特表2017-524547(P2017-524547A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-524547給水システムの切迫する給水中断の早期報知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-524547(P2017-524547A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】給水システムの切迫する給水中断の早期報知方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/10 20060101AFI20170804BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20170804BHJP
   B23B 51/06 20060101ALI20170804BHJP
【FI】
   B23Q11/10 E
   B23Q17/00 Z
   B23B51/06 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-575049(P2016-575049)
(86)(22)【出願日】2015年6月24日
(85)【翻訳文提出日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】EP2015064214
(87)【国際公開番号】WO2015197669
(87)【国際公開日】20151230
(31)【優先権主張番号】14173837.7
(32)【優先日】2014年6月25日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】ルプレヒト, ハンス
(72)【発明者】
【氏名】セバー, エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】スペクト, ヘルムート
【テーマコード(参考)】
3C011
3C029
3C037
【Fターム(参考)】
3C011EE08
3C029EE01
3C037DD06
(57)【要約】
本発明は、工作機械(2)、特にコアドリル装置と共に用いられる給水システム(1)を制御する方法に関するものであって、前記給水システム(1)は、水を貯留するための貯水器(4)と、第1部分(17)及び第2部分(18)を有し、前記貯水器(4)から前記工作機械(2)に水を搬送する給水通路(5)と、前記貯水器(4)から前記工作機械(2)に水を送給するポンプ装置(7)と、信号装置(6)と、前記ポンプ装置(7)の少なくとも1つのパラメータを計測する少なくとも1つのセンサ(8)と、制御装置(9)とを備える。本発明の方法は、前記ポンプ装置(7)の前記少なくとも1つのパラメータが、予め定めた期間にわたり予め定めた閾値より低下し、且つ予め定めた量の水を前記工作機械(2)への供給用に使用可能であるときに、信号を発する工程を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械(2)、特にコアドリル装置と共に用いられる給水システム(1)を制御する方法であって、
前記給水システム(1)は、
水を貯留するための貯水器(4)と、
第1部分(17)及び第2部分(18)を有し、前記貯水器(4)から前記工作機械(2)に水を搬送する給水通路(5)と、
前記貯水器(4)から前記工作機械(2)に水を送給するポンプ装置(7)と、
信号装置(6)と、
前記ポンプ装置(7)の少なくとも1つのパラメータを計測する少なくとも1つのセンサ(8)と、
制御装置(9)とを備え、
前記ポンプ装置(7)の前記少なくとも1つのパラメータが、予め定めた期間にわたり予め定めた閾値より低下し、且つ予め定めた量の水を前記工作機械(2)への供給用に使用可能であるときに、信号を発する工程
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ポンプ装置(7)の前記少なくとも1つのパラメータは、前記ポンプ装置(7)における水圧であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポンプ装置(7)の前記少なくとも1つのパラメータは、前記ポンプ装置(7)の入力電力であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記予め定めた量の水は、前記給水通路(5)における前記第2部分(18)の内部容積によって得ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械、特にコアボーリング装置と共に用いられる給水システムとして、水を貯留するための貯水器と、第1部分及び第2部分を有し、貯水器から工作機械に水を搬送する給水通路と、貯水器から工作機械に水を送給するポンプ装置と、信号装置と、ポンプ装置の少なくとも1つのパラメータを計測する少なくとも1つのセンサと、制御装置とを備えた給水システムを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんど全てのコアボーリング装置に加え、それ以外にも大型の工作機械(例えば、のこぎり装置、アングルグラインダ)を用いる多くの作業において、給水システムは、極めて重要であり必須の設備である。特に、回転するドリルビットで岩に穴を開けるためにコアボーリング装置を用いる際、コアボーリング装置の個々の構成部材及びドリルビットに対し、冷却及び洗い流しを行うことが必要となる。一般的に、コアボーリング装置を給水管、例えば一般的な水道に接続することにより、必要な冷却及び洗い流しを行う場合がある。しかしながら、工作を行う際にドリルビットを冷却すると共に、ドリルビットによって分離された岩石や削りくずを洗い流すために、コアボーリング装置を給水管に接続する代わりに、給水システムによって、工事現場に対し、ある程度の給水を行うことが可能となる。このような目的のために、この給水システムは、冷却及び洗い流しを目的として特定の量の水を貯留する貯水器を有している。また、給水システムは、工作機械またはドリルビットにポンプで水を送給可能な給水通路を、可撓性ホースの形式で有している。
【0003】
従来技術として、コアボーリング装置のような工作機械と共に用いられる給水システムは、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006035345号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コアボーリング作業は複雑であり、ボーリング作業を実行している間中だけではなく、作業の準備の際にも、ドリルビットに加えてコアボーリング装置の継続的な監視が必要となる。とりわけ、コアボーリング装置の動力伝動機構、ドリル速度、トルク、及び掘進速度に加え、冷却及び洗い流しのために必要な水の量を、それぞれ変化させて調整する必要がある。更に、コアボーリング作業中は常に、コアボーリング装置及びドリルビットへの水の流動を継続的且つ十分に確保する必要がある。供給された水は、コアボーリング装置を冷却すると共に、ドリルビットから掘削泥水(分離された岩石、削りくず及び水の混成物)を洗い流すために用いられる。コアボーリング装置及びドリルビットに対し、十分な量の水を送給することができなくなると、コアボーリング装置が過熱し、ドリルビットが加工穴の中で動かなくなってしまうおそれがある。この結果、コアボーリング装置及びドリルビットが永久的に損傷してしまう可能性があり、動かなくなったドリルビットを、時間をかけて取り外し、修理するための多額の費用が発生するだけでなく、コアボーリング作業の完了が遅延することにもなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、上述した問題を解消することにあり、具体的には、工作機械、特にコアボーリング装置と共に用いられる給水システムの制御方法として、不十分な給水に起因した工作機械及びドリルビットの損傷を効果的に防止することが可能な制御方法を提供することにある。
【0007】
本発明のこのような目的は、独立請求項1の主題によって達成される。また、本発明の有用な態様は、従属請求項に示される。
【0008】
このような目的を達成するため、工作機械、特にコアボーリング装置と共に用いられる給水システムであって、水を貯留するための貯水器と、第1部分及び第2部分を有し、前記貯水器から前記工作機械に水を搬送する給水通路と、前記貯水器から前記工作機械に水を送給するポンプ装置と、信号装置と、前記ポンプ装置の少なくとも1つのパラメータを計測する少なくとも1つのセンサと、制御装置とを備えた給水システムを制御する方法が提供される。
【0009】
本発明による方法は、
前記ポンプ装置の前記少なくとも1つのパラメータが、予め定めた期間にわたり予め定めた閾値より低下し、且つ予め定めた量の水を前記工作機械への供給用に使用可能であるときに、信号を発する工程を備えることを特徴とする。
【0010】
このような信号を送信することにより、コアボーリング装置の使用者は、コアボーリング作業の実行中に、わずかな量の水しか冷却及び洗い流しに利用できないこと、及び、それに対応して、例えばコアボーリング作業を中断するなどといった対応処置を開始して、ドリルビットが動かなくなったり、それ以外の障害が生じたりしないようにする必要があることを迅速に知ることができる。
【0011】
本発明の有用な一態様として、前記ポンプ装置の前記少なくとも1つのパラメータは、前記ポンプ装置における水圧であってもよい。
【0012】
本発明の有用な一態様として、前記ポンプ装置の前記少なくとも1つのパラメータは、前記ポンプ装置の入力電力とすることも可能である。
【0013】
前記信号を送信した後に、前記工作機械に供給する最低限の量の水を得るため、前記予め定めた量の水は、前記給水通路における前記第2部分の内部容積によって得るようにすることが考えられる。
【0014】
図面に基づく以下の説明から、更なる効果が判明する。図面には、本発明の様々な実施形態が示されている。図面、明細書、及び特許請求の範囲には、多くの特徴が、組み合わせられた状態で含まれている。当業者は、必要に応じ、それぞれの特徴を個別に考察すると共に、別の合理的な組み合わせとしうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】給水システムと、コアボーリング装置として構成された工作機械とを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、工作機械2に接続された給水システム1を示している。給水システム1は、本発明による方法を実行するように構成されている。
【0017】
給水システム1は、基本構成として、ハウジング3と、水を貯留する貯水器4と、貯水器4から、コアボーリング装置として構成された工作機械2(以下、コアボーリング装置2)に水を搬送する給水通路5と、信号装置6と、貯水器4からコアボーリング装置2に水を送給するポンプ装置7と、ポンプ装置7の少なくとも1つのパラメータを計測するセンサ8と、制御装置9とを備える。
【0018】
ハウジング3は、実質的に中空体として構成されている。
【0019】
貯水器4は、ハウジング3の中に配置されており、水を供給するための容器として用いられる。これに代えて、別の適合する液体を用いるようにしてもよい。
【0020】
給水通路5は、可撓性ホースによって形成され、第1端部5aと第2端部5bとを有する。後に詳述するように、給水通路5は、第1部分17と第2部分18とを備える。給水通路5の第1端部5aは、貯水器4内の水の中に突設されている。給水通路5の第2端部5bは、コアボーリング装置2の接続部材13に接続されている。給水通路5は、貯水器4から、ドリルビットとして構成された工具14(以下、ドリルビット14)に、使用前の水を搬送するのに用いられる。図1に示すように、給水通路5は、水がドリルビット14の内部に到達するように、接続部材13を介してコアボーリング装置2に接続されている。水は、ボーリング作業の際に、ドリルビット14の冷却及び洗い流しを行う。そのために、水は、ドリルビット14の第1端部14aからドリルビット14内に流入し、ドリルビット14の第2端部14bからドリルビット14の外に出る。ドリルビット14は、流出口16を有した集水機構15を第2端部14bに備える。水は、処分するため、掘削泥水(図示せず)と共に、流出口16を介してドリルビット14から流出する。代替の構成として、給水通路5は、冷却及び洗い流しを目的としてドリルビット14に至る前に、冷却を目的として、まずはコアボーリング装置2を通過するように配設してもよい。
【0021】
有用な一実施形態によれば、給水通路5の径は6mmである。この径は、6mm未満とすることも可能である。給水通路5の径を最大の6mmとすることにより、ポンプ装置7より上流側の給水通路5の部分に水がなくなって、ポンプ装置7が水ではなく空気を送給したとしても、少なくともポンプ装置7より下流側の給水通路5内に位置する水を、引き続きドリルビット14に確実に送給することができる。
【0022】
ポンプ装置7は、給水通路5に接続され、使用前の水を、貯水器4からドリルビット14に送給または圧送するのに用いられる。ポンプ装置7はダイヤフラムポンプである。但し、適合する別の任意の形式のポンプを用いることも可能である。給水通路5中にポンプ装置7を配置することにより、給水通路5は、第1部分17(AからBまでの区間)と、第2部分18(CからDまでの区間)とに分割される。第1部分17は、第1端部17aと第2端部17bとを有する。第1部分17の第1端部17aは、貯水器4内の水の中に突設され、第1部分17の第2端部17bは、ポンプ装置7に接続されている。給水通路5の第2部分18は、第1端部18aと第2端部18bとを有する。第2部分18の第1端部18aは、ポンプ装置7に接続され、第2部分18の第2端部18bは、接続部材13に接続されている。
【0023】
ポンプ装置7の少なくとも1つのパラメータを計測するセンサ8は、図1に示す実施形態において、水圧センサとして構成されている。これに代わる実施形態として、図示はしないが、ポンプ装置7の入力電力を計測するセンサとして、センサ8を構成するようにしてもよい。
【0024】
図1に示すセンサ8は、ポンプ装置7に結合され、ポンプ装置7内の水圧の計測に用いられる。これに代わる実施形態として、図示はしないが、センサ8が、ポンプ装置7内ではなく、給水通路5の第1部分17及び第2部分18の少なくとも一方における水圧を計測するようにすることも可能である。
【0025】
信号装置6は、図1に示す実施形態において、音響信号発生器(ホーン)として構成されている。これに代わる実施形態として、図示はしないが、可視信号発生器(発光器)、または音響信号と可視信号とを組み合わせた信号発生器として、信号装置6を構成するようにしてもよい。
【0026】
制御装置9は、センサ8及び信号装置6に接続されている。制御装置9は、データ、即ちセンサ8からの計測データを受け取って分析する機能を有する。更に、制御装置9は、ポンプ装置7の監視、制御、及び調整を行う。また、制御装置9は、信号装置6の制御も行う。制御装置9には、個々のパラメータ、即ちポンプ装置7内の水圧、及びポンプ装置7の入力電力に関する閾値または限界値が保管されている。
【0027】
コアボーリング装置2と共に給水システム1を作動させるため、コアボーリング装置2は、冷却及び洗い流しを行うための水を供給する給水通路5に接続される(図1参照)。ポンプ装置7は、給水通路5を介し、貯水器4からドリルビット14に水を送給する。水圧センサとして構成されたセンサ8は、ポンプ装置7内の水圧を繰り返し計測し、その計測データを制御装置9に送信する。制御装置9は、受け取った計測データを、制御装置9内に保管されている閾値と繰り返し比較する。給水通路5の第1部分17だけでなく、貯水器14内にも水がなくなることによって、ポンプ装置7内の水圧が、定められた期間にわたり、定められた閾値を下回ると、制御装置9は、これに対応する信号を信号装置6(ホーン)に送信する。信号装置6は、給水がほとんど枯渇したことを、コアボーリング装置2の使用者(図示せず)に通知するための警報信号を発するホーンとして構成されている。このような警報信号が発せられると、給水通路5の第2部分18の内部容積分の量の水だけが、ドリルビット14の冷却及び洗い流しに使用できることになる。ダイヤフラムポンプとして構成されたポンプ装置7は、給水通路5の第2部分18内に残存している水を、引き続きドリルビット14に送給することが可能である。警報信号が発せられると、コアボーリング装置2の使用者は、給水通路5の第2部分18の中の水(内部容積分)のみがドリルビット14に送給されることになり、間もなく水が全く送給されなくなることが判る。警報信号が発せられた後、使用者には、コアボーリング作業を適切に終了させる時間、即ち、送給された最後の水を用いて、ドリルビット14が静止状態となるように、ドリルビット14の回転速度を低下させる時間しかない。このような操作により、コアボーリング作業中に、ドリルビット14が「ドライ状態」(即ち、水なしの状態)で作動することを効果的に防止できる。
【0028】
もう1つの有用な実施形態によれば、センサ8は、ポンプ装置7の入力電力を計測するように構成されている。センサ8が計測したデータは、制御装置9に送信され、これに対応して保管されている閾値と比較される。貯水器4と、給水通路5の第1部分17とに水がなくなることによって、計測データが、定められた期間にわたり、定められた閾値を下回ると、信号装置6を介して警報信号が発せられる。上述したように、この警報信号は、給水がほとんど使い果たされ、給水通路5の第2部分18の部分の量(内部容積)の水だけが、冷却及び洗い流しに使用可能であることを、使用者に知らせるために用いられる。
図1
【国際調査報告】