(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-527813(P2017-527813A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(54)【発明の名称】サーモグラフィー検査手段および被試験体の表面近傍構造の非破壊検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 25/72 20060101AFI20170825BHJP
【FI】
G01N25/72 K
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-513741(P2017-513741)
(86)(22)【出願日】2015年9月9日
(85)【翻訳文提出日】2017年4月25日
(86)【国際出願番号】EP2015070622
(87)【国際公開番号】WO2016038096
(87)【国際公開日】20160317
(31)【優先権主張番号】102014218136.4
(32)【優先日】2014年9月10日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・ドェゲ
【テーマコード(参考)】
2G040
【Fターム(参考)】
2G040AA06
2G040AA07
2G040AB08
2G040CA02
2G040CA12
2G040CA23
2G040DA06
2G040DA15
2G040EA04
2G040EA06
(57)【要約】
被試験体における表面近傍構造の非破壊検査のためのサーモグラフィー検査手段であって、被試験体の加熱される領域に熱エネルギーを加える加熱装置と、熱エネルギーの印加に続いて、被試験体の測定される表面領域上の空間温度分布の時間プロファイルを検出するための熱センサ手段と、加熱される表面領域と、加熱される表面領域に隣接する測定される外側表面領域とを含む測定される表面領域と、そして測定される表面領域における表面近傍構造の少なくとも1つのパラメータを検出するように、空間温度分布の時間プロファイルを評価するための評価手段を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験体(PO)における表面近傍構造の非破壊検査のためのサーモグラフィー検査手段であって、
前記被試験体(PO)の加熱される領域(BO)に熱エネルギーを加える加熱装置(2)と、
前記熱エネルギーの印加に続いて、前記被試験体(PO)の測定される表面領域(VO)上の空間温度分布(OTV)の時間プロファイル(ZV)を検出するための熱センサ手段(3)と、前記加熱される表面領域(BO)と、前記加熱される表面領域(BO)に隣接する測定される外側表面領域(AO)とを含む測定される表面領域(VO)と、
前記測定される表面領域(VO)における前記表面近傍構造の少なくとも1つのパラメータ(DW)を検出するように、前記空間温度分布(OTV)の前記時間プロファイル(ZV)を評価するための評価手段(4)と、を備えたサーモグラフィー検査手段。
【請求項2】
前記パラメータ(DW)は、前記被試験体(PO)の壁(WA)の厚さ(DW)である、請求項1に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項3】
前記パラメータ(DW)は、前記被試験体(PO)の壁(WA)の密度である、請求項1又は2に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項4】
前記加熱される表面領域(BO)は、ポイント形状に、開曲線の形に線状で、閉曲線の形に線状で、円形または楕円形であるように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項5】
前記加熱される表面領域(BO)は、前記測定される表面領域(VO)の一部である、加熱される少なくとも2つの離間した表面部分領域を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項6】
前記加熱手段(2)は、電磁波(EW)によって前記加熱される表面領域(BO)に熱エネルギーを加えるように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項7】
前記加熱手段(2)は、機械的励起によって前記加熱される表面領域(OB)に熱エネルギーを加えるように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項8】
前記加熱手段(2)は、熱伝導によって前記加熱される表面領域(OB)に熱エネルギーを加えるように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項9】
前記加熱手段は、前記加熱される表面領域(BO)に電流を発生させることによって、前記加熱される表面領域(BO)に熱エネルギーを加えるように構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項10】
前記熱センサ手段(3)は、1次元センサ、例えばデジタルラインセンサを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項11】
前記熱センサ手段(3)は、2次元センサ(3)、例えばデジタル画像センサ(3)を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項12】
前記加熱手段(2)は、加熱される複数の表面領域(BO1、BO2)に、同時または時間を重複して熱エネルギーを加えるように構成されており、前記熱センサ手段(3)は、前記被試験体(PO)の測定される複数の表面領域(VO1、VO2)において、同時または時間を重複して、熱エネルギーの印加に続く前記空間温度分布(OTV)の時間プロファイル(ZV)を検出するように構成され、前記測定対象の表面領域(VO1、VO2)はそれぞれに、前記加熱される表面領域(BO1,BO2)の1つと、前記加熱される表面領域に隣接する1つの外側表面領域(AO1,AO2)を含み、前記評価手段(4)は、同時または時間を重複して前記空間温度分布(OTV)の時間プロファイル(ZV)を評価して、測定対象の複数の表面領域(VO1、VO2)において、前記表面近傍構造の少なくとも1つのパラメータ(DW)を同時または時間を重複して検出するように構成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項13】
前記評価手段(4)は、前記空間温度分布(OTV)の時間プロファイル(ZV)評価において、前記測定される表面領域(VO)の傾斜(NE)の空間プロファイルを、空間温度分布の時間プロファイルの評価における前記熱センサ手段(3)の光軸(OA)に関連して、考慮するように構成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項14】
前記サーモグラフィー検査手段(1)は、前記傾斜(NE)の空間プロファイルを検出するための傾斜検出手段(6)を備える、請求項13に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項15】
前記加熱装置(2)は、前記被試験体(PO)の加熱される表面領域(BO)への熱エネルギーの印加が、前記傾斜(NE)の空間プロファイルの機能として影響を受けるように構成されている、請求項14に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項16】
前記サーモグラフィー検査手段(1)は、較正体(8)、特にくさび形較正体(8)を製造するための鋳型(7)を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のサーモグラフィー検査手段。
【請求項17】
被試験体(PO)における表面近傍構造の非破壊検査方法であって、
加熱手段(2)を用いて前記被試験体(PO)の加熱される表面領域(3)に熱エネルギーを加えるステップと、
熱エネルギーの印加に続いて、前記被試験体(PO)の測定される表面領域(VO)上の空間温度分布(OTV)の時間プロファイル(ZV)を、熱センサ手段(3)によって検出するステップであって、前記測定される表面領域(VO)が前記加熱される表面領域(BO)及び前記加熱される表面領域(BO)に隣接する測定対象の外側表面領域(AO)を含んでいるステップと、
前記測定される表面領域(VO)における前記表面近傍構造の少なくとも1つのパラメータ(DW)を検出するように、評価手段(4)を用いて前記空間温度分布(OTV)の前記時間プロファイル(ZV)を評価するステップと、を備えた表面近傍構造の非破壊検査方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
部品、特に壁厚が薄い部品を製造する場合、安定性、しいては品質も、規定された壁厚に留まることは重要である。特に、例えばラミネーション、デッドモールド鋳造、または遠心鋳造のように比較的多量の分散が生じる方法では、到達した値を継続的に、また、計量的に検証して、デラミネーション(ラミネーションにおいて)、ガス封入(デッドモールド鋳造において)または、不十分な壁厚(遠心鋳造において)などの表面近傍の欠陥を認識できるようにしておくことが必要である。測定装置に課される要件には、適用分野に応じて、プロセス統合のための短い測定時間、照射の際の熱入力などによって引き起こされる試験対象物への少量の応力、長寿命および低コストが含まれる。
【0002】
物体の内部構造の3次元検出の確立された方法として代表的なのは、測定対象が異なる方向からX線によって照射され、個々のX線画像から3D物体が再構成されるコンピュータ断層撮影である。
【0003】
コンピュータ断層撮影装置には、異なるサイズ、分解能、速度のものが存在する。高い測定速度が望まれる場合、技術的な支出、ひいては、コストが非常に高く、多くの場合、この測定方法は経済的な観点からは使用することができない。
【0004】
コストを削減する方法として、サーモグラフィー法がある。サーモグラフィー法(サーモグラフィー)によって、試験片をその表面近くにおいて、また、特に壁厚の薄い試験片を検査することが可能である。
【0005】
いくつかのサーモグラフィー法では、試験片の表面を2次元的に作用する熱源またはヒートシンクを用いて短時間加熱および/または冷却し、その後の表面温度の時間プロファイルを記録する熱画像カメラ(赤外線カメラ)を用いて測定され、続いて評価される。熱方程式を使用している間の熱伝導率、比熱容量および密度などの材料パラメータを考慮しながら、ガス封入の深さまたは最上層の厚さなどの幾何学的特性は、表面温度の時間プロファイルより引き出すことができる。ここで重要なのは、検査された領域が表面に十分に平行に延びていることと、決定される構造的な特徴の熱的性質における差である。このようなサーモグラフィー法の例は文献[1]より既知である。
【0006】
さらに、表面の局所加熱が、例えばレーザポイントによって達成され、サーモグラフィーシステムが点検出器によって光学的に追跡される解決策が従来技術から既知である。この解決策は、点検出器に基づいて低速走査システムでも照明と熱検出との間の固定時定数を達成することを可能にする。その例は、文献[2]、[3]、[4]および[5]より見出すことができる。
【0007】
文献[6]から、表面温度の時間プロファイルではなく、特定の時点における表面温度が検出される単純化された方法が知られている。
【0008】
文献[7]はサーモグラフィー法の一般的な概要を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】[1]US2004/0076216A1
【特許文献2】[2]US2008/0137105A1
【特許文献3】[3]GB2235604A
【特許文献4】[4]US2008/0291465A1
【特許文献5】[5]US2008/0307886A1
【特許文献6】[6]US638715B1
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】[7]Infrared thermography for inspecting the adhesion integrity of plastic welded joints, M Omar, M Hassan, K Donohue, K Saito, R Alloo - NDD & E International, Volume 39, Issue 1, Pages 1-7, 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、改良されたサーモグラフィー法と、被試験体における表面近傍構造の非破壊検査のための改善されたサーモグラフィー検査手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、被試験体の表面近傍構造の非破壊検査のためのサーモグラフィー検査手段によって達成され、
被試験体の加熱される表面領域に熱エネルギーを加える加熱装置と、
熱エネルギーの印加に続いて、被試験体の測定される表面領域上の空間温度分布の時間プロファイルを検出するための熱センサ手段であって、測定される領域は、加熱される表面領域と、加熱される表面領域に隣接する測定される外側表面領域とを含み、そして、測定される表面領域における表面近傍構造の少なくとも1つのパラメータを検出するように、空間温度分布の時間プロファイルを評価するための評価手段を備える。
【0013】
文献[1]から[7]よりの既知の解決法では、熱量は試験片の加熱される表面領域に印加され、加熱されるこの表面領域の表面温度を測定する。表面領域に垂直な熱伝播によって、試験片の、加熱される表面領域での熱特性、または加熱され、個別に測定される表面領域の熱特性の差は決定され、それら差は試験片の表面近傍構造のパラメータを決定するための基を形成する。
【0014】
対照的に、本発明によれば、空間温度分布が決定されるようになっており、温度分布は加熱される表面領域についてだけではなく、加熱される表面領域に隣接する測定される外側表面領域についても決定される。加熱される表面領域および測定される外側表面領域は、測定される表面領域の全体を形成する。
【0015】
有意な空間温度分布を決定するためには、原則として、測定される表面領域における少なくとも2つの異なる測定点におけるそれぞれの温度を検出する必要がある。しかし、改善された、より正確な評価を得るという目標を念頭に置き、はるかに多くの異なる測定点を提供することができる。例えば、10から500の異なる測定点が提供されてもよい。
【0016】
これに関連して、加熱される表面領域に少なくとも1つの測定点を設け、さらに、測定される外側表面領域に少なくとも1つの測定点を設けることが不可欠である。
【0017】
本発明では、測定される表面領域の空間温度分布の時間プロファイルを検出するために、異なる時点における空間温度分布を繰り返し検出するようにしている。そうすることで、空間温度分布の時間プロファイルを、熱方程式を用いて解析することができ、例えば、その解析により、被試験体の表面近傍構造の少なくとも1つのパラメータを決定することができる。
【0018】
特定の時間、または熱入力に続く特定の時点で、近接した環境は、例えば、マトリックス熱画像カメラによって測定されてもよい。これは、熱入力の位置に加えて、表面熱分布の時間プロファイルも記録することを含む。熱入力の位置の周囲の個々の点における空間温度上昇は、例えば、熱方程式を解くことによって適切な関数によって適合させることができる。したがって、熱特性は、大きな欠陥のある、またはノイズの多い画像およびサーモグラフィー・ビデオ・シーケンスの場合、または、例えば、加熱または冷却のために熱平衡状態にない測定対象物の場合にも推測され得る。熱入力によって直接加熱されない周囲に関連する相対的な反応を考慮することによって、結果を改善することができる。
【0019】
これらの分布は、熱伝播、ひいては、一定の熱材料パラメータの連続領域の深さに関する結論を引き出すのに使用することができる。
【0020】
加熱される領域よりも広い領域の空間温度分布の時間プロファイルを決定することにより、例えば、周囲温度の変化などの重畳した独立した外部効果や、ノイズまたは較正の欠陥による測定システムの不具合などの重畳した独立した内部効果は、加熱される領域における温度の時間プロファイルのみが決定される既知の解決法とは異なり、補償されることができる。その結果、試験片の表面近傍構造の注目されるパラメータを、これまで可能であったよりも正確に検出することができる。
【0021】
特に、熱センサ手段の分解能の大きさの規模における温度変化が非常に小さい場合、ノイズはシステムの測定精度に大きな影響を及ぼす。従来技術は、改善された、ひいては、より高価な測定技術によって、または熱入力の増加によって、すなわち、加熱される表面のより高い開始温度によって、この問題に対処しようとしてきた。しかしながら、多くの用途、例えば食品産業では、コールドチェーンを維持するために熱入力の制限が必要である。本発明の解決策により、従来技術で可能であったよりもノイズをより良く補償することができ、熱入力の量も従来技術に比べて減少することができ、検査手段の適用分野が増加する。
【0022】
本発明のさらに有利な発展形態によれば、パラメータは、被試験体の壁の厚さである。実際には、多くの場合、被試験体の壁の厚さを非破壊的に識別できることが望ましい。これは、特に、例えばコンテナまたは導管のような技術的中空体、または、例えば中空チョコレート体のような食料として提供される中空体といった、あらゆる種類の中空体に当てはまる。
【0023】
本発明のさらに有利な発展形態によれば、パラメータは、被試験体の壁の密度である。さらに、実際には、非破壊的な方法で被試験体の壁の密度を識別することができることがしばしば望ましい。これは、密度の変化が異物の混入を示す鋳造体の場合に特に当てはまる。したがって、特に鋳造体内に存在する空気介在物を識別することができる。
【0024】
本発明の便利なさらなる発展形態によれば、加熱される表面領域は、ポイント形状に、開曲線の形に線状で、閉曲線の形に線状で、円形または楕円形であるように構成されている。熱量の入力は、熱量を小さく保つことができるように、高濃度および/または集中的に行うことができる。実験は、加熱される表面領域が直線的な閉曲線の形態を有する場合に特に正確な結果が達成されることを示している。この場合は、具体的には、曲線で囲まれた領域とその外側の両方の表面に生じる空間温度分布を評価することが可能である。
【0025】
本発明のさらに有利な発展形態によれば、加熱される表面領域は、測定される表面領域の一部である、加熱される少なくとも2つの離間した表面部分領域を含む。これに関連して、加熱される表面部分領域と表面部分領域との間に位置する表面の部分と、加熱される表面部分領域と表面部分領域との間に位置しない表面の部分は、空間温度分布の点で検査することができることで測定の精度をさらに高めることができる。
【0026】
本発明のさらに有利な発展形態によれば、加熱手段は、電磁波によって加熱される表面領域に熱エネルギーを加えるように構成されている。電磁波は、例えば、マイクロ波、光波またはレーザ光波であってもよい。ここで特に有利なのは、加熱手段が熱センサ手段の検出領域を損なわないように、加熱手段を試験片から離れた位置に配置することができることである。
【0027】
本発明の便利なさらなる発展形態によれば、加熱手段は、機械的励起によって加熱される表面領域に熱エネルギーを加えるように構成されている。機械的励起は、接触、または、例えば超音波によって、非接触で行うことができる。
【0028】
本発明のさらに有利な発展形態によれば、加熱手段は、熱伝導によって加熱される表面領域に熱エネルギーを加えるように構成されている。このようにして、集中した熱入力を得ることができ、熱量を特に小さくすることができる。
【0029】
本発明の便利なさらなる発展形態によれば、加熱手段は、加熱される表面領域に電流を発生させることによって、加熱される表面領域に熱エネルギーを加えるように構成されている。このようにして、加熱される表面領域に実質的に損失のない様式で熱エネルギーを加えることができる。
【0030】
本発明のさらに有利な発展形態によれば、熱センサ手段は、1次元センサ、例えばデジタルラインセンサを備える。例えば、センサは、CCDラインセンサ、CMOSラインセンサ、またはアナログラインセンサであってもよい。このようなラインセンサは、低コストで入手可能であり、空間温度分布が1次元の、すなわち、線状の方法で決定される場合に特に適している。しかしながら、原則的には、ラインセンサを使用しながらいくつかの線状ショットによって2次元熱画像を生成することも可能である。
【0031】
本発明の便利なさらなる発展形態によれば、熱センサ手段は、2次元センサ、例えばデジタル画像センサを備える。センサは、例えば、CCDマトリックスセンサ、CMOSマトリックスセンサ、またはアナログマトリックスセンサであってもよい。このようなセンサは、低コストで入手可能であるものの、それらは1回のショットのみで2次元の熱画像を捕捉することを可能にする。
【0032】
本発明の特に有利なさらなる発展形態によれば、加熱手段は、加熱される複数の表面領域に、同時または時間を重複して熱エネルギーを加えるように構成されており、熱センサ手段は、被試験体の測定される複数の表面領域において、同時または時間を重複して、熱エネルギーの印加に続く空間温度分布の時間プロファイルを検出するように構成され、測定対象の表面領域はそれぞれに、加熱される表面領域の1つと、加熱される表面領域に隣接する1つの外側表面領域とを含み、評価手段は、同時または時間を重複して空間温度分布の時間プロファイルを評価し、測定対象の複数の表面領域において、表面近傍構造の少なくとも1つのパラメータを同時または時間を重複して検出するように構成されている。
【0033】
ここで「同時」とは、それぞれが同一の時点で開始し、同一の時点で終了することを意味する。さらに、「時間を重複して」とは、後の事項の開始は、前の事項の開始と終了との間にあることを意味すると理解される。
【0034】
本発明のこのさらなる発展の状況において、短時間で多数の表面領域を検査することが可能である。
【0035】
加熱手段が電磁波を放射するように構成されている場合、加熱手段は、生成された電磁波を、加熱される複数の表面領域に集束させる光学を含むことができる。
【0036】
本発明の有利な更なる発展形態によれば、評価手段は、測定される表面領域の傾斜の空間プロファイルを、空間温度分布の時間プロファイルの評価における熱センサ手段の光学軸に関連して、考慮するように構成されている。
【0037】
被試験体内の熱流束を正確に評価するためには、表面に沿った温度分布を決定する必要がある。しかしながら、遠近歪み、例えば熱センサ手段の光学特性のために、表面に沿って直接的に温度分布を決定することは不可能である。特に、これは、熱センサ手段の視線、すなわち、光学軸が、測定対象のそれぞれの測定点に垂直に入射していない場合に当てはまり、特に、光学軸に対して垂直に配置された平面に対して傾斜している被試験体の平面、または、光学軸に対して垂直に配置された平面に対して、少なくとも一部の領域において明らかに傾斜している、被試験体の湾曲した表面に関連する。
【0038】
さらに、傾斜した、特に湾曲した表面では、加熱される表面領域のサイズおよび形状は、表面の傾斜および/または曲率に依存することがあり、その結果、それぞれの表面に特有の熱量も変動する。
【0039】
熱センサ手段の光学軸に対する、測定される表面領域の傾斜の空間プロファイルを考慮することにより、歪みや表面固有の熱量の変動による誤差を補償することができる。
【0040】
本発明の有利なさらなる発展形態によれば、加熱装置は、被試験体の加熱される表面領域への熱エネルギーの印加が、傾斜の空間プロファイルの機能として影響を受けるように構成されている。
【0041】
その結果、傾斜の空間プロファイルに応じて、熱量の入力を開ループまたは閉ループ制御にすることが可能である。例えば、加熱装置の電力、または加熱装置の作用時間は、開ループまたは閉ループ制御に供されてもよい。このようにして、一方で、加熱される表面領域が、加熱の方向に対してほぼ垂直である場合の被試験体の局所的な加熱と、他方で、加熱される表面領域が、加熱の方向にほぼ平行である場合であって、被試験体の、評価できないほど微量の加熱との両方を避けることができる。
【0042】
本発明のさらに有利な発展形態によれば、サーモグラフィー検査手段は、傾斜の空間プロファイルを検出するための傾斜検出手段を備える。例えば、傾斜検出手段は、レーザ光断面カメラを備えることができる。光学レーザ光断面カメラを用いて、被試験体への入射点の位置、ならびに表面の曲率および向きを、加熱手段の既知の光路による三角測量によって、容易に決定することができる。
【0043】
この目的のために、加熱される表面領域の位置は、傾斜の空間プロファイルにおける正確な局在化を可能にするために使用されてもよい。必要であれば、覆われた領域を増加させて分解能を高めるために、加熱のために使用されるレーザまたは別のレーザを用いて、追加の線を生成することができる。すなわち、傾斜の空間プロファイルは、高分解能での加熱プロセスとは別に、最初に検出されてもよく、この場合、加熱される表面領域は、傾斜の空間プロファイルおよび空間温度分布を一致させる基準となる。
【0044】
このようにして、複雑な外形を有する被試験体を、その形状が明確でなくても検査することも可能である。
【0045】
本発明のさらに有利な発展形態によれば、サーモグラフィー検査手段は、較正体、特にくさび形較正体を製造するための鋳型を含む。照射による熱入力は、出力のスペクトルおよび空間分布ならびに光源によって照射される表面積ならびに表面の反射および/または吸収係数に依存する。多数の影響因子、また、それらの大きさが時々可変であるか、または同定が容易でないことから、表面近傍構造を決算する前に配置の較正が有利である。この目的のために、識別可能で、測定対象と同じ材料から製造された、低い値から高い値の範囲の既知の厚さを有するくさび形状を有する較正体を使用することができる。提供された鋳型は、それぞれの被試験体に対応する較正体を容易に製造することを可能にする。
【0046】
さらなる態様では、被試験体の表面近傍構造の非破壊検査方法であって、
加熱手段により、被試験体の加熱される表面領域に熱エネルギーを加えるステップと、
熱エネルギーの印加に続いて、被試験体の測定される表面領域上の空間温度分布の時間プロファイルを、熱センサ手段によって検出するステップであって、測定される表面領域が、加熱される表面領域と、加熱される表面領域に隣接する外側表面領域を含むステップと、
測定される表面領域における表面近傍構造の少なくとも1つのパラメータを検出するように、評価手段を用いて空間温度分布の時間プロファイルを評価するステップと、を含む。
【0047】
本発明のサーモグラフィー検査手段の文脈内で論じられる利点は、結果を意味する。本発明の方法は、本発明のサーモグラフィー検査手段の文脈内で説明されるさらなる方法ステップを含むことがあり得ることが理解される。
【0048】
本発明およびその利点は、図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明のサーモグラフィー検査手段の第1の実施形態の概略上面図と、拡大表示された被試験体に関する概略正面図を示す。
【図2】被試験体の例示的な熱画像と、被試験体の測定される表面領域の領域において、時間的にオフセットされて捕捉された熱画像の形態の空間温度分布の拡大された例示的な時間プロファイルを示す。
【図3】時間的にオフセットされた位置/温度プロファイルの形態の例示的な空間温度分布の時間プロファイルを示す。
【図4】壁の厚さが大きい被試験体の断面上面図における温度分布の一例と、壁の厚さが薄い被試験体の断面上面図における温度分布の一例を示す。
【図5】本発明のサーモグラフィー検査手段の第2の実施形態の概略上面図と、拡大表示された被試験体に関する概略正面図を示す。
【図6】本発明のサーモグラフィー検査手段の第3の実施形態の概略上面図と、拡大表示された被試験体に関する概略正面図を示す。そして
【図7】較正体を製造するための鋳型の概略3次元表現と、鋳型によって製造された較正体の概略3次元表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
同一または類似の構成要素または同一または同等の機能を有する構成要素には、同一または類似の参照符号を付す。
【0051】
以下の説明では、本発明への理解をさらに進めるよう、本発明の多くの特徴を有する実施形態について、より詳細に記載する。しかし、本発明は、記載した特徴の個々のものを省略して実施することもできることに留意されたい。さらに、様々な実施形態に示される特徴について、これらが明示的に否定されるか、または、衝突を引き起こさない限り、異なる方法で組み合わせることができることにも留意されたい。
【0052】
図1は、本発明のサーモグラフィー検査手段(1)の第1の実施形態の概略上面図と、被試験体(P0)の拡大概略図を示す。
【0053】
サーモグラフィー検査手段(1)は、
被試験体(P0)の加熱される表現領域(B0)へ熱エネルギーを加える加熱装置(2)と、
被試験体(P0)における測定される表面領域(V0)の空間温度分布に、熱エネルギー印加後の時間プロファイルを検出する熱センサ手段(3)であって、測定される表面領域(V0)は、加熱される表面領域(B0)と加熱される表面領域(B0)に隣接する測定される外側表面領域(A0)を含み、
測定される表面領域(V0)における表面近傍構造の少なくとも1つのパラメータ(DW)を検出するように、空間温度分布の時間プロファイルを評価する評価手段(4)と、を備える。
【0054】
文献[1]から[7]における既知の解決法では、熱量は試験片の加熱される表面領域に印加され、加熱されるこの表面領域の表面温度が測定される。表面領域に垂直な熱伝播によって、試験片の加熱される表面領域での熱特性、または加熱され、個別に測定される表面領域の熱特性の差は決定され、それら差は試験片の表面近傍構造のパラメータを決定するための基礎を形成する。
【0055】
対照的に、本発明によれば、空間温度分布が決定されるようになっており、温度分布は、加熱される表面領域(B0)についてだけではなく、加熱される表面領域(B0)に隣接する測定される外側表面領域(A0)についても決定される。加熱される表面領域(B0)と測定される外側表面領域(A0)は、測定される表面領域の全体(V0)を形成する。
【0056】
有意な空間温度分布を決定するためには、原則的に、測定される表面領域(V0)における少なくとも2つの異なる測定点におけるそれぞれの温度を検出することが必要である。しかし、改善されて、より正確な評価可能性を達成するという目標を念頭に置き、はるかに多くの異なる測定点を提供することができる。例えば、10から500個の異なる測定点が提供されてもよい。
【0057】
これに関連して、加熱される表面領域(B0)に少なくとも1つの測定点を設け、測定される外側表面領域(A0)に少なくとも1つのさらなる測定点を設けることが不可欠である。
【0058】
本発明では、測定される表面領域(V0)の空間温度分布の時間プロファイルを検出するために、異なる時点における空間温度分布を繰り返し検出するようにしている。そうすることで、空間温度分布の時間プロファイルを、熱方程式を用いて解析することができ、例えば、解析により、被試験体(P0)の表面近傍構造の少なくとも1つのパラメータ(DW)を決定することができる。
【0059】
特定の時間、または熱入力に続く特定の時点で、例えば、近接した環境(V0)はマトリックス熱画像カメラ(3)によって測定されてもよい。マトリックス熱画像化カメラ(3)は、検出領域(EB)の中心に位置する光学軸(OA)を備える。は、熱入力の場所(B0)に加えて、測定される表面領域(V0)の表面熱分布の時間プロファイルも記録することを含む。熱入力の位置の周囲の個々の点における空間温度上昇は、例えば熱方程式を解くことによって適切な関数によって適合させることができる。したがって、熱特性は、大きな欠陥のある、またはノイズの多い画像およびサーモグラフィー・ビデオ・シーケンスの場合、または、例えば加熱または冷却のために熱平衡状態にない測定対象の場合にも推測され得る。熱入力(A0)によって直接加熱されない周囲に関連する相対的な反応を考慮することによって、結果を改善することができる。
【0060】
これらの分布は、熱の2次元伝播、ひいては、一定の熱材料パラメータの連続領域の深さ(DW)に関する結論を引き出すために使用することができる。
【0061】
加熱される領域(OB)よりも広い領域(V0)の空間温度分布の時間プロファイルを決定することにより、例えば周囲温度の変化などの重畳した独立した外部効果や、ノイズまたは較正の欠陥による測定システム(3)の不具合などの重畳した独立した内部効果は、加熱される領域における温度の時間プロファイルのみが決定される既知の解決法とは異なり、補償されることができる。その結果、試験片(P0)の表面近傍構造の注目されるパラメータ(DW)を、これまで可能であったよりも正確に検出することができる。
【0062】
特に、熱センサ手段(3)の分解能の大きさの規模における温度変化が非常に小さい場合、ノイズはシステム(1)の測定精度にかなりの影響を及ぼす。従来技術は、改善された、ひいては、より高価な測定技術によって、または熱入力の増加によって、すなわち、加熱される表面のより高い開始温度によって、この問題に対処しようとしてきた。しかしながら、多くの用途、例えば食品産業では、コールドチェーンを維持するために熱入力の制限が必要である。本発明の解決策により、従来技術で可能であったよりもノイズをより良く補償することができるので、熱入力の量も従来技術に比べて減少することができ、検査手段(1)の適用分野が増加する。
【0063】
コンパクトな構成と、熱センサ手段(3)に対する加熱手段(2)の容易な配向の可能性を達成するために、加熱手段(2)の光路内にミラーを設けることができる。
【0064】
本発明のさらに有利な発展形態によれば、パラメータ(DW)は、被試験体(P0)の壁(WA)の厚さ(DW)である。実際には、多くの場合、被試験体(P0)の壁(WA)の厚さ(DW)を非破壊的に識別できることが望ましい。これは、特に、例えばコンテナまたは導管のような技術的中空体、または、例えば中空チョコレート体(P0)のような食料として提供される中空体といった、あらゆる種類の中空体(P0)に当てはまる。
【0065】
本発明のさらに有利な発展形態によれば、パラメータ(DW)は、被試験体(P0)の壁の密度である。さらに、実際には、非破壊的な方法で被試験体(P0)の壁(WA)の密度を識別することができることがしばしば望ましい。これは、密度の変化が異物の混入を示す鋳造体(P0)の場合に特に当てはまる。特に、鋳造体(P0)内に存在する空気介在物を識別することができる。
【0066】
本発明の便利なさらなる発展形態によれば、加熱される表面領域(BO)は、ポイント形状で、開曲線の形に線状で、閉曲線の形に線状で、円形または楕円形であるように構成されている。熱量の入力は、熱量を小さく保つことができるように、高濃度および/または集中的に行うことができる。実験は、加熱される表面領域(B0)が直線的な閉曲線の形態を有する場合に特に正確な結果が達成されることを示している。この場合は、具体的には、曲線(OB)で囲まれた領域とその外側の両方の表面(OF)に生じる空間温度分布(OTV)を評価することが可能である。
【0067】
本発明のさらに有利な発展形態によれば、加熱される表面領域(BO)は、測定される表面領域(VO)の一部である、加熱される少なくとも2つの離間した表面部分領域を含む。これに関連して、加熱される表面部分領域と表面部分領域との間に位置する表面の部分(OF)と、加熱される表面部分領域と表面部分領域との間に位置しない表面の部分は、空間温度分布(OTV)の点で検査することができることで測定の精度をさらに高めることができる。
【0068】
本発明のさらに有利な発展形態によれば、加熱手段(3)は、電磁波(EW)によって加熱される表面領域(BO)に熱エネルギーを加えるように構成されている。電磁波(EW)は、例えば、マイクロ波、光波またはレーザ光波であってもよい。ここで特に有利なのは、加熱手段(2)が熱センサ手段(3)の検出領域(EB)を損なわないように、加熱手段(2)を試験片(PO)から離れた位置に配置することができることである。
【0069】
本発明の便利なさらなる発展形態(図示せず)によれば、加熱手段(2)は、機械的励起によって加熱される表面領域(OB)に熱エネルギーを加えるように構成されている。機械的励起は、接触、または、例えば超音波によって、非接触で行うことができる。
【0070】
本発明のさらに有利な発展形態(図示せず)によれば、加熱手段(2)は、熱伝導によって加熱される表面領域(OB)に熱エネルギーを加えるように構成されている。このようにして、集中した熱入力を得ることができ、熱量を特に小さくすることができる。
【0071】
本発明の便利なさらなる発展形態(図示せず)によれば、加熱手段(2)は、加熱される表面領域(OB)に電流を発生させることによって、加熱される表面領域(OB)に熱エネルギーを加えるように構成されている。このようにして、加熱される表面領域に実質的に損失のない様式で熱エネルギーを加えることができる。
【0072】
本発明のさらに有利な発展形態(図示せず)によれば、熱センサ手段(3)は、1次元センサ、例えばデジタルラインセンサを備える。例えば、センサは、CCDラインセンサ、CMOSラインセンサ、またはアナログラインセンサであってもよい。このようなラインセンサは、低コストで入手可能であり、空間温度分布が1次元の、すなわち、線状の方法で決定される場合に特に適している。しかしながら、原則的には、ラインセンサを使用しながらいくつかの線状ショットによって2次元熱画像を生成することも可能である。
【0073】
本発明の便利なさらなる発展形態によれば、熱センサ手段(3)は、2次元センサ、例えばデジタル画像センサを備える。センサは、例えば、CCDマトリックスセンサ、CMOSマトリックスセンサ、またはアナログマトリックスセンサであってもよい。このようなセンサは、低コストで入手可能であるものの、それらは1回のショットのみで2次元の熱画像を捕捉することを可能にする。
【0074】
さらなる態様では、本発明は、被試験体の表面近傍構造の非破壊検査方法であって、
加熱手段(2)により、被試験体(PO)の加熱される表面領域(BO)に熱エネルギーを加えるステップと、
熱エネルギーの印加に続いて、被試験体(PO)の測定される表面領域(VO)上の空間温度分布(OTV)の時間プロファイル(ZV)を、熱センサ手段(3)によって検出するステップであって、測定される表面領域(VO)は、加熱される表面領域(BO)と、加熱される表面領域に隣接する外側表面領域(AO)を含むステップと、
測定される表面領域(VO)における表面近傍構造の少なくとも1つのパラメータ(DW)を検出するように、評価手段(4)を用いて空間温度分布(OTV)の時間プロファイル(ZV)を評価するステップと、を含む。
【0075】
図2は、被試験体(PO)の例示的な熱画像と、被試験体(PO)の測定される表面領域(VO)の領域において、時間的にオフセットされて捕捉された熱画像の形態の空間温度分布(OTV)の拡大された例示的な時間プロファイル(ZV)を示す。
【0076】
熱センサ手段(3)は、放射線によって加熱された点(BO)を囲む領域内の測定対象(PO)の表面温度を経時的に検出することができる。図2に示すように、この状況は、左側の特定の点で加熱された測定対象(PO)において示されている。
【0077】
空間温度分布(OTV)の時間プロファイル(ZV)は、t1、t2、t3、t4、t5のそれぞれの時点において、2次元的に捕捉された熱画像によって示され、図2の右側に示されている。
【0078】
特に、熱センサ手段(3)の熱分解能に関連して非常に小さい温度上昇があると、測定された熱分布が、そのノイズによって重畳されるという問題がある。この状況は、図2の色分けされた温度分布によって容易に確認することができる。
【0079】
点(BO)の代わりに、いくつかの点(BO)を同時に、またはスキャナーの部分で、光学的手段(回折光学素子−DOE)によって測定対象上に順次マッピングすることができる。熱検出は、各画像に対して個別に実行されなければならず、または、熱の作用から十分に短い時間間隔で行われなければならない。
【0080】
図3は、時間的にオフセットされた位置/温度プロファイル(OTV)の形態の空間温度分布(OTV)の例示的な時間プロファイル(ZV)を示す。位置/温度プロファイル(OTV)は、t1、t2、t3、t4およびt5のそれぞれの時点における温度分布を一次元的に、すなわち、x方向に示す。
【0081】
図4は、壁(WA)の厚さ(DW)が大きい被試験体(PO)の断面上面図における温度分布の一例と、右側には、壁(WA)の厚さ(DW)が薄い被試験体(PO)の断面上面図における温度分布の一例を示す。温度分布は、それぞれにおいて、等温線IT1、IT2、IT3、すなわち、同じ温度の線によって示されている。
【0082】
図4で明らかなように、他のものは一定に保たれた上で、壁(WA)の厚さ(DW)の減少は、等方性がx方向のより大きな領域を横切って、すなわち、表面(OF)と平行に延びるという結果をもたらす。
【0083】
熱伝導により、熱エネルギーは測定対象内を伝搬し、これは表面(OF)での熱分布の変化によって検出することができる。これは、図2の右側において、温度分布(OTV)の時間プロファイルを数秒の範囲内で示されている。厚い壁と薄い壁(WA)については、2つの伝搬の変形は図4に示されている。したがって、深さ方向に無限に伸び、高い熱伝導率を有する体積が与えられると、伝搬は深さの方向、すなわち、z方向および横方向、すなわち、x方向であり、平らな容積の場合には、本質的に横方向である。特定の時点での時間プロファイルおよび/または熱分布によって、測定対象(PO)の壁(WA)の厚さ(DW)および/または体の形状は、一貫して高いレベルの熱伝導によって決定することができる。
【0084】
様々な影響因子、測定対象の温度、環境温度、空気の移動および/または放射能、ならびに測定対象の比熱容量および熱伝導率は、初期熱入力、温度測定の開始、測定対象(PO)内の熱の伝播、ひいては、空間温度分布(OTV)の表面(OF)上で識別され得る時間プロファイルを決定する。放射率は、実際の表面温度と、熱画像カメラの波長範囲内の識別された放射との間の接続を規定する。
【0085】
図5は、本発明のサーモグラフィー検査手段(1)の第2の実施形態の概略上面図と、被試験体(PO)の拡大概略図を示す。
【0086】
本発明の特に有利なさらなる発展形態によれば、加熱手段(2)は、加熱される複数の表面領域(BO
1、BO
2)に、同時または時間を重複して熱エネルギーを加えるように構成されており、熱センサ手段(3)は、被試験体(PO)の測定される複数の表面領域(VO
1、VO
2)において、同時または時間を重複して、熱エネルギーの印加に続く空間温度分布の時間プロファイルを検出するように構成され、測定対象の表面領域(VO
1、VO
2)はそれぞれに、加熱される表面領域(BO
1,BO
2)の1つと、加熱される表面領域に隣接する1つの外側表面領域(AO
1,AO
2)を含み、評価手段(4)は、同時または時間を重複して空間温度分布の時間プロファイルを評価して、測定対象の複数の表面領域(VO
1、VO
2)において、表面近傍構造の少なくとも1つのパラメータ(DW)を同時または時間を重複して検出するように構成されている。
【0087】
ここで「同時」とは、それぞれが同一の時点で開始し、同一の時点で終了することを意味する。さらに、「時間を重複して」とは、後の事項の開始は、前の事項の開始と終了との間にあることを意味すると理解される。
【0088】
本発明のこのさらなる発展の状況において、短時間で多数の表面領域(VO
1、VO
2)を検査することが可能である。
【0089】
加熱手段が電磁波(EW)を放射するように構成されている場合、加熱手段(2)は、生成された電磁波(EW)を、加熱される複数の表面領域(BO
1、BO
2)に集束させる光学(5)を含むことができる。
【0090】
図6は、本発明のサーモグラフィー検査手段(1)の第3の実施形態の概略上面図と、拡大表示された被試験体(PO)に関連する概略正面図を示す。図6では、加熱装置(2)、熱センサ手段(3)、傾斜検出手段(6)は、1つの平面内に示されているが、これは、製図に関連する理由によってである。実際には、加熱装置(2)および熱センサ手段(3)は、第1の平面にまたがること、熱センサ手段(3)および傾斜検出手段(6)は、第2の平面にまたがることがより好ましく、これらの平面は、例えば互いに直角に配置されている。
【0091】
本発明の有利な更なる発展形態によれば、評価手段(4)は、測定される表面領域(VO)の傾斜(NE)の空間プロファイルを、空間温度分布の時間プロファイルの評価における熱センサ手段(3)の光学軸(OA)に関連して、考慮するように構成されている。
【0092】
被試験体(PO)内の熱流束を正確に評価するためには、表面(OF)に沿った温度分布を決定する必要がある。しかしながら、遠近歪み、例えば熱センサ手段(3)の光学特性のために、表面に沿って直接的に温度分布を決定することは不可能である。特に、これは、熱センサ手段(3)の視線、すなわち光学軸(OA)が、測定対象のそれぞれの測定点に垂直に入射していない場合に当てはまり、特に、光学軸(OA)に対して垂直に配置された平面に対して傾斜している被試験体(PO)の平面(OF)、または、光学軸(OA)に対して垂直に配置された平面に対して少なくとも一部の領域において明らかに傾斜している、被試験体(PO)の湾曲した表面(OF)に関連する。
【0093】
さらに、傾斜した、特に湾曲した表面(OF)では、加熱される表面領域(BO)の大きさおよび形状は、表面(OF)の傾斜および/または曲率に依存することがあり、その結果、それぞれの表面に特有の熱量も変動する。
【0094】
熱センサ手段(3)の光学軸(OA)に対する測定される表面領域(VO)の傾斜(NE)の空間プロファイルを考慮することにより、歪みや表面固有の熱量の変動による誤差を補償することができる。
【0095】
本発明の有利なさらなる発展形態によれば、加熱装置(2)は、被試験体(PO)の加熱される表面領域(BO)への熱エネルギーの印加が、傾斜の空間プロファイルの機能として影響を受けるように構成されている。
【0096】
その結果、傾斜(NE)の空間プロファイルに応じて、熱量の入力を開ループまたは閉ループ制御にすることが可能である。例えば、加熱装置(2)の電力、または加熱装置(2)の作用時間は、開ループまたは閉ループ制御に供されてもよい。このように、一方で、加熱される表面領域(BO)が、加熱の方向に対してほぼ垂直である場合の被試験体(PO)の局所的な加熱と、他方で、加熱される表面領域(BO)が、加熱の方向にほぼ平行である場合であって、被試験体(PO)の、評価できないほど微量の加熱との両方を避けることができる。
【0097】
本発明のさらに有利な発展形態によれば、サーモグラフィー検査手段(1)は、傾斜(NE)の空間プロファイルを検出するための傾斜検出手段(6)を備える。例えば、傾斜検出手段(6)は、レーザ光断面カメラ(6)を備えることができる。光学レーザ光断面カメラ(6)を用いて、被試験体(PO)への入射点の位置、ならびに表面(OF)の曲率および向きを、加熱手段(2)の既知の光路による三角測量によって、容易に決定することができる。レーザ光断面カメラ(6)は、加熱手段(2)のスペクトルに同調させることができる。
【0098】
この目的のために、加熱される表面領域の位置は、正確な局在化を可能にするために使用されてもよい。必要であれば、覆われた領域を増加させて分解能を高めるために、加熱のために使用されるレーザまたは別のレーザを用いて、追加の線を生成することができる。すなわち、傾斜(NE)の空間プロファイルは、高分解能での加熱プロセスとは別に、最初に検出されてもよく、この場合、加熱される表面領域(BO)は、傾斜(NE)の空間プロファイルおよび空間温度分布(OTV)を一致させる基準となる。
【0099】
このようにして、複雑な外形を有する被試験体を、その形状が明白に知られていなくても検査することも可能である。
【0100】
図7は、較正体を製造するための鋳型の概略3次元表現と、鋳型によって製造された較正体の概略3次元表現を示す。
【0101】
本発明のさらに有利な発展形態によれば、サーモグラフィー検査手段(1)は、較正体(8)、特にくさび形較正体(8)を製造するための鋳型(7)を含む。照射による熱入力は、出力のスペクトルおよび空間分布ならびに光源によって照射される表面積ならびに表面の反射および/または吸収係数に依存する。多数の影響因子、また、それらの大きさが時々可変であるか、または同定が容易でないことから、表面近傍構造を検査する前に配置の較正(1)が有利である。この目的のために、識別可能で、測定対象と同じ材料から製造された、低い値から高い値の範囲の既知の厚さd1とd2を有するくさび形状の較正体(8)を使用することができる。提供された鋳型(7)は、それぞれの被試験体(PO)に対応する較正体(8)を容易に製造することを可能にする。
【0102】
鋳型(7)は、スリット(10)を含み、較正体(8)の厚さ(d)が変化する方向に沿って延びる底部(9)を備える。さらに、鋳型(7)は、4つの側壁(11)およびスリット(10)のための閉鎖部(12)を備える。鋳型(7)は、スリット(10)が閉鎖部(12)によって閉じられている際にキャスタブル材料で充填されるように、上部が開放されている。一旦キャスタブル材料が凝固すると、較正体(8)の下側がスリット(10)の領域内に露出されるように、閉鎖部(12)を除去することができる。次に、鋳型(7)内にまだ位置している較正体(8)は、スリット(10)の領域における較正体(8)内の温度伝播が、鋳型(7)によって実質的に影響されないため、較正に使用することができる。マーキング(13)は、キャリブレーション中に較正体(8)を位置決めする働きをする。
【0103】
図7に示される鋳型(7)は、キャスタブル材料から較正体(8)を製造するために提供される。鋳型(7)は、閉鎖部(12)が取り外し可能であり、較正体(8)がスロット(10)の上に露出されるように構成されている。マーキング(13)によって、スロット(10)の中心の位置および較正体(8)の厚さは、両方のマーキング(13)の間の直線接続線に沿って外側から読み出され、較正の際に考慮されてもよい。光学パラメータを識別するために、較正体(8)は適切な回転軸の周りを回転される。このようにして、表面特性が測定プロセスに及ぼす影響を定めることが可能である。
【符号の説明】
【0104】
1 サーモグラフィー検査手段
2 加熱装置
3 熱センサ手段
4 評価手段
5 ビームスプリッター
6 傾斜検出手段
7 鋳型
8 較正体
9 底部
10 スリット
11 側壁
12 閉鎖部
13 マーキング
PO 被試験体
OF 表面
BO 加熱される表面領域
VO 測定される表面領域
AO 測定される外側表面領域
DW 被試験体の壁の厚さ
EB 検出領域
OA 光学軸
WA 壁
EW 電磁波
ZV 空間温度分布の時間プロファイル
OTV 空間温度分布
d 較正体の厚さ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【国際調査報告】