成物は、芳香付与組成物の重量に対して、15〜25重量%の芳香濃縮物、55〜65重量%のエタノール、及び15〜25重量%の水を含む。
【0053】
第2の実施形態では、芳香付与組成物は、芳香付与組成物の重量に対して、25〜35%の芳香濃縮物、70〜80重量%のエタノール、及び0重量%の追加の水を含む。
【0054】
第3の実施形態では、芳香付与組成物は、芳香付与組成物の重量に対して、15〜25重量%の芳香濃縮物、75〜85重量%のエタノール、及び0〜5重量%の水を含む。
【0055】
通常、芳香付与組成物が水を含む時、エタノールと水との重量比は、本発明の芳香付与組成物において、65/35と98/2との間、好ましくは70/30と85/15との間、より好ましくは75/25と80/20との間である。
【0056】
芳香濃縮物は、芳香付与組成物の6〜30重量%、例えば、芳香付与組成物の重量の6〜15重量%、10〜25重量%、又は20〜30重量%を占めることができる。芳香濃縮物は、芳香付与組成物の重量の3〜40重量%、例えば、10〜35重量%、又は15〜30重量%を占めることができる。
【0057】
これまで述べた成分に加えて、芳香付与組成物は、染料、紫外線遮断剤、化粧品活性剤、酸化防止剤及び清涼剤から選択される少なくとも1つの化粧品として許容される成分を含んでもよい。
【0058】
染料としては、例えば、カラメル、Yellow 5、Acid Blue 9/Blue 1、Green 5、Green 3/Fast Green FCF 3、Orange 4、Red 4/Food Red 1、Yellow 6、Acid Red 33/Food Red 12、Red 40、コチニールカルミン(Cl 15850、Cl 75470)、Ext.Violet 2、Red 6−7、Ferric Ferrocyanide、Ultramarines、Acid Yellow 3/Yellow 10、Acid Blue 3、Yellow 10がある。脂溶性染料としては、例えば、Soudan red、D&C Red 17、D&C Green 6、β−カロテン、大豆油、Soudan brown、D&C Yellow 11、D&C Violet 2、D&C Orange 5、キノリンイエロー及びアナットーがある。
【0059】
染料は通常、芳香付与組成物の重量の0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%を占める。
【0060】
酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸、ジ−tert−ブチル−p−ヒドロキシトルエン(BHT又は2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールとも呼ばれる)、BHA(tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール)、ビタミンEなどのトコフェロール、トコフェリルアセテートなどのトコフェロール誘導体、並びに没食子酸及びその誘導体を挙げることができる。
【0061】
芳香付与組成物はまた、芳香濃縮物中に存在する分子の蒸発曲線を変更する1つ又は複数の助剤を含んでもよい。こうした改質剤は、グリコールから、特に、必要に応じてヒドロキシル化又はポリアルキレン化されたエーテル、C〜C12グリセリルエーテル、エステル、及びポリアルキレン化エステルから選択される。
【0062】
これらのエーテルの1つは、R−O−(CH(CH)−CHO)−(CH−CHO)−Hの式の化合物であり、式中、a及びbは、aとbとの合計が1〜4の範囲である整数であり、Rは、8〜18個の炭素原子を含む脂肪鎖である。
【0063】
エーテルは、例えば、ポリオキシエチレングリセリルモノココエート(セチオール(Cetiol)(登録商標)HE)、ジカプリリルエーテル(セチオール(登録商標)OE)、PPG−11ステアリルエーテル(アラモル(Arlamol)(登録商標)E)、PPG−3ミリスチルエーテル(テゴソフト(Tegosoft)(登録商標)APM)、及びこれらの混合物から選択される。
【0064】
グリセリルエーテルは、米国特許出願公開第2003/0216283号に記載されたもの、特に2−エチルヘキシルオキシプロパンジオールであってもよい。
【0065】
エステルは、n−ヘキサデシル−n−ノナノエート、n−オクタデシル−n−ノナノエート又はネオペンチルグリコールジイソノナノエートであってもよい。
【0066】
本発明の主題は、噴霧手段及び包装手段を備え、上記の芳香付与組成物を含む瓶でもある。
【0067】
噴霧手段は手動ポンプであってもよい。瓶は、本発明の芳香付与組成物が観察できるために透明であることが好ましく、上記芳香付与組成物そのものは透明であることが好ましい。
【0068】
芳香付与組成物は、加圧装置によって微細な液滴の形態にして付着させることができる。これらの装置は当業者に周知であり、非エアロゾルポンプ又は「アトマイザー」、噴射剤を備えるエアロゾル容器、及び噴射剤として圧縮空気を使用するエアロゾルポンプも含む。
【0069】
本発明の芳香付与組成物及び瓶は、オードトワレ、オーデコロン、芳香エキス、エスプリドパルファン又はオードパルファンでの形態であることができる。
【0070】
本発明の別の主題は、個人の皮膚又は毛髪に芳香を付与する方法であって、噴霧手段を使用して、上記の芳香付与組成物を個人の皮膚又は毛髪に付着させることを含む、方法である。芳香付与組成物を衣服に付着させてもよく、皮膚、好ましくは顔以外の体の一部に直接付着させることが好ましい。
【0071】
本発明のさらなる主題は、芳香付与組成物の嗅覚ノートがそれを支持体に付着させた使用者の嗅覚により知覚される時間を延長するための、芳香付与組成物におけるビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーの使用であって、この増加が上記コポリマーを含まない同じ組成物に対して評価される、使用である。香水を蓄積する支持体は、例えば個人の皮膚、又は無機若しくは有機の、好ましくは多孔質の支持体であってもよい。芳香付与組成物は、皮膚、毛髪又は衣服に付着される、オードトワレ、オーデコロン、芳香エキス、エスプリドパルファン又はオードパルファンの形態の芳香付与液体であることが好ましい。上記コポリマーは、嗅覚ノートのトップノート及びハートノートの知覚を延長することが好ましい。
【0072】
本発明の主題は、上記の芳香付与組成物を含浸した支持体を備えたディフューザーでもある。支持体は、無機又は有機で、好ましくは多孔質であってもよい。
【0073】
本発明の芳香を蓄積することができる支持体は、例えば布地又はセラミックスである。セラミックスは、当業者に周知の技法に従って製造することができる。布地は、芳香付与する若しくは芳香が付与された製品分野で使用される布、又はフェルトであってもよい。
【0074】
ディフューザーは、当業者に周知の任意の方法により、支持体に芳香付与組成物を含浸することにより得ることができる。従って含浸は、i)芳香付与組成物を支持体上に滴下した後若しくは噴霧した後の毛管作用によって、又はii)芳香付与組成物を含む容器に支持体を浸漬することによって、実施することができる。
【実施例】
【0075】
本発明を以下の実施例により、より詳しく説明する。
【0076】
実施例1及び比較例:本発明に係る芳香付与組成物及び従来技術の芳香付与組成物の嗅覚忠実度及び持続性の評価
中度持続性の市販の香水「フローラル」タイプを基準として選択した。
次に、VP/VAコポリマーを上記基準に添加して、本発明に係る組成物を調製した。使用したビニルピロリドン(VP)/ビニルアセテート(VA)コポリマーは、25℃で測定して、96%v/vエタノール(4%v/vの水を含む)に40重量%の最大溶解度を有する。上記コポリマーの固有の嗅覚中立性を検証した。こうしたコポリマーは、例えば、ISP社から参照番号PVP/VA S−630(登録商標)で販売されている。
【0077】
比較のために、物理的特性(鎖長及び架橋)、化学的特性(親水性/親油性)及び官能的性質(香り及び色)に関して、様々なポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーを試験した。
手動ポンプで香水を噴霧できる最大濃度として前に定義した濃度において、これらのポリマーを上記の市販の香水に導入した。
【0078】
【表1】
【0079】
厳密な塗る手順に従って皮膚へ付着させた直後(T0)及び付着させてから8時間後(T0+8時間)に、8名の個人から構成される官能パネルにより、溶液の嗅覚忠実度を、上記の基準に対して評価した。成績は0〜9の等級で与えられ、9が最高の忠実度を示す。T0+8時間での溶液の持続性を決定するのに同様の手順を使用し、0〜9の等級で採点し、9が最も好ましいノートを示す。
【0080】
官能パネルのメンバーは、i)芳香が付与された又は芳香を付与する化粧品組成物の官能的品質の客観的かつ記述的評価の経験を備え、かつii)快楽的要素を容易に無視することができる専門家であった。
【0081】
パネルの専門家は、いかに評点を割り当て、違いを判断するかを指示された。さらに、専門家は評価の日に香水をつけたり、芳香が付与されたクリームを塗ったりしないようにしなければならなかった。
【0082】
各専門家が従った手順は以下の通りである:
ポンプに正しく注入するために、溶液を付着させずに一度噴霧する。
腕から約5cmにて、専門家の前腕の最上/中上部の皮膚に、溶液の1回噴霧を適用し、他の前腕には上記の基準を同様に付着させる。
上記の基準と溶液との芳香ノートを比較することにより、T0での嗅覚忠実度を0〜9の等級で評価する。
芳香が付与された皮膚の2つの範囲がこすれることを防ぐために、2つの範囲のそれぞれの周りにプラスチックの環を取り付ける。環はバンドエイドで取り付け、その後8時間経過させる。
T0+8時間で、2つのプラスチック環を取り外し、10秒後に、皮膚の表面から約2cmにて芳香が付与された範囲の匂いをかぎ、溶液の持続性又は嗅覚忠実度を0〜9の等級で評価する。
結果を以下の表2及び表3に報告した。
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
この研究は、VP/VAコポリマーだけが、物理的及び官能的性質に全く影響することなく、芳香の嗅覚忠実度及び持続性を著しく向上させることができることを示している。
【0086】
嗅覚ノートの忠実度が尊重され、噴霧性が維持され、かつ感覚性と付着後の製品の持続時間との間の良好な妥協を得ることができる。
【0087】
実施例2:様々な香水の持続性の増加
実施例1での使用に従って、異なる持続性を有する4種類の市販の香水P1〜P4(表4参照)に、VP/VAコポリマーを4重量%でそれぞれ溶解させることにより、実施例1と同様の試験を実施した。結果を表5に示した。
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】
芳香の嗅覚系統が何であれ、4重量%で溶解したVP/VAコポリマーを香水に添加すると、T0+8時間での持続性の増加が著しい。
持続性が約3〜4である非常に軽い芳香で、最も著しい効果が得られた。
【0091】
実施例3:本発明の芳香付与組成物を含浸したセラミックスの調製、及び従来技術の芳香付与組成物の含浸に対する比較
ポリマー無しで、香水P1及び上記の基準の香水で、セラミック含浸試験を実施した。これら2種類の香水は実施例2に記載したものである。
【0092】
「対照」ディフューザーは、25℃において、上記の基準の香水に30秒間完全に浸漬することにより、上記の基準の香水を含浸したセラミックからなり、上記の基準の香水は従来技術を表し、PVP−VAコポリマーを含まない。
【0093】
本発明のディフューザーは、前に使用した対照ディフューザーのセラミックスと同じ特性を有するセラミックからなり、これは、本発明に従ってPVP/VAコポリマーを含む香水P1に、対照セラミックを調製するのに使用したのと同じ浸漬条件下で浸漬することにより芳香を付与した。
【0094】
0と4との間の評点(4は観察された持続性の最高評点)を、嗅覚パネルにより実施例1での使用に従って割り当てる。この評点により、セラミックにある香水P1又は上記の基準の香水の持続性が特徴付けられる。
【0095】
3つの評点を、
浸漬し、従ってビーカーから取出し、その後乾燥していないセラミックに(T0での評点)、
T0に従った後、常温で6ケ月保管したセラミックに(T1での評点)、さらに
T1に従った後、45℃の炉中で3週間老化を加速させたセラミックに(T2での評点)、
割り当てた。
割り当てた平均評点を以下の表に報告する。
【0096】
【表6】
【手続補正書】
【提出日】2017年1月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
40〜90重量%のエタノールと、
0〜30重量%の水と、
3〜40重量%の芳香濃縮物と、
1〜10重量%のビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーと、
を含む芳香付与組成物であって、
これらの百分率が前記芳香付与組成物の重量に対して表される、
芳香付与組成物。
【請求項2】
前記芳香濃縮物が前記芳香付与組成物の重量の10〜35重量%を占め、前記コポリマーが前記芳香付与組成物の重量の2〜5重量%を占めることを特徴とする、請求項1に記載の芳香付与組成物。
【請求項3】
使用者が前記芳香付与組成物を皮膚又は衣服に噴霧したときに、前記コポリマーが、前記芳香付与組成物の嗅覚ノート、特にトップノート及びハートノートを前記使用者の嗅覚が知覚する時間を延長し、この時間の延長が前記コポリマーを含まない同様の組成物に対して評価されることを特徴とする、請求項1に記載の芳香付与組成物。
【請求項4】
前記コポリマーが25℃において固体であること、前記コポリマーにおけるビニルピロリドンとビニルアセテートとの重量比が50:50〜70:30の範囲であること、及び前記コポリマーの重量平均分子量が15000と600000との間であることを特徴とする、請求項1に記載の芳香付与組成物。
【請求項5】
前記エタノールと前記水との重量比が65/35と98/2との間であることを特徴とする、請求項1に記載の芳香付与組成物。
【請求項6】
前記芳香付与組成物の重量に対して、15〜25重量%の前記芳香濃縮物、55〜65重量%の前記エタノール及び15〜25重量%の前記水を含むことを特徴とする、請求項1に記載の芳香付与組成物。
【請求項7】
前記芳香付与組成物の重量に対して、25〜35重量%の前記芳香濃縮物、70〜80重量%の前記エタノール及び0重量%の前記水を含むことを特徴とする、請求項1に記載の芳香付与組成物。
【請求項8】
前記芳香付与組成物の重量に対して、15〜25重量%の前記芳香濃縮物、75〜85重量%の前記エタノール及び0〜5重量%の前記水を含むことを特徴とする、請求項1に記載の芳香付与組成物。
【請求項9】
噴霧手段及び包装手段を備え、請求項1〜8のいずれか一項に記載の芳香付与組成物を含む、瓶。
【請求項10】
前記芳香付与組成物が透明であることを特徴とする、請求項9に記載の瓶。
【請求項11】
前記芳香付与組成物が、オードトワレ、オーデコロン、芳香エキス、エスプリドパルファン又はオードパルファンの形態の溶液であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の瓶。
【請求項12】
前記噴霧手段が手動ポンプであることを特徴とする、請求項9に記載の瓶。
【請求項13】
請求項1に記載の芳香付与組成物を含浸した、多孔質の支持体、例えば布地又はセラミックスを備える、ディフューザー。
【請求項14】
i)前記芳香付与組成物を支持体上に滴下した後若しくは噴霧した後の毛管作用によって又はii)前記芳香付与組成物を含む容器に支持体を浸漬することによって、前記芳香付与組成物を含浸することにより得られることを特徴とする、請求項13に記載のディフューザー。
【国際調査報告】