特表2017-528867(P2017-528867A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-528867レドックスフロー電池用スタック溶着装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-528867(P2017-528867A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(54)【発明の名称】レドックスフロー電池用スタック溶着装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/18 20060101AFI20170901BHJP
   H01M 8/24 20160101ALI20170901BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20170901BHJP
   B23K 20/10 20060101ALI20170901BHJP
【FI】
   H01M8/18
   H01M8/24 E
   H01M8/04 Z
   H01M8/24 Z
   B23K20/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-503120(P2017-503120)
(86)(22)【出願日】2015年7月22日
(85)【翻訳文提出日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】KR2015007640
(87)【国際公開番号】WO2016017989
(87)【国際公開日】20160204
(31)【優先権主張番号】10-2014-0096507
(32)【優先日】2014年7月29日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】511123485
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヒョン−ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム,デ−シク
(72)【発明者】
【氏名】クヮク,ウン−シク
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウォン−ソク
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ヒョン−ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン−フィ
(72)【発明者】
【氏名】ハ,ダル−ヨン
【テーマコード(参考)】
4E167
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
4E167BE06
4E167DA04
4E167DC02
5H126AA22
5H126AA28
5H126BB10
5H126HH00
5H127AA10
5H127BA01
5H127BB03
5H127EE28
(57)【要約】
レドックスフロー電池用スタック溶着装置が開示される。開示されたレドックスフロー電池用スタック溶着装置は、亜鉛−臭素フロー電池の電極フローフレームとメンブレインフローフレームからなる単位セルを振動溶着してスタックを構成するためのものであって、i)少なくとも一つの単位セルを支持し、上下方向に移動可能に設置される下部ダイと、ii)下部ダイの上側でその下部ダイが上昇することによって単位セルを加圧する上部ダイと、iii)上部ダイに振動を加えて前記単位セルを振動溶着させる振動源と、を含み、下部ダイおよび上部ダイの相互対応するベースには複数個で分割されてそのベースに固定される分割板が設置され、少なくとも一つの分割板と前記ベースとの間には前記単位セルの厚さ偏差を調節するための厚さ調節薄板が設置され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛−臭素フロー電池の電極フローフレームとメンブレインフローフレームからなる単位セルを振動溶着してスタックを構成するためのレドックスフロー電池用スタック溶着装置であって、
少なくとも一つの単位セルを支持し、上下方向に移動可能に設置される下部ダイと、
前記下部ダイの上側にて、前記下部ダイが上昇することによって前記単位セルを加圧する上部ダイと、
前記上部ダイに振動を加えて前記単位セルを振動溶着させる振動源と、
を含み、
前記下部ダイおよび上部ダイにおける相互に対応するベースには、複数個に分割されてそのベースに固定される分割板が設置され、
少なくとも一つの分割板と前記ベースとの間には、前記単位セルの厚さの偏差を調節するための厚さ調節薄板が設置されることを特徴とするレドックスフロー電池用スタック溶着装置。
【請求項2】
前記厚さ調節薄板は、アルミニウム薄板からなることを特徴とする、請求項1に記載のレドックスフロー電池用スタック溶着装置。
【請求項3】
前記下部ダイの分割板上には複数枚の前記単位セルが積層され、
前記下部ダイおよび上部ダイのうちの少なくともいずれか一つには、隅角の側の分割板に前記単位セルを固定するための固定ピンが、上下方向に往復移動可能に設置されることを特徴とする、請求項1に記載のレドックスフロー電池用スタック溶着装置。
【請求項4】
前記固定ピンは、前記下部ダイの隅角の側の分割板に、作動シリンダーにより上下方向に往復移動可能に設置され、前記単位セルを貫通することを特徴とする、請求項3に記載のレドックスフロー電池用スタック溶着装置。
【請求項5】
前記単位セルにおける隅角の部分に対応して、前記下部ダイの前記ベースには、前記単位セルを整列させるガイド部材が設置されることを特徴とする、請求項3に記載のレドックスフロー電池用スタック溶着装置。
【請求項6】
前記ガイド部材が、前記単位セルにおける隅角同士の間の部分に対応して前記ベースに設置され、前記単位セルを整列させることを特徴とする、請求項5に記載のレドックスフロー電池用スタック溶着装置。
【請求項7】
前記ガイド部材は、ブロックの形態をなし、複数個が、前記単位セルの高さに応じて、上側方向に積み上げられて、相互に締結されることを特徴とする、請求項5または6に記載のレドックスフロー電池用スタック溶着装置。
【請求項8】
前記分割板の表面には、前記単位セルを固定するためのナーリング部が形成されることを特徴とする、請求項1に記載のレドックスフロー電池用スタック溶着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2014年7月29日付韓国特許出願第10−2014−0096507号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明の実施例は、レドックスフロー電池用スタック製造システムに関し、より詳細には、単位セルのアラインメント(整列性)を改善した亜鉛−臭素フロー電池用スタック溶着装置に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、地球温暖化の主要原因である温室ガス排出を抑制するための方法として太陽光エネルギーや風力エネルギーといった再生可能エネルギーが脚光を浴びており、これらの実用化・普及のために、多くの研究が行われている。
【0004】
しかし、再生可能エネルギーは、立地環境や自然条件により大きく影響を受ける。さらに、再生可能エネルギーは、出力変動が激しいため、エネルギーを連続的に均一に供給できないという短所がある。
【0005】
したがって、再生可能エネルギーを家庭用や商業用として使用するためには、出力が高い時にはエネルギーを貯蔵し、出力が低い時には貯蔵されたエネルギーを使用することができるシステムを導入して使用している。
【0006】
このようなエネルギー貯蔵システム(ESS:Energy Storage System)としては、大容量二次電池が使用されるが、一例として、大規模の太陽光発電団地および風力発電団地には、大容量の二次電池貯蔵システムが導入されている。前記の大容量の電力貯蔵のための二次電池としては、鉛蓄電池、NaS電池そしてレドックスフロー電池(RFB、redox flow battery)等がある。
【0007】
前記鉛蓄電池は、他の電池に比べて商業的に幅広く使用されているが、低い効率、および周期的な交換による維持補修の費用、並びに電池交換時に発生する産業廃棄物の処理の問題などの短所がある。NaS電池の場合、エネルギー効率が高いのが長所であるが、300℃以上の高温で作動するという短所がある。
【0008】
レドックスフロー電池は、維持補修の費用が少なく、常温で作動可能であり、容量と出力をそれぞれ独立に設計できるという特徴があるため、最近、大容量二次電池として多くの研究が行われている。
【0009】
レドックスフロー電池は、燃料電池と同様に、メンブレイン、電極およびバイポーラプレート(Bipolar plate;双極板)が、直列(Series)に配置されてスタック(Stack)を構成することによって、電気エネルギーの充放電が可能な二次電池(Secondary battery)の機能を有する。
【0010】
レドックスフロー電池は、メンブレインの両側に、正極および負極の電解液貯蔵タンクから供給された正極電解液(Electrolyte)および負極電解液が循環することで、イオン交換が行われ、この過程で電子の移動が発生して充放電が行われる。
【0011】
このようなレドックスフロー電池は、既存の二次電池に比べて寿命が長く、kW〜MW級の中大型システムとして製作することが可能であるため、エネルギー貯蔵システム(ESS)に最も適したものとして知られている。
【0012】
一方、レドックスフロー電池としては、亜鉛−臭素(Zinc−Bromine)フロー電池を例に挙げることができるが、電極フローフレーム(electrode flow frame)とメンブレインフローフレーム(membrane flow frame)で単位セルをなすように構成され、このような単位セルが、複数枚積層されてスタックとして構成され得る。
【0013】
ここで、前記電極フローフレームとメンブレインフローフレームとの間には、スペーサが位置し、電解液が流れることとなり、その電解液が流れ得る注入口は全部で4ヶ所であり、流路チャンネルに沿って電解液が上から下へ、下から上へ流れ得る。
【0014】
前記のような電極フローフレームとメンブレインフローフレームの単位セルは、振動溶着(Vibration Welding)方式で互いに溶着され、スタックとして構成され得るのであるが、このために、電極フローフレームとメンブレインフローフレームには、反応領域の外側に溶着層を形成している。
【0015】
例えば、前記振動溶着方式を利用してフロー電池のスタックを構成する振動溶着設備としては、上部ジグと、その上部ジグに対して昇降可能に設置される下部ジグと、これらのジグに振動を印加する振動源とを備えている。
【0016】
したがって、前記フロー電池用振動溶着設備は、下部ジグに単位セルをローディングし、下部ジグが上昇することによって上部ジグを通じて単位セルを加圧し、振動源で発生する振動を上部ジグに提供するようになると、電極フローフレームとメンブレインフローフレームの溶着層が溶着されて接合されることによって単位セルを振動溶着することができる。
【0017】
そして、他の単位セルを振動溶着された単位セルに積層し、このような方式で単位セルを振動溶着することによって複数枚の単位セルが振動溶着されたスタックを製造することができる。
【0018】
このようなフロー電池の振動溶着方式は、単位セルの配列を均一にして内部圧力を増加させ、流体の流れ性を均一にし、漏水の危険を減少させるのが重要であるが、これは電池の充放電効率と直接的な関係があるためである。
【0019】
しかし、従来技術では、亜鉛−臭素フロー電池の製作時に使用される振動溶着設備のスタック整列技術および単位セルの固定技術などに対する研究が不充分であるのが実情である。
【0020】
この背景技術の部分に記載された事項は、発明の背景に対する理解を増進させるために作成されたものであり、当該技術が属する分野における通常の知識を有する者にすでに知られた従来の技術でない事項を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の実施例は、単位セルの厚さ偏差を減少させることができ、単位セルの固定および整列度を向上させることができるようにしたレドックスフロー電池用スタック溶着装置を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の実施例によるレドックスフロー電池用スタック溶着装置は、亜鉛−臭素フロー電池の、電極フローフレームとメンブレインフローフレームからなる単位セル同士を振動溶着して、スタックを構成するためのものであって、i)少なくとも一つの単位セルを支持し、上下方向に移動可能に設置される下部ダイと、ii)前記下部ダイの上側にて、前記下部ダイが上昇することによって前記単位セルを加圧する上部ダイと、iii)前記上部ダイに振動を加えて前記単位セルを振動溶着させる振動源と、を含み、前記下部ダイおよび上部ダイにおける相互に対応するベースには、複数個に分割されてそのベースに固定される分割板が設置され、少なくとも一つの分割板と前記ベースとの間には、前記単位セルの厚さの偏差を調節するための厚さ調節薄板が設置され得る。
【0023】
また、本発明の実施例による前記レドックスフロー電池用スタック溶着装置において、前記厚さ調節薄板は、アルミニウム薄板からなることができる。
【0024】
また、本発明の実施例による前記レドックスフロー電池用スタック溶着装置において、前記下部ダイの分割板上には複数枚の前記単位セルが積層され得る。
【0025】
また、本発明の実施例による前記レドックスフロー電池用スタック溶着装置において、前記下部ダイおよび上部ダイのうちの少なくともいずれか一つには、隅角の側の分割板に前記単位セルを固定するための固定ピンが、上下方向に往復移動可能に設置され得る。
【0026】
また、本発明の実施例による前記レドックスフロー電池用スタック溶着装置において、前記固定ピンは、前記下部ダイの隅角の側の分割板に、作動シリンダーにより上下方向に往復移動可能に設置され、前記単位セルを貫通することができる。
【0027】
また、本発明の実施例による前記レドックスフロー電池用スタック溶着装置において、前記単位セルにおける隅角の部分に対応して、前記下部ダイの前記ベースには、前記単位セルを整列させるガイド部材が設置され得る。
【0028】
また、本発明の実施例による前記レドックスフロー電池用スタック溶着装置において、前記ガイド部材が、前記単位セルにおける隅角同士の間の部分に対応して前記ベースに設置され、前記単位セルを整列することができる。
【0029】
また、本発明の実施例による前記レドックスフロー電池用スタック溶着装置において、前記ガイド部材は、ブロックの形態に形成され、複数個が、前記単位セルの高さに応じて上側方向に積み上げられて、相互に締結され得る。
【0030】
また、本発明の実施例による前記レドックスフロー電池用スタック溶着装置において、前記分割板の表面には、前記単位セルを固定するためのナーリング部が形成され得る。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施例は、振動溶着による単位セルの固定および整列度を向上させることによって単位セルの内部圧力を増加させ、流体の流れ性を均一にし、漏水の危険を減少させることによって電流効率、電圧効率およびエネルギー効率の面で全体的なスタックの充放電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施例によるレドックスフロー電池用スタック溶着装置を概略的に示した図面である。
図2】本発明の実施例によるレドックスフロー電池用スタック溶着装置に適用される、上部ダイおよび下部ダイにおける分割板の構造を示した斜視図である。
図3】本発明の実施例によるレドックスフロー電池用スタック溶着装置に適用される固定ピンの部位を示した斜視図である。
図4】本発明の実施例によるレドックスフロー電池用スタック溶着装置に適用されるガイド部材を示した斜視図である。
図5】本発明の実施例によるレドックスフロー電池用スタック溶着装置の作用効果を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
この図面は、本発明の例示的な実施例を説明する際に参照するためのものであり、本発明の技術的な思想を図面に限定して解釈してはならない。
【0034】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態にて実現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0035】
本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0036】
図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に表示したため、本発明が必ずしも図面に示されたものに限定されるのではなく、多くの部分および領域を明確に表現するために厚さを拡大して表示した。
【0037】
そして、下記の詳細な説明で、構成の名称を第1、第2などに区分したのは、その構成が同一であることから、これらを区分するためであり、下記の説明で必ずしもその順序に限定されるのではない。
【0038】
明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0039】
また、明細書に記載された「…ユニット」、「…手段」、「…部」、「…部材」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を行う包括的な構成の単位を意味する。
【0040】
図1は、本発明の実施例によるレドックスフロー電池用スタック溶着装置を概略的に示した図面である。
【0041】
図1を参照すると、本発明の実施例によるレドックスフロー電池用スタック溶着装置100は、フロー電池としての単位セル1同士を振動溶着してスタック3を構成する亜鉛−臭素フロー電池用のスタック製造システムに適用され得る。
【0042】
例えば、レドックスフロー電池は、正極電解液および負極電解液によっては亜鉛−臭素フロー電池を含むことができるが、亜鉛−臭素フロー電池は、電極フローフレームとメンブレインフローフレームからなる単位セル1を含み、複数枚の単位セル1を連続的に配列して、電気発生集合体であるスタック3として構成され得る。
【0043】
ここで、電極フローフレームとメンブレインフローフレームの単位セル1は、振動溶着方式により相互溶着されることで、複数枚が積層されたスタックに構成されるが、そのために、電極フローフレームとメンブレインフローフレームには、反応領域の外側に溶着層を形成している。
【0044】
このような亜鉛−臭素フロー電池は、当業界で広く知られた公知技術のレドックスフロー電池の構成からなるため、本明細書において、その構成についての、より詳細な説明は省略する。
【0045】
本発明の実施例による前記レドックスフロー電池用スタック溶着装置100は、単位セル1に振動を加えて、電極フローフレームとメンブレインフローフレームの溶着層を溶融させることで接合する例を説明する。
【0046】
しかし、本発明の保護範囲が、必ずこれに限定されるものと理解されてはならず、所定の母材プレートを振動で溶着可能な多様な種類および用途の振動溶着設備であれば本発明の技術的な思想が適用可能である。
【0047】
本発明の実施例による前記レドックスフロー電池用スタック溶着装置100は、振動溶着による単位セル1の固定および整列の度合いを向上させることによって、単位セル1の内部圧力を増加させ、流体の流れ性を均一にし、漏水の危険を減少させることができる構造からなる。
【0048】
そのために、本発明の実施例による前記レドックスフロー電池用スタック溶着装置100は、基本的に、下部ダイ10、上部ダイ40および振動源70を含んでいる。
【0049】
本発明の実施例で、前記下部ダイ10は、少なくとも一つの単位セル1を支持するものであって、フレーム11に固定されるように設置される。前記下部ダイ10のフレーム11は、スライディング駆動装置(図示せず)により、後述する上部ダイ40に対して上下方向に昇降可能に構成され得る。
【0050】
前記上部ダイ40は、下部ダイ10上の単位セル1を加圧するものであって、下部ダイ10の上側でフレーム41に固定されるようにして配置される。前記上部ダイ40は、下部ダイ10が上昇することによって、その下部ダイ10上の単位セル1を加圧することができる。
【0051】
ここで、前記フレーム11、41は、下部ダイ10および上部ダイ40をそれぞれ支持するためのブラケット、バー、ロッド、プレート、レール、ハウジング、隔壁、ケース、ブロック、カラーなどといった各種の付属要素を含んでいる。
【0052】
しかし、前記付属要素は、下部ダイ10および上部ダイ40並びに周辺設備などを設置するためのものであるため、本発明の実施例では、例外的な場合を除き、前記付属要素をフレーム11、41と通称する。
【0053】
そして、前記振動源70は、下部のダイ10が上昇するにしたがって上部のダイ40により、その下部のダイ10上の単位セル1を加圧した状態で、上部のダイ40に振動を加えるものであって、通常の構造のバイブレーション装置からなるため、本明細書において、その構成についての、より詳細な説明は省略する。
【0054】
したがって、前記のような本発明の実施例によるレドックスフロー電池用スタック溶着装置100は、下部のダイ10に単位セル1をローディングし、下部のダイ10が上昇することによって、その下部のダイ10上の単位セル1を、上部のダイ40により加圧した状態で、振動源70を通じて上部ダイ40に振動を提供するようにすると、電極フローフレームとメンブレインフローフレームの溶着層が溶着されて相互に接合されることによって、単位セル1を振動溶着することができる。
【0055】
そして、前記スタック溶着装置100は、他の単位セル1を、振動溶着された単位セル1に積層し、その単位セル1を振動溶着することによって、複数枚の単位セル1が振動溶着されたスタックをなすように製造することができる。
【0056】
一方、本発明の実施例において、前記下部ダイ10および上部ダイ40における相互に対応する対応面には、プレート形状のベース13、43が設置されるが、そのベース13、43には、複数個に分割された分割板15、45が設置される。
【0057】
前記分割板15、45は、単位セル1を平面的に支持するものであって、ボルトなどといった締結手段(図示せず)により、下部ダイ10および上部ダイ40のベース13、43に固定されるように結合され得る。
【0058】
ここで、前記分割板15、45における単位セル1を支持する表面には、下部ダイ10の上昇による上部ダイ40の加圧時、これらのダイ10、40の間で加圧される単位セル1が遊動することを防止するためのナーリング部16、46が形成されている。前記ナーリング部16、46は、通常のナーリング加工(ローレット加工)により、分割板15、45の表面に形成され得る。
【0059】
そして、本発明の実施例では、図1および図2に示すように、一つまたは多数の分割板15、45とベース13、43との間に、単位セル1の厚さの偏差を調節するための厚さ調節薄板17、47が設置され得る。
【0060】
前記厚さ調節薄板17、47は、単位セル1における上下および左右での厚さの偏差を調節するために、前記分割板15、45とベース13、43との間に介在しうる。
【0061】
このような厚さ調節薄板17、47は、例えば、アルミニウム素材の薄板からなることができる。前記厚さ調節薄板17、47は、分割板15、45とベース13、43との間に介在し、前述したような締結手段を通じて固定されるのであり得る。
【0062】
また、図1および図3を参照すると、本発明の実施例では、下部ダイ10の上昇による上部ダイ40の加圧時に、単位セル1を固定するための固定ピン20をさらに含んでいる。
【0063】
前記固定ピン20は、下部ダイ10および上部ダイ40のうちの、いずれか一つに構成されるが、例えば、下部ダイ10のベース13の隅角の側に対応する分割板15に、それぞれ設置され得る。
【0064】
前記固定ピン20は、ベース13の隅角の側にて、上下方向に往復移動可能に設置されるが、下部ダイ10に固定されるように設置された作動シリンダー21により、上下方向に往復移動可能に設置され得る。
【0065】
前記作動シリンダー21は、油圧または空圧により作動し、固定ピン20を上下方向に前進および後進移動させることができる。
【0066】
ここで、前記固定ピン20は、下部ダイ10に積層された単位セル1の高さに応じて、作動シリンダー21により上側方向へ移動することで単位セル1を固定するのであるが、これら単位セル1を貫通することで固定することができる。
【0067】
代案として、本発明の実施例では図示していないが、前記のような下部ダイ10の固定ピン20を設置すると共に、上部ダイ40におけるベース43の隅角の側に対応する分割板45に固定ピン20を設置することもできる。
【0068】
これは、前記下部ダイの固定ピン20についての設定された上側移動長さよりも高い高さで、単位セル1が積層された場合、その高さの差に該当する長さだけ、前記上部ダイ40の固定ピン20を下側方向へ移動させることで単位セル1を固定するためである。
【0069】
なお、図1および図4を参照すると、本発明の実施例では、前記下部ダイ10に設置され、単位セル1の積層配列を整列させるガイド部材60をさらに含んでいる。
【0070】
前記ガイド部材60は、下部ダイ10に単位セル1を積層し、その下部ダイ10を上昇させることによって上部ダイ40により、これら単位セル1を加圧する際、これらの単位セル1を均一に整列するためのものである。
【0071】
このようなガイド部材60は、これら単位セル1の隅角の部分に対応して、下部ダイ10のベース13に設置されるのであるが、そのベース13の隅角の部分に設置され得る。
【0072】
前記ガイド部材60は、ブロックの形態をなし、複数個が、単位セル1の積層高さに応じて上側方向に積み上げられて相互に締結され得る。
【0073】
つまり、これらの前記ガイド部材60は、単位セル1同士が積層される高さに応じて、ベース13の上面から順次に配置され、ボルトといった締結手段により相互に締結され得る。
【0074】
なお、本発明の実施例による前記ガイド部材60は、ベース13の隅角の部分の側に設置されると共に、図面に示すように、単位セル1におけるそれぞれの隅角の間の中間の部分に対応して前記ベース13に設置されることもできる。
【0075】
以下、前記のように構成される、本発明の実施例によるレドックスフロー電池用スタック溶着装置100の作用について、前記に開示した図面を参照して詳細に説明する。
【0076】
まず、本発明の実施例では、下部ダイ10に単位セル1をローディングし、その下部ダイ10を上昇させることによって上部ダイ40により前記単位セル1を加圧する。
【0077】
この状態で、振動源70により、上部ダイ40に振動を加えるようになると、本発明の実施例では、単位セル1の電極フローフレームとメンブレインフローフレームの溶着層が、溶着されて相互に接合されることによって、その単位セル1の振動溶着を行うことができる。
【0078】
そして、本発明の実施例では、振動溶着された単位セル1の上に、他の単位セル1を積層し、その単位セル1を前記のような方式で振動溶着することによって、複数枚の単位セル1が振動溶着されたスタックを製造することができる。
【0079】
ここで、本発明の実施例では、下部ダイ10および上部ダイ40における単位セル1を支持する部分が分割板15、45からなり、その分割板15、45の表面にナーリング部16、46を形成している。そのため、下部ダイ10の上昇によって上部ダイ40に加圧する際、その上部ダイ40により加圧される単位セル1が遊動することを防止することができる。
【0080】
また、本発明の実施例では、分割板15、45とベース13、43との間に、厚さ調節薄板17、47を介在させることによって、厚さ調節薄板17、47により、これら単位セル1の上下および左右での厚さの偏差を調節することができる。
【0081】
このような過程にて、本発明の実施例では、下部ダイ10が上昇することによって上部ダイ40によりその下部ダイ10上の複数の単位セル1を加圧する際、作動シリンダー21により固定ピン20を移動させることによって、これら単位セル1を固定することができる。
【0082】
この際、前記固定ピン20は、複数の単位セル1を積層する高さに応じて、作動シリンダー21により前進移動し、これら単位セル1を貫通してこれらの単位セル1を固定することができる。
【0083】
そして、本発明の実施例では、ガイド部材60により、単位セル1の積層配列を均一に整列することができるのであるが、単位セル1の積層高さに応じてガイド部材60を上側方向に積み上げて締結する方式で単位セル1の整列を実現することができる。
【0084】
したがって、以上で説明したように本発明の実施例では、単位セル1の積層による位置別の厚さ偏差を減少させることができるのであるが、図5のグラフに示すように、本発明の実施例について、単位セル整列構造を採用していない比較例と比較しみると、単位セルのフローフレーム2枚を基準に、比較例の場合、厚さの偏差が0.102mmを示し、本実施例の場合、厚さの偏差が0.049mmを示している。
【0085】
これによって、本発明の実施例では、分割板の構造、厚さ調節薄板の構造、固定ピンの構造およびガイド部材の構造により、単位セル1の固定および整列の度合いを向上させることによって、単位セル1の厚さの偏差が比較例に比べて50%以上減少したことが分かる。
【0086】
また、本発明の実施例では、単位セル1の固定および整列の度合いを向上させることによって、単位セル1の内部圧力を増加させ、流体の流れ性を均一にし、漏水の危険を減少させることができる。
【0087】
したがって、本発明の実施例と前記のような比較例の充放電効率を評価してみると、本発明の実施例(表1参照)は、比較例(表2参照)に比べて電流効率、電圧効率およびエネルギー効率の面で、全体的なスタックの充放電効率が増加したことが分かる。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
以上で本発明の実施例について説明したが、本発明の技術的な思想は、本明細書で提示される実施例に制限されず、本発明の技術的な思想を理解する当業者は同一の技術的な思想の範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、追加などにより他の実施例を容易に提案することができ、これも本発明の権利範囲内に属する。
【符号の説明】
【0091】
1 ・・・ 単位セル
3 ・・・ スタック
10 ・・・ 下部ダイ
11、41 ・・・ フレーム
13、43 ・・・ ベース
15、45 ・・・ 分割板
16、46 ・・・ ナーリング部
17、47 ・・・ 厚さ調節薄板
20 ・・・ 固定ピン
21 ・・・ 作動シリンダー
40 ・・・ 上部ダイ
60 ・・・ ガイド部材
70 ・・・ 振動源
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】