(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-527757(P2017-527757A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(54)【発明の名称】電子弁用の弁コアおよび弁コアを有する電子弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20170825BHJP
F02B 37/16 20060101ALI20170825BHJP
B22F 5/00 20060101ALI20170825BHJP
【FI】
F16K31/06 305J
F16K31/06 385A
F16K31/06 305Z
F16K31/06 305G
F02B37/16 B
B22F5/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-510561(P2017-510561)
(86)(22)【出願日】2015年8月7日
(85)【翻訳文提出日】2017年4月19日
(86)【国際出願番号】EP2015068292
(87)【国際公開番号】WO2016026721
(87)【国際公開日】20160225
(31)【優先権主張番号】201410414829.6
(32)【優先日】2014年8月21日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201420474139.5
(32)【優先日】2014年8月21日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジアチアン チェン
(72)【発明者】
【氏名】シアングワン ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】グワンルイ スン
(72)【発明者】
【氏名】バイピン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル エム. モディーン
【テーマコード(参考)】
3G005
3H106
4K018
【Fターム(参考)】
3G005FA42
3G005GB18
3H106DA07
3H106DA13
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD03
3H106EE34
3H106EE35
3H106FB44
3H106GA22
3H106GA25
3H106KK17
4K018AA03
4K018BA02
4K018KA03
(57)【要約】
電子弁用の弁コアは、弁ヘッド(2)と、可動子(3)とを備え、弁ヘッド(2)および可動子(3)はガイドロッド(7)によって互いに接続されている。本発明は、弁コアを有する電子弁も提供する。本発明では、弁ヘッドおよび可動子がガイドロッドによって接続されており、弁ヘッドおよび可動子が直接的に接続される必要がないので、可動子の形状などの加工特徴に対する要求が低下し、これにより、可動子加工コストが低下する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子弁(1)用の弁コアであって、
該弁コアは、
弁ヘッド(2)と、
可動子(3)と、を備え、前記弁ヘッド(2)および前記可動子(3)はガイドロッド(7)によって互いに接続されていることを特徴とする、電子弁(1)用の弁コア。
【請求項2】
前記ガイドロッド(7)および前記可動子(3)は、締りばめによって互いに接続されている、請求項1記載の弁コア。
【請求項3】
前記ガイドロッド(7)は、固定部材(24)によって前記弁ヘッド(2)に接続されており、前記固定部材(24)は、前記ガイドロッド(7)に固定されて接続されており、前記ガイドロッド(7)の軸方向で前記弁ヘッド(2)と前記固定部材(24)との間に間隙が残されており、前記ガイドロッド(7)の半径方向で前記弁ヘッド(2)と前記ガイドロッド(7)との間に間隙が残されている、請求項1記載の弁コア。
【請求項4】
前記ガイドロッド(7)は、スナップリング(25)によって前記弁ヘッド(2)に接続されており、前記スナップリング(25)は前記弁ヘッド(2)に射出成形されており、前記ガイドロッド(7)の軸方向および前記ガイドロッド(7)の半径方向の両方において前記スナップリング(25)と前記ガイドロッド(7)との間に間隙が残されている、請求項1記載の弁コア。
【請求項5】
前記スナップリング(25)は、鋼材料から形成されており、前記スナップリング(25)および前記弁ヘッド(2)は、一体的に射出成形されている、請求項4記載の弁コア。
【請求項6】
電子弁(1)であって、
該電子弁(1)は、請求項1から5までのいずれか1項記載の弁コアを備え、前記電子弁(1)は、
上側ステータ(10)および下側ステータ(11)と、
ガイドロッド(7)を案内するための上側軸受(22)および下側軸受(23)と、
弁ヘッド(2)を付勢する弾性構成部材(4)と、
可動子(3)の周囲を包囲するスリーブ(8)と、
該スリーブ(8)を少なくとも部分的に包囲するボビン(5)と、
該ボビン(5)に巻き付けられたコイル(6)と、
をさらに備えることを特徴とする、電子弁(1)。
【請求項7】
前記上側軸受(22)は、前記上側ステータ(10)と締りばめ接続されているのに対し、前記下側軸受(23)は、前記スリーブ(8)と締りばめ接続されている、請求項6記載の電子弁。
【請求項8】
前記上側軸受(22)および前記下側軸受(23)は、銅ベースの粉末冶金学的元素から形成されている、請求項6記載の電子弁。
【請求項9】
前記スリーブ(8)は、透磁性材料から形成されている、請求項6記載の電子弁。
【請求項10】
前記弁コアの移動によって生じる高圧または真空を除去するために、前記上側軸受(22)および/または前記下側軸受(23)に溝および/または通気孔が設けられている、請求項6記載の電子弁。
【請求項11】
前記電子弁(1)は、パルスエネルギを吸収する電子構成部材(9)をさらに備える、請求項6記載の電子弁。
【請求項12】
前記パルスエネルギを吸収する電子構成部材(9)は、ダイオードである、請求項11記載の電子弁。
【請求項13】
前記電子弁は、過給式エンジンの圧縮ガスバイパス弁として使用される、請求項6記載の電子弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械の分野、特に電子弁用の弁コアに関し、および弁コアを有する電子弁に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多数の真空弁が自動車の技術分野で使用されている。これらの真空弁は、サイズが大きいことのみならず、真空管路および弁ゲートなどの所要の補機のために複雑な構造も有するという欠点を有している。電子弁は、真空弁と比較して、比較的単純な構造およびより小さなサイズを有するために利点を有している。しかしながら、従来技術では、可動子を使用し、弁ヘッドを駆動して移動させるために、弁ヘッドと可動子とは通常は直接的に接続されている。このため、可動子の形状などの加工特徴に対する要求が高くなり、可動子加工コストを増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明によって解決される課題は、電子弁用の弁コア、および弁コアを有する電子弁を提供することであり、本発明の弁コアおよび電子弁は、構造が単純であり、コストを節約する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、電子弁用の弁コアを提供し、弁コアは、弁ヘッドと、可動子とを備え、弁ヘッドおよび可動子はガイドロッドによって互いに接続されている。
【0005】
本発明は、電子弁であって、本発明によって提供された弁コアを備え、電子弁はさらに、上側ステータおよび下側ステータと、ガイドロッドを案内するための上側軸受および下側軸受と、弁ヘッドを付勢する弾性構成部材と、可動子の周囲を包囲するスリーブと、スリーブを少なくとも部分的に包囲するボビンと、ボビンに巻き付けられたコイルとを有する、電子弁も提供する。
【0006】
本発明の電子弁は、過給式エンジンの圧縮ガスバイパス弁として使用されてもよい。
【0007】
従来技術と比較して、本発明の弁コアおよび電子弁は以下の利点を有している。本発明の弁コアおよび電子弁では、弁ヘッドおよび可動子がガイドロッドによって接続されており、弁ヘッドおよび可動子が直接的に接続される必要がないので、可動子の形状などの加工特徴に対する要求が低下し、これにより、可動子加工コストが低下する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明による電子弁を有する過給式エンジンの圧縮ガス逆流管路の配列の構造を示している。
【
図2】本発明の1つの実施の形態による電子弁の断面図を概略的に示している。
【
図3】
図2に示した電子弁の様々な構成部材の分解図を概略的に示している。
【
図4】
図2に示した電子弁の一部を概略的に示している。
【
図5A】
図2に示した電子弁の部分を概略的に示している。
【
図5B】
図2に示した電子弁の部分を概略的に示している。
【
図6A】本発明の別の実施の形態による電子弁の部分を概略的に示している。
【
図6B】本発明の別の実施の形態による電子弁の部分を概略的に示している。
【
図7】本発明の別の実施の形態による電子弁の部分を概略的に示している。
【
図8A】本発明の1つの実施の形態による電子弁における、溝が設けられた上側軸受を示している。
【
図8B】本発明の1つの実施の形態による電子弁における、通気孔が設けられた上側軸受を示している。
【
図9A】本発明の1つの実施の形態による電子弁における、溝が設けられた下側軸受を示している。
【
図9B】本発明の1つの実施の形態による電子弁における、通気孔が設けられた下側軸受を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態による、電子弁用の弁コア、および弁コアを有する電子弁が、添付の図面を参照しながら以下に説明されている。以下の説明では、当業者に本発明のより包括的な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が説明されている。しかしながら、本発明の実施はこれらの具体的な詳細のうちの幾つかを省略してもよいことが当業者には明らかになるであろう。さらに、本発明は、紹介された特定の実施の形態に限定されないことを理解すべきである。反対に、本発明を実施するために、以下の特徴および重要な要素の任意の組合せを、それらが異なる実施の形態に関するか否かにかかわらず使用することが可能である。つまり、以下の態様、特徴、実施の形態および利点は例示的な目的を果たすだけであり、請求項に明らかに言及されていない限り、請求項の重要な要素または限定とみなされるべきではない。
【0010】
過給式エンジン、すなわち過給機を備えるエンジンは、エネルギ効率を高めるために現代の自動車において益々利用されるようになっている。過給式エンジンでは、排ガスが過給機の(排ガス管路に配置された)タービンを駆動し、同時に、タービンに接続された空気圧縮機が、流入する空気を圧縮するために使用される。圧縮された空気(以下では圧縮空気と省略する)は、圧縮空気中間冷却器を介してスロットルバルブに達し、次いで、燃焼を生じさせるためにエンジンのシリンダに進入する。
【0011】
図1は、本発明による電子弁を有する過給式エンジンの圧縮ガス逆流管路の配列の構造を示している。本発明によれば、空気圧縮機と並列に接続された圧縮ガス逆流管路が、圧縮空気中間冷却器の上流に設けられており、圧縮ガスは、空気圧縮機の出口から空気圧縮機の入口へ流れ戻ることができる。圧縮ガスの逆流は、ガス流におけるサージを防止することができ、これにより、サージフラッタによって生じるタービンブレードに対する損傷を防止する。さらに、圧縮ガスの逆流は、加速中のタービンラグを減じかつスロットルを保護するためにタービンを回転させ続けることもできる。
【0012】
図1に示したように、電子弁が圧縮ガス逆流管路に設けられており、電子弁は、過給式エンジンの圧縮ガスバイパス弁として使用されている。圧縮ガスバイパス弁が通電されていないとき、圧縮ガスバイパス弁は逆流管路を閉鎖させる。この場合、圧縮ガスは、圧縮空気中間冷却器、スロットルおよび吸気マニホールドを通じてエンジンシリンダに進入する。圧縮ガスバイパス弁が通電されると、圧縮ガスバイパス弁は逆流管路を開放させ、これにより、圧縮空気は、圧縮ガスバイパス弁を通って空気圧縮機のガス吸入端部へ流れ戻ることができる。
【0013】
図2および
図3は、本発明の1つの実施の形態による電子弁の断面図および分解された構成部材の図をそれぞれ概略的に示しており、電子弁は、特に、
図1に示した圧縮ガスバイパス弁として使用することができる。
図2および
図3が示すように、電子弁1は、可動な弁コアと、可動な弁コアを付勢する弾性構成部材4(ばねなど)とを有しており、可動な弁コアは、弁ヘッド2と、可動子3と、ガイドロッド7とを有する。選択的な実施の形態では、可動子3は円筒状であってもよく、弁ヘッド2および可動子3は、直接浮動接続されていてもよい。しかしながら、
図2および
図3に示した本発明の好適な実施の形態では、弁ヘッド2と可動子3とは、ガイドロッド7によって互いに接続されていてもよい。弁ヘッド2および可動子3がガイドロッド7によって接続されており、弁ヘッド2および可動子3が直接的に接続される必要がないので、可動子の形状などの加工特徴に対する要求が低減される。例えば、通常の円筒状の可動子が使用されてもよく、これにより、可動子加工コストが低下する。
【0014】
図2および
図3は、さらに、電子弁1が、電子弁1の磁力を強化する複数のステータ、例えば、可動子3の上方に配置された上側ステータ10、および可動子の周囲に配置された環状の下側ステータ11であって、各ステータは透磁性材料から形成されていてもよい、複数のステータと、ガイドロッド7を案内する上側軸受22および下側軸受23と、可動子3の周囲を包囲するスリーブ8であって、スリーブ8は、主に可動子の移動を案内するためではなく、電子弁の電磁力性能を高めるために使用され、すなわち、スリーブ8は可動子3と接触する必要はない、スリーブ8と、スリーブ8を少なくとも部分的に包囲するボビン5と、ボビン5に巻き付けられたコイル6と、を有することを示している。ガイドロッド7は、上側軸受および下側軸受内で移動し、このような構造は、より優れた耐摩耗性を有する。さらに、ガイドロッド7は、弁ヘッドおよび可動子の移動を案内するために軸受によって案内され、例えばスリーブによって直接的に可動子を案内する必要はないので、可動子の表面に特別の加工を施す必要がなく、可動子表面品質に対する要求が低下し、これにより、可動子加工コストが低下する。
【0015】
好適には、ガイドロッド7および可動子3は、締りばめによって互いに接合されており、これにより、可動子およびガイドロッドを固定している。
【0016】
好適には、上側軸受22は上側ステータ10と締りばめ接続されているのに対し、下側軸受23はスリーブ8と締りばめ接続されており、これにより、上側軸受と下側軸受とを固定している。
【0017】
好適には、スリーブ8は透磁性材料から形成されていてもよく、これにより、電子弁の電磁力性能が著しく高まる。
【0018】
好適には、ボビン5は、射出成形によって形成されていてもよい。複数の環状のリブ、好適には2つの環状のリブがボビン5に設けられていてもよく、これにより、プラスチックの射出成形中にプラスチックが間隙を充填すること(弁故障につながる)を防止する。
【0019】
図2および
図3はさらに、電子弁1が、コイル6を包囲するハウジング16、ハウジング16を包囲する外側封入エレメント17、および弁ヘッド2の周囲のシールド18をも有することを示している。好適には、ハウジング16は、磁力を強化するために透磁性材料から形成されており、コイル6とともに、完全に閉鎖されたコイル構造を形成している。Oリング19などの封止のためのシーリングエレメントが、外側封入エレメント17とシールド18との間に設けられている。V字形リング21などのシーリングエレメントが、シールド18と弁ヘッド2との間に設けられている。
【0020】
図2および
図3はさらに、電子弁1が、パルスエネルギを吸収する電子構成部材9を有してもよいことを示している。電子構成部材9の提供は、外部電圧の突然の変化、例えばパルスなどによる損傷から、弁体を保護することができる。さらに、電子構成部材9は、弁体によって生じたエネルギを吸収してもよく、顧客電源端部を損傷から保護する。パルスエネルギを吸収するこのような電子構成部材は、ダイオードなどの当業者に公知の様々な電子構成部材であってもよく、したがって、様々な顧客要求に適合するように、電子弁1製品に多様性を付与することができる。
【0021】
本発明をより明らかに説明するために、
図4、
図5Aおよび
図5Bは、
図2に示した電子弁の様々な部分を示すことに焦点を合わせている。
図4は、可動子3とガイドロッド7との接続を示している。上側軸受22および下側軸受23の案内効果によって鉛直方向でのガイドロッド7の移動が達成されるように、ガイドロッド7の2つの端部が上側軸受22および下側軸受23内で摺動することが
図2および
図4から明らかに分かる。通電されると、コイル6が磁界を発生し、可動子3を駆動して移動させ、これにより、ガイドロッド7が弁ヘッド2を駆動して移動させることによって弁の開閉が達成される。2つの軸受が使用されているので、ガイドロッド7はより良好に案内される。好適には、上側軸受22および下側軸受23は、構成部材の精度および耐摩耗性を高めるために、銅ベースの粉末冶金学的元素から形成されていてもよい。
【0022】
図5Aおよび
図5Bは、ガイドロッド7と弁ヘッド2との接続を示している。ガイドロッド7は、固定部材24によって弁ヘッド2に接続されている。固定部材24は、例えば溶接または締りばめ接続によって、ガイドロッド7に固定されて接続されている。弁コアの移動によって生じる高圧または真空を除去するために、弁ヘッド2が通気孔30を有してもよいことが
図5Aから分かる。1つまたは複数の通気孔30が設けられていてもよい。例えば3つの通気孔30が弁ヘッド2に設けられていてもよいことが
図3から分かる。ガイドロッド7の軸方向では、弁ヘッド2と固定部材24との間に所定の間隙(
図5Bにおける領域C)が残されている一方、ガイドロッド7の半径方向では、弁ヘッド2とガイドロッド7との間に所定の間隙(
図5Bにおける領域D)が残されており、これにより、弁ヘッド2の浮動性の要求を満たし、すなわち、弁ヘッド2を所定の角度だけ左右に浮動させることができることが、
図5Aおよび
図5Bから明らかに分かる。
【0023】
図6A、
図6Bおよび
図7は、本発明の別の実施の形態による電子弁の部分的な概略図を示している。弁コアの移動によって生じる高圧または真空を除去するために、弁ヘッド2が通気孔31を有してもよいことが
図6Aから分かる。ガイドロッド7がスナップリング25によって弁ヘッド2に接続されていてもよく、スナップリング25は弁ヘッド2に射出成形されていることが、
図6A、
図6Bおよび
図7から分かる。ガイドロッド7の軸方向およびガイドロッド7の半径方向の両方においてスナップリング25とガイドロッド7との間に所定の間隙(
図6Bにおける領域Eおよび領域F)が残されていることが、
図6Bから分かる。スナップリング25の弾性、およびスナップリング25自体とガイドロッド7との間に残された間隙とは、弁ヘッド2の浮動性の要求を満たすことができる。好適には、スナップリング25は、耐摩耗性をより高めるために、鋼材料から形成されていてもよい。さらに、構成部材精度を高めかつ組立てプロセスをより単純にするために、スナップリング25と弁ヘッド2とが一体的に射出成形された配列が使用されてもよい。
【0024】
本発明では、
図4が示すように、可動子3を備えるガイドロッド7の上下移動の間、2つの空気キャビティが電子弁の位置AおよびBに形成される。ガイドロッド7および可動子3の移動により、これらの2つのキャビティに高圧または真空が生じ、これにより、ヒステリシスが生じかつ弁本体の開閉を減速させる。このような不都合な効果を排除するために、好適には、溝または通気孔が上側軸受22および下側軸受23に設けられていてもよい。例えば、
図8Aおよび
図8Bは、溝および通気孔がそれぞれ設けられた上側軸受を示しているのに対し、
図9Aおよび
図9Bは、溝および通気孔がそれぞれ設けられた下側軸受を示している。弁コアの移動により生じる高圧または真空を最適に除去するために、溝または通気孔の形状およびサイズを特定の要求に従って設定することができることを当業者は理解することができる。好適には、溝は、直接成形法によって上側軸受および下側軸受に設けられてもよい。さらに、軸受内の溝または通気孔の提供は、エレメント重量を低減しかつコストを節約する助けにもなる。
【0025】
電子弁1の電源がオフにされると、重力および弾性構成部材4の作用により弁ヘッド2は弁座(図示せず)上へ押し下げられ、これにより、ガス通路を閉鎖する。電子弁1が通電されると、上側ステータ10、下側ステータ11および可動子3によって磁気回路が形成される。コイル6によって生じる電磁力の作用により、可動子3は上方へ移動し、ひいては弁ヘッド2を駆動してガイドロッド7によって上昇させ、電子弁1を開放させ、これにより、ガス通路を開放する。
【0026】
本発明は好適な実施の形態によって上記に開示されているが、本発明はこれに限定されない。あらゆる当業者によって本発明の思想および範囲から逸脱することなくなされる全ての種類の変更および補正が、本発明の保護範囲に含まれるべきである。したがって、請求項によって規定される範囲は、本発明の保護範囲とみなされるべきである。
【国際調査報告】