特表2017-524648(P2017-524648A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-524648(P2017-524648A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】チタン含有鉱物からの生成物の抽出
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/04 20060101AFI20170804BHJP
   C01F 7/74 20060101ALI20170804BHJP
   C01F 5/40 20060101ALI20170804BHJP
【FI】
   C01G23/04 Z
   C01F7/74
   C01F5/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2017-522311(P2017-522311)
(86)(22)【出願日】2015年7月8日
(85)【翻訳文提出日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】NZ2015050084
(87)【国際公開番号】WO2016007020
(87)【国際公開日】20160114
(31)【優先権主張番号】627180
(32)【優先日】2014年7月8日
(33)【優先権主張国】NZ
(31)【優先権主張番号】627185
(32)【優先日】2014年7月8日
(33)【優先権主張国】NZ
(31)【優先権主張番号】627187
(32)【優先日】2014年7月8日
(33)【優先権主張国】NZ
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517009132
【氏名又は名称】アヴァータナ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ハッセル,デヴィッド・ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】オベルン,ジェームス・ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】モリー,ショーン・ダニエル・ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム,シェリフ・オーウェン・ザキ・イマッド・マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】アリ,モハメッド・シェリーズ
【テーマコード(参考)】
4G047
4G076
【Fターム(参考)】
4G047CA02
4G047CB01
4G047CD03
4G076AA02
4G076AA14
4G076AB28
4G076AC04
4G076BA25
4G076BA46
4G076BC02
4G076BC07
4G076BC08
4G076BC09
4G076BD01
4G076BD02
4G076BD06
4G076BE11
4G076CA02
4G076CA36
4G076DA28
(57)【要約】
本発明は、ペロブスカイト等のチタン含有鉱物から金属類及び塩類を抽出するためのプロセスに関する。より具体的には、排他的にではないが、本発明は、製鉄プロセスに由来する溶融スラグから、二酸化チタン及び任意に他の化合物を抽出することに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子材料から二酸化チタン、硫酸アルミニウム、及び硫酸マグネシウムを回収する方法であって、前記方法が、
a.前記微粒子材料を硫酸と接触させて、加熱し、硫酸化混合物を形成することと、
b.前記硫酸化混合物をフィルタ処理して、フィルタケーキと、硫酸を含む第1の透過液とを生成することと、
c.前記フィルタケーキを水と接触させ、硫酸チタニルを含む硫酸化懸濁液を形成することと、
d.前記硫酸化懸濁液をフィルタ処理して、少なくとも硫酸チタニルを含む透過液と、不溶残渣を含む濃縮水とを生成することと、
e.前記少なくとも硫酸チタニルを含む透過液を水と接触させて、加水分解液を生成することと、
f.前記硫酸チタニルを加水分解することと、
g.前記加水分解液から二酸化チタン水和物を分離して、硫酸アルミニウム及び硫酸マグネシウムを含む透過液と、二酸化チタン水和物を含む濃縮水とを生成することと、
h.前記透過液から硫酸アルミニウムを析出することと、
i.前記透過液から硫酸マグネシウムを析出することと、を含み、
ステップh.が、ステップdの後またはステップgの後に実施され得る、方法。
【請求項2】
前記不溶残渣を含む濃縮水が、硫酸カルシウム及びシリカから選択される少なくとも1つの生成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
硫酸アルミニウムを析出する前記ステップが、
a.ステップd.またはステップg.からの前記透過液を冷却して、析出された硫酸アルミニウムを含む冷却液を生成することと、
b.前記冷却液をフィルタ処理して、析出された硫酸アルミニウムを含む濃縮水と、透過液とを生成することと、を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
硫酸アルミニウムを析出する前記ステップが、10℃〜4℃まで前記透過液を冷却することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
硫酸マグネシウムの前記析出が、
a.前記硫酸マグネシウムを含む透過液の酸濃度を増加させて、酸性化液を形成するステップと、
b.前記酸性化液をフィルタ処理して、析出された硫酸マグネシウムを含む濃縮水を生成するステップと、を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記硫酸マグネシウムを含む透過液の酸濃度が、硫酸の添加によって増加させられる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記硫酸マグネシウムを含む透過液のpHが、硫酸の添加によって、約pH1未満に減少させられる、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記硫酸マグネシウムを含む透過液の酸濃度が、前記透過液を加熱して、水を除去することによって増加させられる、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記微粒子材料が、8m%超の二酸化チタン、10m%超の酸化アルミニウム、及び10m%超の酸化マグネシウムを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記微粒子材料が、15m%超の二酸化チタン、10m%超の酸化アルミニウム、及び13m%超の酸化マグネシウムを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記微粒子材料が、約0.2〜2.6の二酸化チタンと酸化アルミニウムとの比率(TiO:Al)を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記微粒子材料が、約0.5〜3.0の二酸化チタンと酸化マグネシウムとの比率(TiO:MgO)を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
硫酸マグネシウムを析出する前記ステップが、
a.前記硫酸マグネシウムを含む透過液または請求項5に記載の酸性化液を冷却して、硫酸マグネシウムを含む冷却液を生成することと、
b.前記硫酸マグネシウムを含む冷却液をフィルタ処理して、析出された硫酸マグネシウムを含む濃縮水と、透過液とを生成することと、を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記透過液または液が0℃〜4℃に冷却される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記微粒子材料が、鉄スラグ、溶融スラグ、鉄スラグから得られるもの、溶融スラグから得られるもの、鉄製造プロセスから得られるもの、及び鋼製造プロセスから得られるものからなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、原料を粉砕して、ステップa.の前記微粒子材料を形成するステップをさらに含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記微粒子材料が10〜180μmの粒径を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記微粒子材料が、その化学量論量の4〜10倍の硫酸と接触させられる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記硫酸化混合物をフィルタ処理する前記ステップが、前記混合物を圧縮空気と接触させることをさらに含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記圧縮空気の温度が10℃〜85℃である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも硫酸チタニルを含む透過液が、加熱されて、水を除去し、遊離酸度を増加させる、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記加水分解液が、二酸化チタン粒子を含有する水と接触させられる、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
a.二酸化チタン、
b.シリカ、
c.硫酸カルシウム、
d.硫酸アルミニウム、または
e.硫酸マグネシウムから選択される、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法によって生成される、生成物。
【請求項24】
微粒子材料から生成物を回収するためのシステムであって、
a.硫酸と少なくとも二酸化チタンを含む微粒子材料とを受容及び加熱して、硫酸化混合物を生成するように適合された反応器と、
b.前記硫酸化混合物を受容して、少なくとも硫酸を含む第1の透過液、及び少なくとも硫酸チタニルを含むフィルタケーキを生成するように適合された第1の濾過ユニットと、
c.硫酸チタニルを含む溶液を受容し、前記溶液を加熱して、加水分解液を生成するように適合された反応器と、
d.前記加水分解液を受容して、二酸化チタン水和物を分離するように適合された分離ユニットと、
e.硫酸アルミニウムの析出を促進する少なくとも1つの析出槽と、
f.析出された硫酸アルミニウムの分離を促進する少なくとも1つのさらなる濾過ユニットと、
g.硫酸マグネシウムの析出を促進する少なくとも1つの析出槽と、
h.析出された硫酸マグネシウムの分離を促進する少なくとも1つのさらなる濾過ユニットと、を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタン含有鉱物から金属類及び塩類を抽出するためのプロセスに関し、より具体的には、排他的にではないが、製鉄プロセスに由来する溶融スラグから、二酸化チタン及び任意に他の化合物を抽出することに関する。
【背景技術】
【0002】
現状、経済的に実行可能な手段では貴重な構成成分を回収できない鉱物が、多くの埋蔵量、存在する。この主要な理由は、鉱物の埋蔵量内のそのような構成成分のグレードがあまりに低いので、廃液または副産物の生成率が大きくなることである。
【0003】
製鉄及び製鋼プロセスの間の副産物として生成される溶融スラグは、チタン、アルミニウム、及びマグネシウムを含む低いグレードの商業的に価値ある成分を含有する1つのそのような鉱物である。不純物は、溶銑の製造中に溶融スラグとして除去される。一部の堆積物の場合、スラグは主にペロブスカイト(チタン酸カルシウム)であり、典型的には、20〜40%の二酸化チタンを含有し得る。
【0004】
公知の溶融スラグ抽出工程は、チタンの抽出に主眼を置くが、これはチタンが溶融スラグ内で最も高い濃度を有し、最も高い価値を有するためである。チタンは、塗料、紙、セメント、及びポリマーの生成等の多くの商業用途において使用される価値ある顔料である。溶融スラグ中において、チタンは、チタン−酸化カルシウム結晶構造のペロブスカイトの形態で存在するが、ここからの回収は困難である。ペロブスカイトからチタンを抽出する既知の方法の例としては、電気炉内において高温で炭素とペロブスカイトを反応させて、炭化チタンを生成するという方法が挙げられる。炭化チタンはその後、塩素化されて四塩化チタンを生成する。残念ながら、この方法はエネルギー集約型であり、生成される炭化物が極めて高い融解点を有することで、炉内での取扱い上の問題が生み出される。
【0005】
ペロブスカイトからチタンを抽出する別の方法としては、CA1,052,581において公開された方法がある。この方法では、ペロブスカイトは、硫化水素ガス中1200℃で焙焼することで処理される。この後、カルシウム及び硫化鉄を除去するための浸出が行われ、酸化チタンとしてチタンが残される。このプロセスの欠点は、高い温度及び非常に有毒なガスの使用である。
【0006】
たとえ僅かであっても、販売可能な生成物を鉱物から抽出するためのプロセスに対する改善は、そのようなプロセスの効率、及びより具体的には商業的実行可能性に、著しい影響を及ぼし得る。上で詳述された方法は、高い温度を使用するために経済的に能率が悪く、またこれらのプロセスではチタンしか抽出されない。チタン含有鉱物から生成物を抽出する方法を提供すること、または少なくとも有用な選択肢を公に提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、当該技術分野における必要性に回答を提供する。本発明は、チタン含有鉱物から価値ある生成物を抽出するための方法を提供する。
【0008】
第1の態様では、本発明は、微粒子材料から二酸化チタン及び少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供し、前記方法は、
a.微粒子材料を硫酸と接触させて、加熱し、硫酸化混合物を形成することと、
b.硫酸化混合物をフィルタ処理して、フィルタケーキと、硫酸を含む第1の透過液とを生成することと、
c.フィルタケーキを水と接触させ、硫酸チタニルを含む硫酸化懸濁液を形成することと、
d.硫酸化懸濁液をフィルタ処理して、少なくとも硫酸チタニルを含む透過液と、不溶残渣を含む濃縮水とを生成することと、
e.少なくとも硫酸チタニルを含む透過液を水と接触させて、加水分解液を生成することと、
f.硫酸チタニルを加水分解することと、
g.加水分解液体から二酸化チタン水和物を分離することと、を含み、
少なくとも1つの他の生成物は、硫酸カルシウム、シリカ、硫酸アルミニウム、または硫酸マグネシウムからなる群から選択される。
【0009】
いくつかの実施形態では、二酸化チタン水和物は、加水分解液をフィルタ処理して、透過液と、二酸化チタン水和物を含む濃縮水とを生成することによって分離される。代替の実施形態では、二酸化チタン水和物は、遠心分離及び析出物の収集によって分離される。
【0010】
特定の実施形態では、不溶残渣は、硫酸カルシウム及びシリカから選択される少なくとも1つの生成物を含む。
【0011】
特定の実施形態では、本発明は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、及び10m%超、15m%超、または20m%超のシリカを含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、及び15m%超、20m%超、または25m%超の酸化カルシウムを含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、10m%超、15m%超、または20m%超のシリカ、及び15m%超、20m%超、または25m%超の酸化カルシウムを含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明は、微粒子物質中の二酸化チタンと酸化カルシウムとの比率(TiO:CaO)を0.2〜3.0で、より好ましくは0.3〜2.5で含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供する。
【0014】
特定の実施形態では、本方法は、浮選プロセスを使用して不溶残渣から硫酸カルシウムを分離することをさらに含む。
【0015】
一実施形態では、本発明は、微粒子材料から二酸化チタン及び硫酸アルミニウムを回収する方法を提供し、前記方法は、
a.微粒子材料を硫酸と接触させて、加熱し、硫酸化混合物を形成することと、
b.硫酸化混合物をフィルタ処理して、フィルタケーキと、硫酸を含む第1の透過液とを生成することと、
c.フィルタケーキを水と接触させ、硫酸チタニルを含む硫酸化懸濁液を形成することと、
d.硫酸化懸濁液をフィルタ処理して、少なくとも硫酸チタニルを含む透過液と、不溶残渣を含む濃縮水とを生成することと、
e.少なくとも硫酸チタニルを含む透過液を水と接触させて、加水分解液を生成することと、
f.硫酸チタニルを加水分解することと、
g.加水分解液から二酸化チタン水和物を分離して、硫酸アルミニウムを含む透過液と、二酸化チタン水和物を含む濃縮水とを生成することと、
h.透過液から硫酸アルミニウムを析出することと、を含み、
ステップh.は、ステップdの後またはステップgの後に実施され得る。
【0016】
特定の実施形態では、第1の態様の方法は、ステップgの後に硫酸アルミニウムを析出するステップをさらに含む。一実施形態では、該析出は、
・加水分解液から生成された透過液を冷却して、析出された硫酸アルミニウムを含む冷却液を生成するステップと、
・冷却液をフィルタ処理して、析出された硫酸アルミニウムを含む濃縮水と、透過液とを生成するステップと、を含む。
【0017】
特定の実施形態では、第1の態様の方法は、ステップgの後に硫酸アルミニウムを析出するステップをさらに含み、微粒子材料は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、及び10m%超または13m%超の酸化アルミニウムを含む。
【0018】
特定の実施形態では、第1の態様の方法は、ステップgの後に硫酸アルミニウムを析出するステップをさらに含み、微粒子材料は、微粒子物質中の二酸化チタンと酸化アルミニウムとの比率(TiO:Al)を約0.2〜2.6で、より好ましくは0.25〜2.1で含む。
【0019】
特定の実施形態では、第1の態様の方法は、ステップfの前に硫酸アルミニウムを析出するステップをさらに含む。一実施形態では、該析出は、
・少なくとも硫酸チタニルを含む透過液を冷却して、析出された硫酸アルミニウムを含む冷却液を生成することと、
・硫酸アルミニウムを含む冷却液をフィルタ処理して、析出された硫酸アルミニウムを含む濃縮水と、透過液とを生成することと、を含む。
【0020】
特定の実施形態では、硫酸アルミニウムを析出するステップは、硫酸アルミニウムが結晶化するように、10℃〜4℃まで透過液を冷却することを含む。好ましい実施形態では、硫酸アルミニウムを含む透過液は、約5℃まで冷却される。
【0021】
特定の実施形態では、硫酸化懸濁液中に存在する硫酸アルミニウムのうちの90%超が回収される。
【0022】
特定の実施形態では、第1の態様の方法は、硫酸マグネシウムを含む透過液から硫酸マグネシウムを析出するステップをさらに含み、硫酸マグネシウムを含む透過液は、(二酸化チタン水和物の分離後の)加水分解液、または硫酸アルミニウムの析出後に生成された透過液である。
【0023】
一実施形態では、本発明は、微粒子材料から二酸化チタン及び硫酸マグネシウムを回収する方法を提供し、前記方法は、
a.微粒子材料を硫酸と接触させて、加熱し、硫酸化混合物を形成することと、
b.硫酸化混合物をフィルタ処理して、フィルタケーキと、硫酸を含む第1の透過液とを生成することと、
c.フィルタケーキを水と接触させ、硫酸チタニルを含む硫酸化懸濁液を形成することと、
d.硫酸化懸濁液をフィルタ処理して、少なくとも硫酸チタニルを含む透過液と、不溶残渣を含む濃縮水とを生成することと、
e.少なくとも硫酸チタニルを含む透過液を水と接触させて、加水分解液を生成することと、
f.硫酸チタニルを加水分解することと、
g.加水分解液から二酸化チタン水和物を分離して、硫酸マグネシウムを含む透過液と、二酸化チタン水和物を含む濃縮水とを生成することと、
h.透過液から硫酸マグネシウムを析出することと、を含む。
【0024】
一実施形態では、硫酸マグネシウムは、
・硫酸マグネシウムを含む透過液の酸濃度を増加させて、酸性化液を形成するステップと、
・酸性化液をフィルタ処理して、析出された硫酸マグネシウムを含む濃縮水を生成するステップと、によって析出される。
【0025】
特定の実施形態では、硫酸マグネシウムを含む透過液の酸濃度は、硫酸の添加によって増加させられる。好ましくは、硫酸マグネシウムを含む透過液のpHは、硫酸の添加によって、約pH1未満に減少させられる。特定の実施形態では、硫酸マグネシウムを含む透過液の酸濃度は、透過液を加熱して、水を除去することによって増加させられる。好ましくは、加熱は、沸点で、または130°C超の温度で実施される。好ましくは、加熱は、90%の最終酸濃度、または約pH1未満を達成するために実施される。
【0026】
特定の実施形態では、第1の態様の方法は、硫酸マグネシウムを含む透過液から硫酸マグネシウムを析出するステップをさらに含み、本方法は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、及び7m%超または10m%超の酸化マグネシウムを含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに硫酸マグネシウム生成物を回収することを含む。
【0027】
特定の実施形態では、第1の態様の方法は、硫酸マグネシウムを含む透過液から硫酸マグネシウムを析出するステップをさらに含み、本方法は、微粒子物質中の二酸化チタンと酸化マグネシウムとの比率(TiO:MgO)を約0.5〜3.0で、より好ましくは0.8〜2.8で含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに硫酸マグネシウム生成物を回収することを含む。
【0028】
一実施形態では、硫酸マグネシウムを析出するステップは、析出速度が増加させられる温度まで、硫酸マグネシウムを含む透過液、または酸性化液を冷却することを含む。
【0029】
別の実施形態では、硫酸マグネシウムを析出するステップは、
・硫酸マグネシウムを含む透過液を冷却して、硫酸マグネシウムを含む冷却液を生成することと、
・硫酸マグネシウムを含む冷却液をフィルタ処理して、析出された硫酸マグネシウムを含む濃縮水と、透過液とを生成することと、を含む。
【0030】
好ましい実施形態では、硫酸マグネシウムを含む透過液、または酸性化液は、4℃未満、0℃〜4℃、または約3℃まで冷却される。
【0031】
特定の実施形態では、硫酸化懸濁液中に存在する硫酸マグネシウムのうちの90%超が、濾過後に回収される。
【0032】
特定の実施形態では、第1の態様の方法は、
・加水分解の前か後のどちらかに、上述のような硫酸アルミニウムを析出することと、
・硫酸化懸濁液から得られた濃縮水が、硫酸カルシウム及びシリカのうちの少なくとも1つを含むことと、をさらに含む。
【0033】
特定の実施形態では、第1の態様の方法は、
・上述のような硫酸マグネシウムを析出することと、
・硫酸化懸濁液から得られた濃縮水が、硫酸カルシウム及びシリカのうちの少なくとも1つを含むことと、をさらに含む。
【0034】
特定の実施形態では、第1の態様の方法は、
・加水分解の前か後のどちらかに、上述のような硫酸アルミニウムを析出することと、
・上述のような硫酸マグネシウムを析出することと、
・硫酸化懸濁液から得られた濃縮水が、硫酸カルシウム及びシリカのうちの少なくとも1つを含むことと、をさらに含む。
【0035】
特定の実施形態では、第1の態様の方法は、
・加水分解の前か後のどちらかに、上述のような硫酸アルミニウムを析出することと、
・上述のような硫酸マグネシウムを析出することと、をさらに含む。
【0036】
一実施形態では、本発明は、微粒子材料から二酸化チタン、硫酸アルミニウム、及び硫酸マグネシウムを回収する方法を提供し、前記方法は、
a.微粒子材料を硫酸と接触させて、加熱し、硫酸化混合物を形成することと、
b.硫酸化混合物をフィルタ処理して、フィルタケーキと、硫酸を含む第1の透過液とを生成することと、
c.フィルタケーキを水と接触させ、硫酸チタニルを含む硫酸化懸濁液を形成することと、
d.硫酸化懸濁液をフィルタ処理して、少なくとも硫酸チタニルを含む透過液と、不溶残渣を含む濃縮水とを生成することと、
e.少なくとも硫酸チタニルを含む透過液を水と接触させて、加水分解液を生成することと、
f.硫酸チタニルを加水分解することと、
g.加水分解液から二酸化チタン水和物を分離して、硫酸アルミニウム及び硫酸マグネシウムを含む透過液と、二酸化チタン水和物を含む濃縮水とを生成することと、
h.透過液から硫酸アルミニウムを析出することと、
i.透過液から硫酸マグネシウムを析出することと、を含み、
ステップh.は、ステップdの後またはステップgの後に実施され得る。
【0037】
第1の態様の特定の実施形態では、微粒子材料は、鉄スラグであるか、または鉄スラグから得られる。特定の実施形態では、微粒子材料は、鉄製造プロセスからの溶融スラグである。特定の実施形態では、材料は、鋼製造プロセスからの溶融スラグである。
【0038】
特定の実施形態では、微粒子材料は、i.二酸化チタンと、
ii.シリカ、
iii.酸化カルシウム、
iv.酸化アルミニウム、及び
v.酸化マグネシウムの成分のうちの少なくとも1つと、を含む。
【0039】
特定の実施形態では、第1の態様の方法は、成分i.〜v.を含む原料を粉砕して、ステップa.の微粒子材料を形成するステップをさらに含む。特定の実施形態では、微粒子材料は180μm未満の粒径を有する。好ましい実施形態では、微粒子材料は、10〜180μmまたは40〜110μmの粒径を有する。特定の実施形態では、微粒子材料は、約30μm、45μm、60μm、70μm、80μm、90μm、または100μmの粒径を有する。
【0040】
特定の実施形態では、微粒子材料は8m%超の二酸化チタンを含む。他の実施形態では、微粒子材料は、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタンを含む。
【0041】
第1の態様の特定の実施形態では、a.の微粒子材料は、その化学量論量の4〜10倍の硫酸と接触させられる。好ましい実施形態では、b.の微粒子材料は、その化学量論量の5〜6倍、または約6倍の硫酸と接触させられる。
【0042】
特定の実施形態では、硫酸の濃度は少なくとも50m%である。他の実施形態では、酸濃度は少なくとも60m%、70m%、80m%、90m%、または98m%である。
【0043】
第1の態様の特定の実施形態では、硫酸化混合物は加熱され、存在する酸化物(特に、二酸化チタン/チタン酸カルシウム)の実質的に完全な硫酸化を達成する。特定の実施形態では、硫酸化混合物は、硫酸との接触後に、少なくとも100℃まで加熱される。好ましい実施形態では、混合物は、最大約250℃まで加熱される。
【0044】
特定の実施形態では、硫酸化混合物は、130℃〜200℃、より好ましくは約150℃〜160℃の温度まで加熱される。特定の実施形態では、混合物は、二酸化チタン(及び任意の他の成分)の実質的に完全な硫酸化を起こす加熱時間の間、加熱される。一実施形態では、加熱時間は15分〜1時間である。特定の実施形態では、加熱時間は少なくとも30分または約40分である。特定の実施形態では、ステップa.は反応器内で起こる。
【0045】
第1の態様の特定の実施形態では、硫酸化混合物をフィルタ処理するステップは、混合物を圧縮空気と接触させることをさらに含む。圧縮空気の温度は、好ましくは85℃未満である。特定の実施形態では、圧縮空気の温度は10℃〜85℃である。好ましくは、圧縮空気は、30℃〜85℃、または約50℃、60℃、70℃、もしくは80℃である。
【0046】
第1の態様の特定の実施形態では、硫酸化混合物から除去された硫酸は、ステップa.での再使用のために収集される。
【0047】
第1の態様の特定の実施形態では、少なくとも硫酸チタニルを含む透過液は、膜を使用して脱水されて、濃縮された透過液を生成し、この中で金属硫酸塩が濃縮される。
【0048】
第1の態様の特定の実施形態では、少なくとも硫酸チタニルを含む透過液は、加熱されて、水を除去し、遊離酸度を増加させる。少なくとも硫酸チタニルを含む透過液は、好ましくは100℃超、より好ましくは130℃超、最も好ましくは160℃超、または沸騰するまで加熱される。特定の実施形態では、少なくとも硫酸チタニルを含む加熱された透過液は、フィルタ処理されて、残留する硫酸を除去し、結果として生じるフィルタケーキ(析出された硫酸チタニル及び好ましくは他の析出された硫酸塩を含む)は、水と接触させられ、少なくとも硫酸チタニルを含む濃縮された透過液を得る。この透過液は、その後、加水分解及び任意にアルミニウム/マグネシウムの析出を含む下流プロセスステップに供され得る。
【0049】
特定の実施形態では、加水分解液の遊離酸度は8〜25%である。他の実施形態では、加水分解液の遊離酸度は9〜15%である。
【0050】
第1の態様の特定の実施形態では、加水分解液は、85〜140℃、80〜140℃、90℃〜120℃、または105℃〜110℃の温度まで加熱される。好ましくは、加水分解液は、硫酸チタニルのうちの実質的にすべてが反応するような時間の間加熱される。好ましくは、加熱時間は1時間〜3時間である。より好ましくは、90分〜2時間、または約100分である。特定の実施形態では、溶液は、加水分解を完了するために、85℃超の温度で約2時間の間加熱される。
【0051】
第1の態様の特定の実施形態では、加水分解液は、二酸化チタン粒子を含有する水と接触させられる。好ましくは、二酸化チタン粒子はナノ粒子である。好ましくは、加水分解液に加えられる二酸化チタン粒子の量は、液中に存在することが算出された二酸化チタンの質量の2m%〜30m%である。より好ましくは、2m%〜15m%、好ましくは、5m%〜9m%である。液に加えられたチタン粒子の粒径は、好ましくは、2nm〜10nmであり、より好ましくは、3〜6nmである。
【0052】
第1の態様の特定の実施形態では、本方法は、加水分解液を超音波処理して、溶液から二酸化チタン水和物を析出するステップをさらに含む。好ましくは、加水分解液は、加熱がない場合、超音波処理される。
【0053】
第1の態様の一実施形態では、本方法は、二酸化チタン水和物を焼成するステップをさらに含む。好ましくは、焼成は、800〜1100℃、850℃〜950℃、または890〜910℃の温度で実施される。
【0054】
第2の態様では、本発明は、第1の態様の方法によって生成された少なくとも1つの生成物を提供し、該生成物は、
a.二酸化チタン、
b.シリカ、
c.硫酸カルシウム、
d.硫酸アルミニウム、または
e.硫酸マグネシウムから選択される。
【0055】
第3の態様では、本発明は、微粒子材料から生成物を回収するためのシステムを提供し、本システムは、
a.硫酸と少なくとも二酸化チタンを含む微粒子材料とを受容及び加熱して、硫酸化混合物を生成するように適合された硫酸化反応器と、
b.硫酸化混合物を受容して、少なくとも硫酸を含む第1の透過液、及び少なくとも硫酸チタニルを含むフィルタケーキを生成するように適合された第1の濾過ユニットと、
c.硫酸チタニルを含む溶液を受容し、前記溶液を加熱して、加水分解液を生成するように適合された加水分解反応器と、
d.加水分解液を受容して、二酸化チタン水和物を分離するように適合された分離ユニットと、を備える。
【0056】
第3の態様の特定の実施形態では、分離ユニットは、加水分解液を受容して、二酸化チタンを含む濃縮水を生成するように適合された第2の濾過ユニットを備える。代替の実施形態では、分離ユニットは、析出された二酸化チタン水和物を分離するように適合された遠心分離ユニットを備える。
【0057】
第3の態様の特定の実施形態では、システムは、硫酸アルミニウムまたは硫酸マグネシウムの析出を促進する少なくとも1つの析出槽をさらに備える。
【0058】
特定の実施形態では、微粒子材料は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、またはシリカのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0059】
特定の実施形態では、システムは、析出された硫酸アルミニウムまたは析出された硫酸マグネシウムの分離を促進する少なくとも1つのさらなる濾過ユニットをさらに備える。
【0060】
第4の態様では、本発明は、微粒子材料から生成物を回収する方法を提供し、該微粒子材料は、
i.二酸化チタン、
ii.シリカ、
iii.酸化カルシウム、
iv.酸化アルミニウム、及び
v.酸化マグネシウムの成分を含み、
前記方法は、
a.微粒子材料を硫酸と接触させて、加熱し、硫酸化混合物を形成することと、
b.硫酸化混合物をフィルタ処理して、フィルタケーキと、硫酸を含む第1の透過液とを生成することと、
c.フィルタケーキを水と接触させ、硫酸チタニルを含む硫酸化懸濁液を形成することと、
d.硫酸化懸濁液をフィルタ処理して、シリカ及び硫酸カルシウムを含む濃縮水と、少なくとも硫酸チタニルを含む透過液とを生成することと、
e.少なくとも硫酸チタニルを含む透過液を水と接触させて、加水分解液を生成することと、
f.加水分解液を加熱して、硫酸チタニルを加水分解することと、
g.加水分解液をフィルタ処理することによって二酸化チタン水和物を分離して、二酸化チタン水和物を含む濃縮水と、硫酸アルミニウム及び硫酸マグネシウムを含む透過液とを生成することと、
h.硫酸アルミニウムを析出して、該液をフィルタ処理することによって析出物を分離して、析出された硫酸アルミニウムを含む濃縮水と、硫酸マグネシウムを含む透過液とを生成することと、
i.硫酸マグネシウムを析出して、該液をフィルタ処理することによって析出物を分離して、析出された硫酸マグネシウムを含む濃縮水を生成することと、を含む。
【0061】
好ましくは、第4の態様の方法において硫酸アルミニウムを析出するステップは、硫酸アルミニウム及び硫酸マグネシウムを含む透過液を冷却して、析出された硫酸アルミニウムを含む冷却液を生成することと、冷却液をフィルタ処理して、析出された硫酸アルミニウムを含む濃縮水と、硫酸マグネシウムを含む透過液とを生成することと、を含む。
【0062】
好ましくは、第4の態様の方法において硫酸マグネシウムを析出するステップは、硫酸マグネシウムを含む透過液の酸濃度を増加させて、酸性化液を形成することと、酸性化液をフィルタ処理して、析出された硫酸マグネシウムを含む濃縮水を生成することと、を含む。
【0063】
本発明はまた、本出願の明細書において言及されるか、または指示される部分、要素、及び特徴を、個別に、あるいは該部分、要素、または特徴のうちの2つ以上のいずれかまたはすべての組み合わせで集合的に含み、本発明に関する当該技術分野において既知の均等物を有する特定の整数が本明細書に記載される場合、個別に述べられるかのように、そのような既知の均等物は、本明細書に組み込まれると考えられる。
【0064】
本発明のさらなる態様は、そのすべての新規の態様において考察されるべきであるが、本発明の実践的応用の少なくとも1つの例を提供する以下の説明を読み取る際に、当業者に明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
ここで、本発明の実施形態を、例証のみを目的として、以下の図面を参照しながら説明する。
【0066】
図1】本発明の実施形態を描写するプロセスの流れ図を示す。
図2】実施例2において詳述されるような異なるスラグサンプルの化学組成を示す。
図3】(ニュージーランド及び南アフリカの場合は)実施例2においてXRFによって測定され、(中国及びロシアの場合は)実施例1における文献から得られるような異なるスラグサンプルの化学組成を示す。
図4a図4aは、実施例3における滴定法によって測定された、硫酸チタニルを含む透過液中で測定された二酸化チタンの量を示す。
図4b図4bは、実施例3におけるICP−OES法によって測定された、透過液中で測定されたチタンの量を示す。
図5】透過液中のチタン、カルシウム、アルミニウム、及びマグネシウムのICP−OES測定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
定義
別段定義されない限り、この明細書を通して使用される次の用語は以下の通りに定義される。
【0068】
「生成物」等の用語は、説明されたプロセスにおいて利用された原料または微粒子材料から回収された鉱物を包含することが意図される。特定の実施形態では、生成物は、二酸化チタンと、マグネシウム、アルミニウム、硫酸カルシウム、及びシリカのうちの少なくとも1つ、またはそれらの対応する塩類(適用可能な場合)とである。
【0069】
「微粒子材料」という用語は、各々の種類の金属酸化物との硫酸の接触を許容するように、小粒子に粉砕された原料を包含することが意図される。特定の実施形態では、微粒子材料は180μm未満の粒径を有する。好ましい実施形態では、微粒子材料は、10〜180μmまたは40〜110μmの粒径を有する。特定の実施形態では、微粒子材料は、約30μm、45μm、60μm、70μm、80μm、90μm、または100μmの粒径を有する。
【0070】
「フィルタケーキ」、「ケーキ」等の用語は、混合物からの液体(典型的には酸)の排出の後にフィルタまたは膜上に存在する固体材料を指す。特定の実施形態では、フィルタケーキは、硫酸チタニルと、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、及びシリカのうちの少なくとも1つとを含む。
【0071】
「残渣」という用語は、浸出プロセス後に水溶性金属硫酸塩が回収された固体材料を包含することが意図される。特定の実施形態では、残渣は、硫酸カルシウム(石膏)及びシリカを含む。特定の実施形態では、残渣は、未反応の金属酸化物をさらに含む。
【0072】
「遊離酸度」という用語は、イオン化及び非イオン化の両方の形態の酸において存在する、総酸度の一部を指す。
【0073】
「反応器」という用語は、本発明の材料が中で処理、混合、及び/もしくは加熱され得る1つ以上の容器、塔、ならびに/または配管配列からなる任意のデバイスを含む。本発明の反応器の例としては、連続的またはバッチ注入反応器が挙げられる。
【0074】
「混合物」、「溶液」、及び「透過液」という用語は、本明細書を通して使用され、構成成分は、用語が使用されるプロセスの段階に従い変わる。必要に応じて、「混合物」という用語は、懸濁液中に少なくとも1つの固体物質を有する液体を指す。「溶液」という用語は水性物質を指す。「透過液」という用語は、濾過プロセスから得られた液体を指す。
【0075】
文脈上別段の解釈を要する場合を除き、本明細書及び後に続く任意の特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(containing)」等は、排他的な意味と対照的な包括的な意味において、すなわち、「含むが、これに限定されるものではない」という意味において解釈されることになる。
【0076】
「ペロブスカイト」は、チタン酸カルシウムCaTiOから構成されたチタン−カルシウム酸化物鉱物を指す。ペロブスカイトは、典型的には、立方結晶構造を有するが、本明細書に使用される場合のこの用語は、任意の形態のチタン酸カルシウムを指すことが意図される。ペロブスカイト及びチタン酸カルシウムという用語は、交換可能に使用される。
【0077】
「流体」は、流れることができる1つ以上の化合物を含む材料を指す。流体は、1つ以上の液体、溶存物質、懸濁物質、または固体物質も含み得る。
【0078】
「焼成」は、物質が高温ではあるが融解点または融点未満に加熱され、湿気の損失、還元または酸化、ならびにカーボネート及び他の化合物の分解を引き起こすプロセスを指す。
【0079】
「石膏」は、CaSO・2HOである。本用語及び「硫酸カルシウム」またはCaSOは、本明細書を通して交換可能に使用される。
【0080】
「硫酸チタニル」という用語は、硫酸化の後にも存在し得るチタンの他の硫酸形態を網羅することが意図される。当業者は、そのようなさらなる硫酸チタン反応物を理解するだろう。
【0081】
本明細書で称されるような「二酸化チタン水和物」は、二酸化チタン及び二酸化チタン水和物の両方、ならびに任意の水和度の二酸化チタンを含有する溶液を包含することが意図される。硫酸チタニルの加水分解の生成物が二酸化チタン及び二酸化チタン水和物の混合物であることが、当業者によって理解されるだろう。文脈上別段の解釈を要する場合を除き、二酸化チタンという用語が本明細書で参照される場合、二酸化チタン水和物が任意の割合でも存在し得ることが理解されるだろう。同様に、文脈上別段の解釈を要する場合を除き、二酸化チタン水和物という用語が本明細書で参照される場合、二酸化チタンが任意の割合でも存在し得ることが理解されるだろう。供給材料における二酸化チタンの割合、比率、または百分率が参照される場合、二酸化チタンの実際の形態が精製されるのに適切な形態ではない場合があることが当業者によって理解されるだろう。例えば、ペロブスカイトにおいて、二酸化チタンの形態は、主にチタン酸カルシウム(CaTiO)としてのものである。二酸化チタンを参照する分析結果が提供される場合、それらの分析結果は、例えば、チタン酸カルシウム等、他の元素と結合されている場合がある二酸化チタンの量を提供する。
【0082】
「溶融」は、高温を使用して、固体鉱物を溶融状態に変換するのに適切な任意の装置に言及する。本用語は、製錬所及び溶鉱炉を組み込むことも意図される。
【0083】
以下の説明が本発明の特定の実施形態、すなわち、主要な供給材料として鋼製造プロセスからの溶融スラグを使用して、二酸化チタン、ならびに硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、及びシリカのうちの少なくとも1つを生成することに焦点を合わせる一方、本発明は、代替の鉱物の生成、及び本発明に関する当業者に既知であろう代替の供給材料の使用に対して適用可能であり得ることを理解されたい。
【0084】
「システム」は、微粒子供給物からの鉱物の抽出を有効にするために典型的には使用されることになる配管及び他の特徴を含む。一例として、「システム」は、圧力バルブ、熱交換器、フィルタ、計装(圧力センサ、流量センサ、pHセンサ)、及びミキシングティー(静的ミキサ)を含み得る。
【0085】
先に論じられたように、本発明者らは、商業的に実行可能である方法で、チタン酸カルシウムまたはペロブスカイト等のチタン含有鉱物から価値ある生成物を回収するための方法を考案した。具体的には、本発明は、好ましくは鉄製造プロセスからの溶融スラグからの、二酸化チタンと、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、またはシリカのうちの少なくとも1つとを抽出するための方法を提供する。溶融スラグの場合、本プロセスは、多くの高価値鉱物を、それ以外の場合は廃物と考えられる材料から抽出できるという点において、驚くほど有利である。加えて、本発明は、当該技術分野において既知の方法と比較して経済的に効率的である(例えば、エネルギー集約型ではなく/過度の加熱ステップを必要としない)、前記鉱物を抽出するための手段を提供する。
【0086】
一実施形態では、本発明者らは、抽出酸をリサイクルすることを含む環境的に持続可能な方法を使用して、二酸化チタン、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、及びシリカの生成物を廃棄物から抽出する方法を提供する。これらの生成物を成功裏に抽出することは、現状廃物(ペロブスカイト)であるものからのさらなる価値の抽出を可能にすることによって、商業的利点を提供する。したがって、さらなる態様では、本発明は、製鉄プロセスからの二酸化チタン含有生成物に由来する廃物を最小化する方法を提供する。廃物を最小化することは、また、汚染の低減、及び鉄スラグのための土地利用の低減を含む環境利点を有する。
【0087】
図1は、鉱物1が粉砕器2内で粉砕されて、微粒子材料を生成する本発明の実施形態を示す。微粒子材料は、第1の濾過ユニット5内でフィルタ処理されて硫酸6を含む透過液、及びフィルタケーキ7を生成する前に、硫酸化反応器4内で酸保持槽3からの硫酸と接触させられる。フィルタケーキは、水8と接触させられ、反応器9内で硫酸化懸濁液を形成する。硫酸化懸濁液は、第2の濾過ユニット10内でフィルタ処理され、不溶残渣11を含む濃縮水と、少なくとも硫酸チタニルを含む透過液とを生じる。水12は、透過液に加えられ、該透過液は、その後加水分解反応器13に通過される。加水分解の後、流体は、第3の濾過ユニット14内でフィルタ処理され、析出された材料(主に二酸化チタン水和物)は、濃縮水15内で除去される。透過液は、析出槽16に通過され、析出槽16内で硫酸アルミニウムが析出される。析出物は、その後、第4の濾過ユニット17内での濾過によって分離される。硫酸アルミニウムを含む濃縮水は除去され18、透過液は第2の析出槽19に通過される。溶解された硫酸マグネシウムの析出の後、流体は第5の濾過ユニット20内でフィルタ処理され、硫酸マグネシウム21を含む濃縮水は収集される。(主に酸を含む)透過液は収集されて、酸再生プラント23を通してリサイクルされ得る22。
【0088】
したがって、一態様では、本発明は、微粒子材料から二酸化チタン及び少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供し、前記方法は、
a.微粒子材料を硫酸と接触させて、加熱し、硫酸化混合物を形成することと、
b.硫酸化混合物をフィルタ処理して、フィルタケーキと、硫酸を含む第1の透過液とを生成することと、
c.フィルタケーキを水と接触させ、硫酸チタニルを含む硫酸化懸濁液を形成することと、
d.硫酸化懸濁液をフィルタ処理して、少なくとも硫酸チタニルを含む透過液と、不溶残渣を含む濃縮水とを生成することと、
e.少なくとも硫酸チタニルを含む透過液を水と接触させて、加水分解液を生成することと、
f.硫酸チタニルを加水分解することと、
g.加水分解液から二酸化チタン水和物を分離することと、を含み、
少なくとも1つの他の生成物は、硫酸カルシウム、シリカ、硫酸アルミニウム、または硫酸マグネシウムからなる群から選択される。
【0089】
特に明記しない限り、本明細書に記載された方法において記載されたステップの順序は、非常に好ましく、プロセスが効率的な収率及び経済的に実行可能な回収方法を提供することを確実にするように、本発明者らによって実施された試みによって最適化されている。
【0090】
供給材料
プロセスにおいて使用される供給材料は、チタン含有鉱物である。しかしながら、プロセスを説明し易くするために、例証される供給材料は、鉄製造プロセスに由来する溶融スラグである。溶融スラグは、典型的には、プロセスの溶融段階において生成された、鉄または鋼製造プロセスの副産物である。それは、通常、道路建設及び表面仕上げのための骨材として使用される。
【0091】
特定の実施形態では、材料は鉄スラグである。特定の実施形態では、材料は、鉄製造プロセスからの溶融スラグである。特定の実施形態では、材料は、鋼製造プロセスからの溶融スラグである。溶融スラグは、混合された金属酸化物マトリックスにおいて、質量基準で、主にペロブスカイト(CaTiO)から構成される。溶融スラグ構成成分の例は、下に表1において提供され、これは、NZ Steelの鋼製造プロセスによってニュージーランドにおいて生成された溶融スラグの構成成分を詳述する。
【表1】
【0092】
プロセスにおいて使用するために供給材料を準備するために、原料(例えば、溶融スラグ)は、好ましくは、当業者によって既知の任意の手段によって、微粒子材料に粉砕される。ペロブスカイトから鉱物を抽出する割合及び効率は、粉砕サイズに依存している。特定の実施形態では、材料は180μm未満まで粉砕される。好ましい実施形態では、材料は約45μmまで粉砕される。
【0093】
したがって、特定の実施形態では、本明細書に記載された生成物の回収の方法のいずれも、表1の構成成分のうちの1つ以上を含む原料を粉砕して、微粒子材料を形成するさらなるステップを含有し得る。特定の実施形態では、微粒子材料は180μm未満の粒径を有する。この粒径を有することは、酸化物の効率的な硫酸化を提供する。しかしながら、本明細書に記載された方法を使用して、本発明者らは、より小さな粒径が有益であるのはある点まででしかないことを見出した。粒径が極端に、例えば、約10μm未満まで減少させられるならば、酸を除去する濾過ステップの効率は低減させられる。効率におけるこの低減は、フィルタが塞がれることによって引き起こされると考えられる。したがって、好ましい実施形態では、微粒子材料は、10〜180μm、または40〜110μmの粒径を有する。特定の実施形態では、微粒子材料は、約30μm、45μm、60μm、70μm、80μm、90μm、または100μmの粒径を有する。
【0094】
当業者ならば、粒径の低減を達成するための方法を理解するだろう。一実施形態では、粉砕はボールミル内で実施される。粒径は、例えば、レーザー回折等、当業者に既知の方法に従って測定され得る。
【0095】
本発明者らは、溶融スラグ中の比較的高いレベルの二酸化チタン及び他の材料が、それを、本明細書に記載された回収方法において使用するための好適な供給材料にすることを見出した。したがって、特定の実施形態では、本発明は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタンを含む微粒子材料から少なくとも1つの生成物を回収する方法を提供する。概して、二酸化チタンの含有量が高いほど、微粒子材料はより貴重であり、回収のプロセスはより経済的に実行可能である。したがって、微粒子材料が、少なくとも15m%よりの二酸化チタンを含むことが好ましい。
【0096】
本明細書に記載された本発明の方法の重要な有利な態様のうちの1つは、微粒子材料から2つ以上の実質的に精製された生成物を回収することができることである。これを行うことによって、プロセスからの廃物は減少させられ、生成物は別々に使用または販売され得る。これは、プロセスの経済的実行可能性を増加させ、廃棄物の保管のための土地利用を減少させる。したがって、本発明は、二酸化チタンと、シリカ、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、及び硫酸マグネシウムから選択された少なくとも1つの他の生成物とを回収する方法を提供する。
【0097】
本発明者らは、本明細書に記載された方法におけるステップの順序が、最も貴重な材料の収率を最適化する上で重要な要因であることを見出した。本発明者らによる早期の試み(実施例3のサンプル7、8、9、及び10を参照のこと)は、二酸化チタンの生成及び回収ステップ(すなわち、加水分解)の前に、硫酸アルミニウムの析出ステップを試験した。加水分解が硫酸アルミニウムの析出の後に実施されたときの二酸化チタンの収率は、おそらく2つの成分の共沈のために、以前に実施されたときよりも低かった。したがって、硫酸アルミニウムの析出の前にチタンの加水分解を実施することが好ましい。これは、二酸化チタンと酸化アルミニウムとの比率が比較的低い場合(実施例1の表3を参照のこと)特に当てはまる。追加として、硫酸マグネシウムの析出のステップは、硫酸アルミニウム及び二酸化チタンの析出の後に実施される。硫酸マグネシウムの析出が硫酸アルミニウムか二酸化チタンのどちらかの回収の前に実施されるならば、硫酸マグネシウムとのこれらの成分の共沈は、本方法の経済的実行可能性を減少させて、生成物が得られ得る純度を減少させるだろう。
【0098】
特定の実施形態では、本発明は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、及び10m%超または13m%超の酸化アルミニウムを含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供する。少なくとも15m%の二酸化チタン及び少なくとも13m%の酸化アルミニウムを含む供給材料を使用することが特に好ましい。本方法は、二酸化チタンと酸化アルミニウムとの比率(TiO:Al)が0.2〜2.6、より好ましくは0.25〜2.1であるとき、好ましくは、硫酸アルミニウムの析出の前にチタンの加水分解のステップを実施することを含む。
【0099】
金属硫酸化
微粒子材料は、核融合反応器等の適切な反応器に導入され、それは、所望の量の硫酸と組み合わせられ、硫酸化混合物を形成する。反応において化学量論的に過剰な大量の試薬を使用することは一般的に非効率的であると考えられるが、本発明者らは、かなりの過剰な量の硫酸が、硫酸化混合物の減少した粘度をもたらすことを見出した。具体的には、2倍未満の化学量論的に過剰な量を使用することが、ポンプで汲み上げるのが難しい非常に粘性の混合物をもたらすことが見出された。したがって、特定の実施形態では、微粒子材料は、その化学量論量の2倍超、好ましくは4〜10倍の硫酸と接触させられる。好ましい実施形態では、微粒子材料は、その化学量論量の5〜6倍、または約6倍の硫酸と接触させられる。
【0100】
プロセスに関するもので、反応成分の量化学量論量を判定するために本発明者らによって使用される重要な反応は、以下の通りである。
【数1】
【0101】
特定の実施形態では、硫酸は、濃縮された酸性溶液の形態で硫酸化反応器に導入され、微粒子材料は、酸性溶液と接触させられ、水性硫酸化混合物を形成する。本発明者らは、酸強度があまりにも低い(すなわち、酸性溶液中のHSO分子の量が質量基準であまりにも低い)ならば、反応は、進行しないことになるか、経済的に実行可能であるには低すぎる速度で進行することを見出した。したがって、特定の実施形態では、硫酸の濃度は少なくとも50m%である。低い酸濃度は、また二酸化チタン収率全体に影響を及ぼす。したがって、酸の強度は、好ましくは70%超であり、好ましくは90%である。他の実施形態では、酸濃度は少なくとも60m%、70m%、80m%、90m%、または98m%である。
【0102】
第1の態様の特定の実施形態では、硫酸化混合物は加熱され、存在する酸化物(特に、二酸化チタン/チタン酸カルシウム)の実質的に完全な硫酸化を達成する。特定の実施形態では、硫酸化混合物は、硫酸との接触後に、少なくとも100℃まで加熱される。好ましい実施形態では、混合物は、硫酸化反応器内で、少なくとも200℃、好ましくは250℃まで加熱される。本発明者らは、250℃超の温度を使用することが、非常に熱い酸を使用することの装置制約のために、概して好ましくないことを見出した。温度は、好ましくは130℃〜200℃、より好ましくは約150℃〜160℃である。
【0103】
特定の実施形態では、予熱空気または蒸気は、好ましくは反応器の底を通して、反応器に導入される。空気/蒸気は、反応が開始する点まで混合物を加熱するために、混合物を通して上昇することを許容される。この加熱ステップの目的は、金属酸化物が硫酸塩に変換する反応時間を減少させ、水が放出されるにつれて該水を蒸発させ、それによって、高い遊離酸度を維持することである。高い遊離酸度は、硫酸塩塩類が析出して、その後フィルタ処理されるように所望される。
【0104】
特定の実施形態では、硫酸化混合物は、チタン酸カルシウム/二酸化チタンの実質的に完全な硫酸化が起こるように、加熱される。加熱の間、混合物の粘度は、放出された水が蒸発するにつれて減少する液体含有量の機能として、増加する。特定の実施形態では、混合物は、酸化物(具体的には、チタン酸カルシウム/二酸化チタン)の実質的に完全な硫酸化を起こす加熱時間の間、加熱される。一実施形態では、加熱時間は15分〜1時間である。特定の実施形態では、加熱時間は少なくとも30分または約40分である。
【0105】
特定の実施形態では、加熱ステップの後に、混合物は、混合物の遊離酸度を増加させるために、膜を使用してさらに脱水される。特定の実施形態では、混合物の遊離酸度は、脱水の後に70%を超える。
【0106】
混合物の加熱が任意の適切な方法において達成され得ることは、当業者によって理解されるだろう。一実施形態では、混合物の成分のうちの1つ以上は予熱され得、熱は、混合の間、混合物に伝達され得る。本明細書に記載の混合物の「加熱」への言及は、混合の前に、その混合物の成分のうちの1つ以上の加熱を包含することを意図される。
【0107】
浸出
硫酸化混合物は、次に、硫酸を除去するために、第1の濾過ステップ(別名、浸出)に供される。したがって、微粒子材料から生成物を回収する方法は、好適な濾過ユニット内で硫酸化混合物をフィルタ処理して、フィルタケーキと、硫酸を含む透過液とを生成するステップを含む。本発明者らは、試みの間、フィルタケーキ中のより高い酸含有量が、加水分解及び金属硫酸塩の析出を含む下流プロセスステップに対する抑制効果を有したことを見出した。したがって、第1の濾過ユニットを使用する酸回収のステップが導入された。これは、酸濃度を減少させる効果を有し、加水分解及び析出、すなわち、増加された生成物収率を含む下流プロセスステップの予期しない効率上昇を提供した。
【0108】
当業者であれば、任意の適切な濾過ユニット(フィルタ)をこの目的のために使用できることを理解し、典型的な濾過ユニットが当業者には分かるだろう。特定の実施形態では、濾過ユニットはフィルタプレスを備える。一実施形態では、濾過ユニットは、フィルタにわたって差圧の圧力勾配によって補助される。好ましくは、圧力差は少なくとも1バールである。特定の実施形態では、固体のフィルタケーキがフィルタの表面上で収集される一方、混合物は、酸が通過することを許容する濾過ユニットを通して循環される。特定の実施形態では、フィルタにわたる圧力差は2〜10バールである。好ましくは、圧力差は約6バールである。フィルタケーキを使用することは、硫酸化混合物から最大の酸抽出を達成するのに、特に有利である。この段階では、フィルタケーキは、硫酸チタニルと、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、またはシリカのうちの少なくとも1つとから構成される。
【0109】
できるだけ多くフィルタケーキの酸含有量を減少させることが望ましい。好ましくは、フィルタケーキの含水率は、30%未満、より好ましくは20%未満、または15〜20%まで減少させられる。フィルタケーキの残留液体は主に酸である。特定の実施形態では、この第1の濾過ステップは、フィルタケーキを圧縮空気と接触させることをさらに含む。圧縮空気は、フィルタ及びフィルタケーキから酸を排出する攪拌器の働きをして、さらにフィルタケーキを乾燥させる。圧縮空気の温度は、硫酸チタニルの早期加水分解を防ぐために、好ましくは85℃未満である。特定の実施形態では、圧縮空気の温度は10℃〜85℃である。圧縮空気が、任意の温度においてフィルタケーキを乾燥することを補助することを予期されるが、本発明者らは、加熱された圧縮空気ストリームを使用することが、フィルタケーキ及び引き続く硫酸化懸濁液の温度を維持する際に補助することを見出した。したがって、圧縮空気が、30℃〜85℃、または約50℃、60℃、70℃、もしくは80℃であることが好ましい。圧縮空気の温度があまりにも低い(すなわち、35℃未満)ならば、流体流動に有害に影響を及ぼし得る硫酸化懸濁液の粘度が増加される。
【0110】
混合物から回収された硫酸は、好ましくは、酸再生プラントに通過される。収集された硫酸は、前もって記載された金属硫酸化ステップにおいて、その後、任意に再使用され得、硫酸のリサイクルは、経済的かつ環境的利点を提供する。特定の実施形態では、硫酸は、金属硫酸化ステップにおいて使用するためにリサイクルされる前に、処理される。
【0111】
現在フィルタ上で残留しているフィルタケーキは、最小の酸含有量を有する。水は、フィルタケーキから可溶塩類を溶解するために、フィルタケーキを通して循環される。好ましくは、フィルタケーキはフィルタ上で洗浄され、水はフィルタを通過される。代わりに、フィルタケーキは水で洗浄され、溶液はフィルタを通過しない。任意に、フィルタケーキは、除去されて、別々の容器内で洗浄される。現場の洗浄(すなわち、フィルタ上での)は、余分の槽の必要性を減少させる。好ましくは、フィルタケーキは、洗浄の間、振動または機械撹拌を使用して撹拌される。好ましくは、洗浄の間のフィルタケーキの温度は、80℃未満である。より高い温度が使用されるならば、本発明者らは、硫酸チタニルの部分的または完全な加水分解が起こり、ひいては、下流の二酸化チタン収率を減少させることを見出した。水は、任意の適切な源から得られる場合がある。このステップは、硫酸チタニルを含む溶液と、硫酸マグネシウム及び硫酸アルミニウムのうちの少なくとも1つとを生成する。特定の実施形態では、不溶残渣は、硫酸カルシウム及びシリカを含むフィルタ上で残留する。
【0112】
硫酸チタニルと、硫酸マグネシウム及び硫酸アルミニウムのうちの少なくとも1つとを含む溶液は、溶液を脱水する膜に任意に通過され、金属硫酸塩の実質的に濃縮された溶液を生成する。膜を使用する濃度は、逆浸透を含む公知の膜濃縮方法によるものであり得る。
【0113】
生成物を回収する方法は、硫酸化懸濁液をフィルタ処理して、不溶残渣を含む濃縮水と、少なくとも硫酸チタニルを含む透過液とを生成するステップをさらに含む。特定の実施形態では、濃縮水の不溶残渣は、シリカ及び硫酸カルシウムを含む。特定の実施形態では、透過液は、硫酸チタニル、硫酸アルミニウム、及び硫酸マグネシウムを含む。
【0114】
シリカ/硫酸カルシウムの分離
本発明者らは、溶融スラグから生成されたペロブスカイト生成物が、多くの場合、高い量の、存在するシリカ及び酸化カルシウムを有することを見出した。これらの成分は、比較的低い価値であり、多くの場合、二酸化チタン等のより高い価値の材料を含有する組成物を汚染する問題の廃物として捉えられる。しかしながら、広範囲な試みを通して、本発明者らは、これらの成分が、シリカ及び硫酸カルシウムとして、実質的に精製された形態において抽出され得ることを見出した。両方の生成物は、例えば、それぞれ、タイヤの製造において、及び材料を作り上げるための石膏の生成において、産業上の使用を有する。本発明者らは、硫酸チタンの加水分解より前の、酸化カルシウムの硫酸化及び不溶残渣としての除去が、特に効率的かつ費用効率が高い、これらの成分の回収方法を提供することを見出した。加えて、微粒子材料がまた、多量の、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムのうちの少なくとも1つ含有する場合、シリカ及び硫酸カルシウムを含む不溶残渣の除去は、後の方法ステップにおいて、実質的に純粋な二酸化チタンと、硫酸アルミニウム及び硫酸マグネシウムのうちの少なくとも1つとの回収を可能にする。全体として、これらのステップ及びそれらの順序は、最小の廃物を用いて前記生成物を回収する、発明的価値があり、費用効果が高く、かつ産業的に効率的な方法を提供することに貢献する。
【0115】
特定の実施形態では、本発明は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、及び10m%超、15m%超、または20m%超のシリカを含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、及び15m%超、20m%超、または25m%超の酸化カルシウムを含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供する。
【0116】
いくつかの実施形態では、本発明は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、10m%超、15m%超、または20m%超のシリカ、及び15m%超、20m%超、または25m%超の酸化カルシウムを含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供する。
【0117】
本方法が硫酸カルシウム及び/またはシリカを回収するステップを含む場合、不溶残渣は、これらの生成物を得るために処理され得る。この残渣は、典型的には、チタン酸カルシウムの切断ならびに酸化カルシウム及びシリカの硫酸化から生じている硫酸カルシウムから構成される。また、多量の未反応の金属酸化物が、典型的には、耐火材料によって封入されることの結果、存在する。
【0118】
一実施形態では、硫酸化懸濁液ステップの濾過からの濃縮水の不溶残渣は、浮選槽に通過され、硫酸カルシウム及びシリカのうちの少なくとも1つは、公知の方法に従って分離される。
【0119】
本発明の一態様では、ペロブスカイト、シリカ、酸化アルミニウム、及び酸化マグネシウムを含有する原料から生成物を回収する方法が提供され、前記方法は、
a)ペロブスカイト、シリカ、酸化アルミニウム、及び酸化マグネシウムを含む材料を粉砕して、微粒子材料を生成することと、
b)微粒子材料を硫酸と接触させて、硫酸チタニル、石膏、シリカ、硫酸アルミニウム、及び硫酸マグネシウムを含有する混合物を形成することと、
c)混合物をフィルタ処理して、硫酸を除去することと、
d)混合物を水と接触させて、混合物を溶解し、濾過を使用して混合物を分離して、硫酸チタニル、硫酸アルミニウム、及び硫酸マグネシウムを含む溶液と、石膏及びシリカを含む残渣とを生成することと、
e)硫酸アルミニウムが結晶化する温度まで溶液を冷却して、結果として生じる結晶化された硫酸アルミニウムを回収することと、
f)溶液を析出して、二酸化チタンを生成することと、
g)硫酸マグネシウムが結晶化する温度まで残留溶液を冷却して、結晶化された硫酸マグネシウムを回収することと、
h)二酸化チタンを焼成して、残留酸及び水を除去し、実質的に純粋な二酸化チタンを生成することと、を含む。
【0120】
硫酸カルシウムとシリカとの間の密度差、及びシリカの親水性のために、硫酸カルシウムは、浮選プロセスを使用してシリカから分離及び回収され得る。特定の実施形態では、硫酸カルシウムは、浮遊浮選プロセスを使用して残渣から回収される。特定の実施形態では、残渣は、浮遊浮選プロセスに供される前に粉砕及び/または洗浄される。特定の実施形態では、残渣は、未反応の金属酸化物を回収するために、浮選プロセスの前に前浮選ステップに供される。特定の実施形態では、残渣は、未反応の金属酸化物を回収するために、浮選プロセスの後に後浮選ステップに供される。前/後浮選ステップは、好ましくは、ザンセート及び/またはヒドロキサメートを使用して、未反応の金属酸化物を掃気する浮選プロセスを含む。前/後浮選ステップは、浸出の間、溶解されなかった硫酸塩を回収するためにも使用され得る。
【0121】
代替の実施形態では、硫酸カルシウムは、当業者に既知の析出方法によって、不溶残渣から回収され得る。
【0122】
硫酸チタニルを含む透過液の濃度
低い遊離酸度は、チタンの加水分解反応が効率的に進行するのに望ましい。浸出またはアルミニウムの析出/結晶化の後の液(すなわち、第1の透過液)の遊離酸度は、概して高すぎて、該液を直接の塗布を許容しない。酸が加水分解反応において生成されるので、本発明者らは、以前の硫酸化ステップからの酸のフロースルーを最小化することが望ましいことを見出した。これを行うことは、非常に濃縮された酸を使用して、周辺の機器制約及びコストを最小化する。
【0123】
本発明者らは、加水分解反応に対して酸性のフロースルーを最小化する効果的な方法は、液の水を除去することによって、最初に遊離酸度を増加させ、その後、金属硫酸塩を析出して、酸からそれらを分離することであることを見出した。特定の実施形態では、硫酸チタニルと、任意に硫酸マグネシウム及び硫酸アルミニウムのうちの少なくとも1つとを含む透過液の遊離酸度は、最初に上昇されて、これによって、金属硫酸塩は析出し、酸からより容易に分離される。特定の実施形態では、遊離酸度は、水が蒸発する温度まで溶液を加熱することによって上昇される。硫酸チタニルを含む透過液は、好ましくは100℃超、より好ましくは130℃超、最も好ましくは160℃超、または沸点まで加熱される。液が高濃縮の酸を含有するので、沸点は約160℃である。代替の実施形態に、遊離酸度は、溶液を脱水することができる膜と溶液を接触させて、好ましくは、実質的にすべての水除去することによって、上昇させられる。
【0124】
一旦溶液の遊離酸度が上昇されたならば、溶液は、実質的にすべての酸を除去して、フィルタの表面上でフィルタケーキを生成するために、フィルタ処理される。濾過の後、水は、フィルタケーキから可溶塩類を溶解するために、フィルタを通して循環される。このステップは、前もって記載された浸出ステップに性質が類似しており、硫酸チタニルと、任意に硫酸マグネシウム及び硫酸アルミニウムのうちの少なくとも1つとを含む低減された酸透過液を生成する。本実施形態では、透過液は、フィルタ処理されて、残留酸を除去し、結果として生じるフィルタケーキは、水と接触させられて、少なくとも硫酸チタニルを含む濃縮された透過液を得る
【0125】
硫酸チタンの加水分解
チタンの加水分解は、チタンからの硫酸塩の切断に言及する。反応は以下の通りである。
TiOSO4 + H2O → TiO2+ H2SO4
【0126】
本発明者らによって実施された実験は、加水分解液の最適遊離酸度が、8〜25%に変動することを指示する。実験は、8%未満の遊離酸度において、加水分解液が、望ましくないことであるが不安定であることを指示した。これは、第1に、チタニルスフェートの加水分解が、放置状態において室温で起こり得るためである。第2に、加水分解の速度は、制御することが困難である。加水分解の間、加水分解の速度は、遊離酸度によって部分的に制御される。加水分解の速度が毎分約1%を超えるならば、新しい核形成部位が、溶液中で生成され、二酸化チタン凝集体の広いサイズ分布をもたらすが、それは、顔料生成にとって望ましくない。したがって、いくつかの実施形態では、加水分解液の遊離酸度は、少なくとも8%の遊離酸度を含む。25%超の遊離酸度は、加熱されて、種付けされるときでさえ、加水分解反応が完了まで進行しないので、望ましくない。硫酸チタニルが加水分解されて、自由硫酸イオンが生成され、このため、加水分解液内で遊離酸度を増加させるので、チタニルスフェートの加水分解は、平衡制御下にある。ルシャトリエの原理に従って、生成物(遊離酸)の濃度は、反応の前進速度を直接的に制御する。このため、加水分解液中の高い開始遊離酸度は、硫酸チタニルの加水分解をゆっくりまたは完全に停止し得る。したがって、いくつかの実施形態では、加水分解液の遊離酸度は、25%未満の遊離酸度を含む。いくつかの実施形態では、加水分解液の遊離酸度は、8%〜25%を含む。この指定された範囲内で、硫酸チタニルの加水分解は、制御された様式で完了まで進行して、顔料生成のために特に好適なサイズ分布の水化物の二酸化チタンをもたらし得る。
【0127】
適切なレベルの遊離酸度を有する溶液であって、好ましくは、その中で硫酸チタニルが濃縮される溶液を達成して、硫酸チタニルを加水分解するステップは開始される。加水分解は、硫酸チタニル(と、任意に硫酸マグネシウム及び硫酸アルミニウムのうちの少なくとも1つとを含む)透過液に水を加えて、加水分解液を生成して、該加水分解液を加熱することを含む。加水分解は、本明細書に記載された反応を含有するのに適切な加水分解反応器内で実施される。好ましくは、加水分解液は、80〜140℃、85℃〜140℃、または85〜120℃の温度まで加熱される。本発明者らは、加水分解反応のための最小限の活性化エネルギーが、液を加熱することによって達成されなければならないことを見出した。特定の実施形態では、加水分解液は90℃〜120℃まで加熱される。本発明者らは、エネルギー効率を維持する一方で速く反応を開始する、特に効率的な温度が、105℃〜110℃であることを見出した。
【0128】
好ましくは、加水分解液は、硫酸チタニルのうちの実質的にすべてが反応するような時間の間加熱される。当業者ならば、いつ硫酸チタニルのうちのすべてが反応したかを判定することができるだろう。特定の実施形態では、加熱時間は1時間〜3時間である。より好ましくは、90分〜2時間、または約100分である。特定の実施形態では、溶液は、加水分解を完了するために、85℃超の温度で約2時間の間加熱される。
【0129】
特定の実施形態では、加水分解プロセスは、二酸化チタンまたはルチルを含有する水と溶液を接触させて、85〜120℃の温度まで該溶液を加熱することを含む。好ましい実施形態では、種粒子または核とも称される二酸化チタン粒子またはナノ粒子は、加水分解液に加えられる。二酸化チタン粒子は、均一な粒子形成を達成するように、結晶化のために部位を核とする働きをする。二酸化チタン粒子が加水分解液に加えられるか、水が加えられ、前記液を形成し得る。二酸化チタン粒子は、加えられ得、加水分解液は、加水分解のために本明細書に記載された温度範囲のいずれかまで加熱され得る。好ましくは、加水分解液に加えられる二酸化チタン粒子の量は、液中に存在することが算出された二酸化チタンの質量の1m%〜30m%である。より好ましくは、2m%〜15m%、好ましくは、5m%〜8m%である。液に加えられたチタン粒子の粒径は、好ましくは、2nm〜10nmであり、より好ましくは、3〜6nmまたは約5nmである。二酸化チタン粒子は、アナターゼ、またはそこから得られるものであり得る。
【0130】
水和二酸化チタンの分離は、当業者に既知の方法によって達成され得る。特定の実施形態では、分離は、加水分解液を受容して、二酸化チタン水和物を分離するために適合された分離ユニット内で実施される。
【0131】
特定の実施形態では、分離ユニットは、加水分解液を受容して、二酸化チタン水和物を含む濃縮水を生成するように適合された第2の濾過ユニットを備える。代替の実施形態では、分離ユニットは、析出された二酸化チタン水和物を分離するように適合された遠心分離ユニットを備える。
【0132】
上述の加水分解プロセスへの代替の実施形態では、加水分解液は、溶液から二酸化チタン水和物を析出するために、その代わりに超音波処理プロセスに供し得る。本実施形態では、バルク流体は、より少ない加熱を必要とするか、加熱を必要としない。
【0133】
好ましくは、二酸化チタン水和物の分離のステップは、加水分解液をフィルタ処理して、透過液と、二酸化チタン水和物を含む濃縮水とを生成することによって実施され得る。代替の実施形態では、二酸化チタンは、遠心分離及び析出物の収集によって除去される。
【0134】
加水分解液の濾過は、水和二酸化チタンを回収するために、好適な濾過ユニット内で実施される。好ましい実施形態では、加水分解液は、二酸化チタン粒子を濾材によって獲得されるのに十分に大きく保つために、最大約80℃まで加熱されたままである。透過液は、好ましくは、硫酸アルミニウム及び硫酸マグネシウムを含む。
【0135】
加水分解または超音波処理プロセスから回収された二酸化チタンは、生成物を通して加熱空気を通過させることによって、酸化性環境において焼成(加熱)され得、そのことは、任意の残留する硫酸及び水を除去する。好ましい実施形態では、二酸化チタンは、約1時間の間、反応器内で950℃まで加熱される。他の実施形態では、加熱時間は30分〜2時間である。特定の実施形態では、焼成は、800〜1050℃、850℃〜950℃、または890〜910℃の温度で実施される。回収された硫酸は、前に記載された硫酸化ステップにおいて再使用され得る。完成した二酸化チタン生成物を得るために、焼成された二酸化チタンは、粉にされ、コーティングされ、及び洗浄される。そのようなプロセスは当業者に知られるだろう。
【0136】
硫酸アルミニウムの回収
硫酸アルミニウムは、適切な段階において液から析出される。本発明者らは、加水分解及び二酸化チタンの除去後(実施例3のサンプル7,8、9、及び10を参照のこと)に硫酸アルミニウムの析出を実施することによって、より高い収率の二酸化チタンが達成され得ることを見出した。硫酸アルミニウムの析出が加水分解の前に実施されるならば、いくらかの硫酸チタニルは、硫酸アルミニウムと共沈され、ひいてはTiOの収率を減少させることが考えられる。
【0137】
一実施形態では、硫酸アルミニウムは、硫酸チタニルを含む透過液から析出される。別の実施形態では、硫酸アルミニウムは、硫酸マグネシウム及び硫酸アルミニウムを含む透過液から析出される。これらの透過液は、典型的には、硫酸化及び不溶残渣の除去後に得られる。代わりに、硫酸アルミニウムが不溶残渣から分離されることを必要とされないならば、硫酸アルミニウムの析出のこのステップは、不溶残渣の除去の前に実施され得る。
【0138】
硫酸アルミニウムの析出のプロセスは、好ましくは、硫酸アルミニウムが析出して、結晶化する温度まで、透過液を冷却することを含む。特定の実施形態では、溶液は、以前の濾過ステップが起こったのと同じ槽内で冷却される。代替の実施形態では、溶液は、冷却するための別個の槽に通過される。
【0139】
結晶化された硫酸アルミニウムは、当業者に既知の任意の方法によって溶液から回収される。析出及び回収のステップは、例えば、実施例3に記載された方法によって生成されるもの等、硫酸アルミニウムを含有する液に対して実施され得る。濾過は特に好まれる。特定の実施形態では、溶液中に存在する硫酸アルミニウムのうちの90%超が、この段階の間、回収される。特定の実施形態では、溶液は、硫酸アルミニウムが結晶化するように、10〜4℃まで冷却される。好ましい実施形態では、溶液は、約5℃まで冷却される。
【0140】
特定の実施形態では、本発明は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、及び10m%超または13m%超の酸化アルミニウムを含む微粒子材料から、少なくとも1つの生成物を回収する方法を提供する。本発明者らは、供給材料がこれらの成分割合を満たすとき、本方法が、そのような成分の回収の、経済的に実行可能な方法を提供することを見出した。
【0141】
実施例1及び2は、特定の供給材料における成分比率の推論を示す。特定の実施形態では、本発明は、微粒子物質中の二酸化チタンと酸化アルミニウムとの比率(TiO:Al)を0.2〜2.6で、より好ましくは0.25〜2.1で含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに硫酸アルミニウム生成物を回収する方法を提供する。本実施形態では、本発明者らは、方法ステップが、二酸化チタン及び硫酸アルミニウムの特に経済的に実行可能な回収を提供することを見出した。硫酸アルミニウムの析出の前に実施されているチタンの加水分解ステップは、この比率範囲で特に好まれる。さらに、硫酸マグネシウムの析出も実施される場合、硫酸アルミニウムの析出の前に実施されているチタンの加水分解ステップは、次に硫酸マグネシウムの析出の前に実施されるものであるが、この比率範囲において特に好まれる。
【0142】
本発明の特定の実施形態では、ペロブスカイト及び酸化アルミニウムを含有する原料から生成物を回収する方法が提供され、前記方法は、
a)ペロブスカイト及び酸化アルミニウムを含む材料を粉砕して、微粒子材料を生成することと、
b)微粒子材料を硫酸と接触させて、硫酸チタニル及び硫酸アルミニウムを含有する混合物を形成することと、
c)混合物をフィルタ処理して、硫酸を除去することと、
d)混合物を水と接触させて、混合物を溶解し、濾過を使用して混合物を分離して、硫酸チタニル及び硫酸アルミニウムを含む溶液を生成することと、
e)硫酸アルミニウムが結晶化する温度まで溶液を冷却して、結果として生じる結晶化された硫酸アルミニウムを回収することと、
f)溶液を析出して、二酸化チタンを生成することと、
g)二酸化チタンを焼成して、残留酸及び水を除去し、実質的に純粋な二酸化チタンを生成することと、を含む。
【0143】
硫酸マグネシウムの回収
加水分解または超音波処理プロセスに供された後、及び任意に硫酸アルミニウムの除去の後に残留している溶液は、典型的には、回収されることも可能な硫酸マグネシウムを含む。本発明者らは、他の成分がより前に除去されたならば、結果として生じる硫酸マグネシウム析出物の純度が増加されるので、他の生成物の回収の後に硫酸マグネシウムを回収することが好ましいことを見出した。これは、硫酸マグネシウムを析出するための下記に記載された方法が、硫酸アルミニウム、硫酸チタニル、及び他の成分も析出するとされるからである。硫酸マグネシウムの析出が他の成分の回収の後に実施されないならば、析出された混合物は、分離して、実質的に純粋な成分を生じることが困難で、不経済に実行可能であろう。混合物の価値の結果として生じる欠如は、それが無制御かつ無調整な様式で配置され、したがって環境劣化を引き起こすことになる可能性を増加させる。
【0144】
析出及び回収のステップは、例えば、実施例3に記載された方法によって生成されるもの等、硫酸マグネシウムを含有する液に対して実施され得る。
【0145】
特定の実施形態では、生成物を回収する方法は、硫酸マグネシウムを含む透過液の酸濃度を増加させ、析出された硫酸マグネシウムを含む酸性化液を形成するステップを含む。増加した酸性度は、硫酸マグネシウムを析出させる。本方法は、好ましくは、酸性化液を中でフィルタ処理して、析出された硫酸マグネシウムを含む濃縮水を生成することをさらに含む。
【0146】
特定の実施形態では、硫酸マグネシウムを含む透過液の酸濃度は、硫酸の添加によって増加させられる。好ましくは、硫酸マグネシウムを含む透過液のpHは、硫酸の添加によって、約pH1未満に減少させられる。
【0147】
特定の実施形態では、硫酸マグネシウムを含む透過液の酸濃度は、透過液を加熱して、水を除去することによって増加させられる。好ましくは、加熱は、沸点で、または130℃超の温度で実施される。
【0148】
本発明者らは、硫酸アルミニウムの析出の後に硫酸マグネシウムの析出を実施することが好ましいことも見出した。硫酸マグネシウムのより低い析出温度は、溶解された硫酸アルミニウム及び硫酸マグネシウムの両方を含む溶液の冷却の間に最初に析出している硫酸アルミニウムをもたらす。したがって、硫酸アルミニウムの析出の後に硫酸マグネシウムの析出を実施することが好ましい。特定の実施形態では、本発明は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、及び7m%超または10m%超の酸化マグネシウムを含む微粒子材料から、少なくとも1つの生成物を回収する方法を提供する。少なくとも15m%の二酸化チタン及び少なくとも10m%の酸化マグネシウムを含む供給材料を使用することが特に好ましい。
【0149】
いくつかの実施形態では、本発明は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、及び7m%超または10m%超の酸化マグネシウムを含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供する。少なくとも15m%の二酸化チタン及び少なくとも10m%の酸化マグネシウムを含む供給材料を使用することが特に好ましい。
【0150】
本方法は、好ましくは、硫酸マグネシウムの析出の前にチタンの加水分解のステップを実施することを含む。これは、二酸化チタンの収率が最大化されることを可能にし、二酸化チタン(または硫酸チタン)の共沈損失を減少させ、それは、硫酸マグネシウムの析出が二酸化チタンの回収の前に実施されるならば、起こり得る。実施例1及び2は、特定の供給材料における成分比率の推論を示す。本方法は、微粒子物質中の二酸化チタンと酸化マグネシウムとの比率(TiO:MgO)が0.5〜3.0、より好ましくは0.8〜2.8であるとき、好ましくは、硫酸マグネシウムの析出の前にチタンの加水分解のステップを実施することを含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、本発明は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、7m%超または10m%超の酸化マグネシウム、及び10m%超または13m%超の酸化アルミニウムを含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供する。少なくとも15m%の二酸化チタン、少なくとも13m%の二酸化アルミニウム、及び少なくとも10m%の酸化マグネシウムを含む供給材料を使用することが特に好ましい。
【0152】
いくつかの実施形態では、本発明は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、10m%超、15m%超、または20m%超のシリカ、15m%超、20m%超、または25m%超の酸化カルシウム、及び7m%超または10m%超の酸化マグネシウムを含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供する。
【0153】
いくつかの実施形態では、本発明は、8m%超、10m%超、15m%超、20m%超、または25m%超の二酸化チタン、10m%超、15m%超、または20m%超のシリカ、15m%超、20m%超、または25m%超の酸化カルシウム、10m%超または13m%超の酸化アルミニウム、及び7m%超または10m%超の酸化マグネシウムを含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供する。
【0154】
特定の実施形態では、本発明は、8m%超の二酸化チタン、10m%超のシリカ、15m%超の酸化カルシウム、10m%超の酸化アルミニウム、及び7m%超の酸化マグネシウムを含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供する。本実施形態では、本方法は、廃棄物として前もって捉えられたものからこれらの化合物を抽出するための、商業的に実行可能かつ有用な方法を提供する。
【0155】
代替の実施形態では、本発明は、15m%超の二酸化チタン、10m%超のシリカ、15m%超の酸化カルシウム、10m%超の酸化アルミニウム、及び7m%超の酸化マグネシウムを含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに少なくとも1つの他の生成物を回収する方法を提供する。
【0156】
特定の実施形態では、本発明は、微粒子物質中の二酸化チタンと酸化マグネシウムとの比率(TiO:MgO)を約0.5〜3.0で、より好ましくは0.8〜2.8で含む微粒子材料から、二酸化チタンならびに硫酸マグネシウム生成物を回収する方法を提供する。本実施形態では、本発明者らは、方法ステップが、二酸化チタン及び硫酸マグネシウムの特に経済的に実行可能な回収を提供することを見出した。硫酸マグネシウムの析出の前に実施されているチタンの加水分解ステップは、この比率で特に好まれる。さらに、硫酸アルミニウムの析出も実施される場合、硫酸アルミニウムの析出の前に実施されているチタンの加水分解ステップは、次に硫酸マグネシウムの析出の前に実施されるものであるが、この比率範囲において特に好まれる。
【0157】
一実施形態では、本発明者らは、ペロブスカイト及び酸化マグネシウムを含有する原料から生成物を回収する方法を提供し、前記方法は、
a)ペロブスカイト及び酸化マグネシウムを含む材料を粉砕して、微粒子材料を生成することと、
b)微粒子材料を硫酸と接触させて、硫酸チタニル及び硫酸マグネシウムを含有する混合物を形成することと、
c)混合物をフィルタ処理して、硫酸を除去することと、
d)混合物を水と接触させて、混合物を溶解し、濾過を使用して混合物を分離して、硫酸チタニル及び硫酸マグネシウムを含む溶液を生成することと、
e)溶液を析出して、二酸化チタンを生成することと、
f)硫酸マグネシウムが結晶化する温度まで残留溶液を冷却して、結晶化された硫酸マグネシウムを回収することと、
g)二酸化チタンを焼成して、残留酸及び水を除去し、実質的に純粋な二酸化チタンを生成することと、を含む。
【0158】
特定の実施形態では、硫酸マグネシウムを含む酸性化液、または硫酸マグネシウムを含む透過液は、硫酸マグネシウムが結晶化する温度まで冷却される。特定の実施形態では、溶液は、以前の析出、加水分解プロセス、または超音波処理プロセスが起こったのと同じ反応器内で冷却される。代替の実施形態では、溶液は、冷却するための別個の槽に通過される。
【0159】
特定の実施形態では、硫酸マグネシウムを含む酸性化液、または硫酸マグネシウムを含む透過液は、冷却されて、硫酸マグネシウムの析出/結晶を誘起する。好ましい実施形態では、硫酸マグネシウムを含む透過液、または酸性化液は、4℃未満または0℃〜4℃、より好ましくは、約3℃まで冷却される。特定の実施形態では、酸性化液中に存在する硫酸マグネシウム、または硫酸マグネシウムを含む透過液のうちの90%超が、濾過後に回収される。結晶化された硫酸マグネシウムは、当業者に既知の任意の方法によって溶液から回収される。
【0160】
加えて、本発明のシステムまたはプロセスは、プロセスの全効率を向上するために、他のパラメータを規制及び/または制御するための手段を任意に含み得る。1つ以上のプロセッサは、システム内に組み込まれて、プロセスの特定のパラメータを規制及び/または制御し得る。例えば、特定の実施形態は、混合物または溶液の組成を監視する手段を判定することを含み得る。加えて、判定手段が、混合物または溶液が特定の段階のために好適な組成を有することを判定するならば、特定の実施形態は、特定のシステム内で特定の段階または要素に混合物または溶液を送出することを制御するための手段を含み得る。
【0161】
加えて、プロセス中の1つ以上の段階の前もしくはその間に、特定のシステム構成要素もしくは混合物、溶液もしくは付加剤を加熱または冷却することが必要であり得る。そのような実例では、公知の加熱または冷却手段が使用され得る。
【0162】
さらにその上、システムは、特定の段階の動作または効率を向上するために、1つ以上の前/後処理ステップを含み得る。例えば、前処理ステップは、金属硫酸化プロセスの前に粉砕された供給材料から不必要な微粒子物質を除去するための手段を含み得る。実施され得る前動作または後動作は、特定の段階からの所望の生成物(複数可)の分離を含む。
【0163】
本発明は、読み手が、不当な実験なしで本発明を実施することを可能にするために、ある特定の好ましい実施形態に関して本明細書に記載された。当業者は、本発明が、特に記載されたもの以外の多数の変形及び修正において実施され得ることを理解するだろう。本発明がすべてのそのような変形及び修正を含むことを理解されたい。さらにその上、名称、見出し等は、本文書の読み手の理解を補助するために提供されるもので、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。本明細書に引用されるすべての出願、特許、刊行物の開示全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0164】
より具体的には、当業者によって理解されるように、本発明の実施形態の実装は、1つ以上の追加の要素を含み得る。本発明をその様々な態様において理解するのに必要なそれらの要素だけが、特定の実施例において、または説明において示され得た。しかしながら、本発明の範囲は、記載された実施形態に限定されず、1つ以上の追加のステップ及び/もしくは1つ以上の代わりのステップ、ならびに/またはならびに/または1つ以上のステップを省略している方法を含む方法を含む。
【0165】
本明細書の任意における先行技術への言及は、先行技術が、任意の国において努力の範囲において、共通の一般知識の一部を形成する示唆の承認または任意の形態として解釈されず、解釈されるべきではない。
【実施例】
【0166】
実施例1−異なる源からのスラグの組成の測定
鋼製造設備からのスラグの組成を得た。
結果
【表2】
【表3】
図3は、(ニュージーランドの場合は)本発明者らによって測定され、南アフリカ、中国、及びロシアの場合は以下の文献から得た、上記のスラグサンプルの組成を示す。
南アフリカ−Control of open slag bath farnaces at Highveld Steel and Vanadium Ltd.:development of operator guidance tables.Steinberg and Pistorius,Ironmaking and Steelmaking,2009,vol 36 no.7.
中国1及び中国2−3rd International Symposium on High Temperature Metallurgical Processing.Tao Jiang Jiann−Yang Hwang Patrick Masset Onuralp Yucel Rafael Padilla Guifeng Zhou−2012年5月9日.John Wiley & Sons
ロシア−Titania−containing slag processing method−RU2295582
【0167】
結論
データを得たスラグの5つの源はすべて、本明細書に記載される方法を使用して抽出が可能な、異なる程度の金属酸化物を有した。
【0168】
実施例2
材料及び方法
二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、及び酸化カルシウムの混合物を含有する6つのサンプルを、X線蛍光分光分析法を使用して分析した。これらのサンプルの質量パーセント組成を判定し、二酸化チタンと第2の成分との比率を算出した。
結果
【表4】
図2は、サンプル1〜6の組成を示す。
【0169】
結論
様々な組成を有するサンプルを得た。これらの組成は、様々な産業用のスラグ組成及びコア成分比率を代表する。
【0170】
実施例3−二酸化チタンを含むスラグの硫酸化
材料及び方法
硫酸化及び加水分解(サンプル1及び3〜6)
1.実施例2からのサンプル1〜6に対応する微粒子材料の100gのサンプルを、1Lの丸底フラスコに移した。
2.1kgの98%硫酸を加えた。
3.混合物を、約4時間の間、200℃の温度で加熱、撹拌、及び保持した。
4.結果として生じる硫酸化混合物を、真空下で46Kの濾布を通して冷却及びフィルタ処理した。
5.フィルタケーキを、1Lの円錐フラスコに移し、70℃で2時間の間、1:1の化学量論組成(質量)のRO水で洗浄した。
6.混合物を撹拌して、その後、約15時間の間、真空下で46Kの濾布を通してフィルタ処理して、少なくとも硫酸チタニルを含む透過液を生成した。
7.(少なくとも硫酸チタニルを含む)透過液をサンプリングして、それらのサンプルを、チタン、カルシウム、アルミニウム、及びマグネシウムのための誘導結合プラズマ原子分光法(ICP−OES)分析に供した。サンプルの二酸化チタン含有量も、研究室滴定を使用して分析した。
8.少なくとも硫酸チタニルを含む透過液を、1Lの丸底フラスコに移して、RO水(3倍希釈)を用いて1:2の化学量論組成(質量)で希釈して、加水分解液を生成した。
9.加水分解液を、撹拌しながら、5時間の間、沸点(約104℃)まで加熱して、硫酸チタニルを加水分解した。
10.析出された二酸化チタンを、20分の間、8000rpmで遠心分離によって加水分解液から分離して、析出された水和二酸化チタンをペレット化した。
11.残留する加水分解液を、ICP−OESを使用して分析して、mg/L中の残留するチタン、アルミニウム、及びマグネシウムの量を判定した。二酸化チタンの収率を、この値から算出した。下流の抽出のために(硫酸塩塩類として)残留しているアルミニウム及びマグネシウムの量も測定した。
【0171】
反応液の遊離酸度を以下の段階で測定した。
a.フィルタ処理された酸を、最初の濾過の後に除去した。
b.第2の濾過からの硫酸チタニルを含む透過液。
c.水和二酸化チタンの後に残留している加水分解液を、析出及び遠心分離しておいた。
【0172】
硫酸化及び加水分解方法(サンプル2)
1.サンプル2−(P114)の1.5kgのサンプル(実施例2を参照のこと)を粉砕して、ボールミルを使用して、約xμmの微粒子サイズの微粒子材料を形成した。
2.8Lの98%硫酸を加えた。
3.混合物を、2バールの圧力下で、300rpmで撹拌しながら、約4.5時間の間、200℃の温度で加熱及び保持した。
4.結果として生じる硫酸化混合物を、50℃で46Kの濾布を通して冷却及びフィルタ処理した。
5.濾過を、5バーの圧力で実施して、30〜40分の間、圧縮空気で吹き付けた。
6.(少なくとも硫酸チタニルを含む)透過液をサンプリングして、それらのサンプルを、チタン、カルシウム、アルミニウム、及びマグネシウムのための誘導結合プラズマ原子分光法(ICP−OES)分析に供した。サンプルの二酸化チタン含有量及び遊離酸度も、実施例3に記載された方法に従って、研究室滴定を使用して分析した。
7.フィルタケーキを、70℃で2.5時間の間、RO水の1:1の化学量論組成(質量)で浸出して(すなわち、3028gのフィルタケーキを、3000gのRO水で浸出して)、加水分解液を生成した。
8.加水分解液を、その後、1〜3バールで15分の間、46Kの濾布を通してフィルタ処理して、空気を、20分の間、吹き付けた。
9.加水分解液を、3Lの丸底フラスコに移して、RO水(3倍希釈)を用いて1:2の化学量論組成(質量)で希釈した。
10.この希釈された液を、その後、沸騰するまで加熱して、撹拌しながら、5時間の間、硫酸チタニルを加水分解した。
11.析出された二酸化チタンを、20分の間、8000rpmで遠心分離して、析出された水和二酸化チタンをペレット化した。
12.残留する加水分解液を、ICP−OESを使用して分析して、残留するチタン、アルミニウム、及びマグネシウムの量を判定した。二酸化チタンの収率を、この値から算出した。下流の抽出のために(硫酸塩塩類として)残留しているアルミニウム及びマグネシウムの量も測定した。
【0173】
硫酸アルミニウムの析出
13.加水分解の後、硫酸アルミニウムを含む液の酸性度を、98%の硫酸を用いて、約40%(w/w)まで増加させた。
14.この高い酸性度液を、その後、3時間の間、8000rpm及び20℃で遠心分離して、硫酸アルミニウムを析出して、それを分離のためにペレット化した。
【0174】
二酸化チタンの濃度を判定する滴定方法
1.約1mLのサンプルをピペットで500mLのエルレンマイヤーフラスコ内に移し、サンプルの正確な質量を判定した。
2.60mLの10%HCl、20mLの98%H¬2SO4、及び約1.3gのアルミニウムホイルを加えた。
3.一旦、反応が完了すると、ある程度の冷却が起こることが許容された。これは、いくらかのNaHCO3がフラスコに内に吸い戻されて、緩衝CO2層を形成したときであった。
4.溶液がまだ温かい間、6滴のメチレンブルーインジケータを加えた。
5.酸性化された0.1Mの硫酸セリウム標準物質に対して滴定した。
6.滴定の終点は、色が淡黄色から淡緑色まで変化するときである。
【0175】
遊離酸度の判定
1.約1mLのサンプルをピペットで500mLのエルレンマイヤーフラスコ内に移し、サンプルの正確な質量を判定した。
2.100mLのRO水をフラスコに加えた
3.4滴のフェノールフタレインインジケータを加えた。
4.標準化された1MのNaOH溶液に対して滴定した。
5.滴定の終点は、色が無色から薄ピンク色まで変化するときである。
【0176】
結果
上述の硫酸化方法に供したサンプルを分析し、表5の透過液の組成を測定した。
【表5】
透過液の遊離酸度は、29%〜33%の範囲にあった。
【0177】
図4aは、滴定法によって測定された、硫酸チタニルを含む透過液中で測定された二酸化チタンの量を示す。図4bは、ICP−OES法によって測定された、透過液中で測定されたチタンの量を示す。研究室滴定法を使用して得られた測定がICP−OES法を使用して得られた測定に密接に相関することが分かる。図5は、透過液中のチタン、カルシウム、アルミニウム、及びマグネシウムのICP−OES測定を示す。
【表6】
【表7】
【表8】
【0178】
硫酸アルミニウムが最初に析出されて、除去される実例では、この材料ストリームに対する硫酸チタニルの損失がある。表9は、硫酸アルミニウム中の硫酸チタニルのホールドアップのために、析出された硫酸アルミニウムに対する損失(それが析出するにつれての(吸蔵))を説明する。
【表9】
【0179】
結論
表5のICP−OES結果は、相当量のチタン、アルミニウム、及びマグネシウムが溶解され、不溶残渣及び他の望ましくない不純物が実質的に欠けているフィルタを通過することを示す。透過液中のチタン、アルミニウム、及びマグネシウムは、硫酸塩類の形態であり、本明細書に記載された方法に従って、別々に析出され得る。
【0180】
遊離酸度測定は、硫酸チタニルを含む透過液が29%〜33%の範囲にあること指示する。
【0181】
TICP−OES分析のカルシウムの量は、非常に低く、元々のサンプル中に存在する酸化カルシウム(図2/3及び表4を参照のこと)が濾過ステップの間に硫酸カルシウムとして析出ならびに除去されることを指示する。
【0182】
表6に示される収率測定は、チタニウム塩類の高効率抽出を指示する(89〜97%の効率。収率測定は、本明細書に記載された方法が、微粒子物質組成及び成分比率の範囲(表4及び図2を参照のこと)に対して効果的で、非常に効率的なことも指示する。
【0183】
表7は、二酸化チタンの加水分解及び除去の後の液中に存在する相当量のアルミニウム及びマグネシウムがあることを指示する。(硫酸塩類の形態で存在する)これらの他の成分は、後の方法ステップの析出における抽出のために可用である。
【0184】
表8は、フィルタ処理された酸のサンプルの遊離酸度が非常に高いことを示す。硫酸チタニルを含む透過液は、減少した量の遊離酸を含有し、加水分解液は、約10%の遊離酸度を含有する。本発明者らによって実施された追加の実験は、加水分解液の遊離酸度が25%超ならば、加水分解反応はエネルギー的に好ましくなく、進行しないか、完了まで進行しないことを指示した。追加として、本発明者らは、加水分解液が、硫酸チタンの完全な加水分解が起こることを可能にする約8%超の遊離酸度を含有することが好ましいことを見出した。
【0185】
表9は、硫酸アルミニウムを加水分解の前に析出する実例において、加水分解のためにそれ以外の場合可用である同等の二酸化チタンの著しい損失があることを示す。損失は、主として、析出の間に形成する粗い硫酸アルミニウム結晶中で硫酸チタニルが吸蔵されているためである。硫酸アルミニウム析出の前に硫酸チタニルを二酸化チタンに加水分解する技法を開発する際に、本発明者らは、プロセスの経済的実行可能性を向上させた。
【0186】
使用される2つの硫酸化/加水分解法の比較は、それらが類似の結果を出すことを示す。商業的文脈において、(サンプル2のために使用される)第2の方法は、概して、可用なより高いスループットのために好ましい。追加として、本発明者らは、商業的文脈において、遠心分離ステップが、濾過等の代替の、より高いスループット分離技法によって取って代わられることになることを企図する。当業者は、そのような分離技法が、前記生成物を含む液/透過液から本明細書に言及される生成物を得るために使用され得ることを理解するだろう。。
【0187】
実施例4−硫酸マグネシウムの回収
材料及び方法
硫酸マグネシウムの抽出
1.1000mLの液を、加水分解反応から受容する(任意に、硫酸アルミニウムの回収の後に)。硫酸マグネシウムと硫酸を含む液を、加熱かつ撹拌された容器内に配置することで、180℃超の温度まで加熱する。
2.液が180°Cで沸点に到達するとき、溶液中の酸の濃度は約75%に到達することになる。
3.液を、60分の間、180℃で保持する
4.酸濃度が上昇するにつれて、溶液中の硫酸マグネシウムは析出することになる
5.液は、周囲温度まで冷却することを許容される
6.液及び析出物は、46Kの布を用いて、真空フィルタ内でフィルタ処理される
7.濃縮水を、XRFを用いて除去、乾燥、及び分析して、組成を判定する
8.透過液は、高濃度硫酸となる。これのサンプルを、ICP−OESまたはICP−MS技法を用いて、組成に関して分析する。
9.透過液のサンプルを、また、遊離酸度のために滴定する
【0188】
実施例5
本実施例は、硫酸マグネシウムを含む透過液においてより高い酸濃度を達成するための提案された方法を記載する。本方法は、液を脱水し、ひいてはpHを減少させる。より高い硫酸濃度は、硫酸マグネシウムが透過液から析出することをもたらす。
【0189】
硫酸マグネシウムを含む透過液を、実施例3に記載されるような微粒子材料から生成物を回収する方法から得る。透過液を、少なくとも1つの逆浸透膜を含む逆浸透ユニットに通過される。透過液は、例えば1.5バール等、膜の反対側への圧力より大きい圧力下で該ユニットに供給される。
【0190】
濃縮水は、収集され、沈降することを許容される。硫酸マグネシウムの析出は、自発的に起こるか、さらなる酸の冷却または添加によって補助され得る。析出された硫酸マグネシウムを、濾過を介して収集する。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
【国際調査報告】