特表2017-522982(P2017-522982A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-522982調節可能な支柱長さおよび動的な支柱の伸長を備えた膝装具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-522982(P2017-522982A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(54)【発明の名称】調節可能な支柱長さおよび動的な支柱の伸長を備えた膝装具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20170721BHJP
   A61F 5/052 20060101ALI20170721BHJP
   A61F 5/01 20060101ALI20170721BHJP
【FI】
   A61F5/02 N
   A61F5/052
   A61F5/01 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-506260(P2017-506260)
(86)(22)【出願日】2015年8月5日
(85)【翻訳文提出日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】US2015043741
(87)【国際公開番号】WO2016022638
(87)【国際公開日】20160211
(31)【優先権主張番号】62/033,553
(32)【優先日】2014年8月5日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516031277
【氏名又は名称】ユナイテッド サージカル アソシエイツ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】UNITED SURGICAL ASSOCIATES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ティー.メイソン
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル エス.モワール
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ケー.ボウマン
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA01
4C098AA02
4C098BB11
4C098BC02
4C098BC04
4C098BC08
4C098BC15
4C098BC41
4C098BC42
4C098BC45
4C098BD01
(57)【要約】
膝装具は、上部カフ(28)を有し上部カフ(28)から内側および外側支柱(20、16)が延在する上部取付アセンブリ(12)と、下部カフ(30)を有し下部カフ(30)から下部内側および外側支柱(22、18)が延在する下部取付アセンブリ(14)とを組み込む。上部および下部内側支柱は内側ヒンジアセンブリ(26)によって使用者の膝の近くで接続され、上部および下部外側支柱は外側ヒンジアセンブリ(24)によって使用者の膝の近くで接続される。支柱の少なくとも1つは、上部および下部取付アセンブリが屈曲位置と伸長位置の間で屈曲すると、支柱を、関連するヒンジ内でその支柱の回転点に対して動的に伸長する機構を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝装具であって、
上部カフ(28)を有し前記上部カフ(28)から内側および外側支柱(20、16)が延在する上部取付アセンブリ(12)と、
下部カフ(30)を有し前記下部カフ(30)から下部内側および外側支柱(22、18)が延在する下部取付アセンブリ(14)とを含み、前記上部および下部内側支柱は内側ヒンジアセンブリ(26)によって使用者の膝の近くで接続され、前記上部および下部外側支柱は外側ヒンジアセンブリ(24)によって使用者の膝の近くで接続され、
前記支柱の少なくとも1つが、前記上部および下部取付アセンブリが屈曲位置と伸長位置の間で屈曲すると、前記少なくとも1つの支柱の長さを、関連するヒンジアセンブリ内で前記少なくとも1つの支柱の回転点に対して動的に変化させる機構を有する、膝装具。
【請求項2】
前記機構が、
前記回転点において回転ピン(42)に接続された伸縮部材(48)と、
前記少なくとも1つの支柱の接合部に接続されたサドル(52)であって、収縮位置から伸長位置までの範囲を通した往復運動のために前記伸縮部材を受け入れるチャネル(50)を有し、および傾斜部(82)を備えた周囲面を有するサドル(52)と、
関連するヒンジアセンブリに固定されたローラ(84)であって、前記サドルを前記収縮位置から前記伸長位置へ進めるために前記上部および下部取付アセンブリが屈曲位置と伸長位置の間で屈曲する間に前記傾斜部と接触するローラ(84)と
を含む、請求項1に記載の膝装具。
【請求項3】
前記ローラが、前記伸縮部材およびサドルの収縮位置と伸長位置の間の長さを変えるように調節可能である、請求項2に記載の膝装具。
【請求項4】
前記支柱の少なくとも第2の支柱が、前記少なくとも1つの第2の支柱の長さを非動的に調節するための第2の機構を有する、請求項1に記載の膝装具。
【請求項5】
前記第2の機構が、
回転点において回転ピン(58)に接続された第2の伸縮部材(64)と、
前記少なくとも1つの第2の支柱の接合部に接続された第2のサドル(68)であって、後退位置から伸長位置までの範囲を通した調節可能な移動のために前記第2の伸縮部材を受け入れるチャネル(66)を有する第2のサドル(68)と、
前記第2の伸縮部材中のねじ穴(98)の中に収容されるねじ山付きロッド(96)であって、前記第2のサドル内の前記チャネル内で前記伸縮部材を伸長または後退させるために調整ノブ(70)によって回転可能なねじ山付きロッド(96)と
を含む、請求項4に記載の膝装具。
【請求項6】
前記サドルが、ヒンジ(54)によって前記少なくとも1つの支柱の接合部に取り付けられる、請求項2に記載の膝装具。
【請求項7】
前記第2のサドルが、ヒンジ(72)によって前記少なくとも1つの第2の支柱の接合部に取り付けられる、請求項5に記載の膝装具。
【請求項8】
前記上部カフの近くで前記上部内側支柱に取り付けられ、前記上部内側支柱に対して角度的に順応する上部内側パッド(32)
をさらに含む、請求項1に記載の膝装具。
【請求項9】
前記下部カフの近くで前記下部内側支柱に取り付けられ、前記下部内側支柱に対して角度的に順応する下部内側(34)パッド
をさらに含む、請求項1に記載の膝装具。
【請求項10】
前記機構が、
前記回転点において回転ピンに接続された伸縮部材(48)と、
前記少なくとも1つの支柱の接合部に接続されたサドル(52)であって、伸長位置から収縮位置までの範囲を通した往復運動のために前記伸縮部材を受け入れるチャネル(50)を有するサドル(52)と、
前記サドルに固定されたローラ(84’)であって、前記サドルを前記伸長位置から前記収縮位置へ進めるために前記上部および下部取付アセンブリが屈曲位置と伸長位置の間で屈曲する間に前記ヒンジアセンブリに固定された傾斜部(82’)と接触するローラ(84’)と
を含む、請求項1に記載の膝装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年8月5日に出願され本出願と共通の譲受人を有する米国仮特許出願第62/033,553号の優先権を主張する。前出の仮特許出願の開示内容は、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は広義には解剖学的な支持装具の分野に関し、詳細には、膝にかかる横方向の負荷を誘起するために屈曲位置から伸長位置までの膝の屈曲の範囲にわたって支柱の長さを変えるための整形外科用膝装具のシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
骨関節炎を含む特定の状態は、適切な解剖学的な支持装具を用いて処置され得る。これは特に膝の場合にあてはまる。しかしながら、膝関節炎の場合に緩和をもたらす一次的な要素は、伸長位置において膝関節の負荷を非対称的に解放することの必要性であり、または屈曲および伸長位置の間で脚部の大腿部とふくらはぎの間の内側/外側角度を変えることの必要性である。この複雑な動きは従来技術の装具において試行されてきた。しかしながら、それらの機構は複雑であり、費用が掛かり、および調節に特に従順というわけではないことが判明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、屈曲位置から伸長位置まで支柱の長さを提供するおよび増大または低減する支柱システム整形外科用装具を提供することが望ましい。同じく、可変側方負荷または角度変化を達成するために支柱長さの調節を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示される実施形態は、上部カフを有し上部カフから内側および外側支柱が延在する上部取付アセンブリと、下部カフを有し下部カフから下部内側および外側支柱が延在する下部取付アセンブリとを有する膝装具を提供する。上部および下部内側支柱は内側ヒンジアセンブリによって使用者の膝の近くで接続され、上部および下部外側支柱は外側ヒンジアセンブリによって使用者の膝の近くで接続される。支柱の少なくとも1つは、上部および下部取付アセンブリが屈曲位置と伸長位置の間で屈曲すると、支柱を、関連するヒンジ内でその支柱の回転点に対して動的に伸長する機構を含む。
【0006】
考察してきた特徴、機能および利点は、本開示の様々な実施形態において独立して達成可能であり、または、さらに他の実施形態において組み合わされてもよく、そのさらなる詳細は、以下に続く記載および図面を参照して理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】屈曲位置から伸長位置まで装具が移動すると内側支柱を動的に伸長する膝装具の例示的実施形態の絵図である。
図2図1の実施形態の内側支柱の側面図である。
図3図1の実施形態の外側支柱の側面図である。
図4A】前記実施形態の上部内側支柱の動的伸長機構の詳細な側面図である。
図4B】脚部の屈曲位置における装具の内側支柱の側面図である。
図4C】動的伸長の開始前の脚部の第1の部分的伸長位置における装具の内側支柱の側面図である。
図4D】動的伸長の間の脚部の第2の部分的伸長位置における装具の内側支柱の側面図である。
図4E】完全動的伸長による脚部の完全伸長位置における装具の内側支柱の側面図である。
図4F】調節可能な動的伸長機構の細部の側面図である。
図4G】収縮による長さの動的な変化を備えた代替的な動的支柱の細部を示す脚部の屈曲位置の側面図である。
図4H図4Gの実施形態の脚部の伸長位置の側面図である。
図5A】最小長さに調節された実施形態の外側支柱の非動的な長さ調節機構の詳細な側面図である。
図5B】最大長さに調節された実施形態の外側支柱の非動的な長さ調節機構の詳細な側面図である。
図5C】最小長さに調節された実施形態の外側支柱の非動的な長さ調節機構の長さ測定表示を示す外側ヒンジの詳細な側面図である。
図5D】最大長さに調節された実施形態の外側支柱の非動的な長さ調節機構の長さ測定表示を示す外側ヒンジの詳細な側面図である。
図6】上部取付アセンブリと下部取付アセンブリの角度的な関係を実証する装具の正面図である。
図7】上部取付アセンブリの詳細な背面図であり上部パッドは第1の角度で取り付けられている。
図8】上部取付アセンブリの詳細な背面図であり上部パッドは第2の角度で取り付けられている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に開示される実施形態は膝装具に関し、この膝装具は装具が屈曲角度を変えるにつれて長さを変える動的支柱を装具の一方の側に組み込む。代替実施形態では、動的支柱は伸長または収縮し得る。第2の実施形態は、手動調節可能な動的支柱を装具の一方の側に含み、この手動調節可能な動的支柱は、装具が屈曲角度を変えるにつれて支柱が長さを変える量を調節する。第3の実施形態は、支柱の長さを手動で変えるが屈曲角度と共に変化しない調節可能な支柱を装具の一方の側に提供する。第4の実施形態は、装具の一方の側の手動調節可能な支柱と、他方側の非調節可能な動的支柱との両方の組み合わせを提供する。第5の実施形態は、装具の一方の側の手動調節可能な支柱と、他方側の手動調節可能な動的支柱との組み合わせを提供する。
【0009】
図1を参照すると、例示的な整形外科用膝装具10は、患者の大腿部に受け止められる上部取付アセンブリ12と、患者の下腿部に受け止められる下部取付アセンブリ14とから構成される。装具10は上部外側支柱16および下部外側支柱18と、上部内側支柱20および下部内側支柱22とを含む。ヒンジアセンブリ24および26が、それぞれ、上部および下部外側支柱を、および上部および下部内側支柱を相互に接続する。上部取付アセンブリ12は、前方アーチ状支持部またはカフ28を含み、前方アーチ状支持部またはカフ28は、上部外側支柱16と上部内側支柱20との間に延在し、使用者の大腿部の使用者の前方表面と係合し、実質的に剛性の上部外側支柱16および上部内側支柱20を、脚部の下方へ延在し実質的に使用者の膝の所でヒンジアセンブリと合うように位置付ける。下部取付アセンブリ14は同じく前方アーチ状支持部またはカフ30を含み、前方アーチ状支持部またはカフ30は、下部外側支柱18と下部内側支柱20との間に延在し、使用者の下腿部の脛または前方部分と係合し、実質的に剛性の下部外側支柱18および下部内側支柱22を、脚部の上方へ延在し実質的に使用者の膝の所でヒンジアセンブリと合うように位置付ける。上部取付アセンブリ12は、使用者の大腿部の内側表面と接触する上部係合パッド32(時に「羽根」または「パドル」とも称される)を含む。下部取付アセンブリ14は、使用者の下腿部の内側表面と接触する下部係合パッド34を含む。ストラップ係合要素36および張力付与機構38が、装具10を使用者の脚部に固定するために支柱の様々な位置で使用される。この用途のための例示的な要素および機構は、本出願と共通の譲受人を有するOrthopedic Brace Securing and Tensioning Systemと題された同時係属出願の米国仮特許出願第61/860,215号に開示されているかもしれない。前出の仮特許出願の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
図2は、ヒンジ26で係合された上部内側支柱20および下部内側支柱22を示す。ヒンジのカバープレートは取り除かれ、係合の細部を示している。例示的な実施形態に関して、装具10の内側は、膝に無負荷状態を作り出すための動的支柱を組み込む。下部内側支柱22は、枢動ピン40でヒンジに係合され、枢動ピン40は支柱がその周りを回転する地点を提供する。上部内側支柱20は同様に、枢動ピン42によって係合され、枢動ピン42は上部支柱がその周りを回転する地点を提供する。上部内側支柱20の周囲面の係合歯44および下部内側支柱22の相手方周囲面の係合歯46は、相互に係合し、ヒンジでの支柱の回転を調整する。支柱の動的伸長の機構は、枢動ピン42に固定されかつサドル52内のチャネル50内に受け入れられる伸縮部材(buck)48によって提供され、その作動は以下でより詳細に記載され、伸縮部材は、上部および下部内側支柱が屈曲位置から伸長位置へ回転されるとき上部内側支柱20の全長を増減するためにサドルに対してチャネル50内を摺動する。サドル52は、ヒンジ54によって上部内側支柱20の接合部53に固定され、上部内側支柱20と下部内側支柱22との間の横方向角度変化を許容する。
【0011】
図3に示されるように、上部外側支柱16および下部外側支柱18はヒンジ24で係合する。ヒンジのカバープレートは取り除かれ、係合の細部を示している。例示的な実施形態に関して、装具10の外側は、支柱の長さを内側支柱に対して変えるが装具の角度的屈曲および伸長を通して長さを変えないことによって膝の無負荷状態を調節するために手動調節可能な支柱を組み込む。下部外側支柱18は、枢動ピン56でヒンジに係合され、枢動ピン56の周りを支柱が回転する。上部外側支柱16は同様に、枢動ピン58によって係合され、枢動ピン58の周りを上部支柱が回転する。上部外側支柱16の周囲面の係合歯60および下部外側支柱18の相手方周囲面の係合歯62は、相互に係合し、ヒンジ内で支柱の回転を調整する。支柱の長さを調節するための機構は、枢動ピン58に固定されかつサドル68内のチャネル66内に受け入れられる伸縮部材64によって提供され、その作動は以下でより詳細に記載され、伸縮部材は、調節ホイール70によって制御されるとき上部外側支柱の長さを増減するためにサドルに対してチャネル66内を摺動する。サドル68は、ヒンジ72によって支柱16の接合部71に固定され、上部外側支柱16と下部外側支柱18との間の横方向角度変化を許容する。
【0012】
動的に伸長する支柱の作動要素が、図4A〜4Dに詳細に示されている。図4Aに示されるように、伸縮部材48はリリーフ74を含み、その中には、サドル52から突出する停止ピン76が収容されている。チャネル50内の伸縮部材48の移動は、上部終端78および下部終端80における停止ピン76の係合によって制限される。装具の完全に伸長された位置における支柱の伸長は、サドル52の下部周囲面の傾斜部82の、枢動ピン42によって確立された回転点からオフセットされたヒンジ24のカバー86に固定されたピン留めローラ84との係合によって引き起こされる。ローラ84および枢動ピン42の相対位置は、ローラが傾斜部と接触する屈曲角度を決定する。
【0013】
装具が屈曲位置にある図4Bで見られるように、伸縮部材48は、チャネル50内で実質的に完全に後退され、このとき停止ピン76はリリーフ74の下部終端80で係合されている。傾斜部82はローラ84と接触していない。この構成において、回転点42から、係合パッド32の係合地点に表示された表示88まで延在する測定される上部内側支柱16の長さLは最小である。装具が屈曲位置から伸長され、および上部内側支柱が回転点の周りを回転するとき、接触点に到達し、ここで、ローラ84は図4Cに示されるように傾斜部82と接触する。この接触点で、伸縮部材48は、実質的に完全に後退された状態に維持され、および上部内側支柱16の長さLは変更されない。図4Dに示されるように装具がさらに伸長されると、傾斜部82はローラ84に押し付けられ、チャネル50内の伸縮部材48の伸長を促し、この際サドル52は上方へ押される。この構成において、上部内側支柱16の長さL’は、サドル52に対する伸縮部材48の移動のおよそ2分の1だけ伸長し、このとき停止ピン76はリリーフ74内でほぼ中間へ移動した状態である。装具が図4Eに示されるように完全伸長位置に到達するとき、傾斜部82およびローラ84の係合は、伸縮部材58の伸長を、サドル52に対するチャネル50内の完全伸長位置まで促した。停止ピン76はリリーフ74の長さを移動し、上部終端78で係合される。この完全伸長位置において、上部内側支柱16の長さL’’は最大である。傾斜部82は、ローラ84と有利に接触するために、または支柱の伸長対装具の屈曲の割合を変更するために、曲線状であってもよい。例示的な実施形態において、完全圧縮位置から完全伸長位置への動的支柱の完全な移動は、最大0.5インチであり得る。
【0014】
装具が完全伸長位置から屈曲されるとき、ローラ84上での傾斜部82の反転移動およびそれに続くローラからの傾斜部の分離により、記載されている伸長位置が反転するチャネル50内の伸縮部材48の収縮がもたらされる。上部内側支柱16の動的伸長の長さは、傾斜部82の係合に対するローラ84の位置を調節することによって変更され得る。図4Fに示されるように、ローラ84は、回転可能な調節ホイール92を備えた後退可能なロッド90に取り付けられてもよく、回転可能な調節ホイール92は、ロッド上のねじ山付き端部94を伸長または後退させる。ロッド90の後退は、ローラ84と傾斜部82の接触を遅らせ、伸縮部材48とサドル52の間の相対移動の量を低減する。
【0015】
代替実施形態において、支柱の長さを変更することは、図4Gおよび4Hに示されるように支柱を収縮することによって達成され得る。図4Gに示されるように、装具が屈曲位置にある状態で、伸縮部材48はチャネル50内で実質的に完全に伸長され、このとき停止ピン76はリリーフ74の上部終端78で係合されている。固定ヒンジカバーと一体化される傾斜部82’は、サドルに取り付けられたローラ84’と接触しない。この構成において、回転点42から、係合パッド32の係合点に表示された表示88まで延在する測定された上部内側支柱16の長さLは最大である。
【0016】
図4Hに示されるように、脚部が完全伸長位置にある状態で、傾斜部82’およびローラ84’の係合は、サドル52に対するチャネル50内の完全後退位置への伸縮部材58の収縮を促す。停止ピン76はリリーフ74の長さを移動し、下部終端80で係合する。この完全収縮位置において、上部内側支柱16の長さL’’’は最小である。傾斜部82’はローラ84’と有利に接触するために、または支柱の収縮対装具の屈曲の割合を変更するために、曲線状であってもよい。
【0017】
図5A〜5Dに詳細に示されるように、上部外側支柱20の長さの非動的調節は、サドル68のチャネル66内の伸縮部材64の調節によって達成される。ねじ山付きロッド96が調節ホイール70から延在し、伸縮部材64のねじ穴98の中に収容される。調節ホイール70は、サドルのポケット100内に拘束され、ホイールの回転は、チャネル66内の伸縮部材64の伸長または後退をもたらす。図5Aは伸縮部材64を完全後退位置で示す。図5Bは伸縮部材64を完全伸長位置で示す。伸縮部材64内のリリーフ102はサドル66から延在する停止ピン104と係合し、停止ピンは完全伸長位置においてリリーフ102の上部終端106と、および完全後退位置においてリリーフ102の下部終端108と接触することによって伸縮部材の移動を制限する。伸長の長さを測定するための表示が、図5Cおよび5Dに示されるように提供され得る。関連する数値インジケータ112を備えた目盛り線110がサドル66に提供される。ヒンジ24のケース114の上縁部は、目盛り線110との整列によって、伸長の量の視覚的な表示を提供する。
【0018】
使用者に解剖学的調節を付与する装具10の作動が図6に実証されている。上部取付アセンブリ12の公称軸114および下部取付アセンブリ14の公称軸116は角度Aで交差する。脚部の屈曲位置から伸長位置まで装具が動く間の上部取付アセンブリの外側支柱の固定長さLfに対する上部取付アセンブリの内側支柱の長さLdの動的な伸長(または代替実施形態においては収縮)は、角度Aの変更を促す、または代替的には、伸長位置において膝関節の内側部分を無負荷にするヒンジ24(パッド25が取り付けられている場合がある)での膝における反応力によって、使用者の上脚部または大腿部に作用する上部カフ28および上部内側パッド32と、下脚部に作用する下部カフ30および下部内側パッド34とを介して及ぼされる膝関節における内側から外側への力の適用を促す。相対角度または力の変化は、図4Fに関連して記載した動的な伸長調節によって、または図5Aおよび5Bに関連して記載したような非動的な調節によって、調節可能である。
【0019】
上部および下部内側パッド32、34は、それらが取り付けられる支柱に対して角度的に従う(あらゆる角度方向に角度的に変位可能である)ボールおよびソケット配列またはロッドおよび球体軸受アタッチメントなどの多方向ジョイントによって、上部および下部内側支柱16、18に取り付けられる。これは装具の上部および下部取付アセンブリおよび脚部に角度的な逃げをもたらし、および図7および8に示される。図7に示されるような第1負荷による上部パッド32の角度Pは、図8(明確にするために誇張されている)に示されるような第2負荷下の上部パッド32の場合の修正された角度P’へ変化し、それにより、装具によって脚部に対して付与される望ましくないねじり歪みなしに必要な相対力を装具が誘起することを許容する。下部パッド34は下部内側支柱と整列するために同じように回転する。装具の伸長は内側または外側の負荷解放をもたらし得る。図面に示される実施形態は右脚内側負荷解放装置に関するものである。外側負荷解放に対応するために、パッド32、34は外側支柱に配置されてもよく、および図6に示されるパッド25は内側ヒンジカバーへ移動されてもよい。
【0020】
本明細書に記載される実施形態は右脚の内側負荷解放に関する装具の内側における動的支柱と外側における非動的長さ調節とを示す一方、代替実施形態は、外側負荷解放のために、およびまた左脚のためにどちらか一方の選択肢が取り付けられるように、それらの機能を反対側で使用してもよい。同様に、実施形態は上部支柱の伸長または収縮用の作動要素について記載しているが、伸長および収縮用の作動要素は、下部支柱において使用されてもよく、または上部および下部支柱の両方において組み合せて使用されてもよい。方向に関する用語、上方および下方ならびに上部および下部は、図面に関連付けられる説明に関連して使用されているが、記載される実施形態の要素間の相対的な位置付けを提供することを除き制限的な効力はない。
【0021】
特許法によって要求されるように本開示の様々な実施形態を詳細に記載してきたが、当業者であれば本明細書に開示される特定の実施形態の修正形態および代替形態を認識するであろう。そのような修正形態は後続の請求項において定義される本開示の範囲および趣旨内にある。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
【国際調査報告】