(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-523610(P2017-523610A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(54)【発明の名称】金属配線形成方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/768 20060101AFI20170721BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20170721BHJP
【FI】
H01L21/88 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-501030(P2017-501030)
(86)(22)【出願日】2014年7月8日
(85)【翻訳文提出日】2017年3月3日
(86)【国際出願番号】CN2014081790
(87)【国際公開番号】WO2016004573
(87)【国際公開日】20160114
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジエン
(72)【発明者】
【氏名】ジャ ジョウウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジン イーヌオ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ドンフェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン グイプー
(72)【発明者】
【氏名】ダイ インウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ホイ
【テーマコード(参考)】
5F033
【Fターム(参考)】
5F033HH07
5F033HH11
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5F033RR04
5F033RR11
5F033WW02
5F033XX28
(57)【要約】
本発明は、凹部の側壁に成膜されたバリヤ層の過剰なエッチングを防ぎ得る金属配線形成方法を提供する。この方法は、ハードマスク層と誘電体層とに、凹部を形成する凹部形成ステップと、ハードマスク層及び凹部の側壁並びに底面に、バリヤ層を成膜するバリヤ層成膜ステップと、バリヤ層に金属を堆積させ、金属で前記凹部を充填する金属堆積ステップと、電解研磨により、凹部以外の箇所に堆積された金属を除去するステップであって、凹部に充填された金属は過剰に研磨されることにより皿形にくぼみ、電解研磨工程中に、バリヤ層に酸化膜が形成され、凹部の側壁に成膜されたバリヤ層の酸化膜は、ハードマスク層に成膜されたバリヤ層の酸化膜よりも厚い、金属除去ステップと、ハードマスク層に成膜されたバリヤ層の酸化膜を除去し、凹部の側壁に成膜されたバリヤ層の酸化膜を一定の厚みに維持する、酸化膜除去ステップと、バリヤ層とハードマスク層とをエッチングにより除去するステップで、エッチングでは、酸化膜に対する選択比が大きく、残された酸化膜は、凹部の側壁に成膜されたバリヤ層が過剰にエッチングされることを防ぐ、バリヤ層及びハードマスク層除去ステップと、を有することを特徴とする金属配線形成方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属配線形成方法であって、
ハードマスク層と誘電体層とに、凹部を形成する凹部形成ステップと、
前記ハードマスク層及び前記凹部の側壁並びに底面に、バリヤ層を成膜するバリヤ層成膜ステップと、
前記バリヤ層に金属を堆積させ、前記金属で前記凹部を充填する金属堆積ステップと、
電解研磨により、前記凹部以外の箇所に堆積された前記金属を除去するステップであって、前記凹部に充填された前記金属は過剰に研磨されることにより皿形にくぼみ、前記電解研磨工程中に、前記バリヤ層に酸化膜が形成され、前記凹部の側壁に成膜された前記バリヤ層の前記酸化膜は、前記ハードマスク層に成膜された前記バリヤ層の前記酸化膜よりも厚い、金属除去ステップと、
前記ハードマスク層に成膜された前記バリヤ層の前記酸化膜を除去し、前記凹部の側壁に成膜された前記バリヤ層の酸化膜を一定の厚みに維持する、酸化膜除去ステップと、
前記バリヤ層と前記ハードマスク層とをエッチングにより除去するステップで、前記エッチングでは、前記酸化膜に対する選択比が大きく、残された前記酸化膜は、前記凹部の側壁に成膜された前記バリヤ層が過剰にエッチングされることを防ぐ、バリヤ層及びハードマスク層除去ステップと、を有することを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項2】
請求項1において、前記金属は銅であることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項3】
請求項1において、前記バリヤ層はタンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウム、又は コバルトから選択されることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項4】
請求項1において、前記バリヤ層に形成された前記酸化膜の厚さは、前記凹部に充填された前記金属が過剰に研磨された量に比例することを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項5】
請求項4において、前記金属が過剰に研磨された量は、前記バリヤ層及び前記ハードマスク層を合わせた厚さ以上であることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項6】
請求項4において、過剰に研磨された前記金属の量は300〜500オングストロームであることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項7】
請求項1において、前記バリヤ層の前記酸化膜は、ウエットエッチングにより除去されることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項8】
請求項7において、前記バリヤ層の前記酸化膜は、BHF溶液により除去されることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項9】
請求項1において、前記バリヤ層の前記酸化膜は、ドライエッチングにより除去されることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項10】
請求項9において、前記バリヤ層の前記酸化膜は、HF蒸気又はHF蒸気とエチルアルコール、メチルアルコール若しくはイソプロピルアルコールの何れか1種類との混合物により除去されることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項11】
請求項1において、残された前記酸化膜は、前記バリヤ層に切れ目なく形成されることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項12】
請求項11において、残された前記酸化膜は、5オングストロームより厚いことを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項13】
請求項1において、前記バリヤ層と前記ハードマスク層とは、気相エッチングにより除去されることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項14】
請求項13において、 前記気相エッチングで使用するガスは、XeF2、XeF4、XeF6、KrF2、BrF3の中から選択されることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項15】
請求項1において、前記誘電体層の前記材料は、低誘電率誘電体であることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項16】
請求項1において、前記誘電体層は2層又はそれ以上の層数からなることを特徴とする金属配線形成方法。
【請求項17】
請求項16において、前記誘電体層は2層からなり、上層は下層よりも誘電率が高いことを特徴とする金属配線形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して半導体装置の製造分野に関する。より詳細には、本発明はトレンチの側壁に成膜されたバリヤ層の過剰なエッチングを防ぎ得る、金属配線形成法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造技術の発展に伴い、半導体装置はますます高集積化している。2層又はそれ以上の層数の金属配線構造が広く活用されている。従来の金属配線構造は、アルミニウム製である。しかし、半導体装置の小型化が進むにつれて、半導体装置の属性におけるRC遅延効果がますます顕著となっている。配線構造の製造において、RC遅延効果を減少させるためにアルミニウムの代わりに銅が用いられる。これは、銅がアルミニウムよりも抵抗が低いからである。更に、浮遊容量を減少させるために、配線構造の誘電体層として従来の誘電体材料の代わりに、低誘電率材料が用いられる。
【0003】
図1〜
図3には一般的に以下のステップを含む銅製配線の形成方法を示す。この形成方法にはウェハーのような基板101を配置するステップと、基板101上に誘電体層102を成膜するステップと、誘電体層102上にハードマスク層103を成膜するステップと、ハードマスク層103と誘電体層102とに、
図1〜
図3に示されるトレンチ106を例とした複数のトレンチを形成するステップと、ハードマスク層103上及びトレンチの側壁上並びに底面上に、バリヤ層104を成膜するステップと、バリヤ層104上及びトレンチの側壁並びに底面上でかつバリヤ層104の上方に銅シード層を成膜するステップと、銅シード層上とトレンチ内とにトレンチを充填するように銅105を堆積させるステップと、凹部(例えばトレンチ)以外の箇所に成膜した銅105を除去することで銅105を凹部に残し銅配線を形成するステップと、凹部以外の箇所からバリヤ層104を除去しかつ誘電体層102上からハードマスク層103を除去するステップと、を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
銅105と、バリヤ層104と、ハードマスク層103とを除去する従来の方法は、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing CMP)によるものである。CMPの工程において、基板101は固定板上に位置するCMPパッド上に配置される。基板101をCMPパッドに対して押しつけるように力が加えられる。銅105とバリヤ層104とハードマスク層103とを研磨し平坦化するために力を加えながら、CMPパッドと基板101とが互いに対して相対的に動かされる。研磨を容易にするために、CMPパッド上に、研磨スラリーとしてよく知られる研磨溶液が散布される。CMP法を使用してバリヤ層を完全に除去することが可能ではあるが、半導体構造に対して悪影響も与える。これは機械的な力が比較的強力に加わるからである。この機械的な力は、低誘電率誘電体に永久的な損傷を与える。更に、研磨スラリーは低誘電率誘電体の特性を損ねることがある。上述のバリヤ層の完全な除去は、
図3に示すとおり、凹部以外の箇所に成膜されたバリヤ層104が完全に除去され、トレンチの側壁に成膜されたバリヤ層104は破壊もエッチングもされないことを意味する。
【0005】
CMP法には欠点があるため、バリヤ層104及びハードマスク層103を除去するためには、ドライエッチング法が活用される。CMP法により銅105を除去した後バリヤ層104及びハードマスク層103を除去するために、XeF
2気相エッチング法が高温低圧環境下において活用される。バリヤ層104の材料はタンタル、窒化タンタル、チタン又は窒化チタンであり、ハードマスク層103の材料は窒化チタンである。XeF
2気相エッチング法は、銅105及び誘電体層102に損傷を与えない。しかし、XeF
2気相エッチング法は、バリヤ層104が過小に又は過剰にエッチングされ易いことがある。
図4は、バリヤ層104が過小にエッチングされた状態を示す。
図4から、凹部以外の箇所では、バリヤ層104は完全に除去されておらず、その一部が残っている。
図5は、バリヤ層104が過剰にエッチングされた状態を示す。
図5から、凹部以外の箇所ではバリヤ層104は完全に除去されているが、トレンチ106の側壁に成膜されたバリヤ層104の一部も除去されている。トレンチ106内のバリヤ層104の上面は、トレンチ106内の銅105の上面よりも低い位置にある。バリヤ層104の過小な又は過剰なエッチングは、いずれにしろ半導体装置の品質の低下を招く。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、凹部の側壁に成膜されたバリヤ層の過剰なエッチングを防ぐ、金属配線形成方法を提供する。
【0007】
本発明の例示的な実施の形態に係る金属配線形成方法は、ハードマスク層と誘電体層とに、凹部を形成する凹部形成ステップと、前記ハードマスク層及び前記凹部の側壁並びに底面に、バリヤ層を成膜するバリヤ層成膜ステップと、前記バリヤ層に金属を堆積させ、前記金属で前記凹部を充填する金属堆積ステップと、電解研磨により、前記凹部以外の箇所に堆積された前記金属を除去するステップであって、前記凹部に充填された前記金属は過剰に研磨されることにより皿状のくぼみを形成し、前記電解研磨工程中に、バリヤ層に酸化膜が形成され、前記凹部の側壁に成膜された前記バリヤ層の前記酸化膜は、前記ハードマスク層に成膜された前記バリヤ層の前記酸化膜よりも厚い、金属除去ステップと、前記ハードマスク層に成膜されたバリヤ層の酸化膜を除去し、前記凹部の側壁に成膜された前記バリヤ層の前記酸化膜を一定の厚みに維持する、酸化膜除去ステップと、前記バリヤ層と前記ハードマスク層とをエッチングにより除去するステップで、前記エッチングでは、前記酸化膜に対する選択比が大きく、残された前記酸化膜は、前記凹部の側壁に成膜された前記バリヤ層が過剰にエッチングされることを防ぐ、バリヤ層及びハードマスク層除去ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
上記の特徴によれば、電解研磨により金属が除去され、過剰に研磨されたとき、陽極酸化効果により、酸化膜がバリヤ層に形成されることにより、露出したバリヤ層が不動態化される。誘電体層は、バリヤ層とハードマスク層との下方に位置することで、電荷が(バリヤ層とハードマスク層とからなる)導電層に均一に分散したのち、誘電体層の表面に蓄積される。非導電性材料の表面電位均衡理論によれば、非導電性材料の表面における電荷の分布は、曲率半径に反比例する。ゆえに電荷はバリヤ層の平坦面よりもその端部により多く蓄積される。そのためバリヤ層の端部に形成された酸化膜は他の部分の酸化膜よりも厚い。凹部の側壁に成膜されたバリヤ層に形成された酸化膜が、ハードマスク層に成膜されたバリヤ層に形成された酸化膜よりも厚いのはこのためである。ハードマスク層に成膜されたバリヤ層の酸化膜が除去されると、凹部の側壁に成膜されたバリヤ層に残った酸化膜は、バリヤ層に切れ目のない膜を形成する。これにより、バリヤ層とハードマスク層とを除去する間に、凹部の側壁に成膜されたバリヤ層が過剰にエッチングされることを防ぎ、半導体装置の品質が向上する。
【0009】
本発明は、当業者が添付の図面を参照しながら、以下の、発明を実施するための形態を読むことで明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は金属配線の形成工程における断面図である。
【
図2】
図2は金属配線の形成工程における断面図である。
【
図3】
図3は金属配線の形成工程における断面図である。
【
図4】バリヤ層が過小にエッチングされた状態を示す断面図である。
【
図5】バリヤ層が過剰にエッチングされた状態を示す断面図である。
【
図6】
図6は本発明の金属配線形成方法を示す断面図である。
【
図7】
図7は本発明の金属配線形成方法を示す断面図である。
【
図8】
図8は本発明の金属配線形成方法を示す断面図である。
【
図9】
図9は本発明の金属配線形成方法を示す断面図である。
【
図10】本発明の金属配線形成方法を説明するフローチャートである。
【
図11】電解研磨工程後の酸素元素の含有量の重量パーセントを測定した結果である。
【
図12】走査型透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope STEM)により撮影された、熱電解放出(Thermal Field Emission TFE)後のサンプルの断面図であり、バリヤ層が完全に除去されている結果を示している。
【
図13】は集束イオンビーム走査電子顕微鏡(Focused Ion Beam/Scanning Electron Microscope FIB/SEM)により撮影された、熱電解放出後のサンプルの断面図であり、バリヤ層が過剰にエッチングされている様子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図6〜
図10は、本発明の例示的な実施の形態による金属配線形成方法を示す。当該方法に含まれる工程とを以下詳細に説明する。
【0012】
ステップ301では、ハードマスク層と誘電体層とに、凹部を形成する。
図6が示すように、例えばウェハーである基板201が配置される。誘電体層202は基板201上に成膜される。誘電体層202の材料には、SiO
2、SiOC、SiOF、SiLK、BD、BDII、及びBDIII等が含まれる。半導体装置の配線構造間キャパシタンスを減少させるために、誘電体層202には、好ましくは低誘電率誘電体が選択される。構造に関する異なる要求に応じて、誘電体層202は2層又はそれ以上の層数からなり得る。誘電体層202が2層からなる場合は、上層は下層よりも誘電率が高い。ハードマスク層203は誘電体層202上に成膜される。ハードマスク層203の材料には、窒化タンタル又は窒化チタンが含まれる。例えば、トレンチやビア等の凹部は、従来技術を活用して、ハードマスク層203及び誘電体層202上に形成される。図には、一例として凹部207が示されている。
【0013】
ステップ302では、ハードマスク層203及び凹部207の側壁並びに底面に、バリヤ層204を成膜する。
図6を参照して、バリヤ層204は、ハードマスク層203及び凹部の側壁並びに底面に、任意の適切な成膜方法により成膜される。成膜方法の例としては、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition CVD)、物理気相成長法(Physical Vapor Deposition PVD)、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition ALD)等が挙げられる。バリヤ層204は、導電性を有する材料から形成される。バリヤ層204の材料には、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウム、コバルト等が含まれる。
【0014】
ステップ303では、バリヤ層204に金属205を堆積させることで、金属205で凹部207を充填する。
図6が示すように、金属205は、任意の適切な堆積方法によりバリヤ層204に堆積され、凹部207が充填される。堆積方法の例としては、PVD法、CVD法、ALD法、電気メッキ法等が挙げられる。更に、金属205により被膜する工程の他の適用例としては、金属205を堆積させる以前に、バリヤ層204上に金属シード層を成膜しておくことも可能である。金属シード層の材料としては、金属205のバリヤ層204に対する堆積と結合とを容易にするために、金属205と同種の材料が含まれてよい。
図6が示すように、金属205により凹部207が充填され、凹部以外の箇所が覆われる。好ましくは、金属205は銅である。
【0015】
ステップ304では、電解研磨法により凹部以外の箇所に堆積された金属205を除去する。凹部207を充填した金属205は、過剰に研磨されることにより皿形にくぼむ。電解研磨工程中に、バリヤ層204に酸化膜206が形成される。凹部の側壁に成膜されたバリヤ層204の酸化膜206は、ハードマスク層203に成膜されたバリヤ層204の酸化膜206よりも厚い。
図7が示すように、電解研磨により金属205が除去され、過剰に研磨されたとき、陽極酸化効果により、酸化膜206がバリヤ層204に形成されることにより、露出したバリヤ層204が不動態化される。誘電体層202は、バリヤ層204とハードマスク層203との下方に位置することで、電荷が(バリヤ層204とハードマスク層203とからなる)導電層に均一に分散したのち、誘電体層202の表面に蓄積される。非導電性材料の表面電位均衡理論によれば、非導電性材料の表面における電荷の分布は、曲率半径に反比例する。ゆえに電荷はバリヤ層204の平坦面よりもその端部により多く蓄積される。そのためバリヤ層204の端部に形成された酸化膜206は他の部分の酸化膜206よりも厚い。凹部の側壁(端部に相当)に成膜されたバリヤ層204の酸化膜206が、ハードマスク層203(平坦面に相当)に成膜されたバリヤ層204の酸化膜206よりも厚いのはこのためである。
図11によると、実験により、凹部の側壁に成膜されたバリヤ層204の酸化膜206が、ハードマスク層203に成膜されたバリヤ層204の酸化膜206よりも厚いことが証明されている。電解研磨により、凹部以外の箇所の金属205が除去され、凹部に充填された金属205が過剰に研磨された後、基板201の一部をサンプルとして切り出す。次にHELIOS660型電子顕微鏡と、X−Max
NSDD型エネルギー分散型分析装置とを用いて、サンプルの表面をライン走査する。電子ビームの出力は3kvである。走査距離は約2μmであり、走査ポイント数は400である。バリヤ層204の走査距離は1μmであり、バリヤ層204の何れの側の金属構造の走査距離も1μmである。測定の結果、金属構造側のバリヤ層204は、それ以外の部分に比べて、酸素元素の含有量の重量パーセントが高いことが分かる。これは凹部の側壁に成膜されたバリヤ層204の酸化膜206が、ハードマスク層203に成膜されたバリヤ層204の酸化膜206よりも厚いことを証明している。
【0016】
バリヤ層204の端部に酸化膜206を形成するために、ステップ304では、凹部に充填された金属205が過剰に研磨され、
図7が示すように皿形にくぼむ。バリヤ層204に形成された酸化膜206の厚さは、凹部に充填された金属205が過剰に研磨された深さに比例する。金属205が過剰に研磨された量はバリヤ層204及びハードマスク層203を合わせた厚さ以上である。本実施形態では、過剰に研磨された金属205の量は300〜500オングストロームである。
【0017】
図8が示すように、ステップ305では、 ハードマスク層203に成膜されたバリヤ層204の酸化膜206を除去し、凹部の側壁に成膜されたバリヤ層204の酸化膜206を一定の厚みに維持する。バリヤ層204の酸化膜206はBHF溶液等によるウエットエッチングにより除去される。又はバリヤ層204の酸化膜206は、HF蒸気又はHF蒸気とエチルアルコール、メチルアルコール若しくはイソプロピルアルコールの何れか1種類との混合物等によるドライエッチングにより除去される。凹部207の側壁に成膜されたバリヤ層204に残された酸化膜206は、バリヤ層204から切れ目がなく形成されている。残された酸化膜206は5オングストロームより厚い。凹部207の側壁に成膜されたバリヤ層204の酸化膜206がエッチングされることにより、バリヤ層204から膜を切れ目なく形成することが出来ない場合は、金属205と誘電体層202とに挟まれたバリヤ層204は、
図13に示されるように過剰にエッチングされる。
図13はFIB/SEMにより撮影された、熱電解放出後のサンプルの断面図であり、バリヤ層が過剰にエッチングされている様子を示している。
【0018】
ステップ306では、バリヤ層204とハードマスク層203とをエッチングにより除去する。このエッチングでは、酸化膜206に対する選択比が大きい。
図9に示されるように、残った酸化膜206は、凹部の側壁に成膜されたバリヤ層204が過剰にエッチングされることを防ぐ。高い選択比は、バリヤ層204及びハードマスク層203が、酸化膜206よりもエッチング率が極めて高いことを意味する。バリヤ層204とハードマスク層203とは気相エッチングにより除去される。この時使用するガスはXeF
2、XeF
4、XeF
6、KrF
2、BrF
3の中から選択される。XeF
2を例にとると、このガスはある温度と圧力において、バリヤ層Ta/TaNと自発的に反応する。XeF
2はTa/TaNを等方性エッチングする。XeF
2は銅と誘電体との両方に対して良好な選択比を有する。エッチング工程中のXeF
2ガスの圧力は、0.1〜100Torrであるが、好ましくは0.5〜20Torrである。XeF
2の選択比は、酸化膜206に対して高いので、バリヤ層204及びハードマスク層203のエッチング工程において、酸化膜206は凹部の側壁に成膜されたバリヤ層204が過剰にエッチングされることを防ぐ。
図12はSTEMにより撮影された、熱電解放出後のサンプルの断面図であり、バリヤ層の完全除去の結果を示している。このバリヤ層の完全除去の結果によると、凹部以外の箇所に成膜されたバリヤ層204は完全に除去されているが、金属205と誘電体層202とに挟まれたバリヤ層204は、破壊もエッチングもされていない。凹部以外の箇所のバリヤ層204とハードマスク層203とが完全に除去されると、隣接した金属配線が誘電体層202により隔てられる。
【0019】
上記のように、金属205が電解研磨により除去されかつ過剰に研磨されると、バリヤ層204に酸化膜206を形成することにより、露出したバリヤ層204が不動態化され、凹部の側壁に成膜されたバリヤ層204の酸化膜206は、ハードマスク層203に成膜されたバリヤ層204の酸化膜206よりも厚くなる。ハードマスク層203に成膜されたバリヤ層204の酸化膜206が除去されると、凹部の側壁に成膜されたバリヤ層204に残った酸化膜206は、バリヤ層204に切れ目なく形成される。これにより、バリヤ層204とハードマスク層203とを除去する間に、凹部の側壁に成膜されたバリヤ層204が過剰にエッチングされることを防ぎ、半導体装置の品質が向上する。
【0020】
上記の本発明の説明は、例示と記述とをその目的とする。これは、発明を詳細まで網羅し、開示された明確な形態に限定ことを意図したものでなく、上記の教示の観点から多くの修正及び変更を加え得ることは明らかである。当業者にとって明白である、このような修正及び変更は、添付の請求項に規定された本発明の範囲に含まれることが意図される。
【国際調査報告】