特表2017-523910(P2017-523910A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-523910(P2017-523910A)
(43)【公表日】2017年8月24日
(54)【発明の名称】脱水素触媒及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/63 20060101AFI20170728BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20170728BHJP
   B01J 23/62 20060101ALI20170728BHJP
   C07C 5/333 20060101ALI20170728BHJP
   C07C 11/06 20060101ALI20170728BHJP
   C07C 11/09 20060101ALI20170728BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20170728BHJP
【FI】
   B01J23/63 Z
   B01J37/02 101D
   B01J23/62 Z
   C07C5/333
   C07C11/06
   C07C11/09
   C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-505224(P2017-505224)
(86)(22)【出願日】2015年7月23日
(85)【翻訳文提出日】2017年1月27日
(86)【国際出願番号】KR2015007671
(87)【国際公開番号】WO2016017994
(87)【国際公開日】20160204
(31)【優先権主張番号】10-2014-0095906
(32)【優先日】2014年7月28日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】511123485
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000981
【氏名又は名称】アイ・ピー・ディー国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リ ジェヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム イネ
(72)【発明者】
【氏名】カン スンヒ
(72)【発明者】
【氏名】ソ ヨンジョン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BB02A
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BC22A
4G169BC22B
4G169BC35A
4G169BC35B
4G169BC40B
4G169BC42A
4G169BC42B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CB07
4G169CB63
4G169DA05
4G169EC03Y
4G169EC07Y
4G169FA02
4G169FB14
4G169FB19
4G169FB30
4G169FB57
4G169FC08
4H006AA02
4H006AC12
4H006BA08
4H006BA11
4H006BA26
4H006BA55
4H006BB61
4H006BB62
4H006BC35
4H039CA29
4H039CC10
(57)【要約】
【課題】C4 LPGのうちイソブタン、またはC3 LPGのうちプロパンから直接脱水化反応を介して高い歩留りでイソブテン及びプロペンを製造することができる脱水素触媒及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、炭素数3または4のパラフィン系炭化水素を直接脱水素化してオレフィン系炭化水素に転換するための脱水素触媒において、前記触媒はアルミナ(Al)及び酸化亜鉛(ZnO)からなる合金(ZnO−Al)担体に活性金属及び活性補助金属が担持されることを特徴とする脱水素触媒を及びその製造方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数3または4のパラフィン系炭化水素を直接脱水素化してオレフィン系炭化水素に転換するための脱水素触媒において、
前記触媒はアルミナ(Al)及び酸化亜鉛(ZnO)からなる合金(ZnO−Al)担体に活性金属及び活性補助金属が担持されることを特徴とする脱水素触媒。
【請求項2】
前記パラフィン系炭化水素はイソブタンまたはプロパンであり、前記オレフィン系炭化水素はイソブテンまたはプロペンであることを特徴とする請求項1に記載の脱水素触媒。
【請求項3】
前記酸化亜鉛は、前記アルミナ100重量部に対して1〜25重量部含有されることを特徴とする請求項1に記載の脱水素触媒。
【請求項4】
前記活性金属は白金(Pt)であり、前記活性補助金属はランタニウム(La)及び錫(Sn)であることを特徴とする請求項1に記載の脱水素触媒。
【請求項5】
前記アルミナ100重量部に対して、前記白金は0.1〜5重量部、前記ランタニウムは0.1〜10重量部、及び前記錫は0.1〜10重量部含有されることを特徴とする請求項4に記載の脱水素触媒。
【請求項6】
前記パラフィン系炭化水素は、水蒸気を前記炭化水素に対して0.1〜5モル比(水蒸気/炭化水素)で含有することを特徴とする請求項1に記載の脱水素触媒。
【請求項7】
前記触媒は下記条件で測定されたパラフィン系炭化水素の転換率が50%以上、及びオレフィン系炭化水素の選択度が90%以上であることを特徴とする請求項6に記載の脱水素触媒。
[測定条件]
空間速度(WHSV)1hr−1及び500℃で120時間脱水反応した後、パラフィン系炭化水素の転換率及びオレフィン系炭化水素の選択度を測定する。
【請求項8】
前記脱水素触媒は下記条件で測定された炭素沈積量が3重量%未満であることを特徴とする請求項6に記載の脱水素触媒。
[測定条件]
500℃で5日間脱水素反応させた後、熱重量分析法(Thermogravimetric Analysis;TGA)を介して測定する。
【請求項9】
炭素数3または4のパラフィン系炭化水素を直接脱水素化してオレフィン系炭化水素に転換するための脱水素触媒の製造方法において、
(a)アルミナ(Al)支持体に酸化亜鉛(ZnO)を順次に含沈、乾燥及び塑性して合金(ZnO−Al)担体を製造するステップと、
(b)前記合金担体にランタニウム(La)を順次に含沈、乾燥及び塑性してランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(La/ZnO−Al)触媒を製造するステップと、
(c)前記ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ触媒に白金(Pt)を順次に含沈、乾燥及び塑性して白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造するステップと、
(d)前記白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ触媒に錫(Sn)をを順次に含沈、乾燥及び塑性して錫−白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Sn−Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造するステップと、を含むことを特徴とする脱水素触媒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脱水素触媒及びその製造方法に関するものであり、より詳しくは、イソブタン及びプロパンから高い歩留りでイソブテン及びプロペンを製造するために使用される脱水素触媒及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油化学原料の多変化に伴って、新規原料として天然ガス及びLPGからオレフィンを生産する技術として脱水素触媒及び反応に対する技術が代表的に注目を浴びている。
【0003】
一般に、脱水素化方法としては、直接脱水素化反応と酸化脱水素化反応がある。酸化脱水素化反応は酸素を反応物と共に注入して脱水素反応のうち生成されるコークスを酸化して除去するが、この際、生成される副産物である一酸化炭素と二酸化炭素のため望みのイソブテン生成物の選択度が低下する恐れがある。また、直接脱水素化反応ではイソブテンが触媒層を通過しながらイソブテンと水素を生産し、酸化脱水素化反応に比べ選択性が高い長所があるが、反応中に生成されたコークスは触媒の活性物質を覆って活性を低下する要因となる。よって、触媒におけるコークスの生成を抑え、触媒の活性を高く維持する技術が重要である。
【0004】
一般に、脱水素触媒の活性点として作用する白金は高温で非活性化が起こりやすく、炭素沈積のため活性が容易に低下するため、他の成分からなる金属を添加して活性を長期間高い選択度で維持する触媒の開発研究が行われている。
【0005】
また、脱水素化反応の熱的安定性を増加するために、リチウム、カルシウム、ナトリウムのようなアルカリ金属を添加して触媒を製造するか、亜鉛またはマグネシウム金属を利用して酸、塩基度を調節することが研究されているが、特定金属を利用して合金の形態に担体を製造し、アルカリ金属を含沈して反応歩留りを向上させたことについての言及はなかった(非特許文献1)。
【0006】
金属と支持体間の相互作用を調節するための触媒活性増進剤として、ランタニウム、セリウム、イットリウムなど希土類金属を追加して活性成分である白金金属の分散度を向上させるための研究も行われている(非特許文献2)。
【0007】
Yuming Zhouら(非特許文献3)は、不活性支持体であるアルミナにK、La、Pt、Sn前駆体混合物を含沈して触媒活性点の分散度が均一に分布していることを確認しており、ランタニウム造成の変化による化学吸着量の差を確認したが、金属担体の特徴については研究していない。
【0008】
脱水素化反応において、窒素、二酸化炭素、スチームなど希釈ガスを反応物と共に流入することは、吸熱反応である脱水素反応の温度を維持するための熱を提供し、炭化水素と水素の部分圧が減少して平行転換率を達成するように希釈剤の役割をし、炭素沈積を抑制するということが証明されてきている(非特許文献4)。
【0009】
触媒気孔の容積及び大きさは反応物と生成物の伝達係数を決定する重要な因子であって、気孔の大きさが大きい構造体が触媒の活性を高く維持するのに有利であり、気孔の大きさが大きい担体を私用することがコークスの蓄積を抑制して触媒の活性を維持するのに有利である(特許文献1)。
【0010】
一方、特許文献2ではイソブタンを酸化的に脱水素して高い選択度でイソブテンを製造する方法を提示しながらランタニウム金属触媒を言及しているが、これは酸化的脱水素反応に関するものであって、担体の使用については言及していない。
【0011】
また、特許文献3ではパラフィン系低級炭化水素の酸化的脱水素反応方法としてLa−Mn/不活性支持体を利用した技術を提示しているが、同じく酸化的脱水素反応に関するものであって、反応時間が短く選択度が低い問題がある。
【0012】
更に、特許文献4ではプロパンからプロペンを製造する方法を開示しているが、同じく酸化的脱水素反応に関するものであって、歩留まりについては言及していない。
【0013】
このように、脱水素化触媒に関する先行論文及び特許では触媒の活性成分及び担体の種類に関するものが主であって、触媒の脱水素反応の性能を上げるか長期間維持しながら望みの生成物を選択的に製造するためには、触媒を製造する際に担体の種類と成分、添加物の造成を適切に選定し、反応条件を最適化することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2010/076928号
【特許文献2】韓国公開特許第1993−0017850号公報
【特許文献3】韓国公開特許第2011−0099112号公報
【特許文献4】韓国公開特許第2008−0114817号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Catalysis Today、Volume 143、Issues 3−4、2009、334−340
【非特許文献2】Catalysis Today、Volume 164、Issues 1、2001、214−220
【非特許文献3】Ind.Eng.Chem.Res. Volume 50、Issues 8、2011、4280−4285
【非特許文献4】Journal of Molecular Catalysis(CHINA)1999−03
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明はイソブタン及びプロパン、詳しくはC4 LPGのうちイソブタン及びC3 LPGのうちプロパンから直接脱水素化反応を介して高い歩留りでイソブテン及びプロペンを製造することができる脱水素触媒及びその製造方法を提供するものである。
【0017】
また、高温(500℃水準)反応時にもコークスの蓄積量が少なく、長時間高い歩留りでイソブタン及びプロパンからイソブテン及びプロペンを得ることができる脱水素触媒及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するために、本発明は、炭素数3または4のパラフィン系炭化水素を直接脱水素化してオレフィン系炭化水素に転換するための脱水素触媒において、前記触媒はアルミナ(Al)及び酸化亜鉛(ZnO)からなる合金(ZnO−Al)担体に活性金属及び活性補助金属が担持されることを特徴とする脱水素触媒を提供する。
【0019】
また、前記パラフィン系炭化水素はイソブタンまたはプロパンであり、前記オレフィン系炭化水素はイソブテンまたはプロペンであることを特徴とする脱水素触媒を提供する。
【0020】
また、前記酸化亜鉛は、前記アルミナ100重量部に対して1〜25重量部含有されることを特徴とする脱水素触媒を提供する。
【0021】
また、前記活性金属は白金(Pt)であり、前記活性補助金属はランタニウム(La)及び錫(Sn)であることを特徴とする脱水素触媒を提供する。
【0022】
また、前記アルミナ100重量部に対して、前記白金は0.1〜5重量部、前記ランタニウムは0.1〜10重量部、及び前記錫は0.1〜10重量部含有されることを特徴とする脱水素触媒を提供する。
【0023】
また、前記パラフィン系炭化水素は、水蒸気を前記炭化水素に対して0.1〜5モル比(水蒸気/炭化水素)で含有することを特徴とする脱水素触媒を提供する。
【0024】
また、前記触媒は下記条件で測定されたパラフィン系炭化水素の転換率が50%以上、及びオレフィン系炭化水素の選択度が90%以上であることを特徴とする脱水素触媒を提供する。
[測定条件]
空間速度(WHSV)1hr−1及び500℃で120時間脱水反応した後、パラフィン系炭化水素の転換率及びオレフィン系炭化水素の選択度を測定する。
【0025】
また、前記脱水素触媒は下記条件で測定された炭素沈積量が3重量%未満であることを特徴とする脱水素触媒を提供する。
[測定条件]
500℃で5日間脱水素反応させた後、熱重量分析法(Thermogravimetric Analysis;TGA)を介して測定する。
【0026】
前記他の課題を解決するために、本発明は、炭素数3または4のパラフィン系炭化水素を直接脱水素化してオレフィン系炭化水素に転換するための脱水素触媒の製造方法において、(a)アルミナ(Al)支持体に酸化亜鉛(ZnO)を順次に含沈、乾燥及び塑性して合金(ZnO−Al)担体を製造するステップと、(b)前記合金担体にランタニウム(La)を順次に含沈、乾燥及び塑性してランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(La/ZnO−Al)触媒を製造するステップと、(c)前記ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ触媒に白金(Pt)を順次に含沈、乾燥及び塑性して白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造するステップと、(d)前記白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ触媒に錫(Sn)を順次に含沈、乾燥及び塑性して錫−白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Sn−Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造するステップと、を含むことを特徴とする脱水素触媒の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、イソブタンまたはプロパンを直接脱水素してイソブテンまたはプロペンに転換するための脱水素触媒において、担体として合金(ZnO−Al)で造成された単体を使用し、ここに活性金属及び活性補助金属を担持して高い転換率及び選択度でイソブテンまたはプロペンを得ることができ、長時間の反応にも初期活性を維持するため連続的にイソブテンまたはプロペンを生成することができる脱水素触媒を提供する。
【0028】
また、合金(ZnO−Al)担体を製造した後、活性金属及び活性補助金属を特定順番に含沈することで歩留りを極大化することができる脱水素触媒の製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、好ましい実施例を介して本発明を詳細に説明する。その前に、本明細書及び特許請求の範囲に使用された用語や単語は通常的または辞書的な意味に限って解析してはならず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に立脚して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解析すべきである。よって、本明細書に記載された実施例の構成は本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないため、本出願時点においてこれらを代替する多様な均等物と変形例が存在する可能性があることを理解すべきである。
【0030】
本発明者らは、炭素数3または4のパラフィン系炭化水素を直接脱水素化してオレフィン系炭化水素に転換するための脱水素触媒において、脱水素反応触媒の活性を上げるために、酸化亜鉛を使用してアルミナの酸度を低下させて表面の塩基を調節した合金(ZnO−Al)担体を製造し、この合金担体に特定活性金属及び補助活性金属を最適含量を導入するが、金属成分の導入順番に応じて脱水素触媒の性能が最適化されることを発見し、本発明に至った。
【0031】
よって、本発明は、炭素数3または4のパラフィン系炭化水素を直接脱水素化してオレフィン系炭化水素に転換するための脱水素触媒において、前記触媒はアルミナ(Al)及び酸化亜鉛(ZnO)からなる合金(ZnO−Al)担体に活性金属及び活性補助金属が担持されることを特徴とする脱水素触媒を開示しながら、前記脱水素触媒の最適の製造方法として、(a)アルミナ(Al)支持体に酸化亜鉛(ZnO)を順次に含沈、乾燥及び塑性して合金(ZnO−Al)担体を製造するステップと、(b)前記合金担体にランタニウム(La)を順次に含沈、乾燥及び塑性してランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(La/ZnO−Al)触媒を製造するステップと、(c)前記ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ触媒に白金(Pt)を順次に含沈、乾燥及び塑性して白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造するステップと、(d)前記白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ触媒に錫(Sn)を順次に含沈、乾燥及び塑性して錫−白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Sn−Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造するステップと、を含むことを特徴とする脱水素触媒の製造方法を開示する。
【0032】
本発明において、直接脱水素化反応の原料となる炭素数3または4のパラフィン系炭化水素として適切に使用されるものはイソブタンまたはプロパンであって、C4 LPGのうちイソブタン、またはC3 LPGのうちプロパンが最も適切に使用される。イソブタンまたはプロパンを原料にして直接脱水素化反応を介してイソブテンまたはプロペンを製造する。
【0033】
本発明において、脱水素触媒は担体としてアルミナを採用するが、脱水素化反応に必要な触媒の活性を上げるために、酸化亜鉛を使用してアルミナの酸度を低下させて表面の塩基度が調節された酸化亜鉛−アルミナ合金担体を利用して、この担体に活性金属と活性補助金属が担持された触媒を選択することで、炭素数3または4のパラフィン系炭化水素を脱水素化反応させた際に高いパラフィン系炭化水素の転換率とオレフィン系炭化水素の選択度を長時間維持し、イソブテン及びプロペンを製造するのに使用することができることを確認した。イソブテン及びプロペンを生産する商業石油化学工程において、触媒の再生時間なしに長時間高い歩留りでイソブテン及びプロペンを生産することは殆どなく、主にコーキングを除去するための再生工程を一般に使用しているが、本発明による脱水素触媒は高温脱水素反応で使用される脱水素触媒の活性低下の第一原因であるコーキングによる非活性化を抑制するのに大きな効果を出し、長時間高い歩留りを維持するため、安定的に目的生成物が得られるようになる。
【0034】
アルミナはα(アルファ)、γ(ガンマ)、η(エータ)、δ(デルタ)、θ(シータ)型の結晶構造を有するが、このような結晶構造は格子酸素の充填方法によって異なり、アルミナの細孔の大きさと表面積は合成条件に応じて異なる。本発明において、アルミナは500〜600℃の温度で塑性されたγ−アルミナであって、少しねじれた四角形のスピネル構造からなることが好ましく、非表面積(Brunauer、Emmett and Teller(BET))は195〜215m−1で熱的安定性が高いものを採用することが好ましい。
【0035】
パラフィン系炭化水素の転換率とオレフィン系炭化水素の選択度を向上させ、これを長時間維持するためにはアルミナと合金される酸化亜鉛の含量がアルミナ100重量部に対して1〜25重量部であることが好ましく、5〜15重量部であることがより好ましく、8〜12重量部であることが更に好ましく、9〜11重量部であることが最も好ましい。前記酸化亜鉛の含量範囲でアルミナの酸度低下を介した表面の塩基度の調節が最も容易である。
【0036】
アルミナ及び酸化亜鉛の合金担体の製造にはイオン交換法及び含沈法使用されるが、アルミナの酸度低下を介して表面の塩基度の調節が容易な初期湿式含沈法を利用することが好ましい。例えば、酸化亜鉛の前駆体としてZn(NO)2.6HO(Zinc nitrate hexahydrate)をアルミナ支持体に含沈し、乾燥機で60〜120℃の条件で12〜36時間乾燥した後、酸素存在下で500〜600℃の条件で塑性、及び水素存在下で2〜4時間還元して製造される。
【0037】
本発明では前記合金担体に活性金属として白金が、活性補助金属としてランタニウム及び錫が担持される。
【0038】
ランタニウムの担持は吸熱反応で行われる脱水素反応における熱的安定性の向上及びコーキングによる触媒の非活性化を抑制するためのものであって、最適含量で導入すれば脱水素触媒の性能を最適化することができる。触媒性能を最適化するためのランタニウムの含量は、アルミナ100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、0.5〜5重量部であることがより好ましく、1〜3重量部であることが最も好ましい。
【0039】
ランタニウムの導入は、例えば、ランタニウムの前駆体としてLa(NO).6HO(lanthanum nitrate hexahydrate)を前記合金担体に含沈し、乾燥機で60〜120℃の条件で12〜36時間乾燥した後、酸素存在下で500〜600℃の条件で塑性、及び水素存在下で2〜4時間還元する方法で行われる。
【0040】
本発明において、白金は脱水素触媒の活性点として作用するようにするために担持され、錫は金属である白金が高温で容易に非活性化して炭素沈積によって容易に活性が低下することを防止するための補助触媒として触媒活性増進剤の役割をし、触媒の非活性化速度を下げ触媒の安定性を増加して脱水素化副反応である水素化分解、オリゴマー化及び触媒表面のコークスの生成を抑制するために担持される。
【0041】
本発明によると、アルミナ及び酸化亜鉛が合金された担体を基に前記のように最適含量で導入されたランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(La/ZnO−Al)触媒に白金及び錫が最適含量で導入されれば、高温反応領域でもコーキングの生成が抑制されて高い歩留りで目的物を生成することができ、長時間非活性化を抑制することができるようになるが、このために白金の場合にはアルミナ100重量部に対して0.1〜5重量部の含量で導入されることが好ましく、0.1〜2重量部の含量で導入されることがより好ましく、0.5〜1.5重量部の含量で導入されることが最も好ましい。また、錫の場合、アルミナ100重量部に対して0.1〜10重量部の含量で導入されることが好ましく、1〜5重量部の含量で導入されることがより好ましく、2〜4重量部の含量で導入されることが最も好ましい。
【0042】
白金の導入は、例えば、白金の前駆体としてHPtC16.6HO(chloroplatinic acid hexahydrate)を前記ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ触媒に含沈し、乾燥機で60〜120℃の条件で12〜36時間乾燥した後、酸素存在下で500〜600℃の条件で塑性、及び水素存在下で2〜4時間還元して白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造することで行われ、錫の導入は、例えば、錫の前駆体としてチン−アセチルアセトネート(tin−acetylacetonate)を前記白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ触媒に含沈し、乾燥機で60〜120℃の条件で12〜36時間乾燥した後、酸素存在下で500〜600℃の条件で塑性、及び水素存在下で2〜4時間還元して錫−白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Sn−Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造することで行われる。
【0043】
ここで、前記活性金属及び活性補助金属の導入は、上述したようにランタニウム、白金及び錫の順に行われることが好ましい。つまり、ランタニウム、白金及び錫の順ではなく他の順に導入する場合、前記合金担体を使用しない場合に比べ歩留りの向上程度が著しくないと確認されている。
【0044】
一方、本発明による脱水素触媒を利用した直接脱水素化反応では、反応物として使用されるパラフィン形炭化水素が一定含量の水分(水蒸気)を含有することが歩留りの面で特に好ましい。水蒸気を反応物と共に流入させることで反応温度を維持するための熱を提供することができるようになり、炭化水素と水素の部分圧が減少して平行転換率を達成するように希釈材の役割をするようにし、反応中に生成される炭素の沈積をより効果的に除去することができる。
【0045】
よって、本発明の好ましい具現例によると、脱水素化反応に使用されるパラフィン系炭化水素は水蒸気を炭化水素に対して0.1〜5モル比(水蒸気/炭化水素)で含有し、より好ましくは1〜3モル比で含有し、最も好ましくは1.5〜2.5モル比で含有する。前記水蒸気/炭化水素のモル比が0.1モル比未満であれば水蒸気を含有していない炭化水素を使用する場合に比べ歩留りの向上が示されない可能性があり、5モル比を超過すれば追加的な歩留りの向上を期待することが難しい。
【0046】
このように、ランタニウム、白金及び錫をこの順に最適含量で合金担体に担持して製造される脱水素触媒は470〜520℃程度の高温反応領域でも副反応であるコーキングの生成が大きく抑制され、高い歩留りでイソブテン及びプロペンを製造することができ、長期間にわたって非活性化することなく高い歩留りでイソブテン及びプロペンを得るようにあり、特に適正含量の水蒸気を含有する炭化水素反応物を使用すると歩留りを極大化することができるようになる。例えば、本発明による脱水素触媒は空間速度1hr−1及び500℃で120時間脱水素反応を行ってから測定したパラフィン系炭化水素の転換率が50%以上、及びオレフィン系炭化水素の選択度が90%であり、500℃で5日間脱水素反応を行ってから熱重量分析法を介して測定した炭素沈積量が3重量%未満である。
【0047】
本発明による脱水素触媒は、炭素数3または4のパラフィン系炭化水素を直接脱水素化してオレフィン系炭化水素に転換するための反応に使用されるが、例えば、触媒を充填した固定層反応器を利用して脱水素化反応温度450〜550℃、好ましくは470〜520℃の範囲でパラフィン系炭化水素原料を空間速度0.5〜5h−1の条件で反応させてオレフィン系炭化水素を製造する。前記反応温度が450℃未満であればパラフィン系炭化水素の転換率が下がる恐れがあり、550℃を超過すればパラフィン系炭化水素の転換率は上がるが副反応物の生成によってオレフィン系炭化水素の選択度が著しく下がる恐れがある。前記空間速度は反応に加えられた触媒の質量対比原料内のパラフィン系炭化水素の純質量の流入速度を示すものであって、触媒の初期質量とパラフィン系炭化水素の供給流量を調節することで測定する。前記空間速度が0.5h−1未満であれば転換率は増加するがオレフィン系炭化水素の大量生産が難しくなる恐れがあり、5h−1を超過すれば転換率が減少し触媒の非活性化及び触媒の寿命低下を誘発する恐れがある。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
【0049】
(実施例1)
触媒担体支持体として球状のアルミナ(Al、Sigma Aldrich)を塑性炉で550℃の条件で6時間塑性し、表面積212.9m−1のγ−アルミナを製造した。製造されたγ−アルミナの非表面積と気孔の容積は下記表1に示した。
【0050】
次に、塑性が完了されたγ−アルミナを支持体として使用し、Zinc nitrate hexahydrate 8.09gを蒸留水5.85gに溶かした水溶液をγ−アルミナ15gに含沈して、80℃のオーブンで24時間乾燥した。乾燥が完了された触媒をAir Furnaceで550℃の条件で6時間塑性し、アルミナ100重量部に対して酸化亜鉛が10重量部含有された酸化亜鉛−アルミナ(ZnO−Al)合金担体を製造した。
【0051】
次に、製造された合金担体15gにLanthanum nitrate hexahydrate 0.94gを蒸留水11.49gに溶かした水溶液を含沈して、80℃のオーブンで24時間乾燥した。乾燥が完了された触媒をAir Furnaceで550℃の条件で6時間塑性し、アルミナ100重量部に対してランタニウムが2重量部含有されたランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(La/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0052】
次に、製造されたランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ触媒15gにHPtC16.6HO 0.33gを蒸留水12.37gに溶かした水溶液を含沈して、80℃のオーブンで24時間乾燥した。乾燥が完了された触媒をAir Furnaceで550℃の条件で6時間塑性し、アルミナ100重量部に対して白金が1重量部含有された白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0053】
次に、製造された白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ触媒tin acetyl acetonate 1.30gをAcetone 11.27gに溶かした水溶液を含沈して、80℃のオーブンで24時間乾燥した。乾燥が完了された触媒をAir Furnaceで550℃の条件で6時間塑性し、アルミナ100重量部に対して錫が3重量部含有された錫−白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Sn−Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0054】
【表1】
【0055】
(実施例2)
実施例1でランタニウムを担持していないことを除いては、実施例1と同じ方法を行って錫−白金/酸化亜鉛−アルミナ(Sn−Pt/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0056】
(実施例3)
実施例1でZinc nitrate hexahydrateを5.47g使用し、酸化亜鉛をアルミナ100重量部に対して7重量部含有されるようにしたことを除いては、実施例1と同じ方法を行って錫−白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Sn−Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0057】
(実施例4)
実施例1でZinc nitrate hexahydrateを12.89g使用し、酸化亜鉛をアルミナ100重量部に対して15重量部含有されるようにしたことを除いては、実施例1と同じ方法を行って錫−白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Sn−Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0058】
(比較例1)
実施例1で酸化亜鉛を合金していないことを除いては、実施例1と同じ方法を行って錫−白金/アルミナ(Sn−Pt/Al)触媒を製造した。
【0059】
(実施例5)
実施例1でLanthanum nitrate hexahydrateを0.11g使用し、ランタニウムをアルミナ100重量部に対して0.25重量部含有されるようにしたことを除いては、実施例1と同じ方法を行って錫−白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Sn−Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0060】
(実施例6)
実施例1でLanthanum nitrate hexahydrateを0.23g使用し、ランタニウムをアルミナ100重量部に対して0.5重量部含有されるようにしたことを除いては、実施例1と同じ方法を行って錫−白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Sn−Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0061】
(実施例7)
実施例1でLanthanum nitrate hexahydrateを0.47g使用し、ランタニウムをアルミナ100重量部に対して1重量部含有されるようにしたことを除いては、実施例1と同じ方法を行って錫−白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Sn−Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0062】
(実施例8)
実施例1でLanthanum nitrate hexahydrateを1.44g使用し、ランタニウムをアルミナ100重量部に対して3重量部含有されるようにしたことを除いては、実施例1と同じ方法を行って錫−白金−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Sn−Pt−La/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0063】
(実施例9)
実施例1でLanthanum nitrate hexahydrateの代わりにYttrium nitrate hexahydrateを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法を行って錫−白金−イットリウム/酸化亜鉛−アルミナ(Sn−Pt−Y/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0064】
(実施例10)
実施例1で合金担体に金属成分の担持順番をランタニウム、錫、白金の順に変更したことを除いては、実施例1と同じ方法を行って白金−錫−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Pt−Sn−La/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0065】
(実施例11)
実施例1で合金担体に金属成分の担持順番を白金、ランタニウム、錫の順に変更したことを除いては、実施例1と同じ方法を行って錫−ランタニウム−白金/酸化亜鉛−アルミナ(Sn−La−Pt/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0066】
(実施例12)
実施例1で合金担体に金属成分の担持順番を白金、錫、ランタニウムの順に変更したことを除いては、実施例1と同じ方法を行ってランタニウム−白金−錫/酸化亜鉛−アルミナ(La−Pt−Sn/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0067】
(実施例13)
実施例1で合金担体に金属成分の担持順番を錫、ランタニウム、白金の順に変更したことを除いては、実施例1と同じ方法を行って白金−錫−ランタニウム/酸化亜鉛−アルミナ(Pt−Sn−La/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0068】
(実施例14)
実施例1で合金担体に金属成分の担持順番を錫、白金、ランタニウムの順に変更したことを除いては、実施例1と同じ方法を行ってランタニウム−錫−白金/酸化亜鉛−アルミナ(La−Sn−Pt/ZnO−Al)触媒を製造した。
【0069】
前記実施例及び比較例による脱水素触媒の造成(単位:重量部)を下記表2に示した。
【0070】
【表2】
【0071】
(実験例1)
前記実施例及び比較例によって製造された脱水素触媒の性能を分析するために、下記のような製造反応を行った。
【0072】
[製造反応例]
製造された触媒をSUS反応器に5g充填し、窒素、イソブタン、水蒸気を供給して脱水素化反応を介してイソブテンを製造した。イソブタン:窒素のモル比を4:6に固定し、水蒸気:イソブタンのモル比を2:1に固定して反応した。反応温度は500℃、WHSVは1Hr−1、圧力は常圧の条件で脱水素化した。水蒸気は130℃の予熱器を通過し気相で反応器に流入しており、全ての反応物質は気相反応で行われた。脱水素化反応を続けながら、Cas Chromatographyを利用してAutoで生産物を分析し、その結果を下記表3乃至表5に示した。ここで、イソブタンの転換率及びイソブテンの選択度は、下記数式1及び2によって計算した。
【0073】
【数1】
【数2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
まず、表3を参照すると、本発明によって酸化亜鉛−アルミナ合金担体を利用して製造された触媒(実施例1乃至4)は500℃の条件で高い初期活性を示したが、合金担体を利用していない触媒(比較例1)の場合には転換率及び選択度が著しく減少していると観察された。また、ランタニウム金属を更に担持して製造された触媒を使用したとき、転換率と選択度が大きく向上されたことを確認した(実施例1及び2の比較)。また、合金担体の酸化亜鉛の含量がアルミナ100重量部に対して10重量部程度であるときに触媒の性能が最も優秀であることが分かった(実施例1、3、4の比較)。
【0078】
次に表4を参照すると、ランタニウム金属を担持すると初期転換率と選択度が向上されるが、24時間程度の長時間実験を行った結果、ランタニウム金属の含量別に活性低下に差があると示された。つまり、ランタニウムの含量がアルミナ100重量部に対して2重量部(実施例1)水準であれば、転換率を50%以上及び選択度90%を以上維持し、活性が長時間高く維持されることが分かる。ランタニウムの代わりにイットリウムを担持した触媒の場合(実施例9)にも、転換率を40%以上及び選択度を90%以上維持すると示された。
【0079】
次に、表5を参照すると、担持される金属成分の担持順番に応じて初期転嫁率及び選択度に差があることが分かる。つまり、本発明によってその順番を替えた場合(実施例10乃至14)には、初期転換率及び選択度が有意味に減少したことを確認した。
【0080】
(実験例2)
本発明による脱水素触媒において、ランタニウムの追加担持によって触媒を長時間比活性化せずに高い歩留りで製造するのか否かを確認するために、実施例1及び実施例9によって製造された脱水素触媒に対して前記のような製造反応を行い、脱水素反応の後120時間まで時間帯別の転換率及び選択度を測定する触媒の長寿命テストを行って、その結果を下記表6に示した。また、前記触媒の炭素沈積量を、熱重量分析法を介して測定した結果を下記表7に示した。
【0081】
【表6】
【0082】
【表7】
【0083】
表6を参照すると、本発明によって合金担体にランタニウムを追加に導入して製造した触媒を利用して触媒脱水素長寿命テストを行った結果、500℃で同等の歩留りで長時間活性を維持することを確認した。詳しくは、120時間脱水素長寿命テストを行った結果、触媒の性能に大きい差が示されており、ランタニウムの代わりにイットリウムが追加に導入された触媒の場合(実施例9)、脱水素反応の96時間後から転換率が著しく減少し始めたが、ランタニウムが追加に導入された触媒(実施例1)はイソブタンをWHSV=1Hr−1の空間速度の条件で脱水素反応を行ったとき、転換率50%以上及び選択度90%以上の歩留りを持続することが確認された。
【0084】
また、図7を参照すると、ランタニウムが追加に導入された触媒(実施例1)の場合には炭素沈積量が非常に少なかったが、同じ含量でイットリウムが追加に導入された触媒(実施例9)の場合にはランタニウムが追加に導入された触媒に比べ2倍以上炭素沈積が発生したことが分かり、これは高い歩留りでイソブテンが製造されれば副反応であるコーキングの生成が大きく抑制されることを示している。
【0085】
(実験例3)
本発明による脱水素触媒に対して、イソブタンの代わりにプロパンを反応物として使用すれば脱水素性能が維持されるのか否かを確認するために、実施例1によって製造された脱水素触媒に対してイソブタンの代わりにプロパンを使用したことを除いては前記製造反応と同じ条件で脱水素化反応を行い、脱水素反応の後24時間まで時間帯別の転換率及び選択度を測定する触媒を長寿命テストを行って、その結果を下記表8に示した。
【0086】
【表8】
【0087】
表8を参照すると、本発明によって製造された触媒を使用してプロパンを反応物にして脱水素化反応を行い、寿命テストを24時間行った結果、転換率45%以上及び選択度90%以上の歩留りを持続することを確認した。
【0088】
(実験例4)
本発明による脱水素触媒に対して、炭化水素反応物の水蒸気の含量による脱水素の性能変化を確認するために実施例1によって製造された脱水素触媒に対して、水蒸気/イソブタンのモル比を0、0.2、1、3、5にそれぞれ追加に調節したことを除いては前記製造反応と同じ条件で脱水素化反応を行い、脱水素反応1時間後に時間帯別の転換率及び選択度を測定して、その結果を下記表9に示した。比較のために、水蒸気/イソブタンのモル比が2である場合(実験例1及び2を参照)の結果を一緒に示した。
【0089】
【表9】
【0090】
表9を参照すると、炭化水素の含量対比5モル比以下の水蒸気を含有する条件で実験を行った結果、水蒸気/炭化水素のモル比が増加するにつれ転換率と選択度が向上され、平行に到達する2モル比の水準で最も適切であることが分かる。
これまで説明した本発明の好ましい実施例は技術的課題を解決するために開示されたものであって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば本発明の思想及び範囲内で多様な修正、変更、付加などが可能であり、このような修正変更などは、以下の特許請求の範囲に属するとみなすべきである。
【国際調査報告】