(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-527695(P2017-527695A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(54)【発明の名称】ロジウム合金
(51)【国際特許分類】
C22C 5/04 20060101AFI20170825BHJP
H01T 13/39 20060101ALI20170825BHJP
C22F 1/14 20060101ALN20170825BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20170825BHJP
【FI】
C22C5/04
H01T13/39
C22F1/14
C22F1/00 613
C22F1/00 621
C22F1/00 622
C22F1/00 625
C22F1/00 626
C22F1/00 630D
C22F1/00 630K
C22F1/00 640A
C22F1/00 651B
C22F1/00 661A
C22F1/00 681
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 630M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-504428(P2017-504428)
(86)(22)【出願日】2015年7月31日
(85)【翻訳文提出日】2017年3月22日
(86)【国際出願番号】GB2015052236
(87)【国際公開番号】WO2016016666
(87)【国際公開日】20160204
(31)【優先権主張番号】1413722.8
(32)【優先日】2014年8月1日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クープランド, ダンカン ロイ
(72)【発明者】
【氏名】マグラス, ロバート ブリンレイ
【テーマコード(参考)】
5G059
【Fターム(参考)】
5G059AA04
5G059DD02
5G059DD04
5G059EE02
5G059EE04
(57)【要約】
本発明は、ロジウム合金を含む電極を提供し、前記ロジウム合金は、
i)ロジウム、及び
ii)ニッケル
を含み、前記合金は、前記合金の任意の他の個々の元素に比べて、より多くの量のロジウムを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジウム合金を含む電極であって、前記ロジウム合金が、
i)ロジウム、及び
ii)ニッケル
を含み、前記合金が、前記合金の任意の他の個々の元素に比べて、より多くの量のロジウムを含む、電極。
【請求項2】
前記ロジウム合金が、
iii)イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される1つ又は複数の元素をさらに含む、請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記ロジウム合金が、
a)約50重量%以上のロジウム、
b)各々最大で約49.99重量%の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、
c)最大で約35重量%のルテニウム、
d)約0.01から約49.99重量%のニッケル、
e)各々最大で約5重量%の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、並びに
f)任意選択的に、各々約0.01から約1.00重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素
を含み、前記ロジウム合金の総重量%が100重量%となる、請求項1に記載の電極。
【請求項4】
前記ロジウム合金が、
a)約75重量%以上のロジウム、
b)各々0重量%の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、
c)0重量%のルテニウム、
d)約0.01から約25重量%のニッケル、
e)各々最大で約5重量%の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、並びに
f)任意選択的に、各々約0.01から約1.00重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素
を含み、前記ロジウム合金の総重量%が100重量%となる、請求項1に記載の電極。
【請求項5】
前記ロジウム合金が、
a)約50から約95重量%以上のロジウム、
b)各々最大で約25重量%の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、
c)最大で約35重量%のルテニウム、
d)約0.01から約49.99重量%のニッケル、
e)各々最大で約5重量%の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、並びに
f)任意選択的に、各々約0.01から約0.50重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素
を含み、前記ロジウム合金が、イリジウム、白金、パラジウム、又はルテニウムのうちの少なくとも1つを含み、且つ
前記ロジウム合金の総重量%が100重量%となる、請求項1に記載の電極。
【請求項6】
前記ロジウム合金が、
からなる群より選択される、請求項1に記載の電極。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電極を含む点火プラグ。
【請求項8】
電極又は点火プラグにおけるロジウム合金の使用であって、前記ロジウム合金が、
i)ロジウム、及び
ii)ニッケル
を含み、前記合金の任意の他の個々の元素に比べて、より多くの量のロジウムを含む、使用。
【請求項9】
前記ロジウム合金が、
iii)イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される1つ又は複数の元素をさらに含む、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記ロジウム合金が、
a)約50重量%以上のロジウム、
b)各々最大で約49.99重量%の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、
c)最大で約35重量%のルテニウム、
d)約0.01から約49.99重量%のニッケル、
e)各々最大で約5重量%の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、並びに
f)任意選択的に、各々約0.01から約1.00重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素
を含み、前記ロジウム合金の総重量%が100重量%となる、請求項8に記載の使用。
【請求項11】
前記ロジウム合金が、
a)約75重量%以上のロジウム、
b)各々0重量%の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、
c)0重量%のルテニウム、
d)約0.01から約25重量%のニッケル、
e)各々最大で約5重量%の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、並びに
f)任意選択的に、各々約0.01から約1.00重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素
を含み、前記ロジウム合金の総重量%が100重量%となる、請求項8に記載の使用。
【請求項12】
前記ロジウム合金が、
a)約50から約95重量%以上のロジウム、
b)各々最大で約25重量%の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、
c)最大で約35重量%のルテニウム、
d)約0.01から約49.99重量%のニッケル、
e)各々最大で約5重量%の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、並びに
f)任意選択的に、各々約0.01から約0.50重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素
を含み、前記ロジウム合金が、イリジウム、白金、パラジウム、又はルテニウムのうちの少なくとも1つを含み、且つ
前記ロジウム合金の総重量%が100重量%となる、請求項8に記載の使用。
【請求項13】
前記ロジウム合金が、
からなる群より選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項14】
ロジウム合金であって、
i)ロジウム、
ii)ニッケル、並びに
iii)イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される1つ又は複数の元素
を含み、前記合金の任意の他の個々の元素に比べて、より多くの量のロジウムを含む、ロジウム合金。
【請求項15】
前記合金が、
a)約50重量%以上のロジウム、
b)各々最大で約49.99重量%の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、
c)最大で約35重量%のルテニウム、
d)約0.01から約49.99重量%のニッケル、
e)各々最大で約5重量%の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、並びに
f)各々約0.01から約1.00重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素
を含み、前記ロジウム合金の総重量%が100重量%となる、請求項14に記載のロジウム合金。
【請求項16】
前記合金が、
a)約75重量%以上のロジウム、
b)各々0重量%の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、
c)0重量%のルテニウム、
d)約0.01から約25重量%のニッケル、
e)各々最大で約5重量%の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、並びに
f)各々約0.01から約1.00重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素
を含み、前記ロジウム合金の総重量%が100重量%となる、請求項14に記載のロジウム合金。
【請求項17】
前記合金が、
a)約50から約95重量%以上のロジウム、
b)各々最大で約25重量%の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、
c)最大で約35重量%のルテニウム、
d)約0.01から約49.99重量%のニッケル、
e)各々最大で約5重量%の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、バナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、並びに
f)各々約0.01から約0.50重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素
を含み、前記ロジウム合金が、イリジウム、白金、パラジウム、又はルテニウムのうちの少なくとも1つを含み、且つ
前記ロジウム合金の総重量%が100重量%となる、請求項14に記載のロジウム合金。
【請求項18】
前記合金が、
からなる群より選択される、請求項14に記載のロジウム合金。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケルを含むロジウム合金に関し、特にスパーク点火電極としての合金の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第2007/194681号(Denso Corporation)は、内燃機関用の点火プラグを説明しており、中心電極又は接地電極のうちの少なくとも1つが、ロジウム、並びに元素周期表で列挙されているような希土類元素、IVA族元素、及びVA族元素から選択される1つ又は複数の0.3%から2.5重量%の添加物を含む。米国特許第2007/194681号は、ニッケル又は第2白金族金属(PGM)を含む合金を記載していない。
【0003】
欧州特許第2738892A(NGK Sparkplug Co. Ltd.)は、先端を含む点火プラグを説明している。点火プラグの先端は、3質量%から35質量%の量の元素群M(Mは、Pt又はRhの少なくとも1つの種からなる)、及び0質量%から15質量%の量の元素群L(Lは、Ir、Ru、及びPtの少なくとも1つの種からなる)を含む。元素群M及び元素群Lの総量は、3重量%から35重量%であり、Ni、元素群M,及び元素群Lの総量は、少なくとも94質量%である。したがって、Niの量は、59質量%から97質量%である。
【0004】
J.R.Handley(Platinum Metals Review、1989年,33,(2),64−72及び1990年,34,(4),192−204)は、二元系、三元系、及び複合ロジウム合金について説明している。いずれの雑誌記事も、本発明の合金又はスパーク点火電極としての合金の使用を記載していない。
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、点火への露出により生じるような摩耗に対する耐性が向上したロジウム合金を開発した。特定の実施形態では、合金は、さらに製造が容易である。特定の実施形態では、合金は、平均程度に優れた成形性から非常に優れた成形性までを示している。すなわち、合金は、破砕や断裂によって著しく破損することなく、塑性変形することができる。特定の実施形態では、合金は、被溶接性を示す。
【0006】
したがって、一態様では、本発明は、ロジウム合金を含むスパーク点火電極を提供し、前記ロジウム合金は、
i)ロジウム、及び
ii)ニッケル
を含み、前記合金は、前記合金の任意の他の個々の元素に比べて、より多くの量のロジウムを含む。
【0007】
別の態様では、本発明は、本明細書で規定された電極を含む点火プラグを提供する。
【0008】
さらに別の態様では、本発明は、電極又は点火プラグにおける、本明細書で規定されたロジウム合金の使用を提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は、
i)ロジウム、
ii)ニッケル、及び
iii)イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される1つ又は複数の元素
を含むロジウム合金であって、
前記合金の任意の他の個々の元素に比べて、より多くの量のロジウムを含む、ロジウム合金を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述のように、本発明は、ロジウム合金を含むスパーク点火電極を提供し、前記ロジウム合金は、
i)ロジウム、及び
ii)ニッケル
を含み、前記合金は、前記合金の任意の他の個々の元素に比べて、より多くの量のロジウムを含む。
【0011】
ベース合金が純粋なロジウムであると推定して、各元素の量が提示されているが、実際には、ロジウム及び合金元素は、このような金属で通常想定される程度の不純物を含み得ると理解されたい。
【0012】
ロジウムは、高融点及び高沸点、並びに優れた耐酸化性及び耐食性を示す白金族金属(PGM)である。ロジウムは、さらに低蒸気圧及び高熱伝導性を示し、上述の特性と合わせて、スパーク点火電極としての使用に適した潜在性を有する。しかしながら、ロジウム金属自体は、その比較的貧弱な機械特性及び比較的低い密度のゆえに、スパーク点火電極として適切に利用することができない。本発明者らは、スパーク点火電極を貧弱なものとするロジウムの特性は、選択的合金化によって改善することができることを発見した。この点において、本明細書に記載されたロジウム合金は、合金内の主元素としてロジウムを含む。したがって、ロジウムは、合金の任意の他の個々の元素(重量パーセント(重量%)で表現)と比べて、合金内で最も多い量(さらに重量パーセント(重量%)で表現)で存在する。合金の任意の他の元素は、ロジウムに比較して、個々としてマイナーな元素である。
【0013】
合金の各元素又は元素の組み合わせは、範囲として表され得るが、ロジウム合金の総重量%は、100重量%となる。
【0014】
ロジウム合金は、約≧30重量%のロジウム(約≧40重量%のロジウム、約≧50重量%のロジウムなど)を含み得る。一実施形態では、ロジウム合金は、約30から99重量%のロジウム(約30から約95重量%のロジウム、例えば、約40から約90重量%のロジウムなど)を含み得る。一好適実施形態では、ロジウム合金は、約40から約99重量%のロジウム(約45から約95重量%、例えば、約47から約90重量%など)を含み得る。
【0015】
ロジウムは、イリジウム、白金、又はパラジウムのうちの少なくとも1つで合金化され得る。この点において、各々最大で約49.99重量%(例えば、約0.01から約49.99重量%)の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される1つ又は複数の元素が存在し得る。イリジウム、白金、及びパラジウムは、ロジウムに対して優れた個体溶解度を有しており、ロジウム合金の調製にあたって、合金元素として適している。一実施形態では、ロジウム合金は、最大で約49.99重量%のイリジウム(0から約40重量%、例として、約0.01から約25重量%、例えば、約0.1から約20重量%又は約0.5から約15重量%のイリジウム)を含み得る。別の実施形態では、ロジウム合金は、最大で約49.99重量%の白金(0から約40重量%、例として、約0.01から約25重量%、例えば、約0.1から約20重量%の白金)を含み得る。別の実施形態では、ロジウム合金は、最大で約49.99重量%のパラジウム(0から約40重量%、例として、約0.01から約25重量%、例えば、約0.1から約20重量%のパラジウム)を含み得る。
【0016】
ルテニウムは、 ロジウム合金内に存在するとき、最大で約35重量%存在し得る。この点について、通常、ルテニウムの量を約≦35重量%に制限することが望ましく、なぜなら、単相固溶体が保持されながらも、ロジウム内のルテニウムの個体溶解度がこの範囲内において優れているからである。ルテニウムは、その耐食性がイリジウムの耐食性と似ているため、合金元素として適している。したがって、ロジウム金属単体に比べて、ルテニウム(及び/又はイリジウム)が存在することにより、ロジウム合金の耐食性が改善される。ルテニウムは、さらに高融点、高沸点、高原子量、及び高熱伝導性を示しており、そのすべての特性は、スパーク浸食に対する耐性として好適である。ロジウム合金は、ルテニウムを含まない場合があり、すなわち、0重量%のルテニウムであり得る。代替的に、ロジウム合金は、約0.01から約35重量%のルテニウム(約0.1から約34重量%、例として、約1から約32重量%、例えば、約5から約31重量%のルテニウム)を含み得る。
【0017】
ロジウム合金は、約0.01から約49.99重量%のニッケルを含み得る。ニッケルは、ロジウムにおいて優れた個体溶解度を有しており、ロジウム合金の調製にあたって、合金元素として適している。ニッケルが存在することにより、スパーク先端の点火電極本体への接合に使用される任意の溶接工程において、適合性が改善される。さらに、試験中の目視観察に基づいて、ニッケルの添加によって合金の電気抵抗率が上昇するため、電極が発するスパーク電力が上昇すると推測される。ロジウム合金は、約1から約48重量%のニッケル(約5から約45重量%、例えば、約6から約45.5重量%、例として、約7から約44重量%、例えば、約8から約43重量%のニッケル)を含み得る。
【0018】
ロジウム合金は、各々最大で約5重量%(約0から約5重量%)の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、パナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステン、好ましくは、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、及びタングステン、より好ましくは、クロム、タングステン及び/又はモリブデン(例えば、クロム及び/又はタングステン)からなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素をさらに含み得る。理論に縛られることを望むわけではないが、これらの元素の含有は、合金に延性をもたせ、すなわち、合金の変形に対する耐性を向上させ、合金の製造を容易にすると考えられている。ロジウム合金は、各々≧約0.01重量%(≧約0.05重量%、≧約0.1重量%、≧約0.15重量%又は≧約0.2重量%など)の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、パナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステン、好ましくは、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、及びタングステンからなる群から選択される元素を含み得る。ロジウム合金は、各々≦約4.5重量%(≦約4.0重量%、≦約3.5重量%、≦約3.0重量%、≦約2.5重量%、≦約2.0重量%、≦約1.5重量%、≦約1.0重量%、≦約0.5重量%、≦約0.4重量%、又は≦約0.3重量%など)の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、パナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステン、好ましくは、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、及びタングステンからなる群から選択される元素を含み得る。一実施形態では、各々約0.01から約5重量%(約0.05から約2.5重量%、例えば、約0.1から約1.0重量%など)が存在し得る。クロムが存在するとき、クロムは、0から約5重量%(約2.5から約5重量%、例えば、約3から約5重量%又は0から約1重量%(約0.2重量%など))で存在し得る。タングステンが存在するとき、タングステンは、約0.1から約0.5重量%(約0.1から約0.3重量%)で存在し得る。
【0019】
ロジウム合金は、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される1つ又は複数の元素、好ましくはジルコニウムを含み得る。理論に縛られることを望むわけではないが、これらの元素の含有は、上述のように合金に延性をもたせることができると考えられている。さらに、元素(具体的にはジルコニウム)は、粒界(すなわち、種々の配向の結晶格子間の境界)を通じる転移運動を妨げる場合があり、結晶成長を制限するか、遅くすると考えられている。したがって、結晶成長は、微細粒組織が確実に保持される温度で低減するように見える。ロジウム合金は、各々約0.01から約1重量%(約0.01から約0.50重量%など)の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。ロジウム合金は、各々≧約0.015重量%、≧約0.02重量%、≧約0.025重量%又は≧約0.030重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。ロジウム合金は、各々≦約0.45重量%、≦約0.40重量%、≦約0.35重量%、≦約0.30重量%、≦約0.25重量%、≦約0.20重量%、≦約0.15重量%、≦約0.10重量%、≦約0.05重量%又は≦約0.04重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。
【0020】
一実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約0.50重量%のジルコニウムを含み得る。ロジウム合金は、≧約0.015重量%、≧約0.02重量%、≧約0.025重量%又は≧約0.030重量%のジルコニウムを含み得る。ロジウム合金は、≦約0.45重量%、≦約0.40重量%、≦約0.35重量%、≦約0.30重量%、≦約0.25重量%、≦約0.20重量%、≦約0.15重量%、≦約0.10重量%、≦約0.05重量%又は≦約0.04重量%のジルコニウムを含み得る。
【0021】
別の実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約0.50重量%のイットリウムを含み得る。ロジウム合金は、≧約0.015重量%、≧約0.02重量%、≧約0.025重量%又は≧約0.030重量%のイットリウムを含み得る。ロジウム合金は、≦約0.45重量%、≦約0.40重量%、≦約0.35重量%、≦約0.30重量%、≦約0.25重量%、≦約0.20重量%、≦約0.15重量%、≦約0.10重量%、≦約0.05重量%又は≦約0.04重量%のイットリウムを含み得る。
【0022】
さらに別の実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約0.50重量%のサマリウムを含み得る。ロジウム合金は、≧約0.015重量%、≧約0.02重量%、≧約0.025重量%又は≧約0.030重量%のサマリウムを含み得る。ロジウム合金は、≦約0.45重量%、≦約0.40重量%、≦約0.35重量%、≦約0.30重量%、≦約0.25重量%、≦約0.20重量%、≦約0.15重量%、≦約0.10重量%、≦約0.05重量%又は≦約0.04重量%のサマリウムを含み得る。
【0023】
例えば、イットリウム、ジルコニウム、及び/又はサマリウムの酸化物ではなくて、元素のイットリウム、ジルコニウム、及び/又はサマリウムが利用されることが認識されよう。この点において、酸化物は、通常、既に調製された合金に添加され、その中で機械的に混合される。これは、合金の合成中に形成される連続溶液内で溶解される元素のイットリウム、ジルコニウム、及び/又はサマリウムとは対照的である。したがって、イットリウム、ジルコニウム、及び/又はサマリウムは、合金化成分である。
【0024】
一好適実施形態では、ロジウム合金は、各々約0.02から約0.20重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、各々約≧0.03重量%(約≧0.04重量%など)の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約≦0.175重量%(約≦0.15重量%など、例えば、約≦0.125重量%又は≦0.1重量%)の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。
【0025】
一実施形態では、ロジウム合金は、
a)約70重量%以上(約75重量%など)のロジウム、
b)各々0重量%の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、
c)0重量%のルテニウム、
d)約0.01から約35重量%(例えば、約0.01から約25重量%)のニッケル、
e)各々最大で約5重量%の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、パナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、並びに
f)任意選択的に、各々約0.01から約0.50重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素
を含み、ロジウム合金の総重量%は、100重量%となる。
【0026】
一好適実施形態では、ロジウム合金は、約≧72重量%(例として、≧76重量%、例えば、約≧77重量%(約≧78重量%又は約≧79重量%など))のロジウムを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約≦94重量%(例えば、約≦93重量%(約≦92重量%又は約≦91重量%など))のロジウムを含み得る。一好適実施形態では、ロジウム合金は、約80重量%のロジウムを含む。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約90重量%のロジウムを含む。
【0027】
一好適実施形態では、ロジウム合金は、約10から約35重量%(約15から約25重量%など)のニッケルを含む。一好適実施形態では、ロジウム合金は、約≧16重量%(例えば、約≧17重量%(約≧18重量%又は約≧19重量%など))のニッケルを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約≦35重量%(例えば、約≦34重量%(約≦33重量%、約≦32重量%、又は約≦31重量%など))のニッケルを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約≦24重量%(例えば、約≦23重量%(約≦22重量%、約≦21重量%、又は約≦20重量%など))のニッケルを含み得る。特に好適な一実施形態では、ロジウム合金は、約19.86重量%のニッケルを含む。特に好適な一実施形態では、ロジウム合金は、約20重量%のニッケルを含む。特に好適な一実施形態では、ロジウム合金は、約30.5重量%のニッケルを含む。
【0028】
一好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のニオブを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のタンタルを含み得る。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のチタンを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のクロムを含み得る。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のモリブデンを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のコバルトを含み得る。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のレニウムを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のパナジウムを含み得る。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のアルミニウムを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のハフニウムを含み得る。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のタングステンを含み得る。ロジウム合金がタングステンを含むとき、当該タングステンは、約0.05から約2.5重量%(約0.06から約1.5重量%など)、例えば、約0.07から約1重量%(例えば、約0.1から約0.3重量%など)で存在し得る。
【0029】
一好適実施形態では、ロジウム合金は、各々約0.01から約5重量%の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、パナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステン、好ましくは、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、及びタングステン、より好ましくは、クロム、及び/又はタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含む。ロジウム合金は、各々約≧0.025重量%(例えば、約≧0.05重量%(約≧0.075重量%又は約≧0.10重量%など))の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、パナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。ロジウム合金は、各々約≦0.5重量%(例として、約≦2.50重量%、例えば、約≦2.00重量%(約≦1.50重量%又は約1.00重量%など))の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、パナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。特に好適な一実施形態では、ロジウム合金は、約2.5重量%のモリブデンを含む。別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約3.4重量%又約5.0重量%のクロムを含む。別の好適な実施形態では、ロジウム合金は、約3.0重量%のアルミニウムを含む。
【0030】
一実施形態では、ロジウム合金は、ジルコニウム、イットリウム、又はサマリウムを含まない。
【0031】
別の実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約0.50重量%のジルコニウムを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約0.50重量%のイットリウムを含み得る。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約0.50重量%のサマリウムを含み得る。
【0032】
一好適実施形態では、ロジウム合金は、各々約0.02から約0.20重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、各々約≧0.03重量%(約≧0.04重量%など)の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約≦0.175重量%(約≦0.15重量%、例えば、約≦0.125重量%)の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。
【0033】
一実施形態では、ロジウム合金は、
a)約50から約95重量%以上のロジウム、
b)各々最大で約25重量%の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、
c)最大で約35重量%のルテニウム、
d)約0.01から約49.99重量%のニッケル、
e)各々最大で約5重量%の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、パナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素、並びに
f)任意選択的に、各々約0.01から約0.50重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素
を含み、
ロジウム合金は、イリジウム、白金、パラジウム、又はルテニウムのうちの少なくとも1つを含み、且つ
ロジウム合金の総重量%は100重量%となる。
【0034】
一好適実施形態では、ロジウム合金は、約≧51重量%(例えば、約≧52重量%(約≧53重量%、約≧54重量%、又は約≧55重量%など))のロジウムを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約≦80重量%(例えば、約≦79重量%(約≦78重量%、約≦77重量%、約≦76重量%、又は約≦75重量%など))のロジウムを含み得る。特に好適な一実施形態では、ロジウム合金は、約55重量%のロジウムを含む。別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約74重量%のロジウムを含む。さらに別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約75重量%のロジウムを含む。別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約65重量%のロジウムを含む。さらに別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約50重量%のロジウムを含む。別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約60重量%のロジウムを含む。別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約75重量%のロジウムを含む。別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約57.5重量%のロジウムを含む。別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約54.5重量%のロジウムを含む。別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約63.1重量%のロジウムを含む。
【0035】
この実施形態では、ロジウム合金は、イリジウム、白金、パラジウム、又はルテニウムのうちの少なくとも1つを含む。ロジウム合金は、各々、最大で約25重量%(例えば、約0.01から約25重量%)、好ましくは、約0.1から約0.20重量%、より好ましくは、約1から約15重量%の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなるところから構成された1つ又は複数の元素を含み得る。一好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約25重量%、好ましくは、約0.1から約20重量%、より好ましくは、約1から約15重量%のイリジウムを含む。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約25重量%、好ましくは、約0.1から約20重量%、より好ましくは、約1から約15重量%の白金を含む。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約25重量%、好ましくは、約0.1から約20重量%、より好ましくは、約1から約15重量%のパラジウムを含む。
【0036】
特に好適な一実施形態では、ロジウム合金は、各々約≧0.1重量%(例えば、約≧0.5重量%(約≧0.6重量%又は約≧0.7重量%)の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、各々約≦20重量%(例えば、約≦15重量%(約≦10重量%など)の、イリジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。
【0037】
一好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約35重量%(約2.5から約33重量%など、例えば、約5.0から約31重量%)のルテニウムを含み得る。特に好適な一実施形態では、ロジウム合金は、約5から約10重量%(例えば、約7.5重量%)のルテニウムを含む。別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約15から約25重量%(約20重量%(例えば、19.86重量%)など)のルテニウムを含む。さらに別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約25から約35重量%(約30重量%(例えば、29.86重量%)など)のルテニウムを含む。
【0038】
別の好適実施形態では、ロジウム合金は、ルテニウムを含まない場合があり、すなわち、0重量%のルテニウムであり得る。
【0039】
一好適実施形態では、ロジウム合金は、約5から約45重量%のニッケルを含む。一好適実施形態では、ロジウム合金は、約≧6重量%(例えば、約≧7重量%(約≧8重量%、約≧9重量%、又は約≧10重量%など))のニッケルを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約≦44重量%(例えば、約≦43重量%(約≦42重量%など))のニッケルを含み得る。特に好適な一実施形態では、ロジウム合金は、約42重量%のニッケルを含む。別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約15.5重量%のニッケルを含む。さらに別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約25重量%のニッケルを含む。別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約30重量%のニッケルを含む。さらに別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約10重量%のニッケルを含む。さらに別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約5重量%のニッケルを含む。さらに別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約45重量%のニッケルを含む。さらに別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約30重量%のニッケルを含む。さらに別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約41.5重量%のニッケルを含む。さらに別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約42重量%のニッケルを含む。
【0040】
一好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のニオブを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のタンタルを含み得る。さらに別の特に好適な実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%(約0.5から約2.5重量%(例えば、約1重量%)など)のチタンを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のクロムを含み得る。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のモリブデンを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のコバルトを含み得る。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のレニウムを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のパナジウムを含み得る。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のアルミニウムを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のハフニウムを含み得る。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約5重量%のタングステンを含み得る。ロジウム合金がタングステンを含むとき、当該タングステンは、約0.05から約2.5重量%(約0.06から約1.5重量%など)、例えば、約0.07から約1重量%(例えば、約0.1から約0.3重量%など)で存在し得る。
【0041】
一好適実施形態では、ロジウム合金は、各々約0.01から約5重量%の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、パナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステン、好ましくは、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、及びタングステン、より好ましくは、クロム、及び/又はタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。ロジウム合金は、各々約≧0.025重量%(例えば、約≧0.05重量%(約≧0.075重量%又は約≧0.10重量%など))の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、パナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。ロジウム合金は、各々約≦2.50重量%(例えば、約≦2.00重量%(約≦1.50重量%又は約≦1.00重量%など))の、ニオブ、タンタル、チタン、クロム、モリブデン、コバルト、レニウム、パナジウム、アルミニウム、ハフニウム、及びタングステンからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。
【0042】
一実施形態では、ロジウム合金は、ジルコニウム、イットリウム、又はサマリウムを含まない。
【0043】
一好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約0.50重量%のジルコニウムを含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約0.50重量%のイットリウムを含み得る。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、約0.01から約0.50重量%のサマリウムを含み得る。
【0044】
別の好適実施形態では、ロジウム合金は、各々約0.02から約0.40重量%の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。別の好適実施形態では、ロジウム合金は、各々約≧0.03重量%(約≧0.04重量%など)の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。さらに別の好適実施形態では、ロジウム合金は、各々約≦0.35重量%(約≦0.30重量%など)の、イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される任意の1つ又は複数の元素を含み得る。
【0045】
本発明に係るロジウム合金は、次の表の元素からなる群から選択され得る。
【0047】
特定の実施形態では、ロジウム合金は、合金Dを含まない。特定の実施形態では、ロジウム合金は、合金Eを含まない。特定の実施形態では、ロジウム合金は、合金Fを含まない。特定の実施形態では、ロジウム合金は、合金Gを含まない。
【0048】
本発明のロジウム合金は、その改良された物理的及び機械的特性により、高温又は荷重支持用途での使用に適したものとなる。本発明の合金は、浸食に対して優れた耐性を示すので、点火用途において、例えば、点火プラグの構成要素として使用してもよい。この合金は、さらに、電極としての使用、並びにステントなどの一部の生体医学用途に適する場合がある。この合金は、さらに、ピンニングワイヤーやセンサのリード線として適する場合がある。上述の例は、本発明の合金の数多くの潜在的な使用の例示に過ぎず、したがって、何らか限定的であることを意図していない。
【0049】
別の態様では、本発明は、電極又は点火プラグにおけるロジウム合金の使用を提供しており、
ロジウム合金は、
i)ロジウム、及び
ii)ニッケル
を含み、前記合金は、前記合金の任意の他の個々の元素に比べて、より多くの量のロジウムを含む。
【0050】
ロジウム合金は、上記で概して記載された通りである。
【0051】
一実施形態では、ロジウム合金は、電極において使用され得る。別の実施形態では、ロジウム合金は、点火プラグにおいて使用され得る。
【0052】
別の態様では、本発明は、
i)ロジウム、
ii)ニッケル、及び
iii)イットリウム、ジルコニウム、及びサマリウムからなる群から選択される1つ又は複数の元素
を含むロジウム合金を提供しており、
前記合金は、前記合金の任意の他の個々の元素に比べて、より多くの量のロジウムを含む。
【0053】
ロジウム合金は、上記で概して記載された通りである。
【0054】
ロジウム合金は、既知の方法によって製造してもよく、任意の適切な形態に製作してもよい。破断伸び又は延性が改善されることにより、この合金は、特にワイヤへの引き込みに適するようになるが、さらに、管、シート、粒子、粉末、又はその他の一般的な形状の準備に使用されてもよい。この合金は、さらに吹付け被覆用途において使用してもよい。
【0055】
実施形態及び/又は本発明の任意選択的な特徴が以下に記載されている。本発明の任意の態様は、文脈上他のことが要求されていない限り、本発明の任意の他の態様と組み合わせてもよい。文脈上他のことが要求されていない限り、任意の実施形態又は任意の態様の任意選択的な特徴は、単独で又は組み合わせで、本発明の任意の態様と組み合わせてもよい。
【0056】
これより、本発明は、下記の図面を参照しながら、下記の非限定的な実施例を通して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】製造されたロジウム合金(合金B)のワイヤを通る断面を示す。
【
図2】15分間、1100℃でアニールされて、ダイの中で圧縮されたロジウム合金(合金B)を示す。
【0058】
実施例
実施例1
合金調製
下記の表1で詳述されたロジウム合金は、アルゴンアーク溶解によって調製される。すべての値は、合金の総重量に基づいて、重量パーセント(重量%)で示されている。
【0059】
【0060】
各合金は、1mm又は2mmの直径を有するワイヤを製作するように続けて処理される。
【0061】
実施例2
成形性能試験
1.合金Bの1〜2mm直径のワイヤが、50mmの長さで切断される。実際の直径は記録される。
図1は、ワイヤを通る断面を示す。
2. 成形性能が条件に左右されるかどうかを検査するため、ワイヤの試料が、示された通りの、アニールされた条件で評価される。ワイヤの試料は、15分間、空気中で1100℃でアニールされる。
3.評価にあたっては、はずみプレスで保持された矩形状の空洞を囲む特注ダイセットが使用される。
4.ワイヤの試料は、適切な空洞の中に置かれ、試料を空洞の中に押し込めるためにプレスが閉じられる。プレスは手動で行われる。
5.プレスの後、ワイヤの試料は、顕微鏡並びに究極的には測定を可能にする断面研磨及び金属組織調製(metallographic preparation)によって、視覚的に検査され、変形度合が決定され、試料が無傷で保存されたかどうかが検査される。
6.合金の成形性能の査定は、何らかの亀裂の存在、亀裂の相対的な大きさ(長さ/幅)、並びに元の直径に比較した変形したワイヤの相対的な厚さから計算された変形度合に基づく。
【0062】
図1及び
図2は、この合金が高い度合の変形性能を有しており、実質的に亀裂が生じないことを示している。
【0063】
実施例3
電極の検証
本発明のロジウム合金のイリジウム標準及びロジウム標準は、1mmの直径を有する電極ワイヤへと切断される。ワイヤは、適合する3mm直径のIr接地電極と共に、4つの固定試験セルに固定され、それらの間の空隙が調節され、ノギスで設定される。試験電極は負極性に設定され、接地電極は正極性に設定され、浸食が適切な電極に集中する。
【0064】
試験は、200Hzで各々の対の電極に印加される自動車の点火コイルによって駆動された10kVの電気パルスで開始される。これにより、典型的な自動車エンジンで発生するような、電極間の、連続する一連の迅速なスパーク放電が開始される。試験セルは、機能性を確認するために間隔をおいて視覚的に検査され、約250時間後に放電が停止し、電極の空隙が再度測定される。スパーク放電の数を計算することができる経過時間を測定するために試験開始時に使用されたカウンタが使用される。
【0065】
電極は試験セル内で再設定され、放電が再度開始される。さらに約250時間(合計で500時間の放電時間)後、試験が停止し、上述の空隙測定及び電極検査の工程が完了する。
【0066】
試験期間
試験期間及びスパークのおおよその数が計算された。したがって、20日間の試験に対しては、下記の通りである。
・20日×24時間/日=480時間
・480時間×3600秒/時間=1、728、000秒
・1、728、000秒×200スパーク/秒=345、600、000スパーク(試験ポイント毎)
【0067】
【0068】
100%Ir電極は、最悪(最大)の浸食を示しており、試験期間にわたって、空隙測定値が0.7mm+/−0.1mmで変化している。
【0069】
100%Rh、合金A、B、及びH−M電極は、100%Ir電極よりも浸食が少ないことを示す。合金L及びMの電極は、試験期間にわたって、100%Rh電極に対して同等の耐食性を示す。合金A、H、J、及びK電極は、試験期間にわたって100%ロジウム電極に対する0.3mm+/−0.1mmに比べて、0.2mm+/−0.1mmで空隙測定値が変化するため、100%Rh電極よりも優れた耐食性を示す。合金B及びIも、試験期間にわたって100%ロジウム電極に対する0.3mm+/−0.1mmに比べて、0.1mm+/−0.1mmで空隙測定値が変化するため、100%Rh電極よりも優れた耐食性を示す。
【国際調査報告】