【実施例】
【0170】
全般的な実験
言及される全ての温度は℃である。
以下の化合物の名称は、化合物命名プログラムChemDraw Ultra 12.0又は「ACD Name Pro 6.02」を使用して得られた。
【0171】
略語
AcCl 塩化アセチル
DCM ジクロロメタン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-(ジメチルアミノ)ピリジン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
Et
2O ジエチルエ-テル
EtOH エタノール
EtOAc 酢酸エチル
h 時間
HATU O-(7-アザベンゾトリアゾ-ル-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェ-ト
HCl 塩酸
i-pent PEPPSI ジクロロ[1,3-ビス(2,6-ジ-3-ペンチルフェニル)イミダゾール-2-イリデン](3-クロロピリジル)パラジウム(II)
LCMS 液体クロマトグラフィー-質量分析
LiOH 水酸化リチウム
M モル(濃度)
MeOH メタノ-ル
MDAP 質量分析計直結自動分取クロマトグラフィー
min 分
N
2 窒素
NEt
3 トリエチルアミン
Pd/C パラジウム炭素
Pd
2(dba)
3 トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム
QPhos 1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1'-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン
Rt 保持時間
rt 室温
s、sec 秒
THF テトラヒドロフラン
UPLC 超高速液体クロマトグラフィー
【0172】
LCMS法
ギ酸法
LC条件
UPLC分析は、40℃において、Acquity UPLC BEH C18カラム(50mm×内径2.1mm、1.7μmの充填径)で行った。
採用される溶媒は以下のとおり:
A = 0.1%(v/v) ギ酸の水溶液
B = 0.1%(v/v) ギ酸のアセトニトリル溶液
採用される勾配は以下のとおり:
【0173】
【表2】
【0174】
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの合計シグナルとした。
【0175】
MS条件
MS:Waters ZQ
イオン化方式:交互走査陽及び陰イオンエレクトロスプレー
走査範囲:100〜1000AMU
走査時間:0.27秒
走査間遅延:0.10秒
【0176】
高pH法
LC条件
UPLC分析は、40℃において、Acquity UPLC BEH C18カラム(50mm×内径2.1mm、1.7μmの充填径)で行った。
採用される溶媒は以下のとおり:
A = アンモニア溶液でpH10に調整された水中10mM炭酸水素アンモニウム
B = アセトニトリル
採用される勾配は以下のとおり:
【0177】
【表3】
【0178】
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの合計シグナルとした。
【0179】
MS条件
MS:Waters ZQ
イオン化方式:交互走査陽及び陰イオンエレクトロスプレ-
走査範囲:100〜1000AMU
走査時間:0.27秒
走査間遅延:0.10秒
【0180】
NMR
スペクトルは、302K又はVTスペクトルでの392〜393Kのいずれかにて、400MHz NMR装置で実行した。
【0181】
中間体1:(E)-ベンジルプロパ-1-エン-1-イルカルバメート
【0182】
【化18】
【0183】
ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(4.05mL、20.85mmol)を、トリフェニルホスフィン(5.47g、20.85mmol)のTHF(125mL)中溶液に、-78℃で5分間かけて滴下添加した。混合物を1分間撹拌し、その後、THF中(50mL)の(2S,3R)-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-3-ヒドロキシブタン酸(4.8g、18.95mmol)を、依然として-78℃で10分間かけて滴下添加した。溶液を-78℃で1時間撹拌し、室温に加温して一晩撹拌した。次いで、溶媒を真空中で蒸発させ、残留物を100gシリカカートリッジに添加し、0〜30% EtOAc/シクロヘキサンの勾配を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を合わせ、真空中で蒸発させて生成物を白色固体(3.06g)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.99分、[MH]
+は観察されなかった。
【0184】
中間体2:(2S,3S,4R)-エチル4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート
【0185】
【化19】
【0186】
エチル4-アミノベンゾエート(15.6g、94mmol)及びアセトアルデヒド(8.00mL、142mmol)をDCM(300mL)にとり、室温で1時間撹拌した。次いで、反応を0℃に冷却し、(E)-ベンジルプロパ-1-エン-1-イルカルバメート(調製については中間体1を参照、19.86g、104mmol)及び(11bS)-2,6-ビス(4-クロロフェニル)-4-ヒドロキシ-8,9,10,11,12,13,14,15-オクタヒドロジナフト[2,1-d:1',2'-f][1,3,2]ジオキサホスフェピン4-オキシド(調製についてはJACS, 2011, 133, 14804を参照、0.545g、0.944mmol)で処理し、反応を0℃で3時間撹拌し、その後反応混合物を分離漏斗に添加した。混合物をDCM(300mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液(600mL)で洗浄し、濃厚なエマルションを得て、30分間待った後、このエマルションから有機層を分離した。残りの水性エマルションをDCM(200mL)で抽出し、次いで飽和ブライン(300mL)で希釈して、再度DCM(200mL)で抽出した。この混合物を一晩静置した。合わせた有機物を乾燥させ、真空中で蒸発させて無色固体を得た。固体をEtOAc(300mL)中で懸濁し、加熱して還流させ、透明無色溶液を得た。これを混合物が濁るまでシクロヘキサンで希釈し、次いで再加熱して全固体を溶解させ、1時間かけて室温に冷却した。懸濁液を真空下で濾過し、固体生成物を真空オーブン内で乾燥させて、生成物を無色固体(23.3g)として得た。ヘプタン中15%エタノールで1mL/分の流速で溶離する250 x 4.6 mmキラルセルICカラムを用いてキラルHPLCによる分析を行った。ピーク1/マイナーなエナンチオマー(UVにより0.2%)は10.6分で溶離し、ピーク2/メジャーなエナンチオマー(UVにより99.8%)は15.4分で溶離した。これは、生成物が、99.6%の鏡像体過剰率(ee)を有していたことを示した。LCMS(2分、高pH):Rt = 1.20分、[MH]
+= 383。
【0187】
中間体3:(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート
【0188】
【化20】
(2S,3S,4R)-エチル4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体2を参照、29.5g、77mmol)及びピリジン(18.72mL、231mmol)の無水DCM(800mL)中溶液を、窒素下、氷浴中で冷却し、次いで塩化アセチル(6.58mL、93mmol)を10分間かけて滴下添加して反応させた。混合物を0℃で1時間撹拌し、その後室温に加温してさらに3時間撹拌した。反応混合物を分離漏斗に移し、1M HCl(500mL)、H
2O(500mL)及び飽和重炭酸ナトリウム溶液(500mL)で洗浄し、乾燥させて真空中で蒸発させ、生成物(33.5g)を得た。LCMS(2分、高pH):Rt = 1.13分、[MH]
+ = 425
【0189】
中間体4:(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-アミノ-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート
【0190】
【化21】
(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体3を参照、7.5g、17.67mmol)のエタノール(75mL)中溶液を、5%Pd/C(湿)(1.43g、0.672mmol)に添加し、水素の雰囲気下、室温で4.5時間撹拌した。さらなる5%Pd/C(湿)(1.43g、0.672mmol)を添加し、反応を水素下でさらに16時間撹拌した。さらなる5%Pd/C(湿)(1.43g、0.672mmol)を添加し、反応を水素下で一晩撹拌した。反応混合物を、10gのCelite(登録商標)カ-トリッジを通して濾過し、さらなるEtOHを通して洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、真空下で一晩乾燥させて、生成物を粘性の油状物(4.5g)として残した。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.49分、[M]
+= 274 (NH
2-の喪失)。
【0191】
中間体5:(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート
【0192】
【化22】
DIPEA(2.83mL、16.22mmol)を、(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-アミノ-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体4を参照、1.57g、5.41mmol)及び6-フルオロニコチノニトリル(1.320g、10.81mmol)のDMSO(10mL)中撹拌溶液に、室温にて1回で添加した。バイアルを密封し、その後、Biotage Initiatorマイクロ波中で160℃までの初期高吸収設定を用いて45分間加熱した。室温に冷却し、EtOAc(40mL)及びH
2O(40mL)を添加した。分離した水相をEtOAc(2 x 40mL)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、減圧下で蒸発させて褐色油状物を得た。油状物をDCMに添加し、0〜60% EtOAc/シクロヘキサンの勾配を用いるカラムクロマトグラフィー(100gシリカ)により精製した。適切な画分を合わせ、真空下で蒸発させて、生成物を白色泡状物(1.95g)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 1.06分、[MH]
+ = 393。
【0193】
中間体6:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸
【0194】
【化23】
水酸化リチウム(14.91mL、H
2O中1M、10.98mmol)を、(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体5を参照、1.95g、4.97mmol)のMeOH(15mL)及びTHF(15mL)中撹拌溶液に、室温にて1回で添加した。得られた溶液を室温で30分間撹拌し、その後室温で72時間静置した。2M HCl(7.5mL)を添加し、その後H
2O(20mL)及びEtOAc(40mL)を添加した。分離した水相をEtOAc(2 x 20mL)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、減圧下で蒸発させて、生成物を淡黄色泡状物(1.75g)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.85分、[MH]
+= 365。
【0195】
中間体7:(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート
【0196】
【化24】
DIPEA(2.91mL、16.63mmol)を、(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-アミノ-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体4を参照、1.61g、5.54mmol)及び2,5-ジクロロピリミジン(1.652g、11.09mmol)のDMSO(10mL)中撹拌溶液に、室温にて1回で添加した。バイアルを密封し、その後、Biotage Initiatorマイクロ波中で160℃までの初期高吸収設定を用いて90分間加熱した。室温に冷却し、EtOAc(40mL)及びH
2O(40mL)を添加した。分離した水相をEtOAc(2 x 40mL)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、減圧下で蒸発させて褐色油状物を得た。試料をDCMに添加し、0〜50% EtOAc/シクロヘキサンの勾配を用いるカラムクロマトグラフィー(100gシリカ)により精製した。適切な画分を合わせ、真空下で蒸発させて、生成物を淡黄色泡状物(1.475g)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 1.15分、[MH]
+ = 403。
【0197】
中間体8:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸
【0198】
【化25】
水酸化リチウム(10.98mL、H
2O中1M、10.98mmol)を、(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体7を参照、1.475g、3.66mmol)のMeOH(15mL)及びTHF(15mL)中撹拌溶液に、室温にて1回で添加した。得られた溶液を室温で30分間撹拌し、その後室温で72時間静置した。2M HCl(5.5mL)を添加した。H
2O(20mL)及びEtOAc(40mL)を添加し、分離した水相をEtOAc(2 x 20mL)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、減圧下で蒸発させて、生成物を淡黄色泡状物(1.36g)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.92分、[MH]
+= 375。
【0199】
中間体9:(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-((5-シアノピラジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート
【0200】
【化26】
マイクロ波バイアルに、(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-アミノ-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体4を参照、200mg、0.689mmol)及び5-クロロピラジン-2-カルボニトリル(192mg、1.378mmol)を添加した。DMSO(1mL)を添加し、その後DIPEA(0.361mL、2.066mmol)を添加して、マイクロ波バイアルを密封し、マイクロ波用反応器中160℃に30分間加熱した。H
2O(20mL)を添加し、その後Et
2O(20mL)を添加して、層を分離した。水相をEt
2O(2 x 20mL)でさらに抽出し、次いで合わせた有機物をブライン(2 x 20mL)で逆抽出した。その後、合わせた有機物を乾燥(Na
2SO
4)させて真空中で濃縮し、褐色油状物を得た。これをDCMに添加し、0〜60% EtOAc/シクロヘキサンの勾配を用いるカラムクロマトグラフィー(25gシリカ)により精製した。適切な画分を回収し、真空中で濃縮して、生成物を褐色油状物(268mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 1.01分、[MH]
+ = 394。
【0201】
中間体10:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピラジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸
【0202】
【化27】
(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-((5-シアノピラジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体9を参照、268mg、0.681mmol)を、THF(1mL)及びH
2O(1mL)中にとった。水酸化リチウム(48.9mg、2.044mmol)を添加し、反応を室温で19時間撹拌した。2M HCl(水性)(1.022mL、2.044mmol)を添加し、反応混合物をH
2O(20mL)で希釈し、10%MeOH/DCM(3 x 20mL)中に抽出した。合わせた有機物を回収し、真空中で濃縮して、生成物を黄色固体(72mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.80分、[MH]
+= 366。
【0203】
中間体11:(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-((5-フルオロピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート
【0204】
【化28】
フラスコに、(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-アミノ-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体4を参照、150mg、0.517mmol)及び2-ブロモ-5-フルオロピリジン(182mg、1.033mmol)を添加した。1,4-ジオキサン(3.25mL)を添加し、その後炭酸セシウム(370mg、1.137mmol)を添加して、フラスコにN
2を泡立たせながら通した(5分間)。Pd
2(dba)
3(47.3mg、0.052mmol)及びQPhos(36.8mg、0.052mmol)を添加し、フラスコにさらなるN
2を泡立たせながら通した。反応を90℃に加熱し、3時間撹拌した。さらなるPd
2(dba)
3(47.3mg、0.052mmol)及びQPhos(36.8mg、0.052mmol)を添加し、反応を90℃で一晩撹拌した。さらなる2-ブロモ-5-フルオロピリジン(91mg)を添加し、反応を110℃で3時間まで加熱した。反応混合物を冷却した。反応混合物をEtOAc(20mL)で希釈して濾過した。残留物をさらなるEtOAc(20mL)で洗浄し、次いで濾液を真空中で濃縮し、褐色油状物を得た。これをDCMに添加し、0〜60% EtOAc/シクロヘキサンの勾配を用いるカラムクロマトグラフィー(25gシリカ)により精製した。適切な画分を回収し、真空中で濃縮して、生成物をオレンジ色泡状物(37mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 1.02分、[MH]
+ = 386。
【0205】
中間体12:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-フルオロピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸
【0206】
【化29】
(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-((5-フルオロピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体11を参照、37mg、0.096mmol)を、THF(0.5mL)及びH
2O(0.5mL)中にとった。水酸化リチウム(9.20mg、0.384mmol)を添加し、反応を室温で3時間撹拌した。さらなる部分のLiOH(4mg)を添加し、反応を室温で16時間撹拌した。2M HCl(水性)(0.288mL、0.576mmol)を添加し、反応混合物を10%MeOH/DCM(20mL)とH
2O(20mL)に分配した。水相をさらなる10%MeOH/DCM(2 x 20mL)で洗浄し、次いで合わせた有機物を乾燥させて真空中で濃縮し、生成物を黄色油状物(30mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.66分、[MH]
+= 358。
【0207】
中間体13:tert-ブチル((2S,4R)-1-アセチル-6-シアノ-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-4-イル)カルバメート
【0208】
【化30】
tert-ブチル((2S,4R)-1-アセチル-6-ブロモ-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-4-イル)カルバメート(調製についてはWO2012/143415A1中の中間体29を参照、2.0g、5.22mmol)及びシアン化亜鉛(766mg、6.52mmol)の乾燥脱気DMF(20mL)中混合物を、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(301mg、5mol%)で処理した。反応混合物を115℃で2時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾液から溶媒を蒸発させた。残留物をEtOAc(100mL)とH
2O(50mL)に分配した。有機相を分離し、H
2O、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させて蒸発させた。残留物を、25〜50% EtOAc/シクロヘキサンの勾配を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物(1.36g)を無色固体として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.98分、[MH]
+= 330。
【0209】
中間体14:(2S,4R)-1-アセチル-4-アミノ-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボニトリル塩酸塩
【0210】
【化31】
1,4-ジオキサン(5mL、20mmol)中4M塩化水素を、tert-ブチル((2S,4R)-1-アセチル-6-シアノ-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-4-イル)カルバメート(調製については中間体13を参照、1.35g、4.1mmol)の1,4-ジオキサン(5mL)中撹拌溶液に添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。Et
2O(50mL)を添加し、混合物を20分間撹拌した。溶媒をデカントした。残留物をEt
2Oで粉砕し、生成物を無色固体(0.98g)として得た。LCMS(2分、高pH):Rt = 0.65分、[M]
+= 213(NH
2-の喪失)。
【0211】
中間体15:(2S,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボニトリル
【0212】
【化32】
DIPEA(0.493mL、2.82mmol)を、(2S,4R)-1-アセチル-4-アミノ-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボニトリル塩酸塩(調製については中間体14を参照、250mg、0.941mmol)及び2,5-ジクロロピリミジン(280mg、1.882mmol)のDMSO(2mL)中撹拌溶液に、室温にて1回で添加した。バイアルを密封し、その後、Biotage Initiatorマイクロ波中で160℃までの初期高吸収設定を用いて30分間加熱した。室温に冷却し、バイアルを、Biotage Initiatorマイクロ波中で160℃までの初期高吸収設定を用いて30分間再加熱した。室温に冷却し、EtOAc(10mL)及びH
2O(10mL)を添加した。分離した水相を、EtOAc(2 x 10mL)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、減圧下で蒸発させて褐色油状物を得た。油状物をDCMに添加し、0〜50% EtOAc/シクロヘキサンの勾配を使用するカラムクロマトグラフィー(25gシリカ)により精製した。適切な画分を合わせ、真空下で蒸発させて、生成物を淡黄色油状物(248mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.94分、[MH]
+= 342。
【0213】
中間体16:(2S,4R)-ブチル1-アセチル-4-((イソプロポキシカルボニル)アミノ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート
【0214】
【化33】
イソプロピル((2S,4R)-1-アセチル-6-ブロモ-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-4-イル)カルバメート(調製についてはWO2012/143415A1を参照、5.7g、15.44mmol)を、1,4-ジオキサン(20mL)中にN
2下でとった。ブタン-1-オール(17.16g、232mmol)、DMAP(3.77g、30.9mmol)、DIPEA(5.50mL、31.5mmol)、trans-ビス(アセタート)-ビス[o-(ジ-o-トリルホスフィノ)ベンジル]ジパラジウム(II)(0.724g、0.772mmol)及びモリブデンヘキサカルボニル(2.038g、7.72mmol)を添加し、混合物を120℃に一晩加熱した。反応を冷却し、Celite(登録商標)を通して濾過した。濾過ケ-キをEtOAc(100mL)で洗浄した。濾液をH
2O(100mL)で洗浄し、水相をEtOAc(100mL)で再抽出した。合わせた有機物をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過して真空中で濃縮し、褐色油状物を得た。油状物をDCMに添加し、5〜50% EtOAc/シクロヘキサンの勾配を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を真空中で濃縮し、生成物を白色固体(3.7282g)として得た。
LCMS(2分、高pH):Rt = 1.20分、[MH]
+= 391。
【0215】
中間体17:(2S,4R)-ブチル1-アセチル-4-アミノ-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート
【0216】
【化34】
AlCl
3(3.82g、28.7mmol)を、DCM(100mL)中、N
2下で懸濁し、氷浴中で冷却して撹拌した。(2S,4R)-ブチル1-アセチル-4-((イソプロポキシカルボニル)アミノ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体16を参照、2.9448g、7.54mmol)を添加し、混合物を30分間撹拌して透明溶液を生成した。MeOH(13.33mL)中NEt
3(12.61mL、90mmol)をゆっくりと添加し、濃白色沈殿物を生成した。反応を撹拌し、室温に一晩加温した。さらなるAlCl
3(1.91g)を添加し、さらに3時間撹拌を続けた。反応を氷浴中で冷却し、別部分のMeOH(6.5mL)中NEt
3(6.3mL)を添加した。さらに4時間撹拌した後、DCM(100mL)及び飽和NaHCO
3(100mL)を反応混合物に加え、その後ロッシェル塩(Rochelle's salt)(20g)を添加して、30分間撹拌を行った。H
2O(100mL)を添加し、30分間撹拌を続けた。DCM及びH
2O(100mL)を添加し、その後分離した。水相をDCM(2 x 200mL)で再抽出し、合わせた有機物を、Celite(登録商標)を通して濾過し、疎水性フリットを通して溶離し、真空中で濃縮して透明油状物を得た。油状物をDCMに添加し、5〜50% (3:1 EtOAc/EtOH)/シクロヘキサンの勾配を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を真空中で濃縮し、生成物を黄色油状物(2.0818g)として得た。LCMS(2分、高pH):Rt = 0.98分、[MH]
+= 329。
【0217】
中間体18:(2S,4R)-ブチル1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート
【0218】
【化35】
DIPEA(0.344mL、1.971mmol)を、(2S,4R)-ブチル1-アセチル-4-アミノ-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体17を参照、200mg、0.657mmol)及び2,5-ジクロロピリミジン(196mg、1.314mmol)のDMSO(2mL)中撹拌溶液に、室温にて1回で添加した。バイアルを密封し、その後、Biotage Initiatorマイクロ波中で160℃までの初期高吸収設定を用いて40分間加熱した。室温に冷却し、EtOAc(10mL)及びH
2O(10mL)を添加した。分離した水相を、EtOAc(2 x 10mL)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、減圧下で蒸発させて褐色油状物を得た。試料をDCMに添加し、0〜40% EtOAc/シクロヘキサンの勾配を使用するカラムクロマトグラフィー(25g、シリカ)により精製した。適切な画分を合わせ、真空下で蒸発させて、生成物を淡黄色油状物(265mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 1.23分、[MH]
+= 417。
【0219】
中間体19:(2S,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸
【0220】
【化36】
水酸化リチウム(1.91mL、H
2O中1M、1.91mmol)を、(2S,4R)-ブチル1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体18を参照、265mg、0.636mmol)のMeOH(2mL)及びTHF(2mL)中撹拌溶液に、室温にて1回で添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌し、その後2M HCl(1mL)を添加した。H
2O(20mL)及びEtOAc(20mL)を添加し、分離した水相をEtOAc(2 x 10mL)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、減圧下で蒸発させて、生成物を黄色油状物(212mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.83分、[MH]
+= 361。
【0221】
中間体20:(2S,4R)-ブチル1-アセチル-4-アミノ-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート塩酸塩
【0222】
【化37】
(2S,4R)-ブチル1-アセチル-4-アミノ-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体17を参照、1.95g、6.41mmol)のEt
2O(20mL)中溶液を、Et
2O(3.0mL)中1.0M HClで処理した。溶媒を蒸発させて、生成物を淡黄色固体(1.8g)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.64分、[M]
+ = 288(NH
2-の喪失)。
【0223】
中間体21:(2S,4R)-ブチル1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート
【0224】
【化38】
DIPEA(0.384mL、2.200mmol)を、(2S,4R)-ブチル1-アセチル-4-アミノ-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート塩酸塩(調製については中間体20を参照、250mg、0.733mmol)及び6-フルオロニコチノニトリル(179mg、1.467mmol)のDMSO(2mL)中撹拌溶液に、室温にて1回で添加した。バイアルを密封し、その後、Biotage Initiatorマイクロ波中で160℃までの初期高吸収設定を用いて30分間加熱した。室温に冷却し、EtOAc(10mL)及びH
2O(10mL)を添加した。分離した水相を、EtOAc(2 x 10mL)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、減圧下で蒸発させて褐色油状物を得た。試料をDCMに添加し、0〜40% EtOAc/シクロヘキサンの勾配を使用するカラムクロマトグラフィー(25g、シリカ)により精製した。適切な画分を合わせ、真空下で蒸発させて、生成物を淡黄色油状物(285mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 1.15分、[MH]
+ = 407。
【0225】
中間体22:(2S,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸
【0226】
【化39】
水酸化リチウム(2.10mL、H
2O中1M、2.10mmol)を、(2S,4R)-ブチル1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体21を参照、285mg、0.701mmol)のMeOH(2mL)及びTHF(2mL)中撹拌溶液に、室温にて1回で添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌し、その後2M HCl(1mL)を添加した。H
2O(20mL)及びEtOAc(20mL)を添加し、分離した水相を、EtOAc(2 x 10mL)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、減圧下で蒸発させて、生成物を淡黄色泡状物(223mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.78分、[MH]
+= 351。
【0227】
中間体23:(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート
【0228】
【化40】
(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-アミノ-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体4を参照、295.0mg、1.016mmol)、2-ブロモ-5-クロロピリジン(217.2mg、1.129mmol)、i-pent PEPPSI(40.7mg、0.051mmol)及び炭酸セシウム(654.4mg、2.008mmol)の1,4-ジオキサン(3mL)中混合物を、N
2下で撹拌しながら100℃で22.5時間加熱した。冷却した後、混合物をCeliteを通して濾過し、EtOAc(3 x 5mL)で溶離した。合わせた濾液をN
2の蒸気下で濃縮し、残留物をMDAPにより精製した。所要の画分をN
2の蒸気下で濃縮し、合わせた後、真空中で蒸発乾固させ、生成物を淡褐色ガム状物(46.8mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 1.15分、[MH]
+= 402。
【0229】
中間体24:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸
【0230】
【化41】
(2S,3R,4R)-エチル1-アセチル-4-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキシレート(調製については中間体23を参照、67.7mg、0.168mmol)を、THF(0.5mL)及びH
2O(0.5mL)中で、N
2下に撹拌した。水酸化リチウム(13.6mg、0.568mmol)を添加し、反応を室温で24時間撹拌した。一晩静置した後、混合物を2M HCl(3mL)の添加により酸性化し、EtOAc(3 x 3mL)で抽出した。相を分離し、有機相を、疎水性フリットに通過させることによって乾燥させた。N
2の蒸気下で、揮発物を両相から蒸発させ、残留物を合わせてMDAPにより精製した。所要の画分をN
2の蒸気下で濃縮し、残留物を合わせて真空中で乾燥させ、生成物をクリーム色固体(48mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.89分、[MH]
+= 374。
【0231】
実施例1:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-N-エチル-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0232】
【化42】
(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体6を参照、88mg、0.121mmol)を、DMF(1.4mL)及びHATU(50.5mg、0.133mmol)中にとり、その後DIPEA(0.042mL、0.241mmol)を添加した。反応混合物を5分間撹拌し、次いでエタンアミン(THF中2M)(0.121mL、0.241mmol)を添加し、反応を室温で1時間まで撹拌した。反応混合物を直接バイアルに添加し、フラスコを2部分のMeOH/DMSO(1:1、0.2mL)で洗浄した。バイアルをMDAPにより直接精製した。適切な画分を回収し、真空中で濃縮して、生成物をクリーム色固体(32mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.82分、[MH]
+ = 392。
【0233】
実施例2:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0234】
【化43】
(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体6を参照、88mg、0.121mmol)を、DMF(1.4mL)及びHATU(50.5mg、0.133mmol)中にとり、その後DIPEA(0.042mL、0.241mmol)を添加した。反応混合物を5分間撹拌し、次いで塩化アンモニウム(12.92mg、0.241mmol)を添加し、反応を室温で1時間まで撹拌した。反応混合物を直接バイアルに添加し、フラスコを2部分のMeOH/DMSO(1:1、0.2mL)で洗浄した。バイアルをMDAPにより直接精製した。適切な画分を回収し、真空中で濃縮して、生成物をクリーム色固体(28mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.72分、[MH]
+= 364。
【0235】
実施例3:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0236】
【化44】
HATU(172mg、0.453mmol)を、(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体6を参照、150mg、0.412mmol)及びDIPEA(0.216mL、1.235mmol)のDMF(2mL)中撹拌溶液に、室温においてN
2下で、1回で添加した。室温で15分間撹拌した後、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン塩酸塩(113mg、0.823mmol)を1回で添加し、得られた溶液を室温で30分間撹拌した。次いで、DMF溶液をMDAPにより精製した。適切な画分を合わせ、溶媒を真空下で蒸発させて、生成物を白色固体(81mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.82分、[MH]
+= 448。
【0237】
実施例4:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-N-((R)-2-ヒドロキシプロピル)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0238】
【化45】
HATU(172mg、0.453mmol)を、(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体6を参照、150mg、0.412mmol)及びDIPEA(0.216mL、1.235mmol)のDMF(2mL)中撹拌溶液に、室温においてN
2下で、1回で添加した。室温で15分間撹拌した後、(R)-1-アミノプロパン-2-オール(62mg、0.825mmol)を1回で添加した。得られた溶液を、室温で30分間撹拌した。次いで、DMF溶液をMDAPにより精製した。適切な画分を合わせ、溶媒を真空下で蒸発させて、生成物を白色固体(119mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.75分、[MH]
+= 422。
【0239】
実施例5:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-N-((S)-2-ヒドロキシプロピル)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0240】
【化46】
HATU(172mg、0.453mmol)を、(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体6を参照、150mg、0.412mmol)及びDIPEA(0.216mL、1.235mmol)のDMF(2mL)中撹拌溶液に、室温においてN
2下で、1回で添加した。室温で15分間撹拌した後、(S)-1-アミノプロパン-2-オール(0.065mL、0.823mmol)を1回で添加した。得られた溶液を室温で30分間撹拌した。次いで、DMF溶液をMDAPにより精製した。適切な画分を合わせ、溶媒を真空下で蒸発させて、生成物を白色固体(121mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.75分、[MH]
+= 422。
【0241】
実施例6:((2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-N-エチル-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0242】
【化47】
(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体8を参照、96.6mg、0.258mmol)、エチルアミン(0.5mL、THF中2M、1.000mmol)及びHATU(117.5mg、0.309mmol)のDMF(1.5mL)中混合物に、(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体24を参照、24.0mg、0.064mmol)のDMF(0.5mL)中溶液を添加した。DIPEA(0.113mL、0.644mmol)を添加し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。混合物をDMFで希釈し、総体積3mLを得て、その後MDAPにより直接精製した。所要の画分を合わせ、溶媒を真空中で蒸発させて、生成物を白色固体(58mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.89分、[MH]
+= 402。
【0243】
実施例7:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0244】
【化48】
(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体8を参照、97.1mg、0.259mmol)、塩化アンモニウム(71.4mg、1.335mmol)及びHATU(118.9mg、0.313mmol)のDMF(1.5mL)中混合物に、(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体24を参照、24.0mg、0.064mmol)のDMF(0.5mL)中溶液を添加した。DIPEA(0.113mL、0.648mmol)を添加し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。混合物をDMFで希釈し、総体積3mLを得て、その後MDAPにより直接精製した。所要の画分を合わせ、溶媒を真空中で蒸発させて、生成物を白色固体(72.9mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.77分、[MH]
+= 374。
【0245】
実施例8:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0246】
【化49】
HATU(167mg、0.440mmol)を、(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体8を参照、150mg、0.400mmol)及びDIPEA(0.210mL、1.201mmol)のDMF(2mL)中撹拌溶液に、室温においてN
2下で、1回で添加した。室温で15分間撹拌した後、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン塩酸塩(110mg、0.800mmol)を1回で添加し、得られた溶液を室温で30分間撹拌した。次いで、DMF溶液をMDAPにより精製した。適切な画分を合わせ、溶媒を真空下で蒸発させて、生成物を白色固体(88mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.89分、[MH]
+= 458。
【0247】
実施例9:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-N-((S)-2-ヒドロキシプロピル)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0248】
【化50】
HATU(167mg、0.440mmol)を、(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体8を参照、150mg、0.400mmol)及びDIPEA(0.210mL、1.201mmol)のDMF(2mL)中撹拌溶液に、室温においてN
2下で、1回で添加した。室温で15分間撹拌した後、(S)-1-アミノプロパン-2-オール(0.063mL、0.800mmol)を1回で添加した。得られた溶液を室温で30分間撹拌した。次いで、DMF溶液をMDAPにより精製した。適切な画分を合わせ、溶媒を真空下で蒸発させて、生成物を白色固体(120mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.82分、[MH]
+= 432。
【0249】
実施例10:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-N-((R)-2-ヒドロキシプロピル)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0250】
【化51】
HATU(167mg、0.440mmol)を、(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体8を参照、150mg、0.400mmol)及びDIPEA(0.210mL、1.201mmol)のDMF(2mL)中撹拌溶液に、室温においてN
2下で、1回で添加した。室温で15分間撹拌した後、(R)-1-アミノプロパン-2-オール(60mg、0.799mmol)を1回で添加した。得られた溶液を室温で30分間撹拌した。次いで、DMF溶液をMDAPにより精製した。適切な画分を合わせ、溶媒を真空下で蒸発させて、生成物を白色固体(76mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.82分、[MH]
+= 432。
【0251】
実施例11:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピラジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0252】
【化52】
(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピラジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体10を参照、72mg、0.197mmol)を、DMF(0.7mL)及びHATU(82mg、0.217mmol)中にとり、その後DIPEA(0.069mL、0.394mmol)を添加した。反応混合物を5分間撹拌し、次いで塩化アンモニウム(21.08mg、0.394mmol)を添加し、反応を室温で4時間まで撹拌した。反応混合物を直接バイアルに添加し、フラスコを2部分のMeOH/DMSO(1:1、0.2mL)で洗浄した。バイアルをMDAPにより直接精製した。適切な画分を回収し、真空中で濃縮して、生成物をクリーム色固体(32mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.70分、[MH]
+= 365。
【0253】
実施例12:(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピラジン-2-イル)アミノ)-N-エチル-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0254】
【化53】
(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピラジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体10を参照、120mg、0.328mmol)を、DMF(1.4mL)及びHATU(137mg、0.361mmol)中にとり、その後DIPEA(0.115mL、0.657mmol)を添加した。反応混合物を5分間撹拌し、次いでエタンアミン(THF中2M)(0.328mL、0.657mmol)を添加し、反応を室温で2.5時間まで撹拌した。反応混合物を直接2つのバイアルに添加し、フラスコを2部分のMeOH/DMSO(1:1、0.2mL)で洗浄した。バイアルをMDAPにより直接精製した。適切な画分を回収し、真空中で濃縮して、生成物をクリーム色固体(58mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.80分、[MH]
+= 393。
【0255】
実施例13:(2S,3R,4R)-1-アセチル-N-エチル-4-((5-フルオロピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0256】
【化54】
(2S,3R,4R)-1-アセチル-4-((5-フルオロピリジン-2-イル)アミノ)-2,3-ジメチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体12を参照、30mg、0.084mmol)を、DMF(0.7mL)及びHATU(35.1mg、0.092mmol)中にとり、その後DIPEA(0.029mL、0.168mmol)を添加した。反応混合物を5分間撹拌し、次いで エタンアミン(THF中2M)(0.084mL、0.168mmol)を添加し、反応を室温で1時間まで撹拌した。反応混合物を直接バイアルに添加し、フラスコを2部分のMeOH/DMSO(1:1、0.2mL)で洗浄した。バイアルをMDAPにより直接精製した。適切な画分を回収し、真空中で濃縮して、生成物をクリーム色固体(16mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.71分、[MH]
+ = 385。
【0257】
実施例14:(2S,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0258】
【化55】
過酸化水素(0.12mL、H
2O中35重量%、1.40mmol)を、(2S,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボニトリル(調製については中間体15を参照、240mg、0.702mmol)及び炭酸カリウム(388mg、2.81mmol)のDMSO(5mL)中撹拌懸濁液に、室温においてN
2下で、30秒間かけて滴下添加した。得られた懸濁液を、室温で2時間撹拌した。EtOAc(10mL)及びH
2O(10mL)を添加した。分離した水相を、EtOAc(2 x 10mL)で抽出し、合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、減圧下で蒸発させて淡黄色油状物を得た。試料をDCMに添加し、0〜100% EtOAc/シクロヘキサンの勾配、その後0〜10% EtOH/EtOAcの勾配を使用するカラムクロマトグラフィー(25gシリカ)により精製した。適切な画分を合わせ、真空下で蒸発させて、生成物を白色固体(150mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.71分、[MH]
+= 360
1H NMR (400 MHz, d
6-DMSO) δ ppm 8.39 (br.s, 2H), 7.95 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.80 (dd, J = 8, 2 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.41 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.29 (br.s, 1H), 4.82 (ddd, J = 12, 8, 4 Hz, 1H), 4.71 - 4.65 (m, 1H), 2.57 - 2.53 (m, 1H), 2.11 (s, 3H), 1.38 (td, J = 13, 9 Hz, 1H), 1.08 (d, J = 6 Hz, 3H)。エナンチオマー過剰率(>99% ee)を、キラルHPLC分析(25cmキラルセルADカラム、40%EtOH/ヘプタン、1mL/分、波長215nm、室温、保持時間 = 6.845分)により決定した。
【0259】
実施例15:(2S,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-N-エチル-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0260】
【化56】
HATU(246mg、0.646mmol)を、(2S,4R)-1-アセチル-4-((5-クロロピリミジン-2-イル)アミノ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体19を参照、212mg、0.588mmol)及びDIPEA(0.205mL、1.175mmol)のDMF(5mL)中撹拌溶液に、室温においてN
2下で、1回で添加した。室温で10分間撹拌した後、エチルアミン(0.59mL、THF中2M、1.18mmol)を30秒間かけて滴下添加した。得られた溶液を、室温で16時間撹拌した。EtOAc(10mL)及びH
2O(10mL)を添加した。分離した水相を、EtOAc(2 x 10mL)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、減圧下で蒸発させて淡黄色油状物を得た。試料をDCMに添加し、0〜100% EtOAc/シクロヘキサンの勾配を使用するカラムクロマトグラフィー(25gシリカ)により精製した。適切な画分を合わせ、真空下で蒸発させて黄色油状物を得た。油状物を1:1 MeOH:DMSO(3mL)に溶解し、MDAPにより精製した。溶媒を真空下で蒸発させて、生成物を白色固体(67mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.83分、[MH]
+ = 388。
【0261】
実施例16:(2S,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-N-エチル-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボキサミド
【0262】
【化57】
HATU(266mg、0.700mmol)を、(2S,4R)-1-アセチル-4-((5-シアノピリジン-2-イル)アミノ)-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-6-カルボン酸(調製については中間体22を参照、223mg、0.636mmol)及びDIPEA(0.222mL、1.273mmol)のDMF(5mL)中撹拌溶液に、室温においてN
2下で、1回で添加した。室温で10分間撹拌した後、エチルアミン(0.64mL、THF中2M、1.27mmol)を30秒間かけて滴下添加した。得られた溶液を室温で16時間撹拌した。EtOAc(10mL)及びH
2O(10mL)を添加した。分離した水相を、EtOAc(2 x 10mL)で抽出した。合わせた有機相を疎水性フリットに通過させ、減圧下で蒸発させて淡黄色油状物を得た。油状物を1:1 MeOH:DMSO(3mL)に溶解し、MDAPにより精製した。溶媒を真空下で蒸発させて、生成物を白色固体(106mg)として得た。LCMS(2分、ギ酸):Rt = 0.77分、[MH]
+ = 378。
【0263】
生物学的試験法
式(I)〜(XVI)の化合物を、以下のアッセイ法の1つ以上で試験することができる:
【0264】
時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR-FRET)アッセイ
結合を、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動結合アッセイを使用して評価した。このアッセイは、タンパク質のN-末端の6His精製タグを、ドナーフルオロフォアとして作用するタンパク質へのユーロピウムの結合を可能にするユーロピウムキレ-ト(PerkinElmer AD0111)で標識された抗-6His抗体に関するエピトープとして利用する。ブロモドメインBRD2、BRD3、BRD4及びBRDTの小分子高親和性結合剤を、Alexa Fluor647(参照化合物X)で標識し、これは、FRET対でアクセプターとして作用する。
【0265】
参照化合物X:4-((Z)-3-(6-((5-(2-((4S)-6-(4-クロロフェニル)-8-メトキシ-1-メチル-4H-ベンゾ[f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-4-イル)アセトアミド)ペンチル)アミノ)-6-オキソヘキシル)-2-((2E,4E)-5-(3,3-ジメチル-5-スルホ-1-(4-スルホブチル)-3H-インドール-1-イウム-2-イル)ペンタ-2,4-ジエン-1-イリデン)-3-メチル-5-スルホインドリン-1-イル)ブタン-1-スルホネート)
【0266】
【化58】
N-(5-アミノペンチル)-2-((4S)-6-(4-クロロフェニル)-8-メトキシ-1-メチル-4H-ベンゾ[f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-4-イル)アセトアミド(調製については、参照化合物J、WO2011/054848A1を参照、1.7mg、3.53μmol)のDMF(40μl)中溶液に、同様にDMF(100μl)中のAlexaFluor 647-ONSu(2.16mg、1.966μmol)の溶液を添加した。混合物を、DIPEA(1μl、5.73μmol)で塩基性とし、ボルテックスミキサー上で一晩撹拌した。反応混合物を蒸発乾固させた。固体をアセトニトリル/水/酢酸(5/4/1、<1ml)中に溶解し、濾過し、Phenomenex Jupiter C18分取カラムに適用し、以下の勾配(A=0.1%トリフルオロ酢酸/水、B=0.1%TFA/90%アセトニトリル/10%水)、流速=10ml/分、AU=20/10(214nm)で溶離した:
5〜35%、t=0分:B=5%、t=10分:B=5%、t=100分:B=35%、t=115分:B=100%(分離勾配:0.33%/分)。
【0267】
主要成分を、B=26〜28%の範囲にわたって溶離したが、2つのピークからなるように見えた。「双方」の成分を含むはずの中間画分(F1.26)を、分析HPLC(Spherisorb ODS2、60分にわたって1〜35%)で分析した。B=28%で単一成分が溶離した。画分F1.25/26及び27を合わせ、蒸発乾固させた。DMFで移送し、蒸発乾固させ、乾燥エ-テルで粉砕し、青色固体を<0.2mbarで一晩乾燥して1.54mgを得た。
【0268】
分析HPLC(Spherisorb ODS2、60分にわたってB=1〜35%):MSM10520-1:[M+H]
+(実測値):661.8/M-29に対応。これは、M-29である1320.984の計算質量に対して[(M
+2H)/2]
+に等しい。これは、Alexa Fluor 647色素での標準的な出現であり、質量分光計の条件下での2つのメチレン基の理論的喪失に相当する。
【0269】
アッセイ原理:
競合化合物の不在下で、ユーロピウムを励起すると、ドナーはλ=618nmで発光し、この発光はAlexaで標識されたブロモドメイン結合化合物を励起し、λ=647nMで測定可能なエネルギー移動の増加につながる。これらのタンパク質に結合できる十分な濃度の化合物の存在下では、相互作用が妨害され、蛍光共鳴エネルギー移動の定量可能な降下につながる。
【0270】
式(I)〜(XVI)の化合物のブロモドメインBRD2、BRD3、BRD4及びBRDTへの結合は、ブロモドメイン上の結合ドメイン1(BD1)又は結合ドメイン2(BD2)のいずれかへの特異的結合を検出するための突然変異タンパク質を使用して評価した。アセチルリシン結合ポケットにおけるこれらの単一残基変異は、その突然変異ドメインに対する蛍光リガンド(参照化合物X)の親和性を著しく低下させる(非突然変異ドメインに対する選択性の1000分の1未満)。したがって、最終アッセイ条件において、蛍光リガンドの突然変異ドメインへの結合を検出できず、結果として、アッセイは、単一の非突然変異ブロモドメインへの化合物の結合を判定するのに適している。
【0271】
タンパク質産生:
組換えヒトブロモドメイン[(BRD2(1〜473)(Y113A)及び(Y386A)、BRD3(1〜435)(Y73A)及び(Y348A)、BRD4(1〜477)(Y97A)及び(Y390A)、並びにBRDT(1〜397)(Y66A)及び(Y309A)]を、N-末端に6-Hisタグを付けて大腸菌(E.coli)細胞中で(BRD2/3/4についてはpET15bベクタ-中、BRDTについてはpET28aベクタ-中で)発現させた。His-タグ化ブロモドメインのペレットを、50mM HEPES(pH7.5)、300mM NaCl、10mMイミダゾール、及び1μl/mlのプロテアーゼ阻害剤カクテルに再懸濁させ、超音波処理を使用して大腸菌細胞から抽出し、ニッケルセファロース高速カラムを使用して精製し、タンパク質を洗浄し、その後、緩衝液(50mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、500mMイミダゾール)による、0〜500mMイミダゾールの20カラム体積にわたる直線勾配で溶離した。最終精製を、Superdex 200分取級サイズ排除カラムにより完了した。精製タンパク質を、20mM HEPES(pH7.5)及び100mM NaCl中、-80℃で保存した。タンパク質同一性は、ペプチド質量フィンガープリンティング及び質量分析で確認された予測分子量により確認された。
【0272】
ブロモドメインBRD2、3、4及びT、BD1+BD2突然変異アッセイのためのプロトコル:
全アッセイ成分を、50mM HEPES(pH7.4)、50mM NaCl、5%グリセロール、1mM DTT及び1mM CHAPSからなる緩衝組成物中に溶解した。ブロモドメインタンパク質の最終濃度は10nMであり、Alexa Fluor647リガンドはKdであった。これらの成分を予め混合し、この反応混合物の5μlを、Greiner社製384ウェル黒色低容積マイクロタイタープレート中の、50nlの様々な濃度の試験化合物又はDMSOビヒクル(最終濃度0.5%DMSO)を含む全ウェルに添加し、暗中室温で30分間インキュベートした。1.5nM最終濃度の抗-6Hisユーロピウムキレートを含む5μlの検出混合物を全ウェルに添加し、少なくとも30分間のさらなる暗インキュベーションを行った。次いで、プレートを、Envision社製プレートリーダーで読み取った(λex=317nm、ドナーλem=615nm、アクセプターλem=665nm、二色性LANCEデュアル)。時間分解蛍光強度測定は両方の発光波長で行い、アクセプター/ドナー比を計算し、データ分析に使用した。全データを、各プレート上の16の高い(阻害剤対照-WO2011/054846A1の実施例11)ウェルと16の低い(DMSO)対照ウェルの平均値に対して正規化した。次いで、以下の形態の4パラメータ曲線適合を適用した。
Y=a+((b-a)/(1+(10^×/10^c)^d)
(式中、「a」は最小値であり、「b」はHill勾配であり、「c」はpIC
50であり、「d」は最大値である)。
【0273】
実施例1〜16の全てを、上記のBRD4アッセイにおいて試験し、BRD4 BD1アッセイにおいて5.9〜7.1の範囲内のpIC
50を有することが、またBRD4 BD2アッセイにおいて6.8〜7.6の範囲内のpIC
50を有することが見出された。
【0274】
全血からの、MCP-1のLPS誘導性分泌の測定
toll様受容体のアゴニスト(例えば細菌リポ多糖(LPS))による単核球細胞の活性化は、MCP-1などの主要な炎症メディエーターの産生をもたらす。このような経路は、様々な自己免疫疾患及び炎症性疾患の病態生理の中心であると広く考えられている。
【0275】
血液は、ヘパリンナトリウム(Leo Pharmaceuticals社)(10単位のヘパリン/血液1ml)を含むチューブ中に回収される。100%DMSO中1μl試験試料を含む96ウェル化合物プレートを調製した(ドナー変動性により2複製)。130μlの全血を、96ウェル化合物プレートの各ウェルに分注し、37℃、5%CO
2で30分間インキュベートした。PBS中で作製した10μlのリポ多糖(最終アッセイ濃度200ng/mL)を、化合物プレートの各ウェルに添加した。次いで、プレートに蓋をし、加湿した初代細胞インキュベータ中に、37℃、5%CO
2で18〜24時間置いた。140μlのPBSを、血液を含む化合物プレートの全ウェルに添加した。その後、プレートを密封し、2500rpmで10分間遠心分離した。20μlの細胞上清を、ヒトMCP-1捕捉抗体で予めコーティングした96ウェルMSDプレートに入れた。プレートを密封し、600rpmのシェーカー上に2時間(室温)置いた。MSD SULFO-TAG(商標)試薬で標識した20μlの抗ヒトMCP-1抗体を、MSDプレートの各ウェルに添加する(50Xストックを希釈剤100で1:50希釈した。最終アッセイ濃度は1μg/mL)。次いで、プレートを再密封し、さらに1時振盪した後、PBSで洗浄した。次いで、150μlの2X MSDリードバッファーT(4XストックのMSDリードバッファーTを脱イオン水で50:50希釈した)を各ウェルに添加し、プレートをMSD Sector Imager 6000上で読み取った。各化合物についての濃度応答曲線をデータから生成し、IC
50値を計算した。
【0276】
実施例1〜16の全てを、上記のアッセイにおいて試験し、6.2〜7.8の範囲内のpIC
50を有することが見出された。
【0277】
これらのデータは、上記の全血アッセイにおいて試験したブロモドメイン阻害剤が、主要な炎症メディエーターMCP-1の産生を阻害したことを示す。
【0278】
全血からの、IL-6のLPS誘導性分泌の測定
全血における、toll様受容体のアゴニスト(例えば細菌リポ多糖(LPS))による主に単核球細胞の活性化は、IL-6などの主要な炎症メディエーターの産生をもたらす。このような経路は、様々な自己免疫疾患及び炎症性疾患の病態生理の中心であると広く考えられている。
【0279】
2人のドナーに由来するヒト全血(n=2)を、抗血液凝固剤としてのヘパリンナトリウム(Wockhardt社カタログ番号FP1712)(ヘパリン10単位/血液1ml)を用いて回収する。化合物を[10mM]DMSOストックとして調製し、その後、最高開始濃度が[1.4mM]であり、続いてDMSO中8x3倍希釈液となるように希釈した。全化合物について、最終アッセイ濃度は[10μm]で開始する。96ウェルU底プレート中1ウェル当たり1μL 希釈化合物を添加した。1μL DMSOのみをカラム10に添加し(+ve対照)、1-((2S,4R)-2-メチル-4-(フェニルアミノ)-6-(4-(ピペリジン-1-イルメチル)フェニル)-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)エタノン(調製については化合物28、J. Med. Chem. 2014, 57, 8111-8131を参照、1μL、1.4mM)をカラム11に添加した(-ve対照)。130μlの全血を、96ウェル化合物プレートの各ウェルに分注し、37℃、5%CO
2で30分間インキュベートした。RPMI1640中で作製した10μlのLPS(チフス菌、Sigma社カタログ番号L6386)(最終アッセイ濃度[200ng/mL])を、各ウェルに添加した(+veカラム及び-veカラムを含む)。プレートを短時間振盪し、その後37℃、5%CO
2で一晩(22〜24時間)インキュベートした。翌日、140μlのPBSを各ウェルに添加し、プレートを密封し、600rpmで5分間振盪し、その後x1350g(2500rpm)で10分間遠心分離した。分析のため、100μlの血漿を注意深く取り出した。分析前に、IL-6を、MSD標準曲線の範囲内に適合させるため、PBS中で10倍希釈した。25μlの細胞上清を、ヒトIL-6捕捉抗体で予めコ-ティングした96ウェルMSDプレートに入れた。プレートを密封し、600rpmのシェーカー上に1.5時間(室温)置いた。MSD SULFO-TAG(商標)試薬で標識した25μlの抗ヒトIL-6抗体を、MSDプレートの各ウェルに添加する(50Xストックを希釈剤100で1:50希釈した、最終アッセイ濃度は[1μg/mL])。次いで、プレートを再密封し、さらに1時間振盪し、その後PBS/Tween20[0.05%]で3x洗浄した。次いで、150μlの2X MSDリードバッファーT(4Xストック MSDリードバッファーTを脱イオン水で50:50希釈した)を各ウェルに添加し、プレートをMSD Sector Imager 6000上で読み取った。内部XC
50分析を用いて各化合物についての濃度応答曲線をデータから生成し、IC
50値を計算した。
【0280】
上記のアッセイにおいて実施例14の化合物を試験し、pIC
50:6.7を有することが見出された(n=6)。
【0281】
全血からの、TNFαのLPS誘導性分泌の測定
全血における、toll様受容体のアゴニスト(例えば細菌リポ多糖(LPS))による主に単核球細胞の活性化は、TNFαなどの主要な炎症メディエーターの産生をもたらす。このような経路は、様々な自己免疫疾患及び炎症性疾患の病態生理の中心であると広く考えられている。
【0282】
2人のドナーに由来するヒト全血(n=2)を、抗血液凝固剤としてのヘパリンナトリウム(Wockhardt社カタログ番号FP1712)(ヘパリン10単位/血液1ml)を用いて回収する。化合物を[10mM]DMSOストックとして調製し、その後、最高開始濃度が[1.4mM]であり、続いてDMSO中8x3倍希釈液となるように希釈した。全化合物について、最終アッセイ濃度は[10μm]で開始する。96ウェルU底プレート中1ウェル当たり1μL 希釈化合物を添加した。1μL DMSOのみをカラム10に添加し(+ve対照)、1-((2S,4R)-2-メチル-4-(フェニルアミノ)-6-(4-(ピペリジン-1-イルメチル)フェニル)-3,4-ジヒドロキノリン-1(2H)-イル)エタノン(調製については化合物28、J. Med. Chem. 2014, 57, 8111-8131を参照、1μL、1.4mM)をカラム11に添加した(-ve対照)。130μlの全血を、96ウェル化合物プレートの各ウェルに分注し、37℃、5%CO
2で30分間インキュベートした。RPMI1640中で作製した10μlのLPS(チフス菌、Sigma社カタログ番号L6386)(最終アッセイ濃度[200ng/mL])を各ウェルに添加した(+veカラム及び-veカラムを含む)。プレートを短時間振盪し、その後37℃、5%CO
2で一晩(22〜24時間)インキュベートした。翌日、140μlのPBSを各ウェルに添加し、プレートを密封し、600rpmで5分間振盪し、その後x1350g(2500rpm)で10分間遠心分離した。分析のため、100μlの血漿を注意深く取り出した。TNFαの分析は、MSD標準曲線の範囲内に適合させるため、純血漿を用いて行った。25μlの細胞上清を、ヒトTNFα捕捉抗体で予めコ-ティングした96ウェルMSDプレートに入れた。プレートを密封し、600rpmのシェーカー上に1.5時間(室温)置いた。MSD SULFO-TAG(商標)試薬で標識した25μlの抗TNFα抗体を、MSDプレートの各ウェルに添加する(50Xストックを希釈剤100で1:50希釈した、最終アッセイ濃度は[1μg/mL])。次いで、プレートを再密封し、さらに1時間振盪し、その後PBS/Tween20[0.05%]で3x洗浄した。次いで、150μlの2X MSDリードバッファーT(4Xストック MSDリードバッファーTを脱イオン水で50:50希釈した)を各ウェルに添加し、プレートをMSD Sector Imager 6000上で読み取った。内部XC
50分析を用いて各化合物についての濃度応答曲線をデータから生成し、IC
50値を計算した。
【0283】
上記のアッセイにおいて実施例14の化合物を試験し、pIC
50:7.2を有することが見出された(n=4)。
【0284】
リポ多糖(LPS)誘導性インターロイキン-6(IL-6)産生マウスアッセイ
上記化合物を、マウスにおいてリポ多糖(LPS)誘導性インターロイキン-6(IL-6)産生を阻害する能力についてアッセイした。雄のCD1マウス(Charles River Laboratories社、1群当たり5匹)が、化合物(1%(w/v)メチルセルロース中、水性400)の経口投与の1時間後に、LPS(100μg/kg、L3192大腸菌0127株:B8)の静脈内曝露を受けた。連続血液試料を、経口薬物投与後4時間までに尾静脈を介して、又は経口薬物投与後6時間で心臓穿刺を介して回収し(末端試料)、この血液試料から回収した血清を-80℃で凍結した。分析の当日、血清を室温に解凍し、IL-6のレベルを、Meso Scale Discovery社(MSD、メリーランド州ゲイザーズバーグ)製の単一スポットサイトカインアッセイプレート(K152QXD)を用いて測定した。IL-6のレベルを、製造者のプロトコル(MSD)に従って検出し、Sector Imager 6000(MSD)上で読み取った。平均IL-6 Cmax及びAUC
0-t値を、WinNonlin Phoenix バ-ジョン6.3を用いて生成し、化合物による処置後の平均パ-セントCmax及びAUC
0-tIL-6低下を、対応するビヒクル処置群と比較して計算した。有意性のレベルを、GraphPad Prismバージョン5.04(Graphpad Software社、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いた分散分析(ANOVA)、それに続くDunnettの多重比較t検定によって計算した。統計的有意差を、*P<0.05、**P<0.01と決定した。結果は表1に示される。
【0285】
【表4】
【0286】
これらのデータは、上記のインビボアッセイにおいて試験した化合物が、急性曝露後にIL-6産生を阻害し、従って、炎症性疾患又は状態の治療において有用であることを示す。
【0287】
トリニトロフェノール-キーホールリンペットヘモシアニン(TNP-KLH)誘導性免疫グロブリン-1(IgG1)産生マウスアッセイ
上記化合物を、マウスにおいてトリニトロフェノール-キーホールリンペットヘモシアニン(TNP-KLH)誘導性免疫グロブリン-1(IgG1)産生を阻害する能力についてアッセイした。雄のCD1マウス(Charles River Laboratories社、1群当たり8匹)が、14日間の投与期間にわたって、1日1回(QD)、1日おきに1回(QOD)又は72時間毎に1回(QOED)のいずれかに、化合物(1%(w/v)メチルセルロース中、水性400)の単回経口投与を受けた。研究の1日目に、化合物の経口投与の1時間後、各マウスはTNP-KLH(100ug/kg、T-5060-25、ロット番号021562-06)の単一ボーラス腹腔内(ip)投与を受けた。連続血液試料を、1、4、7、9及び11日目に経口化合物投与後1時間で尾静脈を介して、又は14日目に心臓穿刺を介して回収し(末端試料)、この血液試料から回収した血清を-80℃で凍結した。分析の当日、血清を室温に解凍し、IgG1のレベルを、TNP ELISA(自社内で開発した)を用いて測定し、SpectraMax 190分光光度計(Molecular Devices社、カリフォルニア州)上で読み取った。平均IgG1値を生成し、化合物による処置後14日目の平均パーセントIgG1低下を、対応するビヒクル処置群と比較して計算した。有意性のレベルを、GraphPad Prismバージョン5.04(Graphpad Software社、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いた分散分析(ANOVA)、それに続くDunnettの多重比較t検定によって計算した。統計的有意差を***P<0.01と決定した。結果は表2に示される。
【0288】
【表5】
【0289】
これらのデータは、このインビボ慢性炎症モデルにおいて、試験した化合物が、1日1回投与又は間欠投与の両方に好適であり得ることを示す。
【0290】
癌細胞系増殖アッセイ
実施例7及び14の化合物が癌細胞増殖に与える影響を、72時間増殖アッセイにおいて、患者由来のNUT正中線癌腫細胞(11060)、多発性骨髄腫細胞(OPM-2、DSMZ)及び混合型B骨髄単球性白血病細胞(MV-4-11、ATCC)を用いて決定した。11060及びOPM-2細胞は、10%HI-FBS(熱不活性化ウシ胎仔血清、Hyclone社)及び2mM L-グルタミン(Invitrogen社)を添加したRPMI 1640培地(Invitrogen社)中で、37℃及び5%CO
2雰囲気で維持した。MV-4-11細胞は、10% HI-FCS、2mM L-グルタミン、1x 非必須アミノ酸(Invitrogen社)及び1x ピルビン酸ナトリウム(1mM)(Invitrogen社)を添加したIMDM培地中で維持した。ペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen社)を添加した成長培地を用いて、細胞を1.11x10
5細胞/mLに希釈し、90μL/ウェルを、黒い側面を有し底が透明96ウェル組織培養プレート(Corning社)にプレーティングした。細胞を1プレート中で37℃にて一晩インキュベートし、ATPレベルを、CellTiter Gloアッセイ(Promega社)を用いて製造者の使用説明書に従って測定し、ベースライン読み取り値(t=0)を得た。100%DMSO中、6mM〜0.3μmの範囲の化合物の3倍連続希釈液を調製した。DMSO希釈系列を成長培地中で20倍希釈した後、10μlの得られた希釈液を、残りの細胞プレートの適切なウェルに添加した。ウェル中の最終化合物濃度は、0.5%DMSO 中30μm〜1.5nmであった。細胞を化合物と一緒に72時間インキュベートした後、CellTiter Glo(t=72)を用いてATP含有量についてアッセイした。それぞれのt=72時点から得られたCellTiter Gloデータを、関連のt=0時点データに対して正規化し、%t=0として表した。このデータを、GraphPad Prism V5.04ソフトウェアを使用して分析し(シグモイド曲線適合(log(阻害剤)vs.応答-可変勾配(4パラメータ))させて、曲線の最小値を≧100%の値に制限してgpIC
50(成長pIC
50)値を得、他方、pIC
50値は完全曲線適合から得た)、表3に報告した。
【0291】
【表6】
【0292】
これらのデータは、上記のアッセイ中で試験した化合物が、様々な腫瘍細胞系における細胞増殖を阻害し、従って、1種以上の癌の治療において有用であり得ることを示す。
【0293】
マウス異種移植腫瘍アッセイ
200μlの75%マトリゲル中1x10
7個のNMC11060細胞を、各NOD/SCIDマウスに皮下注射した。ビヒクル製剤、1%メチルセルロース(MC)、又は化合物の無作為経口投与を、腫瘍体積が160〜301mm
3に達した日から開始した。その後、腫瘍体積を、播種の21日後まで又は腫瘍体積が約1000mm
3を超えるまで、3日毎に測定した。結果は表4に示される。
【0294】
【表7】
【0295】
これらのデータは、NUT正中線癌腫の治療において使用するための、実施例14の化合物の有用性をさらに示す。
【0296】
本明細書に引用される特許及び特許出願を含むがこれらに限定されない全ての刊行物は、個々の刊行物が具体的且つ個々に、全文を通して参照することによって組み込まれることを示すかのように、参照することによって本明細書に組み込まれる。