(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-521310(P2017-521310A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(54)【発明の名称】電空式調節弁
(51)【国際特許分類】
B60T 15/04 20060101AFI20170707BHJP
B60T 7/02 20060101ALI20170707BHJP
【FI】
B60T15/04 B
B60T7/02 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-500815(P2017-500815)
(86)(22)【出願日】2015年5月22日
(85)【翻訳文提出日】2017年1月6日
(86)【国際出願番号】EP2015001112
(87)【国際公開番号】WO2016012066
(87)【国際公開日】20160128
(31)【優先権主張番号】102014010815.5
(32)【優先日】2014年7月23日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】596055475
【氏名又は名称】ヴアブコ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】WABCO GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100062317
【弁理士】
【氏名又は名称】中平 治
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】バイアー・ペーター
(72)【発明者】
【氏名】クペ・ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】エルツェ・ペトラ
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン・スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルストマン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】マルティニ・ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】リーディガー−ヤーニシュ・カール−ハインツ
【テーマコード(参考)】
3D049
3D124
【Fターム(参考)】
3D049BB14
3D049BB31
3D049CC03
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3D049HH47
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3D124DD42
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(57)【要約】
調節弁筐体2の上方の筐体領域2aと中央の筐体領域2cに配置された、ペダルにより操作可能な第一のバルブシステム10と、調節弁筐体2の下方の筐体領域2bに配置された、第一のバルブシステム10によって空気圧式及び/又は油圧式に操作可能な第二のバルブシステム11とを備え、この第一のバルブシステム10では、バルブピストン3が、調節弁筐体2内に配置されており、プランジャピストン8を用いて、ばね力に対抗して軸方向にスライド可能であり、収容装置14内では、第一のバルブシステム10のプランジャピストン8又はバルブピストン3の領域に、調節弁1の操作開始を検知するための電気スイッチ17及び/又はプランジャピストン8の操作行程を検知するための電気行程信号を出力するストロークセンサ18が配置されており、この電気スイッチ17及び/又はストロークセンサ18が、電子式及び/又は電気機械式測定ユニット13と接続されている、第一のブレーキ系統と第二のブレーキ系統において所望の制動作用に対応する制動圧を調整するための電空式調節弁1、特に、車両の圧縮空気ブレーキシステムにおける電空二系統式制動値変換器である。この調節弁1では、この電子式及び/又は電気機械式測定ユニット13が、電子制御ブレーキシステムの特定用途向けの下位ユニットとして構成されるとともに、部分的に閉鎖された電子回路筐体7内に配置されていることと、この電子回路筐体7が、交換可能な形で収容装置14と接続可能であることとが規定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節弁筐体(2)の上方の筐体領域(2a)と中央の筐体領域(2c)に配置された、ペダルにより操作可能な第一のバルブシステム(10)と、調節弁筐体(2)の下方の筐体領域(2b)に配置された、第一のバルブシステム(10)によって空気圧式及び/又は油圧式に操作可能な第二のバルブシステム(11)とを備え、この第一のバルブシステム(10)では、バルブピストン(3)が、調節弁筐体(2)内に配置されており、プランジャピストン(8)を用いて、ばね力に対抗して軸方向にスライド可能であり、収容装置(14)内では、第一のバルブシステム(10)のプランジャピストン(8)又はバルブピストン(3)の領域に、調節弁(1)の操作開始を検知するための電気スイッチ(17)及び/又はプランジャピストン(8)の操作行程を検知するための電気行程信号を出力するストロークセンサ(18)が配置されており、この電気スイッチ(17)及び/又はストロークセンサ(18)が、電子式及び/又は電気機械式測定ユニット(13)と接続されている、第一のブレーキ系統と第二のブレーキ系統において所望の制動作用に対応する制動圧を調整するための電空式調節弁(1)、特に、車両の圧縮空気ブレーキシステムにおける電空二系統式制動値変換器において、
この電子式及び/又は電気機械式測定ユニット(13)が、電子制御ブレーキシステムの特定用途向けの下位ユニットとして構成されるとともに、部分的に閉鎖された電子回路筐体(7)内に配置されていることと、
この電子回路筐体(7)が、交換可能な形で調節弁(1)の収容装置(14)の上又は中に固定可能であることと、
を特徴とする電空式調整弁。
【請求項2】
該電子回路筐体(7)が鉢形状の蓋(7a)とその蓋と密閉された形で接続された底部分(7b)を有することと、
該電子回路筐体(7)内には、該電気スイッチ(17)の固定位置部品、該ストロークセンサ(18)の固定位置部品(18b)及び圧力センサ(20)の中の一つ以上を搭載した回路基板(19)が固定されていることと、
この回路基板(19)が、該スイッチ(17)及び/又は該センサ(18,20)を該電子回路筐体(7)の外側に配置されたコネクタ(21)と電気的に接続することと、
該電子回路筐体(7)の底部分(7b)と該調節弁筐体(2)の半径方向に対して外側の間に空間(15)が形成されて、その空間内に、該電気スイッチ(17)の可動部品(17a)及び/又は該ストロークセンサ(18)の可動部品(18a)が配置されるように、該電子回路筐体(7)が、該調節弁筐体(2)の半径方向に対して外側に構成された、調節弁(1)の収容装置(14)内に固定可能であることと、
を特徴とする請求項1に記載の電空式調整弁。
【請求項3】
該ストロークセンサ(18)の可動部品(18a)が、半径方向に対して内側において該調節弁筐体(2)の半径方向に対して外側の案内面(23)を案内されることを特徴とする請求項2に記載の電空式調整弁。
【請求項4】
該調節弁筐体(2)の上方の筐体領域(2a)には、円形の圧力板(5)が配置されており、その上側には、プランジャピストン(8)が作用し、その下側では、少なくとも一つの圧縮バネ(4,4a)が軸方向に支持されていることと、
この圧力板(5)が半径方向に対して外側に半径方向の窪み(5a)を有することと、
該ストロークセンサ(18)の可動部品(18a)のプランジャピストン側の終端には、この圧力板(5)の半径方向の窪み(5a)に嵌入する、半径方向に対して内側を向いた接続部材(18c)が形成されていることと、
を特徴とする請求項2又は3に記載の電空式調整弁。
【請求項5】
該圧力板(5)が、半径方向に対して外側に半径方向の突起(18d)を有し、その突起が、該ストロークセンサ(18)の可動部品(18a)のプランジャピストン側の終端における半径方向の収容溝(5b)に嵌入することを特徴とする請求項2から4までのいずれか一つに記載の電空式調整弁。
【請求項6】
該電気スイッチ(17)が、自在軸受(17b)に回転可能に軸支された回転レバー(17a)により操作可能であることと、
この回転レバー(17a)が、二つの互いに連結された脚部(17c,17d)を有し、その中の半径方向を向いた第一の脚部(17c)が、該圧力板(5)の半径方向の窪み(5a)に嵌入し、その中の軸方向を向いた第二の脚部(17d)が、該スイッチ(17)の半径方向に対して外側に向かう旋回運動を用いて操作可能であることと、
を特徴とする請求項2から5までのいずれか一つに記載の電空式調整弁。
【請求項7】
該調節弁筐体(2)内には、該電子回路筐体(7)の底部分(7b)における半径方向の穴(27a)を介して、軸方向に対して該バルブピストン(3)の下方に構成された圧力空間(26)を該圧力センサ(20)と接続する半径方向の穴(27a)が形成されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の電空式調整弁。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一つに記載の電空式調整弁(1)を備えた商用車。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか一つに記載の電空式調整弁(1)を電子制御ブレーキシステムを備えた商用車において使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調節弁筐体の上方の筐体領域と中央の筐体領域に配置された、ペダルにより操作可能な第一のバルブシステムと、調節弁筐体の下方の筐体領域に配置された、この第一のバルブシステムによって空気圧式及び/又は油圧式に操作可能な第二のバルブシステムとを備え、この第一のバルブシステムでは、バルブピストンが調節弁筐体内に配置されており、プランジャピストンを用いて、ばね力に対抗して軸方向にスライド可能であり、収容装置内では、第一のバルブシステムのプランジャピストン又はバルブピストンの領域に、調節弁の操作開始を検知するための電気スイッチ及び/又はプランジャピストンの操作行程を検知するための電気行程信号を出力するストロークセンサが配置されており、この電気スイッチ及び/又はストロークセンサが、電子式及び/又は電気機械式測定ユニットと接続されている、第一のブレーキ系統と第二のブレーキ系統において所望の制動作用に対応する制動圧を調整するための電空式調節弁、特に、車両の圧縮空気ブレーキシステムにおける電空二系統式制動値変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような電空二系統式制動値変換器は、本出願人の非特許文献1に開示されている。
【0003】
その周知の制動値変換器は、電子制御ブレーキシステムの構成部品を給排気するための電気及び空気圧信号を発生する役割を果たす。その制動値変換器は、二つの空気圧系統と二つの電気系統から構成される。その操作開始は、制御機器と接続された複式スイッチにより電気的に検知される。そのために、操作プランジャの行程が検知されて、パルス幅変調されて電気信号として出力されている。更に、その制動値変換器によって、第一と第二のブレーキ系統における冗長的な空気圧力が調節されている。その場合、第二のブレーキ系統の圧力が、差動ピストンを用いて僅かに抑えられている。一方のブレーキ系統の故障時に、他方のブレーキ系統が(電気的又は空気圧的に)良好に機能し続ける。
【0004】
その制動値変換器の空気圧部分の動作形態は、特許文献1に詳細に記載されており、本発明の一部ではない。従って、ここでは、それを全体的に記載しないが、それに関しては、ここで、その周知の内容を全体として本開示の対象とする。
【0005】
本出願人の前に言及した非特許文献1では、制動値変換器の電気部分が模式的に図示されている。その制動値変換器の筐体には、スイッチ及びストロークセンサ用の収容装置が配置されていることと、ピストン接続部が、そのスイッチとストロークセンサからコネクタに案内されており、そのコネクタには、そのスイッチとストロークセンサから出力される電気信号を処理して、車両のブレーキ用電磁弁を電気的に制御する作用を奏するセンターモジュールが接続されることとが分かる。
【0006】
その制動値変換器は実証済みであり、多岐に渡って使用されている。その制動値変換器は、電気部品としてスイッチとストロークセンサしか備えていないので、センターモジュールが、車両の制動を制御するために、制動値変換器から出力される電気信号の評価を引き受けている。それに対応して、センターモジュールは、車両形式毎に個別的にプログラミングされるか、或いはそれに対応する部品を装備する必要が有る。それは、センターモジュールがそれぞれ特定用途毎に装備されなければならない一方、電空式制動値変換器が普遍的に使用可能であることを意味する。それによって、センターモジュールの複雑さとセンターモジュールに対する性能要件が大きく増大されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許公開第4232146号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】タイトル「EWS − Elektronisch geregeltes Bremssystem im Reisebus O 580」、インターネット<URL:inform.wabco−auto.com/intl/pdf/815/000/268/815_268.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記の背景技術に鑑みて、本発明の課題は、センターモジュールを所与の車両形式に適合させること無く、電子制御ブレーキシステムとの良好な動作と所与の車両の所与の電子制御ブレーキシステムへの電空式調節弁の簡単な適合の実施とを可能とする改善された電空式調節弁、特に、車両の圧縮空気ブレーキシステムにおける電空二系統式制動値変換器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本課題は、請求項1の特徴を有する電空式調節弁により解決される。有利な改善構成は、従属請求項に規定されている。
【0011】
それによると、本発明は、調節弁筐体の上方の筐体領域と中央の筐体領域に配置された、ペダルにより操作可能な第一のバルブシステムと、調節弁筐体の下方の筐体領域に配置された、この第一のバルブシステムによって空気圧式及び/又は油圧式に操作可能な第二のバルブシステムとを備え、この第一のバルブシステムでは、バルブピストンが、調節弁筐体内に配置されており、プランジャピストンを用いて、ばね力に対抗して軸方向にスライド可能であり、収容装置内では、第一のバルブシステムのプランジャピストン又はバルブピストンの領域に、調節弁の操作開始を検知するための電気スイッチ及び/又はプランジャピストンの操作行程を検知するための電気行程信号を出力するストロークセンサが配置されており、この電気スイッチ及び/又はストロークセンサが、電子式及び/又は電気機械式測定ユニットと接続されている、第一のブレーキ系統と第二のブレーキ系統において所望の制動作用に対応する制動圧を調整するための電空式調節弁、特に、車両の圧縮空気ブレーキシステムにおける電空二系統式制動値変換器を出発点とする。
【0012】
この設定された課題を解決するために、この調節弁では、電子式及び/又は電気機械式測定ユニットが、電子制御ブレーキシステムの特定用途向けの下位ユニットとして構成されて、部分的に閉鎖された電子回路筐体内に配置されていることと、この電子回路筐体が交換可能な形で調節弁の収容装置の上又は中に固定可能であることとが規定される。
【0013】
この調節弁を用いて、電子回路筐体内に配置された電子式及び/又は電気機械式測定ユニットを特定用途向けの下位ユニットとして用途毎に装備することが可能となり、それと接続可能なセンターモジュールの変更又は適合を行なう必要が無い。この特定用途向けの下位ユニットとして構成された測定ユニットは、電子制御ブレーキシステムの制御に必要な信号を自律的に発生して、次に、それらの信号は、直に、或いはセンターモジュールを介して車両ブレーキ用の制動弁に供給される。
【0014】
この特定用途向けの下位ユニットとして構成された電子式及び/又は電気機械式測定ユニットが、交換可能な形で調節弁筐体の収容装置と接続可能な部分的に閉鎖された電子回路筐体内に配置されることによって、この調節弁は、その時々のニーズに対応して測定手段を備えることができる。電子回路筐体内に配置された、それぞれ必要な特定用途向けの電子式下位ユニットが調節弁の収容装置に配置されて、それによって、それぞれ選定された測定手段との接続が自動的に実現されることがだけが必要である。
【0015】
本発明の有利な改善構成では、この電子回路筐体が、鉢形状の蓋とその蓋と密閉された形で接続された底部分とを有することと、この電子回路筐体内では、電気スイッチの固定位置部品、ストロークセンサの固定位置部品及び圧力センサの中の一つ以上を搭載した回路基板が固定されていることと、この回路基板が、このスイッチ及び/又はセンサを電子回路筐体の外側に配置されたコネクタと電気的に接続することと、電子回路筐体の底部分と調節弁筐体の半径方向に対して外側の間に空間が形成されて、その空間内に、この電気スイッチの可動部品及び/又はストロークセンサの可動部品が配置されるように、この電子回路筐体が、調節弁筐体の半径方向に対して外側に構成された収容装置内に固定可能であることとが規定される。
【0016】
この場合、有利には、ストロークセンサの可動部品が、半径方向に対して内側においてて、調節弁筐体の半径方向に対して外側の案内面を案内されると規定するこことができる。
【0017】
ストロークセンサの可動部品、所謂信号変換器が、バルブピストンの軸方向の動きに直接追従できるようにするために、本発明の別の実施形態は、円板形状の圧力板が調節弁筐体の領域に配置され、プランジャピストンが、その板の表側に作用し、少なくとも一つの圧縮バネがその板の裏側で軸方向に支持されることと、この圧力板が半径方向に対して外側に窪みを有することと、ストロークセンサの可動部品のプランジャピストン側の終端には、この圧力板の窪みに嵌入する、半径方向に対して内側に向かう接続部材が形成されていることとを規定する。
【0018】
ストロークセンサの可動部分と圧力板における特に確実で安定した連動接続形態を実現するために、この圧力板が、半径方向に対して外側に半径方向の突起を有し、その突起が、ストロークセンサの可動部品のプランジャピストン側の終端における半径方向の収容溝に嵌入することとを規定することができる。
【0019】
プランジャピストンの初期操作行程が、そのため圧力板の初期操作行程が非常に小さい場合でも、調節弁の操作の開始を確実かつ簡単に検出可能であるとするために、ストロークセンサに追加して、既に言及した技術的に簡単なスイッチを配備することができる。同様に、このスイッチは、プランジャにより操作される圧力板の軸方向の動きによって切り換えられる。そのために、圧力板とこのスイッチの固定位置部品の間に操作手段が配置される。このスイッチを直接操作するための操作手段は、例えば、自在軸受に回転可能に軸支された回転レバーとして構成され、そのレバーは、二つの互いに連結された脚部を有し、その中の半径方向を向いた第一の脚部は、同じく圧力板における前記の半径方向の窪みに嵌入し、その中の軸方向を向いた第二の脚部は、半径方向に対して外側に向かう旋回動作時に、操作する方向にスイッチと接触する。
【0020】
圧力センサが電子回路筐体内に配置されている場合、そのセンサには、測定すべき流体圧力を供給しなければならない。そのために、本発明による調節弁の別の実施形態は、軸方向に対して調節ピストンの下方に形成された圧力空間を圧力センサと接続する半径方向の穴が調節弁筐体に形成されると規定する。
【0021】
更に、ここで規定された課題は、この前に定義した形式の電空式調整弁を備えた商用車によって解決される。同様に、前記の課題は、この前に述べた電空式調整弁を商用車において使用する方法によって解決される。
【0022】
以下において、本発明を添付図面に図示された実施例に基づき更に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明による電空式調整弁が、単一の図面において、車両の圧縮空気ブレーキシステムで第一と第二のブレーキ系統における所望の制動作用に対応する制動圧を調節する役割を果たす電空二系統式制動値変換器1として構成されている。この制動値変換器1は、調節弁筐体2の上方と中央の筐体領域2a,2cに配置された、ペダルにより操作可能な第一のバルブシステム10と、調節弁筐体2の下方の筐体領域2bに配置された、第一のバルブシステム10により空気圧的及び/又は機械的に操作可能な第二のバルブシステム11とを有する。
【0025】
この調節弁筐体2の上方の筐体領域2aには、第一のバルブシステム10のバルブピストン3が密閉された形で軸方向に案内されている。この第一のバルブシステム10のバルブピストン3と軸方向に対してその上に配置された円形の圧力板5の間には、二つの互いに同軸に配置された圧縮バネを備えた圧縮バネセット4,4aが設置されている。制動値変換器1の操作時に、軸方向にスライド可能な形で筐体蓋6内に配置されたプランジャピストン8が、この圧力板5のバネから遠い方の正面側に作用する。このプランジャピストン8は、その大きい方の直径の領域に、軸方向に対して内側を向いたリング形状のストッパ面28を有し、その面は、プランジャピストン8が圧力板5の方向に最大限の距離を動かされた場合に、ストッパディスク29と当接する。このストッパディスク29は、プランジャピストン8の直径の小さい方の区画から軸方向に突き抜けている。複数及び/又は異なる厚さのストッパディスク29を配置することによって、プランジャピストン8の最大操作行程を設定することができる。
【0026】
このプランジャピストン8の軸方向の動きは、圧力板5と圧縮バネセット4,4aを介して、第一のバルブシステム10のバルブピストン3の軸方向の動きを発生させる。このバルブピストン3の動きは、第一のバルブシステム10を介して、周知の手法で第二のバルブシステム11に影響を及ぼすリレーピストン12に伝達され、それによって、第一のブレーキ系統と第二のブレーキ系統に相応の制動圧が生じる。
【0027】
この調節弁筐体2の上方の筐体領域2aには、半径方向を向いた収容装置14が僅かに厚い方の壁面領域に構成され、部分的に閉鎖された電子回路筐体7をその装置の上に取り付けるか、或いはその装置の中に差し込むことができる。この電子回路筐体7は、互いに接続された鉢形状の蓋7aと底部分7bを有する。この底部分7bは、調節弁筐体2の方向に少なくとも一つの開口部を有し、その開口部は、電子回路筐体7内に配置されたセンサ及び/又はスイッチを操作する操作手段を貫通させる役割を果たす。この底部分7bの周囲の幾何学的形状は切欠き14の周囲の幾何学的形状に適合されている。この電子回路筐体7は、この実施例では底部分7b内の溝に差し込まれた密閉材30を用いて、調節弁筐体2に対して密閉されている。更に、図示された電子回路筐体7では、この底部分7bは、別の密閉材16を用いて蓋7aに対して密閉されている。
【0028】
この電子回路筐体7内には、図示されていない電子制御ブレーキシステムの特定用途向けの下位ユニットとして構成された電子式及び/又は電気機械式測定ユニット13が配置されている。この測定ユニット13は、車両形式及びその車両形式で規定される電子制御ブレーキシステムに対応して、特定用途向けの下位ユニットとして構成されており、その結果、制動値変換器の必要な特定用途向けの適合を実施するためには、電子回路筐体7をその中に配置された特定用途毎に構成された測定ユニット13と共に制動値変換器1の収容装置14と接続することだけが必要である。
【0029】
この電子回路筐体7内に配置された測定ユニット13は、幾つかの電子部品を搭載するとともに、好適な手法で蓋7aに固定された回路基板19を有する。この回路基板19には、固定位置の電気スイッチ17、ストロークセンサ18の固定位置部品18b及び固定位置の圧力センサ20が固定されるとともに、そこの導体路と電気的に接触されている。この回路基板19は、電子回路筐体7の外側に配置された、図示されていないケーブルプラグを繋げることが可能なコネクタ21と電気的に接続されている。電子回路筐体7の底部分7bと調節弁筐体2の半径方向に対して外側の間に空間15が形成されて、その空間内に、電気スイッチ17を操作するための操作手段17aとストロークセンサ18の可動部品18aが配置されるように、電子回路筐体7は、調節弁筐体2の半径方向に対して外側に構成された調節弁1の収容装置14に固定するか、或いは半径方向に対して部分的に、その装置に差し込むことができる。
【0030】
この電気スイッチ17用の操作手段は、自在軸受17bに回転可能に軸支された回転レバー17aとして構成され、そのレバーは、二つの互いに連結され、互いに直角に配置された脚部17c,17dを有する。その中の半径方向を向いた第一の脚部17cは、圧力板5の半径方向に対して外側に形成された半径方向の窪み5aに嵌入する。その中の軸方向を向いた第二の脚部17dは、半径方向に対して外側に向かう旋回動作時に、固定位置のスイッチ17の一回のスイッチ接触を操作するように向けられて配置されている。
【0031】
筐体蓋6と電子回路筐体7の底部分7bを通して軸方向に案内されるとともに、回転レバー17aの第一の脚部17cに作用する調整ネジ22を用いて、スイッチ17の反応点を調整することができる。ここに図示された実施例は、確かに電気機械式スイッチを図示しているが、このスイッチ17は、直接的な接触無しで非接触式に反応する近接スイッチとして構成することもできる。そのような近接スイッチは、周知であり、誘導式近接スイッチ、容量式近接スイッチ、磁気式近接スイッチ、光学式近接スイッチ、超音波式近接スイッチ、或いは電磁式近接スイッチとして実現することができる。
【0032】
このストロークセンサ18の可動部品18aは、半径方向に対して内側において調節弁筐体2の半径方向に対して外側の案内面23を案内される。そのプランジャピストン側の終端には、同じく既に述べた圧力板5の半径方向の窪み5aに嵌入する、半径方向に対して内側を向いた接続部材18cがストロークセンサ18の可動部品18aに形成されている。これによって、プランジャピストン8の操作に起因して、圧力板5が動いた場合、回転レバー17aだけでなく、ストロークセンサ18の可動部品18aも軸方向に一緒に動かされる。
【0033】
この回転レバー17aとストロークセンサ18の可動部品18aに対する圧力板5の連動形態を特に安定的に構成するために、この実施例では、圧力板5が半径方向に対して外側に半径方向の突起18dを有し、この突起は、ストロークセンサ18の可動部品18aのプランジャピストン側の終端における半径方向の収容溝5bに嵌入する。このストロークセンサ18の構成は、抵抗変化、可変インダクタンス、可変容量又はパルス計数などの周知の動作方式に基づいている。
【0034】
この実施例では、明らかな通り、回路基板19は、調節弁筐体2,2cの穴27a及びそれに繋がる電子回路筐体7の底部分7bの穴17bを介して、軸方向に対してバルブピストン3の下方に配置された圧力空間26内において優勢な空気圧を供給できる圧力センサ20も搭載している。Oリングとして構成された別の密閉材24が、前記の穴27a,27bの領域において調節弁筐体2に対して電子回路筐体7の底部分7bを密閉している。
【0035】
従って、この調節弁又は制動値変換器1が、空気圧二系統式制動値変換器の従来の構造形態に大きく対応するが、この調節弁筐体2が、部分的に閉鎖された電子回路筐体7用の収容装置14を有し、その装置内に、スイッチ17、ストロークセンサ18及び圧力センサ20を備えた測定ユニット13が配置されることが明らかとなった。この場合、この電子回路筐体7は、その時々の用途に適合した測定ユニット13を備えることができ、その結果、その時々の用途に合わせるためには、それに対応する測定ユニット13を備えた電子回路筐体7を制動値変換器1の収容装置14に取り付けることだけが必要である。車両の電子制御ブレーキシステムのセンターモジュールとの測定ユニット13の電気的な接続は、電子回路筐体7の鉢形状の蓋7aの外壁に配置された電気コネクタ21を用いて実施することができる。
【0036】
この前に述べた図面の記述、請求項、及び明細書の冒頭において言及した全ての特徴は、個別的にも、任意に組み合わせても互いに採用することが可能である。従って、本発明は、ここで述べた、並びに請求項に記載した特徴の組合せに限定されず、むしろ全ての特徴の組合せが開示されていると看做されるべきである。
【符号の説明】
【0037】
1 調節弁、制動値変換器
2 調節弁筐体
2a 上方の筐体領域
2b 下方の筐体領域
2c 中央の筐体領域
3 第一のバルブシステムのバルブピストン
4 第一の圧縮バネ
4a 第二の圧縮バネ
5 圧力板
5a 圧力板における溝又はスリットなどの窪み
5b 圧力板における半径方向の突起
6 筐体蓋
7 電子回路筐体
7a 鉢形状の蓋
7b 底部分
8 プランジャピストン
10 第一のバルブシステム
11 第二のバルブシステム
12 リレーピストン
13 電子式及び/又は電気機械式測定ユニット
14 電子回路筐体用の収容装置
15 ストロークセンサの可動部品を収容する空間
16 密閉材
17 固定位置のスイッチ
17a 回転レバー
17b 自在軸受
17c 第一の脚部
17d 第二の脚部
18 ストロークセンサ
18a ストロークセンサの可動部品
18b ストロークセンサの固定位置部品
18c ストロークセンサの半径方向に対して内側を向いた接続部材
18d ストロークセンサの可動部品における収容溝
19 回路基板
20 圧力センサ
21 コネクタ
22 回転レバー用の調整ネジ
23 ストロークセンサの可動部品用の案内面
24 密閉材
26 バルブピストン3の下方の圧力空間
27a 調節弁筐体2,2c内の半径方向の穴
27b 底部分7b内の半径方向の穴
28 プランジャピストンにおけるストッパ面
29 ストッパディスク
30 密閉材
【国際調査報告】