特表2017-521475(P2017-521475A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-521475ピリジン置換の2−アミノピリジン類タンパク質キナーゼ阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-521475(P2017-521475A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(54)【発明の名称】ピリジン置換の2−アミノピリジン類タンパク質キナーゼ阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20170707BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20170707BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20170707BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170707BHJP
【FI】
   C07D401/14
   A61K31/496
   A61P35/02
   A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-505496(P2017-505496)
(86)(22)【出願日】2015年7月31日
(85)【翻訳文提出日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】CN2015085727
(87)【国際公開番号】WO2016015676
(87)【国際公開日】20160204
(31)【優先権主張番号】201410371344.3
(32)【優先日】2014年7月31日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】正大天晴薬業集団股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHIA TAI TIANQING PHARMACEUTICAL GROUP CO., LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】516089809
【氏名又は名称】連雲港潤衆制薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】LIANYUNGANG RUNZHONG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】516089795
【氏名又は名称】北京賽林泰医薬技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】CENTAURUS BIOPHARMA CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼峰
(72)【発明者】
【氏名】李新路
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼▲鋭▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼喜全
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼新合
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼希杰
(72)【発明者】
【氏名】校登明
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼永信
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB08
4C063CC34
4C063DD12
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC50
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086ZB26
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、タンパク質キナーゼ阻害剤としてピリジン置換の2−アミノピリジン誘導体の薬学的に許容される酸の塩、その製造方法、その医薬組成物、およびそのタンパク質キナーゼに関連する疾患の治療における使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造を持っている式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩。
【化7】
【請求項2】
前記薬学的に許容される酸は、無機酸と有機酸とを含む、請求項1に記載の式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩。
【請求項3】
前記薬学的に許容される酸は、硫酸、炭酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、フマル酸、マンデル酸、グリコール酸、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、酢酸、安息香酸、フェニル酢酸、マロン酸、桂皮酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、シュウ酸、フマル酸、アクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、リノール酸からなる群より選ばれる、請求項1に記載の式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩。
【請求項4】
5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミン塩酸塩、
5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミン硫酸塩、
5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミンクエン酸塩、
5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミンリンゴ酸塩、
5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミンマレイン酸塩、
5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミン酒石酸塩、
5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミンフマル酸塩からなる群より選ばれる、請求項1に記載の式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩を製造する方法であって、前記式Iで示される化合物と前記薬学的に許容される酸とを反応させることを含む、式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩の製造方法。
【請求項6】
前記薬学的に許容される酸は、硫酸、炭酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、フマル酸、マンデル酸、グリコール酸、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、酢酸、安息香酸、フェニル酢酸、マロン酸、桂皮酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、シュウ酸、フマル酸、アクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、リノール酸からなる群より選ばれ、好ましくは、塩酸、硫酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、およびフマル酸からなる群より選ばれる、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記式Iで示される化合物を、対応の薬学的に許容される酸を含有する単一溶剤または混合溶剤に溶解して反応させることにより前記塩を得、あるいは、前記式Iで示される化合物を、単一溶剤または混合溶剤に溶解してからその中に対応の薬学的に許容される酸を添加して反応させることにより前記塩を得る、請求項5または6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記式Iで示される化合物と薬学的に許容される酸とのモル比は、1:0.5〜4または1:1〜3であってもよく、例えば、1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、または1:4である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
反応温度は、0℃から溶剤系の沸点までであってもよく、好ましくは0℃〜50℃であり、より好ましくは0℃〜35℃である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記反応は、不活性雰囲気、例えば窒素雰囲気下で行う、請求項5〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記反応の時間は、0.5〜5時間である、請求項5〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記溶剤は、テトラハイドロフラン、ジオキサン、イソプロピルエーテル、エーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノン、アセトニトリル、酢酸エチル、蟻酸エチル、ヘキサン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、およびそれらの任意の組み合わせから選ばれる、請求項7〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
治療有効量の請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩および薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項14】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩、または請求項13に記載の医薬組成物の、タンパク質キナーゼに関連する疾患を治療および/または予防するための医薬品の製造における使用。
【請求項15】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩、または請求項13に記載の医薬組成物の、突然変異タンパク質キナーゼに関連する疾患を治療および/または予防するための医薬品の製造における使用。
【請求項16】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩、または請求項13に記載の医薬組成物の、ALK媒介性疾患を治療および/または予防するための医薬品の製造における使用。
【請求項17】
前記ALK媒介性疾患は、ALK陽性非小細胞肺癌、未分化大細胞リンパ腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、鼻咽頭癌、乳癌、結腸直腸癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、全身組織球増殖症および神経芽細胞腫等を含む、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物の薬学的に許容される酸の塩、または請求項13に記載の医薬組成物を、必要のある哺乳動物、好ましくはヒトに投与することを含む、タンパク質キナーゼに関連する疾患を治療および/または予防する方法。
【請求項19】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物の薬学的に許容される酸の塩、または請求項13に記載の医薬組成物を、必要のある哺乳動物、好ましくはヒトに投与することを含む、突然変異タンパク質キナーゼに関連する疾患を治療および/または予防する方法。
【請求項20】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物の薬学的に許容される酸の塩、または請求項13に記載の医薬組成物を、必要のある哺乳動物、好ましくはヒトに投与することを含む、ALK媒介性疾患を治療および/または予防する方法。
【請求項21】
前記ALK媒介性疾患は、ALK陽性非小細胞肺癌、未分化大細胞リンパ腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、鼻咽頭癌、乳癌、結腸直腸癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、全身組織球増殖症および神経芽細胞腫等を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
タンパク質キナーゼに関連する疾患を治療および/または予防するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物の薬学的に許容される酸の塩、または請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項23】
突然変異タンパク質キナーゼに関連する疾患を治療および/または予防するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物の薬学的に許容される酸の塩、または請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項24】
ALK媒介性疾患を治療および/または予防するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物の薬学的に許容される酸の塩、または請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記ALK媒介性疾患は、ALK陽性非小細胞肺癌、未分化大細胞リンパ腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、鼻咽頭癌、乳癌、結腸直腸癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、全身組織球増殖症および神経芽細胞腫等を含む、請求項24に記載の式Iの化合物の薬学的に許容される酸の塩または医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品化学の分野に属し、具体的には、ピリジン置換の2−アミノピリジン誘導体の薬学的に許容される酸の塩に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の分子生物学の研究では、チロシンキナーゼ(Protein Tyrosine Kinases:PTKs)が機能した細胞シグナル伝達経路は、腫瘍の形成および進行において極めて重要な役割を果たしており、チロシンキナーゼの活性を阻害し、細胞シグナル伝達経路の活性化を低減することができ、したがって、腫瘍細胞の誘導、生存、および増殖を阻害し、腫瘍の治療効果に達するということが明らかにされてきた。
【0003】
未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)は、受容体チロシンキナーゼであり、インスリン受容体スーパーファミリーに属する一員であり、腫瘍細胞成長および進展の過程において重要な役割を果たしている。ALK遺伝子は、複数種類のタンパク質遺伝子と融合し、ALKタンパク質を発現して生成することができ、また、突然変異、増幅等の変異を生じることができる。1997年に、アロビオーゼ(allobiosis)大細胞リンパ腫における2番染色体の短腕における発癌性のALK遺伝子組換えは、最初に記述され、その後、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫および悪性組織球増殖症を含むその他の悪性腫瘍においても発見され、かつ炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、食道扁平上皮癌、神経芽細胞腫、および最近提出された非小細胞肺癌(NSCLC)を含む複数種類の固形腫瘍においても発見されている。
【0004】
2007年に、ALK遺伝子がEML4遺伝子と融合遺伝子を形成することにより、ALKをエンコードし生じて肺癌細胞の成長を促進することができることが、最初に報告された。EML4−ALK融合は、2番染色体の短腕の挿入によって引き起こされ、これまで複数の変異タイプが発見されてきた。検出により、これらの融合遺伝子のすべては、生物学的機能を持ち、それらの発現産物がキメラチロシンキナーゼの一種であり、2007年から始めてNSCLC(非小細胞肺癌)に関連する研究報告に次第に見られてきた。
【0005】
EML4−ALK融合遺伝子の発見、およびALK阻害剤のサブグループの被験者(subgroup population)において示されたユニークな効果は、発症の分子機序の異なりによってNSCLCに対して、例えばEGFR突然変異型、KRAS突然変異型、EML4−ALK遺伝子融合型等のような異なる亜型(サブタイプ)に分けることができる。通常の非小細胞肺癌患者において、EML4−ALK融合遺伝子陽性率が約3%〜7%程度と比較的低い。EML4−ALK融合遺伝子は、主に肺腺癌の非喫煙患者に見られる。2010年に報告された調査によると、中国の肺腺癌患者において、EML4−ALK融合遺伝子陽性率が16.13%であり、ヨーロッパおよびアメリカの患者よりも有意に高く、肺腺癌の非喫煙患者においてその陽性率が19.23%であり、EGFR変異およびKRAS変異を欠ける肺腺癌において、その変異率が42.8%と高いことは、明らかにされた。
【0006】
タンパク質キナーゼに対する阻害活性を有する多量の化合物は既に研究され、かついくつかのタンパク質キナーゼ阻害剤は既に抗腫瘍治療のために市販されたが、薬剤耐性を生じることになってしまった。したがって、新規なタンパク質キナーゼ阻害剤、例えば、タンパク質キナーゼ(例えば、ALK)によって媒介されるALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)等のような癌を予防、緩和、および/または治療するためのALKキナーゼ阻害剤の開発は、差し迫った課題となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミン(下記の式Iのような構造を有し、以下、「式Iで示される化合物」という)薬学的に許容される酸の塩を提供する。
【0008】
【化1】
【0009】
本発明の他の態様によれば、前記式Iの化合物と前記薬学的に許容される酸とを反応させることを含む前記式Iの化合物の薬学的に許容される酸の塩の製造方法を提供する。
また、本発明の他の態様によれば、治療有効量の式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩および薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0010】
本発明の別の態様によれば、式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩またはそれらの医薬組成物の、タンパク質キナーゼに関連する疾患を治療および/または予防する医薬の製造における使用を提供する。
【0011】
また、本発明の別の態様によれば、前記式Iの化合物の薬学的に許容される酸の塩またはその医薬組成物を、必要のある哺乳動物、好ましくはヒトに投与することを含む、タンパク質キナーゼに関連する疾患を治療および/または予防する方法を提供する。
【0012】
さらに、本発明の別の態様によれば、タンパク質キナーゼに関連する疾患を治療および/または予防するための、前記式Iの化合物の薬学的に許容される酸の塩またはその医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、それぞれ開示された実施形態を全体的に理解するために、具体的な詳細を含んで説明したが、当業者は、これらの詳細の一部または複数の部分を用いずに他の方法、部品、材料などを用いても、これらの実施形態を実現することができると理解すべきである。
【0014】
特に断らない限り、本明細書および特許請求の範囲のすべてにわたって、用語「含む/包含する/包括する/備える/からなる/構成する」(comprise、comprises、comprising)は、いずれも開放(オープンエンド)式の、包含式の意味、すなわち「…を含むがこれらに限定されない」として解釈されるべきである。
【0015】
本明細書にわたって記載された「一実施形態」または「実施形態」、あるいは「別の実施形態において」または「いくつかの実施形態において」とは、少なくとも1つの実施形態に、当該実施形態に記載の関連する具体的な参照要素、構造、または特徴を含むことを意味する。したがって、明細書の全体にわたって異なる位置に記載の「一実施形態において」、「実施形態において(実施形態では)」、「他の実施形態において」または「いくつかの実施形態において」という語句は、必ずしも同じ実施形態を指すことではない。また、具体的な要素、構造または特徴は、任意の適切な方式で1つ以上の実施形態の中に組み合せられる。
【0016】
本願の明細書および添付の特許請求の範囲に用いられた単数形の冠詞「一」、「1つ(の)」、「1個(の)」(英語の「a」、「an」、および「the」などに相当する)は、特に断らない限り、複数の対象(オブジェクト)が含まれていると理解すべきである。したがって、例えば、かかる「触媒」が含まれる反応には、1種の触媒、または2種以上の触媒が含まれている。また、用語「または」などは、特に断らない限り、通常「および/または」の意味を含んで用いられる。
【0017】
本発明の一態様によれば、5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミン(下記の式Iのような構造を有し、以下、「式Iで示される化合物」という)薬学的に許容される酸の塩を提供する。
【0018】
【化2】
【0019】
いくつかの実施形態において、前記の薬学的に許容される酸は、無機酸と有機酸とを含む。その中で、前記無機酸の例としては、硫酸、炭酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。前記有機酸は、脂肪族有機酸と芳香族有機酸とを含み、それらの例としては、トリフルオロ酢酸、乳酸、フマル酸、マンデル酸、グリコール酸、トルエンスルフォン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸)、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、酢酸、安息香酸、フェニル酢酸、マロン酸、桂皮酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、シュウ酸、フマル酸、アクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、リノール酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好ましい実施形態において、前記薬学的に許容される酸は、硫酸、塩酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、フマル酸からなる群より選ばれる。
【0020】
前記式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩において、前記薬学的に許容される酸が等モル比(すなわち、前記式Iで示される化合物と前記酸とのモル比は1:1である)で、または異なるモル比で塩の製造に用いられてもよく、これは、前記酸が一塩基酸かまたは多塩基酸か、および必要となる塩により決定される。例えば、前記塩において式Iで示される化合物と薬学的に許容される酸とのモル比は、1:0.5〜4、または1:1〜3であってもよい。いくつかの実施形態において、式Iで示される化合物と薬学的に許容される酸とのモル比は1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、または1:4である。
【0021】
いくつかの具体的な実施形態において、本発明に係る式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩は、下記の塩からなる群より選ばれる。
(1) 5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミン塩酸塩
いくつかの実施形態において、式Iで示される化合物と塩酸とのモル比が1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、または1:4であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と塩酸とのモル比が1:0.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と塩酸とのモル比が1:1であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と塩酸とのモル比が1:1.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と塩酸とのモル比が1:2であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と塩酸とのモル比が1:2.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と塩酸とのモル比が1:3である。
【0022】
(2) 5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミン硫酸塩
いくつかの実施形態において、式Iで示される化合物と硫酸とのモル比は1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、または1:4であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と硫酸とのモル比は1:0.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と硫酸とのモル比は1:1であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と硫酸とのモル比は1:1.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と硫酸とのモル比は1:2であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と硫酸とのモル比は1:2.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と硫酸とのモル比は1:3である。
【0023】
(3) 5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミンクエン酸塩
いくつかの実施形態において、式Iで示される化合物とクエン酸とのモル比は1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、または1:4であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とクエン酸とのモル比は1:0.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とクエン酸とのモル比は1:1であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とクエン酸とのモル比は1:1.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とクエン酸とのモル比は1:2であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とクエン酸とのモル比は1:2.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とクエン酸とのモル比は1:3である。
【0024】
(4) 5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミンリンゴ酸塩
いくつかの実施形態において、式Iで示される化合物とリンゴ酸とのモル比は1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、または1:4であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とリンゴ酸とのモル比は1:0.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とリンゴ酸とのモル比は1:1であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とリンゴ酸とのモル比は1:1.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とリンゴ酸とのモル比は1:2であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とリンゴ酸とのモル比は1:2.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とリンゴ酸とのモル比は1:3である。
【0025】
(5) 5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミンマレイン酸塩
いくつかの実施形態において、式Iで示される化合物とマレイン酸とのモル比は1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、または1:4であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とマレイン酸とのモル比は1:0.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とマレイン酸とのモル比は1:1であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とマレイン酸とのモル比は1:1.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とマレイン酸とのモル比は1:2であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とマレイン酸とのモル比は1:2.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とマレイン酸とのモル比は1:3である。
【0026】
(6) 5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミン酒石酸塩
いくつかの実施形態において、式Iで示される化合物と酒石酸とのモル比は1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、または1:4であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と酒石酸とのモル比は1:0.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と酒石酸とのモル比は1:1であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と酒石酸とのモル比は1:1.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と酒石酸とのモル比は1:2であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と酒石酸とのモル比は1:2.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物と酒石酸とのモル比は1:3である。
【0027】
(7) 5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミンフマル酸塩
いくつかの実施形態において、式Iで示される化合物とフマル酸とのモル比は1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、または1:4である。一実施形態において、式Iで示される化合物とフマル酸とのモル比は1:0.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とフマル酸とのモル比は1:1であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とフマル酸とのモル比は1:1.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とフマル酸とのモル比は1:2であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とフマル酸とのモル比は1:2.5であり、一実施形態において、式Iで示される化合物とフマル酸とのモル比は1:3である。
【0028】
本発明の他の一様態によれば、5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミン(下記の式Iのような構造を有し、以下、「式Iで示される化合物」という)を、薬学的に許容される酸と反応することを含む、5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミンの薬学的に許容される酸の塩の製造方法を提供する。
【0029】
【化3】
【0030】
いくつかの実施形態において、前記の薬学的に許容される酸は、無機酸と有機酸とを含む。前記無機酸の例としては、硫酸、炭酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。前記有機酸は、脂肪族有機酸と芳香族有機酸とを含み、それらの例として、トリフルオロ酢酸、乳酸、フマル酸、マンデル酸、グリコール酸、トルエンスルフォン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸)、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、酢酸、安息香酸、フェニル酢酸、マロン酸、桂皮酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、シュウ酸、フマル酸、アクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、リノール酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好ましい実施形態において、前記薬学的に許容される酸は、硫酸、塩酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、フマル酸からなる群より選ばれる。
【0031】
いくつかの実施形態において、前記式Iの化合物の薬学的に許容される酸の塩の製造方法では、前記式Iで示される化合物を、対応の酸含有の適切な単一溶剤または混合溶剤に溶解して反応させることにより前記塩を得ることができ、あるいは、前記式Iで示される化合物を、適切な単一溶剤または混合溶剤に溶解してからその中に所望の酸を添加して反応させることにより当該塩を得ることができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、前記式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩の製造方法では、前記薬学的に許容される酸が等モル比(すなわち、前記式Iで示される化合物と前記酸とのモル比は1:1である)で、または異なるモル比で、式Iで示される化合物と反応してもよく、これは、前記酸が一塩基酸かまたは多塩基酸か、および必要となる塩により決定される。例えば、前記塩を製造する際に、前記式Iで示される化合物と前記酸とのモル比は、1:0.5〜4、または1:1〜3であってもよい。
【0033】
薬学的に許容される酸の投与量を調整し、例えば、式Iで示される化合物に対する化学量論量または化学量論的過剰な薬学的に許容される酸を用いることにより、式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩を製造して得ることができる。いくつかの実施形態において、前記塩を製造する際に、前記式Iで示される化合物と薬学的に許容される酸とのモル比は1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、または1:4である。
【0034】
いくつかの実施形態において、前記式Iの化合物の薬学的に許容される酸の塩の製造方法では、反応温度は、0℃から溶剤系の沸点までであってもよく、好ましくは0℃〜50℃であり、より好ましくは0℃〜35℃である。
【0035】
いくつかの実施形態において、前記式Iの化合物の薬学的に許容される酸の塩の製造方法では、反応は窒素ガス等のような不活性ガスの保護下で行うことができる。いくつかの実施形態において、反応時間は0.5〜5時間であってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態において、適切な溶剤は、エーテル類、アルコール類、ケトン類、ニトリル類、エステル類、アルカン類、ハロゲン化アルカン類、およびそれらの任意の組み合せを含む。その例としては、テトラハイドロフラン、ジオキサン、イソプロピルエーテル、エーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノン、アセトニトリル、酢酸エチル、蟻酸エチル、ヘキサン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、およびそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0037】
また、本発明の別の態様によれば、治療有効量の前記式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩および薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0038】
前記の「薬学的に許容される担体、賦形剤」とは、活性成分の投与に有利な不活性物質を意味し、国家食品薬品監督管理局に許可されてヒトや動物(例えば、家畜)に用いられる任意の許容された流動促進剤、甘味剤、希釈剤、防食剤、染料/着色剤、矯味補強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、崩壊剤、懸濁剤、安定化剤、等張化剤、溶剤または乳化剤を含むが、これらに限定されない。前記担体および賦形剤の非制限的な例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、各種類の糖および各種類の澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、並びにポリグリコールを含むが、これらに限定されない。
【0039】
本発明の医薬組成物は、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、ペースト、乳剤、懸濁剤、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル化剤、マイクロ球、およびエアゾール等の固体状態、半固体状態、液体状態または気体状態の製剤を調製することができる。
【0040】
本発明に係る医薬組成物の典型的な投与経路は、経口投与、直腸投与、経粘膜投与、経腸投与、または局所投与、経皮投与、吸入投与、腸管外投与、舌下投与、膣内投与、鼻内投与、眼内投与、腹膜内投与、筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与を含むが、これらに限らない。好ましい投与経路は、経口投与である。
【0041】
また、本発明の他の態様によれば、前記タンパク質キナーゼを式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩と接触することを含むタンパク質キナーゼ活性の調整方法を提供する。好ましくは、前記タンパク質キナーゼはALKから選ばれる。また、前記タンパク質キナーゼは、突然変異ALKキナーゼから選ばれる突然変異キナーゼを含む。
【0042】
また、本発明の別の態様によれば、式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩またはそれらの医薬組成物の、疾患を治療および/または予防する医薬品の製造における使用を提供し、その中で、前記疾患は、タンパク質キナーゼ(例えば、ALK)活性に関連する疾患、例えば、癌症を含む異常細胞増殖である。
【0043】
本発明のいくつか実施形態において、前記の式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩またはそれらの医薬組成物の、ALK媒介性疾患を治療および/または予防するための医薬品の製造における使用を提供する。前記ALK媒介性疾患は、ALK陽性非小細胞肺癌、未分化大細胞リンパ腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、鼻咽頭癌、乳癌、結腸直腸癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、全身組織球増殖症および神経芽細胞腫等を含むが、これらに限定されるものではなく、好ましくは、ALK陽性非小細胞肺癌を含む。
【0044】
さらに、本発明は、哺乳動物(例えば、ヒト)のタンパク質キナーゼ(例えば、ALK)の活性に関連する疾患を治療および/または予防するための方法を提供し、当該方法には、治療有効量の式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩またはそれらの医薬組成物を哺乳動物(例えば、ヒト)へ投与することを含む。好ましくは、前記タンパク質キナーゼはALKから選ばれる。また、前記タンパク質キナーゼは、突然変異ALKキナーゼから選ばれる突然変異キナーゼを含む。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態において、哺乳動物(例えば、ヒト)のALK活性に関連する疾患を治療および/または予防するための方法を提供し、当該方法には、治療有効量の式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩またはそれらの医薬組成物を哺乳動物(例えば、ヒト)へ投与することを含む。前記のALK活性に関連する疾患は、ALK陽性非小細胞肺癌、未分化大細胞リンパ腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、鼻咽頭癌、乳癌、結腸直腸癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、全身組織球増殖症および神経芽細胞腫等を含み、好ましくは、ALK陽性非小細胞肺癌を含む。
【0046】
さらに、本発明は、タンパク質キナーゼ活性を調整するための、または哺乳動物(例えば、ヒト)のタンパク質キナーゼ活性に関連する疾患を治療および/または予防するための式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩またはそれらの医薬組成物を提供する。前記タンパク質キナーゼはALKであることが好ましい。前記タンパク質キナーゼは、突然変異ALKキナーゼから選ばれる突然変異キナーゼを含む。
【0047】
また、本発明のいくつかの実施形態において、ALK活性を調整するための、または哺乳動物(例えば、ヒト)のALK活性に関連する疾患を治療および/または予防するための式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩またはそれらの医薬組成物を提供する。前記のALK活性に関連する疾患は、ALK陽性非小細胞肺癌、未分化大細胞リンパ腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、鼻咽頭癌、乳癌、結腸直腸癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、全身組織球増殖症および神経芽細胞腫等を含み、好ましくは、ALK陽性非小細胞肺癌を含む。
【実施例】
【0048】
以下、具体的な実施例に基づいて、当業者に本発明をより明確に理解させて実施することを目的とする。これらは、本発明の範囲に対して制限するものでなく、本発明の例示的な説明および典型的な代表に過ぎないと理解されるべきである。容易に酸化される、または容易に加水分解される原料の操作の全ては、いずれも窒素ガスの保護下で行われる。他に断らない限り、本発明に用いられる原料の全ては、直接に市販で購入され、さらなる精製なしで直接に用いられる。
【0049】
実施例1 式Iで示される化合物の製造
【0050】
【化4】
【0051】
ステップ1: (S)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エタノール(20.9g、0.10mol)を、無水テトラヒドロフラン200mLに溶解させ、窒素雰囲気下で、3−ヒドロキシ−2−ニトロピリジン(16.0g、0.11mol)およびトリフェニルホスフィン(40.0g、0.15mol)を順次に加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。0℃に冷却させ、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(40mL、0.15mol)を滴下し、滴下終了後、0℃で12時間撹拌した。溶剤を減圧留去させ、得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(R)−3−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−2−ニトロピリジン(20.2g)が収率61%で得られた。
【0052】
ステップ2: 0℃、撹拌の条件下で、(R)−3−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−2−ニトロピリジン(20.0g、60mmol)のエタノール溶液(300mL)に、2Mの塩酸15mL、還元鉄粉(27g、480mmol)を添加した。添加終了後、12時間加熱還流した。室温まで冷却し、濾過し、濾液を濃縮して(R)−3−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−2−アミノピリジン(17.0g)は収率94%で得られて直接に次のステップに用いられた。MS m/z[ESI]:301.0[M+1]。
【0053】
ステップ3: 0℃、撹拌の条件下で、(R)−3−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−2−アミノピリジン(15.0g、50mmol)のアセトニトリル溶液(200mL)にブロモスクシンイミド(10g、56mmol)をバッチで添加した。添加終了後、0℃で1時間反応させた。その後、溶剤を留去させ、ジクロロメタンを添加し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を用いて有機相を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧濃縮させた後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(R)−3−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−5−ブロモ−2−アミノピリジン(9.88g)が収率52%で得られた。MS m/z[ESI]:380.9[M+1]。
【0054】
ステップ4: (R)−3−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−5−ブロモ−2−アミノピリジン(7.6g、20mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(7.56g、30mmol)、Pd(dppf)Cl2(732mg、1mmol)および無水酢酸カリウム(4.90g、50mmol)を、乾燥のジオキサン(200mL)に加え、窒素置換して100℃で4時間反応させた。冷却後、溶剤を減圧留去させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(R)−3−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−アミノピリジン(5.46g)が収率64%で得られた。MS m/z[ESI]:427.1[M+1]。
【0055】
【化5】
【0056】
ステップ1: 2−クロロ−4−メトキシピリジン(2.58g、18mmol)、(S)−3−メチル−1−t−ブトキシカルボニルピぺラジン(5.4g、27mmol)、Pd2(dba)3 (824mg、0.9mmol)、BINAP(1.12g、1.8mmol)およびカリウムtert−ブトキシド(5.01g、45mmol)を、乾燥トルエン(200mL)に加え、窒素雰囲気下で、16時間還流した。その後、反応混合物を室温まで冷却し、ろ過して減圧濃縮させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより残渣を分離して標的化合物が収率50%で得られた。MS m/z[ESI]:308.2[M+1]。
【0057】
ステップ2: 0℃、撹拌の条件下で、(S)−4−(4−メトキシピリジン−2−イル)−3−メチルピぺラジン−1−カルボン酸テルトブチル(2.46g、8mmol)のアセトニトリル溶液(50mL)に、ブロモスクシンイミド(1.57g、8.8mmol)をバッチで添加した。添加終了後、室温で2時間反応させた。溶剤を減圧留去させ、ジクロロメタンを添加し、かつ飽和炭酸水素ナトリウム溶液を用いて有機相を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧濃縮させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して中間体2が収率75%で得られた。MS m/z[ESI]:386.1[M+1]。
【0058】
【化6】
【0059】
ステップ1: (S)−4−(5−ブロモ−4−メトキシピリジン−2−イル)−3−メチルピぺラジン−1−カルボン酸テルトブチル(106mg、0.275mmol)、(R)−3−(1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−アミノピリジン(140mg、0.33mmol)、テトラ(トリフェニルホスフィン)パラジウム(32mg、0.0275mmol)、および炭酸セシウム(179mg、0.55mmol)を、ジオキサン(10mL)および水(1.5mL)に添加し、窒素置換して100℃で一晩反応させた。冷却後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチル−4−t−ブトキシカルボニルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミン(70mg)が収率42%で得られた。MS m/z[ESI]:606.2[M+1]。
【0060】
ステップ2: 室温で撹拌しながら、5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチル−4−t−ブトキシカルボニルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミン(67mg、0.11mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)に、トリフルオロ酢酸(1mL)を添加し、1時間撹拌した後、水酸化ナトリウム溶液でpH値を13よりも大きく調節し、そしてジクロロメタンで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を濃縮させ、カラムクロマトグラフィーにより(ジクロロメタン:メタノール=8:1を溶離剤とする)分離し精製して、5−((R)−1−(2,6−ジクロロ−3−フルオロフェニル)エトキシ)−4’−メトキシ−6’−((S)−2−メチルピぺラジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−6−アミン(30mg)が収率55%で得られた。
【0061】
MS m/z[ESI]:506.1[M+1]、
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=7.94(1H,s),7.71(1H,s),7.28−7.32(1H,m),7.07(1H,t,J=8.4Hz),6.97(1H,s),6.04−6.13(2H,m),4.86(2H,s),4.57−4.59(1H,m),4.03(1H,d,J=14Hz),3.76(3H,s),3.07−3.33(4H,m),2.88−3.00(1H,m),1.84(3H,d,J=6.8Hz),1.34(3H,d,J=6.8Hz)。
【0062】
実施例2 式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩の製造
1.式Iで示される化合物のクエン酸塩の製造
0.01molの式Iで示される化合物を取ってエタノールに溶解し、室温で撹拌しながら、クエン酸−エタノール溶液(10ml、1.2mol/L)を添加し、1時間反応させた後、乾燥まで減圧濃縮させてオフホワイトの固体を得、X線粉末回折により無定形のもの(アモルファス)が認められ、mp:225.3〜226.8℃である。
【0063】
2.式Iで示される化合物のクエン酸塩の製造
0.01molの式Iで示される化合物を取ってプロパノンに溶解し、室温で撹拌しながら、クエン酸−プロパノン溶液(10mL、1.2mol/L)を添加して1時間反応させた後、乾燥まで減圧濃縮させて固体を得、X線粉末回折により無定形のものが認められた。
【0064】
3.式Iで示される化合物のクエン酸塩の製造
0.01molの式Iで示される化合物を取って酢酸エチルに溶解し、20℃で撹拌しながら、クエン酸−プロパノン溶液(10mL、1.2mol/L)を添加して1時間反応させた後、乾燥まで減圧濃縮させて固体を得、X線粉末回折により無定形のものが認められた。
【0065】
4.式Iで示される化合物のクエン酸塩の製造
0.01molの式Iで示される化合物を取って1,4−ジオキサンに溶解し、20℃で撹拌しながら、クエン酸−プロパノン溶液(10mL、1.2mol/L)を添加して1時間反応させた後、乾燥まで減圧濃縮させて固体を得、X線粉末回折により無定形のものが認められた。
【0066】
5.式Iで示される化合物の塩酸塩の製造
0.01molの式Iで示される化合物を取ってエタノールに溶解し、室温で撹拌しながら、予め調製した塩酸−エタノール溶液(10%、w/w)体積5mlを添加して1時間反応させた後、反応液に固体を析出させ、濾過し、濾過ケーキを真空乾燥させてオフホワイトの固体を得、mp:179.6−179.8℃である。
【0067】
6.式Iで示される化合物の硫酸塩の製造
0.01molの式Iで示される化合物を取ってエタノールに溶解し、室温で撹拌しながら、硫酸−エタノール溶液(10mL、1.2mol/L)を添加して1時間反応させた後、反応液に固体を析出させ、濾過し、濾過ケーキを真空乾燥させて薄黄色固体を得、mp:186.5−189.4℃である。
【0068】
7.式Iで示される化合物のリンゴ酸塩の製造
0.01molの式Iで示される化合物を取ってエタノールに溶解し、室温で撹拌しながら、リンゴ酸−1,4−ジオキサン溶液(10mL、1.2mol/L)を添加して1時間反応させた後、反応液に固体を析出させ、濾過し、濾過ケーキを真空乾燥させてオフホワイトの固体を得、mp:190.4−191.1℃である。
【0069】
8.式Iで示される化合物のマレイン酸塩の製造
0.01molの式Iで示される化合物を取ってエタノールに溶解し、室温で撹拌しながら、マレイン酸−酢酸エチル溶液(10mL、1.2mol/L)を添加して1時間反応させた後、反応液に固体を析出させ、濾過し、濾過ケーキを真空乾燥させてオフホワイトの固体を得、mp:179.9−180.1℃である。
【0070】
9.式Iで示される化合物の酒石酸塩の製造
0.01molの式Iで示される化合物を取ってエタノールに溶解し、室温で撹拌しながら、酒石酸−プロパノン溶液(10mL、1.2mol/L)を添加して1時間反応させた後、反応液に固体を析出させ、濾過し、濾過ケーキを真空乾燥させてオフホワイトの固体を得、mp:225.8−226.0℃である。
【0071】
10.式Iで示される化合物のフマル酸塩の製造
0.01molの式Iで示される化合物を取ってエタノールに溶解し、室温で撹拌しながら、フマル酸−エタノール溶液(10mL、1.2mol/L)を添加して1時間反応させた後、反応液に固体を析出させ、濾過し、濾過ケーキを真空乾燥させてオフホワイトの固体を得、mp:185.3−187.7℃である。
【0072】
実施例3 薬理実験
下記の実験では、式Iで示される化合物のALKキナーゼおよび突然変異ALKキナーゼに対する阻害活性を測定し、かつヒト非小細胞肺癌NCI−H2228ヌードマウス移植腫瘍に対する治療効果を測定した。式Iで示される化合物の薬学的に許容される酸の塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩)が式Iで示される化合物と同様の活性を持っていることを、当業者にとって理解することができる。
【0073】
1.ALKキナーゼの阻害活性の測定
本発明に係る式Iで示される化合物のALKキナーゼに対する阻害活性を、以下の方法を用いて測定し、当該阻害活性は、IC50という指標、すなわちALKキナーゼの活性が50%阻害された際の化合物の濃度で表われている。本発明では、ホモジニアス時間分解蛍光(HTRF、Cisbio)方法を用い、ALK(Milliporeから購入される)のキナーゼ活性の検出用プラットフォームを構築して最適化させ、化合物活性を測定する。
【0074】
材料および方法:
材料:
a. 白色384ウェルプレート(Perkin Elmer、Catalog No.607290/99)
b. HEPES緩衝液:1M HEPES緩衝液(Invitrogen製、Catalog No.15630−080)を用いて0.05M HEPES緩衝液50mLを調製する。1M HEPES緩衝液2.5mLを取って、再蒸留水(ddH2O)適量を添加し、NaOHでpH7.0に調整し、最後に50mLになるまでddH2O(再蒸留水)を添加する。
c. ALKキナーゼ(Millipore)
d. 0.1M Na3VO4
e. 1M MgCl2
f. 0.2M DTT
g. 10% BAS
h. DMSO
i. ddH2
j. 被検化合物:式Iで示される化合物
次の操作ステップによって行い、
(1) ALK酵素反応緩衝液:50mM HEPES(pH=7.0)、0.1mM Na3VO4、0.01% BAS、5mM MgCl2、1mM DTTを調製し、氷の上に配置して用意する。
【0075】
(2) 化合物を1mMから100% DMSOで3倍段階希釈し、各濃度を4μL取って96μLの反応緩衝液に添加し、2.5μLを取って384ウェルプレート(OptiPlate−384、PerkinElmer)に添加し、その後キナーゼ5μLを添加し、遠心しよく混練し、さらにATPとTK peptideとの混合液(ATPの終濃度がKm値である)2.5μLを添加して反応を開始する。
【0076】
(3) 384ウェルプレートをインキュベーターに入れて23℃で120分間反応させる。
(4) TK Antibody−Cryptate抗体5μL、ストレプトアビジン標識XL−665 5μLを添加して反応を停止させる。
(5) インキュベーター(22〜23℃)において1時間インキュベートする。
(6) マイクロプレートリーダーEnvision (PerkinElmer)を用いて反応の蛍光信号を読み取り、320nmで励起して波長665nmの発光スペクトルを読み取る。
(7) 化合物のALK酵素に対する阻害IC50の生成: GraFit6を用いて化合物のIC50値を計算する。
【0077】
上記方法で測定された式Iで示される化合物のIC50値は1.96nMである。当該データによれば、式Iで示される化合物が、優れたALK阻害活性を有することが明らかにされる。
【0078】
2.突然変異ALKキナーゼに対する阻害活性の測定
表1には、式Iで示される化合物の突然変異後のALKキナーゼに対する阻害活性を示す。その中で、L1196M、G1269S突然変異ALKキナーゼは、商業経路により購入して得られる。
【0079】
【表1】
【0080】
3. ヒト非小細胞肺癌NCI−H2228ヌードマウス移植腫瘍に対する治療効果の測定
用いられた実験方法は、ヒト非小細胞肺癌NCI−H2228細胞を、ヌードマウスに皮下播種し、腫瘍が80〜200mm3まで成長した後、動物を無作為に群分け(D0)して薬剤を投与し、投与量および投与案を表2に示した。瘤体積を毎週2回測定し、マウスの重量を秤量し、データを記録する。腫瘍体積(V)の計算式は、
V=1/2×a×b2であり、式中、aおよびbは、それぞれ長さ、幅を表す。
T/C(%)=(T−T0)/(C−C0)×100、式中、TおよびCは、それぞれ実験終了時の腫瘍体積であり、T0およびC0は、それぞれ実験開始時の腫瘍体積である。
【0081】
腫瘍の減退が現れる場合に、T/C(%)=(T−T0)/T0×100、式中、Tは実験終了時の腫瘍体積であり、T0は実験開始時の腫瘍体積である。
腫瘍阻害率(%)=100−T/C(%)となり、局所減退とは、腫瘍が小さくなるが消えないことを意味し、完全減退とは、腫瘍が消えることを意味する。
【0082】
【表2】
【0083】
ここで、溶剤(0.1%Tween−80含有蒸留水)群は、対照群であり、治療群の化合物は、0.1% Tween−80含有蒸留水で調製される。
D0−20は、0日(D0)から、毎日1回投与して連続に21日間投与することを表し、D0−13は、0日から毎日1回投与して連続に14日間投与することを表す。
P値は、対照に比べてstudent’s tテストで得られる。
nは、マウスの数であり、実験マウスの数は、対照群のnが12であり、治療群のnがいずれも6である。
【国際調査報告】