(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-527432(P2017-527432A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(54)【発明の名称】加法的プロセスにおいて製造される交換器および/または反応器−交換器
(51)【国際特許分類】
B01J 19/00 20060101AFI20170825BHJP
【FI】
B01J19/00 321
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-500867(P2017-500867)
(86)(22)【出願日】2015年6月30日
(85)【翻訳文提出日】2017年2月22日
(86)【国際出願番号】FR2015051784
(87)【国際公開番号】WO2016005676
(87)【国際公開日】20160114
(31)【優先権主張番号】1456623
(32)【優先日】2014年7月9日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・デル−ガロ
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ・デュベ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・プロスト
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ワーグナー
(72)【発明者】
【氏名】マチウ・フリン
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075AA39
4G075AA45
4G075AA56
4G075BA10
4G075CA54
4G075DA02
4G075EB50
4G075EE21
4G075FA12
4G075FB02
(57)【要約】
開示されるのは、反応器−交換器または交換器であって、少なくとも3つのレベルを含み、3つのレベルのそれぞれが、熱交換を促進するミリメートルチャネルを備える少なくとも1つの領域と、ミリメートルチャネルを備える領域の上流および/または下流の少なくとも1つの分配領域とを含む、反応器−交換器または交換器において、様々なレベル間に取付け界面を有しないユニットであることを特徴とする、反応器−交換器または交換器である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換器−反応器または交換器であって、少なくとも3つのステージであって、各ステージにおいて、熱の交換を促す少なくとも1つのミリメートル規模のチャネルゾーンと、前記ミリメートル規模のチャネルゾーンの上流および/または下流の少なくとも1つの分配ゾーンとを備える少なくとも3つのステージを含む、交換器−反応器または交換器において、前記様々なステージ間に組立品界面を有しない構成要素であることを特徴とする、交換器−反応器または交換器。
【請求項2】
ミリメートル規模のチャネルの断面の形状が円形であることを特徴とする、請求項1に記載の交換器−反応器または交換器。
【請求項3】
触媒交換器−反応器であり、かつ
− 少なくとも分配ゾーンを含む少なくとも第1のステージと、
− 触媒反応に必要な熱のうちのいくらかを供給するように、少なくとも700℃を超える温度で気体流を循環させるための少なくともミリメートル規模のチャネルゾーンと、
− 少なくとも第2のステージであって、少なくとも分配ゾーンと、前記気体流に反応を起こさせるために、気体流試薬を、触媒で覆われたミリメートル規模のチャネルの縦方向に循環させるための少なくともミリメートル規模のチャネルゾーンとを含む、少なくとも第2のステージと、
− 少なくとも第3のステージであって、少なくとも分配ゾーンと、前記触媒反応に必要な前記熱のうちのいくらかを供給するように、第2のプレートで生成された前記気体流を循環させるための少なくともミリメートル規模のチャネルゾーンとを含む、少なくとも第3のステージと
を含み、前記第2のプレートおよび第3のプレートにおいて、生成された前記気体流が前記第2のプレートから前記第3のプレートへ循環し得るようなシステムを備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の交換器−反応器。
【請求項4】
少なくとも3つのステージであって、各ステージにおいて、熱の交換を促す少なくとも1つのミリメートル規模のチャネルゾーンと、前記ミリメートル規模のチャネルゾーンの上流および/または下流の少なくとも1つの分配ゾーンとを備える少なくとも3つのステージを含む、小型触媒反応器の製造のための加法的製造方法の使用。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の交換器−反応器または交換器の製造のための加法的製造方法の使用。
【請求項6】
前記加法的製造方法が、基材として、少なくとも1つのマイクロメートル規模の金属粉を使用することを特徴とする、請求項4または5に記載の使用。
【請求項7】
前記加法的製造方法が、前記交換器−反応器または交換器の連結器の製造のために使用されることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記加法的製造方法が、エネルギー源として、少なくとも1つのレーザを使用することを特徴とする、請求項4〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の交換器−反応器を用いて合成ガスを製造する方法。
【請求項10】
酸素を予熱するために請求項1〜3のいずれか一項に記載の交換器を用いる酸素燃焼方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換器−反応器および交換器ならびにその製造方法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、ミリ構造化(millistructured)交換器−反応器および交換器であって、そのような装置が以下の条件下で作動することを必要とする工業プロセスにおいて使用される、ミリ構造化交換器−反応器および交換器に関する:
(i)− 高温/高圧力の対、
(ii)− 最小限の圧力低下、および
(iii)− プロセスが強化されることを可能にする条件、例えば合成ガスを製造するための触媒交換器−反応器の使用、または酸素燃焼プロセスに関連して使用される酸素を予熱するための小型のプレートタイプの熱交換器の使用。
【背景技術】
【0003】
ミリ構造化反応器−交換器は、物質の交換および熱の交換が、水力直径などの特徴的寸法が1ミリメートルのオーダーであるチャネルの形状によって強化される化学反応器である。これらのミリ構造化反応器−交換器の形状を構成するチャネルは、概して、プレートであって、互いに組み合わされ、その各々が装置の1ステージを構成するプレート上にエッチングされる。同一のプレートを構成する複数のチャネルは、概して互いに接続され、用いられる流体(気相または液相)が、あるプレートから別のプレートへ移動させられることを可能にするように通路が配置される。
【0004】
ミリ構造化反応器−交換器には、分配器または分配ゾーンであって、その役割のうちの1つが、全てのチャネルへの試薬の均一な分配を確実にすることである分配器または分配ゾーンによって、試薬が供給される。ミリ構造化反応器−交換器において実施される反応の生成物は、コレクタであって、生成物が装置から運び出されることを可能にするコレクタにより集められる。
【0005】
以降では以下の定義が当てはまる:
(i)−「ステージ」:同一レベルに位置付けられたチャネルの集合であって、化学反応または熱の交換が生じるチャネルの集合、
(ii)−「壁」:同一のステージに配置される2つの連続的チャネルを分離する仕切り、
(iii)−「分配器」または「分配ゾーン」:チャネルのセットへ接続され、同一のステージに配置される容積であって、そこにおいて、反応器−交換器の外側から搬送された試薬がチャネルのセットへ向かって循環する、容積、および
(iv)−「コレクタ」:チャネルのセットへ接続され、同一のステージに配置される容積であって、そこにおいて、チャネルのセットから搬送された反応の生成物が反応器−交換器の外側に向かって循環する、容積。
【0006】
反応器−交換器を構成するチャネルのいくつかは、交換を向上させる泡などの固形物で、および/または固形のもしくはチャネルの壁を覆う体積物の形態の触媒および泡の壁などのチャネル内に充填され得る要素で充填されてもよい。
【0007】
ミリ構造化反応器−交換器に類似して、ミリ構造化交換器は、交換器であって、その特徴がミリ構造化反応器−交換器の特徴と同様であり、(i)「ステージ」、(ii)「壁」、(iii)「分配器」または「分配ゾーン」および(iv)「コレクタ」などの上記で定義された要素が同様に見出される交換器である。ミリ構造化交換器のチャネルは、熱の交換を向上させるために、泡などの固形物で同様に充填されてもよい。
【0008】
このような装置の熱統合は、いくつかのステージにわたる流体の空間的分配の結果、様々な温度で装置を通じて循環する流体間の熱交換と、いくつかの分配器およびコレクタの使用とを最適化することを可能にする、広範囲にわたる最適化の対象であり得る。例えば、ガラス炉において酸素を予熱するために提案されるミリ構造化交換器は、様々なステージに配置され、互いに接続されたチャネルを使用して形成された複数のミリメートル規模の通路から構成される。チャネルには、1つまたは複数の分配器により、例えばおよそ700℃〜950℃の温度の高温流体が供給され得る。冷却または加熱された流体は、1つまたは複数のコレクタにより装置の外側へ搬送される。
【0009】
標的とする工業プロセスにおいてミリ構造化反応器−交換器またはミリ構造化交換器の使用を最大限に活用するために、このような装置は、以下の特性を有する必要がある:
− これは、高い、通常はおよそ12.10
8Pa.℃(12000bar.℃)程度以上である「圧力×温度」の積で作動することができる必要があり、これは600℃以上の温度、および20.10
5Pa(20bar)を超える圧力に相当する。
− これらは、壁での現象、特に熱伝達の強化を可能にするために、およそ40,000m
2/m
3以下かつおよそ4,000m
2/m
3以上の表面積対体積比により特徴付けられている必要がある。
− これらは、高温流体の入口と冷却されたまたは温められた流体の出口との間で、5℃未満のアプローチ温度を可能にする必要がある。
− これらは、同じ流体を運ぶチャネルのネットワークの分配器とコレクタとの間で、10
4Pa(100mbar)未満の圧力低下を誘発する必要がある。
【0010】
いくつかの装置製造業者がミリ構造化反応器−交換器および交換器を提供している。これらの装置のほとんどが、噴霧エッチングにより得られるチャネルからなるプレートから構成される。この製造方法は、断面形状が半円形に近付き、寸法が、おおよそであり、機械加工プロセス自体により、ある製造バッチから別の製造バッチへ厳密には繰り返し可能ではないチャネルを作り出すことになる。具体的には、エッチング作業の間、使用される槽はプレートから除去された金属粒子により汚染されるようになり、槽は再生されるが、プレートの大規模生産工程を製造する場合、作動コストが原因となって同じ効率を維持することは不可能である。以下において、「半円形断面」は、上記で説明された、化学エッチングおよびダイプレス加工などの製造方法により引き起こされる、寸法上の限界を抱えるという特性のあるチャネルの断面を意味すると理解される。
【0011】
このチャネル製造方法が経済的観点から魅力的でないとしても、プレートを構成するチャネルが従来の機械加工方法により製造されることは考えられる。その場合、これらのチャネルの断面は半円形タイプのものではなく、矩形であり、これらはこのとき「矩形断面」を有していると言われる。
【0012】
類似して、これらの製造方法はまた、分配ゾーンまたはコレクタの製造のために使用することができ、それにより、これらに以下のようなチャネルの幾何学的優先順位と類似した幾何学的優先順位を与える:
(i)− 化学エッチングまたはダイプレス加工による製造の場合の、チャネルの底部とその壁との間での丸みの生成および寸法の生成が、ある製造バッチから別のバッチへ繰り返し可能ではないか、または代替的に、
(ii)− 従来の機械加工方法を使用した製造の場合の直角の生成。
【0013】
このように得られ、半円形断面または直角を含む断面のチャネルから構成されるプレートは、一般的に拡散接合または拡散ろう付けにより互いに組み合わされる。
【0014】
半円形または矩形断面のこれらの装置のサイズ決めは、エッチングされたプレートから構成されるミリ構造化交換器および/または反応器−交換器の機械的設計を包含する、ASME(アメリカ機械学会(American Society of Mechanical Engineers)第VIII章第1目付録13.9の適用に依存する。望ましい機械的完全性を得るために決定される値は、
図1に示されている。分配ゾーンおよびコレクタの寸法は、ASME基準がこれらのゾーンについての分析的寸法決めを提供しないため、有限要素計算により決められる。
【0015】
寸法が確立されると、この方法により定められた設計の規制当局による認証には、ASME UG 101に従うバースト試験が求められる。例えば、拡散ろう付けにより組み立てられ、25barおよび900℃で作動するインコネル(HR 120)合金でできている反応器−交換器の予期されるバースト値は、周囲温度で3500bar程度である。これは非常に不利益をもたらし、なぜなら、このテストは、反応器がバースト試験に従うために過剰性能を備えることを求めており、チャネル壁厚さの増大の結果として反応器はしたがって熱伝達の点での簡潔さおよび効率性を失うためである。
【0016】
現在、これらのミリ構造化反応器−交換器および/または交換器の製造は、
図2に説明される7つのステップに従って実施される。これらのステップのうちの4つが重要であり、その理由は、それらは違反の問題の原因となり得るからであり、この違反の結果として起こり得ることは、交換器または反応器−交換器の廃棄、またはこの違反がこの装置を製造する生産ラインで十分に早期に認められた場合は、圧力装置を構成するプレートの廃棄のいずれかのみである。
【0017】
これらの4つステップは、
− チャネルの化学エッチング、
− 拡散ろう付けまたは拡散接合によりエッチングされたプレートの組立て、
− 接続ヘッドの分配ゾーンおよびコレクタへの溶接であって、接続ヘッドにおいて溶接されたチューブが流体を供給または除去する、接続ヘッドの溶接、ならびに最後に
− 装置の表面の仕上げの質を低下させ得る現象を誘発する使用にさらされる反応器−交換器または交換器の場合の、保護被膜および/または触媒の層の塗布の操作である。
【0018】
ミリ構造化交換器または反応器−交換器の製造のために使用される機械加工方法を問わず、得られるチャネルは、化学エッチングの場合には断面が半円形であり(
図3)、2つの直角から構成されるか、従来の機械加工の場合には断面が矩形であり、4つの直角から構成される。この複数の角は、断面全体にわたって均一の保護コーティングを得るのに有害である。その理由は、角などの幾何学的な不連続の現象は不均一な沈着物が生じる可能性を増すからであり、このことは、不可避的に、例えば腐食、炭化または窒化の現象などを回避することを意図する、母材の表面の仕上げの品質低下の現象が始まる原因となる。化学エッチングまたは従来の機械加工技術により得られる角度の付いたチャネルセクションは、このような組立品の機械的完全性が最適化されることを可能にしない。具体的には、圧力に耐えるために、このようなセクションの寸法を設計するのに使用される計算は、チャネルの壁の厚さおよび底部の厚さを増大させる効果を有し、装置はしたがって熱伝達の点でのその簡潔さを失い、かつ効率性を失う。
【0019】
さらに、化学エッチングは、チャネルであって、その幅以上の高さを有するチャネルを有することができないように、幾何学的形状に関する制限を課し、これは表面積/体積比の制限をもたらし、最適化の限界を招く。
【0020】
拡散接合を使用するエッチングされたプレートの組立品は、高い一軸応力(典型的には2MPa〜5MPa程度)を、エッチングされたプレートのスタックから構成された母材へ加えることにより得られ、これは数時間続く保持時間の間、高温でのプレスにより加えられる。この技術の使用は、例えば400mm×600mmの容積内に含まれる装置など、小さいサイズの装置の製造に適合している。これらの寸法を超えると、一定の応力を維持するために加えられなければならない力が、高温プレスによって加えられるには大きくなりすぎる。
【0021】
拡散接合プロセスを使用する特定の製造業者は、自己集合性(self−assembling)があると言われる組立品の使用を通じて高い応力を達成する困難を克服する。この技術は、装置へ加えられる応力に対する有効な制御を可能にせず、チャネルが潰されることを招き得る。
【0022】
拡散ろう付けを使用するエッチングされたプレートの組立品は、高温で、数時間の保持時間の間、プレスまたは自己集合性があるセットアップにより加えられる、低い一軸応力(典型的には0.2MPa程度)をエッチングされたプレートから構成された母材へ加えることにより得られる。プレートの各々の間に、ろう付けされた充填材金属が、この塗布が保証されることを完全に制御することを可能にしない工業的塗布方法を使用して塗布される。この充填材金属は、プレート間に機械的接続を作り出すよう、ろう付け操作の間に母材内へ拡散するよう意図される。
【0023】
加えて、装置の製造中の装置の温度保持の間、ろう付け金属の拡散は制御され得ず、これは、不連続であり、したがって、装置の機械的完全性を損なわせる効果を有する、ろう付けされた結合部の原因となり得る。一例として、拡散およびろう付け方法により製造され、本発明者らが作成したHR120から作られた、ASME第VIII章第1目付録13.9に従って設計された装置は、バースト試験中、840.10
5Pa(840bar)の圧力を加えることに耐えることができなかった。この劣化を克服するために、分配ゾーンの壁の厚さおよび形状が、各プレート間の接触面積を増やすために適合された。これは、表面積/体積比を制限し、圧力低下を増大させ、および装置のチャネルにおける不十分な分配を引き起こすことを招いた。
【0024】
加えて、このタイプのろう付けされた装置を設計するために使用されたASME基準第VIII章第1目付録13.9は、例えば一酸化炭素などの致死的気体を含む流体を使用する装置のための拡散ろう付け技術の使用を可能にしない。したがって、拡散ろう付けにより組み立てられた装置は、合成ガスの生成に使用され得ない。
【0025】
拡散ろう付けにより製造された装置は、最終的に、間にろう付けされた結合部が配置されたエッチングされたプレートのスタックから構成される。結果として、この装置の表面において実施される各溶接作業は、ほとんどの場合にろう付けされた結合部の、溶接作業による影響を受けた熱の影響を受けたゾーンにおける破壊を招く。この現象はろう付けされた結合部に沿って広がり、ほとんどの場合に組立品を砕けさせる。この問題を緩和するために、ろう付けされたジョイントを有しない連結器の溶接のためのフレーム状の支持体を提供するために、ろう付けされた母材の組立ての際に厚い強化プレートを加えることが提案されることもある。
【0026】
プロセス強化の観点から、エッチングされたプレートが互いに組み合わされるという事実が意味することは、装置が、このタイプの装置の設計者に、流体の分配に対して段階的アプローチに限定して考えるよう強制することにより、交換器または反応器−交換器内での熱的最適化を限定する2次元的アプローチで設計される必要があるということである。
【0027】
環境に配慮した製造の観点から、全てのこれらの製造ステップは異なる取引により実施されるため、これらは一般的に、異なる地理的位置にいる様々な異なる下請業者により実施されることになる。これは、長い期間にわたる生産の遅延と多くの構成要素の輸送とを招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明は、現在の製造方法に関連する欠点を克服することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の解決策は、交換器−反応器または交換器であって、少なくとも3つのステージであって、各ステージにおいて、熱の交換を促す少なくとも1つのミリメートル規模のチャネルゾーンと、ミリメートル規模のチャネルゾーンの上流および/または下流の少なくとも1つの分配ゾーンとを備える少なくとも3つのステージを含む、交換器−反応器または交換器において、様々なステージ間に組立品界面を有しない構成要素であることを特徴とする、交換器−反応器または交換器である。
【0030】
環境に依存して、本発明による交換器−反応器または交換器は、以下の特徴の1つまたは複数を呈し得る:
− ミリメートル規模のチャネルの断面の形状が円形である、
− 前記交換器−反応器が触媒交換器−反応器であり、かつ
− 少なくとも第1のステージであって、少なくとも分配ゾーンと、触媒反応に必要な熱のうちのいくらかを供給するように、700℃を超える温度で気体流を循環させるための少なくとも1つのミリメートル規模のチャネルゾーンとを含む、少なくとも第1のステージと、
− 少なくとも第2のステージであって、少なくとも分配ゾーンと、気体流に反応を起こさせるために、気体流試薬を、触媒で覆われたミリメートル規模のチャネルの縦方向に循環させるための少なくとも1つのミリメートル規模のチャネルゾーンとを含む、少なくとも第2のステージと、
− 少なくとも第3のステージであって、少なくとも分配ゾーンと、触媒反応に必要な熱のうちのいくらかを供給するように、第2のプレートで生成された気体流を循環させるための少なくとも1つのミリメートル規模のチャネルゾーンとを含む、少なくとも第3のステージと
を含み、第2のプレートおよび第3のプレートにおいて、生成された気体流が第2のプレートから第3のプレートへ循環し得るようなシステムを備える。
【0031】
本発明の別の主題は、少なくとも3つのステージであって、各ステージにおいて、熱の交換を促す少なくとも1つのミリメートル規模のチャネルゾーンと、ミリメートル規模のチャネルゾーンの上流および/または下流の少なくとも1つの分配ゾーンとを備える少なくとも3つのステージを含む、小型触媒反応器の製造のための加法的製造方法の使用である。
【0032】
好ましくは、加法的製造方法により、本発明による交換器−反応器または交換器の製造が可能になる。
【0033】
均等な直径は、均等な水力直径を意味する。
【0034】
好ましくは、加法的製造方法は以下のものを使用する:
− 基材としての少なくとも1つのマイクロメートル規模の金属粉、および/または
− エネルギー源としての少なくともレーザ。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】交換器−反応器または交換器の望ましい機械的完全性を得るために決定される値を示す。
【
図2】従来のミリ構造化反応器−交換器および/または交換器の製造の7つのステップを示す。
【
図5】加法的製造を使用したミリ構造化反応器−交換器および/または交換器の製造の4つのステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
具体的には、加法的製造方法は、複雑な立体形状の完成品を製造するために1つまたは複数のレーザにより溶融されるマイクロメートル規模の金属粉を用いてもよい。製品は多層に重ねられ、必要な形状および必要な積層速度のための精度に従って、層は50μm程度である。溶融される金属は、粉末床としてか、噴霧ノズルによってかのいずれかで供給され得る。粉末を局所的に溶融するために使用されるレーザは、YAGレーザ、繊維レーザまたはCO
2レーザのいずれかであり、粉末の溶融は、不活性ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の下で実施される。本発明は単一の加法的製造技術へ限定されず、全ての既知の技術へ当てはまる。
【0037】
従来の機械加工技術または化学エッチング技術と異なり、加法的製造方法は、以下の利点を提供する円筒形断面のチャネルを作り出すことを可能にする(
図4):
(i)− 圧力に耐える、したがってチャネル壁厚さの大幅な減少を可能にする、より高い能力、
(ii)− ASME基準の第VIII章第1目付録13.9により求められるような設計の有効性を証明するために、バースト試験が実施されることを必要としない圧力装置設計規則の使用を可能にすること。
【0038】
具体的には、円筒形断面のチャネルを作り出すことを可能にする、加法的製造により製造された交換器または反応器−交換器の設計は、ミリ構造化反応器−交換器または交換器を構成する円筒形断面のチャネル、分配器およびコレクタの寸法決めに適用される、「通常の」圧力装置設計規則に依存する。
【0039】
加法的製造技術は最終的に、「途切れが無い(solid)」と言われる製品を得ることを可能にし、これは、拡散ろう付けまたは拡散接合などの組立て技術とは異なり、各エッチングされたプレート間に組立品界面を有しない。この性質は、脆弱性の線の存在を除去することにより、構成することにより、およびそれにより潜在力故障の源を除去することにより、装置の機械的一体性を向上させる方向へ向かう。
【0040】
加法的製造により途切れが無い構成要素を得ること、および拡散ろう付けまたは拡散接合界面を除去することにより、ろう付けされた結合部または拡散接合された界面における不連続性などの、潜在的な組立品の不具合の影響を限定するように設計された壁の幾何学的形状に限定されることなく、数多くの設計可能性を検討することが可能になる。
【0041】
加法的製造により、従来の製造方法を使用して想像を超えた形状を作り出すことが可能になり、したがって、ミリ構造化反応器−交換器または交換器のための連結器の製造が、装置の本体の製造とつなげて行われ得る。これはしたがって、連結器を本体へ溶接する作業を行う必要を無くすことを可能にし、それにより、装置の構造的一体性に対する損傷源を除去することを可能にする。
【0042】
加法的製造を使用したチャネルの形状の制御により、円形の断面のチャネルを作り出すことが可能になり、これにより、この形状がもたらす良好な圧力一体性とは別に、チャネルの長さ全体に沿って均一である保護コーティングおよび触媒コーティングの積層のために最適であるチャネル形状を有することも可能になる。
【0043】
この加法的製造技術を使用することにより、生産性の側面での進展が、製造ステップの数の減少を通じて同様に可能になる。具体的には、加法的製造を使用して反応器を作り出すステップは、7つから4つへ減る(
図5)。完成した装置または反応器を構成するプレートが廃棄されることを招き得る重要なステップであって、化学的にエッチングされたプレートを組み立てることによる従来の製造技術を使用するときに4つ存在する重要なステップは、加法的製造の採用により2つまで減る。したがって、加法的製造ステップならびにコーティングおよび触媒を塗布するステップのみが残る。
【0044】
一例として、本発明による反応器−交換器は、合成ガスを製造するために使用され得る。さらに、本発明による交換器は、酸素を予熱するための酸素燃焼プロセスにおいて使用され得る。
【国際調査報告】