【実施例】
【0091】
(例示の実施例)
(材料と測定)
単一壁カーボンナノチューブ(SWCNT)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(97%、BMIM BF
4)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(97%、エチルTFMS)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(98%、ブチルTFMS)、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(98%、ヘキシルTFMS)を、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(imizaolium)ヘキサフルオロホスファート(97%、ブチルHFP)、カダベリン(97%超)、イソプロパノール(99%超)、o−ジクロロベンゼン(無水物)、塩化パラジウム(II)、および3,6−ジ−2−ピリジル−1,2,4,5−テトラジンと共にSigma−Aldrichから購入し、入手したままの状態で使用した。検出剤である5,10,15,20−テトラフェニルポルフィリナトコバルト(III)ペルクロラート([Co(tpp)]ClO
4)を、以下の文献の手順(Sugimotoら,Bull.Chem.Soc.Jpn.,54,3425−3432)にしたがって合成した。分析種である1%エチレンガスを含む窒素(1.0001体積%±2%)および1%アンモニアガスを含む窒素(0.9979%±2%)、およびキャリアガスである乾燥窒素を、AirGasから入手した。
【0092】
デバイスの感知能力を決定するために、分析種曝露の際にセンサの導電率の変化を監視した。感知の測定は、PalmSens EmStat−MUX(PalmSens BV)を使用して行った。デバイスを、ガス流の入口/出口およびセンサの分析種への曝露のためのガス室からなる特注のテフロン(登録商標)製筐体中に入れた。デバイスを、64ピンICテストクリップ(3M)を介してポテンシオスタットに接続した。Sierra Instrumentsガス混合システム、kin−tekガス発生器、シリンジポンプからなる特注製のセットアップ、または蠕動ポンプからなる特注製のセットアップを使用して、分析種の窒素ガス、空気、または加湿窒素ガスとの混合によって種々の濃度の分析種を生成することができる。
【0093】
感知材料を、以下の2つの異なる方法を介してデバイスに適用した:1)金属スパチュラまたは2)スクリーン印刷模倣法を使用して適用した。スクリーン印刷模倣法を、デバイスを横切ってマスクを配置することによって行った。マスクは、電極の間の空間上にレーザ切断孔を有していた。感知材料を、孔を横切って広げ、ブレードを用いて擦りつけて均一な厚さにした。材料の厚さは、異なる厚さのマスクを使用することによって変動した。
(実施例1)
【0094】
以下の実施例は、分析種の検出剤としての[Co(tpp)]ClO
4を備えたSWCNT−BMIM BF
4ペーストから構成されるセンサの製作および測定を記載する。
【0095】
ペーストを、乳鉢および乳棒を用いてSWCNT、BMIM BF
4、および[Co(tpp)]ClO
4を10分間粉砕することによって調製した。ペーストの組成は、BMIM BF
4中のSWCNTが10重量%および[Co(tpp)]ClO
4のSWCNTに対する質量比1:1であった。基板を、サーマルエバポレータ(Mill Lane Engineering,EV−2000)を使用して電極ギャップが1mmの金電極パターンをスライドガラス上に蒸着することによって作製した。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。センサを、金属スパチュラを使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。さらなるペーストを、各センサについて電極間のセンサ材料の抵抗が7kΩと30kΩとの間になるまで添加した。
【0096】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、「材料と方法」に記載の方法を使用して分析種への曝露の際に監視した。センサを、分析種、40ppmエチレンを含む窒素、およびキャリアガス窒素に交互に3サイクル曝露した。
図3は、SWCNT、BMIM BF
4、および[Co(tpp)]ClO
4のペースト(BMIM BF
4中のSWCNT含有量が10重量%であり、SWCNTの[Co(tpp)]ClO
4に対する質量比が1:1である)を使用して作製したセンサの感知応答を示す。矢印は、40ppmエチレンへの100秒間の曝露の開始を示す。センサの感知応答の平均は、0.94%であった。
(実施例2)
【0097】
以下の実施例は、可撓性紙デバイス上の3,6−ジ−2−ピリジル−1,2,4,5−テトラジンペーストから構成されたセンサの製作および測定を記載する。
【0098】
ペーストを、乳鉢および乳棒を用いてSWCNTおよびBMIM BF
4を粉砕することによって調製した。次いで、3,6−ジ−2−ピリジル−1,2,4,5−テトラジンを質量比が4:1(テトラジン:SWCNT)になるように添加し、要素を混合した。基板を、サーマルエバポレータ(Mill Lane Engineering,EV−2000)を使用して電極ギャップが1mmの金電極パターンを秤量紙上に蒸着することによって作製した。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。センサを、金属スパチュラを使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。さらなるペーストを、各センサについて電極間のセンサ材料の抵抗が1kΩと4kΩとの間になるまで添加した。
【0099】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、「材料と方法」に記載の方法を使用して分析種への曝露の際に監視した。センサを、分析種、40ppmエチレンを含む窒素にそれぞれ300秒間および600秒間、ならびに窒素ガスに交互に暴露した。
図4は、SWCNT、BMIM BF
4、および[Co(tpp)]ClO
4のペースト(BMIM BF
4中のSWCNT含有量が10重量%であり、[Co(tpp)]ClO
4に対するSWCNTの質量比が4:1である)を使用して製作したセンサの感知応答を示す。矢印は、40ppmエチレンへの300秒間および600秒間の曝露の開始を示す。感知応答は、300秒間の曝露で0.96%および600秒間の曝露で1.0%であり、ほとんど不可逆な応答であった。
(実施例3)
【0100】
以下の実施例は、紙デバイス上の[Co(tpp)]ClO
4ペーストセンサの製作および測定を記載する。
【0101】
ペーストを、メノウの乳鉢および乳棒を用いてSWCNT、BMIM BF
4、および[Co(tpp)]ClO
4を10分間粉砕することによって調製した。以下の3種の5重量%のSWCNTを含むBMIM BF
4ペーストを作製した:[Co(tpp)]ClO
4のSWCNTに対する質量比が1:1、5:1、および10:1。基板を、サーマルエバポレータ(Mill Lane Engineering,EV−2000)を使用して電極ギャップが1mmの金電極パターンを秤量紙上に蒸着することによって作製した。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。センサを、金属スパチュラを使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。さらなるペーストを、各センサについて電極間のセンサ材料の抵抗が7kΩと30kΩとの間になるまで添加した。
【0102】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、「材料と方法」に記載の方法を使用して分析種への曝露の際に監視した。センサを、分析種、40ppmエチレンを含む窒素、およびキャリアガス窒素に交代で3サイクル曝露した。
【0103】
図5は、紙上のSWCNT、BMIM BF
4、および[Co(tpp)]ClO
4のペースト(BMIM BF
4中のSWCNT含有量が5重量%であり、[Co(tpp)]ClO
4のSWCNTに対する質量比が、それぞれ、10:1、5:1、および1:1である)を使用して作製したセンサの感知応答を示す。矢印は、40ppmエチレンへの100秒間の開始を示す。質量比が1:1のペーストについての平均感知応答は1.7%であった一方で、5:1および10:1のペーストは、それぞれ平均で0.24%および0.33%で低かった。
【0104】
この結果は、センサ材料が増量するにつれてセンサ応答が増大することを示唆している。しかし、その後に検出剤がさらに増量しても応答が比例的に増大しない閾値に到達することが予想され、これは、導電性炭素質ナノ材料粒子(カーボンナノチューブなど)の還元によってシステム全体の導電率が限界になるためである。
(実施例4)
【0105】
以下の実施例は、以下の3つのタイプのセンサの製作および測定を記載する:1)SWCNT−[Co(tpp)]ClO
4層、2)SWCNT−[Co(tpp)]ClO
4層上に積層したBMIM BF
4、および3)SWCNT−[Co(tpp)]ClO
4ペースト。
【0106】
基板を、サーマルエバポレータ(Mill Lane Engineering,EV−2000)を使用して電極ギャップが1mmの金電極パターンをスライドガラス上に蒸着することによって作製した。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。
【0107】
SWCNT−[Co(tpp)]ClO
4センサを、SWCNTおよび[Co(tpp)]ClO
4を含む懸濁液をドロップキャストすることによって調製した。懸濁液を、[Co(tpp)]ClO
4([Co(tpp)]ClO
4のSWCNTに対する質量比が10:1)および0.25mg/mL SWCNTを含むo−ジクロロベンゼンの1分間の超音波処理によって調製した。懸濁液を、各センサの抵抗が7〜10kΩになるまでドロップキャストした。懸濁液の各連続ドロップキャストの間に、溶媒が完全に除去されるまでデバイスを減圧乾燥させた。
【0108】
SWCNT−[Co(tpp)]ClO
4層上に積層されたBMIM BF
4層から構成されるセンサを、各センサの抵抗が2〜5kΩになるまでSWCNT−[Co(tpp)]ClO
4懸濁液をドロップキャストすることによって調製した。各ドロップキャストの間に、溶媒が完全に除去されるまでデバイスを減圧乾燥させた。10mg/mL BMIM BF
4溶液を含むメタノールを、SWCNT−[Co(tpp)]ClO
4層上にドロップキャスト(1μLドロップ)した。デバイスを減圧乾燥させて、メタノールを除去した。
【0109】
[Co(tpp)]ClO
4ペーストセンサを、メノウの乳鉢および乳棒を用いてSWCNT、BMIM BF
4、および[Co(tpp)]ClO
4を20分間粉砕することによって調製した。ペーストの組成は、BMIM BF
4中のSWCNTが1重量%および[Co(tpp)]ClO
4のSWCNTに対する質量比5:1であった。センサを、金属スパチュラを使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。さらなるペーストを、各センサについて電極間のセンサ材料の抵抗が7kΩと30kΩとの間になるまで添加した。
【0110】
さらに、純粋なSWCNTのセンサを、SWCNTを含むオルソ−ジクロロベンゼン懸濁液のドロップキャストによって製作した。懸濁液を、SWCNT(0.25mg/mL)を含むo−ジクロロベンゼンの1分間の超音波処理によって調製した。懸濁液を、各センサの抵抗が7〜10kΩになるまでドロップキャストした。懸濁液の各連続ドロップキャストの間に、溶媒が完全に除去されるまでデバイスを減圧乾燥させた。
【0111】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、「材料と方法」に記載の方法を使用して分析種への曝露の際に監視した。センサを、分析種、40ppmエチレンを含む窒素、およびキャリアガス窒素に交互に3サイクル曝露した。
図6は、SWCNTおよび([Co(tpp)]ClO
4の懸濁液、BMIM BF
4でコーティングしたSWCNTおよび([Co(tpp)]ClO
4の懸濁液、SWCNT、BMIM BF
4、および([Co(tpp)]ClO
4のペースト、ならびに純粋なSWCNTの懸濁液を使用して製作したセンサの40ppmエチレンに対する平均感知応答を示す。
【0112】
単層SWCNT−[Co(tpp)]ClO
4センサの平均感知応答は0.13%であった。BMIM BF
4コーティングしたSWCNT−[Co(tpp)]ClO
4センサの平均応答は1.3%であり、したがって、非コーティングSWCNT−[Co(tpp)]ClO
4センサと比較して10倍改善された。[Co(tpp)]ClO
4ペーストのセンサの平均応答は40ppmで2.5%であり、BMIM BF
4コーティングしたセンサと比較して2倍改善され、非コーティングSWCNT−[Co(tpp)]ClO
4センサと比較して20倍改善された。
【0113】
上で考察されるように、このシグナルの予想外の改善は、イオン液体ペースト中での検出剤およびカーボンナノチューブの分散の改善に起因する。出願人によって識別されたように、イオン液体がペースト中への分析種の拡散を妨害しないので、センサ材料としてのペーストによって生じる相対応答は、他の配置(イオン液体を用いない単純な検出剤とカーボンナノチューブとの組み合わせ、またはイオン液体が検出剤およびカーボンナノチューブ上をコーティングする配置など)より有意に強い。
【0114】
さらに、センサ材料としてペーストを使用したデバイスの応答の改善が動作寿命を延長すると認識される。センサは、その後に応答の強度が分析種を検出できなくなる閾値を下回る前の機能的に利用可能な期間がより長いので、この延長は予想されることである。
(実施例5)
【0115】
以下の実施例は、以下の3つのタイプのセンサの製作および4週間にわたる測定を記載する:1)SWCNT−[Co(tpp)]ClO
4層、2)SWCNT−[Co(tpp)]ClO
4層上に積層したBMIM BF
4、および3)[Co(tpp)]ClO
4ペースト。
【0116】
基板を、サーマルエバポレータ(Mill Lane Engineering,EV−2000)を使用して電極ギャップが1mmの金電極パターンをスライドガラス上に蒸着することによって作製した。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。
【0117】
SWCNT−[Co(tpp)]ClO
4センサを、SWCNTおよび[Co(tpp)]ClO
4の懸濁液をドロップキャストすることによって調製した。懸濁液を、[Co(tpp)]ClO
4([Co(tpp)]ClO
4のSWCNTに対する質量比が10:1)および0.25mg/mL SWCNTを含むo−ジクロロベンゼンの7分間の超音波処理によって調製した。懸濁液を、各センサの抵抗が7〜10kΩになるまでドロップキャストした。懸濁液の各連続ドロップキャストの間に、溶媒が完全に除去されるまでデバイスを減圧乾燥させた。
【0118】
SWCNT−[Co(tpp)]ClO
4層上に積層したBMIM BF
4層から構成されるセンサを、各センサの抵抗が2kΩと5kΩとの間になるまでSWCNT−[Co(tpp)]ClO
4懸濁液をドロップキャストすることによって調製した。各ドロップキャストの間に、溶媒が完全に除去されるまでデバイスを減圧乾燥させた。2mg/mL BMIM BF
4溶液を含むメタノールを、SWCNT−[Co(tpp)]ClO
4層上にドロップキャストした(1μLドロップ)。デバイスを減圧乾燥させて、メタノールを除去した。
【0119】
[Co(tpp)]ClO
4ペーストのセンサを、メノウの乳鉢および乳棒を用いてSWCNT、BMIM BF
4、および[Co(tpp)]ClO
4を10分間粉砕することによって調製した。ペーストの組成は、BMIM BF
4中のSWCNTが1重量%および[Co(tpp)]ClO
4のSWCNTに対する質量比5:1であった。センサを、金属スパチュラを使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。さらなるペーストを、各センサについて電極間のセンサ材料の抵抗が7kΩと30kΩとの間になるまで添加した。
【0120】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、「材料と方法」に記載の方法を使用して分析種への曝露の際に監視した。センサを、分析種、40ppmエチレンを含む窒素、およびキャリアガス窒素に交代で3サイクル曝露した。4週間後、測定を繰返した。
図7は、SWCNTおよび([Co(tpp)]ClO
4の懸濁液、BMIM BF
4でコーティングしたSWCNTおよび([Co(tpp)]ClO
4の懸濁液、ならびにSWCNT、BMIM BF
4、および([Co(tpp)]ClO
4のペーストを使用して製作したセンサの、センサ製作から4週間後の40ppmエチレンに対する初期応答に対する百分率を示す。
【0121】
この期間後の単層SWCNT−[Co(tpp)]ClO
4センサの平均感知応答は、初期応答の51.6%であった。BMIM BF
4コーティングしたSWCNT−[Co(tpp)]ClO
4センサでは、4週間後に初期応答の8.6%であった。[Co(tpp)]ClO
4ペーストのセンサでは、40ppmで初期応答の102.5%であった。
(実施例6)
【0122】
以下の実施例は、[Co(tpp)]ClO
4ペーストのセンサの製作および測定を記載する。
【0123】
ペーストを、メノウの乳鉢および乳棒を用いてSWCNT、BMIM BF
4、および[Co(tpp)]ClO
4を20分間粉砕することによって調製した。ペーストの組成は、BMIM BF
4中のSWCNTが1重量%および[Co(tpp)]ClO
4のSWCNTに対する質量比5:1であった。基板を、サーマルエバポレータ(Mill Lane Engineering,EV−2000)を使用して電極ギャップが1mmの金電極パターンをスライドガラス上に蒸着することによって作製した。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。センサを、金属スパチュラを使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。さらなるペーストを、各センサについて電極間のセンサ材料の抵抗が7kΩと30kΩとの間になるまで添加した。
【0124】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、「材料と方法」に記載の方法を使用して分析種への曝露の際に監視した。センサを、分析種、40ppmエチレンを含む窒素、およびキャリアガス窒素に交代で3サイクル曝露した。
図8は、SWCNT、BMIM BF
4、および[Co(tpp)]ClO
4のペースト(BMIM BF
4中のSWCNT含有量が1重量%であり、[Co(tpp)]ClO
4のSWCNTに対する質量比が5:1である)を使用して作製したセンサの感知応答を示す。矢印は、40ppmエチレンへの100秒間の開始を示す。センサの平均感知応答は4.5%であった。
(実施例7)
【0125】
以下の実施例は、[Co(tpp)]ClO
4ペーストのセンサの製作および測定を記載する。センサを、エチレン、酢酸エチル、エタノール、ヘキサン、クロロホルム、およびアセトニトリルに曝露した。
【0126】
ペーストを、メノウの乳鉢および乳棒を用いてSWCNT、BMIM BF
4、および[Co(tpp)]ClO
4を20分間粉砕することによって調製した。ペーストの組成は、BMIM BF
4中のSWCNTが1重量%および[Co(tpp)]ClO
4のSWCNTに対する質量比5:1であった。基板を、サーマルエバポレータ(Mill Lane Engineering,EV−2000)を使用して電極ギャップが1mmの金電極パターンをスライドガラス上に蒸着することによって作製した。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。センサを、金属スパチュラを使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。さらなるペーストを、各センサについて電極間のセンサ材料の抵抗が7kΩと30kΩとの間になるまで添加した。
【0127】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、分析種への曝露の際に監視した。センサを、分析種、40ppmエチレンを含む窒素、およびキャリアガス窒素に交互に3サイクル曝露し、応答を、「材料と方法」に記載の方法を使用して測定した。センサのエチレンに対する平均感知応答は4.5%であった。
【0128】
他の分析種のガス流を、ガス発生器(Kin−Tek,491M Base Module)を使用して得た。センサを、分析種を含む窒素およびキャリアガス窒素に交互に3サイクル曝露した。
図9は、純粋なSWCNTの懸濁液を使用して製作したセンサならびにSWCNT、BMIM BF
4、および[Co(tpp)]ClO
4のペーストから製作したセンサの異なる分析種に対する平均感知応答を示す。酢酸エチル(200ppm)に対する平均感知応答は1.6%であった。ヘキサン(200ppm)およびクロロホルム(200ppm)に対する平均応答は、それぞれ、1.4%および1.8%であった。エタノール(200ppm)に対する平均応答は13.5%であった。100ppmアセトニトリルに対する平均応答は21.5%であった。
(実施例8)
【0129】
以下の実施例は、異なるアンモニア濃度で試験した[Co(tpp)]ClO
4ペーストのセンサの製作および測定を記載する。
【0130】
ペーストを、ボールミルを使用したSWCNT、BMIM BF
4、および[Co(tpp)]ClO
4の粉砕によって調製した。ペーストの組成は、BMIM BF
4中のSWCNTが1重量%および[Co(tpp)]ClO
4のSWCNTに対する質量比5:1であった。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。センサを、「材料と方法」に記載のスクリーン印刷様技術を使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。厚さ0.05mmのペーストを適用した。
【0131】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、「材料と方法」に記載の方法を使用して分析種への曝露の際に監視した。センサを、それぞれ、分析種、1ppm、2ppm、および5ppmのアンモニアを含む乾燥窒素に100秒間、および乾燥窒素のキャリアガスに交互に3サイクル曝露した。
図10Aは、種々の分析種濃度での感知応答を示す。矢印は、アンモニアへの各100秒間の曝露の開始を示す。
図10Bに示す平均感知応答は、1ppmアンモニアに対しては1.2%±0.1%、2ppmアンモニアに対しては3.8%±0.4、5ppmアンモニアに対しては7.1%±.0.7%である。
(実施例9)
【0132】
以下の実施例は、[Co(tpp)]ClO
4ペーストのセンサの製作および異なるカダベリン濃度での測定を記載する。
【0133】
ペーストを、ボールミルを使用したSWCNT、BMIM BF
4、および[Co(tpp)]ClO
4の粉砕によって調製した。ペーストの組成は、BMIM BF
4中のSWCNTが1重量%および[Co(tpp)]ClO
4のSWCNTに対する質量比5:1であった。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。センサを、「材料と方法」に記載のスクリーン印刷様技術を使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。厚さ0.05mmのペーストを適用した。
【0134】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、「材料と方法」に記載の方法を使用して分析種への曝露の際に監視した。センサを、それぞれ、分析種、2ppm、4ppm、および8ppmのカダベリンを含む8500ppmの加湿した空気に100秒間、ならびに8500ppmの加湿したキャリアガスに交互に3サイクル曝露した。
図11Aは、種々の分析種濃度での感知応答を示す。矢印は、カダベリンへの各100秒間の曝露の開始を示す。
【0135】
図11Bは、文献によるアミン濃度に相関し得る感知応答の不可逆部分を示す(Liu,S.F.,Petty,A.R.,Sazama,G.T.and Swager,T.M Angew.Chem.Int.Ed.,2015,54,6554−6557)。2ppm、4ppm、および8ppmのカダベリンで、それぞれ、4.0%±1.0%、5.2%±1.2%、および9.5%±1.1%の感知応答が得られた。
(実施例10)
【0136】
以下の実施例は、80ppmエチレンで試験した異なるイミダゾリウムベースのイオン液体を使用したPdCl
2ペーストのセンサの製作および測定を記載する。使用したイオン液体は以下であった:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(エチルTFMS)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(ブチルTFMS)、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(ヘキシルTFMS)。
【0137】
ペーストを、ボールミルを使用したSWCNT、イオン液体、およびPdCl
2の粉砕によって調製した。ペーストの組成は、イオン液体中のSWCNTが1重量%およびPdCl
2のSWCNTに対する質量比5:1であった。試験したイオン液体は、BMIM BF
4、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(ブチルTFMS)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(エチルTFMS)、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(ヘキシルTFMS)であった。コントロール感知材料を、ドロップキャスティングによって質量比が5:1のPdCl
2およびSWCNTを含むイソプロパノールの懸濁液から調製した。懸濁液を、5分間の超音波処理によって調製した。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。センサを、「材料と方法」に記載のスクリーン印刷様技術を使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。厚さ0.05mmのペーストを適用した。コントロールセンサを、電極間のコントロール感知材料のドロップキャスティングによって製作した。各連続ドロップキャストの間に、デバイスを風乾した。懸濁液を、各センサの抵抗が0.95kΩと1.5kΩとの間となるまでドロップキャストした。
【0138】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、「材料と方法」に記載の方法を使用して分析種への曝露の際に監視した。センサを、分析種、80ppmエチレンを含む10,000ppmの加湿した窒素に500秒間、および10,000ppmの加湿した窒素のキャリアガスに1サイクル曝露した。
図12Aは、種々のイオン液体を有するペーストの感知応答を示す。ラインは、エチレンへの500秒間の曝露の開始および終了を示す。
図12Bに示したブチルTFMSの相対応答は0.17%±0.01%である。エチルTFMSの応答は0.28%±0.03%である。ヘキシルTFMSの応答は0.36%±0.005%である。これは、イオン液体の、そのアルキル側鎖が影響を受ける極性および粘性が感知性能に影響を及ぼすことを示唆している。ドロップキャストPdCl
2センサの応答は0.11%±0.06%である。
図12Cは、ドロップキャストPdCl
2のコントロールセンサおよびBMIM BF
4ペーストのセンサの感知応答を示す。ドロップキャストコントロールセンサの感知応答が低いほどエラーが高くなることは、センサ材料ペーストを使用することがSWCNTおよび検出剤の混合物のドロップキャスティングなどの代替法より優れていることを示す。
(実施例11)
【0139】
実施例10と同様に、以下の実施例は、80ppmエチレンで試験した1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート(ブチルHFP)を使用したPdCl
2ペーストのセンサの製作および測定を記載する。
【0140】
ペーストを、ボールミルを使用したSWCNT、ブチルHFP、およびPdCl
2の粉砕によって調製した。ペーストの組成は、ブチルHFP中のSWCNTが1重量%およびPdCl
2のSWCNTに対する質量比5:1であった。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。センサを、「材料と方法」に記載のスクリーン印刷様技術を使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。厚さ0.05mmのペーストを適用した。
【0141】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、「材料と方法」に記載の方法を使用して分析種への曝露の際に監視した。センサを、分析種、80ppmエチレンを含む10,000ppmの加湿した窒素に800秒間、および10,000ppmの加湿した窒素のキャリアガスに交互に1サイクル曝露した。
図13は、ブチルHFPペーストの感知応答を示す。ラインは、エチレンへの800秒間の曝露の開始および終了を示す。ブチルHFPの相対応答は、−0.226%±0.01%であった。
(実施例12)
【0142】
実施例10と同様に、以下の実施例は、80ppmエチレンで試験した異なるイミダゾリウムベースのイオン液体を使用した[Co(tpp)]ClO
4ペーストのセンサの製作および測定を記載する。使用したイオン液体は以下であった:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(エチルTFMS)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(ブチルTFMS)、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(ヘキシルTFMS)。
【0143】
ペーストを、ボールミルを使用したSWCNT、イオン液体、および[Co(tpp)]ClO
4の粉砕によって調製した。ペーストの組成は、イオン液体中のSWCNTが1重量%および[Co(tpp)]ClO
4のSWCNTに対する質量比5:1であった。試験したイオン液体は、ブチルTFMS、エチルTFMS、およびヘキシルTFMSであった。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。センサを、「材料と方法」に記載のスクリーン印刷様技術を使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。厚さ0.05mmのペーストを適用した。
【0144】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、「材料と方法」に記載の方法を使用して分析種への曝露の際に監視した。センサを、分析種、80ppmエチレンを含む乾燥窒素に500秒間、および乾燥窒素のキャリアガスに交互に1サイクル曝露した。
図14Aは、種々のイオン液体の感知応答を示す。ラインは、エチレンへの500秒間の曝露の開始および終了を示す。ブチルTFMSの相対応答は0.3%±0.1%であった。エチルTFMSの応答は1.0%±0.7%であった。ヘキシルTFMSの応答は0.20%±0.01%であった。3種のイオン液体ペーストの相対応答を、
図14Bに示す。
(実施例13)
【0145】
以下の実施例は、製作過程中の異なるポイントでのエチレンで試験した[Co(tpp)]ClO
4ペーストのセンサの製作および測定を記載する。
【0146】
ペーストを、メノウの乳鉢および乳棒を用いてSWCNT、BMIM BF
4、および[Co(tpp)]ClO
4を粉砕することによって調製した。ペーストの組成は、BMIM BF
4中のSWCNTが1重量%および[Co(tpp)]ClO
4のSWCNTに対する質量比5:1であった。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。センサを、金属スパチュラを使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。ペーストを、粉砕の1、4、7、10、13、17、および20分後に適用した。電極間のセンサ材料の抵抗が各センサで7kΩと30kΩとの間になるまでペーストを添加した。
【0147】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、「材料と方法」に記載の方法を使用して分析種への曝露の際に監視した。センサを、分析種、40ppmエチレンを含む窒素に100秒間、およびキャリアガス窒素に交互に3サイクル曝露した。
図15は、種々の粉砕時点の平均感知応答を示し、各時点の標準偏差も示す。さらなる混合によって感知応答が減少するが、粉砕時間を経るにつれて応答の標準偏差も減少する。
(実施例14)
【0148】
以下の実施例は、製作過程中の異なるポイントでのエチレンで試験したPdCl
2ペーストのセンサの製作および測定を記載する。
【0149】
ペーストを、ボールミルを使用したSWCNT、BMIM BF
4、およびPdCl
2の粉砕によって調製した。ペーストの組成は、BMIM BF
4中のSWCNTが0.25重量%およびPdCl
2のSWCNTに対する質量比5:1であった。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。センサを、金属スパチュラを使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。ペーストを、粉砕の1、3、5、7、および10分後に適用した。センサ材料を、各センサについて電極間の材料の抵抗が7kΩと20kΩとの間になるまで添加した。
【0150】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、「材料と方法」に記載の方法を使用して分析種への曝露の際に監視した。センサを、分析種、40ppmエチレンを含む加湿窒素(10,000ppm水)に100秒間、および加湿窒素のキャリアガスに交互に3サイクル曝露した。
図16は、種々の粉砕時点の感知応答を示す。矢印は、40ppmエチレンへの各100秒間の曝露の開始を示す。感知応答は、粉砕が進むに連れて減少し:平均して粉砕の1分後に5.2%、3分後に4.7%、5分後に4.6%、7分後に1.1%、10分後に0.9%。
(実施例15)
【0151】
以下の実施例は、異なる厚さの感知材料を適用したPdCl
2ペーストのセンサの製作および測定を記載する。
【0152】
ペーストを、ボールミルを使用したSWCNT、BMIM BF
4、およびPdCl
2の粉砕によって調製した。ペーストの組成は、BMIM BF
4中のSWCNTが1重量%およびPdCl
2のSWCNTに対する質量比5:1であった。電極パターンを、シャドウマスクを使用し、10nmのクロム、次いで100nmの金を積層して作製した。センサを、「材料と方法」に記載のスクリーン印刷様技術を使用して電極間にペーストを配置することによって製作した。ペーストを、スクリーン印刷マスクの厚さを変化させることによって0.05、0.10、および0.15mmの厚さで適用した。
【0153】
デバイスの感知能を決定するために、センサの導電率の変化を、「材料と方法」に記載の方法を使用して分析種への曝露の際に監視した。センサを、分析種、40ppmエチレンを含む加湿窒素(10,000ppm水)に100秒間、および加湿窒素のキャリアガスに交互に3サイクル曝露した。
図17は、異なる厚さでの感知応答を示す。矢印は、40ppmエチレンへの各100秒間の曝露の開始を示す。感知応答は、厚さが増加するにつれて、平均して、厚さ0.05mmでの3.0%から、厚さ0.10mmでの1.6%、厚さ0.15mmでの0.3%に減少する。
【0154】
本開示は、前述の例示的な実施形態で説明および例示されているが、本開示は例示のみを目的とし、本開示の精神および範囲を逸脱することなく本開示の実施の詳細の多数の変更形態を得ることができ、本開示は以下の特許請求の範囲のみによって制限されると理解される。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。