特表2017-526531(P2017-526531A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-526531懸濁液を濃縮及び脱水するためのスクリュープレス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-526531(P2017-526531A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(54)【発明の名称】懸濁液を濃縮及び脱水するためのスクリュープレス
(51)【国際特許分類】
   B30B 9/14 20060101AFI20170818BHJP
   F26B 5/14 20060101ALI20170818BHJP
   B01D 29/17 20060101ALI20170818BHJP
   B01D 29/25 20060101ALI20170818BHJP
   B01D 29/37 20060101ALI20170818BHJP
   C02F 11/12 20060101ALI20170818BHJP
【FI】
   B30B9/14 GZAB
   F26B5/14
   B30B9/14 D
   B01D29/30 501
   C02F11/12 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-572507(P2016-572507)
(86)(22)【出願日】2015年6月10日
(85)【翻訳文提出日】2016年12月9日
(86)【国際出願番号】EP2015062937
(87)【国際公開番号】WO2015189271
(87)【国際公開日】20151217
(31)【優先権主張番号】00881/14
(32)【優先日】2014年6月11日
(33)【優先権主張国】CH
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516042103
【氏名又は名称】ヒタチ ゾウセン イノバ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル エルティヒ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ダニエル ゴスポナー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル シュミット
【テーマコード(参考)】
3L113
4D059
4D116
【Fターム(参考)】
3L113AA09
3L113AB09
3L113AC40
3L113AC60
3L113AC65
3L113BA36
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3L113DA22
4D059AA30
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4D116RR15
4D116VV07
4D116VV11
4D116VV30
(57)【要約】
発酵プラント又はバイオガスプラントの懸濁液を濃縮及び脱水するための脱水装置として使用可能なスクリュープレス(2)。スクリュープレス(2)はプレスチャンバ(20)を含んでおり、その中でスクリューシャフト(202)がスクリーンジャケット(203)により包囲されてスクリューシャフト軸心(L)を中心にして回転可能に支持されており、スクリーンジャケット(203)はプレスチャンバ(20)の内部で保持されてスクリーンジャケット保持装置(204)に固定されている。スクリーンジャケット(203)は、多数の複数部分からなるスクリーンケージ(2030)とスクリーンケージインサート(2033)によって形成されている。複数部分からなるスクリーンケージ(2030)は2個のスクリーンケージ半割シェル(2031)及び(2032)から形成されており、それらの間にそれぞれ少なくとも1個の旋回ヒンジ(2043)が配置されている。旋回ヒンジ(2043)は、プレスチャンバ(20)を貫通してスクリュー軸心(L)に対して平行に配置された桁部材(2040)にスクリーンジャケット保持装置(204)の部分として配置され、それぞれ両スクリーンケージ半割シェル(2031、2032)と固く結合されている。スクリーンケージ半割シェル(2031)及び(2032)は互いに相対的に旋回運動可能に支持され、旋回して開いた状態ではスクリーンケージインサート(2033)への妨げられない接近が可能になる。更に、スクリーンケージ半割シェル(2031、2032)には旋回ヒンジ(2043)と反対に向けられた側にそれぞれ1個のケージタブ(S)が配置されており、ケージタブ(S)はスクリーンケージ半割シェル(2031、2032)がケージ閉鎖手段(2044)によって閉じられた状態でスクリーンジャケット保持装置(204)に取外し可能に固定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵プラント又はバイオガスプラントの懸濁液を濃縮及び脱水するための脱水装置として使用可能なスクリュープレス(2)であって、
プレスチャンバ(20)を含んでおり、
プレスチャンバ(20)内でスクリューシャフト(202)がスクリーンジャケット(203)により包囲されてスクリューシャフト軸心(L)を中心にして回転可能に支持されており、
スクリーンジャケット(203)はプレスチャンバ(20)の内部で保持されてスクリーンジャケット保持装置(204)に固定されており、
スクリーンジャケット保持装置(204)はプレスチャンバ(20)を貫通してスクリューシャフト軸心(L)に対して平行に配置された少なくとも1本の桁部材(2040)を含んでおり、
スクリーンジャケット(203)は、多数の複数部分からなるスクリーンケージ(2030)とその中に挿入可能なスクリーンケージインサート(2033)によって形成されており、
各スクリーンケージ(2030)は第1のスクリーンケージ半割シェル(2031)と第2のスクリーンケージ半割シェル(2032)とを含んでおり、
それぞれ第1のスクリーンケージ半割シェル(2031)と第2のスクリーンケージ半割シェル(2032)との間に少なくとも1個の旋回ヒンジ(2043)が配置されており、
旋回ヒンジ(2043)は桁部材(2040)に配置されて、それぞれ両スクリーンケージ半割シェル(2031、2032)と固く結合されており、これにより第1のスクリーンケージ半割シェル(2031)と第2のスクリーンケージ半割シェル(2032)は互いに相対的に旋回運動可能に支持され、旋回して開いた状態ではスクリーンケージインサート(2033)への妨げられない接近が可能になるものにおいて、
スクリーンケージ半割シェル(2031、2032)には旋回ヒンジ(2043)と反対に向けられた側にそれぞれ1個のケージタブ(S)が配置されており、
ケージタブ(S)は両スクリーンケージ半割シェル(2031、2032)がケージ閉鎖手段(2044)によって閉じられた状態でスクリーンジャケット保持装置(204)に取外し可能に固定されている、
ことを特徴とするスクリュープレス(2)。
【請求項2】
スクリーンケージ半割シェル(2031、2032)がフランジ(F)を備えており、
フランジ(F)は半円筒形のスクリーンケージ半割シェル(2031、2032)のケージ長さ(l)に沿って延びており、スクリーンケージ半割シェル(2031、2032)はこれらのフランジ(F)によって少なくとも1個の旋回ヒンジ(2043)と結合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリュープレス(2)。
【請求項3】
各スクリーンケージ(2030)に2個の旋回ヒンジ(2043)が設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリュープレス(2)。
【請求項4】
スクリーンジャケット保持装置(204)のブラケット(2042)にそれぞれ1個のケージタブ(S)が取外し可能に固定されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスクリュープレス(2)。
【請求項5】
前記ケージタブ(S)は1個の貫通穴を有しており、この貫通穴を通ってケージ閉鎖手段(2044)はスクリーンジャケット保持装置(204)のケージタブ(S)とブラケット(2042)を横断方向に貫通可能であり、スクリーンケージ(2030)は半円筒形のスクリーンケージ半割シェル(2031、2032)のケージ長さ(l)に沿って完全に閉じられている、
ことを特徴とする請求項4に記載のスクリュープレス(2)。
【請求項6】
ケージ閉鎖手段(2044)としてのボルトがスクリーンジャケット保持装置(204)のケージタブ(S)とブラケット(2042)を横断方向に貫通可能であり、ナットで止められている、
ことを特徴とする請求項5に記載のスクリュープレス(2)。
【請求項7】
前記スクリーンジャケット保持装置(204)は、桁部材(2040)から離れてスクリューシャフト軸心(L)に対して平行に延びる少なくとも1本のケージ懸架桁部材(2041)を有しており、
第1のスクリーンケージ半割シェル(2031)と第2のスクリーンケージ半割シェル(2032)との閉鎖が、ケージ長さ(l)に沿って行われて、閉じられたスクリーンケージ(2030)を形成する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のスクリュープレス(2)。
【請求項8】
前記スクリーンジャケット保持装置(204)は、桁部材(2040)と、スクリューシャフト軸心Lに対して平行に延びて配置されている2本のケージ懸架桁部材(2041)を含んでおり、
両ケージ懸架桁部材(2041)の間でブラケット(2042)がスクリューシャフト202に対して横断方向に向けられて配置されている、
ことを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載のスクリュープレス(2)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のスクリュープレス(2)を有する、
ことを特徴とするバイオガスプラント。
【請求項10】
懸濁液を脱水するための脱水装置の一部として使用される請求項1から8のいずれか1項に記載のスクリュープレス(2)のプレスチャンバ(20)内のスクリーンケージ(2030)からスクリーンケージインサート(2033)を取り出して交換するための保守方法であって、
a)カバーフード(22)を少なくとも部分的に取り除くことによってプレスチャンバ(20)を開き、
b)スクリーンジャケット保持装置(204)と第1のスクリーンケージ半割シェル(2031)との間のケージ閉鎖手段(2044)を解除し、
c)第1のスクリーンケージ半割シェル(2031)を第1のスクリーンケージ半割シェル(2031)と結合している少なくとも1個の旋回ヒンジ(2043)によって旋回させ、このときスクリーンケージ半割シェル(2031)はプレスチャンバ(20)内に留まっており、
d)現在あるスクリーンケージインサート(2033)を取り出して新しいスクリーンケージインサート(2033)を挿入し、
e)すべての摩耗したスクリーンケージインサート(2033)が交換されるまでステップb)〜d)を繰り返し、
f)旋回したスクリーンケージ(2030)を再びケージ閉鎖手段(2044)によって閉鎖し、
g)カバーフード(22)を再び閉じる、
ことを特徴とする保守方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸濁液を濃縮及び脱水するための脱水装置として使用可能なスクリュープレスであって、プレスチャンバを含んでおり、プレスチャンバ内でスクリューシャフトがスクリーンジャケットにより包囲されてスクリューシャフト軸心を中心にして回転可能に支持されており、スクリーンジャケットはプレスチャンバの内部で保持されてスクリーンジャケット保持装置に固定されており、スクリーンジャケットは、多数の複数部分からなるスクリーンケージとその中に挿入可能なスクリーンケージインサートによって形成されているスクリュープレス、スクリュープレスを有するバイオガスプラント、並びに懸濁液を脱水するための脱水装置の一部として使用されるスクリュープレスのプレスチャンバ内のスクリーンケージからスクリーンケージインサートを取り出して交換するための保守方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
発酵槽又は発酵プラントでバイオガスを製造する際に懸濁液、より正確には発酵残渣懸濁液が生成されるが、これはバイオガス収率を改善し、二次発酵プロセスを短縮し、悪臭の発生を減らすために脱水する必要がある。
約2/3の液体と約1/3の乾燥物質からなる発酵残渣懸濁液の典型的な稠度に基づき、通常はスクリュープレスを有する脱水装置が使用される。発酵槽から発酵残渣懸濁液がスクリュープレスに送られ、そこで機械的に砕開されて脱水される。
【0003】
特許文献1に記載されているように、脱水装置のスクリュープレスはプレスチャンバを含んでおり、その中でスクリューシャフトを包囲するスクリーンジャケットが支持されている。
発酵残渣懸濁液を、プレス投入口を通してプレスチャンバ内に導入した後に、スクリュープレスの内部で逆流濾過の原理を利用して、液体を透過する耐圧性のスクリーンジャケットの内部で回転するスクリューシャフトが発酵残渣懸濁液をスクリューシャフト軸心の方向に連行する。
このとき、スクリーンジャケットの内部で形成された圧力により液状若しくはペースト状の濾液がスクリーンジャケットの穿孔部から押し出される。
発酵残渣懸濁液の固形物質のスクリーンジャケットとスクリューシャフトにおける摩擦により物質出口のチョークが達成可能であり、その結果としてスクリーンジャケット内の開口部を通って濾液又は圧搾水を搬送する逆圧が形成される。
こうして脱水された発酵残渣の固形物質は、通常はスクリーンケージから構成されるスクリーンジャケットによって保留され、最後には被圧搾物排出口に搬送され、そこでスクリーンジャケット若しくはスクリュープレスから搬出される。
【0004】
この種類のスクリュープレスは通常は1分あたり数回転という少ない回転数で動かされ、長時間連続運転する場合に運転コスト及び保守コストは少なくてすむ一方、二次使用可能な脱水された発酵残渣と濾液が被圧搾物排出口若しくは濾液排出口から連続的に出る。
【0005】
この種類のスクリュープレスが支障なく機能できるためには、その構造を予想される発酵残渣懸濁液に適合させなければならない。
適当な大きさの開口部を有する相応のスクリーンジャケットが形成されなければならず、スクリューシャフトは低い回転速度で運転され、スクリーンケージの内面とスクリューシャフトの外周との間の隙間寸法は適当に選択されなければならない。
【0006】
発酵残渣懸濁液を脱水するためのスクリュープレスの連続運転では、固形物質がスクリーン面を通過することによって、スクリーンジャケット若しくはスクリーンが自動的に露出されることが示された。
しかしスクリーンは比較的速く摩耗して交換されなければならない。先行技術によればスクリーンジャケットのスクリーンインサートの交換は多大な技術的コストを伴う。
そのためにスクリーンケージを完全に取り外し、新しいスクリーンを挿入してスクリーンケージに再び組み入れなければならない。
【0007】
発酵残渣懸濁液の脱水のために使用されるスクリュープレスのプレス特性と流量は最適化されたが、この種類のスクリュープレス保守は依然として問題がある。
【0008】
特許文献2に記載されたスクリュープレスを有する脱水装置は、スクリーンケージ半割シェルとして形成された多数のスクリーンケージを含むスクリーンジャケットを付けたプレスチャンバを有している。プレスチャンバはプレス保持装置に支持され、プレス保持装置は床上の支持装置の上に載っている。
スクリーンケージは運転状態でスクリューシャフトを全面的に包囲し、それによって濾過室が形成される。スクリーンケージは、スクリーンジャケット保持装置としてスクリューシャフト軸心に対して平行に延びる2本の水平に位置する桁部材に固定されている。少なくとも上側のスクリーンケージは桁部材から取り外せるように構成されており、上側のスクリーンケージを取り除くと濾過室及びスクリューシャフトに接近できる。
スクリーンケージの上側半部を取り外した後、スクリーンケージを床の上に置いて、摩耗したスクリーンインサートを交換することができる。このために新しいスクリーンインサートをスクリーンケージ半割シェルに挿入して固定する。
スクリューシャフトをプレスチャンバから取り出せば、プレスチャンバ内に留まっているスクリーンケージの半部にも新しいスクリーンインサートを装備できる。下側のスクリーンケージ半割シェルが露出されている場合だけ、付属のスクリーンインサートも交換できる。
特許文献2によれば個々の摩耗したスクリーンインサートを交換できるが、保守は多大な技術的コストを伴う。スクリーンジャケットの取外しは従来複雑であったが、それはすべてのスクリーンケージに接近できるようにするには、スクリューシャフトを取り外さなければならないからである。
【0009】
そのような公知のスクリュープレスでは保守の可能性若しくは保守のフレキシビリティーは非常に限られている。
スクリーンジャケットの接近は困難にされているので、摩耗したスクリーンインサートを交換するために、多くの部材を取り外すという労力を払わなければならない。製造者は、例えばスクリューシャフトを再び適切に組み入れることを保証するために、しばしば従業員に定期的保守を行わせなければならない。
【0010】
これに対して特許文献3及び特許文献4で開示されているスクリュープレスでは、スクリーンケージ半割シェルがヒンジを介して旋回可能に支持されている。これによりスクリュープレスの単純で迅速な保守が可能になり、特にスクリーンインサートの交換が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】DE19944110A1
【特許文献2】EP2561981A2
【特許文献3】US4397230
【特許文献4】US4279197
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、スクリュープレスの単純で迅速な保守を許すだけでなく、同時に摩耗も可能な限り少なく均一であるスクリュープレスを有する脱水装置、若しくはスクリーンジャケットを有するスクリュープレスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明ではわずかな操作しか必要なく、それによって保守に要する時間が著しく短縮されるので、スクリュープレスの必要な定期的保守が容易になる。保守は必ずしも製造者の訓練された保守要員によって行われる必要はなく、そのためフレキシブルで廉価な保守が可能になる。
【0014】
開発において特別の価値が置かれたのはスクリーンインサートなどの摩耗品の複雑でない交換であり、要望に応じて適当なスクリーンインサートをフレキシブルで迅速に置き換え若しくは配置することができる。
【0015】
これと並んで、スクリーンケージ半割シェルをスクリーンジャケット保持装置のブラケットに追加的固定することにより構造の安定性も改善され、特に非常に同心的な進路が達成される。
その結果としてスクリュース装置とスクリーンケージインサートに作用する力を少なくなり、それは摩耗の減少、ひいては寿命の増大につながる。
【0016】
更に、本発明によるスクリュープレスにおいて摩耗は同心的で均一に生じるので、すべての部分はほぼ同じ強さで擦り減り、そのためほぼ同時に交換又は保守されなければならない。
これは保守の需要の減少につながり、それにより全体としてコストの低下及び運転停止時間の短縮につながる。それによってまた通常の摩耗シェルも不要になる。
【0017】
上記の効果は、特により長いスクリュープレスで、しばしば多数のスクリーンケージが相前後して配置されている場合に非常に有利である。
これらの効果は、例えば特許文献3又は特許文献4が開示されている短いスクリュープレスでは、それほど重要ではない。
【0018】
以下に本発明の好適な実施形態を添付の図面との関連で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a】スクリュープレスを有するバイオガスプラント用の脱水装置の斜視図を示す。
図1b】図laのスクリュープレスの側面図を示しており、カバーフードが部分的に取り除かれて、スクリーンジャケットが見えるようになっている。
図2】図lbの線A−Aに沿った断面図を示しており、スクリーンジャケットが閉じた状態で完全なプレスチャンバと排水槽が暗示されている。
図3】第1のスクリーンケージ半割シェルが旋回して片側が開いたスクリーンジャケットの断面図を示す。
図4】第1のスクリーンケージ半割シェルと第1のスクリーンケージ半割シェルが両側で旋回して完全に開いたスクリーンジャケットの断面図を示しており、スクリーンジャケット保持装置の一部とスクリューシャフトは省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図laに、発酵プラント又はバイオガスプラントに組み込むための又はそれらの一部をなす脱水装置の斜視図が示されている。
脱水装置はスクリュープレス2として構成されている。
スクリュープレス2は、湿式又は乾式発酵プラントで発生する発酵残渣懸濁液を脱水するための可能な構造に対応している。
この種類の発酵残渣懸濁液は、約2/3の液体と約1/3の乾燥物質からなる。
脱水によって一方では液体から生成された濾液又は圧搾水が、他方では脱水された発酵残渣がプレスケーキの形で最適化されて二次使用される。
脱水装置はプレスサポート10の上に水平面Hに対して傾斜して延びるように支持されている。
【0021】
スクリュープレス2はプレスチャンバ20を有しており、その中にスクリューシャフト202がプレスチャンバ20を横断して配置されている。
スクリューシャフト202はスクリューシャフト軸心Lに沿って延びて螺旋翼2021を有している。
スクリューシャフト202は、ここでは図示されていない2個の軸受によって保持されている。
スクリューシャフト202は、被圧搾物投入口24が配置された注入領域から、被圧搾物排出口250を有するプレスヘッド25が配置された排出領域まで延びている。
【0022】
プレスチャンバ20はカバーフード22で覆うことができるように形成されている。
図1aに複数部分からなる取り外し可能なカバーフード22が示されており、プレスチャンバ20の内部を見ることが可能であるように、カバーフード22の反対側の部分のみがプレスチャンバ20を部分的に覆うように残されている。カバーフード22はここでは3部分から構成されている。
プレスチャンバ20の床に向けられた部分は全長にわたる排水槽21として形成されているので、搾出された濾液は排水槽21に到達でき、重力に基づいて図laで暗示されている濾液排出口26に流れることができる。
【0023】
スクリューシャフト202はモータ27、スリップオンギヤ28及び油圧ユニット29によって駆動され、図示されない制御装置によって制御される。
発酵残渣懸濁液と達成すべき脱水の稠度に応じて、スクリューシャフト202の回転数と作用するトルクを制御装置によって調整する。
この場合、スクリューシャフト202は原則として最大1分あたり数回転で運転される。
【0024】
プレスチャンバ20内でスクリーンジャケット203はスクリューシャフト202を同心的に包囲する。
スクリーンジャケット203は、スクリューシャフト軸心Lの方向で相前後して配置された多数の複数部分からなるスクリーンケージ2030を含んでおり、これらのスクリーンケージ2030はスクリーンケージ2030内に挿入可能なスクリーンケージインサート2033に対する支持枠をなしている。
スクリーンケージ2030はここではそれぞれ2個のスクリーンケージ半割シェル2031から形成されており、第1のスクリーンケージ半割シェル2031が開いた状態で示され、それによってスクリーンケージインサート2033が見て取れる。
スクリーンケージ2030若しくはスクリーンケージ半割シェル2031は、スクリューシャフト202の方向にそれぞれケージ長さlで延びている。
図laに図示された実施形態では5個のスクリーンケージ2030が存在する。
【0025】
スクリーンジャケット203は螺旋翼2021をわずかな隙間寸法で完全に包囲しているので、スクリーンジャケット203の内部でスクリューシャフト202により発酵残渣懸濁液に必要な圧力を掛けることができ、発酵残渣懸濁液の脱水が実用的に可能である。
スクリーンケージインサート2033は、2ミリメートルないし約6ミリメートルの一定の直径を有するスクリーン孔を全長にわたって一様に配設した薄い金属シートである。
隙間寸法がわずかでスクリーンケージインサート2033とスクリューシャフト202との間隔が小さいことにより、スクリーンケージインサート2033は運転中に後から流れて来る発酵残渣懸濁液によって清掃される。
【0026】
複数部分からなる特別のスクリーンジャケット保持装置204がプレスチャンバ20の内部に延びるように設けられており、これにスクリーンケージ2030若しくはスクリーンジャケット203が固定されている。
【0027】
図lbには、発酵残渣懸濁液がどのようにスクリュープレス2を貫通して案内されるかが矢印によって示されている。
第1のステップでは発酵残渣懸濁液は被圧搾物投入口24を通ってスクリュープレス2内に入れられる。
発酵残渣懸濁液は例えばバイオガスプラントの発酵槽に由来し、大部分は固形の発酵残渣と混合した液体である。
【0028】
被圧搾物投入口24に続いて予備脱水スクリーン205が配置されており、注入直後に圧搾水はこれを通って逃げることができる。
その後で発酵残渣懸濁液はスクリューシャフト202によりプレスチャンバ20を通って搬送される。
発酵残渣懸濁液は駆動されるスクリューシャフト202若しくは螺旋翼2021により矢印方向でスクリューシャフト軸心Lに対して平行に螺旋翼2021とスクリーンジャケット203の内面との間にあるスクリーンジャケット内室2034を通って搬送される。
発酵残渣懸濁液から液体状の濾液がスクリーンジャケット203のスクリーンケージインサート2033を通ってスクリューシャフト軸心Lに対して横断方向に押し出されて、スクリーンジャケット203とカバーフード22若しくは21との間にある濾液室201内に放出される。
濾液又は圧搾水はスクリーンジャケット203から半径方向に逃げる一方、脱水された発酵残渣はプレスケーキとして引き続き実線の矢印の方向でプレスヘッド25に向かって運ばれる。
【0029】
スクリュープレス2は水平面Hに対して角度α>0°、好適には約30°になるように配置されているので、圧搾水は破線の矢印で暗示されているように自動的に濾液排出口26に向かって流れる。圧搾水をプレスチャンバ20から搬送するためにその他の技術的方策を講じる必要はない。
【0030】
プレスケーキを吐出する際にも更に脱水するために、ここではプレスヘッド25は円錐形に形成されているので、プレスケーキが被圧搾物排出口250から吐出される前に、まずテーパー部を横断しなければならない。
スクリューシャフト202により濃縮と脱水と吐出が可能になる。
【0031】
図2に従う断面図では、プレスチャンバ20の濾液室201内で延びている複数部分からなるスクリーンジャケット保持装置204が見て取れる。複数部分からなるカバーフード22及び21は模式的に破線で示されている。断面図はスクリュープレス2の断面を表現しており、視線方向はスクリューシャフト202若しくはスクリューシャフト軸心Lの方向に延びる。
運転中、圧搾水は破線の矢印の方向でスクリューシャフト202から半径方向に離れるように圧迫される。
【0032】
スクリーンジャケット保持装置204は、スクリューシャフト軸心Lに対して平行に延びるように配置された1本の桁部材2040と2本のケージ懸架桁部材2041、2041を含んでいる。これらの桁部材はすべてスクリーンジャケット外部に配置されている。
図示された実施形態では桁部材2014はスクリューシャフト202の垂直方向下方に配置されているのに対し、両ケージ懸架桁部材2041、2041´はスクリューシャフトの上方でやや側方に延びている。両ケージ懸架桁部材2041、2041´の間にはブラケット2042がスクリューシャフト202に対して横断方向に、即ちスクリューシャフト軸心Lに対して直角に向けられて配置されている。
このスクリーンジャケット保持装置204にスクリーンケージ2030がスクリューシャフト202に沿って延びるように固定されている。
【0033】
第1のスクリーンケージ半割シェル2031は、支持装置としてスクリーンケージインサート2033を装備されて、スクリューシャフト202の一方の側でスクリューシャフト202を間隔を置いて同心的に包囲している。
第2のスクリーンケージ半割シェル2032はスクリーンケージインサート2033を装備されて、スクリューシャフト202の反対側でスクリューシャフト202を同心的に包囲している。
両スクリーンケージ半割シェル2032、2033は、スクリーンジャケット内室2034を有する円筒形のスクリーンケージ2030を形成する。
スクリューシャフト202はこのスクリーンジャケット内室2034を横断しており、螺旋翼2021はスクリーンケージインサート2033から最小限離れて固定されている。
【0034】
第1のスクリーンケージ半割シェル2031と第2のスクリーンケージ半割シェル2032は、互いに旋回運動可能に固定されている。
この旋回運動の可能性は、第1のスクリーンケージ半割シェル2031と第2のスクリーンケージ半割シェル2032との間に少なくとも1個の旋回ヒンジ2043を配置することによって達成される。
旋回ヒンジ2043は中央の桁部材2040に配置されており、それぞれ両スクリーンケージ半割シェル2031、2032と固く結合されている。
スクリーンケージ2030が閉じられているようにするために、第1のスクリーンケージ半割シェル2031と第2のスクリーンケージ半割シェル2032をブラケット2042に結合させておくケージ閉鎖手段2044が設けられている。
【0035】
図3は、部分的に開いたスクリーンケージ2030を示す。
第1のスクリーンケージ半割シェル2031は旋回ヒンジ2043によりスクリューシャフト202から旋回して離れている。
スクリーンケージ2030が開いた状態で第1のスクリーンケージ半割シェル2031のスクリーンケージインサート2033は簡単に接近できて容易に交換できる。
【0036】
両スクリーンケージ半割シェル2031、2032は、半円筒形のスクリーンケージ半割シェル2031、2032のケージ長さlに沿って延びるフランジFが装備されている。
スクリーンケージ半割シェル2031と2032の間の密封を最適化するために、スクリーンケージインサート2033はそれぞれフランジFの周りにも通されている。
【0037】
各スクリーンケージ半割シェル2031、2032のフランジ側若しくはフランジF自体は少なくとも1個の旋回ヒンジ2043と結合されている。
フランジFを旋回ヒンジ2043と結合することにより、スクリーンケージ半割シェル2031、2032は旋回するとスクリューシャフト202から離れて開くので、スクリューシャフト202との望ましくない接触は生じ得ない。
好適な実施形態において各スクリーンケージ2030に2個の旋回ヒンジ2043が結合されており、それに対応して各フランジFに2個の旋回ヒンジ2043が配置されている。
【0038】
スクリーンケージ半割シェル2031、2032の旋回ヒンジ2043と反対に向けられた側に、それぞれ1個のケージタブS配置されている。ケージタブSは貫通孔を有している。
両スクリーンケージ半割シェル2031、2032が閉じられた状態で各スクリーンケージ半割シェル2031、2032のケージタブSは、ケージ閉鎖手段2044によってスクリーンジャケット保持装置204のブラケット2042に固定される。そうすることによって、スクリーンジャケット203とスクリューシャフト202が運転中も同心的に配置されたままであることが確保される。
スクリーンケージ2030が閉じられた状態において、両半円筒形スクリーンケージ半割シェル2031、2032は少なくとも1個の旋回ヒンジ2043の領域とブラケット2042の領域でケージ長さlに沿って完全に閉じられている。
【0039】
ケージ閉鎖手段2044としてボルトとナットを使用することでき、これらによってケージタブSをブラケット2042に固定できる。この場合、ブラケット2042にも同様に貫通孔が設けられている。ボルトとナットは固定するためにケージタブSとブラケット204を横断して固くねじ締めできる。ケージ閉鎖手段2044として、取外し可能名結合を許す他の手段も使用できる。
【0040】
図4では第2のスクリーンケージ半割シェル2032も旋回ヒンジ2043に配置されて旋回しており、それによりスクリーンケージ2030の最大開放が簡単に達成できる。
両スクリーンケージ半割シェル2032のスクリーンケージインサート2033は問題なく交換できる。この交換はスクリューシャフト202から離れて行うことができる。
穿孔シートとして形成されたスクリーンケージインサート2033は、事前に曲げることによってスクリーンケージ半割シェル2032の半円筒形に適合されており、スクリーンケージ半割シェル2031、2032内に挿入されてそこで固定される。
【0041】
スクリーンケージインサート2033を交換するというスクリュープレス2の保守は、次の保守方法により行われる。
最初に、スクリュープレスをできるだけ完全に空にするために発酵残渣懸濁液の送入を停止し、現在ある発酵残渣懸濁液をスクリューシャフト202によって濃縮および脱水して排出する。
【0042】
その後で、カバーフード22を少なくとも部分的に取り除いてプレスチャンバ20を開き、濾液室201に接近できるようにする。
ケージ懸架桁部材2041と2041´の間のブラケット2042でケージ閉鎖手段2044を緩め若しくは取り外すことによって、第1のスクリーンケージ半割シェル2031を旋回させて第2のスクリーンケージ半割シェル2032を旋回させると各々のスクリーンケージ2030を簡単に開くことができ、それによってそれぞれのスクリーンインサート2033に接近できる。
【0043】
次に、現在の摩耗したスクリーンケージインサート2033を取り出して、新しいスクリーンケージインサート2033を挿入する。
【0044】
続いて、スクリーンケージ半割シェル2031、2032を旋回させてボルト締めした後、スクリュープレス2を今後の圧搾工程用に準備して、カバーフード22でプレスチャンバ20を閉じれば直ちに運転を再開できる。
【0045】
本発明の保守方法によれば、スクリーンケージ半割シェル2031、2032はプレス室20内に留まっており、スクリーンケージインサート2033のみが交換される。
スクリューシャフト202の取外しと組付けは不要にできる。
【符号の説明】
【0046】
2 スクリュープレス
20 プレスチャンバ
201 濾液室(スクリーンジャケットとカバーフード若しくは排水槽の間)
202 スクリューシャフト
2021 螺旋翼
203 スクリーンジャケット(閉じたハウジング、損傷防止)
2030 スクリーンケージ(複数部分からなり互いに反対方向に旋回可能な2個の中空円筒とインサートによって形成)
2031 第1のスクリーンケージ半割シェル
2032 第2のスクリーンケージ半割シェル
2033 スクリーンケージインサート
2034 スクリーンジャケット内室
l ケージ長さ
204 スクリーンジャケット保持装置
2040 中央桁部材
2041 ケージ懸架桁部材
2042 タブ
2043 旋回ヒンジ
2044 ケージ閉鎖手段
205 予備脱水スクリーン
21 排水槽
22 カバーフード(複数部分からなり取外し可能)
23 プレス支持装置
24 被圧搾物投入口
25 プレスヘッド
250 被圧搾物排出口
26 濾液排出口
27 モータ
28 スリップオンギヤ
29 油圧ユニット(内蔵)
10 プレスサポート
L スクリューシャフト軸心
S ケージタブ
H 水平面
図1a
図1b-2】
図3
図4
【国際調査報告】