(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-523136(P2017-523136A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(54)【発明の名称】抗体誘導ワクチン及び迅速な成熟免疫応答の発生のための使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20170721BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20170721BHJP
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C12N 1/13 20060101ALI20170721BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20170721BHJP
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C12N 1/19 20060101ALI20170721BHJP
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C07K 16/46 20060101ALI20170721BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20170721BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20170721BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20170721BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20170721BHJP
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A61K 39/08 20060101ALI20170721BHJP
A61K 39/106 20060101ALI20170721BHJP
A61K 39/108 20060101ALI20170721BHJP
A61K 39/02 20060101ALI20170721BHJP
A61K 39/085 20060101ALI20170721BHJP
A61K 39/09 20060101ALI20170721BHJP
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A61K 9/48 20060101ALI20170721BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20170721BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20170721BHJP
【FI】
A61K39/395 R
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C12N15/00 A
C12N1/13
C12N1/15
C12N1/21
C12N1/19
C12N5/10
C07K16/46
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A61K39/395 L
A61K47/68
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A61P31/12 171
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A61K39/135
A61K39/12
A61K9/48
A61K39/39
G01N33/53 D
G01N33/53 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2016-571188(P2016-571188)
(86)(22)【出願日】2015年6月4日
(85)【翻訳文提出日】2017年2月6日
(86)【国際出願番号】US2015034229
(87)【国際公開番号】WO2015187969
(87)【国際公開日】20151210
(31)【優先権主張番号】62/008,178
(32)【優先日】2014年6月5日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】500467264
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ アーカンソー
(71)【出願人】
【識別番号】507191005
【氏名又は名称】ザ テキサス エイ・アンド・エム ユニヴァーシティ システム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン ルーク
(72)【発明者】
【氏名】チェン チャン−シン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ウェン−コ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォン クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】ワゲラ スリャカント
(72)【発明者】
【氏名】ムアンギ ウェイサカ
(72)【発明者】
【氏名】ハーギス ビリー
(72)【発明者】
【氏名】アビ−ガネム ダード
(72)【発明者】
【氏名】ビエルケ リサ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA91X
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4B065AB01
4B065AB05
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4C085GG08
4H045AA10
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4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA31
4H045FA74
(57)【要約】
アジュバント組成物、ワクチン、前記アジュバント組成物及びワクチンを調製するための構築物、並びに前記アジュバント組成物及びワクチンを用いて対象で免疫応答を強化する方法が本明細書で提供される。特に、ワクチンに対し迅速な抗体応答(IgG(循環中)及びsIgA(粘膜分泌IgA)の両方を含む)が誘引される。前記アジュバント及びワクチンを皮下又は粘膜投与に用いて、対象を低コストで効果的にワクチン免疫することができる。抗原性エピトープを迅速に認定するエピトープマッピング方法もまた提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アジュバント組成物であって、
特異的にCD40と結合しCD40シグナリングを誘発することができる少なくとも2つのF(ab)領域を含む、少なくとも1つの第一のCD40アゴニスト抗体又はその部分と、
特異的に微生物と結合することができる少なくとも2つのF(ab)領域を含む、少なくとも1つの第二の抗体又はその部分と、
前記少なくとも1つの第一のCD40アゴニスト抗体又はその部分及び前記少なくとも1つの第二の抗体又はその部分に取り付けられた少なくとも1つの標識と、
前記標識と特異的に結合することができるリンカー部分と
を含み、前記少なくとも1つの第一のCD40アゴニスト抗体及び前記少なくとも1つの第二の抗体が前記リンカー部分に結合されて複合体を形成している、前記アジュバント組成物。
【請求項2】
前記リンカー部分が、前記第一のCD40アゴニスト抗体及び前記第二の抗体上の標識と非共有結合により結合している、請求項1に記載のアジュバント組成物。
【請求項3】
前記第一のCD40アゴニスト抗体の2つ以上及び前記第二の抗体の2つ以上が、前記リンカー部分に結合されて複合体を形成している、請求項1又は2に記載のアジュバント組成物。
【請求項4】
前記標識が、前記抗体の各々に共有結合されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
【請求項5】
前記第一のCD40アゴニスト抗体及び前記第二の抗体の各々上の標識が、ビオチンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
【請求項6】
前記リンカー部分が、アビジン又はストレプトアビジンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
【請求項7】
前記第二の抗体が特異的に結合する微生物が、細菌又はウイルスである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
【請求項8】
前記第二の抗体が、インフルエンザウイルス、サルモネラ属(Salmonella)、クロストリジウム属(Clostridium)、カンピロバクター属(Campylobacter)、大腸菌属(Escherichia)、赤痢菌属(Shigella)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、ビブリオ属(Vibrio)、プレジオモナス属(Plesiomonas)、エドワルジア属(Edwardia)、クロストリジア(Clostridia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、連鎖球菌属(Streptococcus)、アエロモナス属(Aeromonas)、口蹄疫ウイルス、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDv)、及びブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)からなる群から選択される微生物と特異的に結合する、請求項7に記載のアジュバント組成物。
【請求項9】
前記第二の抗体がインフルエンザM2eと結合する、請求項8に記載のアジュバント組成物。
【請求項10】
前記第一のCD40アゴニスト抗体又はその部分が、以下のうちの少なくとも1つからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載のアジュバント組成物:
a.配列番号:2及び配列番号:4が含まれる抗体(2C5);
b.配列番号:14が含まれる抗体(DAG1);
c.重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域を含む抗体又はその部分であって、前記重鎖可変領域が、配列番号:5に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:6に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:7に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:8に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:9に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:10に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含む、当該抗体又はその部分;並びに
d.重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域を含む抗体又はその部分であって、前記重鎖可変領域が、配列番号:20に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:21に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:22に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:17に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:18に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:19に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含む、当該抗体又はその部分。
【請求項11】
前記第一のCD40アゴニスト抗体が、ニワトリ、シチメンチョウ、ウシ、ブタ、魚類、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ及び他の家畜動物からなる群から選択される種に由来するCD40ポリペプチドに特異的である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のアジュバント組成物を含み、さらに前記微生物を含むワクチンであって、前記アジュバント組成物は前記微生物に特異的に結合される、前記ワクチン。
【請求項13】
前記微生物がインフルエンザウイルスである、請求項12に記載のワクチン。
【請求項14】
前記微生物が死滅又は不活化されている、請求項12〜13のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項15】
前記ワクチンがアルギネート球内に含まれる、請求項12〜14のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか1項に記載のワクチン又は請求項1〜11のいずれか1項に記載のアジュバント組成物であって、前記微生物の血清型が不明である、前記ワクチン又はアジュバント組成物。
【請求項17】
少なくとも1つのF(ab)領域を含むCD40アゴニスト抗体又はその部分であって、以下のうちの少なくとも1つからなる群から選択される、前記CD40アゴニスト抗体又はその部分:
a.配列番号:2及び配列番号:4が含まれる抗体(2C5);
b.配列番号:14を含む抗体(DAG1);
c.重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域を含む抗体又はその部分であって、前記重鎖可変領域が、配列番号:5に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:6に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:7に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:8に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:9に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:10に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含む、当該抗体又はその部分(2C5);並びに
d.重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域を含む抗体又はその部分であって、前記重鎖可変領域が、配列番号:20に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:21に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:22に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:17に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:18に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:19に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含む、当該抗体又はその部分(DAG1)。
【請求項18】
リンカー部分によって抗原と連結されている請求項17に記載のCD40アゴニスト抗体又はその部分を含む、ワクチン。
【請求項19】
前記リンカー部分がペプチドである、請求項18に記載のワクチン。
【請求項20】
前記リンカー部分がストレプトアビジンであり、前記CD40アゴニスト抗体がビオチン化され、かつ前記抗原がビオチン化されて、前記リンカー部分が前記CD40アゴニスト抗体と前記抗原を連結可能としている、請求項18に記載のワクチン。
【請求項21】
前記抗原がワクチンである、請求項18〜20のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項22】
前記抗原がインフルエンザウイルスである、請求項18〜20のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項23】
前記抗原が微生物である、請求項18〜20のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項24】
前記微生物が、サルモネラ属、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、カンピロバクター属、大腸菌属、赤痢菌属、ヘリコバクター属、ビブリオ属、プレジオモナス属、エドワルジア属、クロストリジア、クレブシエラ属、ブドウ球菌属、連鎖球菌属、アエロモナス属、口蹄疫ウイルス、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDv)、及びブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)からなる群から選択される、請求項23に記載のワクチン。
【請求項25】
前記抗原がペプチドである、請求項18〜20のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項26】
前記ワクチンがアルギネート球内に含まれる、請求項18〜25のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項27】
請求項12〜16及び18〜26のいずれか1項に記載のワクチンと、医薬的に許容できる担体とを含む、医薬組成物。
【請求項28】
対象において免疫応答を強化する方法であって、請求項12〜16及び18〜26のいずれか1項に記載のワクチン又は請求項27に記載の組成物を、前記抗原又は微生物に対する免疫応答を強化するのに有効な量で前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項29】
投与が粘膜ルート又は皮下ルートによる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記粘膜ルートが経口、総排泄腔、鼻又は眼である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ワクチンが食物又は飲み水で投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
IgG及びIgA応答が強化される、請求項28〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記免疫応答が、投与から7日以内に強化される、請求項28〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
単回投与が前記免疫応答の誘発に十分である、請求項28〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記CD40抗体が、前記対象の分類学の種、属又は科のCD40に特異的であるように選択される、請求項28〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記CD40抗体がニワトリCD40に特異的であり、前記対象がニワトリである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
配列番号:5、6及び7又は配列番号:20、21及び22を含むCD40アゴニスト抗体重鎖と、配列番号:8、9及び10又は配列番号:17、18及び19を含むCD40アゴニスト抗体軽鎖とをコードする第一のポリヌクレオチドを含む構築物であって、前記第一のポリヌクレオチドがプロモーターに作動できるようにつながれており、CD40アゴニスト抗体の発現を可能にする、前記構築物。
【請求項38】
分泌シグナルをコードするポリヌクレオチドをさらに含み、前記CD40アゴニスト抗体が細胞から分泌されうる、請求項37に記載の構築物。
【請求項39】
抗原をコードする追加のポリヌクレオチドを当該構築物に組み込むことを可能にするマルチクローニング部位をさらに含む、請求項37又は38に記載の構築物。
【請求項40】
抗原をコードする第二のポリヌクレオチドをさらに含む、請求項37又は38に記載の構築物。
【請求項41】
前記抗原が、配列番号:26〜53又は57〜83から選択される、請求項40に記載の構築物。
【請求項42】
前記抗原をコードする第二のポリヌクレオチドが、前記CD40アゴニスト抗体をコードするポリヌクレオチドとインフレームで連結される、請求項40又は41に記載の構築物。
【請求項43】
請求項37〜42のいずれか1項に記載の構築物を含む、細胞。
【請求項44】
前記細胞が、植物、藻類、細菌、昆虫又は酵母細胞である、請求項43に記載の細胞。
【請求項45】
以下の工程を含む、ポリペプチドをエピトープマッピングする方法:
a.前記ポリペプチドに由来する8〜20アミノ酸の標識ペプチドを生成する工程;
b.リンカー部分を介して前記標識ペプチドを標識CD40抗体に取り付けてCD40抗体−ペプチド複合体を作製する工程;
c.前記CD40抗体−ペプチド複合体を対象に投与する工程;
d.前記対象から血清を収集する工程;
e.前記ポリペプチドを認識することができる抗体の存在について前記血清を試験する工程;及び
f.前記ポリペプチドに対する抗体を生成することができるペプチドを抗原性エピトープとして認定する工程。
【請求項46】
前記標識がビオチンである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記リンカー部分がストレプトアビジンである、請求項45〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記試験工程が、ELISAアッセイ、ウェスタンブロット、免疫蛍光アッセイ又は中和アッセイのうちの少なくとも1つを含む、請求項45〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記認定された抗原性エピトープを含むワクチンを開発する工程をさらに含む、請求項45〜48のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互引用)
本出願は、米国仮特許出願62/008,178(2014年6月5日出願)に関し優先権を主張する(前記仮出願は参照によりその全体が本明細書に含まれる)。
(連邦政府補助研究に関する記述)
本発明は、米国農務省食糧農業局グラント2008-35204-04554号により合衆国政府の支援を受けて達成された。当該政府は本発明に一定の権利を有する。
(配列表)
本出願は電子的に提出されたテキスト形式の配列表を含む。当該テキストファイルは、“2015-05-29_5658-00264_ST25.txt”と題した、2015年5月31日作成の配列表(サイズは43,879バイト)を含む。本テキストファイルに含まれる配列表は本出願の部分であり、参照によりその全体が本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
粘膜表面は、広範囲の病原体の侵入の表玄関である広大な表面領域である。したがって、粘膜部位における適応免疫の媒介はワクチン有効性改善の重要な目標である。ワクチン接種に対する応答で迅速な粘膜応答を誘発する手段が希求される。
ワクチン接種は、抗原をデリバーして粘膜部位で特異的な適応免疫応答を誘発する手段となる強力な潜在能力を有する。しかしながら、直接的な粘膜免疫はいくつかの要因のために困難であることが判明した(前記要因には、粘膜上皮による抗原の吸収を制限する大量の粘液での粘膜ワクチンの希釈が含まれる)。粘膜表面の複雑性のために、粘膜ワクチンはしばしば粘液ゲルを横断できず、引き続きプロテアーゼによって分解される。
いくつかの粘膜ワクチンが養鶏産業で普遍的に用いられている。しかしながら、これらの粘膜ワクチンの大半は局所IgA免疫応答を誘発できるだけであり、それらワクチンは、いったん循環中に拡散した病原体とは反応できない。したがって、局所粘膜免疫応答及び全身性免疫応答の両方を誘発できる新規なワクチン処方が所望される。いずれの粘膜ワクチン設計の目標も、反応原性(炎症、過敏性など)をもたらさないで免疫原性(有用なエフェクターメカニズム)を高めることである。開発中の多様な手法の中で、組換えタンパク質及び合成ペプチドを土台にする新規なワクチンには大きな潜在能力が存在する。しかしながら、そのような抗原では、伝統的ワクチンで用いられる生弱毒病原体又は死滅全病原体の免疫原性がしばしば欠如している。したがって、免疫応答を強化する高い潜在能力を有し、同時に負の副作用の可能性が低い免疫学的アジュバントを開発することが喫緊の課題である。
眼鼻ルート又は経口ルートで生弱毒ワクチンと一緒に共同投与される多数の粘膜アジュバントがニワトリ(chicken)で報告されている。これらのアジュバントのいくつかは粘膜IgA応答及び全身性IgG応答を確かに強化するという事実にもかかわらず、それらアジュバントは大量の抗原の反復注射をなお必要とするので、時間と抗原の消費とも考えられている。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で提供されるものは、アジュバント、ワクチン、前記アジュバント及びワクチンを調製するための構築物、並びに前記アジュバント及びワクチンを用いて対象で免疫応答を強化する方法である。特に、ワクチンに対し迅速な抗体応答(IgG(循環中)及びsIgA(粘膜分泌性IgA)の両方を含む)が誘引される。前記アジュバント及びワクチンを皮下又は粘膜投与に用いて、対象を低コストで効果的にワクチン免疫することができる。
ある特徴では、アジュバント組成物は以下を含む:特異的にCD40と結合しCD40シグナリングを誘発することができる、少なくとも2つのF(ab)領域を含む第一のCD40アゴニスト抗体(agonistic antibody)又はその部分、特異的にある微生物と結合することができる、少なくとも2つのF(ab)領域を含む少なくとも1つの第二の抗体又はその部分、当該少なくとも1つの第一のCD40アゴニスト抗体又はその部分及び当該少なくとも1つの第二の抗体又はその部分に取り付けられた少なくとも1つの標識、並びに高い親和性で当該標識と特異的に結合することができるリンカー部分。第一のCD40アゴニスト抗体及び第二の抗体はリンカーに結合されて複合体を形成する。第二の抗体は微生物と結合することができ、前記微生物はウイルス、細菌、ワクチンベクター、死滅病原体又はその部分を含むことができる。第二の抗体は当該微生物の表面上のエピトープに特異的でありうる。エピトープは保存的でありうる。CD40アゴニスト抗体はニワトリCD40に特異的であることができ、配列番号:2及び配列番号:4又は配列番号:14を含むか、又は前記から成ることができる。また別には、CD40アゴニスト抗体は、配列番号:5−10のCDR領域、又は配列番号:17−22のCDR領域を含むことができる。死滅病原体はインフルエンザ又は細菌若しくは細菌細胞の表面フラグメントでありうる。
アジュバント組成物は第二の抗体との相互作用により当該微生物と合体されて、ワクチンを生成することができる。微生物の血清型は不明であってもよい。微生物は精製する必要はなく、第二の抗体と相互作用する。微生物は、第二の抗体との結合前に死滅又は不活化されて複合体を形成することができる。
【0004】
別の特徴では、少なくとも1つのF(ab)領域を含むCD40アゴニスト抗体又はその部分が提供される。CD40アゴニスト抗体又はその部分は以下から選択される:配列番号:2及び配列番号:4が含まれる(comprised of)抗体;配列番号:14を含む抗体;重鎖可変(V
H)領域及び軽鎖可変(V
L)領域を含む抗体又はその部分であって、当該重鎖可変領域が配列番号:5に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:6に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:7に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、当該軽鎖可変領域が配列番号:8に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:9に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:10に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含むもの;並びに重鎖可変(V
H)領域及び軽鎖可変(V
L)領域を含む抗体又はその部分であって、当該重鎖可変領域が配列番号:20に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:21に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:22に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、当該軽鎖可変領域が配列番号:17に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:18に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:19に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含むもの。
さらに別の特徴では、CD40アゴニスト抗体を用いてワクチンを作製することができる。当該ワクチンでは、CD40アゴニスト抗体はリンカー部分を介して抗原に連結される。抗原はペプチドでもよい。ワクチンは食物又は飲み水中での投与のためにアルギネート球内に含まれうる。
【0005】
さらに別の特徴では、対象で免疫応答を強化する方法が提供される。前記方法は、本明細書で提供されるワクチン又は組成物を、当該抗原又は微生物への免疫応答を強化するために有効な量で対象に投与する工程を含む。当該ワクチン又は組成物は粘膜に投与でき、IgG及びIgA(特にsIgA)の両方を誘発でき、さらに約7日以内に迅速な応答を誘発する。
さらにまた別の特徴では、ワクチン組成物の製造のための構築物が提供される。前記構築物は、配列番号:5、6及び7又は配列番号:20、21及び22を含む抗CD40アゴニスト抗体重鎖、並びに配列番号:8、9及び10又は配列番号:17、18及び19を含む抗CD40アゴニスト抗体軽鎖をコードする第一のポリヌクレオチドを含む。前記ポリヌクレオチドはプロモーターに作動できるようにつながれ、抗CD40アゴニスト抗体の発現を可能にする。当該構築物はさらに抗原をコードする第二のポリヌクレオチドを含むことができ、2つのポリヌクレオチドはインフレームで連結されて、発現時には融合タンパク質を形成できる。
さらにまた別の実施態様では、ポリペプチドのエピトープマッピング方法が提供される。ポリペプチドに由来する8−20アミノ酸の標識ペプチドを生成し、リンカー部分を介して標識CD40抗体に取り付けてCD40抗体-ペプチド複合体を作製する。CD40抗体-ペプチド複合体を対象に投与し、ある期間の後で(5−7日くらいの短い期間でありうる)、当該対象から血清を収集し、前記ポリペプチドを識別することができる抗体の存在について試験する。前記ポリペプチドに対する抗体を生成することができるペプチドを抗原性エピトープとして認定する。これらの認定抗原性エピトープを用いてワクチンを開発することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】ビオチン-ストレプトアビジン相互作用による抗体-ペプチド複合体の調製を示す模式図である。
図1Aは、ビオチン化はMIgのFc領域の炭水化物基に限定され、したがって抗原-抗体相互作用に干渉しないことを示している。
図1Bは、ストレプトアビジン(SA)はビオチン化ペプチドとビオチン化MIgとの複合体形成の制御に用いられたことを示している。2C5-SA-ペプチド複合体のMab 2C5は、ELISAによって示されるようにその生物学的機能を維持した。
【
図2】抗cCD40誘導ペプチド複合体の単回皮下注射によって誘引されたププチドに特異的な循環IgG(
図2A)及び気管内粘膜IgA(
図2B)のELISA決定レベルを示すグラフのセットである(非特異的なMIgG-ペプチド複合体(黒色棒線)と比較、灰色の棒線)。8羽の5週齢雄レグホーン鶏のグループの皮下に50μgのMab 2C5-ペプチド複合体又は陰性コントロール複合体でただ1回免疫した。各事例で、誤差バーは平均からの標準偏差を示し、星印は、スチューデントt検定で決定された、非特異的MIg-ペプチド複合体コントロールとの比較における統計的有意を示す(n=8、
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001)。両時点で及び両ペプチド特異的抗体アイソタイプ(IgG及びIgA)について、APCへのペプチド積載物のCD40照準誘導によって引き起こされる有意な免疫強化が観察された。
【
図3】抗cCD40誘導ペプチド複合体の単回投与によって誘引されたププチド特異的循環IgGのELISA決定レベルを示すグラフのセットであり(非特異的MIgG-ペプチド複合体(黒色棒線)と比較、灰色の棒線)、単回投与は、眼鼻ルート(
図3A)、総排泄腔ドリンキングルート(
図3B)及び経口アルギネート懸濁物ルート(
図3C)による。8羽の5週齢雄レグホーン鶏のグループを50μgのMab 2C5-ペプチド複合体又は陰性コントロール(非特異的)MIgG-ペプチド複合体で3つの異なる粘膜ルートによりただ1回免疫した。血清及び気管サンプルをp.i.7及び14日に収集し、ペプチド特異的IgG応答をELISAで査定した。各事例で、誤差バーは平均からの標準偏差を示し、星印は、スチューデントt検定で決定された、MIg-ペプチド複合体コントロールとの比較における統計的有意を示す(n=8、
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001)。
【
図4】抗cCD40誘導ペプチド複合体の単回投与によって誘引されたププチド特異的粘膜IgAのレベルを示すグラフのセットであり(非特異的MIgG-ペプチド複合体(黒色棒線)と比較、灰色の棒線)、単回投与は、眼鼻(
図4A)、総排泄腔ドリンキング(
図4B)及びアルギネート懸濁物(経口)(
図4C)粘膜ルートによる。8羽の5週齢雄レグホーン鶏のグループを50μgのMab 2C5-ペプチド複合体又は陰性コントロール複合体で種々の粘膜ルートによりただ1回免疫し、血清及び気管サンプルをp.i.7及び14日にニワトリから収集した。各事例で、誤差バーは平均からの標準偏差を示し、星印は、スチューデントt検定で決定された、MIg-ペプチド複合体コントロールとの比較における統計的有意を示す(n=8、
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001)。
【
図5】種々の粘膜ルート及び伝統的皮下ルートにより誘発される循環IgG(
図5A)及び粘膜IgA(
図5B)免疫応答における、投与後7及び14日の2C5-ペプチド複合体の正味の作用を示すグラフセットである。CD40照準誘導により誘発される正味の作用は以下のように計算した:[各ルートの処置の平均(S/P)値]−[対応するMIgコントロールの平均(S/P)値]。
【
図6】本発明の1つの実施態様の模式図であり、模式図は、足場又はリンカータンパク質分子(ビオチン-ストレプトアビジン)、2つのアゴニスト性(agonistic)ニワトリ抗CD40抗体分子、及びM2e(インフルエンザの保存的抗原)に特異的な2つの抗体から成る二特異性抗体複合体の分子構造を示す。
【
図7】アジュバントとして機能する
図6の二特異性抗体複合体が、どのようにして粗雑なウイルス原(例えば尿嚢液又は細胞溶解物)の微生物(例えばウイルス(インフルエンザ))とでも複合体を形成することができるかを示す模式図である。アジュバント組成物は微生物の粗調製物とただ単にインキュベートされ、複合体を形成する。
【
図8】
図7のアジュバント化ウイルスが、どのようにして抗原提示細胞と相互作用してCD40を標的とすることができるか、さらにどのようにしてウイルスに対して対象の免疫応答を強化できるかを示す模式図である。宿主の抗原提示細胞はCD40を発現し、CD40抗体は抗原提示細胞へ複合体を照準誘導し、さらにCD40を介してシグナリングを誘発して細胞媒介応答及び液性免疫応答の両方を強化する。
【
図9】cCD40及びCD205に対するELISAの結果を示すグラフであり、前記は、選別工程により得られたscFv抗CD40はcCD40を識別するが、CD205を標的とする抗体はcCD40を認識しないことを示した。
【
図10】精製scFv抗cCD40 DAG1のcCD40に対するELISAの結果を示すグラフである。
【
図11】抗cCD40 DAG1はニワトリB細胞(DT40;
図11A)及びマクロファージ(HD11;
図11B)の表面のCD40を認識することを示す免疫細胞化学の写真セットである。
【
図12】scFv抗cCD40 DAG1によるDT40 B細胞のin vitro凝集を示す写真である。
【
図13】精製抗cCD40 scFv(DAG1)はcCD40に対してアゴニスト性であり、HD11マクロファージによる一酸化窒素の生成を刺激することを示すグラフである。
【
図14】同一材料によるワクチン接種後のニワトリのチャレンジ後生存を示すグラフである。3つのM2e抗体と複合体を形成したCD40作用性抗体はチャレンジ後生存を高めることができ、市販ワクチンと等価であった。
【
図15】1週間前に表示のワクチンを接種したニワトリの血清のインフルエンザ媒介血球凝集抑制能力を示すグラフである。
【
図16】それぞれ個々のトリの結果を表示する抗M2eの3つの異なるクローンについての血球凝集アッセイの結果を示すグラフである。
【
図17】種々のグループの平均血球凝集値を示すグラフセットである。
図17Aは、全ての希釈をまとめたときの平均値を示し、クローンCはコントロール又は他のクローンより有意に良好であった。
図17Bは、別々の全コントロールとの比較を示し、グループC複合体は市販ワクチン又は死滅ウイルスより有意には良好でなかったが、数値的にはいずれのものよりも良好であった。
【
図18】表示のペプチド-CD40アゴニスト抗体複合体により生成された抗体の免疫日対比免疫7日後の割合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
哺乳動物のように、ニワトリでも大半の伝染性疾患は呼吸器又は消化管の粘膜表面で開始する。したがって、局所免疫は、これら表面に侵入して集落を形成する病原体に対する宿主防御に重要である。ワクチンによる粘膜免疫は(皮下又は筋肉内注射とは対照的に)、特に生ワクチンでない場合、粘膜免疫応答の強化をもたらすことができるが、粘膜を通過するワクチンの吸収制限によって粘膜免疫は妨害される。いわゆる粘膜結合リンパ様組織(MALT)の表面を覆う粘液はしばしば、免疫細胞のワクチン付着及び取り込みを妨げる。加えて、経口的に投与されるとき、トリの素嚢及び砂嚢(又は哺乳動物の胃)もまた、ワクチンが腸の免疫組織に到達する前に当該ワクチンを機械的に又は酵素的に破壊しうる。たとえワクチンが、局所免疫系によって認識されうる態様でMALTに到達しても、全てのワクチンが抗原提示細胞(APC(免疫系の“番人細胞”))を等しく良好に刺激するわけではない。したがって、反復して大量の用量のワクチン(20−100μg/投与)が有効なsIgA応答に要求される。
本明細書に開示する技術を用いれば、CD40受容体分子(ニワトリのAPC上で発現される)を標的とする抗体誘導ワクチン複合体の単回免疫は、ワクチン接種後1週間の早期に顕著なワクチン特異的全身性IgG及び粘膜sIgA応答を生じる。実施例で試験した全ての投与ルート(経口、点眼及び排泄腔を含む粘膜ルートだけでなく皮下適用も)が同等のIgA応答をもたらし、さらに非常に少量のワクチンが有意な(P<0.001)ワクチン特異的粘膜IgA応答の誘引に十分であった。ただ1回の皮下注射後に、抗CD40抗体-ペプチド複合体は、感染後7及び14日で有意な全身性IgG応答を誘発した。通常のアジュバントと比較して、抗cCD40モノクローナル抗体-ペプチド複合体は、APC(B細胞を含む)を標的とすることによってCD4
+T細胞の生物学的役割を模倣し、さらにまたCD40の下流のシグナリング及びその後のIgMからIgG又はIgAへの免疫グロブリンクラスの切換えを強化できる。
【0008】
興味深いことに、CD40モノクローナル抗体-ペプチド複合体の単回皮下注射はまた、気管断片に由来する粘膜抽出物をELISAで測定したとき、感染後7日の早期に有意な粘膜のペプチド特異的sIgA免疫応答を誘発した。過去においては、全身性及び粘膜免疫を誘発する最も有効な手法は、粘膜ルート及び全身ルートによる初回免疫と追加免疫のそれぞれの組み合わせの使用に依拠した。
我々の知る限りでは、過去の文献は、末梢の循環中の休止B細胞は、共通粘膜免疫系(common mucosal immune system, CMIS)の粘膜B細胞と比較して異なる帰巣受容体を発現するので(Macpherson et al., 2008, Mucosal Immunol 1:11-22;Mei et al., 2009, Blood 113: 2461-2469;Mestecky, 1987, J Clinical Immunol 7:265-276;Neutra and Kozlowski, 2006 Nat. Rev. Immunol. 6, 148-158)、非経口免疫単独では特異的な粘膜応答を哺乳動物で開始させることができないと述べている。しかしながら、最近ではこの概念に疑義が生じ、CMISと同様な系が提唱されて、ヒトでは非経口的免疫もまた抗体媒介粘膜免疫に寄与しうると説明されている(Fernandes, 2012,“Correlates of mucosal humoral immunity in peripheral blood”, Medical Sciences, Vol. PhD. McMaster University, McMaster University Libraries Institutional Repository(163ページ))。最近、活性化B細胞は、粘膜帰巣受容体、化学誘引物質サイトカイン受容体10(CCR10)を発現することが示された。循環中のCCR10
+B細胞は、全身系(抹消系)リンパ様組織と粘膜エフェクター組織との間(そこでそれら細胞は重合IgA分泌細胞に転換される)を移動中であると考えられる(Fernandes and Snider, 2010, Int-immonol. 22, 527-540)。抗CD40ポリクローナル抗体は、新しく活性化されたマウスのメモリーB細胞でCCR10発現をin vitroで開始させることが報告された(Bernasconi et al., 2002, Science 298:2199-2202)。他方、CCR10リガンドは全ての粘膜エフェクター部位で発現される(Mora and von Andrian, 2008, Mucosal Immunol., 1:96-109)。哺乳動物では、抗CD40ポリクローナル抗体はまた、IgG分泌B細胞でCXCR4の発現を媒介すると報告された。CXCR4は、骨髄及び二次リンパ様器官へのB細胞の帰巣のための帰巣受容体である。理論に拘束されないが、我々は、このことは、なぜ抗CD40モノクローナル抗体-ペプチド複合体による非経口的免疫が実際に顕著なペプチド特異的全身性IgG免疫応答及び粘膜sIgA免疫応答の両方を誘発できるかについての極めてありそうな機構的説明を提供していると考える。
【0009】
総合すれば、これらの結果は、cCD40モノクローナル抗体誘導抗原複合体によるただ1回の非経口又は粘液免疫が、迅速で長期持続の全身性IgG免疫応答だけでなく迅速な局所粘膜sIgA応答を誘発できるか否かを試験することは良い考えだと思わせた。したがって、この新規なプラットフォームは、全身免疫及び粘膜免疫の両方が強く所望される事例で粘膜投与及び/又は非経口投与により、ニワトリ及び他の動物の免疫のために広く用いられる潜在性を有しうる。粘膜免疫は家禽のワクチン接種で特に重要である(家禽では大半の病原体が呼吸器又は消化管の粘膜表面から侵入する)。たとえAPCとcCD40-ペプチド複合体の相互作用のメカニズム及びミクロ環境について未解決の問題があるとしても、これまでの研究で得られた結果は意欲を持たせるものであり、安全で有効かつ手ごろな価格のワクチンの開発のために大きな潜在性があるように思われる。
このアプローチの主要な利点は以下である:(1)迅速な免疫応答;(2)IgA(粘膜表面で防御性を有する唯一の抗体)の生成;(3)単回投与レジメン;(4)容易かつ安価な投与ルート;(5)生理学的緩衝液中での処方のお陰で注入部位は損傷を生じない;及び(6)長期持続する免疫学的メモリー。加えて、ある実施態様で、我々は遺伝子工学的方法でこのワクチンの抗体部分を作製した。前記方法は、大量のワクチンの低コストで拡張可能な製造及び新規な系又は新たな感染症への容易な移行を可能にする製造プラットフォームでの問題の任意のタンパク質抗原へのこの“誘導抗体”の結び付き及び単一融合タンパク質の製造を可能にする。このワクチンは、実施例に記載するように組織培養(“in vitro”)で特徴が分析され、緑藻のクラミドモナス・レインハルドチイ(Chlamydomonas reinhardtii)で生成されて生存動物で試験されるであろう。このワクチンはまた、当該藻類から事前抽出及び精製することなく試験され、さらに低コストの製造を可能にするであろう。我々は、このワクチンの構造は経口投与のために実施例で用いられるアルギネートに対し同様に機能すると期待する。
【0010】
図6−8に示す本発明の別の実施態様では、CD40抗体は微生物と特異的に結合することができる抗体と複合体を形成する。このアプローチは、該当微生物に関する最低限の情報でアジュバント-免疫原複合体の形成を可能にする。例えば、当該抗体が該当微生物の表面上の不変のタンパク質モチーフ(“エピトープ”)と結合できる限り、ウイルス又は細菌株の血清型は既知である必要はない。インフルエンザウイルス及びサルモネラは、高度に変動し当該生物の病毒性に関係する極めて多様なタンパク質をそれらの表面に有するが、従来の方法で使用される抗体は、ワクチンとして使用するために単純な結合アッセイを用いて不活化微生物とCD40複合体アジュバント組成物との複合体を形成できるように、当該微生物表面の不変の又は高度に変動しないタンパク質モチーフと結合させるために選別することができる。本発明のアプローチはいずれの組み換え技術の使用も回避し、したがって、組換えDNA技術に不利な国々又は現場でも受け入れが容易でありうる。加えて、微生物の新規な変種(すなわち異なる血清型又はインフルエンザでは異なるHNプロフィールを有する変種)による流行に対応して迅速に本技術を開発でき、CD40抗体複合体との結合前に微生物を単離する必要なく用いることができる。微生物に特異的な抗体と不活化微生物との複合体を形成したCD40抗体を含むワクチンの製造は、クリーンルーム又は他の技術を必要とすることなく実施でき、さらに野外でも実施できる。複合体は宿主細胞の抗原提示細胞に誘導され、さらにアゴニスト性CD40抗体は、当該微生物に対して液性及び細胞媒介性免疫の両方の誘発に役立つであろう。
上記原理を用いる抗体誘導CD40照準誘導粘膜ワクチンの製造は、ほぼすべての病原体、新規に生じる病原体に対してすら実現可能性が高い。なぜならば、標的抗原をワクチン開発前に又はワクチン開発と一緒に同定する必要がないからである。適切な標的(タンパク質性又は他のもの)が同定されているワクチンの製造もまた能率化できる。これらのワクチンは、CD40誘導抗体が宿主特異的CD40分子を指向する限り、ニワトリだけでなく他の肉用動物(魚類から哺乳動物まで)に用いることができる。アゴニスト性CD40抗体は、本明細書に開示したニワトリの他にいくつかの他の動物(ヒト、マウス、ラット、ブタ、イヌ、ウマ、乳牛、ブタ、ヤギ、ヒツジを含む)で認定されている。いくつかのCD40配列が配列番号:54−56として提供され、各々の種の特異的なCD40に対する抗体を作製できる。これらCD40抗体及び特にCD40アゴニスト抗体の多くが市場で利用できる。以下の冊子を参照されたい:Linscott’s Directory of Immunological and Biological Reagents。
【0011】
本明細書で用いられるニワトリCD40アゴニスト抗体の1つはマウス抗体であるが、当該抗体のFc部分を改変して、それが用いられる系において当該抗体の適合性を高めうることは当業者には理解されるであろう。したがって、配列番号:2(重鎖)及び配列番号:4(軽鎖)として本明細書で提供される抗体(実施例では2C5)、又は配列番号:14(単鎖可変フラグメント(scFv))として提供される抗体(実施例ではDAG-1)は、Fc部分及び非CDR領域を相同な宿主適合性抗体骨格配列で入れ替えて“ニワトリ化”型にし、当該抗体の骨格それ自体に対する免疫応答を最小限にすることができる。加えて、抗体を組換え又は酵素消化(すなわちパパイン又はペプシン)によってより小さな抗体部分にし、抗体のF(ab)部分のみを保有させることができる(例えばF(ab)
2フラグメント)。実施例で用いられる両方のニワトリCD40抗体のCDR領域は確認されている。2C5と称され配列番号:2及び配列番号:4として提供される抗体の場合、重鎖可変領域は、配列番号:5に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:6に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:7に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、さらに軽鎖可変領域は、配列番号:8に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:9に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:10に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含む。DAG-1と称され配列番号:14で提供される抗体の場合、重鎖可変領域は、配列番号:20に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:21に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:22に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、軽鎖可変領域は、配列番号:17に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:18に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:19に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含む。当業者は利用可能な方法を用いて、当該抗体をニワトリでの使用及び活性のために適合性を高め、又は当業者に公知の抗体変種のいずれか(二特異性抗体、ジアボディ、線状抗体、ナノボディ、Fab、Fab’、F(ab)
2、Fv又はscFvが含まれるが、ただしこれらに限定されない)を生成することができる。したがって、本明細書に記載する方法及び組成物は、抗体又は当該抗体の抗原結合フラグメントであるその部分を含む。適切には、当該抗体部分は、表示のCDR領域を含みそれらの標的CD40に対する親和性を維持し、さらにまたCD40受容体サブユニット(アゴニスト性生物活性のために要求される)と結合して、抗原提示細胞上のCD40に結合したときCD40シグナリングを誘発する能力を維持する。
【0012】
同様に、他の動物のCD40を指向する抗体を作製して、本明細書に記載の方法及び組成物で用いることができる。例えば、シチメンチョウ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、魚類、イヌ、ネコ又は他の家畜動物を指向する抗CD40抗体を作製して、本明細書に記載の方法及び組成物で用いることができる(配列番号:54−56を参照されたい)。これらの抗体は動物(例えばマウス又はウサギ)で作製し、続いて修正してそれらが特異性を示す動物での当該方法の使用のためにより適合させることができる(すなわち、抗体はその定常領域を標的動物の定常領域と交換することことができる)。また別に、ファージディスプレー又は他の組換え系を用いてCD40抗体を作製できる。加えて、CD40抗体及びアゴニスト性CD40抗体はいくつかの種(特にマウス及びヒト)については市場で入手できる。抗体は、それがCD40発現標的細胞内でシグナリングを誘発できるならばCD4に対しアゴニスト性である。CD40を介するシグナリングは、抗原提示細胞の表面上のCD40及びTNF受容体の発現増加をもたらし、反応性酸素種及び一酸化窒素の生成、並びにアイソタイプ切り換えに至るB細胞の活性化を誘発する。したがって、本発明者らは、CD40抗体のアゴニスト性効果は、本明細書に記載のCD40抗体複合体による免疫後に極めて迅速に生成される大量のIgG及びIgAのために少なくとも部分的に必要であると考える。
【0013】
本明細書で提供されるCD40抗体は、ハイブリドーマ細胞から作製し、腹水又は当該抗体を発現するように遺伝子操作した細胞から精製できる。抗体の作製に利用可能な極めて多様な方法が存在することは当業者には理解されるであろう。抗体はリンカー部分で抗原に直接連結されるか、又は微生物(例えばウイルス、細菌、酵母、又は単細胞寄生生物若しくは原生生物)と特異的に結合できる第二の抗体と連結できる。微生物は、当業者に公知の任意の手段によって不活化又は死滅させることができる。当該手段には熱殺滅、パラホルムアルデヒド殺滅、抗生物質又はアルコールの使用が含まれよう。リンカーは、ペプチド抗原を抗体に連結するペプチドリンカー(すなわち融合タンパク質の場合)であることができ、又は非ペプチド性共有結合若しくは非共有結合又は他の化学的リンカーでもよく、又は受容体-リガンド相互作用に依拠してもよい。実施例では、抗体はビオチンで標識され、ストレプトアビジンがリンカー部分として用いられる。N-ヒドロキシスクシンイミドリンカー又はチオエステルリンカーを用いてもよい。抗体を抗原、病原体又はその部分に連結する他の手段も利用できる。
CD40アゴニスト抗体は、実施例及び添付の特許請求の範囲に記載のアジュバント組成物及びワクチンで用いられる。ある実施態様では、アジュバント組成物は、特異的にCD40と結合しCD40シグナリングを誘発することができる少なくとも2つのFab領域を含む、少なくとも1つの第一のCD40アゴニスト抗体又はその部分;特異的に微生物と結合することができる少なくとも2つのFab領域を含む、少なくとも1つの第二の抗体又はその部分;当該少なくとも1つの第一のCD40アゴニスト抗体又はその部分に取り付けられた少なくとも1つの標識;当該少なくとも1つの第二の抗体又はその部分に取り付けられた少なくとも1つの標識;並びに当該抗体に取り付けられた標識と特異的に結合することができるリンカー部分を含む。当該第一のCD40アゴニスト抗体及び当該第二の抗体は当該リンカーと結合して複合体を形成し、前記はまたCD40抗体-第二抗体複合体と称される。
【0014】
本明細書に記載のアジュバントのいくつかの第二の抗体は微生物と特異的に結合できる抗体である。当該抗体は、当該微生物の表面に存在する抗原又はそのエピトープと特異的に結合できる。微生物は、ウイルス、細菌、酵母又は原生生物でありうる。微生物は、病原体(例えばインフルエンザ又は細菌性病原体)又はワクチンベクター(例えば細菌性又はウイルス性ワクチンベクター)でありうる。細菌性病原体は、遺伝的に変動しやすいか、又は選択圧下に置かれたとき回避変動を生じやすい病原体であることができ、さらに抗体は保存されたエピトープを指向し病原体の自家フラグメントはCD40抗体によって一緒にまとめられ出現病原体に応答して迅速なワクチン免疫を提供することを可能にしよう。微生物の血清型は、抗体が当該微生物の表面で利用可能な別のエピトープと特異的に結合する場合には公知である必要はない。例えば、第二の抗体は、普遍的に発現される抗原、例えばインフルエンザのM2eに特異的であることができ、抗体は、インフルエンザウイルスワクチン中の不活化インフルエンザウイルス粒子の表面に発現されたM2eと結合して、CD40抗体と組み合わされて当該インフルエンザワクチンをアジュバント化しよう。第二の抗体が特異性を示す他の細菌又はウイルスには以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):サルモネラ属、クロストリジウム属、カンピロバクター属、大腸菌属、赤痢菌属、ヘリコバクター属、ビブリオ属、プレジオモナス属、エドワルジア属、クレブシエラ属、ブドウ球菌属、連鎖球菌属、アエロモナス属、口蹄疫ウイルス、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDv)、及びブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)。例えば抗原又は細菌性ワクチンベクターは以下で確認される:米国特許8,604,198号、国際特許公開WO2009/059018、WO2009/059298、WO2011/091255、WO2011/156619、WO2014070709、WO 2014/127185又はWO 2014/152508。第二の抗体が特異的に結合できるいくつかのペプチドには配列番号:25−53又は57−58中のペプチドが含まれるが、ただしこれらに限定されない。配列番号:58は実施例で用いられる第二の抗体の標的であった。
【0015】
本明細書で提供するCD40抗体を含むアジュバントを、ワクチンとして又は既知のワクチンと組み合わせて使用されるアジュバントとして用いることができる。本明細書に記載のアジュバントと既知のワクチンとの組合せを別のアジュバントの代用にするか、又は確立されたワクチンと一緒に用いて、全身性免疫応答を高め、免疫応答の進展の迅速性を高め、又は当該ワクチンに対する粘膜免疫応答の発生を可能にすることができる。ワクチンはまた、第二の抗体を微生物に結合させて新規なワクチンを生成することによって、アジュバント組成物(CD40抗体-第二抗体複合体を含む)を一緒にまとめることによって作製できる。これらの新規な非組換え体ワクチンは伝染病流行の原因が認定された後で迅速に作製でき、有効なワクチンの製造のために原因因子の特徴分析又は単離を要求されない。ワクチンは安価に製造され、感染性因子(微生物)の供給源(例えば尿嚢液)から当該微生物をわずかに精製するだけで又は全く精製することなく作製することができる。微生物は、インフルエンザウイルス、本明細書に特に列挙した微生物のいずれか、又はワクチンが必要とされる任意の他の微生物でありうる。経口投与のためには、本明細書に記載のCD40アジュバントを含むワクチンは防御用コーティング(例えばアルギネート球)中に含まれうる。アジュバントはまた、細胞によって産生されるように本明細書で提供する遺伝子操作構築物を用いて製造し、対象に食物として与えることができる。例えば、植物、酵母又は藻類の細胞を遺伝子操作して、対象の胃腸管で生存することができる食用ワクチンを製造できる。
また別の実施態様では、CD40抗体は、リンカー部分(例えば実施例で用いられるクロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)のα-毒素)によって抗原に連結される(配列番号:59−83を参照されたい)。免疫応答を刺激することが知られている任意の他の抗原も同様に用いることができる。ペプチド結合を介して抗原を連結して、抗体と抗原間で融合タンパク質を形成するか、又は上記に記載したようにリンカー部分を介して共有結合により若しくは非共有結合により化学的に連結してもよい。
【0016】
本明細書に記載のアジュバント及びワクチンを用いて医薬組成物を作製できる。上記に記載のアジュバント及びワクチン並びに医薬的に許容できる担体を含む医薬組成物が提供される。医薬的に許容できる担体はin vivo投与に適切な任意の担体である。当該組成物での使用に適切な医薬的に許容できる担体の例には、水、緩衝溶液、グルコース溶液、油性又は細菌培養液が含まれるが、ただしこれらに限定されない。当該組成物の追加成分には適切には、例えば賦形剤、例えば安定化剤、保存料、希釈剤、乳化剤及び滑沢剤が含まれる。医薬的に許容できる担体又は希釈剤の例には、安定化剤、例えば炭水化物(例えばソルビトール、マンニトール、デンプン、シュクロース、グルコース及びデキストラン)、タンパク質(例えばアルブミン又はカゼイン)、タンパク質含有物質(例えばウシ血清又は脱脂乳)及び緩衝剤(例えばリン酸緩衝剤)が含まれる。特にそのような安定化剤が組成物に添加されるときは、組成物は凍結乾燥又は噴霧乾燥に適している。組成物はまた乳化させることができる。
アジュバント及びワクチンは、他のワクチンと任意の順序で、同時に又はユニット組成物の部分として併用投与できる。組成物は、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、20時間、1日、2日、4日、7日、2週間、4週間又はそれより長い投与時間差で一方を他方の前に投与する態様で投与できる。
【0017】
本明細書で用いられる対象の治療とは、疾患に罹患した対象又は疾患を伸展させるリスクにある対象に利益を付与する任意のタイプの処置を指し、当該利益は、対象の症状(例えば1つ以上の徴候)の改善、死亡率の減少、罹病率(体重低下又は食料消費率を含む)の軽減、疾患進行遅延、徴候の開始遅延又は徴候の重篤度の制限などを含む。治療は、ある生物に対する対象の免疫応答の上昇又は強化に依拠することができる。ワクチン又はアジュバントの投与に応える免疫応答は、標的抗原又は標的微生物を指向する液性又は細胞媒介性免疫応答の上昇でありうる。
本明細書に記載のワクチンを、抗原への免疫応答を強化するために有効な量で対象に投与することによって、当該対象で免疫応答を強化する方法が提供される。強化される免疫応答にはT細胞又はB細胞応答が含まれうる。適切には、免疫応答の強化は、当該抗原、微生物又はワクチンベクターを指向するIgG及びIgAが生成されるクラス切換えを可能にする。1回分用量のワクチンが短期間内に激しい免疫応答を誘発することができる。適切には、免疫応答の強化は7日後に測定することができる。特に強いIgA応答がこの短いタイムスパンに発生しうる。
本明細書で用いられる有効量又は治療的に有効な量とは、状態、異常又は症状を治療するために対象に投与したとき、治療を達成する(例えば免疫応答を強化する)ために十分である、アジュバント又はワクチンの量を意味する。有効量は、厳密な組成物及びその処方、当該ワクチンが標的とする疾患又は病原体及びその重篤度、並びに治療される対象の齢、体重、健康状態及び応答性にしたがって変動するであろう。
【0018】
本明細書に記載の組成物は、当業者に公知の任意の手段によって投与することができ、粘膜、経口、局所、鼻内、腹腔内、非経口、静脈内、筋肉内、皮下、髄腔内、経皮、鼻咽頭、総排泄腔、眼、又は経粘膜吸収が含まれるが、ただしこれらに限定されない。したがって、組成物は、接種可能な、注射可能な、局所用の又は座薬用の処方物として処方することができる。粘膜ルートによる投与には、飲み水によるか、トリに噴霧するか、又は食料内若しくは食料中への混合による経口投与が含まれる。総排泄腔、鼻又は経口胃管栄養法もまた含まれる。組成物はまた、リポソーム又は経時放出担体によりデリバーするか又はアルギネート球内に包むことができる。本発明による対象への組成物の投与は、用量依存態様で有益な効果を示すように思われる。したがって、広い限界内で、組成物の大量投与は最適用量まで免疫応答上昇を達成すると期待される。一般的には、いったん最適用量が達成されると、更なる投与量増加は応答に関しては利益を生じない。さらにまた、有効性もまた毒性又は有害応答が認められるレベル未満の投薬量で期待される。
与えられた任意の事例で投与される具体的な投薬量は、当業者に周知のように、投与される組成物、対象の症状、及び組成物の活性、又は対象の応答を修正しうる他の関連する医療的要因にしたがって調整されることは理解されるであろう。例えば、個々の対象のための具体的な用量は、齢、体重、一般的な健康状態、食事、投与のタイミング及び態様、排泄速度、及び組み合わせて用いられる医薬に左右される。ある患畜のための投薬量は、通常的な考慮を用いて、例えば本発明の組成物及び公知の薬剤(例えば本明細書に記載の抗CD40系アジュバントと組み合わされていないワクチン)を、例えば適切な通常の薬理学的又は予防的プロトコルの手段によって弁別的活性を慣用的に比較することによって決定することができる。
【0019】
対象に対する最大投薬量は、望ましくない又は許容不能な副作用を引き起こさない最高投薬量である。個々のレジメンについて変数の数は多く、用量範囲は大きいと予想される。投与ルートもまた要求投薬量に影響を与える。医薬調製物及び組成物は、疾患の徴候を軽減又は緩和できるか(すなわち病原体に暴露された場合重篤度を軽減するか又は暴露後の罹患率若しくは死亡率を軽減するか)、又は当該ワクチン又は抗原が特異性を示す病原体に引き続いて暴露された後で対象の発症を防ぐことができることが特に意図される。
組成物の投与に適した有効投薬量を当業者は決定できるが、典型的には、体重1キログラムにつき又は1用量につき約1マイクログラムから約1,000マイクログラムの範囲であり、ただし、それらは典型的には体重1キログラムにつき又は1用量につき約10から100マイクログラムである。一般的には、1回分用量が投与され、免疫応答を誘発するために有効である。いくつかの事例では、初回用量の後にブーストが続き、前記は、最初の投与から少なくとも2週間後に提供される同じ又は異なる組成物によることができる。ブーストは、初回用量から2−6、又は2−4、又は場合によって2−3週間後に投与できる。
哺乳動物の祖先である爬虫類から系統学的にニワトリが分離したのは約3億年前であるが、ニワトリはまた、一連の余分な防御メカニズムを含む複雑な粘膜免疫系を付与されている。ニワトリは、哺乳動物で見いだされるような被包化されたリンパ節を欠くが、分散したリンパ様組織を保有する。実施例ではニワトリをモデル系として用いたが、ニワトリで用いられる方法は、哺乳動物で並びに特に他の家畜動物及びヒトで同様な免疫応答を誘引することが期待される。粘膜免疫応答は、抗原が粘膜ルートを介して粘膜部位に直接デリバーされるときに最も有効に誘発される。粘膜免疫部位は共通粘膜免疫系(CMIS)によって相互に接続され、それにより誘導部位(免疫応答が発生した場所)の刺激(生じた免疫応答)が粘膜の遠位のエフェクター部位に伝播される。
【0020】
ワクチン組成物の製造のための構築物もまた本明細書で提供され、前記ワクチン組成物は、抗CD40アゴニスト抗体の発現を可能にするためにプロモーターに作動できるようにつながれた抗CD40アゴニスト抗体をコードする第一のポリヌクレオチドを含む。抗CD40抗体は、重鎖(CDR1(配列番号:5又は20)、CDR2(配列番号:6又は21)及びCDR3(配列番号:7又は22)を含む)及び軽鎖(CDR1(配列番号:8又は17)、CDR2(配列番号:9又は18)及びCDR3(配列番号:10又は19)を含む)を含む。抗体の残余部分は配列番号:2及び配列番号:4のものでもよく、又は当該アジュバント及びワクチンの投与が抗体のマウス部分を標的とする免疫応答を誘引しないように宿主(すなわちニワトリ)により適合するように操作してもよい。また別には、他の構築物、例えば配列番号:14に示される単鎖可変フラグメント(scFv)を作製してもよい。抗体を操作する方法は当業者には利用可能であり、上記に提供したCDR領域を土台にした本明細書記載の抗体の他の抗原結合誘導体を含み、前記にはscFv、単一ドメイン抗体、ナノボディ、キメラ抗原受容体、ジアボディ、及び他の二又はマルチ特異性抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
【0021】
抗体をさらに操作してより有用な構築物を作製できる。大量の抗体を短時間枠内で生成するために、プロモーターは構成的プロモーターでも誘導性プロモーターでもよい。分泌シグナルを含むように第一のポリヌクレオチドを操作し、当該ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを細胞から分泌させることができる。第一のポリヌクレオチドは、検出可能標識で又はポリペプチドの単離若しくは精製を簡単にする標識で標識することができる。標識には、蛍光標識又はタンパク質タグ(例えばHisタグ)が含まれる(配列番号:23−24を参照されたい)。構築物はマルチクローニング部位を含み、更なる遺伝子操作又は抗原をコードする第二のポリヌクレオチドの付加を簡単にすることができる。第二のポリヌクレオチドを第一のポリヌクレオチドとインフレームで連結して、CD40抗体及び抗原の両方を含む融合タンパク質を生成することができる。上記に特記したように、構築物に取り込む抗原には、米国特許8,604,198号、国際特許公開WO2009/059018、WO2009/059298、WO2011/091255、WO2011/156619、WO2014070709、WO2014/127185又はWO2014/152508に記載されたもの、及び配列番号:25−53及び57−83で提供されるものが含まれるが、ただしこれらに限定されない。構築物を含む細胞もまた提供される。細胞は、本明細書に記載のポリペプチド及び組成物を生成するポリヌクレオチドを発現することができる細菌、酵母、藻類、植物又は哺乳動物細胞でありうる。
【0022】
エピトープマッピング方法もまた提供される。本明細書で提供される方法は、問題のポリペプチド/タンパク質内の潜在的なB細胞エピトープの迅速な同定を可能にし、いずれのタンパク質性標的にも適用できる。当該方法は、ポリペプチドに由来する8−20アミノ酸のペプチドとCD40抗体との連結に依拠する。適切には、ペプチドを合成により生成し、リンカー部分を介してCD40抗体に連結してCD40抗体-ペプチド複合体を生成する。この工程は、抗原の作製に一切の組換え体生物学を必要としない。合成ペプチドは当業者に公知の方法を用いて調製することができ、販売業者によって作製してもよい。合成ペプチドを標識して、当該ペプチドとCD4抗体との複合体形成の単純な手段を提供できる。例えば、CD40抗体及びペプチドをビオチン化し、続いてストレプトアビジン又はアビジンを用いてCD40抗体をペプチドに連結できる。ペプチドをCD40抗体にリンカー部分を介して取り付ける他の手段は上記に提供されている。ペプチドをそれらがポリペプチド全体に及ぶように作製してもよく、又は確率が高いB細胞エピトープを含むように当該ポリペプチド内の領域に集中するようにペプチドを選択してもよい(実施例及び配列番号:59−83を参照されたい)。一般的に、これらのペプチドは水溶性で極性である。ポリペプチド中のB細胞エピトープを予測するコンピュータープログラムは利用可能であり、本明細書に記載した方法と一緒に用いることができる。
【0023】
いったん生成したCD40抗体-ペプチド複合体を対象に投与し、5−7日の短期間後に対象から血清を収集し、完全長の天然のままのポリペプチド又はその部分を認識できる抗体の存在について試験する。ポリペプチドに対する抗体を生成することができるペプチドを抗原性エピトープと認定する。血清は当業者が利用可能な方法を用いて試験でき、前記試験には、ELISAアッセイ、ウェスタンブロット、免疫蛍光、FACS分析又は機能的タンパク質アッセイが含まれるが、ただしこれらに限定されない。機能的タンパク質アッセイには、中和アッセイ又はアゴニストアッセイが含まれる。中和アッセイは、天然のままのタンパク質の機能を阻止する血清の能力について試験する。アゴニストアッセイは、タンパク質と結合しタンパク質の機能を活性化する血清中の抗体の能力について試験する。結合するか或いはアッセイで性能を示すことができる血清及び抗体は、抗原性エピトープであることの指標である。これらの認定された抗原性エピトープを用いて、ワクチンを開発するか、又は全体としてのポリペプチドに特異的な抗体を開発することができる。この技術を用いて数週間でタンパク質をエピトープマッピングすることができ、これはマウスではなく試験対象で実施できる。例えば、ニワトリを対象として用いることができる。伝統的には、このプロセスは1カ月以上を要し、in vitro試験のためにブーストを繰り返して激しい免疫応答を得ていた。
【0024】
本開示は、本明細書に示す構築物、成分の編成又は方法の工程の個々の詳細に限定されない。本明細書に開示する組成及び方法は、以下の開示に照らせば当業者には明白な多様な態様で作製され、実施され、使用され、実行され及び/又は生成されうる。本明細書で用いられる表現方法及び用語は単に記述を目的とし、請求の範囲を限定するものとみなされるべきではない。説明文及び特許請求の範囲で多様な構造又は方法の工程を指すために用いられる通常的な指示語、例えば第一、第二及び第三は、いずれかの固有の構造若しくは工程、又はそのような構造若しくは工程の特定の順序若しくは配置を指示するものと解されることを意図しない。本明細書に記載する全ての方法は、本明細書で特段の指示がなければ、或いは文脈によって明瞭な矛盾が生じないかぎり任意の適切な順序で実施できる。本明細書で提供される任意の及び全ての例又は例示的言葉の使用は、単に開示を容易にすることを意図し、さらに特段に規定しないかぎり開示の範囲の何らかの制限を必ずしも暗示しない。明細書中のいずれの言葉も、及び図面に示されるいずれの構造も、明瞭に請求されていない任意の成分が本開示の対象事項の実施に必須であることを示していると解されるべきではない。“including(含む)”、“comprising(含む)”又は“having(有する)”という用語又はその変化型の本明細書における使用は、その後に列挙される成分及びその等価物とともに追加の成分が含まれることを意味する。ある種の成分を“including(含む)”、“comprising(含む)”又は“having(有する)”と記載された実施形態はまた、それらある種の成分“consisting essentially of(から本質的になる)”及び“consisting of(からなる)”ことが意図される。
【0025】
本明細書における値の範囲の列挙は、特段の指示がなければ、当該範囲内に入る各々別々の値の個々の言及を単に省略する方法として機能し、各々別々の値は、あたかも当該値が別個に明細書に列挙されたかのように明細書に取り入れられる。例えば、濃度範囲が1%から50%と記載されている場合、例えば2%から40%、10%から30%、又は1%から3%などの値をこの明細書に明確に列挙することが意図される。これらは特に意図されているものの単なる例であり、列挙されている最低値及び最高値を含みかつその間にある数値の全ての可能な組み合わせが、本開示に明確に記載されているとみなされるべきである。特定の列挙された量又は量の範囲を表す“約”という語の使用は、当該列挙された量に非常に近い値(例えば、形成測定における製作公差、装置及び人為エラーなどで説明しうるか又は本来説明される値)が、その量に含まれることを示すことが意図される。量に関する全ての百分率は特段の指示がなければ重量百分率である。
いずれの参照(本明細書に引用された非特許又は特許文書の一切を含む)も従来技術を構成することを容認するものではない。特に、特段の記載がなければ、本明細書におけるいずれの文書の参照も、これら文書のいずれかが米国又は他のいずれかの国における共通の一般知識の部分を形成することの容認を構成しない。当該参考文献の考察はいずれもそれらの著者が主張する事柄を記述し、本出願人は、本明細書に引用した文書のいずれに関してもその正確さ及び適切性に反駁する権利を留保する。本明細書に引用した全ての参考文献は、明確にそうではないことを指示しないかぎり参照により完全に本明細書に含まれる。本明細書に引用した参考文献に見いだされる定義及び/又は記載のいずれかで何らかの相違が存在する事象では、本開示が優先するであろう。
以下の実施例は単に例示を意図し、本発明の範囲又は添付の特許請求の範囲の限定を意図しない。
【実施例】
【0026】
実施例1:ペプチドに対しIgAを誘発するニワトリCD40抗体の作製及び使用
材料と方法
抗cCD40モノクローナル抗体(2C5と称される)
我々の研究室は以前にアゴニスト性抗cCD40 Mab(2C5と称する)の開発を報告した(Chen et al., 2010b Development and comparative Immunology 34:1139-1143)。Mab 2C5は、cCD40の組換え細胞外ドメイン(cCD40ED)(CVM-VTPBから得られた組換えcCD40)に対して作製された。このMabは、初代ニワトリB細胞及びマクロファージ、DT40 B細胞、並びにHD11マクロファージで発現されるCD40を認識しこれと結合する。Mab 2C5はまた、HD11マクロファージでNO生成を誘発し、DT40 B細胞増殖を刺激した(Chen et al., 2010b)。これらの結果は、2C5はCD40結合後に下流のCD40シグナリングを誘発し、したがってアゴニスト性であることを示した。Mab 2C5は、ニワトリの天然のCD40リガンド、CD154の機能をどんなに少なくても部分的に模倣した。Chenら(2012, J Immunol Methods 378: 116-120)はまた、抗原のニワトリCD40
+APCへの照準誘導は、抗原特異的循環IgG応答を顕著に強化でき、したがって迅速な免疫グロブリンアイソタイプ切換えを誘発できることを報告した(Chen et al., 2012)。
【0027】
ペプチドとマウス抗体とのストレプトアビジン媒介複合体形成
抗CD40 Mab-ペプチド複合体(“Mab 2C5-ペプチド複合体”と称する)及びコントロール複合体を本質的には以前に記載したように調製した(Chen et al., 2012)。簡単に記せば、抗ニワトリCD40 Mab 2C5(配列番号:2及び4)及び非特異的コントロールマウス免疫グロブリン(MIg)を、Fcフラグメント上の炭水化物部分の誘導化によって直接ビオチン化した。ビオチン化及びcCD40結合性能保持は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって立証した(結果は示されていない)。アミノ末端ビオチン化合成ペプチド(b-NAWSKEYARGFAKTGK(配列番号:57))及びストレプトアビジン(SA)を、化学量論的に制御されたビオチン化ペプチド及びビオチン化2C5(又はMIg)の複合体形成反応で1(SA分子):2(ペプチド分子)及び2(免疫グロブリン分子)の比で用いた(
図1)。
しかしながら、免疫グロブリン-ペプチド複合体は胃腸管の酵素性及び酸性pH環境に対しておそらく感受性であるので、免疫グロブリン-ペプチド複合体のアルギネートマトリックス中への防御的被包化は、経口投与が要求されるときには論理的な予防措置と考えられた。アルギネート被包化は抗原の経口デリバリーのために有用なアプローチであり、微細アルギネート球に封入された機能的免疫グロブリン-ペプチド複合体は、おそらく一切の無防備タンパク質を分解する厳しい胃腸管環境にもかかわらず適切な部位(例えばパイエル板)に安全にデリバーできる(Desai and Schwendeman, 2013, J Controlled Release 165:62-74)。この実験のために、本質的にParkと共同研究者らの報告(Bowersock et al., 1999, Vaccine 17:1804-1811)にわずかの修正を加えて、Mab 2C5-ペプチド複合体及びMIg-ペプチド複合体のアルギネート球中への被包化を実施した。アルギネート防御粒子の形にMab 2C5-ペプチド複合体又は非特異的MIg-ペプチド複合体を調製するために、当該分子複合体を新しく生成し、続いてリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4)中で3%(w/v)のアルギン酸ナトリウム(Sigma-Aldrich, St Louis, MO)と穏やかに混合して、均質な溶液を得た。続いて、生じた溶液を1mLプラスチック注射筒に取り付けた23ゲージ針から3%(w/v)のCaCl
2溶液中に穏やかに撹拌しながら一滴ずつ室温で30分間押し出した。ゲル化アルギネート球を3,000gで10分間(4℃)遠心分離してCaCl
2溶液から分離し、3回PBS(pH7.4)でさらに洗浄した。アルギネート球の気孔率を低下させるために、それらを0.3%(w/v)ポリ-L-リジン溶液中で穏やかに撹拌しながら室温で30分間被覆することによって当該アルギネート球を安定化させた。続いて、ポリ-L-リジン被覆アルギネート球を3回PBS(pH7.4)で洗浄した。これらのアルギネート球は使用まで4℃で保存できた。使用日に、IKA(商標)T10基本型Ultra-Turraxホモジナイザー(Sigma-Aldrich)を用いて機械的に断片化し、懸濁物を経口投与する前により小さな微小球の懸濁物を形成した。当該アルギネート球の形態学的特徴は血球計算盤を用いて顕微鏡的に立証した。断片化前のアルギネート球の平均サイズは直径がおよそ1.5mmであり、懸濁物中の(断片化)アルギネート微小球の直径は10から100μmの範囲であった。
【0028】
溶液中のMab 2C5-ペプチド複合体によるニワトリの免疫又はアルギネート被包化Mab 2C5-ペプチド複合体微小球懸濁物としてのニワトリの免疫
4週齢の雄のレグホーンを4つのグループ(n=16/グループ)に無作為に割り当てた。PBS(pH7.4)中の非被包化Mab 2C5-ペプチド複合体(又は“ブラインド”、非特異的MIg-ペプチド複合体、陰性コントロールとして用いられる)溶液を、皮下(s.c.)注射、総排泄腔ドリンキング(ファブリキウス嚢ルート)、及び点眼内(眼鼻ルート)投与による免疫に用いた。s.c.注射のためには、0.5mL体積の乳化PBS(5%(v/v)スクアレン及び0.4%(v/v)トゥイーン80(Sigma-Aldrich, pH7.4)を含む)中の50μgのMab 2C5-ペプチド複合体/MIg-ペプチド複合体を各ニワトリの首筋に注射した。総排泄腔ドリンキングのためには、150μL体積のPBS中の50μgのMab 2C5-ペプチド複合体/MIg-ペプチド複合体を、P200ピペットを用いてニワトリの総排泄腔唇縁に当該免疫溶液を滴下することによって投与した。眼内免疫のためには、40μL体積のPBS中の50μgのMab 2C5-ペプチド複合体/MIg-ペプチド複合体をニワトリの両眼に点眼投与した。アルギネート球懸濁物による経口免疫のためには、当該免疫原を保定したニワトリの口腔内に当該ニワトリが前記免疫原を嚥下するまで穏やかに滴下した。2mL体積のPBS(pH7.4)中の50μgの2C5-ペプチド複合体を含むアルギネート懸濁物を、16羽のニワトリの各々にパスツールピペットを用いて投与した。総排泄腔又は経口投与により免疫原を投与されるニワトリは、免疫前に24時間絶食させて免疫原の吐き戻し又は排出を防いだ。本実験の動物使用状態は、米国実験動物学会ガイドラインにそったテキサスA&M大学の学内動物取扱使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee of Texas A&M University)によって承認された。
【0029】
ELISAによるペプチド特異的血清IgGの定量
循環中のペプチド特異的IgGのレベルを、本質的には以前に記載されたようにELISAによって決定した(Chen et al., 2012)。略記すれば、第一にビオチン化ペプチドを等モル比のヤギ抗ビオチン抗体(Thermo Scientific)と1時間回転器上で複合体を形成させた。次に、ペプチド-ヤギ抗体複合体(5μg/mL)で96ウェルの平底マイクロタイタープレート(Thermo Scientific)を0.05Mの炭酸-重炭酸緩衝液(pH9.6)中で一晩(4℃)被覆した。過剰の未吸着ペプチド-ヤギ抗体複合体をプレートの洗浄によって除去し、続いてプレートを5%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA)(Rockland Immunochemicals Inc., Gilbertsville, PA)含有PBSで37℃にて1時間封鎖した。ペプチド被覆ウェルを0.2%(v/v)トゥイーン20(SIGMA)含有PBS(PBST)で洗浄し、続いて3%(w/v)BSA含有PBSTで希釈した(1:100)ニワトリ血清サンプルと一晩4℃でインキュベートした。続いて、このプレートを上記のように洗浄し、3%(w/v)BSA含有PBSTで希釈した(1:12,000)セイヨウワサビペルオキシダーゼ結合ウサギ抗ニワトリIgY(H+L)(Thermo Scientific)と1時間室温でインキュベートした。アイソタイプ特異的ウサギ抗ニワトリIgYを用いて、IgMとの潜在的な交差反応を回避した。製造業者の指示にしたがいOptEIA
TM TMB基質(BD)を用いて着色反応を惹起させた。反応は1Nの硫酸の添加によって停止させた。450nmの吸収(A
450)をワラックプレートリーダー(Wallac plate reader)(PerkinElmer Inc., Waltham, MA)で測定した。
ペプチド特異的IgGの存在は、各血清サンプルの平均A
450を陽性コントロールサンプル(1:100に希釈)(全プレートで内部標準として用いた)の平均A
450と対比し、プレート及び実験間の(ただしアイソタイプ内での)力価の比較を可能にすることによって決定した。全血清サンプル中のペプチド特異的IgGの相対的レベルを決定し、陽性対サンプル(S/P)比を以下のように計算することによって標準化した:S/P値=(サンプル平均−陰性コントロール平均)/(陽性コントロール血清平均−陰性コントロール平均)。(非特異的抗体複合体へのペプチドの組み込みと対照的に)cCD40にペプチドを特異的に照準誘導する作用は、以下の計算を用いて概算した:Mab 2C5(S/P)マイナスMIg(S/P)。スチューデントのt検定を用いて、全グループの処置間におけるS/P値の平均の有意差を決定した。MIg-ペプチド複合体グループのS/P値をベースラインとして用いた。JMP(商標)バージョン9ソフト(SAS Institute Inc., Cary, NC)を用いて全データを分析及び作製した。統計的有意はP<0.05によって決定した。
【0030】
ELISAによるペプチド特異的気管IgAの定量
気管粘膜サンプル中のペプチド特異的IgAのレベルをELISAによって決定した。免疫後(p.i.)7日又は14日で各グループから8羽のニワトリをサクリファイスし、各ニワトリの気管粘膜サンプルを以下のように気管洗浄を実施することによって収集した。気管の血液夾雑を回避するために、CO
2チャンバーを用いて各ニワトリを安楽死させた。気管を咽頭領域で無菌的に露出させ、1cmの気管分節を収集して秤量し、続いて2mLの微量遠心分離管に移した。この気管をHalt(商標)プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤(Thermo Fisher Scientific Inc., Barrington, IL)、0.1%(w/v)チメロサール、並びに3%(w/v)BSAを含む冷PBST(137mM NaCl、2.7mM KCl、10mM Na
2HPO
4、2mM KH
2PO
4、及び0.5%トゥイーン20(v/v))に浮かべた。気管IgAの抽出効率を最大にするために、100mgの気管サンプルの重さにつき1mLのPBSTを添加した。30秒間激しくボルテックスすることによって、気管粘膜を気管の内部基底層から引きはがした。この管を5,000gにて30分間4℃で遠心分離し、上清を収集して使用まで-20℃で凍結した。
粘膜抽出物中のsIgAの検出は以下のように実施した。ビオチン化ペプチド(b-NAWSKEYARGFAKTGK;配列番号:57)をヤギ抗ビオチン抗体(Thermo Fisher Scientific Inc.)と回転器上で1時間37℃にてインキュベートした。ペプチド-ヤギ抗体複合体(5μg/mL)で96ウェルのマイクロタイタープレート(Thermo Fisher Scientific Inc.)を0.05Mの炭酸-重炭酸緩衝液(pH9.6)(SIGMA)中で一晩(4℃)被覆した。過剰のペプチド-ヤギ抗体複合体を除去し、プレートを5%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA)(Rockland Immunochemicals Inc., Gilbertsville, PA)含有PBS(pH7.4)で一晩4℃にて封鎖した。ペプチド被覆ウェルをPBSTで洗浄し、続いて3%(w/v)BSA含有PBST中のニワトリ気管IgAサンプル(1:100希釈)と一晩4℃でインキュベートした。続いて、このプレートを上記のように洗浄し、3%(w/v)BSA含有PBSTで希釈した(1:10,000)セイヨウワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ニワトリIgA(Thermo Fisher Scientific Inc.)と1時間室温でインキュベートした。アイソタイプ特異的ヤギ抗ニワトリIgAを用いて、他の抗体アイソタイプとの交差反応を回避した。製造業者の指示にしたがいOptEIA
TM TMB基質(BD, Lakes, NJ)を用いて着色反応を惹起させ、1Nの硫酸の添加によって反応を停止させた。450nmの吸収(A
450)をワラックプレートリーダー(PerkinElmer Inc., Waltham, MA)で測定した。ペプチド特異的IgAの存在は、各気管IgAサンプルの平均(A
450)値を内部コントロールとして用いた陽性コントロールIgAサンプル(1:100に希釈)のそれと対比することによって決定された。全気管サンプル中のペプチド特異的IgAの相対的レベルを決定し、陽性対サンプル(S/P)比を上記でIgGについて説明したように計算することにより標準化した。スチューデントのt検定を用いて、全グループの処置間におけるS/P値の平均の有意差を決定し、さらにMIg-ペプチド複合体グループのS/P値をベースラインとして用いた。JMP(商標)バージョン9ソフト(SAS Institute Inc., Cary, NC)を用いて全データを分析及び作製した。統計的有意はP<0.05によって決定した。
【0031】
結果
抗CD40誘導ペプチド複合体と非特異的“ブラインド”ペプチド複合体によるただ1回の非経口(s.c.)免疫後の抗体応答
特異的な全身性及び粘膜抗体応答における抗CD40誘導Mab 2C5-ペプチド複合体の非経口免疫の効果を判定するために、50μgのMab 2C5-ペプチド複合体でただ1回s.c.免疫を受けた5週齢雄のレグホーンのグループ及びそれらの応答を、陰性コントロールとして機能する“ブラインド”非特異的MIg-ペプチド複合体を投与したレグホーンと比較した。気管及び血漿サンプルをp.i.7日目及び14日目に全免疫ニワトリから収集し、ペプチド特異的IgA及びIgG免疫応答をELISAによってアッセイした。
図2Aに示すように、Mab 2C5-ペプチド複合体の単回s.c.注射は、非特異的MIg-ペプチドコントロールでp.i.7日(P<0.001)及び14日(P<0.001)に得られたものより有意に高いペプチド特異的循環IgG抗体応答を誘発した。ペプチド特異的sIgA免疫応答もまた、ニワトリAPC上に発現されたCD40へ免疫原を照準誘導することによって7日目(P<0.001)及び14日目(P<0.001)に有意に強化された(
図2B)。我々は、p.i.14日目にコントロールと比較して統計的に有意に高められたIgG及びsIgA免疫応答を観察したが、大きな免疫強化はp.i.7日目に明瞭に観察された。同じ効果を
図4及び
図5に示す全ての抗体応答の概観グラフでもまた観察できる。
【0032】
抗CD40誘導ペプチド複合体と非特異的MIgGペプチド複合体によるただ1回の粘膜免疫後の抗体応答
抗CD40 Mab 2C5-ペプチド複合体の潜在的な免疫強化作用はまた、3つの異なる粘膜誘導部位を介する免疫原のトリへの投与によって(それぞれの投与時に“ブラインド”非特異的MIg-ペプチド複合体を陰性コントロールとして用いる)判定された。5週齢の雄のレグホーンのグループにMab 2C5-ペプチド複合体の単一用量(50μg)を以下の粘膜ルートの1つを介して投与した:眼鼻(点眼)投与、総排泄腔ドリンキング(当該腔開口部の唇縁に滴下)投与、及び経口投与。経口ルートでは胃への胃管栄養法ではなく(胃管栄養法は食道及び素嚢を迂回するであろう)、免疫原を能動的に飲ませることによって投与された。気管及び血漿サンプルをp.i.7日及び14日に収集し、抗体応答を以前にs.c.投与ルートについて記載したように測定した。異なる粘膜投与ルートから得られた結果は、2C5-ペプチド複合体は、異なるルートの各々について、IgG(
図3)及びsIgA(
図4)の同様な抗体応答パターンを誘発することを示した。3つの粘膜ルートのいずれによる粘膜誘導部位への抗原の直接的デリバリーも、MIg-ペプチドコントロールと比較して、p.i.7日(P<0.001)からp.i.14日(眼鼻ルート、P<0.001;経口ルート、P<0.01;総排泄腔ドリンキングルート、P<0.05)に向けて有意なペプチド特異的全身性IgG免疫応答を誘発した(
図3)。
図4は、抗CD40誘導Mab 2C5-ペプチド複合体はまた、MIg-ペプチド複合体と比較して、試験した3つの粘膜ルートの全てでp.i.7日で有意なペプチド特異的sIgA応答を誘発することができるが(眼鼻ルート、P<0.001;経口ルート、P<0.01;総排泄腔ドリンキングルート、P<0.01)、これらのIgA応答はp.i.14日で明瞭に低下する(眼鼻ルート、有意ではない;経口ルート、P<0.01;総排泄腔ドリンキングルート、P<0.01)ことを示した。留意すべきことには、異なるルートによる“ブラインド”MIg-ペプチド複合体の粘膜投与もまた数字的にわずかにペプチド特異的全身性IgG応答を高めるようであり、さらにまた粘膜sIgA応答も高まったがただしこれは眼鼻投与の後だけであった。
【0033】
異なる投与ルートを介する抗CD40照準誘導の正味の免疫強化作用の計算
上記の結果から、我々は、非特異的な“ブラインド”タンパク質複合体へのペプチド組み込みと対比して、同じペプチドをCD40
+APCへ照準誘導することの正味の免疫強化作用を査定した。この目的のために、免疫強化作用を以下のように定義した:[“ブラインド”複合体投与の平均(S/P)値]を差し引いた[抗CD40誘導複合体の平均(S/P)値]。このアジュバント効果を投与ルート(4)及び時点(2)間で比較した。
図5Aに示すように、2C5-ペプチド複合体のs.c.投与は、p.i.7日目にCD40照準誘導によって達成される圧倒的に強力な全身性IgG免疫応答を生じた。しかしながら、この強化規模におけるレベルは維持されず、p.i.14日目までに最初の値の半分未満に低下した(1.371対0.497)。ただしs.c.投与によるCD40照準誘導の正味のIgG効果はp.i.14日目までに低下したが、全身性のペプチド特異的IgGレベルにおける正味の効果は、他のいずれの粘膜ルートにより、他のいずれの時点で得られたものよりもなお大きかった。3つの粘膜投与ルートは、p.i.7日目で類似するが低い正味の全身性IgG応答を示し、p.i.14日目に向かって適度に増加した(
図5A)。
驚くべきことに、2C5-ペプチド複合体によるs.c.免疫は、ペプチド特異的IgAの分泌におけるCD40照準誘導の正味の効果を誘発した。特異的IgAレベルにおけるs.c.投与の効果は、3つの異なる粘膜ルートのそれとp.i.7日目で規模において類似していた(
図5B)。ペプチド特異的IgA生成におけるCD40照準誘導の正味の効果は、p.i.14日目に全ての投与ルートで実質的に降下した。これは、部分的には、p.i.14日目までにブラインドMIg-ペプチド複合体は、いくらかのペプチド特異的sIgA免疫応答をゆっくりと誘発し始めるという事実(これは2C5の正味のCD40照準誘導効果を差し引く)の結果であろう。
【0034】
実施例2:抗ニワトリCD40 scFvの作製
ニワトリCD40(chCD40)に対する単鎖抗体ライブラリー(scFv)をファージディスプレーによって構築した。簡単に記せば、マウスをニワトリCD40で免疫し、脾臓細胞を収集した。RNAを抽出し、cDNAを合成した。PCRを用いて可変軽鎖及び可変重鎖を増幅し、PCRを用いてscFvを増幅した。生成物をベクターに連結し、大腸菌(E. coli)を形質転換した。ヘルパーファージをレスキューした後、このファージを沈殿させた。3x10
6形質転換体のscFvライブラリーサイズを得た。結合を許容するCD40被覆ELISAにこのファージを添加し、さらに非特異的に結合したファージを除去するために洗浄した。大腸菌を添加して、結合ファージを増幅させ、前記のプロセスを繰り返した。ニワトリCD40に対する3ラウンドの選別は陽性クローンの40%濃縮をもたらし、下記表1に示すように当該ライブラリーで優先集団となった。
【0035】
表1:抗CD40 scFvの濃縮選別
【表1】
%ファージ結合=(アウトプット/インプット)x100.濃縮度=以前のラウンドと比較した結合ファージの%の増加倍数。
【0036】
続いてcCD40及びCD205に対してDAG1ディスプレーファージをELISAで試験し、結果を
図9に示す(配列番号:14を参照されたい)。scFvはcCD40に特異的結合した。したがって、cCD40に対する3ラウンドの選別に続いて、特異的で高親和性の抗体が得られた。DAG1(約35KDa)と称する可溶性の抗cCD40 scFvをニッケルアフィニティークロマトグラフィーによって精製し、免疫ブロッティングによって特徴を分析した。このscFvは、
図10に示すようにELISAでcCD40を認識した。
細胞(DT40 B細胞又はHD11マクロファージ)をポリ-L-リジン被覆スライドにPBS中の4%パラホルムアルデヒドを用いて固定し、抗cCD40 scFv DAG1で染色した。DAG1 scFvは、DT40 B細胞(
図11A)及びニワトリHD11マクロファージ(
図11B)で発現されるニワトリCD40と特異的に結合できた。DT40 B細胞をin vitroで凝集させるDAG1 scFvの能力もまた試験した。細胞(2x10
5)をV底プレートに播種し、抗cCD40 scFvを含む細菌細胞培養(
図12A)又はPBS(
図12B)の10μLとともに一晩インキュベートした。DAG1とインキュベートされた細胞は凝集し、ウェルの底及び側面にネットワークを形成した。PBSとインキュベートされた細胞は
図12に示されるようにV底に集められた。
精製抗cCD40 scFv(DAG1)(黒四角)、マウスIgG1(黒丸)、又はLPS(黒三角)の連続3倍希釈で刺激したHD11マクロファージによる一酸化窒素の生成を査定した。
図13に示すように、一酸化窒素生成は、DAG1希釈物で刺激したとき、HD11ニワトリマクロファージでは直線的態様で刺激された。これらの活性は、CD40L(CD154)の作用を模倣する抗cCD40 DAG1の能力を示している(CD40LはニワトリAPCのin vivo活性化の誘発に必要なシグナリングを提供する)。そのようなアゴニスト性抗cCD40 scFvは、したがってニワトリ免疫系におけるCD40の役割の研究のための強力なツールを構成することができ、又は免疫応答を誘発するために抗原に連結させることができる。
【0037】
実施例3:トリインフルエンザアジュバント複合体試験
材料と方法
AIVで保存されているM2eイオンチャネルドメインに対してモノクローナル抗体を作製した。以前に発表された配列に基づいて、M2eで保存されているペプチド配列CEVETPTRN(配列番号:58)を合成し、Balb/cマウスの皮下免疫のためにRIBI緩衝液中の50μg/マウスとして用いた。25μg/マウスで3回の追加免疫を3週間間隔で実施した。各免疫の1週間後に血漿を収集し、ELISAによりペプチド特異的IgG応答についてスクリーニングした。いったんマウスが高免疫化されて抗体力価がプラトーに達したら、マウスを安楽死させて脾臓細胞を採集した。
この脾臓細胞をマウスSp2/0ミエローマ細胞との電気的融合に用いて、B細胞ハイブリドーマを作製した。ハイブリドーマ培養を5%CO
2にて37℃で維持し、15%のFBSを補充したDMEM培養液で培養した。ハイブリドーマ上清をELISAによるペプチド特異的M2e抗体産生及び全トリインフルエンザウイルスとの結合能力についてスクリーニングした。親ハイブリドーマを選別し、続いて限界希釈によってサブクローニングした。サブクローニングしたモノクローナルハイブリドーマを同じ方法にしたがってさらにスクリーニングし、腹水産生及び凍結保存のために最終的なサブクローンを選別した。3つのハイブリドーマが全トリインフルエンザウイルス(AIV)認識について陽性であり(強力な陽性)、クローンA、クローンB及びクローンCと称した。これら3つのサブクローンをアジュバント複合体形成及びAIVに対する免疫原性試験で用いた。
腹水産生後、選択した3つの抗M2eモノクローナル抗体の各々をタンパク質Gアフィニティークロマトグラフィーによって精製し、EZリンクヒドラジドLCビオチンキット(Thermo Scientific)を用い製造業者の指示にしたがってビオチン化した。ビオチン化抗M2e抗体とビオチン化抗CD40モノクローナル抗体とで、足場としてストレプトアビジンを2(第一のモノクローナル抗体):1(ストレプトアビジン):2(第二のモノクローナル抗体)の比率で用い複合体を形成した。この抗CD40/M2e複合体を、以前に鶏卵胚で調製しておいたトリインフルエンザウイルスの化学的不活化全ウイルスと混合して、アジュバント複合体とウイルスを結合させた。前記完全な複合体を、インドネシア(Bandung)のメジオンワクチン社(Medion Vaccine)でのニワトリin vivo免疫原性試験のために用いた。
【0038】
結果
図14に示されるように、実験的アジュバント(モノクローナルM2e抗体クローンA、B及びC由来)は、メジオン市販ワクチンコントロールと比較して、HPAIチャレンジによる致死を等しく遅らせた(平均して1日)。全実験グループが384HA単位の不活化ウイルスを投与された。実験グループは、様々な量の実験的アジュバント複合体を投与された(ウイルス粒子当たりの複合体の量として示される)。例えば、250Xは、ウイルス粒子につき250複合体である。動物は、ワクチン接種から1週間後にH5トリインフルエンザウイルス(2x10
5ウイルス/トリ)でチャレンジされた。
図14のグラフに示すように、非ワクチン接種グループは非ワクチン接種チャレンジコントロールグループである。ウイルス単独グループは、ワクチン接種中にアジュバントを含まない不活化ウイルスを投与された。
血清をワクチン接種後1週間で収集し、HI試験(血球凝集阻害を基準にするウイルスの中和)に用いた。トリから収集した血清をAIVとインキュベートし、ウイルスの結合及び中和を可能にした。全赤血球を添加して、血清中の抗体が、赤血球を血球凝集させるウイルスの能力を中和することができるか否かを立証した。各実験的アジュバントクローンの平均HI値が
図15に示され、HPAIによるチャレンジ前のワクチンの有効性を表す。HIスコアはワクチン有効性を正確に予測するものとして広く確立されている。ウイルス粒子に対するアジュバントの比率/投薬量による統計的差異は各グループ内で観察されなかったが、M2e照準誘導複合体の各々が有意な血球凝集阻害を誘発した。実験グループのHIを完全にひとまとめにし(比率/投薬量に無関係に)、
図16に示されるようにコントロールと比較した。平均HI値の分布は
図16に示され、当該図では、各トリの応答はグラフの個々の点であり、全ての実験的アジュバントがコントロールより高いHI値を誘発することを示している。クローンCは、クローンA又はクローンBと比較して最高のHI能力を示す。
図17Aに示すように、クローンCのHI値は、統計的に他のグループ(クローンA、クローンB又は混成コントロール)よりも有意に高い。コントロールが(
図17Bのように)分離されると、クローンCは統計的には有意ではないが数字的にはコントロールよりも高い。メジオンワクチンは市販のワクチンコントロールであり、したがって性能におけるいずれの増加も極めて適切であることは記憶に値する。クローンCは、コントロールグループが分離された後でも他のクローンより統計的に高い値を維持する。総合して、我々は、クローンCは、ワクチンアジュバントとして明瞭にクローンA又はBより有効であることを見出した。アジュバント複合体対ウイルス粒子比は、(クローンCのHIデータで認められるように)中和抗体生成を誘発するために主要な因子ではないように思われる。アジュバント複合体はHPAI感染の開始後等しく致死を遅らせることができ、市販のワクチンより良好なHI力価を有する。
【0039】
結論
この試験の最も重要な結論は、それがこの試験の論理的見解についての明白な(統計的な)証拠を提供するということ、すなわち、我々のアジュバント複合体は、一方の末端でニワトリの抗原提示細胞を他方の末端で不活化AI粒子に物理的に連結することができ、極めて迅速な免疫応答を当該プロセスで惹起するということである。このin vivo試験までは、我々の初期の概念では、アボガドロ数を用いて仮定し日常的用量の不活化ウイルス当たりのアジュバント複合体の量を算出した。本抗体誘導アプローチはメジオンの市販ワクチンを圧倒した。
【0040】
実施例4:抗体誘導C.パーフリンゲンスα-毒素エピトープマッピング
材料と方法
クロストリジウム・パーフリンゲンスアルファ毒素の細胞外ドメインを分析して、当該毒素の溶血活性の抗体による中和のための可能な領域を同定した。長さが各々8−15アミノ酸の線状ペプチドのライブラリーをB細胞エピトープとしてのそれらの潜在能力を基準にして選択し合成した(表2及び配列番号:59−83を参照されたい)。
当該エピトープライブラリーに由来する各ビオチン化ペプチドをCD40照準誘導複合体に組み込み(ビオチン化ペプチドはビオチン化CD40抗体にストレプトアビジンを介して連結される)、トリに皮下注射してペプチド特異的IgG抗体応答を誘発した。CD40抗体は市販のビオチン化キット(EZリンクヒドラジドLCビオチン(Thermo Scientific))を用いてビオチン化し、ペプチドは既にビオチン化されたものを購入した。抗血清を免疫後1週間で各トリから収集した。血清収集後、サンプルを遠心分離してデブリ及び沈殿物を除去した。ペプチド特異的免疫原性は標準化ELISAプロトコルで測定した。
各標的に対して生じた抗血清を、溶血活性を中和するその能力について試験した。C.パーフリンゲンスアルファ毒素はUSDAから入手した。無菌的PBS中の1:80希釈(中和アッセイのためにUSDAが推奨する毒素の希釈)の毒素の50μLを、50μLの血清(1:10から開始して2倍連続希釈)と平底96ウェルプレートで混合し、37℃で1時間インキュベートして毒素を結合/中和させた。最初のインキュベーションの後で、PBS中の5%(v/v)ヒツジ赤血球の100μLを全ウェルに添加し、さらに1時間37℃でインキュベートした。インキュベーションの後で、ウェルの溶血活性の中和を観察した。
【0041】
表2:ワクチン接種後7日のペプチド特異的IgY応答(ELISA標準プロトコル使用)
【表2】
【0042】
グラフの形で抗体応答を示すデータは
図18に提示されている。抗体応答は3つのグループに分けられた。免疫日に対する免疫7日後のペプチド特異的免疫グロブリンの比が10を超えるものは高度に免疫原性と考えた。6から10の間の比を有するペプチド複合体は中等度免疫原性と考え、6未満の比を有するものは軽度に免疫原性と考えた。これらの区別は、
図18のグラフの棒線としてグラフ的に示されている。
続いてウイルス中和アッセイを完結させて、抗体が、クロストリジウム・パーフリンゲンスアルファ毒素の溶血性活性を中和できるか否かを決定した。簡単に記せば、血清の2倍連続希釈を食塩水で作成し、ウェル当たり50μLを加えた。USDAから入手したC.パーフリンゲンスアルファ毒素の1:80希釈を無菌的PBSで調製し、ウェル当たり50μLで添加した。アッセイを37℃で1時間インキュベートした。続いて100μLの5%ヒツジ赤血球懸濁物を各ウェルに加え、穏やかに混合し、1時間37℃でインキュベートさせた。490nmでの吸収を測定して、赤血球の溶血レベルを決定した。溶血が陽性のウェルは中和が陰性と考えられた血清で、逆もまた同様である。
表3に示されるように、血清のいくつかは毒素を中和し溶血を防ぐことができた。表に示す中和は、C.パーフリンゲンスアルファ毒素をなお中和できる最高希釈倍数である。したがって“160”は1:160希釈でなお毒素を中和した血清を意味する。コントロールペプチド(用いた非誘導系)は溶血の中和について陰性であった。
【0043】
表3:溶血活性中和の結果
(毒素の溶血活性を完全に中和できる最高血清希釈を示す)
【表3】
【0044】
CD40照準誘導抗体によって誘導される抗原を用いたただ1回の注射から1週間後に生じた抗体は、アルファ毒素の溶血活性のある程度の低下をもたらした。抗体誘導抗原による、本ワクチン免疫技術は、9/23の抗原で顕著な免疫応答をもたらした(IgYレベルとして測定)。加えて、この抗原選別プロセスを通して、エピトープ20、21、及び23は高度に免疫原性でありかつ溶血活性について高度に中和性で、ワクチン候補としてのそれらの潜在能力を示唆した。したがって、我々は、エピトープをマッピングし、さらに組換えワクチン作製で使用される潜在的な抗原性エピトープを同定する迅速な方法を開発した。
【手続補正書】
【提出日】2017年3月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アジュバント組成物であって、
特異的にCD40と結合しCD40シグナリングを誘発することができる少なくとも2つのF(ab)領域を含む、少なくとも1つの第一のCD40アゴニスト抗体又はその部分と、
特異的に微生物と結合することができる少なくとも2つのF(ab)領域を含む、少なくとも1つの第二の抗体又はその部分と、
前記少なくとも1つの第一のCD40アゴニスト抗体又はその部分及び前記少なくとも1つの第二の抗体又はその部分に取り付けられた少なくとも1つの標識と、
前記標識と特異的に結合することができるリンカー部分と
を含み、前記少なくとも1つの第一のCD40アゴニスト抗体及び前記少なくとも1つの第二の抗体が前記リンカー部分に結合されて複合体を形成している、前記アジュバント組成物。
【請求項2】
前記第一のCD40アゴニスト抗体の2つ以上及び前記第二の抗体の2つ以上が、前記リンカー部分に結合されて前記複合体を形成している、請求項1に記載のアジュバント組成物。
【請求項3】
前記第一のCD40アゴニスト抗体及び前記第二の抗体の各々上の標識が、ビオチンである、請求項1〜2のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
【請求項4】
前記リンカー部分が、アビジン又はストレプトアビジンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
【請求項5】
前記第二の抗体が特異的に結合する微生物が、細菌又はウイルスである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
【請求項6】
前記第二の抗体が、インフルエンザウイルス、サルモネラ属(Salmonella)、クロストリジウム属(Clostridium)、カンピロバクター属(Campylobacter)、大腸菌属(Escherichia)、赤痢菌属(Shigella)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、ビブリオ属(Vibrio)、プレジオモナス属(Plesiomonas)、エドワルジア属(Edwardia)、クロストリジア(Clostridia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、連鎖球菌属(Streptococcus)、アエロモナス属(Aeromonas)、口蹄疫ウイルス、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDv)、及びブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)からなる群から選択される微生物と特異的に結合する、請求項5に記載のアジュバント組成物。
【請求項7】
前記第二の抗体がインフルエンザM2eと結合する、請求項6に記載のアジュバント組成物。
【請求項8】
前記第一のCD40アゴニスト抗体又はその部分が、以下のうちの少なくとも1つからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアジュバント組成物:
a.配列番号:2及び配列番号:4を含む抗体(2C5);
b.配列番号:14を含む抗体(DAG1);
c.重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域を含む抗体又はその部分であって、前記重鎖可変領域が、配列番号:5に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:6に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:7に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:8に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:9に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:10に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含む、当該抗体又はその部分;並びに
d.重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域を含む抗体又はその部分であって、前記重鎖可変領域が、配列番号:20に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:21に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:22に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:17に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:18に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:19に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含む、当該抗体又はその部分。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のアジュバント組成物を含み、さらに前記微生物を含むワクチンであって、前記アジュバント組成物は前記微生物に特異的に結合される、前記ワクチン。
【請求項10】
前記微生物が死滅又は不活化されている、請求項9に記載のワクチン。
【請求項11】
前記ワクチンがアルギネート球内に含まれる、請求項9〜10のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項12】
少なくとも1つのF(ab)領域を含むCD40アゴニスト抗体又はその部分であって、以下のうちの少なくとも1つからなる群から選択される、前記CD40アゴニスト抗体又はその部分:
a.配列番号:2及び配列番号:4を含む抗体(2C5);
b.配列番号:14を含む抗体(DAG1);
c.重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域を含む抗体又はその部分であって、前記重鎖可変領域が、配列番号:5に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:6に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:7に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:8に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:9に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:10に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含む、当該抗体又はその部分(2C5);並びに
d.重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域を含む抗体又はその部分であって、前記重鎖可変領域が、配列番号:20に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:21に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:22に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:17に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:18に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:19に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含む、当該抗体又はその部分(DAG1)。
【請求項13】
リンカー部分によって抗原と連結されている請求項12に記載のCD40アゴニスト抗体又はその部分を含む、ワクチン。
【請求項14】
前記リンカー部分がペプチド及びストレプトアビジンからなる群から選択され、前記リンカー部分がストレプトアビジンである場合、前記CD40アゴニスト抗体がビオチン化され、かつ前記抗原がビオチン化されて、前記リンカー部分が前記CD40アゴニスト抗体と前記抗原を連結可能としている、請求項13に記載のワクチン。
【請求項15】
前記抗原がワクチン、インフルエンザウイルス、微生物、ペプチド、サルモネラ属、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、カンピロバクター属、大腸菌属、赤痢菌属、ヘリコバクター属、ビブリオ属、プレジオモナス属、エドワルジア属、クロストリジア、クレブシエラ属、ブドウ球菌属、連鎖球菌属、アエロモナス属、口蹄疫ウイルス、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDv)、及びブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)からなる群から選択される、請求項13〜14のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項16】
前記ワクチンがアルギネート球内に含まれる、請求項13〜15のいずれか1項に記載のワクチン。
【請求項17】
請求項9〜11又は13〜16のいずれか1項に記載のワクチンと、医薬的に許容できる担体とを含む、医薬組成物。
【請求項18】
非ヒト対象において免疫応答を強化する方法であって、請求項9〜11又は13〜16のいずれか1項に記載のワクチン又は請求項17に記載の組成物を、前記ワクチン又は組成物中の前記抗原又は微生物に対する免疫応答を強化するのに有効な量で前記非ヒト対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項19】
投与が粘膜ルート、経口ルート、総排泄腔ルート、鼻ルート、眼ルート及び皮下ルートからなる群から選択されるルートによる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ワクチン又は組成物が食物又は飲み水で投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記免疫応答が、投与から7日以内に強化され、単回投与が前記免疫応答の誘発に十分である、請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記CD40抗体がニワトリCD40に特異的であり、前記対象がニワトリである、請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
配列番号:5、6及び7又は配列番号:20、21及び22を含むCD40アゴニスト抗体重鎖と、配列番号:8、9及び10又は配列番号:17、18及び19を含むCD40アゴニスト抗体軽鎖とをコードする第一のポリヌクレオチドを含む構築物であって、前記第一のポリヌクレオチドがプロモーターに作動できるようにつながれており、CD40アゴニスト抗体の発現を可能にする、前記構築物。
【請求項24】
分泌シグナルをコードするポリヌクレオチドをさらに含み、前記CD40アゴニスト抗体が細胞から分泌されうる、請求項23に記載の構築物。
【請求項25】
抗原をコードする追加のポリヌクレオチドを当該構築物に組み込むことを可能にするマルチクローニング部位をさらに含む、請求項23又は24に記載の構築物。
【請求項26】
抗原をコードする第二のポリヌクレオチドをさらに含む、請求項23又は24に記載の構築物。
【請求項27】
前記抗原が、配列番号:26〜53又は57〜83から選択される、請求項26に記載の構築物。
【請求項28】
前記抗原をコードする第二のポリヌクレオチドが、前記CD40アゴニスト抗体をコードするポリヌクレオチドとインフレームで連結される、請求項26又は27に記載の構築物。
【請求項29】
請求項23〜28のいずれか1項に記載の構築物を含む、細胞。
【請求項30】
前記細胞が、植物、藻類、細菌、昆虫又は酵母細胞である、請求項29に記載の細胞。
【請求項31】
以下の工程を含む、ポリペプチドをエピトープマッピングする方法:
a.前記ポリペプチドに由来する8〜20アミノ酸の標識ペプチドを生成する工程;
b.リンカー部分を介して前記標識ペプチドを標識CD40抗体に取り付けてCD40抗体−ペプチド複合体を作製する工程;
c.前記CD40抗体−ペプチド複合体を対象に投与する工程;
d.前記対象から血清を収集する工程;
e.前記ポリペプチドを認識することができる抗体の存在について前記血清を試験する工程;及び
f.前記ポリペプチドに対する抗体を生成することができるペプチドを抗原性エピトープとして認定する工程。
【請求項32】
前記標識がビオチンである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記リンカー部分がストレプトアビジンである、請求項31〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記試験工程が、ELISAアッセイ、ウェスタンブロット、免疫蛍光アッセイ又は中和アッセイのうちの少なくとも1つを含む、請求項31〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記認定された抗原性エピトープを含むワクチンを開発する工程をさらに含む、請求項31〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
請求項9〜11又は13〜16のいずれか1項に記載のワクチン又は請求項17に記載の組成物の使用であって、前記ワクチン又は組成物中の前記抗原又は微生物に対する免疫応答を強化するための医薬の製造における前記使用。
【請求項37】
投与が粘膜ルート、経口ルート、総排泄腔ルート、鼻ルート、眼ルート及び皮下ルートからなる群から選択されるルートによる、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
前記ワクチン又は組成物が食物又は飲み水で投与される、請求項36に記載の使用。
【請求項39】
前記免疫応答が、投与から7日以内に強化され、単回投与が前記免疫応答の誘発に十分である、請求項36〜38のいずれか1項に記載の使用。
【請求項40】
前記CD40抗体がニワトリCD40に特異的であり、前記対象がニワトリである、請求項36〜39のいずれか1項に記載の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
CD40照準誘導抗体によって誘導される抗原を用いたただ1回の注射から1週間後に生じた抗体は、アルファ毒素の溶血活性のある程度の低下をもたらした。抗体誘導抗原による、本ワクチン免疫技術は、9/23の抗原で顕著な免疫応答をもたらした(IgYレベルとして測定)。加えて、この抗原選別プロセスを通して、エピトープ20、21、及び23は高度に免疫原性でありかつ溶血活性について高度に中和性で、ワクチン候補としてのそれらの潜在能力を示唆した。したがって、我々は、エピトープをマッピングし、さらに組換えワクチン作製で使用される潜在的な抗原性エピトープを同定する迅速な方法を開発した。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕アジュバント組成物であって、
特異的にCD40と結合しCD40シグナリングを誘発することができる少なくとも2つのF(ab)領域を含む、少なくとも1つの第一のCD40アゴニスト抗体又はその部分と、
特異的に微生物と結合することができる少なくとも2つのF(ab)領域を含む、少なくとも1つの第二の抗体又はその部分と、
前記少なくとも1つの第一のCD40アゴニスト抗体又はその部分及び前記少なくとも1つの第二の抗体又はその部分に取り付けられた少なくとも1つの標識と、
前記標識と特異的に結合することができるリンカー部分と
を含み、前記少なくとも1つの第一のCD40アゴニスト抗体及び前記少なくとも1つの第二の抗体が前記リンカー部分に結合されて複合体を形成している、前記アジュバント組成物。
〔2〕前記リンカー部分が、前記第一のCD40アゴニスト抗体及び前記第二の抗体上の標識と非共有結合により結合している、前記〔1〕に記載のアジュバント組成物。
〔3〕前記第一のCD40アゴニスト抗体の2つ以上及び前記第二の抗体の2つ以上が、前記リンカー部分に結合されて複合体を形成している、前記〔1〕又は〔2〕に記載のアジュバント組成物。
〔4〕前記標識が、前記抗体の各々に共有結合されている、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
〔5〕前記第一のCD40アゴニスト抗体及び前記第二の抗体の各々上の標識が、ビオチンである、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
〔6〕前記リンカー部分が、アビジン又はストレプトアビジンである、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
〔7〕前記第二の抗体が特異的に結合する微生物が、細菌又はウイルスである、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
〔8〕前記第二の抗体が、インフルエンザウイルス、サルモネラ属(Salmonella)、クロストリジウム属(Clostridium)、カンピロバクター属(Campylobacter)、大腸菌属(Escherichia)、赤痢菌属(Shigella)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、ビブリオ属(Vibrio)、プレジオモナス属(Plesiomonas)、エドワルジア属(Edwardia)、クロストリジア(Clostridia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、連鎖球菌属(Streptococcus)、アエロモナス属(Aeromonas)、口蹄疫ウイルス、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDv)、及びブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)からなる群から選択される微生物と特異的に結合する、前記〔7〕に記載のアジュバント組成物。
〔9〕前記第二の抗体がインフルエンザM2eと結合する、前記〔8〕に記載のアジュバント組成物。
〔10〕前記第一のCD40アゴニスト抗体又はその部分が、以下のうちの少なくとも1つからなる群から選択される、前記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のアジュバント組成物:
a.配列番号:2及び配列番号:4が含まれる抗体(2C5);
b.配列番号:14が含まれる抗体(DAG1);
c.重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域を含む抗体又はその部分であって、前記重鎖可変領域が、配列番号:5に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:6に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:7に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:8に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:9に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:10に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含む、当該抗体又はその部分;並びに
d.重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域を含む抗体又はその部分であって、前記重鎖可変領域が、配列番号:20に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:21に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:22に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:17に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:18に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:19に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含む、当該抗体又はその部分。
〔11〕前記第一のCD40アゴニスト抗体が、ニワトリ、シチメンチョウ、ウシ、ブタ、魚類、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ及び他の家畜動物からなる群から選択される種に由来するCD40ポリペプチドに特異的である、前記〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のアジュバント組成物。
〔12〕前記〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載のアジュバント組成物を含み、さらに前記微生物を含むワクチンであって、前記アジュバント組成物は前記微生物に特異的に結合される、前記ワクチン。
〔13〕前記微生物がインフルエンザウイルスである、前記〔12〕に記載のワクチン。
〔14〕前記微生物が死滅又は不活化されている、前記〔12〕〜〔13〕のいずれか1項に記載のワクチン。
〔15〕前記ワクチンがアルギネート球内に含まれる、前記〔12〕〜〔14〕のいずれか1項に記載のワクチン。
〔16〕前記〔12〕〜〔15〕のいずれか1項に記載のワクチン又は前記〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載のアジュバント組成物であって、前記微生物の血清型が不明である、前記ワクチン又はアジュバント組成物。
〔17〕少なくとも1つのF(ab)領域を含むCD40アゴニスト抗体又はその部分であって、以下のうちの少なくとも1つからなる群から選択される、前記CD40アゴニスト抗体又はその部分:
a.配列番号:2及び配列番号:4が含まれる抗体(2C5);
b.配列番号:14を含む抗体(DAG1);
c.重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域を含む抗体又はその部分であって、前記重鎖可変領域が、配列番号:5に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:6に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:7に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:8に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:9に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:10に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含む、当該抗体又はその部分(2C5);並びに
d.重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域を含む抗体又はその部分であって、前記重鎖可変領域が、配列番号:20に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:21に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:22に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含み、かつ前記軽鎖可変領域が、配列番号:17に示すアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号:18に示すアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号:19に示すアミノ酸配列を含むCDR3を含む、当該抗体又はその部分(DAG1)。
〔18〕リンカー部分によって抗原と連結されている前記〔17〕に記載のCD40アゴニスト抗体又はその部分を含む、ワクチン。
〔19〕前記リンカー部分がペプチドである、前記〔18〕に記載のワクチン。
〔20〕前記リンカー部分がストレプトアビジンであり、前記CD40アゴニスト抗体がビオチン化され、かつ前記抗原がビオチン化されて、前記リンカー部分が前記CD40アゴニスト抗体と前記抗原を連結可能としている、前記〔18〕に記載のワクチン。
〔21〕前記抗原がワクチンである、前記〔18〕〜〔20〕のいずれか1項に記載のワクチン。
〔22〕前記抗原がインフルエンザウイルスである、前記〔18〕〜〔20〕のいずれか1項に記載のワクチン。
〔23〕前記抗原が微生物である、前記〔18〕〜〔20〕のいずれか1項に記載のワクチン。
〔24〕前記微生物が、サルモネラ属、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、カンピロバクター属、大腸菌属、赤痢菌属、ヘリコバクター属、ビブリオ属、プレジオモナス属、エドワルジア属、クロストリジア、クレブシエラ属、ブドウ球菌属、連鎖球菌属、アエロモナス属、口蹄疫ウイルス、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDv)、及びブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)からなる群から選択される、前記〔23〕に記載のワクチン。
〔25〕前記抗原がペプチドである、前記〔18〕〜〔20〕のいずれか1項に記載のワクチン。
〔26〕前記ワクチンがアルギネート球内に含まれる、前記〔18〕〜〔25〕のいずれか1項に記載のワクチン。
〔27〕前記〔12〕〜〔16〕及び〔18〕〜〔26〕のいずれか1項に記載のワクチンと、医薬的に許容できる担体とを含む、医薬組成物。
〔28〕対象において免疫応答を強化する方法であって、前記〔12〕〜〔16〕及び〔18〕〜〔26〕のいずれか1項に記載のワクチン又は前記〔27〕に記載の組成物を、前記抗原又は微生物に対する免疫応答を強化するのに有効な量で前記対象に投与することを含む、前記方法。
〔29〕投与が粘膜ルート又は皮下ルートによる、前記〔28〕に記載の方法。
〔30〕前記粘膜ルートが経口、総排泄腔、鼻又は眼である、前記〔29〕に記載の方法。
〔31〕前記ワクチンが食物又は飲み水で投与される、前記〔28〕に記載の方法。
〔32〕IgG及びIgA応答が強化される、前記〔28〕〜〔31〕のいずれか1項に記載の方法。
〔33〕前記免疫応答が、投与から7日以内に強化される、前記〔28〕〜〔32〕のいずれか1項に記載の方法。
〔34〕単回投与が前記免疫応答の誘発に十分である、前記〔28〕〜〔33〕のいずれか1項に記載の方法。
〔35〕前記CD40抗体が、前記対象の分類学の種、属又は科のCD40に特異的であるように選択される、前記〔28〕〜〔34〕のいずれか1項に記載の方法。
〔36〕前記CD40抗体がニワトリCD40に特異的であり、前記対象がニワトリである、前記〔35〕に記載の方法。
〔37〕配列番号:5、6及び7又は配列番号:20、21及び22を含むCD40アゴニスト抗体重鎖と、配列番号:8、9及び10又は配列番号:17、18及び19を含むCD40アゴニスト抗体軽鎖とをコードする第一のポリヌクレオチドを含む構築物であって、前記第一のポリヌクレオチドがプロモーターに作動できるようにつながれており、CD40アゴニスト抗体の発現を可能にする、前記構築物。
〔38〕分泌シグナルをコードするポリヌクレオチドをさらに含み、前記CD40アゴニスト抗体が細胞から分泌されうる、前記〔37〕に記載の構築物。
〔39〕抗原をコードする追加のポリヌクレオチドを当該構築物に組み込むことを可能にするマルチクローニング部位をさらに含む、前記〔37〕又は〔38〕に記載の構築物。
〔40〕抗原をコードする第二のポリヌクレオチドをさらに含む、前記〔37〕又は〔38〕に記載の構築物。
〔41〕前記抗原が、配列番号:26〜53又は57〜83から選択される、前記〔40〕に記載の構築物。
〔42〕前記抗原をコードする第二のポリヌクレオチドが、前記CD40アゴニスト抗体をコードするポリヌクレオチドとインフレームで連結される、前記〔40〕又は〔41〕に記載の構築物。
〔43〕前記〔37〕〜〔42〕のいずれか1項に記載の構築物を含む、細胞。
〔44〕前記細胞が、植物、藻類、細菌、昆虫又は酵母細胞である、前記〔43〕に記載の細胞。
〔45〕以下の工程を含む、ポリペプチドをエピトープマッピングする方法:
a.前記ポリペプチドに由来する8〜20アミノ酸の標識ペプチドを生成する工程;
b.リンカー部分を介して前記標識ペプチドを標識CD40抗体に取り付けてCD40抗体−ペプチド複合体を作製する工程;
c.前記CD40抗体−ペプチド複合体を対象に投与する工程;
d.前記対象から血清を収集する工程;
e.前記ポリペプチドを認識することができる抗体の存在について前記血清を試験する工程;及び
f.前記ポリペプチドに対する抗体を生成することができるペプチドを抗原性エピトープとして認定する工程。
〔46〕前記標識がビオチンである、前記〔45〕に記載の方法。
〔47〕前記リンカー部分がストレプトアビジンである、前記〔45〕〜〔46〕のいずれか1項に記載の方法。
〔48〕前記試験工程が、ELISAアッセイ、ウェスタンブロット、免疫蛍光アッセイ又は中和アッセイのうちの少なくとも1つを含む、前記〔45〕〜〔47〕のいずれか1項に記載の方法。
〔49〕前記認定された抗原性エピトープを含むワクチンを開発する工程をさらに含む、前記〔45〕〜〔48〕のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】