(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-521446(P2017-521446A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(54)【発明の名称】睡眠障害の治療用のカノコソウ根抽出物とラベンダーオイルの組合わせ
(51)【国際特許分類】
A61K 36/84 20060101AFI20170707BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20170707BHJP
A61K 36/53 20060101ALI20170707BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20170707BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20170707BHJP
A61K 31/215 20060101ALI20170707BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20170707BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20170707BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20170707BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20170707BHJP
A61K 31/22 20060101ALI20170707BHJP
A61K 31/015 20060101ALI20170707BHJP
A61K 31/35 20060101ALI20170707BHJP
A61K 31/121 20060101ALI20170707BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20170707BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20170707BHJP
【FI】
A61K36/84
A61P25/20
A61K36/53
A61P43/00 121
A61K31/19
A61K31/215
A61P11/00
A61P25/14
A61P25/22
A61K31/045
A61K31/22
A61K31/015
A61K31/35
A61K31/121
A61K31/122
A23L33/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-502250(P2017-502250)
(86)(22)【出願日】2015年6月10日
(85)【翻訳文提出日】2017年3月6日
(86)【国際出願番号】EP2015062891
(87)【国際公開番号】WO2016008650
(87)【国際公開日】20160121
(31)【優先権主張番号】14176927.3
(32)【優先日】2014年7月14日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】500287282
【氏名又は名称】ドクター.ヴィルマー シュワーベ ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100080609
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 正孝
(74)【代理人】
【識別番号】100109287
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 泰三
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルフリート・ディンプフェル
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・ノールドナー
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は睡眠障害の治療のための、カノコソウ根抽出物とラベンダーオイルの組合せおよびカノコソウ根抽出物とラベンダーオイルを含有する組合せ製剤に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠障害の治療もしくは予防に用いられるための、カノコソウ根抽出物とラベンダーオイルの内容物を含んでなる組合せ。
【請求項2】
薬学的に許容されるかあるいは食品法下で許容される添加物をさらに含む、請求項1による、使用のための組合せ。
【請求項3】
さらなる植物抽出物および/または植物油および/または薬学的に効果的成分(薬品)が含有されない、請求項1または2による、使用のための組合せ。
【請求項4】
カノコソウ根抽出物が水性エタノールまたは水性メタノールでの抽出により製造される、請求項1〜3のいずれかによる、使用のための組合せ。
【請求項5】
エタノールと水が30/70〜90/10の容積比で抽出に用いられる、請求項4による、使用のための組合せ。
【請求項6】
メタノールと水が40/60〜55/45の容積比を用いる抽出で用いられる、請求項4による、使用のための組合せ。
【請求項7】
乾燥カノコソウ根抽出物がカノコソウ根抽出物として用いられる、請求項1〜6のいずれかによる、使用のための組合せ。
【請求項8】
乾燥カノコソウ根抽出物が少なくとも0.25重量%のセスキテルペン酸を含有する、請求項7による、使用のための組合せ。
【請求項9】
乾燥カノコソウ根抽出物中の、バレルン酸(valernic acid)対アセトキシバレレン酸(acetoxy valerenic acid)の重量比が少なくとも2/1である、請求項8による、使用のための組合せ。
【請求項10】
ラベンダーオイルが20.0重量%〜45.0重量%のリナロールおよび25.0重量%〜47.0重量%のリナリルアセテートを含有する、請求項1〜9のいずれかによる、使用のための組合せ。
【請求項11】
ラベンダーオイルが、さらに、最大1.0重量%のリモネン、最大2.5重量%の1,8−シネオール、0.1重量%〜5.0重量%の3−オクタノン、最大1.2重量%のカンファー、0.1重量%〜8.0重量%のテルピネン−4−オール、少なくとも0.2重量%のラバンドリルアセテート、少なくとも0.1重量%のラバンドールおよび最大2.0重量%のアルファ−テルピネオールを含有する、請求項10による、使用のための組合せ。
【請求項12】
単位投与量当り、40〜200mgのラベンダーオイルおよび80〜600mgのカノコソウ根抽出物が用いられる、請求項1〜12のいずれかによる、使用のための組合せ。
【請求項13】
単位投与量当り、40〜80mgのラベンダーオイルおよび250〜500mgのカノコソウ根抽出物が用いられる、請求項12による、使用のための組合せ。
【請求項14】
投与が経口的に起る、請求項1〜13のいずれかによる、使用のための組合せ。
【請求項15】
睡眠障害が睡眠の開始と維持の障害、日周リズム睡眠障害、睡眠時無呼吸、一過性不眠症、日周リズムの非自然的障害、夢遊病(夢中歩行)、夜驚症および悪夢(不安夢)から選ばれる、請求項1〜14のいずれかによる、使用のための組合せ。
【請求項16】
投与形態にある、カノコソウ根抽出物とラベンダーオイルからなり、場合により、薬学的に許容されあるいは食品法下で許容される添加物を含む、組合せ製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠障害の治療用の、カノコソウ根抽出物とラベンダーオイルとの組合わせ並びにカノコソウ根抽出物とラベンダーオイルからなる組合せ製剤に関する。
本発明は、高い効力の睡眠誘引剤としての、ラベンダーオイルとカノコソウ根抽出物との組合わせの使用に関する。この組合わせは、睡眠の誘引と充実に関して相乗的な、過度の付加的な活性を導くものである。
【背景技術】
【0002】
ラベンダーオイルは、異なる種々の目的のために製造されそして例えばアロマセラピーで用いられる。特に、それは、鎮静効果を持つと伝統的に言われている。経口投与用の特別な製剤が、不安と心配の抑うつ気分の状態を治療するために、ドイツで医薬剤として数年間承認されていた(ドクター.ヴィルマー シュワーベ ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲーのLasea(登録商標)。カノコソウ根抽出物は、神経関連睡眠障害の場合に伝統的に用いられそして薬としても存在する(例えばファイザーコンシューマーヘルスケア社の‘‘夜間強力Baldiparan(登録商標))。
睡眠障害の治療用に、ラベンダーオイルの生物学的あるいは薬理学的効果の可能性についての報告はあるが、この応用のための信頼できる臨床研究は存在しない。睡眠を改善するために、カノコソウ根抽出物との組合わせは未だ報告されたことがない。それ故、ラベンダーオイルは、それ自体が非常に弱い効果であるにもかかわらず、それぞれ、カノコソウ根抽出物の効果を顕著に強めあるいはそれを増幅させることができるという発見はいっそうの驚きである。異なる目的の実験枠内でのラットの遠隔ステレオEEG(Tele−Stereo-EEG)の検査が、そのような過度の付加的な、増幅する効果の存在についてのヒントを明らかにした。
睡眠障害の治療用の現在慣用の薬剤は広い副作用スペクトルを示す(ベンゾジアゼピン類について常用と忍耐の進展)。
このように、副作用が低率で良好な効率を備えた、睡眠障害に対する改善された治療の可能性のための必要性が、薬剤としてあるいは食品としてのいずれでも、かなり存在する。この副作用の低率は自然の化合物あるいは自然の化合物の組合せの投与でいっそう期待されそうである。
この問題は、驚いたことに、ラベンダーオイルをカノコソウ根抽出物と組合せて用いることによって解決された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、睡眠障害の治療に用いるための、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルとの組合せに関する。この組合せは、場合により、植物からのさらなる天然化合物や抽出物を含有してもよいが、植物からのさらなる抽出物および/または植物からのオイルおよび/または他の薬学的に活性な剤(薬剤)を含まないことが好ましい。睡眠障害の治療または予防に用いるための、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルを含むこの組合せは、投与形態すなわち医薬品や食品の形態にあってもよく、それぞれが、それぞれ、カノコソウの根抽出物あるいはラベンダーオイルを含有する、2つの別個の投与形態すなわち2つの別個の医薬品または食品の形態として存在していてもよい。カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルが別個の投与形態例えば医薬品や食品の形態で存在する場合には、これらは同時に投与されてもあるいは任意の順序で継続的に、すなわち最初にカノコソウの根抽出物、続いてラベンダーオイルを投与してもあるいは最初にラベンダーオイル、続いてカノコソウの根抽出物を投与してもよい。一連の投与時間は1時間よりは長くなく、好ましくは30分よりも長くなく、特に好ましくは10分よりも長くない。好ましくは、別個の投与の場合にも、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルは、同時に、あるいは殆ど同時に、すなわち数分内に(最大で10分)投与される。
【0004】
本発明は、また、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルおよび、場合により、投与形態においてすなわち医薬品あるいは食品中で、薬学的に許容されるかあるいは食品の法律の下で許容される補助剤、とからなる組合せ製剤に関する。
以下の説明は、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルからなる組合せの本発明の使用、ならびにカノコソウの根抽出物とラベンダーオイルおよび、場合により、薬学的に許容される補助剤あるいは食品の法律の下で許容される補助剤からなる、投与形態、すなわちそれぞれの医薬品あるいは食品における、本発明の組合せ製剤の本発明の使用について言及している。
ラットを用いる生体内試験は、ラベンダーオイルとカノコソウの抽出物の組合せの優越性を確認する結果を示している。驚いたことに発見された、過度の相加的および過剰的効果はラットを用いる生体内試験で立証されそして引き続いて、睡眠障害を有する個人患者の場合について立証された。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、ラットの場合について、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルの組合せ(80mg/kg+80mg/kg)と比較して個々の成分(80mg/kgのカノコソウの根抽出物:80mg/kgのラベンダーオイル)を投与した後5時間に亘るシータ波の時間経過を示している。y軸は投与前の45分の前値からの変化の効力濃度を%で示したものである。最初の時間内に単独で投与された両成分はこの頻度では何ら効果を示していないが、組合せの場合にはそれらは既に効果を現わしている。この相乗効果は過度の相加的である。
【
図2】
図2は、ラットの場合について、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルの組合せ(80mg/kg+80mg/kg)と比較して個々の成分(80mg/kgのカノコソウの根抽出物:80mg/kgのラベンダーオイル)を投与後5時間に亘るアルファー2波の時間経過を示している。y軸は投与前45分の前値からの変化の効力濃度を%で示したものである。シータ波について既に記載したとおり、過度の相加的効果が投与後最初の1時間から始まって展開している。
【
図3】
図3は、ラットモデルにおいて、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルの組合せ80mg/kg+80mg/kg)と比較して個々の成分(80mg/kgのカノコソウの根抽出物:80mg/kgのラベンダーオイル)を投与した後5時間に亘るベータ1波の時間経過を示している。y軸は投与前45分の前値からの変化の効力濃度を%で示したものである。シータ波およびアルファ2波について既に記述したとおり、経口投与後最初の1時間から始まって過度の相加的効果が展開している。
【
図4】
図4は、脳の4つの領域:前頭皮質、海馬、線条体および網様体において、担体(メチルセルソース)の投与後5時間に亘る全振動域の電力の時間経過を示している。デルタ(δ)、シータ(θ)、アルファ1(α1)、アルファ2(α2)、ベータ1(β1)およびベータ2(β2)の6つの振動域がx軸上に記録されている。
【
図5】
図5は、脳の4つの領域:前頭皮質、海馬、線条体および網様体における、カノコソウの根抽出物単独を80mg/kg投与後5時間に亘る全振動域の電力の時間経過を示している。デルタ(δ)、シータ(θ)、アルファ1(α1)、アルファ2(α2)、ベータ1(β1)およびベータ2(β2)の6つの振動域がx軸上に記録されている。比較例(担体)と比較しての統計的意義は星印:*=p<0.05、**=p<0.01によって記録されている。
【
図6】
図6は、脳の4つの領域:前頭皮質、海馬、線条体および網様体における、ラベンダーオイル単独を80mg/kg投与後5時間に亘る全振動域の電力の時間経過を示している。デルタ(δ)、シータ(θ)、アルファ1(α1)、アルファ2(α2)、ベータ1(β1)およびベータ2(β2)の6つの振動域がx軸上に記録されている。比較例(担体)と比較しての統計的意義は星印:*=p<0.05、**=p<0.01によって記録されている。
【
図7】
図7は、脳の4つの領域:前頭皮質、海馬、線条体および網様体における、80mg/kgのカノコソウの根抽出物と80mg/kgのラベンダーオイルの組合せを投与後5時間に亘る全振動域の電力の時間経過を示している。デルタ(δ)、シータ(θ)、アルファ1(α1)、アルファ2(α2)、ベータ1(β1)およびベータ2(β2)の6つの振動域がx軸上に記録されている。比較例(担体)と比較しての統計的意義は星印:*=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.001によって記録されている。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ラットのEEG振動数変化の実験によって、カノコソウの根抽出物の単独投与と比較して、睡眠障害の治療に有用なラベンダーオイルと組合せた後に、スペクトル性能にかなり強力な増加が達成されたことは驚くべき発見であった。これらの振動数における増加は睡眠が十分であることと関連しているからである。担体の単独投与は電力に何の変化も起さなかった(
図4)。
図1は、ラベンダーオイル、またはカノコソウの根抽出物単独および組合せとして種々の投与量で経口投与した後のシータEEG振動数の経時的変化を示している。初期の実験では、特に、EEGのシータとベータ1波とが睡眠の十分なことを表すことが示されていた(メイヤー ジー(ed.)ドイツ国 睡眠薬年鑑1994 MMW発行、ミュンヘン市の、ディンフェル ダブリュ、ホフマン エイチシー 振動数分析の原理における睡眠の多次元調査)。ラベンダーオイルは、単独で投与されたときには、単にシータ振動数の増加を示すだけであるが、カノコソウの根抽出物の僅かな効果が高投与量にもかかわらず、見られることがわかる。すなわち、一層十分な睡眠が達成される。アルファ2振動数も同様に変化している(
図2)。十分な睡眠のために重要なベータ1振動に同じことが適用される。
図3に示されているとおり、組合せの効果は個々の製剤の両方の効果よりもかなり優れている。カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルの両方とも単独では僅かに効果を示しているにすぎない。この相乗的効果は睡眠障害を持つ個人患者の場合についても確認され得る。これらの効果はカノコソウの根抽出物とラベンダーオイルとの組合せが、睡眠障害の治療のために高度に可能性を持つ、低副作用の天然薬となることを実証している。
【0007】
好ましい実施態様によれば、睡眠障害は、睡眠の開始と維持の障害(ICD−10によるG47.0)、日周リズム睡眠障害(ICD-10によるG47.2)、睡眠時無呼吸(ICD−10によるG47.3)、一過性不眠症(ICD−10によるF51.0)、日周リズムの非自然的障害(ICD−10によるF51.2)、夢遊病(夢中歩行、ICD−10によるF51.3)、夜驚症(ICD−10らよるF51.4)および悪夢(不安夢、ICD−10によるF51.5)から選ばれる。
本発明によれば、ラベンダーオイルはカノコソウの根抽出物と一緒に用いられる。これらの2つの成分、ラベンダーオイルとカノコソウの根抽出物は、一投与形態(組合せ製剤)の混合物としてあるいは別々の投与形態として適用される。いずれの場合でも、付加的な薬学的に許容される補助剤および/または食品法の下で許容される剤を、それぞれ、含有していてもよい。さらに好ましい態様によれば、さらなる植物抽出物および/または植物からのオイルおよび/または他の薬学的に活性な剤(薬品)はこの組合せに含有されない。
本発明で用いられる組合せ中に含有されるカノコソウの根抽出物は、好ましくは、セイヨウカノコソウ(Valeriana officinalis)の乾燥された根から製造される。抽出物の製造は、好ましくは水性エタノールまたは水性メタノールを抽出溶媒として用いて行われる。この場合、特に容積比によれば、が30/70〜90/10のエタノールと水または容積比が40/60〜55/45のメタノールと水が用いられる。
【0008】
好ましい実施態様によれば、カノコソウの根抽出物として、カノコソウ根乾燥抽出物が用いられる(欧州薬局方によれば、乾燥抽出物は、それぞれ、5%未満の乾燥損失すなわち水分含量を有している)。乾燥カノコソウ根抽出物は、好ましくは、少なくとも0.25wt%のセスキテルペン酸(バレレン酸(valerenic acid)、ヒドロキシバレレン酸およびアセトキシバレレン酸の合計、バレレン酸として計算して)を含有し、欧州薬局方8.0版の要求を満たしている。さらに好ましい実施態様によれば、バレレン酸またはアセトキシバレレン酸の重量比は少なくとも2/1である。
本発明の上記組合せに用いられるラベンダーオイルは、好ましくは、ラベンダー(lavandula officinalis)の花の水蒸気蒸留によって製造され、場合により欧州薬局方、8.0版の“ラベンダーオイル”に従って、さらに蒸留されて精製される。好ましい実施態様によれば、ラベンダーオイルは20.0wt%〜45.0wt%のリナロールと25.0wt%〜47.0wt%のリナリルアセテートを含みさらに最大で1.0wt%のリモネン、最大で2.5wt%の1,8−シネオール、0.1wt%〜5.0wt%の3−オクタノン、最大で1.2wt%のカンファー、0.1wt%〜8.0wt%のテルピネン−4−オール、少なくとも0.2wt%のラベンドリルアセテート(lavandulyl acetate)、少なくとも0.1wt%のラベンドロール(lavandulol)および最大で2.0wt%のα−テルペノールを含み、欧州薬局方8.0版の要求を満たしている。
【0009】
本発明によれば、ラベンダーオイルとカノコソウの根抽出物は高度に精製された製剤の形態で用いられてもよい。そのような製剤の製造はそれ自体知られている。
それぞれ、薬品と食品、すなわちそれぞれ組合せ製剤およびラベンダーオイルまたはカノコソウの根抽出物を活性成分として単独で含有する別々の投与形態とは、好ましくは経口投与される。しかしながら、他の経路による投与、例えば経腸的に投与することも可能である。
投与のために、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルの組合せ、またはカノコソウの根抽出物とラベンダーオイルとを別々に、それぞれ含有する薬剤および食品は、固体製剤(例えば錠剤、カプセル剤、糖衣錠、小丸薬、顆粒剤、坐剤)としてあるいは液体製剤(溶液、乳化液、懸濁液)として調製することもできる。これらの製剤では、活性剤は場合により薬学的に許容される補助剤あるいは担体と組合せてもよい。
【0010】
薬品または食品がそれぞれ、経口投与される形態で存在する場合には、好ましくはカノコソウの根抽出物とラベンダーオイルの組合せを重量比12.5:1〜1:2.5、好ましくは7:1〜1:1で含有する。他の混合比も可能である。
ラベンダーオイルとカノコソウ根抽出物とを活性成分として含有する薬品または食品は、慣用の方法で製造されそして薬学的に適切な形態で投与される。
活性薬剤(活性成分)の他に、固体製剤は、調剤や食品技術において慣用の添加物を含有することができる。例えば、慣用の賦形剤は糖(ラクトース、スクロース)、糖アルコール(マンニトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、イソマルトール)、でんぷんまたはセルロースである。さらに、他の技術的に求められる添加物、例えば粘ちょう剤(ゼラチン、アラビアガム、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン)、流動剤(高度分散シリカ、沈降シリカ)、崩壊剤(クロスカルメロース、クロスポピドン)、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、グリセリルベエネート)が存在していてもよい。
【0011】
不快なフレーバーや臭いの取入れを改善しまた被覆するために、固体形態(例えば錠剤)は慣用の被覆剤で被覆されることができる。被覆には、糖や糖アルコールの溶液が用いられ得る。すなわち糖衣錠が製造される。これとは別に、固体形態はポリマー被覆フィルムを備えていることもできる。すなわちコーティング錠剤が製造される。これらのフィルムは、通常、被覆用ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、軟化剤(例えば、ポリエチレングリコール、グリセロール、トリエチルクエン酸、グリセリントリアセテート)、非粘着剤(例えば、タルク、グリセリンモステアレート)、消泡剤(ポリジメチルシロキサン)および有機または無機の着色性ピグメント(例えば、鉄酸化物、二酸化チタン、カルミン)からなる。
不快なフレーバーまたは臭いそしてその後のゲップの感覚と関連して摂取後固体投与形態の過度に速やかな崩壊を防止するために、固体投与形態は胃の中での崩壊を妨げ且つ腸内で活性剤の放出を行わせる被覆を備えることができる。この目的のために、胃酸に溶解しないが、乳糜に可溶である被覆用ポリマー例えばポリ(メチルメタクリル酸−コ−エチルアクリレート)またはシェラックが慣用される。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施態様は投与形態としてカプセルを用いることである。カプセルは、固体または液体の形態にある全く異なる複数の化合物を異なる量で包含することができるという利点を備えている。前述のカプセルの場合について、2つの異なる態様がある。すなわち充填後一緒に塞がれる2つの部分からなるハードカプセルと、1段階で形成され、充填されそしてシールされるソフトカプセルである。後者の場合、カプセルの接続は、生成物の漏れを防ぐためにシール後の帯を備えている。ソフトカプセルは、通常、ゼラチン、またはカラギーナンと改質デンプンの混合物から作られ、溶液、エマルジョンまたはサスペンジョンの形態である液体生成物で充填されている。
経口投与のための液体分散体は、例えばシロップ、エマルジョンまたはサスペンジョンであることができる。
水の外に、シロップは、溶媒として糖(例えばスクロース)、糖アルコール(例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール)、溶媒助剤(グリセロール、プロピレングリコール)、その他、他の添加剤(防腐剤、酸性化剤、フレーバー付与剤)を含有していてもよい。
【0013】
薬品または食品、それぞれの、投与処方は、単一投与につき、カノコソウの根抽出物が、好ましくは80〜600mgの範囲、特に好ましくは250〜500mg、それと一緒にラベンダーオイルが40〜200mg、特に好ましくは40〜80mgの範囲にある。単一投与は、1日当り、例えば1〜3回、好ましくは1〜2回投与される。好ましい組合せは、単一投与につき、乾燥カノコソウ根抽出物250〜500mgとラベンダーオイル40〜80mgからなる。特に好ましい組合せは、それぞれ、乾燥カノコソウ根抽出物500mgとラベンダーオイル80mg、または乾燥カノコソウ根抽出物250mgとラベンダーオイル40mgからなる。
さらなる抽出物を用いる場合には、用いられる量は、当業者に知られた方法で相応に適合されなければならない。
本発明の組合せ製剤は、薬品としておよび食品として両方で用いられる。この点で、食品という言葉は、ダイエット食品、食品サプリメントならびに医療用食品およびダイエット用サプリメントを特に包含する。
【0014】
試験方法
1.マウスのペントバルビタール誘発睡眠時間
ラベンダーオイル(実施例2により製造された)、カノコソウの根抽出物(実施例1により製造された)、およびこれらの両物質の組合せ、それぞれの、マウスの睡眠に及ぼす影響を調べるため、ペントバルビタールの誘発睡眠時間のモデルが選ばれた。この点に関し、動物は試験用物質で処置され、次いで誘発時間が変わるかどうかを測定するためにペントバルビタールが適用される。鎮静性試験剤はペントバルビタールによって誘発された睡眠時間を長くする。
アガロースゲル(比較)、ラベンダーオイル、カノコソウ根抽出物またはラベンダーオイルとカノコソウ根抽出物の組合せそれぞれの投与後の睡眠時間の変化が求められた。
ブリーダーヤンビエール(Janvier)、ラゲネ(LaGenest)、フランスからの32雄性NMRIマウスが少なくとも1週間の順応の後この試験用に用いられた。実験それ自体は、比較物質または試験物質(ラベンダーオイルまたはカノコソウ根抽出物または両者の組合せ)でマウスを経口的に処置することで始められた。1時間後、全ての試験動物が睡眠を誘発するため45mg/kgのペントバルビタールを腹腔内施用を受けた。次いで、それらのマウスは、規則的間隔で且つ動物の鎮静を認識することで観察された。位置的反射が試験され(動物があお向けに置かれそしてそれらが横たわったままである場合には、これは睡眠/鎮静として定義された)そして睡眠に落ちている時間が記録された。もし鎮静が低減して動物が目をさました場合には、腹位に戻され、そして目をさました時間として定義されるこの時間点も記録された。睡眠に入ってから目をさますまでの時間間隔が睡眠時間である。個々の睡眠の開始から2時間後で実験は終了とした。もっと長時間睡眠していた動物は2時間の睡眠時間を有するとして定義された。
カノコソウ根抽出物またはラベンダーオイルの単独投与はペントバルビタールにより誘発された睡眠時間を変化されない。しかしながら、カノコソウ根抽出物とラベンダーオイルの投与は睡眠時間のかなり有意な延長をもたらしている(表1参照)。
【0016】
2.ラットのテレ−ステレオ−EEG
メチルセルロース(比較)、ラベンダーオイル(実施例2により製造された
)、カノコソウ根抽出物(実施例2により製造された)またはラベンダーオイルとカノコソウ根抽出物の組合せを投与した後のEEG振動数の変化が、それぞれ、求められた。
試験は、ダブル.ディンプフェルによって記載された方法と類似して実施され
(Dimpfel W:Preclinical data base of pharmaco−specific rat EEG fingerprints(Tele−Stereo−EEG).Eur J Med Red (2003)8:199−207)、次のとおりである。
共通の基板上のマイクロプラグと一緒になった複数の同じ電極が6ヶ月令の8匹の雄性成熟フィッシャー−344ラット(昼−夜転換)中に挿入された。プラグは、前頭皮質、海馬、線条体および網様体に由来するフィールド電位のテレメーター通信用の4チャンネルのトランスミッターを受け入れるためのものである。シグナルは、リアルタイムでコンピューターシステム(ソフトウェア:“EEG−Analyse”、動作システム:ドイツ、リンデンメディシストの、OS Science,実験室コンピューター“Lab Team”)で高速フーリエ変換に付され遂行密度スペクトルはそれぞれ60分間に亘って平均化された。6つの異なる振動数範囲におけるスペクトルの細分は、投与前に測定された振動数帯内で、先行する値に関して薬理特有変化(pharmaco−specific changes)の記録を可能とした。
【0017】
測定の開始45分後、調剤が経口投与された(貯蔵値)。測定は5分後に再び始められ、少なくとも次の5時間に亘って連続的に分析され、60分間の長さで包括された。試験物は異なる組合せで投与された。実験シリーズは、何ら注目しうる変化を示さなかった、メチルセルソース(比較)の投与で開始された。
メチルセルロースの投与後測定された結果に関連する実験の統計学的比較は、変数としてすべての脳領域における個々の振動数帯内での変化を基本としてウィルコクソン、マンおよびウィットニイ(Wilcoxon,Mann and Whitney)によって行われた。
メチルセルロースの投与は、この相の前値と比較して電力(μV2)の変化を殆ど示さなかった(
図4)。カノコソウ根抽出物またはラベンダーオイルの単独投与は、非常に弱く、投与後2時間からのみ始まることが認識できるかろうじて測定可能なスペクトル挙動変化を示した(
図1、2、3ならびに5、6参照)。
これに対し、カノコソウ根抽出物と組合せてラベンダーオイルを投与した場合には、投与後1時間目で既に、特に前頭葉において、しかし同様に適用後3〜5時間においても、挙動密度の非常に早い、安定な変化がもたらされた(
図1、2、3および
図7参照)。
単一投与量として、カノコソウ根抽出物とラベンダーオイルの組合せを経口投与することにより、睡眠中の試験動物に相当する試験動物の電気的脳活性の極めて明瞭な且つ統計的に有意な変化がもたらされた。このことは、この製剤が朝すなわち夜の睡眠後(非活動相)に投与されたので、特に驚くべきことである。
【実施例】
【0018】
実施例1:Ph.Eur.によるカノコソウ根抽出物の製造
セイヨウカノコソウ(valeriana officinalis)
乾燥根が7重量倍の70%(v/v)エタノールで、60℃で1時間、2回抽出された。冷却された混合物は濾過された。濾液は濃縮され、60℃、25mbarで8時間乾燥された。乾燥抽出物の収率は24%であった。
実施例2:Ph.Eur.によるラベンダーオイルの製造
ラベンダー(Lavandula officinalis)の新鮮な花がPh.Eur.により水蒸気蒸留に付された。このようにして得られたエッセンシャルオイルは、さらに、最高温度120℃、10〜20mbarで蒸留されて精製された。
実施例3:コーティング錠剤の形態にある組合せ製剤
【0019】
【表2】
【0020】
500mgの固体乾燥カノコソウ根抽出物と80mgの液体ラベンダーオイルを含む錠剤の製造のために、15kgの乾燥カノコソウ根抽出物(品目1)が3kgの沈降シリカ(品目2)と激しく撹拌された。次いで、2.4kgのラベンダーオイル(品目3)がこの混合物に添加され、次いで再び徹底的に混合された。液体含有物のない粉末混合物が得られる。乾燥カノコソウ根抽出物とラベンダーオイルの混合物が沈降シリカを用いずに製造される場合には、ラベンダーオイルは液体の形態で分離し、混合物はさらに錠剤に加工するためには適しない。
乾燥カノコソウ根抽出物、シリカおよびラベンダーオイルの混合物に、微結晶セルロース(賦形および結合剤、品目4)、クロスカメロースナトリウム(崩壊促進剤、品目5)、沈降シリカ(流動化剤、品目6)が加えられ、混合が行われる。最後にステアリン酸マグネシウム(潤滑剤、品目7)が添加され、さらに5分間の短時間混合が行われる。
【0021】
回転式錠剤圧縮機を用いて、得られる混合物は各々の質量が945mgの楕円形錠剤に圧縮される。コーティングの製造のため、コーティングの成分すなわちヒプロメローズ(フィルム賦形剤、品目8)、マクロゴール1500(軟化剤、品目9)、二酸化チタンと鉄酸化物(着色用ピグメント、品目10と11)およびタルク(非粘着剤、品目12)が水中に分散され、ドラムコーターを用いて錠剤上にコートされた。製品として、経口投与用の、500mgの乾燥カノコソウ根抽出物と80mgのラベンダーオイルを含む、均一にコートされた黄色に着色されたフィルム錠剤が得られる。
実施例4:ソフトカブセルの形態にある組合せ製剤
【0022】
【表3】
【0023】
カプセルを充填するための組成物を製造するために、水素化脂肪(品目1)、水素化ダイズ油(品目2)および精製ナタネオイル(品目3)が、それぞれ、50℃で溶融すなわち溶解される。乾燥カノコソウ根抽出物は溶融された塊中に均一に分散され、次いでラベンダーオイルが添加され、均一に分散される。カプセルを充填するための得られる組成物は、撹拌下に固く封止し得る弾性容器中に貯えられ、約30〜40℃で固体カプセルに充填される。すなわちソフトカブセルの充填用に用いられる。500mgの乾燥カノコソウ根抽出物と80mgのラベンダーオイルの望ましい量は、2つのカプセルを経口内に摂取することで、得られる。
【手続補正書】
【提出日】2016年2月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠障害の治療もしくは予防に経口で用いられるための、カノコソウ根抽出物(乾燥セイヨウカノコソウ根抽出物)とラベンダーオイル(ラベンダーの花のオイル)の内容物を含んでなる組合せであって、カノコソウ根抽出物は水性エタノールまたは水性メタノールを用いた抽出によって製造され、抽出においてエタノールと水は容積比で30/70〜90/10で用いられ、メタノールと水は容積比で40/60〜55/45で用いられる、上記組合せ。
【請求項2】
薬学的に許容されるかあるいは食品法下で許容される添加物をさらに含む、請求項1による、使用のための組合せ。
【請求項3】
さらなる植物抽出物および/または植物油および/または薬学的に効果的成分(薬品)が含有されない、請求項1または2による、使用のための組合せ。
【請求項4】
カノコソウ根抽出物として乾燥カノコソウ根抽出物が用いられる、請求項1〜3のいずれかによる、使用のための組合せ。
【請求項5】
乾燥カノコソウ根抽出物が少なくとも0.25重量%のセスキテルペン酸を含有する、請求項4による、使用のための組合せ。
【請求項6】
乾燥カノコソウ根抽出物中の、バレルン酸(valerinic acid)対アセトキシバレレン酸(acetoxy valerenic acid)の重量比が少なくとも2/1である、請求項5による、使用のための組合せ。
【請求項7】
ラベンダーオイルが20.0重量%〜45.0重量%のリナロールおよび25.0重量%〜47.0重量%のリナリルアセテートを含有する、請求項1〜6のいずれかによる、使用のための組合せ。
【請求項8】
ラベンダーオイルが、さらに、最大1.0重量%のリモネン、最大2.5重量%の1,8−シネオール、0.1重量%〜5.0重量%の3−オクタノン、最大1.2重量%のカンファー、0.1重量%〜8.0重量%のテルピネン−4−オール、少なくとも0.2重量%のラバンドリルアセテート、少なくとも0.1重量%のラバンドールおよび最大2.0重量%のアルファ−テルピネオールを含有する、請求項7による、使用のための組合せ。
【請求項9】
単位投与量当り、40〜200mgのラベンダーオイルおよび80〜600mgのカノコソウ根抽出物が用いられる、請求項1〜8のいずれかによる、使用のための組合せ。
【請求項10】
単位投与量当り、40〜80mgのラベンダーオイルおよび250〜500mgのカノコソウ根抽出物が用いられる、請求項9による、使用のための組合せ。
【請求項11】
睡眠障害が睡眠の開始と維持の障害、日周リズム睡眠障害、睡眠時無呼吸、一過性不眠症、日周リズムの非自然的障害、夢遊病(夢中歩行)、夜驚症および悪夢(不安夢)から選ばれる、請求項1〜10のいずれかによる、使用のための組合せ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠障害の
経口治療用の、カノコソウ根抽出物
(乾燥セイヨウカノコソウ根抽出物)とラベンダーオイル
(ラベンダーの花のオイル)との組合わ
せに関する。
本発明は、高い効力の睡眠誘引剤としての、ラベンダーオイルとカノコソウ根抽出物との組合わせの使用に関する。この組合わせは、睡眠の誘引と充実に関して相乗的な、過度の付加的な活性を導くものである。
【背景技術】
【0002】
ラベンダーオイルは、異なる種々の目的のために製造されそして例えばアロマセラピーで用いられる。特に、それは、鎮静効果を持つと伝統的に言われている。経口投与用の特別な製剤が、不安と心配の抑うつ気分の状態を治療するために、ドイツで医薬剤として数年間承認されていた(ドクター.ヴィルマー シュワーベ ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲーのLasea(登録商標)。カノコソウ根抽出物は、神経関連睡眠障害の場合に伝統的に用いられそして薬としても存在する(例えばファイザーコンシューマーヘルスケア社の‘‘夜間強力Baldiparan(登録商標))。
睡眠障害の治療用に、ラベンダーオイルの生物学的あるいは薬理学的効果の可能性についての報告はあるが、この応用のための信頼できる臨床研究は存在しない。睡眠を改善するために、カノコソウ根抽出物との組合わせは未だ報告されたことがない。それ故、ラベンダーオイルは、それ自体が非常に弱い効果であるにもかかわらず、それぞれ、カノコソウ根抽出物の効果を顕著に強めあるいはそれを増幅させることができるという発見はいっそうの驚きである。異なる目的の実験枠内でのラットの遠隔ステレオEEG(Tele−Stereo-EEG)の検査が、そのような過度の付加的な、増幅する効果の存在についてのヒントを明らかにした。
睡眠障害の治療用の現在慣用の薬剤は広い副作用スペクトルを示す(ベンゾジアゼピン類について常用と忍耐の進展)。
このように、副作用が低率で良好な効率を備えた、睡眠障害に対する改善された治療の可能性のための必要性が、薬剤としてあるいは食品としてのいずれでも、かなり存在する。この副作用の低率は自然の化合物あるいは自然の化合物の組合せの投与でいっそう期待されそうである。
この問題は、驚いたことに、ラベンダーオイルをカノコソウ根抽出物と組合せて用いることによって解決された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、睡眠障害の
経口治療
または予防に用いるための、カノコソウの根抽出物
(乾燥セイヨウカノコソウ根抽出物)とラベンダーオイル
(ラベンダーの花のオイル)の内容物との組合せに関する。この組合せは、場合により、植物からのさらなる天然化合物や抽出物を含有してもよいが、植物からのさらなる抽出物および/または植物からのオイルおよび/または他の薬学的に活性な剤(薬剤)を含まないことが好ましい。睡眠障害の治療または予防に用いるための、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルを含むこの組合せは、投与形態すなわち医薬品や食品の形態にあってもよく、それぞれが、それぞれ、カノコソウの根抽出物あるいはラベンダーオイルを含有する、2つの別個の投与形態すなわち2つの別個の医薬品または食品の形態として存在していてもよい。カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルが別個の投与形態例えば医薬品や食品の形態で存在する場合には、これらは同時に投与されてもあるいは任意の順序で継続的に、すなわち最初にカノコソウの根抽出物、続いてラベンダーオイルを投与してもあるいは最初にラベンダーオイル、続いてカノコソウの根抽出物を投与してもよい。一連の投与時間は1時間よりは長くなく、好ましくは30分よりも長くなく、特に好ましくは10分よりも長くない。好ましくは、別個の投与の場合にも、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルは、同時に、あるいは殆ど同時に、すなわち数分内に(最大で10分)投与される
。
【0004】
以下の説明は
、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルおよび、場合により、
それぞれ、医薬品あるいは食品の法律下で、薬学的に許容される補助剤あるい
は補助剤からなる
、本発明の組合
せの経口使用について言及している。
ラットを用いる生体内試験は、ラベンダーオイルとカノコソウの抽出物の組合せの優越性を確認する結果を示している。驚いたことに発見された、過度の相加的および過剰的効果はラットを用いる生体内試験で立証されそして引き続いて、睡眠障害を有する個人患者の場合について立証された。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、ラットの場合について、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルの組合せ(80mg/kg+80mg/kg)と比較して個々の成分(80mg/kgのカノコソウの根抽出物:80mg/kgのラベンダーオイル)を投与した後5時間に亘るシータ波の時間経過を示している。y軸は投与前の45分の前値からの変化の効力濃度を%で示したものである。最初の時間内に単独で投与された両成分はこの頻度では何ら効果を示していないが、組合せの場合にはそれらは既に効果を現わしている。この相乗効果は過度の相加的である。
【
図2】
図2は、ラットの場合について、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルの組合せ(80mg/kg+80mg/kg)と比較して個々の成分(80mg/kgのカノコソウの根抽出物:80mg/kgのラベンダーオイル)を投与後5時間に亘るアルファー2波の時間経過を示している。y軸は投与前45分の前値からの変化の効力濃度を%で示したものである。シータ波について既に記載したとおり、過度の相加的効果が投与後最初の1時間から始まって展開している。
【
図3】
図3は、ラットモデルにおいて、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルの組合せ80mg/kg+80mg/kg)と比較して個々の成分(80mg/kgのカノコソウの根抽出物:80mg/kgのラベンダーオイル)を投与した後5時間に亘るベータ1波の時間経過を示している。y軸は投与前45分の前値からの変化の効力濃度を%で示したものである。シータ波およびアルファ2波について既に記述したとおり、経口投与後最初の1時間から始まって過度の相加的効果が展開している。
【
図4】
図4は、脳の4つの領域:前頭皮質、海馬、線条体および網様体において、担体(メチルセルソース)の投与後5時間に亘る全振動域の電力の時間経過を示している。デルタ(δ)、シータ(θ)、アルファ1(α1)、アルファ2(α2)、ベータ1(β1)およびベータ2(β2)の6つの振動域がx軸上に記録されている。
【
図5】
図5は、脳の4つの領域:前頭皮質、海馬、線条体および網様体における、カノコソウの根抽出物単独を80mg/kg投与後5時間に亘る全振動域の電力の時間経過を示している。デルタ(δ)、シータ(θ)、アルファ1(α1)、アルファ2(α2)、ベータ1(β1)およびベータ2(β2)の6つの振動域がx軸上に記録されている。比較例(担体)と比較しての統計的意義は星印:*=p<0.05、**=p<0.01によって記録されている。
【
図6】
図6は、脳の4つの領域:前頭皮質、海馬、線条体および網様体における、ラベンダーオイル単独を80mg/kg投与後5時間に亘る全振動域の電力の時間経過を示している。デルタ(δ)、シータ(θ)、アルファ1(α1)、アルファ2(α2)、ベータ1(β1)およびベータ2(β2)の6つの振動域がx軸上に記録されている。比較例(担体)と比較しての統計的意義は星印:*=p<0.05、**=p<0.01によって記録されている。
【
図7】
図7は、脳の4つの領域:前頭皮質、海馬、線条体および網様体における、80mg/kgのカノコソウの根抽出物と80mg/kgのラベンダーオイルの組合せを投与後5時間に亘る全振動域の電力の時間経過を示している。デルタ(δ)、シータ(θ)、アルファ1(α1)、アルファ2(α2)、ベータ1(β1)およびベータ2(β2)の6つの振動域がx軸上に記録されている。比較例(担体)と比較しての統計的意義は星印:*=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.001によって記録されている。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ラットのEEG振動数変化の実験によって、カノコソウの根抽出物の単独投与と比較して、睡眠障害の治療に有用なラベンダーオイルと組合せた後に、スペクトル性能にかなり強力な増加が達成されたことは驚くべき発見であった。これらの振動数における増加は睡眠が十分であることと関連しているからである。担体の単独投与は電力に何の変化も起さなかった(
図4)。
図1は、ラベンダーオイル、またはカノコソウの根抽出物単独および組合せとして種々の投与量で経口投与した後のシータEEG振動数の経時的変化を示している。初期の実験では、特に、EEGのシータとベータ1波とが睡眠の十分なことを表すことが示されていた(メイヤー ジー(ed.)ドイツ国 睡眠薬年鑑1994 MMW発行、ミュンヘン市の、ディンフェル ダブリュ、ホフマン エイチシー 振動数分析の原理における睡眠の多次元調査)。ラベンダーオイルは、単独で投与されたときには、単にシータ振動数の増加を示すだけであるが、カノコソウの根抽出物の僅かな効果が高投与量にもかかわらず、見られることがわかる。すなわち、一層十分な睡眠が達成される。アルファ2振動数も同様に変化している(
図2)。十分な睡眠のために重要なベータ1振動に同じことが適用される。
図3に示されているとおり、組合せの効果は個々の製剤の両方の効果よりもかなり優れている。カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルの両方とも単独では僅かに効果を示しているにすぎない。この相乗的効果は睡眠障害を持つ個人患者の場合についても確認され得る。これらの効果はカノコソウの根抽出物とラベンダーオイルとの組合せが、睡眠障害の治療のために高度に可能性を持つ、低副作用の天然薬となることを実証している。
【0007】
好ましい実施態様によれば、睡眠障害は、睡眠の開始と維持の障害(ICD−10によるG47.0)、日周リズム睡眠障害(ICD-10によるG47.2)、睡眠時無呼吸(ICD−10によるG47.3)、一過性不眠症(ICD−10によるF51.0)、日周リズムの非自然的障害(ICD−10によるF51.2)、夢遊病(夢中歩行、ICD−10によるF51.3)、夜驚症(ICD−10らよるF51.4)および悪夢(不安夢、ICD−10によるF51.5)から選ばれる。
本発明によれば、ラベンダーオイルはカノコソウの根抽出物と一緒に用いられる。これらの2つの成分、ラベンダーオイルとカノコソウの根抽出物は、一投与形態(組合せ製剤)の混合物としてあるいは別々の投与形態として適用される。いずれの場合でも、付加的な薬学的に許容される補助剤および/または食品法の下で許容される剤を、それぞれ、含有していてもよい。さらに好ましい態様によれば、さらなる植物抽出物および/または植物からのオイルおよび/または他の薬学的に活性な剤(薬品)はこの組合せに含有されない。
本発明で用いられる組合せ中に含有されるカノコソウの根抽出物は、好ましくは、セイヨウカノコソウ(Valeriana officinalis)の乾燥された根から製造される。抽出物の製造は
、水性エタノールまたは水性メタノールを抽出溶媒として用いて行われる。この場合
、容積比によれば、が30/70〜90/10のエタノールと水または容積比が40/60〜55/45のメタノールと水が用いられる。
【0008】
好ましい実施態様によれば、カノコソウの根抽出物として、カノコソウ根乾燥抽出物が用いられる(欧州薬局方によれば、乾燥抽出物は、それぞれ、5%未満の乾燥損失すなわち水分含量を有している)。乾燥カノコソウ根抽出物は、好ましくは、少なくとも0.25wt%のセスキテルペン酸(バレレン酸(valerenic acid)、ヒドロキシバレレン酸およびアセトキシバレレン酸の合計、バレレン酸として計算して)を含有し、欧州薬局方8.0版の要求を満たしている。さらに好ましい実施態様によれば、バレレン酸またはアセトキシバレレン酸の重量比は少なくとも2/1である。
本発明の上記組合せに用いられるラベンダーオイルは、好ましくは、ラベンダー(lavandula officinalis)の花の水蒸気蒸留によって製造され、場合により欧州薬局方、8.0版の“ラベンダーオイル”に従って、さらに蒸留されて精製される。好ましい実施態様によれば、ラベンダーオイルは20.0wt%〜45.0wt%のリナロールと25.0wt%〜47.0wt%のリナリルアセテートを含みさらに最大で1.0wt%のリモネン、最大で2.5wt%の1,8−シネオール、0.1wt%〜5.0wt%の3−オクタノン、最大で1.2wt%のカンファー、0.1wt%〜8.0wt%のテルピネン−4−オール、少なくとも0.2wt%のラベンドリルアセテート(lavandulyl acetate)、少なくとも0.1wt%のラベンドロール(lavandulol)および最大で2.0wt%のα−テルペノールを含み、欧州薬局方8.0版の要求を満たしている。
【0009】
本発明によれば、ラベンダーオイルとカノコソウの根抽出物は高度に精製された製剤の形態で用いられてもよい。そのような製剤の製造はそれ自体知られている。
それぞれ、薬品と食品、すなわちそれぞれ組合せ製剤およびラベンダーオイルまたはカノコソウの根抽出物を活性成分として単独で含有する別々の投与形態とは、好ましくは経口投与される
。
投与のために、カノコソウの根抽出物とラベンダーオイルの組合せ、またはカノコソウの根抽出物とラベンダーオイルとを別々に、それぞれ含有する薬剤および食品は、固体製剤(例えば錠剤、カプセル剤、糖衣錠、小丸薬、顆粒
剤)としてあるいは液体製剤(溶液、乳化液、懸濁液)として調製することもできる。これらの製剤では、活性剤は場合により薬学的に許容される補助剤あるいは担体と組合せてもよい。
【0010】
薬品または食品がそれぞれ、経口投与される形態で存在する場合には、好ましくはカノコソウの根抽出物とラベンダーオイルの組合せを重量比12.5:1〜1:2.5、好ましくは7:1〜1:1で含有する。他の混合比も可能である。
ラベンダーオイルとカノコソウ根抽出物とを活性成分として含有する薬品または食品は、慣用の方法で製造されそして薬学的に適切な形態で投与される。
活性薬剤(活性成分)の他に、固体製剤は、調剤や食品技術において慣用の添加物を含有することができる。例えば、慣用の賦形剤は糖(ラクトース、スクロース)、糖アルコール(マンニトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、イソマルトール)、でんぷんまたはセルロースである。さらに、他の技術的に求められる添加物、例えば粘ちょう剤(ゼラチン、アラビアガム、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン)、流動剤(高度分散シリカ、沈降シリカ)、崩壊剤(クロスカルメロース、クロスポピドン)、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、グリセリルベエネート)が存在していてもよい。
【0011】
不快なフレーバーや臭いの取入れを改善しまた被覆するために、固体形態(例えば錠剤)は慣用の被覆剤で被覆されることができる。被覆には、糖や糖アルコールの溶液が用いられ得る。すなわち糖衣錠が製造される。これとは別に、固体形態はポリマー被覆フィルムを備えていることもできる。すなわちコーティング錠剤が製造される。これらのフィルムは、通常、被覆用ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、軟化剤(例えば、ポリエチレングリコール、グリセロール、トリエチルクエン酸、グリセリントリアセテート)、非粘着剤(例えば、タルク、グリセリンモステアレート)、消泡剤(ポリジメチルシロキサン)および有機または無機の着色性ピグメント(例えば、鉄酸化物、二酸化チタン、カルミン)からなる。
不快なフレーバーまたは臭いそしてその後のゲップの感覚と関連して摂取後固体投与形態の過度に速やかな崩壊を防止するために、固体投与形態は胃の中での崩壊を妨げ且つ腸内で活性剤の放出を行わせる被覆を備えることができる。この目的のために、胃酸に溶解しないが、乳糜に可溶である被覆用ポリマー例えばポリ(メチルメタクリル酸−コ−エチルアクリレート)またはシェラックが慣用される。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施態様は投与形態としてカプセルを用いることである。カプセルは、固体または液体の形態にある全く異なる複数の化合物を異なる量で包含することができるという利点を備えている。前述のカプセルの場合について、2つの異なる態様がある。すなわち充填後一緒に塞がれる2つの部分からなるハードカプセルと、1段階で形成され、充填されそしてシールされるソフトカプセルである。後者の場合、カプセルの接続は、生成物の漏れを防ぐためにシール後の帯を備えている。ソフトカプセルは、通常、ゼラチン、またはカラギーナンと改質デンプンの混合物から作られ、溶液、エマルジョンまたはサスペンジョンの形態である液体生成物で充填されている。
経口投与のための液体分散体は、例えばシロップ、エマルジョンまたはサスペンジョンであることができる。
水の外に、シロップは、溶媒として糖(例えばスクロース)、糖アルコール(例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール)、溶媒助剤(グリセロール、プロピレングリコール)、その他、他の添加剤(防腐剤、酸性化剤、フレーバー付与剤)を含有していてもよい。
【0013】
薬品または食品、それぞれの、投与処方は、単一投与につき、カノコソウの根抽出物が、好ましくは80〜600mgの範囲、特に好ましくは250〜500mg、それと一緒にラベンダーオイルが40〜200mg、特に好ましくは40〜80mgの範囲にある。単一投与は、1日当り、例えば1〜3回、好ましくは1〜2回投与される。好ましい組合せは、単一投与につき、乾燥カノコソウ根抽出物250〜500mgとラベンダーオイル40〜80mgからなる。特に好ましい組合せは、それぞれ、乾燥カノコソウ根抽出物500mgとラベンダーオイル80mg、または乾燥カノコソウ根抽出物250mgとラベンダーオイル40mgからなる。
さらなる抽出物を用いる場合には、用いられる量は、当業者に知られた方法で相応に適合されなければならない。
本発明の組合
せは、薬品としておよび食品として両方で用いられる。この点で、食品という言葉は、ダイエット食品、食品サプリメントならびに医療用食品およびダイエット用サプリメントを特に包含する。
【0014】
試験方法
1.マウスのペントバルビタール誘発睡眠時間
ラベンダーオイル(実施例2により製造された)、カノコソウの根抽出物(実施例1により製造された)、およびこれらの両物質の組合せ、それぞれの、マウスの睡眠に及ぼす影響を調べるため、ペントバルビタールの誘発睡眠時間のモデルが選ばれた。この点に関し、動物は試験用物質で処置され、次いで誘発時間が変わるかどうかを測定するためにペントバルビタールが適用される。鎮静性試験剤はペントバルビタールによって誘発された睡眠時間を長くする。
アガロースゲル(比較)、ラベンダーオイル、カノコソウ根抽出物またはラベンダーオイルとカノコソウ根抽出物の組合せそれぞれの投与後の睡眠時間の変化が求められた。
ブリーダーヤンビエール(Janvier)、ラゲネ(LaGenest)、フランスからの32雄性NMRIマウスが少なくとも1週間の順応の後この試験用に用いられた。実験それ自体は、比較物質または試験物質(ラベンダーオイルまたはカノコソウ根抽出物または両者の組合せ)でマウスを経口的に処置することで始められた。1時間後、全ての試験動物が睡眠を誘発するため45mg/kgのペントバルビタールを腹腔内施用を受けた。次いで、それらのマウスは、規則的間隔で且つ動物の鎮静を認識することで観察された。位置的反射が試験され(動物があお向けに置かれそしてそれらが横たわったままである場合には、これは睡眠/鎮静として定義された)そして睡眠に落ちている時間が記録された。もし鎮静が低減して動物が目をさました場合には、腹位に戻され、そして目をさました時間として定義されるこの時間点も記録された。睡眠に入ってから目をさますまでの時間間隔が睡眠時間である。個々の睡眠の開始から2時間後で実験は終了とした。もっと長時間睡眠していた動物は2時間の睡眠時間を有するとして定義された。
カノコソウ根抽出物またはラベンダーオイルの単独投与はペントバルビタールにより誘発された睡眠時間を変化されない。しかしながら、カノコソウ根抽出物とラベンダーオイルの投与は睡眠時間のかなり有意な延長をもたらしている(表1参照)。
【0016】
2.ラットのテレ−ステレオ−EEG
メチルセルロース(比較)、ラベンダーオイル(実施例2により製造された
)、カノコソウ根抽出物(実施例2により製造された)またはラベンダーオイルとカノコソウ根抽出物の組合せを投与した後のEEG振動数の変化が、それぞれ、求められた。
試験は、ダブル.ディンプフェルによって記載された方法と類似して実施され
(Dimpfel W:Preclinical data base of pharmaco−specific rat EEG fingerprints(Tele−Stereo−EEG).Eur J Med Red (2003)8:199−207)、次のとおりである。
共通の基板上のマイクロプラグと一緒になった複数の同じ電極が6ヶ月令の8匹の雄性成熟フィッシャー−344ラット(昼−夜転換)中に挿入された。プラグは、前頭皮質、海馬、線条体および網様体に由来するフィールド電位のテレメーター通信用の4チャンネルのトランスミッターを受け入れるためのものである。シグナルは、リアルタイムでコンピューターシステム(ソフトウェア:“EEG−Analyse”、動作システム:ドイツ、リンデンメディシストの、OS Science,実験室コンピューター“Lab Team”)で高速フーリエ変換に付され遂行密度スペクトルはそれぞれ60分間に亘って平均化された。6つの異なる振動数範囲におけるスペクトルの細分は、投与前に測定された振動数帯内で、先行する値に関して薬理特有変化(pharmaco−specific changes)の記録を可能とした。
【0017】
測定の開始45分後、調剤が経口投与された(貯蔵値)。測定は5分後に再び始められ、少なくとも次の5時間に亘って連続的に分析され、60分間の長さで包括された。試験物は異なる組合せで投与された。実験シリーズは、何ら注目しうる変化を示さなかった、メチルセルソース(比較)の投与で開始された。
メチルセルロースの投与後測定された結果に関連する実験の統計学的比較は、変数としてすべての脳領域における個々の振動数帯内での変化を基本としてウィルコクソン、マンおよびウィットニイ(Wilcoxon,Mann and Whitney)によって行われた。
メチルセルロースの投与は、この相の前値と比較して電力(μV2)の変化を殆ど示さなかった(
図4)。カノコソウ根抽出物またはラベンダーオイルの単独投与は、非常に弱く、投与後2時間からのみ始まることが認識できるかろうじて測定可能なスペクトル挙動変化を示した(
図1、2、3ならびに5、6参照)。
これに対し、カノコソウ根抽出物と組合せてラベンダーオイルを投与した場合には、投与後1時間目で既に、特に前頭葉において、しかし同様に適用後3〜5時間においても、挙動密度の非常に早い、安定な変化がもたらされた(
図1、2、3および
図7参照)。
単一投与量として、カノコソウ根抽出物とラベンダーオイルの組合せを経口投与することにより、睡眠中の試験動物に相当する試験動物の電気的脳活性の極めて明瞭な且つ統計的に有意な変化がもたらされた。このことは、この製剤が朝すなわち夜の睡眠後(非活動相)に投与されたので、特に驚くべきことである。
【実施例】
【0018】
実施例1:Ph.Eur.によるカノコソウ根抽出物の製造
セイヨウカノコソウ(valeriana officinalis)
乾燥根が7重量倍の70%(v/v)エタノールで、60℃で1時間、2回抽出された。冷却された混合物は濾過された。濾液は濃縮され、60℃、25mbarで8時間乾燥された。乾燥抽出物の収率は24%であった。
実施例2:Ph.Eur.によるラベンダーオイルの製造
ラベンダー(Lavandula officinalis)の新鮮な花がPh.Eur.により水蒸気蒸留に付された。このようにして得られたエッセンシャルオイルは、さらに、最高温度120℃、10〜20mbarで蒸留されて精製された。
実施例3:コーティング錠剤の形態にある組合せ製剤
【0019】
【表2】
【0020】
500mgの固体乾燥カノコソウ根抽出物と80mgの液体ラベンダーオイルを含む錠剤の製造のために、15kgの乾燥カノコソウ根抽出物(品目1)が3kgの沈降シリカ(品目2)と激しく撹拌された。次いで、2.4kgのラベンダーオイル(品目3)がこの混合物に添加され、次いで再び徹底的に混合された。液体含有物のない粉末混合物が得られる。乾燥カノコソウ根抽出物とラベンダーオイルの混合物が沈降シリカを用いずに製造される場合には、ラベンダーオイルは液体の形態で分離し、混合物はさらに錠剤に加工するためには適しない。
乾燥カノコソウ根抽出物、シリカおよびラベンダーオイルの混合物に、微結晶セルロース(賦形および結合剤、品目4)、クロスカメロースナトリウム(崩壊促進剤、品目5)、沈降シリカ(流動化剤、品目6)が加えられ、混合が行われる。最後にステアリン酸マグネシウム(潤滑剤、品目7)が添加され、さらに5分間の短時間混合が行われる。
【0021】
回転式錠剤圧縮機を用いて、得られる混合物は各々の質量が945mgの楕円形錠剤に圧縮される。コーティングの製造のため、コーティングの成分すなわちヒプロメローズ(フィルム賦形剤、品目8)、マクロゴール1500(軟化剤、品目9)、二酸化チタンと鉄酸化物(着色用ピグメント、品目10と11)およびタルク(非粘着剤、品目12)が水中に分散され、ドラムコーターを用いて錠剤上にコートされた。製品として、経口投与用の、500mgの乾燥カノコソウ根抽出物と80mgのラベンダーオイルを含む、均一にコートされた黄色に着色されたフィルム錠剤が得られる。
実施例4:ソフトカブセルの形態にある組合せ製剤
【0022】
【表3】
【0023】
カプセルを充填するための組成物を製造するために、水素化脂肪(品目1)、水素化ダイズ油(品目2)および精製ナタネオイル(品目3)が、それぞれ、50℃で溶融すなわち溶解される。乾燥カノコソウ根抽出物は溶融された塊中に均一に分散され、次いでラベンダーオイルが添加され、均一に分散される。カプセルを充填するための得られる組成物は、撹拌下に固く封止し得る弾性容器中に貯えられ、約30〜40℃で固体カプセルに充填される。すなわちソフトカブセルの充填用に用いられる。500mgの乾燥カノコソウ根抽出物と80mgのラベンダーオイルの望ましい量は、2つのカプセルを経口内に摂取することで、得られる。
【国際調査報告】