特表2017-524813(P2017-524813A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-524813高強度鉄系合金、この鉄系合金の製造方法、及びその方法から得られる物体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-524813(P2017-524813A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】高強度鉄系合金、この鉄系合金の製造方法、及びその方法から得られる物体
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/00 20060101AFI20170804BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20170804BHJP
   C22C 38/04 20060101ALN20170804BHJP
   C22C 38/16 20060101ALN20170804BHJP
   C21D 1/42 20060101ALN20170804BHJP
   C21D 1/18 20060101ALN20170804BHJP
【FI】
   C21D9/00 A
   C22C38/00 301A
   C22C38/04
   C22C38/16
   C21D1/42 M
   C21D1/18 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-573965(P2016-573965)
(86)(22)【出願日】2015年6月17日
(85)【翻訳文提出日】2017年2月13日
(86)【国際出願番号】US2015036313
(87)【国際公開番号】WO2015195851
(87)【国際公開日】20151223
(31)【優先権主張番号】62/013,396
(32)【優先日】2014年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/093,731
(32)【優先日】2014年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/100,373
(32)【優先日】2015年1月6日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516376400
【氏名又は名称】コーラ ジュニア, ゲーリー, エム.
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】コーラ ジュニア, ゲーリー, エム.
【テーマコード(参考)】
4K042
【Fターム(参考)】
4K042AA25
4K042BA01
4K042BA05
4K042CA05
4K042DA01
4K042DB01
4K042DC01
4K042DC02
4K042DC03
4K042DE02
4K042DE05
(57)【要約】
【課題】 極めて急速に加熱した直後に極めて急速に冷却することにより生成される新しい鉄系合金。
【解決手段】 原料の鉄系合金を前駆体材料に任意で最初に球状化焼鈍することにより作られる方法及び材料を開示する。任意の球状化焼鈍の後に、前駆体材料は急速に材料のオーステナイト化温度よりも高温に加熱されるとともに、急速に冷却されて、高強度鉄系合金が生成される。耐腐食性高強度鉄系合金を実現化するための方法及び材料と、略折り重ねられるほどの曲げ半径を形成する能力を示す方法、材料及び物品が開示される。
【選択図】図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
普通炭素鋼から900メガパスカル以上の改良型高強度鋼、或いは、2材料厚さよりも小さい曲げ半径が可能な最小合金鋼を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された高強度鉄系合金に関し、特に、この合金に変態及び整形のいずれかを行うための方法に関する。この合金は最小曲げ半径で成形され得るとともに、低炭素鋼、中炭素鋼、及び高炭素鋼を処理することにより得られる。この鉄系合金はまた、粒界の脆化を回避しつつ、リン合金化により耐腐食性を備えるように構成される。
【背景技術】
【0002】
これまで、冶金学者達は、低炭素鋼のような低品質の金属を得ようとしてきたが、これは、安価な処理、2〜3例を挙げると、焼鈍、焼入れ、焼戻し等により、高品質の鋼やより望ましい製品へと変わってきた。これまでの試みは、常に望ましい製品を生産できるわけではなかったという点で、成功に限界があった。その他の試みは、加工費用が高く、或いは最終的に過剰で高価な合金化を組み入れる必要があることから、大規模で失敗してきた。
【0003】
一般的に、鋼のルールとしては、より強度が高い鋼を得ようとするほど、その鋼はより硬くなるが、より伸びが少なくなってしまう。ほとんどの場合、「伸び」という語は、延性、柔軟性、成形性といった語と同意語として使われる。伸びは引張試験台において試験が行われ、この引張試験台は、鋼がどの程度伸長し、或いは延長するかを判定するために、鋼試料を不具合が生じるまで一軸方向に引っ張る。ASTMは、長期に亘る引張試験の再検討を必要とする。
【0004】
鋼がより硬くなるにつれて、また、伸びや延性がより少なくなるにつれて、スタンピングプレス成形型で所定の形状に成形される能力は低くなる。鋼業界では、強度を高めつつ、伸びを維持し、或いは高めることに注目して、多くのことを試してきた、これには、鋼を均質化し、焼入れ、次に焼き戻すために、多くの時間を必要とする極めて集中的な熱機械的処理を使用することにより、著しいコストペナルティの元で行われている。また、強度を高めるために、またより重要なこととして、鋼の伸びを高めるために、合金元素が更なるコストペナルティで加えられる。
【0005】
鋼業界では、製品の強度や伸びを、保証された最小性能として公表する。米国の自動車産業では、典型的には、ASTMにより規定された標準50mmゲージ長を使用する。ASTMは、15%の伸びを備える鋼は、不具合が生じるまでに、少なくとも15%延びるように開発されているという基準を広めてきており、当該技術分野に属する者には、このような鋼は、一枚の紙を折り畳むように、折り曲げられ得るとして知られている。これは、「ゼロ−T」曲と考えられ、「T」は曲げ半径に対する材料の厚さを表す。別の経験則としては、僅か10〜20%の伸びを備えた鋼は、典型的には、1〜2個の材料の厚さ(例えば、1T曲げから2T曲げ)の曲げ半径で成形される。同様に広く知られていることとして、7〜9%の伸びを備えた鋼は、スタンピングプレス成形で部品を成形するときには、鋼がひび割れることがないように、少なくとも2Tから3Tの曲げ半径を必要とし、より多くの場合では、3Tから5Tの曲げ半径を必要とする。
【0006】
成形性が高い鋼を作るために、改良型高強度鋼の加工では一般的に、集中的な資本設備と、多くの費用と、急冷油や急冷ソルト等の高価で危険な加熱流体と、炉や加熱装置や溶鋼の注入からの余熱を使用する焼戻し又は焼鈍処理を必要とする。これらの焼入れ工程は、鋼の高度を所望する値に上昇させることを目的とする。ベイナイトやマルテンサイトは、これらの工程により作られるとともに、約20又はそれよりも高いロックウェルC硬さを概ね有するので、一定の高強度用途として特に好ましい材料である。
【0007】
一般的な改良型高強度鋼は概して、ベイナイト相及びマルテンサイト相の少なくともいずれかを含んでいる。複数相材料は、ベイナイト、マルテンサイト、針状フェライト及びその他の形態のフェライト、残留オーステナイト、パーライト及びその他の少なくともいずれかを含む様々な共存する微細構造を含む。ベイナイトは概して、フェライトと炭化物の結合構造である針状鋼であり、かなりの硬度を表す一方、高強度と高延性を組み合わせている。歴史的に、ベイナイトは、伝統的なオーステンパー処理により、一般的には少なくとも数分以上から数時間を要するかなり長期に亘る熱サイクルを介して商業的に作られている非常に好ましい製品である。ベイナイト鋼の実際的な効果の一つとして、相対的に高い強度レベルが得られるとともに、適度な延性を備え、ベイナイトの変態が行われた後に、更に加熱処理を行う必要がない。
【0008】
このようなベイナイト含有鋼は、低炭素合金として作られる時には、容易に溶融が可能である。このような長期に亘る工程を経て作られる従来のベイナイトは、耐焼戻し性を備え、変態が可能及び溶融金属付近の熱影響域に留まるかの少なくともいずれかであることから、ひび割れの発生を低減させるとともに、より脆くない溶接線を提供するものである。また、この従来のベイナイト鋼は、全体の溶接性を改善するとともに、変態により生じる応力をより低減させるために、炭素含有量がより低い。局所的に不均一な化学的性質が存在するときには、低炭素領域の存在により、溶接性は更に改善される。針状ベイナイトが多くの合金元素が含まれている中炭素鋼及び高炭素鋼で成形されると、化学的に均質的な鋼粒子各々におけるより高い炭素当量の含有量に起因して、溶接性は低下する。
【0009】
その他の典型的な従来の高強度鋼の構成要素であるマルテンサイトは、鉄の体心正方格子中の硬く過飽和状態である炭素の固溶体から作られる別の針状微細構造である。それは、概して、マルテンサイト変態と呼ばれる相変態、或いは剪断変態の間に形成される準安定的な移行構造であり、オーステナイト化された鋼のより大きな材料が、マルテンサイト変態範囲内の温度に急冷されるとともに、その温度に保たれ、室温まで冷却する前まで、ずっと等しい温度が得られる。マルテンサイトは、より薄い部位では、水中で焼入れされることが多い。マルテンサイトは、化学プロセスによってより高い温度へと加速させられるので、熱を加えることにより容易に焼戻しされ、かなり強度が低くなる。焼入れは制御が困難なことから、殆どの鋼は焼入れされると、過剰なマルテンサイトが生成され、次に、焼戻しされて、意図した用途に適切な硬度又は延性の微細構造が存在するようになるまで、その強度は徐々に低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
高強度鋼業界は、このような高強度鋼を得るためのより安価な方法を模索している。また、鋼業界は、最小曲げ半径成形並びにより高い耐腐食性を備えた高強度鋼を可能にする単一、複合、及び多相材料を含む鋼を安価に製造することを切望している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係り、低グレードフェライト合金の細片、シート、棒、板状、ワイヤ、管、異形、ワークピース等は、最小の成形半径となるように高い曲げ能力を備え、最小減の費用、時間、労力で妥当な伸び値を表す低グレード多相で複数の化学的正式に改良された高強度鋼に変換される。特に、普通炭素鋼は、極めて成形可能であり、ゼロ−T曲げ半径であっても可能であるが、900メガパスカルを超える強度を有する単相又は多相材料とされる。これらの二相又は複合相材料から作られる1材料厚さ又はそれよりも小さい程度の曲げ半径を備えた物体が、本発明を実施することにより得られる。低温側オーステナイト化温度から選択されたピーク温度までにし、それから急速に冷却する間の鉄系合金の加熱時間が短いことにより、本方法は、「フラッシュ(登録商標)加工(Flash (登録商標) Processing)」として知られるようになっている。部分的ベイナイト微細構造を急速に得る能力がみられる様々な最小限に合金化された鋼を使用して、本方法は、「フラッシュ(登録商標)加工」として知られている。
【0012】
少なくとも単相の高強度合金を成形するために、鉄系合金を急速に微細処理する方法を開示する。本方法は、第1微細構造を有する鉄系合金に、オーステナイト変態温度を供給する工程を含む。本第1微細構造は、極めて高速に、例えば38℃/sec 〜2760℃/sec (100°F/sec〜5000°F/sec)で、より低いオーステナイト化変態温度以下からオーステナイト化変態温度よりも高い選択されたピーク温度まで急速に加熱することにより、上述の相を含む第2微細構造を有する鉄系合金に変態する。冷却の際には、この第2微細構造は、鉄系合金を含有する初期の炭化物中の合金元素の均質化のために可能な最小時間(オーステナイト化温度よりも高温で<10秒)に起因して、不均一であることが知られている。2760℃/sec (5000°F/sec)までの冷却速度であれば、化学的性質及び微細構造の不均一性が安定させられることが分かっている。750℃まで余熱することにより、達成される余熱温度が、炭素の平滑化、炭化物の溶解、及び合金の均質化を加速させない程度に低温であるならば、効果的であることが分かっている。
【0013】
本発明の実施に際して、従来計算されていたバルク化学オーステナイト化変態温度は、急速な加熱により開始する短期間の熱サイクルに起因して、所定の合金に対して上昇する。この上昇させられるオーステナイト化温度は、10秒未満で生じるものであり、複数の合金濃度のオーステナイト化温度の平均化と、個々のオーステナイト粒において鋼に存在する合金富化炭化物に部分的に起因する。異なる炭素濃度は異なる上限オーステナイト化温度を有するので、旧オーステナイト粒に存在する炭素濃度、或いはその欠乏は、鉄系合金の瞬間オーステナイト化温度への影響が大きい。例えば、主にフェライトから構成される鉄系合金は、炭素濃度が極めて低く、純鉄におけるフェライトの瞬間オーステナイト化温度に最も近い相対的に高い上限瞬間オーステナイト化温度を有する。
【0014】
室温からの普通炭素鋼を、低温側オーステナイト化温度よりも低温から10秒以内でオーステナイト化温度よりも高い高温へ上昇させ、次に、達成した選択ピーク温度から10秒未満で存在する化学的性質のマルテンサイト完成温度以下へ急冷するように熱サイクルさせることにより、サイクル全体が20秒未満であり、伸びがわずか約5〜12%であるこれまでには見られなかった強度の最小曲げ半径を達成し得る成形可能な鋼が生成される。最適には、鋼はそれ自体の上へ180℃まで曲げられることが可能であり、「ゼロ−T」曲としても知られており、「T」は、材料厚さ又は1T曲げ半径である。
【0015】
この極めて急速な加熱と極めて急速な冷却の流れは、高温で10秒未満の実質的な保留時間を必要とすることなく行われる。急冷は極めて高速で、即ち100°F/sec〜5000°F/secで、加熱ユニットに近接する急冷ユニットにおいて、鉄系合金の少なくとも一部に生じる。「近接する」という語は、急冷が数センチメートル又は1メートル以内で行われることを意味し、その移動は略瞬時である。鉄系合金を含む炭化物の連続した冷却変態や時間温度変態を行うために、より緩慢な或いは間欠的な急冷が望ましい場合もある。この方法は、処理が鉄系合金のどこに行われるかに応じて、所望領域に、少なくとも単相の高強度合金を形成する。
【0016】
急冷は略瞬時に、即ち10秒未満で、様々な方法及び装置により行われる。このような急冷装置としては、とりわけ、水槽、水噴霧、冷却成形型、エアナイフ、外気対流、最終作動冷却順送り型、最終段階冷却ライン型、冷却圧延型、及び急冷液圧成形がある。溶融ソルト、油、蒸気、加熱気溶体、冷却急冷ローラ、及び当該技術分野に属する者に周知の他の多くの手段により、より緩慢な、或いは間欠的な冷却が可能である。急冷方法にかかわらず、急冷は、炭素の移動、炭化物の溶解、及び合金の均質化を制限する選択ピーク加熱温度に到達した後、10秒以内と略直ぐに、実質的な保留時間なく開始される。
【0017】
第1微細構造の最適化により、合金中における粒内化学的不均一性の維持を助ける条件が確立される。鋼の球状化焼鈍等の工程により、炭素の移動を制限する炭化物が生成される。低温側オーステナイト化温度よりも高温及び低温で循環する焼鈍処理は、粒界境界付近で析出するオーステナイトを生成することが分かった。球状化焼鈍は典型的には、炉内で数時間から数日を必要とするが、一時間未満で完了する新規の連続加工法が提案されている。オーステナイトは炭素及びマンガンに対してより高い溶解性を有するので、炭素及びマンガンは、析出オーステナイトを富化させる一方、高温側オーステナイト化温度を超えないと粒子中心領域から移動する。炭素及びマンガンが、連続冷却変態ダイアグラムにより決められる適切な局所濃度にあると、析出オーステナイトは冷却中に残存する。この析出オーステナイトはまた、フラッシュ(登録商標)加工の後にも残存し、残留オーステナイトとなる。フラッシュ(登録商標)加工の間に、炭化物が溶解し、マンガン富化領域付近で更なる炭素が供給され、冷却の際に、より多くの残留オーステナイトが生成される場合もある。
【0018】
鉄系合金の総重量に基づき2重量%のリンを加えることにより、粒子の脆化を生じさせることなく、鉄系合金物において耐腐食性がもたらされることが分かった。この特性は、リンが、鉄系合金に内在する先に形成された個々のオーステナイト粒において、粒子中心領域へ移動する時に得られる。この化学的不均一性は、焼鈍処理の間に進められ、リンが析出オーステナイトの炭素富化粒子境界から離れるように移動するにつれて、低温側オーステナイト化温度よりも高温又は低温で循環する。
【0019】
本明細書に記載する全てのものは、様々な重量パーセントの列挙を含み、また、本出願では、全ての重量パーセントは、言及されていてもいなくても、重量パーセントを組み入れた鉄系合金の合計重量に基づき想定される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
低温側オーステナイト化温度よりも高温にし、次に急速に低温側オーステナイト化温度よりも低温にする急速循環は、粒界析出オーステナイトを生成する新規の本発明の態様である。鉄系合金を低温側及び高温側オーステナイト化温度の間に単に保持することにより、個々の析出オーステナイトの「塊状」粒子を生成し、更には、より炭素に富む個々の粒子が生成される。大部分の粒子が境界炭素富化であるのではなく、任意の個々の粒子のみが炭素に富むのであれば、鉄系合金の残りの粒子は、好ましくない粒界リンを有することになる。粒子中心がリンに富む鉄系合金は、フラッシュ(登録商標)加工された物体と従来の非フラッシュ(登録商標)加工条件のもののいずれでも商業的用途がある。フラッシュ(登録商標)加工されていない物体の強度はより低いが、建築物などでの利用において耐腐食性を備える。
【0021】
従って、以下の記載は、このような新規の高強度合金の生成方法、それにより作られる物体、及びその合金自体について説明するものである。
【0022】
本発明の予測される範囲及び様々な態様の性質及び効果への理解を更に深めるために、以下の詳細な説明を、添付の図面と合わせて記載する。図中、同じ部分には同じ符号を付すこととする。
【0023】
図1A】フラッシュ(登録商標)加工に従い処理された鉄系合金のFEGSEM顕微鏡写真図。
図1B】フラッシュ(登録商標)加工に従い処理された鉄系合金のFEGSEM顕微鏡写真図。
図2A】フラッシュ(登録商標)加工の管内壁における一般的な温度測定値を表すグラフ。
図2B】本発明方法における加熱又は冷却サイクルにおける時間と温度を表すグラフ。
図2C】オーステナイト粒成長を時間の経過とともにシミュレートした加熱及び冷却サイクル。
図3】合金の2つの異なる化学的な性質がバルク合金内で急冷されている、二重変態冷却を示す温度対温度差の変態分析グラフ。
図4】残留オーステナイトを生成するための鉄系合金の個々の粒子の化学的図。
図5】フラッシュ(登録商標)加工物となり得る耐腐食性鉄合金を生成するための鉄系合金の個々の粒子の化学的図。
図6】本発明に従い形成された1550メガパスカルのワークピースの写真図。
図7】1550メガパスカルのコールド成形スタンピングの写真図。
図8】自動車産業で使用される1500メガパスカルのワークピースの写真図。
図9】別の1550メガパスカルのコールド成形スタンピングの写真図。
図10】不具合がない状態の角度成形金属スタンピングを示す写真図。
図11】不具合がない状態の別のコールド成形スタンピングの写真図。
図12】レーザベッド上において余分な部分を切り取っているコールドスタンピングされたBピラー部品の写真図。
図13】鋼細片の夫々の側方に3本の脚部を備えた平行な一方向電流の6本の脚部を表す誘導加熱コイルの実物大模型の写真図。
図14】格子エッチングされてからフラッシュ(登録商標)1500の室温スタンピングされた部品の写真図。
図15】フラッシュ(登録商標)加工鋼の旧オーステナイト粒の拡大写真図。
図16】鉄系合金を球状化焼鈍するために誘導加熱を使用する連続圧延装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
始めに、図1A及び図1Bを合わせて参照すると、フラッシュ(登録商標)加工鋼は、ベイナイトプレートレット又は強度、延性及び硬度を非常に好ましく組み合わせたプレートの二峰性寸法分布を有することを示す。本発明のフラッシュ(登録商標)加工は、殆ど歪みがない平坦なシート、棒、板、及び直管を製造する。これらの図から分かるように、微細構造により、微細構造の二峰性分布内に微粒子構造を生じさせることにより、驚くほどの強度と延性が得られる。
【0025】
図2Aを参照すると、管がフラッシュ(登録商標)加工される際の管の内壁における加熱及び冷却サイクルを示す温度(℃)と時間(秒)のグラフが示されている。この内壁の一般的な温度測定値は、極めて低い温度‐時間履歴比が存在することを示している。
【0026】
次に図2Bを参照すると、従来の鋼業界における連続焼鈍ラインでの温度時間履歴に加えて、フラッシュ(登録商標)加工における温度時間履歴比を示す温度対時間のグラフが示されている。明らかに、連続焼鈍ラインでの温度対時間履歴比は、フラッシュ(登録商標)加工での比よりもかなり大きい。
【0027】
図2Cは、フラッシュ(登録商標)加工の熱サイクルの間におけるオーステナイト成長を示す。領域Iは旧オーステナイト粒を示す。領域IIは粒界から開始するオーステナイト成長を示す。領域IIIは、炭素の平滑化及び完全炭化物溶解が生じていない不均一オーステナイト粒を示す。領域IVは同じ旧オーステナイト粒内におけるベイナイト及びマルテンサイトの複合混合を示す。
【0028】
図3は、温度(℃)対温度変化(℃)の分析を示す。この分析により、冷却中に、650〜550℃及び460〜360℃におけるオーステナイト娘相への集中変態が示されている。この分析によれば、2つの異なる変態条件が存在し、これにより、マクロスケールでは均一であるが、極めて局所的な微細構造での不均一性に至る。2つの異なる変態温度範囲は、AISI4130合金が急冷された時の不均一な局所的化学的性質に起因して存在する。他の鉄系合金は異なる温度範囲を備えるが、同じ二つの変態冷却特性を表す。合金及び炭素の不均一性に応じて、各変態は、略同じ位置で生じる多重の異なった化学的変態であることが予想される。これは、合計重量に基づき、0.05、0.08、或いは0.10重量%のいずれかで富化された旧フェライトの局所領域の存在に起因して生じる。夫々の炭素旧オーステナイト粒は、それ自体の変態開始及び完了温度を有するが、この特性のグラフ上では重なる。
【0029】
図4は、残留オーステナイトを生成するための鉄系合金の個々の粒を示す化学的図である。この図は、低温側臨界オーステナイト転換温度よりも高温及び低温で繰り返される熱循環が、どのようにして炭素及びマンガンを含む析出オーステナイトの粒界領域を富化するのかを示している。これは、オーステナイトがフェライトよりも、炭素及びマンガンの両方に対してより高い溶解度を有することにより生じる。この富化により、フラッシュ(登録商標)加工後であっても、析出オーステナイトは、室温で残留するオーステナイトと同じ程度に安定するようになる。元素濃度と体積分率の一案を提供するが、鉄系合金に存在するバルク化学に基づく多くの可能性の一例に過ぎない。
【0030】
図5は、フラッシュ(登録商標)加工物となり得る耐腐食性鉄系合金を生成するための鉄系合金の個々の粒子を示す化学的図である。この図は、低温側臨界オーステナイト転換温度よりも高温及び低温で繰り返される熱循環が、どのようにして炭素及び潜在的にマンガンを含む析出オーステナイトの粒界領域を富化するのかを示している。これは、オーステナイトがフェライトよりも、炭素及びマンガンの両方に対してより高い溶解度を有することにより生じる。本工程中、フェライトの粒子中心領域は、炭素及びマンガンのいずれもがなくなった状態になる。当該技術分野に属する者であれば、炭素及びリンは同一の場所に配置されないことを好むことは理解している。炭素が粒界へ向けて移動すると、リンは粒子内部へ移動する。このリン集中粒内富化生成物は、フラッシュ(登録商標)加工前条件及びフラッシュ(登録商標)加工条件のいずれにおいても有用である。元素濃度と体積分率の一案を提供する。注目することとして、マンガンは耐腐食性鉄合金を生成するのに必須ではないが、マンガンが存在するか或いは存在しないかは、最終生成物の残留オーステナイトの体積分率にのみ影響を及ぼす。最小の屈曲が必要とされる強度に依存する建築物のような場合で使用する場合は、残留オーステナイトは好ましくないかもしれない。しかし、成形自動車部品のような物体では、マンガンの存在に起因する残留オーステナイトは有益となり得る。
【0031】
図6は、一般的に「サイドカー」と呼ばれる自動車部品であり、本発明方法により成形されるワークピースを示しており、ワークピースを略90度曲げても不具合が見られないことがわかる。フラッシュ(登録商標)加工されたAISI1020鋼の場合、1400〜1600MPaの強度と、6〜10%のA50伸びと、44〜48のロックウェルC硬さが得られた。1920年代以降、引張試験において、より低い合計伸びに向けて、より薄い鋼シートの傾向になっていることは、広く受け入れられている。しかし、3mm厚さのフラッシュ(登録商標)加工AISI1020は、合計伸びが9〜10%であることが分かっている。そのため、亀裂が入り、不具合が生じ始める前に、2Tの最小曲げ半径となることが期待される。予期せず、延性がわずか6〜6.5%であるフラッシュ(登録商標)加工AISI1020の1.2mm厚さのシートは、0Tの曲げ半径で曲げることができ、実質上、シート自体を折り重ねることができた。また、伸びが7〜8%、ロックウェルC硬さが30〜34である1.9mm厚さのシート状フラッシュ(登録商標)加工AISI1020鋼は0Tから1Tの曲げ半径で曲げることができる。鋼の伸びに基づくASTMの経験則によれば、これら2つの後者のいずれも、亀裂が入ることなく生じるとは予測されていなかったが、フラッシュ(登録商標)加工により生成された鋼は、この目標を容易に達成した。
【0032】
この「サイドカー」形状の部品はコールドスタンピングされ、これは自動車産業で好まれる基準的な方法である。強度が1500メガパスカルのコールドスタンピング鋼は、高価に製造される鋼の「ホットスタンピング」の付加工程全てが軽減され、製造コストを約半分に減らすことができることから、好ましい。これらの実験結果は、他の改良型高強度鋼と比較して合金の含有量が極めて少ない一般的な普通炭素鋼を使用して、予期しない幾つかの良好な結果をもたらした。普通炭素鋼は、AISI10##と呼ばれ、「##」は鋼に含まれる炭素の重量パーセントを表す。例えば、AISI1020鋼は、約0.20%wtの炭素を含有する。この鋼が1000℃以上に急速に加熱され、長期に亘る保留時間なく実質的に急冷されると、本出願人の先に特許を受けた米国特許8,480,824号に記載されるように、全く予期しなかった好ましい結果が得られた。
【0033】
図7は、本発明を用いて製造されたフラッシュ(登録商標)加工シートの1500メガパスカルコールドスタンピング普通炭素鋼部品の別の一例を示す。再度注目すべきこととして、この部品は不具合点がみられず、むしろ、しわのよった角部とコールドスタンピングによる完全成形を示す。
【0034】
図8は、「クラッシュカン」と呼ばれる自動車部品へのフラッシュ(登録商標)1500MPa試験の試験結果を示す。本願発明者は、フラッシュ(登録商標)1500MPaで製造される伸びがわずか6%の部品は、紙が折り重ねられるように成形され得ることに気づいた。図8に示す例は、この自動車用「クラッシュカン」の一つである。クラッシュカンは、車両のバンパ補強鋼と車室の前後に延出する「フレームレール」の間に配置される。今日では、DP780(780メガパスカルで二重相)と表示される鋼は、亀裂を生じさせることなくクラッシュカンに使用され得る最も強度が高い鋼であることは広く受け入れられている。これは、DP780が歴史的に受け入れられる延性を備えた最も強度の高い鋼であり、鋼はゼロ−T曲げ半径まで折り重ねられる一方、衝突時にエネルギを吸収し、実質上アコーディオンの外見をとることに起因する。
【0035】
フラッシュ(登録商標)加工AISI1020の2つの熱が分析され、一方は0.19%wtの炭素及び1.2mm厚さのシート鋼であり、他方は、0.21%wtの炭素及び1.3mm厚さのシート鋼である。前者は50×60mmのクラッシュカンに成形され、後者は45×50mmのクラッシュカンに成形された。いずれのクラッシュカンも140mmの高さから始めたが、50mmの高さに設定されたスタンピングプレスで潰れた。いずれのクラッシュカンの変形物も、機械的に誘発された圧潰の間に0T曲げ半径まで曲げ重ねられた。
【0036】
図9〜12を合わせて、コールドスタンピングされた部品を示す。クラッシュカンの初期作業が完了した後、図示される部品は、1.2mm厚さのフラッシュ(登録商標)加工AISI1020鋼シートの成形性を試験する際に生じる一層困難な7個のスタンピングプレス工具のうちの4個である。夫々の場合において、フラッシュ(登録商標)加工AISI1020は、伸びがわずか6〜6.5%である鋼では不可能であると従来は考えられていた2Tよりも小さい最小曲げ半径を伴う形状にスタンピング加工できた。この部品のいずれの部分にも明らかな不具合がみられないことが分かる。
【0037】
図13は、本発明方法に係る誘導加熱コイルの実物大模型を示す。変圧器からの電力は最初に131に接続される。電流は脚部133の外面上に均一に分散し、132において任意の水冷却が適用されるとともに、脚部133から出口134へ流れる。この誘導コイル構成の特定の実物大模型は、互いに平行に延びるとともに鋼細片136に直交する6本の脚部133を示し、鋼細片136は誘導コイル130を電流が通過する時に加熱される。この実物大模型では、電流及び水流のいずれもが誘導コイル130内において132から134へ一方向であり、誘導加熱の新しい概念を表している。この新しさは、電流が誘導コイル130を一方向へ流れるからであり、電流により生じる磁界において高出力密度を達成するために、最も短い長さと時間で、鋼細片136を横方向に囲んでいるに過ぎない。任意の冷却水は134から出る一方、電流は脚部133を通り流れた後に出口134に合流する。変圧器135と反対の接続点において、電流は誘導コイル130を出て、誘導変圧器へ戻る。3個の脚部133は、細片136の夫々の面上で示されており、鋼細片136の各面上で脚部133を流れる電流により加熱される。
【0038】
図14は、強度1550MPaのAISI0120鋼から作られたフラッシュ(登録商標)加工材料のコールドスタンピング部品を示す。スタンピングに先立ち格子パターンがエッチングされた平坦な鋼板のスタンピングは、AISI0##から通常とは異なるフラッシュ(登録商標)加工鋼の曲げ特性を最も良く例証するものである。ワークピース141は、約30cmの長さの小片の上面図及び逆の図を示す。ワークピース141はエッチングされた正方形格子マーキングを含み、その長方形は、複数方向への伸びと曲げを表す。ワークピース141が異なる角度で示されており、これと同じワークピースに142が付され、この部品の成形後に生じるその以前の正方形格子マーキングから新しい平行四辺形の形状が示される。拡大視143は、ワークピース141の正方形格子マーキングが付された部分が、成形作用の間にどのようにして伸張させられて矩形になるかを示しており、その長さは幅の2倍になっている。
【0039】
図15は、寸法が50ミクロンよりも大きいフラッシュ(登録商標)加工鋼の旧オーステナイト粒の拡大顕微鏡写真図である。これら個々の粒は、急冷の間に、化学的にリーンな低炭素領域、例えば合金における99%wtの鉄よりも大きい領域において、低炭素微細構造の高温での初期の変態により、隔離領域に分割される。AISI4130鋼では、この初期の変態は冷却の間に、650℃〜550℃で生じる。この隔離及び精製された領域は、疑似粒界として作用する第1オーステナイト変態相を有し、次に、460℃から360℃へ冷却する際に、その化学的性質に基づき、より低温で変態する。全体粒径は50ミクロンを超えるが、隔離領域は相対的に平坦な形態では2ミクロン未満であり、完全に平坦であるか、わずかに湾曲して凸形状又は凹形状であっても、積み重ねられた比較的平坦なパンケーキのようである。この個々に比較的平坦な形状は、ナノメートルのスケールでの二次微細構造の変換を抑制する。
【0040】
本発明の別の態様において、フラッシュ(登録商標)加工される鉄系合金に対して最大の結果が得られるように、フラッシュ(登録商標)加工に先立ち前駆体材料を製造すると有利である。フラッシュ(登録商標)加工のために前駆体鉄合金を球状化焼鈍することにより、鉄系合金に含まれる炭素及びマンガンは、低温側臨界オーステナイト化温度よりも高温及び低温への熱循環の間に、粒界析出オーステナイトへ移動する。鉄系合金の球状化焼鈍の目的は、前駆体材料内に予め存在するパーライト微細構造領域から炭化物を生成することにある。また、球状化は鉄系合金を軟化させる。球状化鋼は一般的には、所定の合金については、最も軟らかく、弱く、最も高い延性を備えた微細構造であることが知られている。球状化焼鈍工程の間における鋼の球状化温度は、耐腐食性、残留オーステナイト、及びフラッシュ(登録商標)工程の少なくともいずれかのために、適当な微細構造を成長させるように、慎重に制御されるとともに監視される必要があることが分かっている。
【0041】
図16は、符号160により概して示される適切な連続圧延装置の球状化焼鈍ラインの図であり、本例では、鉄系合金を1時間未満で、好適には数分程度で球状化焼鈍するために、誘導加熱を使用する。本例では、鉄合金シート161は、装置の右側から、図示される複数のローラ170に入る。第1誘導加熱装置162は、使われる鉄合金鋼の低温側臨界オーステナイト化温度よりもわずか35℃高温となるように加熱し、オーステナイト化温度は、利用される鉄合金組成物に応じて変化する。次に、鉄合金シート161は、再び利用される合金に応じて、低温側オーステナイト化温度よりも最大で35℃低温となるように冷却される。温度はまた任意で、本図では第1誘導加熱装置162の左側に示す第2誘導加熱装置165に入る前に、断熱炉163の中に保持され、鉄合金シートを、上述のように、低温側臨界オーステナイト化温度よりも高温に再加熱する。次に、鉄合金シート161は、必要に応じて、温度を維持するために、任意の下側炉155へ移動してもよい。本工程は、鉄合金シート161が出るまで繰り返される。連続付加誘導加熱ユニットは、鉄合金シート161を必要に応じて同じ温度に、或いはそれ自体の別の温度に加熱するために利用されてもよい。炉163及び166は同じ温度に維持されてもよく、或いは、個々の加熱領域が確立されて、各誘導加熱ユニットを通り圧延を行った後、異なる温度に維持されてもよい。図示する装置は5個の誘導加熱位置を採用しているが、異なる鉄合金に対して、或いは先の微細構造に対して、より少なく、或いはより多くの加熱位置が所望されてもよい。本工程のために、他の適当な加熱方法、例えば直火衝突、放射加熱、対流加熱、誘導加熱、またそれらの組合せ等であっても効果的である。本明細書では示されていないが、本発明に係り、フラッシュ(登録商標)加工装置が、球状化焼鈍ライン160の端部に一列となるように利用されてもよい。
【0042】
最大で72時間の直火炉処理は、鋼コイルの球状化焼鈍には一般的であり、シートコイル全体の温度を低温側臨界オーステナイト変態温度よりわずかに低温に保持する。長時間の熱サイクルは、温度が鋼コイルで等しくなるために必要であるとともに、パーライトが炭化物に所定の体積分率で分解するのを可能にする。合金や炉のシステムの各々に対して、球状化のために、比較的似ているが、専用の熱サイクルが商業的に使用されている。
【0043】
この提案される新規の連続送り込み圧延装置は、本明細書では、鉄合金シートのコイルを複数の誘導加熱コイルを通るように送り込み、シートの温度を複数回上昇させて、長時間の球状化サイクルと類似するように、そのパーライト成分を分解する。鉄合金シートはかなり薄いので、例えば誘導加熱を使用して、鉄合金は低温側臨界オーステナイト化温度よりも高温に、数時間ではなく、数分で局所的に加熱される。シートが第1誘導コイル内で低温側臨界温度よりも高温に加熱されると、オーステナイトは粒界で析出し始める。パーライトは低温側オーステナイト化温度よりも高温で分解し、また、オーステナイトは炭素及びマンガンのいずれについても、フェライトよりも高い溶解度を有するので、析出する粒界オーステナイトは両元素に富んでいる。誘導加熱コイルの磁界を出た時に、低温側臨界オーステナイト化温度よりも低温で循環すると、富化粒界析出オーステナイトは冷却するが、元素の不均一性は維持されている。各誘導コイルは独立して制御され、鉄合金をその低温側臨界オーステナイト化温度よりも高温の所定温度に加熱する一方、その時点で誘導加熱されていない鋼は、低温側臨界オーステナイト化温度よりも低温に冷却される。
【0044】
冷却速度は、一定の合金では、外気での急速すぎる冷却を阻止するべく、鋼シートを移送するために、ローラを含む熱制御断熱抑制システムの使用により制御されてもよい。他の場合では、鉄合金の厚みや、その残留熱の含有量に応じて、外気冷却は良好に作用する。炭素は急速に移動するが、パーライトの分解、オーステナイトの析出、及び炭素とマンガンの析出オーステナイト粒界への移動を行うために、2〜60秒間、低温側オーステナイト化温度よりも高温にする。上述したように、低温側臨界オーステナイト化温度よりも高温及び低温での5サイクルの例が良好に作用し、最終生成物において、30%の残留オーステナイトが達成された。誘導時間をより長くし、加熱サイクルを5回よりも多く、或いは少なくして、低温側臨界温度よりも高温の様々な温度と組み合わせて使用してもよいが、球状化焼鈍の合計時間は、数時間や数日ではなく、数分程度である。鉄合金を低温側臨界オーステナイト化温度よりも1℃から35℃高い温度で誘導加熱し、次に、鉄系合金を低温側臨界オーステナイト化温度よりも1℃から35℃低い温度で冷却させる任意の断熱ピンチローラシステムを通る機械式移動を介した冷却期間を可能にすることにより、長期に亘る炉での加工となる。
【0045】
参照により本明細書に援用される本願出願人の米国特許第8,480,824号は、鉄系合金の成分について言及している。本方法は、鋼や他の鉄系合金の形態等、金属の圧延細片にも同様に適用され得る。本発明によれば、鉄物品を化学的に均質化させるための意図しない保留時間を必要とすることなく、金属の極めて急速な加熱に続き金属を急冷させて、低グレード鉄系合金を改良型高強度鋼に変態させる新しい金属処理方法が開示される。得られる鉄合金は、好適には、マルテンサイト、ベイナイト、残留オーステナイト、フェライト及び以下により詳細に記載されるグループからの少なくとも2個の微細構造の不均一組成物である。球状化焼鈍及びその他の前加熱処理及び化学的性質により、好適な旧微細構造は変態して、フラッシュ(登録商標)加工において鉄系合金に異なる特性を作用させる。
【0046】
従って、本発明の第1態様は、強度合金化或いは投資集約的な熱機械的方法を用いることなく、最小曲げ半径となるように成形可能な低炭素、中炭素、又は高炭素鉄系合金を、安価に、迅速且つ容易に製造する方法を提供する。他の熱機械的方法技術では、改良型高強度鋼には一般的な二層又は複合微細構造を得るために、長期に亘る熱サイクルを必要とするが、フラッシュ(登録商標)加工では、単一の急速加熱及び急冷作用を伴い行うものであり、低温側オーステナイト化温度未満から、選択されたピーク温度へ、そしてそのマルテンサイト完成温度未満へ戻るように下げるのに、20秒未満かかるだけである。本明細書で説明する他のより長時間の方法では、ベイトナイト変態温度未満への急冷工程が、ピーク加熱温度に到達したほぼ直後に行われると、好ましい冶金学的結果がもたらされる。
【0047】
本発明の第2態様は、低炭素、中炭素、又は高炭素鉄系合金のマイクロ処理方法及び装置を提供することにあり、同じ旧オーステナイト粒内に、不均一性化学的性質のベイナイト及びマルテンサイトの少なくとも一方が散在している、所望量のフラッシュ(登録商標)加工複合微細構造材料を含む。単一の旧オーステナイト粒内に複数の微細構造を生成するのは、粒内への化学的不均一性と、本明細書に記載する極めて急速な加熱・冷却サイクルにより達成される。予期しないほどの、また通常とは異なるフラッシュ(登録商標)加工の高温への加熱により、鉄合金のオーステナイト粒は、5〜50ミクロン又はそれよりも大きな寸法になることが推測され、粒の精製についての鋼業界の目標に関して、経験とそぐわない考えである。しかし、通常とは異なる高温を急速に適用すると、鉄合金の個々のオーステナイト粒の最もリーンな合金含有部分から、低炭素ベイナイト板及びマルテンサイトの少なくともいずれかを生成するために、必要な変態駆動力が得られると信じられている。ベイナイト板及び低炭素マルテンサイトの少なくともいずれかは、拡大した旧オーステナイト粒を別個の高く精製された領域に分離させると思われる。更に冷却する間、高温で生じる低炭素領域の変態後の、より多くの炭素を伴う残りの新しく結合された精製領域は、ベイナイト及びマルテンサイトのように、連続冷却変態曲線により定義されるような化学的な性質に基づき、夫々のオーステナイト娘層への二次変態部分である。この記載される方法は、経験とそぐわない粒の拡大と、それに続く微細構造層の分割を介する分離により、粒の精製を模倣する方法である。
【0048】
旧オーステナイト粒分割を介するこの疑似粒精製は、鋼を含むフラッシュ(登録商標)加工鉄系合金の機械的な性質を強化させると信じられている。予想以上に高い強度と伸び、並びに大きく増加した柔軟性は、この高精製「有効」粒径の直接的な結果であると信じられている。フラッシュ(登録商標)加工AISI10##普通炭素鋼でのゼロ−T及びワン−Tの曲げ半径に対するこの予期されないほど良好な高い柔軟性の結果は、伸び、成形性、及び延性という用語と切り離して考えられる。フラッシュ(登録商標)加工AISI10##鋼は、44〜48のロックウェルC硬さに基づきこれまでは理解されてきた、スタンピングプレス作用での曲げ及び成形の歴史的に不可能であった作用を可能にすると思われる。
【0049】
目下、普通炭素又は普通炭素鋼の仕様で必要とされるよりも少ない合金含有量のフラッシュ(登録商標)加工微細構造は、鋼が、成形作用の一部として、その従来の不具合点を過ぎて引張或いは伸長させられないことを前提として、極端な形状に成形され得ると信じられている。フラッシュ(登録商標)加工鉄系合金について説明する時には、強度、伸び、成形性又は柔軟性という点で記載されることが提案されている。これらの要素は、この新しく発見された予測不可能な良好な結果を特定するものである。従って、フラッシュ(登録商標)加工AISI10##鋼は、通常とは異なる柔軟性要素を持つ。例えば、従来の「ブレーキプレス」は、伝統的な鋼を二次元モードで成形するために使用され、シートを所定の半径で直線的に曲げ成形する。フラッシュ(登録商標)加工AISI10##鋼は、スタンピング工具の非直線軸に沿って曲げることが可能であり、その曲げ成形は、Bスプラインとして数学的に定められる。スタンピングの前に格子パターンをエッチングした鋼の平板へのスタンピングは、AISI10##からフラッシュ(登録商標)加工鋼の通常とは異なる柔軟性を例証する。このような部品は、図14に示されており、元々は正方形であった格子パターンは引張及び圧縮されて長方形になり、長さが幅の2倍となった。
【0050】
本発明の別の態様によれば、所望する体積パーセントの残留オーステナイトを備えた不均一化学的微細構造が得られる。この不均一微細構造は、改良型高強度鋼の用途に適した高強度複合多相微細構造を生じさせる。この鋼を製造する際には、溶解物取鍋内に液体状態である時に、前駆体鋼合金はオーステナイトとして均質的であり、面心立方微細構造である。鋼が取鍋から注がれて固化されると、微細構造は変化する。旧オーステナイト粒の一部は、冷却されたときに、フェライト又はパーライトになる。ある場合には合金化に応じて、カーバイドが析出する。十分な量の炭素、マンガン及びニッケルの少なくともいずれかが、旧オーステナイト粒の一部に適切な重量パーセントで局所的に化学的な性質に存在する時には、微細構造は、室温で、いわゆる「残留オーステナイト」と呼ばれる状態になる。0.54% wtを超える炭素と5%wtのマンガンは、この一例であるが、他の多くの組合せが存在する。炭素及びマンガンの濃度は、連続冷却変態理論を使用すると、容易に計算できる。当該技術分野に属する者が、炭素、マンガン及びニッケルなどのオーステナイト安定化元素に必要なパーセントを決定するための計算式を開発しており、これにより、鋼の共析温度がより低くなる傾向にある。精製オーステナイトは、得られる鋼の延性及び成形性に役立つ。延性に加えて、鋼に高強度が必要であることが知られている。フェライトは一般的には強度については好ましくないことも、従来から知られている。残念なことに、残留オーステナイトのこの形状は、「塊状」であり、全体ではなく、フェライト及びパーライトにより囲まれているのならば、旧オーステナイトのかなりの体積分率を消費する。この塊状残留オーステナイトは、好ましいが、改良されて、同じ鉄合金の化学的な性質に対してより高い性能が得られることとなる。
【0051】
初期微細構造を制御することにより、フラッシュ(登録商標)加工に対して優れた前駆体であるより好ましい残留オーステナイトの新規微細構造が得られる。見かけ上の炭素(0.05%から0.45%wt)及びマンガン(0.2%から5%wt或いはそれ以上)を操作し、旧オーステナイト粒界を濃縮して、その領域を室温で安定するオーステナイトを析出させる程度に富化させることが発見された。これは、鉄合金を低温側臨界オーステナイト化温度よりも低温及び高温になるように循環させることにより達成される。低温側臨界温度よりも高温であると、オーステナイトは粒界で析出し始める。パーライトが低温側オーステナイト化温度よりも高温で分解するにつれ、オーステナイトは炭素及びマンガンの両方について、フェライトよりも溶解度が高いので、析出粒界オーステナイトは両元素に富んでいる。低温側臨界オーステナイト化温度よりも低温となるように繰り返されると、富化粒界析出オーステナイトは冷却するが、元素を不均一に保持する。この工程を少なくとも2回繰り返すと、追加の炭素及びマンアンが粒界領域を引き続き富化させる。0.3%wtの炭素と3.0%wtのマンガンを含む合金を5回、低温側臨界オーステナイト変態温度よりも15℃高温及び低温となるように繰り返すことにより、最終生成物では、最大で30%wtの体積分率の残留オーステナイトが生成される。鉄合金及び元素濃度は各々異なるが、5回よりも多く又は少ない繰り返しにより、所望の体積分率の析出オーステナイトが得られる。残りの微細構造は、ゆっくりと室温に冷却させられると、大部分がフェライト及びパーライトである。炭化物も形成するが、寸法、形状及び量は、周知の変態方法により制御される。合金の化学的な性質に存在するマンガンのバルク重量パーセントは、合計重量に基づき、その局所的富化により、室温で安定化する粒界析出オーステナイトの体積分率を主に決定する。注目することとして、単に鉄合金を低温側臨界オーステナイト変態温度よりも高温に保持するだけでは、塊状の残留オーステナイトが生成されるだけである。より好ましくは、本方法は、互いに相互に連結される粒界オーステナイトのネットワークを作り、これは蜘蛛の巣に似ている。
【0052】
本明細書に記載されるようにフラッシュ(登録商標)加工を行う際には、このオーステナイト、フェライト、パーライト、炭化物及び最小の他のオーステナイト娘層の前駆代微細構造は、改良型高強度鋼に変換される。前述したように、低温側オーステナイト変換温度よりも高温にするフラッシュ(登録商標)加工時間は非常に短いので、均質化が生じる時間は最小であり、旧不均一微細構造が保存される。フラッシュ(登録商標)加工の熱循環の間に、粒界析出オーステナイトは単に、再加熱及び急冷する残留オーステナイトである。連続冷却変態理論に従うと、元素の割合は、析出オーステナイトがフラッシュ(登録商標)加工前に室温で存在するのに十分であるならば、同じことは、急速フラッシュ(登録商標)加工冷却後にも当てはまる。不均一なフェライト及びパーライトは、フラッシュ(登録商標)加工後に、その局所的に非均等である化学的性質に基づき、主にベイナイト及びマルテンサイトの混合物になる。フラッシュ(登録商標)加工の間に、マンガン及び炭素の富化が以前に析出オーステナイトを生成するのに十分でない領域で炭化物が溶解すると、この溶解炭化物からの余分な炭素の導入により、既存の炭素及びマンガンを局所的に結合させ、室温残留オーステナイトが生成されることが分かっている。急冷直前のマンガン富化環境での急速な炭化物溶解により生じる炭素の導入によって、残留オーステナイトが局所的に生成されるのは、本発明の新規の態様である。
【0053】
鋼の耐腐食性にリンが貢献し得ることは、長い間知られてきた。実際のところ、鍛冶工の中には、目下非常に一般的な鉄炭素鋼の代わりに、鉄リン鋼を使って作業を行う者もいる。デリーの鉄柱は鉄製物体の一例であり、大きな腐食がなく1600年も存在している。そのような年月や気候要素にさらされているにもかかわらず、わずか0.051ミリメートル(0.002インチ)の酸化薄層が存在するだけである。柱のリン含有量範囲の推定値は0.25%から1.05%wtである。直接の対比では、現代の鋼製造方法は、一般的には、リンを0.002から0.004%wtに制限しようとする。市販の高リン「再りん化鋼」であっても、最大で0.16%wtのリンを含むに過ぎない。リンは、現代の鋼製造方法では、スタンピングプレスでの部品成形作用及びこの部品を使用する間に生じる旧オーステナイト粒界のリン脆化を避けるために回避される。「常温脆性」として知られるリンは、多くの鋼において、一軸方向の伸びを大きく、最大で1/3まで減少させるとして、文献に記載されている。このような減少は、スタンピングプレス作用での成形、又は圧延成形の間に、鋼部品に容易に亀裂を生じさせてしまう。装飾用のデリーの鉄柱のような物体は、自動車構造部品のような作用応力を受けることがない。しかし、デリーの鉄柱には加重がかけられないので、増加するリンの含有量は、柱の機能のために決定されない。むしろ、鋼に加重がかけられるような産業用途では、機械的には不具合が生じる。フラッシュ(登録商標)加工は、粒内にリンの高含有量を維持するのには理想的であることから、脆化を示すことなく、耐腐食性をもたらす。
【0054】
リンは、フェライトの体心立方微細構造において、固溶体補強剤としてゆっくり移動することが知られている。それ故、フェライトは、温度上昇時に、0.35%wtのリン濃度を維持することが可能であるが、室温では濃度が略0を示す。面心立方オーステナイトは、わずか0.28%wtのリン濃度を維持できる。低温側オーステナイト化温度よりも高温で保持される長時間のオーステナイト化サイクルを伴う一般的な熱加工作用の間に、粒界への移動のために十分な時間が存在することにより、鋼を脆くする。また、耐腐食性については、リンは粒内にとどまり、粒界へ移動しない必要がある。従来では、この長時間のオーステナイト化サイクルは鋼業界では、焼入れ及び焼戻しされた改良型高強度鋼を得るために利用されてきた。これを知っているため、耐腐食性の効果が得られるにも関わらず、前述の粒界脆化を回避するために、リンは最小濃度、好適には0.04%wt未満に常に制限されていた。
【0055】
本発明では、本明細書に記載される焼鈍方法により作られる条件下で使用され、或いはフラッシュ(登録商標)加工により熱処理されて改良型高強度鋼とされる耐腐食性高リン鉄系合金の生成方法を提案する。リンの移動は比較的急速であることは認識されているので、鉄系合金がそのオーステナイト化温度よりも高温の状態にあるときはいつも、旧オーステナイト粒内において、相対的により高いリン濃度を維持するために制限されなければならない。鉄系合金がオーステナイト化温度よりも低温に直ぐに急冷される本願の上記方法により、合金がオーステナイト化温度よりも高温の状態にあることは、リンの移動を防ぐために最小限にされる。本発明を実施する際には、リンの濃度は、鋼業界でこれまで知られていたものよりもずっと高く、合金の合計重量に基づき、0.1%から約2%wtである。より好適委は、リンの含有量は、0.2から1.0%wtであり、その結果、リンの濃度により耐腐食性鋼が作られる。耐腐食性は、ステンレス鋼の表面安定化処理と類似する方法により達成される。はっきりと見えるが極めて薄い鉄リン酸水素結晶化層は、リンの含有量が高いので、鋼の上に形成される。
【0056】
上述の方法で説明されるように、フラッシュ(登録商標)加工のために前駆体鉄合金を球状化焼鈍するために、炭素及びマンガンは、低温側臨界オーステナイト化温度よりも高温及び低温にする熱サイクルの間に、粒界析出オーステナイトへ移動する。同時に、リンは炭素と同じ位置にあることを避けようとするので、粒内へ移動する。粒内は主にフェライトと非溶解パーライトから構成されており、リンに富んだ状態になる。上述のように、マンガンのバルク鉄合金重量パーセントは、合計重量に基づき、室温で安定する析出オーステナイトの体積分率を決定する。耐腐食性鋼については、残留オーステナイトはしばしば、建築物の強度にとっては好ましくないので、建築物等に使用するために、バルク化学により少量のマンガンが加えられる。この場合、粒界は主に炭素に富んでいるがバスク化学に最小限のマンガンも存在する。反対に、自動車産業で成形される物品では、鉄合金を含む耐腐食性残留オーステナイトを生成するのに有益であるので、重量パーセントがより高いマンガンも利用される。マンガンが存在してもしなくても、リンは主に粒中心にとどまり、粒界を脆化させることなく、耐腐食性に効果がある。
【0057】
析出オーステナイト微細構造を生成する本方法が基質内へのリンの追加と組み合わせて実施されると、耐腐食性が非常に高いという優れた結果が得られる。より高濃度のリンを供給するとともに、実質的に直ぐの急冷工程と組み合わせることにより、リンの濃度は粒内に「凍結」され、即ち、リン原子が材料の粒界領域へ移動するほどの時間がなくなったことになる。従って、耐腐食層が鋼の表面に形成されるという表面効果が得られる。
【0058】
表面が引っ掻かれると、耐腐食性が維持される。新たに露出する鉄合金は、高含有量のリンが材料全体に存在するので、バルク効果を表す。表面を引っ掻くと、新しく露出する表面は耐腐食性鉄リン酸水酸の薄層を成長させ、引っ掻かれていない物品の領域と適合する。また、鋼に銅を加えることにより、延性及び可削性が高くなる一方、リンの耐腐食効果も高まることが分かっている。銅濃度の上限は拘束されず、一般的には少量であり、例えば0.1wt%から1.0wt%、好適には0.3%であるが、銅はリンの効果を助ける傾向がある。この基質内への添加を実施される本方法に結合すると、一層多くの優れた材料が得られる。
【0059】
鋼中の全ての合金化元素は硬化性、強度、及び延性に影響を及ぼすので、最も好ましい特性に最適化するために、炭素、マンガン、リン、銅、及び他の一般的な合金元素によりバランス保たれる。
【0060】
既存する鋼業界の方法との直接対比において、本願出願人の新規の高リン含有は、最小限の冷間加工鋼製品と同様の合金成分濃度を伴い、合計重量に基づき、鋼合金において通常とは異なる高い重量パーセントのリンを意図せずに含むことにより、予期しない良好な結果が得られる。従来技術の組成物はリンを0.04%或いはそれより少なく制限することを好むが、本願出願人の意図的なより多量の付加、総重量に基づき例えば0.10%から1.0%wtのリンは、粒レベルでの不均一性に基づき、本願出願人による新規の鋼の化学的性質の生成物の本態様にとって、有益であることを示している。
【0061】
本発明のこれらの態様に従い、フラッシュ(登録商標)前駆体合金の球状化の好ましい結果は、任意の鉄系合金、例えば鋼を特定粒構成へ不均一化することである。これは、合金或いは鋼を、低温側オーステナイト化温度付近に上昇させるように加熱し、或いはそのすぐ上へ繰り返し、析出オーステナイトとして知られるものを生成する。オーステナイトは、鋼粒の中心においてフェライトから離れて粒界周縁付近で析出することは、よく知られている。また、炭素及びマンガンは鋼粒のオーステナイト部分を富化する一方、鋼粒の中心フェライト部分では略欠乏していることも知られている。また、球状化工程の性質により、炭化物は炭素富化領域、即ちオーステナイト周縁に形成される。
【0062】
フラッシュ(登録商標)加工に際して、この好ましい前駆体合金微細構造は、任意でリンが富化され、粒の周縁において、部分的残留オーステナイト、マルテンサイト、及びバーナイトの少なくともいずれかの領域により取り囲まれる新規のマルテンサイト粒中心領域を生成する。周縁の残留オーステナイトは、炭素が存在する中でマンガン富化の組合わせにより生じる。本発明の別の新規の態様としては、いくつかの残留オーステナイトは、単にフラッシュ(登録商標)加工で加熱されてから、残留オーステナイトと考えられるものになる温度まで急冷された前駆体材料の生成からの、実際の旧析出オーステナイトである。
【0063】
一般的な連続冷却変態(CCT)ダイアグラムは、当該技術分野に属する者には周知であり、残留オーステナイトを安定させるために必要な炭素とマンガンの組成を定める。周縁の炭素は、前述した前駆処理の間の中心粒領域からの移動により、或いは、フラッシュ(登録商標)加工の間の最小炭素移動により、或いは周縁領域における炭化物の溶解から、新しく成形される残留オーステナイトを安定化させる。幾つかの残留オーステナイトが、圧倒的にリンに富んだ中心フェライト領域に存在する炭化物に起因して、中心粒領域に形成されることも可能である。
【0064】
フラッシュ(登録商標)加工サイクルの間の断続的冷却の一例は、鉄合金のベイナイト完成温度未満で生じる。ベイナイトが形成された後、マルテンサイト開始温度が約345℃の炭素0.01%wt及びマンガン5%wtである局所的なオーステナイト粒の化学的性質が存在する。急冷は、溶融塩浴で略直ぐに生じ、溶融塩浴は攪拌されてもされなくてもよい。塩浴は最小に水性或いは液化であり、また、本例では345℃のマルテンサイト開始温度よりも少なくとも高くされるべきである。345℃よりも高い急冷温度では、新たに形成される略全てのオーステナイトは不飽和状態のままで、新しいオーステナイト娘層となる。
【0065】
実験により、殆どの場合、この鉄系合金に亜鉛メッキをかけるためには、一度に急冷しないならばより良い結果が得られる。そうでなければ、亜鉛は鋼の表面に付着しない。最良の亜鉛メッキの結果は、最初にマルテンサイト開始温度よりもわずかに高温に急冷し、低炭素の化学的性質の領域を変態させることにより亜鉛が付着す場合に得られる。旧フェライトのマルテンサイト開始温度よりもわずかに高温に急冷させる目的は、鋼の温度をオーステナイト化温度よりも高温から、炭素が移動し、炭化物が溶解し、合金の均質化が劇的に緩慢になる点まで低下することを低減させるためである。これら3つの作用をオーステナイト化の間の炭素移動速度よりも小さく緩慢にする一方、残りをマルテンサイト開始温度よりも高温にすることにより、オーステナイト娘層の変態を生じさせる。このようなオーステナイト化温度よりも高温から、亜鉛メッキ浴温度として知られる略460℃のマルテンサイト開始温度よりも高温の間への低下は、鋼を被覆する亜鉛の適切な付着に必要とされる。次に、鋼はマルテンサイト開始温度よりも低温になることなく、適切に不純物が除去されてから、鋼への亜鉛メッキを目的として、溶融亜鉛浴が行われる。適切な溶融塩が使用されるならば、鋼は亜鉛浴へ直接移される程度に清潔な状態で塩ポットを出る。
【0066】
亜鉛メッキ浴を出ると、鋼は室温に冷却される。様々な急冷方法を含み、第1の方法としては、直接室温に冷却し、第2の方法としては、CCTを使用して冷却して非変態オーステナイトから所定割合のバーナイトを生成し、第3の方法としてはCCTを使用して冷却して非変態オーステナイトから所定割合のマルテンサイトを生成する。後続の焼戻しは任意である。
【0067】
最もリーンな合金化フラッシュ(登録商標)加工AISI10##鋼はゼロ−Tやワン−Tといった最小成形半径となるように曲げられるようであるが、本発明の一部として、極めて最小の合金化も検討される。そのため、他の微量の合金元素を含むことにより、同様な予期しない良好な結果を本質的に達成するとともに、この効果的ではない合金の追加を新しい発明として主張することは適当ではない。
【0068】
フラッシュ(登録商標)発明の別の態様は、鋼物品を加熱するために使用可能な誘導加熱コイルに関する。誘導加熱は一般的に、コイルから誘導される磁束の方向により定められる。最も一般的なのは、縦磁束誘導である。あまり知られておらず、また使用されていないのは、横磁束誘導である。
【0069】
縦磁束誘導加熱では、誘導ユニットの周波数は極めて重要である。典型的には、誘導加熱コイルは、加熱される部分の周りを覆う(或いは囲む)。例えば、誘導変圧器の一方の極を出ると、加熱コイル誘導子は、鋼シートの上側を横切って渡り、鋼シートの反対側へまたぎ、下側(又は反対側)を超えて戻り、誘導変圧器の他方の極へ付くように構成される。この場合、誘導コイルの2個の脚部における電流は、加熱される物品に対して対向する方向の流れを有する一方、電流がコイルを流れるにつれて、電気回路は完成する。この対向する電流は、誘導コイルにより生成される磁場を取り消し、鋼を加熱する力を減らす鋼部分への貫通深さは周波数により決まる。1〜10キロヘルツのような低周波数のユニットは、一般的には、25.4ミリメートル(1インチ)から9.53ミリメートル(3/8インチ)などの厚さの部分を加熱するように夫々使用される。100kHzから400kHzのより周波数が高いユニットを使用すると、1.59ミリメートル(1/16インチ)から0.40ミリメートル(1/64インチ)などのより薄い部分を加熱するために夫々使用される。取り消し効果は、適切な周波数が、構成部品の最も効果的な加熱のため選択されるように、加熱される構成部品の厚みが変化する部分に生じる。より厚みの薄いワークピースに低すぎる周波数を用いると、その部分が所望する温度に加熱されないという取り消し作用が生じる。精確な周波数は用途毎に変わるが、市販されているソフトウェアプログラムを使用すると簡単に求められるとともに、当該技術分野に属する者には周知である。キロワットで測定される所定の出力レベルでは、より高周波数のユニットは、低周波数ユニットの価格の二倍もする。
【0070】
横磁束誘導加熱法は、より薄い壁を備えたワークピース、特にシート鋼を加熱するものとして知られている。より周波数が低い誘導ユニットは、価格が安いという利点がある。しかし、一般的な横磁束形態は、効果、出力密度、及び鉄系合金をその形状構成に基づいて本発明で必要とされる速度で加熱する能力といった点で制限される。縦磁束加熱コイルは一般的には、ワークピースを覆い、対向方向から流れる電流により両側から加熱するが、横磁束誘導加熱コイルは、ワークピースの一方側へ機能する傾向がある。一般的な横磁束コイルでは、誘導変圧器の一方の電極を出ると、その銅の誘導子と電流は、シートを横方向へ移動し、細片の長さに沿って縦方向に渡り、シートを横切り元の位置へ移動し、次に始点へ戻って、他方の変圧器電極と接続する。一般的に、コイル加熱の2個の平行な銅製誘導子脚部は鋼を横切って伸び、鋼細片の長さに沿って分離されて、鋼細片への対向する力が作用することにより、それらの対向する電流が鋼の同じ側における磁場を取り消さないようにする。また、一対の横コイルが鋼シートの両側へ同時に適用されてもよい。各コイル対の同様に配置される平行な脚部は、同じ方向への電流を有することにより、取り消し効果を生じさせることなく、有効な加熱方法を提供する。この場合、鋼シートは2個のコイルの間で対称的な平面である。しかし、両方の場合で、電流が反対方向へ流れる状態では、コイルの横方向銅製誘導子脚部を分離させる必要性は、シートに沿った全体的に効果的な長手方向の距離を増加させ、コイルの有効出力密度を低下させ、シートがオーステナイト化温度よりも高温に加熱される全体継続時間を増加させる。長年にわたる研究の後、横磁束誘導が当該技術分野に属する者に周知であるが、控えめに使用されている。
【0071】
横磁束誘導加熱コイルの新しい改良は、薄層金属を短距離及び短時間で、高密度で加熱するのに極めて効率的であることが分かった。この横磁束磁場用途の新規の構成において、鋼細片に影響を及ぼすコイルの銅製脚部を流れる全ての電流は、鋼細片を横切り同じ方向へ流れる。取り消し作用が生じることがないので、この横磁束誘導加熱で必要とされる鉄合金シートの全長に沿って必要な縦方向の分離が存在しない。これを行うために、誘導加熱コイルの誘導子の銅極により作られる電気回路は、複数の脚部により分割され、全ての脚部からの電流は、シート全体で同じ方向へ流れる。誘導加熱コイルは、一つの極において、変圧器により構成される。最初は、断面積がより大きい脚部、例えば、12.29cm3 (3/4立方インチ)の銅管が使用される。鋼細片に接近する際に、この3/4立方インチの管は、鋼細片を横断する複数の6.15 cm3 (3/8立方インチ)の管に分岐する。一般的に、少なくとも1個の6.15 cm3(3/8立方インチ)の管は、鋼細片の反対側にある別の6.15 cm3(3/8立方インチ)の管と平行に延びなければならないが、全ての平行な分岐管が、鋼細片の一方側にのみ位置することが可能である。追加の6.15 cm3(3/8立方インチ)の管の誘導子脚部は、12.29cm3 (3/4立方インチ)の管から分割され、鋼細片のいずれか側を延びる。単一の12.29cm3 (3/4立方インチ)管を6個の6.15 cm3(3/8立方インチ)の誘導管へ分岐し、そのうちの3個が鋼細片の各側に平行に延びており、熱を細片へ効果的に付与するように作用する。最初の小片と分岐物の両方に形状が異なる管を使用することにより、鋼細片の両側を延びる分岐物の多くの可能な組み合わせを有することができる。例えば、別の構成としては、細片の一方側に3個の銅製誘導分岐管があり、細片の他方側に7個がある。鋼細片の一方側に20個の分岐管があり、他方側に100個の分岐管を備えるものも可能である。縦方向送り込み速度が、より分岐が少ない場合のより遅い速度よりも早い場合には、出力及び加熱速度を維持しつつ、より長い距離に対して、より多くの分岐が一般的に使用される。これは、フラッシュ(登録商標)加工に必要な時間が、炭素の均質化及び炭化物の溶解を阻止するために最小減にとどまらなければならないからである。全ての場合において、鋼細片の両側に延びる分岐管の数に関わらず、分岐管は鋼細片を過ぎると再度結合し、再度機械的に連結されて、最終的に変圧器の他方の電極に取り付けられる。
【0072】
誘導加熱コイルの管状分岐に沿った同じ方向へ全ての電流を有することにより、分岐管は、反対方向へ流れる電流を有する電流システムに一般的に生じる取り消しの悪影響をもたらすことなく、互いに近接して載置され得る。鋼細片に影響を及ぼす銅製管を流れる一方向の電流は、一般的な伝統的横磁束誘導加熱の細片を横切る対向電流と比較して新しい。
【0073】
鋼の薄細片では、伝統的な誘導加熱は、鋼が加熱されるにつれて大きくなる周知の幅方向の波形を発生させる。これは、鋼の微細構造が体心立方からオーステナイトに一般的な面心立方へ変化するにつれて生じやすい。この体積膨張はしばしば、約4%であると言われている。鋼細片は局所的に4%薄くなる一方、4%の細片の幅全体での膨張は、管理がより難しい。7秒以内にフラッシュ(登録商標)オーステナイト化される鋼細片では、1.8ミリメートルよりも厚い細片は、外方及び長手方向へ、また厚さ方向へ制御可能に膨張することにより、加熱される間に比較的平坦を維持する傾向がある。しかし、1.2mmの厚さの鋼細片では、幅方向の膨張圧力は局所的な横方向の波形と変形を生じさせる。1.5mmの厚さの鋼は、横方向の波形となりうる過渡的であるが、1.2mmの厚さの細片の波形の大きさではない。例えば、試験によれば、1.2mmの厚さの600mmのシートは、幅方向に生じる7個のさざ波形又は波形を有する。急冷の際に、これらのさざ波形及び波形は鋼細片において、永久的な位置形態をとる。この波形は、平坦は鋼シートを求める場合には好ましくない。
【0074】
急速フラッシュ(登録商標)加熱の間に生じる鋼細片の幅方向の波形を修正するために、機械的ストレートナー及び断熱式ストレートナーが開示される。誘導コイル内又はそのすぐ後に耐熱セラミック製抑制体を導入することにより、鋼細片の膨張を制御することができる。ある場合では、セラミック製ストレートナーは誘導加熱コイルの銅製誘導子の間及び後ろの少なくともいずれかに載置されて、鋼と接触し、単純に波形が生じないようにする。全ての幅方向の膨張は、鋼細片が幅中央で波立つことなく、細片の端へ向かって外方へ向けられる。このセラミック製断熱ストレートナーは、ローラ又は独立した機械抵抗阻止体、例えば細片の幅方向へのフィンガー、刃、又はパッドといった形状をとる。付加的な方法としては、誘導コイルの内部に挿入されるセラミック製スリーブを有するものがあり、オーステナイト化される鋼細片よりもわずかに幅広で厚みがある開口を有する。開口の厚さを、オーステナイト化される鋼細片よりも約0.1mmから0.2mmだけ厚くすることにより、鋼のさざ波形又は波形に対する空間が大きく制限される。或いは、誘導コイル全体がセラミック製であり、鋼細片の厚さプラス最小作用空隙のスペーサにより被覆され、セラミック被覆物が硬化した時に、型として所定位置に保持される。被覆物が硬化する際、鋼細片が除去されると、フラッシュ(登録商標)オーステナイト化される鋼細片が通過するための最小空隙が残る。0.1mmから0.2mmの作用空隙は、毎分400mmの速度で、幅600mmのフラッシュ(登録商標)加工実験に基づき推定されているに過ぎない。より幅が大きく、また送り速度がより高速になるにつれて、変更が必要になると想定される。
【0075】
シートの幅方向の波形を除去するための別の方法としては、鋼業界では周知の冷却ローラを使用する。ローラは銅により構成され、任意で、その中心を通るように、或いは外部から水スプレーにより水冷却される。水冷却は、オーステナイト化鉄系合金からの熱を除去するとともに、オーステナイト娘層への変態を誘発するために使用される。また、水スプレーは、鉄シートが銅製ローラを出て、オーステナイト娘層への変態を行う際に、出口側面に適用される。
【0076】
本発明の新規の態様としては、フラッシュ(登録商標)加工の急速加熱サイクルの間に、炭化物のマンガン富化周縁領域への急速部分溶解により、炭素が残留オーステナイトを安定化させる。残留オーステナイトを生成するための他の全ての周知の方法は、初期急冷後の析出工程の間における、既存する高炭素富化或いは炭素の移動のいずれかに依存する。これらの条件のいずれもが、本発明に従う場合には必須ではない。
従って、新しい微細構造が、従来技術の組成物又は方法に従うことなく、極めて好ましい結果を伴い形成される。
【0077】
フラッシュ(登録商標)加工が行われると、個々の新しく形成された鋼粒は、新しい特性を備える。任意のリンにより、耐腐食性を備えた表面安定化処理層が形成される。残留オーステナイト領域は、延性が高いひずみ硬化構成要素として価値がある。ベイナイト及びマルテンサイトの組合わせにより、ベイナイトとマルテンサイトの体積比が20〜25%である時に「最大強度の鋼」と呼ばれるようになる。非溶解又は部分溶解炭化物の存在は、硬い耐摩耗性構成要素として、また、不具合が起きるのを制限するための破砕阻止物として価値がある。
【0078】
上述の本発明の好適な態様は、例証及び説明を目的として提示されている。網羅的とすることを意図しておらず、また、本発明を開示される精確な形態に限定するものでもない。特定の態様に関して、上記の教示を鑑みて、明らかな変形は変更が可能である。態様は、本発明の原則及びその実際の用途を最良に例示するために選択され、記載されているのであり、それにより、当該技術分野に属する通常の知識を有する者は、本発明を様々な態様で、また想定される特定の使用に適するように様々な変更を伴い、最良に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、金属処理産業において利用可能性があり、また、高強度鋼の大量加工処理及び製造について、鋼処理用途で特に利用可能性がある。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】