(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-522146(P2017-522146A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(54)【発明の名称】患者のリハビリテーションを容易化するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20170714BHJP
A61H 99/00 20060101ALI20170714BHJP
【FI】
A61B5/10 310B
A61H99/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-514738(P2017-514738)
(86)(22)【出願日】2015年5月25日
(85)【翻訳文提出日】2017年1月27日
(86)【国際出願番号】AU2015050272
(87)【国際公開番号】WO2015179910
(87)【国際公開日】20151203
(31)【優先権主張番号】14/292,455
(32)【優先日】2014年5月30日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516358266
【氏名又は名称】アイソテクノロジー プロプライエタリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ISOTECHNOLOGY PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーディ テレンス
【テーマコード(参考)】
4C038
4C046
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA11
4C038VB14
4C038VB15
4C038VC20
4C046AA29
4C046AA33
4C046BB09
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4C046CC01
4C046DD08
4C046DD33
4C046DD43
4C046EE05
4C046EE06
4C046EE08
4C046EE15
4C046EE23
4C046EE24
4C046EE25
4C046EE32
4C046EE37
4C046FF12
4C046FF32
(57)【要約】
患者にリハビリテーションを行うためのシステムおよび方法。患者または他の被験者がバランスプレートの上に立ち、ディスプレイ画面上の指示または視覚刺激に応じて1つ以上のテストを行う。足圧中心データ等のデータがバランスプレートから得られかつディスプレイ画面に提示されるテストの進行に合わせてプロセッサによって処理される。情報は、患者もしくは被験者を診断するかまたは患者もしくは被験者にリハビリテーションを行うことに役立てるために相互に関連付けられ使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の足圧中心(Center of Pressure; COP)の動的重量分布データを計測するためのバランスプレートであって、少なくとも1つのロードセルを有するバランスプレートと;
視覚ディスプレイと;
前記バランスプレートと作動的に通信し合うプロセッサであって、前記視覚ディスプレイに表示された第1の所定箇所から少なくとも第2の所定箇所まで前記患者のCOPを前記患者が誠実に移動する能力に関するデータを生成するように構成されており、前記データは、前記バランスプレートによって計測された前記COPの動的重量分布データを使用して生成される、プロセッサと、を備える、
患者のリハビリテーションのためのシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記患者のCOPの移動に合わせて前記ディスプレイ中を移動するアイコンとして前記患者のCOPを描写するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記ディスプレイに前記第1の所定箇所および前記第2の所定箇所を示すように構成されている、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記所定箇所はそれぞれ文字を表し、前記患者は文字から文字に前記患者のCOPを移動して認識可能な単語を綴る、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記所定箇所は始点および終点を含み、前記患者は前記始点から前記終点まで前記患者のCOPを移動する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の所定箇所から少なくとも前記第2の所定箇所までの前記患者のCOPの移動は、前記プロセッサによって追跡され、前記ディスプレイにトレースとして表される、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記バランスプレートは、所定の時間に亘って前記患者の前記COPの変動の大きさを計測するように構成されている、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
患者プロフィールの電子データベースであって、各プロフィールが前記プロセッサによって生成された前記データを有する少なくとも1つの記録を含む、電子データベースをさらに備える、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
各患者プロフィールが複数の記録を含み、前記プロセッサは、前記患者のリハビリテーションの評価を可能にするために前記患者の2つ以上の記録を比較するように構成されている、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ディスプレイは、前記患者によって着用可能である、
請求項1〜9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
ディスプレイに第1の所定箇所および少なくとも第2の所定箇所を示すステップと;
バランスプレートを用いて患者の足圧中心を計測するステップと;
前記患者の足圧中心をアイコンとして前記ディスプレイに表すステップと;
前記患者の足圧中心の移動を前記バランスプレートの上で検出するステップと;
前記バランスプレートの上で検出された前記患者の足圧中心の前記移動に合わせて前記患者の足圧中心を表す前記アイコンを移動するステップと、を含む、
患者のリハビリテーションを評価するための方法。
【請求項12】
難易度レベルが徐々に高められる設定経路に沿って前記第1の所定箇所から少なくとも前記第2の所定箇所まで前記患者の足圧中心を前記患者が誠実に移動する能力を、プロセッサを用いて分析するステップをさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
難易度レベルが徐々に高められる設定経路に沿った前記第1の所定箇所から少なくとも前記第2の所定箇所までの前記患者の足圧中心の移動のトレースを生成するステップをさらに含む、
請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
各所定箇所が文字を表し、前記トレースが前記文字を接続して認識可能な単語を形成する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記患者のバランス能力を確認するために少なくとも第2のトレースを生成しかつ少なくとも2つのトレースを比較するステップをさらに含む、
請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記患者のリハビリテーション効果を計測するために少なくとも第2のトレースを生成しかつ少なくとも2つのトレースを比較するステップをさらに含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
難易度レベルが徐々に高められうる設定経路に沿った前記第1の所定箇所から少なくとも前記第2の所定箇所の方向への前記患者の足圧中心の移動に関するデータを電子データベース上の患者プロフィール内に格納するステップをさらに含む、
請求項11〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記患者プロフィールのデータと複数の他の患者の標準化データとを比較して前記標準化データに対する前記患者のバランス能力を確認するステップをさらに含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記患者プロフィールのデータと複数の他の患者の標準化データとを比較して前記標準化データに対する前記患者のリハビリテーション効果を確認するステップをさらに含む、
請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記所定箇所のそれぞれが文字を表す場合に、前記ディスプレイ上の前記アイコンによって表される前記患者の足圧中心を前記ディスプレイ上の複数の前記所定箇所を通して移動することによって所定の単語を形成するように前記患者に指示するステップをさらに含む、
請求項11〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記患者の足圧中心が計測されている間、前記患者に前記ディスプレイを着用させるステップをさらに含む、
請求項11〜20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、人の心身機能障害を診断しかつリハビリテーションを評価するように設計された装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
重心動揺検査(posturography)は、立位姿勢(静的または動的な立位姿勢)における姿勢制御の定量化のために使用されるあらゆる技術を包含する一般用語である。中でもバランステスト(Test of Balance; TOB)とも称されるコンピュータライズド動的重心動揺検査(Computerized Dynamic Posturography; CDP)が、正常状態(体育およびスポーツトレーニング等)および異常状態(特にバランス障害の診断、理学療法治療、および姿勢の再教育(postural re-education))の両状態における姿勢およびバランスの制御に関わる中枢神経系による(感覚神経系、運動神経系、および中枢神経系の)適応機構の定量化のために使用される非侵襲性の専門的な臨床的評価技術である。
【0003】
姿勢およびバランスに関する感覚神経系、運動神経系、および中枢神経系の各過程が複雑に相互作用することから、患者の姿勢制御システムに影響しうる多くの欠陥および障害を区別するための様々なプロトコルがCDPには必要である。したがって、CDPの正当性は、視覚刺激および支持体表面の刺激とパラメータとのいくつかの組合せを使用することによって調べられる。
【0004】
重心(Center of Gravity; COG)はバランスの重要な成分であり、個人の姿勢を評価する際に評価されるべきである。COGの定量化が困難であることからCOGは足圧中心(Center of Pressure; COP)を用いて計測されることが多い。
【0005】
学術文献によれば、個人の姿勢が理想的であれば、COGは支持基底面の中心に位置しているはずである。COPの偏倚および速さはCOGの制御に対する指標であり、適切な姿勢および個人のバランス維持能力を特定するための主要な要因である。本分野においてCOPの偏倚は、支持基底面(足の外周)内の前後方向および内側方向/外側方向へのユークリッド変位(Euclidean displacement)として定義されている。姿勢が悪い場合および/または脊柱湾曲が大きい場合、COPの偏倚が大きくなる可能性があり、このCOPの偏倚は、COPが支持基底面の外周方向に移動するほど不安定な状態を引き起こす。
【0006】
バランス障害を治療するための様々な選択肢がある。選択肢の1つとして、バランス障害の一因となっている可能性のある疾患または障害(例:耳感染症、脳卒中、多発性硬化症、脊髄損傷、パーキンソン病、神経筋疾患、後天性脳損傷、小脳機能障害、および/または運動失調)の治療が含まれる。個々の治療は、症状、病歴、健康状態、および評価テスト結果を含む評価結果に応じて変化し、またこの評価結果に基づく。
【0007】
多くの種類のバランス障害には、医師、整骨医、カイロプラクター、作業療法士、または理学療法士によって指示されたバランス訓練またはリハビリテーションが必要である。整骨医、カイロプラクター、および理学療法士は、患者の現在の健康状態および経過についての有用な情報およびデータを取得するために評価の一部として標準評価指標(standardized outcome measures)を適用することが多い。
【0008】
前庭機能喪失のリハビリテーションは、患者ごとにカスタマイズされなければならない。感覚依存性、およびいかに前庭機能喪失を補償するかということが各個人によって様々であることが研究によって示されているからである。姿勢の方向および平衡状態の制御は、適切なフィードバックおよび能動的なかつ状況に即した固有の訓練によって学習されなければならない複雑な感覚運動系技術として考慮されさえすれば、両側性または一側性の前庭機能喪失の患者において大幅に改善可能である。
【0009】
先行技術文献を本明細書中で参照する場合、その参照は、当該文献がオーストラリアまたは任意の他の国における本分野の技術常識の一部を成すことを自認するものではないことが明らかに理解されよう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、好ましい一態様において患者のリハビリテーションのためのシステムを提供する。本システムは、患者の足圧中心(COP)の動的重量分布データを計測するためのバランスプレートであって、少なくとも1つのロードセルを有するバランスプレートを有する。本システムは、視覚ディスプレイ、および、バランスプレートと作動的に通信し合うプロセッサをさらに有する。プロセッサは、患者が両足をバランスプレートの表面に連続的に最大限接触させたまま、視覚ディスプレイに表示された第1の所定箇所から少なくとも第2の所定箇所まで身体移動によって患者のCOPを制御する能力に関するデータを生成するように構成されており、このデータはバランスプレートによって計測されたCOPの動的重量分布データを使用して生成される。
【0011】
他の好ましい態様では、本発明は、患者のリハビリテーションを評価するための方法を提供する。本方法は、ディスプレイに第1の所定箇所および少なくとも第2の所定箇所を示すステップと;バランスプレートを用いて患者の足圧中心を計測するステップと;患者の足圧中心をアイコンとしてディスプレイに表すステップと;患者の足をテスト中バランスプレートに完全に接触させたまま、患者の足圧中心の移動をバランスプレートの表面で検出するステップと;バランスプレートの上で検出された患者の足圧中心の移動に合わせて患者の足圧中心を表すアイコンを移動するステップと、を含む。
【0012】
前述の全般的な説明も以下の詳細な説明も共に例示および説明のみのためのものであり、請求項に記載の本発明を限定するものではないことを理解されたい。本明細書および特許請求の範囲では、用語「含んでいる(comprising)」ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprise)」等の語尾変化形は、記載された各整数を含むが、1つまたは複数のさらなる整数を含めることを排除するものではない。
【0013】
本明細書と共に出願および添付された特許請求の範囲は、参照により本説明の文書に援用される。
【0014】
本明細書の一部に援用され、本明細書の一部を成す添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を例示しかつ本説明と共に本発明の原理を説明することに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の好ましい実施形態に係るプロセッサ、ディスプレイ、およびバランスプレートを有するシステムの線図である。
【
図2】任意の手すりを有する、
図1のバランスプレートの斜視図である。
【
図3】患者の微細な運動制御の測定に使用される握力計の斜視図である。
【
図4】
図1のバランスプレートを使用したバランステスト結果のディスプレイの図である。
【
図5】
図1のシステムにおいて使用された第1の身体移動制御経路テストの始点および終点を示すディスプレイの図である。
【
図6】個人の第1の身体移動制御経路テストの終点に向かう経過を示す
図5のディスプレイの図である。
【
図7】第2の身体移動制御経路テストを示すディスプレイの図である。
【
図8】
図5および
図7の身体移動制御経路テストの結果を示すディスプレイの図である。
【
図9】
図5および
図7の身体移動制御経路テストのグラフを用いた結果の拡大図を示すディスプレイの図である。
【
図10】
図1のシステムにおいて使用された、身体移動制御スペルテスト用の単語を綴るための一連の文字を示すディスプレイの図である。
【
図11】第2の身体移動制御スペルテスト用の単語を綴るための一連の文字を示すディスプレイの図である。
【
図12】
図10の身体移動制御スペルテスト、および第2の身体移動制御スペルテストの結果を示すディスプレイの図である。
【
図13】
図12の身体移動制御スペルテストのグラフを用いた結果の拡大図を示すディスプレイの図である。
【
図14】患者の計画力および洞察力を評価するための第1の迷路テストを示すディスプレイの図である。
【
図15】患者の計画力および洞察力を評価するための第2の迷路テストを示すディスプレイの図である。
【
図16】認知機能評価のためのサンプルのパターン認識テストの図である。
【
図18】個人の迷路テストの、平均的なデータセットに対する比較結果を示す結果のグラフの画面の図である。
【
図19】他の実施形態に係る調査データ収集ハブのグラフィカルユーザインタフェースである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、本発明の好ましい実施形態を詳細に参照する。これら実施形態の例を、添付の図面に例示する。
【0017】
図1および
図2は、バランスプレート102、視覚ディスプレイ104、およびプロセッサ106を有するシステム100の一実施形態を示す。使用時、患者または他の被験者がバランスプレート102の上に立ち、ディスプレイ104に表示される指示または視覚刺激に応じて1つ以上のテストを行う。足圧中心(COP)データ等のデータがバランスプレート102から取得され、ディスプレイ104に提示されるテストの進行に合わせてプロセッサ106によって処理される。この情報は、患者または被験者の診断またはリハビリテーションの補助のために相互に関連付けられ使用される。以下に、システム100の好ましい要素およびそれら要素の相互の関係性を説明する。
【0018】
図2を参照する。バランスプレート102は、患者が立つ上側表面108と、中心点118を共有する象限(quadrants)110,112,114,116とを有する。これら象限および中心点118によって、プレート102の上への患者の足の正確な位置決めが容易になる。また、バランスプレート102は、境界線(demarcations)120,122を有することができ、それにより患者が足を正確に位置決めすることを補助することができる。画定された象限110,112,114,116もしくは足位置決めガイド120,122またはその両方の目的は、患者の静止時に患者の重心を確実に中心点118と垂直方向において一直線にそろえることである。しかしながら、バランスプレートは、患者が精確なデータ収集のために完璧に中心位置に立たなくてもよいように設計されている。例えば、患者のCOPが患者の視界内のディスプレイ画面に表示される直径0.8インチの円の範囲内にあれば、精確なバランスデータが収集される。このためにテスト開始時に患者の足の位置決めの微調整が必要でありうる。各象限は、患者がプレートの上に立っている時にプレート102上の動的重量分布を計測するためにロードセルを有しうる。バランスプレートの上でテストを行う間に患者を補助するために2つの手すり124,126が含まれていてもよく、重度のバランス障害のある患者の場合にはオーバーヘッドハーネス安全サポートシステムが使用されてもよい。
【0019】
好ましくは、4つのロードセルは、それぞれ、薄型の平面ビーム型ロードセルの形である。そのようなロードセルには、小型スケール、卓上スケール、埋込みスケール、小売用スケール、および計数スケール向けの用途がある。それらロードセルにはまた、医療分野での用途もある。
図2の実施形態では、ロードセルは、バランスプレートが4セル型バランスプレートとなるように配置および構成されている。ロードセルからのデータ出力は、プロセッサ106に読み出されるように適切な回路構成で送信される。
【0020】
バランスプレート102は、所望に応じて、また抵抗性ロードセルの代わりに1つ以上のホールセンサを使用して組み立ててもよい。ホールセンサは、磁気原理を使用して移動を検出しており、概してより精確と考えられる。
【0021】
図1において視認できるように、バランスプレート102は、プレート102とコンピュータ130との通信を容易化する適切なインタフェースデバイス128によってプロセッサ106に接続されており、このプロセッサ106は好ましくはラップトップコンピュータ130の形態である。インタフェースデバイス128は、ピアツーピア通信(例えば、ブルートゥース(登録商標)および/もしくはWi−Fiダイレクト(登録商標))、ならびに/または専用のアクセスポイントを介したWLAN通信で使用するように構成されたトランシーバーを有する1つ以上の無線ラジオ受信機を含みうる。インタフェース128は、無線通信に加えて、または無線通信に代えて有線通信用に構成されうる。
【0022】
簡潔にするために、プロセッサ106を、ラップトップコンピュータ130に関連して説明するが、本発明はラップトップコンピュータに限定されない。例えば、プロセッサ106は、限定されないが、タブレット、スマートデバイス(例:スマートフォン)、デスクトップコンピュータ、および/またはウェアラブルデバイス(例:アイウェアもしくはブレスレット)等の様々なモバイルコンピューティングデバイスおよび/または固定コンピューティングデバイスとして形成されうる。当業者に理解されうるように、上述のようなプロセッサには、チップおよび関連付けられたメモリが含まれうる。ラップトップコンピュータ130は好ましくは、ピアツーピア通信技術(例えば、ブルートゥースおよび/もしくはWi−Fiダイレクト)、ならびに/またはWLAN等の非ピアツーピア通信を介した通信用に構成された1つ以上の無線ラジオ受信機のような無線通信性能を有する。
【0023】
図1に示されるように、システム100は、好ましくはUSBメモリデバイスとして形成されたリムーバブルメモリ132のようなリムーバブルメモリを有していてもよい。データは、様々な方法で、例えばラップトップ130のハードディスク、USB132、1つ以上のリモートサーバ、および/またはクラウドに格納されうることが理解されよう。
【0024】
図1に示されるように、ディスプレイ104は、プロセッサ106に作動的に(かつ物理的に)接続されている。ディスプレイが別個の独立型デバイスとして構成されてもよいことが理解されよう。例えば、ディスプレイは、ラップトップ130に着脱可能に有線接続されかつ/または無線接続されたテレビまたはコンピュータモニタでありうる。ディスプレイは、所望に応じてタッチスクリーンを有していてもよい。好ましくは、ディスプレイは、バランスプレート102の周囲近傍に、および、患者が画面を容易に視認することができる十分な高さに位置決めされている。様々な身長の被験者を手助けするために、ディスプレイは、バランスプレート102に取り付けられた、またはバランスプレート102から離間した調節可能なスタンドに搭載されていてもよい。
【0025】
図3は、計時された時間に亘って被験者が加えた圧力を計測するように構成された握力計134を示す。握力計134は、ハンドグリップ136、ハンドグリップ圧力センサ138、視覚ディスプレイ140、およびユーザインタフェース142を有する。握力計134は、被験者の微細な運動制御能力をテストするために使用されうる。握力計134は、ラップトップ130と通信し合うように構成された無線通信トランシーバーをさらに有していてもよい。このトランシーバーは、既に上述したトランシーバーに類似してピアツーピア通信および/またはWLAN用に構成されうる。
【0026】
システム100の構成要素は、様々なテストでの用途に構成されている。
図4を参照する。バランステストが、患者の診断のために、および/または患者のリハビリテーションを容易化するために行なわれうる。患者は、バランスプレート102の上に立つ。患者は、必要な分析の種類およびレベルに応じて、バランスプレート102の上で停止または静止していることもでき、様々な行動をとることもできる。バランスプレート102からのデータは、インタフェース128を介してラップトップ130に伝達される。プロセッサ106は、患者のCOPがドットまたはアイコン202として示された状態でバランスデータを画面200に提示する。例えば、限定されないが、動揺速度およびエントロピーデータ等の様々なデータがバランステストから取得されうる。好ましくは、第1のテストが両目を開けた状態で行われ、次いで第2のテストが両目を閉じた状態で行われる。バランステストは、耳感染症、脳卒中、多発性硬化症、痴呆、アルツハイマー病、脊髄損傷、パーキンソン病、神経筋疾患、後天性脳損傷、小脳機能障害、および/または運動失調の治療を含む、バランス障害の治療に有用である。バランステストはまた、転倒後の腰部骨折が人の脳卒中、早期障害、および究極的には死のリスクを非常に高めることから、高齢者の転倒リスクの評価においても有益となることができる。バランスデータを利用して患者を特定しかつ治療するシステムおよび方法の一例が国際出願第PCT/AU2014/000149号に示されかつ説明されており、当該文書の全内容が参照により本明細書に援用されている。
【0027】
バランステストは有用な手段であるが、少なくとも上述の理由から、被験者が怪我から回復している状況においては、1種以上の追加的な評価と組み合わせて被験者のバランス能力を測定することが、身体的障害および/または精神的障害を特定し、かつリハビリテーションの経過を追跡するいっそう有用な手段である。追加的な評価としては、被験者の身体移動制御、計画力および洞察力、ならびに認知能力が含まれる。例えば、身体移動制御を確認および計測するために、システム100は好ましくは、被験者にテストを提示するように構成されており、このテストにおいて被験者はバランスプレート102の上で、ディスプレイ104の画面にアイコンとして表現された被験者のCOPを第1の固定箇所から第2の固定箇所まで制御することを試みる。バランスプレート102は、被験者のCOPを計測し、このCOPデータをラップトップ130に伝達する。ラップトップ130は、被験者のCOPをアイコンとしてディスプレイ画面にグラフで表現するように構成されている。バランス/身体移動制御テストの組合せのバリエーションが、以下にさらに詳細に説明するように、いくつか開発された。
【0028】
図5〜
図9は、被験者が被験者のCOPを動かして経路を案内するように試みる身体移動制御テストを示す。
図5および
図6を参照する。被験者はバランスプレート102の上で、アイコン308によって表現された被験者のCOPを画面300に示される第1の所定の開始位置302から第2の所定の終了位置304まで経路306に沿って制御する。被験者のCOPの表示を容易化するために、プロセッサ106は、バランスプレート102によって検出および計測された被験者のCOPの移動に合わせてディスプレイ104の画面中を移動する被験者のCOPをアイコン308として描写するように構成されている。
図6は、被験者の、画面310上の経路に沿う距離の約半分を通過しているCOPを示す。
図7に示されるように、画面312に示されるような異なる構成の経路306’を用いて第2のテストが行われうる。各テスト中、プロセッサ106はテスト進行中の被験者のCOPの変動の大きさを測定するためにテストを計時し、かつ、バランスプレート102によって計測された被験者のCOPの移動を座標系と比較して追跡するように構成されている。上記計時することは、被験者が誠実に第1の固定箇所から第2の固定箇所までCOPを移動するのにどれだけの時間がかかるかに関連していてもよく、所定の時間内であってもよい。テストの計時を容易化するために、プロセッサ106は計時回路またはタイマーを有していてもよい。さらに以下に説明するように、データはグラフで表示されうる。経路の壁との「衝突」回数と、完了するための所望の方向への正しい制御された移動を再開するまでにかかる時間とが追加的に計算される。
【0029】
図8および
図9では、各経路テストの結果が画面314,316にグラフで表示されている。各テストのトレース318,320が、時間に対するCOPの移動の大きさを示すように視覚的に提示されうる。得られたデータは、精神的障害および/もしくは身体的障害の診断および治療、ならびに/または患者のリハビリテーションに関する経過の確認のために使用されうる。得られたデータは、複数の患者プロフィールを格納するように構成された電子データベースに格納された患者プロフィールの電子記録内に関連付けまたは格納されうる。各患者プロフィールは、テスト結果に関する1種以上の記録を含んでいてもよい。既知の身体的障害および/または精神的障害を有する患者のCOPプロフィールと概ね合致する特徴のCOPプロフィールの診断データベースを発展させるために、プロセッサ106は、一人の患者の結果または記録を比較し、かつ/または複数の患者のテスト結果を比較するように構成されうる。一人の患者に関してプロセッサ106が行う比較を、リハビリテーション中の患者の経過を追跡するために利用してもよい。一人の患者と標準化されたデータセットとを比較してこの患者が一般集団または特定の下位集団(例えば、年齢または性別による下位集団)に比してどのように行動しているかを確認してもよい。
【0030】
図10〜
図13では、被験者がCOPを使用して認識可能な単語を綴るさらなる身体移動テストが示されかつ説明される。本明細書において使用される「認識可能な単語」とは、一般に受け入れられている辞書に載っている単語である。
図10に示されるように、被験者は、画面400上の複数の文字から認識可能な単語を綴るために、画面400にアイコン404によって表された被験者のCOPを中心位置から文字402方向に移動する。
図10に示された例では、認識可能な単語は「BLUE」である。プロセッサ106は、被験者がアイコン404によって表された被験者のCOPを、単語を綴る順序で文字から文字へ移動しようとする時に被験者のCOPの移動を追跡するように構成されている。
図11では、画面408が単語「FLOW」を使用した第2の身体移動制御スペルテストを示す。2文字から5文字の単語が好ましいが、所望に応じてより多くの文字を使用してもよい。各文字は特に、それら文字を使用して単語を綴る患者にとってやりがいが最大化されるように画面上の患者の視界内に配置される。経路評価テストおよびスペル評価テストでは、チャレンジの難易度が徐々に高められる様々なレベルが使用される。上述の身体移動制御経路テストのように、プロセッサ106は、例えば画面410(
図12)および/または画面412(
図13)に各スペルテストの結果をグラフで提示するように構成されうる。
図13の画面412の下部に示されるように、結果は、被験者のCOPの経時的な変動の大きさを示すトレースとして提示されうる。
【0031】
精神的障害および/もしくは身体的障害の診断、またはリハビリテーションの追跡のための他の有用なテストは、患者の計画力および洞察力を計測することである。患者の計画力および洞察力を計測する1つの方法が迷路テストによるものである。
図14および
図15では、被験者がコンピュータまたは周辺デバイスのユーザインタフェースを使用して画面500に示されたアイコン502を動かして迷路の経路504を案内してもよい。被験者が「終点」に到着することによって迷路の完了は記される。参加者のスコアは、迷路の側面にぶつかることを含む被験者の誤りと、評価を完了しかつドット502を開始から終了まで移動する時間とを自動的に合計することによって計算される。これは、被験者のドットの移動を計画および調整する能力を測定することに役立つ。このテストの結果は、評価を、最低3回の基準テストを使用したその被験者の基準集成スコアまたは基準平均スコアと比較することによって決定される。さらなる迷路テストの例を
図15の画面506に示す。壁に衝突する回数が有意に高くかつテストを完了するまでの時間が有意に長くなり高いスコアが付いた被験者は、計画および洞察が不得手であるという性質があることを示している。高スコアはまた、言語性知能および動作性知能の差異にも関する。
【0032】
難易度が徐々に高められる迷路設計で被験者をさらにテストするほど、より決定的な比較が可能になる。各追加テストは、10回のテストまで被験者の累計基準(cumulative baseline)に追加される。現在の被験者データを保護しかつ成熟(maturation)を最小化するために、各被験者の最新の(最近の)10回のテストを平均してその被験者の更新された基準を得る。被験者は、同一被験者内で、他の被験者に対して、選択集団(例えば、年齢または性別による選択集団)に対して、または臨床医もしくは研究者によってカスタマイズされたデータコレクションにおいて指定される特定の下位集団に対して比較されうる。適用される国のプライバシー保護法(例えば、HIPAA)および他の電子的な医療記録保管要件に準拠するために、全ての被験者データが匿名化され、暗号化されて多階層セキュリティのクラウドに格納される。
【0033】
最初のテストは、学習要因(learning factor)またはテスト中に発生する異常事態を計算に入れるために、各テストセッションにおいて破棄されうる。「高い」スコアは、衝突回数が多いことおよびテスト時間が長いことを示す。
【0034】
実験では、参加者は、出口地点に通じるルートを見つけなければならない複雑な通路網をたどるように要求された。参加者は、「ペン」で実線を横切らないように注意された。参加者は暗に、パターンを考えながら迷路に目を通し、出口地点までの通路を首尾よく進む方法を決定することが期待された。「袋小路」に入ることが、テストを終了する結果となる最終エラーであった。この場合、参加者は、スコアから減点することで同じ迷路を繰り返すことが許された。テストの特定の難易度レベルによって、被験者の試行を終了する失敗の典型的な回数が決定される。所定の迷路を完了するために必要な試行回数は、「利益を受ける」スキル、すなわち、システムのフィードバックと、先のエラーから学習したこととを基礎にするスキルの尺度を示す。各迷路を終了する秒数は、認知効率の指標とも、無作為の行為の特徴ともみなされることができる。時間が、早いが不正確な決断に基づき費やされうるからである。
【0035】
迷路は概して、選択的に連続する行為もしくは思考の選択、試行、却下、または採用等の一連の手順を評価するものと考えられる。
【0036】
プロセッサ106はカウントダウン機能を有するように構成されうる。このカウントダウン機能は、テストでドット502の移動が開始される時を再通知する。好ましくは全く壁にぶつかることなく、または誤って曲がることなく迷路の終わり(終点)までドット502を導くことが目的である。
【0037】
微細な運動制御の評価では、
図3に示される握力計134が利用される。ユーザは、握力計134を握り、指示された印加圧力レベルに従って一連の運動を指示された時間行う。圧力レベルや時間を、数オンスのような小さい圧力からポンド単位、すなわち数ポンドまでの大きい圧力、および数秒から1分までの時間としてもよい。スポーツ活動における復帰の状況では、一連の3種類のテストが利用される。プレイヤーの、テストの中で特定される力および時間に従う能力が、同一被験者内で、および他の被験者に対してまたは仲間集団に対して分析され、表示される。圧力センサ138は、ユーザのグリップから圧力の変化を検出し、データが握力計134の中のトランシーバーを介してプロセッサ106に送信される。プロセッサ106は、握力計134からのデータとテストの進行とを相互に関連付けてテスト結果を得る。このテスト結果は、既に説明した方法と同様にグラフで表示されうる。迷路テストおよび/または握力計134がバランスプレート102なしで使用されうることが理解されよう。
【0038】
バランス評価と組み合わせる他の有用なテストが認知テストである。認知評価の1つの好ましい形態では、「選択」認知テストが利用される。サンプルの選択テストが
図16および
図17に例示されている。この選択テストでは、被験者の、2つの記号のパターンを決定、記憶、および想起する能力をテストするように設計されたテストセットが利用される。キーボードの矢印キー(左右)等のユーザインタフェースを使用して特定の記号を選択する。好ましい第1のタスクは、パターンを決定することである。異なる色の異なる形状を有する2つの区別される記号が表示される。
図16では、これら形状は、画面600に示された円602および正方形604である。被験者は好ましくは、キーボード上の左右の矢印キーを使用するか、または、タッチパッド、タッチスクリーン、もしくはスマートフォン上の適切な個所に触れて選択を行う。システムは、被験者が正しいシンボルを選択したか否かを表示する。
図17は、被験者が正しい記号を選択した場合の画面606の例である。好ましい第2のタスクは、短期記憶を評価するために第1のステップにおいて発見されたパターンセットを想起することである。好ましくは、応答時間および選択が評価され、グラフ形式で、かつデータベースの平均に対して重み付けされた比較表示で表示される。選択テストでは好ましくは、流動性知能および結晶性知能の両方の要素がテストされる。流動性知能は通常、分析的推理に関する。結晶性知能は通常、過去の経験から蓄積された知識に関する。
【0039】
他の認知テストを利用してもよい。例えば、パターンを形成する一連の文字を使用して記憶の想起をテストしてもよい。上述のような形状を使用する場合、所望に応じて3種以上の形状および色を利用してもよいし、同じ形状または色の3種以上のパターンを利用してもよい。
【0040】
図18を参照する。簡易比較のために精度、合計時間、および評点を含む多数のテスト結果が表示されうる。例えば、迷路テスト結果を評価するために、テストの主な計測結果(合計テスト時間、被験者の入力操作回数、壁との衝突回数、および衝突時間)を使用して迷路テスト評点が計算されてスコア/評点が得られる。このスコア/評点は、1つの数値でテストの質および総合結果を表す。より低い評点がより良いスコアである。
【0041】
迷路テストの精度は、迷路の壁で費やされたのではない時間を、合計時間で割ったパーセンテージで計算される。被験者が20秒のテストのうち、壁に沿って移動することに5秒費やしていた場合、この迷路テストの精度は75%でありうる。したがって迷路テストの精度は、被験者の計画、洞察、固有受容感覚、および反射神経が組み合わされて作用する有効性と考えられる。例示的な配点として、衝突事象ごとに10点の加点、衝突の1秒ごとに10点の加点、入力操作ごとに3点の加点、および、テスト時間1秒ごとに3点の加点が含まれうる。
【0042】
選択テストおよび迷路テストの傾向分析を、
図18に示されるような認知グラフ画面において行うこともできる。
【0043】
さらに
図18を参照する。画面608は、特定の被験者が評点に関し平均を超えてテストを実行していることを示している。しかしながら、テスト2における被験者の完了時間は、システムの平均未満である。この被験者のテストはシステムの平均と比較されており、この平均は、全被験者によって特定のシステムに記録された全テストから得られたものである。
【0044】
図19は、研究データのポータル画面700を示す。このポータル画面700は、分析および比較のために、様々な研究のシステムおよびデータベースから収集された全データを格納および検索できるように構成されている。格納されている全データは匿名化されており、暗号化および様々な階層のセキュリティアクセスを使用して安全に格納されている。
【0045】
研究データポータルの目的は、データ収集設備が使用される研究所およびユーザサイトからの全データのための研究データ収集ハブとしての目的である。データ収集設備には、バランスプレート102および握力計134が含まれうる。データは、カスタムフィルタを使用し、かつ集団、民族性、性別、年齢、およびテストの種類に基づくデータにドリルダウンして分析、比較、およびエクスポート可能である。研究データポータルは基本的には、分析のための大きく拡大された累積的研究データプールを提供する。
【0046】
研究データポータルはまた、研究者が検索およびダウンロードするための研究出版物データベースを含む。研究データポータルはまた、メンバーコミュニティを含んでおり、メンバーが他のメンバーに連絡して共同プロジェクトを創り出すことができ、様々なデータ収集デバイスを使用してメンバーの経験を共有することができる。追加的に、各機関が各機関のデータを安全にかつ非公開で格納するためにネットワークテンプレートが構築されうる。データを研究データポータルに送信しかつユーザの研究データポータルへの安全な接続を可能化するデスクトップアプリケーションおよびモバイルアプリケーションが構成されていてもよい。
【0047】
前述の説明は例示に過ぎず、本発明の範囲から逸脱しないように大幅に変えてもよい。単なる例示として、本システムは、テストを提示する固定ディスプレイの代わりにバーチャルリアリティおよび/またはホログラフィックイメージを利用するように修正されうる。
【0048】
一実施形態について説明した特徴は適宜、本発明の範囲を逸脱しないように他の実施形態に適用されうるか、または他の実施形態の特徴と組み合されうるかもしくはこれら特徴と交換されうる。
【0049】
本明細書の検討および本明細書に開示された本発明の実務から、当業者には本発明の他の実施形態が明らかであろう。本明細書および実施例が単なる例示として考慮され、添付の請求項が本発明の真の範囲および精神を示すことが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2015年12月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両足でバランスプレートの上に立つ患者の、前記患者の全身の足圧中心(Center of Pressure; COP)の動的重量分布データを計測するための前記バランスプレートであって、少なくとも1つのロードセルを有する前記バランスプレートと;
視覚ディスプレイと;
前記バランスプレートと作動的に通信し合うプロセッサであって、前記視覚ディスプレイに表示された第1の所定箇所から少なくとも第2の所定箇所まで前記患者のCOPを前記患者が誠実に移動する能力に関するデータを生成するように構成されており、前記データは、前記患者が前記バランスプレートの上にいる間に前記バランスプレートによってリアルタイムに計測された前記COPの動的重量分布データを使用して生成される、プロセッサと、を備える、
患者のリハビリテーションのためのシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記患者のCOPの移動に合わせて前記ディスプレイ中を移動するアイコンとして前記患者のCOPを描写するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記ディスプレイに前記第1の所定箇所および前記第2の所定箇所を示すように構成されている、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記所定箇所はそれぞれ文字を表し、前記患者は文字から文字に前記患者のCOPを移動して認識可能な単語を綴る、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記所定箇所は始点および終点を含み、前記患者は前記始点から前記終点まで前記患者のCOPを移動する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の所定箇所から少なくとも前記第2の所定箇所までの前記患者のCOPの移動は、前記プロセッサによって追跡され、前記ディスプレイにトレースとして表される、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記バランスプレートは、所定の時間に亘って前記患者の前記COPの変動の大きさを計測するように構成されている、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
患者プロフィールの電子データベースであって、各プロフィールが前記プロセッサによって生成された前記データを有する少なくとも1つの記録を含む、電子データベースをさらに備える、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
各患者プロフィールが複数の記録を含み、前記プロセッサは、前記患者のリハビリテーションの評価を可能にするために前記患者の2つ以上の記録を比較するように構成されている、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ディスプレイは、前記患者によって着用可能である、
請求項1〜9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
ディスプレイに第1の所定箇所および少なくとも第2の所定箇所を示すステップと;
バランスプレートを用いて患者の全身の足圧中心を計測するステップと;
前記患者の足圧中心をアイコンとして前記ディスプレイに表すステップと;
前記患者が両足で前記バランスプレートの上に立っている間に前記患者の足圧中心の移動を前記バランスプレートの上で検出するステップと;
前記患者が前記バランスプレートの上にいる間に前記バランスプレートの上で検出された前記患者の足圧中心の前記移動に合わせて前記患者の足圧中心を表す前記アイコンをリアルタイムに前記ディスプレイで移動するステップと、を含む、
患者のリハビリテーションを評価するための方法。
【請求項12】
難易度レベルが徐々に高められる設定経路に沿って前記第1の所定箇所から少なくとも前記第2の所定箇所まで前記患者の足圧中心を前記患者が誠実に移動する能力を、プロセッサを用いて分析するステップをさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
難易度レベルが徐々に高められる設定経路に沿った前記第1の所定箇所から少なくとも前記第2の所定箇所までの前記患者の足圧中心の移動のトレースを生成するステップをさらに含む、
請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
各所定箇所が文字を表し、前記トレースが前記文字を接続して認識可能な単語を形成する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記患者のバランス能力を確認するために少なくとも第2のトレースを生成しかつ少なくとも2つのトレースを比較するステップをさらに含む、
請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記患者のリハビリテーション効果を計測するために少なくとも第2のトレースを生成しかつ少なくとも2つのトレースを比較するステップをさらに含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
難易度レベルが徐々に高められうる設定経路に沿った前記第1の所定箇所から少なくとも前記第2の所定箇所の方向への前記患者の足圧中心の移動に関するデータを電子データベース上の患者プロフィール内に格納するステップをさらに含む、
請求項11〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記患者プロフィールのデータと複数の他の患者の標準化データとを比較して前記標準化データに対する前記患者のバランス能力を確認するステップをさらに含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記患者プロフィールのデータと複数の他の患者の標準化データとを比較して前記標準化データに対する前記患者のリハビリテーション効果を確認するステップをさらに含む、
請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記所定箇所のそれぞれが文字を表す場合に、前記ディスプレイ上の前記アイコンによって表される前記患者の足圧中心を前記ディスプレイ上の複数の前記所定箇所を通して移動することによって所定の単語を形成するように前記患者に指示するステップをさらに含む、
請求項11〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記患者の足圧中心が計測されている間、前記患者に前記ディスプレイを着用させるステップをさらに含む、
請求項11〜20のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】