(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-520616(P2017-520616A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(54)【発明の名称】杜仲葉からクロロゲン酸を抽出する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 67/56 20060101AFI20170630BHJP
A23F 3/18 20060101ALI20170630BHJP
C07C 69/732 20060101ALI20170630BHJP
B01D 11/02 20060101ALI20170630BHJP
B01D 15/00 20060101ALI20170630BHJP
【FI】
C07C67/56
A23F3/18
C07C69/732 Z
B01D11/02 A
B01D15/00 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-510715(P2017-510715)
(86)(22)【出願日】2014年5月16日
(85)【翻訳文提出日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】CN2014077651
(87)【国際公開番号】WO2015168962
(87)【国際公開日】20151112
(31)【優先権主張番号】201410186187.9
(32)【優先日】2014年5月5日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516331498
【氏名又は名称】スーチョアン チウチャン バイオロジカル サイエンス アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン チエ
(72)【発明者】
【氏名】チャン リャン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ワン
【テーマコード(参考)】
4B027
4D017
4D056
4H006
【Fターム(参考)】
4B027FB17
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4H006AA02
4H006AB10
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4H006BJ10
4H006BJ50
4H006BN10
4H006BN30
4H006BS10
4H006KC14
4H006KF20
(57)【要約】
本発明は、杜仲葉からクロロゲン酸を抽出する方法を提供し、それは以下のステップを含む:a、杜仲葉の秤取、b、水抽出、c、前処理、d、ろ過、e、マクロポーラス吸着樹脂への投入、f、濃縮、g、乾燥:空気入口温度150℃−200℃、空気出口温度50℃−90℃である噴霧乾燥をして、クロロゲン酸粗生成物を得る。本発明は、水抽出、前処理、マクロポーラス吸着樹脂カラムへの投入、濃縮乾燥によってクロロゲン酸粗生成物を調製する。水抽出液は濃縮せず、前処理の後に直接マクロポーラス吸着樹脂に投入して純化処理を行い、クロロゲン酸が濃縮のために長時間水中で熱にさらされ、不安定になって分解してしまうという問題を解決するとともに、濃縮工程の段階を省いて生産サイクルを短縮する。また、異なる溶離液の濃度パラメータを制御することによって、20〜60%の各種規格の粗生成物を生産することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップa〜gを含むことを特徴とする、杜仲葉からクロロゲン酸を抽出する方法。
a.杜仲葉の秤取、
b.水抽出:水を加えて抽出し、抽出温度40℃〜80℃、抽出時間0.5h〜4.0h、抽出回数は1〜3回、1回当たりの水の使用量は薬材の質量の6〜14倍、pH値は2〜7とし、浸出又は動的抽出を行う、
c.前処理:清澄剤を加え、添加量は薬材の質量の0.2%〜1.0%、沈降温度は40℃〜80℃、沈降時間は0.5h〜24hとし、
d.ろ過:ステップcの前処理液を、孔径50μm〜200μmのろ過膜又はフィルターコアでろ過する、
e.マクロポーラス吸着樹脂への投入:ステップdのろ過液を、非極性又は弱極性のマクロポーラス吸着樹脂に通し、樹脂カラムの直径と高さの比は1:4〜1:10、投入の流速は2.0〜8.0BV/H、吸着量は、薬材の質量とカラム体積の比が1:1〜1:5とし、洗浄水の使用量は0.5〜2.0BV、洗浄水の流速は2.0〜8.0BV/H、溶離溶媒の種類はメタノール又はエタノールとし、その濃度は10〜80%、溶離液の使用量は1.0〜6.0BV、溶離液の流速は2.0〜8.0BV/Hとする、
f.濃縮、
g.乾燥してクロロゲン酸の粗生成物を得る。
【請求項2】
請求項1に記載の抽出方法において、
ステップfで述べる濃縮条件は、濃縮温度40℃〜80℃、真空度−0.04MP〜−0.09MP、相対密度1.02〜1.10とし、ステップgで述べる乾燥条件は、空気入口温度150℃〜200℃、空気出口温度50℃〜90℃である噴霧乾燥をして、クロロゲン酸の粗生成物を得ることを特徴とする抽出方法。
【請求項3】
請求項1に記載の抽出方法において、
以下のステップa〜gを含むことを特徴とする抽出方法。
a.杜仲葉の秤取、
b.水抽出:水を加えて抽出し、抽出温度は60℃〜80℃、抽出時間は0.5h〜1.5h、抽出回数は1〜3回、1回当たりの水の使用量は薬材の質量の10〜14倍、pH値は6〜7とし、浸出又は動的抽出を行う、
c.前処理:清澄剤を加え、添加量は薬材の質量の0.4%〜0.8%、沈降温度は50℃〜70℃、沈降時間は1.0h〜2.0hとする、
d.ろ過:ステップcの前処理液を、孔径50μm〜100μmのろ過膜又はフィルターコアでろ過する、
e.マクロポーラス吸着樹脂への投入:ステップdのろ過液を、非極性又は弱極性のマクロポーラス吸着樹脂に通し、樹脂カラムの直径と高さの比は1:4〜1:8、投入流速は3.0〜5.0BV/H、吸着量は、薬材の質量とカラム体積の比が1:1〜1:4とし、洗浄水の使用量は1.0〜2.0BV、洗浄水の流速は3.0〜5.0BV/H、溶離溶媒の種類はメタノール又はエタノールとし、その濃度は10〜30%、溶離液の使用量は4.0〜6.0BV、溶離液の流速は2.0〜4.0BV/Hとする、
f.濃縮:濃縮温度は50℃〜70℃、真空度は−0.07MP〜−0.09MP、相対密度は1.03〜1.05とする、
g.乾燥:空気入口温度150℃〜170℃、空気出口温度60℃〜80℃である噴霧乾燥をして、クロロゲン酸の粗生成物を得る。
【請求項4】
請求項1または2に記載の抽出方法において、
ステップaで述べる杜仲葉にはクロロゲン酸が1.0%〜5.0%含まれることを特徴とする抽出方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の抽出方法において、
ステップcで述べる清澄剤の種類をキトサンとすることを特徴とする抽出方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の抽出方法において、
ステップeで述べるマクロポーラス吸着樹脂の型番はHPD−100、HPD−450、HPD−700、NKA−II、NKA−9又はLS−46とし、好ましくは、前記マクロポーラス吸着樹脂はHPD−100、HPD−450、又はLS−46とすることを特徴とする抽出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杜仲葉からクロロゲン酸を抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クロロゲン酸(Chlorogenic acid)はカフェ酸(Caffeic acid)とキナ酸(Quinic acid)とで組成されるデプシドであり、別名はカフェタンニン酸、化学名は3−O−カフェオイルキナ酸(3−O−Caffeoylquinic acid)、分子式はC
16H
18O
9、分子量は354.30であって、植物体が好気呼吸の過程においてシキミ酸経路で生成するフェニルプロパノイド類である。クロロゲン酸は重要な生物活性物質であり、抗菌、抗ウィルス、白血球増殖、肝保護・利胆、抗腫瘍、血圧降下、血中脂質降下、活性酸素除去、中枢神経系興奮等の作用がある。クロロゲン酸は多くの漢方薬の有効成分のひとつであり、一部の売薬の品質指標でもある。クロロゲン酸の応用範囲は非常に広く、主に医薬、日用化学工業品、食品等の業界で応用されている。クロロゲン酸は様々な植物に広く存在するが、含有量が高い植物は決して多くはない。近年の研究では、杜仲葉のクロロゲン酸含有量が豊富で、1%〜5%に達することがわかっている。中国では杜仲が広範囲に植林されており、毎年数百万トンの杜仲葉を生産することができる。これはクロロゲン酸の抽出に十分な原料のベースとなっている。
【0003】
現在、杜仲葉からクロロゲン酸を抽出するという報道は多く、クロロゲン酸の抽出方法は主として有機溶媒抽出法、物理的抽出法による抽出、超高圧抽出法、ホモジネート抽出法等がある。銭ホアほか、「杜仲葉クロロゲン酸の抽出分離」、中国野生植物資源、第20巻第4期(銭ホア等、「杜仲葉緑原酸的提取分離」、中国野生植物資源、第20巻第4期)では、以下が紹介されている。杜仲葉の乾燥粉末を、70%エタノール(pH=2.5)を用いて90℃で3回抽出する。1回当たり30分抽出し、固液比をそれぞれ1:12、1:10、1:8とする。抽出液を一定の体積になるまで濃縮し、前処理した後に投入する。同時に、17種類のマクロポーラス吸着樹脂について、杜仲葉クロロゲン酸に対する吸着能、溶離能及び吸着動力学特性を比較する、というものである。また、スクリーニング試験は、NKA−9が優れた性能の吸着剤であることを示している。王茜ほか、「杜仲葉クロロゲン酸抽出分離の工程条件と研究」、イオン交換と吸着、2008、24(1):73〜80(王茜等、「杜仲葉中緑原酸提取分離工芸条件的研究」、離子交換与吸附、2008、24(1):73〜80)では、杜仲葉クロロゲン酸の抽出と分離について研究を行っている。すなわち、水及び濃度の異なるエタノール、メタノール、アセトン水溶液を抽出溶媒として、クロロゲン酸得率への影響を研究しており、直交実験法を用いてクロロゲン酸抽出率に影響を与える主要因を分析し、またマクロポーラス樹脂でそれを分離している。その結果、以下のことが示された。50℃の水により抽出されたクロロゲン酸の得率が比較的高く、1.06%であったことから、水をクロロゲン酸抽出溶媒とする。また、水による杜仲葉クロロゲン酸抽出の最適な工程条件は、温度60℃、固液比1:16、pH4、抽出時間3hであり、スクリーニングされたGC−I樹脂はクロロゲン酸の吸着分離に最適な吸着剤であって、吸着に最適なpH値は3、吸着流速は3BV/hであった。この実験条件で得られた粗生成物の純度は30.88%、収率は76.51%であった。苗磊、「杜仲葉クロロゲン酸の抽出と純化」、北京化工大学、2011年6月6日(苗磊、「杜仲葉中緑原酸的提取和純化」、北京化工大学、2011年6月6日)によって、以下の内容が開示されている。まず水で杜仲葉粉末に対しクロロゲン酸の抽出を行い、抽出液をNKA−9マクロポーラス樹脂によって純化し、溶媒を蒸発させてクロロゲン酸生成物を得る。抽出残渣物を乾燥させた後、アルカリ液浸出により細胞壁を分解し、その後石油エーテルの熱還流で抽出した杜仲樹脂を乾燥させる。抽出液からゲル法で粗樹脂を得、アセトン洗浄で乳白色の精製樹脂を得て、杜仲樹脂生成物とする。李光鋒、「杜仲葉クロロゲン酸の抽出、純化の研究」、湖南農業大学、2006年10月(李光鋒、「杜仲葉中緑原酸的提取、純化研究」、湖南農業大学、2006年10月)の、2.クロロゲン酸の安定性についての研究の結果から、クロロゲン酸は60℃以内で4〜6hは比較的安定することが示された。アルカリ性の条件において分解しやすく、pH=3の酸性の条件において最も安定する。クロロゲン酸は強い光照射のもとでは不安定であるため、クロロゲン酸の抽出・分離は極力酸性、遮光の条件を維持して行う。クロロゲン酸の抽出溶媒及び抽出方法は、結果として水を抽出溶媒として加熱抽出するのが比較的好ましいことがわかった。その後、直交試験によって温度、時間、固液比及び粒度の4要素について考察した。加熱抽出工程を最適化した結果を以下に示す。温度65℃、抽出時間60min、固液比1:25、粒度40メッシュの場合が比較的良好であった。クロロゲン酸のカラムクロマトグラフィ最適化条件の研究では、吸着剤、溶離剤等について研究した結果、KLFC−150樹脂を吸着剤とし、エタノールを溶離剤とするのが最適条件であり、この方法でクロロゲン酸を分離すれば、純度、収率ともに高くなり、純度は56.67%に、収率は78.37%に達することが示された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の抽出方法では、クロロゲン酸が濃縮のために長時間水中で熱にさらされ、不安定になって分解してしまうという問題がある。また、カラム投入前の濃縮工程において多数の工程を経なければならないため、生産サイクルを短縮することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、杜仲葉からクロロゲン酸を抽出する方法を提供する。
【0006】
本発明は、以下のステップa〜gを含む、杜仲葉からクロロゲン酸を抽出する方法。
【0007】
a.杜仲葉の秤取。
【0008】
b.水抽出:水を加えて抽出する。抽出温度は40℃〜80℃、抽出時間は0.5h〜4.0h、抽出回数は1〜3回、1回当たりの水の使用量は薬材の質量の6〜14倍、pH値は2〜7とし、浸出又は動的抽出を行う。
【0009】
c.前処理:清澄剤を加える。添加量は薬材の質量の0.2%〜1.0%、沈降温度は40℃〜80℃、沈降時間は0.5h〜24hとする。
【0010】
d.ろ過:ステップcの前処理液を、孔径50μm〜200μmのろ過膜又はフィルターコアでろ過する。
【0011】
e.マクロポーラス吸着樹脂への投入:ステップdのろ過液を、非極性又は弱極性のマクロポーラス吸着樹脂に通す。樹脂カラムの直径と高さの比は1:4〜1:10、投入の流速は2.0〜8.0BV/H、吸着量は、薬材の質量とカラム体積の比が1:1〜1:5とする。洗浄水の使用量は0.5〜2.0BV、洗浄水の流速は2.0〜8.0BV/H、溶離溶媒の種類はメタノール又はエタノールとし、その濃度は10〜80%、溶離液の使用量は1.0〜6.0BV、溶離液の流速は2.0〜8.0BV/Hとする。
【0012】
f.濃縮:濃縮温度は40℃〜80℃、真空度は−0.04MP〜−0.09MP、相対密度は1.02〜1.10とする。
【0013】
g.乾燥:空気入口温度150℃〜200℃、空気出口温度50℃〜90℃である噴霧乾燥をして、クロロゲン酸の粗生成物を得る。
【0014】
得られたクロロゲン酸の粗生成物をさらに精製、純化して、クロロゲン酸の純粋品を得る。
【0015】
より好ましくは、以下のステップa〜gを含む。
【0016】
a.杜仲葉の秤取。
【0017】
b.水抽出:水を加えて抽出する。抽出温度は60℃〜80℃、抽出時間は0.5h〜1.5h、抽出回数は1〜3回、1回当たりの水の使用量は薬材の質量の10〜14倍、pH値は6〜7とし、浸出又は動的抽出を行う。
【0018】
c.前処理:清澄剤を加える。添加量は薬材の質量の0.4%〜0.8%、沈降温度は50℃〜70℃、沈降時間は1.0h〜2.0hとする。
【0019】
d.ろ過:ステップcの前処理液を、孔径50μm〜100μmのろ過膜又はフィルターコアでろ過する。
【0020】
e.マクロポーラス吸着樹脂への投入:ステップdのろ過液を、非極性又は弱極性のマクロポーラス吸着樹脂に通す。樹脂カラムの直径と高さの比は1:4〜1:8、投入流速は3.0〜5.0BV/H、吸着量は、薬材の質量とカラム体積の比が1:1〜1:4とする。洗浄水の使用量は1.0〜2.0BV、洗浄水の流速は3.0〜5.0BV/H、溶離溶媒の種類はメタノール又はエタノールとし、その濃度は10〜30%、溶離液の使用量は4.0〜6.0BV、溶離液の流速は2.0〜4.0BV/Hとする。
【0021】
f.濃縮:濃縮温度は50℃〜70℃、真空度は−0.07MP〜−0.09MP、相対密度は1.03〜1.05とする。
【0022】
g.乾燥:空気入口温度150℃〜170℃、空気出口温度60℃〜80℃である噴霧乾燥をして、クロロゲン酸の粗生成物を得る。
【0023】
ただし、ステップaで述べる杜仲葉にはクロロゲン酸が1.0〜5.0%含まれ、水分含有量は≦20%とする。
【0024】
ただし、ステップcで述べる清澄剤の種類はキトサンとする。
【0025】
ただし、ステップeで述べるマクロポーラス吸着樹脂の型番は、非極性又は弱極性のHPD−100、HPD−450、HPD−700、NKA−II、NKA−9又はLS−46とし、好ましくは、前記マクロポーラス吸着樹脂はHPD−100、HPD−450、又はLS−46とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、水抽出、前処理、マクロポーラス吸着樹脂カラムへの投入、濃縮乾燥によってクロロゲン酸粗生成物を調製するものである。水抽出液は濃縮せずに、前処理後、直接マクロポーラス吸着樹脂に投入して純化処理を行うことで、クロロゲン酸が濃縮のために長時間水中で熱にさらされ、不安定になって分解してしまうという問題を解決するとともに、濃縮工程の段階を省いて生産サイクルを短縮する。また、異なる溶離液の濃度パラメータを制御することで、20〜60%の各種規格の粗生成物を生産することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施例1 本発明のクロロゲン酸を抽出する方法
1.抽出
杜仲葉を10kg(クロロゲン酸含有量=1.0%)用意し、水を用いて40℃の条件下で3回抽出した。1回当たり4.0h、1回当たりの水の使用量は60L、pHは2.0とし、各回の抽出液を合わせた。
【0028】
2.前処理
キトサンを100g用意し、1%の酢酸水溶液で2%のキトサン水溶液を調合し、40℃の条件下で抽出液を加え、均一に攪拌した後、24.0h置いた。
【0029】
3.ろ過
前処理で得た液を50μmのろ過膜でろ過し、濾液を収集した。
【0030】
4.マクロポーラス吸着樹脂カラムへの投入
(1)投入:マクロポーラス吸着樹脂HPD−100を用意し、径と高さの比=1:4の樹脂カラムとなるように湿式法でカラムに充填した。カラム体積は50Lとし、前処理液を2.0BV/Hの流速で投入した。
(2)水洗浄:0.5BVの水を用いて、2.0BV/Hの流速で洗浄した。
(3)溶離:1.0BVの80%メタノール溶液を用いて、2.0BV/Hの流速で溶離を行い、溶出液を収集した。
【0031】
5.濃縮
溶出液を温度40℃、真空度−0.04MPの条件下でメタノール回収し、さらに濃縮液の相対密度が1.02(25℃)になるまで濃縮した。
【0032】
6.噴霧乾燥
濃縮液を空気入口温度200℃、空気出口温度90℃で噴霧乾燥し、クロロゲン酸粗生成物を得た。
【0033】
7.生成物の特徴
得られたクロロゲン酸粗生成物の純度は24.3%、生成物得率は3.2%、クロロゲン酸移行率77.8%であった。
【0034】
実施例2 本発明のクロロゲン酸を抽出する方法
1.抽出
杜仲葉を10kg(クロロゲン酸含有量=3.6%)用意し、水を用いて80℃の条件下で1回抽出した。抽出時間は0.5h、水の使用量は140L、pHは7.0とした。
【0035】
2.前処理
キトサンを20g用意し、1%の酢酸水溶液で2%のキトサン水溶液を調合し、80℃の条件下で抽出液を加え、均一に攪拌した後、0.5h置いた。
【0036】
3.ろ過
前処理で得た液を200μmのろ過膜でろ過し、濾液を収集した。
【0037】
4.マクロポーラス吸着樹脂カラムへの投入
(1)投入:マクロポーラス吸着樹脂HPD−450を用意し、径と高さの比=1:10の樹脂カラムとなるように湿式法でカラムに充填した。カラム体積は10Lとし、前処理液を2.0BV/Hの流速で投入した。
(2)水洗浄:2.0BVの水を用いて、2.0BV/Hの流速で洗浄した。
(3)溶離:6.0BVの10%エタノール溶液を用いて、2.0BV/Hの流速で溶離を行い、溶出液を収集した。
【0038】
5.濃縮
溶出液を温度80℃、真空度−0.09MPの条件下でエタノール回収し、さらに濃縮液の相対密度が1.10(25℃)になるまで濃縮した。
【0039】
6.噴霧乾燥
濃縮液を空気入口温度150℃、空気出口温度50℃で噴霧乾燥し、クロロゲン酸粗生成物を得た。
【0040】
7.生成物の特徴
得られたクロロゲン酸粗生成物の純度は58.4%、生成物得率は4.8%、クロロゲン酸移行率は77.9%であった。
【0041】
実施例3 本発明のクロロゲン酸を抽出する方法
1.抽出
杜仲葉を10kg(クロロゲン酸含有量=5.0%)用意し、水を用いて60℃の条件下で2回抽出した。1回当たり1.5h、1回当たりの水の使用量は80L、pH値は3.0とし、各回の抽出液を合わせた。
【0042】
2.前処理
キトサンを40g用意し、1%の酢酸水溶液で2%のキトサン水溶液を調合し、60℃の条件下で抽出液を加え、均一に攪拌した後、12.0h置いた。
【0043】
3.ろ過
前処理で得た液を200μmのろ過膜でろ過し、濾液を収集した。
【0044】
4.マクロポーラス吸着樹脂カラムへの投入
(1)投入:マクロポーラス吸着樹脂HPD−700を用意し、径と高さの比=1:8の樹脂カラムとなるように湿式法でカラムに充填した。カラム体積は20Lとし、前処理液を3.0BV/Hの流速で投入した。
(2)水洗浄:1.0BVの水を用いて、3.0BV/Hの流速で洗浄した。
(3)溶離:5.0BVの20%エタノール溶液を用いて、3.0BV/Hの流速で溶離を行い、溶出液を収集した。
【0045】
5.濃縮
溶出液を温度60℃、真空度−0.08MPの条件下でエタノール回収し、さらに濃縮液の相対密度が1.050(25℃)になるまで濃縮した。
【0046】
6.噴霧乾燥
濃縮液を空気入口温度150℃、空気出口温度70℃で噴霧乾燥し、クロロゲン酸粗生成物を得た。
【0047】
7.生成物の特徴
得られたクロロゲン酸粗生成物の純度は52.4%、生成物得率は7.1%、クロロゲン酸移行率は74.4%であった。
【0048】
実施例4 本発明のクロロゲン酸を抽出する方法
1.抽出
杜仲葉を10kg(クロロゲン酸含有量=3.6%)用意し、水を用いて60℃の条件下で2回抽出した。1回当たり2.0h、1回当たりの水の使用量は100L、pH値は4.0とし、各回の抽出液を合わせた。
【0049】
2.前処理
キトサンを60g用意し、1%の酢酸水溶液で2%のキトサン水溶液を調合し、60℃の条件下で抽出液を加え、均一に攪拌した後、8.0h置いた。
【0050】
3.ろ過
前処理で得た液を50μmのろ過膜でろ過し、濾液を収集した。
【0051】
4.マクロポーラス吸着樹脂カラムへの投入
(1)投入:マクロポーラス吸着樹脂NKA−IIを用意し、径と高さの比=1:8の樹脂カラムとなるように湿式法でカラムに充填した。カラム体積は40Lとし、前処理液を5.0BV/Hの流速で投入した。
(2)水洗浄:2.0BVの水を用いて、5.0BV/Hの流速で洗浄した。
(3)溶離:4.0BVの30%エタノール溶液を用いて、4.0BV/Hの流速で溶離を行い、溶出液を収集した。
【0052】
5.濃縮
溶出液を温度70℃、真空度−0.08MPの条件下でエタノール回収し、さらに濃縮液の相対密度が1.06(25℃)になるまで濃縮した。
【0053】
6.噴霧乾燥
濃縮液を空気入口温度180℃、空気出口温度80℃で噴霧乾燥し、クロロゲン酸粗生成物を得た。
【0054】
7.生成物の特徴
得られたクロロゲン酸粗生成物の純度は47.4%、生成物得率は5.6%、クロロゲン酸移行率は73.7%であった。
【0055】
実施例5 本発明のクロロゲン酸を抽出する方法
1.抽出
杜仲葉を10kg(クロロゲン酸含有量=3.6%)用意し、水を用いて40℃の条件下で3回抽出した。1回当たり4.0h、1回当たりの水の使用量は80L、pH値は3.0とし、各回の抽出液を合わせた。
【0056】
2.前処理
キトサンを100g用意し、1%の酢酸水溶液で2%のキトサン水溶液を調合し、40℃の条件下で抽出液を加え、均一に攪拌した後、24.0置いた。
【0057】
3.ろ過
前処理で得た液を100μmのろ過膜でろ過し、濾液を収集した。
【0058】
4.マクロポーラス吸着樹脂カラムへの投入
(1)投入:マクロポーラス吸着樹脂NKA−9を用意し、径と高さの比=1:10の樹脂カラムとなるように湿式法でカラムに充填した。カラム体積は50Lとし、前処理液を8.0BV/Hの流速で投入した。
(2)水洗浄:2.0BVの水を用いて、8.0BV/Hの流速で洗浄した。
(3)溶離:6.0BVの40%エタノール溶液を用いて、8.0BV/Hの流速で溶離を行い、溶出液を収集した。
【0059】
5.濃縮
溶出液を温度50℃、真空度−0.06MPの条件下でエタノール回収し、さらに濃縮液の相対密度が1.08(25℃)になるまで濃縮した。
【0060】
6.噴霧乾燥
濃縮液を空気入口温度160℃、空気出口温度60℃で噴霧乾燥し、クロロゲン酸粗生成物を得た。
【0061】
7.生成物の特徴
得られたクロロゲン酸粗生成物の純度は45.8%、生成物得率は5.9%、クロロゲン酸移行率は75.1%であった。
【0062】
実施例6 本発明のクロロゲン酸を抽出する方法
1.抽出
杜仲葉を10kg(クロロゲン酸含有量=3.6%)用意し、水を用いて60℃の条件下で2回抽出した。1回当たり1.5h、1回当たりの水の使用量は120L、pH値は6.5とし、各回の抽出液を合わせた。
【0063】
2.前処理
キトサンを80g用意し、1%の酢酸水溶液で2%のキトサン水溶液を調合し、60℃の条件下で抽出液を加え、均一に攪拌した後、2.0h置いた。
【0064】
3.ろ過
前処理で得た液を50μmのろ過膜でろ過し、濾液を収集した。
【0065】
4.マクロポーラス吸着樹脂カラムへの投入
(1)投入:マクロポーラス吸着樹脂NKA−9を用意し、径と高さの比=1:10の樹脂カラムとなるように湿式法でカラムに充填した。カラム体積は40Lとし、前処理液を6.0BV/Hの流速で投入した。
(2)水洗浄:1.0BVの水を用いて、6.0BV/Hの流速で洗浄した。
(3)溶離:3.0BVの50%エタノール溶液を用いて、3.0BV/Hの流速で溶離を行い、溶出液を収集した。
【0066】
5.濃縮
溶出液を温度60℃、真空度−0.08MPの条件下でエタノール回収し、さらに濃縮液の相対密度が1.045(25℃)になるまで濃縮した。
【0067】
6.噴霧乾燥
濃縮液を空気入口温度160℃、空気出口温度70℃で噴霧乾燥し、クロロゲン酸粗生成物を得た。
【0068】
7.生成物の特徴
得られたクロロゲン酸粗生成物の純度は41.6%、生成物得率は6.2%、クロロゲン酸移行率は71.6%であった。
【0069】
実施例7 本発明のクロロゲン酸を抽出する方法
1.抽出
杜仲葉を10kg(クロロゲン酸含有量=3.6%)用意し、水を用いて70℃の条件下で2回抽出した。1回当たり1.0h、1回当たりの水の使用量は100L、pH値は7.0とし、各回の抽出液を合わせた。
【0070】
2.前処理
キトサンを60g用意し、1%の酢酸水溶液で2%のキトサン水溶液を調合し、70℃の条件下で抽出液を加え、均一に攪拌した後、2.0h置いた。
【0071】
3.ろ過
前処理で得た液を100μmのろ過膜でろ過し、濾液を収集した。
【0072】
4.マクロポーラス吸着樹脂カラムへの投入
(1)投入:マクロポーラス吸着樹脂LS−46を用意し、径と高さの比=1:8の樹脂カラムとなるように湿式法でカラムに充填した。カラム体積は20Lとし、前処理液を5.0BV/Hの流速で投入した。
(2)水洗浄:1.0BVの水を用いて、5.0BV/Hの流速で洗浄した。
(3)溶離:5.0BVの20%エタノール溶液を用いて、3.0BV/Hの流速で溶離を行い、溶出液を収集した。
【0073】
5.濃縮
溶出液を温度60℃、真空度−0.08MPの条件下でエタノール回収し、さらに濃縮液の相対密度が1.045(25℃)になるまで濃縮した。
【0074】
6.噴霧乾燥
濃縮液を空気入口温度160℃、空気出口温度70℃で噴霧乾燥し、クロロゲン酸粗生成物を得た。
【0075】
7.生成物の特徴
得られたクロロゲン酸粗生成物の純度は55.8%、生成物得率は5.5%、クロロゲン酸移行率は85.3%であった。
【0076】
比較例1 クロロゲン酸を抽出する方法
1.抽出
杜仲葉を10kg(クロロゲン酸含有量=3.6%)用意し、水を用いて70℃の条件下で2回抽出した。1回当たり1.0h、1回当たりの水の使用量は100L、pH値は7.0とし、各回の抽出液を合わせた。
【0077】
2.濃縮
抽出液を温度60℃、真空度−0.08MPの条件下で原液の半分まで濃縮した。
【0078】
3.前処理
キトサンを40g用意し、1%の酢酸水溶液で2%のキトサン水溶液を調合し、60℃の条件下で抽出液を加え、均一に攪拌した後、2.0h置いた。
【0079】
4.ろ過
前処理で得た液を100μmのろ過膜でろ過し、濾液を収集した。
【0080】
5.マクロポーラス吸着樹脂カラムへの投入
(1)投入:マクロポーラス吸着樹脂LS−46を用意し、径と高さの比=1:8の樹脂カラムとなるように湿式法でカラムに充填した。カラム体積は20Lとし、前処理液を5.0BV/Hの流速で投入した。
(2)水洗浄:用1.0BVの水を用いて、5.0BV/Hの流速で洗浄した。
(3)溶離:5.0BVの20%エタノール溶液を用いて、3.0BV/Hの流速で溶離を行い、溶出液を収集した。
【0081】
6.濃縮
溶出液を温度60℃、真空度−0.08MPの条件下でエタノール回収し、さらに濃縮液の相対密度が1.03(25℃)になるまで濃縮した。
【0082】
7.噴霧乾燥
濃縮液を空気入口温度160℃、空気出口温度70℃で噴霧乾燥し、クロロゲン酸粗生成物を得た。
【0083】
8.生成物の特徴
得られたクロロゲン酸粗生成物の純度は44.6%、生成物得率は4.5%、クロロゲン酸移行率は55.8%であった。
【0085】
本発明は水を抽出溶媒とし、キトサンの清澄処理を経た後、直接マクロポーラス吸着樹脂カラムに投入して溶離させ、その後濃縮し乾燥させるもので、工程は簡潔であり、作業性が高く、カラム投入前の濃縮工程において多数の工程を省くことで生産サイクルを短縮する。異なる溶離液の濃度パラメータを制御することで、20〜60%の各種規格の粗生成物を生産することができ、クロロゲン酸の移行率が70〜90%と高く、中でも実施例7の条件が最も好ましい。
【国際調査報告】