【実施例】
【0118】
本発明を以下の非限定的な実施例によって更に詳細に説明する。
【0119】
実施例1(
図1〜4)に関する材料および方法
ヒトCD34
+臍帯血細胞の回収
RosetteSep(商標)CD34 pre-enrichment cocktailを用いて、ヒトCD34
+臍帯血(CB)細胞を単離し、次いで、EasySep(商標)(StemCell Technologies)を用いてCD34陽性選択を行った。
【0120】
CD34
+細胞の培養
100ng/mlヒト幹細胞因子(SCF、R&D Systems)、100ng/mlFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3、R&D Systems)、50ng/mlトロンボポエチン(TPO、R&D Systems)および10μg/ml低密度リポタンパク質(StemCell Technologies)を添加したStemSpan SFEM(StemCell Technologies)からなるHSC増殖用培地でヒトCD34
+細胞を培養した。
【0121】
化合物
化合物1[35nM]、SR1(Alichem、41864)[750nM]、または、化合物1[35nM]とSR1[500nM]の組み合わせ
【0122】
レンチウイルスベクターの調製
HEK293細胞のコトランスフェクションを下記プラスミドを用いて行った。pCCL-c-MNDU-eGFP、pCMV-Gag/Pol(PLP1;シグマ)、pRSV-Rev(PLP2;シグマ)およびpCMV-VSV/G(PLP;シグマ)またはpCMV-RDT。レンチウイルスのスープを、トランスフェクション48時間後に回収した。レンチウイルス粒子をPEG-it(商標)(System Biosciences)沈殿で濃縮した。ウイルスの力価測定をHEK293細胞で行った。レンチウイルスの遺伝子導入を増強するために、メーカーのガイドラインに従って、レンチウイルスをRetroNectin(Takara)被覆プレートにプレロードした。
【0123】
ヒトCD34
+CB細胞の形質導入
フレッシュな(24時間または48時間のプレ刺激)CD34
+CB細胞または培養CD34
+CB細胞を、10、50または100のMOIで、12時間または16時間、VSVエンベロープまたはRDTエンベロープのGFPウイルスで形質導入した。次いで、細胞を洗浄し、感染後3日間または10日間培養物中に保持した。FACS分析を行って、全細胞集団、CD34
+集団またはCD34
+CD45RA
-集団におけるGFP形質導入細胞の割合(%)をモニターした。
【0124】
フローサイトメトリー
フローサイトメトリー分析をBD LSR IIサイトメーターで行った。フレッシュなまたは培養したGFP形質導入CD34
+CB細胞を、APC標識抗ヒトCD34(BD Biosciences)およびPE標識抗ヒトCD45RA(BD Biosciences)を用いて、4℃で15分間、2%ウシ胎仔血清(FBS)を添加したPBS中で染色した。データ分析は、BD FACSDiva(商標)ソフトウェアを用いて行った。
【0125】
異種移植
動物を用いた全ての実験は、モントリオール大学のアニマルケア委員会によって承認されたプロトコル下で行った。ビヒクル(DMSO)または化合物1[35nM]と共に10日間GFP形質導入した1000個のCD34
+CB細胞の子孫細胞または未増殖CD34
+CB細胞を亜致死的に放射線照射した(250cGy、移植前24時間未満)8〜12週齢のメスNSGマウス(NODScidIL2Rvnull、Jackson Laboratory)に尾静脈注射で移植した。NSG骨髄(bone marrow;BM)中のヒト細胞を移植30週後にフローサイトメトリーによりモニターした。NSG骨髄細胞を、2本の大腿骨、脛骨および臀部をフラッシュすることによって収集した。次いで、細胞を1×赤血球溶解緩衝液(StemCell Technologies)で処理し、pacific blue標識抗ヒトCD45(BioLegend)、APC-eFluo標識780抗マウスCD45(eBioscience)で染色して、NSG BM細胞におけるヒト血液の再構成をモニターした。
【0126】
実施例1〜9(
図5〜20)に関する材料および方法
ウイルスベクターおよびウイルスの産生
特段断わりの無い限り、これらの研究では、pCCl-c-MNDUSpgkGFPまたはpCCl-c-MNDUSpgkYFPレンチウイルスベクター骨格を使用した(Logan AC et al, Human Gene Therapy 2004)。ベクター構築物を配列確認した。標準的な4プラスミドパッケージングシステムを使用した293T細胞の一過性トランスフェクションにより、水疱性口炎ウイルス糖タンパク質Gでシュードタイプした高力価組み換えウイルスを産生した。ウイルスを含む上清を超遠心分離により濃縮して、0.5×10
9〜5×10
9感染単位/mlの力価とした。ウイルスの力価は、HeLa細胞にレンチウイルスベクターの3つの希釈液を形質導入することによって決定した。非組み込みレンチウイルスの試験用に、改変骨髄増殖性肉腫ウイルスLTRの制御下でGFPを発現するレンチウイルスベクター(MND-GFP-IDLV)用のウイルス上清(カリフォルニア大学ロサンゼルス校、免疫学・分子遺伝学科および小児科学科のドナルドコーン博士の贈与)を触媒的に不活性なインテグラーゼを用いて作製した(Joglekar AV et al., Mol Ther. 2013 Sep;21(9):1705-17, PMID 23857176)。
【0127】
ヒトの臍帯血、動員末梢血および成体骨髄細胞の単離および培養
ブリティッシュ・コロンビア大学の研究倫理委員会によって承認された手順に従って、臍帯血(cord blood; CB)細胞および動員末梢血(mobilized peripheral blood; mPB)細胞を、同意を得て収集した。CD34
+豊富な成体骨髄細胞はSTEMCELL Technologiesから購入した。まず、RosetteSep(商標)CD34 PreEnrichment Cocktail(STEMCELL Technologies)を使用してCD34
+CB細胞およびCD34
+mPB細胞を純度>90%に純化し、続いて、磁気ビーズ(EasySep kit、STEMCELL Technologies)を用いて陽性選択した。場合によっては、Influx IIソーター(BD Bioscience)を使用してCD34
+細胞を選別することにより、更に純化した。CD34
+CB細胞を、100ng/mL FLT3-ligand(FL)、100ng/mL steel因子(SF)、20ng/mL IL-3、IL-6および顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)(全てSTEMCELL Technologies)を添加した無血清培地(SFM;ウシ血清アルブミン、インスリンおよびトランスフェリン(BIT、STEMCELL Technologies)、10mg/ml低密度リポタンパク質(LDL、STEMCELL Technologies)、10
-4M 2-メルカプトエタノール(Sigma-Aldrich)、10
-4M glutamax 500(STEMCELL Technologies)、ペニシリンおよびストレプトマイシンを添加したIscove培地)中で16時間プレ刺激した。一実験では、CB細胞を3種の増殖因子(100ng /mL FL、100ng/mL SFおよび50ng/mL TPO(STEMCELL Technologies))のみの存在下でプレ刺激した。成体BM CD34
+細胞およびmPB CD34
+細胞を、100ng/mL FL、100ng/mL Steel因子SF、100ng/mL TPOおよび20ng/mL IL-3を添加したSFM中で24時間プレ刺激した。これらの細胞は化合物1(35nM)、SR1(0.75μM)またはDMSO(0.01%以下)の存在下または非存在下でプレ刺激した。一実験では、化合物1(35nM)の存在下または非存在下で、プレ刺激段階(10μg/mL)中にラパマイシンを加えた。
【0128】
ヒトCD34
+細胞の形質導入
プレ刺激の終わりに、細胞を、濃縮レンチウイルス(GFPまたはYFP、一実験では、グロビン、NA10HD、MN1およびND13ウイルスも用いた)および5μg/mL硫酸プロタミンを含む、成長因子を添加した新鮮なSFM中に再懸濁し、CB細胞については6時間、BM細胞およびmPB細胞については24時間、1×10
6または1×10
7 IU/mLのウイルス濃度で、37℃でインキュベートし、次いで、5μg/cm
2フィブロネクチン(Sigma-Aldrich)でコートした96ウェルプレートに入れた。細胞を、化合物1(35nM)、SR1(0.75μM)またはDMSO(0.01%以下)の存在下または非存在下で形質導入した。一実験では、細胞を、化合物1(35nM)の存在下または非存在下で、ラパマイシン(10μg/ mL)の存在下で形質導入した。感染後、細胞をPBSで数回洗浄し、インビボ実験に使用して、成長因子を添加した新鮮なSFM中で更に72時間培養した。種々のCD34
+細胞サブセットへの遺伝子導入効率を、細胞を以下の抗ヒト特異的抗体(記載がない限り、eBioscienceから入手したもの)で染色した後に決定した:CD34-APC(clone 8G12、STEMCELL Technologies)、CD38-PECy7(clone HIT2)、Thy1-PE(clone eBio5E10)、CD45RA-APC780(clone HI100)、および、CD49f-EF450(clone eBioGoH3)。すべてのフローサイトメトリー分析は、LSRII Fortessa(登録商標)(BD Biosciences)を用いて行った。
【0129】
マウス
ブリティッシュ・コロンビア・ガン研究所(British Columbia Cancer Research Center)の動物資源センターで、NOD.Cg-Prkdc
scid Il2rγ
tm1Wj1/SzJ (NOD/SCID-IL-2rγ-CNull, NSG)マウス(Jackson Labsから元々入手したもの)を飼育した。全てのマウス実験手順は、ブリティッシュ・コロンビア大学の承認を得てカナダ動物衛生委員会ガイドラインに従って実施した。
【0130】
マウスへの形質導入ヒト細胞の異種移植およびインビボ追跡
異種移植研究では、移植の24時間前に、8〜12週齢のNSGマウスに対して亜致死的に放射線(315cGyの
137Cs γ線)を照射した。競合的再増殖アッセイにおいて、各マウスに、化合物1の存在下で形質導入した20,000個のCD34
+CB子孫細胞およびDMSOの存在下で形質導入した20,000個のCD34
+CB子孫細胞を静脈内注射した。限界希釈実験としては、化合物1またはDMSOの存在下で形質導入した20,000個、4,000個または800個のCD34
+CB子孫細胞をマウスに投与した。移植後3週間、12週間、20週間、25週間および30週間の時点で骨髄を吸引し、GFPおよびYFPを発現するヒト細胞をFACS解析することにより、NSG骨髄におけるヒトリンパ−骨髄再増殖を30週間にわたってモニターした。赤血球溶解後、BM細胞をブロッキング試薬(2%FBS、5%ヒト血清、抗CD16/CD32抗体(2.4G2)を含むPBS)と共にインキュベートし、以下の抗ヒト特異的抗体で染色した:CD45-Alexa Fluor(登録商標)700(clone HI30, Biolegend)、CD33-PECY7(clone WM-53, eBioscience)、CD19-PE(clone, HIB19, Biolegend)、CD20-PE(clone L27, StemCell Technologies)。マウス一匹あたり最低200,000個のBM細胞を分析した。すべてのフローサイトメトリー分析は、LSRII Fortessa(登録商標)(BD Biosciences)を用いて行った。すべてのフローサイトメトリーデータは、FlowJo(登録商標)ソフトウェア(バージョン8.8, TreeStar)を用いて分析した。
【0131】
形質導入マカク(macaque)動員BM細胞の移植およびin vivo追跡
G-CSF/SCFで動員したBM CD34
+細胞を2つの分画に分けた。第1の分画をSR1(1μM)およびサイトカイン(Steel因子、FLT3-LおよびTPO)の存在下、mCherry発現レンチウイルスで形質導入し;第2の分画をSR1および化合物1(40nM)と同じサイトカインの存在下、GFP発現レンチウイルスで形質導入した。化合物1(40nM)の存在下または非存在下で10日間増殖後、2つの遺伝子改変細胞分画を、元のHSCマカクドナーに、骨髄破壊プレコンディショニング(1020cGy照射)を行った後、同時に注入した。
【0132】
統計解析
結果は、平均±SEMまたはSD、および、幾何平均±SDとして示した。グループ間の差異は、プリズムグラフパッドで直接計算したスチューデントt検定(適宜、対応のあるt検定または対応の無いt-検定とした)を用いて評価した。*P値<0.05を有意と見なした。
【0133】
実施例1:化合物1はヒト造血細胞に対するレンチウイルス遺伝子導入効率を高める
図1は、化合物1およびSR1で増殖させたヒトCD3
+臍帯血(CB)細胞が、非操作細胞よりも効率的に形質導入されたことを示す。化合物1で処理した細胞は、形質導入3日後および10日後の両方において、DMSO対照と比較して、GFP形質導入されたCD34
+細胞およびCD34
+CD45RA
-細胞の割合(%)が高かった(
図2)。
図3および
図4は、GFP形質導入・増殖CD34
+CB細胞(化合物1処理)が、DMSO対照と比較して、ヒトCD45生着のより良好な可能性を示したことを示す。また、
図5Aおよび
図5Bに示すデータは、臍帯血由来のCD34
+幹/前駆細胞を豊富に含む細胞について感染3日後に評価されるように、ヒト造血細胞の化合物1への短時間の暴露がレンチウイルス介在遺伝子導入を約70%まで上昇させることができることを示している。この差は統計的に有意であり、原始ヒト造血細胞の増殖刺激能を有する他の小分子であるSR1では観察されなかった。
【0134】
実施例2:プレ刺激期間中または形質導入期間中のみの化合物1への短期曝露が、広範な力価にわたる原始ヒト造血細胞へのレンチウイルス介在性遺伝子導入の増強に十分であった
図6A〜6Gに示す結果は、化合物1の遺伝子導入刺激効果が広範なウイルス力価にわたって存在することを示している。その効果はウイルス濃度が低いほど強い。例えば、ウイルス濃度10
5での遺伝子導入は、化合物1非存在下の場合の約100倍高いウイルス濃度で達成された遺伝子導入と同等である。使用した中で最も高いウイルス濃度であってさえも、プレ刺激期間中または形質導入期間中に細胞を化合物1に曝露すると、遺伝子導入が増強される。重要なことに、この効果は、HSCを含む、CD34
+CD38
-およびCD34
+CD45RA
-を有する造血細胞の高純度サブセットで明白である。さらに興味深いことに、この短期間の化合物1への曝露であっても、形質導入細胞を含む様々なCD34
+亜集団の収量が更に上昇する。
【0135】
実施例3:化合物1への短期間暴露(22時間)は、ヒトHSCへの遺伝子導入を増強する
図7A〜7Hに示すデータは、化合物1が真のリンパ系−骨髄系長期再増殖(long-term repopluating)細胞(HSC)への遺伝子導入を増強することを示している。競合的移植法を用いることにより、化合物1を用いてまたは用いずに形質導入した細胞を、直接、同じレシピエントにおいてインビボ再増殖について評価したところ、前例に無い程に相違を解消した。化合物1による増強の大きさは、造血亜集団のインビトロ分析から明らかなものと比較して約9倍以上であった。これは、後の細胞よりも真のHSCへの遺伝子導入に対して化合物1がより大きな影響を及ぼすことと、短い(22時間)培養期間であってもHSCの収量が向上し得るためであると思われる。
【0136】
実施例4:化合物1は、ヒトCD34
+CB細胞(インビトロ)およびNSGマウスにおけるヒトHSCへの遺伝子導入の増強を刺激する
図8A〜8Eおよび
図9A〜9Dに示す結果は、ヒト臍帯血HSCへの遺伝子導入刺激に対する化合物1の著しい影響を確認するものである。
図9A〜9Dは、インビトロおよび移植後に評価した、様々な供給源の臍帯血およびウイルスを用いたCB細胞への遺伝子導入の増強を確認するものである。細胞を化合物1に暴露したか否かにかかわらず、移植レシピエントにおいてキメリズムの総レベルが等価であることが観察されたことから、化合物1がHSCの収量に顕著な影響を及ぼさないことがわかる。しかし、GFP標識細胞からのキメラリズムの評価により、細胞を化合物1の存在下で形質導入した場合、その有意な増加が確認された。この増加は、一連の移植量範囲にわたって明らかであった。この実験で評価したHSCへの遺伝子導入の全体的な増加は約16倍であった。
【0137】
実施例5:化合物1への短時間の曝露は、わずか2時間で、原始ヒト造血細胞への遺伝子導入効率を増加させる
図10A〜10Qは、CD34
+細胞およびCD34
+サブセットへの遺伝子導入の有意な増加が、形質導入期間の開始時(条件IV)または終了時(条件V)において2時間細胞を曝露するだけで観察されたことを示す。形質導入細胞の最大遺伝子導入および最大収量は、形質導入期間の終了時の2時間の曝露により達成され、全プレ刺激期間(16時間、条件III)曝露した場合と同等であった。重要なことに、これらの結果は、バルクのCD34
+細胞、および、HSC/前駆細胞(CD34
+CD38
-CD45RA
-CD90
+)が高度に濃縮されたサブセットで観察された。また、
図11Aおよび11Bに示すデータは、形質導入期間の最初の2時間または最後の2時間の間のわずか2時間の曝露を含む、プレ刺激をしない化合物1への曝露の全ての条件下で、遺伝子導入および収量の増加が観察されたことを示す。
【0138】
実施例6:化合物1の遺伝子導入増加能は、成体骨髄および成体動員末梢血起源の原始造血細胞に及ぶ。
図12Aおよび12Bに示すデータは、化合物1の遺伝子導入増強能が、臍帯血の場合に加えて、成体骨髄および成体動員末梢血起源の原始造血細胞を含むという証拠を提供する。
【0139】
実施例7:化合物1への曝露は、様々なエンベロープを有するレンチウイルスベクター、非組み込み型レンチウイルスおよび様々な条件でCD34
+CB細胞への遺伝子導入効率を増加させる
化合物1は、VSV-GおよびRD114でシュードタイプされた(エンベロープ担持)レンチウイルスを用いた遺伝子導入を増強し(
図13Aおよび
図13B)、化合物1がより広い範囲のシュードタイプウイルスに対して遺伝子導入を増強できることが示唆される。
図13Dはさらに、化合物1が、触媒的に不活性なインテグラーゼを用いて産生され非組み込み型とされたレンチウイルス(組み込み欠損型レンチウイルス、IDLV)の一過性遺伝子導入効率を増強することを示す。
図14Aおよび
図14Bの結果は、原始ヒト造血細胞への遺伝子導入を刺激する化合物1の能力は、特定の増殖因子カクテルに限定されず、様々な成長因子の組み合わせの存在下で培養された細胞において生じることを示している。さらに、
図15A〜
図15Dに示すデータは、原始ヒト造血細胞への遺伝子導入を刺激する化合物1の能力が複数のレンチウイルスベクターに及び、したがって固有のベクターに限定されないことを示す。
【0140】
実施例8:原始ヒト造血細胞への遺伝子導入の増強は、細胞増殖の刺激に対して活性な化合物1のバリアントと相関する
図16Aおよび16Bは、ヒトCD34
+細胞の増殖に対して活性であることが知られている化合物1および化合物1の他のバリアント(化合物3〜6)が、ヒトCD34
+CB細胞および様々なCD34
+サブセットへの遺伝子導入効率を増加させることを示す。また、この増強効果は、化合物1のより活性の低いバリアント(化合物7および8)では観察されなかった。
【0141】
以下の表は、化合物、および、ヒトCD34
+細胞の増殖におけるそれらの有効性を例示する。これらの化合物のいくつかは、国際公開第2013/110198号公報およびPCT/CA2015/050330に示されている。
表1:実施例の構造、分析HPLC保持時間、LCMSデータおよび生物学的データ。
【0142】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
EC
50は、ビヒクル培養(DMSO)と比較してCD34
+CD45RA
-細胞数が50%増加する濃度として定義される。 *EC
50:A>1000nM; B=500-1000nM; C=250-500nM; D=100-250 nM;E=<100nM;F=増殖率>1.3を示した化合物
【0143】
実施例9:化合物1は、マカク骨髄からの遺伝子改変CD34
+細胞およびLT-HSC様細胞の形質導入および増殖を促進する。
図17A〜17Cは、移植後のマウス血液中の霊長類CD45
+細胞の割合が、化合物1の存在下で増加するという、SR1では得られない効果を示す。
図18A〜
図18Gおよび
図19A〜
図19Eは、化合物1の存在下で形質導入後の標識サル細胞の顕著な割合(%)の増加を示す。次いで化合物1の存在下、細胞を感染させ次いで7日間培養すると形質導入CD34
+細胞の収量が増加し、また、化合物1の存在下インビトロで形質導入・増殖させた細胞を移植したサルにおいて、標識細胞の比率が増えた。
【0144】
実施例10:化合物1は、ラパマイシンと共同してヒト造血細胞へのレンチウイルス遺伝子導入効率を高める
図20A〜20Eは、CD34
+細胞およびCD34
+サブセットへのレンチウイルス遺伝子導入の増加が、化合物1のみでまたはラパマイシンのみで処理した細胞と比較して、化合物1およびラパマイシンの組み合わせで処理した細胞においてより高いことを示し、これらの2つの化合物が協同して、ヒト造血細胞へのレンチウイルス遺伝子導入効率を高めることを示している。
【0145】
実施例11:合成方法論
化合物1〜4の合成方法は、国際公開第2013/110198号公報に示されている。化合物5〜8については、下記の合成方法が適用される。以下に概説する合成方法論は、置換基Zがピリミドインドール核の7位にある本発明の実施形態に関する。当業者に理解されるように、置換基Zが異なる位置にある本発明の実施形態(例えば、5位、8位または6位、特に6位)については、当業者に自明な変形を伴って同様の合成方法を実施することができる。
【0146】
スキーム1は、本発明の化合物に対する共通の前駆体(1-VI)の合成を記載する。第1段階では、フッ化アリール1-Iを、限定されないが、水素化ナトリウムなどの塩基の存在下、シアノ酢酸アルキル1-IIで処理する。次いで、得られた生成物1-IIIを酢酸中の亜鉛粉などの還元剤で処理してアミノインドール1-IVを得て、ホルムアミドおよびギ酸アンモニウムで処理してピリミジン1-Vに変換する。化合物1-Vを塩化ホスホリルまたは臭化ホスホリルなどの試薬で処理して反応性中間体1-VIを得て、アミン1-VIIで処理して本発明の化合物1-VIIIを得る。
【0147】
スキーム1
【化30】
実施例
【0148】
総論
記録したHPLC保持時間(RT)は、以下の条件を用いた逆相HPLC(Agilent、1200 series)のものである。溶媒A:MeOH:H
2O:TFA(5:95:0.05);溶媒B:MeOH:H
2O:TFA(95:5:0.05);流速:3.0mL/分; 2.0分で0〜100%B勾配;カラム:ZorbaxC18、3.5ミクロン、4.6×30mm:波長220nm
【0149】
質量スペクトルは、Agilent Technologiesの6210G1969A LC/MSD TOF分光計またはAgilent TechnologiesのQuadrupole LC/MS Model G6120Bを用いて以下のLC条件を用いて記録した。溶媒A:AcCN:H
2O:HCOOH(5:95:0.05 );溶媒B:AcCN:H
2O:HCOOH(95:5:0.05);2.0分で0〜100%B勾配;流速:0.3mL/分;カラム:ZorbaxC18、3.5ミクロン、2.1×30mm;波長220nm
【0150】
【化31】
【0151】
4-フルオロベンゾルニトリル(5g、41.3mmol)、ジブチルスズオキシド(2.055g、8.26mmol)およびトリメチルシリルアジド(8.22mL、61.9mmol)のトルエン(165mL)混合液を100℃に加熱、16.5時間攪拌した。室温に冷却した後、有機層を1M NaOH(83mL)で抽出し、水層をEtOAc(2×85mL)で洗浄した。水層を2M HCl(41.3mL)でpH2に酸性化した。水性混合物をEtOAcで2回抽出し(200mL、次いで100mL)、合わせた有機層をブライン(60mL)で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固して、白色固体として中間体1A(5-(4-フルオロフェニル)-2H-テトラゾールを得た(6.61g、収率98%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δppm 7.42-7.53 (m,2H) 8.04-8.14 (m,2H); MS m/z 165.2 (M+H)
+; HPLC >99.5%, RT = 1.96分
【0152】
中間体1A(6.61g、40.3mmol)、K
2CO
3(6.68g、48.3mmol)およびヨードメタン(3.02mL、48.3mmol)のアセトニトリル(115mL)混合液を1時間加熱還流(約82℃)させた。冷却後、混合物を濃縮乾固し、残渣を水(75mL)とEtOAc(100mL)とに分けた。これらの層を分離し、水層をEtOAc(50mL)で逆抽出し、合わせた有機層を水(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機層を無水MgSO
4で乾燥させた。次いで濾過、濃縮すると9.5gの無色油状物が得られ、放置すると固化した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して以下の2つの主生成物を得た。
【0153】
中間体1B(N2異性体):白色固体として5-(4-フルオロフェニル)-2-メチル-2H-テトラゾール(5.09g、収率70.9%)。4.42ppmのメチル基と芳香族プロトンとの間にNOEは観察されなかった。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δppm 4.42 (s,3H) 7.33-7.45 (m,2H) 8.03-8.14 (m,2H); MS m/z 179.2 (M+H)
+; HPLC>99.5%, RT = 1.75分
【0154】
N1異性体:白色固体として5-(4-フルオロフェニル)-1-メチル-1H-テトラゾール(1.87g、収率26.1%)。4.16ppmのメチル基と7.89-7.97ppmの2つの芳香族プロトンとの間で観察されたNOEにより構造を確認した。
1H NMR(400MHz, DMSO-d
6) δppm 4.16 (s,3H) 7.43-7.53 (m,2H) 7.89-7.97 (m,2H); MS m/z 179.2 (M+H)
+; HPLC>99.5%, RT = 1.29分
【0155】
硫酸(16.45mL、309mmol)中の中間体1B(1g、5.61mmol)の溶液を0℃に冷却し、次いで発煙硝酸(0.288mL、6.17mmol)を滴下した。2.5時間後、さらに発煙硝酸を添加し(0.065mL、1.403mmol)、混合物を20℃に温めた。5時間後、混合物を2:1の氷水混合物(150mL)に注ぎ、白色懸濁液を得た。30分後、固体を濾過し、水で洗浄し(洗浄液が中性pHになるまで4×10mL)、25℃の高真空下で一定重量になるまで乾燥して、5-(4-フルオロ-3-ニトロフェニル)-2-メチル-2H-テトラゾールを灰白色の固体として得た(1.16g、収率93%)。
1H NMR(400MHz, DMSO-d
6) δppm 4.47 (s,3H) 7.81 (dd,J=11.2,8.8 Hz,1 H) 8.44 (ddd,J=8.7,4.2,2.3Hz,1H) 8.68 (dd,J=7.2,2.2Hz,1H); MS m/z 224.2 (M+H)
+; HPLC 98.3%, RT = 1.72分
【0156】
水素化ナトリウム(0.443g、11.08mmol;鉱油中60重量%)のDMF(5.67mL)冷懸濁液(0℃)に、2-シアノアセトアミド(0.888g、10.56mmol)のDMF(2.268mL)溶液を添加した(注:水素ガスの発生)。得られた混合物を0℃で30分間撹拌した。次いで、5-(4-フルオロ-3-ニトロフェニル)-2-メチル-2H-テトラゾール(1.15g、5.15mmol)のDMF(2.3mL)溶液を添加して、深紫色の溶液を得た。3時間後、反応混合物を氷水混合物(33.0mL)および濃塩酸(0.952mL)にゆっくりと注いた。得られた黄色のスラリーを30分間撹拌し、固体を濾過し、水で洗浄し(3×5mL)、次いでヘキサンで洗浄し(2×5mL)、40℃の高真空下で一定重量になるまで乾燥させて、中間体1C(2-シアノ-2-(4-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-2-ニトロフェニル)アセトアミド)を黄色固体として得た(1.41g、収率95%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δppm 4.49 (s,3 H) 5.77 (s,1H) 7.77 (s,1H) 7.95 (d,J=8.2 Hz,1H) 8.03 (s,1H) 8.51 (dd, J=8.2, 1.8 Hz, 1H) 8.70 (d, J=1.8 Hz, 1 H); MS m/z 288.1 (M+H)+; HPLC 96.4% @220 nm, RT = 1.31分
【0157】
塩化第二鉄6水和物(2.82g、10.44mmol)および亜鉛(2.276g、34.8mmol)を、DMF(8.71mL)および水(8.71mL)中の2-シアノ-2-(4-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-2-ニトロフェニル)アセトアミド(1g、3.48mmol))の混合液に少量ずつ添加して黄色の懸濁液を得、これを100℃に1.25時間加熱した。次いで、混合物を20℃に冷却し、MeOH(50.0mL)で希釈し、セライトで濾過し、減圧下で約1時間、約20mLまで濃縮した(MeOHの大部分を除去するため)。次いで、混合物を水(50mL)およびEtOAc(100mL)で希釈し、激しく撹拌し、濾過した。水層をEtOAcで抽出し(2×50mL)、合わせた有機層を飽和NaHCO
3(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して489mgの紫色固体を得、これをフラッシュクロマトグラフィーで精製して、中間体1D(2-アミノ-6-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド)を紫色固体として得た(356mg、収率39.7%)。
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6) δppm 4.38 (s,3H) 6.57 (s,2H) 7.01 (s,2H) 7.61-7.69 (m,2H) 7.81 (s,1H) 10.77 (s,1H); MS m/z 258.2 (M+H)
+; HPLC 約78%, RT = 1.34分
【0158】
中間体1D(2-アミノ-6-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-1H-インドール-3-カルボキサミド、0.35g、1.361mmol)、メチル2-フェニルアセテート(0.288mL、 2.041mmol)およびMeOH(0.467mL)中のナトリウムメトキシド(25重量%)のメタノール混合液(3.03mL)を電子レンジ中で140℃まで1時間加熱した。室温に冷却し、水(1mL)およびAcOH(4mL)で希釈した後、混合物を30分間撹拌して結晶化させた。固体を濾過し、MeOHで洗浄し(5×1mL)、40℃、高真空下で一定重量になるまで乾燥させて、2-ベンジル-7-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-4-オールを褐色固体として得た(220mg、収率45.2%)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δppm 4.03 (s,2H) 4.43 (s,3H) 7.24-7.29 (m,1H) 7.34 (t,J=7.8 Hz,2H) 7.37-7.43 (m, 2H) 7.92 (dd, J=8.0, 1.4 Hz, 1H) 8.04-8.10 (m,2H) 12.38 (s,1H) 12.47 (s,1H); MS m/z 358.2 (M+H)+; HPLC 82.9%, RT = 1.89分
【0159】
2-5mLのマイクロウェーブバイアルに、粗生成物2-ベンジル-7-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-4-オール(0.220g, 0.616mmol)およびPOCl
3(3.90mL、41.9mmol)を添加して褐色の懸濁液を得た。このバイアルを電子レンジに入れ、175℃に15分間加熱し、次いで放冷した。次いで、反応混合物を氷水混合物(80ml)に注ぎ、NaOH 50重量%(11ml)、次いでEtOAc(80ml)をゆっくり添加してpH8に塩基性化した。固体の一部を濾過し、層分離した。水層をEtOAc(80mL)で抽出し、有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固して下記の対応するクロロ誘導体を得た:2ベンジル-4-クロロ-7-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール(褐色固体;189 mg、収率82%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δppm 4.31 (s,2 H) 4.46 (s,3H) 7.20-7.26 (m,1H) 7.28-7.39 (m,4H) 8.09 (dd, J=8.2, 1.2 Hz, 1H) 8.21-8.25 (m, 1H) 8.39 (d,J=8.2 Hz,1H) 12.93 (s,1H); MS m/z 376.2 (M+H)
+; HPLC 95.6%, RT = 2.30分
【0160】
上記で調製した2-ベンジル-4-クロロ-7-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール(0.865g、2.302mmol)および3,3'-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン(2.60mL、16.11mmol)のMeOH(17.4mL)混合溶液を電子レンジで140℃まで30分間加熱した。冷却し、溶媒を蒸発させた後、残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、N1-(3-アミノプロピル)-N3-(2ベンジル-7-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-4-イル)-N1-メチルプロパン-1,3-ジアミンを黄色固体として得た(832mg、収率74%)。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δppm 1.52 (quin,J=6.85 Hz,2H) 1.80 (quin,J=6.85 Hz,2H) 2.18 (s,3H) 2.36 (t,J=7.24 Hz,2H) 2.41 (t,J=6.65 Hz,2H) 2.53-2.61 (m,2H) 3.64 (q,J=6.52 Hz,2H) 4.04 (s,2H) 4.43 (s,3H) 7.14-7.23 (m,1H) 7.28 (t,J=7.43 Hz,2H) 7.38 (d,J=7.43 Hz, 2H) 7.49 (t,J=5.09 Hz,1H) 7.91 (d,J=8.22 Hz, 1H) 8.08 (s,1H) 8.32 (d,J=8.22 Hz,1H); HPLC 99.4% @254 nm, RT 1.608分; HRMS m/z 485.2884 (M+H)
+
【0161】
2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-オイック酸(0.224g、0.774mmol)のDMF(3.00mL)溶液に、HATU(0.294g、0.774mmol)およびDIPEA(0.270ml、1.548mmol)を添加した。この溶液を10分間撹拌した後、N1-(3-アミノプロピル)-N3-(2-ベンジル-7-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-4-イル)-N1-メチル-プロパン-1,3-ジアミン(0.300g、0.619mmol)を添加し、20℃で3時間撹拌した。2,2-ジメチル-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-オイック酸(0.112g、0.387mmol)、HATU(0.147g、0.387mmol)およびDIPEA(0.135ml、0.774mmol)を加え、20℃で16時間攪拌した。反応混合物を水(30mL)に注いだ。水層をEtOAc(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を水(20mL)で洗浄し、次いでブライン(20mL)で洗浄した。有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、764mgの黄色泡状物を得た。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、tert-ブチル(16-((2ベンジル-7-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-4-イル)アミノ)-13-メチル-2,5,8-トリオキソ-3,6,9,13-テトラアザヘキサデシル)カルバメートを黄色固体として得た(380mg、収率81%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δppm 1.36 (s,9H) 1.52-1.65 (m,2H) 1.73-1.86 (m,2H) 2.18 (br. s.,3H) 2.33 (br. s.,2H) 2.41 (br. s.,2H) 3.02-3.14 (m,2H) 3.57 (d,J=5.87 Hz,2H) 3.65 (m,J=5.50 Hz,4H) 3.72 (d,J=5.48 Hz,2H) 4.05 (s,2H) 4.43 (s,3H) 7.01 (t,J=5.48 Hz,1H) 7.15-7.22 (m,1H) 7.28 (t,J=7.63 Hz, 2H) 7.37 (d,J=7.43 Hz,2H) 7.43 (t,J=5.28 Hz,1H) 7.72 (br. s.,1H) 7.91 (dd,J=8.22, 1.17 Hz,1H) 8.08 (s,3H) 8.33 (d,J=8.22 Hz,1H) 12.00 (s,1H); HPLC 98.1% @254 nm, Rt 1.74分; MS m/z 756.4 (M+H)
+
【0162】
tert-ブチル(16-((2ベンジル-7-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-4-イル)アミノ)-13-メチル-2,5,8-トリオキソ-3,6,9,13-テトラアザヘキサデシル)カルバメート(0.380g、0.503mmol)のCH
2Cl
2(8.00 ml)溶液に、トリフルオロ酢酸(2.000ml、26.0mmol)を添加した。反応混合物を30分間撹拌した。トルエン(5mL)を加え、混合物を濃縮乾固して、580mgの黄色泡状物を得た。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、2-アミノ-N-(2-((2-((3-((3-((2-ベンジル-7-(2-メチル)-2H-テトラゾール-5-イル)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-4-イル)アミノ)プロピル)(メチル)アミノ)プロピル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)-2-オキソエチル)アセトアミドを黄色の泡状物として得た(340mg、収率100%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δppm 1.63 (dt,J=14.28, 6.95 Hz,2H) 1.87 (dt,J=13.99, 6.90 Hz,2H) 2.33 (s,3H) 2.52-2.56 (m,2H) 2.61 (br. t,J=6.70, 6.70 Hz,2H) 3.05-3.14 (m,2H) 3.55 (s,2H) 3.60-3.71 (m,4H) 3.83 (d,J=5.48 Hz,2H) 4.05 (s,2H) 4.43 (s,3H) 7.15-7.23 (m,1H) 7.28 (t,J=7.43 Hz,2H) 7.38 (d,J=7.43 Hz,2H) 7.43 (t,J=5.48 Hz,1H) 7.87 (t,J=5.67 Hz,1H) 7.91 (dd,J=8.22,1.17 Hz,1H) 8.08 (d,J=1.20 Hz,1H) 8.22 (t,J=5.67 Hz,1H) 8.35 (d,J=8.22 Hz,1H) 8.55 (t,J=5.48 Hz,1H) 12.02 (br. s.,1H); HPLC 99.4% @254 nm, Rt 1.57分; HRMS m/z 656.3529 (M+H)
+
【0163】
【化32】
【0164】
THF(14.83ml、181mmol)中の1-(3-クロロプロピル)ピペリジン塩酸塩(0.500g、2.52mmol)の懸濁液にトリイソプロピルシランチオール(1.092ml、5.05mmol)およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.093g、0.252mmol)を加えた。水素化ナトリウム(0.252g、6.31mmol;鉱油中60重量%)を少量ずつ加えた。得られた白色懸濁液を50℃に加熱し、18.5時間撹拌した。20℃に冷却し、反応混合物を水(15mL)で希釈した。混合物をEtOAcで抽出した(4×15mL)。合わせた有機層を水で洗浄し(2×15mL)、次いでブライン(15mL)で洗浄した。有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して1.51gのオレンジ色油状物を得た。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して、中間体2Aである1-(3-((トリイソプロピルシリル)チオ)プロピル)ピペリジンを無色油状物として得た(714mg、収率90%)。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6) δppm 1.06 (d,J=7.0 Hz,18H) 1.14-1.29 (m,3H) 1.36 (m,J=5.1 Hz,2H) 1.46 (quin,J=5.4 Hz,4H) 1.65 (quin,J=7.0 Hz,2H) 2.29 (m,J=6.7 Hz,6H) 2.53 (t,J=7.3 Hz,2H); MS m/z 316.2 (M+H)
+; HPLC>95%, RT = 2.19分
【0165】
2-シアノアセトアミド(7.18g、85mmol)のDMF(53mL)冷溶液に、NaH(3.41g、85mmol;鉱油中60重量%)を少量ずつ加えた。室温で30分後、メチル4-フルオロ-3-ニトロベンゾエート(8.5g、42.7mmol)のDMF(15mL)溶液を滴下した。3時間後、氷、水およびHCl(10%)12mLの混合物を添加した。得られた固体を濾過し、水でリンスし、高真空下で乾燥させて、9.1gのメチル4-(2-アミノ-1-シアノ-2-オキソエチル)-3-ニトロベンゾエートを得た。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6) δppm 3.93 (s,3H) 5.78 (s,1H) 7.77 (s,1H) 7.91 (d,J=7.83 Hz,1H) 8.04 (s,1H) 8.39 (dd,J=8.02,1.76 Hz,1H) 8.56 (d,J=1.56 Hz,1H)
【0166】
DMF(4.75mL)および水(4.75mL)中の上記で調製した粗シアノアミド(0.5g、1.900mmol)の溶液に、塩化第二鉄六水和物(1.540g、5.70mmol)および亜鉛(1.242g、19.00mmol)添加して黄色懸濁液を得た。発熱後、混合物を100℃に45分間加熱し、次いで20℃までゆっくりと冷却し、22時間撹拌した。固体を濾過し、DMFで洗浄し(3×3mL)、濾液を0℃で撹拌しながら水(40mL)で希釈した。固体を濾過し、ケーキを水で洗浄した(2×5mL)。固体は主に不純物を含む。水層をEtOAcで抽出し(3×50mL)、合わせた有機層を水(50mL)で洗浄し、次いでブライン(30mL)で洗浄した。有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して287mgの褐色固体を得て、これをアセトン(6mL)で処理して固体懸濁液とし、ヘキサン(5mL)で希釈した。次に固体を回収し、一定重量になるまで40℃、高真空下で乾燥させて、中間体2Cであるメチル-2-アミノ-3-カルバモイル-1H-インドール-6-カルボキシレートを灰白色固体として得た(162mg、収率36.6%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δppm 3.80 (s,3H) 6.62 (br. s.,2H) 7.04-7.18 (m,2H) 7.53-7.63 (m,2H) 7.72 (s,1H) 10.80 (s,1H); MS m/z 232.2 (M+H)
+; HPLC 約96%, RT = 1.37分
【0167】
中間体2C(0.100g、0.429mmol)、メチル2-フェネチルアセテート(0.302mL、2.14mmol)およびMeOH中の30重量%ナトリウムメトキシド(0.402mL、2.14mmol)のメタノール(1.0mL)混合液を電子レンジに入れ140℃に30分間加熱した。冷却後、AcOH(0.125mL、2.19mmol)を加え、得られたスラリーを20℃で1時間撹拌した。固体を濾過し、MeOHで洗浄し(3×0.5mL)、一定重量になるまで20℃、高真空下で乾燥させて、中間体2D(メチル2-ベンジル-4-ヒドロキシ-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレート)を黄褐色固体として得た(91mg、収率63.7%)。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6) δppm 3.87 (s,3H) 4.03 (s,2H) 7.22-7.29 (m,1H) 7.29-7.42 (m,4H) 7.83 (dd,J=8.2,1.6 Hz,1H) 7.98-8.04 (m,2H) 12.46 (br. s,1H) 12.50 (br. s.,1H); MS m/z 334.2 (M+H)
+; HPLC 88.5% @ 220 nmおよび86.3% @ 254 nm, RT = 1.96分
【0168】
メチル2-ベンジル-4-ヒドロキシ-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキレート(0.685g、2.05mmol)のPOCl
3(12.64mL、136mmol)混合液を90℃に16時間加熱した。冷却後、反応混合物を濃縮乾固した。得られた固体を飽和NaHCO
3(50mL)およびEtOAc(75mL)に懸濁した。15分間激しく攪拌し、次いで混合物を濾過した。層を分離し、水層をEtOAcで抽出した(2×50mL)。合わせた有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固して、黄褐色固体としてメチル2-ベンジル-4-クロロ-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレートを得た(621mg、収率86%)。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6) δppm 3.92 (s,3H) 4.31 (s,2H) 7.19-7.26 (m,1H) 7.28-7.39 (m,4H) 7.99 (dd, J=8.2,1.2 Hz,1H) 8.14 (d,J=1.2 Hz,1H) 8.34 (d,J=8.2 Hz,1H) 12.97 (s,1H); MS m/z 352.2 (M+H)
+; HPLC 92%, RT = 2.39分
【0169】
メチル2-ベンジル-4-クロロ-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレート(0.050g、0.142mmol)および1-(3-((トリイソプロピルシリル)チオ)プロピル)ピペリジン(0.058g、0.185mmol)のNMP(0.750ml)溶液にフッ化テトラブチルアンモニウム三水和物(0.056g、0.178mmol)を加え、20℃で6時間攪拌した。追加の1-(3-((トリイソプロピルシリル)チオ)プロピル)ピペリジン(0.033g、0.104mmol)およびフッ化テトラブチルアンモニウム三水和物(0.029g、0.092mmol)を加え、4日間攪拌を続けた。反応混合物をCH
2Cl
2(25mL)で希釈し、水で洗浄した(3×7.5mL)。有機層を無水MgSO 4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して化合物6であるメチル2-ベンジル-4-((3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)チオ)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレートを黄褐色固体として得た(53mg、収率79%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δppm 1.30-1.44 (m,2H) 1.51 (br. s.,4H) 1.81-1.96 (m,2H) 2.17-2.47 (m,6H) 3.43 (t,J=7.2 Hz,2H) 3.90 (s,3H) 4.26 (s,2H) 7.17-7.25 (m,1H) 7.30 (t,J=7.6 Hz,2H) 7.34-7.41 (m,2H) 7.95 (dd,J=8.2,1.6 Hz,1H) 8.07-8.14 (m,2H) 12.56 (s,1H); HPLC 95.1% @254 nm, RT 2.02分;HRMS m/z 475.2155 (M+H)
+
【0170】
【化33】
【0171】
エチル2-シアノアセテート(10.9mL、102mmol)を、水素化ナトリウム(4.10g、102mmol;鉱油中60重量%)のDMF(125mL)懸濁液に0℃でゆっくり加えた。得られた混合物を0℃で15分間撹拌し、メチル4-フルオロ-3-ニトロベンゾエート(10.2g、51mmol)のDMF(125mL)溶液を添加した。得られた濃赤色混合物を0℃で30分間、次いで室温で3時間攪拌した。反応混合物を1N HCl(40mL)およびEtOAc(40mL)で希釈した。分離した水層をEtOAcで抽出した(3×50mL)。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して残渣(26g)を得、これをフラッシュクロマトグラフィーで精製して、メチル4-(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチル)-3-ニトロベンゾエートを得た(14.9g、収率100%)。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6) δppm 1.19 (t,J=7.0 Hz,3H) 3.93 (s,3H) 4.23 (q,J=7.0 Hz,2H) 6.38 (s,1H) 7.87-7.99 (m,1H) 8.42 (d,J=7.8 Hz,1H) 8.64 (br. s.,1 H); LCMS m/z 291.0 (M-H)
-, HPLC>95%, RT 1.76分
【0172】
メチル4-(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチル)-3-ニトロベンゾエート(14.9g、51.0mmol)の酢酸(255mL)溶液に、亜鉛末(16.7g、255mmol)を少量ずつ35分間で添加した。混合物を100℃に15時間加熱した。混合物を室温に冷却し、セライトで濾過し、酢酸エチルでリンスした。溶媒を蒸発させて残渣を得て、これをジクロロメタンとヘキサンの混合溶液中で粉体化した。固体を濾過し、ヘキサンで洗浄し(3×15mL)、一定重量になるまで20℃、高真空下で乾燥させて、中間体3A(3-エチル6-メチル-2-アミノ-1H-インドール-3,6-ジカルボキシレート)を紫色固体として得た(6.3g、収率47.1%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δppm 1.32 (t,J=7.0 Hz,3H) 3.81 (s,3H) 4.24 (q,J=7.0 Hz,2H) 6.99 (s,2H) 7.55-7.64 (m,2H) 7.74 (s,1H) 10.84 (s,1H); LCMS m/z 263.2 (M + H)
+, HPLC 70%, RT=1.90分
【0173】
3-エチル6-メチル-2-アミノ-1H-インドール-3,6-ジカルボキシレート(1.1g、4.19mmol)およびギ酸アンモニウム(0.53g、8.39mmol)のホルムアミド(16.7mL、419mmol)懸濁液を165℃に12時間加熱した。混合物を室温に冷却し、水を加えた。得られた沈殿物をろ過し、風乾し、高真空下で乾燥させて、メチル4-ヒドロキシ-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレートを灰色固体として得た(1.1g、収率108%)。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6) δppm 3.89 (s,3H) 7.86 (dd,J=8.2,1.6 Hz,1H) 8.05-8.08 (m,2H) 8.21 (d,J=3.9 Hz,1H) 12.36 (br. s.,1H) 12.51 (br. s,1H); LCMS m/z 244.2 (M + H)
+; HPLC 71%, RT = 1.51分
【0174】
メチル4-ヒドロキシ-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレート(1.1g、4.5mmol)およびオキシ塩化リン(15mL、161mmol)の混合物を90℃に16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で蒸発させた。残渣をCH
2Cl
2(20 mL)に懸濁し、セライトで濾過した。濾液を濃縮乾固して、メチル4-クロロ-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレートをオレンジ色の固体として得た(360mg、収率30.4%)。1H NMR (400 MHz,DMSO-d6) δppm 3.93 (s,3H) 8.02 (dd,J=8.20, 1.20 Hz,1H) 8.19 (s,1H) 8.40 (d,J=8.22 Hz,1H) 8.86 (s,1H) 13.07 (s,1H); LCMS m/z 262.0 (M+H)+, HPLC 71%, RT = 2.02分
【0175】
メチル4-クロロ-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレート(86mg、0.33mmol)、トリエチルアミン(0.09mL、0.66mmol)および3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-アミン(0.078mL、0.49mmol)のメタノール(2mL)溶液を、マイクロ波反応器中、140℃に15分間加熱した。混合物を室温に冷却し、減圧下で蒸発させた。粗物質をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、中間体3B(メチル4-((3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)アミノ)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレート)を灰白色固体として得た(40mg、収率33.1%)。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6) δppm 1.38 (m,J=4.70 Hz,2H) 1.49 (quin,J=5.48 Hz,4H) 1.82 (quin, J=7.04 Hz,2H) 2.21-2.45 (m,6H) 3.64 (q,J=6.52 Hz,2H) 3.89 (s,3H) 7.42 (t,J=5.67 Hz,1H) 7.84 (dd,J=8.20,1.20 Hz,1H) 8.04 (d,J=1.20 Hz,1H) 8.38 (s,1H) 8.41 (d,J=8.22 Hz,1H) 12.15 (br. s.,1H); LCMS m/z 368.2 (M+H)
+, HPLC 96.8% @254 nm; RT = 1.38分
【0176】
メチル4-((3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)アミノ)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレート(40mg、0.109mmol)およびH
2SO
4(87μL、1.633mmol)のプロパノール(1mL)混合液を70℃に3日間加熱した。約0.5mLに濃縮し、EtOAc(10mL)および水(10mL)で希釈した。固体K
2CO(約100mg)でpH7-8に中和した。層を分離し、水層をEtOAc(10mL)で抽出した。合わせた有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固して化合物7であるプロピル4-((3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)アミノ)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレートを白色固体として得た(17mg、収率40%)。
1H NMR (400 MHz,Methanol-d
4) δppm 8.36 (s, 1H), 8.24 (d,J = 8.2 Hz,1H), 8.19 (s,1H), 7.97 (dd,J = 8.2,1.2 Hz,1H), 4.33 (t,J = 6.7 Hz,2H), 3.74 (t,J = 6.8 Hz,2H), 2.41-2.59 (m,6H), 1.93-2.05 (m,2H), 1.78-1.92 (m,2H), 1.56-1.68 (m,4H), 1.49 (br. s.,2H), 1.08 (t,J = 7.4 Hz,3H); HPLC>95% @254 nm, Rt = 1.67分; LCMS m/z 396.2 (M+H)
+.
【0177】
【化34】
【0178】
中間体2C(80mg、0.343mmol)およびベンズアルデヒド(70μL、0.686mmol)の酢酸(1mL)混合液を110℃に22時間加熱した。反応混合物を20℃に冷却し、ジエチルエーテル(10mL)で希釈した。固体を濾過し、Et
2Oで洗浄し(3×1mL)、一定重量になるまで20℃、高真空下で乾燥させて、中間体4Aであるメチル4-ヒドロキシ-2-フェニル-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレートを黄褐色固体として得た(47mg、収率42.9%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δppm 3.89 (s,3H) 7.53-7.65 (m,3H) 7.87 (dd,J=8.22,1.56 Hz,1H) 8.06-8.12 (m,2H) 8.18-8.24 (m,2H) 12.55 (br. s.,2H); LCMS m/z 320.2 (M+H)
+
【0179】
メチル4-ヒドロキシ-2-フェニル-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレート(0.050g、0.157mmol)のPOCl
3(1mL、10.73mmol)混合液を95℃に16時間加熱した。冷却後、反応混合物を濃縮乾固した。得られた固体を飽和NaHCO
3(10mL)に懸濁し、30分間撹拌した。固体を濾過し、Et
2Oで洗浄し(3×1mL)、一定重量になるまで20℃、高真空下で乾燥させて、メチル4-クロロ-2-フェニル-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレートを黄褐色固体として得た(40mg、収率75%)。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d
6) δppm 3.93 (s,3H) 7.51-7.64 (m,3H) 7.95-8.06 (m,1H) 8.13-8.20 (m,1H) 8.38 (d,J=8.22 Hz, 1H) 8.42-8.51 (m,2H) 13.08 (s,1H); MS m/z 338.2 (M+H)
+; HPLC 99.2% @254 nm, RT = 2.48分
【0180】
メチル4-クロロ-2-フェニル-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレート(0.043g、0.127mmol)、トリエチルアミン(35μL、0.255mmol)および3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-アミン(32μL、0.191mmol)のメタノール(0.6 ml)溶液を電子レンジで140℃に25分間加熱した。20℃に冷却し、濃縮乾固した。
【0181】
分取HPLCで精製して、化合物8であるメチル2-フェニル-4-((3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)アミノ)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-7-カルボキシレート2,2,2-トリフルオロアセテートを淡黄色固体として得た(32mg、収率45.0%)。
1H NMR (400 MHz,DMSO-d6) δppm 1.35 (br. s.,1H) 1.51-1.70 (m,3H) 1.70-1.85 (m,2H) 2.08-2.28 (m,2H) 2.76-2.97 (m,2H) 3.33-3.50 (m,2H) 3.50-3.66 (m,2H) 3.79-3.98 (m,5H) 7.40-7.58 (m,3H) 7.63 (br. s.,1H) 7.77-7.95 (m,1H) 8.06 (br. s.,1H) 8.40-8.56 (m,3H) 8.89-9.24 (m,1H) 12.28 (br. s.,1H); HPLC 99.9% @254 nm, Rt = 1.82分; HRMS m/z 444.2435 (M+H)
+
【0182】
特許請求の範囲は、実施例に記載された好ましい実施形態によって限定されるべきではなく、発明の詳細な説明と一致する最も広い解釈が与えられるべきである。特許請求の範囲において、「含む」という語は、「含むがこれに限定されない」という語句と実質的に同等のオープンエンドな用語として使用される。単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、対応する複数のものへの参照を含む。