(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-527627(P2017-527627A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(54)【発明の名称】喫煙者における非小細胞肺癌の治療のための、カルボプラチンおよびパクリタキセルと併用したベリパリブ
(51)【国際特許分類】
A61K 31/282 20060101AFI20170825BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20170825BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20170825BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20170825BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20170825BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20170825BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20170825BHJP
【FI】
A61K31/282
A61K31/337
A61K31/4184
A61K45/00
A61P35/00
A61P11/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-533747(P2017-533747)
(86)(22)【出願日】2015年9月16日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月9日
(86)【国際出願番号】US2015050367
(87)【国際公開番号】WO2016044384
(87)【国際公開日】20160324
(31)【優先権主張番号】62/051,040
(32)【優先日】2014年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジランダ,ビンセント
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン,ギャリー
(72)【発明者】
【氏名】マッキー,マーク・ディー
(72)【発明者】
【氏名】チエン,ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】チン,チン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA22
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4C206AA01
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4C206MA04
4C206NA05
4C206NA14
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4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、有効量の2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミド(ベリパリブまたはABT−888)またはその医薬として許容される塩をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む、喫煙者である対象における非小細胞肺癌の治療方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む、喫煙者である対象における非小細胞肺癌の治療方法。
【請求項2】
喫煙者が現在喫煙者である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
喫煙者が重度喫煙者である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
喫煙者はコチニンが高い患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
PARP阻害剤が、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
非小細胞肺癌が扁平上皮である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
非小細胞肺癌が非扁平上皮である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む、喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法。
【請求項9】
喫煙者が現在喫煙者である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
喫煙者が重度喫煙者である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
喫煙者はコチニンが高い患者である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
PARP阻害剤が、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
非小細胞肺癌が扁平上皮である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
非小細胞肺癌が非扁平上皮である、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
喫煙者である対象、または喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物。
【請求項16】
喫煙者が現在喫煙者である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
喫煙者が重度喫煙者である、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
喫煙者はコチニンが高い患者である、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
カルボプラチンおよびパクリタキセルをさらに含むか、またはカルボプラチンおよびパクリタキセルにさらに組み合わせされる、請求項15に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願情報
本願は、2014年9月16日に出願された米国仮特許出願第62/051040号の利益を請求しており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、非小細胞肺癌を有する喫煙者の治療における、カルボプラチンおよびパクリタキセルと併用したベリパリブの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
肺癌は、男性および女性のいずれにおいても他の癌よりもより多くの死亡の原因となる。全ての癌による死亡の約27%を占める推定159,260人の死亡者が、2014年に米国で発生すると予想されている(米国癌学会Cancer Facts & Figures 2014、アトランタ:米国癌学会、2014)。肺癌は、非小細胞肺癌と小細胞肺癌の2つのタイプに大別される。非小細胞肺癌(NSCLC)は、米国における肺癌症例の80から85%を占める。NSCLCは、3つの主なタイプを含む。即ち、(i)扁平上皮細胞から始まる扁平上皮癌で、これは魚の鱗のように見える薄い扁平細胞である。扁平上皮癌は表皮癌とも呼ばれる。(ii)大細胞癌で、これはいくつかのタイプの大きな肺細胞から始まる。(iii)腺癌で、これは肺胞を覆い、粘液等の物質を作る細胞で始まる。それほど一般的ではない他のタイプのNSCLCには、多形性癌、カルチノイド腫瘍および未分類癌が含まれる。
【0004】
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)またはポリ(ADP−リボース)シンターゼ(PARS)は、DNA損傷を認識し、DNA修復を促進し、RNA転写を制御し、細胞死を媒介し、免疫応答を調節するのに不可欠な役割を果たす核酵素である。PARP活性は、塩基切除修復経路を通る一本鎖DNA切断の修復に必要とされる。癌細胞は、二本鎖DNA修復能が欠けていることが多く、従って、正常細胞よりもPARP指向性一本鎖DNA修復に依存する。その結果、PARPの阻害は、多くの癌細胞におけるDNA損傷剤の抗腫瘍効果を高める。
【0005】
プラチナベースの化学療法レジメンは、転移性または進行性非小細胞肺癌(NSCLC)を有する対象のケアの現在の標準である。ベリパリブ(ABT−888、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミド)は、いくつかの前臨床モデルにおいてプラチナ含有DNA損傷治療の有効性を高める強力な経口生体利用PARP阻害剤であり、ベリパリブは、ヒト臨床試験においてカルボプラチンおよびパクリタキセルの全量と安全に組み合わされてきた。本発明は、非小細胞肺癌を有する喫煙者の治療における、カルボプラチンおよびパクリタキセルを併用するベリパリブの使用を記載する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む、喫煙者である対象における非小細胞肺癌の治療方法に関する。一実施形態では、本発明は、有効量の2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンゾイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与すること含む、喫煙者である対象における非小細胞肺癌の治療方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】ヒト対象における現在喫煙者の、プラセボ対ベリパリブについての無増悪生存期間(PFS)を示す。
【
図2】ヒト対象における現在喫煙者の、プラセボ対ベリパリブについての全生存期間(OS)を示す。
【
図3】ヒト対象におけるコチニンが高い患者の、プラセボ対ベリパリブについての無増悪生存期間(PFS)を示す。
【
図4】ヒト対象におけるコチニンが高い患者の、プラセボ対ベリパリブについての全生存期間(OS)を示す。
【
図5】ヒト対象における重度喫煙者の、プラセボ対ベリパリブについての無増悪生存期間(PFS)を示す。
【
図6】ヒト対象における重度喫煙者の、プラセボ対ベリパリブについての全生存期間(OS)を示す。
【
図7】用量正規化されたベリパリブ濃度−時間プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
「治療する」、「治療すること」および「治療」という用語は、疾患および/またはそれに付随する症状を緩和または抑止する方法を指す。
【0009】
「対象」という用語は、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等を含むが、これらに限定されない哺乳類のような動物を含むと本明細書では定義される。好ましい実施態様において、対象はヒトである。
【0010】
「患者」および「対象」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0011】
「有効量」とは、対象において所望の生物学的、薬理学的または治療転帰を誘導するのに十分な量を指す。化合物の治療有効量は、双性イオンとしてまたは医薬として許容される塩として使用することができる。治療有効量は、あらゆる医学的処置に適用可能な妥当な利益/危険比のPARP阻害剤によって改善される疾患または障害を治療または予防するのに十分な量の化合物を意味する。しかし、本発明の化合物および組成物の総1日の使用量は健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されるであろう。任意の特定の患者に対する具体的な治療上有効な用量レベルは、治療される障害および障害の重篤度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事;投与時間、投与経路、および使用される特定の化合物の排泄速度;治療の持続時間;使用される特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物;医学分野でよく知られている同様の要因を含む様々な要因に依存するであろう。例えば、所望の治療効果を達成するために必要なレベルより低いレベルで化合物の用量を開始し、所望の効果が達成されるまで用量を徐々に増加させることは、十分にこの分野の技能の範囲内である。
【0012】
「PFS」という用語は、無増悪生存期間を意味する。
【0013】
用語「OS」は全生存期間を意味する。
【0014】
「現在喫煙者」という用語は、一生の間に100以上の喫煙事象を有し、治療開始の1年以内に喫煙している対象を意味する。
【0015】
「前喫煙者」という用語は、一生の間に100以上の喫煙事象を有するが、過去1年以内に喫煙事象を有していない対象を意味する。
【0016】
「喫煙未経験者」という用語は、一生の間に100未満の喫煙事象を有する対象を意味する。
【0017】
「喫煙経験者」という用語は、前喫煙者と現在喫煙者を組み合わせたものを意味する。
【0018】
「重度喫煙者」という用語は、39以上の喫煙指数を有する現在または前喫煙者を意味する。
【0019】
「軽度喫煙者」という用語は、39未満の喫煙指数を有する現在または前喫煙者を意味する。
【0020】
「喫煙者」という用語は、以下、即ち、現在喫煙者、重度喫煙者、および/またはコチニンが高い患者の1つ以上として分類される対象を意味する。
【0021】
「喫煙指数」という用語は、「患者によって報告された喫煙年数」×「患者によって報告された1日に喫煙したタバコの箱数」を意味する。タバコの1箱は、典型的には1箱当たり20本の、あらゆる利用可能なサイズまたは強度のタバコである、米国で市販されているパッケージとして定義される。下記の喫煙経験者の喫煙指数の中央値は39であった。
【0022】
「喫煙の化学的証拠」および「コチニンが高い患者」という用語は、コチニンが10ng/mLを超える全ての患者を意味する。
【0023】
「ハザード比」(HR)という用語は、制御条件下で発生する事象の危険性と比較して、実験の条件下で発生する事象の危険性の尺度である。0.5のハザード比は、臨床試験で試験された治療による事象(腫瘍の進行または死亡等)の危険性が、標準療法による危険性の半分であることを示す。また、0.5のハザード比では、研究中の事象(腫瘍の進行または死亡等)は、指数関数的生存分布を仮定して、処置群で起こるのに、対照群で起こる2倍の時間長くかかる。
【0024】
「DNA損傷」という用語は、当技術分野で認識されている用語であり、本明細書では、損傷(酸化、アルキル化、加水分解、付加または架橋)塩基、突然変異、一本鎖DNA切断および二本鎖DNA切断を含むが、これらに限定されないDNAに対するあらゆる化学変化を指すために使用される。特に、本発明の対象におけるDNA損傷は、DNAに酸化的損傷を誘発するか、または酸化的損傷をもたらすフリーラジカルおよび酸化体を産生または生成するタバコの消費に誘発され、または関連する。現在喫煙者、前喫煙者、または喫煙未経験者におけるDNA損傷の同定、定量化もしくは測定、または現在喫煙者、前喫煙者または喫煙未経験者におけるDNA損傷プロファイルマッピングは、当業者であれば、既知の技術を使用して実施することができる。当業者は、異なる対象間のDNAプロファイルを比較し、対象間のDNA損傷プロファイルの類似性を決定することもできるであろう。
【0025】
一実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象、または現在喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態において、本発明は、現在喫煙者である対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。
【0026】
一実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象、または重度喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。
【0027】
一実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象、またはコチニンが高い患者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。
【0028】
一実施形態では、本発明は、喫煙者である対象、または喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、喫煙者である対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。
【0029】
一実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象、または現在喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量の2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態において、本発明は、現在喫煙者である対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量の2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量の2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。
【0030】
一実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象、または重度喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量の2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量の2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量の2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。
【0031】
一実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象、またはコチニンが高い患者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量の2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量の2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量の2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。
【0032】
一実施形態では、本発明は、喫煙者である対象、または喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量の2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、喫煙者である対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量の2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌の治療方法であって、有効量の2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。
【0033】
一実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象、または現在喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態において、本発明は、現在喫煙者である対象における疾患の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。
【0034】
一実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象、または重度喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象における疾患の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。
【0035】
一実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象、またはコチニンが高い患者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象における疾患の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。
【0036】
一実施形態では、本発明は、喫煙者である対象、または喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、喫煙者である対象における疾患の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。別の実施形態では、本発明は、喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患の治療方法であって、有効量のPARP阻害剤をカルボプラチンおよびパクリタキセルと組み合わせて対象に投与することを含む該方法に関する。
【0037】
一実施形態において、対象は、非小細胞肺癌(NSCLC)である原発性固形悪性腫瘍を有する。別の実施形態では、NSCLCは、扁平上皮細胞癌または非扁平上皮細胞癌であり得る。別の実施形態では、NSCLCは扁平上皮細胞癌である。別の実施形態では、NSCLCは非扁平上皮細胞癌である
【0038】
一実施形態では、対象は、現在喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する肺癌を有する。別の実施形態では、対象は、重度喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する肺癌を有する。別の実施形態では、対象は、コチニンが高い患者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する肺癌を有する。別の実施形態では、対象は、喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する肺癌を有する。別の実施形態では、対象は、現在喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する疾患を有する。別の実施形態では、対象は、重度喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する疾患を有する。別の実施形態では、対象は、コチニンが高い患者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する疾患を有する。別の実施形態では、対象は、喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する疾患を有する。
【0039】
本発明は、一部分において、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドの全ての塩およびそれらの使用方法にも関する。
【0040】
一実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象、または現在喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。
【0041】
一実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象、または重度喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。
【0042】
一実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象、またはコチニンが高い患者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。好ましくは、組成物は、カルボプラチンおよびパクリタキセルをさらに含むか、またはこれらにさらに組み合わされる。
【0043】
一実施形態では、本発明は、喫煙者である対象、または喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、喫煙者である対象を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。好ましくは、組成物は、カルボプラチンおよびパクリタキセルをさらに含むか、またはこれらにさらに組み合わされる。
【0044】
一実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象、または現在喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象における非小細胞肺癌を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。
【0045】
一実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象、または重度喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象における非小細胞肺癌を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。
【0046】
一実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象、またはコチニンが高い患者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象における非小細胞肺癌を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。好ましくは、組成物は、カルボプラチンおよびパクリタキセルをさらに含むか、またはこれらにさらに組み合わされる。
【0047】
一実施形態では、本発明は、喫煙者である対象、または喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、喫煙者である対象における非小細胞肺癌を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における非小細胞肺癌を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。好ましくは、組成物は、カルボプラチンおよびパクリタキセルをさらに含むか、またはこれらにさらに組み合わされる。
【0048】
一実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象、または現在喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象における疾患を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、現在喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。
【0049】
一実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象、または重度喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象における疾患を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、重度喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。
【0050】
一実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象、またはコチニンが高い患者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象における疾患を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、コチニンが高い患者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。好ましくは、組成物は、カルボプラチンおよびパクリタキセルをさらに含むか、またはこれらにさらに組み合わされる。
【0051】
一実施形態では、本発明は、喫煙者である対象、または喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、喫煙者である対象における疾患を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、喫煙者である対象のDNA損傷プロファイルと類似のDNA損傷プロファイルを有する対象における疾患を治療する方法に使用するための、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩を含む組成物に関する。好ましくは、組成物は、カルボプラチンおよびパクリタキセルをさらに含むか、またはこれらにさらに組み合わされる。
【0052】
化合物の塩は、例えば、異なる温度および湿度における向上した薬学的安定性、または水または他の溶媒における所望の溶解度などのような塩の特性が1つ以上あるため有利な場合がある。塩が患者に投与されることが意図される場合(例えば、インビトロの状況で使用されることとは対照的に)、塩は、好ましくは医薬として許容されるおよび/または生理学的に相溶性である。
【0053】
「医薬として許容される」という用語は、この特許出願において修飾名詞が医薬品としてまたは医薬品の一部としての使用に適切であることを意味するように、形容詞的に使用される。医薬として許容される塩としては、アルカリ金属塩を形成する一般に使用される塩が挙げられ、遊離酸または遊離塩基の付加塩を形成する。一般に、これらの塩は、典型的には、例えば、適切な酸または塩基を本発明の化合物と反応させることによって、従来の手段によって調製することができる。
【0054】
2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドの医薬として許容される酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製することができる。しばしば好適な無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸およびリン酸が挙げられる。適切な有機酸としては、一般に、例えば、有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸およびスルホン類が挙げられる。しばしば好適な有機酸の具体例としては、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、ジグルコン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、グルクロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ピルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、アントラニル酸、メシル酸塩、ステアリン酸塩、サリチル酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、エンボネート(embonate)(パモ酸塩)、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パントテン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、スルファニル酸塩、シクロヘキシルアミノスルホン酸塩、アルギン酸、ベータヒドロキシ酪酸、ガラクタレート(galactarate)、ガラクツロン酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、グリコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。
【0055】
2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドの医薬として許容される塩基付加塩には、例えば、金属塩および有機塩が挙げられる。好ましい金属塩としては、アルカリ金属(第Ia族)塩、アルカリ土類金属(第IIa族)塩、および他の生理学的に許容される金属塩を含む。そのような塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から製造することができる。好ましい有機塩は、トロメタミン、ジエチルアミン、N、N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)およびプロカイン等のアミンから製造することができる。塩基性窒素含有基は、低級アルキル(C
1−C
6)ハロゲン化物(例えば、メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物)、硫酸ジアルキル(例えば、ジメチル、ジエチル、ジブチル、ジアミル硫酸塩)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物)、ハロゲン化アリールアルキル(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)等が挙げられる。
【0056】
本発明は、1つには、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドの全ての組成物およびその使用方法にも関する。 2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドは、賦形剤と共にまたは賦形剤なしで投与することができる。賦形剤には、カプセル化剤、ならびに吸収促進剤、酸化防止剤、結合剤、緩衝剤、コーティング剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填剤、香味剤、湿潤剤、潤滑剤、香料、防腐剤、噴射剤、解除剤、滅菌剤、甘味料、可溶化剤、湿潤剤、それらの混合物等の添加剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
経口投与される2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドを含む組成物の調製のための賦形剤には、寒天、アルギン酸、水酸化アルミニウム、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、1,3−ブチレングリコール、カルボマー、ヒマシ油、セルロース、酢酸セルロース、コロイド状シリカ、ココアバター、トウモロコシデンプン、コーン油、綿実油、クロスポビドン、ジグリセリド、エタノール、エチルセルロース、ラウリン酸エチル、オレイン酸エチル、脂肪酸エステル、ゼラチン、胚芽油、グルコース、グリセロール、落花生油、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、イソプロパノール、等張食塩水、ラクトース、水酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、麦芽、マンニトール、微結晶セルロース、モノグリセリド、オリーブ油、ピーナッツ油、リン酸カリウム塩、じゃがいもデンプン、ポビドン、プロピレングリコール、リンガー溶液、ベニバナ油、ゴマ油、カルボキシメチルセルロースナトリウム、リン酸ナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビトールナトリウム、大豆油、ステアリン酸、フマル酸ステアリル、スクロース、界面活性剤、タルク、二酸化チタン、トラガカント、テトラヒドロフルフリルアルコール、トリグリセリド、水、これらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
一回または分割の用量でヒトまたは他の哺乳動物宿主に投与される本発明の組成物の毎日の総量は、例えば、毎日約0.0001から約300mg/kg体重、より一般的には約1から約300mg/kg体重である。約0.0001から約300mg/kg体重の用量を1日1回または複数回投与することができる。
【0059】
本発明の一実施形態では、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたは医薬として許容されるその塩もしくは溶媒和物の用量は、20から600mgの範囲内または60から400mgの範囲内である。本発明のさらなる実施形態では、2−[(2R)−2−メチルピロリジン−2−イル]−1H−ベンズイミダゾール−4−カルボキサミドまたはその医薬として許容される塩もしくは溶媒和物の用量は、約30mg、50mg、80mg、100mg、120mg、150mg、200mg、240mgまたは300mgである。一実施形態では、用量は1日に複数回投与される。一実施形態では、用量は1日1回または1日2回投与される。一実施形態では、用量は1日2回投与される。一実施形態では、用量は120mgであり、1日2回投与される。
【0060】
本明細書中に引用された刊行物、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が個別にかつ具体的に参照により組み入れられることが示され、その全体が本明細書に記載されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
(特に添付の特許請求の範囲の文脈において)本発明を説明する文脈における用語「a」および「an」および「the」ならびに同様の指示対象の使用は、本明細書に別段の支持がないか、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を包含するものと解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」および「含有する(containing)」という用語は、別段の記載がない限り、制限のない用語(即ち、「含むがこれに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書中に別段の指示がない限り、範囲内の各別個の値を個別に指す簡便な方法として役立つことを意図しており、各個別の値は本明細書に個別に列挙されているかのように、本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書で提供される任意のおよび全ての例、または例示的な言語(例えば、「等」)の使用は、単に本発明の理解をより容易にすることを意図しており、特に断らない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言葉も、請求されていない任意の要素を本発明の実施に不可欠であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0062】
本願を通じて、「約」という用語は、値が、装置、方法が値を決定するために使用されることの誤差の固有の変動、または試験対象の間に存在する変動を含むことを示すために使用される。投薬の文脈で使用する場合、「約」という用語は、報告値から±10%の値、好ましくは報告値から±5%の値を示すために使用される。
【0063】
本発明を実施するために本発明者らに知られている最良の形態を含む、この発明の好ましい実施形態を本明細書に記載する。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読むことにより当業者には明らかになるであろう。本発明者らは、当業者がこのような変形を適切に使用することを期待しており、本発明者らは本発明が本明細書に具体的に記載されたものとは別の方法で実施されることを意図する。従って、本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題の全ての改変および均等物を含む。また、本明細書中で別段の指示がされない限り、あるいは文脈と明らかに矛盾しない限り、それらの全ての可能な変形における上記要素の任意の組み合わせが本発明に包含される。
【実施例】
【0064】
確認された転移性または進行性非小細胞肺癌(NSCLC)を有する対象における、初回化学療法としてのカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用したベリパリブならびにカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用したプラセボの有効性、安全性および忍容性を評価する第2相無作為二重盲検マルチセンター試験を実施した。患者を、2:1の比率で、ベリパリブ+カルボプラチン/パクリタキセルまたはプラセボ+カルボプラチン/パクリタキセルのいずれかに無作為化した。患者の無作為化は、組織学(扁平上皮細胞対非扁平上皮細胞)および喫煙歴(現在喫煙者対喫煙未経験者対過去喫煙者)で階層化した。スクリーニング手順およびベースラインの放射線写真腫瘍評価を、ベリパリブ/プラセボを投与する最初の日の前21日以内に行った。放射線写真腫瘍評価を6週間ごとに実施し、審査のため中央画像化センターに送った。カルボプラチン/パクリタキセルの開始の2日前に経口ベリパリブ/プラセボ(120mg)の投薬を開始し、1日2回(BID)を7日間与えた。全ての対象は、静脈内注入を介して各サイクルの3日目に開始するカルボプラチン(AUC 6mg/mL/分)およびパクリタキセル(200mg/m2)を受けた。患者は、許容できない毒性またはNSCLCの進行が起こらなければ、最大6サイクルの治療期間にわたって、カルボプラチン/パクリタキセルと併用して、ベラパリブ/プラセボを継続して受けた。全ての対象は、疾患進行のプロトコールで定義された事象に達するまで試験に留まった。6サイクルの治療を完了した患者は、疾患の進行の事象に達するまで、試験薬物/オフ試験薬物に留まった。疾患の進行まで化学療法または生物療法(維持療法)は認められなかった。カルボプラチン/パクリタキセルまたはベリパリブのために毒性を経験した患者は、投薬スケジュールまたは投薬量の変更を遅らせる可能性があった。
【0065】
全ての対象は、転移性または進行性非小細胞肺癌を有していた。この試験に参加した患者は、1)≧18歳、2)平均余命が12週間を超えており、3)細胞学的または組織学的に確認されたNSCLCを有し、4)外科的切除または治験スクリーニング時に治癒目的を有する放射線に適しない転移性または進行性のNSCLCを有し、5)CTスキャンで少なくとも1つの一次元の測定可能なNSCLC病変を有し、6)ベースラインMRIによって示されるように、脳転移の病歴または原発性CNS腫瘍の証拠を有しておらず、7)東部癌共同研究グループ(ECOG)の行動スコアが0から1であり、8)以下のような適切な骨髄、腎臓および肝臓機能を有していた。即ち、絶対好中球数(ANC)≧1,500/mm3(1.5×109/L)、血小板≧100,000/mm3(100×109/L)、ヘモグロビン≧9.0g/dL(1.4mmol/L)、血清クレアチニン≦1.5×ULNまたはクレアチニンクリアランス>50mL/分、ASTおよびALT≦2.5×ULN、次いで肝転移がない限り、ASTおよびALT<5.0×ULN、ビリルビン≦1.5×ULN。
【0066】
この試験から除外された患者は、パクリタキセルまたはポリエトキシル化ヒマシ油(Cremophor)で処方された他の薬物に対する既知の過敏症を有し、プラチナ化合物に対して既知の過敏症を有し、末梢ニューロパチー≧グレード2を有し、エクソン19欠失の既知のEGFR変異またはエクソン21におけるL858R変異を有し、転移性NSCLCのための以前の全身的な抗癌療法を受けており、エントリー前に12ヶ月以下の補助化学療法を受けており、試験のエントリーから14日以内に抗癌漢方薬または抗癌薬草剤を受けており、試験のエントリー前に8週間以内の外部ビーム照射療法(EBRT)を受けており、臨床的に有意で制御されていない主要な病状を有しており、妊娠中または授乳中であり、または以前にPARP阻害剤で治療されていた。
【0067】
対象が無作為化された日から、対象が疾患の進行の事象(中央画像化センターによって決定される)を経験した日まで、または疾患の進行に至らなかった場合は死亡日(全ての死因)までの日数としてPFSを定義した。対象がまだベリパリブ/プラセボを服用中であったか、以前にベリパリブ/プラセボを中止した時に事象が起きたか否かにかかわらず、疾患の進行の全ての事象(中央画像化センターによって決定される)を含んだ。しかし、対象が2つ以上の連続した疾患進行評価を見逃した後に疾患進行事象が生じた場合、対象は、疾患進行評価を見逃す前の最後の疾患進行評価で審査された。最後の疾患評価から42日以内に死亡した場合、全ての死亡事象を疾患の進行を経験しなかった対象に含ませた。対象が疾患進行事象(中央画像化センターによって決定される)を有していないか、対象が死亡していない場合、対象の最後の疾患評価の日付で対象のデータを審査した。PFSの結果を、78のPFS事象(試験の事前定義された主要評価項目)を用いて、試験の時点で報告した。
【0068】
所与の対象の死亡までの時間(全生存期間、OS)は、対象が無作為化された日から対象の死亡日までの日数として定義した。対象がまだベリパリブ/プラセボを服用中であったか、以前にベリパリブ/プラセボを中止した時に事象が起きたか否かにかかわらず、全ての死亡事象を含んだ。研究中に対象が死亡しなかった場合、対象が生存していることが最後に知られていた日付でデータを審査した。OSの結果を、90のOS事象(熟年のOSデータの審査のために計画された分析から)を用いて、試験の時点で報告した。
【0069】
主な結果:
無作為化のための階層化因子は、組織学(扁平上皮対非扁平上皮)および喫煙歴(現在喫煙者対前喫煙者対喫煙未経験者)であった。現在喫煙者の層は、標準的な化学療法にベリパリブを追加することから最大の利益を示した(表1)。
【0070】
【表1】
【0071】
現在喫煙者(生涯に100以上の喫煙事象を有し、試験のエントリー前1年以内に喫煙を有していると定義された)は、無増悪生存期間および全生存期間において統計的に有意な改善を示した(
図1および2、未調整ハザード比)。この規模の改善は、予め指定された他のサブグループでは見られなかった
【0072】
ベリパリブ/カルボプラチン/パクリタキセル(VCP)対カルボプラチン/パクリタキセル(CP)の有利な転帰を予測し得るさらなる因子を、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて調査した。これらの因子は、喫煙状況(現在喫煙者、前喫煙者、喫煙未経験者)、組織学(扁平上皮、非扁平上皮)、年齢(65歳未満、65歳以上)、ECOG(0、1)、性別(女性、男性)、および地理的領域(西欧/アメリカ、東欧/ロシア)を含んでいた。相互作用の試験を多変量モデル内で行った。
【0073】
単変量解析からのベリパリブ/カルボプラチン/パクリタキセルによる改善されたPFSまたはOS(p<0.10)に関連する因子は、現在の喫煙、男性の性別、年齢65歳未満、ECOGグレード1、東部地域および扁平上皮組織学であった(表2)。上記の因子を含む多変量Cox PH解析は、改善されたPFS(VCP/CP HR 0.409、p=0.040)およびOS(VCP/CP HR 0.454、p=0.038)の単一の最も予測的な因子として現在の喫煙を確認した。
【0074】
【表2】
【0075】
多変量モデリングは、現在喫煙がベリパリブによる改善された転帰と強く関連していることを示唆しており、他の単変量の関連性は、これらの特徴を有する患者の喫煙によるものである可能性がある。
【0076】
自己報告の現在喫煙者に見られたベリパリブの利益は喫煙の化学的証拠を有する患者(コチニンが10ng/mLを超える全ての患者)および重度喫煙者(現在喫煙者および前喫煙者の中で喫煙指数39以上)においても観察された(
図3から6参照)。喫煙指数は、「患者によって報告された喫煙年数」×「1日当たりの箱数」として計算し、結果は喫煙指数39の中央値よりも上または下の報告された喫煙指数であった。他のグループでは同様の利益は見られなかった。喫煙の化学的根拠のない患者では、PFSおよびOSについて0.966および0.921のHRがそれぞれ観察され、軽度喫煙者(喫煙指数39未満)ではPFSおよびOSについて0.971および0.808のHRがそれぞれ観察された。
【0077】
最近の喫煙の証拠のない患者(コチニン低値、10ng/mL以下)と比較して、最近の喫煙の化学的証拠(コチニン高値
b、10ng/mL超過)を有する患者について薬物動態パラメーターを評価した。コチニンが高い患者およびコチニンが低い患者の間では、ベリパリブPKパラメーターに有意な差はなかった(表3および
図7参照)。さらに、カルボプラチンまたはパクリタキセルのレベルの明確な差異は、コチニンが高い患者およびコチニンが低い患者の間で確認されなかった
【0078】
【表3】
【0079】
これらの結果は、PARP阻害が、喫煙により肺癌を発症した対象にとって優先的に有益であることを示唆している。喫煙者であった患者の間でベリパリブにより提供される利益は、ベリパリブまたは他のPARP阻害剤による先行の臨床研究、すなわち前臨床研究から予期せぬものであった。癌治療中のPARP阻害剤の利益と喫煙との関係は、臨床研究ではこれまで記載されていない。このような関係は、動物モデルにおける癌の研究では通常、タバコの煙に動物をさらすことを含まないため、前臨床研究では報告されていない。
【0080】
注目すべきは、実施例における喫煙者の生存利益の大きさは、肺癌化学療法の最近の改善(Wozniak AJら、Randomized trial comparing cisplatin with cisplatin plus vinorelbine in the treatment of advanced non−small−cell lung cancer: a SouthwestOncology Group study. J Clin Oncol. 1998 Jul;16(7):2459−65.; Sandler ABら Phase III trial of gemcitabine plus cisplatin versus cisplatin alone in patients with locally advanced or metastatic non−small−cell lung cancer. J Clin Oncol. 2000 Jan;18(1):122−30.; Shepherd FAら Erlotinib in previously treated non−small−cell lung cancer. N Engl J Med. 2005;353(2):123−32.; Sandler A, Gray R, Perry MCら Paclitaxel−carboplatin alone or with bevacizumab for non−small−cell lung cancer. N Engl J Med. 2006;355(24):2542−50.; Scagliotti GV, Parikh P, von Pawel J,ら Phase III study comparing cisplatin plus gemcitabine with cisplatin plus pemetrexed in chemotherapy−naive patients with advanced−stage non−small−cell lung cancer. J Clin Oncol. 2008;26(21):3543−51.)と比較して、予想外に大きいことであった。過去15年間に進行性または転移性肺癌のための新たな化学療法ベースの治療法の導入をもたらした研究により、生存期間の中央値における1から2ヶ月が過去標準に追加された(上記実施例に記載した試験に参加した喫煙者の中央生存期間における7ヶ月の改善と比較して)。このように、PARP阻害剤を肺癌のための化学療法と共に、または延長線上で考えてその他の喫煙に関連する癌に使用することは、喫煙者の現在の標準的治療法にとって重要な改善である。
【国際調査報告】