(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-521996(P2017-521996A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(54)【発明の名称】植物栽培容器
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20060101AFI20170714BHJP
【FI】
A01G9/02 D
A01G9/02 101N
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-544680(P2016-544680)
(86)(22)【出願日】2014年6月18日
(85)【翻訳文提出日】2016年8月29日
(86)【国際出願番号】MY2014000185
(87)【国際公開番号】WO2015194929
(87)【国際公開日】20151223
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516198891
【氏名又は名称】アウアジア・アグロテック・スンディリアン・ブルハド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チェン・シュン・アウ
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327NC02
2B327NC24
2B327NC51
2B327ND01
2B327QA04
2B327QB11
2B327RB04
2B327RD10
2B327VA20
(57)【要約】
生育培地および植物を保持する中空セル(10)を含む植物栽培容器。セルは側壁(11)と基部(20)と開いた上部(12)とを有する。通気孔(30)が容器の側壁上に配設されている。基部は、通気孔を通って延出可能な案内タブ(21)を備えた垂直可動基部である。垂直可動基部が上方に押されて、栽培されている植物を外に出す場合、垂直運動は通気孔内でのタブの係合により案内され、基部の全側部において均一の支持をもたらす。これは、実質的に小型のユニット内の生育培地およびその中で栽培されている植物の取り出しを可能にし、結果的に、栽培されている植物に対する根の損傷および植替えショックを最小限に抑える。植物栽培容器の通気孔は保持フラップ(31)をさらに含み、根の剪定を補助する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生育培地および植物を保持する中空のセル(10)であって、複数の側壁(11)、基部(20)、および開いた上部(12)を有するセル(10)と、
前記セルの前記複数の側壁に配設された通気孔(30)と
を含む植物栽培容器であって、
前記基部は、垂直に可動であると共に複数の案内タブ(21)を有し、前記複数の案内タブは各タブが通気孔を通って延出できるように配設されており、
それにより、前記基部が上方に押されて栽培植物を外に出す際に、前記基部の垂直運動は前記通気孔内での前記タブの係合により案内され、前記基部の全ての側部において均一な支持をもたらし、それにより、実質的に小型のユニット内の前記生育培地およびその中の前記栽培植物の取り出しを可能にし、結果的に、前記栽培植物に対する根の損傷および植替えショックを最小限に抑える、
植物栽培容器。
【請求項2】
前記中空のセル(10)は、各側壁(11)に少なくとも1つの通気孔(30)をさらに含む、請求項1に記載の植物栽培容器。
【請求項3】
前記通気孔(30)は垂直構造であり、前記セルの高さの少なくとも半分より多くに及ぶ、請求項1または2に記載の植物栽培容器。
【請求項4】
前記通気孔(30)は一対の保持フラップ(31)をさらに含み、各フラップは前記通気孔の両側に設けられており、前記フラップは容器内部に向かって内向きに付勢されており、外向きの根の成長を妨げる、請求項1から3のいずれか一項に記載の植物栽培容器。
【請求項5】
前記中空のセル(10)は、前記中空のセル(10)の内部で前記基部(20)が上に載る内側底部フランジ(13)をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の植物栽培容器。
【請求項6】
前記基部(20)は複数の側面をさらに含み、各側面は前記セルの側壁(11)に対応している、請求項1から5のいずれか一項に記載の植物栽培容器。
【請求項7】
前記基部(20)は各側面に少なくとも1つの案内タブ(21)をさらに含む、請求項6に記載の植物栽培容器。
【請求項8】
前記基部(20)は排水穴(22)をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の植物栽培容器。
【請求項9】
前記基部(20)は前記植物栽培容器とは別個に設けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載の植物栽培容器。
【請求項10】
前記基部(20)は前記植物栽培容器のものとは異なる材料で作製されている、請求項9に記載の植物栽培容器。
【請求項11】
前記植物栽培容器はポリプロピレンで作製されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の植物栽培容器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の前記植物栽培容器を複数含む植物栽培トレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物栽培容器に関する。より詳細には、本発明は、栽培されている植物の簡単な取り出しを容易にする植物栽培容器に関する。
【背景技術】
【0002】
植物栽培容器が、植物を栽培する普及している方法である。これは、容器内に含まれる環境がより制御されているためであり、容器1つ当たり1つの植物しか存在しないので、競争がないためである。各植物の生育条件および要件は別個に注意が払われることが可能である。植物が初期発育段階を過ぎたら、それは開放された領域に植え替えるために準備ができている。
【0003】
以前は、植物栽培に単純な容器が使用された。そのような単純な容器は、一般に、側壁と基部と開いた上部とを含む。基部は排水穴を設けられて、土中の過剰な水が自由に流れ出ることを可能にし得る。
【0004】
単純な容器内で植物を栽培する従来の方法は、植替えのために植物を取り出す時に問題が生じる。植物の根によってかけられる抵抗に因り、従来の容器から植物を取り出すために、上方への引っ張り力が必要である。上方引っ張りが根の損傷を引き起こし、根の塊を保持する生育培地の緊密さを緩め、結果的に、植物のさらなる成長を妨げる植替えショックをもたらす。
【0005】
容器の底板を上方へ押して、生育培地および植物を容器から外に出す道具として適合されている、特開平9-121687号の要約に記載されているものなどのプッシュロッドを含む、単純なデバイスが存在する。そのような道具と共に使用される容器は、底板が生育培地および植物と共に取り外されかつ底板の取り外しにより容器が破壊されるので、再使用可能ではない。また、道具を使用することにより、生育培地および植物が偏って押し出されることが避けられない。押す力はもっぱら底板の中心辺りに主に集中され、底板が容器の側面から折り取られると、底板の角部および側部に支持がもたらされない。生育培地および植物の一部分のみが押し出されるという結果になることが多いので、これは望ましくない。そのような事象は、生育培地の緩みおよび植物に対する根の損傷の原因となると考えられる。
【0006】
米国特許第4,144,672号が、生育培地および植物と共に基部を上方に押すことによる植物の簡単な植替えに適合された、破壊可能な基部を有する植物容器を記載している。基部は、その底面から基部に対して圧力がかけられた場合に破壊可能な、弱い外周を有する。そのような容器は再使用可能でなく、各使用後に廃棄されなければならない。そのような容器を作製するための材料は、基部の簡単な破壊を可能にするために、過剰に厚くてはならない。使用されている比較的薄い材料に因り、容器は長期の使用に適さず、熱および水分への長期間の暴露に耐えることができない。
【0007】
簡単な植替えに加えて、容器内での植物栽培は根の空気根切りを可能にする。そのような容器は通気孔を有し、根の空気根切りを促進する。通気孔は、一般に、根を周囲空気に暴露する容器側面上の単純な開口部である。容器の外側の空気の湿度は、生育培地中より相対的に低い。該低湿度により、根端は脱水状態になり、成長を停止し、したがって、それらは空気根切りされた状態になる。剪定された根は、次いで、多数の二次根を生み出し、理想的な良好に分岐した根系を作り出す。
【0008】
米国特許第4,497,132号が、側壁上の垂直スリットから成る空隙を有する空気根切り容器を記載している。空気根切りは、螺旋状の根の成長(spiral root growth)を防止しかつ根の分岐を促進するために、容器側壁を巡って分布されている垂直領域に沿って起こることが記載されている。容器内で土を一緒に強く保持している良好に分岐した根系を有する植物の植替えは、簡単ではない。植物を容器から外に引き出すのにより多くの努力が必要である。繊細な二次根は、植物の植替えが行われた後に損傷を受けるであろう。したがって、空気根切りが栽培されている植物に有益である一方、そのような容器を使用することにより、植物が植え替えられた後、その成長を妨げる植替えショックが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9-121687号
【特許文献2】米国特許第4,144,672号
【特許文献3】米国特許第4,497,132号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は、先行技術の問題のいくつかまたは全てを軽減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様によれば、生育培地および植物を保持する中空セルを含む植物栽培容器が提供されている。セルは側壁と基部と開いた上部とを有する。通気孔がセルの側壁上に配設されている。基部は垂直に可動であり、案内タブを有する。タブは、各タブが通気孔を通って延出可能であるように配設されている。垂直可動基部が上方に押されて、栽培されている植物を外に出すと、基部の垂直運動は通気孔内でのタブの係合により案内され、基部の全側部における均一な支持をもたらす。これにより、実質的に小型のユニット内の生育培地およびその中で栽培されている植物の取り出しが可能になり、結果的に、栽培されている植物に対する根の損傷および植替えショックが最小限に抑えられる。完全に支持された基部は、それが上方に押される際に生育培地およびその中で栽培されている植物が転倒し、生育培地の緩みおよび根の損傷を引き起こすことを防止する。
【0012】
本発明の植物栽培容器は再使用可能性をもたらす。容器内で栽培されている植物の植替え中に破壊される、容器の部分または構造は存在しない。
【0013】
ある実施形態では、中空セルは、各側壁上に少なくとも1つの通気孔をさらに含み得る。
【0014】
さらなる実施形態では、通気孔は垂直構造であり、中空セルの側壁の高さの少なくとも半分より多くに及ぶ。
【0015】
別の実施形態では、通気孔は一対の保持フラップをさらに含んでいてもよく、各フラップは孔の両側に設けられている。フラップは容器の内部に向かって内向きに付勢されており、外向きの根の成長を妨げる。通気孔の保持フラップは根の剪定を向上させる。フラップは、通気孔から外に成長した根に圧力をかける。空気根切りされることの効果に加えて、根の大きさが拡大しさらに外向きに成長すると、また、根の成長はフラップによってそれにかけられる圧力により妨げられる。剪定された根は、二次根およびしたがって多くの若い頑健な根を有する理想的な根系を作り出すことができる。
【0016】
さらなる実施形態では、中空セルは、中空セルの内部で基部が上に載る内側底部フランジをさらに含み得る。
【0017】
ある実施形態では、基部は側面をさらに含んでいてもよく、各側面がセルの側壁に対応している。各側面上に少なくとも1つの案内タブが存在していてもよい。各側面上に案内タブを有することにより、その上方垂直運動中に、その側部の全てにおいて基部の均一な案内が可能になる。これにより、基部が生育培地の全側部および全角部ならびに容器内で栽培されている植物を支持することが可能になる。
【0018】
別の実施形態では、基部は排水穴をさらに含む。
【0019】
さらなる実施形態では、植物栽培容器の基部は容器とは別個に設けられていてもよく、容器のものとは異なる材料で作製されていてもよい。これにより、ユーザが植物および生育培地の要件に基づいて適切な基部を選択する融通性がもたらされる。
【0020】
ある実施形態では、植物栽培容器はポリプロピレンで作製されていてもよい。本発明の植物栽培容器を製造するのに使用される、十分に強いが非剛性の材料は、耐久性がありかつ熱および水分への長期間の暴露に耐えることができ、同時に依然として容器の部分が曲げられることを可能にする容器を作り出す。これは、特定の方向に付勢されることが可能である、保持フラップなどの可動部を形成するために特に有利である。
【0021】
異なる実施形態では、植物栽培トレーが、複数の、本発明の植物栽培容器を含み得る。
【0022】
本発明の植物栽培容器のさらなる利点が後続の頁において詳細に述べられる。
【0023】
本発明が例示されているが、添付図面を参照した実施形態の以下の記載により限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図5】本発明による植物栽培容器の使用の図である。
【
図6】本発明の実施形態による案内タブと保持フラップとの係合の図である。
【
図7】本発明の実施形態による保持フラップにより、栽培されている植物の根の外向きの成長を妨げる事象の順序の図である。
【
図8】本発明の実施形態による保持フラップの内向き引っ張り運動の事象の順序の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の植物栽培容器は、垂直可動基部20を有する中空セル10を主に含む。
【0026】
図1に示されている通り、植物栽培容器は比較的垂直な構造を有し、中空セル10を含む概ね直立の容器である。容器は任意の適切な形状であってもよく、一般に、側壁11と基部20と開いた上部12とを含む。中空セル10は、その高さの端から端まで均一に成形されていてもよく、またはそれはテーパの付いた構造を有していてもよい。中空セル10のテーパの付いた構造は、その基部20または上部12に向かってテーパが付けられてすなわち下方にまたは上方にテーパが付けられていてもよい。
図1に示されている通り、植物栽培容器は4つの側壁11と開いた上部12と基部20とを有する、逆角錐台形状の中空容器であってもよく、上部12が基部20より幅広である。
【0027】
植物栽培容器は、十分に強いがそれでも非剛性である任意の種類の適切なプラスチック、例えばポリプロピレン、などの任意の適切な耐久性がある非剛性の材料で作製されていてもよい。そのような材料が折り曲げられると、それは折曲げの方向に付勢されるが、力がかけられた時に依然として微調整を可能にする。基部20は、容器と同じ種類の材料、または異なる硬度の異なる種類の材料で作製されていてもよい。より硬い材料で作製された基部20を有することにより、生育培地のより重い塊が容器内で保持されることが可能になる。基部20を作製するための材料は、容器で使用される生育培地の種類に左右される可能性がある。基部20は、様々な種類の生育培地により適した材料で作製された基部20と置き換えられてもよい。
【0028】
空気根切り用の通気孔30が容器の側壁11上に配設されている。容器は各側壁11上に少なくとも1つの通気孔30を含み得る。通気孔30は、容器の高さの少なくとも半分より多くに及ぶか、さらには容器の高さ全体に沿った簡単な垂直に配設された開口部として設けられていてもよい。
図1、
図5および
図6の例に示されている通り、通気孔30は、容器の各側壁11上の中心に配設されていてもよい。
【0029】
各通気孔30は両側に一対の保持フラップ31をさらに含み得る。フラップ31は通気孔30に取り付けられていてもよいか、または容器の側壁11と一体化されているように設けられていてもよい。フラップ31は、
図2に示されている通り、容器の内部に向かって内向きに付勢されている。
【0030】
フラップ31は、容器側壁11の部分に穴をあけることにより形成されていてもよい。初めに、壁上の意図された通気孔30の位置が確認される。その後、側壁11上で、一対の垂直に離間された僅かな横方向切込みが成される。これら横方向切込みは通気孔30の最上部と最下部を画定する。次いで、垂直スリットが、最上部切込みと最下部切込みとの中心にかつそれらの間に成され得る。垂直スリットの両側の側壁11の部分は、次いで、内向きに穴をあけられてフラップ31を形成することができる。通気孔30がこの方法で形成された場合、それらが内向きに付勢されていなければ、フラップ31間に間隙がない。あるいは、通気孔30は、保持フラップ31が互いに離間された状態で形成され、それにより、それらの間に間隙を画定することができる。
【0031】
保持フラップ31を有する本発明の通気孔30は、植物栽培容器の従来の通気孔30に対する改良点である。保持フラップ31は、空気根切りに加えて、根の補足剪定を実現する。植物の根が通気孔30から外に成長した場合、植物の根は絶えず拡張し、直径を増大させている。最終的に、根は保持フラップ31の縁部と接触する。保持フラップ31により根にかけられる圧力が、
図7の連続的な図に示されているように、根のさらなる拡張を妨げる。根のさらなる外向きの成長により、取り付けられている保持フラップ31は外側へ動き、対向するフラップ31間の間隔が減少する。対向するフラップ31間の間隔が減少するので、フラップ31は根に圧力をかけ、それにより根の外向きの成長を妨げる。全体としては、保持フラップ31は根に圧力をかけ、根の拡張および外向きの成長に対してさらなる成長を妨げる。生育培地および栽培されている植物を外に出す時、フラップ31間にある根は内向き引っ張り運動に直面し、また、この内向き引っ張り運動はフラップ31に相応に影響を及ぼし、フラップ31を内側に動かし、それにより、
図8の連続的な図に示されているように対向するフラップ31間の間隔を増大させる。したがって、植物が容器から外に出されている場合、フラップ31は根に損傷を与えない。
【0032】
容器は底部支持脚部14をさらに含み得る。底部支持脚部14は、容器の外底面上に設けられていてもよく、内側底部フランジ13に隣接して、好ましくは植物栽培容器の角部に、配置されていてもよい。
【0033】
図1から
図8までに図示されていないが、中空セル10は外リップ部をさらに含み得る。外リップ部は、それが容器開口部を取り囲むように、容器の上部のその外面上に配置されていることが好ましい。この外リップ部は、植物栽培容器を取り扱う時にユーザが保持するためのハンドルとして適合されていてもよい。さらに、容器の積重ねが共に入れ子にされている場合、この外リップ部は積重ねからの容器の簡単な取り出しを補助する。
【0034】
植物栽培容器の基部20は垂直に可動である。それは容器とは別個に設けられている可能性がある。使用中の場合、垂直可動基部20は容器の内側に配設されている。
【0035】
容器は内側底部フランジ13をさらに含み得る。内側底部フランジ13は中空セル10の底部に配置され得ることが好ましい。中空セル10の底部における内側底部フランジ13の存在により、
図1〜
図4までに認められる通り、基部20が容器の内面に載ることが可能になる。垂直可動基部20と共に中空セル10は、生育培地および植物を保持する槽を形成している。
【0036】
垂直可動基部20は、中空セル10の横断面に対応する形状を有することが好ましい平板を含み得る。基部20は側面を有し、各側面がセルの側壁11に対応している。基部20は、基部20と容器の側壁11との間に画定されている周囲間隙が存在するように、セルの内部に配設され得る。
【0037】
植物栽培容器の基部20は、通気孔30に対応する、その側面上の位置に配置されている案内タブ21を有する。垂直可動基部20が使用中である場合、各タブ21が通気孔30を通って延出している。少なくとも1つのタブ21が基部20の各側部上に設けられている。垂直可動基部20が容器の内部で静止している場合、案内タブ21は通気孔30の保持フラップ31と係合されていない。むしろ、タブ21は通気孔30の真下にあり、容器の基部から外に突出している。
【0038】
保持フラップ31を含む通気孔30を備えた植物栽培容器の実施形態では、タブ21に隣接した垂直可動基部20上に切取り部が設けられていてもよい。垂直可動基部20のタブ21に隣接した切取り部は、通気孔30の保持フラップ31用の留め部(catch)を形成している。垂直可動基部20が上方に押されると、フラップ31は切取り部内に動き、基部20が上方に移動するのを妨害しない。
【0039】
垂直可動基部20は、生育培地中の過剰な水の排水を可能にする排水穴22をさらに含み得る。垂直可動基部20の排水穴22の数ならびに排水穴22の大きさおよび形状は、植物の水分要求量および/または生育培地の水分保持特性もしくは排水特性に左右される。
【0040】
植物栽培容器を使用する前に、植物の要件および生育培地の条件と最良に組み合わせられた垂直可動基部20が選択され得る。異なる垂直可動基部20が、後に使用するために異なる植物および生育培地と組み合わせられてもよい。植物栽培容器のユーザは、各用途に(生育培地および植物の要件に最も適した)最も適切な材料で作製された垂直可動基部20を選択する融通性を有する。したがって、垂直可動基部20は、各使用の前に異なる基部と置き換えられる可能性がある。
【0041】
植物栽培容器は、単一容器としてまたは互いに隣接して配置された複数の容器として設けられて、植物栽培トレーを形成することができる。
【0042】
図1から
図8までに認められるような、本発明の例示的実施形態を使用するために、ユーザは生育培地および種を植物栽培容器内に配置さえすれば十分である。暫くして、種が植物に成長し、植替えの準備ができている場合、ユーザは容器の垂直可動基部20を指で上方に押して、
図5に示されているように、栽培されている植物を外に出しさえすれば十分である。あるいは、垂直可動基部20は、道具または任意の他の適切な手段で押されてもよい。本容器の垂直可動基部20が上方に押されると、案内タブ21は通気孔30内に係合され、上方運動中に基部20の全側部に均一な支持をもたらす。垂直可動基部20の切取り部は、保持フラップ31用の留め部としての機能を果たし、
図6に示されているように、基部20が上方に移動するのを妨害する、保持フラップ31のさらなる内向き運動を減少させる。全側部で支持されている基部20は、横方向運動(傾斜、揺動等)を妨げ、生育培地および栽培されている植物を運ぶ、基部20の案内された上方運動のみを可能にし、したがって、それが上方に押された際の生育培地および栽培されている植物の、生育培地の緩みおよび根への損傷につながる横方向運動を防止する。
【0043】
本明細書においてなされている、前部/前方、後部/後方、上部、底部、横方向、内向き、外向きなどの全ての方向の記述は、使用中の場合の植物栽培容器の配向に関連している。
【0044】
当業者に容易に明らかになるように、本発明は、その範囲または本質的特性から逸脱することなく、他の特定の形で容易に製造され得る。したがって、本実施形態は、単に例示的と見なされるべきであり、限定的と見なされるべきではなく、本発明の範囲は前述の記載ではなく特許請求の範囲により指示され、したがって、範囲内に入る全ての変更はその中に包含されることが意図されている。
【符号の説明】
【0045】
10 中空セル
11 側壁
12 開いた上部
13 内側底部フランジ
14 底部支持脚部
20 垂直可動基部
21 案内タブ
22 排水穴
30 通気孔
31 保持フラップ
【手続補正書】
【提出日】2015年4月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生育培地および植物を保持する中空のセル(10)であって、複数の側壁(11)、基部(20)、および開いた上部(12)を有するセル(10)を含む植物栽培容器であって、
前記セルの前記複数の側壁には、通気孔(30)が配設されており、前記通気孔は、植物の根の空気根切りのために前記通気孔を通して空気を流すことを可能にする開口部であり、前記通気孔は、植物の根の補足剪定のための、内向きに付勢された可動の保持フラップ(31)をさらに備え、
前記基部は、垂直に可動であると共に複数の案内タブ(21)を有し、前記複数の案内タブは各タブが通気孔を通って延出できるように配設されており、
それにより、前記基部が上方に押されて栽培植物を外に出す際に、前記基部の垂直運動は前記通気孔内での前記タブと前記保持フラップとの係合により案内され、前記基部の全ての側部において均一な支持をもたらし、それにより、実質的に小型のユニット内の前記生育培地およびその中の前記栽培植物の取り出しを可能にし、結果的に、前記栽培植物に対する根の損傷および植替えショックを最小限に抑える、
植物栽培容器。
【請求項2】
前記中空のセル(10)は、各側壁(11)に少なくとも1つの通気孔(30)をさらに含む、請求項1に記載の植物栽培容器。
【請求項3】
前記通気孔(30)は垂直構造であり、前記セルの高さの少なくとも半分より多くに及ぶ、請求項1または2に記載の植物栽培容器。
【請求項4】
各通気孔(30)は、前記通気孔の両側に設けられた一対の保持フラップ(31)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の植物栽培容器。
【請求項5】
前記中空のセル(10)は、前記中空のセル(10)の内部で前記基部(20)が上に載る内側底部フランジ(13)をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の植物栽培容器。
【請求項6】
前記基部(20)は複数の側面をさらに含み、各側面は前記セルの側壁(11)に対応している、請求項1から5のいずれか一項に記載の植物栽培容器。
【請求項7】
前記基部(20)は各側面に少なくとも1つの案内タブ(21)をさらに含む、請求項6に記載の植物栽培容器。
【請求項8】
前記基部(20)は排水穴(22)をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の植物栽培容器。
【請求項9】
前記基部(20)は前記植物栽培容器とは別個に設けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載の植物栽培容器。
【請求項10】
前記基部(20)は前記植物栽培容器のものとは異なる材料で作製されている、請求項9に記載の植物栽培容器。
【請求項11】
前記植物栽培容器はポリプロピレンで作製されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の植物栽培容器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の前記植物栽培容器を複数含む植物栽培トレー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の態様によれば、生育培地および植物を保持する中空セルを含む植物栽培容器が提供されている。セルは側壁と基部と開いた上部とを有する。通気孔がセルの側壁上に配設されて
おり、通気孔は、植物の根の空気根切りのためにそこを通して空気を流すことを可能にする開口部である。通気孔は、植物の根の補足剪定のための、内向きに付勢された可動保持フラップをさらに備える。基部は垂直に可動であり、案内タブを有する。タブは、各タブが通気孔を通って延出可能であるように配設されている。垂直可動基部が上方に押されて、栽培されている植物を外に出すと、基部の垂直運動は通気孔内でのタブ
と保持フラップとの係合により案内され、基部の全側部における均一な支持をもたらす。これにより、実質的に小型のユニット内の生育培地およびその中で栽培されている植物の取り出しが可能になり、結果的に、栽培されている植物に対する根の損傷および植替えショックが最小限に抑えられる。完全に支持された基部は、それが上方に押される際に生育培地およびその中で栽培されている植物が転倒し、生育培地の緩みおよび根の損傷を引き起こすことを防止する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
別の実施形態では、
各通気孔は一対の保持フラップを含んでいてもよく、各フラップは孔の両側に設けられている。通気孔の保持フラップは根の剪定を向上させる。フラップは、通気孔から外に成長した根に圧力をかける。空気根切りされることの効果に加えて、根の大きさが拡大しさらに外向きに成長すると、また、根の成長はフラップによってそれにかけられる圧力により妨げられる。剪定された根は、二次根およびしたがって多くの若い頑健な根を有する理想的な根系を作り出すことができる。
【国際調査報告】