特表2017-523199(P2017-523199A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-523199シクロヘキサノンを製造するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-523199(P2017-523199A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(54)【発明の名称】シクロヘキサノンを製造するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/82 20060101AFI20170721BHJP
   C07C 49/403 20060101ALI20170721BHJP
   C07C 45/00 20060101ALI20170721BHJP
   C07C 45/53 20060101ALI20170721BHJP
   C07C 39/04 20060101ALI20170721BHJP
   C07C 37/08 20060101ALI20170721BHJP
   C07C 2/74 20060101ALI20170721BHJP
   C07C 13/28 20060101ALI20170721BHJP
   C07C 407/00 20060101ALI20170721BHJP
   C07C 409/14 20060101ALI20170721BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20170721BHJP
【FI】
   C07C45/82
   C07C49/403 J
   C07C45/00
   C07C45/53
   C07C39/04
   C07C37/08
   C07C2/74
   C07C13/28
   C07C407/00
   C07C409/14
   C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2017-505441(P2017-505441)
(86)(22)【出願日】2015年8月3日
(85)【翻訳文提出日】2017年1月31日
(86)【国際出願番号】US2015043475
(87)【国際公開番号】WO2016025213
(87)【国際公開日】20160218
(31)【優先権主張番号】62/037,794
(32)【優先日】2014年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14188588.9
(32)【優先日】2014年10月13日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー クリストファー エル
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス ジェイソン ディー
(72)【発明者】
【氏名】ダッカ ジハド エム
(72)【発明者】
【氏名】ナドラー カーク シー
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC40
4H006AC41
4H006AC44
4H006AD11
4H006BA25
4H006BA71
4H006BD34
4H006BD52
4H006BD84
4H006BE03
4H006BE20
4H006BE30
4H006FC52
4H006FE13
4H039CA40
4H039CA41
4H039CB10
4H039CD10
(57)【要約】
フェノール、シクロヘキサノン、及びシクロヘキシルベンゼンを含む混合物からシクロヘキサノンを製造するための方法及びシステムであって、混合物の少なくとも一部に水素化を受けさせるための工程又は装置と、フェノール/シクロヘキサノン/シクロヘキシルベンゼン混合物を蒸留して、シクロヘキサノンに富む流出物を得るための工程又は装置とを含む方法及びシステムを開示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロヘキサノンの製造方法であって、下記工程:
(I)シクロヘキサノン、フェノール、及びシクロヘキシルベンゼンを含む第1の混合物を第1の蒸留カラムに供給する工程;
(II)前記第1の蒸留カラムから下記:
前記第1の混合物より高い濃度のシクロヘキサノン、フェノール、及びシクロヘキシルベンゼンを含む第1の上部流出物;
シクロヘキサノン、前記第1の混合物より高い濃度のフェノール、シクロヘキシルベンゼン、及びビシクロヘキサンを含む第1の中間流出物;及び
前記第1の混合物より高い濃度のシクロヘキシルベンゼンを含む第1の下部流出物
を得る工程;
(III)前記第1の中間流出物の少なくとも一部及び水素を水素化反応ゾーンに供給し、そこで、水素化触媒の存在下、水素化反応条件下で、フェノールが水素と反応して、前記第1の中間流出物より高い濃度のシクロヘキサノン、前記第1の中間流出物より低い濃度のフェノール、シクロヘキシルベンゼン、及びビシクロヘキサンを含む水素化反応生成物を得る工程;及び
(IV)前記水素化反応生成物の少なくとも一部を前記第1の蒸留カラムに供給する工程
を含む前記方法。
【請求項2】
下記条件:
(i)前記第1の混合物が、10wt%〜90wt%の範囲の濃度のシクロヘキサノンを含む;
(ii)前記第1の混合物が、10wt%〜80wt%の範囲の濃度のフェノールを含む;及び
(iii)前記第1の混合物が、0.001wt%〜75wt%の範囲の濃度のシクロヘキシルベンゼンを含む;の少なくとも1つを満たし、
前記百分率は、前記第1の混合物の総質量に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の上部流出物がさらにシクロヘキサノールを含み、かつ前記方法が下記工程:
(V)前記第1の上部流出物の少なくとも一部を第2の蒸留カラムに供給する工程;及び
(VI)前記第2の蒸留カラムから下記:
前記第1の上部流出物より高い濃度のシクロヘキサノンを含む第2の上部流出物;
前記第2の上部流出物より高い位置で、シクロヘキサノンの標準沸点より低い標準沸点を有する成分を含む第3の上部流出物;及び
前記第1の上部流出物より低い濃度のシクロヘキサノン、及び前記第1の上部流出物より高い濃度のシクロヘキサノールを含む第2の下部流出物
を得る工程
をさらに含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の上部流出物が、該第2の上部流出物の総質量に基づいて、少なくとも95wt%の濃度のシクロヘキサノンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の下部流出物が、該第2の下部流出物の総質量に基づいて、10wt%〜80wt%の範囲の濃度のシクロヘキサノールを含む、請求項3又は請求項4に記載の方法。
【請求項6】
下記条件:
(i)前記第1の中間流出物が、1wt%〜50wt%の範囲の濃度のシクロヘキサノンを含む;
(ii)前記第1の中間流出物が、10wt%〜80wt%の範囲の濃度のフェノールを含む;
(iii)前記第1の中間流出物が、0.001wt%〜30wt%の範囲の濃度のシクロヘキシルベンゼンを含む;及び
(iv)前記第1の中間流出物が、0.001wt%〜30wt%の範囲の濃度のビシクロヘキサンを含む;
の少なくとも1つを満たす、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の中間流出物とは無関係の第2のフェノール含有ストリームが前記水素化反応ゾーンに供給され、前記第2のフェノール含有ストリームが、該第2のフェノール含有ストリームの総質量に基づいて、50wt%〜100wt%の範囲の濃度のフェノールを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
水素及びフェノールが、1.0〜10の範囲の水素対フェノールのモル比で前記水素化反応ゾーンに供給される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記水素化反応ゾーン内で、(i)前記シクロヘキシルベンゼンの少なくとも50%が液相中に存在し;及び/又は(ii)前記フェノールの少なくとも50%が液相中に存在する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記水素化反応ゾーン内で、前記水素化条件が、140℃〜300℃の範囲の温度及び375kPa〜1200kPaの範囲の絶対圧力を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記水素化反応ゾーン内で、(i)存在するシクロヘキシルベンゼンの少なくとも90%が気相中にあり;及び/又は(ii)存在するフェノールの少なくとも90%が気相中にある、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記水素化反応ゾーン内で、前記水素化反応条件が、140℃〜300℃の範囲の温度及び100kPa〜400kPaの範囲の絶対圧力を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
下記条件:
(i)前記水素化反応生成物が、20wt%〜90wt%の範囲の濃度のシクロヘキサノンを含む;
(ii)前記水素化反応生成物が、1wt%〜50wt%の範囲の濃度のフェノールを含む;
(iii)前記水素化反応生成物が、0.001wt%〜30wt%の範囲の濃度のシクロヘキシルベンゼンを含む;及び
(iv)前記水素化反応生成物が、0.001wt%〜30wt%の範囲の濃度のビシクロヘキサンを含む;の少なくとも1つを満たし、
前記百分率は、前記水素化反応生成物の総質量に基づいている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記水素化反応生成物が、該水素化反応生成物の総質量に基づいて、0.01wt%〜10wt%の範囲の濃度のシクロヘキサノールをさらに含む、
請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
下記条件:
(i)前記第1の中間流出物中のシクロヘキシルベンゼンの濃度の、前記水素化反応生成物中のシクロヘキシルベンゼンの濃度に対する比が0.10〜10である;
(ii)前記水素化反応生成物中のビシクロヘキサンの濃度の、前記第1の中間流出物中のビシクロヘキサンの濃度に対する比が0.10〜10である;及び
(iii)前記水素化反応生成物中のシクロヘキサノールの濃度の、前記第1の中間流出物中のシクロヘキサノールの濃度に対する比が0.10〜10である;の少なくとも1つを満たし、
前記濃度は、それぞれ、前記水素化反応生成物の総質量又は前記第1の中間流出物の総質量に基づく質量百分率である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
工程(III)の後に、さらに下記工程:
(IIIA)前記水素化反応生成物を液体ストリーム及び蒸気ストリームに分離する工程;及び
(IIIB)前記蒸気ストリームの少なくとも一部を前記水素化反応ゾーンに再循環させる工程を含み、かつ
工程(IV)が、前記液体ストリームの少なくとも一部を前記第1の蒸留カラムに供給する工程を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記水素化反応生成物が複数ストリームに分離され;
前記複数ストリームの少なくとも1つが、前記第1の中間流出物が引き出される位置より高い位置で前記第1の蒸留カラムに供給され;かつ
前記複数ストリームの少なくとも1つが、前記第1の中間流出物が引き出される位置より低い位置で前記第1の蒸留カラムに供給される、
請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
工程(I)の前記第1の混合物が、下記工程:
(I-A)1-フェニル-1-シクロヘキサン-ヒドロペルオキシド及びシクロヘキシルベンゼンを含む開裂供給原料混合物を開裂反応器内で酸触媒と接触させて開裂反応生成物を得る工程
を含む開裂法によって得られる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
工程(I-A)において、前記酸が液体酸であり、かつ前記開裂法がさらに下記工程:
(I-B)塩基性物質を前記開裂反応生成物に添加して前記第1の混合物を得る工程
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記開裂供給原料混合物が、下記工程:
(I-A-1)ヒドロアルキル化触媒の存在下、ヒドロアルキル化条件下で、ベンゼンを水素と接触させて、シクロヘキシルベンゼンを含むヒドロアルキル化生成物混合物を生成する工程;
(I-A-2)前記触媒の存在下で前記シクロヘキシルベンゼンを酸素と接触させて、1-フェニル-1-シクロヘキサン-ヒドロペルオキシドを含む酸化反応生成物混合物を生成する工程;及び
(I-A-3)前記酸化反応生成物混合物から前記開裂供給原料混合物を与える工程
によって得られる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
さらに下記工程:
(VII)前記第1の下部流出物の少なくとも一部を第3の蒸留カラムに供給する工程;及び
(VIII)前記第3の蒸留カラムから下記:
シクロヘキシルベンゼンを含む第3の上部流出物;及び
シクロヘキシルベンゼンより高い沸点を有する成分を含む第3の下部流出物
を得る工程
を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記第3の上部流出物が、該第3の上部流出物の総質量に基づいて、少なくとも90wt%の濃度のシクロヘキシルベンゼンを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第3の上部流出物の少なくとも一部が工程(I-A-2)に再循環される、請求項21又は請求項22に記載の方法。
【請求項24】
シクロヘキサノンの製造用に構成されたシステムであって、下記:
(A)(i)シクロヘキサノン、フェノール、及びシクロヘキシルベンゼンを含む第1の混合物を受け取り;かつ
(ii)下記:
前記第1の混合物より高い濃度のシクロヘキサノンを含む第1の上部流出物;
シクロヘキサノン、前記第1の混合物より高い濃度のフェノール、シクロヘキシルベンゼン、及びビシクロヘキサンを含む第1の中間流出物;及び
前記第1の混合物より高い濃度のシクロヘキシルベンゼンを含む第1の下部流出物
を生成するように構成された第1の蒸留カラム;
(B)前記第1の中間流出物の少なくとも一部及び水素を受け取り、そこで、水素化触媒の存在下、水素化条件下で、フェノールが水素と反応して、前記第1の中間流出物より高い濃度のシクロヘキサノン、前記第1の中間流出物より低い濃度のフェノール、シクロヘキシルベンゼン、及びビシクロヘキサンを含む水素化反応生成物を生成するように構成された水素化反応ゾーン;及び
(C)前記水素化反応生成物の少なくとも一部を前記第1の蒸留カラムに送達するように構成された第1の流体連絡
を含む前記システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する優先権の主張
この出願は、参照することによりその開示内容を完全に援用する、2014年8月15日に出願された米国仮特許出願第62/037,794号、及び2014年10月13日に出願された欧州特許出願第14188588.9号に対する優先権を主張する。
【0002】
分野
本発明は、シクロヘキサノンを製造するための方法及びシステムに関する。特に、本発明は、フェノールの水素化によってシクロヘキサノンを製造するための方法及びシステムに関する。本発明は、例えば、シクロヘキシルベンゼンの酸化及びシクロヘキシルベンゼンのヒドロペルオキシド開裂からシクロヘキサノンを製造する際に有用である。
【背景技術】
【0003】
背景
シクロヘキサノンは、化学工業において重要な材料であり、例えば、フェノール樹脂、ビスフェノールA、ε-カプロラクタム、アジピン酸、及び可塑剤の製造に広く使用されている。シクロヘキサノンの一製造方法はフェノールの水素化による。
現在、フェノールの製造の一般的経路はホック法である。これは3工程法であり、第1工程は、ベンゼンをプロピレンでアルキル化してクメンを生成した後にクメンを対応ヒドロペルオキシドに酸化してからヒドロペルオキシドの開裂により等モル量のフェノールとアセトンを生成すること含む。分離されたフェノール生成物を次に水素化工程によってシクロヘキサノンに変換することができる。
例えば米国特許第6,037,513号から、MCM-22型の分子ふるいと、パラジウム、ルテニウム、ニッケル、コバルト、及びその混合物から選択される少なくとも1種の水素化金属とを含む二機能性触媒の存在下でベンゼンを水素と接触させることによってシクロヘキシルベンゼンを生成できることが知られている。この参考文献は、結果として生じたシクロヘキシルベンゼンを対応ヒドロペルオキシドに酸化し、これを次に開裂させてフェノールとシクロヘキサノンの開裂混合物を生成し、これを分離して純粋な実質的に等モル量のフェノール及びシクロヘキサノン生成物を得ることができることをも開示している。このシクロヘキシルベンゼンをベースとするフェノールとシクロヘキサノンの同時生成方法は、これらの2つの重要な工業材料を製造する際に非常に効率的であり得る。フェノールより高いシクロヘキサノンの商品価値を考慮すると、この方法でフェノールより多くのシクロヘキサンノンが生成されるのが非常に望ましい。これは、この方法で生成された純粋フェノール生成物を引き続き水素化してフェノールの一部又は全てをシクロヘキサノンに変換することによって達成可能であるが、さらに経済的な方法及びシステムが非常に望ましいであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記シクロヘキシルベンゼンをベースとする方法からフェノールより多くのシクロヘキサノンを製造することへの1つの解決策は、開裂混合物から得られたフェノールとシクロヘキサノンを含有する混合物を水素化して、その中に含まれるフェノールの少なくとも一部をシクロヘキサノンに変換することである。しかしながら、フェノール/シクロヘキサノン混合物は、水素化工程でビシクロヘキサンに変換され得る無視できない量のシクロヘキシルベンゼンを必ず含有するので、またフェノール/シクロヘキサノン/シクロヘキシルベンゼン混合物の水素化はシクロヘキサノールの形成にもつながり得るので、両方とも収率の損失をもたらし、この方法は課題がないわけではない。
そのようなものとして、フェノール、シクロヘキサノン及びシクロヘキシルベンゼンを含有する混合物からシクロヘキサノンを製造するための改善された方法及び/又はシステムが要望されている。
本発明は、このニーズ及び他のニーズを満たす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
蒸留及び水素化工程の種々の組合せによってシクロヘキサノン、フェノール、及びシクロヘキシルベンゼンを含む混合物から高純度のシクロヘキサノンを効率的に製造できることが分かった。
第1態様においては、本開示は、下記工程:
(I)シクロヘキサノン、フェノール、及びシクロヘキシルベンゼンを含む第1の混合物を第1の蒸留カラムに供給する工程;
(II)この第1の蒸留カラムから下記:
第1の混合物より高い濃度のシクロヘキサノン、フェノール、及びシクロヘキシルベンゼンを含む第1の上部流出物;
シクロヘキサノン、第1の混合物より高い濃度のフェノール、シクロヘキシルベンゼン、及びビシクロヘキサンを含む第1の中間流出物;及び
第1の混合物より高い濃度のシクロヘキシルベンゼンを含む第1の下部流出物
を得る工程;
(III)第1の中間流出物の少なくとも一部及び水素を水素化反応ゾーンに供給し、そこで、水素化触媒の存在下、水素化反応条件下でフェノールが水素と反応して、第1の中間流出物より高い濃度のシクロヘキサノン、第1の中間流出物より低い濃度のフェノール、シクロヘキシルベンゼン、及びビシクロヘキサンを含む水素化反応生成物を得る工程;及び
(IV)水素化反応生成物の少なくとも一部を第1の蒸留カラムに供給する工程
を含むシクロヘキサノンの製造方法に関する。
【0006】
本開示の第2の態様は、シクロヘキサノンの製造のための第1の態様の方法を実施するように構成されたシステムであって、
(A)(i)シクロヘキサノン、フェノール、及びシクロヘキシルベンゼンを含む第1の混合物を受け取り;かつ
(ii)下記:
第1の混合物より高い濃度のシクロヘキサノンを含む第1の上部流出物;
シクロヘキサノン、第1の混合物より高い濃度のフェノール、シクロヘキシルベンゼン、及びビシクロヘキサンを含む第1の中間流出物;及び
第1の混合物より高い濃度のシクロヘキシルベンゼンを含む第1の下部流出物
を生成するように構成された第1の蒸留カラム;
(B)第1の中間流出物の少なくとも一部及び水素を受け取って、そこで、水素化触媒の存在下、水素化条件下で、フェノールが水素と反応して、第1の中間流出物より高い濃度のシクロヘキサノン、第1の中間流出物より低い濃度のフェノール、シクロヘキシルベンゼン、及びビシクロヘキサンを含む水素化反応生成物を生成するように構成された水素化反応ゾーン;及び
(C)水素化反応生成物の少なくとも一部を第1の蒸留カラムに送達するように構成された第1の流体連絡
を含むシステムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】フェノール、シクロヘキサノン及びシクロヘキシルベンゼンを含む混合物からシクロヘキサノンを製造するための本開示の典型的な方法/システムを示す概略図であり、一次分別カラムT1、水素化反応器R1、及びシクロヘキサノン精製カラムT2を含む。
図2図1の方法/システムと同様であるが、一次分別カラムT1と水素化反応器R1との間及び/又は中に修正流体連絡を含む、本開示の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。
図3図1及び2に示すものと同様であるが、一次分別カラムT1とシクロヘキサノン精製カラムT2との間及び/又は中に修正流体連絡及び/又は熱伝達配列を含む、本開示の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。
図4図1〜3に示すものと同様であるが、主に気相内で水素化反応が起こる、管状熱交換器型水素化反応器R1を含む、本開示の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。
図5図1〜4に示すものと同様であるが、主に液相内で水素化反応が起こる、直列に接続された3つの水素化反応器R3、R5、及びR7を含む、本開示の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。
図6図1〜5に示すものと同様であるが、一次分別カラムT1と水素化反応器R1との間及び/又は中に修正流体連絡を含む、本開示の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。
図7図1〜6に示すものと同様であるが、一次分別カラムT1の前に、一次分別カラムT1に供給されたフェノール/シクロヘキサノン/シクロヘキシルベンゼン供給原料から軽質成分の少なくとも一部を除去して水素化反応器の触媒被毒を低減又は防止するために構成されたサイドストリッパーカラムT4を含む、本開示の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。
図8図1〜7に示すものと同様であるが、一次分別カラムT1の後に、一次分別カラムT1に供給されたフェノール/シクロヘキサノン/シクロヘキシルベンゼン供給原料から軽質成分の少なくとも一部を除去して水素化反応器の触媒被毒を低減又は防止するために構成されたサイドストリッパーカラムT5を含む、本開示の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。
図9図1〜8に示すものと同様であるが、シクロヘキサノン精製カラムT2の後に、最終シクロヘキサノン生成物から軽質成分量を減少させるように構成されたサイドストリッパーカラムT6を含む、本開示の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
以下、請求項に係る発明の理解のために本明細書で採用する好ましい実施形態及び定義を含め、本発明の種々の具体的実施形態、変形及び実施例について述べる。下記詳細な説明は、具体的な好ましい実施形態を与えるが、当業者には当然のことながら、これらの実施形態は単に例示であり、本発明は他の方法で実施可能である。侵害を判定するため、本発明の範囲は、添付の請求項のいずれの1つ以上をも、それらの等価物、並びに列挙される等価な要素又は制限を含めて表すことになる。「発明」とのいずれの言及も、特許請求の範囲によって定義される本発明の必ずしも全てではないが、1つ以上を表し得る。
本開示においては、方法は少なくとも1つの「工程」を含むものとして記述する。各工程は、方法において、連続様式若しくは不連続様式で、1回又は複数回実施され得る作用又は作動であるものと理解すべきである。反対に特定されているか又は文脈が明白に他の意味を示さない限り、方法中の各工程は、1つ以上の他の工程と重複するか否かにかかわらず、それらが列挙されている順序で連続的に行なってよく、或いは場合によっては、いずれの他の順序で行なってもよい。さらに、1つ以上の工程又は全ての工程さえ、材料の同一又は異なるバッチに関して同時に行なってよい。例えば、連続法においては、方法の第1の工程が方法の最初にちょうど供給される原材料に関して行なわれている間に、第2の工程が、第1の工程のより早い時間に方法に供給された原材料の処理の結果として生じる中間材料に関して同時に行なわれることもある。好ましくは、記載順に工程を行なう。
【0009】
特に指定のない限り、本開示で量を示す全ての数は、全ての場合に用語「約」によって修飾されているものと理解すべきである。また、本明細書及び特許請求の範囲で用いる正確な数値は、具体的な実施形態を構成するものと理解すべきである。実施例のデータの精度を保証する努力を行なった。しかしながら、いずれの測定データも、測定を行なうために用いる技術及び機器の限界のため、ある一定のレベルの誤差を本質的に含むことを理解すべきである。
本明細書で使用する場合、不定冠詞「a」又は「an」は、反対に特定しているか又は文脈が明白に他の意味を示さない限り、「少なくとも1つ」を意味するものとする。従って、「分別カラム」を用いる実施形態には、反対に特定してあるか又は文脈が唯一の分別カラムを使用することを明白に示していない限り、1、2又はそれより多くの分別カラムを用いる実施形態が含まれる。同様に、「C12+成分」には、指定してあるか又は文脈によって唯一の特定のC12+成分を意味することが示されない限り、1、2又はそれより多くのC12+成分が含まれるものと解釈すべきである。
本明細書で使用する場合、「wt%」は質量百分率を意味し、[vol%]は体積百分率を意味し、「mol%」はモル百分率を意味し、「ppm」は百万分率を意味し、「ppm wt」及び「wppm」は、互換的に用いて質量基準の百万分率を意味する。本明細書で使用する全ての「ppm」は、特に指定のない限り、質量ppmである。本明細書の全ての濃度は、問題になっている組成物の総量に基づいて表してある。従って、第1の供給原料の種々の成分の濃度は、第1の供給原料の総質量に基づいて表してある。本明細書で表す全ての範囲は、反対に特定又は指示のない限り、2つの具体的実施形態として両方の終点を含めるべきである。
本開示において、カラムの端部(上端又は下端)の「近傍」の位置は、カラムの端部(上端又は下端)からa*Hcの距離内の位置を意味し、ここで、Hcは下端から上端までのカラムの高さであり、かつa1≦a≦a2であり、ここで、a1及びa2は、a1<a2である限り、独立に、0、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20であり得る。例えば、カラムの端部近傍の位置は最大でDメートルの端部(上端又は下端)からの絶対距離を有することができ、Dは5.0 、4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.8、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、又は0であり得る。
本明細書で使用する「上部流出物」は、分別カラム又は反応器等の容器のまさしく上端又は側部にあってよく、それの上に追加の流出物があってもなくてもよい。好ましくは、上部流出物は、カラムの上端近傍の位置で引き出される。好ましくは、上部流出物は、少なくとも1つの供給原料より上の位置で引き出される。本明細書で使用する「下部流出物」は、上部流出物より低い位置にあり、容器のまさしく下端又は側部にあってよく、側部にある場合、それの下に追加の流出物があってもなくてもよい。好ましくは、下部流出物は、カラムの下端近傍の位置で引き出される。好ましくは、少なくとも1つの供給原料より下の位置で引き出される。本明細書で使用する場合、「中間流出物」は、上部流出物と下部流出物の間の流出物である。蒸留カラム上の「同レベル」は、全高がカラムの全高の5%以下であるカラムの連続セグメントを意味する。
本明細書で使用する元素及びその基の命名法は、1988年後の国際純正及び応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry)が使用する周期律表に従う。周期律表の例は、Advanced Inorganic Chemistry, 第6版のフロントカバーの内部ページに、F. Albert Cotton et al.(John Wiley & Sons, Inc., 1999)により示されている。
【0010】
本明細書で使用する場合、用語「メチルシクロペンタノン」には、両異性体2-メチルシクロペンタノン(CAS登録番号1120-72-5)及び3-メチルシクロペンタノン(CAS登録番号1757-42-2)が、これらの2つの異性体の一方のみを意味すると明白に規定されるか又は文脈がその場合を明白に示していない限り、それらの任意の比率で含まれる。本方法の種々の工程の条件下では、2つの異性体が異性化反応を受けて、原材料が分別カラム等の容器に装填される直前の比とは異なる比をもたらし得ることに留意すべきである。
本明細書で使用する場合、一般用語「ジシクロヘキシルベンゼン」(「DiCHB」)には、総体として、1,2-ジシクロヘキシルベンゼン、1,3-ジシクロヘキシルベンゼン、及び1,4-ジシクロヘキシルベンゼンが、その1又は2種のみを意味するものと明白に規定していない限り含まれる。用語シクロヘキシルベンゼンは、単数形で使用するときは一置換シクロヘキシルベンゼンを意味する。本明細書で使用する場合、用語「C12」は、12個の炭素原子を有する化合物を意味し、「C12+成分」は、少なくとも12個の炭素原子を有する化合物を意味する。C12+成分の例としては、とりわけ、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ビシクロヘキサン、メチルシクロペンチルベンゼン、1,2-ビフェニルベンゼン、1,3-ビフェニルベンゼン、1,4-ビフェニルベンゼン、1,2,3-トリフェニルベンゼン、1,2,4-トリフェニルベンゼン、1,3,5-トリフェニルベンゼン、及び対応する含酸素物、例えばこれらの化合物から誘導されるアルコール、ケトン、酸及びエステルが挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「C18」は、18個の炭素原子を有する化合物を意味し、用語「C18+成分」は、少なくとも18個の炭素原子を有する化合物を意味する。C18+成分の例としては、とりわけ、ジシクロヘキシルベンゼン(上記「DiCHB」)、トリシクロヘキシルベンゼン(「TriCHB」、その全ての異性体を含め、例えば1,2,3-トリシクロヘキシルベンゼン、1,2,4-トリシクロヘキシルベンゼン、1,3,5-トリシクロヘキシルベンゼン、及びその2又は3種以上の任意の比率の混合物を含めて)が挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「C24」は、24個の炭素原子を有する化合物を意味する。
【0011】
本明細書で使用する用語「MCM-22型材料」(又は「MCM-22型の材料」又は「MCM-22型の分子ふるい」又は「MCM-22型ゼオライト」には、以下のものの1種以上が含まれる:
・共通の第1度の結晶構成要素単位胞でできている分子ふるいであり、この単位胞はMWWフレームワークトポロジーを有する。単位胞は、三次元空間でタイル表示すると結晶構造を描写する、原子の空間配置である。該結晶構造は、その内容全体を参考文献として援用する"Atlas of Zeolite Framework Types," 第5版, 2001で論じられている;
・該MWWフレームワークトポロジー単位胞の二次元タイル表示である、共通の第2度の構成要素でできている分子ふるいであり、一単位胞厚、望ましくは一c単位胞厚の単層を形成している;
・一単位胞厚より大きい1つ以上の層である、共通の第2度の構成要素でできている分子ふるいであり、一単位胞厚より大きい層は、一単位胞厚の少なくとも2つの単層を積み重ね、充填し、又は結合することからできている。該第2度の構成要素の積み重ねは、規則様式、不規則様式、ランダム様式、又はそのいずれの組み合わせでもあり得る;及び
・MWWフレームワークトポロジーを有する単位胞の任意の規則的又はランダムな二次元又は三次元の組み合わせでできている分子ふるい。
【0012】
MCM-22型の分子ふるいには、12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07、及び3.42±0.07Åの面間隔(d-spacing)最大を含めたX線回折パターンを有する当該分子ふるいがある。材料を特徴づけるために用いるX線回折データは、入射放射線として銅のKα二重線を用い、シンチレーションカウンター及び収集システムとしての関連コンピューターを備えた回折計を利用する等、標準的な技術により得られる。
MCM-22型の材料としては、MCM-22(米国特許第4,954,325号に記載)、PSH-3(米国特許第4,439,409号に記載)、SSZ-25(米国特許第4,826,667号に記載)、ERB-1(米国特許第0293032号に記載)、ITQ-1(米国特許第6,077,498号に記載)、ITQ-2(国際特許出願公開第WO97/17290号に記載)、MCM-36(米国特許第5,250,277号に記載)、MCM-49(米国特許第5,236,575号に記載)、MCM-56(米国特許第5,362,697号に記載)、及びその混合物が挙げられる。本開示のためには、同様にUZM-8(米国特許第6,756,030号に記載)等の他の分子ふるいを単独で又はMCM-22型分子ふるいと共に使用可能である。望ましくは、本開示の触媒に用いる分子ふるいは、(a)MCM-49;(b)MCM-56;並びに(c)MCM-49及びMCM-56のイソ型、例えばITQ-2から選択される。
【0013】
本明細書で開示するシクロヘキサノンの製造方法及び製造システムは、有利なことに、フェノール、シクロヘキサノン及びシクロヘキシルベンゼンを含むいずれの供給原料混合物からもシクロヘキサノンを製造するために使用可能である。供給原料はいずれの方法又はソースからも誘導可能であるが、シクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシド及びシクロヘキシルベンゼンを含む混合物の酸開裂から得るのが好ましく、この混合物はシクロヘキシルベンゼンの好気的酸化から得るのが好ましく、シクロヘキシルベンゼンはベンゼンから得るのが好ましい。これらの好ましい方法の工程を以下に詳述する。
【0014】
シクロヘキシルベンゼンの供給
酸化工程に供給するシクロヘキシルベンゼンは、ベンゼンからフェノール及びシクロヘキサノンを生成するための統合法の一部として生成及び/又は再循環可能である。該統合法においては、ベンゼンの酸化的カップリングによりビフェニルを製造後にビフェニルの水素化によることを含めたいずれの従来技術によってもベンゼンを最初にシクロヘキシルベンゼンに変換する。しかしながら、実際には、シクロヘキシルベンゼンは、ヒドロアルキル化条件下、ヒドロアルキル化触媒の存在下でベンゼンを水素と接触させ、それによってベンゼンが下記反応-1を受けてシクロヘキシルベンゼン(CHB)を生成することによって生成されるのが望ましい:
【化1】
【0015】
或いは、シクロヘキシルベンゼンは、下記反応-2に従って、MCM-22ファミリーの分子ふるい等の固体酸触媒の存在下でシクロヘキセンを用いるベンゼンの直接アルキル化によって生成可能である:
【化2】
【0016】
米国特許第6,730,625号及び第7,579,511号、WO2009/131769、及びWO2009/128984は、ヒドロアルキル化触媒の存在下、ベンゼンを水素と反応させることによるシクロヘキシルベンゼンの製造方法を開示しており、これらの全ての内容は、参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
ヒドロアルキル化反応で利用する触媒は、上記MCM-22型の1つ等の分子ふるい及び水素化金属を含む二機能性触媒である。
いずれの公知の水素化金属もヒドロアルキル化触媒に利用可能であり、その具体的な非限定的な好適の例としては、Pd、Pt、Rh、Ru、Ir、Ni、Zn、Sn、Coが挙げられ、特にPdが有利である。望ましくは、触媒中に存在する水素化金属の量は、触媒の総質量の0.05wt%〜10.0wt%、例えば0.10wt%〜5.0wt%である。
分子ふるい及び水素化金属に加えて、ヒドロアルキル化触媒は、1種以上の任意的な無機酸化物支持材及び/又はバインダーを含んでよい。適切な無機酸化物支持材としては、限定するものではないが、粘土、非金属酸化物、及び/又は金属酸化物が挙げられる。該支持材の具体的な非限定例としては以下のものが挙げられる:SiO2、Al2O3、ZrO2、Y2O3、Gd2O3、SnO、SnO2、並びにその混合物、組み合わせ及び複合物。
【0017】
ヒドロアルキル化反応からの流出物(ヒドロアルキル化反応生成物混合物)又はアルキル化反応からの流出物(アルキル化反応生成物混合物)は、いくらかのポリアルキル化ベンゼン、例えばジシクロヘキシルベンゼン(DiCHB)、トリシクロヘキシルベンゼン(TriCHB)、メチルシクロペンチルベンゼン、未反応ベンゼン、シクロヘキサン、ビシクロヘキサン、ビフェニル、及び他の汚染物を含有し得る。従って、典型的に、この反応の後には、ヒドロアルキル化反応生成物混合物を蒸留によって分離して、ベンゼン、シクロヘキサンを含有するC6留分、シクロヘキシルベンゼン及びメチルシクロペンチルベンゼンを含有するC12留分、並びに及び例えばDiCHB等のC18及びTriCHB等のC24を含有する重質留分を得る。未反応ベンゼンは、蒸留によって回収し、ヒドロアルキル化又はアルキル化反応器に再循環させることができる。シクロヘキサンは、いくらかの残留ベンゼンの有無にかかわらず、かつ同時供給水素の有無にかかわらず、脱水素化反応器に送ってよく、そこで、シクロヘキサンはベンゼンと水素に変換され、それをヒドロアルキル化/アルキル化工程に再循環させることができる。
重質留分の量に応じて、(a)DiCHB等のC18及びTriCHB等のC24を追加のベンゼンでトランスアルキル化するか又は(b)C18及びC24を脱アルキル化して、所望モノアルキル化種の生成を最大にするのが望ましいことがある。
【0018】
追加のベンゼンによるトランスアルキル化は、ヒドロアルキル化反応器から離れたトランスアルキル化反応器内で、MCM-22型の分子ふるい、ゼオライトβ、MCM-68(米国特許第6,049,018号参照)、ゼオライトY、ゼオライトUSY、及びモルデナイト等の適切なトランスアルキル化触媒上で起こるのが望ましい。トランスアルキル化反応は、好適には100℃〜300℃の範囲の温度、800kPa〜3500kPaの範囲の圧力、全供給原料に関して1時間-1〜10時間-1の毎時の質量空間速度、及び1:1〜5:1の範囲のベンゼン/ジシクロヘキシルベンゼン質量比を含めた少なくとも部分的に液相条件下で行なうのが望ましい。
脱アルキル化は、ヒドロアルキル化反応器から離れた反応器、例えば反応性蒸留ユニット内で、約150℃〜約500℃の範囲の温度及び15〜500psig(200〜3550kPa)の範囲の圧力で、酸触媒、例えばアルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩、シリコアルミノリン酸塩、非晶質シリカ-アルミナ、酸性粘土、WOx/ZrO2等の混合金属酸化物、リン酸、硫酸化ジルコニア及びその混合物上で起こっても望ましい。望ましくは、酸触媒はFAU、AEL、AFI及びMWWファミリーの少なくとも1つのアルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩又はシリコアルミノリン酸塩を含む。トランスアルキル化とは異なり、脱アルキル化は、添加ベンゼンの非存在下で行なうことができるが、ベンゼンを脱アルキル化反応に添加して、コーク形成を減少させるのが望ましいこともある。この場合、脱アルキル化反応への供給原料中のベンゼン対ポリアルキル化芳香族化合物の質量比は、0〜約0.9、例えば約0.01〜約0.5であり得る。同様に、脱アルキル化反応は添加水素の非存在下で行なえるが、脱アルキル化反応器に水素を導入して、コーク低減を補助するのが望ましい。適切な水素添加速度は、脱アルキル化反応器への全供給原料中の水素対ポリアルキル化芳香族化合物のモル比が約0.01〜約10となり得るような速度である。
【0019】
次に、ベンゼン、C12及び重質物を含むトランスアルキル化又は脱アルキル化生成物混合物を分離して、主にベンゼンを含み、ヒドロアルキル化/アルキル化工程に再循環させるこができるC6留分、主にシクロヘキシルベンゼンを含むC12留分、及びトランスアルキル化/脱アルキル化反応を再び受けさせるか又は処分できる重質留分に分離することができる。
新たに生成及び/又は再循環されたシクロヘキシルベンゼンは、酸化工程に供給する前に精製して、とりわけ、メチルシクロペンチルベンゼン、オレフィン、フェノール、酸等の少なくとも一部を除去してよい。該精製としては、例えば、蒸留、水素化、苛性洗浄等が挙げられる。
酸化工程へのシクロヘキシルベンゼン供給原料は、供給原料の総質量に基づいて、以下の1つ以上を含有し得る:(i)1ppm〜1wt%、例えば10ppm〜8000ppmの範囲の濃度のビシクロヘキサン;(ii)1ppm〜1wt%、例えば10ppm〜8000ppmの範囲の濃度のビフェニル;(iii)5000ppmまで、例えば100ppm〜1000ppmの濃度の水;及び(iv)1000ppm以下の濃度のオレフィン又はアルケンベンゼン、例えばフェニルシクロヘキセン。
【0020】
シクロヘキシルベンゼンの酸化
酸化工程においては、下記反応-3に従って、酸化供給原料中に含まれるシクロヘキシルベンゼンの少なくとも一部を望ましいヒドロペルオキシドであるシクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドに変換する。
【化3】
・・・(反応-3).
【0021】
典型的方法では、酸化工程は、酸素含有ガス、例えば空気及び空気の種々の誘導体を、シクロヘキシルベンゼンを含む供給原料と接触させることによって達成可能である。例えば、純粋O2、N2等の不活性ガスで希釈したO2、純粋空気、又は他のO2含有混合物のストリームを、酸化反応器内のシクロヘキシルベンゼン含有供給原料にポンプで通すことができる。
【0022】
酸化は、触媒の非存在下又は存在下で行なってよい。適切な酸化触媒の例としては、下記式(FC-I)、(FC-II)、又は(FC-III)の構造を有するものが挙げられる。
【化4】
式中、
Aは、任意に環構造中に窒素、硫黄、又は酸素を含んでよい環を表し、任意にアルキル、アルケニル、ハロゲン、又はN含有、S含有、若しくはO含有基又は他の基で置換されていてもよく;
Xは、水素、酸素フリーラジカル、ヒドロキシル基、又はハロゲンを表し;
R1は、各存在で同一又は異なり、独立にハロゲン、N含有、S含有、若しくはO含有基、或いは1〜20個の炭素原子を有し、任意にアルキル、アルケニル、ハロゲン、又はN含有、S含有、若しくはO含有基又は他の基で置換されていてもよい直鎖若しくは分岐非環式アルキル若しくは環式アルキル基を表し;かつ
mは0、1又は2である。
【0023】
酸化工程に特に適した触媒の例には、下記式(FC-IV)で表されるものがある。
【化5】
(FC-IV)
式中、
R2は、各存在で同一又は異なり、独立にハロゲン、N含有、S含有、若しくはO含有基、又は任意に置換されていてもよい、1〜20個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐非環式アルキル若しくは環式アルキル基を表し;かつ
nは0、1、2、3、又は4である。
上記式(FC-IV)を有する酸化工程に特に適した1つの触媒はNHPI(N-ヒドロキシフタルイミド)である。例えば、酸化工程への供給原料は、供給原料中のシクロヘキシルベンゼンの10〜2500質量ppmのNHPIを含み得る。
酸化触媒の他の非限定例には以下のものがある:4-アミノ-N-ヒドロキシフタルイミド、3-アミノ-N-ヒドロキシフタルイミド、テトラブロモ-N-ヒドロキシフタルイミド、テトラクロロ-N-ヒドロキシフタルイミド、N-ヒドロキシヘチミド(hydroxyhetimide)、N-ヒドロキシヒミミド(hydroxyhimimide)、N-ヒドロキシトリメリットイミド、N-ヒドロキシベンゼン-1,2,4-トリカルボキシイミド、N,N'-ジヒドロキシ(ピロメリット酸ジイミド)、N,N'-ジヒドロキシ(ベンゾフェノン-3,3',4,4'-テトラカルボン酸ジイミド)、N-ヒドロキシマレイミド、ピリジン-2,3-ジカルボキシイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシ(酒石酸イミド)、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド、exo-N-ヒドロキシ-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-ヒドロキシ-cis-シクロヘキサン-1,2-ジカルボキシイミド、N-ヒドロキシ-cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシイミド、N-ヒドロキシナフタルイミドナトリウム塩、N-ヒドロキシ-o-ベンゼンジスルホンイミド、及びN,N',N''-トリヒドロキシイソシアヌル酸。
これらの酸化触媒は、単独で又はフリーラジカル開始剤と共に使用可能であり、液相、均一触媒として使用可能であり、或いは固形担体上に担持させて不均一触媒を与えることもできる。望ましくは、N-ヒドロキシ置換環式イミド又はN,N',N''-トリヒドロキシイソシアヌル酸を、シクロヘキシルベンゼン供給原料の0.0001wt%〜15wt%、例えば0.001wt%〜5wt%の量で用いる。
酸化工程の適切な反応条件の非限定例は、70℃〜200℃、例えば90℃〜130℃の範囲の温度、及び50kPa〜10,000kPaの範囲の圧力を含む。塩基性緩衝剤を添加して、酸化中に形成し得る酸性副生物と反応させてよい。さらに、水相を酸化反応器に導入してよい。反応は、バッチ又は連続流様式で行なってよい。
酸化工程のために用いる反応器は、分子酸素等の酸化剤によってシクロヘキシルベンゼンの酸化を可能にするいずれのタイプの反応器であってもよい。適切な酸化反応器の特に有利な例は、大量の反応媒体を収容でき、この媒体を通じてO2含有ガスストリーム(例えば空気)を泡立たせることができる気泡カラム反応器である。例えば、酸化反応器は、酸素含有ガスストリーム用の分配入口を備えた単純な、大きく開口する容器を含んでよい。酸化反応器は、反応媒体の一部を引き出してそれをポンプで適切な冷却装置に通し、冷却分を反応器に戻し、それによって反応中に発生する熱を管理する手段を有してよい。或いは、例えば冷却水によって間接冷却を与える冷却コイルを酸化反応器内で作動させて発生熱の少なくとも一部を除去してもよい。或いは、酸化反応器は、直列及び/又は並列の複数の反応器を含んでよく、それぞれ反応媒体中で種々の組成物を用いる酸化反応を促すために選択される同一又は異なる条件で作動する。酸化反応器は、当業者に周知のバッチ、半バッチ、又は連続流様式で作動可能である。
【0024】
酸化反応生成物混合物の組成
望ましくは、酸化反応器を出る酸化反応生成物混合物は、酸化反応生成物混合物の総質量に基づいて、シクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドをChp1wt%〜Chp2wt%の範囲の濃度で含有する。ここで、Chp1及びChp2は、Chp1<Chp2である限り、独立に、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80であり得る。好ましくは、酸化反応生成物混合物中のシクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドの濃度は、酸化反応生成物混合物の少なくとも20質量%である。酸化反応生成物混合物は、酸化反応生成物混合物の総質量に基づいて、Cchb1wt%〜Cchb2wt%の範囲の濃度で残留シクロヘキシルベンゼンをさらに含んでよい。ここで、Cchb1及びCchb2は、Cchb1<Cchb2である限り、独立に、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95であり得る。好ましくは、酸化反応生成物混合物中のシクロヘキシルベンゼンの濃度は、酸化反応生成物混合物の最大で65質量%である。
さらに、酸化反応生成物混合物は、シクロヘキシルベンゼンの酸化反応の副生物として、又は酸化工程に供給された供給原料中に含有していた可能性のあるシクロヘキシルベンゼン以外の酸化され得る成分の酸化反応生成物として生じたシクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシド以外の1種以上のヒドロペルオキシド、例えばシクロヘキシル-2-フェニル-1-ヒドロペルオキシド、シクロヘキシル-3-フェニル-1-ヒドロペルオキシド、及びメチルシクロペンチルベンゼンヒドロペルオキシドを含有し得る。これらの望ましくないヒドロペルオキシドは、Cu1wt%〜Cu2wt%の総濃度で存在する。ここで、Cu1及びCu2は、Cu1<Cu2である限り、独立に、0.1、0.2、0.3、0.5、0.7、0.9、1.0、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0であり得る。それらは、開裂反応において望ましい転化率及び/又は選択性でフェノール及びシクロヘキサノンに変換せず、結果として全体的な収率損失をもたらすので望ましくない。
上述したように、酸化反応生成物混合物は、酸化反応のさらなる副生物としてフェノールを含有してもよい。酸化反応器を出る酸化反応生成物混合物中のフェノールの濃度(CPh)は、CPh1ppm〜CPh2ppmの範囲であってよい。ここで、CPh1及びCPh2は、CPh1<CPh2である限り、独立に、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1500、2000であり得る。
酸化反応生成物混合物は水を含有し得る。酸化反応器を出る酸化反応生成物混合物中の水の濃度は、酸化反応生成物混合物の総質量に基づいて、C1appm〜C1bppmの範囲であり得る。ここで、C1a及びC1bは、C1a<C1bである限り、独立に、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、又は5000であり得る。
酸化反応生成物混合物は、酸化工程に供給されるNHPI等のいずれの触媒の一部又は全てをも含有し得る。例えば、酸化反応生成物混合物は、10〜2500質量ppmのNHPI、例えば100〜1500質量ppmのNHPIを含有し得る。
【0025】
酸化反応生成物混合物の処理
本開示の方法においては、開裂工程に供給する前に、酸化反応生成物混合物の少なくとも一部を分離してよい。分離法は、(i)シクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドの大部分と、酸化反応生成物混合物部分に存在する場合は、酸化反応生成物混合物部分の他の高沸点成分、例えば他のヒドロペルオキシド及びNHPI触媒とを含む第1の留分;及び(ii)大部分のシクロヘキシルベンゼンと、フェノールと、もしあれば、酸化反応生成物混合物部分の他の低沸点成分とを含む第2の留分を回収するために酸化反応生成物混合物の少なくとも一部に真空蒸発を受けさせる工程を含んでよい。
望ましくは、第1の留分中、第1の留分の総質量に基づいて、シクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドの濃度はCc1wt%〜Cc2wt%の範囲であってよく、シクロヘキシルベンゼンの濃度はCd1wt%〜Cd2wt%の範囲であってよい。ここで、Cc1及びCc2は、Cc1<Cc2である限り、独立に、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90であってよく、Cd1及びCd2は、Cd1<Cd2である限り、独立に、10、15、20、25、30、35、40、45、50であり得る。
【0026】
有利には、第2の留分中、第2の留分の総質量に基づいて、シクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドの濃度はCc3wt%〜Cc4wt%の範囲であってよく;シクロヘキシルベンゼンの濃度はCd3wt%〜Cd4wt%の範囲であってよい。ここで、Cc3及びCc4は、Cc3<Cc4である限り、独立に、0.01、0.05、0.10、0.20、0.40、0.50、0.60、0.80、1.00、1.50、2.00、2.50、3.00、3.50、4.00、4.50、5.00であってよく;Cd3及びCd4は、Cd3<Cd4である限り、独立に、90、92、94、95、96、97、98、又は99でさえあり得る。
シクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシドは、高温、例えば150℃以上で分解しやすいので、酸化反応生成物混合物を第1及び第2の留分に分離するための真空蒸発工程は、比較的低い温度、例えば、130℃以下、又は120℃以下、又は110℃以下でさえ行なう。シクロヘキシルベンゼンは、高沸点(101kPaで239℃)を有する。従って、許容できるシクロヘキシルベンゼン除去温度では、シクロヘキシルベンゼンは非常に低い蒸気圧を有する傾向がある。従って、好ましくは、酸化反応生成物混合物から有意義な量のシクロヘキシルベンゼンを効率的に除去するために、酸化反応生成物混合物を非常に低い絶対圧力、例えば、Pc1kPa〜Pc2kPaの範囲にさらす。ここで、Pc1及びPc2は、Pc1<Pc2である限り、独立に、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.26、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.00、1.50、2.00、2.50、3.00であり得る。特に有利には、Pc1=0.25、及びPc2=1.5である。
【0027】
酸化反応生成物混合物の第1及び第2留分への分離後、第1の留分の一部又は全てを開裂直接工程に直接送ることができる。第1の留分の全て又は一部を開裂工程に移行する前に、未反応イミド酸化触媒の結晶化を起こすために冷却してもよい。すると、イミド結晶は、濾過によるか又は結晶化を起こすために用いた熱交換器表面からこすり取ることによって回収して再利用することができる。
酸化反応生成物混合物から生成された第2の留分を処理して、その中のフェノールレベルを下げた後に、第2の留分中のシクロヘキシルベンゼンの一部又は全てを水素化に再循環させることができる。
第2の留分の処理は、第2の留分の少なくとも一部を、塩基を含む水性組成物と、塩基がフェノールと反応して、水性組成物中に残るフェノラート種を生成するような条件下で接触させる工程を含むことができる。第2の留分の処理では、強塩基、すなわち3未満、例えば2、1、0、又は-1未満のpKb値を有する塩基を利用するのが望ましい。特に好適な塩基としては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、LiOH、NaOH、KOH、RbOH)、アルカリ土類金属の水酸化物(Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2)、及びこれらの1種以上の混合物が挙げられる。フェノールは、これらの水酸化物と反応してフェノアートを形成することができ、それらは典型的にフェノール自体より水中で高い溶解度を有する。特に望ましい塩基はNaOHであり、これはコスト効率が高く、第2の留分中のフェノールと反応してナトリウムフェノアートを形成することができる。水酸化物を塩基として使用するときは、大気中に存在するCO2と水酸化物の反応のため、水性組成物は、種々の濃度で、1種以上の対応炭酸塩、炭酸水素塩、又は炭酸塩-水酸化物複合体を含み得ることに留意すべきである。望ましくは、塩基を含む水性組成物は、少なくとも8、好ましくは少なくとも10のpHを有する。
第2の留分と、塩基を含む水性組成物との接触により、第2の留分からのフェノール及び/又はその誘導体の少なくとも一部を含有する水相と、シクロヘキシルベンゼンを含有し、第2の留分に比べて低減した濃度のフェノールを有する有機相とが生成される。望ましくは、有機相中のフェノール濃度は、有機相の総質量に基づいて、CPh7ppm〜CPh8ppmの範囲内である。ここで、CPh7及びCPh8は、CPh7<CPh8である限り、独立に、0、10、20、30、40、50、100、150、200、250であり得る。
次に有機相を水相から、例えば、重力下で自発的に、分離してから、第3の留分として、直接、又はさらに好ましくは水洗して、有機相に含まれる塩基を除去した後に酸化工程に再循環させることができる。
【0028】
開裂反応
開裂反応においては、以下の望ましい反応-4に従って、酸触媒の存在下、シクロヘキサノン及びフェノールへの高い選択性で、シクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドの少なくとも一部が分解する。
【化6】
・・・(反応-4)
【0029】
開裂生成物混合物は、酸触媒、フェノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、及び汚染物を含み得る。
酸触媒は、開裂反応混合物に少なくとも部分的に溶解でき、少なくとも185℃の温度で安定であり、シクロヘキシルベンゼンより低い揮発性(高い標準沸点)を有する。
酸触媒として、好ましくは、限定するものではないが、ブレンステッド酸、ルイス酸、スルホン酸、過塩素酸、リン酸、塩酸、p-トルエンスルホン酸、塩化アルミニウム、発煙硫酸、三酸化硫黄、塩化第二鉄、三フッ化ホウ素、二酸化硫黄、及び三酸化硫黄が挙げられる。硫酸が好ましい酸触媒である。
開裂反応は、開裂反応中に開裂反応混合物が全面的又は支配的に液相内にあるように、好ましくは20℃〜200℃、又は40℃〜120℃の範囲の温度、及び1〜370psig(少なくとも7kPaゲージ、2,550kPaゲージ以下)、又は14.5psig〜145psig(100kPaゲージ〜1,000kPaゲージ)の範囲の圧力を含む開裂条件下で起こる。
開裂反応混合物は、開裂反応混合物の総質量のCac1質量ppm〜Cac2質量ppmの範囲の濃度で酸触媒を含有することができる。ここで、Cac1及びCac2は、Cac1<Cac2である限り、独立に、10、20、30、40、50、60、80、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、又は5000でさえあり得る。好ましくは、Cac1は50であり、Cac2は200である。
【0030】
開裂反応におけるシクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド、便宜上は全てのシクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドと他のヒドロペルオキシドの転化率は非常に高く、例えば、少なくともAAwt%であり得る。ここで、AAは、90.0、91.0、92.0、93.0、94.0、95.0、96.0、97.0、98.0、99.0、99.5、99.9、又は100でさえあり得る。この百分率は、所与のヒドロペルオキシド、又は開裂工程に供給された全てのヒドロペルオキシドの質量に基づいている。いずれのヒドロペルオキシドも、シクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドでさえ、下流プロセスの汚染物になるので、これは望ましい。
望ましくは、各モルのシクロヘキシル-1-フェニル-1-ヒドロペルオキシドが1モルのフェノールと1モルのシクロヘキサノンを生成する。しかしながら、副反応のため、開裂反応のフェノールへの選択性はSph1%〜Sph2%の範囲であり得、シクロヘキサノンへの選択性はSch1%〜Sch2%の範囲であり得る。ここで、Sph1、Sph2、Sch1、及びSch2は、Sph1<Sph2、及びSch1<Sch2である限り、独立に、85、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は99.5でさえあり得る。
シクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシド、シクロヘキシルベンゼン及び酸化反応生成物混合物から直接生じる他の成分を含む開裂供給原料に加えて、開裂反応混合物は、他の添加材料、例えば開裂触媒、溶媒、及び開裂生成物混合物、又は下流分離工程から再循環されたフェノール及びシクロヘキサノン等の開裂反応の1種以上の生成物をさらに含み得る。従って、開裂反応器内部の開裂反応混合物は、開裂反応混合物の総質量に基づいて、下記:(i)CPh9wt%〜CPh10wt%の濃度のフェノール(CPh9及びCPh10は、CPh9<CPh10である限り、独立に、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80であり得る);(ii)Cch1wt%〜Cch2wt%の濃度のシクロヘキサノン(Cch1及びCch2は、Cch1<Cch2である限り、独立に、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80であり得る);及び(iii)Cchb7wt%〜Cchb8wt%の濃度のシクロヘキシルベンゼン(Cchb7及びCchb8は、Cchb7<Cchb8である限り、独立に、5、8、9、10、12、14、15、18、20、22、24、25、26、28、30、35、40、45、50、55、60、65、70であり得る)を含み得る。
【0031】
開裂反応を引き起こすために用いる反応器(すなわち、開裂反応器)は、当業者に周知のいずれのタイプの反応器であってもよい。例えば、開裂反応器は、ほぼ連続した撹拌槽型反応器モードで作動する単純な大きく開口した容器、又はニアプラグ流型反応器モードで作動する単純な開口長のパイプであってよい。開裂反応器は、直列の複数の反応器を含んでよく、それぞれ変換反応の一部を遂行し、必要に応じて、妥当な転化率範囲で開裂反応を促進するように選択される様々なモード及び様々な条件で作動する。開裂反応器は、触媒蒸留ユニットであり得る。
開裂反応器は、中身の一部を冷却装置を通して輸送し、この冷却部分を開裂反応器に戻すことによって、開裂反応の発熱性(exothermicity)を管理するように作動可能であってよい。或いは、反応器を断熱的に作動させてもよい。開裂反応器内で作動する冷却コイルを発生熱の少なくとも一部に使用することができる。
開裂反応器を出る開裂生成物混合物は、開裂生成物混合物の総質量に基づいて、(i)CPh11wt%〜CPh12wt%の濃度のフェノール(CPh11及びCPh12は、Ch11<CPh12である限り、独立に、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80であり得る);(ii)Cch3wt%〜Cch4wt%の濃度のシクロヘキサノン(Cch3及びCch4は、Cch3<Cch4である限り、独立に、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80であり得る);及び(iii)Cchb9wt%〜Cchb10wt%の濃度のシクロヘキシルベンゼン(Cchb9及びCchb10は、Cchb9<Cchb10である限り、独立に、5、8、9、10、12、14、15、18、20、22、24、25、26、28、30、35、40、45、50、55、60、65、70であり得る)を含み得る。
上述したように、開裂生成物混合物は、1種以上の汚染物を含むことがある。本明細書で開示する実施形態においては、本方法は、さらに汚染物の少なくとも一部を酸性物質と接触させて汚染物の少なくとも一部を変換して変換汚染物とすることによって、変性生成物混合物を生成する工程を含む。汚染物処理法の詳細な説明は、関連内容を参照することによりその全体をここに援用する国際特許出願公開WO2012/036822A1で見つけられる。
開裂生成物混合物の少なくとも一部に中和反応を受けさせてよい。硫酸等の液体酸を開裂触媒として使用する場合、混合物に分離を受けさせる前に開裂反応生成物を塩基、例えば有機アミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジアミン、例えばメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン、ヘキシレンジアミン等)で中和して、酸による機器の腐食を防止するのが非常に望ましい。望ましくは、このようにして生じたアミン硫酸塩はシクロヘキシルベンゼンの沸点より高い沸点を有する。
【0032】
分離及び精製
この中和した開裂反応生成物を次に蒸留等の方法で分離することができる。一例では、開裂反応器後の第1の蒸留カラムにおいて、アミン塩を含む重質留分がカラムの下端で得られ、シクロヘキシルベンゼンを含む副留分が中間部で得られ、シクロヘキサノン、フェノール、メチルシクロペンタノン、及び水を含む上部留分が得られる。
分離されたシクロヘキシルベンゼン留分を次に処理及び/又は精製した後に酸化工程に送達することができる。開裂生成物混合物から分離されたシクロヘキシルベンゼンは、フェノール及び/又はオレフィン、例えばシクロヘキセニルベンゼンを含有し得るので、この物質に、酸化生成物混合物の第2の留分について上述したように塩基を含む水性組成物による処理及び/又は例えば、参照することにより内容全体をここに援用するWO2011/100013A1に開示されているように水素化工程を受けさせてよい。
一例では、フェノール、シクロヘキサノン、及び水を含む留分を簡単な蒸留でさらに分離して、主にシクロヘキサノンとメチルシクロペンタノンを含む上部留分及び主にフェノールと、いくらかのシクロヘキサノンを含む下部ストリームを得ることができる。シクロヘキサノンは、抽出溶媒を使用せずにはフェノールから完全に分離することができない。これはシクロヘキサノンとフェノール間で共沸混合物が形成されるためである。従って、上部留分をさらに別のカラムで蒸留して、下端近傍に純粋なシロヘキサノン生成物を得ることができ、主にメチルシクロペンタノンを含む上端近傍の不純物留分は、さらに分離可能であり、必要に応じて、その後に有用な工業材料として使用することができる。下部留分は、例えば、参照することによりそれらの内容全体をここに援用する同時譲渡された同時係属特許出願WO2013/165656A1及びWO2013/165659に記載の抽出溶媒(例えば、グリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等)を用いる抽出蒸留工程によってさらに分離可能である。シクロヘキサノンを含む上部留分と、フェノール及び抽出溶媒を含む下部留分を得ることができる。その後の蒸留カラムにおいて、次に下部留分を分離して、フェノール生成物を含む上部留分及び抽出溶媒を含む下部留分を得ることができる。
【0033】
分離及び水素化
本発明に従って、中和した開裂流出物(開裂反応生成物)の少なくとも一部、好ましくは全体を分離し、そのフェノール含有留分を水素化して、フェノールの一部をシクロヘキサノンに変換することができる。分離及び水素化方法及び/又はシステムの例は、添付図面に示してあり、以下に詳述する。
概略的で、原寸に比例していない図面に示す方法及び/又はシステムは、単に一般的材料及び/又は熱の流れ及び一般的な作動原理を図解するためであることを理解すべきである。図解及び説明を単純化するため、いくつかのルーチン成分、例えばポンプ、弁、リボイラー、圧力調整器、熱交換器、再循環ループ、凝縮器、分離ドラム、センサー、精留塔、充填材、分配器、撹拌機、モーター等は図面又は本明細書に示さない。当業者は、本明細書の教示を考慮して、必要に応じて当該成分を添加することができる。
【0034】
図1は、フェノール、シクロヘキサノン及びシクロヘキシルベンゼンを含む混合物からシクロヘキサノンを製造するための本開示の典型的な方法/システム101を示す概略図であって、一次分別カラムT1(すなわち、第1の蒸留カラム)、水素化反応器R1、及びシクロヘキサノン精製カラムT2(すなわち、第2の蒸留カラム)を含む。貯蔵所S1からフェノール、シクロヘキサノン、及びシクロヘキシルベンゼンを含む供給原料103が一次分別カラムT1に供給される。
供給原料103は、いずれの方法によっても生成可能である。好ましい方法は、上述したようにH2SO4等の酸触媒及びシクロヘキシルベンゼンの存在下でシクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシドを開裂されることによる。供給原料103は、シクロヘキシルベンゼン以外の不純物、例えば軽質成分、例えば水、メチルシクロペンタノン、ペンタナール、ヘキサナール、ベンジル酸等、並びに重質成分、例えばメチルシクロペンチルベンゼン、ビシクロヘキサン、及びアミンを開裂混合物に注入して、用いた液体酸触媒を中和することによって生成される有機アミン(例えば1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン等)の硫酸塩をさらに含むことがある。供給原料103は、さらにオレフィン、例えばフェニルシクロヘキセン異性体、ヒドロキシルシクロヘキサノン、シクロヘキセノン等を含むことがある。シクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシドは、上述したようにNHPI等の触媒の存在下でシクロヘキシルベンゼンの好気的酸化によって生成され得る。シクロヘキシルベンゼンは、上述したように水素化/アルキル化二機能性触媒の存在下でベンゼンのヒドロアルキル化によって生成され得る。
【0035】
従って、供給原料103(第1の混合物)は、その総質量に基づいて、下記:
−x11wt%〜x12wt%の範囲の濃度Cxnone(FM1)のシクロヘキサノン(x11及びx12は、x11<x12である限り、独立に、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、82、84、85、86、88、又は90であってよく;好ましくは、20wt%≦Cxnone(FM1)≦30wt%);
−x21wt%〜x22wt%の範囲の濃度Cphol(FM1)のフェノール(x21及びx22は、x21<x22である限り、任意に、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、82、84、85、86、88、又は90であってよく;好ましくは、20wt%≦Cphol(FM1)≦30wt%;好ましくは、0.3≦Cxnone(FM1)/Cphol(FM1)≦2.0;さらに好ましくは0.5≦Cxnone(FM1)/Cphol(FM1)≦1.5;なおさらに好ましくは0.8≦Cxnone(FM1)/Cphol(FM1)≦1.2);
−x31wt%〜x32wt%の範囲の濃度Cchb(FM1)のシクロヘキシルベンゼン(x31及びx32は、x31<x32である限り、独立に、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、30、32、34、35、36、38、40、42、44、45、46、48、50、52、54、55、56、58、60、62、64、65、66、68、70、72、74、75、76、77、78、79、又は80であってよく;好ましくは30wt%≦Cchb(FM1)≦60wt%);及び
−第1混合物の総質量に基づいて、x41wt%〜x42wt%の濃度Cbch(FM1)のビシクロヘキサン(x41及びx42は、x41<x42である限り、独立に、0、0.00001、0.0001、0.0005、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、又は30であってよく、好ましくは、0.001wt%≦Cbch(FM1)≦1wt%)を含むことがある。
【0036】
一次分別カラムT1から、シクロヘキサノンと、水、メチルシクロペンタノン等の軽質成分とを含む、第1の上部流出物105が、カラムT1の上端近傍に生成される。流出物105は、その総質量に基づいて、下記:
−z11wt%≦Cxnone(UE1)≦z12wt%である濃度Cxnone(UE1)のシクロヘキサノン(z11及びz12は、z11<z12である限り、独立に、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、又は99.9であってよく;好ましくは 75≦Cxnone(UE1)≦95);
z21≦Cphol(UE1)≦z22である濃度Cphol(UE1)のフェノール(z21及びz22は、z21<z22である限り、独立に、0、0.00001、0.00005、0.0001、0.0005、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、又は1であり得る);
−y31wt%≦Cchb(UE1)≦y32wt%の濃度Cchb(UE1)のシクロヘキシルベンゼン(y31及びy32は、y31<y32である限り、独立に、0、0.00001、0.00005、0.0001、0.0005、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、又は1であり得る);
−y41wt%≦Cbch(UE1)≦y42wt%の濃度Cbch(UE1)のビシクロヘキサン(y41及びy42は、y41<y42である限り、独立に、0、0.00001、0.00005、0.0001、0.0005、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、又は1であり得る);及び
−第1の上部流出物の総質量に基づいて、x51wt%≦Cxnol(UE1)≦x52wt%の濃度Cxnol(UE1)のシクロヘキサノール(x51及びx52は、x51<x52である限り、独立に、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、又は10であってよく;好ましくは0.1wt%≦Cxnol(UE1)≦5.0wt%)を含み得る。
【0037】
第1の上部流出物105は、次にシクロヘキサノン精製カラムT2に送られ、そこから、水、メチルシクロペンタノン等の軽質成分を含む第3の上部流出物121が、カラムT2の上端近傍の位置に生成されてから貯蔵所S5に送達される。本質的に純粋なシクロヘキサノンを含む第2の上部流出物123が生成され、貯蔵所S7に送られる。カラムT2の下端近傍には、第2の下部流出物125が生成され、貯蔵所S9に送達される。第2の下部流出物は、例えば、シクロヘキサノンとシクロヘキサノールを両方含むKA油であってよい。従って、第2の上部流出物123は、その総質量に基づいて、Cxnone(UE2)≧y11wt%の濃度Cxnone(UE2)のシクロヘキサノン(y11は、95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99、99.5、99.8、又は99.9であり得る)を含むことがある。第2の下部流出物125は、その総質量に基づいて、下記:y51wt%≦Cxnol(LE2)≦y52wt%の濃度Cxnol(LE2)のシクロヘキサノール(y51及びy52は、y51<y52である限り、独立に、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、30、32、34、35、36、38、40、42、44、45、46、48、50、52、54、55、56、58、60、62、64、65、66、68、70、72、74、75、76、78、又は80であり得る);及びe11wt%≦Cxnol(LE2)≦e12wt%の濃度Cxnone(LE2)のシクロヘキサノン(e11及びe12は、e11<e22である限り、独立に、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、30、32、34、35、36、38、40、42、44、45、46、48、50、52、54、55、56、58、60、62、64、65、66、68、70、72、74、75、76、78、又は80であり得る)を含み得る。
【0038】
一次分別カラムT1から生成された第1の中間流出物107は、供給原料103中より高く、かつ第1の上部流出物105中より高い濃度のフェノールと、供給原料103と第1の上部流出物105の両方におけるより低い濃度のシクロヘキサノンと、供給原料103中より望ましくは低く、かつ第1の上部流出物105中より高い濃度のシクロヘキシルベンゼンと、1種以上の他の不純物、例えばビシクロヘキサン及びシクロヘキセノン等とを含む。従って、流出物107は、その総質量に基づいて、下記:
−a11wt%≦Cxnone(ME1)≦a12wt%の濃度Cxnone(ME1)のシクロヘキサノン(a11及びa12は、a11<a12である限り、独立に、1、2、4、5、6、8、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、30、35、40、45、又は50であり得る);
−第1の中間流出物の総質量に基づいて、a21wt%≦Cphol(ME1)≦a22wt%の濃度Cphol(ME1)のフェノール(a21及びa22は、a21<a22である限り、独立に、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80であってよく;好ましくは、1.0≦Cphol(ME1)/Cxnone(ME1)≦3.0、さらに好ましくは、2.0≦Cphol(ME1)/Cxnone(ME1)≦3.0、フェノール/シクロヘキサノン共沸混合物の比に近い);
−a31wt%≦Cchb(ME1)≦a32wt%の濃度Cchb(ME1)のシクロヘキシルベンゼン(a31及びa32は、a31<a32である限り、独立に、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、2、4、5、6、8、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、又は30であり得る);
−a41wt%≦Cbch(ME1)≦a42wt%の濃度Cbch(ME1)のビシクロヘキサン(a41及びa42は、a41<a42である限り、独立に、0.001、0.01、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、2、4、5、6、8、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、又は30であり得る);及び
−a51wt%≦Cbch(ME1)≦a52wt%の濃度Cxnol(ME1)のシクロヘキサノール(a51及びa52は、a51<a52である限り、独立に、0.01、0.02、0.04、0.05、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、2、4、5、6、8、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、又は30であってよく;好ましくは0.01wt%≦Cxnol(ME1)≦5wt%)を含むことがある。
【0039】
流出物107は水素化反応器R1に送達され、そこでそれは、貯蔵所S3からの未使用の補給水素ストリーム111と再循環水素117とを含む水素ガス供給原料112と混合される。供給原料107に含まれるフェノール及び水素は、反応器R1内の触媒床113の存在下で互いに反応してシクロヘキサノンを生成する。反応器R1内部のシクロヘキサノンのいくらかは、触媒床113の存在下で水素と反応して同様にシクロヘキサノールを生成する。図1に示す典型的な方法においては、余剰水素が反応器R1に供給される。
水素化反応は水素化触媒の存在下で起こる。水素化触媒は、支持材上に支持された水素化機能を遂行する水素化金属を含み得る。水素化金属は、例えば、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ag、Re、Os、Ir、及びPt、並びにその1種以上の混合物及び組み合わせであり得る。支持材は、有利には無機材料、例えば酸化物、ガラス、セラミック、分子ふるい等であり得る。例えば、支持材は、活性炭、Al2O3、Ga2O3、SiO2、GeO2、SnO、SnO2、TiO2、ZrO2、Sc2O3、Y2O3、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、並びにその混合物、組み合わせ、複合物、及び化合物であり得る。水素化金属の濃度は、例えば、触媒の総質量に基づいて、Cm1wt%〜Cm2wt%の範囲内であってよく、Cm1及びCm2は、Cm1<Cm2である限り、独立に、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0であり得る。
【0040】
未使用の補給水素及び再循環水素を含め、反応器R1に供給される水素の総量及び水素化反応ゾーンに供給されるフェノールの総量は、望ましくはR1≦R(H2/phol)≦R2の水素対フェノールのモル比R(H2/phol)を示し、R1及びR2は、R1<R2である限り、独立に、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、又は10であり得る。より高いR(H2/phol)比は、フェノールのより高い全体的転化率をもたらし得るが、シクロヘキサノンのより高い転化率、フェノールからシクロヘキサノールへのより高い選択性及び同様にシクロヘキシルベンゼンのより高い転化率をもたらす傾向がある。従って、一般的に水素化反応器R1内では、フェノールの全体的転化率が高過ぎないように、限定するものではないが、温度、圧力、及びR(H2/phol)比を含めた反応条件、並びに酸触媒を選択するのが望ましいことが分かった。
反応器R1の下端では、ストリーム107中より低い濃度のフェノールと、ストリーム107中より高い濃度のシクロヘキサノンと、シクロヘキシルベンゼンと、ビシクロヘキサンと、余剰水素とを含む水素化反応生成物ストリーム115が抜き取られる。ストリーム115は、その総質量に基づいて、下記:
−b11wt%≦Cxnone(HRP)≦b12wt%の濃度Cxnone(HRP)のシクロヘキサノン(b11及びb12は、b11<b12である限り、独立に、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90であり得る);
−b21wt%≦Cphol(HRP)≦b22wt%の濃度Cphol(HRP)のフェノール(b21及びb22は、b21<b22である限り、独立に、1、2、5、6、8,10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、30、40、50であり得る);
−b31wt%≦Cchb(HRP)≦b32wt%の濃度Cchb(HRP)のシクロヘキシルベンゼン(b31及びb32は、b31<b32である限り、独立に、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、2、4、5、6、8、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、30であり得る);
−b41wt%≦Cbch(HRP)≦b42wt%の濃度Cbch(HRP)のビシクロヘキサン(b41及びb42は、b41<b42である限り、独立に、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、2、4、5、6、8、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、30であり得る);及び
−b51wt%≦Cxnol(HRP)≦b52wt%の濃度Cxnol(HRP)のシクロヘキサノール(b51及びb52は、b51<b52である限り、独立に、0.01、0.02、0.04、0.05、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、2、4、5、6、8、10であり得る)を含むことがある。
【0041】
好ましくは、水素化反応生成物ストリーム115において下記基準の少なくとも1つが満たされる。
−Ra31≦Cchb(ME1)/Cchb(HRP)≦Ra32(Ra31及びRa32は、Ra31<Ra32である限り、独立に、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.92、0.94、0.95、0.96、0.98、1.00、1.02、1.04、1.05、1.06、1.08、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.00、3.00、4.00、5.00、6.00、7.00、8.00、9.00、又は10.0であってよく;さらに好ましくは、0.80≦Cchb(ME1)/Cchb(HRP)≦1.00であり、シクロヘキシルベンゼン濃度は水素化反応ゾーン内で有意には低減しないことを意味する);
−Ra41≦Cbch(HRP)/Cbch(ME1)≦Ra42(Ra41及びRa42は、Ra41<Ra42である限り、独立に、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.92、0.94、0.95、0.96、0.98、1.00、1.02、1.04、1.05、1.06、1.08、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.00、3.00、4.00、5.00、6.00、7.00、8.00、9.00、又は10.0であってよく;好ましくは、1.0≦Cbch(HRP)/Cbch(ME1)≦1.5であり、ビシクロヘキサン濃度は水素化反応ゾーン内で有意には上昇しないことを意味する);及び
−Ra51≦Cxnol(HRP)/Cxnol(ME1)≦Ra52(Ra51及びRa52は、Ra51<Ra52である限り、独立に、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.92、0.94、0.95、0.96、0.98、1.00、1.02、1.04、1.05、1.06、1.08、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.00、3.00、4.00、5.00、6.00、7.00、8.00、9.00、又は10.0であってよく;好ましくは、1.0≦Cxnol(HRP)/Cxnol(ME1)≦1.5であり、シクロヘキサノール濃度は水素化反応ゾーン内で有意には上昇しないことを意味する)。
【0042】
次にストリーム115が分離ドラムD1に送達され、そこで、余剰水素の大部分を含む気相及び液相が得られる。気相は、ストリーム117として反応器R1に水素供給源の一部として再循環可能であり、液相119は、一次分別カラムT1にカラムT1の1つ以上の側面位置で再循環される。側面位置の少なくとも1つは、第1の中間流出物107が抜き取られる位置より上であるが、第1の上部流出物105が抜き取られる位置より下である。
一次分別カラムT1から得られる第1の下部流出物109は、主に重質成分、例えばシクロヘキシルベンゼン、ビシクロヘキサン、上記アミン塩、C18+、C12含酸素物、及びC18+含酸素物を含む。この留分は、重質蒸留カラムT3(第3の蒸留カラム)に送達され、そこから、望ましくはC31wt%より高い濃度のシクロヘキシルベンゼンを含む第3の上部流出物127及び下部流出物129が生成される。ここで、C31は、80、82、84、85、86、88、90、92、94、95、96、98、又は99であり得る。流出物127は貯蔵所S11へ、流出物129は貯蔵所S13へ送達され得る。流出物127は、さらにオレフィン、主にフェニルシクロヘキセン異性体を無視できない量で含むことがある。流出物127に水素化を受けさせて、オレフィン濃度を低減し、その後に水素化流出物127をシクロヘキシルベンゼン酸化等の早期工程に再循環させてその少なくとも一部をシクロヘキシルベンゼンヒドロペルオキシドに変換して、結果として方法全体の収率を改善するのが望ましいことがある。
【0043】
図2は、図1に示す方法/システムと同様であるが、一次分別カラムT1と水素化反応器R1との間及び/又は中に修正流体連絡を含む、本開示の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。この図においては、水素化反応生成物115は、図1に示す例におけるように、残余の水素を含む。流出物115がまず最初に分離ドラムD1に送達され、そこで水素リッチ蒸気ストリーム117aが得られ、圧縮器118で圧縮されてから反応器R1にストリーム117bとして、反応器R1への未使用の補給水素ストリーム111と共に送達される。液体ストリーム119が分離ドラムD1から得られ、複数ストリーム(図2に示す2つの再循環ストリーム119a及び119b)に分割され、カラムT1の側面の2つの異なる位置、一方は第1の中間流出物107が抜き取られる位置より下の位置(供給原料103とほぼ同レベルに示してある)、及び他方は第1の中間流出物107が引き出される位置より上の位置に再循環される。水素化反応器R1と一次分別カラムT1との間の図1に比べて修正されたこの再循環流体連絡は、驚くべき利点を有する。1つの位置、例えば第1の中間流出物107より上の位置だけに再循環液体ストリーム119が供給される場合、ストリーム107中のシクロヘキシルベンゼンからビシクロヘキサンが反応器R1内で連続的に生成され、その後、定常的にカラムT1内に、別の相が生じて、カラムT1内の効率的な生成物分離を干渉する恐れがあり得るほど高濃度に蓄積することが分かった。他方で、再循環ストリーム119がカラムT1の複数の位置(図2に示すように)に戻して再循環される場合、T1内部に別のビシクロヘキサン相を形成する可能性が劇的に低減するか又は排除される。
【0044】
図3は、一次分別カラムT1とシクロヘキサノン精製カラムT2との間及び/又はその中に修正流体連絡及び/又は熱伝達配列を含む、図1及び2に示す方法/システムと同様の本発明の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。この図には、水素化反応器R1及びその周辺機器を示していない。この例では、カラムT1から引き出された第1の中間流出物107が複数ストリーム(図示する2つのストリーム107a及び107b)に分割され、その一方(107a)は、水素化反応器R1(図示せず)に水素化供給原料として送達され、他方(107b)は、シクロヘキサノン精製カラムT2と流体連絡及び熱連絡している熱交換器131に送達される。この例では、カラムT2からの下端ストリーム125(例えば、シクロヘキサノンとシクロヘキサノールの混合物を含む)が3つのストリームに分割される:熱交換器131を通過し、ストリーム107bによって加熱されるストリーム135;熱交換器141によって加熱されてからカラムT2に再循環されるストリーム139;及びポンプ147により貯蔵所S9に送達されるストリーム145。ストリーム107bは、熱交換器131を通過後、より冷たいストリーム133になってから一次分別カラムT1に1つ以上の位置で再循環される。その少なくとも1つの位置は、第1の中間流出物107が引き出される位置より上にある。図3に示す熱管理スキームは、本開示の方法及びシステム全体のエネルギー効率を顕著に改善することができる。
【0045】
図4は、図1〜3に示すものと同様であるが、管状熱交換器型水素化反応器を含む、本開示の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。この図は、反応器R1内部の反応媒体中に存在する大部分のフェノール及び/又はシクロヘキシルベンゼンが気相中にあるような水素化条件下で水素化反応器R1が作動する例を図解する。この例では、一次分別カラムT1から抜き出された第1の中間流出物107がまず最初に水素供給原料(未使用の補給水素ストリーム111及び再循環水素ストリーム117bを含めて)と混合され、熱交換器151によって加熱されてから、管157の内部に設置された水素化触媒を有する管状熱交換器型水素化反応器R1に送達される。貯蔵所S11から供給された冷却水等の冷却媒体159のストリームが交換器/反応器R1の管胴を通過して温かいストリーム161として反応器R1を出てから貯蔵所S13に送達され、それによって、フェノール水素化反応から放出された大量の熱が運び去られ、反応器R1内部の温度をT1℃〜T2℃の範囲内に維持し、反応器R1内部の絶対圧力をP1kPa〜P2kPaの範囲内に維持する。ここで、T1及びT2は、T1<T2である限り、独立に、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、250、260、270、280、290、300であってよく、P1及びP2は、P1<P2である限り、独立に、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400であってよい。好ましくはT2=240及びP2=200である。気相の熱伝達は、液相ほど効率的でなく、かつフェノール水素化反応は非常に発熱性なので、該気相水素化反応器内においては慎重に熱伝達を管理することが非常に望ましい。
【0046】
図5は、図1〜4に示すものと同様であるが、直列に接続した3つの固定床水素化反応器R3、R5、及びR7を含む、本開示の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。この図は、水素化反応器が、反応器R3、R5、及びR7の内部の反応媒体中に存在するフェノール及び/又はシクロヘキシルベンゼンの大部分が液相中にあるような水素化条件下で作動する例を図解する。この例では、一次分別カラムT1から抜き出された第1の中間流出物107がまず最初に水素供給原料(未使用の補給水素ストリーム111及び再循環水素ストリーム117bを含めて)と混合されて供給原料ストリーム151を形成してから熱交換器153によって加熱されてストリーム155として、内部に触媒床167を有する第1の水素化反応器R3に送達される。反応器R3内でフェノールの一部がシクロヘキサノンに変換され、適量の熱を放出して反応媒体の温度を上昇させる。反応器R3を出る流出物169が次に熱交換器171で冷却されてから、内部に触媒床175を有する第2の固定床反応器R5に送達される。反応媒体に含まれるフェノールの一部が反応器R5内でシクロヘキサノンに変換され、適度な量の熱を放出して反応器R5内部の温度を上昇させる。反応器R5を出る流出物177が次に熱交換器179で冷却されてから、内部に触媒床183を有する第3の固定床水素化反応器R7に送達される。反応媒体に含まれるフェノールの一部が反応器R7内でシクロヘキサノンに変換され、適度な量の熱を放出して反応器R7内部の温度を上昇させる。反応器R7を出る流出物185が次に熱交換器187で冷却され、ドラムD1に送達され、そこで気相117aと液相119が得られる。水素化反応ゾーン内での複数の反応器の使用、及び各反応器の間及び後の熱交換器の使用によって、反応器R3、R5、及びR7の内部の温度をそれぞれ独立にT3℃〜T4℃の範囲内に維持し、かつ反応器R3、R5、及びR7の内部の絶対圧力をそれぞれ独立にP3kPa〜P4kPaの範囲内に維持する。ここで、T3及びT4は、T3<T4である限り、独立に、140、145,150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、250、260、270、280、290、300であってよく、P3及びP4は、P3<P4である限り、独立に、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1025、1050、1075、1100、1125、1134、1150、1175、1200であってよい。好ましくはT4=240及びP4=1134である。一般に、より高い温度は、シクロヘキサノンよりシクロヘキサノールの製造に都合がよい。従って、水素化は、220℃以下の温度で行なうのが非常に望ましい。
【0047】
図6は、図1〜5に示す方法/システムと同様であるが、一次分別カラムT1と水素化反応器R1との間及び/又はその中に修正流体連絡を含む、本開示の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。この図には、第1の中間流出物107a及び第2の中間流出物107bを含め、2つの中間流出物が一次分別カラムT1の側面から引き出される。2つの流出物107a及び107bは、異なる組成を有し、混ぜ合わせて供給原料107を形成してから、水素供給原料ストリーム111及び117bと混合され、水素化反応器に送達される。異なる組成を有する2つの中間流出物を異なる位置で引き出すことは、予想外の技術的利点を有する。1つの中間流出物だけをカラムT1の単一の位置から引き出す場合、特定の望ましくない成分、例えばヒドロキシシクロヘキサノンがカラムT1内に蓄積する可能性があることが分かった。ヒドロキシシクロヘキサノンが脱水を受けてシクロヘキセノンを形成し、これがカラムT1内部を汚す可能性があると考えられる。中間流出物をカラムの異なる高さの位置で引き出すことによって、前述のような望ましくない成分の蓄積及びカラム内部を汚す可能性を効率的に低減することができる。
【0048】
図7は、図1〜6に示すものと同様であるが、一次分別カラムT1の前に、一次分別カラムT1に供給されるフェノール/シクロヘキサノン/シクロヘキシルベンゼン供給原料から軽質成分の少なくとも一部を除去して水素化反応器内の触媒被毒を低減又は防止するために構成されたサイドストリッパーカラムT4を含む、本開示の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。特定の軽質成分(すなわち、シクロヘキサノンより低い標準沸点を有する成分)が、水素化反応ゾーンへのフェノール/シクロヘキサノン/シクロヘキシルベンゼン供給原料に含まれると、脱水素化触媒を毒し、触媒の性能及び寿命の早過ぎる低下を引き起こす恐れがあると考えられる。従って、この図においては、フェノール/シクロヘキサノン/シクロヘキシルベンゼン供給原料102がまず最初に、カラムT1より小さいサイドストリッパーT4中に供給されて、軽質成分に富み、かつフェノールとシクロヘキシルベンゼンが枯渇した上部流出物105a及び軽質成分が枯渇した下部流出物103を得る。次に上部流出物105aが、一次分別カラムT1から得られた第1の上部流出物105bと混合されてストリーム105を形成し、これが次にシクロヘキサノン精製カラムT2に送達される。下部流出物103は、次に一次分別カラムT1にフェノール/シクロヘキサノン/シクロヘキシルベンゼン供給原料として送達される。小さい比較的安価なサイドストリッパーT4を加えることによって、水素化触媒を毒しやすい軽質成分(例えば、C1-C6有機酸)の大多数を除去することができる。
【0049】
図8は、図7の構成の代替物を示す。この図では、一次分別カラムT1の前にサイドストリッパーT4を配置する代わりに、カラムT1の背後にサイドストリッパーT5を配置し、これは第1の中間流出物107を供給原料として受け取り、水素化触媒を毒しやすい軽質成分(例えば、C1-C6有機酸)に富む上部流出物193を生成し、これは、流出物107が引き出される位置より高い位置でカラムT1に再循環され、該軽質成分が枯渇した下部流出物195は、水素供給原料111及び117bと一緒に、フェノール/シクロヘキサノン/シクロヘキシルベンゼン供給原料151の一部又は全てとして水素化反応器に送達される。
【0050】
図9は、シクロヘキサノン精製カラムT2の後に、最終シクロヘキサノン生成物から軽質成分の量を低減するように構成されたサイドストリッパーカラムT6 を含む、図1〜8に示すものと同様の本開示の典型的な方法/システムの一部を示す概略図である。この図では、一次分別カラムT1から得られた主にシクロヘキサノン及び軽質成分を含む第1の上部流出物105がシクロヘキサノン精製カラムT2に送達され、そこで、3つの流出物:水及びメチルシクロペンタノン等の軽質成分に富み、シクロヘキサノン及びシクロヘキサノールが枯渇した第2の上部流出物121、シクロヘキサノンに富み、軽質成分及びシクロヘキサノールが枯渇した第2の中間流出物123、並びにシクロヘキサノールに富む第2の下部流出物125が得られる。流出物121は、まず最初に熱交換器197で冷却されてから分離ドラムD2に送達されて、カラムT2に再循環される液相199と、気相201とを得る。気相201は、熱交換器203で再び冷却され、別の分離ドラムD3に送達されて、一部はストリーム205としてドラムD2に再循環され、一部は貯蔵所S5に送達される液相と、処分してよい気相206とを得る。流出物123はサイドストリッパーT6に送達され、そこで下記ストリーム:その下端近傍に実質的に純粋なシクロヘキサノンストリーム211を生成し、これは貯蔵所S7に送達され;また軽質ストリーム209を生成し、これは123より上の位置でカラムT2に再循環される。
【0051】
上記図面の全てにおいて、水素化反応器に送達されるフェノール/シクロヘキサノン/シクロヘキシルベンゼン供給原料は、一次分別カラムT1からの1つ以上の中間流出物から全体的に得られる。しかしながら、さらに、カラムT1から得れる供給原料以上の濃度でフェノールを含む第2のフェノール供給原料ストリームが、独立かつ別々に或いはカラムT1及び/又は水素供給原料から得られる供給原料と混ぜ合わせた後に水素化反応器に供給可能であることを企図している。例えば、第2のフェノールストリームは、その総質量に基づいて、少なくとCphol(f2)wt%(Cphol(f2)は、例えば、80、82、84、85、86、88、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.8、又は99.9でさえあり得る)のフェノール濃度を有する実質的に純粋なフェノールを含み得る。
【0052】
シクロヘキサノン及びフェノールの使用
本明細書に開示の方法により生成されたシクロヘキサノンは、例えば、工業用溶媒として、酸化反応並びにアジピン酸、シクロヘキサノン樹脂、シクロヘキサノンオキシム、カプロラクタム、及びナイロン-6やナイロン-6,6等のナイロンの製造における活性化剤として使用可能である。
本明細書に開示の方法により生成されたフェノールは、例えば、フェノール樹脂、ビスフェノールA、ε-カプロラクタム、アジピン酸、及び/又は可塑剤を製造するために使用可能である。
本発明を特定の実施形態を参照して説明及び図解したが、当業者には、本明細書で必ずしも説明していない変形形態に本発明が役立つことが明白であろう。このため、本発明の真の範囲を決定するためには添付の特許請求の範囲のみを参照すべきである。
本明細書で引用した全ての参考文献の内容は、参照することによりそれらの全体が組み込まれる。
【0053】
本発明は、以下の非限定態様及び/又は実施形態の1つ以上を包含する。
E1. シクロヘキサノンの製造方法であって、下記工程:
(I)濃度Cxnone(FM1)のシクロヘキサノン、濃度Cphol(FM1)のフェノール、及び濃度Cchb(FM1)のシクロヘキシルベンゼンを含む第1の混合物を第1の蒸留カラムに供給する工程;
(II)第1の蒸留カラムから下記:
濃度Cxnone(UE1)のシクロヘキサノン、濃度Cphol(UE1)のフェノール、及び濃度Cchb(UE1)のシクロヘキシルベンゼンを含む第1の上部流出物;
濃度Cxnone(ME1)のシクロヘキサノン、濃度Cphol(ME1)のフェノール、及び濃度Cchb(ME1)のシクロヘキシルベンゼン、及び濃度Cbch(ME1)のビシクロヘキサンを含む第1の中間流出物;及び
濃度Cchb(LE1)のシクロヘキシルベンゼンを含む第1の下部流出物
を得る工程
(ここで、
Cxnone(UE1)>Cxnone(FM1);
Cphol(ME1)>Cphol(FM1);及び
Cchb(LE1)>Cchb(FM1));
(III)第1の中間流出物の少なくとも一部及び水素を水素化反応ゾーンに供給し、そこで、水素化触媒の存在下、水素化反応条件下でフェノールが水素と反応して、濃度Cxnone(HRP)のシクロヘキサノン、濃度Cphol(HRP)のフェノール、濃度Cchb(HRP)のシクロヘキシルベンゼン、及び濃度Cbch(HRP)のビシクロヘキサンを含む水素化反応生成物を得る工程
(ここで、
Cxnone(HRP)>Cxnone(ME1);及び
Cphol(HRP)<Cphol(ME1));及び
(IV)水素化反応生成物の少なくとも一部を第1の蒸留カラムに供給する工程
を含む方法。
【0054】
E2. Cxnone(FM1)が、第1の混合物の総質量に基づいて、x11wt%〜x12wt%の範囲内であり、x11及びx12は、x11<x12である限り、独立に、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、82、84、85、86、88、又は90であり得る、E1の方法。
E3. Cphol(FM1)が、第1の混合物の総質量に基づいて、x21wt%〜x22wt%の範囲内であり、x21及びx22は、x21<x22である限り、独立に、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、82、84、85、86、88、又は90であり得る、E1又はE2の方法。
E4. Cchb(FM1)が、第1の混合物の総質量に基づいて、x31wt%〜x32wt%であり、x31及びx32は、x31<x32である限り、独立に、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、30、32、34、35、36、38、40、42、44、45、46、48、50、52、54、55、56、58、60、62、64、65、66、68、70、72、74、又は75であり得る、E1〜E3のいずれかの方法。
E5. 第1の混合物が、第1の混合物の総質量に基づいて、x41wt%〜x42wt%の範囲内の濃度Cbch(FM1)のビシクロヘキサンをさらに含み、x41及びx42は、x41<x42である限り、独立に、0.0001、0.0005、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、又は30であり得る、E1〜E4のいずれかの方法。
E6. 第1の混合物が、硫酸の有機アミン塩をさらに含む、E1〜E5のいずれかの方法。
【0055】
E7. 第1の上部流出物が濃度Cxnol(UE1)のシクロヘキサノールをさらに含み、かつ該方法が下記工程:
(V)第1の上部流出物の少なくとも一部を第2の蒸留カラムに供給する工程;及び
(VI)第2の蒸留カラムから下記:
濃度Cxnone(UE2)のシクロヘキサノンを含む第2の上部流出物;及び
濃度Cxnone(LE2)のシクロヘキサノン及び濃度Cxnol(LE2)のシクロヘキサノールを含む第2の下部流出物
を得る工程
(ここで、
Cxnone(UE2)>Cxnone(UE1)>Cxnone(LE2);及び
Cxnol(LE2)>Cxnol(UE1))
をさらに含む、E1の方法。
E8. 第2の上部流出物の総質量に基づいて、Cxnone(UE2)≧y11wt%であり、y11は、95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99、99.5、99.8、又は99.9であり得る、E7の方法。
E9. 第2の上部流出物より上の位置で第2の蒸留カラムから第3の上部流出物が得られ、第3の上部流出物は、シクロヘキサノンの標準沸点より低い標準沸点を有する成分を含む、E7又はE8の方法。
【0056】
E10. 第1の上部流出物の総質量に基づいて、z11wt%≦Cxnone(UE1)≦z12wt%であり、
z11及びz12は、z11<z12である限り、独立に、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99であり得る、E1〜E9のいずれかの方法。
E11. 第1の上部流出物の総質量に基づいて、z21≦Cphol(UE1)≦z22であり、
z21及びz22は、z21<z22である限り、独立に、0.00001、0.00005、0.0001、0.0005、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、又は1であり得る、E1〜E10のいずれかの方法。
E12. 第1の上部流出物の総質量に基づいて、y31wt%≦Cchb(UE1)≦y32wt%であり、y31及びy32は、y31<y32である限り、独立に、0.00001、0.00005、0.0001、0.0005、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、又は1であり得る、E1〜E11のいずれかの方法。
E13. 第1の上部流出物が、濃度Cbch(UE1)のビシクロヘキサンをさらに含み、かつ
第1の上部流出物の総質量に基づいて、y41wt%≦Cbch(UE1)≦y42wt%であり、y41及びy42は、y41<y42である限り、独立に、0.00001、0.00005、0.0001、0.0005、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、又は1であり得る、E1〜E12のいずれかの方法。
E14. 第1の上部流出物の総質量に基づいて、x51wt%≦Cxnol(UE1)≦x52wt%であり、x51及びx52は、x51<x52である限り、独立に、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、又は10であり得る、E7〜E13のいずれかの方法。
【0057】
E15. 第2の下部流出物の総質量に基づいて、y51wt%≦Cxnol(LE2)≦y52wt%であり、
y51及びy52は、y51<y52である限り、独立に、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、30、32、34、35、36、38、40、42、44、45、46、48、50、52、54、55、56、58、60、62、64、65、66、68、70、72、74、75、76、78、又は80であり得る、E7〜E14のいずれかの方法。
E16. 第1の中間流出物の総質量に基づいて、a11wt%≦Cxnone(ME1)≦a12wt%であり、
a11及びa12は、a11<a12である限り、独立に、1、2、4、5、6、8、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、30、35、40、45、又は50であり得る、E1〜E15のいずれかの方法。
E17. 第1の中間流出物の総質量に基づいて、a21wt%≦Cphol(ME1)≦a22wt%であり、
a21及びa22は、a21<a22である限り、独立に、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、82、84、85、86、88、又は90であり得る、E1〜E16のいずれかの方法。
E18. 第1の中間流出物の総質量に基づいて、a31wt%≦Cchb(ME1)≦a32wt%であり、a31及びa32は、a31<a32である限り、独立に、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、2、4、5、6、8、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、又は30であり得る、E1〜E17のいずれかの方法。
E19. 第1の中間流出物の総質量に基づいて、a41wt%≦Cbch(ME1)≦a42wt%であり、
a41及びa42は、a41<a42である限り、独立に、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、2、4、5、6、8、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、又は30であり得る、E1〜E18のいずれかの方法。
【0058】
E20. 第1の中間流出物が、第1の中間流出物の総質量に基づいて、a51wt%≦Cbch(ME1)≦a52wt%の濃度Cxnol(ME1)のシクロヘキサノールをさらに含み、a51及びa52は、a51<a52である限り、独立に、0.01、0.02、0.04、0.05、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、2、4、5、6、8、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、又は30であり得る、E1〜E19のいずれかの方法。
E21. 第1の中間流出物とは無関係の第2のフェノール含有ストリームが水素化反応ゾーンに供給される、E1〜E20のいずれかの方法。
E22. 第2のフェノール含有ストリームが、第2のフェノール含有ストリームの総質量に基づいて、d21wt%≦Cphol(FP)≦d22wt%の濃度Cphol(FP)のフェノールを含み、
d21及びbd22は、d21<d22である限り、独立に、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100であり得る、E21の方法。
E23. 水素及びフェノールが、水素対フェノールのモル比R(H2/phol)、及びR1≦R(H2/phol)≦R2で水素化反応ゾーンに供給され、R1及びR2は、R1<R2である限り、独立に、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、又は10であり得る、E1〜E22のいずれかの方法。
E24. anyany水素化反応ゾーン内で、シクロヘキシルベンゼンの少なくともC11%が液相中に存在し、C11は、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、又は99であり得る、E1〜E23のいずれかの方法。
E25. 水素化反応ゾーン内で、フェノールの少なくともC21%が液相中に存在し、C21は、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、又は99であり得る、E1〜E24のいずれかの方法。
E26. 水素化反応ゾーン内で、水素化反応条件が、T1℃〜T2℃の範囲内の温度及びP1kPa〜P2kPaの範囲内の絶対圧力を含み、T1及びT2は、T1≦T2である限り、独立に、140、145,150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240であり得;かつP1及びP2は、P1≦P2である限り、独立に、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1025、1050、1075、1100、1125、1134、1150、1175、1200であり得る、E24又はE25の方法。
E27. 水素化反応ゾーンが、直列に接続された複数の水素化反応器を含む、E24〜E26のいずれかの方法。
【0059】
E28. 水素化反応ゾーン内で、シクロヘキシルベンゼンの少なくともCA11%が気相中に存在し、CA11は、90、95、96、97、98、又は99であり得る、E1〜E27のいずれかの方法。
E29. 水素化反応ゾーン内で、フェノールのCA21%が気相中に存在し、CA21は、90、95、96、97、98、又は99であり得る、E28の方法。
E30. 水素化反応ゾーン内で、水素化反応条件が、T1℃〜T2℃の範囲内の温度及びP1kPa〜P2kPaの範囲内の絶対圧力を含み、T1及びT2は、T1≦T2である限り、独立に、140、145,150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240であり得;かつP1及びP2は、P1≦P2である限り、独立に、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200であり得る、E28又はE29の方法。
E31. 水素化反応生成物の総質量に基づいて、b11wt%≦Cxnone(HRP)≦b12wt%であり、
b11及びb12は、b11<b12である限り、独立に、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90であり得る、E1〜E30のいずれかの方法。
E32. 水素化反応生成物の総質量に基づいて、b21wt%≦Cphol(HRP)≦b22wt%であり、
b21及びb22は、b21<b22である限り、独立に、1、2、5、6、8,10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、30であり得る、E1〜E31のいずれかの方法。
E33. 水素化反応生成物の総質量に基づいて、b31wt%≦Cchb(HRP)≦b32wt%であり、
b31及びb32は、b31<b32である限り、独立に、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、2、4、5、6、8、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、30であり得る、E1〜E32のいずれかの方法。
E34. 水素化反応生成物の総質量に基づいて、b41wt%≦Cbch(HRP)≦b42wt%であり、b41及びb42は、b41<b42である限り、独立に、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、2、4、5、6、8、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、30であり得る、E1〜E33のいずれかの方法。
【0060】
E35. 水素化反応生成物が、水素化反応生成物の総質量に基づいて、濃度Cxnol(HRP)、及びb51wt%≦Cxnol(HRP)≦b52wt%のシクロヘキサノールをさらに含み、b51及びb52は、b51<b52である限り、独立に、0.01、0.02、0.04、0.05、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、2、4、5、6、8、10であり得る、E1〜E34のいずれかの方法。
E36. Ra31≦Cchb(ME1)/Cchb(HRP)≦Ra32であり、Ra31及びRa32は、Ra31<Ra32である限り、独立に、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.92、0.94、0.95、0.96、0.98、1.00、1.02、1.04、1.05、1.06、1.08、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.00、3.00、4.00、5.00、6.00、7.00、8.00、9.00、又は10.0であり得;さらに好ましくは0.80≦Cchb(ME1)/Cchb(HRP)≦1.00である、E1〜E35のいずれかの方法。
E37. Ra41≦Cbch(HRP)/Cbch(ME1)≦Ra42であり、Ra41及びRa42は、Ra41<Ra42である限り、独立に、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.92、0.94、0.95、0.96、0.98、1.00、1.02、1.04、1.05、1.06、1.08、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.00、3.00、4.00、5.00、6.00、7.00、8.00、9.00、又は10.0であり得;好ましくは、1.00≦Cbch(HRP)/Cbch(ME1)≦1.50である、E1〜E36のいずれかの方法。
E38. Ra51≦Cxnol(HRP)/Cxnol(ME1)≦Ra52であり、Ra51及びRa52は、Ra51<Ra52である限り、独立に、0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.92、0.94、0.95、0.96、0.98、1.00、1.02、1.04、1.05、1.06、1.08、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.00、3.00、4.00、5.00、6.00、7.00、8.00、9.00、又は10.0であり得;好ましくは、1.00≦Cxnol(HRP)/Cxnol(ME1)≦1.50である、E1〜E37のいずれかの方法。
【0061】
E39. 工程(III)後に、下記工程:
(IIIA)水素化反応生成物を液体ストリーム及び蒸気ストリームに分離する工程;及び
(IIIB)蒸気ストリームの少なくとも一部を水素化反応ゾーンに再循環させる工程
をさらに含み;かつ
工程(IV)が、液体ストリームの少なくとも一部を第1の蒸留カラムに供給する工程を含む、E1〜E36のいずれかの方法。
E40. 液体ストリームの少なくとも一部が、第1の混合物の一部として蒸留カラムに供給される、E39の方法。
E41. 水素化反応生成物の少なくとも一部が、蒸留カラムに供給される第1の混合物の一部を形成する、E1〜E40のいずれかの方法。
E42. 水素化反応生成物が複数ストリームに分離され;
複数ストリームの少なくとも1つが、第1の中間流出物が引き出される位置より高い位置で第1の蒸留カラムに供給され;かつ
複数ストリームの少なくとも1つが、第1の中間流出物が引き出される位置より低い位置で第1の蒸留カラムに供給される、E1〜E41のいずれかの方法。
【0062】
E43. 工程(I)の第1の混合物が、下記工程:
(I-A)1-フェニル-1-シクロヘキサン-ヒドロペルオキシド及びシクロヘキシルベンゼンを含む開裂供給原料混合物を、開裂反応器内で酸触媒と接触させて開裂反応生成物を得る工程
を含む開裂法によって得られる、E1〜E42のいずれかの方法。
E44. 工程(I-A)において、酸が液体酸であり、かつ開裂法が下記工程:
(I-B)塩基性物質を開裂反応生成物に添加して第1の混合物を得る工程
をさらに含む、E43の方法。
E45. 塩基性物質が有機アミンを含む、E44の方法。
E46. 開裂供給原料混合物が、下記工程:
(I-A-1)ヒドロアルキル化触媒の存在下、ヒドロアルキル化条件下でベンゼンを水素と接触させて、シクロヘキシルベンゼンを含むヒドロアルキル化生成物混合物を生成する工程;
(I-A-2)触媒の存在下でシクロヘキシルベンゼンを酸素と接触させて、1-フェニル-1-シクロヘキサン-ヒドロペルオキシドを含む酸化反応生成物混合物を生成する工程;及び
(I-A-3)酸化反応生成物混合物から開裂供給原料混合物を与える工程
によって得られる、E43〜E45のいずれかの方法。
【0063】
E47. 下記工程:
(VII)第1の下部流出物の少なくとも一部を第3の蒸留カラムに供給する工程;及び
(VIII)第3の蒸留カラムから下記:
濃度Cchb(UE3)のシクロヘキシルベンゼンを含む第3の上部流出物;及び
シクロヘキシルベンゼンより高い沸点を有する成分を含む第3の下部流出物
を得る工程
をさらに含む、E1〜E46のいずれかの方法。
E48. 第3の上部流出物の総質量に基づいて、Cchb(UE3)≧C31wt%であり、
C31は、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99であり得る、E47の方法。
E49. 第3の上部流出物が、第3の上部流出物の総質量に基づいて、C12質量ppm以下の濃度のフェノールを含み、C12は、1000、800、600、500、400、200、100、80、60、50、40、20、10、8、6、5、4、2、1であり得る、E47又はE48のいずれかの方法。
E50. 第3の上部流出物の少なくとも一部が工程(I-A-2)に再循環される、
E47〜E49のいずれかの方法。
【0064】
EA1. E1〜E50のいずれかのシクロヘキサノンの製造方法を実施するように構成されたシステムであって、下記:
(A)(i)濃度Cxnone(FM1)のシクロヘキサノン、濃度Cphol(FM1)のフェノール、及び濃度Cchb(FM1)のシクロヘキシルベンゼンを含む第1の混合物を受け取り、かつ
(ii)下記:
濃度Cxnone(UE1)のシクロヘキサノン、濃度Cphol(UE1)のフェノール、濃度Cchb(UE1)のシクロヘキシルベンゼンを含む第1の上部流出物;
濃度Cxnone(ME1)のシクロヘキサノン、濃度Cphol(ME1)のフェノール、及び濃度Cchb(ME1)のシクロヘキシルベンゼン、及び濃度Cbch(ME1)のビシクロヘキサンを含む第1の中間流出物;及び
濃度Cchb(LE1)のシクロヘキシルベンゼンを含む第1の下部流出物
を生成するように構成された第1の蒸留カラム
(ここで、
Cxnone(UE1)>Cxnone(FM1);
Cphol(ME1)>Cphol(FM1);及び
Cchb(LE1)>Cchb(FM1));
(B)第1の中間流出物の少なくとも一部と水素を受け取り、そこで、水素化触媒の存在下、水素化条件下で、フェノールが水素と反応して、濃度Cxnone(HRP)のシクロヘキサノン、濃度Cphol(HRP)のフェノール、濃度Cchb(HRP)のシクロヘキシルベンゼン、及び濃度Cbch(HRP)のビシクロヘキサンを含む水素化反応生成物を生成するように構成された水素化反応ゾーン
(ここで、
Cxnone(HRP)>Cxnone(ME1);及び
Cphol(HRP)<Cphol(ME1));及び
(C)水素化反応生成物の少なくとも一部を第1の蒸留カラムに送達するように構成された第1の流体連絡
を含むシステム。
【0065】
EA2. さらに下記:
(D)(i)第1の上部流出物の少なくとも一部を受け取り;かつ(ii)下記:
濃度Cxnone(UE2)のシクロヘキサノンを含む第2の上部流出物;及び
濃度Cxnone(LE2)のシクロヘキサノン及び濃度Cxnol(LE2)のシクロヘキサノールを含む第2の下部流出物
を生成するように構成された第2の蒸留カラム
(ここで、
Cxnone(UE2)>Cxnone(UE1)>Cxnone(LE2);及び
Cxnol(LE2)>Cxnol(UE1))
を含む、EA1のシステム。
EA3. 第2の蒸留カラムが、さらに、シクロヘキサノンの標準沸点より低い標準沸点を有する成分を含む第3の上部流出物を、第2の上部流出物より高い位置で生成するように構成されている、EA2のシステム。
EA4. 水素化反応ゾーンが、さらに、第1の中間流出物とは無関係の第2のフェノール含有ストリームを受け取るように構成されている、EA1〜EA3のいずれかのシステム。
EA5. 水素化反応ゾーンが、直列に接続された複数の水素化反応器を含む、EA1〜EA4のいずれかのシステム。
【0066】
EA6. システムがさらに下記:
(E)水素化反応生成物の少なくとも一部を受け取り、受け取った水素化反応生成物を液体ストリームと蒸気ストリームに分離するように構成された分離ドラム;及び
(F)蒸気ストリームの少なくとも一部を水素化反応ゾーンに送達するように構成された第2の流体連絡
を含み、かつ
第1の流体連絡が、液体ストリーム少なくとも一部を第1の蒸留カラムに送達する、
EA1〜EA5のいずれかのシステム。
EA7. 第1の蒸留カラムが、第1の混合物及び液体ストリームを、第1の蒸留カラムの実質的に同レベルで受け取るように構成されている、EA6のシステム。
EA8. 第1の蒸留カラムが、第1の混合物及び液体ストリームを、第1の蒸留カラムの同位置で受け取るように構成されている、EA6又はEA7のシステム。
EA9. 第1の流体連絡が、
水素化反応生成物が複数ストリームに分離され;
複数ストリームの少なくとも1つが、第1の中間流出物が引き出される位置より高い位置で第1の蒸留カラムに送達され;かつ
複数ストリームの少なくとも1つが、第1の中間流出物が引き出される位置より低い位置で第1の蒸留カラムに供給される
ように構成されている、EA1〜EA8のいずれかのシステム。
【0067】
EA10. さらに下記:
(A-1)(i)酸触媒と、1-フェニル-1-シクロヘキサン-ヒドロペルオキシド及びシクロヘキシルベンゼンを含む開裂供給原料とを受け取り、かつ(ii)フェノール、シクロヘキサノン、及びシクロヘキシルベンゼンを含む開裂反応生成物を生成するように構成された開裂反応器;及び
(A-2)開裂反応生成物の少なくとも一部を第1の混合物の前駆物質又は第1の混合物として第1の蒸留カラムに送達するように構成された第3の流体連絡
を含む、EA1〜EA9のいずれかのシステム。
EA11. 酸触媒が酸であり、かつシステムがさらに下記:
(A-3)塩基性物質を開裂反応生成物に添加して第1の混合物を得るように構成された装置
を含む、EA10のシステム。
EA12. システムがさらに下記:
(A-1a)ベンゼン及び水素を受け取って、シクロヘキシルベンゼンを含むヒドロアルキル化生成物混合物を生成するように構成されたヒドロアルキル化反応器;
(A-1b)ヒドロアルキル化生成物混合物からシクロヘキシルベンゼンの少なくとも一部を受け取って、1-フェニル-1-シクロヘキサン-ヒドロペルオキシド及びシクロヘキシルベンゼンを含む酸化反応混合物を生成するように構成された酸化反応器;及び
(A-1c)酸化反応混合物の少なくとも一部を開裂供給原料として開裂反応器に送達するように構成された第4の流体連絡
を含む、EA10又はEA11のシステム。
EA13. さらに下記:
(G)(i)第1の下部流出物の少なくとも一部を受け取り;かつ(ii)下記
濃度Cchb(UE3)のシクロヘキシルベンゼンを含む第3の上部流出物;及び
シクロヘキシルベンゼンより高い沸点を有する成分を含む第4の下部流出物
を生成するように構成された第3の蒸留カラム
を含む、EA1〜EA12のいずれかのシステム。
EA14. さらに下記:
(H)第3の上部流出物の少なくとも一部を酸化反応器に送達するように構成された第5の流体連絡
を含む、EA13のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2017年1月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロヘキサノンの製造方法であって、下記工程:
(I)シクロヘキサノン、フェノール、及びシクロヘキシルベンゼンを含む第1の混合物を第1の蒸留カラムに供給する工程;
(II)前記第1の蒸留カラムから下記:
前記第1の混合物より高い濃度のシクロヘキサノン、フェノール、及びシクロヘキシルベンゼンを含む第1の上部流出物;
シクロヘキサノン、前記第1の混合物より高い濃度のフェノール、シクロヘキシルベンゼン、及びビシクロヘキサンを含む第1の中間流出物;及び
前記第1の混合物より高い濃度のシクロヘキシルベンゼンを含む第1の下部流出物
を得る工程;
(III)前記第1の中間流出物の少なくとも一部及び水素を水素化反応ゾーンに供給し、そこで、水素化触媒の存在下、水素化反応条件下で、フェノールが水素と反応して、前記第1の中間流出物より高い濃度のシクロヘキサノン、前記第1の中間流出物より低い濃度のフェノール、シクロヘキシルベンゼン、及びビシクロヘキサンを含む水素化反応生成物を得る工程;及び
(IV)前記水素化反応生成物の少なくとも一部を前記第1の蒸留カラムに供給する工程
を含む前記方法。
【請求項2】
前記第1の上部流出物がさらにシクロヘキサノールを含み、かつ前記方法が下記工程:
(V)前記第1の上部流出物の少なくとも一部を第2の蒸留カラムに供給する工程;及び
(VI)前記第2の蒸留カラムから下記:
前記第1の上部流出物より高い濃度のシクロヘキサノンを含む第2の上部流出物;
前記第2の上部流出物より高い位置で、シクロヘキサノンの標準沸点より低い標準沸点を有する成分を含む第3の上部流出物;及び
前記第1の上部流出物より低い濃度のシクロヘキサノン、及び前記第1の上部流出物より高い濃度のシクロヘキサノールを含む第2の下部流出物
を得る工程
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記水素化反応ゾーン内で、(i)前記シクロヘキシルベンゼンの少なくとも50%が液相中に存在し;及び/又は(ii)前記フェノールの少なくとも50%が液相中に存在する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記水素化反応ゾーン内で、(i)存在するシクロヘキシルベンゼンの少なくとも90%が気相中にあり;及び/又は(ii)存在するフェノールの少なくとも90%が気相中にある、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
下記条件:
(i)前記第1の中間流出物中のシクロヘキシルベンゼンの濃度の、前記水素化反応生成物中のシクロヘキシルベンゼンの濃度に対する比が0.10〜10である;
(ii)前記水素化反応生成物中のビシクロヘキサンの濃度の、前記第1の中間流出物中のビシクロヘキサンの濃度に対する比が0.10〜10である;及び
(iii)前記水素化反応生成物中のシクロヘキサノールの濃度の、前記第1の中間流出物中のシクロヘキサノールの濃度に対する比が0.10〜10である;
の少なくとも1つを満たし、
前記濃度は、それぞれ、前記水素化反応生成物の総質量又は前記第1の中間流出物の総質量に基づく質量百分率である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程(III)の後に、さらに下記工程:
(IIIA)前記水素化反応生成物を液体ストリーム及び蒸気ストリームに分離する工程;及び
(IIIB)前記蒸気ストリームの少なくとも一部を前記水素化反応ゾーンに再循環させる工程を含み、かつ
工程(IV)が、前記液体ストリームの少なくとも一部を前記第1の蒸留カラムに供給する工程を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程(I)の前記第1の混合物が、下記工程:
(I−A)1−フェニル−1−シクロヘキサン−ヒドロペルオキシド及びシクロヘキシルベンゼンを含む開裂供給原料混合物を開裂反応器内で酸触媒と接触させて開裂反応生成物を得る工程
を含む開裂法によって得られる、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
工程(I−A)において、前記酸が液体酸であり、かつ前記開裂法がさらに下記工程:
(I−B)塩基性物質を前記開裂反応生成物に添加して前記第1の混合物を得る工程
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記開裂供給原料混合物が、下記工程:
(I−A−1)ヒドロアルキル化触媒の存在下、ヒドロアルキル化条件下で、ベンゼンを水素と接触させて、シクロヘキシルベンゼンを含むヒドロアルキル化生成物混合物を生成する工程;
(I−A−2)前記触媒の存在下で前記シクロヘキシルベンゼンを酸素と接触させて、1−フェニル−1−シクロヘキサン−ヒドロペルオキシドを含む酸化反応生成物混合物を生成する工程;及び
(I−A−3)前記酸化反応生成物混合物から前記開裂供給原料混合物を与える工程
によって得られる、請求項に記載の方法。
【請求項10】
シクロヘキサノンの製造用に構成されたシステムであって、下記:
(A)(i)シクロヘキサノン、フェノール、及びシクロヘキシルベンゼンを含む第1の混合物を受け取り;かつ
(ii)下記:
前記第1の混合物より高い濃度のシクロヘキサノンを含む第1の上部流出物;
シクロヘキサノン、前記第1の混合物より高い濃度のフェノール、シクロヘキシルベンゼン、及びビシクロヘキサンを含む第1の中間流出物;及び
前記第1の混合物より高い濃度のシクロヘキシルベンゼンを含む第1の下部流出物
を生成するように構成された第1の蒸留カラム;
(B)前記第1の中間流出物の少なくとも一部及び水素を受け取り、そこで、水素化触媒の存在下、水素化条件下で、フェノールが水素と反応して、前記第1の中間流出物より高い濃度のシクロヘキサノン、前記第1の中間流出物より低い濃度のフェノール、シクロヘキシルベンゼン、及びビシクロヘキサンを含む水素化反応生成物を生成するように構成された水素化反応ゾーン;及び
(C)前記水素化反応生成物の少なくとも一部を前記第1の蒸留カラムに送達するように構成された第1の流体連絡
を含む前記システム。
【国際調査報告】