(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-524845(P2017-524845A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】地下原子力発電所の大型アセンブリ吊上げ搬送方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/14 20060101AFI20170804BHJP
B66C 17/06 20060101ALI20170804BHJP
B66C 23/26 20060101ALI20170804BHJP
G21C 13/00 20060101ALI20170804BHJP
【FI】
E04G21/14
B66C17/06
B66C23/26 C
G21C13/00 Y
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-517167(P2017-517167)
(86)(22)【出願日】2015年5月27日
(85)【翻訳文提出日】2017年2月7日
(86)【国際出願番号】CN2015079881
(87)【国際公開番号】WO2015188694
(87)【国際公開日】20151217
(31)【優先権主張番号】201410264483.6
(32)【優先日】2014年6月13日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516369701
【氏名又は名称】▲長▼江勘▲測▼▲規▼▲劃▼▲設▼▲計▼研究有限▲責▼任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】李▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼利▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼学▲紅▼
(72)【発明者】
【氏名】▲華▼夏
(72)【発明者】
【氏名】王曙▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】丁福珍
(72)【発明者】
【氏名】▲喩▼▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼毅
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼国▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼▲實▼宇
(72)【発明者】
【氏名】▲鈕▼新▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼▲啓▼▲貴▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼涛
【テーマコード(参考)】
2E174
3F203
3F205
【Fターム(参考)】
2E174CA03
2E174CA12
3F203AA10
3F205AA20
(57)【要約】
【課題】地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法を提供する。
【解決手段】工程1:原子炉キャビティ(1)のロックアンカー桁(15)を形成し、目的物吊上げ垂直軸(2)を介して、円形ブリッジクレーン(6)を吊上げ、円形ブリッジクレーンをロックアンカー桁(15)に取り付ける。工程2:原子炉プラント空洞(1)を完成させ、格納容器円筒体(7)及び天井クレーンの軌道桁(18)を装着し、ガントリークレーンにより天井クレーンガーダ(4)を目的物吊上げ垂直(2)へ装着し、ガントリークレーンと円形ブリッジクレーン(6)を協働させて、天井クレーンガーダ(4)を天井クレーンの軌道桁(18)に装着する。工程3:天井クレーンの軌道桁(18)及び天井クレーンガーダ(4)を応力支持点として使用し格納容器ドームの、スチールライニング(15)片を原子炉プラント空洞(1)へ、吊上げ軸(2)を介して吊上げ、ライニング片を組み付け、スチールライニング(15)片を一片ずつ組付け溶着する。工程4:大型の永久設備を格納容器円筒体(7)へ、搬送通路(14)を介して搬送し、天井クレーンガーダ(4)を使用して、永久設備を回転させ、吊上げる。本搬送方法によれば、商用地下原子力発電所の大型設備の吊下げ及び搬送に対する要求が満たされるので、原子力工学の技術分野において、幅広く適用される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法であって、
1)ロックアンカー桁層が未だ建設されていない時に、コンクリートを原子炉プラント空洞(1)に流し込み、ロックアンカー桁(15)を形成し、前記原子炉プラント空洞の上部の吊上げ軸(2)を介して、円形ブリッジクレーン(6)を原子炉プラント空洞(1)へ吊上げ、クレーン車を使用して前記円形ブリッジクレーン(6)を前記ロックアンカー桁(15)に取り付ける工程と、
2)前記原子炉プラント空洞(1)の建設及び掘削を継続し、格納容器円筒体(7)及び天井クレーンの軌道桁(18)を前記円形ブリッジクレーン(6)を用いて前記原子炉プラント空洞に装着し、ガントリークレーンを天井クレーンガーダ(4)の一端上へ吊上げるとともに、前記天井クレーンガーダ(4)を前記吊上げ軸(2)を介して前記原子炉プラント空洞(1)へ送り、前記天井クレーンガーダ(4)の他端を前記円形ブリッジクレーン(6)を用いて吊上げ、前記ガントリークレーンと円形ブリッジクレーン(6)を組み合わせた効果により、前記天井クレーンガーダ(4)を水平にし、前記天井クレーンガーダを前記軌道桁(18)に取り付ける工程と、
3)格納容器ドームへのスチールライニング(5)の組立ジグの支持点として、前記軌道桁(18)及び天井クレーンガーダ(4)を使用し、処理済みスチールライニング(5)片を前記原子炉プラント空洞(1)へ前記吊上げ軸(2)を介して吊上げ、前記ライニング片を前記組立ジグにはんだ付けして組み付ける工程と、
4)永久設備を原子炉(3)から前記格納容器円筒体(7)へ、前記原子炉プラント空洞(1)に連結された搬送通路(14)を介して搬送し、前記天井クレーンガーダ(4)を使用して、前記永久設備を作用領域へ回転させるとともに吊上げる工程と
を含む方法。
【請求項2】
結合空洞の建設と工程1の建設は同時に行われ、前記結合空洞の掘削が完了すると、ブリッジクレーン(12)は、前記結合空洞の上側部分に長さ方向に載置された受け材に、前記クレーン車を使用して取り付けられ、原子力補助装置は、主通行穴(13)を通り、前記結合空洞の一方側又は一端に載置された装着プラットホーム(11)へ運ばれ、前記原子力補助装置は、前記ブリッジクレーン(12)により、作用位置へ吊上げられる、請求項1の地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法。
【請求項3】
結合空洞の建設と工程2の建設は同時に行われ、前記結合空洞の掘削が完了すると、ブリッジクレーン(12)は、前記結合空洞の上側部分に長さ方向に載置された受け材に、前記クレーン車を使用して取り付けられ、原子力補助装置は、主通行穴(13)を通り、前記結合空洞の一方側又は一端に載置された装着プラットホーム(11)へ運ばれ、前記原子力補助装置は、前記ブリッジクレーン(12)により、作用位置へ吊上げられる、請求項1の地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法。
【請求項4】
結合空洞の建設と工程3の建設は同時に行われ、前記結合空洞の掘削が完了すると、ブリッジクレーン(12)は、前記結合空洞の上側部分に長さ方向に載置された受け材に、前記クレーン車を使用して取り付けられ、原子力補助装置は、主通行穴(13)を通り、前記結合空洞の一方側又は一端に載置された装着プラットホーム(11)へ運ばれ、前記原子力補助装置は、前記ブリッジクレーン(12)により、作用位置へ吊上げられる、請求項1の地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法。
【請求項5】
結合空洞の建設と工程4の建設は同時に行われ、前記結合空洞の掘削が完了すると、ブリッジクレーン(12)は、前記結合空洞の上側部分に長さ方向に載置された受け材に、前記クレーン車を使用して取り付けられ、原子力補助装置は、主通行穴(13)を通り、前記結合空洞の一方側又は一端に載置された装着プラットホーム(11)へ運ばれ、前記原子力補助装置は、前記ブリッジクレーン(12)により、作用位置へ吊上げられる、請求項1の地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法。
【請求項6】
結合空洞の建設及び工程1、2、3及び4の建設は同時に行われ、前記結合空洞の掘削が完了すると、ブリッジクレーン(12)は、前記結合空洞の上側部分に長さ方向に載置された受け材に、前記クレーン車を使用して取り付けられ、原子力補助装置は、主通行穴(13)を通り、結合空洞の一方側又は一端に載置された装着プラットホーム(11)へ運ばれ、前記原子力補助装置は、前記ブリッジクレーン(12)により、作用位置へ吊上げられる、請求項1の地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法。
【請求項7】
5)結合空洞の掘削が完了すると、ブリッジクレーン(12)を、前記結合空洞の上側部分に長さ方向に載置された受け材に、前記クレーン車を使用して取り付け、原子力補助装置を、主通行穴(13)を通り、前記結合空洞の一方側又は一端に載置された装着プラットホーム(11)へ運び、前記原子力補助装置を、前記ブリッジクレーン(12)により、作用位置へ吊上げる工程を含む、請求項1の地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法。
【請求項8】
前記結合空洞は、原子力補助プラント空洞(8)と、2個の安全プラント空洞(9)と、核燃料プラント空洞(10)を含み、前記原子力補助プラント空洞、2個の安全プラント空洞、核燃料プラント空洞は、縦方向に沿って一直線上に載置され、前記原子力補助プラント空洞(8)と、一方の安全プラント空洞(9)と、核燃料プラント空洞(10)と、他方の安全プラント空洞(9)は、この順序で連結され、前記原子力補助プラント空洞(8)と、2個の安全プラント空洞(9)と、核燃料プラント空洞(10)は各々、主通行穴(13)と連結され、前記原子力補助プラント空洞(8)の外端面と前記核燃料プラント空洞(10)の一側方各々には、装着プラットホーム(11)が設けられ、各装着プラットホームは前記主通行穴(13)と連結される、請求項2乃至7のいずれか一項の地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力工学の技術分野に関し、特に、地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中国の第12次5か年計画(エネルギ計画)によれば、原子力発電所の建設を加速させることが提案されている。しかし、日本の福島での原子力事故の影響により、チェルノブイリ事故の影から抜け出そうとしていた世界中の原子力発電産業は、再度停滞することとなった。原子力発電計画の国家的な実験や承認は、より厳しく慎重になり、原子力発電所に対するより高い安全性が求められ、原子力発電所全体又はその一部が地下に配置されるという、新しいタイプの原子力発電所の建設レイアウトを開発することが、増々検討されている。
【0003】
中国では、地下原子力発電所の現在の地下空洞群の構造的な特徴により、殆どの場合、原子力アイランド部分は地下に載置される。原子力アイランド部分は、原子炉プラント空洞、原子力補助プラント空洞、安全プラント空洞、核燃料プラント空洞等を含む。各空洞には、天井クレーンガーダ、圧力格納容器、蒸気発生器、電圧安定装置、主冷却ポンプ、格納容器ドームのスチールライニング等、大型の設備が設けられている。大型設備は、小さな地下管路内を搬送されるとともに、限られた地下空間内で吊上げられることから、このような状況下では、従来の地下原子力発電所の吊上げ搬送方法を適用することはできず、この状況に対処するべく、新しい方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の課題に鑑み、本発明の目的は、商業目的での地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係り、地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法を提供する。本方法は、以下の工程を含む。
【0006】
1)ロックアンカー桁層が未だ建設されていない時に、コンクリートを原子炉プラント空洞に流し込み、ロックアンカー桁を形成し、原子炉プラント空洞上部の吊上げ軸を介して、円形ブリッジクレーンを原子炉プラント空洞へ吊上げ、クレーン車を使用して円形ブリッジクレーンをロックアンカー桁に取り付ける工程。2)原子炉プラント空洞の建設及び掘削を継続し、格納容器円筒体及び天井クレーンの軌道桁を円形ブリッジクレーンを用いて原子炉プラント空洞に装着し、ガントリークレーンを天井クレーンガーダの一端上へ吊上げるとともに、天井クレーンガーダを吊上げ軸を介して原子炉プラント空洞へ送り、天井クレーンガーダの他端を円形ブリッジクレーンを用いて吊上げ、ガントリークレーンと円形ブリッジクレーンを組み合わせた効果により、天井クレーンガーダを水平にし、天井クレーンガーダを軌道桁に取り付ける工程。3)格納容器ドームへのスチールライニングの組立ジグの支持点として、軌道桁及び天井クレーンガーダを使用し、処理済みスチールライニング片を原子炉プラント空洞へ、吊上げ軸を介して吊上げ、ライニング片を組立ジグにはんだ付けして組み付ける工程。4)永久設備を原子炉から格納容器円筒体へ、原子炉プラント空洞に連結された搬送通路を介して搬送し、天井クレーンガーダを使用して、永久設備を作用領域へ回転させるとともに吊上げる工程。
【0007】
本実施形態の一態様において、結合空洞の建設と工程1の建設は、同時に行われる。結合空洞の掘削が完了すると、ブリッジクレーンは、結合空洞の上側部分に長さ方向に載置された受け材に、クレーン車を使用して取り付けられる。原子力補助装置は、主通行穴を通り、結合空洞の一方側又は一端に載置された装着プラットホームへ運ばれる。原子力補助装置は、ブリッジクレーンにより、作用位置へ吊上げられる。
【0008】
本実施形態の一態様において、結合空洞の建設と工程2の建設は、同時に行われる。結合空洞の掘削が完了すると、ブリッジクレーンは、結合空洞の上側部分に長さ方向に載置された受け材に、クレーン車を使用して取り付けられる。原子力補助装置は、主通行穴を通り、結合空洞の一方側又は一端に載置された装着プラットホームへ運ばれる。原子力補助装置は、ブリッジクレーンにより、作用位置へ吊上げられる。
【0009】
本実施形態の一態様において、結合空洞の建設と工程3の建設は、同時に行われる。結合空洞の掘削が完了すると、ブリッジクレーンは、結合空洞の上側部分に長さ方向に載置された受け材に、クレーン車を使用して取り付けられる。原子力補助装置は、主通行穴を通り、結合空洞の一方側又は一端に載置された装着プラットホームへ運ばれる。原子力補助装置は、ブリッジクレーンにより、作用位置へ吊上げられる。
【0010】
本実施形態の一態様において、結合空洞の建設と工程4の建設は、同時に行われる。結合空洞の掘削が完了すると、ブリッジクレーンは、結合空洞の上側部分に長さ方向に載置された受け材に、クレーン車を使用して取り付けられる。原子力補助装置は、主通行穴を通り、結合空洞の一方側又は一端に載置された装着プラットホームへ運ばれる。原子力補助装置は、ブリッジクレーンにより、作用位置へ吊上げられる。
【0011】
本実施形態の一態様において、結合空洞の建設及び工程1〜4の建設は、同時に行われる。結合空洞の掘削が完了すると、ブリッジクレーンは、結合空洞の上側部分に長さ方向に載置された受け材に、クレーン車を使用して取り付けられる。原子力補助装置は、主通行穴を通り、結合空洞の一方側又は一端に載置された装着プラットホームへ運ばれる。原子力補助装置は、ブリッジクレーンにより、作用位置へ吊上げられる。
【0012】
本実施形態の一態様において、本方法は、5)結合空洞の掘削が完了すると、ブリッジクレーンを、結合空洞の上側部分に長さ方向に載置された受け材に、クレーン車を使用して取り付け、原子力補助装置を、主通行穴を通り、結合空洞の一方側又は一端に載置された装着プラットホームへ運び、原子力補助装置を、ブリッジクレーンにより、作用位置へ吊上げる工程を含む。
【0013】
本実施形態の一態様において、結合空洞は、原子力補助プラント空洞と、2個の安全プラント空洞と、核燃料プラント空洞を含む。原子力補助プラント空洞、2個の安全プラント空洞、核燃料プラント空洞は、縦方向に沿って一直線上に載置される。原子力補助プラント空洞と、一方の安全プラント空洞と、核燃料プラント空洞と、他方の安全プラント空洞は、この順序で連結される。原子力補助プラント空洞と、2個の安全プラント空洞と、核燃料プラント空洞は各々、主通行穴と連結される。原子力補助プラント空洞の外端面と核燃料プラント空洞の一側方各々には、装着プラットホームが設けられ、各装着プラットホームは主通行穴と連結される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態に係る大型アセンブリの吊上げ搬送方法の効果としては、本方法は便利で合理的であり、また、地下原子力発電所での大型アセンブリの吊上げ及び搬送における困難が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法を使用して、原子炉プラント空洞内で大型アセンブリを吊り上げ搬送する状態を示す概略図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法を使用して、原子炉プラント空洞以外の原子力アイランドの他の空洞内で(一例として核燃料プラント空洞を用いて)大型アセンブリを吊り上げ搬送する状態を示す概略図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法に基づく地下原子力発電所のレイアウトを示す概略図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を詳述する実施形態を、以下に記載する。当然のことながら、以下の実施例は本発明の説明を目的としており、本発明の限定を意図するものではない。
【0017】
図1〜
図4に示すように、大型アセンブリの吊上げ搬送方法に基づく地下原子力発電所のレイアウトは、原子炉プラント空洞1と、吊上げ軸2と、原子炉3と、天井クレーンガーダ4と、ガントリークレーン(図示なし)と、格納容器ドーム上のスチールライニング5と、円形ブリッジクレーン6と、クレーン車(図示なし)と、格納容器円筒体7と、結合空洞と、装着プラットホーム11と、ブリッジクレーン12と、主通行穴13と、搬送通路14と、ロックアンカー桁15と、天井クレーンの軌道桁18を含む。
【0018】
図3に示すように、結合空洞は、山の深さ方向に沿って載置される。原子炉プラント空洞1は、結合空洞の一方側に載置され、主通行穴13は結合空洞の他方側に載置される。電気プラント空洞16及び圧力開放空洞17は、原子炉プラント空洞1と対向する両側に載置され、対向する両側は、山の深さ方向と垂直である。電気プラント空洞16は山の深さ方向と垂直である。
【0019】
結合空洞は、原子力補助プラント空洞8と、2個の安全プラント空洞9と、核燃料プラント空洞10を含む。原子力補助プラント空洞、2個の安全プラント空洞、核燃料プラント空洞は、縦方向に沿って一直線上に載置される。原子力補助プラント空洞8と、一方の安全プラント空洞9と、核燃料プラント空洞10と、他方の安全プラント空洞9は、この順序で連結される。原子力補助プラント空洞8と、2個の安全プラント空洞9と、核燃料プラント空洞10は各々、主通行穴13と連結される。原子力補助プラント空洞8の外端面と核燃料プラント空洞10の一側方各々には、装着プラットホーム11が設けられ、各装着プラットホームは主通行穴13と連結される。
【0020】
図4に示すように、地下原子力発電所における大型アセンブリの吊上げ搬送方法は、以下の工程を含む。
【0021】
1)
図1に示すように、ロックアンカー桁層が未だ建設されていない時に、コンクリートを原子炉プラント空洞1に流し込み、コンクリートが材齢に達した時に、ロックアンカー桁を形成する。原子炉プラント空洞上部の吊上げ軸2を介して、円形ブリッジクレーン6を原子炉プラント空洞1へ吊上げる。クレーン車を使用して、円形ブリッジクレーン6をロックアンカー桁15に取り付ける。これは、原子炉プラント空洞1の高度が高く、もし、原子炉プラント空洞1の建設が完了した時に、円形ブリッジクレーン6が取り付けられているならば、クレーン車のアームを相対的に長くする必要がある。しかし、既存のクレーン車のアームは、長さが十分ではない。また、クレーン車のアームが十分に長くても、円柱形の原子炉プラント空洞1は、このような長いアームを収容することができず、そのため、円形ブリッジクレーンの装着は困難である。従って、ロックアンカー桁の建設直後に円形ブリッジクレーン6を装着することにより、かなり空間が小さい原子炉プラント空洞1であっても、通常のアームのクレーン車を使用して、操作が簡便に行われる。一方、吊上げ軸2が配置されることにより、地上で吊上げ装置が完全に利用されるので、占有される地下空間はより小さくなる。
【0022】
2)原子炉プラント空洞1の建設及び掘削を継続する。格納容器円筒体7及び天井クレーンの軌道桁18を円形ブリッジクレーン6を用いて原子炉プラント空洞に装着する。格納容器円筒体7及び軌道桁18を、搬送通路14を介して搬送する。天井クレーンガーダ4の一端においてガントリークレーンを、吊上げ軸2を介して原子炉プラント空洞1へ吊上げる。天井クレーンガーダ4の他端を円形ブリッジクレーン6を用いて吊上げる。ガントリークレーンと円形ブリッジクレーン6を組み合わせた効果により、天井クレーンガーダ4が水平になり、また、天井クレーンガーダは軌道桁18に取り付けられる。格納容器円筒体7の装着が完了するので、天井クレーンガーダ4を搬送通路14から搬送することは困難になる。スチールライニング5が格納容器ドームに被せられていないので、天井クレーンガーダ4を原子炉プラント空洞1へ、吊上げ軸2を介して吊り上げるのが簡単である。従って、原子炉プラント空洞1の開放上側空間が利用され、まさに装着された円形ブリッジクレーン6が直接使用されるので、費用と時間が節約されるとともに、建設の進行が加速化する。
【0023】
3)軌道桁18及び天井クレーンガーダ4を、格納容器ドームへのスチールライニング5の組立ジグの支持点として使用する。処理済みスチールライニング5片を原子炉プラント空洞1へ吊上げ軸2を介して吊上げ、ライニング片を組立ジグ上ではんだ付けして組み付ける。建設用の空間が十分である地上原子力発電所と異なり、原子炉プラント空洞1内の空間は限られているので、既存部材を支持点として使用し、スチールライニング5片を支持点に基づきはんだ付けにより組み付ける。
【0024】
4)大型の永久設備を原子炉3から格納容器円筒体7へ、原子炉プラント空洞1に連結された搬送通路14を介して搬送する。大型の永久設備が大型のプラットホーム大型トラック(図示なし)により、搬送通路14の軌道に沿って、格納容器円筒体7の設備ゲート(図示なし)へ運ばれる。大型の永久設備は格納容器円筒体7へ、設備ゲートを介して搬送されるとともに、格納容器円筒体7内の作用プラットホーム(図示なし)に載置される。大型の永久設備は、天井クレーンガーダ4を使用して、作用領域へ回転させられるとともに吊上げられる。原子炉3内の大型の永久設備は、スチールライニング5が被された後に装着されるので、吊上げ軸2を吊り上げに使用することはできず、また、大型の永久設備の吊上げ及び搬送は、搬送通路14及び設備ゲートと、格納容器円筒体7内の作用プラットホームに基づく。
【0025】
図2に示すように、核燃料プラント空洞10を一例に挙げて例証すると、5)結合空洞、電気プラント空洞16及び圧力開放空洞17の建設が行われる。結合空洞、電気プラント空洞16、及び圧力開放空洞17の掘削が完了すると、ブリッジクレーン12を、結合空洞の上側部分に長さ方向に載置された受け材に、クレーン車を使用して取り付ける。原子力補助装置を、主通行穴13を通り、結合空洞の一方側又は一端に載置された装着プラットホーム11へ運ぶ。原子力補助装置を、ブリッジクレーン12により、作用位置へ吊上げる。結合空洞は縦方向に長く、従来の工程と異なり、クレーン車のアームは原子炉プラント空洞1内の空間により制限されないので、クレーン車を用いて、ブリッジクレーン12の装着及び建設が容易に行われる。
【0026】
工程5の建設と、工程1、2、3又は4の建設は同時に行われる。或いは、工程5の建設と、工程1、2、3及び4の建設は同時に行われる。
【0027】
本発明は、大規模地下原子力発電所において、既存の機器を完全に利用するとともに、地下空間と地下建設の特徴を組み合わせることにより、地下原子力発電所での大型アセンブリの吊上げ及び搬送における困難が解消され、地下空間での建設に対する新しいアイデアが提供される。
【0028】
本発明の特定の実施形態について図示及び説明してきたが、当該技術分野に属する者であれば、本発明のより広範な態様において、本発明から逸脱することなく、変更や変形が行われてもよいことは明白である。従って、添付の請求の範囲の目的は、そのような変更や変形全てを、本発明の真の主旨や範囲にあるものとして含むことにある。
【0029】
詳述されていない明細書中の内容については、従来技術に属し、当該技術分野に属する者には周知である。
【符号の説明】
【0030】
1 原子炉プラント空洞
2 吊上げ軸
3 原子炉
4 天井クレーンガーダ
5 スチールライニング
6 円形ブリッジクレーン
7 格納容器円筒体
8 原子力補助プラント空洞
9 安全プラント空洞
10 核燃料プラント空洞
11 装着プラットホーム
12 ブリッジクレーン
13 主通行穴
14 搬送通路
15 ロックアンカー桁
16 電気プラント空洞
17 圧力開放空洞
18 軌道桁
【国際調査報告】