特表2017-523364(P2017-523364A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特表2017523364-アイソレーティングプーリ 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-523364(P2017-523364A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(54)【発明の名称】アイソレーティングプーリ
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/36 20060101AFI20170721BHJP
   F16F 15/12 20060101ALI20170721BHJP
   F16F 15/129 20060101ALI20170721BHJP
   F16F 15/123 20060101ALI20170721BHJP
【FI】
   F16H55/36 H
   F16F15/12 S
   F16F15/129 B
   F16F15/123 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-506921(P2017-506921)
(86)(22)【出願日】2015年8月4日
(85)【翻訳文提出日】2017年2月17日
(86)【国際出願番号】US2015043629
(87)【国際公開番号】WO2016022573
(87)【国際公開日】20160211
(31)【優先権主張番号】14/455,067
(32)【優先日】2014年8月8日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】ワード,ピーター エー.
【テーマコード(参考)】
3J031
【Fターム(参考)】
3J031AA02
3J031AA03
3J031BC07
3J031CA03
(57)【要約】
ハブと、ハブに軸支されたプーリと、ハブに軸支されたスプリングキャリアと、プーリとスプリングキャリアの間に係合する捻りバネと、スプリングキャリアとハブの間に係合する摩擦部材とを備え、摩擦部材がスプリングキャリアに係合するための第1の多重リブ面とハブに係合するための第2の多重リブ面とを備え、第1の多重リブ面と第2の多重リブ面が回転軸A−Aに垂直な径方向に広がる、アイソレーティングプーリ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブと、
前記ハブに軸支されたプーリと、
前記ハブに軸支されたスプリングキャリアと、
前記プーリと前記スプリングキャリアの間に係合する捻りバネと、
前記スプリングキャリアと前記ハブの間に係合する摩擦部材とを備え、前記摩擦部材は、前記スプリングキャリアに係合するための第1の多重リブ面と前記ハブに係合するための第2の多重リブ面とを備え、
前記第1の多重リブ面と前記第2の多重リブ面は、回転軸A−Aに垂直な径方向に広がる
アイソレーティングプーリ。
【請求項2】
前記第1の多重リブ面と前記第2の多重リブ面はそれぞれ、回転軸A−Aを中心とする1以上の同心円である請求項1に記載のアイソレーティングプーリ。
【請求項3】
前記捻りバネは前記プーリと前記ハブの間において軸方向に圧縮される請求項2に記載のアイソレーティングプーリ。
【請求項4】
前記捻りバネは巻き戻し方向に負荷をかけられる請求項3に記載のアイソレーティングプーリ。
【請求項5】
ハブと、
前記ハブに軸支されたプーリと、
前記ハブに軸支されたスプリングキャリアと、
前記プーリと前記スプリングキャリアの間に係合する捻りバネと、
前記スプリングキャリアと前記ハブの間に係合する摩擦部材とを備え、前記摩擦部材は、スプリングキャリア多重リブ面に係合するための多重リブ面を備え、
前記多重リブ面は、回転軸A−Aに垂直な径方向に広がる
アイソレーティングプーリ。
【請求項6】
前記多重リブ面は、回転軸A−Aを中心とする1以上の同心円である請求項5に記載のアイソレーティングプーリ。
【請求項7】
前記捻りバネは前記プーリと前記ハブの間において軸方向に圧縮される請求項6に記載のアイソレーティングプーリ。
【請求項8】
前記捻りバネは巻き戻し方向に負荷をかけられる請求項7に記載のアイソレーティングプーリ。
【請求項9】
ハブと、
前記ハブに軸支されたプーリと、
前記ハブに軸支されたスプリングキャリアと、
前記プーリと前記スプリングキャリアの間に係合する捻りバネと、
前記スプリングキャリアと前記ハブの間に係合する摩擦部材とを備え、前記摩擦部材は、ハブ多重リブ面に係合するための多重リブ面を備え、
前記多重リブ面は、回転軸A−Aに垂直な径方向に広がる
アイソレーティングプーリ。
【請求項10】
前記多重リブ面は、回転軸A−Aを中心とする1以上の同心円である請求項9に記載のアイソレーティングプーリ。
【請求項11】
前記捻りバネは前記プーリと前記ハブの間において軸方向に圧縮される請求項10に記載のアイソレーティングプーリ。
【請求項12】
前記捻りバネは巻き戻し方向に負荷をかけられる請求項11に記載のアイソレーティングプーリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアイソレーティングプーリに関し、特に、スプリングキャリアとハブの間に係合する摩擦部材を備えるアイソレーティングプーリに関し、摩擦部材はスプリングキャリアに係合するための第1の多重リブ面とハブに係合するための第2の多重リブ面とを備え、各リブ面は回転軸から径方向に広がる。
【背景技術】
【0002】
乗用車に利用されるディーゼルエンジンは、良好な燃費という利点により増加している。さらに、ガソリンエンジンは燃焼効率を改善するために圧縮比を増加させている。結果として、ディーゼルおよびガソリンエンジンのアクセサリドライブシステムは、前述したエンジンにおける違いにより、クランクシャフトからの大きい振動に打ち勝たなければならない。
【0003】
増加したクランクシャフトの振動と高い加減速度、およびオルタネータの大きな慣性により、エンジンアクセサリ駆動システムはしばしば、ベルトのスリップによるベルトの軋み音を経験する。これはまた、ベルトの寿命を縮める。
【0004】
クランクシャフトのアイソレータ・デカップラとオルタネータのデカップラ・アイソレータは、エンジンの運転範囲における振動を除去し、またベルトの軋み音を制御するために、高い角振動を伴うエンジンに広く使用されてきた。
【0005】
この技術の代表は米国特許出願番号第2013/0150191号であり、これは、円筒状プーリ部材と、プーリ部材に対して相対回転するようにプーリ部材の内側に設けられたハブ構造と、ハブ構造に固定されたコイルスプリングと、軸がハブ構造の回転軸Jにより構成される円錐の円錐状表面を有するテーパーリングと、テーパーリングの円錐状表面とプーリ部材の間に介在するように挿入された摩擦部材とを有し、ハブ構造の回転軸の方向に圧縮されてコイルスプリングが所定の位置に介在するように挿入され、テーパーリング、摩擦部材、およびプーリ部材がコイルスプリングの復原力Pによって相互に圧接するドライブプーリ構造を開示する。
【0006】
必要なものは、スプリングキャリアとハブの間に係合する摩擦部材を備え、摩擦部材がスプリングキャリアに係合するための第1の多重リブ面とハブに係合するための第2の多重リブ面とを備え、それぞれのリブ面が回転軸から径方向に広がる、アイソレーティングプーリである。本発明はこの必要性に合致する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の主な特徴は、スプリングキャリアとハブの間に係合する摩擦部材を備え、摩擦部材がスプリングキャリアに係合するための第1の多重リブ面とハブに係合するための第2の多重リブ面とを備え、それぞれのリブ面が回転軸から径方向に広がるアイソレーティングプーリである。
【0008】
本発明の他の特徴は、本発明の次の記述と添付した図面により説明され、明らかになる。
【0009】
本発明は、ハブと、ハブに軸支されたプーリと、ハブに軸支されたスプリングキャリアと、プーリとスプリングキャリアの間に係合する捻りバネと、スプリングキャリアとハブの間に係合する摩擦部材とを備え、摩擦部材は、スプリングキャリアに係合するための第1の多重リブ面とハブに係合するための第2の多重リブ面とを備え、第1の多重リブ面と第2の多重リブ面は、回転軸A−Aに垂直な径方向に広がるアイソレーティングプーリである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】本装置の断面図である。
図2】本装置の分解図である。
図3】摩擦部材の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本装置の断面図である。本装置はハブ9を備える。プーリ4はハブ9に軸支されて、ブッシュ2およびブッシュ7において、ハブ9の周りに回転可能である。捻りバネ3はプーリ4とスプリングキャリア5に係合する。スプリングキャリア5はハブ9に軸支されて、ブッシュ8を介してハブ9に回転自在に係合する。摩擦部材6はハブ9とスプリングキャリア5の間に摺動自在に配設される。キャップ1はプーリ4をハブ9に対して保持する。
【0012】
プーリ4はベルトに直接的に相互作用して本装置を駆動する。動力はプーリ4から、締り嵌めを介して、捻りバネ3の一端31に伝わる。バネ3は、トルクを伝達し、振動を減衰させ、本装置の遮断機能を発揮する付勢部材である。バネ3は、巻戻し方向に駆動される間、トルクを伝達するが、代替的な実施形態では巻取り方向にトルクを伝達してもよい。
【0013】
バネ3の他端32はスプリングキャリア5に接続される。スプリングキャリア5は締り嵌めにより、バネ3の端部32を受容する。スプリングキャリア5は、バネ3の受容部分とは反対側に、リブ形状57を有する。バネ3は約0.36Nm/度のばね定数を有する。
【0014】
スプリングキャリア5はリブ形状部分57を介して摩擦部材6に作用し、摩擦によりトルクを伝達する。表面51、52、53、54、55、および56は、スプリングキャリア5を摩擦部材6に摺動自在に係合させる表面である。摩擦部材6は、表面91、92、93、94、95、および96を介してトルクをハブ9に伝達する。
【0015】
摩擦部材6は表面61、62、63、64、65、66を有し、表面51、52、53、54、55、56に摺動自在に係合する。摩擦部材6は表面610、620、630、640、650、660を有し、表面91、92、93、94、95、96に摺動自在に係合する。表面91、92、93、94、95、96は径方向に延びるフランジ97に配設される。
【0016】
スプリングキャリア5と摩擦部材6とハブ9におけるリブ面は全て、ハブ9の回転軸A−Aに垂直かつ外方に、径方向に広がる。さらに、スプリングキャリア5と摩擦部材6とハブ9のリブ面はそれぞれ、回転軸A−Aに対して軸合わせされた1以上の同心円の形状を有する。
【0017】
ハブ9は、オルタネータ(図示せず)等の被駆動要素を駆動するために直接的に接続される。
【0018】
図2は本装置の分解図である。
【0019】
図3は摩擦部材の詳細図である。エンジンを始動するときに見られる最大トルクよりもオルタネータの定格最大トルクがときどき小さくなることは知られている。例えば、典型的な車両のオルタネータは、エンジンの始動において、12Nmの定格最大トルク、0.00030kgmの慣性、100,000rad/sのオルタネータの加速度を有する。しかし、エンジンの始動において、本装置は30Nmのトルクに曝され得るが、他の作動条件では、このようなトルクの急増は起きない。
【0020】
高い始動トルクを扱う捻りバネの使用を避けるために、本発明装置は摩擦クラッチを使用し、所定のレベルを越えたトルクの急増を受けることから捻りバネ3を保護する。摩擦部材6はハブのフランジ97に対する捻りバネ3の軸方向の圧縮によって押圧され偏移され、プーリ4からハブ9へトルクが伝達される原因となる垂直力Fを付与する。垂直力Fは約100Nから200Nの範囲にある。ここに記載された実施形態は、一例として約140Nの力Fを有する。
【0021】
摩擦部材6に対するリブ面の使用は表面の数、ひいては表面積を最大にし、これは多重摩擦ディスクあるいは径方向に大きい係合面の必要性をなくす。リブの角度θにより、摩擦部材6がスムーズに係合および解放してグラビングあるいはスティックスリップを回避することが確保される。
【0022】
リブ形状はまた、式1により示されるように円錐摩擦クラッチと同様なウェッジロック作用を発揮する。その利点は、円錐摩擦クラッチでは1以上の面を用いることが実現困難であり、円錐摩擦クラッチがグラビングしやすく、クラッチを解放する機構を必要とすることである。これに対して、約20°の相対的に大きいウェッジ(リブ)角度θを有し、多重リブ面を有するリブ形状は、スムーズに係合、解放する能力を有し、必要な場合に、スプリングキャリア5と摩擦部材6とハブ9の間の全体的なスリップを許容する。リブ角度θは約18°から22°の範囲であってもよい。
【0023】
【数1】
【0024】
μ:摩擦係数
F:付与された垂直力
0:外径
i:内径
θ/2:ウェッジ角度
【0025】
摩擦部材6は、プラスティック、複合材料、紙、樹脂接着材料、エラストマ材料、および焼結材料を含み、いかなる摩擦材料であってもよい。摩擦材料6とスプリングキャリア5の間の摩擦係数は約0.17よりも大きい。この実施形態は約0.50の摩擦係数を有する。摩擦部材6とハブ9の間の摩擦係数は約0.17よりも大きい。この実施形態は約0.50の摩擦係数を有する。
【0026】
一例は以下の通りである。
仮定
μstatic=0.5
バネから付与された力(F):140N
摩擦部材6の各側面に6個の円錐面を有するリブ形状
【0027】
【数2】
【0028】
式は、例えば表面61のような、ひとつの表面に対するものである。スリップはTInput>TFriction Memberのとき発生する。
【0029】
変数の例は以下の表に示される。
【0030】
【表1】
【0031】
本発明の1つの形態が説明されたが、当業者がここに記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、構成と部分の関係において変形を施すことは自明である。
図1
図2
図3
【国際調査報告】