(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-525897(P2017-525897A)
(43)【公表日】2017年9月7日
    (54)【発明の名称】内側及び外側シャフトのためのリテーナ
(51)【国際特許分類】
   F16B  21/18        20060101AFI20170810BHJP        
   F16D   3/06        20060101ALI20170810BHJP        
【FI】
   F16B21/18 F
   F16D3/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
      (21)【出願番号】特願2016-574380(P2016-574380)
(86)(22)【出願日】2015年6月25日
    (85)【翻訳文提出日】2017年2月20日
      (86)【国際出願番号】US2015037672
    
      (87)【国際公開番号】WO2015200623
(87)【国際公開日】20151230
    
      (31)【優先権主張番号】62/016,935
(32)【優先日】2014年6月25日
(33)【優先権主張国】US
    (81)【指定国】
      AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
    
      
        
          (71)【出願人】
【識別番号】393002852
【氏名又は名称】ジーケーエヌ・ドライブライン・ノースアメリカ・インコーポレーテッド
          (74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川  茂樹
          (74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川  政樹
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】ビティック,クリッテンデン・エイ
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】アーデン,トニー・エヌ
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】オラム,サミュエル・ジェイ
              
            
        
      
    【テーマコード(参考)】
      3J037
    【Fターム(参考)】
      3J037AA08
      3J037BA01
      3J037BB02
      3J037JA12
    (57)【要約】
  少なくともいくつかの実装形態では、内側シャフト又は外側シャフトのうちの少なくとも一方の、他方のシャフトに対する軸方向運動を制限するためのクリップは、第1の自由端部、第2の自由端部、上記第1の自由端部と上記第2の自由端部との間にクリップの開放端部を画定する開口、上記開放端部に対向する閉鎖端部、少なくとも3つの制御領域、複数の中間領域を含む。各中間領域は可変幅を有し、それぞれ上記少なくとも3つの制御領域のうちの少なくとも1つに隣接して配置される。
【選択図】
図1
    
  【特許請求の範囲】
【請求項1】
  内側シャフト又は外側シャフトのうちの少なくとも一方の、他方のシャフトに対する軸方向運動を制限するためのクリップであって、
  前記クリップは:
  第1の自由端部及び第2の自由端部;
  前記第1の自由端部と前記第2の自由端部との間の、前記クリップの開放端部を画定する開口;
  前記開放端部に対向する閉鎖端部;
  少なくとも3つの制御領域;並びに
  複数の中間領域であって、各前記中間領域は可変幅を有し、それぞれ前記少なくとも3つの制御領域のうちの少なくとも1つに隣接して配置される、複数の中間領域
を備える、クリップ。
【請求項2】
  第1の制御領域は、前記クリップの前記閉鎖端部に位置し、第2の制御領域は、前記第1の制御領域と前記第1の自由端部との間に位置し、第3の制御領域は、前記第1の制御領域と前記第2の自由端部との間に位置し;
  第1の中間領域は、前記第1の制御領域と前記第2の制御領域との間に配置され、また前記第1の中間領域が前記第1の制御領域と前記第2の制御領域との間に延伸するに従って、前記第1の中間領域の幅は増大し、その後減少し;
  第2の中間領域は、前記第1の制御領域と前記第3の制御領域との間に配置され、また前記第2の中間領域が前記第1の制御領域と前記第3の制御領域との間に延伸するに従って、前記第2の中間領域の幅は増大し、その後減少する、請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
  前記第1の中間領域及び前記第2の中間領域の前記幅は、前記第1の制御領域の幅から増大し、その後それぞれ前記第2の制御領域又は前記第3の制御領域の幅まで減少する、請求項2に記載のクリップ。
【請求項4】
  前記第1の制御領域の幅は、前記第2の制御領域、前記第3の制御領域又は前記第2の制御領域及び前記第3の制御領域の両方の幅と同一である、請求項3に記載のクリップ。
【請求項5】
  前記第1の制御領域の幅は、前記第2の制御領域、前記第3の制御領域又は前記第2の制御領域及び前記第3の制御領域の両方の幅と異なる、請求項3に記載のクリップ。
【請求項6】
  前記第2の制御領域及び前記第3の制御領域の幅は、前記第1の制御領域の前記幅の5%以内である、請求項5に記載のクリップ。
【請求項7】
  第3の中間領域は、前記第2の制御領域と前記第1の自由端部との間に配置され;
  第4の中間領域は、前記第3の制御領域と前記第2の自由端部との間に配置される、請求項2に記載のクリップ。
【請求項8】
  前記第3の中間領域の幅は、前記第3の中間領域が前記第2の制御領域から前記第1の自由端部へと延伸するに従って減少し、
  前記第4の中間領域の幅は、前記第4の中間領域が前記第3の制御領域から前記第2の自由端部へと延伸するに従って減少する、請求項7に記載のクリップ。
【請求項9】
  前記第1の制御領域は、前記閉鎖端部と前記開放端部の中央とを通って延伸する前記クリップの中心線を含む、第1の垂直平面内に配置され、
  前記第2の制御領域又は前記第3の制御領域のうちの少なくとも一方は、前記第1の垂直平面に対して垂直な第2の平面の、所定の角度範囲内に配置される、請求項2に記載のクリップ。
【請求項10】
  前記第2の平面は、前記閉鎖端部と前記開放端部の中央とを通って延伸する前記中心線に対して垂直な、前記クリップの中心線を含む、請求項9に記載のクリップ。
【請求項11】
  前記クリップは概ね楕円形状である、請求項1に記載のクリップ。
【請求項12】
  前記クリップの前記開放端部の前記開口は、前記開口が径方向内向きに延伸するに従って増大する幅を有する、請求項1に記載のクリップ。
【請求項13】
  円を画定する部分を有する内周面を更に備え、
  前記クリップの前記開放端部の前記開口は、前記円の直径の45〜65%の幅を有する、請求項1に記載のクリップ。
【請求項14】
  円を画定する部分を有する内周面を更に備え、
  前記制御領域の前記幅は、前記円の直径の4〜8%である、請求項1に記載のクリップ。
【請求項15】
  円を画定する部分を有する内周面を更に備え、
  前記クリップの最大全幅は、前記円の直径のおよそ110〜140%である、請求項1に記載のクリップ。
【請求項16】
  円を画定する部分を有する内周面を更に備え、
  前記クリップの前記中心線と前記円の中心線との間のオフセットは、前記制御領域の前記幅のおよそ25〜45%である、請求項1に記載のクリップ。
【請求項17】
  長手方向軸を画定し、外面に形成された溝を有する、内側シャフト;
  前記長手方向軸に対して軸方向に対面する表面を有する、部材;
  開口を有する開放端部と、前記開口に対向する閉鎖端部とを含む、弾性変形可能なクリップであって、前記クリップを前記内側シャフト及び前記部材と組み立てる際、前記クリップの各部分は、前記内側シャフトの前記溝内に定置されて、前記部材の前記軸方向に対面する表面に係合し、前記クリップは、前記内側シャフト又は前記部材のうちの少なくとも一方の、互いに対する軸方向運動を制限するように動作する、クリップ;並びに
  中に前記内側シャフト、前記部材及び前記クリップが配置された穿孔であって、前記穿孔は、前記穿孔の少なくとも一部分が非円形断面形状を有するように、中に隆起部分を含む、穿孔
を備える、組立体であって、
  前記クリップは、前記クリップと前記内側シャフト及び前記部材との組み立て中に、前記穿孔内の前記隆起部分を、曲がることなく乗り越えられるように、弾性変形するよう構成される、組立体。
【請求項18】
  前記クリップは、少なくとも3つの制御領域及び複数の中間領域を含み、各前記中間領域は可変幅を有し、またそれぞれ前記少なくとも3つの制御領域のうちの少なくとも1つに隣接して配置され;
  第1の制御領域は、前記クリップの前記閉鎖端部に位置し、第2の制御領域は、前記第1の制御領域と前記第1の自由端部との間に位置し、第3の制御領域は、前記第1の制御領域と前記第2の自由端部との間に位置し;
  第1の中間領域は、前記第1の制御領域と前記第2の制御領域との間に配置され、また前記第1の中間領域が前記第1の制御領域と前記第2の制御領域との間に延伸するに従って、前記第1の中間領域の幅は増大し、その後減少し;
  第2の中間領域は、前記第1の制御領域と前記第3の制御領域との間に配置され、また前記第2の中間領域が前記第1の制御領域と前記第3の制御領域との間に延伸するに従って、前記第2の中間領域幅は増大し、その後減少する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
  前記第1の中間領域及び前記第2の中間領域の前記幅は、前記第1の制御領域の幅から増大し、その後それぞれ前記第2の制御領域又は前記第3の制御領域の幅まで減少する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
  前記第1の制御領域の幅は、前記第2の制御領域、前記第3の制御領域又は前記第2の制御領域及び前記第3の制御領域両方の幅と同一である、請求項19に記載のクリップ。
【請求項21】
  円を画定する部分を有する内周面を更に備え、
  前記クリップの前記開放端部の前記開口は、前記円の直径の45〜65%の幅を有する、請求項17に記載のクリップ。
【請求項22】
  円を画定する部分を有する内周面を更に備え、
  前記クリップの中心線と前記円の中心線との間のオフセットは、前記制御領域の前記幅のおよそ25〜45%である、請求項17に記載のクリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  同時係属出願の参照
  本出願は、2014年6月25日出願の米国仮特許出願第62/016935号の利益を主張するものであり、上記仮特許出願は参照によりその全体が本出願に援用される。
【0002】
  本開示は一般に、内側及び外側シャフトと共に使用するためのリテーナに関し、より詳細には、上記シャフトのうちの少なくとも一方の、他方に対する軸方向運動を制限する、クリップに関する。
 
【背景技術】
【0003】
  一般に、車両の駆動列は、車両の機関から車両のホイールにトルクを伝達する。自動車の駆動列は、駆動列中の複数のシャフト間にトルクを選択的に分配するための動力伝送ユニット(power  transfer  unit:PTU、動力取り出しユニットとしても知られる)を含む。PTUは典型的には、歯車を内包して支持するハウジング、シャフト、軸受からなる。PTUの2つのシャフトは、1つに連結して、これらのシャフトの相対軸方向運動を連結器によって制限する必要があり得る。自動車内のいずれの場所における自動車用駆動列の実装は、変更不可能なサイズに関する制約を要求する場合があり、これは、シャフト及びシャフト上のいずれの連結器の設置を不可能とする、若しくは妨げる場合があり、又は設置中に損傷(例えば塑性変形若しくは破損)し得るサイズ、形状を連結器に要求する場合がある。
 
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
  少なくともいくつかの実装形態では、内側シャフト又は外側シャフトのうちの少なくとも一方の、他方のシャフトに対する軸方向運動を制限するためのクリップは、第1の自由端部、第2の自由端部、上記第1の自由端部と上記第2の自由端部との間にクリップの開放端部を画定する開口、上記開放端部に対向する閉鎖端部、少なくとも3つの制御領域、複数の中間領域を含む。各中間領域は可変幅を有し、それぞれ上記少なくとも3つの制御領域のうちの少なくとも1つに隣接して配置される。
【0005】
  少なくともいくつかの実装形態では、第1の制御領域は、上記クリップの上記閉鎖端部に位置し、第2の制御領域は、上記第1の制御領域と上記第1の自由端部との間に位置し、第3の制御領域は、上記第1の制御領域と上記第2の自由端部との間に位置する。更に、第1の中間領域は、第1の制御領域と第2の制御領域との間に配置され、また上記第1の中間領域が第1の制御領域と第2の制御領域との間に延伸するに従って、その幅は増大し、その後減少する。第2の中間領域は、第1の制御領域と第3の制御領域との間に配置され、また上記第2の中間領域が第1の制御領域と第3の制御領域との間に延伸するに従って、その幅は増大し、その後減少する。少なくともいくつかの実装形態では、上記第1、第2の中間領域の上記幅は、上記第1の制御領域の幅から増大し、その後それぞれ上記第2の制御領域又は上記第3の制御領域の幅まで減少する。少なくともいくつかの実装形態では、上記第1の制御領域の幅は、上記第2の制御領域、上記第3の制御領域又はこれら両方の幅と同一である。少なくともいくつかの実装形態では、上記第1の制御領域の幅は、上記第2の制御領域、上記第3の制御領域又はこれら両方の幅と異なる。また、上記第2及び第3の制御領域の幅は、上記第1の制御領域の幅の10%以内であってよい。
【0006】
  少なくともいくつかの実装形態では、第3の中間領域は、上記第2の制御領域と上記第1の自由端部との間に配置され、また第4の中間領域は、上記第3の制御領域と上記第2の自由端部との間に配置される。上記第3の中間領域の幅は、上記第3の中間領域が上記第2の制御領域から上記第1の自由端部へと延伸するに従って減少してよく、また上記第4の中間領域の幅は、上記第4の中間領域が上記第3の制御領域から上記第2の自由端部へと延伸するに従って減少してよい。
【0007】
  少なくともいくつかの実装形態では、上記第1の制御領域は、上記閉鎖端部と上記開放端部の中央とを通って延伸する上記クリップの中心線を含む、第1の垂直平面内に配置され、また上記第2の制御領域又は上記第3の制御領域のうちの少なくとも一方は、上記第1の垂直平面に対して垂直な第2の平面の、所定の角度範囲内に配置される。上記第2の平面は、上記閉鎖端部と上記開放端部の中央とを通って延伸する上記中心線に対して垂直な、上記クリップの中心線を含んでよい。
【0008】
  少なくともいくつかの実装形態では、上記クリップは概ね楕円形状である。上記クリップの上記開放端部の上記開口は、上記開口が径方向内向きに延伸するに従って増大する幅を有してよい。少なくともいくつかの実装形態では、上記クリップの内周面は、円を画定する部分を有してよく、上記クリップの上記開放端部の上記開口は、上記円の直径の45〜65%の幅を有する。
【0009】
  少なくともいくつかの実装形態では、組立体は、内側シャフト、外側シャフト、クリップ、並びに中に上記内側シャフト、上記外側シャフト及び上記クリップが配置された穿孔を含み、上記穿孔は、上記穿孔の少なくとも一部分が非円形断面形状を有するように、中に隆起部分を含む。上記内側シャフトは長手方向軸を画定し、その外面に形成された溝を有する。上記外側シャフトは、上記長手方向軸に対して軸方向に対面する表面を有する。上記クリップは弾性変形可能であってよく、開口を有する開放端部、上記開口に対向する閉鎖端部を有してよい。上記クリップを上記内側シャフト及び上記外側シャフトと組み立てる際、上記クリップの各部分は、上記内側シャフトの上記溝内に定置されて、上記外側シャフトの上記軸方向に対面する表面に係合し、上記クリップは、上記内側シャフト又は上記外側シャフトのうちの少なくとも一方の、互いに対する軸方向運動を制限するように動作し、また上記クリップは、上記クリップと上記内側及び外側シャフトとの組み立て中に、上記穿孔内の上記隆起部分を、曲がることなく乗り越えられるように、弾性変形するよう構成される。
【0010】
  少なくともいくつかの実装形態では、上記クリップは、少なくとも3つの制御領域、複数の中間領域を含み、各中間領域は可変幅を有し、またそれぞれ上記少なくとも3つの制御領域のうちの少なくとも1つに隣接して配置される。第1の制御領域は、上記クリップの上記閉鎖端部に位置し、第2の制御領域は、上記第1の制御領域と上記第1の自由端部との間に位置し、第3の制御領域は、上記第1の制御領域と上記第2の自由端部との間に位置する。第1の中間領域は、第1の制御領域と第2の制御領域との間に配置され、また上記第1の中間領域が第1の制御領域と第2の制御領域との間に延伸するに従って、その幅は増大し、その後減少する。第2の中間領域は、第1の制御領域と第3の制御領域との間に配置され、また上記第2の中間領域が第1の制御領域と第3の制御領域との間に延伸するに従って、その幅は増大し、その後減少する。
【0011】
  少なくともいくつかの実装形態では、上記第1及び第2の中間領域の上記幅は、上記第1の制御領域の幅から増大し、その後それぞれ上記第2の制御領域又は上記第3の制御領域の幅まで減少する。上記第1の制御領域の幅は、上記第2の制御領域、上記第3の制御領域又はこれら両方の幅と同一であってよい。また上記第1の制御領域の幅は、上記第2の制御領域、上記第3の制御領域又はこれら両方の幅と異なってよい。
【0012】
  これより本発明の1つ又は複数の実施形態について、添付の図面と共に説明する。同様の符号は同様の要素を指す。
 
 
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、内側シャフトと、外側シャフトと、上記内側シャフト又は上記外側シャフトのうちの少なくとも一方の、他方に対する軸方向運動を制限するよう構成されたクリップとを備える組立体の等角図である。
 
【
図3】
図3は、
図1の線3‐3に沿った、
図1に示す組立体の一部分の断面図である。
 
【
図4】
図4は、
図1に示す組立体を実装できる動力伝送ユニット(PTU)の例示的実施形態の等角図である。
 
【
図5】
図5は、
図4に示すPTUの入力シャフト穿孔の拡大立面図であり、ここで
図1に示す組立体は、上記入力シャフト穿孔内に配置され、上記クリップは、視認し易いように斜線を付けて示されている。
 
【
図6】
図6は、
図5の線6‐6に沿った、
図4、5に示すPTUの一部分の断面図である。
 
【
図7】
図7は、
図4に示すPTUの入力シャフトの拡大立面図であり、ここでは従来技術によるクリップが、
図1に示す組立体の一部と共に図示されている。
 
【
図8】
図8は、例えば
図1、2に示す組立体のクリップの例示的実施形態の強調図である。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0014】
  図1、2は、少なくとも部分的に、内側シャフト12、外側シャフト14及びリテーナを備える組立体10の例示的実施形態を示し、上記リテーナは、内側シャフト12及び外側シャフト14と組み立てる際に、内側シャフト12又は外側シャフト14のうちの少なくとも一方の、他方に対する、長手方向軸Aに沿った軸方向運動を制限(即ち防止又は限定)するように動作する、弾性変形可能なクリップ16として示されている。
図2、3に示す実施形態では、内側シャフト12は、径方向外向きの溝18を含み、上記溝18は、内側シャフト12の全周にわたって延在してよく、またその中にクリップ16の少なくとも特定の部分を受承して定置させるよう構成される。内側シャフト12及び外側シャフト14を一体に組み立て、クリップ16を内側シャフト12と組み立てる(即ち内側シャフト12の溝18内に定置させる)際、クリップ16は、外側シャフト14の軸方向に対面する表面20に当接することにより、シャフト12、14のうちの少なくとも一方の、他方に対する軸方向運動を制限し、また少なくともいくつかの実装形態では、これを、内側シャフト12又は外側シャフト14の回転を阻害することなく行うことができる。より詳細には、
図3に示すように、クリップ16は、外側シャフト14の、軸Aに沿った方向21の運動を防止するよう動作し、また両方のシャフトが軸方向に運動する用途においては、内側シャフト12の、軸Aに沿った、方向21に対向する方向22の運動も防止できる。
 
【0015】
  図1〜3に示すもののような組立体は、例えば自動車の駆動列の動力伝送ユニット(PUT)又は等速ジョイント(constant  velocity  joint:CVJ)といった比較的大型の組立体を含むがこれに限定されない、いずれの多数の用途に実装又は統合できることが当業者には理解されるだろう。例えば
図4は、PTU24の例示的実施形態の一部分を示し、これは、複数の構成部品及び特徴の中でもとりわけ、ハウジング26、入力シャフト穿孔28、リングギヤ30を有する。
図5、6に示すように、組立体10は、入力シャフト穿孔28に挿入されて入力シャフト穿孔28内に配置されるよう構成される。
図4〜6に示すように、PTUに付随する実装の制約からもたらされる、入力シャフト穿孔28の中心線32とリングギヤ30の中心線34との間のオフセットにより、この特定の実装形態では、入力シャフト穿孔28は、こぶ又は隆起部分36を含み、これは、リングギヤ30を自由に回転させるための、又は上記リングギヤと噛合する歯車をリングギヤに対して回転若しくは運動させるための、クリアランスを提供する。
 
【0016】
  PTU24の組み立て中、外側シャフト14をハウジング26と組み立てる。より詳細には外側シャフト14をハウジング26内の穿孔28に挿入する。外側シャフト14を概ねハウジング26内に配置した後、内側シャフト12を、外側シャフトを軸Aに沿って通して穿孔28に挿入する。内側シャフト12及び外側シャフト14を適切に配置した後、クリップ16を穿孔28に挿入し、内側シャフト12を通り越させ、内側シャフト12の溝18内に定置する。しかしながら、
図4〜6に示すような、穿孔28がこぶ36を含む実施形態では、こぶ36は、クリップ16の設置に対して困難を与え得る。例えば
図7を参照すると、従来のクリップの開放端部は、クリップが弛緩状態である(即ちクリップが圧縮も拡張もされていない)場合、設置中にこぶを越えられるほど幅広ではない。またこのようなクリップを、開口が十分に幅広くなるように拡張すると、クリップは塑性変形するか、弱化するか、又は曲がってしまう(例えば、内側シャフトの溝内へとばね力によって戻ることなく屈曲する)場合がある。少なくともいくつかの実装形態では、これは望ましくないか、又は全く好適でない場合がある。
 
【0017】
  図8、9に示す例示的実施形態では、クリップ16は概してC字型であり、開放端部38、及び開放端部38に対向する閉鎖端部40を有し、また上記クリップ16の中央を通って延伸する軸Bを画定でき、又は含むことができ、上記軸Bは、
図2に示すように、クリップ16を内側シャフト12及び外側シャフト14と組み立てた場合に軸Aと一致し得る。開放端部38は、クリップ16の自由端部44
1、44
2のペアの間に開口42を含み、上記開口42は、例えば
図7に示す従来のクリップの開口よりも比較的幅広である。クリップ16は更に:軸方向に対面する第1の側部46;第1の側部46が対面する方向とは反対方向に軸方向に対面する第2の側部47;径方向内向きに対面し、かつ第1の側部46と第2の側部47との間に延在する内周面48;及び径方向外向きに対面し、かつこれもまた第1の側部46と第2の側部47との間に延在する外面50を含む。少なくともいくつかの実装形態では、第1の側部46及び第2の側部47は概ね平坦であってよく、クリップ16は、好適な材料のシートから打ち抜き加工すると便利であり得る。
図3、5、6に示すように、クリップ16と内側シャフト12及び外側シャフト14とを一体に組み立てる際、クリップ16の特定の部分(例えば内周面48の全体又は一部)は、内側シャフト12の溝18内に定置され、またクリップ16の他の特定の部分は、外側シャフト14の軸方向に対面する表面20の少なくとも一部(例えば
図5に示す実施形態では、少なくとも部分52
1、52
2、52
3、52
4)に係合するか、又は上記少なくとも一部に径方向に重なる。
 
【0018】
  引き続き
図8、9を参照すると、クリップ16は更に、クリップ16の設置又はクリップ16と内側シャフト12及び外側シャフト14との組み立て中に、工具を用いて係合されるよう構成された、耳状部54のペア(即ち54
1、54
2)を含んでよい。耳状部54
1、54
2は、クリップ16の各自由端部44
1、44
2に配置され、それぞれ外面50に向かって径方向に所定の距離だけ延伸し、軸Bから径方向距離Rに配置される。各耳状部54
1、54
2はまた、概ね周方向に対面する内面56(即ち耳状部54
1の場合は内面56
1、耳状部54
2の場合は内面56
2)も含む。図示されている実施形態では、内面56
1、56
2は互いに対面しており、またそれぞれ、開口42の幅が、開口42が外面50から内面48に向かって径方向内向きに延伸するに従って増大するように、配置してよい。
図8、9に示すように、面56
1、56
2を合わせて考えると、これらは鋭角の狭角θを形成し、上記狭角θの大きさは30°〜50°であってよく、またある特定の実施形態では約39°であるが、他の角度範囲及び特定の角度も好適であり得ることを理解されたい。更にある実施形態では、内面56
1、56
2が配置される角度は、第1の弛緩状態又は第2の最大拡張状態において内面56
1、56
2が互いに対して平行とならないようなものであり、上記第2の最大拡張状態は、クリップ16を、クリップ16が内側シャフト12の最大外径にわたって自由に移動できる点まで開いた状態として定義してよい。換言すると、少なくともいくつかの実装形態では、内面56
1、56
2は、クリップ16の適切な設置又はクリップ16と内側シャフト12、外側シャフト14との適切な組み立ての前、間又は後において、互いに平行ではない。
 
【0019】
  図8に示すように、少なくともいくつかの実装形態では、クリップ16は概ね楕円形状であり、これは、第1の弛緩状態にあるとき(
図8に示す紙面の中へ、かつ紙面から外へと延伸する)水平面60内に配置される第1の中心線58を画定する。この第1の状態では、クリップは拡張されておらず(即ち耳状部は互いから離れるように牽引されておらず)、又は圧縮されていない(即ち耳状部は互いに向かって押圧されていない)。第1の状態にある場合、内周面48の特定の部分は、直径Dの仮想円62の一部を画定する役割を果たし、上記直径Dは、第1の中心線58に対して平行でありかつ、第1の中心線58から距離Zだけオフセットされた第2の中心線64を画定する。以下により詳細に説明するように、クリップ16の様々な寸法は、少なくとも部分的に、円62の直径D又は中心線58、64間の距離Zに基づくものであってよい。
 
【0020】
  特に
図8に示すように、クリップ16の幅(例えば内面48と外面50との間の距離)は、クリップ16が一方の耳状部54(又は自由端部44)から他方へと延伸するに従って一定でなく、変動する。クリップ16は、複数のセクション、即ち制御領域6を含んでよい。ある実施形態では、これら制御領域66は全て同一の幅Wを有してよいが、他の実施形態では、これら制御領域66のうちの1つ又は複数は幅Wを有してよく、これら制御領域66のうちの他の1つ又は複数は、Wより大きい又は小さい(例えば最大+/−5%)特定の量である幅を有してよい。少なくともいくつかの実装形態では、各制御領域66の幅は、その領域全体にわたって一定のままである。更に、制御領域66のうちの1つ若しくは複数は、垂直平面内に線を備えてよく、又は制御領域66のうちの1つ若しくは複数は、クリップ16の軸Bに対してある特定の周方向長さを有してよい。クリップ16は更に、複数のセクション、即ち中間領域68を含んでよく、これら中間領域68は変動する幅を有し、上記幅は、当該領域内の特定の又は全ての位置において、幅Wより大きい、及び/又は小さいものであってよく、各中間領域68は、制御領域66のうちの少なくとも1つに隣接して配置されてよい。
 
【0021】
  例えば
図8に示す実施形態では、クリップ16は:閉鎖端部40に又は閉鎖端部40付近に位置する第1の制御領域66
1;第1の制御領域66
1と第1の耳状部54
1との間に位置する第2の制御領域66
2;及び第1の制御領域66
1と第2の耳状部54
2との間に位置する第3の制御領域66
3を含む。クリップ16は更に:第1の制御領域66
1と第2の制御領域66
2との間に延伸する第1の中間領域68
1;及び第1の制御領域66
1と第3の制御領域66
3との間に延伸する第2の中間領域68
2を含む。図示されている実施形態では、第1の中間領域68
1及び第2の中間領域68
2は互いの鏡像であり、それぞれ、これらが第1の制御領域66
1から、(第1の中間領域68
1の場合は)第1の制御領域66
1と第2の制御領域66
2との間、又は(第2の中間領域68
2の場合は)第1の制御領域66
1と第3の制御領域66
3との間の所定の点(例えば中点)へと延伸するに従って、幅が漸増する。そして各中間領域68
1、68
2の幅は、これらが上記所定の点からそれぞれ第2の制御領域66
2又は第3の制御領域66
3へと延伸するに従って漸減する。換言すると、各中間領域68
1、68
2の幅は、第1の制御領域66
1における幅W(これはある実施形態において、閉鎖端部40にあるクリップ16の最小幅である)から、より大きな幅へと増大した後、それぞれ、第1の制御領域66
1と同一の幅Wであってよい第2の制御領域66
2若しくは第3の制御領域66
3の幅、又はWより大きい若しくは小さい(例えば最大+/−5%)特定の量である幅へと減少する。
 
【0022】
  図示されている実施形態では、クリップ16は更に:第2の制御領域66
2と第1の耳状部54
1との間に延伸する第3の中間領域68
3;及び第3の制御領域66
3と第2の耳状部54
2との間に延伸する第4の中間領域68
4を含む。図示されている実施形態では、第3の中間領域68
3及び第4の中間領域68
4は互いの鏡像であり、それぞれ、これらが(第3の中間領域68
3の場合は)第2の制御領域66
2から第1の耳状部54
1へと、又は(第4の中間領域68
4の場合は)第3の制御領域66
3から第2の耳状部54
2へと延伸するに従って、幅が漸減する。
 
【0023】
  少なくともいくつかの実装形態では、クリップ16の上記制御領域及び中間領域を、クリップ16を曲げることなく大幅に拡張できるように配設してよく、換言するとこれらの領域は、クリップに対する曲げ応力を制御するように戦略的に配置される。これらの領域の配置はまた、クリップ16の周囲に分布する、クリップ16を拡張又は開放した場合にクリップ16がより容易に屈曲できる多数の場所又は点を提供する。例えば
図8に示す特定の実施形態では、第1の制御領域66
1は垂直平面70内に配置され、この垂直平面70は、開放端部38の開口42の中央と閉鎖端部40との両方を通過して延伸する、即ち水平面60に対して垂直である、クリップ16の中心線72も含んでよい。第2の制御領域66
2は、第1の制御領域66
1と第1の耳状部54
1との間、かつ上述のようにクリップ16の中心線58を含む水平面60内に配置される。同様に、第3の制御領域66
3は、第1の制御領域66
1と第2の耳状部54
2との間に配置され、これもまた水平面60内に配置されてよい。
 
【0024】
  図8に示し上で説明したクリップ16の実施形態は3つの制御領域66を含み、これら3つの制御領域66はそれぞれ同一の一定の幅Wを有し、かつそれぞれ垂直に配設された平面60、70のうちの一方の中に配置されるが、他の実施形態では、クリップ16が3つ未満若しくは4つ以上のこのような制御領域を含んでよく、これら制御領域が異なる幅を有してよく、及び/又はこれら制御領域が異なる様式で配設されてよいことを理解されたい。より詳細には、各制御領域が、垂直に配設された平面60、70のうちの1つの中に配置されるのではなく、制御領域のうちの1つ又は複数を垂直平面60、70から(例えば平面60、70のある角度範囲内で)オフセットしてよい。例えば
図8に示すもののような実施形態では、制御領域66
2、66
3のうちの一方又は両方を、水平面60の角度範囲α内に配置してよく、少なくともいくつかの実装形態では、αは+/−15%である。同様に、上述の実施形態では、クリップ16は、幅が様々に変動する4つの中間領域68を含むが、他の実施形態では、クリップ16が4つ未満若しくは5つ以上のこのような中間領域を含んでよく、及び/又は上記中間領域が、本出願に記載の様式とは異なる様式で変動する幅を有してよいことを理解されたい。従って本開示は、制御及び/又は中間領域のいずれの特定の数、タイプ又は配置に限定されない。
 
【0025】
  上述のもののうちのいくつか又は全てを含む、クリップ16の様々な寸法は、クリップ16の、又はクリップ16に関連する、他の特定の寸法に左右され得る。例えば
図8に示す様々な寸法は、円62の直径Dに基づくか、又は直径Dに関連してよく、上記直径Dは、クリップ16が設置中に通り越す内側シャフト12の外径の大きさに基づいてよい(例えばD=内側シャフト12の外径の90〜95%、一実施形態では上記外径の93%)。より詳細には、決して唯一の実施形態ではないある実施形態において:制御領域66
1〜66
3の幅Wは、Dのおよそ6%であってよく;各耳状部54
1、54
2の径方向最外部が配置される径方向距離Rは、Dのおよそ50〜70%であってよく;開放端部38の開口42の最も狭い部分は、Dのおよそ45〜65%(例えば56%)の幅Cを有してよく;クリップ16の最大全幅OWは、Dのおよそ110〜140%(例えば126%)であってよい。クリップ16の中心線58と、クリップ16の内周面48の部分が画定する円62の中心線64との間のオフセットZは、制御領域66の幅Wの大きさに関連してよく(例えばオフセットZは幅Wのおよそ25〜45%であってよく)、従って上記オフセットが増大又は減少するに従って、(制御領域66に隣接する中間部分又は領域68におけるクリップ16の最大幅、最小幅、及びこれらの部分又は領域の幅が変化又は変動する1つ又は複数の速度と共に)外面50が増大又は減少する。制御領域の幅が固定されている実装形態では、オフセットZの大きさが増大するに従って、中間領域68
3、68
4は薄くなり、他の中間領域68
1、68
2は幅広くなる。オフセットZの大きさが減少すると、逆の事態が発生する。従って少なくともこの様式で、オフセットZは中間領域の幅を制御する。
 
【0026】
  以上に鑑みて理解されるように、クリップ16は、内側シャフト12の外径を通り越すことができるように、内側シャフト12及び外側シャフト14との組み立て中に拡張又は開放でき、その後内側シャフト12の溝18へと弾性的にばね力によって入るか又はスナップ嵌合できる、弾性変形可能なクリップである。この目的のために、クリップ16は例えば、特定のタイプの鋼鉄(例えばSAE1095)又は他の好適な材料といった、弾性変形可能な材料で形成してよい。弾性変形可能であることに加えて、上記材料は特定の硬度も有してよい。例えばある実施形態では、クリップ16は、485〜530のビッカース硬度を有するSAE1095鋼鉄で形成されるが、他の材料及び/又は硬度範囲も使用してよいことを理解されたい。
 
【0027】
  以上の説明は、本発明の1つ又は複数の実施形態の説明であることを理解されたい。本発明は、本開示の1つ又は複数の特定の実施形態に限定されず、以下の請求項によってのみ定義される。更に、以上の説明に含まれている記述は、上記1つ又は複数の開示されている実施形態に関するものであり、ある用語又は句が上で明確に定義されている場合を除いて、本発明の範囲、又は請求項で使用される用語の定義に対する限定として解釈してはならない。他の様々な実施形態、並びに上記1つ又は複数の開示されている実施形態に対する様々な変更及び様々な修正は、当業者には明らかであろう。
 
【0028】
  本明細書及び請求項において使用される場合、用語「例えば(e.g.、for  example、for  instance)」、「…等の、…といった(such  as)」、「…のような(like)」、並びに動詞「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及びこれらの動詞の他の形態は、1つ又は複数の構成要素又は他の項目の列挙と合わせて使用される場合、それぞれ無制限的(open‐ended)なものとして解釈されるべきであり、即ち上記列挙は、他の、追加の構成要素又は項目を排除するものとして解釈してはならない。他の用語は、別の解釈を必要とする文脈中で使用されていない限り、その最も広範な、合理的な意味を用いて解釈されるべきである。例えば、クリップの領域を説明するために使用されている用語「制御(control)」、「中間(intermediate)」は、クリップのこれらのセクションの構成又は配置に対して一切の限定を付与することを意図しておらず、クリップの説明における便宜のために使用されている。「中間領域(intermediate  zone)」は、クリップの自由端部まで延伸してこれを含んでよい。更に、言明された全ての値(例えば百分率、角度、範囲等)は、例示のみを目的として提供されており、本質的な限定を意味するものではない。本発明の精神及び範囲内にあるいくつかの実装形態において、本出願に記載のもの以外の値を使用してよいことは、当業者には理解されるだろう。
 
 
【手続補正書】
【提出日】2017年3月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  内側シャフト又は外側シャフトのうちの少なくとも一方の、他方のシャフトに対する軸方向運動を制限するためのクリップであって、
  前記クリップは:
  第1の自由端部及び第2の自由端部;
  前記第1の自由端部と前記第2の自由端部との間の、前記クリップの開放端部を画定する開口;
  前記開放端部に対向する閉鎖端部;
  少なくとも3つの制御領域;並びに
  複数の中間領域であって、各前記中間領域は可変幅を有し、それぞれ前記少なくとも3つの制御領域のうちの少なくとも1つに隣接して配置される、複数の中間領域
を備える、クリップ。
【請求項2】
  第1の制御領域は、前記クリップの前記閉鎖端部に位置し、第2の制御領域は、前記第1の制御領域と前記第1の自由端部との間に位置し、第3の制御領域は、前記第1の制御領域と前記第2の自由端部との間に位置し;
  第1の中間領域は、前記第1の制御領域と前記第2の制御領域との間に配置され、また前記第1の中間領域が前記第1の制御領域と前記第2の制御領域との間に延伸するに従って、前記第1の中間領域の幅は増大し、その後減少し;
  第2の中間領域は、前記第1の制御領域と前記第3の制御領域との間に配置され、また前記第2の中間領域が前記第1の制御領域と前記第3の制御領域との間に延伸するに従って、前記第2の中間領域の幅は増大し、その後減少する、請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
  前記第1の中間領域及び前記第2の中間領域の前記幅は、前記第1の制御領域の幅から増大し、その後それぞれ前記第2の制御領域又は前記第3の制御領域の幅まで減少する、請求項2に記載のクリップ。
【請求項4】
  前記第1の制御領域の幅は、前記第2の制御領域、前記第3の制御領域又は前記第2の制御領域及び前記第3の制御領域の両方の幅と同一である、請求項3に記載のクリップ。
【請求項5】
  前記第1の制御領域の幅は、前記第2の制御領域、前記第3の制御領域又は前記第2の制御領域及び前記第3の制御領域の両方の幅と異なる、請求項3に記載のクリップ。
【請求項6】
  前記第2の制御領域及び前記第3の制御領域の幅は、前記第1の制御領域の前記幅の5%以内である、請求項5に記載のクリップ。
【請求項7】
  第3の中間領域は、前記第2の制御領域と前記第1の自由端部との間に配置され;
  第4の中間領域は、前記第3の制御領域と前記第2の自由端部との間に配置される、請求項2に記載のクリップ。
【請求項8】
  前記第3の中間領域の幅は、前記第3の中間領域が前記第2の制御領域から前記第1の自由端部へと延伸するに従って減少し、
  前記第4の中間領域の幅は、前記第4の中間領域が前記第3の制御領域から前記第2の自由端部へと延伸するに従って減少する、請求項7に記載のクリップ。
【請求項9】
  前記第1の制御領域は、前記閉鎖端部と前記開放端部の中央とを通って延伸する前記クリップの中心線を含む、第1の垂直平面内に配置され、
  前記第2の制御領域又は前記第3の制御領域のうちの少なくとも一方は、前記第1の垂直平面に対して垂直な第2の平面の、所定の角度範囲内に配置される、請求項2に記載のクリップ。
【請求項10】
  前記第2の平面は、前記閉鎖端部と前記開放端部の中央とを通って延伸する前記中心線に対して垂直な、前記クリップの中心線を含む、請求項9に記載のクリップ。
【請求項11】
  前記クリップの前記開放端部の前記開口は、前記開口が径方向内向きに延伸するに従って増大する幅を有する、請求項1に記載のクリップ。
【請求項12】
  円を画定する部分を有する内周面を更に備え、
  前記クリップの前記開放端部の前記開口は、前記円の直径の45〜65%の幅を有するか、又は前記制御領域の前記幅は、前記円の直径の4〜8%であるか、又は前記クリップの最大全幅は、前記円の直径のおよそ110〜140%であるか、又は前記クリップの前記中心線と前記円の中心線との間のオフセットは、前記制御領域の前記幅のおよそ25〜45%である、請求項1に記載のクリップ。
【請求項13】
  長手方向軸を画定し、外面に形成された溝を有する、内側シャフト;
  前記長手方向軸に対して軸方向に対面する表面を有する、部材;
  開口を有する開放端部と、前記開口に対向する閉鎖端部とを含む、弾性変形可能なクリップであって、前記クリップを前記内側シャフト及び前記部材と組み立てる際、前記クリップの各部分は、前記内側シャフトの前記溝内に定置されて、前記部材の前記軸方向に対面する表面に係合し、前記クリップは、前記内側シャフト又は前記部材のうちの少なくとも一方の、互いに対する軸方向運動を制限するように動作する、クリップ;並びに
  中に前記内側シャフト、前記部材及び前記クリップが配置された穿孔であって、前記穿孔は、前記穿孔の少なくとも一部分が非円形断面形状を有するように、中に隆起部分を含む、穿孔
を備える、組立体であって、
  前記クリップは、前記クリップと前記内側シャフト及び前記部材との組み立て中に、前記穿孔内の前記隆起部分を、曲がることなく乗り越えられるように、弾性変形するよう構成される、組立体。
【請求項14】
  前記クリップは、少なくとも3つの制御領域及び複数の中間領域を含み、各前記中間領域は可変幅を有し、またそれぞれ前記少なくとも3つの制御領域のうちの少なくとも1つに隣接して配置され;
  第1の制御領域は、前記クリップの前記閉鎖端部に位置し、第2の制御領域は、前記第1の制御領域と前記第1の自由端部との間に位置し、第3の制御領域は、前記第1の制御領域と前記第2の自由端部との間に位置し;
  第1の中間領域は、前記第1の制御領域と前記第2の制御領域との間に配置され、また前記第1の中間領域が前記第1の制御領域と前記第2の制御領域との間に延伸するに従って、前記第1の中間領域の幅は増大し、その後減少し;
  第2の中間領域は、前記第1の制御領域と前記第3の制御領域との間に配置され、また前記第2の中間領域が前記第1の制御領域と前記第3の制御領域との間に延伸するに従って、前記第2の中間領域幅は増大し、その後減少する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
  前記第1の中間領域及び前記第2の中間領域の前記幅は、前記第1の制御領域の幅から増大し、その後それぞれ前記第2の制御領域又は前記第3の制御領域の幅まで減少する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
  前記第1の制御領域の幅は、前記第2の制御領域、前記第3の制御領域又は前記第2の制御領域及び前記第3の制御領域両方の幅と同一である、請求項15に記載のクリップ。
【請求項17】
  円を画定する部分を有する内周面を更に備え、
  前記クリップの前記開放端部の前記開口は、前記円の直径の45〜65%の幅を有するか、又は前記クリップの中心線と前記円の中心線との間のオフセットは、前記制御領域の前記幅のおよそ25〜45%である、請求項13に記載のクリップ。
【国際調査報告】