(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
本発明は、1つには、たとえば過敏性腸症候群(IBS)などのメタン生成菌関連の障害を治療する方法及び組成物に関する。具体的には、少なくとも1種の抗メタン生成スタチンを含み、該抗メタン生成スタチンを腸内で放出する、放出調整製剤を提供する。
少なくとも1種の抗メタン生成スタチンを含む放出調整製剤であって、胃から腸管の1つ以上の領域に入ると、前記抗メタン生成スタチンの少なくとも60%を放出する、前記製剤。
前記抗メタン生成スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、ダルバスタチン、エプタスタチン、フルインドスタチン(fluindostatin)、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、ベロスタチン(velostatin)、及びその薬学的に許容可能な塩、ステレオアイソマー、またはプロドラッグ誘導体から選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の製剤。
前記抗メタン生成スタチンは、ロバスタチン及びその薬学的に許容可能な塩、ステレオアイソマー、またはプロドラッグ誘導体である、先行請求項のいずれか1項に記載の製剤。
前記抗メタン生成スタチンは、プラバスタチン及びその薬学的に許容可能な塩、ステレオアイソマー、またはプロドラッグ誘導体である、先行請求項のいずれか1項に記載の製剤。
前記第1の用量の少なくとも1種の抗メタン生成スタチン及び/または前記第2の用量の少なくとも1種の抗メタン生成スタチンは、コア粒子に封入されている、請求項20に記載の製剤。
前記第1の用量の少なくとも1種の抗メタン生成スタチン及び/または前記第2の用量の少なくとも1種の抗メタン生成スタチンは、層に封入されている、請求項20から24のいずれか1項に記載の製剤。
前記第1の用量の少なくとも1種の抗メタン生成スタチンは、十二指腸で放出され、前記第2の用量の少なくとも1種の抗メタン生成スタチンは、回腸で放出される、請求項20から28のいずれか1項に記載の製剤。
前記第1の用量の少なくとも1種の抗メタン生成スタチンは、小腸で放出され、前記第2の用量の少なくとも1種の抗メタン生成スタチンは、大腸で放出される、請求項20から29のいずれか1項に記載の製剤。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、1つには、副作用を避けながらメタン生成菌関連の障害を有効に治療または予防するのに有用な製剤及び方法の驚くべき発見に基づくものである。本発明は、具体的には、(たとえばIBS−Cを含む)たとえばIBSなどのたとえばメタン生成菌関連の障害の治療に有用な1種以上の抗メタン生成スタチンを含む放出調整製剤を提供する。
【0018】
本明細書では、「抗メタン生成スタチン」または「スタチン」は、脂質低下剤として使用され、HMG−CoA還元酵素阻害剤として当業界では知られている、ある種類の化合物を指す。しかし、従来のスタチン化合物の使用は、メタン生成の治療における作用機構を必ずしも意味するものではない。すなわち、いくつかの実施形態では、スタチンはHMG−CoA還元酵素という酵素を阻害し得るが、他の実施形態では他の様式で奏効し得る。たとえばスタチンは、たとえばadh アルコールデヒドロゲナーゼ;fdh ギ酸デヒドロゲナーゼ;fno F420依存性NADPオキシドレダクターゼ;ftr ホルミルMF:H4MPTホルミルトランスフェラーゼ;fwd ホルミルMFデヒドロゲナーゼ;hmd メチレンH4MPTデヒドロゲナーゼ;mch メテニルH4MPTシクロヒドロラーゼ;mtd F420依存性メチレンH4MPTデヒドロゲナーゼ;mer F420依存性メチレンH4MPTレダクターゼ;mtr メチルH4MPT:CoMメチルトランスフェラーゼ;mcr メチルCoMレダクターゼ;及びmtaB メタノール:コバラミンメチルトランスフェラーゼ(7)ヘテロジスルフィドレダクターゼ系のうちの1種以上などの、メタン生成酵素を標的とし得る。いくつかの実施形態では、スタチンはHMG−CoA還元酵素を実質的に阻害しない。
【0019】
スタチンの全身使用は、肝臓内の酵素レベルの上昇や、筋肉に関する問題(たとえば筋肉痛、横紋筋融解及び重度のミオパチー)などの有害な副作用と関連付けられている。さらに、スタチンの全身使用は、一部の患者では消化障害と結びつけられている。本発明の放出調整製剤は、投与された抗メタン生成スタチンが腸から全身に循環して吸収されることを最小限化し、スタチンと関連付けられている副作用、または疾患を悪化させるような効果を低減する。それに加えて、IBS−CまたはCICの患者全員が脂質低下治療を必要とするわけではないので、本発明の放出調整製剤からのスタチンの全身性吸収は、理想的には、総コレステロール(総C)または低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)またはアポリポタンパク質B(アポB)またはトリグリセリド(TG)の治療的に有意味な低下を提供するには十分ではなく、あるいは、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)の治療的に有意味な増加を提供するには十分ではない(たとえば6週目で血清中LDL−Cレベルの低下は5%未満)。
【0020】
放出調整プロファイル
一態様では、本発明は、少なくとも1種の抗メタン生成剤を含む放出調整製剤を提供し、該製剤は、胃から腸管の1つ以上の領域に入ると、抗メタン生成スタチンなどの抗メタン生成剤の少なくとも約60%を放出する。
【0021】
様々な実施形態では、抗メタン生成剤は、メタンの生産を阻害できる、メタン生成を阻害できる、またはメタン生成菌の増殖及び/もしくは繁殖を阻害できる薬剤である。いくつかの態様では、抗メタン生成剤は、論理に縛られるわけではないが典型的には、有効なHMG−CoA還元酵素阻害剤であるスタチンのヒドロキシ酸分子であるか、論理に縛られるわけではないが典型的には、無効なHMG−CoA阻害剤であるスタチンのラクトン体である。いくつかの態様では、抗メタン生成剤は、「抗メタン生成スタチン」または「スタチン」として言及される。
【0022】
一態様では、本発明は、少なくとも1種の抗メタン生成スタチンを含む放出調整製剤を提供し、該製剤は、胃から腸管の1つ以上の領域に入ると、抗メタン生成スタチンの少なくとも60%を放出する。
【0023】
本発明にとって有用な例示的スタチンとしては、限定ではないが、アトルバスタチン、セリバスタチン、ダルバスタチン、エプタスタチン、フルインドスタチン(fluindostatin)、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、ベロスタチン(velostatin)、ならびにその薬学的に許容可能なエステル、プロドラッグ、塩、溶媒和物、エナンチオマー、ステレオアイソマー、活性代謝物、共結晶、及びその他の生理学的機能のある誘導体が挙げられる。一実施形態では、スタチンはプラバスタチンである。別の実施形態では、スタチンはロバスタチンである。さらに別の実施形態では、スタチンはシンバスタチンである。いくつかの実施形態では、スタチンはラクトン型またはヒドロキシ酸型である。いくつかの実施形態では、抗メタン生成スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、ダルバスタチン、エプタスタチン、フルインドスタチン(fluindostatin)、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、ベロスタチン(velostatin)のうちの1種以上のラクトン型である。いくつかの実施形態では、抗メタン生成スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、ダルバスタチン、エプタスタチン、フルインドスタチン(fluindostatin)、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、ベロスタチン(velostatin)のうちの1種以上のヒドロキシ酸型である。
【0024】
いくつかの実施形態では、抗メタン生成スタチンは、ロバスタチン、シンバスタチン及びメバスタチンのうちの1種以上のラクトン型である。いくつかの実施形態では、抗メタン生成スタチンは、ラクトン型のロバスタチンである。
【0025】
様々な実施形態では、抗メタン生成スタチン(たとえばロバスタチン)は、本製剤による送達部位では実質的にラクトン型である。たとえば、いくつかの実施形態では、GI管に送達されるラクトン型の抗メタン生成スタチン(たとえばロバスタチン)の量は、約95%よりも多く、または約90%よりも多く、または約85%よりも多く、または約80%よりも多く、または約75%よりも多く、または約70%よりも多く、または約65%よりも多く、または約60%よりも多く、または約55%よりも多く、または約50%よりも多く、または約25%よりも多い。
【0026】
様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤は、(たとえば経口摂取後の)即時放出用に設計されている。様々な実施形態では、放出調整製剤は、持続性放出プロファイルを有し得る。つまり、一定時間にわたり身体(たとえばGI管)内で活性成分(複数可)が徐放性放出される。様々な実施形態では、放出調整製剤は、遅延放出プロファイルを有し得る。つまり、経口摂取後すぐに活性成分(複数可)を放出するのではなく、その組成物が胃腸管の下部にくるまで活性成分(複数可)の放出を延期するので、たとえば小腸(たとえば十二指腸、空腸、回腸のうちの1つ以上)内で、または大腸(たとえば盲腸、結腸の上行、横行、下行またはS状部分、及び直腸のうちの1つ以上)内で放出する。たとえば、小腸または大腸に達するまで活性成分(複数可)の放出を遅延させるように、組成物を腸溶性とすることができる。いくつかの実施形態では、本製剤の活性成分(複数可)が大便中に含まれることはほとんどない。
【0027】
様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤は、胃から腸の1つ以上の領域に入ると、(随意に、初回放出として)抗メタン生成スタチンの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または60%を放出する。たとえば、放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を腸内で放出する。
【0028】
様々な実施形態では、放出調整製剤は、(随意に、初回放出として)抗メタン生成スタチンを小腸内で放出する。様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または60%を小腸内で放出する。たとえば、放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を小腸内で放出する。
【0029】
一実施形態では、製剤は、(随意に、初回放出として)抗メタン生成スタチンを十二指腸内で放出する。様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または60%を十二指腸内で放出する。たとえば、放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を十二指腸内で放出する。
【0030】
別の実施形態では、製剤は、(随意に、初回放出として)抗メタン生成スタチンを空腸内で放出する。様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または60%を空腸内で放出する。たとえば、放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を空腸内で放出する。
【0031】
さらなる実施形態では、製剤は、(随意に、初回放出として)抗メタン生成スタチンを回腸及び/または回盲連結部内で放出する。様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または60%を回腸及び/または回盲連結部内で放出する。たとえば、放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を回腸及び/または回盲連結部内で放出する。
【0032】
他の実施形態では、放出調整製剤は、(随意に、初回放出として)抗メタン生成スタチンを大腸内で放出する。様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または60%を大腸内で放出する。たとえば、放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を大腸内で放出する。
【0033】
一実施形態では、放出調整製剤は、(随意に、初回放出として)抗メタン生成スタチンを盲腸内で放出する。様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または60%を盲腸内で放出する。たとえば、放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を盲腸内で放出する。
【0034】
別の実施形態では、放出調整製剤は、(随意に、初回放出として)抗メタン生成スタチンを上行結腸内で放出する。様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または60%を上行結腸内で放出する。たとえば、放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を上行結腸内で放出する。
【0035】
さらに別の実施形態では、抗メタン生成スタチンは、(随意に、初回放出として)横行結腸内で放出される。様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または60%を横行結腸内で放出する。たとえば、放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を横行結腸内で放出する。
【0036】
さらなる実施形態では、抗メタン生成スタチンは、(随意に、初回放出として)下行結腸内で放出される。様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または60%を下行結腸内で放出する。たとえば、放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%を下行結腸内で放出する。
【0037】
別の実施形態では、抗メタン生成スタチンは、(随意に、初回放出として)S状結腸内で放出される。様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または60%をS状結腸内で放出する。たとえば、放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンの少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%をS状結腸内で放出する。
【0038】
ある実施形態では、放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンを胃内ではほとんど放出しない。
【0039】
いくつかの実施形態では、放出調整製剤は、異なる腸内pH値でロバスタチンを放出する腸溶ミニタブレットを充填したHPMCカプセルである。ミニタブレットは、未変化のまま胃を通過してから、少量のロバスタチンを十二指腸内に放出し、ロバスタチン用量の大部分を回盲連結部及び結腸内に放出するように設計されている。
【0040】
ある実施形態では、放出調整製剤は、抗メタン生成スタチンを特定のpHで放出する。たとえば、いくつかの実施形態では、放出調整製剤は、酸性環境では実質的に安定しているが、中性に近いまたはアルカリ性環境では実質的に不安定(たとえば直ちに溶解するか、物理的に不安定)である。いくつかの実施形態では、安定とは実質的に放出しないことを指し、不安定とは実質的に放出することを指している。たとえば、いくつかの実施形態では、放出調整製剤は、pH約7.0以下、または約6.5以下、または約6.0以下、または約5.5以下、または約5.0以下、または約4.5以下、または約4.0以下、または約3.5以下、または約3.0以下、または約2.5以下、または約2.0以下、または約1.5以下、または約1.0以下で実質的に安定している。いくつかの実施形態では、本製剤は、より低いpH域で安定しているので、たとえば胃内では実質的に放出しない。いくつかの実施形態では、放出調整製剤は、pH約1〜約4以下で実質的に安定しており、それよりも高いpH値では実質的に不安定である。これらの実施形態では、放出調整製剤は胃内では実質的に放出されない。これらの実施形態では、放出調整製剤は小腸(たとえば十二指腸、空腸、及び回腸のうちの1つ以上)内及び/または大腸(たとえば盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、及びS状結腸のうちの1つ以上)内で実質的に放出される。いくつかの実施形態では、放出調整製剤は、pH約4〜約5以下で実質的に安定しており、したがってそれよりも高いpH値では実質的に不安定なので、胃及び/または小腸(たとえば十二指腸、空腸、及び回腸のうちの1つ以上)では実質的に放出されない。これらの実施形態では、放出調整製剤は、大腸(たとえば盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、及びS状結腸のうちの1つ以上)内で実質的に放出される。様々な実施形態では、本明細書に記載のpH値は、対象の状態、たとえば絶食状態または食後状態であるかどうかによって、当業界で知られるように調節され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、放出調整製剤は、胃液中では実質的に安定しており、腸液中では実質的に不安定なので、小腸(たとえば十二指腸、空腸、及び回腸のうちの1つ以上)内及び/または大腸(たとえば盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、及びS状結腸のうちの1つ以上)内で実質的に放出される。
【0042】
いくつかの実施形態では、放出調整製剤は、胃液中では安定しており、または酸性環境では安定している。これらの放出調整製剤は、放出調整製剤中の抗メタン生成スタチン及び/または追加の治療剤の約30重量%以下を、pH約4〜約5以下の胃液中で、またはpH約4〜約5以下の疑似胃液中で、約15、または約30、または約45、または約60、または約90分で放出する。本発明の放出調整製剤は、放出調整製剤中の抗メタン生成スタチン及び/または追加の治療剤の約0重量%〜約30重量%、約0重量%〜約25重量%、約0重量%〜約20重量%、約0重量%〜約15重量%、約0重量%〜約10重量%、約5%〜約30%、約5重量%〜約25重量%、約5重量%〜約20重量%、約5重量%〜約15重量%、約5重量%〜約10重量%を、pH4〜5以下の胃液中で、またはpH4〜5以下の疑似胃液中で、約15、または約30、または約45、または約60、または約90分で放出し得る。本発明の放出調整製剤は、放出調整製剤中の抗メタン生成スタチン及び/または追加の治療剤全部の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%を、pH5以下の胃液中で、またはpH5以下の疑似胃液中で、約15、または約30、または約45、または約60、または約90分で放出し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、放出調整製剤は、腸液中では不安定である。これらの放出調整製剤は、放出調整製剤中の抗メタン生成スタチン及び/または追加の治療剤の約70重量%以上を、腸液または疑似腸液中で、約15、または約30、または約45、または約60、または約90分で放出する。いくつかの実施形態では、放出調整製剤は、中性に近い〜アルカリ性環境では不安定である。これらの放出調整製剤は、放出調整製剤中の抗メタン生成スタチン及び/または追加の治療剤の約70重量%以上を、pH約4〜5以上の腸液中で、またはpH約4〜5以上の疑似腸液中で、約15、または約30、または約45、または約60、または約90分で放出する。中性に近いまたはアルカリ性環境では不安定な放出調整製剤は、放出調整製剤中の抗メタン生成スタチン及び/または追加の治療剤の70重量%以上を、pH約5以上の流体(たとえばpH約5〜約14、約6〜約14、約7〜約14、約8〜約14、約9〜約14、約10〜約14、または約11〜約14の流体)中で、約5分〜約90分、または約10分〜約90分、または約15分〜約90分、または約20分〜約90分、または約25分〜約90分、または約30分〜約90分、または約5分〜約60分、または約10分〜約60分、または約15分〜約60分、または約20分〜約60分、または約25分〜約90分、または約30分〜約60分で放出し得る。
【0044】
一実施形態では、放出調整製剤は、胃液中では、基本的にもとのまま、つまり基本的に不溶性のままであり得る。遅延放出コーティングの安定性は、pH依存性であり得る。pH依存性の遅延放出コーティングは、酸性環境(pH約5以下)では実質的に安定しているが、中性に近い〜アルカリ性環境(pH約5よりも高い)では実質的に不安定になる。たとえば、遅延放出コーティングは、小腸(たとえば十二指腸、空腸、及び回腸のうちの1つ以上)内及び/または大腸(たとえば盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、及びS状結腸のうちの1つ以上)内に見られるような中性に近い〜アルカリ性環境では基本的には崩壊または溶解し得る。
【0045】
疑似胃液及び疑似腸液の例としては、限定ではないが、2005 Pharmacopeia 23NF/28USP中、Test Solutionsの2858ページに開示されるもの及び/または当業界で知られる他の疑似胃液及び疑似腸液、たとえば酵素なしで調製された疑似胃液及び/または腸液が挙げられる。
【0046】
あるいは、放出調整製剤の安定性は、酵素依存性であり得る。酵素依存性の遅延放出コーティングは、特定の酵素を含まない流体中では実質的に安定しているが、その酵素を含む流体中では実質的に不安定になる。遅延放出コーティングは、適切な酵素を含む流体中では基本的に崩壊または溶解する。酵素依存性コントロールは、ガラクトマンナンなどの、腸内酵素に曝露されて初めて活性成分を放出する物質を用いることで、実現され得る。また、放出調整製剤の安定性は、腸内フローラに存在している微生物酵素の存在下での酵素の安定性に依存し得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、2パルス(dual pulse)製剤が提供される。様々な実施形態では、本発明は、複数用量の抗メタン生成スタチンを腸の異なる場所で、異なる時間で、及び/または異なるpHで放出する放出調整製剤を提供する。一例示的実施形態では、放出調整製剤は、第1の用量の抗メタン生成スタチン、及び第2の用量の抗メタン生成スタチンを含んでおり、第1の用量と第2の用量は、腸の異なる場所で、異なる時間で、及び/または異なるpHで放出される。たとえば、第1の用量は十二指腸で放出され、第2の用量は回盲連結部及び/または結腸で放出される。別の例では、第1の用量は空腸で放出され、第2の用量は回腸で放出される。他の実施形態では、第1の用量は小腸のどこかの場所(たとえば十二指腸)で放出され、第2の用量は大腸のどこかの場所(たとえば上行結腸)で放出される。様々な実施形態では、放出調整製剤は、少なくとも1用量、少なくとも2用量、少なくとも3用量、少なくとも4用量、少なくとも5用量、少なくとも6用量、少なくとも7用量、または少なくとも8用量の抗メタン生成スタチンを、腸の異なる場所で、異なる時間で、及び/または異なるpHで放出し得る。個々の用量は、同種のスタチンを含む場合もあるし、異種のスタチンを含む場合もある。たとえば、放出調整製剤は、複数の用量を放出し得、第1の用量は十二指腸で放出され、第2の及び/または追加の用量は回盲連結部及び/または結腸で放出される。
【0048】
いくつかの実施形態では、2パルス製剤は、抗メタン生成スタチン及び随意で追加の治療剤を含むビーズまたはミニタブレットを含む腸溶カプセルである。いくつかの実施形態では、腸溶カプセルは、GI管の第1のエリアで溶解してビーズまたはミニタブレットを放出し、及び/またはビーズまたはミニタブレットの第1の集団がそのGI管の第2のエリア(GI管の第1のエリアとは別)で放出され、ビーズまたはミニタブレットの第2の集団がそのGI管の第3のエリア(GI管の第1及び第2のエリアとは別)で放出される。いくつかの実施形態では、用量/放出比(たとえば、様々な場所でどのくらいの量の薬剤が放出されるか)は、必要に応じて調整され得る。いくつかの実施形態では、腸溶カプセルは、十二指腸内で溶解してビーズまたはミニタブレットを放出し、及び/またはビーズまたはミニタブレットの第1の集団が十二指腸内で放出され、及び/またはビーズまたはミニタブレットの第2の集団が回盲連結部内で放出される(たとえば
図1〜4を参照)。
【0049】
代替実施形態では、2パルス製剤は、抗メタン生成スタチン及び随意で追加の治療剤を含む腸溶ビーズまたはミニタブレットを含む水溶性カプセルである。例示的水溶性カプセルとしては、限定ではないが、ゼラチンカプセル及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルが挙げられる。いくつかの実施形態では、水溶性カプセルはGI管の第1のエリアで溶解してビーズまたはミニタブレットを放出し、及び/またはビーズまたはミニタブレットの第1の集団がそのGI管の第2のエリア(GI管の第1のエリアとは別)で放出され、ビーズまたはミニタブレットの第2の集団がそのGI管の第3のエリア(GI管の第1及び第2のエリアとは別)で放出される。いくつかの実施形態では、水溶性カプセルは胃内で溶解してビーズまたはミニタブレットを放出し、及び/またはビーズまたはミニタブレットの第1の集団が十二指腸内で放出され、及び/またはビーズまたはミニタブレットの第2の集団が回盲連結部及び/または結腸内で放出される。
【0050】
放出調整製剤及び剤形
本発明の放出調整製剤は、さらに、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含み得る。当業者であれば認識しようが、製剤は、所望の使用及び投与経路に適した任意の好適な形態であり得る。好適な剤形の例としては、たとえば、経口及び非経口の諸剤形が挙げられる。
【0051】
経口使用の好適な剤形としては、たとえば、錠剤、散剤、顆粒、及びカプセルなどの固形の剤形が挙げられる。一実施形態では、放出調整製剤は、錠剤の形態である。別の実施形態では、放出調整製剤は、カプセルの形態である。さらに別の実施形態では、放出調整製剤は、ソフトゲルカプセルの形態である。さらなる実施形態では、放出調整製剤は、ゼラチンカプセルの形態である。さらなる実施形態では、放出調整製剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルの形態である。
【0052】
そのような剤形において活性化合物と混合されるのは、少なくとも1種の不活性な、薬学的に許容可能な、クエン酸ナトリウムやリン酸二カルシウムなどの賦形剤または担体、及び/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ケイ酸、微結晶セルロース(たとえばAvicel PH102)及びBakers Special Sugarなどの充填剤、希釈剤、もしくは増量剤、b)たとえば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート(alginates)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、アカシア、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、及びKollidon(登録商標)VA64やKollidon(登録商標)VA64 Fineなどのコポビドンなどの結合剤、c)グリセロールなどの保水材、d)寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカのデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸、炭酸ナトリウム、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)やクロスカルメロースナトリウム(架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)などの架橋ポリマー、デンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)たとえばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイトクレイなどの吸収剤、i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリルベヘナート(glyceryl behenate)などの潤滑剤、j)没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン四酢酸(エデト酸またはEDTAとしても知られている)などの抗酸化剤、k)二酸化ケイ素もしくはシリカなどの増粘分散剤など、ならびにそのような賦形剤の混合物である。当業者であれば、特定の賦形剤は、経口剤形において2つ以上の機能を有し得ることを認識しよう。たとえばカプセルまたは錠剤などの経口剤形の場合、この剤形には緩衝剤も含まれ得る。
【0053】
放出調整製剤は、追加で界面活性剤を含み得る。本発明で使用するのに好適な界面活性剤としては、限定ではないが、任意の薬学的に許容可能な、非毒性界面活性剤が挙げられる。本発明の組成物に使用するのに好適な界面活性剤としては、限定ではないが、ポリエトキシ化(polyethoxylated)脂肪酸、PEG脂肪酸ジエステル、PEG脂肪酸モノエステルとジエステルの混合物、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、アルコール−油エステル交換産物、ポリグリセリル化(polyglycerized)脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールエステル−グリセロールエステルとモノグリセリドとジグリセリドの混合物、ステロール及びステロール誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エステル、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレンオリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、イオン界面活性剤、ならびにそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、限定ではないが、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、及びクエン酸トリエチルなどの界面活性剤を1種以上含み得る。
【0054】
放出調整製剤は、柔軟性や硬さなどの所望の機械的特性を得るために、薬学的に許容可能な可塑剤も含有し得る。そのような可塑剤としては、限定ではないが、トリアセチン、クエン酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸ジブチル、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリソルベートまたはその他の可塑剤が挙げられる。
【0055】
放出調整製剤は、1種以上の塗布(application)溶媒も含有し得る。遅延放出コーティング組成物の塗布に用いることができる最も一般的な溶媒をいくつか挙げると、たとえば、イソプロピルアルコール、アセトン、塩化メチレンなどがある。
【0056】
放出調整製剤は、1種以上の崩壊剤も含有し得る。使用され得る例示的な崩壊剤としては、限定ではないが、Kollidon(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL−F、Kollidon(登録商標)CL−SF、またはKollidon(登録商標)CL−Mなどのクロスポビドンが挙げられる。
【0057】
放出調整製剤は、1種以上のアルカリ性物質も含有し得る。本発明の組成物中に使用するのに好適なアルカリ性物質としては、限定ではないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及び、リン酸、炭酸、クエン酸などの酸のアルミニウム塩、ならびに他のアルミニウム/マグネシウム化合物が挙げられる。それに加えて、アルカリ性物質は、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、及び酸化マグネシウムなどの制酸性物質から選択され得る。
【0058】
固形の経口剤形は、たとえば活性化合物(たとえばスタチン)に1種以上の適切な賦形剤を加えて造粒(たとえば湿式または乾式造粒)するなど、当業界で知られている任意の一般的な方法で調製できる。あるいは、流動床やパンコーティング、または当業界で知られている方法による押し出しや球形化などの一般的な方法により、不活性コア(たとえばノンパレイユ/砂糖玉、またはシリカ玉)上に活性化合物の層を作って、活性化合物を含有するビーズを作ることもできる。次いでそのようなビーズを、一般的な方法により、錠剤またはカプセルに組み込むことができる。
【0059】
経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容可能な乳剤、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、たとえば、水もしくは他の溶媒、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(具体的には、綿実油、落花生油、コーン油、微生物油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタン脂肪酸エステルなどの溶解剤及び乳剤、ならびにそれらの混合物といった、当業界で一般的に使用される不活性な希釈剤を含有し得る。
【0060】
不活性な希釈剤以外に、経口組成物は、甘味料、香味料、及び香料などの補助剤も含み得る。
【0061】
懸濁液は、活性化合物に加えて、たとえば、エトキシ化(ethoxylated)イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天−寒天、トラガカントなど、及びそれらの混合物などの懸濁剤を含有し得る。
【0062】
本発明の治療剤を含む製剤は、便利な単位剤形として提供され得、薬学界で周知の任意の方法によって調製され得る。そのような方法には、一般に、治療剤を1種以上の付随成分となる担体と結合させるステップが含まれる。典型的には、製剤は、治療剤を、液体担体、粉砕した固形担体、またはその両方と均一かつ密に結合させ、次いで必要に応じて産物を所望の製剤の剤形に成形する(たとえば、湿式もしくは乾式の顆粒、粉末ブレンドとしてから、当業界で知られている一般的な方法により錠剤化する)ことにより調製される。
【0063】
様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤は、遅延放出コーティングなどの1種以上の放出調整コーティングを用いて、抗メタン生成スタチンを随意で他の治療剤とともに、有効に、遅延させながら十分にGI管に送達することができる。
【0064】
一実施形態では、遅延放出コーティングは、酸性環境では実質的に安定しているが中性に近い〜アルカリ性環境では実質的に不安定な腸溶剤を含んでいる。一実施形態では、遅延放出コーティングは、胃液中では実質的に安定している腸溶剤を含有している。腸溶剤は、たとえば、メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ポリビニルアセタートフタラート、カルボキシメチルエチルセルロース、及びEUDRAGIT(登録商標)タイプのポリマー(ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリラート)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートサクシナート、セルロースアセタートトリメリタート、セラック、または他の好適な腸溶コーティングポリマーの溶液または分散液から選択され得る。EUDRAGIT(登録商標)タイプのポリマーとしては、たとえば、EUDRAGIT(登録商標)FS 30D、L 30 D−55、L 100−55、L 100、L 12,5、L 12,5 P、RL 30 D、RL PO、RL 100、RL 12,5、RS 30 D、RS PO、RS 100、RS 12、5、NE 30 D、NE 40 D、NM 30 D、S 100、S 12,5、及びS 12,5 Pが挙げられる。類似のポリマーとしては、Kollicoat(登録商標)MAE30 DP及びKollicoat(登録商標)MAE 100 Pが挙げられる。いくつかの実施形態では、EUDRAGIT(登録商標)FS 30D、L 30 D−55、L 100−55、L 100、L 12,5、L 12,5 P RL 30 D、RL PO、RL 100、RL 12,5、RS 30 D、RS PO、RS 100、RS 12,5、NE 30 D、NE 40 D、NM 30 D、S 100、S 12,5 S 12,5 P、Kollicoat(登録商標)MAE 30 DP及びKollicoat(登録商標)MAE 100 Pのうちの1種以上が使用される。様々な実施形態では、腸溶剤は、上記の溶液または分散液の組み合わせであり得る。ある実施形態では、1種以上のコーティング系添加剤が腸溶剤と一緒に用いられ得る。たとえば、1種以上のPlasACRYL(商標)添加剤が、粘着防止剤コーティング添加剤として用いられ得る。例示的なPlasACRYL(商標)添加剤としては、限定ではないが、PlasACRYL(商標)HTP20及びPlasACRYL(商標)T20が挙げられる。一実施形態では、PlasACRYL(商標)HTP20は、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D−55コーティングと一緒に製剤される。別の実施形態では、PlasACRYL(商標)T20は、EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dコーティングと一緒に製剤される。
【0065】
別の実施形態では、遅延放出コーティングは、水溶液中で、pH及び/または該溶液中の酵素の存在に関係なく、時間の関数として分解され得る。そのようなコーティングは、非水溶性ポリマーを含み得る。したがって水溶液中でのその溶解度は、pHに依存しない。本明細書では、「pH非依存性」という用語は、そのポリマーの水浸透度及び医薬成分を放出する能力がpHの関数ではないこと及び/または極めて僅かしかpHに依存しないことを意味する。そのようなコーティングは、たとえば、持続性放出製剤の調製に用いられ得る。好適な非水溶性ポリマーとしては、水系溶媒(たとえば水)に実質的に不溶性であり、溶液のpHに依存しない、薬学的に許容可能な非毒性ポリマーが挙げられる。好適なポリマーとしては、限定ではないが、セルロースエーテル、セルロースエステル、またはセルロースエーテル−エステル、つまりセルロース骨格のヒドロキシ基のうちのいくつかはアルキル基で置換されており、いくつかはアルカノイル基で修飾されているセルロース誘導体が挙げられる。例としては、エチルセルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロースなどが挙げられる。不溶性ポリマーの他の例としては、限定ではないが、ラッカー、及びアクリル酸及び/またはメタクリル酸エステルポリマー、または低量の四級アンモニウムを有するアクリラートもしくはメタクリラートのポリマーもしくはコポリマー、またはそれらの混合物などが挙げられる。不溶性ポリマーの他の例としては、EUDRAGIT RS(登録商標)、EUDRAGIT RL(登録商標)、及びEUDRAGIT NE(登録商標)が挙げられる。本発明にとって有用な不溶性ポリマーとしては、ポリビニルエステル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸エステル、ブタジエンスチレンコポリマーなどが挙げられる。一実施形態では、結腸への送達は、ゆっくりと浸食されるワックスプラグ(たとえばPEG6000などの様々なPEG)を用いることで実現される。
【0066】
さらなる実施形態では、遅延放出コーティングは、腸内フローラに存在する微生物酵素によって分解され得る。一実施形態では、遅延放出コーティングは、小腸内に存在する細菌によって分解され得る。別の実施形態では、遅延放出コーティングは、大腸内に存在する細菌によって分解され得る。
【0067】
本発明は、抗メタン生成スタチンの複数用量を胃腸管で放出する放出調整製剤を提供する。そのような製剤の全体的な放出プロファイルは、たとえば、複数の粒子タイプまたは複数の層を用いることで調節され得る。一実施形態では、第1の用量の抗メタン生成スタチンは、たとえば十二指腸内で放出されるように製剤され得、他方で第2の用量は、たとえば回腸で遅延放出されるように製剤され得る。別の実施形態では、第1の用量の抗メタン生成スタチンは、たとえば小腸内で放出されるように製剤され得、他方で第2の用量は、たとえば大腸で遅延放出されるように製剤され得る。あるいは、複数用量が腸の異なる複数の場所で放出される。
【0068】
一実施形態では、1つ以上の用量の抗メタン生成スタチンは、たとえばマイクロビーズまたはミニタブレットとして、コア粒子に封入され得る。たとえば、第1の用量の抗メタン生成スタチンは、腸管の第1の場所で放出されるように設計された放出調整コーティングで被覆されたコア粒子に封入され得、第2の用量の抗メタン生成スタチンは、腸管の第2の場所で放出されるように設計された放出調整コーティングで被覆されたコア粒子に封入され得る。様々な実施形態では、製剤は、複数のそのような放出調整粒子を含み得る。たとえば、製剤は、複数のマイクロビーズまたは複数のミニタブレットを含むカプセル剤形であり得る。たとえば、製剤は、複数の腸溶マイクロビーズまたはミニタブレットを含む、たとえばゼラチンカプセル及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルなどのカプセル剤形であり得る。そのような実施形態では、複数のマイクロビーズまたはミニタブレットを組み合わせることもでき、その場合は各マイクロビーズまたはミニタブレットが特定の時点または場所で放出するように設計されている。一代替実施形態では、製剤は、カプセル中カプセルとして製剤されており、各カプセルは異なる時間またはpH依存性の放出特性を有している。
【0069】
いくつかの実施形態では、製剤は、複数のマイクロビーズまたは複数のミニタブレットを、特定量の活性成分を特定の時点または場所で放出するために特定の割合で含み得る。たとえば、製剤は、第1の場所(たとえば十二指腸)または第1のpH(たとえばpH約5.5)で放出するミニタブレットと、第2の場所(たとえば回盲連結部または結腸)または第2のpH(たとえばpH約7.0)で放出するミニタブレットの特定の割合を有し得る。いくつかの実施形態では、割合は、約1:10〜約10:1である。たとえば、製剤は、第1のpH(たとえばpH約5.5)と第2のpH(たとえばpH約7.0)で、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、または2:1の割合で放出するミニタブレットを含み得る。一実施形態では、製剤は、第1のpH(たとえばpH約5.5)と第2のpH(たとえばpH約7.0)で、1:2の割合で放出するミニタブレットを含み得る。別の実施形態では、製剤は、第1のpH(たとえばpH約5.5)と第2のpH(たとえばpH約7.0)で、1:5の割合で放出するミニタブレットを含み得る。
【0070】
別の実施形態では、抗メタン生成スタチンの1つ以上の用量は、層中に封入され得る。たとえば、第1の用量の抗メタン生成スタチンは、腸管の第1の場所で放出されるように設計された放出調整コーティングで被覆された層に封入され得、第2の用量の抗メタン生成スタチンは、腸管の第2の場所で放出されるように設計された放出調整コーティングで被覆された層に封入され得る。製剤は、複数のそのような放出調整層を含み得る。たとえば、製剤は、多層錠剤または多層カプセルまたはカプセル中カプセルの剤形である。各層は、異なる時間またはpH依存性の放出特性を有し得る。
【0071】
上述の実施形態では、遅延放出コーティングで被覆された粒子または層は、さらにオーバーコート層で被覆され得る。オーバーコート層は、他のコーティング組成物について説明したようにして加えられ得る。オーバーコート材料は、糖、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びその他など、単独または混合で用いられる薬学的に許容可能な化合物である。オーバーコート材料は、遅延放出コーティングで被覆された粒子の凝集を防止し、圧縮工程中に遅延放出コーティングをひび割れから保護し、錠剤化工程を強化することができる。
【0072】
さらに、様々な実施形態では、本明細書で説明する薬剤は、薬学的に許容可能な塩の形態であり得る。すなわちヒト及び他の動物の組織と接触しても過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、妥当な利益/リスク比に対応している塩である。薬学的に許容可能な塩は、当業界では周知である。塩は、治療剤の最終単離または精製中にインサイチュで調製され得、または、遊離塩基官能基を好適な酸と反応させることにより、または遊離酸官能価(functionality)を適切なアルカリ部分と反応させることにより、別に調製され得る。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラ銀酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、半硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、ならびに非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、及びアミンのカチオンが挙げられ、限定ではないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどが含まれる。
【0073】
様々な実施形態では、製剤は、少なくとも1種のマイクロビーズまたはミニタブレットを含んでいる。いくつかの実施形態では、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、約5〜20重量%の抗メタン生成スタチン(いくつかの実施形態ではロバスタチンであり、さらなる実施形態ではロバスタチンラクトンである)を含んでいる。たとえば、抗メタン生成スタチンは、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、または約20重量%で存在し得る。いくつかの実施形態では、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、さらに、約50〜70重量%の錠剤希釈剤(たとえば約50重量%、約51重量%、約52重量%、約53重量%、約54重量%、約55重量%、約56重量%、約57重量%、約58重量%、約59重量%、約60重量%、約61重量%、約62重量%、約63重量%、約64重量%、または約65重量%、または約66重量%、約67重量%、または約68重量%、または約69重量%、または約70重量%)を含み得る。いくつかの実施形態では、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、さらに、約1〜10重量%の錠剤結合剤(たとえば約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%)を含み得る。いくつかの実施形態では、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、さらに、約0.1〜3.0重量%の増粘分散剤(たとえば約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、または約3.0重量%)を含み得る。いくつかの実施形態では、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、さらに、たとえば錠剤化を促進するための潤滑剤を約0.1〜3.0重量%(たとえば約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、または約3.0重量%)含み得る。いくつかの実施形態では、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、さらに、約1〜10重量%の錠剤崩壊剤(たとえば約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%)を含み得る。いくつかの実施形態では、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、さらに、pH約5.5または約7.0で溶解する腸溶性ポリマーを約10〜20重量%(たとえば約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、または約20重量%)含み得る。
【0074】
様々な実施形態では、製剤は、(いくつかの実施形態ではロバスタチンであり、さらなる実施形態ではロバスタチンラクトンである)抗メタン生成スタチン(随意で2用量になっている)、微結晶セルロース(たとえばAvicel PH102)、コポビドン(たとえばKollidonVA64 Fine)、二酸化ケイ素(たとえばAerosil 200)、ステアリン酸マグネシウム、クロスポビドン(たとえばKollidonCLまたはKollidonCL−F)を1つ以上、または2つ以上、または3つ以上、または4つ以上、または5つ以上、または全部含んでおり、ここで第1の用量の少なくとも1種の抗メタン生成スタチンは、pH約5.5で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT L 30 D−55+PlasACRYL HTP20)により封入されており、第2の用量の少なくとも1種の抗メタン生成スタチンは、pH約7.0で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT FS 30 D+PlasACRYL T20及び/またはEUDRAGIT(登録商標)S 100)により封入されている。
【0075】
様々な実施形態では、製剤は、少なくとも1種のマイクロビーズまたはミニタブレットを含んでいる。各マイクロビーズまたはミニタブレットは、約5〜20重量%の抗メタン生成スタチン(いくつかの実施形態ではロバスタチンであり、さらなる実施形態ではロバスタチンラクトンである)を含んでいる。たとえば、抗メタン生成スタチンは、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、または約20重量%で存在し得る。いくつかの実施形態では、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、さらに、約50〜70重量%の微結晶セルロース(たとえばAvicel PH102)を含み得る。たとえば、微結晶セルロースは、約50重量%、約51重量%、約52重量%、約53重量%、約54重量%、約55重量%、約56重量%、約57重量%、約58重量%、約59重量%、約60重量%、約61重量%、約62重量%、約63重量%、約64重量%、または約65重量%、または約66重量%、約67重量%、または約68重量%、または約69重量%、または約70重量%で存在し得る。いくつかの実施形態では、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、さらに、約1〜10重量%のコポビドン(たとえばKollidonVA64 Fine)を含み得る。たとえば、コポビドンは、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%で存在し得る。いくつかの実施形態では、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、さらに、約0.1〜3.0重量%の二酸化ケイ素(たとえばAerosil 200)を含み得る。たとえば、二酸化ケイ素は、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、または約3.0重量%で存在し得る。いくつかの実施形態では、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、さらに、約0.1〜3.0重量%のステアリン酸マグネシウム(たとえば、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、または約3.0重量%)を含み得る。いくつかの実施形態では、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、さらに、約1〜10重量%のクロスポビドン(たとえばKollidonCLまたはKollidonCL−F)を含み得る。たとえば、クロスポビドンは、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%で存在し得る。いくつかの実施形態では、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、さらに、pH約5.5で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT L 30 D−55+PlasACRYL HTP20)または約7.0で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT FS 30 D+PlasACRYL T20及び/またはEUDRAGIT(登録商標)S 100)を約10〜20重量%含む。たとえば、腸溶性ポリマーは、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、または約20重量%であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1種のマイクロビーズまたはミニタブレットを含んでおり、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、約12重量%の抗メタン生成スタチン(いくつかの実施形態ではロバスタチンであり、さらなる実施形態ではロバスタチンラクトンである)、約60重量%の微結晶セルロース(たとえばAvicel PH102)、約6重量%のコポビドン(たとえばKollidonVA64 Fine)、約2重量%の二酸化ケイ素(たとえばAerosil 200)、約1重量%のステアリン酸マグネシウム、約5重量%のクロスポビドン(たとえばKollidonCLまたはKollidonCL−F)、及び約15重量%のpH約5.5で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT L 30 D−55+PlasACRYL HTP20)または約7.0で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT FS 30 D+PlasACRYL T20及び/またはEUDRAGIT(登録商標)S 100)を含んでいる。
【0077】
いくつかの実施形態では、製剤は、少なくとも1種のマイクロビーズまたはミニタブレットを含んでおり、各マイクロビーズまたはミニタブレットは、約12.2重量%のロバスタチンラクトン、約60.9重量%の微結晶セルロース(Avicel PH102)、約6.1重量%のコポビドン(KollidonVA64 Fine)、約1.7重量%の二酸化ケイ素(Aerosil 200)、約0.9重量%のステアリン酸マグネシウム、約5.2重量%のクロスポビドン(KollidonCL−F)、及び、約13.0重量%のEUDRAGIT L 30 D−55+PlasACRYL HTP20コーティング(pH約5.5で溶解する)または13重量%のEUDRAGIT FS 30 D+PlasACRYL T20コーティング(pH約7.0で溶解する)を含んでいる。
【0078】
様々な実施形態では、本製剤は、約10%、約13%、約15%、または約17%、または約20%、または約25%よりも大きい厚さの、ミニタブレットの腸溶コーティング、たとえばEUDRAGIT、たとえばEUDRAGIT L 30 D−55またはEUDRAGIT FS 30 Dを含んでいる。
【0079】
様々な実施形態では、本発明の製剤は、第1のpH(たとえばpH約5.5)で放出する少なくとも1種のミニタブレットと、第2のpH(たとえばpH約7.0)で放出する少なくとも1種のミニタブレットを、1:2の割合で含み得る。そのような実施形態では、製剤は、約5〜20重量%の抗メタン生成スタチン(いくつかの実施形態ではロバスタチンであり、さらなる実施形態ではロバスタチンラクトンである)を含み得る。たとえば、抗メタン生成スタチンは、製剤全体の約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、または約20重量%で存在し得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、約30〜60重量%の錠剤希釈剤(たとえば約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、約37重量%、約38重量%、約39重量%、約40重量%、約41重量%、約42重量%、約43重量%、約44重量%、約45重量%、約46重量%、約47重量%、約48重量%、約49重量%、約50重量%、約51重量%、約52重量%、約53重量%、約54重量%、約55重量%、約56重量%、約57重量%、約58重量%、約59重量%、または約60重量%)を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、約1〜10重量%の錠剤結合剤(たとえば約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%)を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、約0.1〜3.0重量%の増粘分散剤(たとえば約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、または約3.0重量%)を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、たとえば錠剤化を促進するための潤滑剤を約0.1〜3.0重量%(たとえば約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、または約3.0重量%)含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、約1〜10重量%の錠剤崩壊剤(たとえば約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%)を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、約0.5〜10重量%のpH約5.5で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT L 30 D−55+PlasACRYL HTP20)を含み得る。たとえば、pH約5.5で溶解する腸溶性ポリマーは、製剤中、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%で存在し得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、約1〜15重量%のpH約7.0で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT FS 30 D+PlasACRYL T20及び/またはEUDRAGIT(登録商標)S 100)を含み得る。たとえば、pH約7.0で溶解する腸溶性ポリマーは、製剤中、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、または約15重量%で存在し得る。そのような実施形態では、抗メタン生成スタチン(いくつかの実施形態ではロバスタチンであり、さらなる実施形態ではロバスタチンラクトンである)は、2用量で放出され得る。第1の用量の抗メタン生成スタチンは、pH約5.5で溶解する腸溶性ポリマーにより封入され、第2の用量の抗メタン生成スタチンは、pH約7.0で溶解する腸溶性ポリマーにより封入されている。
【0080】
たとえば、製剤は、第1のpH(たとえばpH約5.5)で放出する少なくとも1種のミニタブレットと、第2のpH(たとえばpH約7.0)で放出する少なくとも1種のミニタブレットを、1:2の割合で含み得る。製剤は、約9重量%の抗メタン生成スタチン(いくつかの実施形態ではロバスタチンであり、さらなる実施形態ではロバスタチンラクトンである)、約42重量%の微結晶セルロース(たとえばAvicel PH102)、約4重量%のコポビドン(たとえばKollidonVA64 Fine)、約1重量%の二酸化ケイ素(たとえばAerosil 200)、約0.5重量%のステアリン酸マグネシウム、約4重量%のクロスポビドン(たとえばKollidonCLまたはKollidonCL−F)、約3重量%のpH約5.5で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT L 30 D−55+PlasACRYL HTP20)、及び約6重量%のpH約7.0で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT FS 30 D+PlasACRYL T20及び/またはEUDRAGIT(登録商標)S 100)を含み得る。
【0081】
別の例では、製剤は、第1のpH(たとえばpH約5.5)で放出する少なくとも1種のミニタブレットと、第2のpH(たとえばpH約7.0)で放出する少なくとも1種のミニタブレットを、1:2の割合で含み得る。製剤は、約8.5重量%の抗メタン生成スタチン(いくつかの実施形態ではロバスタチンであり、さらなる実施形態ではロバスタチンラクトンである)、約42.4重量%の微結晶セルロース(たとえばAvicel PH102)、約4.2重量%のコポビドン(たとえばKollidonVA64 Fine)、約1.2重量%の二酸化ケイ素(たとえばAerosil 200)、約0.6重量%のステアリン酸マグネシウム、約3.6重量%のクロスポビドン(たとえばKollidonCLまたはKollidonCL−F)、約3重量%のpH約5.5で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT L 30 D−55+PlasACRYL HTP20)、及び約6.1重量%のpH約7.0で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT FS 30 D+PlasACRYL T20及び/またはEUDRAGIT(登録商標)S 100)を含み得る。
【0082】
別の実施形態では、本発明の製剤は、第1のpH(たとえばpH約5.5)で放出する少なくとも1種のミニタブレットと、第2のpH(たとえばpH約7.0)で放出する少なくとも1種のミニタブレットを、1:5の割合で含み得る。そのような実施形態では、製剤は、約5〜20重量%の抗メタン生成スタチン(いくつかの実施形態ではロバスタチンであり、さらなる実施形態ではロバスタチンラクトンである)を含み得る。たとえば、抗メタン生成スタチンは、製剤全体の約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、または約20重量%で存在し得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、約30〜60重量%の錠剤希釈剤(たとえば約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、約37重量%、約38重量%、約39重量%、約40重量%、約41重量%、約42重量%、約43重量%、約44重量%、約45重量%、約46重量%、約47重量%、約48重量%、約49重量%、約50重量%、約51重量%、約52重量%、約53重量%、約54重量%、約55重量%、約56重量%、約57重量%、約58重量%、約59重量%、または約60重量%)を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、約1〜10重量%の錠剤結合剤(たとえば約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%)を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、約0.1〜3.0重量%の増粘分散剤(たとえば約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、または約3.0重量%)を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、たとえば錠剤化を促進するための潤滑剤を約0.1〜3.0重量%(たとえば約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、または約3.0重量%)含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、約1〜10重量%の錠剤崩壊剤(たとえば約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%)を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、約0.5〜10重量%のpH約5.5で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT L 30 D−55+PlasACRYL HTP20)を含み得る。たとえば、pH約5.5で溶解する腸溶性ポリマーは、製剤中、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%で存在し得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、約1〜15重量%のpH約7.0で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT FS 30 D+PlasACRYL T20及び/またはEUDRAGIT(登録商標)S 100)を含み得る。たとえば、pH約7.0で溶解する腸溶性ポリマーは、製剤中、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、または約15重量%で存在し得る。そのような実施形態では、抗メタン生成スタチン(いくつかの実施形態ではロバスタチンであり、さらなる実施形態ではロバスタチンラクトンである)は、2用量で放出され得る。第1の用量の抗メタン生成スタチンは、pH約5.5で溶解する腸溶性ポリマーにより封入され、第2の用量の抗メタン生成スタチンは、pH約7.0で溶解する腸溶性ポリマーにより封入されている。
【0083】
たとえば、製剤は、第1のpH(たとえばpH約5.5)で放出する少なくとも1種のミニタブレットと、第2のpH(たとえばpH約7.0)で放出する少なくとも1種のミニタブレットを、1:5の割合で含み得る。製剤は、約10重量%の抗メタン生成スタチン(いくつかの実施形態ではロバスタチンであり、さらなる実施形態ではロバスタチンラクトンである)、約50重量%の微結晶セルロース(たとえばAvicel PH102)、約5重量%のコポビドン(たとえばKollidonVA64 Fine)、約1重量%の二酸化ケイ素(たとえばAerosil 200)、約0.5重量%のステアリン酸マグネシウム、約4重量%のクロスポビドン(たとえばKollidonCLまたはKollidonCL−F)、約2重量%のpH約5.5で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT L 30 D−55+PlasACRYL HTP20)、及び約9重量%のpH約7.0で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT FS 30 D+PlasACRYL T20及び/またはEUDRAGIT(登録商標)S 100)を含み得る。
【0084】
別の例では、製剤は、第1のpH(たとえばpH約5.5)で放出する少なくとも1種のミニタブレットと、第2のpH(たとえばpH約7.0)で放出する少なくとも1種のミニタブレットを、1:5の割合で含み得る。製剤は、約10重量%の抗メタン生成スタチン(いくつかの実施形態ではロバスタチンであり、さらなる実施形態ではロバスタチンラクトンである)、約50重量%の微結晶セルロース(たとえばAvicel PH102)、約5重量%のコポビドン(たとえばKollidonVA64 Fine)、約1.4重量%の二酸化ケイ素(たとえばAerosil 200)、約0.7重量%のステアリン酸マグネシウム、約4.3重量%のクロスポビドン(たとえばKollidonCLまたはKollidonCL−F)、約1.8重量%のpH約5.5で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT L 30 D−55+PlasACRYL HTP20)、及び約8.9重量%のpH約7.0で溶解する腸溶性ポリマー(たとえばEUDRAGIT FS 30 D+PlasACRYL T20及び/またはEUDRAGIT(登録商標)S 100)を含み得る。
【0085】
本発明にしたがって用いられる治療剤またはそれらの薬学的に許容可能な塩は、化合物中の1つ以上の非対称またはキラル中心の存在により、立体異性性を示し得る。本発明は、様々なステレオアイソマー及びその混合物を意図している。所望のエナンチオマーは、市販のキラル出発材料から当業界で周知の方法によりキラル合成することで得ることも、またはエナンチオマーの混合物から既知の技法により分割によって得ることもできる。
【0086】
本明細書では、溶媒和物とは、特定の治療剤の生物学的有効性を保持している、該治療剤の薬学的に許容可能な溶媒和物の形態を指す。溶媒和物の例としては、たとえば水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、またはエタノールアミンと組み合わせた本発明の治療剤が挙げられる。
【0087】
本明細書では、プロドラッグとは、生理的条件下で、または加溶媒分解により、または(たとえばインビボで)代謝的に、薬学的に活性のある特定の薬剤に変換される治療剤を指す。
【0088】
本明細書では、活性代謝産物とは、特定の治療剤から体内の代謝により生成された薬理学的に活性のある産物を指す。
【0089】
本明細書では、共結晶とは、非共有結合的相互作用により安定している2つ以上の分子の物理的結合を指す。この分子錯体の1つ以上の成分が、結晶格子に安定した枠組みをもたらす。ある例では、この結晶格子にゲスト分子が無水物または溶媒和物として組み込まれる。
【0090】
用法・用量
本発明にしたがって投与される抗メタン生成スタチンの実際の用量は、具体的な化合物、具体的な剤形、及び投与形態によって様々であることが理解されよう。抗メタン生成スタチンの活性を変え得る多くの要因(たとえば体重、性別、食事、投与時間、投与経路、排出率、対象の状態、併用薬物、遺伝的素質及び反応感度)が当業者により考慮され得る。投与は、最高忍容用量内で、持続的に、または1回以上の別個の用量で実行され得る。所与の条件一式に関する最適投与量は、一般的な用法・用量試験を用いて当業者により確認され得る。
【0091】
抗メタン生成スタチンの個々の用量は、たとえば、約0.01〜約100mg、約0.1〜約100mg、約0.1〜約90mg、約0.1〜約80mg、約0.1〜約70mg、約0.1〜約60mg、約0.1〜約50mg、約0.1〜約40mg、約0.1〜約30mg、約0.1〜約20mg、約0.1〜約10mg、約0.1〜約5mg、約0.1〜約3mg、約0.1mg〜約1mgの活性成分を単位剤形あたり含む、または約5mg〜約80mgを単位剤形あたり含む単位剤形(たとえば錠剤またはカプセル)で投与され得る。たとえば、単位剤形は、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約21mg、約22mg、約23mg、約24mg、約25mg、約26mg、約27mg、約28mg、約29mg、約30mg、約31mg、約32mg、約33mg、約34mg、約35mg、約36mg、約37mg、約38mg、約39mg、約40mg、約41mg、約42mg、約43mg、約44mg、約45mg、約46mg、約47mg、約48mg、約49mg、約50mg、約51mg、約52mg、約53mg、約54mg、約55mg、約56mg、約57mg、約58mg、約59mg、約60mg、約61mg、約62mg、約63mg、約64mg、約65mg、約66mg、約67mg、約68mg、約69mg、約70mg、約71mg、約72mg、約73mg、約74mg、約75mg、約76mg、約77mg、約78mg、約79mg、約80mg、約81mg、約82mg、約83mg、約84mg、約85mg、約86mg、約87mg、約88mg、約89mg、約90mg、約91mg、約92mg、約93mg、約94mg、約95mg、約96mg、約97mg、約98mg、約99mg、または約100mgであり得、それらの間のあらゆる数値及び範囲を含むものとする。一実施形態では、抗メタン生成スタチンの個々の用量は、21mgの活性成分を含有する単位剤形として投与される。別の実施形態では、抗メタン生成スタチンの個々の用量は、42mgの活性成分を含有する単位剤形として投与される。
【0092】
一実施形態では、抗メタン生成スタチンは、1日約0.01mg〜約100mgの量で、1日約0.1mg〜約100mgの量で、1日約0.1mg〜約95mg、1日約0.1mg〜約90mg、1日約0.1mg〜約85mg、1日約0.1mg〜約80mg、1日約0.1mg〜約75mg、1日約0.1mg〜約70mg、1日約0.1mg〜約65mg、1日約0.1mg〜約60mg、1日約0.1mg〜約55mg、1日約0.1mg〜約50mg、1日約0.1mg〜約45mg、1日約0.1mg〜約40mg、1日約0.1mg〜約35mg、1日約0.1mg〜約30mg、1日約0.1mg〜約25mg、1日約0.1mg〜約20mg、1日約0.1mg〜約15mg、1日約0.1mg〜約10mg、1日約0.1mg〜約5mg、1日約0.1mg〜約3mg、1日約0.1mg〜約1mg、または1日約5mg〜約80mgの量で投与される。様々な実施形態では、抗メタン生成スタチンは、1日の用量が約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約21mg、約22mg、約23mg、約24mg、約25mg、約26mg、約27mg、約28mg、約29mg、約30mg、約31mg、約32mg、約33mg、約34mg、約35mg、約36mg、約37mg、約38mg、約39mg、約40mg、約41mg、約42mg、約43mg、約44mg、約45mg、約46mg、約47mg、約48mg、約49mg、約50mg、約51mg、約52mg、約53mg、約54mg、約55mg、約56mg、約57mg、約58mg、約59mg、約60mg、約61mg、約62mg、約63mg、約64mg、約65mg、約66mg、約67mg、約68mg、約69mg、約70mg、約71mg、約72mg、約73mg、約74mg、約75mg、約76mg、約77mg、約78mg、約79mg、約80mg、約81mg、約82mg、約83mg、約84mg、約85mg、約86mg、約87mg、約88mg、約89mg、約90mg、約91mg、約92mg、約93mg、約94mg、約95mg、約96mg、約97mg、約98mg、約99mg、または約100mgで投与され、それらの間のあらゆる数値及び範囲を含むものとする。一実施形態では、抗メタン生成スタチンは、1日21mgの量で投与される。別の実施形態では、抗メタン生成スタチンは、1日42mgの量で投与される。
【0093】
いくつかの実施形態では、抗メタン生成スタチン(たとえばスタチン)の好適な用量は、約0.01mg/kg〜約10mg/kg(kgは対象の体重)の範囲であり、たとえば、約0.01mg/kg体重、約0.02mg/kg体重、約0.03mg/kg体重、約0.04mg/kg体重、約0.05mg/kg体重、約0.06mg/kg体重、約0.07mg/kg体重、約0.08mg/kg体重、約0.09mg/kg体重、約0.1mg/kg体重、約0.2mg/kg体重、約0.3mg/kg体重、約0.4mg/kg体重、約0.5mg/kg体重、約0.6mg/kg体重、約0.7mg/kg体重、約0.8mg/kg体重、約0.9mg/kg体重、約1mg/kg体重、約1.1mg/kg体重、約1.2mg/kg体重、約1.3mg/kg体重、約1.4mg/kg体重、約1.5mg/kg体重、約1.6mg/kg体重、約1.7mg/kg体重、約1.8mg/kg体重、1.9mg/kg体重、約2mg/kg体重、約3mg/kg体重、約4mg/kg体重、約5mg/kg体重、約6mg/kg体重、約7mg/kg体重、約8mg/kg体重、約9mg/kg体重、約10mg/kg体重であり、それらの間のあらゆる数値及び範囲を含むものとする。他の実施形態では、抗メタン生成スタチンの好適な用量は、約0.01mg/kg体重〜約10mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg体重〜約9mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg体重〜約8mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg体重〜約7mg/kg体重の範囲、0.01mg/kg体重〜約6mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg体重〜約5mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg体重〜約4mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg体重〜約3mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg体重〜約2mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg〜約1.5mg/kg体重の範囲、または約0.05mg/kg体重〜約1mg/kg体重の範囲である。
【0094】
本発明のある実施形態によると、抗メタン生成スタチンは、たとえば毎日2回以上、約1日に1回、約1日おき、約3日おき、約1週に1回、約2週に1回、約1か月に1回、約2か月に1回、約3か月に1回、約半年に1回、または約1年に1回、投与され得る。
【0095】
様々な実施形態では、抗メタン生成スタチンは、絶食中の患者に投与され得る。様々な実施形態では、抗メタン生成スタチンは、絶食していない患者に投与され得る。様々な実施形態では、抗メタン生成スタチンは、摂食後の患者に投与され得る。様々な実施形態では、患者は、成分栄養食を摂っている。「成分栄養食」とも呼ばれている、食べることもできる完全経腸栄養(TEN)製剤が市販されており、たとえば、VIVONEX T.E.N.(Nestle社)及び別の種類のものなどがある。便利な完全経腸栄養製剤は、遊離アミノ酸、炭水化物、脂質及びあらゆる必須ビタミンやミネラルを含有し、対象に必要な栄養をすべて満たしているが、上部胃腸管で容易に吸収できる形態になっているので、メタン生成菌と栄養共生する微生物が繁殖するのに使う栄養素を少なくともいくらかは枯渇させるかまたは微生物を「飢えさせる」ことになる。したがって、メタン生成菌と栄養共生する微生物の増殖が阻害される。
【0096】
追加の薬剤及び併用療法または合剤/患者の選択
本製剤の投与は、追加の治療剤と併用され得る。追加の治療剤と本製剤の併用は、同時でも逐次でもよい。さらに、本製剤は、(たとえば合剤により)追加の治療剤を含み得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、本発明の放出調整製剤は、追加の治療剤と併用で投与される。一実施形態では、追加の治療剤と抗メタン生成スタチンを組み合わせて単一の放出調整製剤とする。いくつかの実施形態では、治療及び/または予防方法は、追加の治療剤で治療を受けている対象に本発明の放出調整製剤を投与することを含んでいる。
【0098】
一実施形態では、追加の薬剤と抗メタン生成スタチンは、同時に対象に投与される。本明細書では、「同時に」という用語は、追加の薬剤と抗メタン生成スタチンの投与間隔が、約30分以内、約20分以内、約10分以内、約5分以内、または約1分以内など、約60分以内であることを意味する。追加の薬剤と抗メタン生成スタチンは、単一製剤(たとえば追加の薬剤及び抗メタン生成スタチンを含む製剤)または別々の製剤(たとえば追加の薬剤を含む第1の製剤と、抗メタン生成スタチンを含む第2の製剤)の同時投与により投与され得る。
【0099】
併用では、追加の薬剤と抗メタン生成スタチンの薬理学的活性が時間的に重複することにより治療効果が組み合わされるような投与タイミングである場合は、追加の治療剤を同時に投与しなくてもよい。たとえば、追加の薬剤と抗メタン生成スタチンは、逐次投与され得る。本明細書では、「逐次」という用語は、追加の薬剤と抗メタン生成スタチンが、約60分超の間隔で投与されることを意味する。たとえば、追加の薬剤と抗メタン生成スタチンの逐次投与の間隔は、約60分超、約2時間超、約5時間超、約10時間超、約1日超、約2日超、約3日超、または約1週間超であり得る。最適な投与時間は、投与されている追加の薬剤と抗メタン生成スタチンの代謝率、排出、及び/または薬力学的活性による。追加の薬剤または抗メタン生成スタチンのどちらかが最初に投与され得る。
【0100】
さらなる実施形態では、追加の治療剤と抗メタン生成スタチンは、対象に同時に投与されるが、追加の治療剤と抗メタン生成スタチンはそれぞれの剤形(または合剤の場合は単一の単位剤形)からGI管内に逐次的に放出される。
【0101】
併用ではまた、追加の治療剤を同じ投与経路で対象に投与する必要はない。むしろ、各治療剤は、任意の適切な経路で、たとえば、非経口的にまたはそうではなく投与することができる。
【0102】
本発明の製剤は、薬学的に許容可能な賦形剤を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、さらに、ラクトン環の開裂を防止または低減する剤、たとえばエステラーゼ阻害剤(たとえばグレープフルーツジュース、またはナリンゲニンやケンフェロールなどの成分)及び/またはパラオキソナーゼ阻害剤(たとえばPON1またはPON3阻害剤)を含み得る。いくつかの実施形態では、エステラーゼ阻害剤及び/またはパラオキソナーゼ阻害剤は、アミオダロン、アナストロゾール、アジスロマイシン、カンナビノイド、シメチジン、クラリスロマイシン、クロトリマゾール(clotrimazolem)、シクロスポリン、ダナゾール、デラビルジン、デキサメタゾン、ジエチルジチオカルバマート、ジルチアゼム、ジリスロマイシン(dirithyromycin)、ジスルフィラム、エンタカポン、エリスロマイシン、エチニルエストラジオール、フルコナゾール、フルオキセチン、フルボキサミン(fluvoaxamine)、ゲストデン、グレープフルーツジュース、インジナビル、イソニアジド、ケトコナゾール、メトロニダゾール、ミベフラジル、ミコナゾール、ネファゾドン、ネルフィナビル、ネビラピン、ノルフロキサチン、ノルフルオキセチン、オメプラゾール、オキシコナゾール、パロキセチン、プロポシキフェン、キニジン、キニーネ、キヌプリスチン(quinupristine)−ダルホプリスチン、ラニチディン、リトナビル、サキナビル、セルチンドール、セルトラリン、トログリタゾン、トロレアンドマイシン、バルプロ酸、ならびに/またはオキシインドール、イサチン、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、2−ヒドロキシキノリン及び3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリン及びN−ブロモ−ε−カプロラクタムから選択されるラクタム剤のうちの1つ以上である。
【0103】
様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤は、有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)トランスポーターの阻害剤と併用で投与される。一実施形態では、OATP阻害剤と抗メタン生成スタチンを組み合わせて単一放出調整製剤とする。論理に縛られるわけではないが、OATP阻害剤を含有することで、抗メタン生成スタチンの腸からの吸収が最小限化され、及び/または抗メタン生成スタチンの腸肝循環が低減されるので、抗メタン生成スタチンが腸内で最大限保持され、抗メタン生成スタチンのあらゆる全身性副作用を最小限化できると考えられている。例示的なOATP阻害剤としては、限定ではないが、グレープフルーツジュースまたはナリンギンやヘスペリジンなどのグレープフルーツジュース成分、オレンジジュース及びオレンジジュース成分、リンゴジュース及びリンゴジュース成分、ならびに緑茶及び没食子酸エピカテキン(ECG)や没食子酸エピガロカテキン(EGCG)などの緑茶エキスが挙げられる。一実施形態では、OATP阻害剤は、腸内で抗メタン生成スタチンよりも先に放出される。
【0104】
一実施形態では、追加の治療剤は、腸管内の物質の移動を促進する消化管運動促進薬である。例示的な消化管運動促進薬としては、限定ではないが、プルカロプリド(たとえばRESOLOR)またはエリスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質が挙げられる。別の実施形態では、追加の治療剤は、腹痛を緩和するペパーミントオイルなどの天然物質である。
【0105】
本発明はまた、たとえば、緩下剤、グアニル酸シクラーゼCアゴニスト(たとえばリナクロチド)、セロトニンアゴニスト(たとえばプルカロプリド、テガセロッド)、塩素イオンチャネルアゴニスト(たとえばルビプロストン)、及びそれらの組み合わせなどの、便秘の治療に有用な追加の治療剤も意図する。
【0106】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、(IBS−Cを含む)IBSの治療に有用な薬剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、選択的塩素イオンチャネル活性化因子であり、たとえば、ルビプロストン(たとえばAMITIZA)などのプロスタグランジン由来の分子、ならびに米国特許第5,284,858号、同第6,414,016号及び同第6,583,174号(その内容を参照により本明細書に援用する)で説明されている化合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、腸内で塩素イオン(chloride)及び/または水の分泌を高め、及び/または大便を柔らかくし、及び/または便通を刺激するペプチド剤などの薬剤であり、たとえば、リナクロチド(たとえばLINZESS)及び米国特許第7,304,036号(その内容を参照により本明細書に援用する)で説明されている化合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、結腸を弛緩させる、及び/または下部の腸で大便をゆっくり移動させる薬剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、5−HT
3アンタゴニストであり、限定ではないが、アロセトロン(たとえばLOTRONEX)が挙げられる。
【0107】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、末梢性選択的κ−オピオイドアゴニストとして作用する小分子、たとえばEMD−61753((N−メチル−N−[(1S)−1−フェニル−2−((3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−エチル]−2,2−ジフェニル−アセトアミドヒドロクロリド、ASMADOLINE)及び米国特許第6,344,566号(その内容を参照により本明細書に援用する)で説明されている化合物などである。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、コレシストキニンアンタゴニストであり、たとえばCCK
Aサブタイプ選択性のもの及び/または胃腸運動能を阻害して胃液分泌を低下させるもの、たとえばデキシロキシグルミド((4R)−4−[(3,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]−5−(3−メトキシプロピルペンチルアミノ)−5−オキソペンタン酸)及び米国特許第5,602,179号(その内容を参照により本明細書に援用する)で説明されている化合物などである。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、米国特許公報第2013/0116334号(その内容を参照により本明細書に援用する)で説明されているタペンタドール(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール)である。
【0108】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は緩下剤であり、限定ではないが、浸透圧緩下剤(たとえば、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム(たとえばMilk of Magnesia)、酸化マグネシウム、過酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、ラクツロース、ラクチトール、硫酸ナトリウム、ペンタエリスリトール、マクロゴール、マンニトール、リン酸ナトリウム、ソルビトール、クエン酸マグネシウム、酒石酸ナトリウム、ラミナリド(laminarid)、及びポリエチレングリコール(たとえばMOVICOL及びポリエチレングリコール3350などのマクロゴール含有製品、またはSOFTLAX、MIRALAX、DULCOLAX BALANCE、CLEARLAX、OSMOLAXまたはGLYCOLAX、GOLYTELY、GAVILYTE C、NULYTELY、GLYCOLAX、FORTRANS、TRILYTE、COLYTE、HALFLYTELY、SOFTLAX、LAX−A−DAY、CLEARLAX及びMOVIPREPなど)が挙げられる。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は緩下剤であり、限定ではないが(たとえば、SENOKOTなどの)刺激性緩下剤が挙げられる。また、接触性(contact)緩下剤(たとえばオキシフェニサチン、ビサコジル、ダントロン、フェノールフタレイン、ヒマシ油、センナ配糖体、カスカラ、ピコスルファートナトリウム、及びビソキサチン)及び膨張性緩下剤(たとえばイスパキュラ、エツロース、ステルキュリア、亜麻仁、メチルセルロース、トリチカム、及びポリカルボフィルカルシウム)も提供される。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は浣腸剤であり、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム(sodium laurilsulfate)、リン酸ナトリウム、ビサコジル、ダントロン、グリセロール、油、及びソルビトールなどである。たとえばアルビモパン及びメチルナルトレキソンなどの末梢性オピオイドアンタゴニスト、ならびにたとえばルビプロストンなどのプロスタグランジンも、いくつかの実施形態では追加の治療剤である。また、リナクロチド、プルカロプリド、及びテガセロッドも追加の治療剤であり得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、長期的な痛み及び痙攣に用いられる薬剤であり、限定ではないが、たとえばジシクロミン(BENTYL)などの抗コリン剤(鎮痙剤)、及び/または、たとえば(たとえばNORPRAMINなどの)デシプラミン、イミプラミン(TOFRANIL)またはノルトリプチリン(PAMELOR)などの抗鬱剤(随意で低用量で投与される)が挙げられる。これらは、低用量で、IBSによる痛みを和らげることができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、たとえばサイリウム(METAMUCIL)またはメチルセルロース(CITRUCEL)などのファイバーサプリメントである。
【0111】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、肥満症治療に有用な薬剤である。例示的な薬剤としては、限定ではないが、オルリスタット、ロルカセリン(loracaserin)、フェンテルミン−トピラマート、シブトラミン、リモナバン、エキセナチド、プラムリンチド、フェンテルミン、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、ブプロピオン、及びメトホルミンが挙げられる。様々な実施形態では、追加の薬剤は、身体が特定の食物栄養素を吸収する能力を妨げる、オルリスタット、グルコマンナン、及びグアーガムなどの薬剤である。食欲を抑制する薬剤も追加の薬剤であり、たとえばカテコラミン及びそれらの誘導体(フェンテルミン及び他のアンフェタミン系薬物など)、様々な抗鬱剤及び精神安定剤(たとえばブプロピオン及びトピラマート)、食欲低下剤(たとえばデキセドリン、ジゴキシン)などがある。身体の代謝を増加させる薬剤も追加の薬剤である。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、食欲抑制剤、神経伝達物質再取り込み阻害剤、ドーパミンアゴニスト、セロトニンアゴニスト、GABA作動性信号伝達修飾因子、抗痙攣剤、抗鬱剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、物質P(NKl)受容体アンタゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト及びアンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、脂肪吸収阻害剤、エネルギー吸収または代謝の制御因子、カンナビノイド受容体修飾因子、中毒症治療剤、メタボリック症候群治療剤、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)修飾因子、及びジペプチジルペプチダーゼ4(DPP−4)アンタゴニストのなかから選択され得る。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、アンフェタミン、ベンゾジアゼピン、スルホニル尿素、メグリチニド、チアゾリジンジオン、ビグアナイド、ベータブロッカー、ACE阻害剤、利尿剤、硝酸剤、カルシウムチャネルブロッカー、フェンレルミン(phenlermine)、シブトラミン、ロルカセリン、セチリスタット、リモナバン、タラナバント、トピラマート、ガバペンチン、バルプロ酸、ビガバトリン、ブプロピオン、チアガビン、セルトラリン、フルオキセチン、トラゾドン、ゾニサミド、メチルフェニダート、バレニクリン、ナルトレキソン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、レパグリニド、ナテグリニド、グリメピリド、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン(rosiglilazone)、及びシタグリプチンのなかから選択され得る。
【0112】
一実施形態では、追加の治療剤は、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、ブドウ糖不耐性、または高血糖症を治療する薬剤である。薬物の例としては、限定ではないが、アルファグルコシダーゼ阻害剤、アミリン類似体、ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤、GLP1アゴニスト、メグリチニド、スルホニル尿素、ビグアナイド、チアゾリジンジオン(TZD)、及びインスリンが挙げられる。そのような薬剤の追加の例としては、ブロモクリプチン及びウェルコールが挙げられる。アルファグルコシダーゼ阻害剤の例としては、限定ではないが、アカルボース及びミグリトールが挙げられる。アミリン類似体の一例は、プラムリンチドである。ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤の例としては、限定ではないが、サキサグリプチン、シタグリプチン、ビルタグリプチン、リナグリプチン、及びアログリプチンが挙げられる。GLP1アゴニストの例としては、限定ではないが、リラグルチド、エキセナチド、エキセナチド持続放出剤が挙げられる。メグリチニドの例としては、限定ではないが、ナテグリニド及びレパグリニドが挙げられる。スルホニル尿素の例としては、限定ではないが、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、及びトルブタミドが挙げられる。ビグアナイドの例としては、限定ではないが、メトホルミン、リオメット、グルコファージ、グルコファージ XR、Glumetzaが挙げられる。チアゾリジンジオンの例としては、限定ではないが、ロシグリタゾン及びピオグリタゾンが挙げられる。インスリンの例としては、限定ではないが、アスパート、デテミル、グラルギン、グルリシン、及びリスプロが挙げられる。併用薬の例としては、限定ではないが、グリピジド/メトホルミン、グリブリド/メトホルミン、ピオグリタゾン/グリメピリド、ピオグリタゾン/メトホルミン、レパグリニド/メトホルミン、ロシグリタゾン/グリメピリド、ロシグリタゾン/メトホルミン、サキサグリプチン/メトホルミン、シタグリプチン/シンバスタチン、シタグリプチン/メトホルミン、リナグリプチン/メトホルミン、アログリプチン/メトホルミン、及びアログリプチン/ピオグリタゾンが挙げられる。
【0113】
別の実施形態では、追加の治療剤は、プロバイオティックである。いくつかの実施形態では、人工的に消化されたまたは塩基性アミノ酸製剤などの低残渣物を含有する経腸栄養製剤、またはその他の米国特許第8,110,177号(その内容を参照により本明細書に援用する)で説明される方法及び産物が使用され得る。さらなる実施形態では、そのような低残渣経腸栄養製剤は、低炭水化物及び低脂肪型で、即時性もしくは持続性放出スタチンまたは紅麹(減量と糖尿病に特に有用であり得る)を加えてまたは加えずに、製剤され得る。様々な実施形態では、プロバイオティックは、次の例示的な細胞を含み得る:E. coli Nissle 1917、ラクトバチルス(たとえば乳酸菌、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ブルガリクス(L. bulgaricus)、ラクトバチルス・プランタルム(L. plantarum)、ラクトバチルス・ラムノーサス(L. rhamnosus)、ラムノーサス・ラクトバチルス・ファーメンタム(Rhamnosus L. fermentum)、ラクトバチルス・カウカシクス(L. caucasicus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(L. helveticus)、ラクトバチルス・ラクティス(L. lactis)、ラクトバチルス・ロイテリ(L. reuteri)、及びラクトバチルス・カゼイ(L. casei))またはビフィズス菌(ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B. infantis)) ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophiles)、及びエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)。他の好適なプロバイオティックとプレバイオティックは、たとえば、R. Spiller, Aliment Pharmacol Ther 28, 385−396に開示されている(その内容を参照により本明細書に援用する)。
【0114】
いくつかの実施形態では、メタン生成菌の増殖を随意で阻害する、たとえば、ビフィドバクテリウム種またはラクトバチルス種または株、たとえばラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)、ラクトバチルス・ラムノーサス、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・パラカゼイ(L. paracasei)亜種パラカゼイ (paracasei)、またはラクトバチルス・カゼイ シロタ(Shirota)、もしくはプロバイオティック サッカロミセス(Saccharomyces)種、たとえばサッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisiae)といったプロバイオティック剤が選択され及び/または投与される。メタン生成を阻害するプロバイオティック剤は、薬学的に許容可能であり経口摂取可能なカプセルなどの製剤として投与され得、または対象によっては、接種剤を補充した食品、たとえばミルク、ヨーグルト、チーズ、肉またはその他の発酵性食物調製物を食べることが有効な場合もある。プロバイオティック剤は、たとえばメタン生成菌と増殖を競うことにより、メタン生成菌の増殖を阻害し得るので、メタン生成菌の増殖は阻害または低減される。
【0115】
治療方法
一態様では、本発明は、本明細書で説明するような抗メタン生成スタチンなどの少なくとも1種の抗メタン生成剤を含む放出調整製剤を、メタン生成菌関連の障害の治療または予防を必要とする対象の腸(すなわち小腸及び/または大腸)に投与することにより、メタン生成菌関連の障害を治療または予防する方法を提供する。
【0116】
いくつかの実施形態では、メタン生成菌関連の障害は、メタン生成菌の異常な存在もしくは不存在、メタン生成菌の異常なレベル、メタン生成菌の異常増殖、メタン生成レベルの上昇、腸内メタンレベルの上昇、水素を消費するメタン生成菌による過剰な水素除去、または単独でもしくは非メタン生成栄養共生生物と一緒に異常な場所(たとえば大腸ではなく小腸内)でのメタン生成菌のコロニー形成のうちの1つ以上を原因とする、それから生じる、またはそれに関連する疾患または障害である。
【0117】
例示的なメタン生成菌関連の障害としては、限定ではないが、腸内メタン生成菌コロニー形成、IBS、IBS−C、IBS−M、便秘、糖尿病、II型糖尿病、メタボリック症候群、インスリン抵抗性、メタボリック症候群、肥満症、便秘、慢性便秘症、慢性偽性腸閉塞、全身性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、エリテマトーデス、皮膚筋炎/多発性筋炎、結節性多発動脈炎、混合性結合組織病、関節リウマチ、脊髄損傷、パーキンソン病、甲状腺機能低下症/副甲状腺機能低下症、ヒルシュスプルング病、シャーガス病、腸管神経節細胞減少症、及びエーラース・ダンロス症候群が挙げられる。
【0118】
一態様では、本発明は、本明細書で説明するような抗メタン生成スタチンなどの少なくとも1種の抗メタン生成剤を含む放出調整製剤を、GI管におけるメタンの生成及び/または蓄積の低減または除去を必要とする対象の腸(すなわち小腸及び/または大腸)に投与することにより、GI管におけるメタンの生成及び/または蓄積を低減または除去する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本明細書で説明するような抗メタン生成スタチンなどの少なくとも1種の抗メタン生成剤を含む放出調整製剤を、GI管においてたとえばメタン生成菌により生成されるメタンの低減または除去を必要とする対象の腸(すなわち小腸及び/または大腸)に投与することにより、GI管においてたとえばメタン生成菌により生成されるメタンを低減または除去する方法を提供する。
【0119】
様々な実施形態では、メタン生成菌は、代謝副産物としてメタンを生成する微生物である。メタン生成菌は、古細菌として分類される。メタン生成菌の例としては、限定ではないが、メタノバクテリウム・ブリャンティイ(Methanobacterium bryantii)、メタノバクテリウム・フォルミカム(Methanobacterium formicum)、メタノブレウィバクテル・アルボリフィリカス(Methanobrevibacter arboriphilicus)、メタノブレウィバクテル・ゴッチャルキイ(Methanobrevibacter gottschalkii)、メタノブレウィバクテル・ルミナチウム(Methanobrevibacter ruminantium)、メタノブレウィバクテル・スミティー、メタノカルキュラス・チュンシンゲンシス(Methanocalculus chunghsingensis)、メタノコッコイデス・ボルトニイ(Methanococcoides burtonii)、メタノコッカス・エオリカス(Methanococcus aeolicus)、メタノコッカス・デルタエ(Methanococcus deltae)、メタノコッカス・ジャンナシイ(Methanococcus jannaschii)、メタノコッカス・マリパルディス(Methanococcus maripaludis)、メタノコッカス・ヴァニエリイ(Methanococcus vannielii)、メタノコルプスキュラム・ラブレアナム(Methanocorpusculum labreanum)、メタノコレウス・ブーゲンシス(Methanoculleus bourgensis)(メタノゲニウム・オレンタギイ(Methanogenium olentangyi)、メタノゲニウム・ブージェンス(Methanogenium bourgense))、メタノコレウス・マリスニグリ(Methanoculleus marisnigri)、メタノフォリス・リミナタンス(Methanofollis liminatans)、メタノゲニウム・カリアシ(Methanogenium cariaci)、メタノゲニウム・フリジダム(Methanogenium frigidum)、メタノゲニウム・オルガノフィルム(Methanogenium organophilum)、メタノゲニウム・ウォルフェイ(Methanogenium wolfei)、メタノミクロビウム・モバイル(Methanomicrobium mobile)、メタノフィルス・カンドレリ(Methanopyrus kandleri)、メタノレグラ・ボーネイ(Methanoregula boonei)、メタノサエタ・コンシリイ(Methanosaeta concilii)、メタノサエタ・サーモフィル(Methanosaeta thermophile)、メタノサルシナ・アセチヴォランス(Methanosarcina acetivorans)、メタノサルシナ・バルケリ(Methanosarcina barkeri)、メタノサルシナ・マゼイ(Methanosarcina mazei)、メタノファエラ・スタヅマナエ(Methanosphaera stadtmanae)、メタノスピリリウム・ハンガテイ(Methanospirillium hungatei)、メタノサーモバクテル・デフルヴィイ(Methanothermobacter defluvii)(メタノバクテリウム・デフルヴィイ(Methanobacterium defluvii))、メタノサーモバクテル・サーマウトトロフィカス(Methanothermobacter thermautotrophicus)(メタノバクテリウム・サーモアウトトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum))、メタノサーモバクテル・サーモフレクシス(Methanothermobacter thermoflexus)(メタノバクテリウム・サーモフレクサム(Methanobacterium thermoflexum))、メタノサーモバクテル・ウォルフェイ(Methanothermobacter wolfei)(メタノバクテリウム・ウォルフェイ(Methanobacterium wolfei))、及びメタノスリクス・ソチンゲニイ(Methanothrix sochngenii)が挙げられる。
【0120】
一態様では、本発明は、メタノブレウィバクテル・スミティーによりGI管内で生成されるメタンを低減または除去する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本明細書で説明するような抗メタン生成スタチンなどの少なくとも1種の抗メタン生成剤を含む放出調整製剤を、メタノブレウィバクテル・スミティーによりGI管内で生成されるメタンの低減または除去を必要とする対象の腸(すなわち小腸及び/または大腸)に投与することにより、メタノブレウィバクテル・スミティーによりGI管内で生成されるメタンを低減または除去する方法を提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の抗メタン生成剤を含む放出調整製剤を投与することで、小腸(たとえば十二指腸、空腸、回腸のうちの1つ以上)内でメタノブレウィバクテル・スミティーにより生成されるメタンが低減または除去される。一実施形態では、少なくとも1種の抗メタン生成剤を含む放出調整製剤を投与することで、回腸内でメタノブレウィバクテル・スミティーにより生成されるメタンが低減または除去される。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の抗メタン生成剤を含む放出調整製剤を投与することで、大腸(たとえば盲腸、結腸の上行、横行、下行またはS状部分、及び直腸のうちの1つ以上)内でメタノブレウィバクテル・スミティーにより生成されるメタンが低減または除去される。
【0121】
一態様では、本発明は、GI管内のメタノブレウィバクテル・スミティー由来のメタンを低減または除去する方法を提供する。別の態様では、本発明は、本明細書で説明するような抗メタン生成スタチンなどの少なくとも1種の抗メタン生成剤を含む放出調整製剤を、GI管内で生成されるメタンの低減または除去を必要とする対象の腸(すなわち小腸及び/または大腸)に投与することにより、たとえばメタノブレウィバクテル・スミティーによりGI管内で生成されるメタンを低減または除去する方法を提供する。
【0122】
様々な実施形態では、本発明は、対象のGI管内のメタンガスを大幅に低減すること(たとえば腸内メタンの根絶)に関する。いくつかの実施形態では、本製剤及び方法は、対象のGI管内のメタンガスのレベルが増加するのを防止する。いくつかの実施形態では、患者のGI内メタンレベル(本明細書でも説明され、当業界でも既知の方法により測定)は、約1ppm、または約2ppm、または約3ppm、または約4ppm、または約5ppm、または約10ppm、または約15ppm、または約20ppm、または約25ppm、または約30ppm、または約35ppm、または約40ppm、または約45ppm、または約50ppm、または約55ppm、または約60ppm、または約65ppm、または約70ppm、または約75ppm、または約80ppm、または約85ppm、または約90ppm、または約100ppmにまで低下する。様々な実施形態では、本製剤及び方法は、患者のGI内メタンレベルを、約250ppm未満、または約225ppm未満、または約200ppm未満、または約175ppm未満、または約150ppm未満、または約125ppm未満、または約100ppm未満、または約50ppm未満にまで低下させる。様々な実施形態では、メタンガスの大幅な減少は、水素ガスの大幅な減少を伴わない。
【0123】
様々な実施形態では、本発明は、ICD−10(WHO編 疾病及び関連保健問題の国際統計分類)で説明されている、IBS−Cを含むIBSの治療に関する。様々な実施形態では、本発明は、ICD−10では[K58]に分類されている過敏性結腸の治療に関する。IBSには、ICD−10では[K58.9]に分類されている下痢を伴わない過敏性腸症候群が含まれ得る。下痢を伴わない過敏性腸症候群は、その他(NOS)の過敏性腸症候群も含み得る。さらに、ICD−10ではK59に分類されている疾患(たとえば便秘;K59.1機能性下痢;K59.2神経性腸症、他に分類されないもの;K59.3巨大結腸、他に分類されないもの(結腸の拡張(dialatation)、中毒性巨大結腸、シャーガス病の巨大結腸(B57.3)、先天的巨大結腸(神経節細胞欠損)(Q43.1)、及びヒルシュプルング病の巨大結腸(Q43.1)が含まれる);K59.4肛門攣縮(一過性直腸痛が含まれる);K59.8その他の明示された腸の機能障害(結腸アトニーが含まれる)及びK59.9明示されない腸の機能障害)も含まれる。
【0124】
様々な実施形態では、本発明は、痙攣性結腸、神経性大腸炎、粘液性大腸炎、機能性大腸炎または結腸神経症(colonic neurosis)の治療に関する。様々な実施形態では、本発明は、S状結腸過長症、移動盲腸、慢性大腸炎、内臓下垂などとして記述されている疾患の治療に関する。疾患の形態的分類としては、一般に、痙攣性大腸、神経性下痢及び粘液疝痛を包含し、疾患はまた、痙攣性便秘タイプ、アトニー性便秘タイプ、腸内ガス症候群(intestinal gas syndrome)、または慢性腹症(chronic celiopathy)にも分類され得る。
【0125】
さらに、IBSには、胆管ジスキネジア(cholangiodyskinesia)、胃排出機能低下、ヒステリー球、非特異性食道機能異常、神経性嘔吐、反復性腹痛、単なる便秘、慢性突発性便秘なども含まれ得る。IBSの診断基準としては、NIH、Manning、Cook et alのものなどが好適である(Asakura, Clinical Digestive Internal Medicine, 8 (8): 1373−1381 (1993)を参照のこと。その内容を参照により本明細書に援用する)。
【0126】
様々な実施形態では、本発明は、様々なステージまたは重度のIBS−Cを含むIBSの治療に関する。一実施形態では、IBSのステージまたは重度は、健康関連の生活の質(HRQoL)評価により、評価され得る。いくつかの実施形態では、治療対象の患者の疾患のステージまたは重度は、患者の痛み、膨満感、腸の機能不全、及び生活の質/全般的健康度のうちの1つ以上の評価により見極められる。
【0127】
いくつかの実施形態では、治療対象の患者の疾患のステージまたは重度は、Romeスケールで評価され(診断の少なくとも6か月前に症状が発症している場合の過去3か月間について:反復性腹痛または不快感(たとえば、痛みとは表現されない不快な感覚)過去3か月で少なくとも1か月に3日が、排便の改善あり、大便の頻度の変化に関連する作用発現、及び大便の形状(外観)の変化に関連する作用発現のうちの2つ以上と関連付けられる。様々な実施形態では、本組成物及び方法は、患者に、Romeスケール評価での改善をもたらす。
【0128】
いくつかの実施形態では、治療対象の患者の疾患のステージまたは重度は、腹痛強度スコア0〜10で評価される。様々な実施形態では、3以上の値は、治療を要する痛みに苦しんでいるとみなされる。様々な実施形態では、患者の腹痛強度スコアは、約9よりも、または約8よりも、または約7よりも、または約6よりも、または約5よりも、または約4よりも、または約3よりも大きい。様々な実施形態では、本組成物及び方法は、腹痛強度スコアを約1、または約2、または約3、または約4、または約5、または約6、または約7、または約8、または約9、または約10減少させる。
【0129】
いくつかの実施形態では、治療対象の患者の疾患のステージまたは重度は、Kruisスケール(Gastroenterology 87: 1−7、その内容を参照により本明細書に援用する)で評価される。このスケールには、「主」症状(痛み、腹部膨満、腸機能の変化)と、潜在的な器質的基礎疾患の「注意喚起(red flag)」徴候でありIBS診断から除外されるものの両方が組み込まれている。スコアの和が44よりも大きい場合、IBSと診断される。
【0130】
(表1)Kruisスコアリング・システム(スコアの和が44よりも大きい場合IBSと診断)
【0131】
いくつかの実施形態では、患者を、Francis, et al Aliment Pharmacol Ther 1997; 11: 395−402(その内容を参照により本明細書に援用する)で説明されている評価方法により評価する。たとえば、最高500点のスケール上で患者が順位づけた痛み、膨満感、腸の機能不全、及び生活の質/全般的健康度に基づくスコアリング・システムが用いられる。弱(mild)、中(moderate)、及び強(severe)のケースが、それぞれ75〜175、175〜300、及び300超のスコアで示された。いくつかの実施形態では、本発明の患者のスコアは、75〜175である。いくつかの実施形態では、本発明の患者のスコアは、175〜300である。いくつかの実施形態では、本発明の患者のスコアは、300よりも大きい。いくつかの実施形態では、スケールはWong and Drossman(Expert Rev. Gastroenterol. Hepatol. 4(3), (2010)、その内容を参照により本明細書に援用する)で説明されている。たとえば、いくつかの実施形態では、本発明の患者を、Patrickスケールで説明されているように、気分変調、日常生活の障害、身体イメージ、健康上の不安、食物忌避、社交的反応、及び性的関係のパラメーターについて評価し、随意で0〜100のスコアをつけ、及び/または、本発明の患者を、Grollスケールで説明されているように、日常生活、心理的影響、家族関係、食物、睡眠及び疲労感、社交生活への影響、性的関係の症状のパラメーターについて評価し、随意で0〜216のスコアをつけ、本発明の患者を、Chassanyスケールで説明されているように、日常生活、不安感、食事、睡眠、不快感、健康度、疾患対処、及びストレスのパラメーターについて評価し、随意で0〜100のスコアをつけ、本発明の患者を、Hahnスケールで説明されているように、心の健康、精神的健康、睡眠、エネルギー、肉体機能、食事、社会的役割、身体的役割、及び性的関係のパラメーターについて評価し、随意で0〜100のスコアをつけ、及び/または、本発明の患者を、Wongスケールで説明されているように、腸の症状、疲労感、日常生活への害、情緒障害のパラメーターについて評価し、随意で、ドメイン平均スコアとしてスコアをつける(ドメイン総スコアを項目数で割って計算する。範囲は1〜7)。
【0132】
いくつかの実施形態では、患者は、(たとえば呼気検査による)メタン検出及び(たとえばPCR、たとえばqPCRによる)メタン生成菌検出のうちの1つ以上に基づき階層化され得る。いくつかの実施形態では、ある対象が約3ppmよりも高いメタンを示す場合、その患者のメタン呼気検査の結果は陽性とみなされる。いくつかの実施形態では、本発明の患者は、湿性便1グラム中のM.スミティーのコピー数が約10
4よりも多い、または約10
5よりも多い、または約10
6よりも多い。いくつかの実施形態では、本発明の患者は、大便中の全微生物成分に対するメタン生成菌画分の寄与の測定により定義される。いくつかの実施形態では、患者の大便の全微生物成分に対するM.スミティーの画分は、約0.5%よりも大きい、または約0.6%よりも大きい、または約0.7%よりも大きい、または約0.8%よりも大きい、または約0.9%よりも大きい、または約1.0%よりも大きい、または約1.1%よりも大きい、または約1.2%よりも大きい、または約1.3%よりも大きい、または約1.4%よりも大きい、または約1.5%よりも大きい、または約2.5%よりも大きい。
【0133】
様々な実施形態では、本発明は、IBS−C、肥満症及び糖尿病のうちの1つ以上を患っている対象におけるメタン生成を含むメタン生成を阻害または低減する方法を提供し、該方法には、対象をレスポンダーまたは非レスポンダーとして評価し、それに応じて治療することが含まれる。たとえば、いくつかの実施形態では、対象は、腸内メタンのベースラインレベルについて評価され得る。そのような測定は、限定ではないが、メタン呼気検査を含む、本明細書で説明するどの技法を用いてもよい。次いで対象に、本明細書で説明する製剤を1つ以上、約1週間未満の初回治療期間(たとえば約1日、または約2日、または約3日、または約4日、または約5日、または約6日、または約7日)の間投与してから、初回治療後の腸内メタンレベルを再評価する。そのような測定は、限定ではないが、メタン呼気検査を含む、本明細書で説明するどの技法を用いてもよい。この2回目の評価により、対象をレスポンダーか非レスポンダーかに分類することができる。たとえば、レスポンダーは、初回治療後に腸内メタンレベルの低下を示すが、非レスポンダーは示さない。したがって、いくつかの実施形態では、レスポンダーは、本明細書で説明する製剤の1つ以上を全治療期間(たとえば週、月、年単位で、及び長期投与を含め患者の生涯にわたり)投与される。さらに、いくつかの実施形態では、非レスポンダーは、本明細書で説明する製剤の1つ以上を全治療期間投与されず、代わりに代替治療を受ける。
【0134】
様々な実施形態では、本発明は、対象の便秘を治療する方法を提供する。様々な実施形態では、対象をレスポンダーまたは非レスポンダーとして評価し、それに応じて治療する。たとえば、いくつかの実施形態では、対象は、腸内メタンのベースラインレベルについて評価され得る。そのような測定は、限定ではないが、メタン呼気検査を含む、本明細書で説明するどの技法を用いてもよい。次いで対象に、本明細書で説明する製剤を1つ以上、約1週間未満の初回治療期間(たとえば約1日、または約2日、または約3日、または約4日、または約5日、または約6日、または約7日)の間投与してから、初回治療後の腸内メタンレベルを再評価する。そのような測定は、限定ではないが、メタン呼気検査を含む、本明細書で説明するどの技法を用いてもよい。この2回目の評価により、対象をレスポンダーか非レスポンダーかに分類することができる。たとえば、レスポンダーは、初回治療後に腸内メタンレベルの低下を示すが、非レスポンダーは示さない。したがって、いくつかの実施形態では、レスポンダーは、本明細書で説明する製剤の1つ以上を全治療期間(たとえば週、月、年単位で、及び長期投与を含め患者の生涯にわたり)投与される。さらに、いくつかの実施形態では、非レスポンダーは、本明細書で説明する製剤の1つ以上を全治療期間投与されず、代わりに代替治療を受ける。
【0135】
様々な実施形態では、本発明は、非限定的な例としてIBS−Cを含む様々なメタン生成菌関連の障害を治療する方法を提供し、該方法には、対象をレスポンダーまたは非レスポンダーとして評価し、それに応じて治療することが含まれる。たとえば、いくつかの実施形態では、対象は、腸内メタンのベースラインレベルについて評価され得る。そのような測定は、限定ではないが、メタン呼気検査を含む、本明細書で説明するどの技法を用いてもよい。次いで対象に、本明細書で説明する製剤を1つ以上、約1週間未満の初回治療期間(たとえば約1日、または約2日、または約3日、または約4日、または約5日、または約6日、または約7日)の間投与してから、初回治療後の腸内メタンレベルを再評価する。そのような測定は、限定ではないが、メタン呼気検査を含む、本明細書で説明するどの技法を用いてもよい。この2回目の評価により、対象をレスポンダーか非レスポンダーかに分類することができる。たとえば、レスポンダーは、初回治療後に腸内メタンレベルの低下を示すが、非レスポンダーは示さない。したがって、いくつかの実施形態では、レスポンダーは、本明細書で説明する製剤の1つ以上を全治療期間(たとえば週、月、年単位で、及び長期投与を含め患者の生涯にわたり)投与される。さらに、いくつかの実施形態では、非レスポンダーは、本明細書で説明する製剤の1つ以上を全治療期間投与されず、代わりに代替治療を受ける。
【0136】
様々な実施形態では、本発明は、IBS−C、肥満症及び糖尿病のうちの1つ以上を患っている対象におけるメタン生成を含むメタン生成の阻害または低減、便秘治療、及び非限定的な例としてIBS−Cを含む様々なメタン生成菌関連の障害の治療のうちの1つ以上の、本明細書で説明する製剤1つ以上を用いての長期間の(長期治療を含む)治療に反応のありそうな患者を特定する方法を提供する。様々な実施形態では、該方法は、対象の腸内メタンのベースラインレベルについて(限定ではないが、メタン呼気検査を含む、本明細書で説明するいずれかの技法を用いて)評価するステップ、本明細書で説明する製剤を1つ以上、約1週間未満の初回治療期間(たとえば約1日、または約2日、または約3日、または約4日、または約5日、または約6日、または約7日)の間投与するステップ、及び対象の初回治療後の腸内メタンレベルを(限定ではないが、メタン呼気検査を含む、本明細書で説明するいずれかの技法を用いて)再評価するステップを含む。この再評価により、対象をレスポンダーか非レスポンダーかに分類することができる。たとえば、レスポンダーは、初回治療後に腸内メタンレベルの低下を示すが、非レスポンダーは示さない。レスポンダーは、C−IBS、肥満症及び糖尿病のうちの1つ以上を患っている対象におけるメタン生成を含むメタン生成の阻害または低減、便秘治療、及び非限定的な例としてC−IBSを含む様々なメタン生成菌関連の障害の治療のうちの1つ以上の、本明細書で説明する製剤1つ以上を用いての長期間の(長期治療を含む)治療に反応のありそうな患者である。
【0137】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、便秘を治療または予防する。便秘は、たとえば、化学療法、ビンカアルカロイド、オキサリプラチン、タキサン、サリドマイド、オピオイド、鎮静剤、抗コリン剤、胃腸鎮痙剤、抗パーキンソン病薬、抗鬱剤、フェノチアジン、カルシウムまたはアルミニウムに基づく制酸薬、利尿剤、トランキライザー、睡眠薬、全身麻酔、外陰ブロック、液体の不適切摂取、緩下剤及び/または浣腸剤の使い過ぎ、長期の固定、運動不足、脊髄損傷または圧迫、骨折、疲労、虚弱、身体を動かさないこと、寝たきり、心臓の問題、憩室炎、神経性病変、脳腫瘍、脊髄損傷、脊髄圧迫、対麻痺、不全麻痺を伴う脳血管発作、弱い腹筋、甲状腺機能低下症、鉛中毒、尿毒症、脱水、高カルシウム血症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、食欲不振、固定、抗鬱剤、腹腔内圧を上げられないこと、肺気腫、横隔膜の神経筋損傷、腹筋の神経筋損傷、腹部ヘルニア、栄養障害、悪液質、貧血、癌、及び老化と関連付けられ得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、便秘を患う対象の便通の回数を増加させる。たとえば、本発明の方法は、対象の便通の回数を1週間に少なくとも1、2、3、4、または5回増加させ得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、便秘を患う対象の大便の湿重量を増加させる。たとえば、本発明の方法は、大便の湿重量を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%増加させ得る。
【0138】
様々な実施形態では、便秘はIBSに関連するが、本発明は、いくつかの実施形態では、慢性的な機能性便秘にも関し得る。
【0139】
様々な実施形態では、本発明は、高い内臓過敏性の治療に関する。様々な実施形態では、本発明は、腹痛、痛み、吐き気、しぶり腹、及び腹部膨満及び/またはガスのうちの1つ以上の治療に関する。本製剤及び方法はまた、硬便、排便回数が少ない、排便困難もしくはしぶり腹、残便感、及び便意はあるが排便不能のうちの1つ以上を治療する。
【0140】
様々な実施形態では、本発明は、糖尿病(I型またはII型)及び/またはブドウ糖不耐性の治療に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、糖尿病のリスクがある、インスリン抵抗性、前糖尿病、空腹時血中ブドウ糖不良(IFG)、耐糖能障害(IGT)、及び黒色表皮腫のうちの1つ以上のリスクがある患者を治療する方法に関する。
【0141】
いくつかの実施形態では、本製剤を投与することを含む、体重減少を誘発するかまたは体重増加を予防する(または、肥満症を治療もしくは予防する、またはカロリー摂取をほぼ変化させない患者において体重減少を誘発もしくは体重増加を予防する)方法が提供される。患者は、消化器系の手術を既に受けているかまたは受ける予定があり得、約80〜100ポンド超の体重過多を有し得、約35kg/m
2よりも高いBMIを有し得、または肥満症関連の健康上の問題を有し得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、本発明の放出調整製剤の投与では、スタチンの全身性投与と関連付けられるコレステロールを低下させる心血管への効果は生じない。たとえば、本製剤及び方法では、対象のスタチンへの全身性曝露が回避または低減され得る。たとえば、本製剤及び方法では、治療後の血清中LDL−Cレベルの平均減少率は、約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、または約2%未満であり得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、患者は、心血管治療用途としてはスタチンを必要としていない患者である。いくつかの実施形態では、患者は、心血管治療用途としてはスタチンを必要としていない、(たとえばメタン呼気検査やqPCRなどの本明細書で説明される方法により評価される)メタン陽性の患者である。
【0144】
抗メタン生成スタチンを腸内に最大限留めることにより、本発明の方法はまた、スタチンの全身性放出に伴う副作用を最小限化する。たとえば、本方法は、筋炎、筋肉痛、横紋筋融解症などの筋肉関連の有害作用、薬物‐薬物相互作用、認知的作用、癌リスクの増加、肝臓内酵素の増加、出血性卒中、血糖値の増加、睡眠障害、末梢神経障害、性的機能障害、甲状腺機能障害、腎毒性、易刺激性、息切れ、高カリウム血症、体重増加、神経変性疾患、膵炎、肝臓病態、ミトコンドリア症候群、皮膚科的病状、口の渇き、白内障、嗅覚障害、血液及び骨髄への有害作用、低血圧、潰瘍性大腸炎や胃潰瘍を含む胃腸への有害作用、疲労感、及び頭痛などを含む、スタチンの使用に伴う様々な有害作用を予防及び/または最小限化する。いくつかの実施形態では、本発明の方法はまた、スタチンの全身性放出に伴う次のような副作用を最小限化する:筋肉の痛み、圧痛もしくは虚弱、エネルギー不足、虚弱、発熱、暗色の尿、黄疸、胃の右上の痛みを含む胃の痛み、吐き気、不正出血もしくは皮下出血、食欲不振、インフルエンザ様症状、発疹、蕁麻疹、痒み、呼吸または嚥下困難、及び顔、喉、舌、唇、目、手、足、踝、もしくは下腿の腫れ、しわがれ声。
【0145】
したがって、本発明の放出調整製剤は、スタチンの全身性レベルが望ましくない対象をターゲットとするのに用いられ得る。一実施形態では、対象は、他に健康上の問題のない、心血管薬を必要としない(ATP IIIガイドラインにより、心筋事象のリスク要因が低いかまたはゼロ、と特徴づけられる)女性及び子どもであり得る。別の実施形態では、対象は、コレステロール低下剤を必要としない、IBS−Cの子どもであり得る。そのような実施形態では、本発明の放出調整製剤の投与による治療後の血清中LDL−Cレベルの平均減少率は、約20%未満、約19%未満、約18%未満、約17%未満、約16%未満、約15%未満、約14%未満、約13%未満、約12%未満、約11%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、または約2%未満である。
【0146】
本発明の放出調整製剤は、対象が初回の抗メタン生成菌治療を受け、次に長期的抗メタン生成またはメタン低減及び/または根絶維持治療を受ける治療計画の一環としても用いられ得る。
【0147】
初回の抗メタン生成治療では、たとえばメタン生成菌を除菌する抗生物質などの、スタチンではない薬剤が使用され得る。腸内メタン生成菌の細菌叢を根絶、大幅に低減、または低減するのに十分な、たとえばメトロニダゾール、メトロニダゾールエステル及び/もしくはアイソマーもしくは疎水性イミダゾール誘導体などのメトロニダゾール類、またはリファキシミンまたはネオマイシンなどが使用され得る。そのような初回治療は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、14、28、42、56、60、90、120または180日以上であり得る。抗生物質の例としては、限定ではないが、各種アミノグリコシド(たとえばアミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン)、各種アンサマイシン(たとえばゲルダナマイシン、ハービマイシン)、各種カルバセフェム(たとえばロラカルベフ)、各種カルバペネム(たとえばエルタペネム、ドリペネム、イミペネム、シラスタチン、メロペネム)、各種セファロスポリン(たとえば第1世代:セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン(またはcefalothin)、セファレキシン;第2世代:セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム;第3世代:セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン;第4世代:セフェピム;第5世代:セフトビプロール)、各種グリコペプチド(たとえばテイコプラニン、バンコマイシン)、各種マクロライド(たとえばアジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシン)、各種モノバクタム(たとえばアズトレオナム)、各種ペニシリン(たとえばアモキシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、ピペラシリン、チカルシリン)、各種ポリペプチド系抗生物質(たとえばバシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB)、各種キノロン(たとえばシプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサチン、オフロキサシン、トロバフロキサシン)、各種リファマイシン(たとえばリファンピシンもしくはリファンピン、リファブチン、リファペンチン、リファキシミン)、各種スルホンアミド(たとえばマフェニド、プロントジル、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルアミド、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(コトリモキサゾール、「tmp−smx」)、及び各種テトラサイクリン(たとえばデメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン)、ならびにアルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジナミド、キヌプリスチン/ダルホプリスチンの併用、及びトリニダゾールが挙げられる。
【0148】
初回治療に続いて、患者は、減少したメタン生成菌及び/またはメタンのレベルを維持するための維持治療を受け得る。いくつかの実施形態では、維持治療は、本発明の放出調整製剤を用いる。一実施形態では、初回治療には、抗生物質が含まれ、低用量スタチン製剤の長期的維持計画がそれに続く。様々な実施形態では、維持計画は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも7か月、少なくとも8か月、少なくとも9か月、少なくとも10か月、少なくとも11か月、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、少なくとも10年間、または無期限的に投与され得る。
【0149】
本発明の放出調整製剤は、長期的維持治療だけに用いられる場合もある。様々な実施形態では、本発明は、1種以上の心血管疾患のない、LDLレベル190mg/dL以上の、年齢40〜75歳のII型糖尿病の、心血管疾患の10年リスクは7.5%以上と想定される年齢40〜75歳の患者であって、以前はメタン陽性であった患者を、本明細書の放出調整製剤で治療して、患者のメタン陰性状態を維持する方法を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の放出調整製剤は、ハイリスクの患者の予防措置としての用法がある。
【0150】
様々な実施形態では、本発明の方法は、ヒト対象の治療に有用である。いくつかの実施形態では、ヒトは小児のヒトである。他の実施形態では、ヒトは成人のヒトである。他の実施形態では、ヒトは老人のヒトである。他の実施形態では、ヒトは患者として言及され得る。いくつかの実施形態では、ヒトは女性である。いくつかの実施形態では、ヒトは男性である。
【0151】
ある実施形態では、ヒトの年齢は、約1月齢〜約18月齢、約18月齢〜約36月齢、約1歳〜約5歳、約5歳〜約10歳、約10歳〜約15歳、約15歳〜約20歳、約20歳〜約25歳、約25歳〜約30歳、約30歳〜約35歳、約35歳〜約40歳、約40歳〜約45歳、約45歳〜約50歳、約50歳〜約55歳、約55歳〜約60歳、約60歳〜約65歳、約65歳〜約70歳、約70歳〜約75歳、約75歳〜約80歳、約80歳〜約85歳、約85歳〜約90歳、約90歳〜約95歳または約95歳〜約100歳の範囲にある。一実施形態では、ヒトは子どもである。一実施形態では、ヒトは女性である。
【0152】
メタン生成菌レベルの判定方法/診断及び患者選択
腸内メタン生成菌及び/またはメタンのレベルは、呼気中のメタンレベルを測定する呼気検査により判定され得る。呼気検査を用いて、「メタン陽性」であり本発明の方法の恩恵を受ける可能性がある対象を特定することができる。さらに、呼気検査を用いて、治療効果をモニターすることもできる。呼気検査分析方法及び装置は、当業界で知られている(たとえばPCT/US14/27697を参照のこと。その内容を参照により本明細書に援用する)。そのような装置の例としては、たとえば,QuinTron BreathTracker ガスクロマトグラフィー(GC)アナライザーまたはQuinTron BreathTracker デバイス(ウィスコンシン州ミルウォーキーのQuinTron Instrument Company社)が挙げられる。
【0153】
さらに、IBSの対象ではラクツロース呼気検査の結果が異常な値となるのが一般的なので、本発明は、患者評価のためのラクツロース呼気検査の使用を提供する。いくつかの実施形態では、患者は、本製剤の投与の前及び/または後にラクツロース呼気検査で評価される。
【0154】
一般に、呼気中メタンレベルが少なくとも約3ppmである個体は、一般にメタン生成菌関連の障害と関連付けられるので、本発明の方法の恩恵を受けると考えられる。あるいは、本発明の方法は、呼気中メタンレベルが少なくとも1ppm、少なくとも1.5ppm、少なくとも2ppm、少なくとも2.5ppm、少なくとも3ppm、少なくとも3.5ppm、少なくとも4ppm、少なくとも5ppm、少なくとも6ppm、少なくとも7ppm、少なくとも8ppm、少なくとも9ppm、少なくとも10ppmの対象に実施され得る。
【0155】
メタン生成菌レベルを測定する一方法には、対象の呼気中メタンの曲線下面積(BM−AUC)の計算が含まれる。この方法には、約90分または約120分の間に平均約15分の間隔をあけて、もしくは最高4時間またはそれ以上の間におそらくはもっと間隔をあけて、複数の呼気検体を得ることが含まれる。この時間枠の結果は、ヒトのBM−AUCを計算するのに用いられる。たとえば、ある対象は、12時間絶食した後に、ラクツロース、キシロース、ラクトース、またはグルコースなどの呼気検査を受け得る。呼気検査にはベースライン呼気測定が含まれ得、その後対象は約10gのラクツロース、キシロース、ラクトース、またはグルコースなどを経口摂取する。ラクツロースの経口摂取後、今度は対象に約15分おきに約90〜約120分にわたり呼気検体を提供してもらって、メタン生成を判定する。BM−AUCは、たとえば、抗メタン生成治療の効果をより精密に判定しモニターするのに用いることができる。BM−AUC測定値はまた、改善された臨床的判断のために「メタン陽性」対象を「メタン陰性」対象から区別するのに用いることもできる。BM−AUCは、大便検体中のメタン生成菌レベルの、PCRによる、たとえばqPCRによる測定と比較されるかまたはともに使用され得る。あるいは、大便検体中のメタン生成菌レベルの、PCRによる、たとえばqPCRによる測定を、呼気検査の代わりに使用してもよい。より精密な技法にも呼気中メタンの測定が含まれ得、周囲メタンレベルを考慮に入れそれを差し引く。
【0156】
市販されているBreathTrackerなどの装置でのスポット呼気中メタン分析を用いて、「メタン陽性」個体を「メタン陰性」個体から区別し、様々な抗メタン生成スタチンなどの放出調整製剤の成功、失敗、用量滴定、投与スケジュール(たとえば毎日または毎日ではない)をモニターすることができる。たとえば、有効最低用量をそのようにして特定することができる。メタンレベルを測定する追加の機器及び技法としては、限定ではないが、たとえば、0.01ppmの小さい範囲を有するLGR−FMRメタン測定器(カリフォルニア州マウンテンビューのLos Gatos Research社)などのキャビティエンハンスト吸光法、波長スキャンキャビティダウンリング分光計、炭素同位体分析(G2132−i13C、カリフォルニア州サンタクララのPicarro社)、ガスクロマトグラフィー、質量分析法、膜抽出炭素同位体分析(Pollock,2012 GSA Annual Meeting, “Membrane Extracted Carbon Isotope Analysis Of Dissolved Methane”)、FID検出器及びGC燃焼部とIRMS機器を有するヘッドスペースガスクロマトグラフィーが挙げられる。臨床的に有効なQuinTron BreathTrackerとして市販されている機器よりも高い精度で呼気中の低濃度のメタンレベルを測定できるその他の機器には、高精度呼気中メタン分析(HPBMA)が含まれる。HPBMAの使用は、スポット呼気中メタンレベルの検査に、またはBM−AUCの形態で、使用され得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、水素量とメタン量の検出は、ガスクロマトグラフィー質量分析法及び/または胃腸内細菌には代謝できるがヒト宿主には消化されにくい同位体標識されたラクツロース、キシロース、マンニトール、または尿素などの基質を投与した後に、呼気中の同位体標識された二酸化炭素、メタン、または水素の発光を測定する放射線検出による(たとえばG. R. Swart and J. W. van den Berg,
13C breath test in gastrointestinal practice, Scand. J. Gastroenterol. [Suppl.] 225:13−18 [1998]; S. F. Dellert et al.,The
13C−xylose breath test for the diagnosis of small bowel bacterial overgrowth in children, J. Pediatr. Gastroenterol. Nutr. 25(2):153−58 [1997]; C. E. King and P. P. Toskes, Breath tests in the diagnosis of small intestinal bacterial overgrowth, Crit. Rev. Lab. Sci. 21(3):269−81 [1984])。消化されにくい基質とは、ヒトがそれを吸収または酵素分解または異化作用する能力を相対的または絶対的に欠いている基質のことである。
【0158】
好適な同位体標識としては、
13C及び
14Cが挙げられる。メタンの測定に適した同位体標識としては、基質の構造中の代謝的に好適な位置、すなわち腸内細菌叢による酵素生分解により同位体標識がガス産物中に留められるような位置に配置された同位体標識と一緒に基質が合成される限り、
2H及び
3Hまたは
17O及び
18Oも挙げられ得る。選択された同位体標識が
14C、
3H、または
15Oなどの放射性同位体である場合、呼気検体は好適な放射線検出手段を有するガスクロマトグラフィーで分析され得る(たとえばC. S. Chang et al.,Increased accuracy of the carbon−14 D−xylose breath test in detecting small−intestinal bacterial overgrowth by correction with the gastric emptying rate, Eur. J. Nucl. Med. 22(10):1118−22 [1995]; C. E. King and P. P. Toskes, Comparison of the 1−gram [
14C]xylose, 10−gram lactulose−H
2, and 80−gram glucose−H
2 breath tests in patients with small intestine bacterial overgrowth, Gastroenterol. 91(6):1447−51 [1986]; A. Schneider et al.,Value of the
14C −D−xylose breath test in patients with intestinal bacterial overgrowth, Digestion 32(2):86−91 [1985])。
【0159】
様々な実施形態では、本発明の放出調整製剤を用いる治療の結果、呼気中メタンレベルは、少なくとも約1ppm、少なくとも約2ppm、少なくとも約3ppm、少なくとも約4ppm、少なくとも約5ppm、少なくとも約6ppm、少なくとも約7ppm、少なくとも約8ppm、少なくとも約9ppm、少なくとも約10ppm、少なくとも約20ppm、少なくとも約30ppm、少なくとも約40ppm、少なくとも約50ppm、少なくとも約60ppm、少なくとも約70ppm、少なくとも約80ppm、少なくとも約90ppm、少なくとも約100ppm、少なくとも約110ppm、少なくとも約120ppm、少なくとも約130ppm、少なくとも約140ppm、少なくとも約150ppm、少なくとも約160ppm、少なくとも約170ppm、少なくとも約180ppm、少なくとも約190ppm、少なくとも約200ppm、少なくとも約210ppm、少なくとも約220ppm、少なくとも約230ppm、少なくとも約240ppm、及び少なくとも約250ppm減少する。
【0160】
本発明で使用される検体としては、患者の呼気が挙げられる。様々な実施形態では、PCRによる、たとえばqPCRによる、またはたとえば他の分子生物学的方法による大便検体中メタン生成菌レベルの測定も提供される。さらに、GI管内の流体の吸引物中のメタン生成菌及び/またはメタンのレベルが分析され得る。胃腸管の一部の粘膜生検中のメタン生成菌及び/またはメタンのレベルも分析され得る。
【0161】
当業者には、「定量的」増幅法は周知である。たとえば、定量的PCRには、同じプライマーを用いて既知量のコントロール配列を同時に共増幅することが含まれる。こうすることで、PCR反応の較正に用いられ得る内部標準が得られる。定量的PCRの詳しいプロトコルは、たとえば、Innis et al.(1990) PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications, Academic Press, Inc. N.Y.に記載されている。定量的PCR分析によるマイクロサテライト領域のDNAコピー数の測定は、たとえば、Ginzonger et al.(2000) Cancer Research 60:5405−5409で説明されている。遺伝子の既知の核酸配列は、当業者が慣習的にプライマーを選択して遺伝子の任意の部分を増幅するのに十分である。蛍光発生定量的PCRも本発明の方法で用いられ得る。蛍光発生定量的PCRでは、蛍光発生シグナル、たとえばTaqMan及びSybr greenの量に基づき定量化する。
【0162】
他の好適な増幅法としては、限定ではないが、リガーゼ連鎖反応(LCR)(たとえば、Wu and Wallace(1989) Genomics 4: 560、Landegren et al.(1988) Science 241:1077、及びBarringer et al.(1990) Gene 89: 117を参照)、転写増幅(Kwoh et al.(1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 1173)、自家持続配列複製法(Guatelli et al.(1990) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 87: 1874)、ドットPCR、及びリンカーアダプターPCRなどが挙げられる。
【0163】
本明細書で提供する方法のさらに他の実施形態では、個々の核酸分子(またはそれらの増幅産物)の配列決定が行われる。一実施形態では、配列決定前に、ある核酸分子集団の単一の核酸分子群を単離する高収率のパラレル配列決定法が使用され得る。そのような方法では、いわゆる「次世代配列決定システム」と呼ばれる、限定ではないが、当業界で周知の配列決定マシン及び/または配列決定法、たとえばIllumina/Solexa社が開発したもの(Genome Analyzer; Bennett et al.(2005)Pharmacogenomics, 6:373−20 382)、Applied Biosystems社が開発したもの(SOLiD Sequencer; solid.appliedbiosystems.com)、Roche社が開発したもの(たとえば454 GS FLX sequencer; Margulies et al.(2005) Nature, 437:376−380;米国特許第6,274,320号、同第6,258,568号、同第6,210,891号)その他が使用され得る。(たとえばOxford Nanopore社が開発したような)確率的配列決定法(stochastic sequencing)などの他の配列決定法、たとえば国際特許公報WO/2010/004273号で説明されているようなものも使用され得る。
【0164】
本明細書で提供する方法のさらに他の実施形態では、ディープシーケンシングにより、メタン生成菌またはメタン生成菌の栄養共生微生物を特定し定量化し得る。これらの技法は当業界では既知である。
【0165】
キット
本発明はまた、メタン生成菌関連の障害の治療用キットにも関する。キットは、本明細書で説明する放出調整製剤を少なくとも1種以上含んでいる、物質または構成要素の集合体である。キットはさらに、メタン生成菌を定量化するための物質及び構成要素を含み得る。キットとして構成される構成要素の具体的な性質は、使用目的による。一実施形態では、キットは、ヒト対象の治療用に構成されている。
【0166】
キットには使用説明書が含まれ得る。典型的には、使用説明書には、メタン生成菌関連の障害を治療することなどの所望の結果に影響する、キットの構成要素の使用に用いるべき技法がわかりやすい表現で書かれている。随意で、キットには、希釈剤、緩衝剤、薬学的に許容可能な担体、シリンジ、カテーテル、アプリケーター、ピペットもしくは測定器具、包帯、またはその他の当業者であれば容易に認識できるような有用な用品などの、他の有用な構成要素も含まれる。
【0167】
キットに含まれる物質及び構成要素は、その機能性や有用性が保たれるような任意の便利で好適な様式で業者の店舗に提供される。たとえば、構成要素は、室温、冷蔵温度または冷凍温度で提供され得る。構成要素は、典型的には、好適な梱包材に収容されている。様々な実施形態では、梱包材は、好ましくは滅菌された汚染物質のない環境を提供するような、周知の方法で作られている。梱包材は、キット及び/またはその構成要素の内容及び/または目的を示す外装ラベルを有し得る。
【0168】
様々な実施形態では、キットは、製剤の安定性を維持するための乾燥剤の入った薬瓶を含んでいる。
【0169】
以下の非限定的な実施例を参照して、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0170】
実施例1:2パルス製剤
ヒト患者で臨床試験を行った。患者にALTOPREV(すなわち持続性放出ロバスタチン)を投与すると、呼気中メタンの測定値は約70ppmであった。MEVACOR(すなわち即時放出ロバスタチン)に変更すると、呼気中メタンは168ppmに増加した。驚いたことに、ALTOPREVとMEVACORを組み合わせて投与すると、呼気中メタンは0ppmに減少した。
【0171】
論理に縛られるわけではないが、即時放出製品のGI管内での放出量は、GI管内での放出量が低い持続性放出製品よりも、かなり高い。したがって、
図1〜3で説明するような、腸溶カプセルから放出されるポリマー被覆ビーズ、及び他の様々な2パルス製剤が作製される。
【0172】
実施例2:2パルス製剤の開発
異なる腸内pH値でロバスタチンを放出する腸溶ミニタブレットを充填したHPMCカプセルであるSYN−010製剤を作製した。ミニタブレットは、未変化のまま胃を通過してから、少量のロバスタチンを十二指腸内に、そしてロバスタチン用量の大部分を回盲連結部及び結腸内に放出するように設計した(
図5)。小腸内と大腸内に放出されるロバスタチンの相対量は、各場所におけるメタン生成古細菌のレベルを反映させた。
【0173】
SYN−010剤形の各ミニタブレットは、USP賦形剤と組み合わせ、pH5.5またはpH7.0で溶解するEUDRAGIT(登録商標)腸溶性ポリマー(pH5.5での溶解は十二指腸での放出:DR、pH7.0での溶解は回盲部での放出:ICR)で被覆したロバスタチンを含有している。具体的には、SYN−010(21mg)製剤は、1XのpH5.5被覆ミニタブレット(DR)及び2XのpH7.0被覆ミニタブレット(ICR)を収容している、不透明な白色の1号サイズのHPMCカプセルで構成される。SYN−010(42mg)製剤は、1XのpH5.5被覆ミニタブレット(DR)及び5XのpH7.0被覆(ICR)を収容している、不透明な白色の1号サイズのHPMCカプセルで構成される。
【0174】
SYN−010カプセルは、200mLの水で1日1回経口摂取される。SYN−010カプセルは噛まずに丸ごと飲み込まれる。SYN−010カプセルを希釈する必要はない。
【0175】
当業界で既知の方法により、ロバスタチンを作製し、分析し、放出した。ロバスタチンの特性を以下の表2に要約する。
【0176】
(表2)
【0177】
SYN−010製剤では様々な賦形剤が使用されており、それらの機能を以下の表3に列挙する。賦形剤及びコーティングは、ロバスタチンを適切な腸溶ミニタブレットとして製剤でき、本明細書で詳述する所望のロバスタチン2パルス放出プロファイルを提供できるように、選択した。
【0178】
(表3)
【0179】
ロバスタチン原体と製剤賦形剤の適合性を二元(binary)過酷試験で評価した。該試験では、ロバスタチンと各賦形剤の1:1の混合物を異なる温度及び相対湿度(RH)条件下で7日間保存した。0日目と7日目に検体を(USPの方法に基づき)HPLC分析した。本賦形剤を用いた二元過酷試験調査のデータを以下の表4に示す。
【0180】
(表4)
aHPLC相対保持時間0.46分=ロバスタチンβ−ヒドロキシ酸。
bUSPモノグラフでは、個々の不純物は0.2%を超えないこと。
c高含水量。
【0181】
二元過酷試験では、ロバスタチンラクトンは単独ではある条件範囲にわたり安定していたが、製剤されたロバスタチンは、少量がβ−ヒドロキシ酸へと加水分解されたことが確認された。このことは、クエン酸などの酸性物質の存在により悪化した。その後の腸溶ロバスタチンミニタブレットの過酷試験では、ロバスタチンが水分に敏感であることが確認され、剤形において観察された少量のロバスタチンの分解は、密封容器内でまたは乾燥剤と一緒に保管することで防止され得ることが実証された(以下の表5参照)。SEPIFILM(商標)LP014及びLP030(SEPPIC社)、Opadry(登録商標)amb II(Colorcon社)、及びAquarius(登録商標)MG(Ashland Aqualon Functional Ingredients社)などの水分バリアのサブコートを製剤開発中に評価した。Acryl−EZE(登録商標)(Colorcon社)pH5.5腸溶コーティングも、当初被覆完全性試験で0.1MのHCl中で評価した。SYN−010製剤に用いるのは、EUDRAGITポリマーを選択した。
【0182】
(表5)
aコーティング前のミニタブレットはすべて同じコア(ANH−056)を含んでいた。
b水分バリアのサブコート。
cHPLC RRT 0.46分=ロバスタチンβ−ヒドロキシ酸;USPモノグラフでは0.2%を超えないこと。
d高密度ポリエチレン(HDPE)瓶。
【0183】
ロバスタチンを含有する腸溶ミニタブレットとプラセボの腸溶ミニタブレットの各組成を表6に詳述する。ミニタブレットは、丸型(直径5.5mm×高さ2.5mm)で通常の凹面を有した。
【0184】
(表6)
aDRミニタブレットの見分けがつくように、FD&C Blue No. 2 Aluminum Lake 12〜14%(EUDRAGIT L30 D−55被覆ミニタブレットの0.0065重量%)を含んだ。
【0185】
SYN−010 21mg及び42mgカプセル剤形及びプラセボの組成を以下の表7にさらに詳述する。
【0186】
(表7)
aDRミニタブレットの見分けがつくように、FD&C Blue No. 2 Aluminum Lake 12〜14%(EUDRAGIT L30 D−55被覆ミニタブレットの0.0065重量%)を含んだ。
【0187】
SYN−010製剤は、(i)ロバスタチンの加水分解と吸収は腸の部位により異なること、及び(ii)ロバスタチンラクトンとβ−ヒドロキシ酸には固有の吸収差があることを生かして、腸管内でのロバスタチンラクトンの量を増加させ、ロバスタチン種が全身性循環中に吸収されることを最小限化する。具体的には、腸溶性となるよう保護されているので、胃では吸収されず、吸収されにくいロバスタチンラクトン(活性のある抗メタン生成剤)が、より容易に吸収されるβ−ヒドロキシ酸(抗メタン生成性ではない)へ変換されるのを防ぐ。それに加えて、21mg及び42mgのSYN−010からロバスタチンが大量放出されるのは、小腸のロバスタチンの主要な吸収領域の後なので、したがって結腸に送達されるロバスタチンラクトンの量は増加する。
【0188】
ロバスタチンラクトンとβ−ヒドロキシ酸の主要な吸収領域はいずれも小腸だが、ロバスタチンの経口吸収には、有意味な胃成分が存在するようである。たとえば、幽門結紮したラットでは、ロバスタチンラクトンでもβ−ヒドロキシ酸でも胃内用量の約30%により30分以内に胃液が誘起された。経口投与後、門脈前でのロバスタチンラクトンのインビボ加水分解は比較的少なく(約10%)、ラクトンからβ−ヒドロキシ酸への変換の大半は肝臓と血漿で生じるようである。また、結腸内細菌が腸内でのロバスタチン加水分解に寄与している可能性があり、ロバスタチンラクトンをヒト及びラットの便細菌酵素画分と一緒にインキュベートすると、ロバスタチンラクトンは12時間で8〜19%減少した、という研究もある。
図6は、経口投与後の胃腸管におけるロバスタチンラクトンレベルを推定したものを示している。
【0189】
ロバスタチンは、白色〜オフホワイトの結晶粉末であり、製造中に賦形剤と一緒に粉砕しブレンドしたが、それ以外は粒径を小さくしたり非結晶状態に変換したりする処理はしなかった。この適応(IBS−C)では、ロバスタチンの全身性生物学的利用能は必要ない場合があるので、溶解性は潜在的有効性の主要な決定要因でなくてもよい。むしろロバスタチンは腸管内に分散しなければならず、溶解試験では、SYN−010剤形からの適切なロバスタチンの放出が実証された。
【0190】
適切なロバスタチン放出プロファイルを有する製品の開発には、腸管の異なる領域を代表する様々なpH値の媒体中での詳細な溶解試験を必要とした。SYN−010の開発中に用いた溶解ストラテジーを
図7に示す。溶解試験には、タイプ2の装置(ロバスタチンのUSPモノグラフで規制されている;ロバスタチン USP 37)を用い、パドル速度及び溶解媒体に含まれるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の濃度を含む、いくつかの変数について評価した。開発中、パドル速度が速い(100rpm)と、腸溶コーティングの完全性にとって不適切であるが、パドル速度が遅い(50rpm)と、ロバスタチンを確実に溶解させるのに十分な剤形の撹拌ができないことが判明した。pH5.9(20g/L)とpH7.0(10.75g/L)の溶解媒体中SDS濃度は、ロバスタチンを適切に溶解できるほど十分であったが、酸性媒体(0.1MのHCl)中5〜20g/LのSDS濃度は、pH5.5腸溶コーティングには有害な影響があった。この問題は、腸溶性ポリマーのコーティングを厚くする(ミニタブレットのコアに対し15重量%増)ことで解決され、それをSYN−010臨床用製剤でも用いた。さらに低いSDS濃度(0.625g/L)を0.1MのHCl溶解媒体中に用いたが、ロバスタチンの溶解に有害な影響はなかった。
【0191】
SYN−010 42mgカプセルの溶解試験のデータを
図8に示す。各ミニタブレットは、ANH−056コアを含んでいた。1XのDRミニタブレットをEUDRAGIT L 30 D−55+PlasACRYL HTP20で被覆した(ミニタブレットのコアに対し15.55重量%増)。5XのICRミニタブレットをEUDRAGIT FS 30 D+PlasACRYL T20で被覆した(15.87重量%増)。HPMCカプセルのシェルは0.1MのHCl(胃を代表している)中で10分以内に溶解して、ロバスタチンミニタブレットを露出させた。全ミニタブレットが、0.1MのHCl中で2時間安定しており、この酸性媒体中にロバスタチンまたはロバスタチン分解産物は観察されなかった。0.1MのHCl中で2時間経過した後に、ミニタブレットをpH5.9のリン酸緩衝液が入った新しいウェル(十二指腸を代表している)に移すと、1XのDRミニタブレットは崩壊し、ロバスタチンが10分以内に完全に溶解した。pH5.9で60分経過した後、NaOHを添加してpHを7.2に上昇させた(回腸を代表している)。30分の遅滞期間の後、5XのICR錠剤は完全に崩壊し、pH7.2でロバスタチンの完全な溶解が観察された。
【0192】
SYN−010 42mgカプセルの溶解試験では、腸溶ロバスタチンミニタブレットの組み合わせを収容したHPMCカプセルで構成される剤形は、ロバスタチンを十二指腸及び回盲連結部/結腸に送達するのに適切な放出プロファイルを有することが示された。
【0193】
溶解試験では、胃酸中でのミニタブレットの完全性、ひいては適切なロバスタチン放出プロファイルを保証するには、ミニタブレットの腸溶コーティング、具体的にはEUDRAGIT L 30 D−55の厚さが重要であることも決定された。表8に例示するように、コーティング厚さが異なるミニタブレットの組み合わせを0.1MのHCl中で撹拌すると、厚さが15%未満のEUDRAGIT L 30 D−55コーティングは不良だった。具体的には、表8は、USPのタイプ2溶解装置で、0.1MのHCl(pH1.2)中120分間、75rpmで撹拌した場合の腸溶コーティングの異なる厚さの効果、及びミニタブレットの被覆の完全性に及ぼす影響を示している。ロバスタチンが溶解しやすいように溶解媒体に添加したSDSは、pH5.5腸溶コーティングに有害な影響も及ぼしたので、最終的なSYN−010 21mg及び42mgの臨床剤形の溶解試験では、SDSのレベルを下げて使用した。
【0194】
(表8)
a同一のANH−056錠剤コア
bEUDRAGIT(登録商標)L30D−55+PlasACRYL(商標)HTP20
cEUDRAGIT(登録商標)FS30D+PlasACRYL(商標)T20
d錠剤6個のうち1個
e錠剤6個のうち4個
【0195】
腸溶ロバスタチンミニタブレットの過酷試験では、SYN−010 21mg及び42mgは、乾燥剤の入った密封HDPE容器内では有効に保存できることが示された。臨床試験用の薬剤SYN−010(21mg)及びSYN−010(42mg)は、子どもが開けにくいポリプロピレン製の33mmの蓋と瓶口ホイルシールがついた60mLの高密度ポリエチレン(HDPE)の広口瓶に別々に梱包した。各瓶には33個のSYN−010カプセルを1.0gのシリカゲル乾燥剤入り乾燥剤キャニスターCANSORB−IT(登録商標)と一緒に入れた。カプセルは20〜25℃で保管した。
【0196】
実施例3:異なる放出プロファイルの臨床評価
十二指腸と回盲部の放出プロファイルを別々に、及び組み合わせて比較して、どちらかがより有益か、または組み合わせの相乗効果について評価する。さらに、メタン陽性対象における異なる用量及び投与プロファイルの薬物動態及び呼気中メタンの効果の評価も行われ得る。
【0197】
実施例3:レスポンダー患者の臨床選択
この試験では、メタン陽性の細菌過増殖及び便秘優勢型IBS(C−IBS)の患者の治療にスタチンを使用するために、過去18か月の診察カルテを遡及的に検討した。概して、便秘と腹部膨満の重度はメタン減少に比例していたが、これは前向き研究ではなく、症状は主観的であった。したがって、カルテの検討ではメタン生成の減少に焦点を置いた。メタンに関するデータは正規分布していなかったので、データを中央値で表してノンパラメトリックなマン・ホイットニー検定により群同士を比較した。評価を行ったメタン陽性の便秘IBS患者の大半は、当初、リファキシミンとネオマイシンで治療されていた。この一般的な抗生物質でのアプローチに耐性または難治性を示した対象を、スタチン治療に振り分けた。このことはまた、論理に縛られるわけではないが、これらの対象は治療一般に対し難治性が高いということも意味し得る。
【0198】
概して、最良の反応の多くは、ALTOPREVを単独または即時放出ロバスタチン(たとえばMEVACOR)と併用で受けている患者に見られた。
【0199】
さらに、呼気中のメタンレベルのベースラインからの絶対変化の評価では、高用量のALTOPREVで、より大幅な呼気中メタンの低下傾向が示されたが、明白な非レスポンダーも何人かいた(
図9A)。このことは、ALTOPREVのレスポンダーと、レスポンダーに交じって目立った用量反応のない明白な非レスポンダーとに分かれた、ベースラインからのパーセンテージ変化を比較するとより鮮明にわかるだろう(
図9B)。
【0200】
呼気中メタンレベルの絶対変化を検討すると、ベースラインの呼気中メタンレベルが最も高かった患者では、ほぼ直線的な傾向があるようで、ALTOPREVの用量に関係なく、呼気中メタンの最も大幅な絶対的減少が示された(
図9C)。この分析では、明白な非レスポンダー群(ベースラインのメタンレベルは様々)があった。ベースラインの呼気中メタンに対する呼気中メタンをパーセント比較すると(
図9D)、ALTOPREVのレスポンダーと、やはりレスポンダーに交じって目立った用量反応を示していない明白な非レスポンダーとの分離が示された。
【0201】
実施例4:M.スミティーコロニー形成便秘ラットに対するロバスタチンのインビボ効果
雄の成体Sprague−Dawleyラット30匹に7週間にわたり高脂肪食(脂肪含有60.3%kcalのTeklad高脂肪食TD.06414、ウィスコンシン州マディソンのHarlan Laboratories社)を与えた。この規定食を与える前と後に、ラットをM.スミティーの増加についてqPCRで評価してから、3つの群に分けた。第1群にはラクトン型のロバスタチンを与え、第2群にはロバスタチンのヒドロキシ酸を与え(各1.5mg/ラット)、第3群にはプラセボを経管栄養で与えた。各群に10日間毎日経管栄養を行った。高脂肪食を開始する前、7週間の高脂肪食の後、及びロバスタチン経管栄養(なおも高脂肪食)の最後に、それぞれ3日分の便を回収して、便の平均湿重量と日々の変化を評価した。経管栄養10日目にラットを安楽死させ、結紮した腸の各部分(十二指腸、空腸、回腸、盲腸及び左結腸)の内容物からDNAを抽出した。管腔内全細菌とM.スミティーについて、プライマーを使ってqPCRを実施した。
【0202】
結果では、高脂肪食によりSprague−Dawleyラットの便のM.スミティーコロニー形成は増大していた(ベースライン時7.58×10
4±6.62×10
4cfu/mLから、7週間の高脂肪食後2.60×10
5±1.95×10
5)(P<0.01)(
図10A)。このことと併せて、便の湿重量は減少していた(ベースライン時62.4%から、7週間後48.6%)(P<0.01)(
図10B)。この時点でラットを3群に分けた。qPCRによる全細菌のレベルについては、プラセボと両ロバスタチン群の間に差はなかった。M.スミティーに関しては、ロバスタチンラクトンを与えられたラットの回腸内では、M.スミティーが全細菌に対して占める割合が減少していたが、ヒドロキシ酸を与えられたラットではそうではなかった。結腸内のM.スミティーレベルには影響がなかった(
図11)。
【0203】
実施例5:イヌにおけるSYN−010の薬物動態
SYN−010製剤は、未変化のまま胃を通過してから腸管の異なる部位でロバスタチンを放出するように設計されている異なる腸溶ミニタブレットの組み合わせを収容したカプセルで構成されている。本試験は、異なるSYN−010ロバスタチン腸溶ミニタブレットを単独でまたは組み合わせてビーグル犬に投与した後のロバスタチンラクトンとβ−ヒドロキシ酸の血漿薬物動態を評価した。動物には、市販の即時放出及び持続性放出のロバスタチン製剤も投与した。イヌがロバスタチンの体内動態の研究に適していることは以前から示されており、胃腸管にはヒトとの類似点も多い。イヌ5匹(体重6.4〜8.0kg)にラテン方格用量計画により無作為に次の各用量を受けさせた。すなわち、試験の間、1週間の休薬期間を設けて、各イヌに次の各用量:用量A:6XのpH5.5被覆ロバスタチン(7mg)ミニタブレット(十二指腸での放出;DR);総用量42mg、用量B:6XのpH7.0被覆ロバスタチン(7mg)ミニタブレット(回盲部での放出;ICR);総用量42mg、用量C:1XのDR+5XのICRロバスタチン(7mg)ミニタブレット;総用量42mg、用量D:1XのMEVACOR即時放出ロバスタチン錠剤;総用量40mg、用量E:1XのALTOPREV持続性放出ロバスタチン錠剤;総用量40mgを受けさせた。
【0204】
どの用量も、000号サイズのTorpacゼラチンカプセル1個で投与した。投与前にイヌを一晩絶食させ、投与から2.0〜2.5時間後に食餌を再開させた。36時間にわたり各イヌの血液検体を採取し、適したLC−MS/MS法により血漿中のロバスタチンラクトン及びロバスタチンβ−ヒドロキシ酸について分析した。薬物動態パラメーターを非区画法で計算した。
【0205】
異なる用量の時間プロファイルに対する平均濃度を
図12に示す。ロバスタチンβ−ヒドロキシ酸の血漿レベルは、ロバスタチンラクトンとほぼ同じ跡を辿っているが、これは、ラクトンがβ−ヒドロキシ酸に変換されるのは、主としてGI管からの吸収の後である、というこれまでに発表されている報告と一致するものである。AUC酸/AUCラクトンの割合(1.5〜1.7)は用量A、C、D及びEでは差がなかったが、用量Bの製剤はロバスタチンが非常に吸収されにくいため、用量Bでは0.8と小さかった。
【0206】
このイヌの試験におけるMEVACORとALTOPREVの比較薬物動態は、発表されている臨床研究と一致しており、これらの製剤の薬物動態パラメーターは、そのような発表されたイヌの研究と類似していた。本試験の重要な差異は、数匹のイヌで認められた、ラクトンとβ−ヒドロキシ酸の両方の大きな第2ピーク濃度(C
ピーク,2)の存在であり、これは今までに報告されたことがない。
【0207】
DRミニタブレット(用量A)の全体的なロバスタチン曝露(AUC)はMEVACOR及びALTOPREV製剤と似ていたが、用量Aの薬物動態プロファイルは、MEVACORとは違って、ミニタブレットが上部小腸に達するまで、pH5.5腸溶コーティングがロバスタチンの放出を遅延させたことを示した。このことは、用量Aではロバスタチンラクトン及びβ−ヒドロキシ酸の最初の測定可能な濃度の前(T
遅延 1.0〜2.0時間)及びその後の第1のピーク血漿濃度(T
ピーク,1 2.0〜6.0時間)が、MEVACOR即時放出製剤(T
遅延 0.5〜1.0時間、T
ピーク,1 1.0〜2.0時間)よりも長時間であることにより反映された。MEVACORで観察されたように、用量Aは、主として2匹のイヌによる、大きな平均C
ピーク,2も示した。この第2のピークは、これらの動物の胃から1種以上のミニタブレットが遅延放出されたことを反映した可能性がある。発表されている報告では、イヌの幽門はヒトのものよりも狭いことが特定されており、したがって(SYN−010ミニタブレットなどの)直径5mm以上の粒子は、食餌の状態に関係なく、次のGIハウスキーパー波(housekeeper wave)(第III期の伝搬性収縮運動)により押し出されるまでは胃内に滞留する傾向がある。食餌をとったイヌのハウスキーパー波の間隔(5〜13時間)には大きな差があり、また、食事をとったヒトで観察された間隔(2〜5時間)よりもかなり長い。本試験では、投与から2.0〜2.5時間後にイヌの食餌を再開させた。絶食させたイヌに、ハウスキーピング波の直後にSYN−010ミニタブレットを投与して、1つ以上のミニタブレットが胃から出ていかなければ、これらのミニタブレットは、次のハウスキーパー波により放出されるまで胃内に相当長い時間留まっていた可能性があった。
【0208】
ICRミニタブレット(用量B)及び1XのDR+5XのICRの組み合わせ(用量C)では、これらの製剤をIBS−Cに使用する可能性に関して注目すべき結果が得られた。用量B投与後のロバスタチンラクトン及びβ−ヒドロキシ酸の微量〜検出不能なレベルは、GI管から吸収されるロバスタチンは無視できるものであること、及びロバスタチンラクトンが腸管内に保持されることを示している。ケージ傍でのルーチンの観察中、イヌの便中に未崩壊のミニタブレットや錠剤は見られなかった。用量Cではロバスタチンの全身性送達は低レベルであり(すなわち、平均用量標準化ロバスタチンラクトンのAUCは、平均用量標準化MEVACORのAUCの56%であった)、各分析物の2つのピーク濃度が約14時間離れている2パルス放出プロファイルを示した。用量Aについては、第2のピークは、非常に大きいC
ピーク,2を有した2匹のイヌによるところが大きい。ICR成分単独(用量B)で観察されたロバスタチンラクトン及びβ−ヒドロキシ酸の血漿レベルが無視できるレベルであることを考慮に入れると、用量Cのこれらの分析物の時間プロファイルに対するプラズマ濃度は、主として製剤のDR成分によるものと考えられる。
【0209】
SYN−010ミニタブレットは、本試験で用いた製剤のうちの1つである。各腸溶ミニタブレットは、USP賦形剤と組み合わせ、pH5.5またはpH7.0で溶解するEUDRAGIT(登録商標)腸溶性ポリマー(pH5.5での溶解はDR、pH7.0での溶解はICR)で被覆したロバスタチン7mgを含有している。各ミニタブレットは直径約5mm、高さ約3mmの円形で、重さ約54mgである。DRミニタブレットは薄い青色だが、ICRミニタブレットは白色である。MEVACOR 40mg IRロバスタチン錠剤、ALTOPREV 40mg XRロバスタチン錠剤、及び獣医用000号サイズのブタゼラチンカプセル(ニュージャージー州フェアフィールドのTorpac社)も使用された。いずれも既製品であり、室温で維持され、ALTOPREVとMEVACORは暗所で乾燥保存した。
【0210】
実施例6:IBS−CのためのSYN−010第2相臨床試験
第2相の無作為化二重盲検並行群間プラセボ対照反復投与試験が実施されている。本試験の主たる目的は、IBS−Cのメタン陽性患者を2つのSYN−010製剤のうちの1つで7日間治療した後、呼気中メタンのベースラインからの変化をラクツロース呼気検査で判定し、プラセボ群と比較して評価することである。約60名の患者が登録しており、21mgと42mgの2つの異なる用量のSYN−010群とプラセボ群という3つの群に無作為に1:1:1の割合で振り分けられている。患者はSYN−010の単回経口用量を28日間毎日受けるように計画されている。登録しているのは、年齢18〜65歳(両端を含む)の60名の被験者である。
【0211】
試験対象患者基準は、IBS−C患者であって、スクリーニング時の呼気中メタン試験の結果が陽性であること(10ppmよりも高い)、一部改訂RomeIII IBS−C基準を満たしていること、スクリーニング時及びベースライン時の報告で平均腹痛強度スコアが(0〜10のスケールで)3以上であること、完全に自然な便通(CSBM)の1週間の平均回数が3回未満であること、及びスクリーニング時から試験終了時までIBS−Cの症状に影響を及ぼし得るような生活の変化を避けることに同意すること、である。
【0212】
除外基準は、IBS治療(医師の処方または売薬)、プロトンポンプ阻害剤、緩下剤、抗生物質を受けていること、胃腸(GI)管に現在何らかの構造的異常があるか、またはGI運動に影響し得る疾患もしくは状態があるか、または下部GI出血、直腸出血、ヘム陽性便、鉄欠乏性貧血、体重減少、もしくは炎症の全身的徴候など何らかの未解明の臨床的に重大な症状があること、家族性大腸腺腫もしくはその家族歴、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、または任意の他の形態の家族性結腸直腸癌と診断されているかその患者であること、及び、緩い(どろどろの)もしくは水様の便を訴えていること(Bristol Stool Form Scale[BSFS]のスコアで6か7)である。
【0213】
ラクツロース呼気検査で判定されるIBS−Cのメタン陽性患者の呼気中メタンが、ベースラインから減少することが予想される。
【0214】
定義
本明細書では、「a」「an」または「the」という冠詞は、1つ、または1つ以上を意味することができる。
【0215】
さらに、「約」という用語を言及される数値に関連して使用する場合は、その言及される数値のプラスまたはマイナス10%までを意味する。たとえば、「約50%」という言葉は45%〜55%の範囲を包含する。
【0216】
医療関連で使用される「有効量」とは、特定の疾患の測定可能な治療、予防または発症率の減少をもたらすのに有効な量である。
【0217】
本明細書では、ある薬剤または刺激因子の存在下で、そのような調節の不存在に対して相対的に、ある活性及び/または効果の読取値が有意味な量、たとえば少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、またはそれ以上、少なくとも約100%以下減少した場合に、何かが「減少した」という。当業者であれば理解しようが、いくつかの実施形態では、活性が減少し、いくつかの下流の読取値は減少しても、他は増加する場合もある。
【0218】
反対に、ある薬剤または刺激因子の存在下で、そのような薬剤または刺激因子の不存在に対して相対的に、ある活性及び/または効果の読取値が有意味な量、たとえば少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、またはそれ以上、少なくとも約100%以下、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍増加した場合に、活性は「増加した」という。
【0219】
本明細書では、特に断らない限り、組成%はいずれも、組成物全体に占める重量%である。本明細書では、「含む」という用語及びその変化形は、限定を意図するものではなく、リストに挙げたもの以外の、本技術の組成物及び方法に同じく有用であり得るその他の類似のものを除外するわけではない。同様に、「できる(can)」「できる(may)」及びそれらの変化形は、限定を意図するものではなく、ある実施形態がある要素または特徴を含み得るという記述は、そのような要素や特徴を含まない本技術の他の実施形態を除外するものではない。
【0220】
本明細書では、本発明を説明し主張するのに、「含む(including)」「含む(containing)」または「有する(having)」の同義語としてオープンエンドの「含む(comprising)」という用語を使用しているが、本発明またはその実施形態は、代わりに「からなる」または「から本質的になる」などの代替用語を用いて説明することもできる。
【0221】
本明細書では、「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、特定の状況下で特定の利益を得ることができる本技術の実施形態に言及しているが、他の実施形態も、同一のまたは他の状況下で好ましい場合もある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態を記載したからといって、他の実施形態が無用という意味ではなく、本技術の範囲から他の実施形態を除外するものではない。
【0222】
本明細書で説明する組成物の治療効果を得るのに必要な量は、具体的な目的のために一般的な手順にしたがい経験的に決定することができる。一般には、治療目的で治療剤(たとえば本明細書で説明する抗メタン生成スタチン及び/または追加の治療剤)を投与する場合、その治療剤は薬理学的有効量で投与される。「薬理学的有効量」「薬理学的有効(用)量」「治療有効量」または「有効量」は、所望の生理学的効果を得るのに十分な量、または所望の結果を得ることができる、具体的には障害または疾患を治療することができる量を指す。本明細書で用いる場合、有効量には、たとえば障害または疾患の症状の発現を遅らせる、障害または疾患の症状の経過を変える(たとえば疾患の症状の進行を遅らせる)、障害または疾患の1つ以上の症状または顕現を軽減または除去する、及び障害または疾患の症状を逆戻りさせるのに十分な量が含まれる。治療の恩恵には、改善の有無に関係なく、根底にある疾患または障害の進行を止めるかまたは進行速度を遅らせることも含まれる。
【0223】
有効量、毒性、及び治療効果は、たとえばLD50(集団の約50%の致死量)及びED50(集団の約50%の治療有効量)を決定するための、細胞培養、組織検体、組織ホモジネートまたは実験動物における標準的な薬学的手順で決定することができる。用量は、用いられる剤形や投与経路により変わり得る。毒性と治療有効性の用量比は、治療指数であり、LD50/ED50の割合として表すことができる。いくつかの実施形態では、治療指数が大きい組成物及び方法が好ましい。治療有効量は、まずはインビトロアッセイから、たとえば細胞培養アッセイまたは測定または大便検体中のメタン生成などから推定することができる。また、用量を動物モデルに処方して、細胞培養または適切な動物モデルで決定されたIC50を含む循環血漿濃度範囲を得ることもできる。説明した組成物の血漿レベルは、たとえば高速液体クロマトグラフィーで測定することができる。任意の具体的な用量の効果は、好適なバイオアッセイでモニターすることができる。用量は、観察された治療効果に合わせて医師が決定し、必要に応じて調節することができる。
【0224】
ある実施形態では、効果は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、または少なくとも約90%の定量できる変化をもたらすことになる。いくつかの実施形態では、効果は、約10%、約20%、約30%、約50%、約70%、または約90%以上もの定量できる変化をもたらすことになる。治療の恩恵には、改善の有無に関係なく、根底にある疾患または障害の進行を止めるかまたは進行速度を遅らせることも含まれる。
【0225】
本明細書では、「治療(方)法」は、本明細書で説明する疾患または障害を治療する組成物の使用、及び/または使用される組成物、及び/または本明細書で説明する疾患または障害を治療する薬物の製造での使用に、同等に用いることができる。
【0226】
均等物
本発明を具体的な実施形態との関連で説明してきたが、さらなる変更形態が可能であることは理解されようし、本願は、本発明の原理に全体としてしたがう本発明のあらゆる変化形態、使用または適用に及ぶものであり、本発明の業界では既知かもしくは慣習的に実施されるような、上述した基本的特徴に該当し得るような、及び添付の請求項の範囲で記載されるような、本開示からの逸脱も包含するものである。
【0227】
当業者であれば、ルーチンの実験を用いるだけで、本明細書で具体的に説明した具体的な実施形態の数々の均等物を認識または確認することができる。そのような均等物は、添付の請求の範囲に包含されるものとする。
【0228】
参照による援用
本明細書で参照したすべての特許文書及び出版物は、参照によりその内容を本明細書に援用する。
【0229】
本明細書に記載する出版物は、本出願の出願日よりも前のそれらの出版物をただ開示するために提供される。先行発明のせいで本明細書がそのような出版物に先行できないと考えるべきものは本明細書には一切ない。
【0230】
本明細書では、すべての見出しは単に構成用であり、本開示を一切制限するものではない。任意の個々のセクションの内容は、全セクションにも同等に当てはまり得る。