特表2017-527404(P2017-527404A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-527404カートリッジ心合せ特徴を備えた薬剤送達装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-527404(P2017-527404A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(54)【発明の名称】カートリッジ心合せ特徴を備えた薬剤送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20170825BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20170825BHJP
【FI】
   A61M5/20
   A61M5/315 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-515055(P2017-515055)
(86)(22)【出願日】2015年9月17日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月9日
(86)【国際出願番号】EP2015071322
(87)【国際公開番号】WO2016042076
(87)【国際公開日】20160324
(31)【優先権主張番号】14185310.1
(32)【優先日】2014年9月18日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ホホルト, イェスパ
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン, ビョルン グーラック
(72)【発明者】
【氏名】リンネビヤー, スティヴェン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066EE06
4C066HH03
4C066HH13
4C066QQ17
4C066QQ92
(57)【要約】
カートリッジを受容するように構成された薬剤送達装置は、或る量の薬剤を受容されたカートリッジから吐出するように構成されたピストンドライバと、カートリッジと係合し、カートリッジをピストンドライバに対して配置するように構成されたベース部材とを備え、ベース部材は、中央通路を備えた主部分を含み、ピストンドライバの一部は、通路の中に軸方向に変位可能に配置され、ピストンドライバ遠位端部は、中央通路の遠位方向に配置されて、可撓性心合せ手段は、カートリッジの近位端部を受容して、カートリッジの近位端部を中央開口に対して、それによってピストンドライバに対して、心合せするように構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 薬剤充填済みカートリッジ(10)を受容して、保持するように構成された区画であって、前記カートリッジが、出口と、概ね円筒形の近位部分と、軸方向に変位可能なピストン(11)とを含む区画と、
− ハウジング(125)と、
− 薬剤吐出手段であって、
− 直接的または間接的に、装填されたカートリッジの前記ピストンと係合して、装填されたカートリッジの前記ピストンを軸方向に動かし、それによって、或る量の薬剤を前記カートリッジから前記出口を通して吐出するように構成された遠位端部(132、332)を備えるピストンドライバ(130、330)、及び、
− 前記ピストンドライバを動かすためのモータアセンブリ(351、352、353、355)を含む、薬剤吐出手段と、
− カートリッジと係合して、前記カートリッジを前記ピストンドライバに対して配置するように構成されたベース部材(160)であって、
− 中央通路(162)を備えた主部分(161)であって、前記ピストンドライバ(130)の一部が、前記通路の中で軸方向に変位可能に配置されており、前記ピストンドライバの遠位端部が、前記中央通路の遠位方向に配置されている、主部分(161)、及び、
− 前記主部分から遠位方向に延び、前記主部分に対して半径方向に移動可能である第1の可撓性心合せ手段(163、164)であって、カートリッジの近位端部を受容し、カートリッジの前記近位端部を中央開口に対して、それによって、前記ピストンドライバに対して、心合せするように構成された第1の可撓性心合せ手段(163、164)を含む、ベース部材(160)とを備える、
薬剤送達装置(100、300)。
【請求項2】
前記第1の可撓性心合せ手段が、いくつかの遠位方向に延びる可撓性アーム(163)を備える、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
前記遠位方向に延びる可撓性アームの少なくとも一部が、前記カートリッジの外面と係合するように構成された、内向きに向いた部分(164)を備える、請求項2に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
前記ベース部材が、
− 前記ハウジングと係合し、前記ベース部材を前記ハウジングに対して心合せするように構成された第2の可撓性心合せ手段(166、167)をさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
前記第2の可撓性心合せ手段が、いくつかの近位方向に延びる可撓性アーム(166)を備える、請求項4に記載の薬剤送達装置。
【請求項6】
前記近位方向に延びる可撓性アームの少なくとも一部が、前記ハウジングと係合するように構成された、外向きに向いた部分(167)を備える、請求項5に記載の薬剤送達装置。
【請求項7】
− 前記ピストンドライバが、内ねじを備える管状ピストン部材(330)の形をしており、
− 前記モータアセンブリが、遠位部分および近位部分を有し、前記遠位部分が、回転可能な駆動シャフト(353)含み、前記管状ピストン部材の内側で受容されるように構成された、
請求項1から6のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項8】
外ねじを有する駆動部材をさらに備え、
− 前記管状ピストン部材(330)が、軸方向に変位可能であるが、前記モータアセンブリに対して回転しないように配置され、
− 前記モータアセンブリの近位部分が、前記ハウジングに連結され、
− 前記駆動シャフト(353)が、前記駆動部材(355)に連結され、
− 前記駆動部材の外ねじが、前記管状ピストン部材の内ねじとねじ係合しており、
それによって、前記駆動シャフトが回転すると、前記管状ピストン部材が前記ハウジングに対して軸方向に、回転せずに変位することになる、請求項7に記載の薬剤送達装置。
【請求項9】
− 前記駆動シャフトが、第1の自在継手(250、357)を介して前記ドライバに連結され、
− 前記モータアセンブリの近位部分が、第2の自在継手(260、358)を介して前記ハウジングに連結される、
請求項8に記載の薬剤送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的には、薬剤充填済みカートリッジを受容し、続いてそれから或る用量を吐出するように構成された電動式薬剤送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示では、主に皮下薬剤送達による糖尿病の治療について述べているが、これは、本発明の例示的な使用法にすぎない。
【0003】
薬剤充填済みカートリッジを受容し、それからの設定用量を吐出するように構成された耐久薬剤送達装置の最も一般的な型は、手動手段によって、または用量設定の間に付勢されるばねによって駆動され、カートリッジは、最初の近位位置を有し、ピストンロッドによって遠位方向に動かされる、軸方向に変位可能なピストンを備える型である。皮下薬剤送達は、カートリッジと流体連通するように配置された注射針を介して行なわれる。装置は、ペン形状またはより箱形の、いわゆるドーザの形をしている場合もある。利便性、ユーザの使い易さを改善し、例えば吐出データの検出および保存などの追加特徴を提供するために、薬剤送達装置には、例えば米国特許第6,514,230号および米国特許出願第2011/306927号に示されるように、典型的には、歯車装置を介してピストンロッドを駆動する電子制御モータの形をした、電気的駆動手段が備えられた。電動式薬剤送達装置のさらなる型は、可搬式注入ポンプを開示するWO2007/118907から知られている。
【0004】
多くの些細なルーチンが自動化され得ることで、電動式薬剤送達装置は、顧客にとってのいくつかの恩恵を促進するものであるが、これらの装置は、多くの場合、従来型の機械的装置と比べるとかなり大きく、したがって、それらは、運搬して保管するのに実用的ではない。この問題に対処するため、WO03/099357は、遠位方向に進められるときに、薬剤カートリッジの中に移動され得る管状本体の形をしたピストンロッドを含む駆動装置を備えるペン形状薬剤送達装置を開示しており、管状本体は、内部中空を画定し、電動式駆動アセンブリの少なくとも一部は、管状本体が、引き込まれた近位位置に置かれているときに配置される。駆動アセンブリに関するこの構成は、「モータ内蔵ピストン」と称される場合がある。このような駆動アセンブリは、内部モータ駆動アセンブリが、静止部分であり、外側管状本体が、動かされる入れ子式部分である入れ子式駆動アセンブリとみなすこともできる。
【0005】
駆動機構の異なる可動構成要素が、管状本体の内部中空内に配置されるとき、管の内側の小空間に適合する頑強で費用効果の高い機構を設計することは、課題であり得る。
【発明の概要】
【0006】
上述の内容を考慮し、例えばモータ内蔵ピストン型の電動式薬剤送達装置、ならびに高度な信頼性を費用効果の良い方法で提供する、そのための構成要素を提供することが、本発明の目的である。
【0007】
本発明の開示では、上記目的の1つまたは複数に取り組む、または下記の開示ならびに例示的実施形態の記載から明らかとなる目的に取り組む実施形態および態様が、記載されている。
【0008】
したがって、本発明の第1の態様によれば、薬剤充填済みカートリッジを受容して、保持するように構成された区画を含む薬剤送達装置が提供され、カートリッジが、出口と、概ね円筒形の近位部分と、軸方向に変位可能なピストンとを含む。装置は、ハウジングと、直接的または間接的に、装填されたカートリッジのピストンと係合して、装填されたカートリッジのピストンを軸方向に動かし、それによって、或る量の薬剤をカートリッジから出口を通して吐出するように構成された遠位端部を備えるピストンドライバ、およびピストンドライバを動かすためのモータアセンブリを含む薬剤吐出手段とをさらに備える。ベース部材が提供されていて、カートリッジと係合して、カートリッジをピストンドライバに対して配置するように構成されており、ベース部材は、中央通路を備えた主部分を含み、ピストンドライバの一部は、通路の中に軸方向に変位可能に配置され、ピストンドライバ遠位端部は、中央通路の遠位方向に配置されている。ベース部材は、主部分から遠位方向に延び、主部分に対して半径方向に移動可能である第1の可撓性心合せ手段をさらに備え、第1の可撓性心合せ手段は、カートリッジの近位端部を受容し、カートリッジの近位端部を中央通路に対して、それによってピストンドライバに対して心合せするように構成されている。
【0009】
第1の可撓性心合せ手段が、中央通路を画定するベース部材部分の一部を形成していないとき、ベース部材が、カートリッジをピストンドライバに対して心合せし、カートリッジからピストン管までの許容差鎖は、それらが、同じ構成要素の中で位置合せされるので、可能な限り短くなり、これにより、より大きな直径のピストンドライバが可能になる。
【0010】
ベース部材は、ハウジングと係合して、ベース部材をハウジングに対して心合せするように構成された第2の可撓性心合せ手段をさらに備えることができる。ベース部材が、ハウジングに対して心合せされるとき、ピストン直径からシャシまでの許容差鎖は、可能な限り短くなる。「ハウジング」という用語は、外側ハウジング、ならびにフレームまたはシャシなどの内部ハウジング構成要素を包括している。
【0011】
ピストンドライバは、内ねじを備える管状ピストン部材の形をしている場合もあり、モータアセンブリは、遠位部分および近位部分を有しており、遠位部分は、回転可能な駆動シャフトを含み、管状ピストン部材の内側で受容されるように構成されている。このような配置によって、モータアセンブリの直径は、可能な限り大きくなり得、それによって、製造費用を削減し、信頼性を改善することができることは利点である。
【0012】
薬剤送達装置は、外ねじを有する駆動部材をさらに備えることができ、管状ピストン部材は、軸方向に変位可能ではあるが、モータアセンブリに対して回転しないように配置され、モータアセンブリ近位部分は、ハウジングに連結され、駆動シャフトは、駆動部材に連結され、駆動部材外ねじが、管状ピストン部材内ねじとねじ係合しており、それによって、駆動シャフトが回転すると、管状ピストン部材がハウジングに対して軸方向に、回転せずに変位することとなる。駆動シャフトは、第1の自在継手を介してドライバに連結されることができ、モータアセンブリ近位部分は、第2の自在継手を介してハウジングに連結されることができる。
【0013】
ピストンドライバは、さらに、伝統的な中実ピストンロッドの形をしている場合もあり、ピストンドライバ用の駆動機構は、取り付けられたカートリッジの外側に配置される。このような設計によって、例えばピストンロッドが金属製であり、カートリッジが、小さい内径を有するときには、本発明は、さらに、信頼性を向上させる。
【0014】
例示的な実施形態では、ピストンドライバ遠位端部は、ピストンに近接するカートリッジ内面と係合するように構成された可撓性心合せ手段を含み、それによって、カートリッジおよびピストンドライバ遠位端部を互いに対して心合せしている。
【0015】
本明細書で使用される場合、「薬剤」という用語は、カニューレまたは中空針などの送達手段を制御された様式で通過することができる、1つまたは複数の薬物製剤を含有する液体、溶液、ゲル、または微細懸濁液などの任意の流動可能な薬配合物を包含するように意図されている。代表的な薬剤は、ペプチド類(例えばインスリン、インスリン含有薬、GLP−1含有薬、ならびにその誘導体)、タンパク質類、およびホルモン類などの製薬、生物学的誘導製剤または活性製剤、ホルモンベース製剤および遺伝子ベース製剤、栄養的配合物、および固体状態(分配された)または液体状態の他の物質を含む。例示的実施形態の説明では、インスリン含有薬剤の使用について述べているが、インスリン含有薬剤には、その類似体ならびに1つまたは複数の他の薬剤との結合物が含まれる。
【0016】
以下、本発明の例示的実施形態を、図面を参照しながらさらに説明してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】薬剤送達装置の実施形態を概略的に示す図である。
図2】薬剤送達装置プラットフォームの実施形態をより詳細に示す図である。
図3】薬剤送達装置プラットフォームの実施形態をより詳細に示す図である。
図4】心合せ手段を備えたベース部材の実施形態を概略的に示す図である。
図5】心合せ手段を備えたピストンヘッドの実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図中、類似の構造は、主として、類似の参照番号で識別されている。
【0019】
以下において、「上の」および「下の」、「右の」および「左の」、「水平の」および「垂直の」、または類似の関連表現などの用語が使用される場合、これらの用語は、添付の図について述べているにすぎず、必ずしも実際の使用状況について述べているわけではない。示している図は、概略図であり、この理由により、異なる構造物の構成ならびにその関連寸法は、例証目的を果たしているにすぎない。部材または要素という用語が、所与の構成要素に用いられる場合、一般的に、その用語は、記載している実施形態において、構成要素が、単一構成要素であることを表しているが、同じ部材または要素は、記載されている構成要素の2つ以上が、例えば単一の射出成形部品として製造された単一構成要素として提供されることができるように、代わりに、いくつかの下位構成要素を含んでいる場合がある。「アセンブリ」という用語は、記載されている構成要素は、所与の組立手順の間に単一のアセンブリまたは機能的なアセンブリを提供するために組み立てられることが必ずできるという意味を含んでなく、機能的により密接に関連しているとグループ化された構成要素を記載するために使用されているにすぎない。
【0020】
本発明の例示的実施形態の詳細な説明を始める前に、入れ子式、モータ内蔵ピストン型駆動アセンブリを備えた薬剤送達装置の概略図を、このような配置の一般的な動作原理の理解がより進むために説明する。
【0021】
より具体的には、図1は、遠位に配置されたカートリッジ保持手段211を用いて、薬剤充填済みの概ね円筒形のカートリッジ202を受容して、保持するように構成された前面装填式区画部分210と、入れ子式、モータ内蔵ピストン型駆動アセンブリ220、240が配置される主部分230と、装填されたカートリッジ上に付勢遠位方向力を提供する付勢アセンブリ255とを備える例示的な薬剤送達装置200を概略的に示す。2つの構成要素として示されているが、区画部分および主部分は、しっかりと相互に連結されている、または装置の他の構成要素のためのシャシまたはプラットフォームを提供する単一構成要素として形成される。
【0022】
駆動アセンブリは、内ねじを備えた外側ピストン駆動管220と、遠位部分および近位部分を有するモータ歯車アセンブリ240とを備え、遠位部分は、z軸を画定し、ピストン駆動管内ねじと係合している外ねじを含む駆動部材241が取り付けられる回転可能駆動シャフトを含む。モータ歯車アセンブリは、軸方向に変位可能ではなく、シャシに対して回転しないように配置され、駆動部材は、軸方向に変位可能ではなく、駆動シャフト上で回転しないように取り付けられ、ピストン駆動管は、軸方向に変位可能であるが、シャシに対して、したがってモータアセンブリに対しても回転しないように配置され、それによって、駆動シャフトが回転すると、ピストン駆動管がシャシに対して軸方向に、回転せずに変位することとなり、ピストン駆動管は、直接的または間接的に、装填されたカートリッジのピストンに係合し、装填されたカートリッジのピストンを軸方向において遠位向きに動かし、それによって、薬をカートリッジから吐出するように構成されている。示している実施形態では、ピストン駆動管は、装填されたカートリッジ202のピストン205に係合するように構成された遠位駆動ヘッド222を備えている。
【0023】
図1の示している実施形態には、構成要素の間の追加的な自由度を許容するための選択的な運動学的継手が設けられている。より具体的には、駆動シャフトは、第1の撓み継手250を介して駆動部材に連結され、モータ歯車アセンブリ近位部分は、第2の撓み継手260を介してシャシに連結されており、撓み継手は、連結された構成要素の間の回転係止を提供するように設計されており、さらに、構成要素が、相互に対して曲がるまたは撓むことを可能にしている。
【0024】
次に、図2を参照しながら、本発明の実施形態用のプラットフォームとして適切なモータ内蔵ピストン型薬剤送達装置300を説明する。より具体的には、装置は、キャップ部分(図示せず)と、薬剤吐出機構および関連電子機器370が配置されるハウジング321を備えた、近位本体または駆動アセンブリ部320と、薬充填済み透明カートリッジ10が、配置されて、適所に保持される区画を形成している遠位カートリッジホルダアセンブリ310とを有する主要部分とを備え、カートリッジホルダアセンブリは、一対の対向する点検開口311を含む。ハウジングは、LCDならびにユーザ入力キーが取り付けられる表示枠部材(図示せず)を受容するように構成された開口322を備える。枠部材を除去した状態では、装置は、概ね管状のシャシ部材325を備えていることが分り、シャシ部材325の中には、概ね円筒形の吐出アセンブリが、取り付けられる(下記参照)。装置は、制御アセンブリ370と、付勢部材360およびばね365を含む付勢アセンブリと、近位解除ボタン343とをさらに備える。一対の用量設定入力キー(図示せず)は、LCDに示され、次いで、解除ボタン343が作動されたときに、吐出されることができる薬剤の所望容量を手動で設定するのに役立つ。装置は、ユーザが、新しいカートリッジをカートリッジホルダアセンブリの遠位受容開口を通して装填するように設計されている。
【0025】
カートリッジ10は、円筒形本体部分と、遠位針貫通可能隔壁を備えた遠位出口部分12と、吐出機構(下記参照)のピストンドライバ形成部分が、ピストンに係合することを可能にする近位表面を有する、軸方向に変位可能なピストンとを備える。カートリッジは、例えばインスリン、GLP−1、または成長ホルモン製剤を収納することができる。カートリッジは、示している例では、組み合わされたねじおよびバヨネット結合手段を有する、針ハブ取付台15の形をした遠位結合手段を備えており、それぞれ、針アセンブリの対応するハブの内ねじまたはバヨネット結合手段と係合するように構成されている。示している例示的なハブ取付台は、後で詳しく述べるように、カートリッジホルダアセンブリ用の結合手段として機能するいくつかの遠位方向に面する尖った突起を備えた円周フランジをさらに含む。示している型のハブ取付台は、米国特許第5,693,027号に記載されている。あるいは、針ハブ取付台は、例えば把持肩部の両側部上に配置される2つの部分を有する「分割された」ハブ取付台の形をした、カートリッジホルダの一部として形成されてもよい。
【0026】
図に示すように、カートリッジホルダアセンブリ310は、例えばねじ結合またはバヨネット結合によってハウジングに着脱可能に結合され、新しいカートリッジが、中に受容される、ならびに近位開口を通って除去されることができる、伝統的なカートリッジホルダと同じ一般的な外観を有している、すなわち、ユーザが作動させる解除手段または係止手段を追加的に備えていない。そのかわりに、単にカートリッジホルダ自体に見えるものが、実際には、内側カートリッジホルダ部材317の形をしたカートリッジ保持手段の動きを制御し、それによって、カートリッジを把持および保持するように構成される把持肩部318を開閉するために、ユーザによって作動される外側の回転可能管状作動スリーブ316の形をしたユーザ作動結合手段である。より具体的には、各把持肩部は、複数の間隙を提供するために、円周方向に間隔を置いて配置された複数の把持歯を備えており、各歯は、尖端が近位方向に向いた三角形構成を有していて、それによって、遠位方向に向いた尖った構成を有する複数の間隙を作っており、これにより、上述の、カートリッジ上の遠位方向に向いた尖った突起を歯の間で受容することが可能になり、それによって、カートリッジ保持手段が、動かされて、カートリッジと係合した時に、把持手段として機能する。このようにして伝統的な後面装填式のように見え、さらに、カートリッジを取り付けおよび除去するために回転運動によって作動される、使い易い前面装填式の薬剤送達装置が、提供され、類似していることで、伝統的な型の後面装填式の薬剤送達装置に慣れているユーザの間に、容認され易さ、順応され易さが提供される。
【0027】
新しいカートリッジを取り付けるときには、外側管部材316は、例えば90度回転され、この動きによって、把持肩部318は、遠位方向に、かつわずかに外側に動かされ、これにより、取り付けられたカートリッジを除去することが可能になる。操作し易くするために、カートリッジは、肩部が移動される際に、例えば把持肩部を形成するアームと係合していることにより、および/または付勢して遠位方向に向けられる力(下記参照)を提供する追加的なばね手段により、特定の距離だけ遠位方向に動かすことができる。係止および動作機構の設計によっては、把持肩部は、開位置のままにすることができる、または把持肩部は、外側管部材が、復帰ばね手段によって後方に回転される際に、自動的に引き込まれることができる。ばねが、設けられているいないにかかわらず、カートリッジホルダは、外側管部材を、例えば回転性のスナップ式係止により、開位置または閉位置に確実に留置することを可能にする係止手段を備えていることができる。新しいカートリッジが挿入されるとき、駆動吐出手段は、近位配置ピストンを備えた新しいカートリッジを挿入することができる状態でなければならない。この機能性を提供する例示的な実施形態を、この後説明する。
【0028】
図3を参照すると、カートリッジ10が取り付けられていて、ピストン管330(下記参照)が完全に引き込まれた位置にある、図2の薬剤送達装置300の断面図が、示されている。より具体的には、作動スリーブ316は、操作位置に回転されていて、カートリッジホルダ把持肩部318は、閉位置まで引き込まれており、それによって、カートリッジを完全挿入位置まで引き込んでおり、それによって、さらに、付勢部材360をばね365の付勢に逆らって近位方向に移動させている。示している実施形態では、これによって、カートリッジスイッチ375が、作動されており、これにより、2つの動作、すなわち(i)カートリッジが、挿入された、および(ii)カートリッジホルダが、閉じられたことが行なわれたとみなすことができるという信号を装置制御装置に提供し、これにより、駆動ヘッドは、カートリッジピストンと接触するように遠位方向に移動されることが開始される。示している実施形態では、駆動ヘッドとピストンとの接触の検出は、駆動ヘッドに配置された電子センサ手段によって、例えばWO2013/144152に開示されるように、力感知または近接度検出を用いて、検出されると考えられる。
【0029】
図3はさらに、吐出アセンブリをより詳細に示す。より具体的には、吐出アセンブリは、軸方向に取り付けられ、シャシの近位端部に回転可能に係止された内部モータおよび歯車ボックス駆動アセンブリと、装填されたカートリッジのピストン11に係合するように構成された遠位駆動ヘッド332を備えた外側の軸方向に変位可能なピストン管330とを含む、モータ内蔵ピストンアセンブリの形をしており、ピストン管は、回転しないようにシャシの対応するガイド手段と係合するように構成された、いくつかのガイド突起を含む。
【0030】
モータ歯車駆動アセンブリは、近位モータアセンブリ351と、回転のz軸を画定している回転可能駆動シャフト353を有する遠位歯車ボックスアセンブリ352とで構成される管状主部分を含む。アセンブリは、ピストン駆動管内ねじと係合して配置されるように構成された外ねじを有する遠位円筒形駆動部材355をさらに備える。近位端部には、ディスク形成シャシ連結具356が、配置される。示している実施形態では、駆動アセンブリは、駆動シャフトと駆動部材との間に配置された遠位自在継手357と、モータアセンブリ近位部分とシャシ管近位部分との間に配置された近位自在継手358との形をした撓み継手を備えている。対応する駆動アセンブリは、特許出願EP14166859.0に、より詳細に記載されており、同出願を本明細書に援用する。
【0031】
いくつかのさらなる詳細を、図3に見ることができる。解除ボタン343は、近位方向に向けられた付勢力をボタン上に提供するばねを備えたハウジング近位開口で受容される。複数の導体を備えた可撓性リボン376は、電子装置部分370とピストンヘッドの中に配置されるセンサ(図示せず)との間にUベンドを配置されており、これにより、ピストン管およびピストンヘッドは、Uベンドが対応して動きながら、軸方向に移動することが可能になる。
【0032】
次に、図4を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。例示的なモータ内蔵ピストン薬剤送達装置についての前述の説明から分るように、ピストン、したがって駆動機構自体に関する限界寸法は、カートリッジの内径である。さらなる論点は、例えばインスリンおよび成長ホルモン用の従来型の薬剤カートリッジは、ガラスから製造されるという事実であり、その理由によって、ピストンが、特に金属製である場合には、例えば床へ落とした後、ガラス製カートリッジと接触する可能性があるということは、回避されなければならず、このことは、ピストン直径が小さいことを必要としている。
【0033】
あらゆる構成要素が所与の許容差を用いて製造されるので、外側ピストン管径に対して選択される実寸法は、あらゆる関連した構成要素に関する許容差を考慮しなければならない。したがって、ピストン管外周とカートリッジ内周との間の総許容差が小さいほど、より大きいピストン管用の外径が、選択され得る。
【0034】
この論点に対処するベース部材が、提供され、ベース部材は、(i)ピストンを案内して心合せする中央開口、および(ii)カートリッジ外周と係合して、カートリッジ外周をピストンに対して心合せする可撓性部分を有しており、このことにより、ピストンとカートリッジとの間の許容差鎖は低減され、より大きな直径のピストンが可能になる。ベース部材は、ベース部材をシャシに対して心合せする追加的な可撓性部分を備えることができる。
【0035】
ベース部材が、カートリッジを心合せしているとき、カートリッジからピストン管までの許容差鎖は、それらが、同じ構成要素の中で位置合せされるので、可能な限り短くなる。ベース部材がシャシに関して心合せされているとき、ピストン直径からシャシまでの許容差鎖は、同様に、可能な限り短くなる。心合せ特徴のそれぞれは、1つだけが必要とされる場合には、単独で実施されることができる。
【0036】
図4は、付勢部材160の形をしたベース部材を備えたモータ内蔵ピストン薬剤送達装置100を概略的部分描写図で示し、薬剤送達装置および付勢部材は、図3の実施形態と同じ一般設計のものである、すなわち、装填されたカートリッジ10のピストン11と係合するように構成された遠位駆動ヘッド132を備えた、軸方向に変位可能なピストン管130、ならびにカートリッジが取り付けられていないときの遠位位置とカートリッジが取り付けられていて、付勢部材によって係合されている近位位置との間で軸方向に可動的な付勢部材160を含んでおり、付勢部材は、装置シャシ(例えば、ハウジング)125と付勢部材との間に配置された巻きばね165によって遠位位置の方に付勢されている。付勢部材160は、ピストンドライバの一部が、軸方向に変位可能に配置されている中央通路162を備えた主部分161を含む。付勢部材は、カートリッジの近位外周を受容してカートリッジの近位外周と摩擦係合し、カートリッジを主部分、したがって中央開口に対して、それによってピストンドライバに対して心合せするように構成された内向きの遠位端部164を備えた、いくつか(ここでは4つ)の遠位方向に延びる可撓性アーム163の形をした第1の可撓性心合せ手段をさらに備える。付勢部材は、装置シャシ125と摺動係合し、付勢部材をハウジングに対して心合せするように構成された外向きの近位端部167を備えた、いくつか(ここでは4つ)の近位方向に延びる可撓性アーム166の形をした第2の可撓性心合せ手段をさらに備える。
【0037】
図3を参照しながら説明したように、ピストン管遠位端部は、ピストン近位表面と係合するおよび/またはピストン近位表面の特性を測定するように構成されたセンサを備えることができる。しかしながら、ピストン表面が、例えばNovo Nordisk A/S社製のPenfill(登録商標)カートリッジのようにリブ19(図5参照)を備えていて、一様に平面的であり得ないときには、所与の測定された特性は、センサが、ピストンと係合している状態、またはピストンに対して相対的に配置されている状態によって、変わる可能性がある。
【0038】
この問題に対処するため、図5は、ピストン11に近接するカートリッジ10内面と横方向に係合するように構成された、いくつか(ここでは4つ)の円周方向に配置された可撓性アーム435の形をした可撓性心合せ手段を備えた遠位ヘッド432を有するピストン管430を開示し、これは、より一様な測定値を提供する。各アームは、ピストン近位表面と周辺部で係合するように構成された遠位端部と、カートリッジ内面と摩擦係合するように構成された近位方向に延びる自由部分とを含む。ピストン管遠位心合せ手段は、図4の上記の付勢部材160と組み合わせて提供され得る。
【0039】
例示的な実施形態についての前述の説明では、記載された機能性を異なる構成要素に提供する異なる構造物および手段が、熟練した読者には本発明の概念が明らかとなる程度に記載してきた。異なる構成要素のための詳細な構造および仕様は、当業者が、本明細書で述べたやり方に沿って実行する通常の設計手順の対象と考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】