特表2017-529434(P2017-529434A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-529434(P2017-529434A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】香料組成物
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20170908BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20170908BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20170908BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20170908BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20170908BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20170908BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20170908BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20170908BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20170908BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20170908BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20170908BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20170908BHJP
【FI】
   C11B9/00 Z
   A61Q13/00 101
   A61K8/34
   A61K8/37
   A61K8/31
   A61K8/33
   A61K8/35
   A61Q19/00
   A61Q1/00
   A61Q5/00
   A61Q11/00
   A61L9/01 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-512812(P2017-512812)
(86)(22)【出願日】2015年9月4日
(85)【翻訳文提出日】2017年3月31日
(86)【国際出願番号】KR2015009364
(87)【国際公開番号】WO2016036198
(87)【国際公開日】20160310
(31)【優先権主張番号】10-2014-0117732
(32)【優先日】2014年9月4日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ユン・オク・パク
(72)【発明者】
【氏名】スンフィ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ボ・イム・ユン
【テーマコード(参考)】
4C083
4C180
4H059
【Fターム(参考)】
4C083AC031
4C083AC032
4C083AC151
4C083AC152
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC551
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4C083AD532
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4C083CC11
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4C083CC41
4C083KK02
4C180AA03
4C180AA05
4C180AA07
4C180AA10
4C180AA20
4C180BB15
4C180CA04
4C180EB03X
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4H059BA02
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4H059BA14
4H059BA17
4H059BA20
4H059BA23
4H059BA30
4H059BA35
4H059BB04
4H059BB13
4H059BB14
4H059BB19
4H059BB45
4H059BC10
4H059BC23
4H059DA09
4H059EA35
(57)【要約】
本明細書は、スモモ花の香り成分及び人工香料成分を含むスモモ花の香りを再現した香料組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スモモ花の香り成分及び人工香料成分を含み、
前記人工香料成分はリナロール、ヘディオン、酢酸リナリル及び酢酸ベンジルからなる群より1種または2種以上が選択される香料組成物。
【請求項2】
前記スモモ花の香り成分は、アネトール(Anethole)、リモネン(Limonene)、2−アミノベンズアルデヒド(2−Aminobenzaldehyde)、カルボン(Carvone)、サリチル酸メチル(Methyl salicylate)、ベンズアルデヒド(Benzaldehyde)、メチルノニルケトン(Methyl nonyl ketone)及びベンジルアルコール(Benzyl alcohol)を含む、請求項1に記載の香料組成物。
【請求項3】
前記スモモ花の香り成分は、アニスアルデヒド(Anisaldehyde)、酢酸ヘキシル(Hexyl acetate)及びケイ皮酸メチル(Methyl cinnamate)からなる群より選択された1種または2種以上をさらに含む、請求項2に記載の香料組成物。
【請求項4】
前記人工香料はヘディオンを含む、請求項1に記載の香料組成物。
【請求項5】
前記スモモ花の天然成分の含量は全体香料組成物を基準に75重量%〜98重量%であり、
前記人工香料の含量は全体香料組成物を基準に2重量%〜25重量%である、請求項1に記載の香料組成物。
【請求項6】
前記人工香料成分はリナロール、ヘディオン、酢酸リナリル及び酢酸ベンジルを含み、
前記香料組成物の全体質量を基準に、
アネトールの含量は15重量%〜35重量%であり、
リモネンの含量は12.5重量%〜25重量%であり、
2−アミノベンズアルデヒドの含量は7重量%〜17重量%であり、
カルボンの含量は2.5重量%〜8.5重量%であり、
サリチル酸メチルの含量は1.8重量%〜7重量%であり、
ベンズアルデヒドの含量は4重量%〜8重量%であり、
メチルノニルケトンの含量は0.8重量%〜3重量%であり、
ベンジルアルコールの含量は0.8重量%〜1.8重量%であり、
リナロールの含量は8重量%〜18重量%であり、
ヘディオンの含量は9重量%〜20重量%であり、
酢酸リナリルの含量は3重量%〜9.5重量%であり、
酢酸ベンジルの含量は2重量%〜8重量%である、請求項2に記載の香料組成物。
【請求項7】
前記スモモ花の香り成分はアニスアルデヒド(Anisaldehyde)、酢酸ヘキシル(Hexyl acetate)及びケイ皮酸メチル(Methyl cinnamate)をさらに含み、
前記香料組成物の全体質量を基準に、
アニスアルデヒドの含量は0.3重量%〜1.5重量%であり、
酢酸ヘキシルの含量は0.2重量%〜0.6重量%であり、
ケイ皮酸メチルの含量は0.1重量%〜0.3重量%である、請求項6に記載の香料組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の香料組成物を含む皮膚外用剤。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の香料組成物を含むパーソナルケア製品。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の香料組成物を含むホームケア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書はスモモ花の香りを再現できる香料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スモモ(Prunus salicina)は、双子葉植物としてバラ目バラ科の落葉高木であって、高さ10mに達し、木の皮は黒褐色で不規則に分かれるバラ科の落葉高木である。朝鮮半島の中部地方で育ち、紫桃、プラムとも言われる。スモモは、病虫害に強く、土壌適応性が良いため、朝鮮半島の全域で栽培が可能である。
【0003】
スモモ花は4月に葉より先に咲き、白い花が普通3個ずつ生る。萼片は鋸歯が若干あり、花びらの長さは1cmである。スモモ花は、高宗皇帝の決定で大韓帝国を象徴する皇室の紋章としても用いられた大事な花であり、その香が濃く、美しいため、全国最大のスモモ栽培地である金泉では毎年スモモ花祭りが開かれている。
【0004】
スモモ花は、固有の香りを持っているが、スモモの実に比べて大衆の認知度がまだ不十分であるため、スモモ花の香りをそのまま再現し、差別化した新しい特徴を有する香料組成物の開発が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】KR10−2011−0001569A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書の目的は、スモモ花の固有な香りを再現し、優れた嗜好性を有する香料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、スモモ花の香り成分及び人工香料成分を含み、前記人工香料成分はリナロール、ヘディオン、酢酸リナリル及び酢酸ベンジルからなる群より1種または2種以上が選択される香料組成物を提供する。
【0008】
また、本明細書は前記香料組成物を含む皮膚外用剤を提供する。
【0009】
本明細書は前記香料組成物を含むパーソナルケア製品を提供する。
【0010】
本明細書は前記香料組成物を含むホームケア製品を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本明細書の一実施態様による香料組成物はスモモ花の香りを再現することができる。
【0012】
また、本明細書の一実施態様による香料組成物は、スモモ花の香りとの高い類似度及び/又は高い香り満足度を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0014】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0015】
本願明細書の全体にかけて、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群より選択される一つ以上の混合または組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群より選択される一つ以上を含むことを意味する。
【0016】
本明細書は、スモモ花の香り成分及び人工香料成分を含み、前記人工香料成分はリナロール、ヘディオン、酢酸リナリル及び酢酸ベンジルからなる群より1種または2種以上が選択される香料組成物を提供する。
【0017】
本明細書のスモモ花の香り成分はスモモ花の天然成分である。
【0018】
本明細書の一実施態様において、前記スモモ花の香り成分は、アネトール(Anethole)、リモネン(Limonene)、2−アミノベンズアルデヒド(2−Aminobenzaldehyde)、カルボン(Carvone)、サリチル酸メチル(Methyl salicylate)、ベンズアルデヒド(Benzaldehyde)、メチルノニルケトン(Methyl nonyl ketone)及びベンジルアルコール(Benzyl alcohol)を含む。
【0019】
また一つの実施態様において、前記スモモ花の香り成分は、アニスアルデヒド(Anisaldehyde)、酢酸ヘキシル(Hexyl acetate)及びケイ皮酸メチル(Methyl cinnamate)からなる群より選択された1種または2種以上をさらに含む。
【0020】
前記アネトール(Anethole)、リモネン(Limonene)、2−アミノベンズアルデヒド(2−Aminobenzaldehyde)、カルボン(Carvone)、サリチル酸メチル(Methyl salicylate)、ベンズアルデヒド(Benzaldehyde)、メチルノニルケトン(Methyl nonyl ketone)、ベンジルアルコール(Benzyl alcohol)、アニスアルデヒド(Anisaldehyde)、酢酸ヘキシル(Hexyl acetate)及びケイ皮酸メチル(Methyl cinnamate)等はスモモ花の香りの主成分である。しかし、前記スモモ花の香り成分のみを含む場合、スモモ花の固有な香りを再現することができない。
【0021】
本明細書の一実施態様による香料組成物は、前記スモモ花の香り成分の他にリナロール、ヘディオン、酢酸リナリル及び酢酸ベンジルからなる群より1種または2種以上の人工香料成分をさらに含むことによって、スモモ花の香りを再現することができ、優れた嗜好性を有することができる。
【0022】
前記スモモ花の香り成分は、天然物の香り物質を分析するのに効果的なヘッドスペース分析法を利用して得ることができる。
【0023】
一般に、香りを採取する方法としては溶媒を用いた抽出法(extraction)、水蒸気を用いた蒸留法(distillation)等が使用されるが、前記方法は香り成分を抽出する過程で加熱、減圧等による香り成分の消失、変化等を招き、原物質が有する香り特徴とは多くの差がある。このような短所を補完する方法として、ヘッドスペース(Headspace)法とSPME(Solid−Phase Micro Extraction)法等が開発されている。この二つの方法は、既存の方法とは異なり、溶媒を用いず、試料の前処理も要らないので、多量の試料が必要でなく、試料そのものを持って香り成分を分析することができるため、試料が有する本来の香りを再現できる良い方法であると言える。
【0024】
本明細書の一実施態様において、前記スモモ花の香り成分はヘッドスペース法を利用して分析及び/又は採取することができるが、前記方法に限定されるものではない。
【0025】
本明細書の一実施態様において、前記スモモ花の天然成分の含量は全体香料組成物を基準に75重量%〜98重量%であり、前記人工香料の含量は全体香料組成物を基準に2重量%〜25重量%である。
【0026】
前記人工香料の含量が全体香料組成物を基準に2重量%未満の場合には香りの類似性が低くなり、25重量%超過の場合には選好度に影響を及ぼす。よって、前記範囲内で、香料組成物はスモモ花の香りの高い再現性及び/又は高い選好度を有することができる。但し、前記範囲の含量に限定されず、組成物の目的、剤形によって変化しうる。
【0027】
本明細書の一実施態様において、前記人工香料はリナロール、ヘディオン、酢酸リナリル及び酢酸ベンジルからなる群より1種または2種以上が選択される。
【0028】
本明細書の一実施態様において、前記人工香料はヘディオンを含む。具体的には、前記人工香料はヘディオン;及びリナロール、酢酸リナリル及び酢酸ベンジルからなる群より1種または2種以上を含む。
【0029】
また他の実施態様において、前記人工香料はリナロール、ヘディオン、酢酸リナリル及び酢酸ベンジルを含む。
【0030】
本明細書の一実施態様において、前記スモモ花の香り成分はアネトール(Anethole)、リモネン(Limonene)、2−アミノベンズアルデヒド(2−Aminobenzaldehyde)、カルボン(Carvone)、サリチル酸メチル(Methyl salicylate)、ベンズアルデヒド(Benzaldehyde)、メチルノニルケトン(Methyl nonyl ketone)及びベンジルアルコール(Benzyl alcohol)を含み、前記人工香料成分はリナロール、ヘディオン、酢酸リナリル及び酢酸ベンジルを含み、
【0031】
前記香料組成物の全体質量を基準に、アネトルの含量は15重量%〜35重量%であり、リモネンの含量は12.5重量%〜25重量%であり、2−アミノベンズアルデヒドの含量は7重量%〜17重量%であり、カルボンの含量は2.5重量%〜8.5重量%であり、サリチル酸メチルの含量は1.8重量%〜7重量%であり、ベンズアルデヒドの含量は4重量%〜8重量%であり、メチルノニルケトンの含量は0.8重量%〜3重量%であり、ベンジルアルコールの含量は0.8重量%〜1.8重量%であり、リナロールの含量は8重量%〜18重量%であり、ヘディオンの含量は9重量%〜20重量%であり、酢酸リナリルの含量は3重量%〜9.5重量%であり、酢酸ベンジルの含量は2重量%〜8重量%である。
【0032】
また一つの実施態様において、前記スモモ花の香り成分はアニスアルデヒド(Anisaldehyde)、酢酸ヘキシル(Hexyl acetate)及びケイ皮酸メチル(Methyl cinnamate)をさらに含み、前記香料組成物の全体質量を基準に、アニスアルデヒドの含量は0.3重量%〜1.5重量%であり、酢酸ヘキシルの含量は0.2重量%〜0.6重量%であり、ケイ皮酸メチルの含量は0.1重量%〜0.3重量%である。
【0033】
本明細書において、前記スモモ花の香り成分及び人工香料成分は市販品の使用、植物から分離または合成を通じて製造されたものを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
また、本明細書は前記香料組成物を含む皮膚外用剤を提供する。
【0035】
本明細書において、前記皮膚外用剤としては基礎化粧品、メーキャップ化粧品またはボディー化粧品、軟膏等が挙げられ、その剤形に特に限定されず、ゲル、ローション、アンプル、乳液、ジェル、軟膏、パッチ、噴霧剤及びクリームからなる群より選択された一つの剤形であってもよい。
【0036】
本明細書において、前記基礎化粧品またはボディー化粧品の剤形としてはローション、クリーム、エッセンス、ジェル、化粧水、パック、栄養クリーム、マッサージクリーム、乳液、入浴剤、サンスクリーンクリーム、サンオイル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
また、本明細書において、前記メーキャップ化粧品の剤形としてはファンデーション、メーキャップベース、リップスティック、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイブローペンシル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本明細書は前記香料組成物を含むパーソナルケア製品を提供する。
【0039】
前記パーソナルケア製品としてはシャンプー、リンス、コンディショナー、ワックス、ジェル、ヘアムース等のヘアー製品、歯磨き粉、うがい液等の口腔製品、石鹸、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター及びクレンジングオイル等の皮膚洗浄剤、及び香水等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
本明細書は前記香料組成物を含むホームケア製品を提供する。
【0041】
前記ホームケア製品としては芳香剤、及び液体洗浄剤、台所用洗剤、洗濯洗剤、浴室洗剤等の洗剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
また、本明細書の一実施態様において、前記組成物は、剤形に応じて、香料、色素、殺菌剤、酸化防止剤、防腐剤、保湿剤、増粘剤、無機塩類、合成高分子物質等の当業界で通常用いられる添加剤をさらに含むことができる。
【0043】
前記皮膚外用剤、パーソナルケア製品及びホームケア製品は本明細書の目的を害しない範囲内で各々含まれることができ、含まれる含量及び剤形は限定されず、前述した添加剤を選択することによって、必要に応じて所望の剤形を選択して製造することができる。
【実施例】
【0044】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明することにする。但し、本明細書による実施例は色々な他の形態に変形されることができ、本明細書の範囲が下記に記述する実施例に限定されるものではない。本明細書の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0045】
実験例1 ヘッドスペース(Headspace)法を用いたスモモ花の香り成分の分析
ヘッドスペース分析方法は自然状態そのままの試料の香り成分を採取できる方法であり、本発明ではヘッドスペース分析法を使用し、文献に記載された方法を利用して下記のように成分の分析を行った。香りの強いスモモ木の枝を選び、スモモ花部分に密閉が可能なビニルを被せ、動力装置で外部空気を強制循環させながら、循環した空気がteenaxカラムを通過するようにして香り成分を捕集した。捕集場所は慶尚北道金泉市に位置したスモモ農家であり、7時間捕集が行われた。香りが捕集されたteenaxカラムをガスクロマトグラフィー分析装置に連結し、捕集された香り成分の種類と含量を分析し、その結果は下記の表1に示す。
【0046】
<分析条件>
分析機器:Agilent 7890A
検出器:FID/MSD 1:1
カラム:TC−WAX 30m ×250μm×0.25μm
注入部の温度:100℃
検出部の温度:250℃
オーブン温度:40℃(5分)〜230℃(100分)、3.0℃/分
移動相気体:He
注入量:1μl
【0047】
【表1】
【0048】
上記のように分析した結果、天然のスモモ花の香り成分は、アネトール(Anethole)28.8重量%、リモネン(Limonene)20.8重量%、2−アミノベンズアルデヒド(2−Aminobenzaldehyde)14.7重量%、カルボン(Carvone)8.0重量%、サリチル酸メチル(Methyl salicylate)5.9重量%、ベンズアルデヒド(Benzaldehyde)5.1重量%、メチルノニルケトン(Methyl nonyl ketone)1.4重量%、ベンジルアルコール(Benzyl alcohol)1.3重量%、アニスアルデヒド(Anisaldehyde)0.85重量%、酢酸ヘキシル(Hexyl acetate)0.39重量%及びケイ皮酸メチル(Methyl cinnamate)0.26重量%であることを確認した。また、天然のスモモ花の香り成分の全体に対して前記成分の総量は約87.5重量%であることを確認した。
【0049】
実験例2 スモモ花の香りの再現香料の製造及び元の香りとの香りの比較
香料業界に務める専門家11人がスモモ花の元の香りと下記表2の組み合わせからなる再現香料(表2参照)に対して官能評価を行った。
【0050】
【表2】
【0051】
評価の結果、前記表2によって組み合わせられたスモモ花の再現香料はスモモ花の元の香りとの類似性が低く、香り満足度は不十分なレベルに評価された。
【0052】
よって、ヘッドスペース(Headspace)分析結果だけでスモモ花の香りを再現するのは好適ではない。前記表1のヘッドスペース(Headspace)結果に基づいて新しい香り成分を追加してスモモ花の香り再現の必要性を確認することができた。
【0053】
実験例3 香料組成物の製造
スモモ花の香りは軟らかい花香りに甘い蜂蜜香りと果物香りが交わった特徴的な固有の香りを持っている。よって、スモモ花の香り成分の他に前述したスモモ花の香りの特徴を有するリナロール、ヘディオン、酢酸リナリル及び酢酸ベンジルの人工香料成分を追加して香料組成物を製造した。
【0054】
下記表3の成分の組み合わせをもって香料を製造した。
【0055】
【表3】
【0056】
実験例4 香料組成物の香り再現性の評価
27才〜46才の元気な一般女性18人を官能評価対象者にして官能評価を行った。スモモ花の元の香りの再現性に対する評価は、下記表4の質問紙をもって実施例1〜5及び比較例1〜3で製造された香料組成物に対して5点評点法により評価した。評価室と試料準備室を分離し、評価者が試料の事前認知がないようにした。
【0057】
前記比較例1〜3及び実施例1〜5のスモモ花の香り再現性の評価結果は下記の表5に示す。
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
評価対象者の平均年令は37.1才であり、女性18人であった。
【0061】
前記表5の結果から、前記実験例1の分析に基づいたスモモ花の香り成分のみを含む比較例1は非常に低い類似度を示すことを確認することができる。また、スモモ花の香り成分のうち主要成分の含量を調節して製造した香料組成物である比較例2及び3は、スモモ花の元の香りとの類似度の増加は微小であることが確認することができる。
【0062】
これに対し、リナロール、ヘディオン、酢酸リナリル及び酢酸ベンジルのうち1種または2種以上の人工香料成分を含む実施例1〜5は、スモモ花の元の香りとの類似度が増加することを確認することができる。
【0063】
特に、ヘディオンを含む実施例2〜5の類似度が高いことを確認することができ、実施例2の結果からスモモ花の香り成分とリナロール、ヘディオン、酢酸リナリル及び酢酸ベンジルを含む人工香料成分とを含む場合に類似度が最も増加することを確認することができる。
【0064】
実験例5 香料組成物の香り満足度の評価
27才〜46才の元気な一般女性18人を官能評価対象者にして官能評価を行った。香り選好度に対する評価は、表6の質問紙をもって実施例1〜5及び比較例1〜3で製造された香料組成物に対して5点評点法により評価した。評価室と試料準備室を分離し、評価者が試料の事前認知がないようにした。
【0065】
前記比較例1〜3及び実施例1〜5のスモモ花の香り満足度の評価結果は表7に示す。
【0066】
【表6】
【0067】
【表7】
【0068】
評価対象者の平均年令は37.1才であり、女性18人であった。
【0069】
前記表7の結果から、前記実験例1の分析に基づいたスモモ花の香り成分のみを含む比較例1は非常に低い満足度を示すことを確認することができる。また、スモモ花の香り成分のうち主要成分の含量を調節して製造した香料組成物である比較例2及び3に対する満足度も満足度評価の平均未満であることを確認することができる。
【0070】
これに対し、リナロール、ヘディオン、酢酸リナリル及び酢酸ベンジルのうち1種または2種以上の人工香料成分を含む実施例1〜5は満足度が増加することを確認することができる。
【0071】
特に、ヘディオンを含む実施例2〜5の満足度が高いことを確認することができ、実施例2の結果からスモモ花の香り成分とリナロール、ヘディオン、酢酸リナリル及び酢酸ベンジルを含む人工香料成分とを含む場合に満足度が最も増加することを確認することができる。
【0072】
前記表5及び表7の結果から、前記スモモ花の香り成分にリナロール(Linalool)、ヘディオン(Hedione)、酢酸リナリル(Linalyl acetate)、及び酢酸ベンジル(Benzyl acetate)からなる群より選択された1種または2種以上の人工香料成分を含む場合、スモモ花固有の香りとの高い類似度及び満足度の向上を確認することができる。
【国際調査報告】