特表2017-523969(P2017-523969A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-523969(P2017-523969A)
(43)【公表日】2017年8月24日
(54)【発明の名称】二重発光特性を示す分子
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/04 20060101AFI20170728BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20170728BHJP
   C07D 417/04 20060101ALI20170728BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20170728BHJP
【FI】
   C07D413/04CSP
   C07D413/14
   C07D417/04
   C09K11/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】64
(21)【出願番号】特願2017-503549(P2017-503549)
(86)(22)【出願日】2015年7月21日
(85)【翻訳文提出日】2017年1月20日
(86)【国際出願番号】EP2015066664
(87)【国際公開番号】WO2016012457
(87)【国際公開日】20160128
(31)【優先権主張番号】14306182.8
(32)【優先日】2014年7月21日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】509257684
【氏名又は名称】ユニベルシテ ドゥ ストラスブール
(71)【出願人】
【識別番号】505028222
【氏名又は名称】ユニベルシテ ドゥ ナント
(71)【出願人】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス)
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】カリマ ベネルハドジ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ジル ユルリッシュ
(72)【発明者】
【氏名】レイモン ジエセル
(72)【発明者】
【氏名】ドニ ジャックミン
(72)【発明者】
【氏名】アデール ローラン
【テーマコード(参考)】
4C063
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA05
4C063BB01
4C063CC76
4C063DD52
4C063DD62
4C063EE10
(57)【要約】
本発明は、式(I)の化合物に関し、

式中、
−Aが、電子求引基を表し、
−Dが、電子供与基を表し、
−Xが、O、S、及びNRからなる群から選択され、式中、Rが、H、好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基、好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基、及びヘテロアリール基からなる群から選択され、
−nが、1〜4の整数であり、
−mが、1〜6の、好ましくは1〜4の整数であり、

が、6〜22個の炭素原子と、N、S、及びOからなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子(複数可)とを含む、縮合二環式芳香族ラジカルを表し、
該OH基が、以下のラジカル

に対して縮合二環式芳香族ラジカルのオルト位にある。
本発明は、その使用、及びこれらを含む発光デバイスにも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、
−Aが、電子求引基を表し、
−Dが、電子供与基を表し、
−Xが、O、S、及びNRからなる群から選択され、式中、Rが、H、好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基、好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基、及びヘテロアリール基からなる群から選択され、
−nが、1〜4の整数であり、
−mが、1〜6の、好ましくは1〜4の整数であり、
【化2】

が、6〜22個の炭素原子と、N、S、及びOからなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子(複数可)とを含む、縮合二環式芳香族ラジカルを表し、
前記OH基が以下のラジカル
【化3】
に対して前記縮合二環式芳香族ラジカルのオルト位にある、化合物。
【請求項2】
以下の式(II)を有し、
【化4】
式中、
−R、R、R、及びRが、互いに独立して、Hまたは電子求引基Aを表し、
−R、R、R、及びRが、互いに独立して、Hまたは電子供与基Dを表すか、
あるいはR及びRが、これらを担持する炭素原子と共に、4〜6個の原子、好ましくは5個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、前記環が、N、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、前記環が、任意に、少なくとも1つの電子供与基Dによって置換されるか、
あるいはR及びRが、これらを担持する炭素原子と共に、4〜6個の原子、好ましくは5個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、前記環が、N、O及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、前記環が、任意に、少なくとも1つの電子供与基Dによって置換されるか、
あるいはR及びRが、これらを担持する炭素原子と共に、4〜6個の原子、好ましくは5個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、前記環が、N、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、前記環が、任意に、少なくとも1つの電子供与基Dによって置換され、
−X、A、及びDが、請求項1で定義された通りであり、
及びR、またはR及びR、またはR及びRのうちの少なくとも1つが、前記少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、
、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、電子求引基Aであり、
式(II)の前記化合物が、少なくとも1つの電子供与基Dを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記電子供与基Dが、
−O
−ORであって、式中、Rが、Hであるか、または好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基である、OR
−NRであって、式中、R及びRが、互いに独立して、
・H、
・好ましくは1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、及び
・好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基、好ましくはフェニル基からなる群から選択される、NR
−NHC(O)Rであって、式中、Rが、
・好ましくは1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、及び
・好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基、好ましくはフェニル基からなる群から選択される、NHC(O)R
−好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基、好ましくはフェニル基、ならびに
−好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基からなる群から選択され、
前記アルキル基及びアリール基が、任意に、好ましくは、O、OR、NR、及び−NHC(O)Rから選択される少なくとも1つの電子供与基で置換され、R、R、R、及びRが、上記で定義された通りである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記基Aが、
−Br、Cl、F、またはIなどのハロゲン、
−C(O)Rであって、Rが、
・Cl、
・H、
・ORであって、Rが、Hであるか、または好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基である、OR、及び
・好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基からなる群から選択される、C(O)R
−NO
−SONRであって、R及びRが、互いに独立して、好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基、または好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基を表す、SONR
−CN、
−CF
−Fなどのハロゲン、NO、CN、C(O)R、SONR、及びCFから選択される少なくとも1つの基で置換された、好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基であって、式中、R、R、及びRが、上記で定義された通りであり、前記アルキルが、ヘテロアリールで任意に置換され、前記ヘテロアリールが、置換ヘテロアリールで任意に置換される、アルキル基、
−Fなどのハロゲン、NO、CN、C(O)R、SONR、及びCFから選択される少なくとも1つの基で置換された、好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基であって、式中、R、R、及びRが、上記で定義された通りである、アリール基、
−−S(O)−Wであって、Wが、置換ヘテロアリールで任意に置換されたヘテロアリールである、−S(O)−W、
−SOH、
−以下の式
【化5】
を有するラジカル、ならびに
−Nであって、式中、R、R、R、及びRが、互いに独立して、Hであるか、または好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基であり、前記アルキル基が、Fなどのハロゲン、NO、CN、C(O)R、SONR、及びCFから選択される少なくとも1つの基で任意に置換され、R、R、及びRが、上記で定義された通りである、N、からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記基Aが、π電子共役鎖を含み、例えば、前記基Aが、
【化6】

または
【化7】
である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
以下の式(III)を有し、
【化8】
式中、
−R及びR10が、互いに独立して、Hまたは電子供与基Dを表し、
−R、R、R、R、R、R、X、及びDが、請求項1〜4のいずれか一項で定義された通りである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
以下の式(IV)を有し、
【化9】
式中、
−R11が、Hまたは電子供与基Dを表し、
−R、R、R、R、R、R、X、A、及びDが、請求項6で定義された通りである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
以下の式(V)を有し、
【化10】
式中、
−R’及びR’’が、互いに独立して、Hであるか、または好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基を表し、
−R、R、R、及びXが、請求項2〜7のいずれか一項で定義された通りである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
下記からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物



【化11】
【化12】
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を含むまたはこれらからなる固体材料(S)。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の1つ以上の化合物と、少なくとも1つのポリマー及び/もしくはポリマー材料ならびに/または有機マトリックスとを含み、前記有機マトリックが、任意に無機材料を含んでもよい、材料(M)。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項10に記載の固体材料(S)もしくは請求項11に記載の材料(M)を含む、発光デバイス。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項10に記載の固体材料(S)もしくは請求項11に記載の材料(M)を含む、レシオメトリック分析のためのデバイス。
【請求項14】
白色光を発光するために、請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項10に記載の固体材料(S)もしくは請求項11に記載の材料(M)の使用。
【請求項15】
特にレシオメトリック分析のための蛍光プローブとしての、または特にセキュリティインクのための顔料としての、請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項10に記載の固体材料(S)もしくは請求項11に記載の材料(M)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重発光特性、より具体的には白色光発光特性を呈する、新規の分子、及びそれらの調製方法に関する。
【0002】
本発明は、とりわけレシオメトリック検出における蛍光プローブとしての、または白色光発光源としてのそれらの用途にも関する。
【背景技術】
【0003】
蛍光プローブは通常、免疫学、分子生物学、医療診断などの様々な分野において定性及び/または定量滴定に使用される。化合物が蛍光プローブとして使用されるための、したがって標的検体の滴定を可能にするための理想的な条件は、条件に応じて(検体の存在または不在、pHなど)変化する二重発光特性を表すことである。このような化合物は、例えば、蛍光プローブの濃度がどうであれ、検体濃度の決定をもたらすレシオメトリック滴定を可能にする。
【0004】
ルミネセンスデバイスの分野において、二重発光特性を有する化合物の使用は、いくつかの多色エミッタを必要とすることなく、白色光などの多色蛍光の生成をもたらす。
【0005】
単一分子を用いる系において二重発光を呈することが知られているものは、ほんの少数である。
【0006】
しかしながら、単一分子からの二重発光、より具体的には白色光発光は、低コスト、大面積のフラットパネルディスプレイなどの新規の部類のディスプレイ及び光源への革新的応用の可能性のために、重要な化学的目標である。報告されている白色有機発光デバイス(WOLED)の大部分は、400〜700nmの範囲の可視領域を網羅する光の異なる色を発光するいくつかの有機成分の組み合わせ(例えば、赤色/青色/緑色発色団)の使用にこれまで依存してきた。
【0007】
したがって、二重発光特性、より具体的には白色光発光特性を呈する新規の分子の探索は、明らかに興味深くかつ重要なものである。
【0008】
[本発明の目的]
本発明の1つの目的は、二重発光特性を有する新規の化合物を、より具体的には溶液状態及び/または固体状態で提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、新規の白色光発光化合物を提供することである。
【0010】
本発明の1つの目的は、広範かつ可変な二重発光を表す新規の化合物を提供することである。
【0011】
本発明はまた、蛍光または電解発光特性などの良好な発光特性を有するこのような化合物を提供することも目的とする。
【0012】
本発明は、許容し得る量子収率でこのような化合物を提供することを目的とする。
【0013】
本発明はまた、レシオメトリック検出のためのデバイスを提供することも目的とする。
【0014】
本発明はまた、白色光を発光するデバイスを提供することも目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、式(I)の化合物に関し、
【化1】
式中、
−Aは、電子求引基を表し、
−Dは、電子供与基を表し、
−Xは、O、S、及びNRからなる群から選択され、式中、Rは、H、好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基、好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基、及びヘテロアリール基からなる群から選択され、
−nは、1〜4の整数であり、
−mは、1〜6の、好ましくは1〜4の整数であり、
【化2】

は、6〜22個の炭素原子と、任意にN、S、及びOからなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子(複数可)とを含む、縮合二環式芳香族ラジカルを表し、
このOH基は、以下のラジカル
【化3】
に対して縮合二環式芳香族ラジカルのオルト位にある。
【0016】
本発明は、式(I)の化合物に関し、
【化4】
式中、
−Aは、電子求引基を表し、
−Dは、電子供与基を表し、
−Xは、O、S、及びNRからなる群から選択され、式中、Rは、H、好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基、好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基、及びヘテロアリール基からなる群から選択され、
−nは、1〜4の整数であり、
−mは、1〜6の、好ましくは1〜4の整数であり、
【化5】

が、6〜22個の炭素原子と、N、S、及びOからなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子(複数可)とを含む、縮合二環式芳香族ラジカルを表し、
このOH基は、以下のラジカル
【化6】
に対して縮合二環式芳香族ラジカルのオルト位にある。
【0017】
一実施形態では、式(I)の化合物において、
【化7】
は、キノリンではなく、具体的には、下記ではない。
【化8】
【0018】
一実施形態では、式(I)の化合物は、以下の化合物ではない。
【化9】
【0019】
1つの特定の実施形態では、上述した式(I)において、XはOである。
【0020】
1つの特定の実施形態では、上述した式(I)において、XはNHである。
【0021】
1つの特定の実施形態では、上述した式(I)において、XはNRであり、式中、Rは、好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0022】
1つの特定の実施形態では、上述した式(I)において、XはNRであり、式中、Rは、好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基である。
【0023】
1つの特定の実施形態では、上述した式(I)において、XはNRであり、式中、Rは、好ましくは6〜22個の原子を含むヘテロアリール基である。
【0024】
1つの特定の実施形態では、上述した式(I)において、XはSである。
【0025】
一実施形態では、上述した式(I)において、
【化10】
は、6〜22個の炭素原子、好ましくは8個の炭素原子と、N、S、及びOからなる群から選択される1個のヘテロ原子、好ましくはOとを含む、縮合二環式芳香族ラジカルを表す。
【0026】
特に、上述した式(I)において、
【化11】
は、6〜22個の炭素原子、好ましくは8個の炭素原子と、S及びOからなる群から選択される1個のヘテロ原子とを含む、縮合二環式芳香族ラジカルを表す。
【0027】
特に、
【化12】
は、
【化13】
を表す。
【0028】
一実施形態では、上述した式(I)において、nは1または2である。
【0029】
一実施形態では、上述した式(I)において、mは1または2である。
【0030】
明確にするために、電子求引基Aは、例えば、第三級ブチルなどのアルキル基ではない。したがって、Massue et al.,“Fluorescent 2−(2’−hydroxybenzofuran)benzoxazole borate complexes:synthesis,optical properties and theoretical calculations”,Tetrahedron Letters,2014,55,4136−41−40”に開示される化合物9及び10は、本発明の式(I)の化合物の範囲内に入らない。
【0031】
一実施形態では、電子供与基Dは、
−O
−ORであって、式中、RはHであるか、または好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基、具体的にはOMeである、OR
−NRであって、式中、R及びRは、互いに独立して、
・H、
・好ましくは1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、及び
・好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基、好ましくはフェニル基からなる群から選択される、NR
−NHC(O)Rであって、式中、Rは、
・好ましくは1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、及び
・好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基、好ましくはフェニル基からなる群から選択される、−NHC(O)R
−好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基、好ましくはフェニル基、ならびに
−好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基、からなる群から選択され、
該アルキル基及びアリール基は、任意に、好ましくは、O、OR、NR、及び−NHC(O)Rから選択される少なくとも1つの電子供与基で置換され、R、R、R、及びRは、本発明により定義された通りである。
【0032】
一実施形態では、電子供与基Dは、
−O
−ORであって、式中、Rが、Hであるか、または好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基である、OR
−NHC(O)Rであって、式中、Rは、
・好ましくは1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、及び
・好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基、好ましくはフェニル基からなる群から選択される、−NHC(O)R
−好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基、好ましくはフェニル基、ならびに
−好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基、からなる群から選択され、
該アルキル基及びアリール基は、任意に、好ましくは、O、OR、NR、及び−NHC(O)Rから選択される少なくとも1つの電子供与基で置換され、R、R、R、及びRは、本発明により定義された通りである。
【0033】
一実施形態では、電子供与基Dは、例えば、1つまたは数個のアルキニル基又はアルケニル基を含むπ電子共役鎖を含み、共役は、交互のアルケニレン基またはアルキニレン基によって可能である。このようなπ電子共役鎖は、隣接して整列されたp軌道全体にわたるπ電子の非局在化を可能にする。基Dの内部のこのようなπ電子共役鎖の存在は、該基Dの電子供与特徴を変化させることはない。
【0034】
例えば、π電子共役鎖を含む電子供与基Dは、
【化14】
または
【化15】
であってもよい。
【0035】
一実施形態では、電子供与基Dは、任意に、O、OR、NR、及び−NHC(O)R(R、R、R、及びRは、本発明により定義された通りである)から選択される少なくとも1つの電子供与基で任意に置換された、6〜22個の炭素原子を含むアリール基であり、好ましくは、フェニル基である。
【0036】
一実施形態では、電子供与基Dは、以下の式(A)を有し、
【化16】
式中、Yは、O、OR、NR、及び−NHC(O)R(R、R、R、及びRは上記の通りである)から選択される。
【0037】
特に、電子供与基Dは、下記の基である。
【化17】
【0038】
特に、電子供与基Dは、下記の通りである。
【化18】
【0039】
一実施形態では、電子供与基Dは、以下の式(B)を有し、
【化19】
式中、Y、Y、及びYは、互いに独立してORを表し、Rは上記の通りである。
【0040】
特に、電子供与基Dは、下記の基である。
【化20】
【0041】
一実施形態では、電子求引基Aは、
−Br、Cl、F、またはIなどのハロゲン、
−C(O)Rであって、Rが、
・Cl、
・H、
・ORであって、Rが、Hであるか、または好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基である、OR、及び
・好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基、からなる群から選択される、C(O)R
−NO
−SONRであって、R及びRが、互いに独立して、好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基、または好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基を表す、SONR
−CN、
−CF
Fなどのハロゲン、NO、CN、C(O)R、SONR、及びCFから選択される少なくとも1つの基で置換された、好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基であって、式中、R、R、及びRが、上記で定義された通りであり、該アルキルが、ヘテロアリールで任意に置換され、該ヘテロアリールが、置換ヘテロアリールで任意に置換される、アルキル基;Fなどのハロゲン、NO、CN、C(O)R、SONR、及びCFから選択される少なくとも1つの基で置換された、好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基であって、式中、R、R、及びRが、上記で定義された通りである、アリール基、
−−S(O)−Wであって、Wが、置換ヘテロアリールで任意に置換されたヘテロアリールである、−S(O)−W、
−SOH、
−以下の式、
【化21】
を有するラジカル、ならびに
−Nであって、式中、R、R、R、及びRが、互いに独立して、Hであるか、または好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基であり、該アルキル基が、Fなどのハロゲン、NO、CN、C(O)R、SONR、及びCFから選択される少なくとも1つの基で任意に置換され、式中、R、R、及びRが、上記で定義された通りである、N、からなる群から選択される。
【0042】
一実施形態では、電子求引基Aは、
−Br、Cl、F、またはIなどのハロゲン、
−C(O)Rであって、Rが、
・Cl、
・H、
・ORであって、Rが、Hであるか、または好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基である、OR、及び
・好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基、からなる群から選択される、C(O)Re、
−NO
−SONRであって、R及びRが、互いに独立して、好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基、または好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基を表す、SONR
−CN、
−CF
−Fなどのハロゲン、NO、CN、C(O)R、SONR、及びCFから選択される少なくとも1つの基で置換された、好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアリール基であって、式中、R、R、及びRが、上記で定義された通りである、アルキル基、
−Fなどのハロゲン、NO、CN、C(O)R、SONR、及びCFから選択される少なくとも1つの基で置換された、好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基であって、式中、R、R、及びRが、上記で定義された通りである、アリール基、
−SOH、
−Nであって、式中、R、R、R、及びRが、互いに独立して、Hであるか、または好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基であり、該アルキル基が、Fなどのハロゲン、NO、CN、C(O)R、SONR、及びCFから選択される少なくとも1つの基で任意に置換され、式中、R、R、及びRが、上記で定義された通りである、N、からなる群から選択される。
【0043】
一実施形態では、電子求引基Aは、例えば、1つまたは数個のアルキニル基またはアルケニル基を含むπ電子共役鎖を含み、共役は、交互のアルケニレン基またはアルキニレン基によって可能である。このようなπ電子共役鎖は、隣接して整列されたp軌道全体にわたるπ電子の非局在化を可能にする。基Aの内部のこのようなπ電子共役鎖の存在は、該基Aの電子供与特徴を変化させることはない。
【0044】
例えば、π電子共役鎖を含む電子求引基Aは、
【化22】
または
【化23】
であってもよい。
【0045】
一実施形態では、電子求引基Aは、−C(O)Hである。
【0046】
一実施形態では、電子求引基Aは、−C(O)OHである。
【0047】
一実施形態では、電子求引基Aは、−C(O)Clである。
【0048】
一実施形態では、電子求引基Aは、NOである。
【0049】
一実施形態では、電子求引基Aは、NHである。
【0050】
一実施形態では、電子求引基Aは、少なくとも1つのニトロ基で置換された、6〜22個の炭素原子を含むアリール基であり、好ましくは、少なくとも1つのニトロ基で置換されたフェニル基である。
【0051】
一実施形態では、電子求引基Aは、少なくとも1個のフッ素原子で置換された、6〜22個の炭素原子を含むアリール基であり、好ましくは、少なくとも1個のフッ素原子で置換されたフェニル基である。
【0052】
1つの特定の実施形態では、電子求引基Aは、CNである。
【0053】
1つの特定の実施形態では、電子求引基Aは、CFである。
【0054】
1つの特定の実施形態では、電子求引基Aは、−C(O)OMeである。
【0055】
1つの特定の実施形態では、電子求引基Aは、Fである。
【0056】
1つの特定の実施形態では、電子求引基Aは、Brである。
【0057】
一実施形態では、電子求引基Aは、以下のラジカルからなる群から選択される。
【化24】
及び
【化25】
【0058】
本発明はまた、式(II)の化合物に関し、
【化26】
式中、
−R、R、R、及びRは、互いに独立して、Hまたは電子求引基Aを表し、
−R、R、R、及びRは、互いに独立して、Hまたは電子供与基Dを表すか、
あるいはR及びRは、これらを担持する炭素原子と共に、4〜6個の原子、好ましくは5個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、該環が、N、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、該環が、任意に、少なくとも1つの電子供与基Dによって置換されるか、
あるいはR及びRは、これらを担持する炭素原子と共に、4〜6個の原子、好ましくは5個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、該環が、N、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、該環が、任意に、少なくとも1つの電子供与基Dによって置換されるか、
あるいはR及びRは、これらを担持する炭素原子と共に、4〜6個の原子、好ましくは5個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、該環が、N、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、該環が、任意に、少なくとも1つの電子供与基Dによって置換され、
−X、A、及びDは、本発明により定義された通りであり、
及びR、またはR及びR、またはR及びRのうちの少なくとも1つは、該少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、
、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、電子求引基Aであり、
式(II)の該化合物は、少なくとも1つの電子供与基Dを含む。
【0059】
一実施形態では、上述した式(II)において、XはOである。
【0060】
一実施形態では、上述した式(II)において、XはNHである。
【0061】
1つの特定の実施形態では、上述した式(II)において、XはNRであり、式中、Rは、好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0062】
1つの特定の実施形態では、上述した式(II)において、XはNRであり、式中、Rは、好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基である。
【0063】
1つの特定の実施形態では、上述した式(II)において、XはNRであり、式中、Rは、ヘテロアリール基である。
【0064】
一実施形態では、上述した式(II)において、XはSである。
【0065】
一実施形態では、上述した式(II)において、Rは、電子求引基Aである。
【0066】
一実施形態では、上述した式(II)において、R、R、及びRはHである。
【0067】
一実施形態では、上述した式(II)において、Rは、電子求引基Aである。
【0068】
一実施形態では、上述した式(II)において、RはBrである。
【0069】
一実施形態では、上述した式(II)において、R及びRはHである。
【0070】
一実施形態では、上述した式(II)において、R及びRは、これらを担持する炭素原子と共に、4〜6個の原子、好ましくは5個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、該環が、N、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、該環が、任意に、少なくとも1つの電子供与基Dによって置換される。特に、R及びRが、これらを担持する炭素原子と共に、5個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、該環が、1個の酸素原子を含み、1つの電子供与基Dによって置換されている。
【0071】
一実施形態では、上述した式(II)において、R及びRは、これらを担持する炭素原子と共に、4〜6個の原子、好ましくは5個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、該環が、N、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、該環が、任意に、少なくとも1つの電子供与基Dによって置換される。特に、R及びRが、これらを担持する炭素原子と共に、5個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、該環が、1個の酸素原子を含み、1つの電子供与基Dによって置換されている。
【0072】
一実施形態では、上述した式(II)において、R及びRは、これらを担持する炭素原子と共に、4〜6個の原子、好ましくは5個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、該環が、N、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、該環が、任意に、少なくとも1つの電子供与基Dによって置換される。特に、R及びRが、これらを担持する炭素原子と共に、5個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、該環が、1個の酸素原子を含み、1つの電子供与基Dによって置換されている。
【0073】
本発明は、以下の式(III)を有する化合物に関し、
【化27】
式中、
−R及びR10が、互いに独立して、Hまたは電子供与基Dを表し、
−R、R、R、R、R、R、X、及びDは、本発明により定義された通りである。
【0074】
式(III)の化合物は、とりわけ、式(II)の化合物に一致し、式中、R及びRは、それらを担持する炭素原子と共に、R及びR10で置換されたフランを形成する。
【0075】
一実施形態では、上述した式(III)において、XはOである。
【0076】
一実施形態では、上述した式(III)において、XはNHである。
【0077】
1つの特定の実施形態では、上述した式(I)において、XはNRであり、式中、Rは、好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0078】
1つの特定の実施形態では、上述した式(I)において、XはNRであり、式中、Rは、好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基である。
【0079】
1つの特定の実施形態では、上述した式(I)において、XはNRであり、式中、Rは、ヘテロアリール基である。
【0080】
一実施形態では、上述した式(III)において、XはSである。
【0081】
一実施形態では、上述した式(III)において、Rは、電子求引基Aである。
【0082】
一実施形態では、上述した式(III)において、Rは、電子求引基Aである。
【0083】
一実施形態では、上述した式(III)において、RはBrである。
【0084】
一実施形態では、上述した式(III)において、R、R、及びRはHである。
【0085】
一実施形態では、上述した式(III)において、R及びRはHである。
【0086】
一実施形態では、上述した式(III)において、RはHである。
【0087】
一実施形態では、上述した式(III)において、R10は、本発明により定義される電子供与基Dである。
【0088】
一実施形態では、式(III)の化合物は、以下の式を有する式(III−a)の化合物に相当し、
【化28】
、R、R、R、R、R、R、R10、及びDは、本発明により定義された通りである。
【0089】
本発明は、以下の式(IV)を有する化合物に関し、
【化29】
式中、
−R11は、Hまたは電子供与基Dを表し、
−R、R、R、R、R、R、X、及びDは、本発明により定義された通りである。
【0090】
式(IV)の化合物は、とりわけ、式(III)の化合物に一致し、式中、RはHであり、R10
【化30】
である。
【0091】
一実施形態では、上述した式(IV)において、XはOである。
【0092】
一実施形態では、上述した式(IV)において、XはNHである。
【0093】
1つの特定の実施形態では、上述した式(IV)において、XはNRであり、式中、Rは、好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0094】
1つの特定の実施形態では、上述した式(IV)において、XはNRであり、式中、Rは、好ましくは6〜22個の炭素原子を含むアリール基である。
【0095】
1つの特定の実施形態では、上述した式(IV)において、XはNRであり、式中、Rは、ヘテロアリール基である。
【0096】
一実施形態では、上述した式(IV)において、XはSである。
【0097】
一実施形態では、上述した式(IV)において、Rは、本発明により定義される電子求引基Aである。
【0098】
一実施形態では、上述した式(IV)において、R、R、及びRはHである。
【0099】
一実施形態では、上述した式(IV)において、R及びRはHである。
【0100】
一実施形態では、上述した式(IV)において、R11は、本発明により定義される電子供与基Dである。
【0101】
本発明はまた、以下の式(V)を有する化合物に関し、
【化31】
式中、
−R’及びR’’は、互いに独立して、Hであるか、または好ましくは1〜20個の炭素原子を含むアルキル基を表し、
−R、R、R、及びXは、本発明により定義された通りである。
【0102】
本発明はまた、以下の式(IV−ビス)を有する化合物に関し、
【化32】

式中、
−R12、R13、及びR14は、互いに独立して、電子供与基Dを表し、
−R、R、R、R、R、R、X、及びDは、本発明により定義された通りである。
【0103】
本発明はまた、以下の式(IV−ビス−1)を有する化合物に関し、
【化33】

式中、R、R、R、R、R、R、X、及びDは、本発明により定義された通りである。
【0104】
一実施形態では、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(IV−ビス)、(IV−ビス−1)、及び(V)の化合物の中でも、以下のものを挙げることができる。
【化34】
【化35】
【0105】
本発明は、上述した式(I)の化合物の調製のプロセスにも関し、該プロセスは、式(VI)の化合物を、
【化36】
式(VII)の化合物と反応させることを含み、
【化37】
式中、
【化38】
A、X、D、n及びmは、本発明により定義された通りである。
【0106】
一実施形態では、式(VI)の化合物と式(VII)の化合物との間の反応は、塩基、KCN、及び例えばPhB(OH)などのボロン酸の存在下で行われる。特定の実施形態では、この反応は、例えば、メタノールなどの極性溶媒中で、好ましくは室温(約25℃)で、とりわけ大気圧下で行われる。
【0107】
別の実施形態では、式(VI)の化合物と式(VII)の化合物との間の反応は、還流下で、例えばエタノールなどの極性溶媒中で行われる。次いで、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンが、反応混合物中に添加され、反応媒体を室温(約25℃)で混合した。
【0108】
一実施形態では、上述したプロセスにおいて、式(VI)の化合物は、式(VI−a)の化合物であり、
【化39】
かつ式(VII)の化合物は、式(VII−a)の化合物であり、
【化40】
式中、R、R、R、R、R、R、R、R11は、本発明により定義された通りである。
【0109】
一実施形態では、式(VII−a)の化合物は、好ましくは、CuI、PdCl(PPh、及び塩基の存在下における薗頭クロスカップリングを介しての式(VIII−a)の化合物の
【化41】
式(IX−a)の化合物との反応から生じ、
【化42】
式中、R、R及びR11は、上で定義された通りである。
【0110】
[定義]
本明細書で使用される用語「縮合二環式芳香族ラジカル」は、互いに融合した2つの芳香族環を有するラジカルを意味する。このようなラジカルの例は、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インデン、プリン、イソキノリン、キノリン、インドール、ナフタレンである。特に、縮合二環式芳香族ラジカルは、ベンゾフランである。
【0111】
分子中の電荷分布は、通常、2つの相互作用効果:
−原子(及び基)間に存在する電気陰性度の差の関数である誘起効果と、
−電子が分子の一部の間を非連続的様式で移動する共鳴効果とに関して論じられる。
【0112】
通常、供与体/受容体対は、励起状態と基底状態との間の密度差の非経験的計算によって決定することができる。官能基のEDG(電子供与基)またはEWG(電子求引基)性質を定義するための一般的な方法は、官能基と水素(H)との間の対を使用することである。CT(電荷移動)は、電子遷移後の密度減少の重心と密度増加の重心とを離隔する距離として決定される。このCT距離は、相対的自由エネルギーとして算定される2つの互変異性型の相対的安定性に相関するであろう。
【0113】
本明細書で使用される用語「電子求引基」は、電子受容体とも呼ばれ、基底状態から始まり励起状態になることによって上昇するその電子密度を有する。このような用語は、価電子を、π電子非局在化系上の隣接する原子または原子(複数)を引き付けるための置換基の傾向性、すなわち、置換基がπ電子非局在化系上の隣接する原子または原子(複数)に対して電気陰性であることを示す。
【0114】
本明細書で使用される用語「電子供与基」は、電子供与体とも呼ばれ、基底状態から始まり励起状態になることによって減少するその電子密度を有する。このような用語は、価電子を、π電子非局在化系上の隣接する原子または原子(複数)を提供するための置換基の傾向性、すなわち、置換基が隣接する原子に対して電気陽性であることを示す。
【0115】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、好ましくは1〜20個の炭素原子を鎖中に有し、任意に、少なくとも1つの不飽和を含む、直鎖または分岐鎖であり得る飽和脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖中に1〜12個の炭素原子を有する。例えば、アルキル基は、メチル、プロピル、ブチル、第三級ブチル、ペンチル、またはイソプロピルである。このようなアルキル基は、置換基を含んでもよい。該アルキルはまた、環式アルキルとすることができる。
【0116】
本明細書で使用される用語「アリール」とは、好ましくは6〜22個の炭素、より好ましくは6〜10個の炭素原子を有する芳香族単環式または二環式炭化水素環系を指す。アリール部分の例としては、フェニル、ナフチル、及びアントラセニルが含まれるが、これらに限定されない。電子吸引基の場合、置換基は、基Aについて前に定義されたものからなる群から選択されることが好ましい。電子供与基の場合、置換基は、基Dについて前に定義されたものからなる群から選択されることが好ましい。
【0117】
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」とは、芳香族の5〜8員単環式基、8〜12員二環式基で、単環式の場合には1〜3個のヘテロ原子を有し、二環式の場合には1〜6個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子が、O、N、またはSから選択されるものを指す。ヘテロアリール基の例は、チオフェン、ピリジン、フラン、ピロール、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾールである。
【0118】
本明細書で使用される用語「置換基」とは、アルキル、アリール、またはヘテロアリール基上のその基の任意の原子において「置換された」基を指す。好適な置換基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロ、エステル、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ジアルキルアミノ、SOH、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、アミド、スルホンアミド、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルが含まれるが、これらに限定されない。アルキル、アリール、またはヘテロアリール基上の好ましい置換基は、OH、アミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、ハロ、CFなどのペルフルオロアルキル、及びヘテロアリールである。
【0119】
本明細書で使用される用語「アルキレン」は、好ましくは1〜24個の炭素原子を鎖中に有し、直鎖または分岐鎖であり得る二価の飽和脂肪族炭化水素ラジカルを意味する。
【0120】
本明細書で使用される用語「アルケニレン」は、好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つの二重結合を有する二価の直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを意味し、例えば、エテニレンを含む。
【0121】
本明細書で使用される用語「アルキニレン」は、好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つの三重結合を有する二価の直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを意味する。好ましいアルキニレン基は、エチニレン(−C≡C−)を含む。
【0122】
本明細書で使用される用語「少なくとも部分的に不飽和の環」とは、その環が部分的に不飽和であるか、または完全に不飽和であることを意味する。完全に不飽和の環の例は、フェニルである。少なくとも部分的に不飽和の環の例は、フラン、チオフェン、ピロール、フェニル、チアゾール、イミダゾールであり、好ましくは、該環は、フランである。このようなアリール基は、置換基を含んでもよい。
【0123】
本明細書で使用される、式(I)、(II)、(III)、(IV)、または(V)の化合物はまた、「エミッタ」または更に「有機エミッタ」とも呼ばれる。
【0124】
本明細書で使用される、用語「二重発光」とは、例えば、λex(励起波長)における光励起時に、化合物が、それぞれE*及びK*状態に対応する2つの区別される発光帯λemE及びλemKを発光することを意味する。
【0125】
本明細書で使用される用語「E*」は、とりわけ以下の式を有する、本発明による化合物のその励起状態におけるエノールを意味する。
【化43】
【0126】
本明細書で使用される用語「K*」は、とりわけ以下の式を有する、本発明による化合物のその励起状態におけるケトを意味する。
【化44】
【0127】
本明細書で使用される用語「蛍光色素分子」は、「蛍光色素」または「発色団」とも呼ばれ、光励起時に光を再発光することができる蛍光化学化合物である。
【0128】
本明細書で使用される用語「プロトン性溶媒」とは、プロトンの形態で放出することが可能な少なくとも1個の水素原子を含む溶媒を意味する。
【0129】
本明細書で使用される用語「非プロトン性溶媒」とは、プロトン性ではないとみなされる溶媒を意味する。特に、このような溶媒は、プロトン放出するために、またはプロトンを受容するために適していない。非プロトン性溶媒の例は、トルエン、ジメチルホルムアミド、アセトン、ジメチルスルホキシドである。
【0130】
本明細書で使用される用語「本発明による化合物」または「本発明の化合物」は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)の化合物、またはそれらの混合物に相当する。
【0131】
本明細書で使用される用語「透明」とは、通常、フィルムが人と英数字との間に置かれても、該人が該英数字を読むことができることを意味する。
【0132】
本明細書全体を通しての「一実施形態」、「別の実施形態」、「ある実施形態」等への言及は、実施形態に関連して記載される特定の要素(例えば、特徴、構造、及び/または特性)が、本明細書に記載される少なくとも1つの実施形態に含まれ、他の実施形態に存在してもよいか、または存在しなくてもよいことを意味する。加えて、記載された要素が様々な実施形態において、任意の好適な方法で組み合わされてもよいことを理解するべきである。
【0133】
本明細書で使用される用語「溶媒の誘電定数」は、その極性の尺度である。溶媒の誘電定数が高くなればなるほど、それはより極性である。
【0134】
本明細書で使用される用語「導電性ポリマー」とは、電荷(電子及び正孔)を輸送することができる有機ポリマーを意味する。
【0135】
本明細で使用される用語「有機半導体ポリマー」とは、半導体の特性を呈することができる有機化合物のポリマーを意味する。
【0136】
[使用]
本発明はまた、少なくとも1つの本発明による化合物及び溶媒を含む溶液に関する。
【0137】
好ましくは、溶媒は、低誘電定数を有する溶媒及び高誘電定数を有する溶媒からなる群から選択される。
【0138】
特に、低誘電定数を有する溶媒は、トルエン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、及びこれらの混合物から選択される。
【0139】
特に、高誘電定数を有する溶媒は、アルコール、ジメチルスルホキシド、水、アセトン、アセトニトリル、及びこれらの混合物から選択される。
【0140】
本発明はまた、本発明による少なくとも1つの化合物を含むか、またはそれらからなる固体材料(S)に関する。
【0141】
一実施形態では、固体材料(S)は、本発明による少なくとも1つの化合物からなる。この場合、少なくとも1つの本発明による化合物は、例えば粉末状などの固体状態にある。
【0142】
1つの特定の実施形態では、該固体材料または本発明による化合物は、結晶、例えば単結晶である。
【0143】
一実施形態では、固体材料は、例えば、KBrマトリックスペレット、アルミ、シリカ、ゼオライト、粘土、酸化チタン、及びケイ質チタン(titaniumu silicum)からなる群から選択される無機固体を含む。特に、本発明による少なくとも1つの化合物は、該無機固体と組み合わされるか、または該無機固体中に導入される。
【0144】
特に、本発明による少なくとも1つの化合物は、KBrマトリックスペレット中に固体粉末として分散される。
【0145】
本発明はまた、本発明による少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つのポリマー及び/もしくはポリマー材料ならびに/または有機マトリックスとを含む材料(M)に関し、該有機マトリックスは、任意にドーパントなどの無機材料を含んでもよい。一実施形態では、本発明による化合物(複数可)は、該ポリマー及び/もしくはポリマー材料ならびに/または有機マトリックス中に封入される。
【0146】
一実施形態では、材料(M)は、本発明による少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの有機マトリックスとを含む。
【0147】
一実施形態では、材料(M)は、有機半導体材料である。
【0148】
一実施形態では、材料(M)は、プラスチック材料、特に、透明なプラスチック材料である。
【0149】
一実施形態では、該プラスチック材料(M)は、プラスチック材料、特に透明なプラスチック材料である。例えば、該プラスチック材料は、プラスチックフィルム、特に透明なプラスチックフィルムである。
【0150】
一実施形態では、材料(M)は、導電性プラスチックである。
【0151】
本発明は、したがって、フィルム、特に、本発明による少なくとも1つの化合物を含む透明なフィルムにも関する。
【0152】
フィルムを製造するための方法に対して特定の制限はない。本発明によるフィルムは、一般に、少なくとも1つのポリマー及び/またはポリマー材料と、本発明による少なくとも1つの化合物とを含む。特定の制限なしに、追加の要素が、フィルム中に存在してもよい。
【0153】
本発明によると、本発明による少なくとも1つの化合物は、様々な濃度でフィルム中に存在してもよい。通常、本発明による少なくとも1つの化合物の重量濃度は、最終フィルムの重量に対して0.01%(w/w)超である。この濃度は、0.05%〜90%(w/w)の範囲であってもよい。一実施形態では、本発明による1つ以上の化合物の濃度は、少なくとも0.5%(w/w)である。
【0154】
有利なことに、蛍光フィルムの発光スペクトルは、フィルム中の本発明による化合物(複数可)の濃度を変更することによって調整することができる。本発明は、したがって、二重発光フィルム、より具体的には白色光発光フィルムに関する。
【0155】
一実施形態では、このポリマーは、導電性ポリマーである。
【0156】
一実施形態では、このポリマーは、有機半導体ポリマーである。
【0157】
一実施形態では、ポリマーは、アクリレート含有単位を含むポリマー、例えば、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレート、特にポリメチルメタクリレート(PMMA);シロキサン単位を含有するポリマー、例えば、ポリアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS);ヒドロキシド基含有単位を含むポリマー、例えばポリビニルアルコール(PVA);ポリスチレン(PS)、及びこれらの任意の混合物からなる群から選択される。特に、このポリマーは、PMMA及びPSの混合物である。
【0158】
一実施形態では、このポリマー材料は、セルロースまたはラテックスである。
【0159】
フィルムは、例えば、フィルムを形成するのに適した少なくとも1つのポリマー及び/またはポリマー材料と、本発明による少なくとも1つの化合物とを含む液相から調製することができる。フィルムは、例えば、液相を蒸発させて、好ましくはゆっくりと蒸発させて、フィルムを生じさせることによって、このような液相から調製されてもよい。このような液相を調製するためのポリマー及び/またはポリマー材料の溶媒は、通常、有機溶媒であるが、水からなっても、または水を含んでもよい。通常、液相は、フィルムを形成するのに適した少なくとも1つのポリマー及び/またはポリマー材料と、本発明による少なくとも1つの化合物とを含有する溶液である。この液相は、分散液であっても、またはエマルジョンであってもよい。蒸発は、例えば、容器内で室温において行われてもよい。必要に応じて、蛍光フィルムは、さらなる溶媒除去を受けてもよい。例えば、蛍光フィルムは、残りの溶媒を除去するために、真空下で乾燥されてもよい。
【0160】
フィルムは、当該技術分野の技術に従って成形することができる。透明な蛍光フィルムの形状は、例えば、容器の形状(ガラス試料管;円筒、ガラス板基板;四角形)によって制御することができる。フィルムは、非常に広範囲の厚さ、通常、10ナノメートル(nm)〜1000マイクロメートル(μm)またはそれ以上、好ましくは20nm〜200μmで存在することができる。
【0161】
一実施形態では、本発明は、本発明による少なくとも1つの化合物を、例えば、フィルム総重量に対して0.5%(w/w)からの範囲に及ぶ濃度で含有するPMMA/PSフィルムに関する。
【0162】
フィルムの発光は、電磁放射、通常は光放射、磁気放射、または電気放射など物理的刺激によるフィルムの励起によって得ることができる。
【0163】
光励起時に、本発明者らは、有利にも、該化合物が、エノール(E*)及びケト(K*)発光(K*は励起状態分子内プロトン移動(ESIPT)を通して形成される)からの寄与により、強い二重発光を呈することを見出した。
【0164】
二重発光強度の比RDuは、強度の低い方の発光帯のλmax(最大発光波長)の強度の、強度の高い方の発光帯のλmaxの強度に対する比によって、本発明において定義され得る。例えば、本発明の化合物に応じて、強度の低い方の発光帯は、エノール型(E*)のうちの1つまたはケト型(K*)のうちの1つであってもよい。
【0165】
本発明によると、本発明の化合物は、RDUが0.15より高い場合、好ましくは0.2よりも高い場合、より好ましくは0.5よりも高い場合に、著しい二重発光特性を示す。特に、RDUは、0.8.よりも高い。
【0166】
通常、ESIPTは、特定のπ共役化合物の励起状態における光誘起プロトン移動を特徴とする光物理的プロセスである。以下のスキーム1は、本発明の化合物における代表的なESIPTプロセスである。
【化45】
【0167】
特にESIPTプロセスにおいて、光の吸収時に、非常に速い光互変異性化プロセスが発生し(ほぼサブピコ秒程度の時間スケールで)、互変異性体の単独発光、またはプロトン移動が定量的ではない場合の二重発光のいずれかをもたらす。光励起時の分子構造のこのかなりの再編成の結果として、正規エノール型(E*)のものと比較してケト互変異性体の赤色移動発光(ケト−エノール互変異性の場合のK*)のために、大きなストークスシフトを得ることができる。
【0168】
特に、本発明者らは、有利にも、発光強度の比RDUが調整可能であることを見出した。本発明の化合物は、広範かつ調整可能な二重発光を有利にも表す。
【0169】
本発明による化合物は、有利にも、溶液中及び/もしくは固体状態における単一化合物として、ならびに/またはポリマーフィルムもしくは固体材料などの材料中に組み込まれるとき、二重発光を、より好ましくは白色光発光を表す。
【0170】
より具体的には、本発明者らは、本発明の化合物が溶液中にあるとき、これらは、プロトン性及び非プロトン性溶媒などの異なる種類の溶媒中で二重発光を表すことを見出した。
【0171】
したがって、本発明による化合物は、有利にも、例えば、蛍光またはエレクトロルミネッセンス特性などの良好な発光特性を呈する。
【0172】
国際照明委員会(CIE)によって、1931年に作成されたCIE 1931 XYZ色空間によると、純粋な白色光についてのCIE色度座標は、(0.33,0.33)である。
【0173】
本発明による化合物は、許容し得る量子収率を提供し、この量子収率は、発せられた光子の数を吸収された格子の数で除した商として定義される。量子収率は、所定の化合物の発光効率を表す。
【0174】
許容し得る量子収率は、1.9%を超える、好ましくは5%を超える、より好ましくは少なくとも10%であるとみなされる。特に、本発明の化合物の量子収率は、少なくとも15%である。
【0175】
一実施形態では、本発明の化合物が固体状態であるとき、これらは、7%よりも高い、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%の量子収率を呈する。
【0176】
寿命(τ)は、その分子が1つの状態から別の状態に減衰するための時間の平均長さとして定義される。分子が適切なエネルギーの光子を吸収するとき、ヤブロンスキー図に示されるように、内部変換、蛍光、系間交差、及びリン光などの光物理的事象の連鎖が続く。これらのプロセスのそれぞれは、減衰速度定数(k)によって特徴付けられる一定の確率で発生する。寿命(τ)は、減衰速度に反比例する:τ=1/k。寿命は、これが励起波長に依存しないために、状態関数とみなされる。
【0177】
本発明の化合物の寿命は、典型的には、0.2〜10ナノ秒、より具体的には0.3〜5ナノ秒の範囲であった。
【0178】
本発明はまた、本発明の少なくとも1つの化合物、または本発明により定義された固体材料(S)、あるいは本発明により定義された材料(M)を含む発光デバイスに関する。
【0179】
一実施形態では、この発光デバイスは、ルミネセンスデバイスまたはエレクトロルミネセンスデバイスである。
【0180】
発光デバイスの例は、有機発光ダイオード(OLED)である。
【0181】
一実施形態では、この発光デバイスは、白色光発光デバイスである。このようなデバイスの例は、WOLED(白色有機発光ダイオード)である。
【0182】
本発明はまた、本発明の少なくとも1つの化合物、または上述した固体材料(S)、あるいは上述した材料(M)を含むレシオメトリック分析のためのデバイスに関する。
【0183】
光信号の比(2つの明確に異なる波長における)が、会合平衡を監視するために、かつ検体濃度を算定するために使用されてもよい。レシオメトリック測定は、光退色及びプローブの装填ならび保持における変動によって、ならびに照度安定性などの機器要因によって生じるデータの歪みを排除する。
【0184】
本発明はまた、蛍光プローブ、特にレシオメトリック分析のための、本発明の少なくとも1つの化合物、または本発明により定義された固体材料(S)、あるいは本発明により定義された材料(M)の使用に関する。本発明による化合物は、したがって、医療用途に有用である。
【0185】
本発明はまた、白色光を発光するための、本発明の少なくとも1つの化合物、または本発明により定義された固体材料(S)、あるいは本発明により定義された材料(M)の使用に関する。
【0186】
本発明者らは、本発明による化合物、すなわち、式(I)、(II)、(III)、(IV)、及び(V)、ならびにこれらを含む材料(例えばフィルムまたは固体材料)が、有利に、二重発光特性、より具体的には白色光発光特性を呈することを発見した。
【0187】
本発明による化合物はまた、顔料または染料、特に塗料または織物、とりわけ衣類として使用されてもよい。特に、この化合物は、液体、または粉末状などの固形で使用される。
【0188】
一実施形態では、本発明の化合物は、とりわけ、有機またはポリマーマトリックスなどのマトリックス中に封入される。
【0189】
一実施形態では、本発明による化合物は、セキュリティインクのための顔料として使用される。
【0190】
セキュリティインクは、当業者には周知である。セキュリティインクは、紙幣、公式身分証明書(パスポート、IDカード、出生証明書等)、郵便切手、タックス・バンダロール(tax banderoles)、機密保護ラベル、及び製品標示などのセキュリティ用途に使用される。
【0191】
通常、セキュリティインクは、それらの着色機能に加えて、セキュリティの役割を果たす。特に、セキュリティインクは、異なる種類の製品または文書のための侵害防止表示として使用することができる。この特定の場合において、標識付き製品/文書は、容易に認証され得る。特に、セキュリティインクは、多重認証機能を有する不可視セキュリティ印刷画像に使用される。
【0192】
一実施形態では、本発明は、本発明による少なくとも1つの化合物、特に有機またはポリマーマトリックス中などに封入されている化合物を含むセキュリティインクに関する。
【図面の簡単な説明】
【0193】
図1】比較化合物5についての様々な溶媒中の吸収(灰色)及び発光スペクトル(黒色)に該当する。このようなデータは、室温(25℃)で記録された。K*帯のみが出現する。
図2】比較化合物6についての様々な溶媒中の吸収(灰色)及び発光スペクトル(黒色)に該当する。このようなデータは、室温(25℃)で記録された。K*帯のみが出現する。
図3】化合物7についての様々な溶媒中の吸収(灰色)及び発光スペクトル(黒色)に該当する。このようなデータは、室温(25℃)で記録された。
図4】化合物8についての様々な溶媒中の吸収(灰色)及び発光スペクトル(黒色)に該当する。このようなデータは、室温(25℃)で記録された。
図5】化合物9についての様々な溶媒中の吸収(灰色)及び発光スペクトル(黒色)に該当する。このようなデータは、室温(25℃)で記録された。
図6】化合物10についての様々な溶媒中の吸収(灰色)及び発光スペクトル(黒色)に該当する。このようなデータは、室温(25℃)で記録された。
図7】KBrペレット中の化合物7及び8の固体状態発光スペクトルに該当する。このようなデータは、室温(25℃)で記録された。
図8】化合物7〜10 PMMA/PSフィルムの固体状態発光スペクトルに該当する。このようなデータは、積分球を用いて、室温(25℃)で記録された。
【0194】
本発明は、非限定的な例として、上文で記述されている。
【実施例】
【0195】
それに反する表示がない限り、温度は25℃である。
それに反する表示がない限り、圧力は大気圧(101325Pa)である。
【0196】
一般的方法及び装置:全ての反応は、標準的シュレンク技術を用いて、アルゴンの乾燥雰囲気下で行った。ジクロロメタンは、アルゴン雰囲気下で、P上で蒸留した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、蛍光指示薬で被覆したシリカゲルまたは酸化アルミニウム(Al)プレートで行った。クロマトグラフィーによる精製は、40〜63μmのシリカゲルを用いて実行した。全ての溶媒の混合物は、v/v比で提供される。300(H)、400(H)、75.46(13C)、100.3(13C)MHz NMRスペクトルは、残留プロトン化溶媒信号を内部標準として用いて、重溶媒により、室温で記録した。質量スペクトルは、ESI−MS質量分析器で測定した。電子吸収及び発光スペクトルは、市販の機器Shimadzu UV3600及びHoriba Jobin−Yvon Fluoromax 4Pを用いて、周囲条件下で測定した。紫外−可視スペクトルは、1cmの石英セルを備えた二重ビーム格子分光光度計を用いて記録した。蛍光スペクトルは、通常の蛍光ソフトウェアを用いて分光蛍光光度計で記録した。分光法用の溶媒は、分光法用グレードであり、未処理のまま使用した。使用された各機器については、標準パラメータを使用した。全ての蛍光スペクトルは、PM応答から補正した。ルミネセンス寿命は、ストロボシステムに連結した、時間挿管単一光子モードを備えたソフトウェアを用いて、分光蛍光光度計で測定した。励起源は、半導体レーザ(λ 320nm)であった。機器応答関数は、光散乱溶液(LUDOX)を用いることによって判定した。蛍光量子効率(Φexp)は、式(1)から計算した。
【数1】
【0197】
Iは補正発光スペクトルの積分を示し、ODは励起波長における光学密度であり、ηは媒質の屈折率である。使用された基準系は、480〜570nmで発光する染料に対しては、ローダミン6G、Φ=88%(エタノール中)、λex=488nmで、480nm未満で発光する染料に対しては、基準Φ=0.55(HSO 1N中)、λex=366nmとしての硫酸キニーネであった。
【0198】
全ての化学薬品は、商業的供給源(Aldrich,Alfa AesarまたはAcros)から受け取り、更に精製することなく使用した。4−(ジメトキシ)フェニルアセチレン及び4−(ジ−ブチルアミノ)フェニルアセチレンを、報告された手順に従って合成した(Feng et al.,Org.Lett.,2013,15,p.936−939及びMiller et al.,Synlett,2004,1,p.165−168)。
【0199】
A.サリシルアルデヒド(2)、(3)、及び(4)の合成のための一般的手順
(1)及びPd(PPhCl(5%モル)は、THF/トリエチルアミン(3/1)中に溶解した。得られた懸濁液を、アルゴンで30分間脱気し、その後適切な4置換フェニルアセチレン(3当量)を添加し、続いてCuI(10%モル)を添加した。得られた混合物を、60℃で一晩撹拌した。暗色溶液を、ジクロロメタン中に取り上げ、水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮した。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/Pet.エーテル1:1)により精製し、減圧下での溶媒の蒸発後に、サリシルアルデヒド(2)、(3)、または(4)を得た。
【0200】
実施例1:中間体2,4−ジヒドロキシ−5−ヨードベンズアルデヒド(1)の合成
【化46】
2,4−ジヒドロキシ−5−ヨードベンズアルデヒド(6g、43ミリモル)を、50mLの酢酸中に溶解させた。20mLの酢酸中、一塩化ヨウ素(8.46g、52ミリモル)の溶液を、滴加した。得られた混合物を、室温で12時間撹拌し、その後、これを飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(100mL)中に注いだ。粗溶液を、酢酸エチルで4回抽出し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗残渣を、CHCl/Pet.Ether 1:1からCHCl 100%でシリカゲルクロマトグラフィーで溶出することによって精製し、化合物1を、白色/ベージュ色粉末として得た(4.6g、40%)。H NMR(300MHz,d−アセトン)δ(ppm):11.07(br s,1H,OH),10.73(br s,1H,OH),9.76(s,1H,OH),8.05(s,1H,CH Ar),6.49(s,1H,CH Ar).13C NMR(75MHz,d−アセトン)δ(ppm):195.1,164.9,164.5,145.7,118.2,103.1,73.2。
【0201】
実施例2:2−(4−(tert−ブチル)フェニル))−6ヒドロキシベンゾフラン−5−カルバルデヒド(2)
【化47】
ベージュ色粉末収率:56%H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):11.24(s,1H,OH),9.92(s,1H,CHO),7.70−7.76(m,3H,CH Ar),7.07(s,1H,CH Ar),6.92(s,1H,CH Ar),6.48(d,2H,J=8.6Hz,CH Ar),1.36(s,9H,C(CH).13C NMR(75MHz,CDCl)δ(ppm):190.0,160.3,160.0,157.7,152.5,127.0,126.9,126.0,124.8,123.3,118.3,100.2,99.5,35.0,31.4.分析C1918についての計算値:C,77.53;H,6.16;実測値C,77.37;H,5.97.EI−MS(m/z):294.0。
【0202】
実施例3:6−ヒドロキシ−2−(4−メトキシフェニル)ベンゾフラン−5−カルバルデヒド(3)
【化48】
淡黄色粉末収率:60%H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):11.23(s,1H,OH),9.92(s,1H,CHO),6.67−7.76(m,3H,CH Ar),6.97−7.05(m,3H,CH Ar),6.83(s,1H,CH Ar),3.87(s,1H,CH).13C NMR(75MHz,CDCl)δ(ppm):196.0,160.6,160.3,160.1,157.7,126.6,123.5,122.7,118.4,114.6,99.5,99.2,55.6.分析C1612についての計算値:C,71.64;H,4.51;実測値C,71.79;H,4.82.EI−MS(m/z):268.0。
【0203】
実施例2:2−(4−(ジブチルアミノ)フェニル))−6ヒドロキシベンゾフラン−5−カルバルデヒド(4)
【化49】
橙色粉末収率:44%H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):11.24(s,1H,OH),9.87(s,1H,CHO),7.57−7.64(m,3H,CH Ar),7.02(s,1H,CH Ar),6.65−6.69(m,3H,CH Ar),3.32(m,4H,J=7.7Hz,CH),1.56−1.66(m,4H,CH),1.33−1.45(m,4H,CH),0.99(t,6H,J=7.4Hz,CH).13C NMR(75MHz,CDCl)δ(ppm):196.0,159.9,158.8,148.8,126.4,125.7,124.0,117.7,116.4,111.6,99.1,96.7,50.8,29.6,20.5,14.1.分析C2327NOについての計算値C,75.59;H,7.45;N,3.83;実測値C,75.34;H,7.28;N,3.50.EI−MS(m/z):365.2。
【0204】
B.生成物の合成
ルートA:無水エタノール中、4−Bu−2−アミノフェニルの溶液に、サリシルアルデヒド((2)、(3)、または(4))(1当量)を添加した。混合物を、橙色から赤色の沈殿物が形成されるまで、5時間還流した。冷却後、沈殿物を濾過し、残渣を乾燥ジクロロメタン中に再溶解し、その後、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)(1.2当量)を、濃縮ジクロロメタン溶液として添加した。得られた暗色混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒蒸発後に、粗残渣を、CHCl/Pet.Ether 1:1で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0205】
ルートB:メタノール中、4置換2−アミノフェノールの溶液に、適切なサリシルアルデヒド((2)、(3)、または(4))(1当量)、フェニルボロン酸(1当量)、及びシアン化カリウム(3当量)を添加した。得られた混合物を室温で12時間撹拌した後、沈殿物が現れた。減圧下での溶媒濃縮後に、沈殿物を濾過し、EtOH及びn−ペンタンで更に洗浄した。
【0206】
ルートC:サリシルアルデヒド(4)、4置換2−アミノフェノール(1当量)、フェニルボロン酸(1当量)、及びシアン化カリウム(3当量)を、メタノール中、室温で12時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発乾固させ、CHCl/石油エーテルを溶離液として用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、適切なHBBO染料を粉末として得た。
【0207】
実施例5(比較例):
【化50】
化合物(5)を、ルートAを通して合成した。淡黄色粉末。収率:34%H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):11.76(br s,1H,OH),8.20(s,1H,CH Ar),7.78(d,2H,J=8.6Hz,CH Ar),7.42−7.54(m,5H,CH Ar),7.23(s,1H,CH Ar),6.95(br s,1H,CH Ar),1.42(s,3H,−tBu),1.37(s,3H,−tBu).13C NMR(75MHz,CDCl)δ(ppm):158.4,157.2,156.8,152.0,148.8,140.0,127.5,125.9,124.7,123.0,122.7,119.1,115.8,109.8,107.7,100.4,99.6,35.2,34.9,31.9,31.4.分析C2929NOについての計算値:C,79.24;H,6.65;N,3.19;実測値C,79.04;H,6.40;N,2.99.EI−MS(m/z):439.1。
【0208】
実施例6(比較例):
【化51】
化合物(6)を、ルートAを通して合成した。淡緑色粉末。収率:42%H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):11.64(br s,OH),8.17(s,1H,CH Ar),7.75−7.78(m,3H,CH Ar),7.52(d,1H,J=8.8Hz,CH Ar),7.41−7.45(dd,1H,J=1.8Hz,J’=8.6Hz,CH Ar),6.97(d,2H,J=8.8Hz,CH Ar),7.21(s,1H,CH Ar),6.84(s,1H,CH Ar),3.86(s,3H,CH),1.42(s,9H,−tBu).13C NMR(75MHz,CDCl)δ(ppm):163.7,160.2,158.3,157.1,156.7,148.8,147.2,140.1,126.4,123.1,123.0,122.9,118.8,115.8,114.4,109.8,107.7,99.5,99.3,55.5,35.2,31.9.分析C2623NOについての計算値:C,75.53;H,5.61;N,3.39;実測値C,75.36;H,5.37;N,3.24.EI−MS(m/z):413.1。
【0209】
実施例7:
【化52】
化合物(7)を、ルートBを通して合成した。黄褐色粉末。収率:25%H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):11.43(s,1H,OH),8.11(s,1H,CH Ar),7.65(d,2H,J=8.9Hz,CH Ar),7.55−7.51(dd,1H,J=4.2Hz,J’=8.9Hz,CH Ar),7.42−7.39(dd,1H,J=2.7Hz,J’=8.3Hz,CH Ar),7.19(s,1H),7.09(td,1H,J=2.7Hz,J=9.0Hz,CH Ar),6.67−6.71(m,3H,CH Ar),3.35−3.30(m,4H,N−CH),1.66−1.56(m,4H,CH),1.44−1.32(m,4H,CH),0.98(t,6H,J=7.9Hz,CH).13C NMR(75MHz,CDCl)δ(ppm):165.6,158.5,158.2,156.8,148.6,145.6,141.3,141.1,126.4,123.6,118.2,117.0,112.8,112.4,111.6,111.0,106.8,105.9,105.6,99.5,97.0,50.9,29.6,20.5,14.2.分析C2929FNについての計算値C,73.71;H,6.19;N,5.93;実測値C,73.49;H,5.82;N,5.64.EI−MS(m/z):472.3(100)
【0210】
実施例8:
【化53】
化合物(8)を、ルートBを通して合成した。黄色粉末。収率:20%H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):11.31(s,1H,OH),8.13(s,1H,CH Ar),8.01(s,1H,CH Ar),7.72−7.63(m,4H,CH Ar),7.20(1H,s,CH Ar),6.71−6.67(m,3H,CH Ar),3.35−3.30(m,4H,N−CH),1.61(m,4H,CH),1.44−1.32(m,4H,CH),0.97(t,6H,J=7.2Hz,CH).13C NMR(75MHz,CDCl)δ(ppm):分析C3029についての計算値:C,68.95;H,5.59;N,5.36;実測値C,68.72;H,5.34;N,5.27.EI−MS(m/z):523.4(100)
【0211】
実施例9:
【化54】
化合物(9)を、ルートBを通して合成した。黄褐色粉末。収率:45%H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):11.11(s,1H,OH),8.07(s,1H,CH Ar),7.99(s,1H,CH Ar),7.68−7.62(m,4H,CH Ar),7.17(s,1H),6.68−6.66(m,3H,CH Ar),3.32(t,4H,J=7.7Hz,N−CH),1.65−1.57(m,4H,CH),1.43−1.34(m,4H,CH),0.98(t,6H,J=7.3Hz,CH).13C NMR(75MHz,CDCl)δ(ppm):165.9,158.9,158.5,157.0,151.6,148.7,141.0,129.2,126.4,123.9,123.4,118.7,118.4,116.7,111.8,111.6,109.1,105.9,99.6,96.7,50.9,29.6,20.5,14.2.分析C3029についての計算値:C,75.13;H,6.10;N,8.76;実測値C,74.84;H,5.72;N,8.54.EI−MS(m/z):479.2(100)。
【0212】
実施例10:
【化55】
化合物(10)を、ルートBを通して合成した。黄色粉末。収率:56%H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):11.39(s,1H,OH),8.39(s,1H,CH Ar),8.13−8.09(m,2H,CH Ar),7.66−7.61(m,3H,CH Ar),7.18(s,1H,CH Ar),6.70−6.66(m,3H,CH Ar),3.96(s,3H,OCH),3.34−3.29(m,4H,N−CH),1.65−1.55(m,4H,CH),1.44−1.32(m,4H,CH),0.98(t,6H,J=7.2Hz,CH).13C NMR(75MHz,CDCl)δ(ppm):166.7,165.1,158.6,158.2,156.8,152.1,148.6,140.5,127.5,127.1,126.4,123.7,120.9,118.3,116.9,111.6,110.4,106.5,99.5,96.9,50.9,29.6,20.5,14.2.分析C3132についての計算値C,72.64;H,6.29;N,5.47;実測値C,72.47;H,6.04;N,5.22.EI−MS(m/z):512.1(100)。
【0213】
化合物7〜10は、強く共鳴性の電子供与性p−ジブチルアミノフェニルを、ベンゾフラン部分上に末端基として組込み、一方ベンゾオキサゾール部分は、電気陰性を増加させるいくつかの電子求引基によって官能化される(化合物7、8、9、及び10のそれぞれに対してF、CF、CN、またはCOMe)。
【0214】
実施例11:
【化56】
化合物(11)をルートCを通して合成した。H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=12.21(s,1H,OH),8.22(s,1H,CH Ar),7.98(d,1H,J=8.3Hz,CH Ar),7.76(s,1H,CH Ar),7.66(d,2H,J=9.0Hz,CH Ar),7.62(dd,1H,J=8.4Hz,J=1.7Hz,CH Ar),7.16(s,1H,CH Ar),6.72(d,2H,J=8.2Hz,CH Ar),6.68(s,1H,CH Ar),3.34(t,4H,J=7.4Hz,CH),1.67−1.59(m,4H,CH),1.47−1.35(m,4H,CH),0.99(t,6H,J=7.3Hz,CH)。13C NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)=172.4,158.4,156.5,152.0,148.8,136.2,129.6(q,C−F=33.0Hz),126.5,125.7,123.9,123.0,122.1,121.8(q,C−F=3.7Hz),119.5,119.2(q,C−F=3.7Hz),117.3,113.3,112.0,99.8,96.9,51.1,29.7,20.5,14.1.分析C3029Sについての計算値:C,66.90;H,5.43;N,5.20.実測値C,66.83;H,5.69;N,4.97.EI−MS(m/z(相対強度)):理論的質量538.19(100);実測値540.3(9),539.3(28),538.3(80),497.2(6),496.2(21),495.2(65),455.2(9),454.2(27),453.2(100),438.1(32)。
【0215】
実施例12:
【化57】
化合物(12)をルートCを通して合成した。H NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=11.32(s,2H,OH),8.10(s,2H,CH Ar),7.91(s,2H,CH Ar),7.66(d,4H,J=8.9Hz,CH Ar),7.59(d,2H,J=8.7Hz,CH Ar),7.43(dl,2H,J=9.2Hz,CH Ar),7.17(s,2H,CH Ar),6.70−6.67(m,6H,CH Ar),3.32(t,8H,J=7.2Hz,CH),1.67−1.57(m,8H,CH),1.46−1.34(m,8H,CH),1.00(t,12H,J=7.3Hz,CH).13C NMR(75MHz,CDCl):δ(ppm)=165.1,158.6,158.3,156.9,149.2,148.7,140.6,130.6,127.3,126.3,123.7,122.6,121.4,118.3,117.0,11.6,110.3,106.6,99.4,96.9,50.9,29.6,20.5,14.1.分析 C6158についての計算値:C,69.31;H,5.53;N,5.30.分析実測値C,69.05;H,5.59;N,5.23.EI−MS(m/z(相対強度)):理論的質量1056.43(100);実測値1056.5(24),1013.4(32),443.4(100)。
【0216】
実施例13:
【化58】
化合物(13)をルートCを通して合成した。H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=11.14(s,2H,OH),8.36(d,2H,J=1.6Hz,CH Ar),8.07(s,2H,CH Ar),8.04(dd,2H,J=8.5Hz,J=1.7Hz,CH Ar),7.71(d,2H,J=8.6Hz,CH Ar),7.64(d,4H,J=8.8Hz,CH Ar),7.17(s,2H,CH Ar),6.68−6.66(m,6H,CH Ar),3.31(t,8H,J=7.3Hz,CH),1.63−1.56(m,8H,CH,),1.42−1.33(m,8H,CH),0.97(t,12H,J=7.2Hz,CH).13C NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)=166.1,158.9,158.5,157.0,151.9,148.7,141.2,139.0,126.4,125.0,123.9,119.3,118.4,116.7,111.6,111.5,106.0,99.6,96.8,50.9,29.6,20.5,14.1.分析C5858S.CHClについての計算値:C,71.73;H,6.02;N,5.77.分析実測値C,71.56;H,6.04;N,5.65.EI−MS(m/z(相対強度)):理論的質量970.40(100);実測値972.5(8),971.5(20),970.5(30),928.5(40),927.4(55),400.8(100)。
【0217】
実施例14:
【化59】
化合物(14)をルートCを通して合成した。H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)=11.36(s,1H,OH),8.10(s,1H,CH Ar),7.86(s,1H,CH Ar),7.66(d,2H,J=8.7Hz,CH Ar),7.47(s,2H,CH Ar),7.18(s,1H,CH Ar),6.70(s,1H,CH Ar),6.68(d,2H,J=8.8Hz,CH Ar),3.32(t,4H,J=7.4Hz,CH),1.64−1.57(m,4H,CH),1.43−1.34(m,4H,CH),0.98(t,6H,J=7.3Hz,CH).13C NMR(100MHz,CDCl):δ(ppm)=165.0,158.6,158.2,156.8,148.6,148.3,141.9,128.1,126.4,123.7,122.1,118.3,117.8,116.9,111.8,111.6,106.6,99.5,96.9,50.9,29.6,20.5,14.2.分析C2929BrNについての計算値:C,65.29;H,5.48;N,5.25.分析実測値C,65.41;H,5.49;N,5.22.EI−MS(m/z(相対強度)):理論的質量532.14(100);実測値535.2(28),534.2(87),533.2(29),532.2(87),492.2(21),491.2(76),490.2(21),489.2(73),450.1(25),449.1(98),448.1(28),447.1(100)。
【0218】
実施例15:
【化60】
化合物(15)をルートCを通して合成した。H NMR(300MHz,CDCl):δ(ppm)=10.97(s,1H,OH),7.91(s,1H,CH Ar),7.65(s,1H,CH Ar),7.56−7.50(m,3H,CH Ar),7.06(s,1H,CH Ar),6.62(d,2H,J=8.6Hz,CH Ar),6.56(s,1H,CH Ar),3.30(t,4H,J=7.2Hz,CH,),1.66−1.56(m,4H,CH),1.45−1.27(m,4H,CH),0.99(t,6H,J=7.2Hz,CH).13C NMR(75MHz,CDCl):δ(ppm)=164.8,158.7,158.2,156.8,148.6,146.7,142.0,130.4,126.2,123.7,121.0,118.4,117.9,116.8,111.5,105.8,103.2,99.4,96.7,50.9,29.6,20.5,14.1.EI−MS(m/z(相対強度)):理論的質量610.05(100);実測値614.1(47),612.1(88),610.1(47),571.1(40),569.1(80),567.1(40),529.0(53),527.0(100),525.0(49)。
【0219】
C.光物理学的データ
C.1.溶液中
様々な溶媒における溶液中の光物理学的データを収集し、表1a及び1bに集めた。
【表1】
【表2】
【0220】
表1aを考慮すると、本発明による化合物ではない化合物5及び6は、溶液中で二重発光を呈さない。
【0221】
それとは逆に、本発明による化合物、すなわち、化合物7、8、9、10、11、12、13、14、及び15は、2つの発光帯(λem)の存在によってわかるように、強い二重発光特性を呈する。このような2つの発光帯は、両方のE*及びK*発光に相当する。二重発光の強度を、RDU比で測定し、これは、有利に0.2より高く、好ましくは0.3よりも高い。
【0222】
このような結果はまた、化合物7、8、9、10、11、12、13、14、及び15が、例えば、低誘電定数及び高誘電定数を有する溶媒などの、様々な種類の溶媒中で溶液二重発光を表すことも示唆している。
【0223】
化合物8及び9は、2つの帯E*及びK*の最大波長が最も強く離間される、最も強い二重発光を呈する。
【0224】
これらの結果は、化合物の電子置換に応じて、二重発光(両E*及びK*帯)が、観測され、その強度は、本発明の化合物上に存在する電子求引基の電気陰性度に応じることを示している。この結果は、E*及びK*互変異性体の相対的励起状態安定性に関連付けられる。
【0225】
E*帯の強度の増加は、強い電子求引性(化合物8及び9中のそれぞれCF及びCN)から穏やかに電子求引性(化合物7及び10のそれぞれF及びCO)に至るまで、化合物のベンゾキサゾール部分に結合された断片の全体的な電気陰性度に相関することができるということが、これらの実験の結果である。
【0226】
理論によって束縛されることなく、化合物7、8、9、10、11、12、13、14、及び15に存在するp−ジブチルアミノフェニル基の強い電子供与能力は、化合物ベンゾフラン−オール部分の酸度を減少させ、これがそのpKaを増加させ、これが、今度は、励起状態におけるエノール異性体を安定化させると考えられる。加えて、ベンゾキサゾール部分上の電子求引基の存在は、該ベンゾキサゾール部分のpKbを増加させると考えられる。これらの組み合わされた協働作用は、二重発光を得ることを好み、RDU比を調整することを可能にする。
【0227】
加えて、可視領域を網羅する広範の発光帯のために、とりわけ化合物8、9、及び10について、とりわけシクロヘキサン中で、白色光発光が観測される。
【0228】
C.2.固体状態中
光物理学的特性は、KBrマトリックスペレット中及びPMMA/PSフィルム中に分散された固体状態においても検討された。光学特性を、表2a及び2bに提示する。粉末を、ペレットとしてのKBrマトリックス中に分散し、またはPMMA/PS中に0.5%としてヨウ化し、スピンコーティング法によって、透明フィルムをガラスプレート上に調製した。
【表3】
【表4】
【0229】
化合物7、8、9、10、11、12、13、14、及び15について記録された発光特性は、溶液状態において観測されたものと同様な傾向に従い、すなわち、二重の強い発光が、それぞれ高エネルギー及び低エネルギーにおけるE*及びK*帯に相当する。比較化合物5及び6については、発光スペクトルは、それぞれKBrペレット及びドープされたポリマーの薄フィルムにおいて観測された単独のK*帯で溶液中で記録されたものと準同一である。
【0230】
他にも、化合物7、8、9、及び10についての量子収率は、10〜32%に及んで、溶液中で記録されたものよりも著しく高い。
【0231】
最強の求引性基を担持する化合物8及び9(8及び9については、それぞれCN及びCF)についてのより明白なE*発光が記録された。E*の強度がベンゾキサゾール側にある基の許容能力に沿って増加することが観測され、特徴は溶液中及び固体状態の両方で見出された。
【0232】
特に、これらの結果は、化合物7、8、9、10、11、12、13、14、及び15についての固体状態における二重発光の結果として、白色光が、PMMA/PSドープフィルムにおいて、特にそのCIE座標がx、yが純粋な白色に最も近い化合物8について観測されることを示している(表2aを参照)。
【0233】
これらの実験結果は、時間依存密度半関数計算(TD−DFT)によっても分析され、これは、一方では、E*及びK*発光のみが存在する(回転異性体がない)こと、他方では、励起状態にある2つの互変異性体の相対的自由エネルギーがE*/K*発光強度の比を導くことを確認する。
【0234】
したがって、本発明による化合物は、溶液中及び/または特に固体状態で二重発光特性を呈することを発見した。
【0235】
したがって、本発明による化合物は、新規の白色発光化合物を提供することも発見した。
【0236】
したがって、本発明による化合物は、光励起時に、広範かつ調整可能な二重発光を表すことを発見した。
【0237】
したがって、本発明による化合物は、良好なルミネセンス特性を提供することも発見した。
【0238】
したがって、本発明による化合物は、許容し得る量子収率を提供することも発見した。
【0239】
本発明による化合物は、レシオメトリック検出のためのデバイス及び白色光を発光するデバイスを作製することを可能にする。
【0240】
D.理論計算
以下の化合物:B1、B2及びB3で理論計算を実施した。B1及B2は比較化合物であり、一方B3は、本発明による化合物である。
【化61】
【0241】
本明細書で使用されるプロトコルは、PCM−M06−2X/6−31G(d)であり、これはギブス相対エネルギーの計算を可能にする。このようなプロトコルは、Benelhadj,K.et al.,“White emitters by tuning the excited state intramolecular proton transfer fluoresecence emission in 2−(2’−hydroxybenzofuran)benzoxazole dyes”,Chemistry a European Journal,2014,September 21,20(40),12843−57の刊行物に開示されている。
【0242】
については、基底状態においては7kcal.mol−1でエノール配座が与えられ、一方、励起状態では、4kcal.mol−1でケト配座が与えられる。Bについては、基底状態においては5kcal.mol−1でエノール配座が与えられ、一方、励起状態では、4kcal.mol−1でケト配座が与えられる。Bについては、基底状態においては14kcal.mol−1でエノール配座が与えられ、一方、励起状態では、3kcal.mol−1でケト配座が与えられる。
【0243】
計算された励起状態デルタG(eV)は、Bでは−0.05となり、これは、前の実験的/理論アナロジーに基づいて、二重発光を表す可能性が非常に高い。
【0244】
及びBでは、それぞれ−0.10及び−0.12となり、これは単一発光(定量的プロトン移動)を好むであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2017年1月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、
−Aが、電子求引基を表し、
−Dが、電子供与基を表し、
−Xが、O、S、及びNRからなる群から選択され、式中、Rが、H、アルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群から選択され、
−nが、1〜4の整数であり、
−mが、1〜6の整数であり、
【化2】
が、6〜22個の炭素原子と、N、S、及びOからなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子(複数可)とを含む、縮合二環式芳香族ラジカルを表し、
前記OH基が以下のラジカル
【化3】
に対して前記縮合二環式芳香族ラジカルのオルト位にある、化合物。
【請求項2】
以下の式(II)を有し、
【化4】
式中、
−R1、R2、R3、及びR4が、互いに独立して、Hまたは電子求引基Aを表し、
−R5、R6、R7、及びR8が、互いに独立して、Hまたは電子供与基Dを表すか、
あるいはR5及びR6が、これらを担持する炭素原子と共に、4〜6個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、前記環が、N、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、前記環が、任意に、少なくとも1つの電子供与基Dによって置換されるか、
あるいはR6及びR7が、これらを担持する炭素原子と共に、4〜6個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、前記環が、N、O及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、前記環が、任意に、少なくとも1つの電子供与基Dによって置換されるか、
あるいはR7及びR8が、これらを担持する炭素原子と共に、4〜6個の原子を含む少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、前記環が、N、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、前記環が、任意に、少なくとも1つの電子供与基Dによって置換され、
−X、A、及びDが、請求項1で定義された通りであり、
5及びR6、またはR6及びR7、またはR7及びR8のうちの少なくとも1つが、前記少なくとも部分的に不飽和の環を形成し、
1、R2、R3、及びR4のうちの少なくとも1つが、電子求引基Aであり、
式(II)の前記化合物が、少なくとも1つの電子供与基Dを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記電子供与基Dが、
−O-
−ORaであって、式中、Raが、Hであるか、またはアルキル基である、ORa
−NRbcであって、式中、Rb及びRcが、互いに独立して、
・H、
・アルキル基、及び
・アリール基からなる群から選択される、NRbc
−NHC(O)Rdであって、式中、Rdが、
・アルキル基、及び
・アリール基からなる群から選択される、NHC(O)Rd
−アリール基、ならびに
−アルキル基からなる群から選択され、
前記アルキル基及びアリール基が、任意に、少なくとも1つの電子供与基で置換される請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記基Aが、
−ハロゲン、
−C(O)Reであって、Reが、
・Cl、
・H、
・ORfであって、Rfが、Hであるか、またはアルキル基である、ORf、及び
・アルキル基からなる群から選択される、C(O)Re
−NO2
−SO2NRghであって、Rg及びRhが、互いに独立して、アルキル基、またはアリール基を表す、SO2NRgh
−CN、
−CF3
−ハロゲン、NO2、CN、C(O)Re、SO2NRgh、及びCF3から選択される少なくとも1つの基で置換されたアルキル基であって、式中、Re、Rg、及びRhが、上記で定義された通りであり、前記アルキルが、ヘテロアリールで任意に置換され、前記ヘテロアリールが、置換ヘテロアリールで任意に置換される、アルキル基、
−ハロゲン、NO2、CN、C(O)Re、SO2NRgh、及びCF3から選択される少なくとも1つの基で置換されたアリール基であって、式中、Re、Rg、及びRhが、上記で定義された通りである、アリール基、
−−S(O)2−Wであって、Wが、置換ヘテロアリールで任意に置換されたヘテロアリールである、−S(O)2−W、
−SO3H、
−以下の式
【化5】
を有するラジカル、ならびに
−N+ijklであって、式中、Ri、Rj、Rk、及びRlが、互いに独立して、Hであるか、またはアルキル基であり、前記アルキル基が、ハロゲン、NO2、CN、C(O)Re、SO2NRgh、及びCF3から選択される少なくとも1つの基で任意に置換され、Re、Rg、及びRhが、上記で定義された通りである、N+ijkl、からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記基Aが、π電子共役鎖を含む、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記基Aが
【化6】
または
【化7】
である、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
5及びR6が、これらを担持する炭素原子と共に、5個の原子を含む少なくとも部分的に置換された環を形成し、前記環が、N、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、前記環が、少なくとも1個の電子供与基Dによって任意に置換された、請求項2〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
以下の式(III)を有し、
【化8】
式中、
−R9及びR10が、互いに独立して、Hまたは電子供与基Dを表し、
−R1、R2、R3、R4、R5、R8、X、及びDが、請求項1〜4のいずれか一項で定義された通りである、請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
以下の式(IV)を有し、
【化9】
式中、
−R11が、Hまたは電子供与基Dを表し、
−R1、R2、R3、R4、R5、R8、X、A、及びDが、請求項で定義された通りである、請求項に記載の化合物。
【請求項10】
以下の式(V)を有し、
【化10】
式中、
−R’及びR’’が、互いに独立して、Hであるか、またはアルキル基を表し、
−R3、R5、R8、及びXが、請求項2〜のいずれか一項で定義された通りである、請求項に記載の化合物。
【請求項11】
下記からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【化11】
【化12】
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を含むまたはこれらからなる固体材料(S)。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の1つ以上の化合物と、少なくとも1つのポリマー及び/もしくはポリマー材料ならびに/または有機マトリックスとを含み、前記有機マトリックが、任意に無機材料を含材料(M)。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項12に記載の固体材料(S)もしくは請求項13に記載の材料(M)を含む、発光デバイス。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、または請求項12に記載の固体材料(S)もしくは請求項13に記載の材料(M)を含む、レシオメトリック分析のためのデバイス。
【請求項16】
白色光を発光するために、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物、または請求項12に記載の固体材料(S)もしくは請求項13に記載の材料(M)。
【請求項17】
光プローブとしての、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物、または請求項12に記載の固体材料(S)もしくは請求項13に記載の材料(M)。
【国際調査報告】