(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-529219(P2017-529219A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】ユーザに有益薬剤を送達するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61J 1/00 20060101AFI20170908BHJP
【FI】
A61J1/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-535633(P2017-535633)
(86)(22)【出願日】2015年9月23日
(85)【翻訳文提出日】2017年5月19日
(86)【国際出願番号】US2015051777
(87)【国際公開番号】WO2016049224
(87)【国際公開日】20160331
(31)【優先権主張番号】62/054,146
(32)【優先日】2014年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハナガン,テッド
(72)【発明者】
【氏名】クリングラー,ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】グレイジア,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ダミ,グルジンダー
(72)【発明者】
【氏名】シミエジャ,スコット
(72)【発明者】
【氏名】スカチャール,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】マッキー,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ファイレン,ミーガン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ジー
(72)【発明者】
【氏名】コンジーバラム,ラージクマール
(72)【発明者】
【氏名】ギブラー,マーティン
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047BB17
4C047CC04
4C047DD34
(57)【要約】
ユーザに有益薬剤を送達するための薬剤送達リザーバは、内部に流体リザーバが画定された薬剤送達リザーバハウジングを含む。薬剤送達リザーバハウジングは、薬剤送達リザーバ基部領域を有する。薬剤送達リザーバは、流体リザーバ内部に伸びる浸漬管を含む。浸漬管は、流れ内腔を画定する管状壁を含む。管状壁は、内部に形成されて流体リザーバと流体連通した管状壁の遠位端から近接して離間される少なくとも1つの開口部を有する。薬剤送達リザーバは、薬剤送達リザーバハウジングの外側に配置され、浸漬管の近位端に結合されるアダプタを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有益薬剤をユーザに送達するための薬剤送達リザーバであって、
内部に流体リザーバが画定された薬剤送達リザーバハウジングであって、薬剤送達リザーバ基部領域を有する薬剤送達リザーバハウジングと、
流体リザーバ内部に伸び、流れ内腔を画定する管状壁を含む浸漬管であって、管状壁は、内部に画定されて流体リザーバと流体連通した管状壁の遠位端から近接して離間された少なくとも1つの開口部を有する、浸漬管と、
薬剤リザーバハウジングの外側に配置され、浸漬管の近位端に結合されるアダプタと、
を備える、薬剤送達リザーバ。
【請求項2】
流体リザーバは、ハウジング内に配置される可撓性バッグである、請求項1に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項3】
浸漬管は、流体リザーバの内部領域を斜めに横切って配置される、請求項1に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項4】
浸漬管は、流体リザーバの外周に沿って配置される、請求項1に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項5】
管状壁は、管状壁の長さに沿って離間した複数の開口部を有する、請求項1に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項6】
開口部は、管状壁の長さに沿って互いから均等に離間される、請求項5に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項7】
複数の開口部のうち出口端に最も近い1つは、出口端から管状壁の長さの少なくとも15%の距離だけ離間される、請求項5に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項8】
複数の開口部のうち出口端に最も近い1つは、出口端から管状壁の長さの少なくとも20%の距離だけ離間される、請求項5に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項9】
複数の開口部は、管状部材の長さに沿って、複数の開口部を通るほぼ均一な流量分布を供給するように構成される、請求項5に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項10】
複数の開口部は、管状壁の長さに沿って隣接する開口部間の間隔が異なる、請求項9に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項11】
複数の開口部は、管状壁の遠位端に向かって次第に間隔が狭くなる、請求項10に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項12】
複数の開口部は、管状壁の長さに沿って断面寸法が異なる、請求項9に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項13】
複数の開口部は、管状壁の長さに沿って断面寸法が大きくなる、請求項12に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項14】
複数の開口部のサイズは、出口端から遠位端に向かって管状壁に沿って大きくなる、請求項5に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項15】
複数の開口部は、溝穴付き形状である、請求項5に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項16】
複数の開口部は、円形である、請求項5に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項17】
複数の開口部のうち少なくとも2つは、管状壁の長さに沿って軸方向に整列され、管状壁の周囲方向に離間される、請求項5に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項18】
複数の開口部のうち少なくとも3つは、管状壁の長さに沿って軸方向に整列され、管状壁の周囲方向に離間される、請求項5に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項19】
送達リザーバはさらに、リザーバ内に流体有益薬剤をさらに含み、流体有益薬剤は、出口端に近い領域から遠位端に近い領域に向かって増加する容積及び濃度を有し、浸漬管は、実質的に均一な濃度で流体有益薬剤の容積を送達するように構成される、請求項5に記載の薬剤送達リザーバ。
【請求項20】
それぞれ出口から伸びる第1の浸漬管部分と第2の浸漬管部分との接合部をさらに含む、請求項1に記載の薬剤送達リザーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2014年9月23日に出願された米国仮特許出願第62/054,146号の利益を主張するものであり、その全体において参照によって本願明細書に組み込まれたものとする。
【0002】
本開示の主題は、流体を制御及び送達する、例えば、ユーザに有益薬剤を送達するための装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本開示の主題は、全般的には、流体を制御及び送達する、例えば、ユーザに有益薬剤を送達するための装置、システム、及び方法に関する。
【0004】
流体状の有益薬剤を制御及び送達するための様々な流体輸送装置及びシステムが開発されてきた。このような流体流動システムは、(1)容積式ポンプを使用した容積式吸引流動システム、及び(2)真空源を使用した真空式吸引システムを含むことができる。例えば、容積式吸引システムは、ユーザに治療薬剤を送達するための蠕動ポンプを含む。例えば、流れを誘導するために可撓性管を押圧する回転ロールを使用するような様々な形態の蠕動ポンプが周知である。カセットシステムもしくは他の薬剤送達リザーバ構造は、可撓性管によって有益薬剤源に流体を供給するためにポンプ装置と結合可能である。
【0005】
可搬式注入ポンプはユーザによって装着もしくは携行が可能であるので、該装置及びシステムは、特に有益である。しかしながら、まだ該装置及びシステムを改良する必要がある。例えば、送達プロセス全体にわたって、ほぼ均一な濃度の有益薬剤を送達するのが望ましい。しかしながら、有益薬剤の濃度が流体リザーバ全体で均一でない、均一な状態のままでなくなる可能性がある。そのため、送達プロセス全体にわたって、有益薬剤をより均一に送達することができる薬剤送達リザーバが必要であり、要望される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の主題の目的及び利点は、以下の説明で示され、以下の説明から明らかになり、また本開示の主題を実施することにより習得されるであろう。本開示の主題のさらなる利点は、記載されている説明及び請求項において、さらに添付図面から、特に指摘されている方法及びシステムによって実現され、達成されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の利点及び他の利点を実現するために、本開示の主題の目的によれば、具現化され概略的に説明されているように、本開示の主題は、ユーザに有益薬剤を送達するための薬剤送達リザーバを含む。薬剤送達リザーバは、通常、薬剤送達リザーバハウジング、浸漬管、及びアダプタを含む。薬剤送達リザーバハウジングは、内部に画定される流体リザーバと、薬剤送達リザーバ基部領域を有する。浸漬管は、流体リザーバ内部に伸び、流れ内腔を画定する管状壁を含む。管状壁は、内部に形成されて流体リザーバと流体連通した管状壁の遠位端から近接して離間される少なくとも1つの開口部を有する。アダプタは、薬剤送達リザーバハウジングの外側に配置され、浸漬管の近位端に結合される。
【0008】
さらに、本明細書で具現化されているように、流体リザーバは、ハウジング内に配置される可撓性バッグとすることができる。いくつかの実施形態では、浸漬管は、流体リザーバの内部領域を斜めに横切って配置される。追加的に又は代替的に、浸漬管は、流体リザーバの外周に沿って配置されるか、もしくは浸漬管の少なくとも一部が中心領域の近くに配置されてよい。
【0009】
さらに、本明細書で具現化されているように、管状壁は、管状壁の長さに沿って離間された複数の開口部を有することができる。複数の開口部のうち出口に最も近い1つは、出口端から管状壁の長さの少なくとも15%の距離だけ離間されてよい。いくつかの実施形態では、複数の開口部のうち出口に最も近い1つは、出口端から管状壁の長さの約20%の距離だけ離間される。
【0010】
さらに、本明細書で具現化されているように、複数の開口部は、管状部材の長さに沿って複数の開口部を通るほぼ均一な流量分布を形成するように構成されてよい。複数の開口部は、管状壁の長さに沿って隣接する開口部間の間隔が異なってよい。いくつかの実施形態では、複数の開口部は、管状壁の遠位端に向かって、間隔が狭くなってよい。追加的に又は代替的に、複数の開口部は、管状壁の長さに沿って横断面寸法が異なってよい。いくつかの実施形態では、複数の開口部は、管状壁の長さに沿って横断面寸法が大きくなってよい。例えば、本明細書で具現化されているように、複数の開口部のサイズは、出口端から遠位端に向かって、管状壁に沿って次第に大きくなってよい。
【0011】
さらに、本明細書で具現化されているように、複数の開口部は、溝穴付き形状にすることができる。あるいは、複数の開口部は、円形にすることができる。複数の開口部のうち少なくとも2つは、管状壁の長さに沿って軸方向に整列され、管状壁の周囲方向に離間されてよい。追加的に又は代替的に、複数の開口部のうち少なくとも3つは、管状壁の長さに沿って軸方向に整列され、管状壁の周囲方向に離間されてよい。
【0012】
さらに、本明細書で具現化されているように、薬剤送達リザーバは、リザーバ内に流体有益薬剤を含むことができる。有益薬剤の濃度は、リザーバ全体でほぼ均一な濃度である場合もあれば、不均一な濃度である場合もある。例えば、流体有益薬剤の容積及び濃度は、出口端に近い領域から遠位端に近い領域向かって次第に増加してよい。浸漬管は、流体有益薬剤の容積を実質的に均一な濃度で送達するように構成されてよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、薬剤送達リザーバは、それぞれ出口から伸びる第1の浸漬管部分と第2の浸漬管部分との接合部を含んでよい。
【0014】
上述の包括的な説明及び以下の詳細な説明は、例であって、請求される本開示の主題をさらに詳細に説明することを目的として提示されていることは理解されたい。
【0015】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示の主題を説明し、本開示についてさらに理解を提供するために含まれる。図面は、説明と共に、本開示の主題の原理を説明する役目を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の主題の有益薬剤を送達するための例示的な装置の分解平面図である。
【
図3】本開示の主題の例示的な流体リザーバ送達管アセンブリの平面図である。
【
図4】本開示の主題の別の実施形態の流体リザーバ送達管アセンブリの平面図である。
【
図5A】本開示の主題の別の実施形態の流体リザーバ送達管アセンブリの概略図である。
【
図5B】本開示の主題の別の実施形態の流体リザーバ送達管アセンブリの概略図である。
【
図5C】本開示の主題の例示的な流体リザーバの概略図である。
【
図5D】本開示の主題のさらに別の実施形態の流体リザーバ送達管アセンブリの平面図である。
【
図5E】本開示の主題のさらに別の実施形態の流体リザーバ送達管アセンブリの概略図である。
【
図6A】
図1の装置の例示的な薬剤送達リザーバの上部を左側から見た斜視図である。
【
図6B】
図1の装置の例示的な薬剤送達リザーバの後部を右側から見た斜視図である。
【
図7】本開示の主題の有益薬剤を送達するための別の例示的な装置であり、カセットがポンプから分離された状態の斜視図である。
【
図8】
図7のカセットとポンプが開位置のラッチによって接合される様子を連続的に示した図である。
【
図9】
図7のカセットとポンプが開位置のラッチによって接合される様子を連続的に示した図である。
【
図10】
図7のカセットとポンプが開位置のラッチによって接合される様子を連続的に示した図である。
【
図11】
図7のカセットとポンプが開位置のラッチによって接合される様子を連続的に示した図である。
【
図12】閉位置のラッチによって接合された
図7のカセットとポンプを示した図である。
【
図13A】本開示の主題の浸漬管のいずれかと共に使用することができる開口部構造の例示的な実施形態を示した図である。
【
図13B】本開示の主題の浸漬管のいずれかと共に使用することができる開口部構造の例示的な実施形態を示した図である。
【
図13C】本開示の主題の浸漬管のいずれかと共に使用することができる開口部構造の例示的な実施形態を示した図である。
【
図14A】本開示の主題の浸漬管のいずれかと共に使用することができる開口部構造の別の例示的な実施形態を示した図である。
【
図14B】本開示の主題の浸漬管のいずれかと共に使用することができる開口部構造の別の例示的な実施形態を示した図である。
【
図14C】本開示の主題の浸漬管のいずれかと共に使用することができる開口部構造の別の例示的な実施形態を示した図である。
【
図14D】本開示の主題の浸漬管のいずれかと共に使用することができる開口部構造の別の例示的な実施形態を示した図である。
【
図15】本開示の主題の浸漬管のいずれかと共に使用することができる開口部構造の別の例示的な実施形態を示した図である。
【
図16A】本開示の主題の浸漬管のいずれかと共に使用することができる開口部構造のさらに別の例示的な実施形態を示した図である。
【
図16B】本開示の主題の浸漬管のいずれかと共に使用することができる開口部構造のさらに別の例示的な実施形態を示した図である。
【
図16C】本開示の主題の浸漬管のいずれかと共に使用することができる開口部構造のさらに別の例示的な実施形態を示した図である。
【
図16D】本開示の主題の浸漬管のいずれかと共に使用することができる開口部構造のさらに別の例示的な実施形態を示した図である。
【
図17】本開示の主題の例示的な蠕動管をさらに詳細に示した図である。
【
図18A】本開示の主題の例示的な接合継手の左側面図である。
【
図19】浸漬管を使用しないカセットの場合と比較して、本開示の主題の例示的な浸漬管構造を使用した薬剤送達リザーバの投与量当たりの例示的な有益薬剤濃度を示した図である。
【
図20】本開示の主題の例示的な浸漬管構造を使用した薬剤送達リザーバの投与量当たりの例示的な有益薬剤濃度を示した図である。
【
図21】本開示の主題の例示的な浸漬管構造を使用した薬剤送達リザーバの投与量当たりの例示的な有益薬剤濃度を示した図である。
【
図22】本開示の主題の例示的な浸漬管構造を使用した薬剤送達リザーバの投与量当たりの例示的な有益薬剤濃度を示した図である。
【
図23】本開示の主題の流体の複数の領域に対する例示的な有益薬剤濃度を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の主題の例示的な実施形態について詳細に説明する。これらの実施形態の例は、添付図面に示されている。本開示の主題の方法については、システムの詳細な説明と併せて説明する。本明細書で提示される装置及び方法は、ユーザに有益薬剤を送達するのに使用することができる。
【0018】
添付図面では、同様の参照番号は個々の図面を通して同一もしくは機能的に類似した要素を指すものであるが、添付図面は、様々な実施形態をさらに詳細に説明し、本開示の主題に従う様々な原理及び利点を説明するのに役立つ。
【0019】
本明細書に示されている装置及び方法は、様々な適切な治療薬剤もしくは治療物質(例えば、薬剤もしくは生物学的薬剤)のいずれかを患者に投与するのに使用することができる。例えば、本明細書で具現化されているように、薬剤送達リザーバは、ユーザに有益薬剤を送達するためにポンプなどと共に使用するために提供される。薬剤送達リザーバは、内部に流体リザーバが画定されたハウジングを含む。ハウジングは、カセットもしくは同様の剛体の形状とすることができる。流体物質を含む流体リザーバは、送達管システムに接合されてよい。ポンプは、動作時に、配管システムを通して流体物質を送達するために薬剤送達リザーバ上で動作することができる。このように、装置は、送達管システムを通して患者に、液体もしくはゲル状の製剤を含む流体物質(例えば、治療薬剤)の投与量を投与することができる。いくつかの実施形態では、流体治療薬剤は、1つ又は複数の医薬品もしくは生物学的薬剤を含むことができる。
【0020】
本開示の主題によれば、有益薬剤をユーザに送達するための薬剤送達リザーバが提供される。薬剤送達リザーバは、一般に、内部に流体リザーバが画定された薬剤送達リザーバハウジングを含む。薬剤送達リザーバハウジングは、薬剤送達リザーバ基部領域を含む。薬剤送達リザーバは、流体リザーバ内部に伸びる浸漬管を含む。浸漬管は、流れ内腔を画定する管状壁を含む。管状壁は、内部に形成されて流体リザーバと流体連通した管状壁の遠位端から近接して離間される少なくとも1つの開口部を有する。薬剤送達リザーバはさらに、浸漬管の近位端に結合されるアダプタを含む。アダプタは、薬剤送達リザーバハウジングの外側に配置されてよい。
【0021】
限定ではなく説明及び例示の目的のために、本開示の主題の装置の例示的な実施形態は、
図1から
図2に示されており、全体に参照番号100で示されている。本明細書で具現化されているように、限定ではなく例示の目的のために、装置100は、カセット10の形態で提供される。カセット10は、カセットハウジング11と、カセットハウジング11内に画定される流体リザーバ12とを有する。カセットハウジング11は、本明細書でさらに詳細に説明するように、ポンプハウジング31を有するポンプ機構30と接合するためにカセット基部領域83を含むことができる。
図1及び
図2に示されているように、本明細書でさらに説明するように、装置はさらに、送達管20を含むことができる。いくつかの実施形態では、送達管20は、カセットハウジング11内に配置される第1の部分21と、カセットハウジング11の外側に配置される第2の部分22とを有することができる。このように、ハウジング11は、剛性部材である。代替的に、ハウジング自体は、流体リザーバ12を画定するための可撓性パウチなどの形態にすることができる。
【0022】
本開示の主題によれば、流体リザーバ12は、カセットハウジング11の内表面によって画定されてよい。代替的に、本明細書に示されているように、流体リザーバ12は、カセットハウジング11の内部に配置される別個の部材によって画定されてよい。例えば、限定ではなく例示の目的のために、
図3、
図4、及び
図5Aから
図5Cの様々な実施形態でそれぞれ示されている流体リザーバ12は、可撓性パウチとして構成されてよい。それぞれの実施形態の流体リザーバ12はさらに、以下でさらに詳細に説明するように、凹凸付き内表面を有してもよい。パウチの反対側面は、流体リザーバ12を形成するために、例えば、熱溶接もしくは高周波(RF)溶接などによって、(
図5Aの「外周B」で示されているように)外周に沿って固定されてよい。流体リザーバ12は、「丸みを帯びた角丸正方形」としてよい。例えば、
図3から
図5Eに示されているように、また本明細書で具現化されているように、流体リザーバ12は、通常、角丸の正方形とすることができる。角丸にすることにより、より簡単にバッグをカセットハウジング11に収めることができ、バッグに流体有益薬剤をより均一に充填することができ、カセットとポンプの正常な動作時に、流体有益薬剤が閉じ込められる、もしくは流体物質を流体リザーバから除去することができなくなるのを阻止もしくは防止することができる。追加的に又は代替的に、流体リザーバ12の表面にリッジが形成されてよい。リッジにより、より簡単に流体有益薬剤を管に引き込むことができるようになる。
【0023】
流体リザーバ12は、低酸素透過性を有する可撓性材料から形成されてよい。限定ではなく例示の目的のために、流体リザーバ12は、EVA/EVOH/EVA、TOTM可塑化PVC、これらの組み合わせ、もしくは他の適切な材料で作られてよく、本明細書で具現化されているように、Renolit製のSolmed(R)Medipak UVO 9002で作られてよい。限定ではなく例示の目的のために、本明細書で具現化されているように、流体リザーバ12の厚さは、約12ミルとしてよい。さらに、限定ではなく例示の目的のために、流体リザーバ12は、接着剤を使用して、RF溶接によって、もしくは任意の他の適切な技術によって形成されてよい。
【0024】
本明細書で説明されているように、本開示の主題によれば、浸漬管13は、流体リザーバ12の内部に配置される。浸漬管13は、流れ内腔を画定する管状壁13aを含む。本明細書に開示されている浸漬管13の管状壁13aは、内部に形成されて管状壁13aの遠位端から近接して離間される少なくとも1つの開口部14を有してよい。開口部14は、リザーバ12内に収容されている有益薬剤を受け取るために、リザーバ12と流体連通している。さらに、流体リザーバ12の内表面は、開口部14の意図せぬ閉塞を防ぐことによって流体流れを促進するために、凹凸付き、リブ付き、もしくは溝付きの形状にしてよい。例えば、本明細書で具現化されているように、流体リザーバ12は、
図5Dに示されているように、内部に形成される複数の水平方向溝を含んでよい。
【0025】
本開示の主題の別の態様によれば、浸漬管13は、例えば、
図5Aに示されているように、複数の開口部14を含んでよい。例えば、本明細書で具現化されているように、複数の開口部14はそれぞれ、同じもしくは同様の間隔だけ離間された同じもしくは同様のサイズにしてよい。本開示の主題によれば、複数の開口部は、浸漬管の管状壁の長さに沿って、開口部を通るほぼ均一な流量分布を形成するように構成されてよい。例えば、以下にさらに詳細に説明するように、複数の開口部14は、異なるサイズを有してよい、及び/又は浸漬管13の長さに沿って不均等に分布してよい。開口部のサイズ、形状、及び/又は管状壁に沿った間隔の変化の様々な組み合わせは、限定でなく例示の目的のために、以下で説明されている。限定ではなく例示の目的のために、本明細書で具現化されているように、開口部は、機械加工、レーザ穿孔、もしくは任意の他の適切な技術によって形成されてよい。
【0026】
一般に、浸漬管は、流体リザーバ内の有益薬剤の最高濃度を有すると思われる領域を少なくとも横切る、もしくはその領域を通って伸びるように構成される。限定ではなく例示の目的のために、本明細書で具現化されているように、浸漬管13は、流体リザーバ12内で、多くの適切な構造のうちのいずれかで配置されてよい。例えば、
図3に示されているように、浸漬管13は、流体リザーバ12の外周に沿って伸びてよい。追加的に又は代替的に、浸漬管13は、
図4に示されているように、流体リザーバ12の中央領域内で輪状に巻かれてよい。追加として、もしくは別の代替として、浸漬管13は、流体リザーバ12の全体もしくは一部の内部で蛇行構造を成してよい。さらに別の実施形態によれば、
図5Aに示されているように、浸漬管13は、流体リザーバ12の1つの最端部もしくは1つの角から別の端部もしくは別の角まで斜めに横切って伸びてよい。さらに別の実施形態によれば、
図5Bに示されているように、浸漬管13は、流体リザーバ12の1つの最端部もしくは1つの角から別の端部もしくは別の角まで斜めに横切り、その間に弓形形状を形成するように湾曲するように伸びてよい。
【0027】
さらに別の実施形態によれば、
図5Eに示されているように、浸漬管13は、リザーバ12内に配置された接合部99まで伸び、浸漬管の一部分98a、98bが接合部99から伸びてよい。限定ではなく例示の目的のために、本明細書で具現化されているように、浸漬管13は、出口端33と接合部99との間に開口部が含まれなくてよい。代替的に、浸漬管13は、本明細書に示されている任意の構造で、出口端33と接合部99との間に1つ又は複数の開口部を含んでよい。例えば、本明細書で具現化されているように、部分98a、98bは、接合部99から伸び、第1の部分98aは出口に対してリザーバ12の上部領域に向かって伸び、第2の部分98bはリザーバ12の下部領域に向かって伸びてよい。本明細書で具現化されているように、部分98a、98bはそれぞれ、本明細書で示されている任意の構造で、1つ又は複数の開口部を含んでよい。例えば、本明細書で具現化されているように、部分98a、98bは、同様の開口部構造を含んでよい。あるいは、部分98a、98bはそれぞれ、異なる開口部構造を含んでよい。限定ではなく例示の目的のために、本明細書で具現化されているように、上部領域及び下部領域は異なる濃度の有益薬剤を含んでよく、そして上部領域及び下部領域に部分98a、98bが配置される浸漬管13は、送達プロセス時に装置から全体により均一な濃度の有益薬剤が送達されるように、異なる濃度の有益薬剤を実質的に同時にリザーバから異なる開口部14を通して引き込むことができるように構成されてよい。
【0028】
本開示の主題のそれぞれの実施形態の穴付き浸漬管13により、動作時に、流体リザーバ12の向きに関係なく、流体を流体リザーバ12から引き込むことができる。例えば、
図3を参照すると、浸漬管13は、全体にリザーバ12の外周に沿って配置されてよく、場合によっては、リザーバ12の「角」に近接して浸漬管13を配置することを含んでよい。追加的に又は代替的に、例えば、
図4に示されているように、浸漬管13は、リザーバ12の中央部の近くに配置される1つ又は複数の部分を有してよい。このように、液体がリザーバ12の中央部に閉じ込められた場合、例えば、リザーバ12が水平方向の向きになった場合に、浸漬管13は、リザーバ12の中央部から流体を受け取ることができる。
【0029】
図5A及び
図5Bを参照すると、限定ではなく例示のために、図示されているように、流体リザーバ内で使用するために本明細書で具現化されている浸漬管13は、SUNLITE製のVYSUN 102−80−26(非DEHP PVC)管材料、Dupont製のElvax 3182−2 EVAのような樹脂材料、もしくは、例えば、Saint Gobain製のBiosil Precisionシリコーンチューブのようなシリコーン管材料を使用して構成されてよい。本明細書で具現化されているように、高さが約80インチ、幅が約74インチである流体リザーバ12に対して、浸漬管13の長さは約105mmとすることができ、管状壁13aは、約2mmの直径の複数の開口部(
図5Aでは「穴C」で示されている)を有することができる。
図5Aに示されているように、開口部Cは、浸漬管13の管状壁13aに沿って、管内側もしくは遠位端(
図5Aでは「端部A1」で示されている)から8.5mmの位置から配置されてよい。浸漬管13の遠位端は、任意の適切なサイズもしくは形状にしてよい。浸漬管13の遠位端は、開口部14から確実に全ての流体が流れるように閉鎖されてよい。例えば、限定ではないが、浸漬管13の遠位端は、扁平形状、テーパー状、もしくはフレア状としてよい。本明細書で具現化されているように、それぞれの開口部Cは、浸漬管13の管状壁13aの長さに沿って8mm離間され、浸漬管13の管状壁13aの周囲のまわりに隣接する開口部Cに対して90°回転されてよい。限定ではなく例示の目的のために、例示的な流体リザーバ及び浸漬管アセンブリの典型的な寸法を以下に示す。
【0033】
さらに、本明細書で具現化されているように、浸漬管13は、3mmの内径及び4.6mmの外径を有してよい。いくつかの実施形態では、浸漬管13は、少なくとも約1.5mmの厚さを有してよく、いくつかの実施形態では、浸漬管13は、少なくとも約1.6mmの厚さを有してよい。例えば、
図5Aに示されているように、浸漬管13は、流体リザーバ12の内部を斜めに横切って(すなわち、流体リザーバ12を二等分して)配置されてよい。さらに別の実施形態によれば、
図5Bに示されているように、浸漬管14は、流体リザーバ12の1つの角もしくは一端から別の角もしく別の端部まで斜めに横切り、その間に弓形形状を形成するように湾曲するように伸びてよい。浸漬管13は、リザーバ入口(
図5Aでは、「端部A2」で示されている)及びリザーバ12の内部の管の反対側端部A1で、リザーバ12に接合されてよい。このため、浸漬管13がリザーバ12内で動くのを妨げる、もしくは防ぐことができる。
【0034】
浸漬管13は、必要に応じて、もしくは適切な場合には、送達管として機能するために流体リザーバ12から伸びてよい。あるいは、本明細書で具現化されているように、カセットハウジング11の外側に配置されるアダプタが浸漬管13の近位端に設けられてよい、もしくは浸漬管13の近位端に結合されてよい。このように、ポンプ30の動作によって流体リザーバ12からユーザに有益薬剤を送達するのに、別個の送達管がアダプタに結合されてよい。追加的に、ポンプ30と相互作用させるために、浸漬管13及び/又は送達管の間に、もしくは浸漬管13及び/又は送達管の一部として、蠕動管が設けられてよい。
【0035】
限定ではなく例示の目的のために、該アダプタの例示的な実施形態が
図5A及び
図5Bに示されている。図示されているように、流体リザーバ12は、カセットハウジング11の外側に配置されるアダプタ15を含む。
図5のアダプタ15は、浸漬管13の近位端に結合される。本明細書で具現化されているように、浸漬管13の近位端にポリプロピレン製タケノコタイプのエルボ継手16が設けられる。エルボ継手16は、浸漬管13の外側端部に接着され、流体リザーバ12と同一平面上に配向されてよい。蠕動管23は、エルボ継手16の反対側端部に装着もしくは結合されてよい。例えば、本明細書で具現化されているように、蠕動管23は、Saint Gobain製のBiosil Precision PCSシリコーン管材料の部分から形成されてよい。蠕動管23は、1.6mmの内径及び4.8mmの外径を有してよい。接合継手24は、蠕動管23に接合されてよく、送達管20は、接合継手24に接着されてよい。その結果、送達管20は、流体リザーバ12と流体連結できるようになる。例えば、限定ではないが、送達管20は、任意の適切なポリマー材料及び材料の組み合わせから形成されてよく、本明細書で具現化されているように、Dupont製のElvax 3182−2 EVAの内径と、Colorite製の8088G−015(非DEHP PVC)の外径とを有してよい。
【0036】
したがって、
図5A及び
図5Bに開示されている流体リザーバ12及び浸漬管13を有する装置により、流体リザーバ12の向きに関係なく、確実に有益薬剤の大部分を送達することができる。さらに、複数の開口部を使用することにより、1つ又は複数の開口部が送達時に閉塞されることに伴うリスクを低減することができる。
【0037】
しかしながら、有益薬剤の特定の製剤では、比較的粘性の高い流体(例えば、オイル、ゲルなど)が使用される場合のように、開口部を通る流量分布が不均一になる恐れがあることは判明している。そのため、本開示の主題の別の態様によれば、浸漬管の長さに沿った流体取り込み量の均一性を向上させるように浸漬管を変更することによって、投与精度をさらに高めることができる。すなわち、真空ポンプシステムなどにおいて、真空供給点(例えば、蠕動ポンプシステムでは、ポンプフィンガと管との間の接点)と流体供給点との間で圧力が失われ、その結果、真空ポンプシステムの管に沿って圧力変化が生じる可能性がある。この圧力損失は、オイルやゲルのような比較的粘性の高い流体の場合、比較的小さい管を通る流体の摩擦力及びせん断力により、さらに大きくなる。浸漬管13の長さに沿った圧力変化は、浸漬管13の長さに沿った複数の開口部14により、浸漬管13の長さに沿って流体取り込み量が異なってしまう可能性がある。そのため、本明細書で具現化されているように、複数の開口部は、管状部材の長さに沿って複数の開口部を通るほぼ均一な流量分布を形成するように構成されてよい。例えば、真空圧力が最も大きいリザーバ12の出口のより近くに配置される開口部14は、小さいサイズにしてよく、除去されてよく、及び/又は出口からもっと遠くに離間されてよい。いくつかの実施形態では、リザーバ12の出口のより近くにある開口部14の数は減らしてよい。追加的に又は代替的に、リザーバ12の出口からもっと遠くに離間された開口部14のサイズは大きくしてよい。別の代替案として、管の長さに沿った開口部14のいくつかもしくは全ての形状は、例えば、溝穴付き形状になるように変更されてよい。
【0038】
追加的に、隣接する開口部間の間隔は、管状壁の長さに沿って異なってよい。限定ではなく例示の目的のために、本明細書で具現化されているように、複数の開口部は、管状壁の遠位端に向かって間隔が狭くなる。代替的に、複数の開口部は、管状壁の遠位端に向かって、間隔が広くなってよい。
【0039】
さらに、本明細書で具現化されているように、複数の開口部は、管状壁の長さに沿って横断面寸法が異なってよい。限定ではなく例示の目的のために、開口部14のサイズは、リザーバ12の出口から浸漬管の端部に向かって、浸漬管13の長さに沿って次第に大きくなってよい。例えば、
図13Aから
図13Cに示されているように、浸漬管13は、浸漬管の長さに沿ってサイズが異なり、浸漬管13の管状壁13aの長さに沿って距離を変えることによって浸漬管13の出口端33から離間され、浸漬管13の管状壁13aの周囲のまわりに角度を変えながら回転された開口部12を有してよい。浸漬管13の出口端33から遠位端に向かって浸漬管13の長さに沿って開口部14のサイズを次第に大きくすることによって、真空圧力の低下を補償することができる。例えば、浸漬管13の長さに沿って開口部14のサイズを大きくすることにより、浸漬管13に沿って流体をより均一に取り込むことができる。
【0040】
表1は、例示的な浸漬管開口部構造を示している。限定ではなく例示の目的のために、穴番号もしくは穴位置は、浸漬管13の出口端33からの軸方向距離を指し、距離は、穴番号もしくは位置番号が大きくなるのに伴って長くなる。本明細書で具現化されているように、また以下の表に示されているように、特定されない限り、穴番号もしくは位置番号1は、浸漬管13の出口端33からの軸方向距離18.18mmに対応し、各々の連続する穴番号は、浸漬管13の出口端33から約8mm足した距離を表している。そのため、それぞれの穴番号もしくは位置番号は、わずか8mm間隔を示している。
【0042】
表2は、別の例示的な浸漬管開口部構造を示している。図示されているように、最初の2つの穴位置(例えば、出口端33から約18.18mm及び26.18mm離れた位置)では、開口部は形成されなかった。そのため、出口端33から約34.18mm(浸漬管13の長さの約20%である)離れた穴位置3に、第1の開口部が形成された。開口部は、浸漬管13に沿った9個の軸方向位置に形成され、均一な直径を有する。比較のために、また本開示の主題の立証のために、表3に示されているように、一定の直径の開口部、均一な間隔、及び浸漬管13の出口端33の近くに形成される開口部を有する浸漬管構造全体において流量均一性は向上する。この構造では、最初の開口部は、比較的低い濃度勾配の領域に配置されてよく、このことにより、送達プロセス時に、より均一な濃度の有益薬剤を送達することができる。
【0043】
比較のために、また本開示の主題の立証のために、高い粘性及び異なる濃度を有する典型的な製剤が例示のために製造された。限定ではなく、例えば、典型的な製剤は、本明細書で具現化されているように、窒化ホウ素(BN)と高粘性ゲルを使用して、ゲルに対する窒化ホウ素の割合が6.77%(w/w)で形成された。典型的な製剤の組成は、表Aに示されている。
【0045】
例えば、
図5A及び
図5Dに示されているようなサンプル流体リザーバに、50mLの典型的な製剤が充填され、サンプル流体リザーバは、薬剤送達リザーバに組み合わされた。流体リザーバ内の異なる濃度の効果をさらに説明するために、遠心分離機に薬剤送達リザーバが設置され、遠心分離機は、66時間作動され、ゲル内のBNを加速させてゲル全体にわたって異なる濃度のBNを生成した。遠心分離機の動作条件は
図Bに示されている。
【0047】
薬剤送達リザーバは、薬剤送達リザーバ内の加速度の差を低減する、もしくは最小限に抑えるために、3点脚半径で取り付けられた。その結果、例えば、
図23に示されているように、リザーバ全体にわたって異なる濃度の典型的な製剤が生成された。66時間加速された後の典型的な製剤の濃度は、垂直方向の破線に沿って示されている。図面内の流体リザーバの各部分はそれぞれ、リザーバの上部からリザーバの下部に向かってリザーバの容積の10分の1の部分を表している。
図23に示されているように、66時間加速された後、流体リザーバの上部は、下部に比べて約65%から70%の濃度のBNを有する。
【0048】
比較のために、また本開示の主題の立証のために、
図19は、浸漬管を使用しない薬剤送達リザーバと比較して、一定の穴サイズ及び間隔を有する浸漬管(本明細書では、「ハイブリッド1」もしくは「ベースライン」と呼ぶ)を使用した薬剤送達リザーバの投与量ごとの例示的な公称濃度を示した図である。
図23に関して上述した異なる濃度を有する典型的な製剤が使用され、流体は1mL/分の速度でリザーバから投与された。
図19を参照すると、一定の穴間隔を有する浸漬管を使用した薬剤送達リザーバは、最初にバッグの上部から引き込むことができ、その後、バッグが空になって潰れた状態になると、徐々にバッグへと戻すことができる。浸漬管の無いバッグの場合、流体引き込みは、バッグ圧潰方式の機能とすることができる。本明細書に示されている変更された開口部構造と比較するために、ハイブリッド1の容積全体で投与された濃度の結果が基準値となる。
【0049】
比較のために、また本開示の主題の立証のために、
図20は、表2に示されている開口部構造を有する浸漬管を使用したカセット(ハイブリッド2)と比較して、均一な穴サイズ及び間隔を有する浸漬管を使用したカセット(ベースライン)の投与量ごとの例示的な公称濃度を示した図である。
図23に関して上述した異なる濃度を有する典型的な製剤が使用され、流体は1mL/分の速度でリザーバから投与された。
図20に示されているように、表2の開口部構造では、ベースラインと比較して、投与量全体で比較的一貫して同じ流体濃度の典型的な製剤を投与することができる。
【0051】
表3は、別の例示的な浸漬管開口部構造を示している。表1の構造と比較して、出口端33の反対側に、浸漬管13の遠位端に向かって別の開口部が加えられる。比較のために、また本開示の主題の立証のために、一定の開口部サイズ及び均一な間隔を有する周知の浸漬管を使用すれば、流入期間の間に、約95%の流体が最初の2つの穴位置から浸漬管13に流れ込んだ。%流入は、流入期間の間に、対応する穴位置に形成された開口部(単数もしくは複数)14を通って浸漬管13に取り込まれる流体の割合を示す。比較のために、また本開示の主題の立証のために、表2に示されているように、一定の直径の開口部及び均一な間隔を有する浸漬管構造全体において、流量均一性は向上する。そのため、可変濃度を有する製品と共に使用する場合、流量均一性の向上により、異なる位置から異なる速さで流体を引き込むことで濃度変化を低減することができる。
【0053】
表4は、別の例示的な浸漬管開口部構造を示している。図示されているように、最初の3つの穴位置に、比較的小さい開口部が形成され、それに続く9個の穴位置に、それよりも大きい穴が形成された。比較のために、また本開示の主題の立証のために、表4に示されているように、一定の直径の開口部及び均一な間隔を有する浸漬管構造全体において、典型的な製剤の流量均一性は向上する。
【0055】
表5−1は、別の例示的な浸漬管開口部構造を示している。図示されているように、穴位置1には開口部は形成されず、不均一な開口部の間隔が使用される。穴位置2.0、2.9、3.8及び4.8では、浸漬管の対応する軸方向距離に1つの穴が形成される。それに続く穴位置では、例えば、貫通穴を形成することによって、浸漬管の対応する軸方向距離に2つの穴が形成された。表5−2及び
図14は、別の例示的な浸漬管開口部構造を示している。図示されているように、穴位置1には開口部は形成されず、不均一な開口部の間隔が使用される。穴位置2.0、2.9、及び3.8では、浸漬管の対応する軸方向距離に1つの穴が形成される。それに続く穴位置では、例えば、貫通穴を形成することによって、浸漬管の対応する軸方向距離に2つの穴が形成された。比較のために、また本開示の主題の立証のために、表5−1及び表5−2に示されているように、一定の直径の開口部、均一な間隔、及び浸漬管13の出口端33の近くに形成される開口部を有する浸漬管構造全体において、典型的な製剤の流量均一性は向上する。
【0058】
表6は、
図13Aから
図13Cの例示的な浸漬管開口部構造を示している。図示されているように、穴位置1には開口部は形成されず、不均一な開口部の間隔が使用される。比較のために、また本開示の主題の立証のために、表6に示されているように、一定の直径の開口部、均一な間隔、及び浸漬管13の出口端33の近くに形成される開口部を有する周知の浸漬管構造全体において、流量均一性は向上する。
図21は、表6に示されている開口部構造を有する浸漬管を使用した薬剤送達リザーバ(構造4)と比較して、均一な穴サイズ及び間隔を有する浸漬管を使用した薬剤送達リザーバ(ベースライン)の投与量ごとの例示的な公称濃度を示した図である。
図23に関して上述した異なる濃度を有する典型的な製剤が使用され、流体は1mL/分の速度でリザーバから投与された。図示されているように、表6の開口部構造を使用すれば、投与濃度はバッグからの排出量全体にわたって実質的に均一になったので、均一な穴の浸漬管を使用する場合と比較して、典型的な製剤の投与精度は約9倍向上することになる。
【0060】
表7及び
図15は、別の例示的な浸漬管開口部構造を示している。
図15は、浸漬管13の開口部14の構造を説明するために、扁平形状の例示的な浸漬管13を示した図である。表7及び
図15の構造では、溝穴付き開口部構造が使用されている。さらに、穴位置1には機構部は形成されず、不均一な溝穴長さが使用される。比較のために、また本開示の主題の立証のために、表7に示されているように、一定の直径の開口部、均一な間隔、及び浸漬管13の出口端33の近くに形成される開口部を有する周知の浸漬管構造全体において、流量均一性は向上する。
図22は、表7に示されている開口部構造を有する浸漬管を使用した薬剤送達リザーバ(構造5)と比較して、均一な穴サイズ及び間隔を有する浸漬管を使用したカセット(ハイブリッド1)の投与量ごとの例示的な公称濃度を示した図である。
図23に関して上述した異なる濃度を有する典型的な製剤が使用され、流体は1mL/分の速度でリザーバから投与された。図示されているように、表7の構造にすることにより、均一な穴の浸漬管に対して、典型的な製剤の投与精度が約50%向上することになる。さらに、表7の構造では、実質的に均一なスリット幅を形成することにより、製作公差の影響を低減する、もしくは最小限に抑えることができる。
【0062】
表8及び
図16Aは、別の例示的な浸漬管開口部構造を示している。
図16Bは、
図16Aに対して90°回転した例示的な浸漬管13を示した図である。
図16Cは、例示的な蠕動管に接合された例示的な浸漬管13を示している。
図16Dは、浸漬管13の開口部14の構造を説明するために、扁平形状の例示的な浸漬管13を示した図である。表8の構造では、本明細書で具現化されているように、各々の開口部は同じ直径を有する。さらに、穴位置1には開口部は形成されない。流量分布は、それぞれの位置の穴の数及び穴間の間隔により調整可能である。比較のために、また本開示の主題の立証のために、表8に示されているように、一定の直径の開口部、均一な間隔、及び浸漬管13の出口端33の近くに形成される開口部を有する周知の浸漬管構造全体において、典型的な製剤の流量均一性は向上する。
【0064】
そのため、上述したように、複数の開口部は、管状部材の長さに沿って複数の開口部を通るほぼ均一な流量分布を形成するように構成されてよい。限定ではなく例示の目的のために、本明細書で具現化されているように、複数の開口部は、管状壁の長さに沿って隣接する開口部間の間隔が異なってよい。例えば、本明細書で具現化されているように、複数の開口部は、管状壁の遠位端に向かって次第に間隔が狭くなってよい。追加的に、上述の構造のいずれかもしくは全てと組み合わせて、もしくは代替的に、複数の開口部は、管状壁の長さに沿って横断面寸法が異なってよい。例えば、本明細書で具現化されているように、複数の開口部は、管状壁の長さに沿って横断面寸法が大きくなってよい。さらに、上述の構造のいずれかもしくは全てと組み合わせて、もしくは別の代替案として、複数の開口部は、1つ又は複数の形状にすることができ、例えば、限定ではないが、溝穴付き形状、円形、及び/又は任意の他の適切な形状にすることができる。さらに、上述の構造のいずれかもしくは全てと組み合わせて、もしくは別の代替として、複数の開口部のうち出口端に最も近い1つは、管状壁の長さの少なくとも15%の距離だけ出口端から離間されてよく、本明細書で具現化されているように、複数の開口部のうち出口端に最も近い1つは、管状壁の長さの約20%の距離だけ出口から離間されてよい。さらに、上述の構造のいずれかもしくは全てと組み合わせて、もしくは別の代替案として、複数の開口部のうち少なくとも2つは、管状壁の長さに沿って軸方向に整列され、管状壁の周囲方向に離間されてよい。本明細書内で説明されているように、本開示の主題によれば、リザーバ内の流体有益薬剤は、出口端に近い領域から遠位端に近い領域に向かって次第に増加する容積及び濃度を有してよく、本明細書で具現化されているように、浸漬管は、実質的に均一な濃度で流体有益薬剤の容積を送達するように構成されてよい。
【0065】
さらに、本明細書で具現化されているように、蠕動ポンプの流量精度は、蠕動管23の張力を調整することによって向上させることができる。本明細書で具現化されているように、管の張力適合は、所望の張力を実現するために蠕動管23の長さ及び直径を調整することによって実現されてよい。すなわち、蠕動管23の長さを短くすることで、張力が増加し、流量全体が減少する。蠕動管23の長さを長くすることで、張力が減少し、蠕動管23の座屈が発生し、取り付け及び繰り返し精度の問題が生じる。
【0066】
図17は、継手間管長さ(インチ)に対して、2.275インチの公称長さを有する蠕動管の一部が1/32インチごとに+/1 1/8インチだけ伸張された、もしくは緩められた場合の累積流量(mL/時間)を示す図である。各々の管長さの3つのサンプルを使用して試験が行われ、試験運転を短い長さから長い長さまで行い、その後、長い長さから短い長さに戻り、試験運転がランダム化され、全ての長さにおけるデータが取得された。
図16は、張力が増加すると、流量が減少することを示している。一方、緩み/座屈が大きくなると、流量は増加した。さらに、
図17は、2.275インチの公称長さを有し、約1/32インチ伸張する蠕動管では、+/−1/16インチの許容誤差範囲があり、流量は約91ml/時間から96ml/時間の間にとどまることになる。
【0067】
例えば、本明細書で具現化されているように、蠕動管23は、少なくとも約0.782mm(0.031インチ)伸張されてよい。エルボ継手16及び接合継手24と共に、カセットハウジング11によって、特定の長さが定位置で保たれてよい。蠕動管23の張力を調整することによって、ポンプ流量精度及び繰り返し精度を向上させることができる。
【0068】
図18は、例示的な接合継手24を示している。管クランプ25(
図5Bに示されている)は、送達管20に接続されることにより、ユーザが所望の向き及び位置に管を調節して固定することができるようにする。さらに、本明細書で具現化されているように、接続アセンブリ26(
図5Bに示されている)は、送達管20の端部に設けられることで、管とリザーバをポンプ装置に接続することができる。限定ではなく例示の目的のために、例示的な接合継手の典型的な寸法を以下に示す。
【0070】
別個に形成される場合、流体リザーバ12は、カセットハウジング11に取り付けられてよい。例えば、本明細書で具現化されているように、カセットハウジング11は、流体リザーバ12を受容して収容することができる2つのエンクロージャクラムシェル形状部分17、18(例えば、
図6Bに示されている)を有する構造にしてよい。2つのクラムシェル形状部分17、18は、接着されるか、もしくは、例えば、超音波溶接によって接合されてよい。さらに、本明細書で具現化されているように、蠕動管23は、カセットハウジング11の片側のRFIDエンクロージャシェル19によって、及び摩擦接触部(例えば、
図6Aの「D」で示されている)もしくはカセットハウジング11の反対側の他の受容機能部によって受容されてよい。したがって、蠕動管23はハウジング11内で懸架されてよく、そのことによりポンプ機構内部での蠕動管23の形状もしくは寸法をさらに調整することができ、カセットハウジング11内の蠕動管23の輪郭を小さくすることができる。
【0071】
上述したように、本明細書に開示されているカセット10は、様々なポンプもしくは同様の流体送達装置と共に使用されてよい。限定ではなく例示の目的のために、
図1、
図2、
図7から
図12のポンプ30について説明する。ポンプ30は、ポンプハウジング31を含んでよい。ポンプハウジング31は、流体駆動部品を有するポンプアセンブリを含んでよい。ポンプアセンブリは、例えば、蠕動ポンプとして構成されてよい。例えば、蠕動ポンプは、モータ、カムシャフト、及びカムシャフトの長さに沿って配置される複数のフィンガプレートを含んでよい。カムシャフトは、カムシャフトの長手方向軸を中心として回転させるためにモータに結合されてよく、カムシャフトの長さに沿って配置される螺旋係合部を画定する少なくとも1つの半径方向外側突起部を有してよい。複数のフィンガプレートは、カムシャフトの長さに沿って配置されてよい。各々のフィンガプレートは、カムシャフトの長手方向軸に対して横方向に運動するために取り付けられてよく、カムシャフトを受容するように形成される開口部を有してよい。
【0072】
ポンプハウジング31は、カセット基部領域83を受容するために受容領域32(例えば、
図7に示されているように)を有してよい。流体駆動部品は、受容領域近くに配置されてよい。例えば、本明細書で具現化されているように、カセット10は、場合によっては、送達管もしくは蠕動管によって、ポンプ30の流体駆動部品と位置合わせして、ポンプ30の受容領域32に接合されてよい。さらに、本明細書で具現化されているように、カセット10は、90°の角度でポンプハウジング31によって受容され(例えば、
図7及び
図8に示されている)、ポンプハウジング31に対して90°回転されてポンプハウジング31とほぼ平行な向きにされてよい(例えば、
図9から
図11に示されている)。カセット10は、回転されてばね式クリップ50と係合され(
図11)、そのことによりハウジング31内でカセット10を保持することができる。さらに、本明細書で具現化されているように、クリップ50は、没入されることでハウジング31からカセット10を外すことができる。
【0073】
図7から
図12に示されているように、限定ではなく例示の目的のために、装置100は、ポンプハウジング31に結合され、開位置と閉位置との間で可動なラッチ40を含んでよい。
図7は、カセット10とポンプ30とが分離された分解図である。
図8から
図11は、カセット10とポンプが開位置のラッチ40によって接合される様子を連続的に示した図である。
図12は、閉位置まで移動されたラッチ40を示した図である。ラッチ40が開位置にある時に、カセット10を受容領域32に挿入し、受容領域32から取り外すことができる。ラッチ40が閉位置にある時に、カセット基部領域83が受容領域内に配置されることでカセット10をポンプ30に固定することができる。送達管及び/又は蠕動管は、場合によっては、送達管の長さに沿って流体駆動部品と作動係合することができる。ラッチ40は、例えば、本明細書で具現化されているように、ばねラッチとして構成されてよい。ラッチ40は、ポンプ本体31の凹部内に配置されてよく、そのため、ラッチ40が閉位置にある時に、ラッチ40をポンプ本体31と実質的に面一にすることができる。
【0074】
本明細書に示されている部品はそれぞれ、任意の適切な材料(例えば、プラスチック、複合材料、金属など)で作られてよく、意図した目的に適した技術で作られてよい。本開示の主題は、以下で請求される特定の実施形態以外に、以下で請求される従属の機能及び上記で開示した機能の任意の他の可能な組み合わせを有する他の実施形態も対象である。したがって、本明細書で開示した特定の機能は、本開示の主題の範囲内で他の形で互いに組み合わされてよく、本開示の主題は、さらに厳密には、任意の他の可能な組み合わせを有する他の実施形態を対象とするものと理解されなければならない。したがって、本開示の主題の特定の実施形態の上記説明は、例示及び説明の目的のために提示されたものである。本開示の主題は徹底的なものを意図するものではなく、本開示の主題を開示されている実施形態に限定するものではない。
【0075】
本開示の主題の精神もしくは範囲から逸脱せずに、本開示の主題の方法及びシステムに様々な変更及び変形を加えてよいことは、当業者には明らかになるであろう。したがって、本開示の主題は、添付の請求項の範囲内にある変更及び変形を含むものとする。
【国際調査報告】