(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-522139(P2017-522139A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(54)【発明の名称】骨インプラント
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20170714BHJP
【FI】
A61B17/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2017-505463(P2017-505463)
(86)(22)【出願日】2015年8月3日
(85)【翻訳文提出日】2017年3月28日
(86)【国際出願番号】EP2015067861
(87)【国際公開番号】WO2016016474
(87)【国際公開日】20160204
(31)【優先権主張番号】1457539
(32)【優先日】2014年8月1日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516228981
【氏名又は名称】エル・デ・エール・メデイカル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラビーニュ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】リシャール,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】メルシエ,アレクシ
(72)【発明者】
【氏名】ルケット,サミュエル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL69
(57)【要約】
本発明は、インプラント、その移植のための器具、およびこのインプラントを製造するための方法に関し、インプラントは、一方では、縦軸に沿って自由端とヘッド(18)との間に細長い本体(10)を含み、他方では、縦軸に沿って自由端に近接して前記本体(10)の少なくとも一部分の上に少なくとも1つのねじ山の巻き(12)を含み、本体(10)は、縦軸に平行な少なくとも1回の第1の中心機械加工作業と、縦軸に平行ではなく、縦方向の内部導管(11)に達するまで本体(10)の壁を横切る、いわゆる横断面における少なくとも1回の第2の機械加工作業とによって、前記縦方向の内部導管(11)と本体(10)の外側とを連通する窓(15)を作製することにより得られる、縦軸に沿った少なくとも一部分の上に縦方向の内部導管(11)を含むことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方では、縦軸に沿って自由端とヘッド(18)との間に細長い本体(10)を含み、他方では、縦軸に沿って自由端に近接して前記本体(10)の少なくとも一部分の上に少なくとも1つのねじ山の巻き(12)を含み、本体(10)は、縦軸に平行な少なくとも1回の第1の中心機械加工と、縦軸に平行ではなく、縦方向の内部導管(11)に達するまで本体(10)の壁を横切る、いわゆる横断面である面における少なくとも1回の第2の機械加工とによって、前記縦方向の内部導管(11)と本体(10)の外側の間を連通する窓(15)を作製することにより得られる、縦軸に沿った少なくとも一部分の上に縦方向の内部導管(11)を含み、そうすることで縦軸に対して横方向のインプラントのサイズが局所的に減少することを特徴とする、骨インプラント(1)。
【請求項2】
本体(10)の前記自由端が、自己掘削式であることを特徴とする、請求項1に記載の骨インプラント(1)。
【請求項3】
前記本体(10)が、実質的に円筒形であることを特徴とする、請求項1および2のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項4】
前記本体(10)が、実質的に円錐あるいは円錐台形であることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項5】
本体(10)の形状が円錐形または円錐台形であるにもかかわらず、前記ねじ山の外周が、実質的に円筒形であることを特徴とする、請求項4に記載の骨インプラント(1)。
【請求項6】
前記窓(15)が、縦軸に沿って互いに整列することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項7】
前記窓(15)が、縦軸に沿って互いに対してずれていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項8】
前記窓(15)が、少なくとも1つの研削された外縁部を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項9】
インプラント(1)の前記ヘッド(18)が、縦方向の内部導管(11)を閉鎖するか、または縦方向の内部導管(11)を閉鎖するための手段(3)を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項10】
前記ねじ(12)が、ヘッド(18)の方向に短くなる可変ピッチを有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項11】
前記本体が、異なるピッチを有するいくつかのねじ(12)を備え、自由端の側に位置するねじのピッチが、ヘッド(18)の側に位置する隣接するねじよりも大きなサイズである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項12】
インプラント(1)の前記ヘッド(18)が、前記ヘッド(18)の周辺の骨組織を圧迫することを意図する、インプラントの安定化手段(2、3、5)を備えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項13】
前記安定化手段(2、3、5)が、縦軸に実質的に平行であり、かつヘッド(18)の周辺の組織、および任意選択的に、前記ヘッド(18)に近接する前記本体(10)の一部に貫入することができる少なくとも2つのロッド(21)を備える、一種のステープルを形成する少なくとも1つの安定化要素(2)を含むことを特徴とする、請求項12に記載の骨インプラント(1)。
【請求項14】
安定化要素(2)の前記ロッド(21)が、先鋭な自由端を有することを特徴とする、請求項13に記載の骨インプラント(1)。
【請求項15】
前記ロッド(21)が、リングを通して一緒に接続され、安定化要素(2)が前記ヘッド(18)に装着され得るようにすることを特徴とする、請求項13または14のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項16】
前記ヘッド(18)が、前記ロッド(21)または前記ロッド(21)に沿って位置するショルダー部(22)を本体(10)から離して維持するように、それらを受容することができる少なくとも2つの切り欠き部(14)を含むことを特徴とする、請求項13〜15のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項17】
前記安定化手段が、ヘッド(18)に装着された少なくとも1つの鐘状の安定化要素(2)を含み、その外周(21)が、ヘッド(18)の周辺の骨組織を圧迫することを意図することを特徴とする、請求項12に記載の骨インプラント(1)。
【請求項18】
前記鐘(2)が、骨固着を促進するように、その外周(21)上に少なくとも1つの先端部または歯を含むことを特徴とする、請求項17に記載の骨インプラント(1)。
【請求項19】
前記鐘(2)が、ヘッド(18)に固定して装着されることを特徴とする、請求項17および18のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項20】
前記鐘(2)が、前記ヘッド(18)に移動可能に装着されることを特徴とする、請求項18および19のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項21】
前記ヘッド(18)が、球状部の形状を有する周囲下面を有し、それによって前記鐘(2)の内側上面と嵌合して、インプラントのヘッド(18)に接合されることを特徴とする、請求項19に記載の骨インプラント(1)。
【請求項22】
前記安定化手段が、ヘッド(18)の周囲に装着され、かつ安定化要素(2)、いわゆるアンカーを受容することができる1つの通路(57)を少なくとも備える、少なくとも1つのプレート(5)を含み、プレート(20)の形状によりヘッド(18)の周辺の骨組織に固着され得ることを特徴とする、請求項12に記載の骨インプラント(1)。
【請求項23】
前記アンカー(2)が、骨組織に貫入することを意図する先鋭な端部(21)および/または研削された端部を含むことを特徴とする、請求項22に記載の骨インプラント(1)。
【請求項24】
前記アンカー(2)が、前記プレート(5)に接触して、骨組織へのアンカー(2)の貫入を制限することを意図する少なくとも1つの当接部(22)を備える端部を含むことを特徴とする、請求項22および23のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項25】
前記アンカー(2)が、実質的に平面であるプレート(20)で形成されることを特徴とする、請求項22〜24のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項26】
前記アンカー(2)が、実質的に湾曲したプレート(20)で形成されることを特徴とする、請求項22〜25のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項27】
前記アンカー(2)および前記通路(57)が、縦軸に対する斜交軸に沿ってアンカーを挿入するように配置され、そうすることで、アンカーは、挿入時にインプラントの中心部から周辺部に向かって配向されることを特徴とする、請求項22〜26のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項28】
安定化手段が、各々が自由端(21)を備え、かつヘッド(18)のサイズと実質的に等しい空間によって互いから隔てられた2つの関節部(28)によって一緒に接合された2つの湾曲したビット(20)を備える顎部の形態の少なくとも1つの安定化要素(2)を含み、そうすることで、顎部はヘッドの周囲に装着され得、ビットはインプラントの本体(10)の周辺の骨組織に接触し得ることを特徴とする、請求項12〜27のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項29】
前記顎部(2)のビット(20)が、それらの凹面上に、ビットを骨組織に対して安定させるための少なくとも1つのキャッチ(211)を含むことを特徴とする、請求項28に記載の骨インプラント(1)。
【請求項30】
ビット(20)の自由端(21)が、インプラントを骨組織に挿入するときに顎部(2)の開放を容易にする少なくとも1つの面取り部(218)を含むことを特徴とする、請求項28および29のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項31】
安定化手段が、安定化要素(2)を骨組織に対して押された状態に維持するようにそれを圧迫する係止手段(3)を含むことを特徴とする、請求項12〜27のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項32】
前記窓(15)の少なくとも一部分が、いずれの窓(15)もなく、少なくとも2つの巻き(12)によって隔てられることを特徴とする、請求項1〜31のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項33】
前記窓(15)の少なくとも一部分が、いくつかの巻き(12)の上に作製されることを特徴とする、請求項1〜32のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【請求項34】
前記窓(15)の少なくとも一部分が、前記巻き(12)の間に作製されることを特徴とする、請求項1〜33のいずれか一項に記載の骨インプラント(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨インプラントの分野に関し、具体的には、例えば、2つの椎骨構造の関節固定のための脊椎インプラントに関する。本発明は、より具体的には、脊椎インプラント、特に、椎骨の小関節面の間に移植されること(いわゆる「椎間関節内」インプラント)および/またはこれらの椎骨の小関節面を通して移植される(いわゆる「経椎間関節」インプラント)ことが意図される、いわゆる「椎間関節」インプラントに関する。本出願の種々の実施形態は、椎体椎弓根における移植(いわゆる「椎弓根」インプラント)もしくは仙腸関節での移植、または脊髄であろうとなかろうと種々の種類の骨構造における移植にも適合されるが、本出願に説明されるインプラントの特徴は、それらを脊柱における使用に特に有用なものにする。
【背景技術】
【0002】
インプラントの分野における問題は、骨成長、および特に関節固定、すなわち、例えば椎骨等の2つの構造の骨の合体に関する。実際、例えば、隣接する椎間板のうちの少なくとも1つが損傷した場合に、少なくとも2つの椎骨の合体を得ようとする場合がある。種々の種類のインプラントに基づいて、種々の関節固定の技法が従来技術から既知であり、例えば、骨成長を促進するために椎間板の場所に挿入される椎体間ケージ(または関節固定ケージ)、または両方の椎骨を固定して関節固定を可能にするために椎骨に取り付けられる関節固定プレート、または椎骨を固定するために使用されるさらなる骨接合もしくは関節固定ロッド(これらは一般的に椎弓根スクリューもしくはフックによって接続される)、または最後に、椎骨の棘(もしくは「棘突起」)を固定し、それによって合体を促進するために挿入される棘間インプラント等である。これらの種類のインプラントは、処置される脊椎レベルを安定させるという当該技術分野で既知の問題に対する答えを見出すことを目的としている。合体を得る目的で小関節面を結合することによりそのような安定化を可能にする椎間関節インプラントを使用した、特に腰椎および仙骨レベルでの解決法も既知である。例えば、仏国特許発明第2726171号明細書等の従来技術から、骨をねじ止めするためのねじ山を備える中空シリンダの形態のインプラントが既知であり、スクリューが移植される構造の合体を促進するための組織もしくは骨代替物またはセメントの挿入を可能にする移植空間を提供するために、導管および溝が作製されたスクリューが形成される。各椎骨が後側の小関節面を通して1つ上または下の椎骨に連結されるため、脊椎の関節突起(articular apophyses)(または関節突起(articular process)または椎弓根椎間関節)は、本明細書において「小関節面」という用語によって示されることに留意されたく、本発明は、これらの小関節面の治療に有用であるが、必要に応じて、他の構造、特に椎骨構造、例えば、肋骨または仙腸関節に関する種々の実施形態を任意選択的に用いることが可能である。関節突起は、椎弓根の後で、椎骨の横方向突起の基部の上および下に突出する。腰椎レベルでは、例えば、上関節突起は、下の2つが分離する距離よりも大きい距離だけ互いから分離する。それらが支持する小関節面は、垂直な溝の形状を有し、その凹面は後方および内側に面しており、反対方向に、すなわち、前方および外側に凸状の関節面を有する下関節突起が、溝の中に配置される。下関節突起は、外側および若干前方に面した円筒状セグメントの形態で凸状の関節面を提供する。この表面は、下に位置する椎骨の上関節突起の凹面内で摺動する。したがって、これらの構造は、重なりあった椎骨の安定性のために重要であり、さらに、それらの基部に位置する峡部(または「椎間関節部」)の骨欠損(または「溶解」)が、概して椎間板の変性を引き起こす脊椎すべり症(他の隣接する椎骨に対する椎骨の摺動)の原因であることに留意されたい。そのため、脊椎関節固定を達成しようとする場合、椎骨の下関節突起を隣接する椎骨の上関節突起に結合するための椎間関節インプラントを使用することが望ましい場合がある。これらの椎間関節インプラントは、「椎間関節間」インプラント(すなわち、関節面の間に挿入される)であるか、または「経椎間関節」インプラント(すなわち、関節面を一緒に結合するために関節突起を通して挿入される)のいずれかであり得る。椎間関節間インプラントは、通常、接近軸を同定し、および例えば、大抵はカニューレ処置されている(すなわち、中空である)、インプラントを誘導するためのブローチを位置付けることにより、関節の所定の位置に設定される。インプラントの小さいサイズおよびしばしば窪んだ構成にもかかわらず、インプラント完全性を保証することが望ましいため、当該技術分野における問題は、堅牢性に関連する。
【0003】
インプラント全体、具体的には脊椎インプラント、特に椎間関節インプラントに関する問題は、インプラントの安定性に関連する。インプラントは、特に関節固定が所望される場合、脊柱の要素の最適な相対位置において行われるべきであるため、その移植部位で安定であることが求められる。したがって、インプラントの安定化および/または係止は、大抵の場合好ましい。別の一般的な問題は、移植の容易性および/または迅速性に関する。さらに、通常、インプラントは、最も低い侵襲性で移植され得ることが所望される、すなわち、切開のサイズおよび周囲組織の損傷を制限することが求められる。経皮的解決法、または数ミリメートルの切開(例えば、2〜40mm)を必要とするのみであることが、大抵の場合求められる。さらに、患者を放射線に曝露するのを回避するために、通常、画像診断への依存を制限することが望ましい。
【0004】
椎間関節内インプラントには、しばしば、他の問題が付随する:例えば、その小さいサイズにもかかわらず、例えば、インプラントの移植チャンバの存在によって、また両方の固定された椎間関節の間で力を支持するためにインプラントの十分な剛性を維持することによって、合体を促進するための移植片または骨代替物またはセメントを提供するという要件である。さらに、例えば、軟骨を除去するためおよび/または骨成長を促進するために、通常、関節面をタッピング、清浄、または研削することが望ましい。
【0005】
経椎間関節インプラントは、しばしば、単純で、経皮的に用いることができ、小関節面を互いに対して圧縮することができるという利点を提供するが、例えば、関節の研削、清浄、またはタッピングの欠如等の他の問題が付随することが多く、骨成長の速度を制限する。これらのインプラントは、通常、関節面を通ること(経椎間関節)を目的とした少なくとも1つの移植スクリューを含む。これらはまた、通常、ブローチによって誘導されるが、通常、ビットによって大抵は経皮的に予め骨を穿孔することが必要である。通常、例えば、所定の位置に設定する間に椎間関節が破砕するリスクを回避するために、骨ねじ(例えば、骨組織にねじ止めするように適合されるねじ山)を含むインプラント(大抵は「カニューレ処置されている」、すなわち、中空でありブローチの周囲に嵌め込まれる)にねじ止めするために、ブローチの周辺の骨にタッピングすることが可能である。最後に、通常、これらのインプラントは、ねじ止めの最後に、椎間関節(特に後方椎間関節)のうちの少なくとも1つに加わる負荷を分散させる、(椎間関節のうちの1つまたは両方の椎間関節のいずれかの)安定化手段および/または圧縮手段および/または係止手段および/または骨支持手段を含むことが望ましい。
【0006】
特に上述した問題の多様性のために、通常、同じインプラントを経椎間関節インプラントとして、および椎間関節間インプラントとして等しく使用することができないという問題が付随するため、種々の種類のインプラントおよび器具を提供することを余儀なくされる。
【0007】
これに関連して、これらの問題の前記少なくとも一部分に対する答えを効率的に提供することが可能な解決法を提案することが興味深い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】仏国特許発明第2726171号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、安定した、容易かつ迅速な移植をさらに可能にする、特に小関節面における移植を対象とした骨インプラントを提案することにより、従来技術の特定の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、一方では、縦軸に沿って自由端とヘッドとの間に細長い本体を含み、他方では、縦軸に沿って自由端に近接して前記本体の少なくとも一部分の上に少なくとも1つのねじ山の巻きを含み、本体は、縦軸に平行な少なくとも1回の第1の中心機械加工と、縦軸に平行ではなく、縦方向の内部導管に達するまで本体の壁を横切る、いわゆる横断面である面における少なくとも1回の第2の機械加工とによって、前記縦方向の内部導管と本体の外側とを連通する窓を作製することにより得られる、縦軸に沿った少なくとも一部分の上に縦方向の内部導管を含むことを特徴とする、骨インプラントによって達成される。
【0011】
有利には、これらの窓は、縦軸に対して横方向のインプラントのサイズが局所的に減少するように作製することができる。
【0012】
さらに、これらの窓は、前記巻きの少なくとも一部分および巻きの後側の本体の壁を保持するように、かつ前記本体の外周上の機械加工されない部分を保持することによって、有利に作製することができる。
【0013】
この目的はまた、一方では、縦軸に沿って自由端とヘッドとの間に細長い本体を含み、他方では、縦軸に沿って自由端に近接して前記本体の少なくとも一部分の上に少なくとも1つのねじ山の巻きを含み、一方では、本体は、縦軸に沿った少なくとも一部分の上の縦方向の内部導管と、前記縦方向の内部導管と本体の外側とを連通する窓と、を含み、他方では、前記窓は少なくとも1つの研削された外縁部を有することを特徴とする、骨インプラントによっても達成される。
【0014】
この目的はまた、一方では、縦軸に沿って自由端とヘッドとの間に細長い本体を含み、他方では、縦軸に沿って自由端に近接して前記本体の少なくとも一部分の上に少なくとも1つのねじ山の巻きを含み、一方では、本体は、縦軸に沿った少なくとも一部分の上の縦方向の内部導管と、前記縦方向の内部導管と本体の外側とを連通する窓と、を含み、他方では、インプラントのヘッドは、前記ヘッドの周辺の骨組織を圧迫することを意図するインプラントの安定化手段を備えることを特徴とする、骨インプラントによっても達成される。
【0015】
この種類の解決法は、例えば、インプラントがその内部導管に大きな骨移植空間を提供するという事実によって、および/または骨が、例えば、インプラントがその内部導管に骨移植のための広い空間を提供するという事実および/またはインプラントの通過によって骨が研削または研磨されるという事実および/または既知の解決法と比較してインプラントの安定性が向上するという事実によって、経椎間関節インプラントとして、または椎間関節間インプラントとしての使用を可能にするという利点を有する。
【0016】
別の特徴によれば、本体の前記自由端は、自己掘削式である。
【0017】
別の特徴によれば、前記本体は、実質的に円筒形である。
【0018】
別の特徴によれば、前記本体は、実質的に円錐あるいは円錐台形である。
【0019】
別の特徴によれば、本体の形状が円錐形または円錐台形であるにもかかわらず、前記ねじ山の外周は、実質的に円筒形である。
【0020】
別の特徴によれば、前記窓は、縦軸に沿って互いに整列する。
【0021】
別の特徴によれば、前記窓は、縦軸に沿って互いに対してずれている。
【0022】
別の特徴によれば、前記窓は、少なくとも1つの研削された外縁部を有するように張り出している。
【0023】
別の特徴によれば、インプラントの前記ヘッドは、縦方向の内部導管を閉鎖するか、また縦方向の内部導管を閉鎖するための手段を含む。
【0024】
別の特徴によれば、前記ねじは、ヘッドの方向に短くなる可変ピッチを有する。
【0025】
別の特徴によれば、前記本体は、異なるピッチを有するいくつかのねじを備え、自由端の側に位置するねじのピッチは、ヘッドの側に位置する隣接するねじよりも大きなサイズである。
【0026】
別の特徴によれば、インプラントの前記ヘッドは、前記ヘッドの周辺の骨組織を圧迫することを意図する、インプラントの安定化手段を備える。
【0027】
別の特徴によれば、前記安定化手段は、縦軸に実質的に平行であり、かつヘッドの周辺の組織、および任意選択的に、前記ヘッドに近接する前記本体の一部に貫入することができる少なくとも2つのロッドを備える、一種のステープルを形成する少なくとも1つの安定化要素を含む。
【0028】
別の特徴によれば、安定化要素の前記ロッドは、先鋭な自由端を有する。
【0029】
別の特徴によれば、前記ロッドは、リングを通して一緒に接続され、安定化要素が前記ヘッドに装着され得るようにする。
【0030】
別の特徴によれば、前記ヘッドは、前記ロッドまたは前記ロッドに沿って位置するショルダー部を本体から離して維持するように、それらを受容することができる少なくとも2つの切り欠き部を含む。
【0031】
別の特徴によれば、前記安定化手段は、ヘッドに装着された少なくとも1つの鐘状の安定化要素を含み、その外周は、ヘッドの周囲の骨組織を圧迫することを意図する。
【0032】
別の特徴によれば、前記鐘は、骨固着を促進するように、その外周上に少なくとも1つの先端部または歯を含む。
【0033】
別の特徴によれば、前記鐘は、ヘッドに固定して装着される。
【0034】
別の特徴によれば、前記鐘は、前記ヘッドに移動可能に装着される。
【0035】
別の特徴によれば、球状部の形状を有する周囲下面と、嵌合する前記鐘の内側上面と、を有し、それによってインプラントのヘッド上に接合される。
【0036】
別の特徴によれば、前記安定化手段は、ヘッドの周囲に装着され、かつ安定化要素、いわゆるアンカーを受容することができる1つの通路を少なくとも備える、少なくとも1つのプレートを含み、プレートの形状によりヘッドの周辺の骨組織に固着され得る。
【0037】
別の特徴によれば、前記アンカーは、骨組織に貫入することを意図する先鋭な端部および/または研削された端部を含む。
【0038】
別の特徴によれば、前記アンカーは、前記プレートに接触して、骨組織へのアンカーの貫入を制限することを意図する少なくとも1つの当接部を備える端部を含む。
【0039】
別の特徴によれば、前記アンカーは、実質的に平面であるプレートで形成される。
【0040】
別の特徴によれば、前記アンカーは、実質的に湾曲したプレートで形成される。
【0041】
別の特徴によれば、前記アンカーおよび前記通路は、縦軸に対する斜交軸に沿ってアンカーを挿入するように配置され、そうすることで、アンカーは、挿入時にインプラントの中心部から周辺部に向かって配向される。
【0042】
別の特徴によれば、安定化手段は、各々が、自由端を備え、かつヘッドのサイズと実質的に等しい空間によって互いから隔てられた2つの関節によって一緒に接合された2つの湾曲したビットを備える顎部の形態の少なくとも1つの安定化要素を含み、そうすることで、顎部はヘッドの周囲に装着され得、ビットはインプラントの本体の周辺の骨組織と接触し得る。
【0043】
別の特徴によれば、前記顎部のビットは、それらの凹面上に、それらを骨組織に対して安定させるための少なくとも1つのキャッチを含む。
【0044】
別の特徴によれば、ビットの自由端は、インプラントを骨組織に挿入するときに顎部の開放を容易にする少なくとも1つの面取り部を含む。
【0045】
別の特徴によれば、安定化手段は、安定化要素を骨組織に対して押された状態に維持するようにそれを圧迫する係止手段を含む。
【0046】
別の特徴によれば、前記窓の少なくとも一部分は、いずれの窓もなく、少なくとも2つの巻きによって隔てられる。
【0047】
別の特徴によれば、前記窓の少なくとも一部分は、いくつかの巻きの上に作製される。
【0048】
別の特徴によれば、前記窓の少なくとも一部分は、前記巻きの間に作製される。
【0049】
本発明の他の特殊性および利点は、添付の図面を参照して、これ以降の説明を読むことによりさらに明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1A】種々の実施形態によるインプラントのそれぞれの図である。
【
図1B】種々の実施形態によるインプラントの正面図である。
【
図1C】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図2A】種々の実施形態によるインプラントの斜視図である。
【
図2B】種々の実施形態による係止手段の斜視図である。
【
図2C】種々の実施形態による安定化要素の斜視図である。
【
図2D】種々の実施形態によるインプラントの斜視図である。
【
図3A】種々の実施形態による安定化手段および係止手段を備えるインプラントの斜視図である。
【
図3B】種々の実施形態によるインプラント本体の斜視図である。
【
図3C】種々の実施形態によるインプラント本体の側面図である。
【
図3D】種々の実施形態による安定化要素の斜視図である。
【
図3E】種々の実施形態による係止手段の斜視図である。
【
図3F】種々の実施形態によるインプラント本体の上面図である。
【
図4A】種々の実施形態によるインプラントを保持するインプラントホルダの斜視図である。
【
図4B】このインプラントホルダのインプラントを保持する部分の拡大図である。
【
図5A】種々の実施形態によるインプラントを保持するインプラントホルダの側面図である。
【
図5B】種々の実施形態によるインプラントを保持するインプラントホルダの
図5Aの断面5B‐5Bに沿った断面図である。
【
図6A】種々の実施形態によるインプラントの斜視図である。
【
図6B】種々の実施形態によるインプラントの正面図である。
【
図6C】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図7A】種々の実施形態による係止手段の斜視図である。
【
図7B】種々の実施形態による安定化要素の斜視図である。
【
図7C】種々の実施形態によるインプラントの斜視図である。
【
図8A】種々の実施形態によるインプラントを保持するインプラントホルダの側面図である。
【
図8B】種々の実施形態によるインプラントを保持するインプラントホルダの
図8Aの断面8B‐8Bに沿った断面図である。
【
図9A】種々の実施形態によるインプラントの斜視図である。
【
図9B】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図10A】種々の実施形態によるインプラントを保持するインプラントホルダの斜視図である。
【
図10B】このインプラントホルダのインプラントを保持する部分の拡大図である。
【
図11A】種々の実施形態によるインプラントを保持するインプラントホルダの側面図である。
【
図11B】種々の実施形態によるインプラントを保持するインプラントホルダの
図11Aの断面11B‐11Bに沿った断面図である。
【
図12A】種々の実施形態によるインプラントの斜視図である。
【
図12B】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図13A】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図13B】種々の実施形態によるインプラントの
図13Aの断面13B‐13Bに沿った断面図である。
【
図14A】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図14B】種々の実施形態によるインプラントの
図14Aの断面14B‐14Bに沿った断面図である。
【
図15A】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図15B】種々の実施形態によるインプラントの
図15Aの断面15B‐15Bに沿った断面図である。
【
図16A】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図16B】種々の実施形態によるインプラントの
図16Aの断面16B‐16Bに沿った断面図である。
【
図17A】種々の実施形態によるインプラントホルダの斜視図である。
【
図17B】このインプラントホルダのインプラントを保持する部分の拡大図である。
【
図18A】種々の実施形態によるインプラントを保持するインプラントホルダの側面図である。
【
図18B】種々の実施形態によるインプラントを保持するインプラントホルダの
図18Aの断面18B‐18Bに沿った断面図である。
【
図19A】種々の実施形態によるアセンブリ前の安定化手段の斜視図である。
【
図19B】種々の実施形態によるアセンブリ後の安定化手段の斜視図である。
【
図19C】そのような安定化手段を備えるインプラントの斜視図である。
【
図19A】種々の実施形態によるアセンブリ前の安定化手段の斜視図である。
【
図19B】種々の実施形態によるアセンブリ後の安定化手段の斜視図である。
【
図19C】そのような安定化手段および係止手段を備えるインプラントの斜視図である。
【
図20A】種々の実施形態によるインプラントおよび安定化手段の一部の斜視図である。
【
図20B】種々の実施形態によるアセンブリ前の安定化手段および係止手段を備えるインプラントの斜視図である。
【
図20C】種々の実施形態によるアセンブリ後の安定化手段および係止手段を備えるインプラントの斜視図である。
【
図21A】種々の実施形態によるアセンブリ前のインプラントならびに安定化手段および係止手段の斜視図である。
【
図21C】種々の実施形態によるアセンブリ後のインプラントならびに安定化手段および係止手段の斜視図である。
【
図22A】種々の実施形態によるインプラントの正面図である。
【
図22B】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図22C】種々の実施形態によるインプラントの上面図である。
【
図22E】種々の実施形態によるインプラントの正面図である。
【
図22F】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図22G】種々の実施形態によるインプラントの上面図である。
【
図23A】種々の実施形態によるインプラントの正面図である。
【
図23B】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図23C】種々の実施形態によるインプラントの上面図である。
【
図23E】種々の実施形態によるインプラントの斜視図である。
【
図24A】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図24B】種々の実施形態によるインプラントの
図24Aの断面24B‐24Bに沿った断面図である。
【
図25A】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図25B】種々の実施形態によるインプラントの
図25Aの断面25B‐25Bに沿った断面図である。
【
図26A】種々の実施形態によるインプラントの上面図である。
【
図26B】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図26C】種々の実施形態によるインプラントの
図26Bの断面26C‐26Cに沿った断面図である。
【
図27A】種々の実施形態によるインプラントの上面図である。
【
図27B】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図27C】種々の実施形態によるインプラントの
図27Bの断面27C‐27Cに沿った断面図である。
【
図28A】種々の実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図28B】種々の実施形態によるインプラントの
図28Aの断面28B‐28Bに沿った断面図である。
【
図29A】様々な位置で多軸係止を用いた、様々な実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図29C】様々な位置で多軸係止を用いた、様々な実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図29D】様々な実施形態によるインプラントの
図29Cの断面29D‐29Dに沿った断面図である。
【
図29E】様々な位置で多軸係止を用いた、様々な実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図30A】様々な実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図30B】様々な実施形態によるインプラントの
図30Aの断面30B‐30Bに沿った断面図である。
【
図30C】様々な位置で多軸安定化を用いた、様々な実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図30E】様々な位置で多軸安定化を用いた、様々な実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図31A】その安定化手段の様々な構成を用いた、様々な実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図31C】その安定化手段の様々な構成を用いた、様々な実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図31D】その安定化手段の様々な構成を用いた、様々な実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図32A】様々な実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図32D】様々な実施形態によるインプラントの正面図である。
【
図33B】様々な実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図33C】様々な実施形態によるインプラントの正面図である。
【
図34B】様々な実施形態による2つのインプラントの側面図である。
【
図34C】様々な実施形態による2つのインプラントの斜視図である。
【
図35A】様々な実施形態によるインプラントの側面図である。
【
図36A】係止手段のアセンブリ前の様々な実施形態によるインプラントの斜視図である。
【
図36B】係止手段のアセンブリ中の様々な実施形態によるインプラントの斜視図である。
【
図36C】係止手段のアセンブリ後の様々な実施形態によるインプラントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明は、骨インプラントの種々の実施形態、およびそのようなインプラントを移植するための器具に関する。本出願の前文で述べたように、本発明は、特に、例えば、2つの椎骨構造の関節固定のための、脊椎インプラントに関し得る。本出願は、より具体的には、脊椎インプラント、特に、椎骨の小関節面の間に移植される(いわゆる「椎間関節内」インプラント)および/またはこれらの椎骨の小関節面を通して移植される(いわゆる「経椎間関節」インプラント)ことが意図される、いわゆる「椎間関節」インプラントについて詳述する。本出願の種々の実施形態は、椎体椎弓根における移植(いわゆる「椎弓根」インプラント)もしくは仙腸関節レベルでの移植、または脊髄であろうとなかろうと種々の種類の骨構造における移植にも適合されるが、本出願に説明されるインプラントの特徴は、それらを脊柱における使用に特に有用なものにする。さらに、種々の実施形態のインプラントは、例えば、本出願において説明される問題の少なくとも一部に対する答えを提供するために、特に有用なインプラントを得ることが可能である製造方法によって得られる。したがって、種々の実施形態はまた、これらのインプラントを製造するための方法にも関し得る。
【0052】
概して、本発明は、好ましくは少なくとも1つの骨インプラント(1)を含み、その技術的特徴については、種々の実施形態において後に詳述される。通常、小関節面における移植の場合、2つの隣接する椎骨を接合する2つ(左および右)の椎間関節を固定するために2つのインプラントを使用することが好ましいが、この使用法は、当然のことながら限定的ではない。
【0053】
通常、骨インプラント(1)は、一方では、縦軸に沿って自由端とヘッド(18)との間細長に細長い本体(10)を含み、他方では、縦軸に沿って自由端に近接して前記本体(10)の少なくとも一部分の上に少なくとも1つのねじ山の巻き(12)を含む。さらに、インプラント(1)の本体(10)は、好ましくは、縦軸に沿って本体(10)の少なくとも一部分の上に少なくとも1つの縦方向の内部導管(11)を含み、前記縦方向の内部導管(11)と本体(10)の外側との間で連通する窓(15)を含む。
【0054】
特定の実施形態において、この縦方向の内部導管(11)は、縦軸に平行な少なくとも1回の第1の中心機械加工作業と、縦軸に平行ではなく、縦方向の内部導管(11)に達するまで本体(10)の壁を横切る、いわゆる横断面における少なくとも1回の第2の機械加工作業とによって、前記縦方向の内部導管(11)と本体(10)の外側とを連通する窓(15)を作製することにより得られる。したがって、インプラントは、前記巻き(12)の少なくとも一部分および巻きの後側の本体の壁を保持し、かつ前記本体(10)の外周上の機械加工されない部分を保持する内部導管(11)を含む。実際に、横方向の機械加工は、外周の特定の部分のみ(半径方向に角度を成す特定の区域)に窓を作製し、窓の間に機械加工されない部分を残す。横方向という用語は、本明細書において、好ましくは、単に実質的に横方向である機械加工を指すために使用されることに留意されたく、なぜなら、機械加工は巻きの間で達成されるが、巻きと同じ配向に沿って窓を作製するように、縦軸に垂直な平面においてではなく、むしろねじ山の巻きに平行な平面で行われるためである。それにもかかわらず、いくつかの巻きにわたる横方向の機械加工の場合、縦軸に垂直に機械加工を用いることが可能である。したがって、構成に応じて、半径方向、接線方向、または斜め方向の機械加工が用いられるが、本明細書ではそれらを「横方向」という用語の下に分類する。通常、内部導管(11)がどのようにして得られるかにかかわらず、前記本体(10)の外周上のそのような機械加工されない部分は、インプラントの堅牢性を向上させるために保持される。実行される横方向の機械加工作業の回数に応じて、可変数の機械加工されない部分を保持することが可能であることを理解されたい。例えば、縦軸の周囲に2つの直径方向に対向する部分もしくは3つの徐々に分布する部分(規則的に分布しているかまたはしていない)を提供すること、または例えば、
図1C、
図22F、または
図2Dに見られるように、さらに多くの部分を提供することが可能である。換言すると、90度ごとに横方向の機械加工を提供することは可能であるが、より大きい機械加工されない部分を、それによってインプラントの堅牢性を保持するために、60度ごとまたは180ごとの機械加工が好ましい場合がある。
【0055】
用語「ヘッド」および「自由端」は、インプラントが、通常、略円筒形または略円錐形または略円錐台形の本体(10)を有するスクリューの形態で具現化されるという事実に関連して本発明において使用されるが、インプラントのこれらの巻きおよびこれらの形状は、限定的であると見なされるべきではない。その一方で、インプラントの様々な部分が、「ヘッドに近接する」を意味する「近位の」という用語、または「自由端に近接する」を意味する「遠位の」という用語によって、またはさらには「2つの端部間で実質的に中央」を意味する「中間」という用語によって本出願に示されているが、これらの用語が限定的ではないことは明白であり、これらの部分の位置が縦軸に沿って異なり得ることが当業者に認識されるであろう。さらに、用語「相当に」または「実質的に」は、それらが正確に定義される通りであり得ること、またはおよそ定義される通りであり得ることを示すために種々の特徴に関連して使用されるが、例えば、「実質的に平面である形状」という表現は、およそ平面である形状を表していると理解されるべきであり、なぜなら、当業者は、その形状が関連技術要件を満たす広範に平面的な形状を維持する限り、正確な形状を変化させることができるからである。また、本明細書は、「相当に」または「実質的に」という用語を用いて近似を特定することなく特徴を定義することもできるが、たとえそのような用語を使用しなくてもこの概念が適用されることは当業者には明白であろう。
【0056】
さらに、「機械加工」という用語は、インプラントの製造に関して非限定的な様式で本明細書において使用されており、この用語が事実上あらゆる種類の製造技術、例えば、ボア、掘削、もしくはフライス作業等だけではなく、放電加工、またはインプラントの上もしくは中に表面もしくは収容部を作製する可能性のあるあらゆる種類の技術を包含することは明白である。さらに、「横方向」という用語は、第2の機械加工作業が縦軸に平行ではない平面で行われることを示すために使用され、縦軸に垂直であることを示す傾向があるが、ねじ山の巻きの斜め配向から、この平面(したがって実質的に横方向である)が、必ずしも縦軸に垂直ではなく、通常、好ましくは巻きに平行に、むしろ斜めに配向されることが、当業者に特に理解されるであろう。
【0057】
特定の実施形態において、例えば、ほとんどの図において、特に、
図1C、
図2D、
図9C等に見られるように、前記本体(10)は、実質的に円筒形である。他の実施形態において、例えば、
図22A、
図22B、
図22E、
図22Fまたは
図23A、
図23Bおよび
図23Eに示されるように、前記本体(10)は、実質的に円錐形または円錐台形である。自由端(遠位端)が近位端よりも細いため、この形状は本体の移植を容易にする。円錐形または円錐台形の本体を有するこれらの実施形態のいくつかにおいて、例えば、
図22A、
図22B、
図22E、および
図22Fに示されるように、本体(10)の形状が円錐形または円錐台形であるにもかかわらず、前記ねじ山の外周は実質的に円筒形である。円錐台形の本体に円筒形の外周を有するこの種類のねじ山は、遠位端の巻きが骨組織により深く貫入するため、インプラントの安定性を向上させる。
【0058】
窓がどのようにして得られるか(縦方向または横方向の機械加工作業)にかかわらず、それらを互いに対して整列させるかまたはずらすことが好ましい場合がある。したがって、特定の実施形態において、例えば、
図2Dに示されるように、前記窓(15)は、縦軸に沿って(またはむしろその周囲で)互いに対してずれており、他の実施形態において、例えば、
図1Cに示されるように、前記窓(15)は、縦軸に沿って互いに整列する。一部分に整列された窓を提供し、別の部分にはずらした窓を提供することによって、これらの構成の組み合わせを提供することも可能であることに留意されたい。窓が互いに対してずれている場合、通常、より近位の窓が、ねじ止めの方向に対応する側のより遠位の窓に対してずらされることが好ましい。したがって、例えば、時計回りに配向されたねじ山の場合、近位の窓が、より遠位の窓に対して左側にずらされ、そうすることで、ねじ止めの間に連続する窓によって徐々に達成され得る骨または軟骨の研削を向上させる。
【0059】
縦方向の内部導管(11)を含む実施形態において、窓(15)は、少なくとも1回の第1の機械加工作業および少なくとも1回の第2の機械加工作業のそれぞれによって得られる。これらの実施形態において、例えば、
図1C、
図1D、
図2D、
図7Cに示されるように、またより具体的には、
図12C、
図26C、もしくは
図27Cに見られるように、窓(15)を得る可能性をもたらす第2の機械加工は、好ましくは、巻き(12)の後側の本体(10)の材料を保持する。したがって、具体的には、縦軸に対して実質的に横方向である配向に沿って達成される第2の機械加工によって窓が得られる実施形態において、これらの窓は、巻きの後側の材料を保持する(第1の縦方向の機械加工は、本体の巻きのある部分の直径よりも小さい直径を有するため)。したがって、こうして得られるインプラントは、機械作業によって巻きの周辺の材料が除去されているため(したがって、本体の残りの幅が減少されるため)、あたかもより大きいかのように組織内により深く貫入する巻きを有するという事実、また、周囲組織に存在する圧力が、特に、関節レベルでの移植の場合に、巻きが骨の中により深く沈み込むことを確実にするという事実によって改善されると考えられるということが当業者に理解される。さらに、機械加工によって保持される材料によってインプラントの堅牢性が向上されるのに対し、従来技術では、特に、インプラントの縦軸に沿って独自に達成される機械加工によって窓が作製される場合、ねじのみが保持されるため、巻き(12)は、単独で、ねじ止めの間および後に大きな力を支持する。その結果、安定で頑丈なインプラントが得られる。さらに、第2の非縦方向の機械加工によって窓を作製することにより、ねじ止めの間にインプラント周辺の骨構造を研削する効果を得る(または最適化する)ことが可能であり、通常、ねじ止めの間にこれらの研削された骨構造によるインプラントの充填効果が付随する。実際に、いくつかの連続する巻きにわたって互いに整列(縦軸に沿って整列)し、かつ/またはいくつかの連続する巻きにわたって延在する窓(15)を作製することにより、例えば、
図6Cおよび
図6D、
図9Bおよび
図9C、
図12Bおよび
図12C、
図13Aおよび
図13B、
図14Aおよび
図14B、または
図24Aおよび
図24B、
図25Aおよび
図25B、
図26Cおよび
図26D、
図27Bおよび
図27C、
図28Aおよび
図28Bを比較することによって明らかになるだけではなく、後に詳述するように、
図35Aの構成等の構成からも推測され得るように、インプラントの外周のサイズにおける局所的な減少(すなわち、インプラントが円筒形または円錐形である場合、直径の局所的な減少)が得られる。したがって、ねじ止めの間に、周囲の骨構造の圧力によって巻きが骨組織に沈み込み、インプラントの回転が、窓(15)の縁部に対する骨の研削、およびしばしばインプラントの「自己充填」を引き起こし、それによって研削された/治癒した組織がもたらされる。これらの実施形態のいくつかにおいて、第2の機械加工作業は、例えば、本体(10)の外周に対して接線方向に実行されてもよく、その結果、例えば、
図1A、
図2A、
図3B、
図2C、
図6C、
図6D等に(さらに)示されるように、本体(10)の内側から外側に張り出した窓(15)がもたらされる。しかしながら、代替として、後に詳述するような少なくとも1つの研削された外縁部を有する窓を得るために、第2の機械加工作業は、実質的に半径方向に(または半径方向の配向と接線方向の配向の間の斜交軸に沿って)実行されてもよい。したがって、特定の実施形態は、一方では、縦軸に沿って自由端とヘッド(18)との間に細長い本体(10)を含み、他方では、縦軸に沿って自由端に近接して前記本体(10)の少なくとも一部分にわたって少なくとも1つのねじ山の巻き(12)を含む、骨インプラント(1)に関する。このインプラントは、本体(10)が、縦軸に平行な少なくとも1回の第1の機械加工(好ましくは中心であるが、全ての実施形態において、この縦方向の機械加工は必ずしも中心ではない)と、縦軸に平行ではなく、縦方向の内部導管(11)に達するまで本体(10)の壁を横切る、いわゆる横断面である面における少なくとも1回の第2の機械加工とによって、前記縦方向の内部導管(11)と本体(10)の外側とを連通する窓(15)を作製することにより、縦軸に沿った少なくとも一部分にわたって縦方向の内部導管(11)を含むことを特徴とする。有利には、このインプラントは、縦軸に沿って互いに整列し、かつ、いくつかの連続する巻きの間に作製される、および/またはいくつかの巻きにわたって延在する窓(15)を有し、そうすることで、縦軸に対して横方向のインプラントのサイズが局所的に減少し(任意選択的に巻きを除いて、すなわち、巻きを考慮するだけで)、それによって、インプラントがねじ止めされる組織の研削、および任意選択的に、これらの組織によるインプラントの内部導管(11)の自動的な充填が促進される。
【0060】
非排他的であるが、最終的には、上で定義したような2つの非平行な機械加工作業を用いるものとは関係のない特定の実施形態において、骨インプラント(1)の前記窓(15)は、有利には少なくとも1つの研削された外縁部を有する。実際に、導管および窓がどのようにして得られるかにかかわらず、窓(15)に少なくとも1つの研削された外縁部を提供することが有用であり得る。具体的には、通常、研削された縁部が、ねじ止めの間に、(例えば、削りくずを切り出すことによって)骨に徐々に入り込むことができるように、この研削された縁部がインプラントのねじ止めの間に最初に骨を攻撃する縁部であることが好ましい。したがって、第2の機械加工作業によって窓(15)が得られる場合、それは、例えば、
図23Aおよび
図23Dに示されるように(
図23Dの窓の右外縁部は、骨または軟骨の切り出しを可能にする切断縁部を有する)、研削された1つの先導縁部を得るために、例えば、上で説明したように半径方向軸または斜交軸に沿って達成されてもよい。また、従来技術におけるように、縦方向の機械加工作業によって窓が得られる場合、それは、例えば、そのような機械加工作業の例示的および非限定的な例を示す(さらには、窓を作製するために可変数の機械加工作業が提供され得るという事実を示す)
図22C、
図22D、
図22E、および
図22Fに示されるように、そのような切断縁部を作製するように提供することが可能である。少なくとも1つの縁部(好ましくは先導縁部)を有するこの種類の配置は、ねじ止めの間に、少なくとも骨を研削または擦過する(骨成長を刺激し、インプラントを安定させる)可能性をもたらし、これはまた、任意選択的に、ねじ止めの間に縦方向の内部導管(11)を(少なくとも部分的に)自動的に充填する可能性をもたらし、たとえそれが種々の実施形態において(付加的にまたは代替的に)用いられる場合であっても、外来性の骨組織または代替物またはセメントへの依存を制限する可能性をもたらす。実際に、様々な実施形態が、骨成長を促進するために、インプラントを所定の位置に設定する前または後に(すなわち、インサイツで)注入される、インプラントにおける外来性の骨組織および/または骨代替物および/またはセメントの使用を提供する。
【0061】
その一方で、特定の、非排他的ではあるが、上で定義したような2つの機械加工作業および/または研削された縁部を有するものとは関係のない実施形態において、インプラント(1)の前記ヘッド(18)は、前記ヘッド(18)の周辺の骨組織を圧迫することを意図するインプラントの安定化手段(2、3、5)(例えば、圧縮手段、係止手段、支持手段)を備える(これらの安定化手段は、任意選択的に、それらをインプラント上で安定させるための係止手段を備える)。これ以降、安定化手段に関する種々の実施形態が説明されるが、この機能的定義から、インプラントは、そのヘッド(通常、骨組織または関節空間の外側に存在する部分)が骨組織上(骨表面上または関節の縁部上)で安定するように提供されることが当業者に理解されるであろう。
【0062】
本出願に説明される種々の実施形態は、2つの隣接する椎骨の小関節面における移植、すなわち、2つの椎間関節の間の(椎間関節内インプラント)、または両方の椎間関節を通る(経椎間関節インプラント)移植に特に有用な骨インプラント(1)に関する。したがって、ねじ山(12)は、骨または関節組織におけるねじ止めに特に適合される。
【0063】
特定の実施形態において、インプラントは、インプラントの第1の本体(10)に近接したまたはそこから離れた骨結合による安定化のための手段を含む。
【0064】
これらの実施形態のいくつかにおいて、この骨結合による安定化は、例えば、
図1〜
図8および
図9〜
図12を参照して本出願に詳述されるロッド(21)または鐘(2)、リング、クラウン等のように、第1の本体(10)に近接して達成される。インプラントに近接した骨結合による安定化のための他の有利な実施形態は、
図29、
図30、
図32、
図35、および
図36に示される。特定の実施形態において、多軸係止手段が提供され、すなわち、様々な配向における安定化手段(通常は同様に多軸である)の係止を可能にする。
図29および
図30は、そのような多軸係止手段(3、26、6)の例を示す。
図29A、
図29B、
図29C、および
図29Dにおいて、安定化手段は同様にリング、クラウン、または鐘(2)を含み、その外周は、インプラントを安定させるために周囲組織上で支持されてもよい。この鐘(2)は、細長い本体(60)を有するネイルまたはアンカー(6)を受容することができる穴(24)を備え、またインプラントの周辺の骨組織への固着を可能にするスパイク(61)を備える。好ましくは、これらのネイルまたはアンカーは、例えば、球状部としての形状によって多軸ヘッドを備え、安定化鐘(2)の嵌合形状の穴(24)と協働することができる。したがって、いったん、鐘(2)が周囲組織上に位置付けられると、様々な配向に沿ってネイル(6)を埋め込むことが可能である。鐘(2)の穴(24)の形状に従って、当接部に押し付けることによって単独でブロックされたネイル(6)を提供することが可能である。それにもかかわらず、通常、例えば、
図29Cおよび
図29Dに示されるような付加的な係止手段(3)を提供することが好ましい。この例において、鐘(2)は、タッピングリング(39)等の係止手段(3)がねじ止めされた外側のねじ山(229)を備え、ネイル(6)またはアンカーを、鐘(2)のそれらの筐体(24)内に固定化することができる。多軸安定化要素(2)は、こうして骨結合による付加的な安定化によって得られ、また多軸であり、また多軸様式において係止可能でもある。同じ種類の利点が、
図30A、
図30B、
図30C、
図30D、および
図30Eの例に示される。これらの例では、安定化鐘(2)はまた、骨結合手段(26)を受容するための穴(24)を備えているが、それは、歯(265)を備えたクラウン(261)で形成されており、鐘(2)の穴(24)を通って挿入され得、インプラントの周辺の骨に埋め込まれ得る。このクラウン(261)は、たとえ係止後であっても多軸性が保持されるように、鐘(2)の外径よりも大きい内径を有することが好ましい。
図32Aは、好ましくは、骨固着よりもむしろ軟骨固着を含む安定化手段(2)の別の例を示す。この例において、インプラントのヘッド上に嵌め込まれたリング(2)は、縦方向に延在し、かつインプラントの周辺の組織に固着され得る少なくとも1つの刃(276)、好ましくは2つの刃を含む。この種類の実施形態は、好ましくは、椎間関節間の移植、すなわち、インプラントが2つの軟骨間に位置付けられる移植を対象とするが、むしろ刃も、これらの両方の軟骨の間に挿入されることが意図される。そのような刃は、それらが埋め込まれるかまたは載置される組織からの刃の離脱を妨害する切り欠き部(277)を含んでもよい。したがって、これらの刃は、好ましくは、2つの軟骨の間に収容され、それらの切り欠き部が、その中で刃を安定させる。
図32Aにおいて、これらの刃は、インプラントの本体からわずかな距離をおいてそれに沿って延びているように示されているが、特に、本出願に詳述され、かつこの
図32Aに示されるように、これらの安定化手段が多軸として提供される場合、当然のことながら、様々な間隔を実現することが可能である。そのような軟骨安定化は、当然のことながら、単純な刃以外の構造によって達成されてもよく、さらに広範囲の要素を使用することが可能であることに留意されたい。その一方で、様々な実施形態において、例えば、
図32B、
図32C、および
図32Dに示されるように、インプラントを通した骨固着による係止手段(3)を提供することが可能である。これらの例において、係止手段(3)は、インプラントとの連結手段(31)(例えば、ねじ止めによる連結)を含むが、とりわけ、係止手段の接合部(395)に装着される、好ましくは湾曲した少なくとも1つのスパイク(390)を含み、そうすることで、インプラントの周辺の組織に貫入するために、係止手段(3)をインプラントに挿入する間、スパイク(390)がその接合部(395)の周囲で旋回し、インプラントの本体(10)の壁に作製された通路(159)を横切る。インプラントの縦軸に実質的に横方向である一種のアンカーがそれによって得られ、インプラントを係止する可能性がもたらされる。インプラントの本体(10)における係止手段(3)のねじ止めによる連結の場合、単数または複数のスパイク(390)の接合部(395)は、好ましくは、係止手段の回転から切り離され、そのためこの接合部は、インプラント内で並進運動するのみであり、スパイク(390)は、妨害されることなく周囲組織に貫入できることに留意されたい。
【0065】
特定の実施形態において、安定化手段の二重多軸性が提供され、これによって可能な傾斜角を増加させる可能性がもたらされるが、また互いに組み合わされた様々な安定化要素に依存するかまたは依存しない可能性ももたらされる。その一例を
図30Dに示す。例えば、第1のリングまたはクラウン(25)では、少なくとも一部がスクリューヘッドの球状部の形状であるその内壁が、多軸性を提供する可能性をもたらす。この第1のリングは、次いで、周囲の骨組織上に支持されることができる安定化手段として単独で使用され得る。さらに、球状部の形状を有する外壁によって、この第1のリング(25)は、第2のリングまたはクラウン(23)を受容することができる:その内面は、第1のリング(25)の形状に適合し、それによって第1のリング単独よりも幅広い安定化手段(2)を形成し、周囲組織に対するより広範な支持を可能にするが、二重多軸性によって、必要に応じてより大きな傾斜も可能にする。
図30C、
図30D、および
図30Eの例に示される第2のリング(23)は、
図30Aおよび
図30Bに示される種類の骨結合手段(26)を受容するための開口部(24)を含むが、当然のことながら、特に、本出願に詳述されるもの(3、6、26等)の中から、他のいずれの種類の係止手段または骨結合手段が使用されてもよいことが当業者に理解されるであろう。
【0066】
これらの実施形態のいくつかにおいて、この骨結合による安定化は、第1の本体(10)から離れて達成される。これらの実施形態のいくつかにおいて、例えば、例示的かつ非限定的な
図33A、
図33B、および
図33Cに示されるように、椎間関節間の空間における本体(10)の移植の場合に特に有用であり、インプラントは、同様に縦軸に沿った細長い形状であり、第1の本体(10)に実質的に平行である第2の本体(8)を含む。この第2の本体(第1の本体と同様に、略円筒形または略円錐形または略円錐台形である)は、好ましくは、骨組織にねじ止めされるように適合されたねじ山(82)を備える。軟骨におけるねじ止めは、そのようにして第1の本体によって得られ、椎間関節のうちの1つ(もはや関節ではなく)、または椎弓根のうちの1つ、肩甲骨、または棘突起の基部におけるねじ止めは、第2の本体(8)によって得られる。図示される例におけるように、第2の本体(8)も多軸として提供することが可能であるということに留意されたく、すなわち、第2の本体(8)の様々な配向に応じた結合を可能にするために、球状部としての外周(88)が、プレート(5)の嵌合する筐体(58)と協働するヘッドを有する。特定の実施形態において、第2の本体は、実際に細長くてもよいが、例えば、研削されたネイルもしくはプレートのようにいずれのねじ山も含まず、例えば、湾曲したアンカー(2)のように直線状でもなく、好ましくは鋭利(21)であり、例えば、
図19A、
図19B、
図19C、
図20B、
図20Cまたは
図36B、および
図36Cに示されるような種類である。
図36Bおよび
図36Cにおいて、湾曲したアンカーの使用は、安定化およびより広範囲な結合を提供し、第1の本体(10)の周辺の骨構造を損傷するリスクを制限するために、湾曲したアンカーが第1の本体(10)から離れて移動するような配向で提供されることに留意されたい。その一方で、特定の場合において、第1の本体(10)により近い結合が好ましく、例えば、
図19A、
図19B、
図19C、
図20B、および
図20Cのように、次いで、湾曲したアンカーが第1の本体(10)の方向に使用される。また、アンカー(湾曲しているかもしくは直線状)またはネイル(湾曲しているかまたはしていない)による離れた結合がプレート(5)の厚さに位置する多軸挿入によって達成されるように提供することが可能である。このアンカーまたはこのネイルを受容することができ、それらに様々な配向を与える可能性がもたらされるということにも留意されたい。第2の本体を用いたこの種類の解決法により、インプラントの良好な安定化が可能となる。例えば、
図34Aに示されるように、例えば、フックまたはフックを形成するプレート等の離れた結合による安定化手段の他の実施形態が企図されてもよく、該図は、隣接する骨構造に埋め込まれるか、または隣接する突出した骨構造と接続されることができるフック(273)で終端する安定化プレート(5)を示している。第2の本体(8)は、通常、第1の本体から離れて位置し、両方の本体のねじ止めまたは移植による骨組織の亀裂または破砕を回避するために提供される。したがって、第2の本体は、好ましくは本出願に説明されるもの等の安定化手段、例えば、安定化プレート(5)によって、第1の本体から離れて維持され、周囲の骨組織上で支持される可能性、および場合によっては、第1の本体(10)に近接した結合または第1の本体(10)から離れた結合の可能性をもたらす。そのようなプレートの様々な例示的かつ非限定的な例は、
図19A、
図19B、
図19C、
図20A、
図20B、
図20C、
図31A、
図31B、
図31C、
図31D、
図31E、
図33A、
図33B、
図33C、またはさらに
図34A、
図34B、および
図34Cに示される。特に、様々な実施形態において、本出願は、ロッドもしくは鐘、またはさらにプレートを備える安定化手段について説明しており、当業者は、これらの安定化手段が、時期尚早にねじれるかまたは破壊するリスクのある薄いプレートを備える従来技術の特定のインプラントとは異なり、通常、例えば、厚みのあるプレートを示す
図19A、
図19B、
図19C、
図20A、
図20B、および
図20Cに示されるように、良好な堅牢性を得るために提供される厚さを有する部分でインプラントに装着されることに留意されたい。その一方で、特定の実施形態において、ねじれることが可能であり、したがって移植部位の解剖学的形態に適合する薄いプレートの恩恵を受けることができる。したがって、例えば、
図31A、
図31B、
図31C、
図31D、
図31E、
図33A、
図33B、
図33C、またはさらに
図34A、
図34B、および
図34Cに示されるように、移植部位の周囲の解剖学的形態とインサイツで合致させるために、可塑性様式で、変形可能なプレートが提供されるか、または形状記憶を有するプレートが提供される。これらの図によって示唆されるように、そのような可塑性は、当然のことながら、プレート(5)の材料または厚さ(57)によって得ることができるが、局所的な薄さ、例えば、移植の間に外科医による成形を容易にするためにプレート(5)に作製される溝(271)等によっても得ることができる。
図34Dの例示的かつ非限定的な例において、変形可能なプレート(5)、およびねじ山の付いていない骨固着手段、例えば、プレート(5)に作製されたオリフィス(279)を通して埋め込まれるアンカーまたはネイルの両方から恩恵が受けられる。
図31の例において、プレート(57)に最終形状が付与されると、周囲の骨(または軟骨)組織に固着されるように適合されるスパイクまたは歯(275)を備えたプレート(57)によって、安定化手段(5)が形成される。これらの例では、スクリューヘッド(この場合も同様に移植ツールを受容するための切り欠き部(14)をさらに備える)は、プレート(57)の穴と協働する球状部によって多軸性であり、したがってインプラントに対して様々な配向を取ることができることに留意されたい。さらにインプラントは、
図31Eに示されるように、結合手段(図示せず)を受容することが可能な接続手段(13)を提供することができ、インプラントの様々な要素の位置に係止する可能性をもたらす。また、骨組織の外側に留まることを意図するインプラントのヘッドまたは部分は、周囲組織を損傷するリスク、または他の構造と接触することによってインプラントを緩ませるリスクのある大き過ぎる突出(または突起)を回避するために、通常、制限された高さを有するように提供される。したがって、これら両方の種類の配置は、特定の実施形態において組み合わせられる場合があり、そうすることで、高さの低いヘッドは、安定化手段を備え、特に、第1の本体(10)から離れて維持される第2の本体を備える安定化手段を備え、その厚さは、骨組織の表面におけるインプラントの突出した部分の高さの少なくとも1/3に相当する。この種類の組み合わせは、ヘッドがほとんど侵襲(外側の侵襲)に供されず、安定化手段によって保持される堅牢性がそのような侵襲からこのヘッドをさらに保護するため、特に安定したインプラントを提供する可能性をもたらす。その一方で、第1の本体(10)から離れて維持される第2の本体の場合、本体は、制限された寸法のヘッドを備え、例えば、両方の本体を一緒に接続している部分の厚さを越えない高さが選択されることが好ましいが、通常、効率的な安定化を提供するために、第2の本体が第1の本体の長さの1/4以上の長さを有することが好ましい。最後に、そのような第2の本体は、第1の本体または全ての部分と、本出願に説明される他の技術的特徴を共有し得ることに留意されたい。
【0067】
上に詳述した、種々の独立しているが排他的ではない実施形態は、例えば、インプラントがその内部導管に骨移植のための広い空間を提供するという事実および/またはインプラントの通過によって骨が研削されるという事実および/または既知の解決法と比較してインプラントの安定性が向上するという事実によって、経椎間関節インプラントとして、または椎間関節間インプラントとしての使用が可能であるという利点をさらに有する解決法を示す。
【0068】
さらに、より良好な堅牢性のために、最も大きな力が加わる部分、例えば、最終的に椎間関節の間に位置付けられる部分および/または安定化手段を通して伝達される力が加わる部分に、中実の本体を維持することが好ましい場合がある。したがって、内部導管(11)が作製される前記「縦軸の少なくとも一部分」は、特に、椎間関節内移植の場合、遠位部分(ヘッドの反対側の端部の側)または中間部分である場合があるが、より近位であってもよい。それにもかかわらず、例えば、インプラントの意図する用途に応じて、本体は、縦軸に沿った様々な部分で中空および中実であってもよい。さらに、通常、本体(10)は、その長さ全体にわたって中空であることが好ましく、そうすることで、従来技術の既知の技法におけるように、予め位置付けられたブローチによってインプラントがより容易に移植され得、インプラントをブローチに嵌め込ませて、その移植部位に達するまで摺動させることができ、次いで、骨組織(または軟骨組織、さらに、「骨(bone)」または「骨(osseous)」という用語は、本出願において骨および軟骨の両方を意味するということに留意されたい)にねじ止めすることができる。したがって、いずれの縦方向の内部導管も含まない少なくとも一部分が用いられる場合であっても、そのようなブローチのための少なくとも1つの通路を提供することが好ましい。よって、例えば、
図24Aおよび
図24Bは、例示的かつ非限定的な様式で、中空の近位部分、中実の中間部分、および中空の遠位部分を備えるインプラントを示すのに対し、
図25Aおよび
図25Bは、同じ種類のインプラントを示すが、中間側の部分が、そのようなブローチのためおよび/または2つの縦方向の内部導管によって提供される2つの移植チャンバ間の連通のための通路(110)を含む。種々の導管および通路を位置付けるためおよび寸法決定するために、種々の代替例が可能であることが当業者に理解されるであろう。実際に、インプラントまたは特定の部分の剛性は、例えば、
図16Bに示されるように、縦軸に沿って大きく、次いで小さく、次いで大きくなり得る内部導管または通路に応じて異なってもよく、2つの内部導管(11)は、
図25Bに示されるものよりも大きな通路を通って連通する。さらに、例えば、
図16Bのように、そのような通路を有する部分に窓(15)を作製すること、または
図25Bのように、それらを作製しないことを選ぶことが可能であることに留意されたい。このことは、通路のサイズにかかわらず、また窓を作製するための方法(縦方向または横方向の機械加工作業)にかかわらず依然として変わらないが、但し、その直径は、必然的に本体の外側に通じる特定の値を超過しないものとする。さらに、例えば、
図13Aおよび
図13Bに示されるように、実質的に円筒形の移植チャンバを提供する縦方向の内部導管(11)を提供する代わりに、例えば、
図14Bおよび
図15Bに示されるように、円錐形状の導管および/または通路(具体的には、ブローチおよび/または連通通路)を提供することが可能である。そのような形状は、移植チャンバに、縦軸に沿って可変であるインプラントのサイズおよび堅牢性を提供するという利点を有する。したがって、ある程度中実の部分を得るため、および/またはある程度広い移植チャンバを提供することを意図して、必要性に応じて、導管および/または通路を調節することが可能である。中実部分を有するか、またはある程度広い通路を備える、円錐形または円錐台形の形状である導管および/または通路の任意の組み合わせが可能であり、本明細書の範囲内であることに留意されたい。
【0069】
特定の実施形態において、本体(10)の前記自由端は、自己掘削式である。「自己掘削式」という用語は、本明細書において、この端部が単独で骨組織を掘削することが可能であることを意味する。そのような機能的定義は、端部の先鋭な形状を用いた適用を簡素化し得るが、分岐したヘッドを用いても、または窓(15)が最遠位部分に存在し、骨組織を掘削する可能性をもたらす切断面を提供するという事実によっても有利に得られ得る。
図26Bおよび
図26Cは、先鋭な自由端の一例を示す。この例において、端部は、中実であり、切断縁部を提供する切り欠き部(112)を備えており、骨に容易に貫入することができる。例えば、自由端が通路(111)(内部導管よりも狭い)を含む
図27Cに示されるように、または、例えば、内部導管(11)がこの遠位端に達するまで延在するため、この自由端を中実ではなくむしろ中空として提供することが可能であることに留意されたい。その一方で、先鋭な端部の切り欠き部の代わりに、円筒形または円錐形または円錐台形の端部に切り欠き部を提供することが可能であるが、遠位端の少なくとも1つの窓(15)を通して掘削機能が得られるように提供することも可能である。したがって、例えば、いくつかの巻き(12)にわたって延在し、骨がより容易に研削され得る切断縁部を提供する窓(15)が作製されてもよい。
【0070】
さらに、図に示される多くの実施形態において、窓(15)は、ねじ山の巻き(12)の間に作製され、また通常は、全ての(およびほぼ全ての)の巻き間に作製されることに留意されたい。しかしながら、巻きの一部分のみにこれらの窓を作製することが可能である。したがって、前記窓(15)の少なくとも一部分は、例えば、いずれの窓(15)もなく、少なくとも2つの巻き(12)によって隔てられる。反対に(しかしながら排他的ではなく、上で詳述した実施形態と組み合わせられ得る様式において)、自由端の場合のように、2つの巻きの間の空間に限定されるのではなく、いくつかの巻きにわたって延在する窓を種々の部分(近位、中間、または遠位部分)に提供することが可能である。したがって、特定の実施形態において、前記窓(15)の少なくとも一部分は、例えば、
図29B、
図30B、
図31B、
図32B、または
図35Bに示されるように、いくつかの巻き(12)の上に作製される。ねじ止めの間の研削効果および/または自己充填効果を最適化するために、縦軸の周囲のこれらの開口部または窓の様々な角度分布(半径方向)を選択することが可能であることに留意されたい。実際に、いくつかの巻きにわたって延在する領域に窓が存在する場合、これらの領域は、インプラントの直径が局所的に減少する部分を形成し、また任意選択的に、骨構造の研削を向上させ、既に説明したように、少なくとも小さい直径の領域において、ねじ止めの間に、特に(排他的ではないが)、互いに接近する傾向がある2つの骨構造間のねじ止めの間に(少なくとも局所的に、例えば、小さい直径のこれらの領域と類似するサイズの部分で)、研削された骨で中空インプラントが徐々に充填される。さらに、半径方向に対になるように(すなわち、窓が、常にもう一方に対して直径方向に反対側にあるように)窓を分布することによって、直径が局所的にさらに減少するため、この効果はさらに高められる。骨または軟骨でインプラントをこのように充填することは、インプラントによる成長および骨癒合が回転を阻止し、ひいてはインプラントの離脱(または望ましくない前進)を阻止するため、インプラントの自然離脱のリスクを有利に制限することもできることに留意されたい。
【0071】
したがって、上記から、本出願において説明される特徴の種々の組み合わせが企図されてもよく、例えば、端部における骨の係合を強化し、自己充填効果を促進するために提供され得る円筒形のねじを有し、また任意選択的に、種々の寸法の、例えば、この場合、自己掘削または自己タッピングの態様を促進するためにも、主に端部でより寸法が大きい窓を有する円錐形のインプラント本体が企図されてもよいことを理解されたい。
【0072】
本体のねじ山の巻き(12)に関して、縦軸に沿ってであろうと、またはその周囲であろうと、それらは本体の全てまたは一部に提供され得ることを理解されたい。例えば、部分(19)が提供されてもよく、例えば、
図9A、
図9B、
図9C、
図13A、
図13B、
図14A、
図14B、
図15A、
図15B、
図16A、
図16Bに示されるように、たとえ窓がこれらの部分に全く同じように作製製される場合であっても、巻き/ねじは、本体の外周を超過しない。さらに、これらの図の例示的な例は、骨組織に深く固着された巻きを有する必要性は低いため、そのような部分(19)を略近位レベルに示しているが、当然ながら種々の代替例が可能であるということに留意されたい。その一方で、特定の実施形態において、ねじ山の巻き(12)は「保持力がある」、すなわち、それらは骨組織におけるインプラントの保持を促進する形状を有する。そのような機能は、例えば、
図27Cに、また特に28Bに示されるように、巻きがインプラントの離脱を妨害する近位ヘッド(ヘッド)に面する面(120)を有するという事実によって、例えば、この面が縦軸に実質的に垂直である平面、またはさらにはこの近位端に向かって若干傾斜している平面内に配向されているという事実によって、果たされ得る。さらに、移植を容易にするために、巻きの他の面(121)(遠位端に面する面)は、貫入を容易にするために逆に傾斜していてもよく、すなわち、好ましくは、例えば、
図28Bに示されるように、縦軸に平行ではなく、むしろ遠位端に向かって傾斜している。それにもかかわらず、この有用な配置は限定的ではなく、ねじの幾何学的形状は、例えば、台形、三角形等、様々であってもよい。
【0073】
ねじ山のピッチ、すなわち、縦軸に沿った巻きの間隔に関して、本出願はまた、条件に応じて有用であり得る種々の種類の非限定的な配置を提供する。具体的には、特定の実施形態において、ねじの巻き(12)(または転じてインプラントのねじ(12))は、ヘッド(18)の方向に短くなる可変ピッチを有する。また、特定の実施形態において、本体(10)は、異なるピッチのいくつかのねじ(12)を備える。ねじのピッチがヘッドに向かって前進するにつれて徐々に減少するように、自由端の側に位置するねじのピッチは、好ましくは、ヘッド(18)の側に位置する隣接するねじよりも大きいサイズである。可変ピッチを有するこの種類の配置は、圧縮効果を得る可能性をもたらす。実際に、可変ピッチを有するか、または減少するピッチを有するいくつかのねじを備えるそのようなインプラントがねじ止めされる場合、圧縮効果が得られるが、それは、例えば経椎間関節移植のように、例えば、骨構造を適切に一緒に平坦化することが所望される骨構造におけるねじ止めの場合に特に有用である。
【0074】
一般的な様式において、インプラントは、本体(10)の大部分が骨もしくは軟骨組織に貫入するか、または2つの骨構造の間に貫入し、ヘッドが外側に留まるように挿入されるが、処置される構造内に少なくとも部分的に挿入されることも意図されるヘッドを提供することが可能である。好ましくは、ヘッドが外側に留まり、本出願の種々の実施形態が、有用な様式でヘッドが表面を(したがって、外側を)圧迫することを実現する。種々の実施形態が少なくとも1つの内部導管(11)を提供するため、処置される部分の表面における骨成長のリスクおよび/またはインプラントの内部における他の組織もしくは望ましくない生物による侵入のリスクを回避するために、それをブロックすることが有用である場合がある。したがって、特定の実施形態において、インプラント(1)の前記ヘッド(18)は、縦方向の内部導管(11)を閉鎖するか、または縦方向の内部導管(11)を閉鎖するための手段(3)を含む。そのような閉鎖手段は、ブローチに嵌め込まれることができるインプラントを提供する可能性をもたらし、従来技術におけるように移植を補助するが、それにもかかわらず、移植後にインプラントがブロックされるようにする。しかしながら、種々の実施形態は、実際に、後に詳述するようにインプラントを安定させるための手段を含むことに留意されたく、それらは通常、種々の実施形態に従ってインプラントを閉鎖するためにこの機能を果たすことができる係止手段を含む。それにもかかわらず、種々の実施形態において、係止手段は、任意選択的なブローチの存在下で安定化手段の係止が達成され得るように、インプラントをブロックしないように配置される:そうすることにより、種々の実施形態に従って、ブロッキングのための閉鎖手段を提供するかまたは提供しないことが可能となる。そのような閉鎖またはブロッキング手段は、例えば、ヘッドのタッピング穴と嵌合する少なくとも1つのスクリューまたはボルトを含んでもよいが、ヘッドの収容部にクリップ留めで締結されることが意図される突起を備えるプラグ、または当業者の範囲内である任意の他の手段も含んでもよい。
【0075】
特定の実施形態において、インプラント(1)の前記ヘッド(18)は、インプラントを安定させるための手段(2、3、および5)を備え、これらは、好ましくは、前記ヘッド(18)の周辺の骨組織を圧迫することを意図する。これらの実施形態のいくつかにおいて、前記安定化手段(2、3、5、6)は、骨組織への貫入に適合される切り欠き部もしくは歯、スパイク、ロッドもしくはネイルもしくはアンカー、またはさらなるフック等の先鋭な構造(21、61、265、275、276、390)を備える少なくとも1つの安定化要素(2)を含む。そのような安定化手段は、インプラントに近接した付加的な骨固着の可能性をもたらし、インプラントを安定させる。例えば、これらの実施形態のうちのいくつかは、縦軸に実質的に平行であり、かつヘッド(18)の周辺の組織、および任意選択的に、前記ヘッド(18)に近接する前記本体(10)の一部に貫入することができる少なくとも2つのロッド(21)を備える、一種のステープルを形成する安定化要素(2)を備える。そのような安定化手段(2)の例は、例えば、
図2C、
図3D、
図7Bに示され、ヘッドの一部に嵌め込まれることが意図されるリングおよび周囲組織に埋め込まれることが意図される少なくとも1つの先端部を備える要素を示している。これらの実施形態のいくつかにおいて、安定化要素(2)の前記ロッド(21)は、先鋭な自由端を有する。前記説明における「先鋭」という用語は、実際には、ある構造が骨組織に貫入することができ、したがって、非限定的な様式でベベル構造および先鋭な構造を覆うという事実をより広義に示す。さらに、特定の実施形態において、例えば、
図2C、
図3D、
図7Bに示されるように、前記ロッド(21)は、リング(23)によって一緒に接続され、安定化要素(2)が前記ヘッド(18)に装着され得るようにするが、種々の配置がヘッド(または任意選択的にインプラントの任意の他の部分)に対する安定化手段のための装着手段の可能性をもたらすため、ヘッドに対するこの種類の装着は、例示的かつ非限定的な例であるに過ぎないことが当業者に認識されるであろう。種々の代替例によれば、リング(23)は、例えば、
図6A、
図6B、
図6C、および
図6Dに示されるように、ヘッド(18)から突出した高い部分(13)に嵌め込まれるかまたはねじ止めされるのに対し、他の代替例において、リングは、例えば、
図1Dまたは
図3Aに示されるように、ヘッドに載置され、その開口部は、インプラントのヘッドに取り付けられた係止手段(3)の低い部分(13)を受容することができる。図は、係止手段をヘッドに取り付けるためのねじ山およびタッピングを示しているが、上に詳述したように、インプラントを閉鎖するための手段に関して種々の種類の配置が可能であることに留意されたい。
【0076】
特定の実施形態において、具体的には、前記ヘッド(18)の周辺の骨組織に貫入することを意図する2つのロッド(21)を備えた安定化要素(2)を備える実施形態において、例えば、
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、
図2A、
図2C、
図2D、
図3A、
図3B、
図3D、
図3Fまたは
図6A、
図6B、
図6C、
図6D、
図7B、および
図7Cに示されるように、ヘッド(18)は、前記ロッド(21)または前記ロッド(21)に沿って位置するショルダー部(22)を受容することができる少なくとも2つの切り欠き部(14)を含む。そのような切り欠き部(14)は、ロッド(21)の位置をインプラントの周辺に制限する可能性をもたらすため、処置される骨構造に対して理想的に位置付けられるようにそれらを提供することが可能である(特に、椎間関節内移植の間に、それらが各々、隣接する椎骨のうちの1つに埋め込まれるように)。さらに、ショルダー部(22)(および安定化要素の中心と前記ロッドとの間の材料)の存在により、前記ロッドが本体(10)から離れて維持され、そのため、これらのロッドが離れて埋め込まれることができ、インプラントの本体のより近くにある場合よりも良好な安定化を保証する。
【0077】
さらに、特定の実施形態において、インプラント(1)の種々の実施形態の移植のために器具(4)が提供される。そのような器具(4)は、通常、例えば、ハンドル(41)によって操作され得る端部と、インプラントを保持する端部との間に細長い本体を含み、好ましくは、上に詳述したように、誘導ブローチの周囲に嵌め込まれ得るように、例えば、
図5Bおよび
図8Bに示されるように内部導管(46)を含む。さらに、移植を容易にするために、そのような器具(4)は、上に詳述したように、器具の少なくとも1つの切り欠き部(14)に嵌合する少なくとも1つの突起または突出(44)においてインプラントを保持することを意図するものをその端部に含んでもよい。この突起(44)と切り欠き部(14)との協働が、処置される構造にインプラントをねじ止めするために、器具によるインプラントの回転作動を可能にする。さらに、器具(4)は、その管状本体の外周上に、穴開けツールを受容することができる少なくとも1つの溝(43)を含む場合があり、骨組織に安定化要素のロッド(21)が挿入される穴を開けることができる。そのような実施形態において、インプラントは、好ましくは、これ以降に詳述するように移植を容易にするために、安定化手段に存在するロッド(21)の倍の多数の切り欠き部(14)を含む。そのような実施形態において、インプラントは、例えば、インプラントの縦軸の周囲に規則的に位置する4つの切り欠き部を含み、そのため、器具は、インプラントがその直径方向に対向する突起(44)によって把持されることを可能にし、一方、安定化要素(2)のロッド(21)は、器具によって保持され、例えば、突起(44)に対して90度ずらした半径方向位置にある他の切り欠き部に係合される。したがって、器具を後方に移動させることにより、ロッドが切り欠き部(14)に面した状態になるように巻きの1/4だけ回転を行うことが可能であり、そうすることで骨組織に穿孔が形成され、これらのロッドが穴に導入される。この種類の配置は、事前に穴開けできるようにすることによって、また、例えば、それらが回転において本体(10)と相互依存するように提供された場合のように、ロッド(21)が本体のねじ止めに干渉することを回避することによって、移植を容易にする。「ロッド」という用語は、本体の周辺の骨組織に貫入することを意図する構造を示すために本明細書において使用されるが、そのような安定化手段の形状が異なり得ることは明らかであり、また、いくつかの寸法においてより良好な強度を提供するために、可変セクションおよび任意選択的にT、V、H、またはU字型のセクションを有するプレートを使用して提供されることに留意されたい。プレートの場合、任意選択的に事前の穿孔を全く必要としない程度まで、それらは先鋭化または研削されてもよいことに留意されたい。器具は、好ましくは、インプラントを保持するための手段、通常、例えば、
図5Dおよび
図8Dに示されるような、係止手段のための保持手段(45)を含む。これらの例において、インプラントは、例えば、
図1D、
図2D、
図3B、
図3C、
図3Fに示されるように、係止手段(3)のねじ山付きのロッド(13)を受容することができるタッピング穴(31)を含むか、または例えば、
図6D、
図7C、
図8Dに示されるように、係止手段(3)のタッピング穴(31)を受容することができるねじ山付きのロッド(13)を含む。そのような保持手段(45)は、次いで、例えば、ねじ山付きのロッド(13)に対して平坦化され、それによって図のこれらの例に示されるようにアセンブリを保持することを意図するロッドを含んでもよいか、または、例えば、
図18Cに示されるように、インプラントのタッピング穴(31)と協働するねじ山付きのロッド(46)(好ましくは誘導ブローチのために管状である)を含んでもよい。さらに、器具は、インプラントを保持するその端部に、回転を伝達するための手段、例えば、インプラントの外周に接しておらず、インプラントの実質的に同一の配向面と協働する平面、例えば、
図17Bの例示的な例に示されるように、例えば、インプラントの6面を有する収容部に貫入することを意図するナッツ型端部を含んでもよい。
図6A、
図6B、
図6C、
図6D、
図7A、
図7B、
図7C、
図8A、および
図8Bの例において、インプラントは、実際に、ヘッド(18)から突出したねじ山付きのロッド(13)を含み、例えば、
図7Cに見られるように、例えば、切り欠き部(130)によって得られる自己破壊可能部分を備えることに留意されたい。この種類の配置において、安定化手段(2)は、好ましくは、既に詳述したように、スパイク(21)を備えるリング(23)を含むが、例えば、ねじ山付きのロッド(13)上にねじ止めされ得るタッピング(31)を備えるリングを含み得る係止手段(3)と関連付けられる。このリングはまた、好ましくは、ねじ止めツールの端部と協働することができる切り欠き部(34)を含む。その一方で、例えば、
図6および
図7に見られるように、安定化手段のリップ(234)上にクリップ留めで締結され得るようにするために、この係止手段(3)に溝(32)が提供されてもよい。上述の種々の技術的検討事項から、インプラントを保持するために種々の配置が可能であること、また上述の手段および要素は、例示的かつ非限定的であることが当業者に理解されるであろう。
【0078】
特定の実施形態において、前記安定化手段は、鐘、クラウン、リング、アニュラスの形状、またはヘッド(18)に、好ましくはヘッドの少なくとも一部分の周囲に装着される(または固定される)のに好適な任意の形状を有する、少なくとも1つの安定化要素(2)を含む。「鐘」という用語は、ヘッドの周囲における装着を指すために、また例えば、
図9A、
図9B、
図9C、
図10A、
図10B、
図11A、
図11B等に示されるように、この安定化要素の外周(210)がヘッド(18)の周囲の骨組織上に支持されることが意図されることを示すために、本明細書において使用される。本構成によれば、鐘の外周(210)全体がスクリューの全周で骨組織上に支持される必要はないが、支持が得られ、スクリューおよび関節要素を安定させる可能性がもたらされることを理解されたい。具体的には、様々な実施形態は、鐘の外周が、突出する骨構造を互いの間で安定させるために、それらの一部を取り囲むことおよび覆うことを目的としている。さらに、そのような外周(210)は、例えば、
図12A、
図12B、および
図12Cのように、安定化に寄与する歯または切り欠き部(21)を含んでもよい。種々の実施形態において、ヘッドに固定された鐘は、ヘッドとの単一部品として形成されるか、またはその上に取り付けられる。他の実施形態において、鐘は、ヘッドの周囲に移動可能に装着される。さらに、鐘は、インプラントの本体と同じ材料(通常は固体金属材料、例えば、チタン等)であってもよいが、別の特に可撓性の高い材料の鐘を提供することが可能であり、そうすることで、鐘は、係止手段の最終的なねじ止めの間に押しつぶされ、したがって効率的な圧縮を確実にする。この種類の代替の実施形態に可能かつ有用な材料は、当該技術分野で周知のPEEKである。好ましくは、インプラントの本体は、例えば、チタン等の抵抗性の材料であるか、または少なくともそのような材料で被覆されている。たとえ、チタンのような抵抗性および耐久性のある材料が一般的にインプラントのために好ましいとしても、例えば、特定の実施形態は、対照的に、再吸収可能な材料、例えば、骨または骨代替物の使用を提供することに留意されたい。実際、そのような再吸収可能な材料の使用は、好ましくは、標的とする結合機能を維持するために、その再吸収前に十分に抵抗性であり、いずれの異物も用いることなく、最終的には完全な骨癒合を得る可能性をもたらし、これは、当然、特に患者にとって多くの利点を有する。
【0079】
特定の実施形態において、鐘は、可動性であり、「多軸」型の支持を可能にする、すなわち、インプラントの縦軸に対する様々な位置で、周囲の骨組織に対して位置付けられ得るか、またはさらには係止され得る。例えば、これらの実施形態のいくつかにおいて、前記ヘッド(18)は、例えば、
図18C、
図22A、
図22B、
図22E、
図22F、
図23A、
図23B、
図23E、
図28A、および
図28Bに示されるように、球状部の形状を有する周囲下面(180)を有する。そのような面は、通常、ヘッドの軸に対する鐘の配向の調節を可能にするために、例えば、
図12Cに示されるように、前記鐘(2)の内側上面に相補的であり、したがってインプラントのヘッド(18)に接合されるように提供される。さらに、そのような実施形態では、本出願において既に詳述したように、骨組織の表面に存在するインプラントの部分が侵襲(特に外側の侵襲)に曝露され過ぎないように、完全な球または直径が大き過ぎる球の代わりに限定的な球状部を用いることが好ましいということに留意されたい。実際に、たとえ鐘の可能な配向の範囲がそれによって制限されたとしても、それは概ね十分なままであり、インプラントは、大きな角度、特に骨組織の表面のより大きな突出の場合よりも明らかに安定するであろう。
【0080】
特定の実施形態において、前記鐘(2)は、例えば、
図12A、
図12B、および
図12Cに示されるように、骨固着を促進するように、その外周(210)上に少なくとも1つの先端部または歯(21)を含む。骨組織を圧迫することを意図する、鐘の下部のこの種類の配置により、骨組織に対する鐘の固着を向上させる可能性がもたらされ、ひいてはインプラントの安定性が向上する。
【0081】
特定の実施形態において、鐘(2)は、特に、インプラントの本体(10)に固定される場合、例えば、
図9A、
図9B、
図9C、
図10A、
図10B、および
図11Cに示されるように、インプラントをねじ止めするためのツールを有する連結手段(29)を含む。これらの例において、これらの連結手段(29)は、有利には、ねじ止め器具の突起を受容することが可能な穴であるが、逆の構成が企図されてもよいか、または様々な連結手段が用いられてもよい。安定化手段がインプラントの周辺で可動性である場合、当然のことながら、例えば、本出願に詳述される連結手段(14)のように、インプラント上の直接的な連結が好まれる。インプラントのこれらの連結手段(14)はまた、鐘(2)の連結手段について本明細書に明示されるように、様々な形状を取ることができることに留意されたい。
【0082】
特定の実施形態において、前記安定化手段は、例えば、
図19A、
図19B、
図19C、
図20A、
図20B、および
図20Cに示されるように、ヘッド(18)の周囲に装着され、ヘッド(18)の周辺の骨組織に固着され得るプレート(20)の形態のいわゆるアンカーである安定化要素(2)を受容することができる少なくとも1つの通路(57)を備える、少なくとも1つのプレート(5)を含む。本出願に説明されるロッド(21)の場合と同様に、プレート(20)は、様々な形状を有してもよく、この用語は限定的ではないが、それらが提供する安定性に関してはロッドよりもプレートが好ましい。また、図に示されるプレートは、非限定的ではなく、またロッドに関して説明したように、より良好な安定化を提供するためにT、V、H、U字型のプレート等を提供することが可能である(いくつかの方向への移動を妨害する、互いに平行ではないいくつかのプレートを有するという事実による)。これらの実施形態のいくつかにおいて、前記アンカー(2)は、骨組織に貫入することを意図する先鋭な端部(21)および/または研削された縁部を含む(先鋭または研削は、本明細書において骨に貫入するための手段を示す)。好ましくは、前記アンカー(2)は、前記プレート(5)と接触して、アンカー(2)の骨組織への貫入を制限することを意図する少なくとも1つの当接部(22)を備える端部を含む。アンカーは、通常、骨組織内における保持手段を備えてもよい。したがって、そのような当接部に対する追加または代替として、アンカーは、骨からの離脱を回避するキャッチを含んでもよいか、または例えば、少なくとも一部分がアンカーを保持する付加的なスクリュー等の別の係止手段と関連付けられてもよい。さらに、提供される接近ルートおよびインプラントに関する侵襲性に従って、そのようなアンカーに種々の形状を提供することが可能である。したがって、特定の実施形態において、前記アンカー(2)は、実質的に平面であるプレート(20)で形成される、他の実施形態において、前記アンカー(2)は、実質的に湾曲したプレート(20)で形成される。平坦なアンカーと湾曲したアンカーとの組み合わせが、当然のことながら企図され得る。アンカーのより良好な安定性のために、特定の実施形態は、例えば、
図19A、
図19B、
図19C、
図20A、
図20B、および
図20Cに示されるように、前記アンカー(2)および前記通路(57)が、縦軸に対する斜交軸に沿ってアンカーを挿入するように提供され、そうすることで、アンカーは、挿入中にインプラントの中心部から周辺部に向かって配向される。これらの最後の図の例示的な例は、前記プレート(5)が、インプラントに装着される(または任意選択的に固定される)ように、かつ例えば、
図20A、
図20B、および
図20Cに示されるように、スクリューまたはボルト等の係止手段(3)によって係止されるアンカーを受容するために提供されるという点において特に異なる代替例を示しているということに留意されたい。アンカーの挿入後に加えられるそのような係止手段によって、アセンブリを係止する可能性がもたらされる。その一方で、
図19A、
図19B、および
図19Cの例において、前記プレート(5)は、インプラントから分離され、次いで、アンカー(2)を受容するプレート(5)を通してねじ止めされる。これらの例において、係止は、例えば、
図19Cに示されるように、アンカーを圧迫するインプラントのヘッドによって、または例えば、
図20Bに示す種類の付加的なピン(スクリューもしくはボルト)によって達成されてもよい。
【0083】
最後に、安定化手段の可能な多様性を示す他の実施形態において、例えば、
図21A、
図21B、および
図21Cに示されるように、各々が自由端(21)を備え、かつヘッド(18)のサイズと実質的に等しい空間によって互いから隔てられた2つの関節部(28)によって一緒に接合された2つの湾曲したビット(20)を備える顎部の形態である少なくとも1つの安定化要素(2)を提供することが可能である。この種類の配置において、アセンブリを安定させるために、顎部はヘッドの周囲に装着され得、ビットはインプラントの本体(10)の周辺の骨組織に接触し得る:これらの実施形態において、前記安定化手段は、安定化要素(2)を骨組織に対して押された状態に維持するようにそれを圧迫する係止手段(3)を含むことが好ましい。これらの実施形態のいくつかにおいて、前記顎部(2)のビット(20)は、それらの凹面上に、それらを骨組織に対して安定させるための少なくとも1つのキャッチ(211)を含む。さらに、特定の実施形態において、ビット(20)の自由端(21)は、インプラントを骨組織に挿入するときに顎部(2)の開放を容易にする少なくとも1つの面取り部(218)を含む。
【0084】
本出願は、図および様々な実施形態を参照して種々の技術的特徴および利点について説明している。そうではないということが明示的に述べられてない限り、またはこれらの特徴が不適合であることが明白である場合、または組み合わせが、特に本出願に説明される当該技術分野の技術上の問題のうちの少なくとも1つに対する解決法をもたらさないかもしくは提供しない場合を除いて、所与の実施形態の技術的特徴が、実際には、別の実施形態の特徴と組み合わせられ得ることが当業者に理解されるであろう。さらに、所与の実施形態に説明される技術的特徴は、特に、本出願に提供される機能的な検討事項、ならびに本出願の説明および図における詳細な構造上の特異性によって、そうではないということが明示的に述べられてない限り、この実施形態の他の特徴から分離されてもよい。
本発明が請求される本発明の適用分野から逸脱することなく、他の多くの特定の形態の下に実施形態を可能にすることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の実施形態は、例示であると見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲の範囲によって定義される分野内で変更されてもよく、本発明は、上記詳細に限定されるべきではない。
【国際調査報告】